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2015年11月18日 第4回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成27年11月18日(水)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省専用第12会議室(12階)
東京都千代田区霞が関1-2-2



○出席者

【委員】

福井部会長 荒戸委員 今村委員 梅澤委員 大澤委員
岡野委員 掛江委員 紀ノ岡委員 後藤委員 小林委員
田島委員 柘植委員 手良向委員 中村委員 花井委員
前川委員 山口委員

【事務局】

神田医政局長 飯田審議官 梅田審議官 神ノ田研究開発振興課長 吉田研究企画官

○議事

○神ノ田課長 
 ただいまから、第4回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催いたします。本日は、部会の定数25名に対しまして、現時点で14名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達しておりますことを、まずもって御報告申し上げます。

 初めに、人事異動に伴いまして、医政局長と審議官の交代がありましたので、御紹介申し上げます。まず、医政局長の神田裕二でございます。

○神田局長 
 神田でございます。よろしくお願いいたします。

○神ノ田課長 
 続きまして、大臣官房審議官の梅田珠実でございます。

○梅田審議官 
 梅田でございます。よろしくお願いいたします。

○神ノ田課長 
 それでは、本日の会議資料の確認をお願いいたします。まず、議事次第がございます。本日は、4つの議題を御用意させていただいておりますが、4つ目の議題につきましては、提供基準への適合性確認の審査になりますので、この部分につきましては、非公開とさせていただく予定でございます。この裏面に配布資料一覧を用意しておりますので、併せて御確認をいただければと思います。座席表がございまして、その裏面が委員名簿となっております。資料1が「遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告について」ということで、28ページのものとなっております。資料2-1が「厚生科学審議会再生医療等評価部会運営細則」で、1枚紙のものです。資料2-2、「ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会の設置について()」、資料2-3が「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会の廃止について()」でございます。資料3-1、「「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」の見直しに関する研究」でございます。資料3-2が「iPS細胞等を用いた臨床研究を実施する際の移植細胞の安全性評価の在り方に係る研究」でございます。資料4-1-14-1-3は、広島大学から提出のあった提供計画に関する資料でございます。資料4-2-1~資料4-2-3が大阪大学から提出のあった資料でございます。なお、委員の皆様方のお手元には、タブレットで参考資料を御用意させていただいておりますので、適宜、御参照いただければと思っております。資料の不足等がございましたら、お知らせいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、円滑な議事進行のため、撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。それでは、以後の進行につきましては、福井部会長にお願いいたします。

○福井部会長 
 それでは、議事に入ります。議事の1は、「遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告について」であります。事務局より、説明をお願いします。

○吉田研究企画官 
 厚生科学課の吉田と申します。資料1を御覧ください。今回、遺伝子治療臨床研究につきましては、研究実施施設からの報告案件が5施設6件ございます。まず、めくっていただきまして、1件目が頭頸部・胸部悪性腫瘍に対する腫瘍選択的融解ウイルスTelomelysinを用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究の変更申請についてです。本件は、頭頸部・胸部悪性腫瘍に対して、腫瘍選択的融解ウイルスと、放射線治療を併用する遺伝子治療の臨床研究です。これにつきましては、67ページの新旧対照表を御覧いただければと思います。

 今回の変更におきましては、まず、研究期間の延長と、高用量群への移行基準の見直しを行うものです。研究グループが移行基準の見直しを検討した経緯といたしましては、低用量群で、Grade4の血液系の有害事象、リンパ球の減少が見られたことから、今後、中用量群への投与を開始するに当たって、同様の有害事象が発生することを想定し、その場合、研究の継続に影響を生じ得るため、移行基準の見直しを検討し、院内の倫理審査委員会や、外部の放射線治療医の意見を踏まえ、研究機関としては、変更を了承したということです。移行基準の変更が重大な研究計画の変更に該当することから、再生医療等評価部会の下に設置されております遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会にて審議を行い、同委員会において、了承して差し支えないとの判断がありました。これについて、実施を了承する旨、申請者には、回答済でございます。

