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2015年7月24日 平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 化学物質審議会第149回審査部会 第156回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 【第一部】 議事録

○日時

平成27年7月24日(金)13:00~14:40


○場所

経済産業省 別館1階101-2・103・105共用会議室


○出席者

(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

小川 久美子 菅野 純 鈴木 勇司
高木 篤也 田中 博之 西川 秋佳 (座長)
平塚 明 本間 正充

化学物質審議会審査部会委員

大石 美奈子 小林 剛 庄野 文章
恒見 清孝 原田 房枝 林 真 (部会長)

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展 菅野 純 日下 幸則
白石 寛明 (委員長) 鈴木 規之 田中 嘉成
山本 裕史 吉岡 義正 和田 勝

事務局

厚生労働省 倉持化学物質安全対策室長
経済産業省 飛騨化学物質安全室長
環境省 福島化学物質審査室長 他

○議題

1.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIにおける評価について
2.その他

○議事

○経産省  時間がまいりましたので、ただいまから平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、平成27年度化学物質審議会第1回安全対策部会、第156回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審議会を開催したいと思います。

 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしておりまして、それぞれの審議会は成立していることをご報告致します。

 なお、合同審議会は第一部と第二部に分けて実施します。本日は13時から15時までを第一部として、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIの審議等を公開で行います。終了後、休憩を挟みまして、1520分より第二部を行いますので、宜しくお願い致します。

 また、本日はプレスが来ておりますので、カメラ撮影がされることがありますので、ご了承ください。審議に集中するために、プレスの方は、カメラ撮りにつきましては13時5分ぐらいまでには終えるようにしてください。

 議事に先立ちまして、事務局に異動がありましたのでご報告致します。

 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室に飛騨俊秀が着任しております。ご挨拶を申し上げます。

○経産省  飛騨でございます。どうぞ宜しくお願い致します。

 私、5年ほど前まで化学物質管理課のほうに在籍しておりまして、この化審法の中にリスク評価というスキームを入れるということに関して検討したり、あるいは法改正をするお手伝いをさせていただいておりました。今後はこのリスク評価の促進あるいは加速化に向けて努力をしたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。

○経産省  引き続きまして、安全対策部会委員の変更がありましたので、ご紹介致します。

 横浜国立大学、小林剛准教授が安全対策部会臨時委員に新たに就任されました。一言ご挨拶をお願い致します。

○小林委員  横浜国立大学の小林と申します。

 この後の審査部会のほうは参加させていただいているのですが、こちらのほうは初めてとなります。自身としては、化学物質の安全管理ですとか、あと大気とか土壌での化学物質中での化学物質の安全性の評価・管理、あと浄化技術の開発のようなことを研究対象としております。今後とも宜しくお願い致します。

○経産省  なお、安全対策部会の臨時委員の吉田緑委員はご退任されました。

 それでは、お手元にお配りしました資料について確認にまいりたいと思います。

 まずは、議事次第になります。次に、資料1─1「優先評価化学物質のリスク評価の現状」。資料1─2「リスク評価II全体スケジュール(平成27年度~平成29年度)(案)」。資料2─1「リスク評価(一次)評価IIにおける2,6--tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)の評価結果について(生態影響)」、ここは「評価結果(案)」になりますので、訂正になります。資料2─2「(案)優先評価化学物質のリスク評価(一次)生態影響に係る評価II 2,6--tert-ブチル-4-メチルフェノール」、これは評価書の本体になります。資料3─1「リスク評価(一次)評価IIにおける1,2,4-トリメチルベンゼンの評価結果について(生態影響)」、これも、同様に「評価結果(案)」という形に訂正になります。資料3─2「優先評価化学物質のリスク評価(一次)生態影響に係る評価II 1,2,4-トリメチルベンゼン」、これも評価書の本体になります。参考資料1「委員名簿」になります。

 不足等ございましたら事務局まで宜しくお願い致します。

 なお、参考資料2「化審法における優先評価化学物質に関するリスク評価の技術ガイダンス」につきましては、ペーパーレスの観点で既に公表し、また、各委員のお手元に配付しておりますパソコンに保存しております。必要に応じて適宜ご参照いただければ幸いです。

 それでは、これより議事に入りたいと思います。

 本日の全体の議事進行につきましては、化学物質審議会安全対策部会、林部会長にお願い致します。

 林部会長、どうぞ宜しくお願い致します。

○林部会長  それでは、これより議事に移らせていただきます。

 まず初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りします。

 各審議会の公開につきましては、それぞれ規定のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合または特定な者に不当な益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合には該当しないと考えますので、原則公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、お認めいただいたことといたしまして、本日の会議は公開と致します。

 議事録につきましては、後日、厚生労働省、経済産業省、環境省のホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おき願います。

 それでは、まず、議題1の「優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIにおける評価について」、議事を始めたいと思います。

 まず、議題1の優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIにおける評価につきまして、個別の物質の審議に入る前に、事務局から、おさらいとしまして、優先評価化学物質のリスク評価の現状及びリスク評価スケジュールについて説明をお願い致します。

○経産省  それでは、資料1─1を御覧下さい。

 1枚ページをめくりまして、これは化審法の体系を示しております。上市前の新規化学物質は事前審査を受けなければ上市ができないこととされておりますが、上市後は、その性状によっては規制される場合もありますが、大部分の物質である既存化学物質を含む一般の化学物質につきましては毎年製造数量等の届出が義務化されており、リスク評価の観点から毎年チェックが行われます。いわゆるスクリーニング評価ですが、そういった運用が定着しております。その中でもリスクが十分に低いといえないような物質につきましては優先評価化学物質に指定され、毎年製造数量等の詳細な情報の届出が義務化されているという状況です。現在、この物質が約180物質ぐらいです。これらの物質はさらに詳細なリスク評価が行われまして、その結果、環境中に広範に残留し、人や生態に悪影響を及ぼし得るような場合には第二種特定化学物質に指定され、その化学物質の製造輸入自体が制限されていくといった規制がされる仕組みとなっております。

 次のページを御覧下さい。

 これは、一般化学物質における第二種特定化学物質を指定するまでのリスク評価のフローを示したものでございます。スクリーニング評価の結果、リスクが十分低いといえない物質につきましては、優先評価化学物質に指定した上で、リスク評価の一次とか二次と、順次精緻な評価を行い、懸念ある物質を段階的に絞り込んでいくというふうなプロセスになっております。

 次のページを御覧下さい。

 これは、優先評価化学物質の指定の状況を示したものでございます。平成23年4月1日に初めて88物質が指定されて以来、毎年指定がされおり、平成26年4月1日の指定で約170物質まで増加してまいりました。昨年の10月には、製造・輸入数量や推計排出量が経年的にごく少ない状況にあった評価Iの5物質が取り消されました。また、昨年の12月には1物質、これは塩化ビニルのモノマーですけれども、評価IIの詳細な評価を踏まえて取り消されたということでございます。さらに、平成27年4月1日に14物質ほど追加指定されました。現在、優先評価化学物質が177物質あるという状況になっております。内訳は、人健康によるものが122物質、生態影響によるものが77物質で、双方に影響のあるものは20物質程度あるという状況でございます。

 次のページを御覧下さい。

 これは、優先評価化学物質の評価プロセスをもう少し詳細に示したものでございます。リスク評価の一次につきましては、四角囲みで「評価I」とか「評価II」とか「評価III」とありますように、さらに3段階に分かれております。優先評価化学物質に指定されますと、まず、「評価の準備」と四角囲みにあるのですが、そこで届出された製造・輸入数量の確認とか、国がリスク評価を行うということになっておりますので、その評価に必要な有害性や物化性状等の性状情報とか、そういった必要な情報を補充したり、収集などを行います。それらのデータに基づきまして、評価Iにおきましてはリスク評価を行い、リスクの程度やハザードの大きさを考慮いたしまして、詳細な評価を行う物質の優先順位づけを行います。

 評価IIでは、より精緻な評価を行うべく、性状データとか、あるいは届出情報の精査を行うとともに、化審法の届出情報のみならず、PRTRの情報とかモニタリングの情報などを活用し、様々な評価を行って、その結果を総合的に判断して、第二種特定化学物質にするのか、あるいは優先化学物質から取り消すのか、あるいは収集した情報とか評価結果を合わせてもいずれも判断が難しいという場合には、さらに情報提供等を求めていくのかということを決定していくということになります。

 次の5~7ページを御覧下さい。

 評価Iでの優先順位づけの結果、評価IIにおいて詳細評価が必要とされた計40物質を5~7ページに示しているということでございます。平成24年度より18物質、平成25年度から8物質、平成26年度より16物質が評価IIに進められている状況でございます。昨年度の6月の審議会におきましては、5ページになるのですが、イソプロペニルベンゼンとビスフェノールAの2物質につきまして生態影響の観点で詳細な評価が行われましたが、ともに広範な地域での悪影響が無いとし、ビスフェノールAについてはその上で当面の間追加モニタリングを行うというふうに整理されております。また、昨年度の12月の審議会におきましては、5ページの欄外に二重丸でついているところですが、クロロエチレンにつきましては人健康影響の観点で詳細な評価を行い、同様に、広範な地域での悪影響がないとされ、生態影響におけるスクリーニング評価相当レベルの評価結果も踏まえ、優先評価化学物質の取り消しと判断されました。今般ご審議を予定しておりますのは、いずれも生態影響の観点での評価になります、欄外の米印の2物質になります。5ページの2,6--tert-ブチル-4-メチルフェノールと6ページの1,2,4-トリメチルベンゼンでございますので、ご審議のほうを宜しくお願い致します。

