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2016年2月3日 第26回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

平成28年2月3日(水) 15:00~17:00


○場所

東海大学校友会館 阿蘇・朝日の間
東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階


○出席者

出席構成員

堀田構成員、五十嵐構成員、伊藤構成員、岩田構成員、岡部構成員
小川構成員、小国構成員、落合構成員、北田構成員、後藤構成員
鈴木構成員、友池構成員、西川構成員、藤原構成員、村島構成員
横谷構成員、吉村構成員

出席参考人

安藤参考人、勝野参考人、花岡参考人、宮崎参考人、山本参考人

○議題

第II回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第III回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
要望品目の医療上の必要性について
開発要請品目の公知申請への該当性について
企業から提出された開発工程表等について
その他

○議事

○医薬・生活衛生局審査管理課

皆様、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。定刻になりましたので、ただいまより第26回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催いたします。

 本日は、合田構成員、樋口構成員、山本構成員より御欠席の連絡をいただいております。また、藤原構成員におかれましては、15分から20分遅れての参加という連絡を受けております。現在のところ、16名の先生に御出席いただいているところです。また、ワーキンググループの検討状況を報告するにあたりまして、各ワーキンググループの先生方が参考人として御出席いただいております。これまで御出席いただいている先生方になりますので、紹介は割愛させていただきます。カメラの撮影の方はここまででお願いいたします。それでは堀田座長、以降の議事進行をお願いいたします。

 

○堀田座長

それでは、ただいまから始めたいと思います。今年に入って第1回目、全体で26回を重ねてまいりました医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を始めさせていただきたいと思います。最初に、本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

お手元の資料を御確認いただきたいと思います。最初に「座席表」、ちなみに座席表の上から3番目に山本構成員の名前が入っておりますが、本日は御欠席ということになっております。それから2枚目は、「議事次第」、それから資料1は1枚紙で、「検討会議における検討の進め方」、資料2-1は「第II回要望関連のワーキンググループの検討状況の概要等について」、資料2-2は「第III回要望関連のワーキンググループの検討状況の概要等について」の資料です。資料3-13-5までですが、「医療上の必要性に関するワーキンググループの評価」の資料です。資料4-14-3は、「公知申請の該当性に係る報告書」です。資料5-1は1枚紙で、企業から提出された「開発工程表」についてです。資料5-2は「第I回の要望関連」の横の資料です。資料5-3は、「第II回要望関連」、5-4は「第III回要望関連」の資料です。資料6は1枚紙で、「開発企業の募集を行った医薬品のリスト」です。資料7-1は、「人道的見地から実施される治験の実施」について、資料7-2は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行」について、資料7-3は、「人道的見地から実施される治験の制度該当性基準について()」です。それから、当日配布資料と書いておりますが、「魚油来ω3系の静注用脂肪製剤の開発」についての資料です。それから、参考資料については、ひとまとまりにしておりますが、参考資料1~参考資料5が1つに綴じられています。参考資料5については、各構成員の先生方が執行部に所属している学会についてお示しさせていただいております。前回の会議の資料を本日現在に更新した内容になっております。本検討会議の公平性の観点から、当面は構成員のうち、当該学会の執行部に在籍する方は当概要望に係る背景事情等の説明は行うものの、議決には参加しないとすることとしております。本資料の内容に誤り等ありましたら、この時点でお知らせいただければと思います。本日の審議については、こちらの内容に基づき進めさせていただきたいと思います。資料の不足等ありましたら事務局までお申し付けください。以上です。

 

○堀田座長

それでは、資料の落丁、不備等がありましたらお申し出いただきたいと思います。よろしいでしょうか。では、前回の会議が1014日にありましたけれども、その後の検討、進捗状況を事務局から説明をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

資料1を御覧ください。1枚紙で、前回からの更新としまして、左下の第III回要望品目数があります。前回御報告させていただきました第III回第四期要望の22件を追加しまして、168件となっております。その他、資料の右下にある開発要請の件数についても、新たに1件、開発要請しましたので、合計21件となっております。詳細は資料2-2で御報告いたします。裏面についても同様の箇所について件数の更新を行っております。

 

○堀田座長

要望につきましては、第I回、第II回はまとめて募集しましたけれども、第III回からは随時受付となっておりますので、検討会議ごとに追加されていくというスタイルになっております。よろしいでしょうか。

 それでは続きまして、第II回、第III回要望の検討状況について、事務局から説明をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

資料2-1を御用意ください。第II回の要望につきましては、前回の会議までに未承認薬26件、適応外薬78件、合計104件について医療上の必要性が高いと評価を頂いております。前回の会議の時点で検討中であった7件のうち、3件の要望が取り下げられました。右下の表の下から2番目ですが、残り4件と今はなっております。なお、引き続き検討中の要望については、本資料の別添1の3ページ目に一覧としてつづっております。

 次に2ページ目を御覧ください。こちらは開発要請、又は開発企業募集を行った品目の状況を示しております。前回の時点で開発要請していた86件のうち、前回の会議の時点で検討中のものが11件ありました。これらのうち1件が既に開発に着手、1件が要望取下げとなり、残り9件となっております。要望取下げの品目については、後ほど当日配布資料にて御報告いたします。なお、引き続き検討中の品目は本資料の別添2、4ページに一覧としてまとめております。

 続いて資料2-2を御覧ください。第III回の要望に係る専門ワーキンググループの検討状況の概要についてです。第III回の要望については、未承認薬10、適応外薬14を合計した24件について、医療上の必要性が高いという評価を頂いております。上の表の四角く太い枠で囲っているものが前回の時点で検討中だった37件ですが、第四期の要望の22件を加えた59件について検討を行っております。それが下の表です。このうち代謝・その他のワーキンググループにおいて2件、循環器ワーキンググループにおいて3件、精神・神経ワーキンググループにおいて2件、それから抗菌・抗炎症ワーキンググループにおいて1件、抗がんワーキンググループにおいて2件、合計10件が医療上の必要性が高いと評価されております。

 具体的な品目の概要については、資料3-13-5で後ほど御説明いたします。また、3件が既に開発中、3件が検討の対象外となりました。検討の対象外となった3件のうち2件は第III回の第四期要望の品目で、前回に示した一覧の中で対象外としていたものの数を、今回、反映したものになります。残り1件については、本資料の13ページを御覧ください。第III回の第三期要望として提出された「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター」について要望内容を精査したところ、効能・効果、用法・用量等の承認事項に係るものではないと考えられるため、対象外とさせていただきました。引き続き検討中の品目は本資料の別添1に一覧としてまとめております。

 本資料の2ページ目を御覧ください。前回の会議で医療上の必要性が高いと評価された1件について開発要請を行いました。前回会議の時点で検討中であった15品目ですが、2つ目の表の四角で括っています。前回の会議で検討中であったものと合わせた16品目について、1件が既に開発に着手、3件が公知申請の該当性に係る報告書()を取りまとめられております。この3件の具体的な内容については、後ほど資料4-1から4-3で御説明させていただきます。引き続き検討中の品目は本資料の別添2として一覧としてまとめております。以上です。

 

○堀田座長

これまでの説明に何か御質問、御意見があれば承りますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは続いて、要望品目に係る医療上の必要性に関する検討状況について、説明をお願いします。まずは、代謝・その他ワーキングから花岡先生、よろしくお願いします。

 

○花岡参考人

御説明させていただきます。資料3-1、代謝・その他ワーキングの資料を御覧いただきたいと思います。最初に、オランザピンについて御説明させていただきます。このワーキングの検討では、医療上の必要性が高いと判断しているところです。要望された効能・効果は抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)です。重篤性については抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状は、患者の日常生活に著しい影響を及ぼすことから、「ウ」の基準に該当すると判断いたしました。

 また、医療上の有用性ですが、NCCNのガイドラインでは、がん化学療法に伴う悪心・嘔吐に対する本剤の使用については記載があり、5-HT3拮抗薬、NK1受容体拮抗薬及びデキサメタゾンを併用する既存の3剤併用療法によっても有効性が得られない患者さんを対象とした、実薬対照比較試験あるいは5-HT3拮抗薬及びデキサメタゾンに対する上乗せ効果を検討した比較試験等により、本剤の抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状に対する有効性が認められたことから、「ウ」に該当すると判断いたしました。