 続きまして、8ページを御覧ください。こちらは、AADC欠損症に対する遺伝子治療の臨床研究の変更届です。これにつきましては、12ページを御覧いただければと思います。同一のベクターを用いた2件の臨床研究について、同意説明文書の変更を報告するものです。本件は、730日に開かれました第3回の本評価部会におきまして、パーキンソン病を対象とする臨床研究で、重大事態、被験者の突然死が発生したことを報告した際、申請者より提出のあった同意説明文書の改訂案について、学内で因果関係がないと判断した理由の記載が弱いのではないかという指摘があったものです。今般、申請者からその指摘も踏まえた同意説明文書の変更が行われたので、報告するものです。

12ページ及び16ページの両方に書いてありますとおり、この下線部分が新しく加えられております。具体的には「この委員会では、上記の所見に加え、パーキンソン病では死因は不明であるものの突然死の頻度が14%(6/44例)あるという他施設の報告も考量された結果、遺伝子治療と今回の1人目の方の突然死との間には因果関係は認められず、遺伝子治療を継続することに問題はないとされております」ということです。このような変更がされたということです。

 続きまして、17ページを御覧ください。こちらは進行性膠芽腫患者に対する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスG47Δを用いた遺伝子治療(ウイルス療法)の臨床研究における重大事態等の報告です。これは膠芽腫に対する腫瘍選択的溶解ウイルスであるG47Δによるウイルス療法ですが、重篤な有害事象として、被験者死亡の発生について、報告するものです。19ページを御覧いただければと思いますけれども、倫理審査委員会での検討も踏まえて、被験者との因果関係については、原病の増悪と判断されているところです。

 続きまして、20ページを御覧ください。こちらは、免疫抑制性前処置後のMAGE-A4抗原特異的TCR遺伝子導入Tリンパ球輸注による、治療抵抗性食道がんに対する遺伝子治療臨床研究の中止報告です。三重大学による、治療抵抗性食道がんに対して、がん抗原MAGE-A4抗原特異的TCR遺伝子を導入した、Tリンパ球を輸注する臨床研究です。研究の中止を報告するもので、現時点まで被験者の組入れは行れておりません。中止の背景としては、もともと対象となる被験者が少数で、組入れが困難だったことに加え、これまでの研究成果を踏まえ、同一の被験薬かつ対象疾患範囲をより広く取った治験に着手したため、本臨床研究と治験との間で被験者の登録が競合してしまったということです。本臨床研究の目的は、基本的に治験で達成できることから、治験に一本化したいということで、本臨床研究は中止したという報告です。これについては、2223ページにかけて記載のとおりです。

 続きまして、24ページを御覧ください。MS3-WT1-siTCRベクターを用いたWT1抗原特異的TCR遺伝子導入Tリンパ球輸注による、急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群に対する遺伝子治療臨床研究の重大事態報告です。これは三重大学、愛媛大学、名古屋大学、藤田保健衛生大学による多施設共同臨床研究です。急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群に対して、がん抗原WT1特異的TCR遺伝子を導入したTリンパ球を輸注する臨床研究です。これについては、2728ページを御覧いただければと思います。名古屋大学における重篤な有害事象として、被験者死亡の発生について報告がありました。これについては、倫理審査委員会での検討も踏まえ、被験者との因果関係はなし、原病の増悪及び正常造血能の低下に伴う感染症合併と判断されているところです。報告事項は以上です。

○福井部会長 
 ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等お願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。以前の会議で出ましたパーキンソン病、12ページと16ページにあります書き加えた部分につきましても、これでよろしいでしょうか。もう少し説明をするようにという御意見だったと思います。

○大澤委員 
 最後の症例ですね。名古屋大学の分ですが、28ページの右側の上から24行目にかけて、この死亡された症例において、剖検が施行されなかったとなっているのですが、この予期しない死亡に対して、剖検をする努力はしなくてもいいのでしょうか。

○福井部会長 
 この点につきまして、何か情報はございますか。単に剖検が施行されなかったとだけ書いてあるのですが。

○吉田研究企画官 
 これ以上の情報は聞いていないのですが、通常、剖検等をする際には、いわゆる御遺族の方との同意等を含めて、いろいろな諸条件があった上で、実施されることと理解しておりますので、それ以上の詳しいことは把握しておりません。