 続きまして、資料1─2を御覧下さい。

 これは、先ほど示しましたリスク評価II40物質の3ヵ年のスケジュールでございます。

 リスク評価IIを進めていく個々の物質につきましてはWSSDの2020年目標に向けて進めていく必要があることや、事業者の方から取り扱い物質がいつ評価されるのかといった様なスケジュール開示のご要望が多々ありました。また、審議会での委員からのご指摘等も踏まえまして、今般このようなスケジュールをご提示させていただいております。基本的には評価IIの着手開始年度に従ってスケジューリングはされておるのですが、個々の物質の情報の収集の程度とか評価の進捗も、物質の汎用性とか、知名度とか、用途とか、あるいは混合物かどうかとか、そういった様々な事情で左右されてくるものでございまして、スケジュールは必ずしも着手開始年度から設定されていないものもございます。また、今後もその辺の状況を踏まえると、スケジュールがずれてくるものがあることもご了承いただければというふうに思っております。

 平成27年度は、これは一番上の囲みですけれども、本日ご審議予定であります優先評価化学物質の通し番号である49番、64番を含めまして計7物質を予定しております。本日の2物質以外の5物質につきましては、後日の審議会にてご審議させていただきたいと考えております。長くなりましたが以上でございます。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、何かご質問、コメント等はございますでしょうか。

 もし無いようでしたら、今の説明は本日のイントロダクションの所ですので、早速本日の審議に移らせていただきたいと思います。

 本日は、先ほども申し上げましたように、リスク評価IIに進んでいる2つの評価物質について、生態影響の観点で審議を行うことと致します。

 まずは、2,6--tert-ブチル-4-メチルフェノールのリスク評価IIの評価結果及び今後の対応についてでございます。

 事務局より御説明をお願い致します。

○環境省  それでは、資料2─1と資料2─2を使って御説明させていただきます。資料2─1は評価の概要版ということになっておりまして、資料2─2は評価書と呼ばせていただきます。

 それでは、まず資料2─1を御覧下さい。

 最初、冒頭部分は少し説明を飛ばさせていただきまして、まず「評価の概要について」というところから御説明させていただきます。

 今回の評価対象物質でございますけれども、先ほど御説明がありました2,6--tert-ブチル-4-メチルフェノール、こちらは単一の物質でございますので、このまま評価対象物質とさせていただきたいと思います。

 続きましては、「(2)物理化学的性状、濃縮性及び分解性について」ということでございます。こちらの経済産業省やNITEさんで専門家のレビューを受けているという結果を表2、表3でお示ししております。

 こちらは2点ありまして、1つは暴露評価のモデルにこの後使っていくというパラメーターになるということでございます。

 また、もう1つ、LogPowというところ、表2の中の中ほどにあります1-オクタノールと水との間の分配係数という、こちらの指標が3を超えています場合には底質に残留するという可能性がございまして、水生生物だけでなく底生生物の評価を行うということとさせておりますので、以降の説明については水生生物と底生生物と両方の影響を見るとなってございます。

 それでは、おめくりいただきまして、4ページ目でございます。

 続きまして、この2,6--tert-ブチル-4-メチルフェノール、これからはBHTと呼ばせていただきますけれども、このBHTの生態に係る有害性の評価でございます。

 こちらは今までの評価書と違いまして、評価書、資料2─2のほうの、まず79ページのあたりを少しだけ御覧いただきますと、今回からきちんと、これまで情報収集させていただいた情報の一覧というのを付けさせていただいてございます。こちらは分量が多いので説明は割愛させていただきまして、この評価書の23ページを御覧下さい。

 こちらが有害性評価のパートになってございまして、先ほどの情報のうち信頼性の評価を得たものというのがこの表4─1に書いてございまして、こちらも環境省のほうで専門家の先生方に見ていただきまして、信頼性のある情報というのはこちらであったということでございます。この中から手順に従いまして予測無影響濃度というものを算出させていただきます。

25ページを御覧下さい。

 まず、水生生物のPNEC、予測無影響濃度でございますけれども、二次消費者──今回はメダカでございましたが──の成長阻害に対する無影響濃度から予測しておりまして、0.0053mg/Lという数値を得ております。

 続きまして、底生生物でございますけれども、こちらはセスジユスリカという生物のデータが得られておりまして、こちらは不確実係数を除しましてPNEC値は1.3mg/kg-dryというデータを得ております。そちらは概要版のほうでは4ページのところにまとめておりまして、水生生物と底生生物それぞれでPNEC値を出しておりまして、表4のとおりまとめているところでございます。

 有害性の評価までは以上でございます。

○経産省  続きまして、(4)の推計結果の概要でございますが、推計結果の前に、リスク推計に用いました化審法に基づく製造等の届出数量あるいはPRTRの情報につきまして、評価書、資料2─2を用いて御説明させていただきたいと思います。

 資料2─2の9ページを御覧下さい。

 図3─1に、化審法に基づく製造・輸入数量を示しております。経年変化的には、平成22年から24年度までですけれども、横ばいというような状況となっております。

 化審法の届出をされた用途といたしましては、11ページの図3─2を見ていただければと思います。大きいところといたしましては、27dのプラスチックの添加剤です。あと、28eは合成ゴムあるいはゴム用添加剤、36eは絶縁油とか潤滑油、こういったものの添加剤、さらには37dの金属加工油、さらに下のほうにいきますと、例えば23dは接着剤の添加剤と、こういったように様々な製品の酸化防止剤等で使われているということでございます。

 続きまして、20ページを御覧下さい。

 図3─4でございますが、PRTRの情報を示しております。

 届出排出量は、届出の大気あるいは届出の水域、届出の廃棄から主に構成されておりまして、届出外排出量も含めますと全体的には横ばいというような状況になっております。

 それでは、資料2─1ということで、概要版に戻りまして、5ページの(4) 排出源ごとの暴露シナリオによる評価の結果の説明に移らせていただきます。

 排出源ごとの暴露シナリオとは、固定排出源に着目したものでございまして、それらの排出源の周辺に生息する生活環境動植物が、排出源から排出される化学物質に環境媒体、この評価では水域ということになりますが、水域を通して暴露されるというシナリオということでございます。PRAS-NITEという排出源ごとの暴露シナリオの推計モデルを用いまして、化審法届出情報及びPRTRの届出情報に基づく評価を実施いたしました。このうち、点源としての排出源からの評価に関しましては、PRTR情報に基づくリスク推計結果のほうがより実態を反映しているだろうというふうに考えられましたので、表5にはその結果のみを掲載しておりますが、排出源204ヵ所のうちリスク懸念となる箇所は0ヵ所でありました。

 なお、化審法の届出情報に基づく評価結果につきましては、水生生物あるいは底生動物いずれも仮想的排出源は240か所ありましたが、リスク懸念となる箇所はやはり0か所だということでございました。

 次に、下の部分ですけれども、(4) 水系排出源シナリオによる評価の結果につきまして御説明します。

 この物質につきましては、化審法届出情報の中に、家庭用・業務用の使用段階に係る用途というのがございました。具体的には、評価書本体、資料2─2の19ページを御覧いただければと思います。

 これの表3ということで、このうちの一番左側の列になるのですが、用途番号あるいは詳細用途番号というところに、ちょうど22-aとか13-d、22-aは洗浄剤用の芳香剤、消臭剤、13-dは水系洗浄剤ですけれども、こういった家庭用・業務用の用途というのがございました。これらの用途は、暴露推計をする上では排出係数は全量排出するという安全側の設定がされているような状況でございます。

 先ほどと同様にPRAS-NITEを用いまして、推計非点源シナリオによる評価というのを実施しました結果が、概要の資料2─1の(4)(2)の表6というような状況になりまして、水生生物及び底生動物ともにPEC/PNEC比が1を切っている状況でございまして、リスク懸念は無いという結果でございました。

○環境省  それでは、続きまして、(4)のところから説明させていただきます。

 「様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価」でございます。

 こちらは、ふだんはPRTR情報をベースに推計しておりますけれども、今回、今御説明があったとおり、ほかに化審法の用途の情報もありまして、それらは今ここに4つ書いてございますけれども、PRTR届出情報、届出外排出量推計、そして化審法届出数量に基づく長期使用段階からの推計排出量、同じく化審法届出数量に基づく家庭用・業務用用途の使用段階からの推計排出量、この4つを様々な排出源として取り入れてまいりまして、これらは4つとも独立であるということは確認してございます。これによりまして、G─CIEMSと呼ばれます推計モデルを用いまして水質濃度及び底質濃度の計算を行い、3,705流域のリスク推計を行ってございます。