 なお、本要望は第I回要望募集においても提出され、その際は有用性については「エ」と判断されました。その当時の2012年のNCCNのガイドラインに比べ、2013年及び2014年の当ガイドラインでは、先ほど申し上げた新たな根拠論文に基づき、推奨度が引き上げられました。このような海外のエビデンスの状況を考慮し、今般提出された要望に対しては有用性を「ウ」と判断いたしました。

続いて、アザチオプリンについて同じ資料の3ページを御覧ください。ワーキングにおける検討の結果、医療上の必要性は高いと判断いたしました。要望された効能・効果は自己免疫性肝炎です。重篤性に関しては、自己免疫性肝炎では無治療の場合は死亡する可能性があり、既存治療であるステロイド療法に抵抗性を示す場合には治療に難渋し、また、再燃を繰り返すなどステロイド離脱が困難な場合には、副作用が問題となる例が多く、患者の生命に重大な影響があることから、「ア」の基準に該当すると判断いたしました。

 有用性については、本剤は欧州(英国等)において自己免疫性肝炎の効能・効果として、本剤とステロイドとの併用療法及び本剤の単独療法が承認されています。また、米国肝臓学会ガイドラインにおいて本剤とステロイドとの併用療法は自己免疫性肝炎に対する治療法として記載されていることから、「ウ」に該当すると考えました。以上です。

 

○堀田座長

ありがとうございました。それでは、この2品目について委員の先生方から御意見を賜りたいと思いますがいかがでしょうか。両方とも有用性は高いと判断したということです。よろしいでしょうか。この備考欄に書いてある試験については、これは要望者のほうから出てきているということで、今後どのように開発要請を掛けるかというところで多少影響してくるのでしょうね。

 

○花岡参考人

そのように伺っています。また、国内でもオランザピンに関しては、国立がん研究センターで臨床試験を実施中ということですので、そのような結果についても今後、その結果を見た上で考えていくことになるかと思います。

 

○堀田座長

アザチオプリンについてはいかがでしょうか。古い薬ではありますが、これはもともと小児肝臓学会から出ていますが、成人及び小児を対象にするという話です。何か御発言はよろしいでしょうか。それでは、この2品目についてはワーキンググループの報告のとおり、進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは続いて、循環器ワーキングから山本先生、よろしくお願いします。

 

○山本参考人

お手元の資料3-2を御覧ください。循環器ワーキングの今回の品目は3品あります。まず1ページを御覧ください。要望者は日本血液学会から出ております。要望された医薬品はリツキシマブ、要望内容は慢性特発性血小板減少性紫斑病です。医療上の必要性に係る基準への該当性ですが、適応疾患については、ITPは血小板減少を来す自己免疫疾患で、血小板数が1万から2万以下に低下した場合には出血事象の発現リスクが高まり、頭蓋内出血等の重篤かつ致死的な出血症状も出現することもありますので、重篤性に関しては、「イ」の病気の進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当すると判断しております。

 次に、医療上の有用性ですが、海外にITPに関する本薬の承認はありませんが、米国では保険償還の対象ということです。また、米国のガイドラインでコルチコステロイド、静注免疫グロブリン、脾臓摘出の少なくとも1つが無効な成人ITP患者に対して本薬を投与するという旨の記載があります。国際ITP診療ガイドラインではITPに対するセカンドラインということで、本薬が要望の用法・用量にて投与するという旨が記載されております。また国内ガイドラインでは本薬が副腎皮質ステロイド及び脾摘が無効な症例に対する治療薬と記載されておりますので、これらのことから有用性に関しては、「ウ」の欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても、国内における有用性が期待できると考えられるに該当すると判断しております。以上よりワーキングでは本品目の医療上の必要性は高いと判断いたしました。

 では、続いて2ページ目です。こちらは要望者が日本循環器学会、医薬品は一般名アセチルコリン塩化物です。要望内容は冠攣縮性狭心症が疑われる患者に対して診断を確定するために施行する冠攣縮薬物誘発負荷試験時の冠動脈内投与です。適応疾病の重篤性ですが、要望された内容は薬剤によって冠攣縮を誘発し、狭心症の病態としての冠攣縮の診断において有用な情報を与える。的確な診断がなされない場合には、この疾患は適切な内科治療が施されないということを来し、そこから突然死を来す可能性があることから、有用性としては「ア」に該当すると考えております。

 それから医療上の有用性ですが、こちらも国内で承認されている既存の評価法では、冠攣縮性狭心症を十分に評価できないということで、既存療法が国内にないということに該当すると判断しております。以上より本品目の医療上の必要性は高いとワーキングでは判断いたしました。

 では続いて3ページです。こちらの要望者は同じく日本循環器学会です。要望された医薬品は一般名ドブタミン塩酸塩です。要望内容の効能・効果は当該薬剤を投与することにより心臓の交感神経を刺激し、心筋収縮力を高め、潜在的な循環動態異常を顕在化させるというものです。こちらの適応疾病の重篤性については、薬剤負荷でも虚血性心疾患の心筋壁運動異常を捉えるものであり、診断上の有用な情報を与えるものです。また、先ほどのアセチルコリンと同じく、虚血性心疾患ですので、的確な診断に続いての適切な治療が施されない場合には、致死的イベントを来す可能性があるということなので、重篤性については「ア」に該当すると判断しております。また、医療上の有用性ですが、この薬剤は英国及びドイツにおいて薬物負荷心エコー法での本薬の使用が承認されているということ。それから、国内ガイドラインで薬剤負荷心エコー法での要望用法・用量の本薬の使用が推奨されておりますので、「ウ」に該当すると判断しております。以上よりワーキングでは本品目の医療上の必要性は高いと判断いたしました。以上です。

 

○堀田座長

ありがとうございます。それではこの3品目、循環器領域の適応ですが、有用性については、ワーキンググループの報告はいずれも有用性が高いと判断されておりますが、何か御意見、御発言はありますでしょうか。

 

○友池構成員

アセチルコリンは毎日のように医療施設で使われている診断薬ですので、全く問題ないと思うのですが、ドブタミンは従来治療に使われていたのを診断薬にも使えるという意味ですね。

 

○山本参考人

そうです。

 

○友池構成員

ありがとうございます。

 

○堀田座長

そのほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。アセチルコリンは誘発時にだけ適応という意味合いですか。

 

○山本参考人

誘発のための、今回については薬物負荷の試験薬です。

 

○堀田座長

試験薬ですか。

 

○山本参考人

そうです。アセチルコリンとドブタミン、どちらも今回は試験薬ということです。

 

○堀田座長

いかがでしょうか。実際の臨床では既にやっておられるのかもしれませんが。

 

○山本参考人

実際にも使われておりまして、適応がないことで現場が非常に困っているということで、ワーキング内でもそこは確認できましたので、有用性は高いと判断いたしました。

 

○堀田座長

ありがとうございました。リツキシマブの慢性ITPに対する適応や有用性についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見がないようですので、それでは、この3品目についてはワーキンググループの報告どおりに進めたいと思います。ありがとうございました。

 続いて、精神・神経ワーキングから勝野先生、よろしくお願いします。

 

○勝野参考人

よろしくお願いします。資料3-3を御覧ください。精神・神経ワーキングにおいて、今回、検討が終了したものが2品目あり、いずれも医療上の必要性の基準に該当すると判断しております。まず1つ目の品目のメピバカインですが、資料の1ページ目を御覧ください。日本歯科麻酔学会よりメピバカイン塩酸塩の歯科領域の伝達麻酔について要望が提出されております。医療上の必要性に関するワーキンググループの評価の欄を御覧ください。まず、適応疾病の重篤性については、「ウ」のその他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患と評価いたしました。歯科治療は浸潤麻酔又は伝達麻酔下で実施することにより疼痛を軽減し円滑に処置を行うことができますが、歯科治療が適切な麻酔下で実施されない場合、患者の日常生活に著しい影響を及ぼすことが想定されるため、「ウ」と判断いたしました。

 続いて有用性ですが、こちらも「ウ」の欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても、国内における有用性が期待できると考えられると評価いたしました。メピバカイン塩酸塩の歯科領域における伝達麻酔については、欧米等6か国で承認され、同様の用法・用量が定められています。また、国内外の文献において本邦で歯科領域における伝達麻酔の効能・効果で承認されているリドカイン塩酸塩・アドレナリン製剤等と同様の有効性が示唆されていること。また、麻酔時間がリドカイン塩酸塩・アドレナリン製剤と比較して短く、歯髄組織ですと30分程度、軟組織では2時間以上と報告されていることから、短時間の歯科治療における伝達麻酔に用いる薬剤として、このメピバカイン塩酸塩は有用であると考えられます。