○大澤委員 
 はい。ありがとうございました。

○福井部会長 
 よろしいでしょうか。それでは、遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告につきましては、本部会として、了解することとして、よろしいでしょうか。

          (了承)

○福井部会長 
 それでは、そのようにさせていただきます。

 議事の2-1に移ります。「ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会の設置について」であります。事務局から説明をお願いいたします。

○神ノ田課長 
 それでは、御説明申し上げます。資料2-1を御用意ください。こちらに再生医療等評価部会運営細則の抜粋を御用意させていただいております。第1条で委員会の設置規定がありまして、第2条で、この委員会については、厚生科学審議会の委員、臨時委員又は専門委員の中から、部会長が指名する者により構成するとされております。また、第3条において、委員長は部会長が指名する規定になっております。その下に評価部会の構成と役割をまとめておりますが、現在2つの委員会が設置されており、1つがヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会、もう1つが遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会となっております。

 本日お諮りしたいのは2点ありまして、1つが一番下にある、ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会の新設、もう1つが一番上のヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会の廃止についてです。まず、新設のほうですが、資料2-2を御覧ください。こちらの裏面になりますが、このES細胞については、生命倫理上の問題等から、これまで基礎的研究に限定して利用されてきた経緯があり、この上段にありますように、指針についても、文部科学省が所管する樹立分配指針と使用指針の2つにより実施されてきたという経緯です、こちらの青い所です。これが、昨年11月の再生医療等安全性確保法と改正薬事法の施行に合わせて、基礎的研究から臨床研究、医療までをカバーするような樹立指針という形で改められ、緑の所にあるように、文部科学省、厚生労働省の共管の指針として定められております。

 この2ページの下のほうに、樹立の手続をまとめております。まず、樹立機関のほうで倫理審査委員会の審査をへて、この樹立計画の案を策定するわけですが、それについて右の10にありますが、樹立計画の確認申請ということで、国のほうに上がってまいります。国のほうでは、主務大臣である文部科学大臣と厚生労働大臣が関係審議会の意見を聞いた上で、この樹立計画の指針適合性の確認をする手続になっております。今回はこの審議をするための委員会を設置したいということであり、この審査に当たりましては、文部科学省と厚生労働省が共同開催することも現在調整中です。

1ページにお戻りいただき、この審査委員会の設置の主旨です。少し説明が重複いたしますが、「ヒトES細胞の樹立に関する指針」に基づき実施されるヒトES細胞の樹立計画について科学的合理性及び必要性を有しているかの評価を行い、それらの結果を再生医療等評価部会に報告するということで、設置するものです。

2番目の、委員会の検討事項ですが、(1)ヒトES細胞の樹立計画について指針への適合性の評価を行うこと。また、(2)その他の関連する事項について検討を行うことの2点になっております。

3番目の委員会の構成ですが、委員会はヒトES細胞についての倫理的及び科学的知見を有する者から構成するということで、また、特定事項の評価のために必要に応じて、当該事項に知見を有する委員を委員会に加え、又は参考人を招致することができるということです。「なお」として書いてありますが、委員及び委員長は、先ほど御説明しましたが、運営細則の第2条及び第3条により、厚生科学審議会の委員、臨時委員又は専門委員の中から、部会長が指名するということです。

4番目の関係者の出席です。委員会は検討事項に関する説明を聴取するため、樹立責任者又は研究者に、委員会への出席を求めることができるとされております。

5番目、その他として、上記のほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が定めるとしております。この案について、御審議いただければと思います。よろしくお願いします。

○福井部会長 
 ありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありますでしょうか。この部会に報告するための審査委員会を設立するということです。よろしいでしょうか。

          (了承)

○福井部会長 
 それでは、ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会の設置については、本部会として了解することとさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、議事の2-2になります。「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会の廃止について」です。事務局より説明をお願いいたします。

