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2016年2月29日 第94回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成28年2月29日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【委員】

福井部会長
相澤委員、井伊委員、石原委員、磯部委員、大澤委員、
川越委員、菊池委員、桐野委員、倉根委員、塩見委員、
武見委員、玉腰委員、中村委員、西島委員、野村委員、
橋本委員、宮田委員、門田委員、横川委員

○配布資料

資料1-1 国立社会保障・人口問題研究所機関評価報告書
資料1-2 機関評価に係る対処方針
資料2-1 第5期科学技術基本計画の概要
資料2-2 科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)
資料3 戦略研究の中間評価について
資料4 医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会(仮称)の設置について(案)
資料5 厚生労働科学研究費補助金公募要項(二次)(案)
資料6 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく研究機関に対する平成27年度履行状況調査の結果について(案)
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2 健康・医療戦略の概要等
参考資料3-1 医学研究関連指針の見直しについて(案)
参考資料3-2 遺伝子治療等臨床研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会(仮称)の設置について(案)
参考資料4 平成28年度厚生労働科学研究費補助金の公募状況について
参考資料5  研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく研究機関に対する平成27年度履行状況調査の概要について
参考資料6 平成28年度科学技術関係施策予算案の概要について

○議事

○吉田研究企画官

 定刻となりましたので、ただいまから第94回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。

 委員の皆様には、御多忙の折りお集まりいただきまして、お礼を申し上げます。本日は、2名の委員から欠席の御連絡をいただいております。また、玉腰委員から、遅れる旨の御連絡をいただいております。現在、出席委員17名ということで、過半数を超えておりますので、会議が成立することを御報告いたします。

 続きまして、本日の会議資料の確認をいたします。お手元の資料を御覧ください。まず、議事次第がございます。ここに示してあります配布資料に沿って紹介いたします。資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料3、資料4、資料5、資料6。続きまして参考資料ですが、参考資料1、参考資料2と参考資料3-1がパワーポイントの2アップの資料、参考資料3-2、参考資料4、参考資料5、参考資料6です。資料等の漏れがございましたら、事務局まで御連絡ください。

 それでは福井部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○福井部会長

 本日は議題が6つ用意されております。円滑な進行に御協力をお願いいたします。最初に、議題1「国立社会保障・人口問題研究所機関評価報告書の提出について」、御報告いただきたいと思います。国立社会保障・人口問題研究所の森田所長より説明をお願い致します。

○国立社会保障・人口問題研究所森田所長

 ただいま御紹介いただきました、国立社会保障・人口問題研究所の所長の森田でございます。本日は、この機関評価の報告について、報告をさせていただきます。

 国立社会保障・人口問題研究所は、社会保障と人口問題を扱う我が国唯一の国立の研究機関でございます。主な業務といたしましては、資料1-1の評価報告書の1ページの下のほうを御覧になっていただきたいと思いますが、一応、私どもとしては、6つのミッションを掲げています。そのうち(1)として、主要なもの、基幹3事業と称しているものですが、1つ目は将来の人口推計、2つ目が実地調査、3つ目が社会保障費用統計です。将来の人口推計については改めて申し上げるまでもないと思いますが、実地調査と申しますのは、5年に1度ずつ5種類のアンケート調査を実施いたします。例えば、出生動向基本調査がございますが、ここでは、少子化対策で話題となっている、理想の子供の数であるとか、予定子供数などの調査を行っているわけです。3つ目の社会保障費用統計、これは毎年秋に公表しているもので、現在の社会保障の総額が大体110兆円規模である、こうしたことをデータを作成し、政策論議の基礎となるようなエビデンスを提供する業務として実施しているところです。

(2)でお示ししている革新的・先端的研究への挑戦、分野全体の底上げということですが、これは私どもの研究所におります個々の研究者が、一般会計予算、あるいは厚労科研、文科科研などの競争的な資金を獲得して行う研究でして、この人口・社会保障の分野における先端的な研究に取り組んでいるものです。現在、我が研究所に所属している研究者は、社会保障部門が19名、人口部門が22名です。これに10名程度、事務関係のスタッフがおります。

 この社会保障・人口問題研究所の研究評価委員会規程に基づきまして、平成23年度から平成25年度における機関評価を受けたところで、そこで指摘していただいた内容は多岐にわたりますが、以下、資料1-2「機関評価に係る対処方針」に基づいて、改善を求められた事項に的を絞って御説明をさせていただきます。

 まず、指摘された1つ目の改善を求められた事項です。これは要約しますと、統計データに関わることですが、私ども社人研自身で作成するデータ、及び社人研の外の機関が作成するデータについて、あるべき調査項目等を提言するような活動を社人研が積極的に行うべきであるという御指摘です。

 それに対する対処方針は1ページに詳しく書いてあるところですが、例えば、1つ目のパラグラフにあるように、今の社会保障費用統計は、各省がそれぞれの制度ごとに掛かった費用を集計しているわけですが、一部を除き、国の制度外で、地方公共団体が自ら支出している地方単独事業については捕捉が困難であるということもあり、集計が十分になされていないわけですが、こうしたものについて適正なものにすべく、社人研で研究プロジェクトを立ち上げ、地方自治体へのヒアリングなどを行いながら、集計が可能になるように研究を続けていると。地方の単独事業で捕捉できないものについても、捕捉するように努めているところです。

 次に、2番目のパラグラフで、人口部門においても、死亡診断書には複数の死因を記述する欄があるわけですが、統計化をする際には、現在は1つの死因が特定されることになっています。この1つに絞られた以外の死因の分析であるとか集計の方法に関する方法論的な研究というものも行っているところです。

2ページ、機関評価の指摘事項の2番目です。改善を求められた事項の要旨は、直ぐに役に立たないものであっても革新的・先端的な研究に速やかに取り組むべきであるということと、社会保障部門の将来推計等にも人口学の見地を応用して取り組むべきである、この2点の御指摘です。

 まず、1点目については、対処方針の最初のパラグラフですが、研究テーマを決める際には、全研究員の参加による研究交流会という場で、萌芽的なものも含め研究者の発案を発表し、それを議論することによって決定しているほか、文部科学研究費も、平成27年度においては合計で11件獲得して、革新的な研究に取り組んでいるところです。

2点目については、3つ目のパラグラフを御覧になっていただきたいと思いますが、次世代将来推計システムに関する総合的研究においては、将来人口推計を活用した社会保障への政策的シミュレーションを行うなど、人口学の見地を取り入れた研究に取り組んでいるところです。

 続きまして、3ページの3つ目の指摘事項です。地域で政策分析や立案を行う担当者の現状分析や将来見通しの分析の支援をするツールを作成するように、その際には、地域ごとの人口動向と社会保障との関連が把握できるようにすべきであるという点と、2番目は、研究に際しては、地方自治体の組織に応じたものとすべきであるという御指摘です。

1点目の御指摘についての対処方針は、1番目のパラグラフにありますが、市区町村で活用できる簡易人口推計ツールの開発を行うとともに、自治体側で用意する生活関連のデータを、地方自治体自身がそれに入れることによって、両方を地図上にマッピングして分析するなどのソフトウエアを開発しているところです。

2点目については、市区町村だけではなく、都道府県の支援のための研究として医療介護総合確保基金が始まっていますけれども、これを使って都道府県が行っている事業の評価、この評価を行うための指標を作成する研究にも取り組んでいるところです。

 指摘事項の4は、若手に海外経験を積ませるべきであるという御指摘です。現在はOECD1名、1年間の長期派遣を行っているほか、昨年もここに掲げてあるような大学への留学であるとか、長期出張を若手にさせていまして、経験を積ませているところです。