 また更に、現在、国内において歯科領域における伝達麻酔の効能・効果で承認されている薬剤には、いずれも血管収縮剤が添加されていますが、本剤には血管収縮剤が添加されていないため、既承認薬に比べて循環器系へ及ぼす影響が小さく、新たな選択肢になると考えられました。以上よりメピバカインの国内における有用性が期待できると判断いたしました。

 続いて2つ目の品目は、資料2ページ目の日本小児神経学会、ドラベ症候群患者家族会、Dravet Syndrome JP、日本てんかん協会、cdkl5japan、らぶはんず、しゃぼん玉の会からミダゾラムのてんかん重積状態についての要望が提出されております。医療上の必要性に関するワーキンググループの評価の欄を御覧ください。まず、重篤性ですが、「ウ」のその他、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患と評価いたしました。てんかん重積状態はてんかん発作が一定の時間以上で持続する状態です。てんかん発作が5分以上持続した場合には、治療を開始することが推奨されています。てんかん重積状態が長時間継続すると、様々な中枢神経の障害が残ることもあるため、「ウ」に該当すると判断いたしました。

 次に有用性については「ウ」の欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると評価いたしました。本剤はイギリス、ドイツ、フランスの承認内容、それからアメリカ、カナダ、オーストラリアの診療ガイドラインの記載内容並びに海外の臨床試験成績等からジアゼパム注腸投与と比較して有効性が示されており、欧米等では緊急の場合又は静脈ルートの確保が困難な場合等のてんかん重積状態に対して標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられるため、「ウ」に該当すると判断いたしました。なお、要望の効能・効果及び用法・用量は既承認薬の記載等踏まえ、要望が変わらない範囲で記載整備をしております。以上になります。

 

○堀田座長

ありがとうございました。ただいまの報告について御意見を賜りたいと思います。まずはメピバカインについていかがでしょうか。歯科領域の伝達麻酔ということですが、外科の先生方、御発言はありませんか。よろしいでしょうか。特になければ了解といたしまして、2番目のてんかん重積状態に対するミダゾラムについて、これは幾つかの団体から要望が出ておりますが、いかがでしょう。何か御意見を賜わればと思いますが。

 

○小国構成員

私は、日本小児神経学会に所属しておりますが。

 

○堀田座長

利益相反については、補足の説明のみであれば大丈夫です。

 

○小国構成員

このドラベ症候群は痙攣重積症を繰り返す神経難病であり、親御さんの団体のほうから本剤の要望が非常に強くだされた経緯があり、我々の小児神経学会もそれを積極的に手助けするという形で提出しました。本症の痙攣重積症では中枢神経の後遺障害が残る可能性以上に致死的になることもありますので、本剤で早期に家庭において痙攣発作を止められる治療手段は重要です。現在は残念ながら吸収の遅いダイアップ座薬というものしかありません。そのようなところから病院に到着する前に早期に痙攣発作を止める目的で、欧米ではかなり広く使用されるようになってきておりますので、是非導入をお願いしたいと要望をだしました。

 

○堀田座長

そのほかに何か御意見はありますか。これはワーキングの方に聞くべきかもしれませんが、通常は静注で使っていて、それは認められているのですか。

 

○勝野参考人

そうです。静注で認められています。

 

○堀田座長

今回はそれを口腔内に注入することになって、口腔内粘膜から吸収されるということですね。

 

○勝野参考人

そうです。

 

○堀田座長

それではこの2品目については了解とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは事務局のほうで処理をお願いします。

 続いて、抗菌・抗炎症ワーキンググループから宮崎先生、よろしくお願いします。

 

○宮崎参考人

それでは、抗菌・抗炎症ワーキンググループから、医療上の必要性の基準に該当すると考えられた1品目について説明いたします。資料3-4ですが、1ページ目を御覧ください。乾燥濃縮人C1-インアクチベーターの遺伝性血管性浮腫への処置前における短期予防に対する要望が、日本皮膚科学会と日本口腔外科学会から提出されております。この品目に対して、適応疾病の重篤性についての該当性を検討いたしました。遺伝性血管性浮腫の急性発作の誘因の1つとして、大きな外科的処置及び抜糸等の歯科処置における侵襲的な処置が知られております。あらかじめ対策を行わずに、これらの侵襲的処置を施行した場合には、喉頭浮腫により気道閉塞を来して、重篤な状態に陥るケースもあるということから、「ア」の生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断いたしました。

 次に医療上の有用性についてですが、本剤の外科的処置及び歯科処置前の発作予防に対する適応は欧州各国で既に承認されており、国内外の診療ガイドラインにより発作リスクの高い患者における短期的な発作予防に使用する標準的療法に位置付けられております。そこで「ウ」の欧米等においても標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違いを踏まえても、国内における有用性が期待できるに該当すると判断いたしました。したがってワーキングとしては、医療上の必要性に係る基準に該当すると判断しております。以上です。

 

○堀田座長

ありがとうございました。それではただいまの宮崎先生の報告に何か御意見ありますでしょうか。御質問でも結構です。これまでも発作が起こったときの対応については適応があるのだけれど、その前にプレメディケーションするという意味ですね。

 

○宮崎参考人

そのとおりで、スタンバイして今まではやっていたようです。

 

○堀田座長

実際にこういう遺伝性血管性浮腫というのは、どれぐらいの患者さんが国内ではいらっしゃるのですか。

 

○宮崎参考人

2,000 人弱です。

 

○堀田座長

大体は診断がついていて、何か処置する前には自分から言っていただかないと分かりませんよね。それは、御本人あるいは御家族はそれを分かっていらっしゃるという前提ですか。

 

○宮崎参考人

遺伝性であることが分かっている場合が多いと考えていただいているようです。

 

○堀田座長

よろしいでしょうか。それでは、医療上の必要性が高いという判断で、ワーキンググループの報告を了解したいと思います。続いて、抗がんワーキングから安藤先生、よろしくお願いします。

 

○安藤参考人

資料3-5を御覧ください。抗がんワーキンググループから医療上の必要性に係る基準の該当性に関する品目の検討で、2品目を発表させていただきます。まず1ページ目を御覧いただいて、日本血液学会から三酸化ヒ素ということで、未治療の急性前骨髄球性白血病に対しての要望が上がっております。適応疾患の重篤性について、該当性は「ア」ということで、未治療の急性前骨髄球性白血病は致死的な疾患であり、適応疾患の重篤性は「ア」に該当すると判断いたしました。

 それから、医療上の有用性の該当に関しては、欧米等6か国では承認されていないのですが、診療ガイドラインや教科書の記載内容、海外の臨床試験成績から三酸化ヒ素は、未治療の急性前骨髄球性白血病患者に対して、欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違いを踏まえても、国内における有用性が期待できると考えられました。そのために「ウ」に該当すると判断いたしました。なお、備考を御覧いただいて、これに関しては、三酸化ヒ素は現在、再発や治療抵抗性の急性前骨髄球性白血病に関して承認されております。

 次のページですが、実は、低リスク若しくは中間リスクの未治療の急性前骨髄球性白血病に関して、このレチノイン酸とイダルビシンを中心とする化学療法、それかレチノイン酸とこの三酸化ヒ素の比較試験が行われて、完全寛解率は、ほぼ両者で同じと。それから2年の無増悪生存率というのが、三酸化ヒ素群のほうがよかったという報告が、このNew England Journal of Medicine2013年の報告にあります。

 ここでもう一度、1ページ目に戻っていただいて、ただし、そこで使われているものに関しては、現在の効能・効果の中に寛解後療法の用法・用量というものが、前治療の臨床試験では非常に数が多くて、25回以上を超えると。今の添付文書上は25回までということなので、そこのところの安全性についてはまだ不明と。この薬剤に関してはQT延長という心電図用の異常を来すことは知られており、これに関してはまだ安全性は確立されておりません。

次は、日本リンパ網内系学会と日本血液学会で、これはシタラビンのCytarabine liposomal というものが要望に挙がっております。これは効能・効果は悪性リンパ腫に伴う髄膜播腫ということです。医療上の必要性に係る基準の該当性に関しては、適応疾病の重篤性に関しての該当性は「ア」で、悪性リンパ腫は致死的な疾患のために「ア」に該当すると判断しました。

 それから、医療上の有用性に関しては、欧米等の承認なり、診療ガイドラインや教科書の記載内容、海外の臨床試験等では、欧米では治療選択肢の一つとして考えられていますが、国内には髄腔内投与に関しての承認を有する薬剤がありませんので、医療上の有用性に関しては「ア」に該当すると判断いたしました。以上です。

