ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会)> 第62回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録(2016年2月23日)
2016年2月23日 第62回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録
労働基準局勤労者生活課
○日時
平成28年2月23日(火)10:00~12:00
○場所
中央合同庁舎第5号館専用第23会議室(6階)
○出席者
公益代表委員
勝部会長、内藤部会長代理、小野委員、鹿住委員 |
労働者代表委員
川野委員、曽原委員、花井委員、松岡委員、宮嵜委員 |
使用者代表委員
白土委員、須永委員、新田委員、長谷川委員、円山委員 |
(事務局)
土屋大臣官房審議官(労災、賃金担当)、富田勤労者生活課長、田中勤労者福祉事業室長、山口勤労者生活課長補佐、竹田勤労者生活課長補佐 |
○議題
(1) 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う中小企業退職金共済法施行令・中小企業退職金共済法施行規則等の改正について
(2) 一般の中小企業退職金共済制度における今後の付加退職金の取扱いについて
○議事
○勝部会長 ただいまから、第 62 回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めたいと思います。本日は関委員が御欠席ですが、労働政策審議会令第 9 条の規定 ( 全委員の 2/3 以上 ( 最低 10 名 ) 又は公労使委員の各 1/3 以上 ( 最低各 2 名 )) という規定により、定足数を満たしております。
本日の議題は、お手元の資料にありますように、最初に独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う中小企業退職金共済法施行令・中小企業退職金共済法施行規則等の改正について、 2 番目として、一般の中小企業退職金共済制度における今後の付加退職金の取扱いについてです。
本日の議題に入る前に、委員と事務局に異動がありましたので、事務局から説明をお願いします。
○富田勤労者生活課長 私、昨年 10 月にこちらに着任いたしました勤労者生活課長の富田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、委員の異動です。大塚敏夫委員の後任として、労働者福祉中央協議会事務局長の花井圭子委員が就任されております。続きまして、新しい事務局の紹介です。中退制度を担当する大臣官房審議官 ( 労災、賃金担当 ) の土屋です。ここで事務局を代表して、審議官の土屋より御挨拶を申し上げます。
○土屋大臣官房審議官 改めまして、昨年 10 月より中退制度を担当させていただくことになりました審議官の土屋と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。また、本日は大変お忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。皆様に御案内のとおり中退共制度は独力では退職金制度を設けることができない中小あるいは零細企業のために相互扶助の仕組みとして昭和 34 年に国が法律で設けた制度です。以来、皆様方に御議論いただく中で、その時々の社会経済情勢を踏まえた制度改正等も行いながら中小企業の従業員の皆さんの福祉の増進、さらにそれらを通じた中小企業の振興に寄与してまいりました。
本日は、先ほど部会長から御紹介いただきましたように、 2 つの議題をお願いしております。 1 つは、一昨年より御議論いただいてまいりました改正中退法の施行のための政省令等の内容について御審議いただくとともに、もう 1 つは、一般の中退制度における今後の付加退職金の取扱いについて御議論いただきたいと思っております。いずれにしても、中小企業で働く皆様方が安心して働くことができるように、引き続き、この制度が安定的に運営され、従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与していくということを目指して、私どもも頑張ってまいりたいと思いますので、本日も皆様方の忌憚のない御意見を頂戴することができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○勝部会長 大変ありがとうございました。それでは、次第に沿って議事を進めてまいりたいと思います。議題 1 ですが、今も説明にありましたように、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う中小企業退職金共済法施行令・中小企業退職金共済法施行規則等の改正についてです。事務局から説明をお願いします。
○富田勤労者生活課長 資料 1 です。政省令等の改正についてです。 2 ページに改正中小企業退職金共済法の概要を記載しております。まず、 1. 資産運用に係るリスク管理体制の強化については、以前、御議論いただきましたが、資産運用委員会の設置となり、昨年 10 月に既に設置されております。 10 月に設置されてから今回が初めての部会になりますので、新設された資産運用委員会について簡単に状況を説明いたします。
参考資料の 15 ページです。委員会名簿を掲載しております。委員長は村上正人みずほ年金研究所理事長、委員長代理として臼杵政治名古屋市立大学経済学研究科教授となっております。参考資料の 16 ページは各委員の略歴、 17 ページは現在までの委員会の開催状況を掲載しております。参考までに 3 回開催しており、機構から資産運用実績を報告するとともに、基本ポートフォリオの検証や一般中退と林退共との合同運用などについて御審議いただいております。