 機関評価の対処方針の4ページを御覧ください。ここで指摘されている改善事項は、研究所の事業の意義や価値についての普及啓発を一層盛んにすべきであるということと、予算と定員をこれからもきちんと確保し、また予算については将来的には民間資金の導入も検討すべきという、この2点の御指摘をいただいております。

 これにつきましては、対処方針の最初のパラグラフで1点目についてお答えしておりますが、刊行物やセミナー等で普及啓発を図るとともに、昨年の秋には、東京大学の公共政策大学院において、「社会保障・人口問題の現代的諸相」と題したオムニバスの講義を開講するなど、普及啓発、人材の育成にも努めているところです。また、2点目については、民間資金の導入は、国立の研究所であるために今のところはできないわけですけれども、直近2年度においては、財政状況が大変厳しい中でございますが、いろいろと厚生科学課にも御配慮いただきまして、ここに掲げているような事業の実施により、研究の充実を図っているところです。

 最後の指摘事項は、研究員のデータ作成業務や他の雑務の負担を軽くし、できるだけ検究員は研究に注力できるようにすべきであること、外部の人材を導入し窓口業務を一義的に委ねるべき、又は地方自治体への支援についても効率的に行うべきではないかという指摘です。

 これらについては、5ページで対処方針を掲げています。データ作成その他の業務の負担を軽くし、外部人材を導入して窓口業務を一義的に委ねるべきということですが、これについては、かなり多いデータに関する問合せの電話対応を中心とした、研究支援員という制度を設けていまして、今までは、ホームページを見れば分かるような簡単な質問でも研究員が対応していたわけですが、そうした質問に対しては、研究支援員として雇用した非常勤職員がそれに対応するような運営を昨年の6月から実施しているところです。3点目については、2番目と3番目のパラグラフですが、厚生労働省からの出向者については、研究全般のマネジメントに当たってもらっているほか、自治体、これは具体的には福井県とやっていますが、福井県庁との交流もここに記載されているような形で進めているところでございます。また、研究のフィールドとさせていただいているような地方自治体とは、自然にコンソーシアムのような関係を築いているところでございますが、今後とも、地方自治体支援の効率的な実施に努めていきたいと考えております。

 最後になりますが、冒頭に申し上げましたように、国立社会保障・人口問題研究所は、社会保障・人口問題を扱う唯一の国立の試験研究機関です。これからも、少子高齢化・人口減少問題等、我が国の最重要政策課題に係るそうした議論について、科学的なエビデンスを着実に提供するとともに、私ども自らも先端的な研究を担い続けていきたいと考えております。先生方の御支援も、よろしくお願いしたいというところでございます。以上です。

○福井部会長

 ただいまの御説明について御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

○石原委員

 一言、御礼とお願いのような形で申し上げます。私は今、WHOの委託を受けて、世界の生殖医療の統計などを集めているイクマート(ICMART)という組織のボードメンバーをしております。国立社会保障・人口問題研究所のデータにアクセスして、大層重宝しております。そのことについて御礼を申し上げたいわけです。

 お願いをしたいことが1つあります。例えばOECDEurostatなどのさまざまな統計を参照する場合、ほとんどの統計が英文で知ることができるわけですが、残念ながら日本の統計は必ずしも全てが英語化されていない。特に我が国が少子高齢化の最先端を走っているということから、諸外国から我が国の統計が注目されるケースがしばしばございます。その場合に私は必要なところだけを引っ張り出してお送りしております。国内のお話が主でしたが、是非とも、今後の国際化への対応という上で、英文におけるデータの発表、文章はなくても、少なくとも数値、テーブルの標題だけでも英語にしていただければ、ほとんどのことが解消すると思いますので、御検討いただき、是非、今後の統計について管理をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○福井部会長

 森田先生、お願いいたします。

○森田所長

 御指摘ありがとうございます。我が国の統計データその他資料を海外向けに英語で発信することについては、現在でも可能な限り努力をしておりまして、相対的に他の研究機関に劣るということは決してないと思っておりますが、まだ全てを英語で発信するというには、なかなか人材その他の制約もあり、十分ではないところもあろうかと思います。可能な限り今後とも続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○門田委員

 質問というより個人的な意見なのですが、私はほとんどデータを利用したことがないので、内容的なことは申し上げられないのですが、このシステム、評価委員会からの評価について、非常にたくさん何々すべきであると書かれています。そしてただいまのそれに対する回答をお聞きすると、何々を進めているところであるという形で、それなりに全部やっているというような表現がほとんどになっています。せっかく、このPDCAという、我々の中でいろいろと少しでも改善策に向かってどう動くかを目的にやっているこういう状況で、このように「べきである」、「いや、やっています」ということを繰り返しても、本来のもっともっと改善していくという視点が欠けてくるのではないかという気がするのです。個々のことについてはよく申せませんが、その辺りは、少しでも良くするためにという大前提でやっているということを、やる側も受ける側も考えていただいたほうがいいのではないかなと思うのです。これも私のコメントです。

○森田所長

 御指摘ありがとうございます。さまざまな制約がございますが、可能なかぎり改善には努めていきたいと思っております。ここに書いてあるものも、可能な範囲でこれまでもある程度続けてきたわけですし、この御指摘を受けて、それなりにやっているところについては挙げさせていただいたということでございます。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 私の個人的な質問ですが、日本の大学にはポピュレーションサイエンスを教える、研究している大学の学部、学科が比較的少ないような印象を持っているのですが、この分野の人材、研究所に雇用される研究者は、どういう方が入られるのでしょうか。

○森田所長

 我が国では、大学できちっとした学部ないし学科レベルで人口学を教えている所はまだないと聞いております。一部の講座で担当されている先生方がいらっしゃいますが、多くの所はやはり数理、統計分野の方、あるいは社会学、経済学、地理学の分野の方で、もともとのディスクリンは異にしますが、そうした分野の方が人口に関心を持っていらして、人口学に入って来られると聞いております。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。それでは、森田所長からの御説明を伺って、この部会としましても御了承いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。

○森田所長

 どうもありがとうございました。失礼いたします。

○吉田研究企画官

 森田所長につきましては、次の予定がございますので、これで御退席されます。

○福井部会長

 続いて議題2に入ります。「第5期科学技術基本計画について」、事務局より説明をお願いします。

○吉田研究企画官

 それでは、第5期科学技術基本計画について御説明いたします。資料2-1です。この計画については、科学技術基本法に基づいて、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために5年に1度策定されております。今回は第5期ということで、平成28年度から平成32年度を対象にしております。第5期科学技術計画は、我が国を世界で「最もイノベーションに適した国」へと導くため、政府、学会、産業界、国民といった幅広い関係者が共に実行する計画として位置付けられているところです。

 本計画の第1章の(1)で、まず現状認識が述べられており、(2)で過去20年間の科学技術基本計画の実績と課題が総括されております。これらを踏まえて、(3)目指すべき国の姿ということで、(1)持続的な成長と地域社会の自律的発展、(2)国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現、(3)地球規模課題への対応と世界の発展への貢献、(4)知の資産の持続的創出が提示されております。

(4)基本方針では、これを実現するため、i)未来の産業創造と社会変革、ii)経済・社会的な課題への対応、iii)基盤的な力の強化、iv)人材、知、資金の好循環システムの構築、これらを4つの柱として定めており、その具体的な内容が第2章から第5章で記載されております。