 

○堀田座長

ありがとうございました。それではこの2品目について、御質疑お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○鈴木構成員

教えていただきたいのですが、この三酸化ヒ素が、欧米等6か国では承認されていないとしながら、欧米等における標準的療法に位置付けられているというのは、どういう意味なのでしょう。代表的な米、英、独、仏、加、豪では承認されていないというと、どういう所で承認されていて、標準的治療になっているのか、もう少し教えていただけますか。

 

○安藤参考人

これは2ページ目にありますように、この化学療法とレチノイン酸と三酸化ヒ素を使った臨床試験の結果等によって、海外のガイドラインでは低悪性度、若しくは中間リスクの前骨髄球性白血病に関しては、標準的な治療ということに位置付けられるというガイドラインの記載と、あとは教科書の記載内容からです。

 

○堀田座長

例えば、アメリカではFDAは承認していないけれども、臨床試験のデータに基づいてコンペンディアに載せているのだろうと思いますが、そういう理解でよろしいですか。

 それでは、その次のシタラビンのリポゾーマルについてはいかがでしょうか。これは通常は髄膜播腫あるいは「エ」の悪性リンパ腫の進行があった場合は、シタラビンそのものを髄注しているのは普通ですよね。これがリポゾーマルになることによるメリットというのはどうなのでしょうね。

 

○安藤参考人

髄膜の刺激状況等が少ないということです。

 

○堀田座長

通常はシタラビンないしはメトトレキサートを髄注しておりますけれども、それよりは刺激性が少ないことがポイントだと思います。一時期、治験を進めようとしたこともあったのですけれども、患者数が少ないということで、断念したような経緯があったように思います。

 それでは、この2品目についてもワーキンググループの報告どおり、有用性は高いと判断したいと思います。ありがとうございます。

 それでは、次は公知申請に係る報告についての説明をお願いしたいと思いますが、資料4-1です。抗菌・抗炎症ワーキングの宮崎先生からの御説明をよろしくお願いします。

 

○宮崎参考人

抗菌・抗炎症ワーキンググループから、公知申請の該当性に係る報告を2件させていただきます。まずは、資料4-1の、「コルヒチン、家族性地中海熱の公知申請への該当性に係る報告書」について御説明申し上げます。1ページ目には、今回要望のありました小児リウマチ学会からの要望であることが記載されておりますが、当初は小児についての要望のみでありましたけれども、本邦においては、成人での発症例も存在していること等の理由がありましたので、小児に加えて成人における要望について、日本リウマチ学会からも追加で要望書が提出されました。そういった経緯で、こちらには、小児リウマチ学会と書いてありますけれども、小児リウマチ学会及び日本リウマチ学会からの要望として併せて検討を行いました。2~5ページを御覧いただきますと、欧米等6か国の承認状況等について記載しております。本剤は2ページに米国における承認状況が記載されておりまして、3ページの下はフランス、4ページではカナダの家族性地中海熱への適応についての記載があります。

 次に5~15ページにかけまして、要望内容に係る国内外の公表文献・成書等について記載しております。例えば8ページにはメタ・アナリシス等の報告状況もありますが、国内外の文献調査の結果、要望内容に関する複数の文献が公表されていることが分かりますし、国内外の教科書や各種診療ガイドラインで本剤が家族性地中海熱に対する第一選択薬として推奨されているものもあることから、本剤がこの疾患に対する治療薬として確立されたものであり、臨床現場においても、使用実績が蓄積されているものと判断いたしました。

17ページの有効性総合評価に記載していますとおり、国内における疫学調査において、コルヒチンの有効性は高く、本剤の有効性のエビデンスは十分であると考えました。下方の安全性についての総合評価は、成人及び小児の家族性地中海熱患者において、国内外で報告された有害事象が主に消化器症状等であって、用量調節により管理可能であると考えられましたことから、家族性地中海熱に対して、本剤を投与した際の安全性について、大きな懸念はないであろうと判断いたしました。

18ページに、効能・効果を記載していますけれども、ここに家族性地中海熱を追加するのが適当であると考えました。19ページの、用法・用量について、国内では症例報告において、広く使用されている用量とか、成人及び小児の家族性地中海熱に対する本邦におけるガイドラインでの用法・用量を基に、成人にはコルヒチンとして、10.5mg1回又は2回に分けて経口投与。なお患者の状態により、適宜増減するが、1日最大投与量は、1.5mgまでとする。小児には、コルヒチンとして1日0.010.02mg/kgを1回又は2回に分けて経口投与。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最大投与量は、0.03mg/kgまでとし、かつ、成人の1日最大投与量を超えないことと設定することが適切であると判断いたしました。最高用量については、海外よりも低く設定しておりますが、その根拠については本邦における全国調査の結果では、1mg/日以下の用量で効果を得られていた症例がほとんどであって、地中海地域に比し、相対的に少量のコルヒチンで発作をコントロールすることが可能であったとの研究班の調査結果等に基づいております。そこで本邦のガイドラインに、その調査結果に基づく本邦のガイドラインにおける最大用量が設定されている量と同様の量としております。また0.1mg/kg/日を越える用量では、急性ミオパチーや骨髄低形成等の毒性を認めることがあるという報告や現行の痛風における添付文書の重要な基本的な注意事項にも、1日量が1.8mgまでの投与に止めることが望ましいと記載されていることから、最高用量は安全性を踏まえ国内ガイドラインに添って設定することが適切と考えました。以上、ワーキングの結論として、本剤の家族性地中海熱に対する有効性及び安全性は医学薬学上、公知であると判断いたしました。

 

○堀田座長

ただいまの家族性地中海熱に対するコルヒチンの適応について、公知申請の該当性についての評価です。なお、この評価については、日本リウマチ学会からも要望が出ておりますので、村島先生は議決に参加しないで、コメントを求めることがあります。よろしくお願いします。

 

○村島構成員

本当に内容がとても詳細に調べられていて、妥当な内容だと思います。今日は妊娠と薬の情報センターの立場からも1つ要望があるのですが、痛風適応のコルヒチンは妊婦さんに禁忌になっていると思うのですが、ここにもいろいろ調べられてありますように、妊娠中のリスクに関しては否定的な状況です。この家族性地中海熱の場合、妊娠中も継続せざるを得ない疾患でありますので、是非この辺も御考慮いただいて、最終的な文言にしていただきたいと思います。

 

○堀田座長

今、その辺はどのように触れていましたか。妊娠中も安全であるということはあるのですか。

 

○村島構成員

大規模ではありませんけれど、幾つかのケースシリーズ等で、リスクは否定的という形で解釈はされると思います。もちろん個々の症例においてリスク&ベネフィットを勘案して使うことは原則ではありますけれども、そういうところも考慮して禁忌は付けないでいただければと思います。

 

○宮崎参考人

添付文書のところで考慮をして、その旨記載するそうです。

 

○堀田座長

なお、今の発言の内容については15ページの真ん中ぐらいに特殊症例に対する治療のところに触れております。

 

○西川構成員

3ページの一番上にありますように、痛風治療として既承認ですが、小児への使用は推奨されない、これは小児の安全性が確定していないからだと思うのですが、今回の疾患に対する適応では、主に小児ということになるので、その辺り、念のため確認したいのですが。コルヒチンというのは染色体異常を誘発して、精巣毒性とか、試験の成績があるのですが、長期のがん原性試験等はなくて、その辺り少し懸念材料かなと思うのですが、どのように考察されたか教えてください。

 

○宮崎参考人

具体的にはその点について、詳しいディスカッションはしていないのですが、今回の家族性地中海熱に対しては、ほかに使う薬がないであろうということで、まずは必要であろうという観点からやらせていただきました。是非、報告書のどこかに今御指摘の点の考察を一部載せて、それでも必要である旨を記載したいと思います。

 

○西川構成員

あくまでもリスク&ベネフィットの観点からということですね。

 

○宮崎参考人

はい。

 

○西川構成員

了解しました。

 

○堀田座長

その点に関しては小児科のほかの先生方、何か御発言はありませんか。

 

○五十嵐構成員

自己炎症性症候群というのは、この20年の間に病気の原因が非常に詳しく分かってまいりまして、その1つがこの家族性地中海熱だと思います。一種の免疫不全でもあるわけですけれども、特にこの病気の場合は痛みを伴う発熱発作の形できますので、それを繰り返し、繰り返し起こしていきますと、全身の臓器にアミロイドの沈着を起こしてくるということで、段々悪くなってくる病気ですので、是非このコルヒチンはいろいろな意味から日本でも使わせていただけるということが大変有り難いことだと考えています。