資料 1 の 2 ページに戻ります。 2. 制度のポータビリティの向上等を通じた事務・事業の見直しについてという部分が、本日御議論いただきます法律改正事項の政省令改正等の中身です。順次簡単に説明いたします。詳しくは次のページ以降に書いておりますが、 (1) は税務署の認可を受けて行う特定退職金共済事業を廃止する団体から中退共への資産移換を認めること、 (2) は共済契約者が中小企業者ではなくなった場合において、企業型 DC への資産移換を認めること、 (3) は中退の 4 つの共済制度内で資産移換を行った場合に全額の資産移換を認めること、 (4) は退職後 3 年以内であれば、中退の 4 つの共済制度内の資産移換を利用できるようにすること、 (5) は建退共の退職金支給方法を見直すこと、 (6) は機構が住基ネットなどを活用し、未請求退職金の発生防止対策を強化することとなっております。
次のページから詳細を説明いたします。 3 ページです。ここでは特定退職金共済事業団体から資産移換を行った場合における中退共の退職金額への反映方法を書いております。特定退職金共済団体から資産移換を受けた場合ですが、移動後の制度である中退共において財政負担が生じないように通算を行うとしております。具体的には各被共済者ごとに将来の退職金の給付に必要と見込まれる金額を責任準備金相当額と呼んでおりますが、この金額に基づいて最も掛金納付月数へ通算できる月数が多くなるように計算して通算を行います。
また、掛金納付月数への通算を行った場合ですが、通算した月数分遡った月において退職金共済契約の効力が生じたものとみなして退職金額を計算するとともに、掛金納付月数に通算しきれない残余の額が生じた場合には、その残余額に対して現在 ( 年 1 % ) の利回りに、付加退職金が支給される年度においては、その付加退職金に相当する利率を加算した利回りを付与することといたします。
4 ページです。資産移換を行う場合の細かな事務手続の流れを説明いたします。こちらは省令事項です。まず、機構と特定退職金共済団体との間で資産移換契約を締結する必要があるのですが、ここでは 4 つのうちの右上の箱です。廃止団体が機構に資産を一括で引き渡すこと、特退共団体が廃止されることを証する書類を機構に提出することが必要。左上の箱に移っていただいて、実際に資産移換が行われる際には機構が口座を指定した日から 60 日以内に移換を行うことを求めることとしております。
次に、機構と事業主との関係です。右下のほうに移動します。機構へ資産移換の申出を行う際は、機構と特定退職金共済団体が締結した資産移換契約の効力が生じた日から起算して 1 年以内に従業員の同意書等を添付して行うことを求めることといたします。左下です。また、資産移換を行った事業主に対しては、資産移換それ自体が特例措置となるため新規加入のための掛金助成は適用しない。ほか今回の資産移換の際の特例として掛金月数を 5,000 円未満の額とすることを認めているのですが、このような事業主については 5,000 円未満の範囲内の掛金増額に対しては、助成を適用しないとしております。
次の 5 ページです。共済契約者が中小企業者でなくなった場合の DC への資産移換について説明を書いております。共済契約者が中小企業者でない事業主となった場合の資産移換先としては、現在確定給付企業年金や特退共が認められておりますが、新たに企業型 DC への資産移換ができるということを政令に明記することとしております。
また、 DC へ移換する際の要件を 2 つ省令で定めることとしております。1、被共済者の全てが DC 加入者となること。これは中退共の退職金共済契約が解除された時点の被共済者については、原則全員が DC に加入し資産移換を行うことを要件としているものです。2、各被共済者の個人別管理資産に全額一括で払い込まれるということです。 DC は個々人で勘定が分かれていますので、中退共が移換した資産が確実にその人の個人別管理資産に持ち込まれることを要件としております。
6 ページです。共済契約者が非中小企業者となった場合の資産移換の拡充について書いております。右下の表を御覧ください。これまでは中退共の退職金共済契約が解除された後に実施した制度、これでは新設と書いてありますが、そういう制度にしか資産移換を行うことができませんでした。しかし今回の法改正により、中退共の退職金共済契約が解除される前から引き続き実施していた制度であっても資産移換を行うことができるようになったことに伴い、省令において関連する規定の整備を行おうとするものです。
具体的には左下の図です。特に DB においては既に実施している制度の場合、積立不足、要するに赤字を抱えていることも想定されるのですが、このような DB に資産移換を行う場合は中退共から移換した資産が確実に給付に反映されるよう積立不足に充当することは認めないということにしております。
7 ページです。中退の 4 制度間の通算における全額移換の実施について説明いたします。今回の法改正により、これまで移換金額の上限が設定されていたものを見直して、退職金額の全額を移換できるようになりました。その改正に合わせて移動後の制度の財政に与える影響をより考慮し、先ほどの特定退職金共済団体からの資産移換の場合と同様に、移動後の制度における責任準備金相当額に基づき資産移換を行うことといたします。併せて退職金の全額の移換に伴い、掛金納付月数に通算しきれない残余の額が発生することになり、これについては、移動後の制度における予定運用利回りの利率を付与することといたします。
8 ページです。中退共と特退共の間の資産移換の申出期間の延長についてです。今回の法改正により、中退の 4 制度間での通算を行う場合には、これまで退職後 2 年以内に申出を行う必要があったのが 3 年へ延長されたということを踏まえて、特退共に加入していた従業員が中退共に加入することになった場合における申出期間も同様に 3 年に延長するということにしているものです。
9 ページです。建退共の退職金額の見直しについて説明いたします。平成 26 年の特定業種退職金共済制度に対する財政検証の取りまとめを受けた改正です。大きく分けて 2 つの項目があります。 1 つ目は、退職金の不支給期間の短縮です。今回の法改正により、通常は特定業種の不支給期間は 24 月となっているところ、厚生労働大臣が指定する業種については、これを 12 月に短縮することができるようになりました。その短縮業種として建設業を指定することといたします。併せて建退共制度において掛金納付月数 12 ~ 23 月で退職金を請求した場合には、一般中退と同様に、納付した掛金の 3 ~ 5 割程度の額を退職金として支給することといたします。
