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2015年6月12日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成27年6月12日(金)10:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(17名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、
梅 津 光 生、 生 出 泉太郎、 川 上 正 舒、 正 田 良 介、 
鈴 木 邦 彦、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 
中 谷 武 嗣、 濱 口   功、 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、
桃 井 保 子
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(7名)五十音順

今 井 聡 美、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、 寺 崎 浩 子、
中 島 康 雄、 新 見 伸 吾、 西 田 幸 二

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

○議事

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 「薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただき、ありがとうございます。

 本日は医療機器・体外診断薬部会委員24名のうち、現時点で15名の方の御出席を頂いております。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを、まず御報告させていただきます。

○事務局 本日の議題の取扱いについて御説明いたします。本日の議題は医療機器の承認審査等に関する議題ですので、企業情報が含まれます。このため、平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき非公開といたします。

 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 次に、利益相反に係る申告内容について、先生方には度々御確認をお願いしているところですが、薬事分科会の部会、調査会において、規程に沿った対応が行われていなかったことが判明し、6月5日に公表しておりますので、事務局より御報告いたします。

○事務局 当日配付資料1の1.の()を御覧ください。薬事分科会委員8名が、薬事に関する企業の役職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していた事実が判明し、これらの8名の委員については辞任いただく運びとなっております。

 本部会の委員1名につきましても、薬事に関する企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していたとして辞任の意向を頂いております。委員の退任に係る手続は今後行われますが、本日は御欠席されていることを申し添えます。

 1.の()です。昨年度開催した審議会について、寄附金、契約金等の申告内容を確認したところ、8名の委員について、「受領なし」又は「50万円以下の受領」と申告されていたものが、正しくは50万円を超えて500万円以下の受領であったことが判明いたしました。このため、本来議決に参加できない委員が議決に参加していた事例がございました。

 次のページ、1.の()です。同じく16名の委員について、「受領なし」と申告されていたものが、正しくは50万円以下の受領であったことが判明いたしました。

 2の「今後の対応」です。既に御案内のとおり、寄附金、契約金等の申告内容を製造販売業者に確認する運用を試行的に開始しております。また、申告様式の見直しを行いました。更に、企業の顧問等に就任した際の辞任、申告対象年度、家族の受領分も申告することなどの規程の重要事項を、会議開催の度に注意喚起させていただくこととしており、先生方に送付いたしますので、自己点検に御活用くださいますよう、お願いいたします。

 こうした事例が発生いたしましたのは、事務局による規程の内容の周知の徹底や委員就任時の確認が不十分であったことも一因です。審議会の事務局として至らなかったことをお詫び申し上げるとともに、委員の先生方におかれましては、今後とも規程の遵守に御協力くださいますよう、お願い申し上げます。

○事務局 以後の進行について、荒井部会長にお願いいたします。

○荒井部会長 最初に、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 議事次第の下に「配付資料一覧」があります。これに従って御確認をお願いいたします。

 資料1「医療機器「EXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」、資料2「医療機器「放射性医薬品合成設備MPS200Aベータ」の使用成績評価の指定の要否について」、資料3-1「医療機器「アトラス+HF」の再審査報告について」、資料3-2「医療機器「エピックHF」の再審査報告について」、資料3-3「医療機器「クイックサイト」の再審査報告について」、資料3-4「医療機器「パワーリンク ステントグラフト システム」の再審査報告について」、資料4「競合品目・競合企業リスト」、参考資料1「薬事分科会審議参加規程」、当日配付資料1は先ほどの利益相反に関する報告の際に使用したもの、当日配付資料2「小児用補助人工心臓の早期薬事承認について」、当日配付資料3「議題1及び議題3の正誤表」、当日配付資料4、議題1「EXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システムの医療機器製造販売承認申請書の鑑」、当日配付資料5「議題1の品目の専門協議委員リスト」、当日配付資料6「使用成績評価の指定に係る医療機器・体外診断薬部会の資料の取扱いについて」。以上です。

○荒井部会長 資料がよろしければ議題に入ります。まず、本日の審議事項に関して、委員の利益相反に関する申し出状況についての報告をお願いいたします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業の調査結果について御報告いたします。資料4、参考資料1を御覧ください。

 これらの報告については、平成201219日付け、薬事分科会で決定された薬事分科会審議参加規程に基づくものです。皆様から毎回御報告いただいておりますので、概要は御存知かと思いますが、過去3年度にわたり、寄附金、契約金等の額について、競合企業及び申請企業から申告を頂き、その結果に応じて、審議不参加若しくは議決への不参加という形で、審議会規程として定めさせていただいております。

 資料4です。1ページは議題1「EXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システムの競合品目・競合企業リスト」です。申請者は株式会社カルディオです。競合品目としては、成人用として本品と同じ目的で使用されている、体外設置式補助人工心臓ポンプ1品目が申告されております。