 推計の結果は表7のとおりでございまして、1を超えるリスクがある地点というのは、水生生物、底生生物ともにございませんでした。ただ、PEC/PNEC比が0.1~1となる地点が、水生生物は74流域、底生動物も20流域と多うございました。

 また、今回PRTR排出量に加えまして、化審法の届出情報に基づきまして、長期使用段階からの推計排出量と家庭用・業務用用途の使用段階の推計排出量を2つ使ってございますけれども、PRTR届出情報の場合には位置情報が示されておりますけれども、これらの化審法の届出情報ですと位置情報がないものですから、入力に際して、この空間的分布を、今回は単純に人口分布で割ってございます。ただ、本来、先ほど見ていただいた用途では人口分布は必ずしも適切でないというものがございまして、そのあたり、まだ人口按分しか我々もできないものでして、そのあたりに不確実性があるのではないかというふうに考えてございます。

 続きまして、は「環境モニタリングデータによる評価」でございます。

 こちらは評価書のほう、資料2─2の28ページを御覧下さい。

 28ページからモニタリングのデータでございまして、29ページ目の表5─2、表5─3が水質のモニタリング結果でございまして、過去10年分を調べますと、平成18年、19年、20年と、3ヵ年におきましてモニタリングが行われているということでございます。また、底質につきましては過去10年ですが、平成20年度に1度、平成17年度、計2回のモニタリングが行われてございます。

 それぞれの分布ですけれども、次の30ページ、31ページにそれぞれ示してございます。特に31ページの図5─2でございますけれども、底質については少し増えているようにみえまして、平成17年、平成20年の2つしかデータはございませんけれども、そこで濃度比較が可能な同じ地点を測っている22地点のうち18地点については増加傾向にあるということでありました。

 ここでまた概要版の6ページ目にお戻りください。

 こちら、今、まずは最大濃度を使って2つのリスク評価を行ってみましたけれども、PEC/PNEC比で1以上となる地点はないということでございました。

 先ほど申し上げましたように、底質のモニタリング結果は17年から20年にかけて濃度が増加傾向にあると。済みません、こちらの記載が間違っておりまして、先ほどの評価書にあった22地点中18地点というものが正しい数値でございます。大変失礼いたしました。

 また、高濃度範囲のデータを見ていただこうと思うのですけれども、また済みません、飛んで申しわけないのですが、評価書のほうで71ページ目を御覧下さい。

 71ページ目は、先ほど御説明しましたG─CIEMSモデルと環境モニタリングデータを比較したものでございまして、黒く塗りつぶしてあるところが実測値が得られているところ、白抜きのほうが検出下限値ということです。ただし、G─CIEMSの濃度が今最大で0.0035というところでありまして、そのあたりのモニタリングデータというのは残念ながら得られていないというような状況でございます。こちらは概要版のほうにも書いておりますが、高濃度範囲の評価対象地点での環境モニタリング情報というのはないということであります。また、先ほど見ていただいたように、情報が古いということもあるかと思います。

 ここまでがリスク推計の結果でございまして、それでは、この結論としまして、資料2─1、概要版の冒頭部分、1ページ目にお戻りください。

 枠囲み部分でありまして、「評価結果及び今後の対応について」でございます。

 今まで見ていただきましたとおり、BHTの予測無影響濃度、PNECの算出をしまして、また、予測環境中濃度としまして化審法の届出情報やPRTR情報、環境モニタリング情報を使って整理をしました。これらを比較したリスク評価の結果、このPEC/PNEC比で1を超えた地点というものはございませんでした。また、製造・輸入数量は経年変化で横ばいでございました。

 このことから、この後書いてございますのは第二種特定化学物質の要件でございまして、今計算してみました暴露濃度におきましては環境汚染が生じることにより広範な地域での生活環境動植物生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えられるということでございます。

 3番目でございますけれども、先ほど御説明したとおり、0.1以上1未満の地点というところが少なからず見られているということでありまして、また、環境排出量の推計、例えば家庭用・業務用用途や長期使用段階からの排出のメッシュ、展開の方法、空間分布の設定方法に不確実性があるといったことや、また、モニタリングデータも最高濃度のところがなかったりとか古かったりするということもございまして、今後、製造・輸入数量やPRTR排出量等の経年変化を調査しまして、また、追加的にモニタリングを行ったりと、あるいは排出量推計方法の一部改善を行いまして暴露濃度を確認したいというふうなことで考えてございます。

 この結果につきまして、今回の結果と大きく変わらないということでありましたらば、審議会のタイミングをみて御報告させていただくこととしようと考えておりまして、また、結果が大きく変わるようなことがあれば、必要に応じてこの場で再度お諮りしたいというふうに考えてございます。

 説明は以上でございます。ご審議のほど宜しくお願い致します。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、今の事務局の説明について、ご質問、ご意見はございますでしょうか。質問、ご意見のある方は、ネームプレートをお立てください。

○原田委員  丁寧な説明をありがとうございました。

 結論については第2種特定化学物質の要件で無いということは非常によくわかりました。

 一番まとめの資料2─1の3ポツ目、PECとPNEC比が0.1以上1未満の地点が少なからず見られるということなのですが、確か化審法の評価の中では、PEC/PNECは1を超える、超えない、これが判断基準になったと思います。今回新たにこのような0.1~1といった新しいカテゴリーを作った様に見えるのですが、その点について御説明をお願い致します。

○環境省  おっしゃるとおり、化審法のリスク評価ではPEC/PNEC比が1を超えたところをリスクがあるというふうに定義しておりまして、そのように運用しているところでございますけれども、ずっと安全側で推計していれば、そういう結果が得られたときにはいいと思うのですけれども、今回は例えば排出量推計の方法であると人口按分しかできないというふうに先ほど御説明しましたとおり、ほかの按分の仕方によっては、必ずしも安全側、今の推計方法が安全側ではなくて、むしろ大きくなるというおそれもあるのかなというふうに考えております。ですので、この0.1~1という範囲をみていただきまして、ここが少し多いということがあって、この今の推計方法ですと、これが増える可能性も否定できないということがございます。あくまでも第2パラグラフにありますように、今我々の用いた推計方法ですと二特の要件ではありませんけれども、推計方法を改善してみてそのあたりは様子を見る必要があるのではないかということでございまして、例えばここが0.1~1ではなくて、もっとずっと下のほうにあれば、推計方法をいくら変えても余り1を超えるようなことはないのかなと思いますけれども、そのあたりを総合的に勘案して、このあたりは0.1~1が多いというところを見ていただいたのと、推計方法によって増えてしまうおそれもあるというようなことで、このあたりの記述を記載させていただいております。

○林部会長  原田委員、今の説明でいかがでしょうか。

○原田委員  同じ項目で他の方からも質問があると思いますので、そちらを聞いてからのほうが宜しいと思います。

○林部会長  わかりました。

 それでは、どうぞ。

○恒見委員  

 今の環境省さんのご回答に対して、私からの指摘ですけれども、排出のほうはまだこれから増える可能性もあるというお話でした。一方、PRTRの届出情報に基づいた議論であれば、多分そのようなご指摘で良いと思うのですが、例えば化審法届出のデータに基づいて排出係数を掛けてとか、若しくは特に長期使用段階での排出量推定にかかわる排出係数というのは、基本の考え方はワーストケースシナリオに基づいた考え方での排出係数ですので、多分減ることはあっても増えることは余り無いという考え方だと思います。だから、PRTRの場合は確かにご指摘のように増える可能性があるのですが、そこは明確に分けられたほうがいいかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○環境省  今おっしゃられたとおり、排出係数については安全側に基本的にはできていると。一部入っていないところもありますけれども、基本的にはそういう思想で作っているということでありますが、今御説明させていただいたのは、日本全国にその排出をどう割り振るかというところが、まだ人口按分で今は割らせていただきましたけれども、使い方によっては、人口ではなくてもっと違うような按分指標のほうが適切であるのではないかという用途がございましたので、そういうような御説明をさせていただきました。

○恒見委員  ありがとうございます。

 もう1つだけ、その分布ですけれども、確かにどこか大きな点源がある場合でしたら、多分そのご指摘はそのとおりだと思います。ただ、今分布を検討しているのは人口による配分か、若しくは車の流通量というか、そういうものでの分布だと思うんですね。どちらも、いわゆる非点源をイメージされていますよね。ですから、感覚的には、例えば10倍異なってくるというのは多分余り考えられない。もしかしたら2倍ぐらい変わる程度はあるかもしれないのですが、そこまで大きく変わるかなというのが私の印象です。

○林部会長  ありがとうございました。

 他に今の点に関して何かございますか。

○鈴木(規)委員  多分、今の点は私も関心のあるところでありますけれども、資料2─1のまとめのところで、まず環境排出量の推計等に不確実性があるということなのですが、どういう不確実性があるというふうに考えておられるのか、もう少し御説明いただいたほうがよいのではないかという気がします。少し追加で、どのような不確実性があるというお考えをここで述べておられるのか、少しいただければというのがまず第1点。