 

○堀田座長

小児に対するコルヒチンの染色体への影響等を考慮しても有用性があるということですか。

 

○五十嵐構成員

有用性があると考えます。

 

○堀田座長

ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。

 

○小国構成員

この場合、周期性の熱ですよね、これは継続して飲むのでしょうか。

 

○五十嵐構成員

予防的に取ります。

 

○小国構成員

予防的にずっと投与するのですか。

 

○五十嵐構成員

そうです。

 

○小国構成員

継続投与ということですね。

 

○五十嵐構成員

そうです。

 

○伊藤構成員

小児リウマチ学会は、専門医が治療薬をつかうような縛りをある程度つけているのですが、今回はどうなのでしょう。この薬を使う人は、どのような医師が使うべきだと決められるのですか。

 

○宮崎参考人

その点についてはまだ検討しておりませんけれど、必要であれば承認の段階でそれを検討していただくということでよろしいですか。

 

○堀田座長

そうですね、基本的なことは今日議論をして、その後、添付文書にどう記載するかということはもう少し先の話にしたいと思います。よろしいでしょうか。これはあくまで公知申請に該当するかどうかということですので、この段階ではそこまでの議論にしたいと思います。よろしいでしょうか。

この品目につきましては、報告書のとおり公知申請に該当するという判断をしたいと思います。続きまして、これも宮崎先生お願いします。

 

○宮崎参考人

資料4-2を御覧ください。バルガンシクロビル塩酸塩、サイトメガロウイルス感染症のリスクのある臓器移植後のサイトメガロウイルス感染予防・発症抑制(成人)の公知申請への該当性に係る報告をいたします。1ページ目、一般社団法人日本移植学会より、バルガンシクロビル塩酸塩の臓器移植後におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制の効能・効果及び用法・用量の追加に関する要望が提出されています。なお、本要望の効能・効果における臓器移植という表現ですが、造血幹細胞移植を除く臓器移植である旨であって、いわゆる固形臓器移植という意図で使用しているということを要望者には確認いたしました。したがって今回、造血幹細胞移植は対象になっておりません。

 2~16ページは、欧米等6か国の承認状況等について記載しています。本剤は欧米において要望内容に係る効能・効果及び用法・用量が承認されております。

1621ページは、要望内容に係る国内外の公表文献・成書等について記載しています。この中ではハイリスクの固形臓器移植患者を対象とした海外での無作為化比較試験等において、本剤のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制効果、有効性と安全性が確認されていることが報告されております。海外の成書、国内外の診療ガイドラインでは、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制に対して、本剤の使用が推奨されております。

2223ページにかけて有効性の総合評価を記載しています。ここには海外臨床成績及び国内外の診療ガイドライン等の記載状況に加えて、国内の医療現場において、一定の使用実績が蓄積されていること等の状況から、本剤の有効性のエビデンスは十分であると考えました。

2324ページの安全性の総合評価について、国内における本剤の長期投与時の安全性情報は、限定されているものの、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制を検討した海外臨床試験や、国内の臨床成績の調査において認められた有害事象は、いずれも本剤に既知の事象でありましたことから、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制を目的として、日本人の固形臓器移植患者に本剤を投与した際に、新たな重大な安全性の懸念が生じる可能性は低いだろうと判断いたしました。

 以上のことから、本剤の固形臓器移植に対するサイトメガロウイルス感染症の発症抑制に対する有効性及び安全性は医学薬学上、公知であるとワーキングでは判断いたしました。

 効能・効果について、2425ページに記載していますが、先ほどの造血幹細胞移植を除くという表現ですが、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制として設定することが、現時点では適切ではないかと考えております。本剤は骨髄抑制などの重篤な副作用が報告されていることから、海外臨床試験で有効性及び安全性が評価されている、ドナー陽性でレシピエント陰性のようなサイトメガロウイルス感染症の発症リスクが高い患者さんに限定して使用するような注意喚起も必要かと考えております。

 用法・用量については2526ページに記載していますように、臨床薬理試験が実施されており、薬物動態に民族差は認められていなかったことから、海外での用法・用量を日本人に対する用法・用量として設定することが可能であると考え、記載していますように、1回900mgを1日1回とすることが適切であろうと考えました。なお、投与期間ですが、海外臨床試験成績を踏まえますと、腎移植患者に対する投与期間は200日まで、腎臓以外の固形臓器移植に対する投与期間は100日までを目安とする旨を、使用上の注意として情報提供することが適切かと考えます。以上です。

 

○堀田座長

ただいまのバルガンシクロビル塩酸塩につきまして、これは造血幹細胞移植を除く固形がんの移植についての公知申請への該当性についての評価です。御意見を頂けますでしょうか。

 

○岡部構成員

御判断には全然異論がなくて、むしろ大変有り難い、結構だと思うのですが、このバルガンシクロビルはもともと治療には使われている、骨髄移植も含めて使われているのに、この条件として、臓器移植という表現が造血幹細胞移植を除く場合の予防投与であるということをわざわざ付けたのは、何か特別な理由があるのでしょうか。

 

○宮崎参考人

今御説明申し上げましたように、1つは骨髄に対する問題が副作用としてあるということもあって、例えば欧米でも固形臓器移植に対する予防の観点ですけれども、予防の適応はあるようなのですが、造血幹細胞移植に対しては通っていないというような状況があるようです。そういったこともありますし、現状を考えますと、一旦発症した患者さんに対しては治療ができるということも状況としてはありますので、あえてその適応が全くないような状況で、副作用を十分に精査せずに予防を認めると推奨しているようにも見えますので、慎重に判断したというように理解いただければと思います。

 

○堀田座長

造血幹細胞移植だけなのかもしれませんけれども、アンチゲネミアというCMVの抗原を調べてそれである程度のポジティプになったところで使うというのは通常使用されています。固形臓器移植の場合はその辺はどうなのですか。例えば予防といっても何か根拠があって使用するのか、一般的に全部適応になるのか。

 

○宮崎参考人

移植の際に、ドナーの方が陽性で、レシピエントの方が陰性の場合は、ハイリスクだということで。

 

○堀田座長

それは適応と考えるので、アンチゲネミアはなくてもあってもよいのですね。

 

○宮崎参考人

はい。その場合の今回の適応ですので、アンチゲネミアになれば全例、適応だと思います。

 

○堀田座長

分かりました。

 

○五十嵐構成員

26 ページに多少関連することが書いてあるのですが、小児では今回は認めない、適応としない理由は何かあるのでしょうか。

 

○宮崎参考人

小児については、今後公知申請について検討することになっています。

 

○堀田座長

というところで、今回は成人の対象のようです。

 

○伊藤構成員

これは、以前に成人開発時に小児も同時にするという約束があった筈ですが。

 

○堀田座長

どうですか事務局の判断としては、確かそういう議論はありました。

 

○宮崎参考人

今事務局から聞いたのですが、小児の製剤を国内に入れるとなると、少し時間が掛かるので、まずは成人を急ぐという意味だそうです。

 

○堀田座長

製剤、剤型の問題で小児への適応が難しい場合は、成人を先行させるという、そういう意味合いで御理解いただければと思います。そのほかよろしいでしょうか。

 

○藤原構成員

先ほども御質問に上がっていた、造血幹細胞移植にこれを使わない理由のところで、24ページには欧米では未承認と書いてあるのですが、例えば承認申請はされたけれど、ネガティブな情報があって、不承認になったとか、あるいは保険償還の上では普通に使われていて、海外の造血幹細胞移植のガイドラインには載っているとか、そういう事実はなかったでしょうか。

 あとこれは移植学会からの要望ですけれども、造血幹細胞移植学会にこの効能がなくてもいいかどうか、不都合はありませんかとか聞かれたような経過もあるかどうか。

 

○宮崎参考人

造血幹細胞移植学会に対しては、積極的に必要性については、今回確認はしておりません。

 

○藤原構成員

海外での使用状況はどうなのですか、造血幹細胞移植のガイドラインとかには記載はなかったのですか。

 

○宮崎参考人

造血幹細胞移植学会のガイドラインには、恐らく記載がなかったと思いますけれども、もう一度確認してみます。

 実は造血幹細胞移植を外すことに関しては、ワーキングでも議論になりまして、どうするかということになったのですが、現時点では無理をしないというような結論になりました。今御質問を頂いた項目等については、再確認して、次回にでも連絡するようにいたします。