 2ページです。議題2「放射性医薬品合成設備MPS200Aベータの競合品目・競合企業リスト」です。申請者は住友重機械工業株式会社です。競合品目は、本品と同一のPET薬剤のflorbetapir(18)を製造する品目、また本品が製造するflorbetapir(18)と同様に、脳内アミロイドベータプラークの可視化に用いられるPET薬剤を製造する品目の計2品目が申告されております。

 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準、また第13条の議決不参加の基準に基づき、議決に御参加いただけない委員、御退室いただく委員は、議題1について一色委員です。一色委員には、当該品目の審議及び議決中、別室にて御待機いただきたいと思います。

 また、議題1の審議品目の申請資料作成関与者に中谷委員が該当します。薬事分科会審議参加規程第5条の申請資料作成関与者の取扱いにより、中谷委員にも別室にて御待機いただきたいと思います。

 また、荒川委員より、議題1の審議品目の医師主導治験に関与していたとの申し出がございました。つきましては、荒川委員にも同様に別室にて御待機いただきたいと思います。

○荒井部会長 ただ今の事務局からの説明について、御意見等はございますか。よろしいですか。よろしければ皆様の御了承を頂いたものとし、議題に進みます。

 それでは、議題1「医療機器「EXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システム」の製造販売承認の可否等について」審議を始めます。本議題の審議に当たり、参考人として京都府立医科大学小児医療センター小児心臓血管外科病院教授の山岸正明先生にお越しいただいております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○山岸参考人 よろしくお願いします。

○荒井部会長 審議品目の概要について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 本日の審議の内容ですが、諮問書を御覧ください。表書きにありますが、本日御審議いただく内容はEXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システムの承認の可否、並びに生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、さらに使用成績評価の指定の要否です。今回の審議に先立ち、本品の審査の背景について、事務局から説明させていただきます。

○参事官 本品目については報道もいろいろあり、どのような状況になっているかについて、1枚紙を作りましたので、これに基づいて御説明いたします。当日配付資料2「小児用補助人工心臓の早期薬事承認について」を御覧ください。これに基づいて、この品目の背景などについて簡単に御紹介いたします。

 最初に「背景」です。御存知のように、重症心不全は生命に関わる重篤な疾患ということです。完治のための治療法は、心臓移植ということになっているわけです。また、心臓移植については、ドナーからの臓器提供が必要で、諸外国では数か月、日本では数年にもわたり、待機をすることもあるというのが現状かと思っております。また、その待機の期間中に心機能が低下し、生命の危険が高まった場合においても、補助人工心臓を使用することにより、移植までの待機期間を乗り切ることができるというのが、今の現状かと思います。

 成人用に関しては、既に複数のものが国内でも使用されています。ただ、小児用の小さなポンプについては、現在日本では承認を受けたものはないという現状です。

 成人用の補助人工心臓を小児に利用することについては、そのお子様の心臓に過度な負担を与える可能性があること、実際に使用すると血栓の形成や血栓の形成に伴う脳梗塞などの合併症のリスクを高めるということがあり、医療現場からは小児用補助人工心臓の早期承認が望まれているという現状かと思っております。

 本品に関しては、早期薬事承認ということですが、これについては、その下に書いている平成23年5月の本部会において、重症心不全小児患者に対する有効な救命及び延命手段として、代替する医薬品、治療法などがないものと評価され、希少疾病用医療機器としての指定がなされております。希少疾病用医療機器に指定されると、薬事の審査も優先審査という形で、早期に審査を進める、迅速に進めるというものになっております。

 その下に書いておりますが、特に今年の1月ですが、だいぶこれが報道されたわけですが、実際に、非常に重症の心不全になられた方で、心臓移植の待機になっていた4歳の女の子の事例がありました。この品目が治験中であったわけですが、これが使うことができず、治験に入ることができずに、結果的にECMOの使用で脳梗塞を起こし、脳死状態に陥り、臓器移植のドナーになられたという事例がありました。それがかなり報道されましたので、その辺の事情も、1ページの一番下に記載しております。御遺族の方々からも、早くこの小児用の補助人工心臓を承認してもらいたいという要望がなされているところです。

 裏のページです。本品については、医師主導治験ということで、国外の治験もありますが、医師主導で国内の治験が平成24年3月から行われております。先ほどから申し上げているように、代替するものがない、また生命の危険に直結するということもあり、申請後、今も治験が継続されている形です。

 その際の治験の参考の基準に関しても、承認申請の段階では、4例で承認申請されておりますが、その後に関しては、患者の救命を優先して、医学的な判断に基づき、治験に参加できるように、治験の参加基準も検討していただき、治験に参加できるような形になっているという状況です。

 また、日本心臓血管外科学会からの要望を受け、平成2110月の医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会で審議され、早期導入がされるべき品目に選定されております。