2 つ目は、予定運用利回りの引上げについてです。これは、平成 26 年度の財政検証において予定運用利回りを 2.7 %から 3.0 %へ引き上げることとされておりましたので、そのとおり措置することといたします。併せて事業主や機構の負担を考慮して、 3.0 %への引上げは平成 15 年度まで遡って行うことといたしますので、平成 28 年 4 月以降に退職される方は、基本的に平成 15 年からずっと利回りが 3.0 %だったものとして退職金が算定されることになります。
10 ページです。未請求退職金の発生防止対策の強化についてです。今回の法改正により、機構が業務において住基ネットとマイナンバーを活用できるようになりますので、これを未請求退職金発生防止に用いることといたします。具体的には、事業主が機構に対して提出する退職届にマイナンバーの記載を求めます。そして、退職後 3 か月、 2 年、 5 年と経過しても退職金の請求を行わない方に対しては、機構から個別に請求勧奨を行うことになるのですが、その際、住所不明で返送されるものが一定数ありますので、そのような方に対しては、マイナンバーをキーにして住基ネットの検索を行い最新の住所情報を手に入れ、それを基に機構が再度請求勧奨を行うことを想定しております。
11 ページです。合同運用の実施についてです。こちらも平成 26 年度の特定業種退職金共済制度における財政検証の結果を受けて措置する事項です。まず、合同運用をどの勘定間でやるかは、機構が資産運用委員会の議を経た上で作成する資産運用の基本方針に明記することを求めることとしています。なお、平成 28 年度からは、一般中退と林退共との間で合同運用を行うことを規定することとしております。併せて合同運用で利益又は損失が発生したときには、各共済制度の勘定の持分額を時価で評価した上で、適切に配分されることを求めることとしております。資料 1 については以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○勝部会長 この部会でもいろいろこれまで議論を重ねていたものをまとめたものですが、かなり様々なものが含まれております。ただいまの説明について、御意見、御質問等はございますか。
○花井委員 9 ページの建設業退職金共済制度の運用利回りの引上げについてです。 2.7 %から 3.0 %へ引き上げるということが提案されています。これが平成 26 年度の財政検証の結果に基づいてそういうことが指摘されたので、そのとおりに措置するという御説明だったかと思います。平成 26 年度のときと現時点で経済金融市場の状況が異なっているのではないかと思っており、国債の長期金利も大幅に下がって株価も非常に不安な状況にあるという中で、 3.0 に引き上げるという根拠見通しをどのように判断されたのかということが 1 点です。
3.0 %へ引き上げた場合、当然ポートフォリオのほうも変わってくるのではないかと思うのですが、委員会で策定されることになろうかと思いますが、それがどうなるのかということが 2 つ目です。
3 点目は、仮に 3.0 %の運用利回りが確保できなかった場合の補填の在り方といいますか、そこは通常考えると退職金の額を引き下げるか事業主の拠出額を上げるか、あるいは国の補助金を上げるかという選択しかないかと思うのですが、その辺りはどのように考えておられるのか教えていただきたいと思います。以上です。
○勝部会長 それでは、今、御質問いただきました 3 点について、事務局からお願いいたします。
○富田勤労者生活課長 花井委員から 3 点御質問いただきましたので、順次回答いたします。まず、 1 点目の前回の財政検証の際の状況についてどのような判断だったのかという点です。前提として申し上げなければならないのは、 3.0 %というのが一般中退の 1.0 %に比べて非常に高いということが目立ちますが、一般中退と建退共は少し制度が違います。一般中退ですが、単年度の利益を被共済者に還元する付加退職金という制度があり、本日この後、御議論いただきます。ですから、単年度に利益が発生したときには付加退職金で配るという仕組みがあることに対して、建退共にはそういうものがありません。
そういうことも前提にあるということですが、財政検証の当時の剰余金の額は、平成 21 年の財政検証のときは 351 億円の剰余金がありましたが、財政検証時には 868 億円まで積み上がっていたということで、そのときそのときの状況を見ているとさらにこの額が積み上がっていくという状況です。ですから、これは付加退職金という制度がないという前提では予定運用利回りを引き上げることによって、被共済者に剰余金を還元することは適当であると、平成 26 年 12 月の中退部会で御判断いただきました。
また、花井委員が今おっしゃいましたとおり、当時と今では金融情勢が異なってきているということです。ただ、一方で現下の金融情勢が 1 月以降発生した状況です。十分、剰余金の額も積み上がっている状況もありますので、もうしばらく金融の金利の動向などを注視するということにして、さらに大幅な環境の変化が生じるということがあれば改めて当部会でも御議論いただきたいと考えております。
2 点目のポートフォリオが、 2.7 から 3.0 になったときに変わったのかということです。資産運用委員会で御議論いただき、既に改訂しております。
3 点目ですが、これは重複するかもしれませんが今後 3.0 %を確保できないことが起こったときにはどうするのかということです。先ほども申し上げたとおり、現在、剰余金がかなり積み上がっておりますので、直ちに予定運用利回りの見直しという議論になるわけではないとは考えておりますが、金利の情勢は不透明ですので、その状況を見て必要があれば、また当部会でも御議論いただきたいと考えております。以上です。
○勝部会長 花井委員、よろしいでしょうか。