 右側ですが、第2章においては、i)「未来の産業創造と社会変革」に対応して、自ら大きな変化を起こし、大変革時代を先導していくため、非連続なイノベーションを生み出す研究開発と新しい価値やサービスが次々と創出される「超スマート社会」というものを世界に先駆けて実現するための仕組み作りを強化するための取組が記載されております。

 裏面の3章です。第3章は、ii)「経済・社会的課題への対応」として、国内又は地球規模で顕在化している課題に先手を打って対応するため、国が重要な政策課題を設定し、課題解決に向けた科学技術イノベーションの取組を進めると記載されております。厚生労働省関係では、13の重要政策課題の一部として、世界最先端の医療技術の実現による健康長寿社会の形成と、食品安全、生活環境、労働衛生等の確保が位置付けられております。また、医療分野の研究については本計画に簡単な記載がありますが、詳細な内容については、本計画以外の「健康・医療戦略推進法」に基づき策定された「健康・医療戦略」及び「医療分野研究開発推進計画」の中に記載されております。今回の部会においては、この健康・医療戦略と医療分野研究開発推進計画についての紹介のみにとどめ、説明は省略させていただきますが、お配りした参考資料2に、健康・医療戦略推進法、健康・医療戦略、医療分野研究開発推進計画の概要を記していますので、適宜御参照いただければと思います。

 資料2-1に戻ります。第4章では、今後起こり得るさまざまな変化に対して柔軟かつ的確に対応するために、若手人材の育成や活躍促進と大学の改革・機能強化を中心に、基盤的な力の抜本的強化に向けた取組が記載されております。

 第5章では、国内外の人材・知・資金を活用し、新しい価値の創出とその社会実装を迅速に進めるため、企業、大学、公的研究機関の本格的連携とベンチャー企業の創出強化等を通じて、人材・知・資金があらゆる壁を乗り越え循環し、イノベーションが生み出されるシステム構築を進める、こういう取組が記載されております。

 このほか第6章では、科学技術イノベーションの推進に当たり、社会の多様なステークホルダーとの対話と協働に取り組むということが述べられており、第7章では、科学技術イノベーションの主要な実施主体である大学と国立研究開発法人の改革・機能強化と科学技術イノベーション政策の推進体制の強化を図るとともに、研究開発投資を確保するということで、数値目標として政府研究開発投資を対GDP比で1%、総額約26兆円を確保することを目指すと記載されております。本計画の詳しい内容については、資料2-2の冊子に文章編で記載しておりますので、適宜御覧いただければと思います。

 またこれに併せて、平成28年度の予算について御説明したいと思います。参考資料6の「平成28年度科学技術関係施策予算案の概要について」です。平成28年度の予算案として、科学技術関係経費が約1,056億円ということで、対前年度比100.1%とあります。このうち左側が日本医療研究開発機構、いわゆるAMED対象の経費で約478億円、右側が厚生労働科学・調査研究費で約69億円となっております。3ページは、厚生労働省の予算に、文科省、経産省の予算も加えて、医療分野の研究開発関連予算案を記しております。日本医療研究開発機構の対象経費は平成28年度予算案で1,265億円となっております。主な取組に関しては下の枠に記載されたとおりです。説明は以上です。

○福井部会長

 ただいまの御説明について御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

○倉根委員

 資料2-1の基本的考え方の(2)科学技術基本計画の20年間の実績と課題ということで、ここに評価の指標となる数が載っております。もちろん被引用回数というのも重要でしょうし、それを反映するいろいろなファクターも重要だと思います。それ自体は私は反対するものではありません。ただ、学問のフィールドによっては、非常にいい研究なのだけれども、本来その領域の研究者が少ないがために、どうやっても被引用回数は増えない、あるインパクトファクターも1つの指標としても増えないという分野があることも事実です。これは恐らく例として挙げたものだと思いますが、1つの指標だけでそれを判断するというのは、やはりそれぞれの分野の特殊性というのもありますので、ここはやはり判断するときに総合的に判断すべきではないかと考えます。

○福井部会長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。それではよろしいでしょうか。これは御報告いただいたということで、議事3に移りたいと思います。「戦略研究の中間評価について」、事務局より説明をお願いいたします。

○椎葉厚生科学課長

 資料3に基づいて戦略研究の中間評価について説明いたします。まず、戦略研究の実施状況です。平成17年度から、左に研究課題がありますが、糖尿病予防や自殺対策、がん、エイズ予防など、大規模な介入研究を5か年の計画ということで戦略研究をやってきたわけです。

 平成27年度現在動いているのは下の2つで、生活習慣病重症化予防と、健康医療分野のデータベースが動いております。今回、報告するものは下から2番目の「生活習慣病重症化予防」についてで、平成25年度から研究を実施してきましたが、この度、中間評価を行い、その評価により終了を決定しましたが、今回はその御報告です。

2ページです。まず、戦略研究における中間評価について説明いたします。戦略研究は大規模な介入試験を行うということで、1年目ですが、研究の実施計画を作る期間があります。ここでフィージビリティースタディをやっていただき、実施計画を作り、その後本格的な研究に入っていくということで、5年間研究を行います。真ん中に戦略研究の中間評価を行うということがあり、終わった後も事後評価を行い、その後3年目に戦略研究の追跡評価も行うということで、こういう評価をきちんと行って、その評価については、上の厚生科学審議会科学技術部会に研究の概要や成果、評価結果などについて報告を行うというものです。

 こうした中で、戦略研究の中間評価の結果、終了が決定されたということです。これについて御報告させていただきます。次の4ページが、その対象となる戦略研究です。研究の課題ですが、「自治体における生活習慣病重症化予防のための受療行動促進モデルによる保健指導プログラムの効果検証に関する研究」という課題名です。研究の実施者は大阪大学、リーダーは磯教授で、また、推進体制を構築していただき、この推進室長に下村教授が就任されております。

 研究の背景です。1つ目の○です。脳卒中といった循環器疾患などの疾病の発生を予防することは、我が国の重要な課題となっておりますが、このため、平成204月から特定健診・特定保健指導が制度化されました。次の○です。しかしながら、脳卒中等の患者の半数以上は発症前に医療機関を受療しておらず、健診時に指摘された治療の重症高血圧者の約4割が健診後に医療機関を受療していないということが報告されております。こういったことから、重症化ハイリスク者で、かつ健診受診時に医療機関を受療していなかった方を対象として、受療行動促進モデルを用いた保健指導の有効性を検証しようということが、この研究の背景です。

 実際の研究の目的ですが、脳卒中を発症するリスクの高い未受療者に対して、医療機関への受療行動を促進する強力な保健指導を実施するということは、一般的な保健指導を実施するよりも脳卒中等の予防効果が大きいことを検証するという研究目的で計画されました。

5ページは、この研究デザインの概要です。研究の対象者は、国民健康保険の特定健診により把握された、4074歳までの男女の重症化ハイリスク者で、かつ医療機関において、高血圧や糖尿病、脂質異常症、腎臓病の該当リスク項目に関して、健診受診時に医療機関を受療していなかった方を対象としております。

 具体的な方法ですが、まず、研究対象自治体を全国から公募し、自治体をクラスターとして、介入する自治体と非介入の対照自治体をランダムに割り付ける。そして、介入自治体においては、受療行動促進モデルによる強力な保健指導を行っていただき、対照自治体に関しては、一般的な保健指導を行っていただきます。また、2年目以降は、初年度と同じ対象者に加えて、新規に把握された対象者に対して保健指導を行うという方法です。主要評価項目は、医療機関での受療率や生活習慣病の関連アウトカムです。また、副次的には御覧のとおりのものを評価項目にしております。実施期間は、平成25度~平成30年度までということで研究デザインを組みました。