 

○堀田座長

今回は固形臓器移植に対する使用に限定していますけれども造血幹細胞についても状況を把握していただいて、必要ならばまたこの検討に加えることにしたいと思います。本日のこのワーキンググループの公知申請に係る該当性についてはよろしいでしょうか。

 続きまして、資料4-3について、安藤先生からお願いします。

 

○安藤参考人

資料4-3を御覧ください。抗がんワーキンググループから、経口フッ化ピリミジン剤であるカペシタビンの直腸がんに対する補助化学療法についての公知申請への該当性に係る報告書について報告いたします。要望は日本臨床腫瘍学会から上がっております。先ほど述べましたように、効能・効果で直腸がんにおける補助化学療法ということです。現時点では結腸がんに関する補助化学療法と進行・再発の直腸がんと結腸がんに対する効能・効果を有しております。

 2ページは、医療上の必要性に関しては、直腸がんは生命に重大な影響がある疾患の「ア」ということと、医療上の有用性についての該当性に関しては、欧米等で標準的な治療に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる「ウ」に該当すると判断しております。

 承認状況に関しては、米国等、欧州等を含めて直腸がんにおける術後化学療法の効能・効果についての効能では承認はされておりません。5ページの標準的使用状況に関しては、各ガイドライン、アメリカと欧州のガイドラインでは直腸がんに対してもこの本薬剤は放射線併用下等で術前もしくは術後の化学療法の1つの治療選択肢として位置付けられております。

 9~15ページ目までに、これは直腸がんの術前の本剤と放射線治療もしくは5-FUの静注剤等とプラチナ製剤を併用した放射線化学療法についての比較試験が5つ存在しております。それによると、本剤はプラチナ製剤との併用において、従来の5-FUに劣るものではないということが示されております。

15ページ目から教科書に関する標準的な治療に関する記載状況に関しては、先ほど述べましたように、直腸がんの術前放射線化学療法の併用における化学療法剤の1つとして、本剤は標準的な薬剤と位置付けられております。

16ページですが、欧米では下部の直腸がんに関しては術前の化学療法と放射線療法の併用を行い、その後に手術療法を行うことが標準的な治療です。一方国内では術前の化学療法、放射線併用療法というのは一般的に行われておらず、手術が基本的にまず行われて、その後に術後の化学療法が行われるという所が医療上の環境の大きな相違です。学会等の診療ガイドラインについての記載状況も先ほど教科書等の記載状況と全く同じで、17ページの国内におけるガイドラインでも、例えば大腸がん治療ガイドラインに関しても直腸がんの術後もしくは術前の放射線と化学療法の併用において、本剤は選択薬剤の1つであることが明記されております。

18ページの本邦の臨床試験成績ということで、国内においては直腸がんにおいての術後の補助化学療法としての臨床試験の報告はありません。19ページは、報告がないので、ワーキンググループでは大腸がん研究会にアンケート調査を依頼して、この169施設に行ったところ、「遠隔転移のない切除可能な進行下部直腸がんの治療」に関するアンケート調査で、術前の化学療法、放射線療法併用というのは43%の施設で行われていて、それら術前もしくは術後の化学療法で本剤単独もしくは、本剤とオキサリプラチン併用の化学療法を行うと回答した施設が61%、159施設中97施設ありました。次に術前の補助化学療法、放射線療法の併用における学会の抄録等を調べましたところ、43報あって、15報では、実は放射線と併用した場合、本剤での用法は変わるのですが、1回825mg/mBID、2日2回投与が行われておりました。19ページの公知申請の妥当性として、21ページの真ん中のパラグラフから、国内においては直腸がんにおける補助化学療法としての本剤の有効性を評価した臨床試験成績は報告されておりません。しかし、今までの国内の診療ガイドライン、教科書の記載内容等を踏まえると、日本人の直腸がん患者に対しても、補助化学療法としての本剤の有効性は期待できると考えられました。それが21ページの下に記載されているとおりです。

 安全性に関しては、23ページの、既承認の切除不能な進行・再発の結腸がん、直腸がんに関して、本薬が単剤で用いる場合、一回投与量が1250mg/mBIDを1日2回2週間投与し、1週間休薬するに関しては、日本人と外国人の間では、安全性に関して、副作用等に関しては大きな差異は認められていないということ。国内において、直腸がんにおける術後化学療法として、1回1250mg/mBIDを1日2回、2週間投与して、1週間休薬する用法と放射線照射の併用では、1回825mg/mBIDを1日2回週5日、もしくは2週間投与して1週間休薬する用法の使用実態が先ほど見ましたように認められており、一定の安全性が確認されているとワーキンググループは判断いたしました。

24ページの公知申請の該当性に関しては、今までいろいろ述べました理由から、ワーキンググループでは直腸がんにおける術後の補助化学療法として、本剤1回1250mg/mBID、1日2回を2週間投与して、1週間休薬する用法・用量及び放射線との併用では1回825mg/mBIDを1日2回週5日投与する用法・用量の有用性というのは、医薬薬学上公知であるというように判断いたしました。

 効能・効果に関しては、先ほど述べましたように、今までは「結腸がんにおける術後の補助化学療法」ということと、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」となっておりましたが、それを外して、「結腸・直腸がん」といたしました。

25ページの用法・用量に関しては、今までどおりの一回投与量1250mg/mBIDを1日2回で、14日内服、7日休み、それから放射線治療を併用した場合の825mg/mBIDを1日2回5日投与し、2日休薬を繰り返す、というのを設定いたしました。以上です。

 

○堀田座長

ありがとうございました。ただいまのカペシタビンの直腸がんにおける補助化学療法としての公知申請の該当性についての報告に関して、御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。なお、これは日本臨床腫瘍学会からの要望でありますので、藤原構成員におかれましては議決には参加しないことといたします。

 欧米の記載を見ると、あまり結腸がんと直腸がんを区別していないですね。

 

○安藤参考人

はい、そうです。ただ、欧米では結腸がんと直腸がんというのは開発が別に行われていて、それはなぜかというと、欧米では、結腸がんは手術が中心で直腸がんは放射線と化学療法が中心というのが欧米の医療実態で、日本は結腸がんも直腸がんも両方とも手術が中心というところで医療環境が大きく異なり、そこで欧米は2つを分けて開発してきたという経緯があります。

 

○堀田座長

そうすると日本の診療実態としては、まとめてもいいということですね。

 

○安藤参考人

はい。

 

○堀田座長

いかがでしょうか。藤原構成員、何か解説すべきポイントなどありますか。

 

○藤原構成員

完壁にやってもらっていますので、追加はありません。

 

○堀田座長

落合先生、化学療法のことですが、特にありませんか。

 

○落合構成員

特にありません。

 

○堀田座長

それでは、カペシタビンにつきましても、公知申請に該当するということにしたいと思います。続きまして、企業から提出されました開発工程表等について、事務局から説明をお願いします。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

それでは、研究開発振興課から御説明します。資料5-1を御覧ください。1枚紙になっていますが、表側の1、2行目が変更点になります。企業に対して開発要請を行っている要望ですが、第I回要望183件、第II回要望95件、第III回要望21件となっています。この数値は、昨年1228日現在でカットオフしたデータになっています。大きな変更点としましては、第III回要望が前回は22件と御報告させていただいていますが、昨年11月に1件、追加要請させていただき、また前回御議論いただきましたアッヴィの件を2件取り下げているので、差し引き22から21になっているところが変更点です。

 次に資料5-2を御覧ください。こちらは第I回要望についての進捗状況ということですが、1ページ目の表紙で承認済み164件になっています。前回御報告した際には161件ですので、承認が3件増えていることになります。また、承認申請済みの所は前回同様8件ですが、治験計画届提出済みの所は、前回13件が10件になっていますので、治験計画届提出済み3件分が上にスライドして、承認申請済みが更にスライドして3件ということで、上に3件ずつ押し上げて、結果的に164件、8件、10件という形になっている状況です。

 脚注の一番下を御覧ください。具体的なものは後で御紹介したいと思います。前回の報告時に承認済みと御報告すべき点が1件ありましたが、事務局の手違いで集計漏れがありましたので、今回1件を追加で御報告させていただいているところです。

 それでは順次、御紹介していきたいと思います。まず25ページに250.2、サノフィという案件があります。こちらの右側を見ていただきますと、承認日の所が20157月ということになっていまして、これが申し上げました前回の報告漏れということでして、本来であれば前回のときにカウントすべきだった所です。申し訳ありません。