 それと関連するのかもしれないと思うのですが、資料2─2の、例えば図3─3の推計排出量を見ると、2324で構成比が大きく変わっているのですけれども、これはどういう推計変化によってこれが起こったのでしょうか。

○林部会長  事務局のほうで、お答え願えますか。

○環境省  1点目のご指摘は、ここの資料2─1の3パラグラフにある不確実性のところをもう少し詳しくということでございまして、今御説明させていただいたのは人口按分でしか展開できていないというようなことをまず1つ御説明させていただきました。これについては、確かに恒見先生おっしゃるように、ほかの指標で、例えば道路交通量であるとか、あるいは工業製品の出荷額とか、そういうことかもしれませんけれども、そういうような指標で、恒見先生からも2倍ぐらい変わる可能性もあるのではないかというのをいただきまして、2倍変わると結構、懸念地点は4つぐらい出てきてしまうもので、あくまでも我々も100倍とか1,000倍とか変わるということは余り考えておりませんけれども、この0.1~1という10倍のあたりについて、例えば2倍ぐらい変わるのであれば、もう一度確認しておく必要があるのではないかというようなことを不確実性として考えているということでございます。

 あと、済みません、モニタリングの点はよろしいですか。

○鈴木(規)委員  不確実性ということについて、人口按分もあると思いますけれども、多分より大きいのは、恒見さんがいわれたように、これが本当にワーストケースなのかどうかということのほうが多分重要かなと私は思っておりまして、それが本当にワーストケースかどうかということを証明する方法が実はそんなにあるのかどうかということは基本的に私は疑問をもっているところで、ワーストケースだと思ってやっているというのは、それは全くそれで、良心的に行うということは正しいと思いますが、ですから、今の人口按分に不確実性があるという話はもちろん当然わかりましたが、むしろ推計排出量を出された排出係数の設定であったり、シナリオの設定であったりというあたりにどういう不確実性があるかどうかということのほうが結果を大きく左右するのではないかなと思いましたので、そちらについてどんなふうなことを考えられたのかということを御説明いただければと思いました。

○林部会長  事務局は、今のご質問に対してはいかがでしょうか。

○環境省  鈴木先生、今の御指摘は、排出係数の設定部分の不確実性の説明ということでよろしいですか。

○鈴木(規)委員  排出推計の不確実性というのは、配分の不確実性もありますけれども、そもそも排出量の母数で出しているかということのほうが私は大きいと思いますので、ですから、係数であるかシナリオであるか、その両方が恐らく結果に全体としてきいていると思いますが、それについてどのようなことをこの「不確実性がある」という表現に込めておられるのか、少し説明していただければということです。

○林部会長  いかがでしょうか。

○庄野委員  先ほどの原田委員の御説明もあるのですけれども、そもそもPEC/PNECに定量性をもたせる意味があるのでしょうか。インターナショナルに考えても、そのような例は、私は見たことがないのですが、ここでもしあるとしたら、環境排出量以下のところであれば、その理由がわからない訳でもないですけれども、PEC/PNECというのは基本的に1というのが基本ベースであって、それを1つの指標にしている領域の中から考えたら、この定量性をもたせることに意味があるのかどうか。もしもたせるとしたら、かなりきちんとした議論をしておかなければいけないのではないかなという気がします。したがって、ここでは、これはあえて削除された方がクリアではないかなという気がしますが、いかがでしょうか。

○林部会長  今、この資料2─1の囲いの3番目の点でいろいろと議論が出ておりますけれども、今の具体的な案として、ここの0.1以上1未満というようなところを削除してはいかがかというような意見が出ましたが、事務局のほうは、その辺はいかがでしょうか。

○鈴木(規)委員  私は、排出量の推計について不確実性があるというのは、多分、事務局の説明にもありますが、0.1とか1というところを書くことは、推計側の不確実性がどのぐらいあるという感覚を我々がもつかということに多分対応して書かれることだと思いますので、そこにある程度の不確実性があれば、PEC/PNECが1というものを、ある種の安全の確信をもって保証するために0.1ぐらいまで余裕をみておくということがあっても不思議ではないということになるのだと私は思いますので、この記述の仕方は、上に書かれています排出推計及びモニタリングデータの不確実性についてどんなオーダーを想定するかということと関連している記述だと私は理解しております。ですので、そこについての説明をしていただきたいというのが私の要望です。ある意味、それを抜きにして、この0.1未満を残すか切るという議論は余り意味がないことだと私は考えます。

○林部会長  先生、済みません、今、聞こえにくかったのですけれども。もう少しマイクを近づけてお願いできますか。

○鈴木(規)委員  済みません。今のPEC/PNEC比が0.1以上というところも問題になっているようですけれども、0.1か1かということは、確かに最初の判断は1でやるというのは形式的にはそうだと思いますが、その1でやるという判断に対してどの程度の確信をもつかということと、この実際の数字をどう判断するかが当然関係していることでありまして、1という数字に余り自信がなければ一定の余裕を見るということは自然なことだと私は考えます。ですので、この0.1以上1未満という記述が適切か適切でないかということは、この排出量の推計であったりモニタリングデータであったりの不確実性がどの程度のオーダーと見積もるかということと関連して議論されるべきだと私は思いますので、その議論を抜きにして上を削除するかしないかという議論をするのは余り意味のないことではないかなと考えます。

○庄野委員  済みません、申しわけないのですが、はっきり聞き取れなかったのですけれども、これは定量性を元々議論するのであれば、0.1と1というような議論は他にも色々な要因があるはずなのですよね。もっと総合的な意味での指標があって、そこから考えるべきであると思うのですけれども。あくまでもそこは0.1~1というのは基本的に意味がないのではないかというのが私の考え方なのですけれども。それと今のが合っているのですかね。私、そこがはっきりしないので申しわけないですけれども。

○環境省  化審法に限らず、ほかの例えば評価でも、例えば0.1~1のところの数が多ければ調査を継続するとか、あるいは環境基準でも10%超過地点の数をみて環境基準に指定するかどうかを決めるとか、ある程度この0.1~1というところも判断の指標に加えているような評価はほかにもあるのかなと思っています。

 今回のこの化審法のケースに限っていえば、やはり排出量の推計の方法であるとか、モニタリングデータの不確実性というのが、少しまだオーダーぐらい残っているのではないかということで、それがいつも安全側にできていればいいのですけれども、今回のこの推計方法に限っていえば、増える側に、反対側に増えるようなことも考えられるということでありまして、ただ、そんなにすごく増えるということもないのかなと思いまして、この1オーダー下まで見てみて、ここのところについては排出量推計の方法を改善するとか、あるいは追加モニタリングで、こういう地点は今の推計方法が正しいのかどうかというのを確認させていただきたいということでございます。

○林部会長  余り議長が意見をいうのは良くないのですけれども、では、これからは、この0.1~1の間の点があれば常にこのような記載をもって作業をするということでしょうか。

○環境省  いえ、もちろん0.1~1に何地点あるかというのはお示ししますけれども、それが結論に反映されるかは、先ほど鈴木(規)先生がおっしゃられたように不確実性がどれぐらい大きいかによっても違ってくるのかなと思っていまして、例えば前回ご議論いただきましたクロロエチレンではモニタリングの数も非常に多くて、しかも実測のモニタリングであるということがありましたので、0.1~1が多くても、しかもあれは点源で排出源も把握しやすいということでございまして、0.1~1の実測があっても、そういった判断はここではいただかなかったというふうに記憶しておりまして、今回はどちらかというと暴露推計にかなり不確実性が大きいので、こういった判断はできないかというふうに考えてございます。

○庄野委員  確かに先生のおっしゃるように不確実性の議論とかそういう問題もあるとは思うのですが、私どもが気にしていますのは、0.1~1のこういうようなルールとか考え方がここで定着化してしまうことだと思うのです。もし議論するのであれば、前にも中杉先生がおっしゃったと思いますけれども、きちんと議論をした上で、定義あるいは考え方を整理した上で運用していくべきであろうと思います。これがケース・バイ・ケースで出てくるという今の現状は非常によくわかりますけれども、かといえ、やはり十分な議論がされてそういうふうな形が作られていくべきだろうと思いますので、個々にこういうような話が出てきたり、いろいろな話がばらばらになるというのは、我々としては非常に危惧に思います。

○林部会長  ありがとうございました。

 化審法の場合、色々ルールというものはあって、最終的にはエキスパートジャッジというようなもので話が決まっていくものだと思っているのですけれども、今回の場合がそれに該当するのかどうか、確かに今おっしゃられたようなところも含めてもう少し検討が必要なというふうに考えますが、ほかの委員の先生はいかがでしょうか。