6ページはデザインを図示したものです。研究対象自治体は、左が介入自治体で右が対照自治体です。左の介入自治体については、特定健診の結果が重症化ハイリスク者で健診受診時に受療していなかった方をピックアップします。これについては右の※に、高血圧、HbA1cLDL-コレステロール、尿蛋白が、御覧の値の方々について「重症化ハイリスク者」と定義しております。

 このハイリスク者で健診時に受療していなかった方については、受療行動促進モデルによる保健指導を行うというのが介入自治体です。右の対照自治体では、同じ対象者について、一般的な保健指導を行う。この比較により、下にあるこのプログラムの効果を評価していくということで、最終的には生活習慣病の重症化・合併症予防を行うという研究デザインです。

7ページです。介入自治体と対照自治体の割付けです。全国の自治体数が1,700ほどありますが、こちらに案内をして説明会を行い、実際に研究に参加すると意思表明していただいた自治体は43ありました。これをクラスター・ランダム化しました。手順としては、自治体の特性をスコア化し、スコアの類似した自治体をペアマッチング化し、各グループ内で無作為に割付けをしております。一番右にあるのが、それぞれの開始年度ごとの介入自治体と対照自治体の割付けで、トータルで21が介入自治体、22が非介入自治体、合計で43自治体に研究に参加していただきました。

8ページです。実際の保健指導プログラムはどういうものかというと、受療行動促進モデルによる保健指導プログラムを用いていただくということです。介入自治体においては、まず1つ目の特徴は、医療機関への受療勧奨に焦点を当てた保健指導を実施するということで、下の図です。初回の保健指導は、医療機関への受診勧奨に焦点を当てた保健指導を行います。これは原則、家庭訪問して対面指導を行うということで、家に行ってきちんとこういうことを理解していただくという指導を行います。

 そして、医療機関受療状況をレセプトにより確認し、受療している方については継続して医療機関を受診していただきたいという保健指導を行うとともに、未受療の方にはまた同じような受療勧奨を行う。そして、また医療機関レセプトによる確認を行い、翌年度の健診未受診者についても受診を勧奨する。こういった受療行動促進モデルで強力な保健指導を行うというものです。一方、対照自治体においては、これまでどおりの保健指導をやっていただくということです。

9ページです。保健指導プログラムの標準化とモニタリングについてです。まず、標準化については、介入自治体については、一定の手順による保健指導プログラムが遂行できるようにこのプログラムの方法を標準化し、研究の質の担保を図っております。研修をきちんとやっており、リーダー職員に対する研修や実際に実施していただく方への研修を実施しております。また、この保健指導プログラムのモニタリングについては、年1回程度、把握しております。

10ページです。実際の研究データの収集について図示したものです。特定健診のデータ、国保の資格があるかどうかというデータ、実際に受療したかということでレセプトデータを手に入れて、これらを匿名化ソフトにより処理し、対象介入候補者を抽出して重症化ハイリスク者を特定する。こういう方のデータを各種集めて、データを送り、自治体データの受領や記録票等の入力、チェック、そして自治体への疑義照会などを経て、きちんとデータセンターに集めていくというイメージです。

11ページです。実際の研究の実施体制図です。左の下の四角ですが、基本的には大阪大学を中心に研究の推進室を作っていただき、推進室長が下村教授、リーダーが磯教授ということでやっていただいており、この下に研究リーダーを置いています。右にあるように、支援組織ということで、戦略研究外部委員会として、運営委員会、自治体選定委員会、倫理委員会をきちんと置いていただき、データセンターを置いてやっていただくということです。

 行政のほうは、厚生科学課における戦略研究企画・調査専門検討会を通じて大学に指導や助言を行い、同じ厚生労働省の健康局健康課が大学との実際の連携や具体的な調整を行うという2トップシステムで、この研究実施についていろいろ指導してまいりました。

12ページです。研究の経緯についてまとめたものです。簡単に述べると3つです。本戦略研究ですが、家庭訪問を中心とした保健指導介入の効果検証であるわけですが、家庭訪問を含む対面保健指導の実施率が8割を超える自治体もあれば、実施率が2割に満たない自治体もあり、自治体における保健指導の実施状況にばらつきがあったことが分かりました。

2つ目が、研究データ管理体制について、データ提出状況の把握及び提出されたデータの疑義照会が適切な時期に行われておらず、データ収集に遅れが生じていたという問題がありました。また、戦略研究の円滑な実施を支援するために外部有識者からなる運営委員会、これは先ほどの11ページの支援組織の中の一番上に記した運営委員会ですが、この運営委員会の設置が求められていたわけですが、当初の予定よりも設置が遅れました。この運営委員会の中で具体的な保健指導の実施状況について確認されて、上記のような自治体におけるばらつきやデータの収集に遅れが生じたことが明らかになりました。そのようなことを受けて、113日に開催された戦略研究企画・調査検討委員会で中間評価を行っております。それについての結果は14ページです。

 中間評価の概要です。評価の手順としては、研究班からのプレゼンテーションのほか、ヒアリングや質問事項に対する回答などを踏まえ、検討会の各委員会による事前の書面評価を基に意見交換が行われました。その結果、保健指導実施後のデータ収集・入力の遅れ等の問題があり、信頼性のあるデータ収集ができていなかったことや、保健指導の実施において地方自治体の実施率や実施形態に大きなばらつきも認められたことなどが課題として挙げられました。信頼性のあるデータが収集できていないということや、地方自治体の保健指導の実施率や実施形態について、今後、改善できる可能性が低いとされました。

 一方、この研究は研究に参加した地方自治体の協力の結果、これまでにない貴重なデータを有しており、研究班においては今後の大規模研究への示唆を得る意味でも、研究マネジメントの在り方や収集したデータを今後の研究に活用する方策、例えば、将来の新たな研究立案に理論的根拠を与える基礎データとして整理するなどの検討を期待するという意見もありました。

 こういうことを踏まえて最終的に評価していただいたものが下ですが、総合評価はABC3つありますが、本研究はCです。Cは「今後の見通しに問題があり、中止を含めた研究計画の見直しが必要である」ということで、研究班が今年度末までに保有するデータによる統計解析をもって終了することが妥当という結論に達しました。

 以上でございまして、私どもとしては、戦略研究を終了ということにしたいと考えております。保有データ等については、この中間評価の4番目に御意見もありましたので、事後の研究を実施していただき、解析や今後のいろいろな基礎データとして整理していただくということでやらせていただきたいと考えております。以上です。

○福井部会長

 ここまでの議題123は報告事項となっていますが、ただいまの御説明について、何か御意見や御質問等はございますか。

○野村委員

 中間評価の概要の所にある、「地方自治体の保健指導の実施率や実施形態に大きなばらつきも認められた」ということなのですが、これが実際に生じたのはなぜか、123年やっていく間に、実施率20%が改善できなかったのはなぜかということ。もう一つは、最終的に重症化するリスクの高い方たちの対照自治体と介入自治体というようにやっていらっしゃることについて、研究が途中で終わることについて、対象自治体の、もちろん重症化リスクが高い方も含めて、健康面の安全性とかフォローについて教えてください。