○花井委員 もう一つだけ、引き上げる理由は理解できました。付加退職金がないからということなので、それはそれでいい方向性だと思います。仮にリーマン並みの金融危機が起こった場合の損失は試算されているのですか。
○富田勤労者生活課長 リーマン並みのものが起こっても大丈夫な額が責任準備金の 4.8 %ぐらいあれば大丈夫だろうということがありましたので、現在それを上回っている状況ですので、当面は大丈夫だろうと考えております。
○勝部会長 ほかに何か御質問はございますか。
○小野委員 確認だけなのですが、 2 点お伺いいたします。まず、制度間通算の話です。移換先で通算できる納付期間という月数が元の制度の加入期間 X 月が上限だということになっております。
○勝部会長 何ページですか。
○小野委員 3 ページです。その場合に退職所得控除の期間は X 月なのか、若しくは上限と書いてありますので、これよりも短い期間がみなしの通算期間になるかもしれないということだと思いますが、退職所得控除上どちらの期間を適用するかという点が 1 点です。もう一つは、 4 ページです。こういう資産移換を行うということなのですが、特退共の実施団体の中の事業主の中で、例えば制度移換にしないと表明をされた事業所、あるいは従業員の同意とかと書いてありますが、同意をされない従業員が出て来た場合には、どのような対応を想定されているのか、この 2 点をお伺いしたいと思います。
○山口勤労者生活課長補佐 1 点目ですが、制度間通算を行った場合の退職所得控除の期間です。基本的には通算した場合に X 月が上限になって通算するということですので、その月数分遡った共済契約の効力発生とみなした時点、退職時までの時点の期間に係る掛金納付月数が退職所得控除の算定期間です。
2 点目の御質問ですが、特退共から資産移換するときに個別の従業員の同意を取ることになっております。従業員の方が同意しない場合は資産移換をするということは考えておりません。個別の従業員ごとに同意の確認をするという仕組みです。
○小野委員 その時点で精算ということですか。
○山口勤労者生活課長補佐 そうです。資産移換を御希望されない方は、特退共団体から御本人様に退職金が支給されます。
○小野委員 事業所単位でも同じですか。
○山口勤労者生活課長補佐 そうです。同じことです。
○小野委員 先ほどの通算は、 X 月そのものを使うということではないのですか。
○山口勤労者生活課長補佐 X 月が上限ですので、イコールになれば X 月プラスその後ということになりますし、 X 月よりも少ない期間であれば、その期間プラスその後の加入期間ということになります。
○小野委員 それが退職所得控除の期間だということですか。
○山口勤労者生活課長補佐 そういうことです。
○小野委員 はい、承知しました。ありがとうございます。
○勝部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに何か御意見、御質問等はございますか。
○松岡委員 先ほどの建退の 3 %の運用利回りを得るために今の金融情勢の中で、我々として心配するのは、よりハイリスクな投機的なポートフォリオに、もちろん国債がマイナスという話になると、どうしてもそこは当然考慮しなければいけないと思うのですが、資産運用委員会などでそういう議論があったとすれば御紹介いただけたらと思います。
○富田勤労者生活課長 資産運用委員会では、これまで 3 回ほど議論があったということは申し上げましたが、金利がマイナスになると決定されたのは、ついこの間で、確かに資産運用委員会の場では、今後どのようにするのかという話をされたと承知しておりますが、まだ、ポートフォリオをどのようにするのかという議論までは至っていないと理解しております。今後の金融情勢を見てから、また議論されると考えております。
○勝部会長 よろしいですか。
○松岡委員 はい。
○勝部会長 ほかに何か御質問、御意見はございますか。
○曽原委員 まず政省令の取りまとめをしていただいた事務局の皆様、本当にありがとうございました。金融情勢が非常に大きく変動しており、我々の資産を預かる中退共の運用をしっかり安定、安心なものにする必要があると思う一方で、激動する金融市場の状況の中で、現状の枠組みをしっかり維持しつつ、労使の意見を取り入れながら一定程度柔軟にマネジメントしていく必要があると思っております。
そういう意味では、今後、様々に状況が変化する中で、適宜この部会についても状況の変化に応じて開催するなど、リスク管理や機動的な対応ができるような運営をしていく必要があると思っておりますので、是非ともその辺については検討をお願いしたいと思っております。
○勝部会長 これについては、次の議題とも関連いたしますので、そこでまた議論していただければと思います。ほかには、こちらの法律の改正について、よろしいでしょうか。御意見等はございますか。よろしいですか。それでは、本日もいろいろ御意見を頂きましたが、事務局は本日の御意見を踏まえて政令や省令の作成作業を進めて、次回の部会においてその要綱を諮問していただくよう、よろしくお願いいたします。
それでは、続いて議題 2 に入ります。こちらは、一般の中小企業退職金共済制度における今後の付加退職金の取扱いについてです。事務局から資料の説明をお願いします。
○富田勤労者生活課長 資料 2 を御覧ください。まず 2 ページです。付加退職金の概要について 1 枚にまとめています。本日、初めての委員もおられますので改めて御説明いたしますと、一般の中退共制度におきましては、退職金の額を「基本退職金」と「付加退職金」の合計額として算定しています。基本退職金ですが、掛金月額と掛金納付月数に応じて、あらかじめ金額が定められた退職金で、予定運用利回りを、現在、年 1 %として設計されています。一方、付加退職金ですが、運用収入の状況に応じて年度ごとに基本退職金に上乗せして算定される退職金で、掛金納付月数が 43 月となったときから 1 年ごとに、その年度の支給率に応じて基本退職金に付加されるものです。