 医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会に対する要望のほか、日本小児循環器学会をはじめとする複数の学会からも、早期の薬事承認を求める要望が出されておりますし、「患者団体」と書いていますが、このようなお子さんを抱えておられるお母様方からも、早期承認の要望を受けているところです。

 このような背景を受け、本品のEXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システムについては、私どもとしても、薬事承認審査を迅速に進め優先審査品目の処理期間は基本的に9か月ということですが、それも更に短縮させていただき、審査の迅速化に努めてきたという背景がありますので、それで本日の部会での御審議を頂くものというものです。

○事務局 審議品目の内容及び審査の概要について、機構より御説明いたします。

○機構 機構から御説明いたします。まず、資料の訂正がございますので、当日配付資料3を御覧ください。事前に配付しました審査報告書に修正がありますので、正誤表にてお示しいたします。

 また、資料に落丁がございました。当日配付資料4を御覧ください。こちらが資料1の「承認申請書」と書かれたインデックスタブがありますが、そちらの直後に入ります。資料に不備がございましたことをお詫び申し上げます。

 続いて、当日配付資料5の「本品目の専門協議委員一覧」を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする4名の専門委員の御意見を頂きました。

 続いて、品目について御説明いたします。資料1の審査報告書に沿って御説明いたします。まず、本品の概要を御説明いたしますので、審査報告書の4ページの「審議品目の概要」を御覧ください。

 本品は重症心不全の小児患者に対して、循環改善を目的に使用される体外設置型の補助人工心臓システムです。本品は、血液ポンプ、カニューレ、駆動装置等で構成されます。

 審査報告書の5ページの図1、本品の装着図を御覧ください。まず、手術によりカニューレを心臓や血管に縫い付け、血液ポンプに接続します。続いて、血液ポンプ、ドライビングチューブ、Ikus駆動装置を接続して、血液ポンプを駆動させます。

 駆動の原理は7ページの図17を御覧ください。血液ポンプの中央に「メンブレン」という膜があり、メンブレンを挟んで、一方が血液側、もう一方が空気側となっており、空気圧によって血液ポンプのメンブレンを拍動させ、血液を駆出させます。

 次に、開発の経緯を御説明いたします。審査報告書の8ページの中段を御覧ください。本品はドイツのベルリンハート社が開発したものです。我が国においては、薬物治療で十分に効果が得られない小児の重症心不全患者に対する治療の選択肢は少なく、心臓移植がほぼ唯一の根治療法です。

 しかし、国内の心移植のドナーは不足しており、移植までの待機期間は長期にわたります。待機期間中は心移植までのブリッジとして、補助人工心臓が用いられますが、小児に対して使用可能な補助人工心臓はありません。このため、本品の導入が求められています。

 次に、外国における使用状況を御説明いたします。審査報告書の9ページの「外国における使用状況」です。本品は欧州で1997年にCEマーク、米国で2011年にHDE承認を取得しています。これまでに1,500名以上の患者に対して使用されています。主な有害事象を表1、主な不具合を次のページの表2に示しております。

 次に、非臨床試験成績についてです。審査報告書の11ページから21ページにかけて、非臨床試験等について記載しております。安定性及び耐久性、物理的・化学的特性、電気的安全性及び電磁両立性、生物学的安全性、機械的安全性、性能に関する試験について、「必要な注意喚起が行われ、適切に使用される場合には問題がない」と判断いたしました。

 次に、臨床試験成績について御説明いたします。本申請においては、米国臨床試験及び国内治験の成績が提出されました。まず、審査報告書21ページ下段「米国臨床試験」です。本試験は、米国・カナダで行われた単群の臨床試験です。患者の組み入れ数は、審査報告書22ページの図21を御覧ください。

 まず、本試験の患者の総組み入れ数は204例でした。試験開始当初は体表面積0.7平方メートル未満のコホート1として24例、体表面積0.7から1.5平方メートルのコホート2として24例の合計48例の登録を目標としておりました。このため、本試験の主たる解析集団は、これらコホート1、コホート2です。

 コホート1については、目標症例に達した後も登録は継続され、コホート1CAPとして20例が登録されました。さらに、人道的使用の目的で使用されたコホート3A、コホート3Bも、一部本試験成績に含まれております。

 有効性の主要評価項目について、22ページの下段を御覧ください。主要評価項目は患者の生存率、生存期間で、本品以外に通常使用されている体外循環装置である、ECMOというものによる治療のレジストリデータベースから、本臨床試験の患者群と同等の患者群を抽出し、比較評価が行われました。結果は審査報告書の25ページの表7、26ページの図22、図23に示しております。コホート1、コホート2のいずれにおいても、ECMO治療に対する優越性が示されたと申請者は説明しております。