○椎葉厚生科学課長

 資料38ページを御覧ください。受療行動促進モデルによる保健指導という絵に、初回保健指導とあります。実は初回の保健指導は、特定健診実施後3か月以内に実施するということになっておりましたが、その3か月以内に実際に家庭訪問まできちんとやっていたかについては、8割ぐらいの実施率がある自治体もありましたが、実施率が2割に満たない自治体もあり、かなり自治体によって格差がありました。プロトコール上、初回3か月以内なのですが、3か月を超えた場合どのようにするのか等、それが疑義照会でなかなか決まっていなくて、どんどんずるずるとデータ入力が遅れたということです。こういうことに慣れていなかったということもありますが、きちんとできるものだと考えていたけれども、なかなか自治体によってはそういうことができなかったということが途中で発覚したというのが現状です。

○野村委員

 要は、重症化リスクの高い方たちが対象になっていたので、途中で終わっても、その辺のフォローはされるのかどうかです。

○正林健康課長

 フォローについては、まず、自治体に対しては文書で通知して説明会も開きました。その際に、各自治体は終了そのものは非常に残念がっていましたが、少なくとも今やっている方々を途中で放り出すということは多分されなくて、その後のフォローをしていただけると思っております。

○野村委員

 それは、20%に満たない自治体もということですか。

○正林健康課長

 全部は確認していないのですが、多くの自治体に一言ずつコメントを頂いたときに、「フォローはしていきます」というコメントをその場で頂いております。

○福井部会長

 ほかに何かございますか。

○桐野委員

 やり方としては、最初の頃の糖尿病のDOIT-2に似ていると思うのですが、手挙げ方式で、「これだけのことをやってくださいますか」ということで公募したはずなのですが、少し信じられないような思いがするのです。当然、それに相応するような研究経費を配分しているはずなのです。立ち上がりが遅れるということはあると思いますが、ただ、進捗管理をどのようにやられたのか少しよく分からないのです。こういう結果は、こういうタイプの研究にとっては非常に残念で、研究費を配分したのだけれども、手挙げをして「やる」と言った所が結局何もやらなかったので研究は中断になりましたということでは、ちょっと、どうかなと思います。そのおやりになれなかった所が、本当になぜだったのか詳しく知りたい気もいたします。

○椎葉厚生科学課長

 資料の7ページに、介入自治体と対照自治体の割付けがあります。ほとんどの自治体がみんな介入自治体になりたがっていて、選ぶ際に時間が掛かったということがあります。なかなかこの研究に参加していただく自治体が少なくて、まずサンプル数が足りるかどうかを一生懸命議論して、何とかしてサンプル数を集めることにかなり力点を置いて、その結果として、大学の中の体制で運営委員会を設置することも遅れて、実際、本当にきちんとフォローできる体制が必ずしも十分でなかったということがあります。

 また、今回の貴重な、多くの自治体が参加して介入研究を行うということは余り例がないので、これまでの平成25年からの3年間の歩みについては、きちんと評価して、何が悪かったのかをまとめたいと思っております。

○桐野委員

 実際に一部のクラスターは平成27年から調査を開始しているわけですね。

○椎葉厚生科学課長

 はい。

○桐野委員

 結局、1年もたたないうちに、これは良くないから打切りということを言われている可能性があります。確かにこういうタイプの研究は立ち上がりが非常に遅いということはあります。本当に6か月たっても全然駄目ということがあっても、真面目に一生懸命やっておられる所は、しばらく待てば徐々に立ち上がってくるので、何か大丈夫かなという気がしましたが、それは大丈夫ですか。

○椎葉厚生科学課長

 実際に遅れた自治体があります。最初から2年間やった自治体もありました。できればこれまで集めたデータについては、例えば医療機関の受療率などは評価できますので、きちんとそこの辺は評価させていただきたいと考えております。

○磯部委員

 こういう生活習慣病関連の介入研究はこれから非常に重要な分野ですので、是非こういう形でプロジェクトは必要だと思うのですが、今回、この判定そのものに特別に意見というよりは、最近AMEDから、生活習慣病関連の介入に関するプロジェクトが幾つか、昨年も心房細動とか、28年度には心不全の多職種介入とか、幾つかプロジェクトが出ております。

 私も関わっておりますが、財政が厳しいのは承知しているのですが、プロジェクトのサイズに対して予算規模が比較的、特に人件費面、謝金に対する手当が十分でなくて、なかなか委員会が立ち上がらないとかサンプルサイズを広げられないということもあり、実際にプロジェクトを立ち上げるに際して、当初の計画より縮小せざるを得なかったり、立ち上げが遅くなったりという側面があるように思います。この研究に関して、そういう面で予算規模が十分といいますか、可能な範囲の予算規模で始められたのかということが1点です。

 もう一つは、これは非常に重要な介入研究ですので、これが中止になったということで、今後も何か、改善してこういうことに関する別のプランを立てる御予定があるのかどうか教えていただけますか。

○椎葉厚生科学課長

 予算については、研究1年目の平成25年度が約7,000万円、平成26年度が約1億円、平成27年度が約12,000万円、トータルで約3億円ほどで、厚生労働省の研究にしてみればかなり大掛りな研究費でした。ただ、十分足りていたかというと、それは研究者からは足りないと言われることもありあり、そういった研究経費です。

 今後のこういった大規模プロジェクトのある意味先駆的な試みだったということでいろいろな経験をしており、自治体もこの研究の参加自体はすごくいいと感じていらっしゃいますので、来年度ではありますが、これまでの研究マネジメントの在り方や収集したデータを、今後の研究に活用する方策であるとか、新たな研究立案に理論的根拠を与える基礎データとして整理することなどを検討いたしたいと考えております。

○磯部委員

 来年度とおっしゃると平成28年度ですか。

○椎葉厚生科学課長

 そうです。

○福井部会長

 ほかに何かございますか。

○武見委員

 地域の一般住民を対象にして、実際に介入するのは自治体の保健師などの保健医療職だと思うのですが、そういう方々に動いていただいてという研究が本当に難しいということを今回改めて感じました。先ほども御質問にありましたが、なぜ実施率が80%や20%というように差が出てきたのかはすごく重要だと思うのですが、そのときに、特定保健指導を3か月以内にやらなければいけないという条件で今回やったということがあったと思います。

 ただ、実際、特定健診と特定保健指導の関係を言うと、実はそこの時間がものすごく長いという実状がよく指摘されていたと思います。つまり健診を受けてから半年とか、極端に言うと1年近くたって保健指導に行くケースがないわけではない。年数がたってきてその辺は少し改善されてきているのかもしれませんが、今回対象になった自治体は、そもそもそこが国保の中でどのように出来ていたのかということ。もう1つは、特定健診ではなくて特定保健指導の利用率、あるいは実施率、それがどのぐらいの所が参加で今回こういうことになったか。その辺も丁寧に分析していただいて、これからの研究にいかしていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

○椎葉厚生科学課長

 了解しました。

○福井部会長

 ほかには。

○井伊委員

 この研究は、研究計画でここで御説明いただいたときにも、幾つか問題や意見等、いろいろ指摘があったと思います。それが中間で評価して、終わるべきは終わるということは、それはそうなのかなと思います。

 私は当初から、この研究の強力な保健指導と一般的な保健指導の違いがよく分からなくて、本日の御説明でも、強力な保健指導と一般的な保健指導の違いは何かまだよく分かりません。介入するかしないかということは、そもそも強力な保健指導をするか一般的な保健指導をするかの違いだったと思いますが、それについては、中間評価ではどのように評価しているのでしょうか。それとも、全くそこには至らなかったので終わりますということなのか、教えていただきたいと思います。