○神ノ田課長 
 はい、御説明を申し上げます。資料2-3を御用意ください。「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会の廃止について()」です。設置の経緯ですが、再生医療等の安全性の確保等に関する法律の経過措置が設けられており、昨年の11月でしたが、この法施行の際に、現に実施されていた臨床研究については、法の施行日から1年間、引き続き、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に基づき、実施することが認められております。その経過措置の対象となる臨床研究について、重大な変更又は重大な事態報告があった際の評価等を行っていただくということで、この審査委員会が設置されたという経緯があります。

2番目の委員会の廃止についてですが、法の経過措置が、この1124日をもって終了することになりますので、それをもって委員会を廃止するというものです。

3番目の委員会廃止後の対応についてです。経過措置の終了により新たな被験者への治療といったようなことは実施されることはなくなるわけですが、非常にレアケースではありますが、既に実施されている治療等の中で、少し時間を空けて重大事態等が生じるような可能性も残されておりますので、そういった臨床研究に関わる経過観察中の報告等については、この評価部会のほうで直接、評価していただきたいということを、3番目の所に記載させていただいております。説明は以上です。

○福井部会長 
 ありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありますでしょうか。これについても御了解いただいたということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

          (了承)

○福井部会長 
 ありがとうございます。それでは、本部会として了解することといたします。

 議事の3-1に移ります。これは厚生科学特別研究事業での取組について、最初の(1)ですが、「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針の見直しに関する研究について」です。事務局より説明をお願いします。

○神ノ田課長 
 御説明いたします。本評価部会と密接に関係するような特別研究が、年度途中ではありますが、2つほど実施されることになりましたので、御説明申し上げます。

 まず、資料3-1ですが、「「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」の見直しに関する研究」についてです。背景ですが、この指針については、平成13年に既に策定されておりましたが、2つ目の所に書いてありますように、国内でのヒトへの異種移植の実施例はまだないという状況です。ただ、欧米や韓国においては、既にブタ膵島移植の臨床研究が始まっており、また、治験や製品化の動きもあるという状況です。

 そういった中、本年の11月に国際異種移植学会が、ブタ膵島移植のコンセンサスステイトメントを改定することが予定されており、これを受けて所要の指針の見直しをする必要性が出てきたということです。1番下にありますが、年度内に指針の改定をいたしまして、来年の4月には、この再生医療等評価部会に御報告を申し上げたいと思いますし、また、改定後の指針については、認定再生医療等委員会にしっかりと周知して、この再生医療等委員会における提供計画の審査の参考にしていただくことを予定しております。簡単ではありますが以上です。

○福井部会長 
 ありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見、御質問等お願いいたします。

○花井委員 
 例えば、ヒトキメラブタもこれに入るのですか。完全に異種の場合ということですか。

○神ノ田課長 
 現行では、ブタの細胞をということで、やられているようです。

○花井委員 
 ブタの中のヒト由来というのは、これとは別の枠ということですか。

○神ノ田課長 
 そうです。

○福井部会長 
 ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員 
 見直しの題名が感染上の問題に関する指針ということは、要するに人類共通感染症等による懸念のところだけを議論されるのか。例えば、ヨーロッパ医薬品庁は、異種細胞を用いた細胞治療に対するガイドラインなどを作っていて、そういうところまで踏み込んで議論されるのか、その辺を少し教えていただければと思います。

○神ノ田課長 
 現時点では、コンセンサスステイトメントにどういった改正がされるかというところが、まだ決まっていませんので、まずはしっかりと情報を収集したいと考えております。その上で恐らく、13年時点で想定していなかったようなこともたくさんあって、その後に決められたようなルールもあるのだろうと思いますので、そういったことをしっかりと盛り込んでいくことを予定しています。したがって、この感染症問題に関する指針ということになっていますが、名称の変更も含めて、それ以外のものも含めて、改定するような作業になるかと思っております。

○福井部会長 
 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。それでは、この「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」の見直しに関する研究についても本部会として了解することとしたいと思います。よろしいでしょうか。

          (了承)