○吉岡委員  評価をするに当たって、例えば1という数字でもって決めようというのは、これは結構なのですが、それだったら専門家は必要ないのです。我々が人間としてやっているのは、総合的にどうやって物事を見るかということが一番大事だと思われるのです。そのときに、例えば0.1以上1未満の地点が全くないよと。もう0.00001以下ばかりだよというのだったならば、もう安心してこれは切ってもいいねという話になっていくと思うのです。そういうことをさまざま繰り返していって、いわゆる化審法のように大体この辺のところが物事を決める境界だねということを積み上げていく。最初から、これだけにしよう、例えば0.1~1未満の地点が3か所あったらどうでしょう、4か所あったらどうでしょうなんていうことを決めることは不可能だと思います。そういう意味からすると、わざわざ専門家が集まってするのだから、ではコンセンサスとしてどれをとりましょうかというときに、あるデータができるだけその事実から外れることなく積み上げていって、それでどうやって判断をするかということを評価すべきだと思います。したがって、私は、この資料2─1の3番目に書いてある事項の、少なからず見られているというところは事実に基づいておりますので、特に削除する必要はないというふうに思います。

 以上です。

○林部会長  わかりました。

○田中(嘉)委員  一言つけ足しですけれども、生態リスクの定量的な評価の研究をしている研究者として一言だけ言わせていただきますけれども、PEC/PNEC比というのは確かに生態系への影響を定量的に表現するかというと、それは十分ではないと思います。それをするためには、やはりもっとエコロジカルなファクターを入れたモデリングの指標が必要になってくる。それは欧米でも今、研究対象になっています。ただ、現状では、研究のレベルでは少なくともPEC/PNEC値はハザードコーシェントといわれまして、定量的な生態リスク評価の9割以上の研究はそのような指標に基づいておりますので、国際的に定量性はあるというふうに考えられていると思います。

 ただ、私は、研究者個人としては、ではこれは生態系のエコロジカルなファクターの定量性があるかというと、ないと思います。では、どういう意味での定量性かというと、先ほどから議論がありますけれども、要するにPEC/PNEC値が1を超えると何らかの生態系への影響があるというレベルにはなるのですが、その蓋然性が暴露の不確実性を考えたときに高くなるというような意味での定量性ということになります。

 以上です。

○林部会長  今の点に関して、どうぞ。

○恒見委員  PEC/PNEC比に関しては、田中(嘉)先生のおっしゃる考え方だと思います。暴露の立場から考えて、今、環境省さんの不確実性の議論が分布のほうにこだわっていらっしゃると思うのですが、やはり分布よりも排出のほうが問題で、もし検討されるのだったら、このワーストケースシナリオの排出係数は実際にはもっと低いはずです。それもあわせて検討していただかないと、分布だけを議論するのは多分過ちです。もし検討されるのであれば、まずそのワーストケースシナリオである排出係数をどう見直すかというところまで踏み込まないと多分議論にならないと思います。そこまでされるのであれば0.1~1という議論はあってもいいと思いますが、それをやらないのであれば多分こういう議論は必要ないと思います。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 では、庄野委員。

○庄野委員  先ほどから皆さんご議論出ているところで、アグリーできるところとアグリーできないところがあるのですけれども、要するに、1というのが我々はやはり1つの指標だと思っているところがあって、それ以上のエキスパートジャッジというのは、いろいろな観点から総合的に判断して出していく筋合いのものであると思います。その中で0.1、1だけを別にクローズアップする必要は全くないと思っていまして、それは総合的にサイエンティフィックに、いろいろな観点から考えた上でのエキスパートジャッジに結びつければいい話だろうと思っています。だから、これをあえて前面に出す必要が我々はないと考えています。

○環境省  環境省でございます。いろいろご指摘ありがとうございます。

 環境省の事務方の考えといたしましては、これはあくまでも確認して申し上げておきますけれども、0.1~1でもって何か新しいカテゴリーをつくるとか、新しい方法論とするつもりはないということは明確に申し上げておきたいと思います。ただ、現在のいろいろな手法ですとか、あとモニタリングデータ、今回の推定の精度などを考えると、今回は1は超えていないものの、PEC/PNEC値が1に近いものが割合多くみられて、何が不確実性かという議論はありますけれども、その不確実性を考えると、仮定の置き方とか計算の仕方によっては1を超えている可能性があるものもあるのではないかということが懸念されることから、あくまで今回の判断に際しての物差しとして0.1~1というのを書かせていただいて、その上で追加モニタリングや排出量推計方法の改善が必要であろうというところにつながっております。そういう意味で、私どもといたしましては、追加モニタリングないしは排出量推計方法の一部改善というところにつながるロジックのひとつの、この物質についての論拠として0.1以上1未満という書き方をさせていただいているだけであって、これでもって一般的なルール化にするつもりはありません。

 あと、先ほど来、鈴木(規)先生あるいは恒見先生から、何が不確実性か、排出係数をどう考えるのかという御指摘がありまして、これは当然、分布にしても、排出係数にしても、ここに書いてあります排出量推計方法の一部改善の中で、どちらのほうにぶれるのかはわかりませんけれども、ちゃんと精査すべきだろうと考えております。

 そういった意味で、今後、やはりまだ手法が固まっていないところもございますので、いろいろ積み上げていく中で改善を図っていきたいと思っておりますけれども、この現時点でこの物質について追加モニタリングないしは排出量推計法の一部改善が必要であろうという判断を導いた論拠といたしまして、現在の、この1行目にあります0.1以上1未満の地点が複数あるという記述は残させていただきたいと思っております。

○林部会長  ありがとうございました。時間も大分来ているのですけれども、今のこの囲いの3つ目の点につきましては、いろいろな意見が出てきて、それを今この場で1つにまとめるのは難しいかなというふうな気がしているのですけれども、その上の1つ目の丸、2つ目の丸について、何かご意見、コメント等はありますでしょうか。

 今回の、これの結論の非常に大きなところというのは真ん中のところで、現状としてはこれを二特にするだけのものではないというような結論が書かれているのですけれども、その辺に関してはいかがでしょうか。

○大石委員  ありがとうございます。丸1番も丸2番には、「製造・輸入数量の経年変化はほぼ横ばいである」とか、「現在推計される暴露濃度では」というふうに現状認識が入っています。しかし、このデータをみたときに、平成22年、23年、24年のこの3年間のデータのみとなっています。

例えば9ページ、排出、化審法の届出情報も、すべて3年間のデータしか出ていないのですけれども、こういう議論のときには、どこの段階までみて現在を推計するのか決まっているのでしょうか。私としてはもう少し近年のデータまで見た上での推計というほうが確実かなと思った次第ですが、一定の決まった年度でみていくということになっているのでしょうか。

○林部会長  これはどこが答えるのですか。

○経産省  特にそういう訳ではございませんで、前回のクロロエチレンみたいに過去からすごくデータがあるものとか、そういったものは全部お示ししております。今回の場合、24年度で切っているのは、どちらかというと整合の問題でして、事務局のほうでモニタリングがセットできなかったということで、平仄をそろえたということ、24年度まではそろったということです。なお、例えば製造・輸入数量については、近年の25年度とかはもう出ていますので、そのデータは、今の222324年度に対して、では25年度はどうなのかというと、やはり同じような感じでして、基本的には横ばいということでした。PRTR情報も同じような感じになっているというような状況でございました。

○林部会長  ほかにいかがでしょうか。

 もしないようでしたら、この資料2─1のリスク評価(一次)評価IIにおけるBHTの評価結果というものは、ここに書かれている1つ目の丸、2つ目の丸については、このままで事務局案どおりとさせていただきたいのですけれども、この3つ目につきましては少し表現の調整等が必要ではないかというふうに考えます。その表現ぶり等につきましては、3座長のほうに一任していただけないでしょうか。もしよろしければそのようにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、このBHTに関しましては、第2種特定化学物質に当たる要件ではないということで、このまま優先化学物質の中に置かれて、さらに3ポツ目については確認・調査等を行う。それで、この文章の案につきましては3座長一任ということで結論とさせていただきたいと思います。

 何か特段のご発言はございますか。

 では、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、1,2,4-トリメチルベンゼンについての審議をお願いしたいと思います。

 事務局より御説明をお願い致します。

○環境省  それでは、資料3─1と3─2、この2つの資料を用いて御説明させていただきます。

 同様に「評価の概要について」から御説明させていただきます。

 1ページ目、評価対象物質の同定情報でございますけれども、今回も同じく1,2,4-トリメチルベンゼン、単一の物質を評価させていただきます。

(2)は、物化性状、濃縮性及び分解能性でございまして、同じように表2、表3に示した数値につきまして専門家のレビューを経たものを使わせていただきます。

 また、同じように、1-オクタノールと水との間の分配係数でございますけれども、3.78ということでございまして、3を超えておりますので、底生生物の評価もお願いしたいというふうに考えております。

 3ページ目からが有害性評価でございます。

 こちらは資料3─2でございまして、71ページ目からが収集データの一覧でございまして、実際評価のページは21ページ目から始まってございます。

 こちらの1,2,4-トリメチルベンゼンでございますけれども、先ほどのBHTと比べますと評価に可能な毒性値の情報は限られておりまして、ファットヘッドミノーの魚類の急性毒性のデータ、7.72mg/Lというデータ、この1つしかないということでございました。例えば、リスク評価(一次)評価Iで使われましたニジマスのデータなどは、なかなかこの詳細な評価におきましては得られない情報が多いということで、使わないというような判断をさせていただいたところでございます。