○椎葉厚生科学課長

 中間評価の中では、保健指導の中身そのものについての議論はしておりません。ただ、データ入力が遅れたとか、プロトコール上3か月以内となっているのですが、それがなかなか守られなかったとか、実際本当に対面指導であったかどうかということがきちんと分析されていないという問題が挙げられましたので、こういうものについては改善の見込みが低いということでCという評価になったということです。

○福井部会長

 よろしいでしょうか。

○相澤部会長代理

 今回、戦略研究が中間評価の結果で中止ということなのですが、このように研究が途中で中止になるということは、まれな例ということでしょうか。

○椎葉厚生科学課長

 資料31ページです。これまでの前例ということで、真ん中のエイズ予防が中間評価により中止を決定し、感覚器疾患の課題2が中間評価により終了を決定しております。2例ほど前例があります。

○相澤部会長代理

 この戦略研究に限らず、中間評価の上で中止となることが最近は多いのかどうかということも含めてお伺いしたいのですが。

○椎葉厚生科学課長

 基本は継続ですが、問題があるものについては終了ということになると思います。

○川越委員

 今の御指摘と関係するのですが、戦略研究というのはそれなりの重い研究で、予算も付けられますし意義もあるわけです。今までに出来上がったものの数を数えたら17本ぐらい走っていて、そのうちの3つが空振りだったというか中間評価で中止になったというのは、これはやはり個々の研究の問題というよりも、戦略研究を立ち上げるときとか、やっていくときのその辺の問題があるのではないかなと感じております。

 確かこの研究もスタートするときに、先ほどおっしゃられましたように大丈夫かなというような、研究自体が余りすっきりしなかったところもあります。それから、今までの戦略研究の中でも、C評価は得なかったけれどもB評価を付けて「うーん」というものもありましたので、やはり戦略研究の立て方、つまり構造的な問題があるのではないかということも含めて、是非検討していただきたいと思っております。

○宮田委員

 私も今思い出したのですが、エイズがなぜ駄目になってしまったのかという調査に関与したことがあります。その後の反省で、確か予備的な研究をして、それでこれは可能であるというフィージビリティースタディをやって、それが可能であるという判断で本格的な研究を始めるということになったかと思います。そうすると、今、川越委員から御指摘があった点で、これはやはりフィージビリティースタディの評価が不十分だったのではないか、言わば見切り発車してしまうような。エイズのときも確か公募したのですが、1人か2人しか手を挙げなくて、どちらかにやらざるを得ないみたいな不思議な選考が行われていたと思います。

 そういう意味では、もうこれで大丈夫かなと思ったのですが、同じことが起こったので、フィージビリティースタディと、その後それを受けて本当に始めるかどうかも含めた判断をどのように適切にするかということを、少しふんどしを締め直して考えていただきたいと思っています。

 戦略研究そのものはすごく意味があるので、こういったデータがほしいと国が考えたときに、それに対して最も適切なチームをどのように編成し、フィージビリティースタディを行って、最終、Goをして、成功率を上げるかという、こういうPDCAみたいなものをしっかりやられたほうがいいと思います。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○塩見委員

 全国の自治体数が1,742で、結局、意思表明されたのが43ということで、たかが2.5%ぐらいなのです。これだけで先ほど何億円かあるとおっしゃったのが足りないと研究者がおっしゃっているということなのですが、もともと、どれぐらいの自治体が入ってくれると考えていたのか、予算はそれを十分満たす予算であったのかということを教えていただきたいです。

○椎葉厚生科学課長

 今、手元に当時の資料がなくて、また別途御説明させていただきます。

○福井部会長

 恐らくサンプルサイズの計算をしているはずですので、最低限どれくらいの対象自治体と対象者がいないといけないかというのは研究プロトコールには書いてあるはずですので、分かりましたら、事務局から教えていただくということでよろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。

○野村委員

 先ほど井伊先生の御質問の回答を得られなかったので、もう1回お聞きします。「強力な」という中身はどういうものだったのかを知りたい。あとは意見なのですが、今回、事前のときのいろいろな議論もありましたが、保健師さんは子供とか高齢者とか非常に仕事が多岐にわたって負担が増えている中、対面で行ける・行けないという家庭訪問の大事さというのが実際にかなりばらつきがあるということは、もう何年も前に取材したりして実感として感じているのですが、こういう研究が実施されることによって、データのこともともかくとして、私としては、適切な保健指導による効果みたいなものの適切な指導プログラムが自治体に広がっていったり、各自治体の人たちがすごくそれを意欲的に捉えていくような結果につながって、多忙な保健師さんたちがうまく家庭訪問ができるような体制につながっていけばということが研究の中での期待していたことだったので、データのことなどはもちろん検討されていくと思うのですが、その辺りのことも視点に入れた形で今後にいかしていただけたらと思います。よろしくお願いします。

○福井部会長

 ありがとうございます。大分、時間が過ぎましたので、よろしければ本日はここまでということで。これは報告事項ということになっておりますので、よろしくお願いします。

 議題4以降は審議事項になっておりますので、よろしくお願い致します。「医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会(仮称)の設置について」、御審議いただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

○吉田研究企画官

 資料4を御覧ください。これは医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会を、この部会に設置してほしいというものです。これにつきましては、趣旨に書いてありますが、平成279月に個人情報の保護に関する法律、いわゆる「個人情報保護法」の改正が行われ、個人情報の保護の有用性の確保に関する制度の改正が行われております。ただ、その改正個人情報保護法につきましては、引き続き、学術研究に関して、いわゆる民間事業者等の遵守すべき義務等の規程が適用除外となっているところから、医学研究における遺伝情報を含む個人情報の取扱いに関して、適切な取扱いを確保すべき分野としてその在り方を検討する必要があります。

 具体的には、現在いわゆる研究指針の中で、個人情報保護法に関する規定を設けて必要な規制を行っているところですが、それを見直す検討のために、本部会に委員会を設置して検討を行うというものです。

 これについては、参考資料3-1を御覧ください。A42アップの資料の上段の左側、経緯の4つ目の○に3つの指針があります。人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針、遺伝子治療等臨床研究に関する指針、以上この3つの各指針の中で、共通する個人情報保護に関する規定事項がありますので、それについて見直しを行うというものです。

 主な検討事項としては、右側に書かれているとおりです。1つは個人識別符号に関するもので、個人識別符号は当該情報のみでも個人情報として扱うという新たな規定になっていること、また、要配慮個人情報に関しては、病歴等の要配慮個人情報の取得、第三者提供は、原則本人同意が必要となったこと、また、匿名加工情報に関する詳細な規定が設けられているということがあります。これらを踏まえて検討を行うわけですが、この3つの指針に関しては、それぞれ専門委員会を設置しますが、検討する内容が共通しているため、合同の委員会で検討を進めたいと思っております。

 下に指針改正スケジュール()があります。これは想定される最も早いスケジュールを書いていますが、赤く囲んだところに(1)(2)(3)3つの指針があります。この(1)(2)に関しては、科学技術部会のほうに委員会を設置する。(3)については、別の再生医療等評価部会というものがありますので、こちらのほうに委員会を設置して、(1)(2)(3)の委員会を合同で開催いたします。今日、御承認いただいた後に検討を開始し、ほぼ4回程度検討して、その後、部会のほうに報告し、夏から秋にかけてパブリック・コメント、大臣告示を経て、一定の周知期間を置いてから、その個人情報保護法が施行されるのと併せて、同じ時期に施行するというスケジュールで検討を進めていきたいと考えております。

 資料4に戻ります。構成ですが、委員会の構成については、医学研究者、医療関係者、あとは法学・倫理専門家等から構成することにしております。各委員については、部会の運営細則に基づき、科学技術部会長が指名することにさせていただきます。以上です。