具体的な計算例を次のページにお示ししていますので、 3 ページを御覧ください。こちらの図ですが、平成 19 年 4 月に掛金月額 1 万円で中退共に加入し、平成 28 年 3 月で退職、すなわち、 108 月というもので加入して退職した場合の例をお示ししています。付加退職金は掛金納付月数が 43 月となったときから 1 年ごとの時点、これを計算月と呼んでいますけれども、計算月ごとにその年度の支給率を、その時点の基本退職金の額に乗ずることにより算定します。
この例では 43 月目の属する年度が 22 年度ですので、付加退職金は 22 年度から 27 年度までの各年度において算定することになりますが、 22 年度から 25 年度までは支給率が 0 となっていますので、実際には 26 年度と 27 年度について計算すればよいということになります。具体的な算定は下の付加退職金額という所で、 26 年度、 27 年度のそれぞれについて付加退職金を計算し、足し上げますと 4 万 449 円となります。これを 108 月に対応する基本退職金の額と合計した額、 117 万 2,749 円、アンダーラインを引いていますけれども、これがこの方にお支払いする退職金の額となります。
4 ページを御覧ください。こちらは現在の付加退職金の支給ルール、すなわち毎年度の利益のうち、幾らを付加退職金の支給に充てるかという考え方です。平成 26 年 3 月にこの部会で取りまとめをいただき、平成 29 年度末までを目途に、剰余金として 3,500 億円、これは平成 29 年度末時点の責任準備金推定値の 9 %の水準に当たる額ですが、これを積み立てることを目標に構築されています。具体的には、下の現在の取扱いという所に図でお示ししているとおり、当年度利益見込額の 2 分の 1 を付加退職金に充てることを基本としますが、当年度利益見込額が 1,200 億円を下回る場合には、 600 億円を優先して剰余の積立てに充てようというものです。
この 600 億円ですが、このルールを取りまとめいただいた時点の足下である 24 年末時点で 500 億円の剰余金がありました。右側の点線で囲った枠ですが、これが 29 年度末までの 5 年間で残り 3,000 億円積み上げるためには、単年度当たり 600 億円の積立てが必要ということで定められたものです。このルールによりまして毎年度、付加退職金の支給率を決定してきたわけですが、ここ 3 年の株価の上昇もあり、予定よりも早く 26 年度末の時点で剰余金が 3,800 億円、責任準備金比で 9.2 %の水準まで積み上がりましたので、改めて今後の考え方について御議論いただきたいというのが、この議題の趣旨です。
5 ページを御覧ください。現状の所でも書いていますが、剰余金の目標水準が「責任準備金の 9 %」というものがあります。これはどのようなものかというと、おさらいですけれども、サブプライム問題や、それに続くリーマンショックが発生した平成 19 年度、 20 年度と同様の悪化が起こったとしても、累積欠損金が発生しない水準として設定したものです。この目標水準を見直すかどうかが 1 つの論点になるわけですが、現状、当時の想定を超える金融情勢の悪化までは起こっていないということもありますので、当面のところは、この水準を維持することが適当ではないかと、ここでは書いています。
ただし、下の留意事項にお示ししていますように、将来発生する金融情勢の悪化が、この範囲に収まるとは限らないということ。また、金利の継続的な低下などにより、基本ポートフォリオがリスクを増やす方向で見直された場合には、目標水準も引き上がる可能性があることに御留意いただく必要があるということです。
6 ページを御覧ください。その上で、今後の付加退職金の支給の取扱いを検討するに当たっての視点を 2 点、事務局からお示しさせていただきたいと思っています。 1 点目ですが、中退共制度は、確定給付型の年金制度等とは異なり、累積欠損金が発生しても掛金などを追加拠出することによって補填する仕組みがない。また、過去の納付期間に係る退職金を減額することも現実的には困難な制度です。したがって、運用で生じた損失は将来の運用利益によってしか回復できないということ。すなわち、下の※にありますように、仮にある年度で生じた利益を、その年度に全て付加退職金として支給してしまいますと、その後、運用損失が生じた場合に財政の悪化につながる可能性があるということです。こうした制度の特性を踏まえる必要があるのではないかというのが 1 点です。
2 点目ですが、付加退職金は単年度で生じた利益を、その時点の被共済者に還元するという趣旨で設けられているものですので、利益が生じた年度にはできる限り、幾らか付加退職金が支給されるよう配慮する必要があるのではないかということです。目標に達していなくても単年度では利益が発生しているときには、できる限り配るべきではないかというのが 2 点目の思想です。
その上で、 7 ページです。こちらはあくまでも参考の数値ですけれども、ここ 10 年度の機構における損益金の推移をお示ししたものです。この期間を通じての利益の総額を見ますと、損失の総額の概ね 2 倍強です。単純に計算しただけですけれども、そういう状況ですので、これを前提としますと利益の 2 分の 1 を付加退職金に充てたとしても、積立状況は概ね維持しうるということです。
なお、平成 27 年度の利益の見込みを▲ 475 としていますが、これは 2 月・ 3 月の運用収益を 0 と仮定しているものです。最終的には 2 月末までの市況を織り込んで見込額を算出することになりますので、あくまで現時点の見込みということで御理解いただければと思います。この見込みどおりいけば来年度の付加退職金支給率は、 27 年度は損失になっていますから 0 ということになります。
8 ページを御覧ください。こちらは更に参考ですけれども、付加退職金が創設された平成 3 年度以降の財政状況等の推移をお示ししています。下のグラフを御覧いただくと、中退共制度では長らく累積欠損金が生じていましたが、株価の上昇などにより平成 24 年度末には累積欠損金が解消、 20 年度末時点では 3,800 億円の累積剰余金が積み上がってきているという状況です。