 次に、安全性主要評価項目について御説明いたします。審査報告書の27ページの()安全性の評価を御覧ください。安全性主要評価項目は、患者日当たりの重篤な有害事象の発生率であり、パフォーマンスゴール(目標値)として、0.25を超えないこととされました。この結果、いずれのコホートでも目標値を下回ったと、申請者は説明しております。

 続いて、国内治験について御説明いたします。審査報告書の31ページの下段から32ページを御覧ください。国内治験は、本品の国内医療環境への適合性を確認するために行われた試験で、2施設4症例の登録がありました。有効性について33ページの()有効性の評価を御覧ください。本品装着症例のうち、3例が心移植のために米国に渡航し、心移植を受けました。残り1例は待機中です。

 安全性について、34ページの()安全性の評価を御覧ください。有害事象及び不具合は63件あり、そのうち重篤な有害事象が19件ありました。また、本治験においては、本品の国内申請後に追加登録が行われることになり、5症例が追加されました。

 審査報告書の36ページの表23に、追加登録された症例の情報を記載しております。5例中1例が海外で移植を受け、残りの4例は待機中と聞いております。

 次に、本品の審査における主な論点について御説明いたします。一つ目の論点は、国内医療環境に対する適合性についてです。まず、有効性について、審査報告書の38ページの中段を御覧ください。機構は、米国臨床試験においては、ECMOと比較して、補助期間、成功率ともに、良好な成績を示していること、国内治験では9例中4例が移植までの補助が成功していることなどから、本邦においても本品は有効であり、本品を医療現場に提供する臨床的な意義は大きいと考えました。

 次に、安全性について審査報告書の39ページの5行目から御覧ください。先ほど重篤な有害事象の発生率について、「パフォーマンスゴールを達成した」と説明いたしましたが、パフォーマンスゴールの妥当性については、十分に示されませんでした。このため、国内外の主な有害事象の内容と発生傾向について審査いたしました。

 この結果、本品はもともと重篤な患者に使用するものであり、移植まで補助が行える可能性があるという患者へのベネフィットは大きいと考えられることから、本品のリスクは本邦においても許容可能であると判断いたしました。

 次に、血液ポンプの交換について御説明いたします。審査報告書40ページの8行目、3段落目を御覧ください。本品の血液ポンプは、メンブレンの損傷のような不具合が生じたときや、血栓の形成が確認できたときに交換することが必要となります。

 機構としましては、血液ポンプの交換は基本的に体外で行うことが可能であること、血液ポンプの血栓が見えたときに交換することで、脳梗塞等の有害事象を防げる可能性があることなどから、血液ポンプの交換は許容できると判断いたしました。

 また、本邦においては、心移植待機期間が長期間に及ぶと考えられます。その間、患者の成長に合わせてポンプのサイズを変更する必要が生じる可能性があります。別サイズのポンプへの交換については、十分にデータで評価できたとはいえないところですが、ほかに代替手段がないため、交換の実績が少ないことなどの十分な情報提供を行った上で使用することは、許容されると判断いたしました。

 次に、抗凝固・抗血小板療法について御説明いたします。審査報告書の41ページの8行目から御覧ください。国内外では使用可能な検査機器、薬剤が異なることから、国内治験においては国内向けの抗凝固マニュアルを作成して、治験が行われました。その結果、大きな問題はなかったと判断しております。このため、製造販売後においても、当面は国内抗凝固マニュアルに基づき管理を行うことを推奨すべきと考えます。ただし、抗凝固療法に関しては、患者の状態に応じて薬剤投与量の増減を行うことは必要と考えております。

 続いて、長期成績について御説明いたします。41ページの下段から御覧ください。米国臨床試験においては、平均補助期間は2か月程度でした。一方で、本邦の平均移植待機期間は、少なくとも2年以上であると考えられます。審査の結果、非臨床試験にて、血液ポンプの1年間の耐久性が確認でき、更に本品は交換も可能であるということから、長期間の補助を行える可能性はあると考えます。これまでの論点を踏まえ、日本の医療環境においても本品の使用は受け入れられると判断いたしました。

 次の論点は「RVAD」と書いております右心補助と、「BVAD」と書いて「バイバド」と読ませていただきます両心補助についてです。審査報告書の42ページを御覧ください。国内治験においては、左心補助のLVADのみの使用でしたが、米国臨床試験では両心補助のBVADが約35%で行われております。両心補助の成績は全体の成績と比較して劣るものではなかったので、両心補助を行うことは許容されると判断いたしました。

 右心補助については使用成績はほとんどなく、十分な検討は行えませんでしたが、ほかに治療法がないことから、臨床現場で、リスクとベネフィットを考慮し、慎重に使用することが妥当と判断いたしました。