 次の26ページに3件、328aから21356、この3件が新規に承認されたものということになっています。承認日については、それぞれ201511月又は12月と書いてあります。28ページ目に承認申請済みの分が残っています。75260283bというものが前回、治験届提出済みという形で御報告したものが、承認申請済みまで進んだ3件になっています。表については順次、情報が増えたら転記していきます。例えば中ほどにアーウィナーゼ筋注用と書いてありますが、なぜここに網掛けをしているかというと、前回御報告したときにはまだ日本語の販売名が決まっていないといった形で、英語名で書いており、その下のゼンタコートカプセルも未定という形で御報告させていただきましたが、順次決まったものについては、このような形で御紹介していきたいと考えています。こちらについては以上です。

 次に5-3の資料を御覧ください。こちらは第II回要望の品目、平成271228日現在の集計になります。こちらも承認済み70件ということですが、前回は69件ということで御報告させていただいています。1件、承認件数が増えているということになっています。

 次の承認申請済みですが、こちらは9件のままです。これは出入りがあったのですが、結果的に9件のままになっています。あと、治験計画提出済みも4件ということで、こちらも1件増えて1件減るという形で、出納は同じです。減っているのは、その他の案件が3件から2件になっているという状況です。

 具体的な品目について順次、御報告したいと思います。13ページの一番下、II-270、アストラゼネカのリドカイン塩酸塩ですが、こちらについて昨年12月に承認取得ということで、こちらが1個増えています。

 次のページ、II-25は大塚製薬のアリピプラゾールです。前回、治験届を提出済みという形で御報告させていただきましたが、承認申請済みというところまでステージが進んでいます。

16ページのII-110、サノフィですが、こちらも「その他」のところから1個進んで、治験計画提出済みというところまで進捗したというものです。こちらの資料は以上です。

 次に5-4の資料を御覧ください。こちらについては第III回要望でI回とII回とまだフォームがそろっていませんが、そろそろ案件数も増えてきましたので、次回以降辺りからフォームを5-25-3と同じようなものに集計していきたいと思いますが、前回からの変更点は表紙の一番下の行です。平成2711月に新たに御審議いただいたものを開発要請したのが1件あるという変更になっています。具体的な大きな変更点については、4ページにIII-(2)-10というものがありまして、11月に開発要請させていただいたというものになります。

 それから、5ページのIII-(1)-41は前回、既存データを用いて承認申請予定としていて、「その他」の部分で報告していましたが、今回は治験届を提出予定ということになっています。

 次の6ページ、III-(1)-3とIII-(1)-4です。前回は治験計画届を提出する予定になっていましたが、こちらは開発方針について、現在、企業内で検討中ということで、「その他」の区分に変更させていただいているものになります。7ページは、前回の検討会議で御検討いただいた結果、こちらについては開発要請を取り下げたものになっています。この資料は以上です。

 最後に資料6です。こちらは開発要請ではなくて、公募している品目の一覧表ですが、変更点はカルグルミック酸になります。こちらについては、前回は治験実施中という形で御報告させていただきましたが、現在は治験が終了しまして、承認申請に向けての準備中という御報告になっています。足早でしたが、進捗状況としては以上の形で、順次承認に移行しているところです。説明は以上です。

 

○堀田座長

ありがとうございました。それでは、ただいまの企業からの開発工程表等について、何か御質問や御意見はありますか。

 

○岩田構成員

資料6の裏側、第II回要望募集の下のほうに、16番、17番、ベンジルペニシリンベンザチンの梅毒への適応の要望があって、開発の意思の申出があった企業は「なし」というのが、ずっと続いているのですが、こういうのは今後どのようにしていかれる予定なのか、お聞かせいただければと思います。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

すみません、「なし」という所は私たちもすごく気を揉んでいるのですが、いろいろな意味で公募というのは難しくて、実際には埋まったところも、かなり担当の企業では苦労していただいて、特に導入の場合にはライセンスフィー等がかなり高くなったりすることがあります。また、製剤について作ったことがないものは導入が難しいとか、そういった障壁があって、やはり公募というものの開発は非常に難しいというのが実際です。

 ただ、実際には業界にもあの手この手で御相談をしているところですので、引き続き公募については温かい目で見守っていただいて、私たちも努力して前に進めたいと思いますし、表を見ていただくと分かると思うのですが、ここの承認済みの欄がだいぶ増えています。中医協のほうにも2年に1回御報告させていただいているところですが、最近、一気にここの部分が、確か3個から10個ぐらいまで増えたと思うのですが、皆さんの努力によって、最初はこういったものは要請品目に比べて、公募は開発なり導入計画が遅れてくるものですが、やっとこの頃になって承認が増えてきているところですので、引き続き皆様方の御協力と温かい目を賜って進めていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 

○岩田構成員

どうもありがとうございました。

 

○岡部構成員

関連して、改めてですが、やはり日本だけではなくて、梅毒の増加というのは非常に問題になっているので、早く解決できる方法がとれればいいなと思いますので、改めてお願いをしたいと思います。

 

○堀田座長

開発企業名等については、ここの検討会議の俎上に乗るだけで契約額が跳ね上がるというようなことも聞きますので、公表については契約が固まって公表ということにしたほうがよさそうな気がします。ありがとうございました。

 それでは、よろしいでしょうか。本日、机上に配布していただいた当日配布資料というものがあります。これについても事務局から報告をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

お手元の1枚紙の当日配布資料について御説明します。魚油由来のω3系静注用脂肪製剤に関する開発についてというものです。こちらの要望は日本外科学会から頂いたものです。こちらについて、第11回の検討会議で医療上の必要性が高いと御判断いただきまして、平成2446日に開発要請を行ったものです。今般、この要望について日本外科学会より、第II回要望における検討会議の検討対象外であったということで、取り下げる旨の申出を頂きましたので、今回、取下げという形で御報告申し上げるところです。

 要望の効能・効果は、腸管不全関連肝障害と栄養状態の改善となっていますが、海外承認及び海外のガイドラインでは、単に後者の栄養状態の改善、こちらに関する記載に留まっていまして、脂肪補給の1選択肢となっていました。

 一方、前者の腸管不全に伴う肝障害に対する予防・治療が、要望された日本外科学会が主眼に置くものでしたので、こちらについては海外の承認及び海外のガイドラインにも記載がないため、本来は第II回の要望における検討会議の枠組みでは、議論の俎上に上がらないものであったということです。

 今回、こういう形で説明をして、一旦取り下げるということで、申出を頂いたものです。なお、要望者であります日本外科学会では、腸管不全に伴う肝障害に対する予防・治療の効能・効果につきまして、医師主導治験などを実施し、当該適応に対するエビデンスを更に得た後に、改めて未承認薬の迅速実用化スキームに応募したいと考えているところです。以上です。

 

○堀田座長

ただいまの魚油由来ω3系静注用脂肪製剤の要望取下げについて、何か御発言はありますか。これは当初、医療上の必要性の評価はどうなっていましたか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

当時は、腸管から脂肪酸を補給するということが、やはり医療上重要だろうと考えてはいたのですが、この要望された適応について、諸外国で既に使われていることが前提でした。この度、企業のほうに開発の具体的なスキームとか、説明をしている中に、この腸管不全関連の肝障害に関するものについては、実は保険償還も含めて、海外では実際には使われていないことが分かりまして、学会にこちらの要望を求めるのか、それか単なる栄養改善なのかというところを再度確認させていただいて、前半の肝障害のほうだという話でしたので、第II回のスキームに乗らないことが改めて確認されたというものです。

 

○堀田座長

そうしますと、今後これについては臨床試験等が組まれていくということを先ほど説明されましたが、そのような対応で、要望からは取り下げさせていただくということでよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。

 続きまして、資料7-1については、新しい人道的見地からの治験について、事務局から説明をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

資料の7-1から7-3です。まず7-1から説明をさせていただきます。前回の会議で、人道的見地から実施される治験に関して、一部のスキームについて、この会議で検討していただきたいという旨を御説明させていただいて、了承されたかと思います。それについて、具体的に御報告をさせていただければと思います。

 資料7-1ですが、本年1月22日に資料7-2のほうでGCPの省令の改正をしました。これは人道的見地で使われる医薬品の規制を少し緩和するということ等、省令改正で行ったというものに合わせまして、資料7-1の具体的な治験の実施に関する通知を出したものです。