以上のことを踏まえ、 9 ページですけれども、当面の付加退職金の支給の考え方ということで、事務局としての ( 案 ) をお示ししたものが 9 ページです。現在、将来の金融情勢をあらかじめ見通すことが非常に困難な状況にありますけれども、このような状況下においても、制度の特性を踏まえた財政基盤の確保を図っていく必要があるということ。一方で、制度の趣旨を踏まえ、運用利益を被共済者へ還元することも必要ですので、基本的には当年度利益見込額の 2 分の 1 を付加退職金に充てることにしてはどうかと、 1. で書いています。
2. ですが、ただし、前年度末における累積剰余金の額が、当年度末における責任準備金の見込額の 9 %を下回る場合は、現在の取扱いと同様、利益見込額の 2 分の 1 を付加退職金の支給に充てることを基本としつつも、利益の見込額が 1,200 億円を下回る場合には、 600 億円を優先して剰余金として積立てに充てるとしてはどうか。また、これらの取扱いについては、 3. ですけれども、今後の剰余金の積立て状況や、資産の運用状況等を踏まえ、必要に応じ見直しを検討することとしてはどうか。
これは、あくまでも事務局としてのたたき台ですので、本日、御議論いただければと思います。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。
○勝部会長 大変ありがとうございました。先ほども御指摘がありましたように、今年に入ってからかなり市場も荒れていたということもございますので、今後、この付加退職金をどう扱っていくかということは、この制度の継続性に関しても非常に重要な課題であるかと思います。ただいま事務局から御説明がございましたけれども、これにつきまして御意見あるいは御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。
○川野委員 昨年度、議論させていただいて、 3,500 億円の剰余金の積立てをしてリスクヘッジを高めるという取組を確認させていただいたところです。実際に 3,500 億円が積み上がった今日において、御提起いただいたように、今年度においては 2 分の 1 の剰余金を付加退職金に充てるということについては、概ね理解するところでございます。特に 6 ページに記載のある、「検討に当たっての視点」の中に書いていただいていますように、単年度に生じた運用利益は、その時点の被共済者に還元するという基本的な趣旨を踏まえて、被共済者の権利をどう守っていくのか。その前提にあるのは、安心・安定した中退共の事業運営になるかと思います。それを昨今、ずっと高めるために積立てをしてきての議論ですから、あくまでも被共済者に還元するという前提で議論がなされるべきだと思っています。
その上で今は、これまでの確認事項に基づいて剰余金の 2 分の 1 というあり方についても、 2 分の 1 が本当にふさわしいかということ。これは半分で言っていますから額で見るのか、率で見るのかということ。これから先の運用によっては額の大幅な桁の違いまで発生したときには、そこまで剰余金を積み立てる必要があるのか、そういう視点も含めて議論をすべきではないかと思っていますので、一言、申し述べました。
○勝部会長 ありがとうございます。今の御意見は非常に重要な部分だと思います。ほかに何かございますか。
○須永委員 中退共の制度を継続的、安全に運用するということが重要で、財政基盤の確保がまず大前提と考えています。細かい具体的な数値についても、先行きが不透明な中、長い目で見て剰余金の積立状況とか資産運用を鑑みながら、付加退職金の取扱いを慎重に検討していく必要があると思います。以上です。
○勝部会長 ほかに何か御意見等、ございますか。
○新田委員 資料を拝見しての感想めいたことですが、付加退職金の今までの資料というのは非常に分かりにくくて、初めて見た方だと正直、理解できないという感じだったと思いますが、その点、今回の資料はかなり分かりやすく、特に具体的な数字も例示していただいたので非常に良いと思います。事務局に改めて感謝申し上げたいと思います。 ここからは意見ですが、今後の付加退職金の取扱いについて申し上げます。結論から申し上げれば、今回の事務局の御提案で私は結構ではないかと思います。今回のこの仕組みを決めたとき、平成 29 年度末に向けて 3,500 億円を積み立てていこうという視点の一番の根本は、中退共制度を安定的に運営していこうということ。特に我々からすると全額事業主拠出のものですので、これをしっかりと運用して、それを労働者の方々が退職したときにきちんとお支払いするという観点からすると、以前のリーマン・ショックのときのような急激な変動を、我々としてはしっかりと踏まえて対応していくということを、あのとき一番重視したと理解しています。
したがって現時点では、確かに運用がうまくいって剰余金が 3,500 億円を超えているということですが、ただ、これはあくまでも現時点での話でありますし、加えて年明け以降の株価の情勢等、あるいは先ほど事務局が示された 2 月・ 3 月を 0 とした場合、またマイナスになっていますし、もう少しそこは広い中期的な視点から、少なくとも平成 29 年 3 月の年度末ということで、当初、取決めをしたと承知していますから、そこまでは基本的にこの枠組みの中でやっていく必要があるのではないかと思います。
ただ、先ほど川野委員もおっしゃったように、一方で付加退職金は当年度の利益を労働者の方にという視点も当然大事ですので、そういった意味からすると 2 分の 1 という数字についての是非はあろうかと思いますけれども、一定の配慮をするといったことは必要なことではないかと思います。私からは以上です。
○勝部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。
○宮嵜委員 確認ということでお聞きしたいのですが、先ほど付加退職金の概要というか経緯も、 2 ページで平成 3 年度導入ということで説明いただき、参考資料の中にも平成 15 年度からの支給率とか支給額も記載してあるのですが、平成 3 年度からのスタートでいけば、平成 3 年度と 4 年度だけが支給、あとは 0 ということでよろしいですか。過去の資料を見たらそういう資料だったのですが、そういうことでいいか確認させていただきたいと思います。