 三つ目の論点は対象患者についてです。審査報告書の43ページを御覧ください。まず、心移植登録の要否について御説明いたします。心移植の対象となる患者は、まず各施設の心移植に関する委員会等で適応を検討され、通常、日本循環器学会の心臓移植委員会に申請し、適応の可否が判断された上で登録されます。この間、もし本品が使用できない場合には、ECMOが使用されることになります。

 しかし、ECMOの補助期間は短期間です。このため、小児患者に対して長期の循環補助装置や治療法がない現状を踏まえ、心移植の登録手続が完全に完了していない患者に対しても、本品を装着することは許容されると考えます。

 次に、心移植対象以外の患者に対する使用について御説明いたします。本品は米国及び欧州において、心移植までのブリッジが使用目的とされており、国内外の臨床試験においては、心移植対象患者以外の患者の臨床データは得られておりません。しかしながら、本邦においては、投薬や手術等により回復しない患者については、現時点では心移植対象患者と同様に、緊急的にECMOを使用すること以外治療法はありません。

 このため、心移植対象患者と同じぐらい重症の心不全患者であって、他に考えられる治療を行っても改善が見られず、本品を使用して心機能の補助を行いさえすれば、救命や症状の改善が期待される患者については、本品の使用は許容され得ると考えます。

 ただし、本品を装着すること自体のリスクは大きいため、心移植対象患者のように、ベネフィットがリスクを十分に上回ると考えられる患者に使用されるべきであると考えます。例えば他の重篤な臓器不全がある場合には、本品を使用しても救命等にはつながらず、患者に対してベネフィットがない可能性があります。また、脳梗塞等により、かえって状態が悪化する可能性もあります。

 このため、使用目的については審査報告書の44ページの中段にお示しするとおりに整理し、本品を用いた治療を選択する際には、小児の心疾患に関する十分な知識及び経験を有する循環器内科医、心臓外科医、看護師、臨床工学技士等を含む医療チームにより、リスクとベネフィットについて慎重に検討した上で使用することを添付文書にて注意喚起することが妥当と判断いたしました。

 また、後で述べる使用成績評価によって、使用状況を確認し、必要に応じて適応の再検討を行うことが妥当であると判断いたしました。

 四つ目の論点は、製造販売後の安全対策についてです。審査報告書の44ページの下段の()を御覧ください。本品の対象となる疾病の重篤性と補助人工心臓の特性から、有害事象の発生は避けられません。このため、有害事象が発生したときの健康被害を小さくすることが重要であると考えます。

 このため、関連学会と連携し、本品が適切に使用されるために一定の基準を満たす実施医、実施施設において使用される必要があると判断いたしました。

 五つ目の論点は使用成績評価についてです。審査報告書の45ページの()を御覧ください。国内外の臨床試験においては、心移植対象患者のみが登録されたことから、心移植対象患者以外に使用した試験成績は提出されておりません。また、国内外において、長期の有効性及び安全性、患者の成長に伴うポンプのサイズ交換の安全性について、十分に検討を行えておりません。さらに、本品の国内での使用成績は9例のみであったため、国内における抗凝固療法の適切性を十分には確認することができませんでした。

 このため、心移植対象患者以外の患者を含めた使用成績、長期の有効性及び安全性等について、使用成績調査によって確認する必要があると判断いたしました。使用成績評価における症例数については、見込まれる症例数が少ないことを踏まえ、3年間の全例調査を行うことが妥当と判断いたしました。各患者のフォローアップ期間は2年間とすることが必要と判断いたしました。このため、使用成績評価期間は5年とすることが妥当と判断しております。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また、本品は使用成績評価の対象に指定し、評価期間を5年とすることが妥当と判断いたしました。また、ヘパリンナトリウムを使用しておりますので、生物由来製品に該当すると判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。

 また、本日御欠席の中島委員から事前に御意見を頂いております。製造販売承認、生物由来製品への該当性、使用成績評価の指定について、機構の見解に同意いただいております。機構からの報告は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それではまず、参考人の山岸先生から御意見を頂けますでしょうか。

○山岸参考人 参考人として呼んでいただきました山岸と申します。よろしくお願いします。既に皆様よく御存知のように、小児用の補助循環心臓がないという現状で、日本の小さな子供たちが非常に困っている状況は、もう御理解いただいているかと思います。体重が20kg以上に関しては現行のポンプでいけますが、私たちが一番困っているのは、それで救えない、体重3kgなどの新生児、乳児のお子さんの治療の方法ということです。海外では既に1,000例を超す事象がありますので、機構の方からも御報告がありましたように、当ポンプについては是非御承認いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はいかがですか。

○梅津委員 私は今からもう30年以上前ですか、ファースト・イン・ヒューマンの補助人工心臓の臨床応用に参加した経験があります。そのとき以来こういうものに関わっておりましたが、本日の機構の説明を聞いて、自分で資料を読んできた内容から感じたものと違って、昔のことをいろいろ思い出しました。良いことも悪いことも思い出しました。そういう中で、私は、とにかくこれはなくてはならない医療機器だとずっと考えております。本日の機構の説明も、ロジックがしっかりして整合性が取れた説明だったと思います。