○福井部会長

 ただいまの御説明について、御意見、御質問等お願いいたします。

○相澤部会長代理

 個人情報の保護の重要性を否定するものではありませんが、個人情報の保護というものが医学研究における進展の妨げとならないように、十分に配慮をしていただきたいと思います。

○福井部会長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○宮田委員

 もう一つの切り口で、やはり研究という切り口があると思いますので、医療、それから医学研究、それぞれのレイヤーに応じて、妥当な個人情報の取扱いというものが検討されなければいけないと思います。それから、個人情報保護法そのものの問題だと私は思うのですが、かなりの部分、この指針に対して期待をしているというか、法律の構造上、実際に皆さんの医療行為や医学研究行為に支障が出る可能性があるのは、この指針をきちんと書くということですので、これに関しては慎重な審議を是非お願いしたいと思っています。

○福井部会長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。それではただいまの御意見を踏まえて、検討をお願いするということで、この専門委員会の設置については、了承したということにさせていただきます。ありがとうございます。

 それでは、議事5「平成28年度厚生労働科学研究費補助金公募研究事業(2)について」、御審議いただきたいと思います。事務局より説明をお願いします。

○吉田研究企画官

 それではまず、参考資料4を御覧ください。A4横の1枚紙の資料です。既に厚労科研費補助金の公募については、1次公募が行われており、ここにその状況を簡単にまとめております。昨年の1222日から今年の128日まで1次公募を行いました。今回は、この右側に書いてある2次公募を311日から420日まで行う予定です。その公募課題を御紹介するものです。裏面を見ていただくと、2次公募課題の概要が記載されております。

 これと併せて資料5を一緒に御覧ください。2829ページ、「女性の健康の包括的支援政策研究事業」ということで、女性の健康における社会的決定要因に関する研究というものです。これは女性において健康状態に影響の大きい社会的決定要因を明らかにして、更に、教育、就業、結婚、子育てなど、女性を取り巻く社会環境が近年大きく変化する中で、ライフコースを通じた社会的条件・役割の蓄積や変化が、ライフステージごとにどのように健康影響として現れるのかということを明らかにするという研究です。また、将来的に問題となる女性の健康状態や疾病構造を予測した上で、女性の健康増進のために必要な対策も明らかにしていきたいというものです。

 続いて3031ページを御覧ください。次は「障害者政策総合研究事業」です。まず、31ページですが、発達障害者への支援を緊急時に関係機関が連携して適切な対応を行うためのモデル開発に関する研究です。いわゆる犯罪の被害や加害、あるいは災害などの緊急時に、発達障害者支援の専門家が事態をこじれさせる前の早い段階で、警察や避難所責任者などのサポートを行う仕組みが必要であり、そのための実践モデルの開発を行うというものです。その成果は、発達障害地域支援マネジャー研修のほうにも反映させていきたいということです。

 次の32ページです。もう1つは、意思疎通が困難な者に対する情報保障の効果的な支援手法に関する研究です。具体的には、視覚、聴覚、言語機能、音声機能、失語、知的、発達、高次脳機能、重度の身体などの障害や難病といった障害種別ごとに、人的及び支援機器、ICT技術などによる障害特性に応じた支援手法について、その効果的な活用方法についてガイドラインを作成するというものです。

 続いて33ページ、「新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業」です。34ページを御覧ください。1つ目が、成人の侵襲性細菌感染症サーベイランスの構築に関する研究で、我が国の予防接種施策の効果を評価するとともに、発生動向の把握や病原体の感染拡大機序等を検討するというもので、具体的には侵襲性肺炎球菌、侵襲性インフルエンザ菌、侵襲性髄膜炎菌、劇症型溶血性レンサ球菌等について、サーベイランス体制を構築して、詳細な評価等を行うというものです。

 次の36ページです。こちらは国内の病原体サーベイランスに資する機能的なラボネットワークの強化に関する研究です。全国規模で機能的に統一された病原体診断とサーベイランス実施が可能な国と地方衛生研究所との病原体検査ネットワークを構築する。具体的には、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌等の病原体について、サーベイランス検査の精度管理や診断検査法の構築、改良、マニュアル作成等を行って、正確な病原体診断の実施に資するための研究です。

 次の37ページです。こちらはエンテロウイルス等感染症に係る急性弛緩性麻痺等の神経疾患の原因究明に資する疫学研究ということで、現在、小児の急性弛緩性麻痺が複数報告されておりますが、エンテロウイルスD68との関連を含め、原因究明、具体的には適切な検体を収集、また検査方法を確立、症例を定義するなどして、診療の質の向上と、急性弛緩性麻痺、急性脳炎・脳症についての原因を明らかにするという研究です。

 続いて3839ページ、「地域医療基盤開発推進研究事業」です。39ページですが、歯科医師の養成及び評価に関する総合的研究ということです。平成30年度に開始予定の歯科医師臨床研修制度の見直しに向けて、その基礎資料となるデータ、具体的には、臨床研修施設や指導歯科医、研修プログラムの評価・検討及び研修実施体制、到達目標等について検討を行う。また、指導歯科医講習会などのカリキュラムの見直しや、受講体制等についての検討を行うというものです。

 続いて40ページです。看護師の特定行為に係る研修制度の普及等に関する研究ということで、指定研修機関や指導者講習会を行おうとする病院団体等が用いる看護師の特定行為に係る実習等の指導者講習会の標準的プログラムを開発するものです。また、特定行為の実施に係る手順書が、医療安全の観点を踏まえつつ医療現場において円滑に普及されるよう、手順書の作成と検証方法に関するヒント集も併せて作成したいというものです。

 続いて42ページです。臨床効果データベースを効率的に構築・運用する方法等に関する研究です。これについては、臨床効果データベースの対象領域の拡大や構築の構率化に資するためのデータベース間のデータ共有に必要な様式の標準化や、入力の負荷を軽減するための電子カルテ等を活用した運用方法等の標準化など、そういった方法論の整理を行うという研究です。

 次の4445ページです。「労働安全衛生総合研究事業」です。45ページですが、経済情勢等が労働災害発生動向に及ぼす影響等に関する研究ということで、国内総生産や鉱工業指数等の経済指標が各産業における労働災害発生動向に影響を及ぼすメカニズムを解析して、効果的な労働災害防止対策につなげるという事業です。

 続いて46ページです。「医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業」です。まず47ページです。医薬品等の広告監視の適正化を図るための研究ということで、医薬品等の広告監視については、適正広告基準というものがあり、その基準の運用の適正化を図るために、まず、国及び都道府県における広告監視の実態や具体的な違反事例を調査し、医薬品ごとの特性や販売促進の手法等の広告実態に応じた、広告監視に関する運用指針というものを作成するという研究事業です。

 最後、48ページです。規制薬物の分析と鑑別等に関する研究で、これは乱用される規制薬物の有効な取締りのために、規制薬物の効果的な鑑別等を行うための手法を確立するものです。具体的には、新たに規制された乱用薬物の分析法の迅速な開発であるとか、乱用される植物についての成分分析、遺伝子解析による鑑別法の開発を行うものです。公募研究課題は以上です。

○福井部会長

 ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、ただいまの案について、この部会として了承したとさせていただきます。ありがとうございます。

 それでは、最後の議事に移ります。「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく研究機関に対する平成27年度履行状況調査の結果について、事務局より御説明をお願いいたします。