○山口勤労者生活課長補佐 お答えいたします。過去、支給率が出ているのが平成 4 年度と 5 年度です。そちらで支給されています。その後、ずっと 0 で、今、御指摘があったように 16 、 17 、 18 と支給率が出ているという形になっています。
○勝部会長 最初は平成何年でしょうか。
○山口勤労者生活課長補佐 平成 4 年と平成 5 年です。
○勝部会長 4 年と 5 年。よろしいでしょうか。ほかにはございますか。
○長谷川委員 私も原則的にはこの案に賛成でございます。しかしながら、リーマンショックをめどにマイナス下振れを計算していますが、今後、また中国経済の減速や日銀のマイナス金利など大きな経済変動もないとも言えませんので、安定的な制度運営のためには必要な対応かなと。そういう意味で、また 2 分の 1 の付加退職金の有り様も、今後、慎重な検討が要るのではないかと考えています。以上です。
○勝部会長 ありがとうございます。ほかに御意見あるいは御質問等、ございますか。
○小野委員 留意事項の所に関して、 5 ページの一番下ですが、「基本ポートフォリオがリスクを増やす方向で見直された場合は」うんぬんと書いてあります。その点について確認ですが、資産運用委員会が開催された上で、今までの基本ポートフォリオに対して何か変更が加えられたかどうかというのを確認したいと思います。
○富田勤労者生活課長 これまで 3 回、議論があったわけですけれども、基本ポートフォリオをどうするかというのは、新年度の資産運用委員会の議論の対象になると理解しています。ですから、現時点において基本ポートフォリオは維持されていると理解しています。
○山口勤労者生活課長補佐 補足ですが、平成 27 年 12 月の資産運用委員会で、中退については、現行の基本ポートフォリオの検証ということが行われているのですが、当面はこれを維持することが妥当であろうという検証結果になっています。ただ、来年度からの資産運用委員会で、今、課長が申し上げたように、そもそもポートフォリオ構築の前提とか、どういった考え方でこのポートを組んでいくのかといったことについて、概括的に議論していく方向性であると伺っています。
○小野委員 それを受けてですけれども、正直申しまして年明け以降の金融経済情勢の中で、今後の付加退職金のあり方をこの時点で決めるというのは、この部会としてもなかなか辛いのではないかという気がいたします。今日の参考資料の 21 ページに、先ほど御案内いただいた資料と同じですけれども、平成 27 年度 ( 見込み ) で当期損益金が 475 億円のマイナスであり、累積剰余金が 3,800 億円から 3,300 億円に減っている状況です。これは固めに見てということなのですが、そういうことを考えると、必ずしも 26 年度末に目標を達成してしまったことをもって、現行の割と固めに見た配当方針を即見直さなければいけないのかと思うと、そうでもないかなという気がします。その意味では現行の配当方針を継続するというのも、ひとつの考え方という気がいたします。
○勝部会長 ありがとうございます。今、小野委員が言われたように、資料の 8 ページに当期損益金と累積剰余金等の推移のグラフがありますが、フローとストックということを考えると、今回の議論でいくと付加退職金はフローの議論であり、安定性というのはストックの議論になるので、やはりストックのほうを重視するという考え方も、当然出てくるだろうと思います。つまり、日々、かなり市場は変動し、その影響の度合いも益々増大していますので、そういったことも考えていくべきかなと思います。何かほかに御意見等、ございますか。
○川野委員 質問と言いますか、資産運用委員会がポートフォリオの見直し、検証をやって、次年度のポートフォリオを策定するという作業に入るのだと思いますが、ポートフォリオに対して関与できる余地というのはあるのですか。
○山口勤労者生活課長補佐 それは、部会としてということですか。
○川野委員 部会というか、ここの意見が反映されるということは。
○山口勤労者生活課長補佐 基本ポートフォリオは、基本的に機構で決定します。そして資産運用委員会の議を経て、資産運用の基本方針にそれを明記するということが仕組みとして決定されていますので、基本的には部会ということからは独立して、機構の独自の判断として実施することになります。
○川野委員 分かりました。今、なぜそういう質問をさせていただいたかというのは、ここの中でも御指摘いただいていますように、リスク運用が高まるようなことに対する懸念というのは、かねてからこの部会の中でも議論があり、安心・安定な運用を求めていくものであって、ハイリスク・ハイリターンの制度運営を求めているわけではないという議論は、あったと思います。そこで剰余金が積みあがっていくことで、その運用の幅が広がることについてと、先ほど言われたストックの安定・安心を求める部分との区別というのを、やっぱりしておかないと、我々が求めているところと、資産運用委員会の方向性が違うということは大きな懸念事項だと思うので、そこに対して我々が関与できないとするならば、そうしたところでの配分のあり方や今後の積立剰余金のあり方等々についても、いろんな角度での議論が必要になってくるかと思います。そういう懸念があるということを、一言、申し上げました。
○勝部会長 ありがとうございます。今の御指摘も非常に重要な部分だと思います。
○鹿住委員 今の御意見は正にそのとおりで、予定運用利回り 1 %というのはここで議論して決める事項ですね。いろんな環境変化の中で 1 %を確保するためには、例えば資産運用委員会ないしは機構のほうで、もうちょっとリスクのある金融商品に投資しないと 1 %が確保できないということであれば、専門家の意見を踏まえてポートフォリオを変えるという判断になると思います。だとすれば、私たちはそれを受けて今度は利益剰余金をどうするかという制度上の議論をしなければいけない。恐らく役割がはっきり分かれていて、お互いにお互いの役割だけやっていればいいということではなく、お互いの役割を果たすために、状況は変わりますから、部会のほうでこれを判断するために機構からこういった情報をいただかなくてはいけない、これは機構ないしは運営委員会のほうで検討していただくというように、お互いの関係性をもう一度見直しというか、定義し直す必要があるのかなと思います。