 今お話を聞いて、思い出したことが二つあります。一つは、以前に承認された、今のNIPRO、その前の東洋紡の補助人工心臓ですが、長期間使った後、ポンプを交換するという事例のときに、ポンプを交換した途端にカニューレがバンと外れて大出血を起こしたという例がありました。そういうものに対してどういう対策を講じたらいいのかというのをいろいろな形で調べることができました。それで、特に想定していなかったことが起こってしまうことに対してどのように解決を図るのか、という科学的根拠となる実験事例を持っております。そこで、学会の方と協力しながら、今までの不具合を十分に調査して、過去の事例と対策の周知をすることが大事と思います。大人でも子供でも同じような不具合が起こると思いますので、こういう問題が起こらないように十分に注意されているとは思いますが、時として、想定を超えるようなことが今まで何例か起こっているように思います。多分これは学会主導型になると思うのですが、問題例を調べた上で、取り扱う施設に対して予め、注意喚起する等の策をとっていただきたいと思いました。

 もう1点は、両心補助のことなのですが、これもやはり過去に、両心補助を付けて、良かった良かったと言っているうちに、すぐ右心が回復して左心だけでいけるという例がありました。そのようなときに、結局、せっかく付けたのにいつ外すのか、片方だけでいけるという判断をどうするのかという辺りを、やはりそれもほとんど例がないと思いますので、どういうふうにそれを取り扱うのかの基本的な方針を決めておいた方が良いと思います。無駄な物をいつまでも付けて、かえってリスクを増すようなことが起こるかもしれない。そのようなことを、過去の私の事例の中から今思い出しました。この審査報告書の一連の審査の内容に関しては、十分だと判断しております。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただ今の梅津委員からの御意見に関連し、山岸先生、何か御意見はありますか。

○山岸参考人 梅津先生がおっしゃいましたような、想定していない事象はやはり起こってくる可能性があると思います。ですから、これは学会と協力して、それを一つ一つ潰していく、報告していくというのはすごく大事だと思います。

 それと、両心補助です。これもやはり、ほとんど経験がないというか、少ないことだと思いますので、今すぐに、こうなったときに右心を外すというような基準を決めるのはなかなか難しいと思いますので、これも全例調査になりますので、ケースバイケースで判断していくということで対応していきたいと考えます。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか、委員の皆様から何かありますか。

○千葉委員 今回の今の御発表でほとんど納得できることばかりでして、学会あるいは機構の方々の大変な御努力に敬意を表するばかりです。特に心移植対象外の患者さんも含めた点というのは、私個人的には大変評価しております。

 これは間違いありません。大変な評価をしておりますが、ただ1点だけ。私もニーズの検討委員会に入っておりまして長いのですが、平成21年に早期にこれを導入してほしいということをニーズの検討委員会から推奨したはずだったのだけれども、随分時間がかかってしまったなという実感は一つあります。ただ、私の評価は最初に申し上げたとおりで、全くそのとおりかと思っております。大変御苦労様でございました。

○武谷委員 補助人工心臓は既に大人ではだいぶ実績があり、それなりの良好な成績が得られているわけで、今般、それが小児にも利用できるようになるということは大変よろしいことだと思っております。

 ただ、これはここでの議論とは少し離れるかもしれませんが、この治療の最終ゴールは、やはり心移植でありまして、心移植に至らなければ、これは残念ながら中途半端な状況に終わってしまうわけで、現在、心移植が海外に依存している部分が非常に大きいので、これによって心臓移植の対象となる患者さんが増えた場合、どのように国内で対応できるのか。その辺りを、国内でのドナーをどのようにして確保できるのか。そういうことも併せて進めていく必要があるのではないかと思います。

 第2点目は、これは大人でもこのような大きな異物を四六時中身に付けて、非常に騒音もあるし、かなりこれでノイローゼになったり、御存知のように自殺企図も出てくるわけで、小児の場合にも年齢層は様々ですが、従来のドクターとコメディカルでは対応できないようなメンタルのケアや、家族、患者を含めた総合的なケアをできるようなスタッフが必要ではないかと思うのです。その辺りについて、ここの人工心臓システムの導入の可否とは少し違った話ですが、ここでも一応議論しておく必要はあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○荒井部会長 武谷委員からも最後にありましたように、本品の承認に直接関わることではないですが、背景の整備ということも踏まえますと、「これだけ通ればただそれでいい」という話ではないと思います。これについてどなたか御意見はありますか。

○機構 機構から御説明いたします。貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。まず、小児の心移植については、我々の申し上げることではないところもありますが、おっしゃるように、ゴールが心移植と考えられておりまして、対象が増えたときに、現状ではなかなか難しい、待機期間が長いというところがあります。