○福井部会長 
 ありがとうございます。

 それでは、議事の3-2、「iPS細胞等を用いた臨床研究を実施する際の移植細胞の安全性評価の在り方に係る研究について」です。事務局より説明をお願いいたします。

○神ノ田課長 
 それでは、資料3-2を御用意ください。「iPS細胞等を用いた臨床研究を実施する際の移植細胞の安全性評価の在り方に係る研究」ということで、こちらも特別研究ということで、年度途中ではありますが、実施することとなりました。委員の皆様方も御案内のとおり、iPS細胞由来の移植細胞については、がん化のリスクが指摘されており、実際にヒトに移植する際に、安全性の確保ということが非常に大きな課題となってまいりました。

 どこまで確認すればいいのか、しっかりとコンセンサスが得られていない中で、昨年9月に実施された世界初の移植において、相当程度、フルセットで検査をするような対応も取られておりますが、毎回そういった形での確認、検査は現実的ではないだろうということで、どこまで確認するかという考え方を整理していきたいという研究事業です。

 この実施に当たり、文部科学省ともしっかりと連携し、文部科学省の基礎的な研究の中でこれまで蓄積されてきた、移植細胞に係るリスクの定量的な評価に係るような知見を是非、提供していただき、その知見に基づいて、厚生労働省の特別研究の中で、この臨床研究を実施する際の考え方を整理していきたいというものです。

 主な検討課題ですが、最低限、実施が望まれる検査ということで、どのような検査があるのか、各検査のメリットやデメリット、あるいは限界はどういったものがあるかというところを1つずつ整理するという作業。あるいは疾患別リスク評価ということで、例えば、大量の培養が必要になるような研究と、そんなに増やさなくてもいい研究ではリスクの程度が違うのではないか。あるいは、対象患者の選定方法で、がん化ということであれば、子供に移植した場合は、かなり慎重にやる必要があるでしょうし、高齢者となれば、比較的、若い人と比べれば、厳密なところまでは、やらなくてもいいかもしれません。あるいは重症度の問題で、ほかに代わる治療法がない方については、多少のリスクがあっても実施することが認められる可能性もあるのではないか。そういったことを、もろもろを検討していただくということです。最後の最後は、個々の提供計画ごとに判断することになりますし、被験者からのインフォームドコンセントをしっかりと受ける中で実施していくということで、ベネフィットとリスクを天秤にかけての判断になるかと思います。

 したがって、基準をまとめるということは予定していません。基準ということになると、この検査をして、こういう結果になったら、もう絶対に駄目だとか、がんじがらめになってしまいますので、そういった性格の成果物ではなく、安全性評価の在り方、考え方、どういう手順を踏んでいけばいいのかを、ガイドラインとして示していくことができたらと考えております。これらの考え方を整理した上で、また、ここの評価部会にも御報告させていただきますし、御了承を得られれば、再生医療等委員会のほうにしっかりと周知して、審査の際の参考にしていただきたいと考えております。以上です。

○福井部会長 
 ありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありますか。がん化のリスクについては、何度も話題に上がってきているとは思いますが、このような対応を取りたいということです。よろしいでしょうか。

         (了承)

○福井部会長 
 それでは、このiPS細胞等を用いた臨床研究を実施する際の移植細胞の安全性評価の在り方に係る研究についても、本会として了解することにしたいと思います。


 

(非公開部分の議事概要については以下のとおり)
 議事:第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性確認

議事概要:

1.以下の第一種再生医療等提供計画について、再生医療等提供基準に適合していることを確認した。

 ・再生医療等提供機関
  広島大学病院

 ・提供しようとする再生医療等の名称
  感染症予防を目的とした肝臓移植におけるドナー肝臓由来活性化ナチュラルキラー
NK)細胞を用いた術後免疫賦活療法の臨床応用

2.以下の第一種再生医療等提供計画について、再生医療等提供基準への適合性を次回の再生医療等評価部会において再確認することとした。

 ・再生医療等提供機関
  大阪大学医学部附属病院

 ・提供しようとする再生医療等の名称
  重症家族性高コレステロール血症(主としてホモ接合体)に対する同種脂肪組織由来
多系統前駆細胞移植療法の安全性の検討

 


(了)

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