 資料7-1の2枚目を見てください。左上に白抜きの矢が4つ並んでいるページです。この白抜きの4つの下、黒丸の部分です。この部分が当検討会議で将来、御議論いただきたいことが記載してある所です。こちらについて、御説明させていただきます。

 この制度について、基本的には主たる治験という、ピボタルの治験が進んでいまして、それに対して、その治験に入れなかった患者が治験薬を早く使いたいというときに、拡大治験という形で治験の枠組みを作っていただく。ただし、それを作るかどうか、あるいは患者がそれに入れるかどうかということは、治験を実施する企業の方等が判断をすることになっています。その入れない理由について、主な理由が4つぐらいあるだろうということで、このページの左上にあります白抜きの矢の部分です。1つは、この拡大治験については当然、未承認薬ですので、やはり幅広く使うわけにはいかないということで、対象としまして、既存の治療方法で有効なものがない、あるいは生命に危険を及ぼすというものが対象ですので、その逆で既存の治療方法に有効なものがあるとか、あるいは生命に重大な影響がある重篤な疾患ではないという、このような理由が1つあるだろうと、これは制度該当性事由としています。

 2つ目には、治験薬の供給に余裕がないという絶対的事由、あるいは主たる治験の組入期間中あるいは主たる治験の実施に悪影響を及ぼす恐れがあるという時期的事由。あと、患者の状態から見て、治験に入っていただくと、状態が更に悪くなるのではないかという個別事由、大きく4つぐらいあるのではないかと考えています。

 このうち治験を実施する方が、一番上の制度該当性事由、その治験に入りたいと言われている疾病について、既存の治療方法に有効なものが存在する、あるいは疾患そのものが生命に重大な影響を与えないと判断された場合に、主治医あるいは患者が、「いや、そうではない。この病気は非常に死に直面するような病気なのだ。是非この治験に入らせてほしい」という意見があった場合には、国に書面で出していただく。そして、本検討会議で、この制度該当性の事由について御議論をしていただき、仮に企業等、治験実施者の判断と違う結果になりましたら、当方から治験実施者のほうに再度、拡大治験の実施を検討していただくように依頼をするという形になっています。

 具体的に先生方に御検討していただく資料ですが、資料7-3を御覧ください。前回の資料、一番上です。「人道的見地から実施される治験の制度該当性基準について」というものです。前回の会議から変わった所を見え消しにしています。省令の文言のほうで、前は「人道的見地からの治験」という所からの「実施される治験」という文言が変わった等、文言の整理をさせていただいておりますが、内容的には大きくは変わっていません。適応疾患の重篤性について、生命に重大な影響がある疾患か、そうではないのか。あるいは医療上の有用性について、既存の治療方法に有効なものが存在しないのか、そうではないのかということについて、御判断をいただくことにしています。

 下のほうの留意点の所も少し整理をさせていただいておりますが、これについては先ほど白抜きの矢の所で、拡大治験が実施できない理由について列記しているところです。

 仮にこのような形で主治医の方、あるいは主治医を通じて患者の方から一度、企業からの見解について、制度該当性事由について御理解いただけないときには、我々のほうに再度の要望書が来ると思いますので、そのときにはワーキンググループの先生方に御検討していただいた上で、また検討会議で諮りたいと思っています。前回、御報告しましたが、やはり患者は待っていらっしゃいますので、場合によれば持ち回りということで、先生方のほうに了解を頂くことも考えています。報告は以上です。

 

○堀田座長

前回にも制度上の該当性についての説明がありましたが、具体的にこれは課長通知という形で出たということですので、改めて確認をさせていただきたいところです。

 この検討会議での役割としては、患者のほうから上がってきた要望、要するに企業が対応できないけれども、患者が是非という場合に、制度該当性について、この場で議論させていただくということです。ですから、制度全般を運用するわけではなくて、制度該当性部分についての判断を、この検討会議がするということになろうかと思います。何か全般を通じて、この問題について御意見や御質問がありましたらお願いします。いかがでしょうか。ワーキンググループの方も、きっとこれには関わっていただかなければいけなくなると思いますので、何か確認や質問等がありましたら、よろしくお願いします。

 

○藤原構成員

課長通知が出たので読んでみて、多分ここで解釈を求められる事項として2つほど気になるのは、今回の拡大治験の対象患者は、海外でいうコホートというか、マスとして必要になっている方々が対象で、一番このコンパッショネートユースとして海外で広く運用されているような、FDAのシングルペーシェントINDとか、フランスのノミネーテッドATUのようなものは対象外になっているので、個人の患者が使いたいと言って、主治医と相談して要望が出てきたときには、この制度該当性事由に相当して、2人とか3人になるまで待ってくださいと言うのか、1人で要望されてもすぐ駄目ですよというように、自動的に排除するのか、そこが1つ分からないです。

 もう1つは、医薬品に限定すると書いてありますが、がんの領域では最近コンパニオン診断が、非常に未承認薬が多くて困っているのですが、一応、薬という名前は付いていますが、実際はキットです。体外診断薬については、この拡大治験の対象になるのかという2点を教えてください。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

1点目につきましてはシングルペーシェントを対象、個々の個人の方を対象にできるかということですが、恐らく2人、3人を待っているというよりも、多分1人要望が来たところで治験実施者は考えると思います。結果的に、その2、3人を待たずに実施されるのでしたら、治験計画書の作成などに取りかかっていただけると思いますので、だから1人、2人にならなければ多分それは動かないとかいうものではないと理解しています。

 治験という枠組みでやっていただくのですが、そこに必ず一定数以上の人がいなければいけないというものではありませんので、結果的には1人しか拡大治験に入っていらっしゃらないというケースもあろうかと思いますので、シングルペーシェントを全て排除しているという理解はしておりません。

 それから体外診断薬について、今コンパニオン診断薬のお話をされましたが、コンパニオン診断薬ですので、当然治療薬があるという前提で考えています。当然主たる治験のほうが走っておりますので、その治験薬に対して、患者選択のための診断薬というのも、当然主たる治験のほうで準備されていると思いますので、拡大治験のほうにも同じような形で、患者選択のためのコンパニオン診断薬というものがセットで動いていると思っておりますので、単独では体外診断薬だけを、この人道的見地からの治験という枠で使うことは、余りあり得ないのかなとは考えています。今は申し訳ありませんが、ルール上は医薬品を対象として考えているところです。以上です。

 

○堀田座長

そのほか、御意見、御質問はありますか。これは制度の判断とは別に、この制度そのものの運用が、例えば義務ではないと書いてあるので、そこら辺が微妙なのですが、もし適切に対応した場合としない場合で、インセンティブ、ディスインセンティブは何かあるのですか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

今のところは特に考えていません。企業の方は、かなり御負担しなければいけませんが、その御負担で可能な範囲でやっていただけると信じています。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

補足させていただきます。海外がどうなっているかというのも非常に重要だと思うのですが、御紹介いただいたアメリカのEAPでもマストになっていません。海外でも基本的には、このドネーションシップについては企業の判断でやるということは、グローバルスタンダードになっているようですので、そういう意味でも、我が国もグローバルスタンダードに従って、良識に基づいてやっていただく。

 ただ、一方でその良識が疑わしいという議論が挙げられることもあると思うのですが、まだアメリカでは法律が通ったとは聞いていませんが、アメリカではそういった企業のポリシーをしっかり出すべきではないかと。要するにどういう患者に適応して、どういう患者には適応しないのかといったようなものを、公明正大に出すべきではないかという議論が一方で出されていて、それを法制化するかどうかという議論が一方でなされているとは聞いていますが、基本的には企業の判断でやるということは、現時点での国際水準では標準的になっていると考えているところなので、そういった国際事情も踏まえて、多分制度というのは動いていくのかなと思っていました。参考までです。

 

○堀田座長

いかがでしょうか。これは、やはり患者さんの要望に応えるということですから、制度そのものは大きな問題はないと思いますが、運用があまりストリクトになってしまうと、実績が上がらないという問題と、余り何でもありというふうには、多分企業も対応できないだろうと思います。本検討会議としては制度該当性に沿っているかどうかという判断していただくということにしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、今日の主な議題はここまでですが、事務局からその他に何かありましたらお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

次回は518()16時から予定しています。委員と参考人の先生方は御多用のところですが、どうぞよろしくお願いします。以上です。

 

○堀田座長

どうもありがとうございました。これで終了します。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課

03-5253-1111(内線 4165、4229)

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