 おめくりいただきまして、底生生物につきましては、そもそも有害性情報データはなかったということでございます。

 進みまして、22ページ目、PNEC値の導出でございますけれども、こういった魚類の1つしかデータがないような場合ですと、ACRという急性慢性毒性比が100、そしてほかの2栄養段階との感受性差が10、室内試験から野外への外挿値が10ということでございまして、不確実係数積は10,000と大きい値でございまして、この値を使いましてPNEC値0.00077mg/Lという値を導出してございます。

 また、底生動物でございますけれども、こちらはこのPNECの水生生物の値と、あと有機炭素・水分配係数、Kocと書いてございますけれども、これらのパラメーターを用いた平衡分配法というもので底生動物の予測無影響濃度を導出してございます。こちらは、乾重量換算で0.044mg/kg-dryということでございます。こちらはかなり不確実性が大きいというふうに考えておりまして、22ページ目から有害性評価に関する不確実性解析を行ってございます。

 まず、第1段落でございますけれども、情報が1つしかなかったということで、不確実係数積10,000を使うということを書かせていただきました。また、OECDのほうで初期評価がされておりまして、この中には、魚類、甲殻類、藻類の急性毒性が1~10mg/Lの範囲とされていますが、この評価は下に書いておりますが、C9Aromatic Hydrocarbon Solventsというカテゴリーで評価されて、この1~10という範囲でありましたけれども、なかなか、専門家の先生方にもみていただきましたが、この値自体は1,2,4-トリメチルベンゼンの毒性値ではありませんし、この情報をそのまま今回の詳細評価でPNEC値の値の根拠とするのは難しいのではないかというご議論をいただきまして、このような10,000という不確実性を使わせていただいております。

 また、底生生物の毒性値でありますけれども、この平衡分配法というのも1つの手法でありまして、こういったものにも不確実性があるのですけれども、実測の毒性値を得るぐらいにはなかなかできないということで、この値を当面使うしかなかろうというようなご議論をいただいてございます。

 概要版、資料3─1に戻っていただきまして、これらをまとめましたのが4ページ目の表4でございます。水生生物は0.00077mg/L、底生動物は0.044mg/kg-dry、これらの有害性情報を用いて評価を行っていくこととしております。

 有害性評価は以上でございます。

○経産省  次に、資料3─1の(4)のリスク推計の概要でございますが、まず、化審法の製造・輸入数量やPRTR情報の説明をさせていただきます。

 資料3─2、評価書の9ページを御覧下さい。

 図3─1は、化審法に基づき届け出されました製造・輸入数量の集計値の推移となります。経年的には22年度から24年度までの間になるのですが、横ばいの状況でございました。

 届け出された用途ですが、これは次の10ページになりますが、図3─2というところで、平成24年度のデータで精査していますので、こちらのほうで説明いたしますと、一番下のほうに01aこれは中間物と申しまして、化学物質の原料です。あと、02aとか04zとか07aとかがその上にありますけれども、この0207のものは全て溶剤関係の用途になります。47aは燃料となります。中間物、溶剤、燃料といったような用途になります。

 次に、17ページをおめくりください。

 図3─4ですが、PRTR情報を示しております。届出・移動量は、届出_大気と届出_水域と届出_下水、届出_廃棄から主に構成されておりまして、値といたしましては2,5003,000トンぐらいで、ほぼ横ばいということになっています。届出外推計を含めますと3,000を超えるというような状況になっています。ただ、平成24年度は、すそ切り部分の推計方法を変更したということから、推計排出量が増加しているということになっております。なお、推計に用いております届出_大気、届出_下水については大体横ばいということでございます。

 それでは、資料3─1に戻りまして、4ページですが、(4) 排出源の暴露シナリオによる評価の結果の説明に移らせていただきます。

 BHTの場合と同様、固定排出源から排出される化学物質の水域におけるリスク評価を、PRAS-NITEというモデルを使いまして同様に実施しております。PRTR情報に基づく推計結果を表7にまとめております。

 排出源は、1万8,355の箇所のうちリスク懸念となる箇所は2か所ございました。リスク懸念の指標でありますPEC/PNEC比というのは、2か所のうち1か所目が、水生生物、底生動物ともに約2という数字でございます。2か所目が、水生生物、底生動物ともに約3という数字でございました。化審法届出情報に基づく推計結果では、水生生物と底生動物ともに264の仮想的排出源というものに対しまして1か所のリスク懸念箇所がみられました。PEC/PNEC比というのは、その場合はともに2.3という数字でございました。

○環境省  続きまして、「様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価」について御説明させていただきます。

 資料3─1は(4)でございます。

 こちらは、先ほどとは違いまして、今回はPRTR届出情報と届出外排出量の推計2つを用いておりまして、こちらをG─CIEMSというモデルで水質濃度及び底質濃度の計算を行いまして、3,705流域のリスク推計を行ったところでございます。

 この推計の結果でございますけれども、表8にございますとおり、PEC/PNEC比の区分としまして1を超える地点は水生生物で1つあったということでございまして、底生生物のほうはなかったということでございます。

 下のほうは化審法対象範囲ということで、今回は農薬用途というものもPRTRだと入っていますけれども、農薬用途は化審法の届出の対象外でございます。ただ、この結果も余り変わりませんので、今回は全排出量のほうで推計の御説明をさせていただきたいと思います。

 続きまして、環境モニタリングデータによる評価でございます。こちらにつきましては、評価書の25ページ目、26ページ目あたりを御覧下さい。
  26ページ目でございまして、トリメチルベンゼンにつきましては平成21年に1回調査が行われてございました。底質のモニタリングデータはございませんでしたということになってございます。こちらは、最大濃度を用いましてもPEC/PNEC比は1を超えるところはなかったということでございます。ただし、これらの検出が行われた時点というのは、先ほどG─CIEMSでみていただきました例えば懸念があった1か所であるとか、こういう最高濃度のところでは無かったということでございまして、少しモニタリングの情報が不足しているのかなというところでございます。底質のほうは、今回はモニタリングデータがないので、このモニタリングによる評価というのは難しいということになってございます。

 以上を踏まえまして、冒頭1ページ目に戻っていただきまして、「評価結果及び今後の対応について」でございます。

  1,2,4-トリメチルベンゼンにつきまして、予測環境中濃度の計算、環境モニタリングの実測濃度の収集、そして予測の無影響濃度の導出を行いまして、これらの比較によりましてリスク推計を行った結果、先ほど指標がありましたけれども、1を超えた地点をリスクが懸念される地点としますと、1を超えた地点はありましたが、限られていたと。排出源ごとの暴露シナリオでは2地点、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオでは1地点ということでございました。また、製造・輸入数量の経年変化でございますけれども、平成22年度以降ほぼ横ばいということでございます。

 このことから、現在推計される暴露濃度におきましては、広域な地域での生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれは認められないと考えられるということでございます。

 3段落目でございますけれども、一部の水域についてPECがPNECを超えた地点が見られているということはありますが、一方、環境排出量の推計あるいはモニタリングデータには不確実性があるということでございまして、例えば先ほど見ていただきましたリスクが懸念される地点でありますけれども、PRTRでも移動量のほうから推計して下水道からの排出量から算出された濃度であったりとか、あるいはさまざま排出源のほうでも、そこがその下水処理施設からの影響がみられている地点であったということもございますし、モニタリングデータは最大濃度のあたりがなかなか測られていないとか、1ヵ年しかないというような情報の不足があるということでございまして、製造・輸入数量やPRTR排出量の経年変化を調査しまして暴露濃度を確認させていただきたいなというふうに考えてございます。

 こちらもBHTと同様でありますけれども、これらの結果については、大きく変わらないということであれば審議会のタイミングで報告させていただきたいと。また、リスクが大きく変わるようであれば、また再度審議に諮らせていただきたいと考えております。

 それでは、審議のほど宜しくお願い致します。

○林部会長  ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明について、ご質問、コメント等ございましたら、また名札をお上げいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○原田委員  説明ありがとうございました。今回の2つめのパラグラフ広範な汚染はないというお話は非常に理解ができました。

 もう1つ、今回気になるのが、資料3─1の(3)のところで使われているUFの数値が10,000と大きいことです。平成25年7月の合同審議会にて中杉委員長が発言されているように、生態影響についてデータが少なくUFが10,000を超えて大きくなってしまう場合は、欠いている栄養段階のデータ補完にQSARによる活用をしていきたいというお話がございました。今回集められたデータ、詳細な3─2のほうを見ていきますと、ほかの栄養段階もオーダーとしてはかなり弱いものであるということがわかりますので、今後の検討の中として、QSARも入れた形で不確実性をもう少し小さくするところというのをやっていただくと審査の透明性も出てくると思いますが、いかがでしょうか。