 本品が導入されることによって、まず、ほかに選択肢がなく、心臓移植までも到達できないような患者さんが、まずは心臓移植まで到達できるようになるということは一つのメリットと考えております。そのほか、心移植については、大変難しい問題ではありますが、臓器移植法も改正されて、今後の体制が整備されていくことを期待しております。

 もう1点、メンタルケア等の件について、大変重要な御指摘をありがとうございます。こちらについては、まず、小児のケアにこれまでも関わっているような医療チームが積極的に関わって、ナース、コメディカルを含めて関わっていただくことが大変重要であって、さらに患者の家族に対するケアも大変重要であると考えております。その点につきまして、臨床現場、学会と協力して、いろいろと基準等の作成もしていただいておりまして、梅津委員から御指摘いただきました不具合等対策についても、学会との協力体制は十分に取れるようにしていきたいと考えております。御指摘いただきましたメンタルケアについても、部会でそういった御意見があったということは、学会に申し伝えまして、対策について検討いただくようにしたいと思います。御意見ありがとうございます。

○梅津委員 改正臓器移植法の後、あれは心臓移植が増えるだろうという期待の下にそういうものになったわけですが、実は、そのときに何が起こったかというと、補助心臓を付ける患者さんの数が大幅に増えました。これはやはり、一つ選択肢が増えたので、いろいろな形で将来が見えるぞという一つのきっかけになったと思います。したがって、今回の子供用の補助人工心臓の装着が可能となることで、子供の臓器移植の普及への一つの良いきっかけにもなるのではないかと期待しているところです。

○荒井部会長 ありがとうございます。この辺りについての議論はよろしいでしょうか。ここで拙速に結論を出すという話ではありませんが、先ほど申し上げたように、単に機器の承認だけすればよいという話ではなく、承認後に適正に使われるようにするための補助、特にドナーの確保や、先ほど御指摘いただいたメンタルケアの問題などは大変重要な問題であると思われます。大変重要な問題として本日の議論の中で取り挙げられたということをきちんと残す形で進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。そのほか、何か御意見はありますか。

○村上委員 今回の小児用の人工心臓なのですが、体外ということで交換が可能というのが一つのメリットだと思うのですが、移植までの待ち時間が、日本の場合は2年やそれ以上になるということですと、どうしても途中で交換ということが起こり得るという前提で使用した方がいいということになるのでしょうか。

○機構 御意見ありがとうございます。機構からお答えいたします。先生がおっしゃるように、2年間以上の長期になると交換を行うことが必要になります。さらに、本品については、実はもっと短い期間、1か月ないしはそれ未満の期間で血栓ができることにより交換に至ったという症例が、かなりの例数あります。これは米国も日本も同じです。ですので、本品については、御覧いただいたように透明のものですから、定期的にチェックすることによって不具合も見やすいというメリットもありますので、交換をすることを前提とした長期使用ということになります。

○荒井部会長 山岸先生は今の点は特に御追加などはありますか。

○山岸参考人 機構の説明どおりでよろしいかと思います。あくまでもこれは交換を前提として考えていただきたいと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見はありますか。

○村上委員 関連してなのですが、小児用ということで、血栓が起きにくくなったということですが、やはり数箇月で起こるというのは、まだ改善すべき所がかなりあるのではないかということで、それはメーカー側に要望ということになるのかもしれませんが。

 それと、やはり毎日の点検というか、それをできるような、血栓が発生しやすいような部位などは割と特定されると思いますので、そういう意味ではプロフェッショナルな方の体制ということも必要だろうと思います。よろしくお願いいたします。

○機構 御指摘ありがとうございます。血栓について、報道等では血栓ができないというような報道をされていますが、実際には血栓は避けられないものと考えています。ただ、ECMO等の従来使われていた物よりは少ないと言われているところはありますが、実際に臨床試験において血栓は発生しております。ですから、その辺りは、先生がおっしゃるように、管理を行うことが非常に重要であり、そういった管理を行うことができる施設でしっかり行うことが重要であると考えております。

○荒井部会長 その点はとても重要ですね。単に、使用後の成績を集めればいいということではなくて、実際にそういうフォローがきちんとできる所で、さらに抑制が効くような、次のジャッジができるような所できちんと調査を行っていくということを是非進めていただきたいと思います。

○千葉委員 これは機構の方と山岸先生に対する質問ですが、私自身もECMOは何例かやっております。そのときは24時間、医師あるいはチームのメンバーが、日常の外来やほかの手術など、ほかの仕事がほとんどできないのです。それぐらい交替交替で、本当に目を離せない。そういった体制がしっかりある施設は、やはり日本でもそう多くはないだろうと想像しております。医師も大体2週間で疲弊してしまいます。