○吉田研究企画官

 参考資料5を御覧ください。まず、今回の履行状況調査を行った経緯について簡単に御説明します。平成25年に、論文におけるデータのねつ造等という研究における不正行為の事案と、公的に助成されている研究費の不正使用の事案が発生し、社会的に大きな問題となったことがあります。このときに、文部科学大臣決定として、新たなガイドラインというものを策定しております。ポイントとしては、従来、研究活動における不正行為への対応が研究者個人の責任に委ねられていた側面が強かったことを踏まえ、今後は、いわゆる大学等の研究機関が責任を持って不正行為の防止に関わることによって対応を強化するというものです。

 厚生労働省におきましても、平成263月に厚生科学課長決定として「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」を発出しております。これは国による研究費の管理・監査体制に関するモニタリングの強化ということで、(1)厚労科研費への申請時に研究機関は「体制整備等自己評価チェックリスト」を提出する、(2)厚生労働省はチェックリストの確認だけではなく、履行状況調査の実施方針を定め、一定数を抽出し、研究機関の体制整備に関して書面調査と現地調査を行う、(3)履行状況調査の結果、体制整備や運用に不備があると判断された機関に対しては、所要の改善を促すため、管理条件の付与等の措置を講じるというものです。

 これを踏まえ、資料6を御覧ください。履行状況調査の結果について御報告いたします。これについては、1の調査の目的等の2つ目の○にありますが、昨年10月に開催された本部会において、履行状況調査の実施方針を定めております。今回、それに基づいて行った結果について報告を行うということです。2の調査対象・内容等ですが、「実施方針に基づく」ということに基づく平成26年度の配分実績で、配分金額の上位5機関と、厚生労働省が所管する施設等機関及び国立研究開発法人の4機関に対して調査を行いました。選定された9機関は、別紙1に記載されております。

 調査内容は2ページの四角いボックスに入った部分に記載があります。大まかに6つあります。まず1つは、最高管理責任者の役割や責任の所在・範囲と権限を定めた内部規程を整備しているか。2番目として、競争的資金等の運要・管理に関わる全ての構成員を対象に、コンプライアンス教育を実施しているか。3番目として、不正防止計画を策定しているか。4番目は、発注・検収業務について、原則として事務部門が実施しているか。5番目として、競争的資金等の不正への取組に関する機関の方針等を外部に公表しているか。6番目として、内部監査部門がきちんと機能しているかということです。

 調査体制・方法ですが、各機関が提出する報告書に基づいて書面調査を実施いたしました。書面調査の結果、ガイドラインが求める体制整備・運用に未履行の事項がある4機関については、面接調査を実施し、必要な助言等、改善の指示を行っているところです。

3ページ、調査結果です。書面調査の結果、調査対象となった9機関のうち、5機関、これは※1に記載されておりますが、この5機関においては、ガイドラインを踏まえた公的研究費の管理・監査体制が整備され、所要の対策は着実に履行されていたことが確認できました。

 一方で、※2に書いてある4機関ですが、ガイドライン要請事項のうち、不正な取引に関与した業者への処分方針の策定及び周知、不正に係る調査の体制・手続等の規程の整備、業者に対する誓約書の聴取等において、未履行事項が見られたところです。この結果を踏まえ、未履行事項を有する4機関に対しては、面接調査を実施し、改善計画の策定を指示したところです。

 また、本調査によって、不正防止のための実効性のある取組事例も併せて収集しております。これは左側の調査事項と合わせてある番号ですが、例えば、コンプライアンス教育の実効性のある実施であるとか、業者との癒着を防ぐオープンなスペースでの打合せを行う取組、調達データの分析に基づく特定の業者との関係に注力した監査の実施、納品後の物品の現物確認の実施、業者の帳簿との突合の実施など、研究機関の規模や特性に応じて実効性のある取組が見られたことも事実です。各機関の調査結果については、別紙2に詳細に記しております。

 今後の取組ですが、未履行事項を有する4機関については、原則平成27年度内の体制整備を求めております。また、厚生労働省においては当該履行計画の進行状況を継続的にフォローして、平成28年度もこの4機関に対してはフォローアップ調査を行います。また、平成28年度の履行状況調査においては、そのフォローアップ調査に加えて、残りの、厚生労働省が所管する施設等機関等に関する調査も併せて実施し、公的研究費の管理・監査体制の一層の整備に向けた取組状況について継続的な確認を行っていきたいと考えております。説明は以上です。

○福井部会長

 ただいまの御説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

○西島委員

 適正に行われた所は大学関係で、4機関が国立研究機関等です。偏っているわけですが、これについて何か原因となるようなところがあるのでしょうか。

○吉田研究企画官

 ちょっとその原因分析に関しては、明確なお答えはできないのですが、今回、こういった形で未履行事項が明らかになっているということで、各機関のほうに改善計画の策定を、原則として今年度内に出すように指示をしており、その確認をしているところです。ですので、少なくとも平成28年度以降は、差はなくなるだろうと。また、逆にそうなるように指導を徹底していきたいと考えております。

○西島委員

 これを行うには、人員が必要だと思うのですが、その辺の整備に向けて、何か難しいところがあったのでしょうか。

○吉田研究企画官

 直接的な因果関係まではちょっと分からないですが、いろいろな事務的な研究費の管理・監査を行うには、一定の組織というものがないと機能しないのは明らかではあると思います。ただ、既存の予算の範囲内でできることはきちんとやっていただかないと、やはり公的研究費は使えないので、そこはきちんと厚生科学課のほうでもある程度めりはりを付けながら、モニターしていければと考えているところです。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。恐らく西島先生は、文部科学省管轄と厚生労働省管轄で2つに分かれているから、そこに何か構造的な問題があるのではないかということをおっしゃりたかったのだろうと思いますが、何か御意見はありますか。

○吉田研究企画官

 基本的に、公的研究費という枠組みでは同じ指針、同じ考え方に沿って行うことになっておりますので、結果的に厚生労働省の所管する機関のほうには、こういう不備があったわけですが、できるだけそういうことがないように研究したいというのが回答でございます。

○塩見委員

 研究における不正行為の事案と、研究費の不正使用の事案という、2つが事案として挙がっているのですが、研究費のほうの不正使用に関しては、何か監視が届いたような調査だと思うのです。ただ、研究の不正行為に関しては、どれが相当するのかもよく分からないぐらいなのですが、結局、どれがどういう効果があると思われるのでしょうか。

○吉田研究企画官

 最終的には、今回もそうですが、やはりヒアリングをやって、個別ケースごとに十分に話を聞いて判断するというのが原則なのだろうと思います。研究不正と呼ばれる定義というのは一応設けているのですが、実際に個別案件ごとにヒアリングをして判断するということがやり方になるかと思います。

○塩見委員

 その当時、定義というのは、どこかにあったのですか。

○吉田研究企画官

 厚生労働省と文科省が出しているガイドラインの中に、いわゆる研究不正に関する定義付けは一応しております。データのねつ造など3つぐらいのカテゴリーを設けているのですが、ただ、実際にそれがどれに当たるかどうかというのは、やはり個別の案件ごとにヒアリングをした上で見極めないと分からない点も多いかなと思っております。

○福井部会長

 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。ないようでしたら、ただいまの御報告については、科学技術部会として了承したものとさせていただきます。ありがとうございます。

 これで全ての議事が終了いたしましたが、そのほか、事務局から何かありますでしょうか。

○吉田研究企画官

 次回の日程について御連絡いたします。次回の日程については、511日水曜日を予定しております。正式に決まり次第、委員の先生方には改めて日程、開催場所について御連絡いたします。以上です。

○福井部会長

 それでは、本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。


(了)

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