○環境省  おっしゃられた平成25年7月の審査でありますけれども、スクリーニング評価のときに、エキスパートジャッジのときにUFが10,000という物質が1物質か2物質ありまして、それにつきましては、例えばQSARとかを使ってみることはできないかと中杉前委員長がおっしゃられたということは私も記憶しておりまして、ただ、その時点は、やはりスクリーニング評価であったということと、今回はリスク評価IIと大分ステージが進んできまして、専門家の先生方にも、あるいはQSARとかカテゴリーアプローチとかいったことも相談はしたのですけれども、やはりこの時点ではもう少し、毒性情報が今は1つしかないということからすると、この10,000というUFを使わざるを得ないのかなということを検討していただいたところでございます。

○環境省  補足させていただきますと、現時点では、この物質についてはこういう取り扱いをせざるを得ないのかなというふうに思っております。ただ、QSARの活用をできるだけ拡大していくべきだという考えは私どもも変わりませんので、それの手法は引き続き開発というか、向上を進めていきたいと思っておりまして、日化協さんのほうには審査済みの新規化学物質のデータのご提供をお願いするなど、いろいろデータを増やしていきながら、ドメインを広げていくとか、精度を上げていくという取り組みを進めていって、使えるような場面になったものから使っていきたいというふうに思っております。ただ、現時点でこの物質についてはこういう扱いにせざるを得なかったということで御理解いただければと思っております。

○林部会長  ありがとうございました。

 他はいかがですか。

○恒見委員  

 スクリーニング評価で10,000という数字で、中杉先生のコメントとかがあったと思うのですけれども、普通、スクリーニングとリスク評価の2段階を考えたときに、やはり我々は、堅いリスク評価をするためにはできるだけ不確実を減らそうと。先ほどの暴露の議論もそうだったのですが、そうすると、特にリスク評価という堅いことを目指そうとするときに、不確実係数が10,000というのはやはりあり得ない数字だなというのが我々の感覚です。

 その1つは、OECDのほうで、評価書でもご紹介があるようにカテゴリー評価などをされているわけですから、それをほとんど引用されずにこの10,000という数字を用いるのはどうかと思うのが1点と、それから、最後の考察、まとめのところで、59ページ、OECDのプログラムでは栄養段階間の感受性差は大きくないと推定されるというのであれば、例えば栄養段階間の感受性に関する不確実係数を、10ではなくてもう少し低くするという検討はされなかったのでしょうか。その辺のご意見をお願いします。

○環境省  御意見ありがとうございます。

 まず、このOECDの評価書でございますが、こちらを見ていただきまして、決して使っていないということではありませんで、不確実性解析の中で専門家の方々には見ていただいて、その上でこういう判断になっているということがあります。この感受性の差が10というのは割と今までも使ってきていた値でありますけれども、それを新しくまた幾つに決めるというのはなかなか、恐らく相当に難しいものであります。またこの化審法の評価というのは、サイエンティフィックには十分議論していただくのはもちろんなのですけれども、情報が足りなくて、それで有害性のリスクが懸念されれば、プロセスを先に進めていくというのがこの化審法の精神といいますか、スキームになっているということでございますので、不確実性があった中で、情報がない中で進めていって、それでもリスクが懸念されるのであれば、むしろ情報を増やしていく。例えばここでも事業者さんから法律に基づいて有害性情報をいただくということもできますので、そうやってプロセスを進めていくということがあります。この評価IIの評価書で、完成版ということではなくて、今の情報でどう判断するかというようなことを導いているとお考えいただいたほうがいいのかなというふうに考えてございます。

○林部会長  よろしいですか。

 他にありますか。

○鈴木(規)委員  資料3─1の3つ目のところですけれども、一部の水域においてPECがPNECを超えた地点というのが見られているということになっておりますけれども、これは多分、超えたということはそれなりに受けとめるべきことであると思いますので、超えたにもかかわらず、この不確実性によって、あるいは何たらかんたらによって、結果としては上の丸のような判断をしたということについて、超えた地点がどのような地点であって、それが多分一般的な状況ではないと、何がしの判断を事務局で考えられて書かれたのだろうと思いますが、そのお考えについて確認させてください。

○環境省  ここにつきましては、確かにリスク懸念、先ほどの前の物質でも議論がありましたけれども、リスクが懸念されるというのはPEC/PNEC比で1以上ということがありまして、1を超えるというのが非常に重要なファクターなのかなと思っております。

 ただ、ここに書きましたように、不確実性があるというところで、評価書のほうで説明させていただきますと、不確実性解析の暴露のページは54ページ、55ページのあたりでございます。

 まず、このPRTR情報について、不確実性の調査の必要性は「高」と書かせていただきまして、1ポツは違う観点で、理由のほうの2番でありまして、下水処理施設からの排出分というものが今回このリスク懸念箇所にあったのでありますけれども、こちらにつきましては大気移行率とか水域移行率をもとにやっておりまして、下のほうに下がっていただきますと、まず1つは施設に依らない代表値としていまして、この物化性状だけでどれぐらい下水処理施設で除去されるかというところを見ているということであります。

 また、もう1点が、その下に書いてありますように、下水道処理施設、基本的には活性汚泥法などが使われていると思いますけれども、そこでは生分解による寄与というのは考慮していないというところにこの2つの不確実性があると考えております。

 また、右側の55ページに移りまして、暴露シナリオも同様でして、重なってしまうのですけれども、シナリオという意味でもこの下水処理施設からの排出のシナリオというところで不確実な部分が多いのではないか。そして、環境モニタリング情報としましても、PRTR届出排出量の多い事業所からの測定結果付近ではなかったということがございます。1を超えた地点におきましては、我々のほうでも、例えばこの1,2,4-トリメチルベンゼンを排出している事業者さんに指導とか助言をして、少し量を抑えてくださいというようなことも検討したのですけれども、そこに至るよりも、この不確実性のほうが今は大きかろうというふうに考えておりまして、まずは計算を少しやり直すようなことをして、そういった対応がこの評価結果の中では妥当ではないかということで、この3つめの○を書かせていただいております。

○林部会長  鈴木先生、いかがでしょうか。

○鈴木(規)委員  そうしますと、今の45ページの表5─19による、黒くなっている1.5というのが超えた地点ということですかね。この1.5よりは、今の考察によって非常に重大な、幾らかのマージンはありそうだという読みがあってやっているということですかね。

○環境省  おっしゃるとおり、何も不確実性がなく1を超えていたら、やはりそのリスクが懸念されますので、何らかの行政的な対応をとる必要があるのかなと思うのですけれども、今回はそれよりも、この暴露の不確実性でもう少し我々の手法とかを見直すとか、そういったデータを集めるといったことを優先すべきではないかなという判断でございます。

○鈴木(規)委員  わかりました。それについては一応了解いたしましたが、書かれているとおり、推計とはいえ、推定ではありますが、超えていることは事実だと思いますので、方針はこれでいいと思いますが、経年変化あるいは今後の確認等についてしっかりやっていただくようお願い致します。

○林部会長  ありがとうございました。

 そのほかに。

○青木委員  やはり、専門の言葉でいうと不確実性のところは非常に気になる点で、確かに10,000という値は少し大きいのではないかということは一般論としてはよく理解します。ただ、この10,000という数をどういうふうに考えるか、いろいろな推計法を使って推定してみたときにもう少し低いのではないか。カテゴリーアプローチとかいろいろなご意見があって、そこはよくわからんでもないのですが、私の観点からすると、ある意味科学として誠実な態度というのは、ここでしっかり有害性のデータを得ていく態度だと思います。やはりそういう観点から、今後、この物質はいろいろ考えなくてはいけない点もあると思うので、いろいろとご検討をお願いしたいというふうに思います。これはコメントです。

○林部会長  ありがとうございました。

 他にありますか。どうぞ。

○小林委員  やはりUFが10,000というのが大きいというところで今いろいろ議論はあるのですけれども、3─2の資料の71ページには、実際には信頼性ランクは低いですけれども、幾つかデータはあるわけですよね。非開示資料とかがあって、甲殻類のデータとか、全部ここには載ってきていないのですが、エキスパートジャッジされる際とかには、こういうものも参考値として使うような形で判断するということもあるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○環境省  おっしゃるとおり、こういった、例えば信頼性ランク4みたいなものは情報がなくて仕方なくというところがありますので、こういった情報も、例えばPNECの妥当性とかそういったものを検証する上では、今も実は専門家の先生方にはこういった分布とかも見ていただきながらやっているということでございます。ただ、ここを見ていただきますように、藻類はありませんで、生産者の情報がないというのは、ないものは検討のしようがないというところでもございます。

○林部会長  ありがとうございます。よろしいですか。

○小林委員  その甲殻類をもし2,0006,000ぐらいということで入れ込むと、2種類の生物種があることになりますので、1つ、10減るのではないかなというふうにも思うのですが、いかがですか。

○環境省  今のこのアプローチですと、3つあって初めて10をとるということにしておりまして、この急性毒性の観点は2つあってもUFは10ということにさせていただいております。