○勝部会長 これについては、いかがでしょうか。事務局のほうとして、こちらの部会と運用委員会との関係について説明いただければと思います。
○富田勤労者生活課長 鹿住委員のおっしゃるとおりの部分はあるのですが、予定運用利回りを決めるのはこの部会で決めるわけです。それを受けてどうやって、例えば 1 %だったら 1 %を達成するのかというのは、機構のほうで資産運用委員会の議を経てポートフォリオを決めていく。これは機構のほうでも議論になっているのですが、非常に相互に関連しているわけですね。ですから、うちは予定運用利回りを決めて終わり、向こうはポートフォリオを組んで終わりというわけではない。もちろん、それぞれ全体として調和していく必要はあると思いますので、それは連携してやっていく必要があるということです。
○勝部会長 規定上もそのようになっているという理解で、よろしいでしょうか。規定上もそのような形で、この部会と。
○富田勤労者生活課長 そうですね。役割分担は、法令上の規定もそうなっています。
○勝部会長 ほかには何かございますか。
○鹿住委員 専門家にお伺いしたほうがよろしいかと思いますが、以前に比べて株価や為替相場の変動の幅が大きくなってきているというのはよく指摘されています。もちろん、 1 %を確保するためのポートフォリオということで組んでいただくのですが、おっしゃるように変動要素が大きくなってきたから利益剰余金を多めに積み増すべきかどうかといった判断は、こちらでしなければいけないわけです。なので、連携を図ってというのも、どういう何を参考にして判断をするべきか、どういう情報をいただくべきかということは、もう少し議論したほうがいいのかなという感じはするのです。
○勝部会長 ほかに、いかがですか。
○曽原委員 現行のルールは、 2014 年の審議会で議論し決めてきましたが、そのとき、制度の安定性を保つための財政基盤の強化を図る中で、付加退職金のあり方をどうするか議論したわけです。当時の議論を振り返ってみると、例えば安定性も大切だけれども、付加退職金の部分をあまりにもきつくしてしまうと加入者が少なくなってしまい、制度自体の魅力を失わせてしまうことなども議論してきました。そのバランスをどう取りつつ、とは言っても、 3,500 億円という安定性に資する水準まで剰余金の積み上げを優先していこうという議論があったわけです。
確かに現下の金融情勢は非常に変動していて、現時点で現行のルールをあえて変えるという議論はなかなか難しいですし、足元の状況は来月には固まると思いますが、今年度の状況はマイナスという状況もあって、あえて議論して変える必要はないのではないかという話もあるのですが、 3,500 億円という目標を達した状況の中で、改めて議論のないまま現行のルールを続けていくのではなく、来月、数字も固まるわけですから、一定程度状況を確認しながら今後のルールについて決めていく必要がある。その中で運用利回りと現下の市場の実勢の利回りの乖離が大きくなると、先ほど言ったような様々な制度上の問題やポートフォリオとの関係などについても議論しなければいけない状況になってくると思いますし、その辺についても確認をしながら、改めて決めていく必要があるのではないかと思っています。
大きく仕組みを変えるとか、安定性を損なうようなことは我々としても望んでいるところではないですし、平成 29 年という期間でやっていこうと決めた経緯は我々も認識しているのですが、事実を確認し、そこで起こった問題があれば新たに対応していく。そういったことは審議会として次回も含めて、しっかり議論していく必要があると思っていますので、事務方も含めて御準備いただければ有り難いと思っているところです。
○勝部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいですか。様々な御意見を頂きましたが、今回の原案で決めるのは少し早いという御指摘もありましたし、少し難しいかということもあります。ガバナンスの在り方も課題としてあったかと思います。ただいま委員の皆様から様々な御意見を頂きましたので、それを踏まえて事務局と私のほうで、再度、案を検討させていただいて、改めて提案を示すということで、よろしいでしょうか。このタイミングで出すのは難しいということですが、小野委員、いかがですか。
○小野委員 皆様方の御意見ということになると思いますから、もう少し議論を深めた上で臨機応変に対応していただくということで、いいのではないかと思います。
○勝部会長 ありがとうございます。次の部会では平成 28 年度の付加退職金の支給率を審議しなければなりませんので、その際に事務局から平成 28 年度の付加退職金の支給率を提出していただいて、その前に、この案について再度検討するということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
本日、 2 つの議題をいろいろ議論していただきまして、ありがとうございました。御意見は出尽くしたと思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。本日の議事録の署名委員ですが、松岡委員と須永委員にお願いしたいと思います。事務局から最後に何かありましたら、お願いいたします。
○富田勤労者生活課長 次回の日程です。次回の部会につきましては、 3 月 14 日 ( 月 ) の 15 時から 17 時の開催を予定しています。会場につきましてはこの厚生労働省の中を想定していますけれども、決まり次第、御連絡を差し上げたいと思います。
○勝部会長 本日は、これにて終わりとさせていただきます。次回に先ほどの議論の事務局案、それから付加退職金の支給率について御提出することにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日はこれにて散会とさせていただきます。ありがとうございました。
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