○林部会長  その他、何か、ご質問も含めて。どうぞ。

○田中(嘉)委員  UF10,000は確かに高いという気がするのですが、それは環境省のワーキングでも随分議論したんですね。では、10,000が高いかという内実を見てみたいのですが、21ページを見ると、まず、10,000ですから、何があるかというと、まず魚の急性・慢性外挿というのがあります。これは100なんですね。これは全ての物質について使っていますから、これは妥当です。あと、室内から野外への外挿というのがあって、それは10を使っています。これも全ての物質で使っておりますので妥当です。だから、要は、2種のデータがないときに、魚からの種間外挿が10だというのが妥当かというだけなのですが、種間外挿の10のUFというのはどうやってつくられたかと申しますと、これはあらゆる生物種の毒性値を、ある物質にて毒性値の分布をとりまして、それは大体対数正規分布になるのですが、ある1つの種の毒性値が確定したときに、その条件つき分布としてランダムサンプルしたときに、ほかの種の分布がどう推定されるかという分布に基づいています。その5パーセンタイル値などをとると大体10倍ぐらいになるというので、国際的に10が使われている。これは1980年代ぐらいからそういう研究が生態毒性学でやられておりまして、その結果、国際的な種間外挿は10となっているのです。問題は、それがこの場合は妥当かどうかということなのです。カテゴリーアプローチがさっきから出ていますけれども、似たような物質で1~10mgぐらいの範囲なので、比較的低いだろうということは中でもかなり議論して、私はこれはUFを減らしてもいいぐらいではないかという議論をしたことがあるのですが、そこまで種間の3栄養段階間の感受性が詰まっているという説得的な証拠がないという判断なのです。ただ、私の個人的な意見もありますが、恐らく10,000で高過ぎるということはないだろうということなんですね。だから、最後にPEC/PNEC値を比較したときに、これ以上ハザードが高い、リスクが高くなることはないというような書き方は可能ではないかと、その程度のことを私は言いました。

 結論としてまとまりがないのですけれども、以上のようなことでございます。

○林部会長  ありがとうございました。

○環境省  環境省でございます。

 関連で、不確実性関連の箇所で、先ほど恒見委員からご指摘いただきました、引用されました箇所、資料ですと3─2の23ページ、5行目から8行目あたりになりますが、OECDの評価書を引用されている部分をご参照いただきまして、栄養段階間の感受性差は大きくないという部分をご指摘いただきました。こちらの本文の記述が若干わかりにくい表現になっておりましたが、OECDのSIDS Initial Assessment Reportにおきましては、基本的に生態毒性は急性毒性値についてのみ集めて、そこで初期評価としての判断をするという形になっておりますので、ここにも急性毒性値の範囲が1~10mg/Lの範囲という記述がございますので、栄養段階間の感受性差は大きくないというのは、これはあくまで急性毒性値についてはこういえるだろうということでございまして、一方、我々は、化審法の中での生態毒性の評価は基本的には慢性影響を評価するために急性毒性値を使っているだけですから、そういう意味では慢性毒性の栄養段階間の感受性差が大きくないかどうかということは、このSIDS Initial Assessment Reportでは直接は言及していないということでございますので、このあたり、急性毒性の栄養段階間の感受性差は大きくないという形で記述を加えさせていただきたいと思います。

 以上です。

○林部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか。

○吉岡委員  10,000という値が大きいとか小さいとかということを議論されていますけれども、むしろ私が問題にしたいのは、この物質が年間3万トン前後つくられているということです。しかも、そのうちで、本当にそのデータが公開されて、このデータなら大丈夫だというデータが1つしかない。何年も作ってきて、何万トンと作ってきて、その毒性データを専門家が見て、これは大丈夫だろうというデータすらほとんどないという状態が問題なのです。そのためにリスク評価をやってみて、データがなかったら出してくださいねということをお願いする、そのプロセスの中でそのことが出てくるということがいかにもおかしいような気がします。いいかえれば、新規化学物質と既存化学物質の差が大き過ぎる。新規の場合には、全部データ、少なくとも急性を出しなさいよと。それで専門家が見て判断して、使えるとか使えないとか、この数値にするということを決めている。ところが、既に作られている物質はもう野放し放題。どれだけ作っても構わないのだという話になってしまっている。そこのところのすり合わせを政策上もう少し考えてやっていただかないと、専門家、専門家と言われたって、本質的な部分のところがずれているというふうに思わざるを得ないのです。意見です。

○林部会長  ありがとうございました。何かリプライできますか。

○環境省  今の点でございますけれども、まさにおっしゃられるとおりでございまして、そのため、今回、この平成21年に法律を改正していただきまして、有害性情報がないような場合でもしっかりと評価の手を止めずにスクリーニング評価を行い、また、優先評価化学物質になった物質については事業者さんからの情報を出していただくなどというような法律の枠組みができたところでございます。今後もこの改正化審法の施行に努めて、できるだけ情報がないものについても評価の手を止めずに評価を続けていって、情報が足りない場合には適宜法律に基づきまして事業者さんに情報を求めたり、あるいは試験を指示したりといった評価を進めていって、情報収集に努めてまいりたいなというふうに考えてございます。

○林部会長  ありがとうございました。

 ほかに何かございませんか。

 もし無いようでしたら、1つずつ確認させてください。

 この資料3─1の囲いの中の一番最初の部分、文言も含めてこれでよろしいですか。

 もし特にご意見がないようでしたら、2つ目の丸、いかがでしょうか。この2つ目の丸では、TMBによる環境の汚染により広範な地域での生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えるという結論になるのですが、よろしいでしょうか。

 それでは、3つ目の丸はいかがでしょうか。これも、今のモニタリングデータですとか排出量等をもう少し調査・精査して最終結論を導きたいということですが。

○恒見委員  3つ目につきましては、暴露のほうはこれで結構なのですけれども、では有害性は何もしなくていいのかというと、やはり不確実性をもう少し減らす何らかの考え方、例えばOECDのカテゴリーアプローチをどう使うか、もしくは既存の有害性のデータをどう使うかというのもあわせて検討していただけないかなと思います。

○林部会長  今のご意見は、それをここに書き込むということでしょうか。

○恒見委員  そうです。

○環境省  今の点でございますけれども、恐らくその検討は非常に時間がかかるということもあるのかなと思いますし、また、正規のプロセスからすれば、ここでは有害性情報について不確実性がある場合には、やはり法律に基づいて事業者さんに情報を求めるというのが本来のプロセスなのかなと思います。ただ、それよりは、むしろ今のこの不確実性を、暴露のほうの不確実性を減らすほうがある意味手っ取り早いというか、それをまず最初にやるべきなのではないかということで今のこの記述にさせていただきまして、もし有害性のほうを何かしら減らすのであれば、むしろ法律に基づく求めなどが本当は適切なプロセスになってしまうというようなことであります。

○恒見委員  ですから、求めるのも結構なのですけれども、それより前に、これだけカテゴリーアプローチとか既存の毒性を全く使わないというのは、それも姿勢としていかがなものかと思うんですね。最後に事業者さんにデータをお出しいただくというのは、それは最後のステージとしてあると思うのですが、その前の段階を全く踏まえずに、では有害性評価はこのままでいいのかというのは、やはりスタンスとしてどうなのかなと思うんです。

○林部会長  先ほど環境省様のほうから、この評価書3─2でその部分をもう少し詳しく記載するのだというようなご意見もいただいておりますし、今の議論は、これは当然議事録として残りますので、もしそれで了承していただけるのであれば、ここの部分もこのまま事務局案どおりとさせていただければというふうに思うのですが、ほかの先生方も含めていかがでしょうか。よろしいですか。

 そうしますと、いろいろ宿題は出ましたけれども、この結論としては資料3─1の囲みにあります事務局案どおりとさせていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

 それでは、これで一応2物質が終わったのですが、その他で何か、事務局のほうでのご用意はございますでしょうか。

○経産省  次回は9月18日に開催を予定しております。第一種特定化学物質に指定予定物質のポリ塩化ナフタレン、ペンタクロロフェノールについて審議いただく予定でございます。

 また、本日御説明しました資料につきましては、座長あずかりの件はありますけれども、その辺は調整でございますけれども、直ちに出せるものにつきましては後日速やかに公表させていただきたいというふうに思っております。

○林部会長  ありがとうございました。

 ほかに何かありませんか。

○経産省  特段ございませんけれども、合同審議会の第二部が予定されているのですが、お時間が結構余っていますので、20分ほど休憩を挟みまして、20分ほど前倒しさせていただいて、15時ぐらいから次の二部のほうを開始したいというふうに思っております。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして合同審議会第一部を終了致します。

 なお、第二部につきましては、今ご案内のあったとおり、約20分間の休憩を挟んで、15時からスタートということにさせていただきたいと思います。外は何か嵐になっているようですけれども、ここまでの方はどうぞお気をつけてお帰りください。

 なお、第二部は非公開の部分でございますので、傍聴者の方におかれましてはご退室いただきますようお願い申し上げます。どうぞ宜しくお願いします。

 どうもありがとうございました。

 

                                 ——了——



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