 この場合、補助人工心臓ですからECMOとは当然違うわけですが、どういう体制があれば、最大2年ぐらいでしょうか、これを維持できるのだと、メンバー、スタッフの数や体制がこれを満たしているかどうかという判断も行われることになるのでしょうか。

○山岸参考人 先生がおっしゃるとおりです。現実問題として、もちろん我々の施設でもECMOチームがいませんので、そういう施設ではなかなか難しいと思います。ですから、ECMOチームのみならず、この補助心臓のチームをしっかりと構築できる施設ということになりますと、やはり残念ながら今の日本の現状では、それほど多くの施設で使えないというのは現状だと思います。マンパワーの問題が一番だと思います。

 ECMOよりも目を離しておける期間、時間帯が多くなると思いますので、その点、しっかりとしたチーム体制をナース、臨床工学技士を含めたチームさえ作っていれば十分に対応できるのではないかと考えます。

○機構 機構から御説明いたします。本品は国内3施設で治験が行われました。その際の経験を基に、関連学会、協議会において、施設の実施基準を作成していただきました。ですので、その経験を基に作成された施設基準を満たす施設で行われることとなると考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見はよろしいでしょうか。よろしければ議決に入らせていただきます。これは議決ですが、「社会的なバックグラウンドがそろわないといけない機器」であるという大変貴重な御意見を頂きましたので、本日のこの議事は正確に記録して残して頂く、さらには、きちんと伝えるべき所への伝達を是非お願いいたします。

 それでは、医療機器 EXCOR Pediatric小児用体外設置式補助人工心臓システムについては、本部会として使用成績評価の対象に指定し、承認を与えて差し支えないでしょうか。また、生物由来製品に指定することとしてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については次の薬事分科会において報告することといたします。ありがとうございました。これで議題1を終了いたします。終了いたしましたので、参考人の山岸先生におかれましては、どうもありがとうございました。

○山岸参考人 ありがとうございました。 

                                ( 山岸参考人退出)

○荒井部会長 続きまして、議題2に進みます。医療機器「放射性医薬品合成設備MPS200Aベータ」の使用成績評価の指定の要否について審議を始めさせていただきます。

 まず、審議品目の概要について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題2、医療機器「放射性医薬品合成設備MPS200Aベータ」の使用成績評価の指定の要否について御説明いたします。資料2及び当日配付資料6を御用意ください。資料2については、事前にメールでお送りさせていただいた上で当日机上配付したものです。当日配付資料6については、当日配付資料の束の中の一番後ろに入っているものです。

 まず、審議に当たっての資料構成について説明いたします。当日配付資料6を御覧ください。使用成績評価については、医薬品医療機器法第23条の2の9の規定に基づき、医療機器の特性に応じ、承認後の使用成績等の調査を行わせ、承認時の計画に基づいた観点から、有効性、安全性などの確認を行うことを目的とした制度となっています。ある医療機器について、この使用成績評価制度が必要であると指定する場合には薬食審の意見を聞いた上で実施することとされているため、本部会における資料については、議題の性質に応じ、以下のような運用で進めたいと考えております。

 まず、()にあるとおり、承認の可否の審議について併せて行う場合についてはこれまでのように、また、本日の議題1についてもそうだったとおり、承認の可否の審議の資料の中に必要な情報を記載し、その資料を用いて審議を行うこととしています。

 次に、使用成績評価の指定の要否のみを審議する場合には、資料としては二通りが想定されております。まず、()の1)のように、使用成績評価の指定をするに当たり、調査期間の設定について、個別製品ごとの設定根拠を基に評価すべきと考える品目については、使用成績評価の指定に係る審査報告書を作成し、その必要な部分に関する添付資料概要等を付した資料を基に御審議いただきます。

 一方、2)にあるとおり、過去に承認され、使用成績評価を課すことが妥当であるとされた医療機器と同様の考え方に基づき使用成績評価の指定を行う場合には、先発品と同様の評価を行うことが妥当であることを説明する資料を用いて御審議いただくことになります。本日御審議いただく医療機器については、この2)に該当すると考える医療機器となります。以上が、使用成績評価の指定に係る議題資料の取扱いとなります。

 続いて、今回の品目についての御説明をいたします。資料2です。表紙が諮問書になります。3ページが、今回、使用成績評価の要否について御審議いただく、放射性医薬品合成設備MPS200Aベータの概要です。本品は、脳内アミロイドベータプラークを撮像するPET用トレーサであるflorbetapir(18)を合成する放射性医薬品合成設備であり、昨年6月に本部会にて承認の可否について御審議いただき承認した放射性医薬品合成設備NEPTIS plug-01と同様の製品となります。また、化合物が異なりますが、前回の本部会において御審議いただいた放射性医薬品合成設備FASTlabともほぼ同様のコンセプトの製品です。

NEPTIS plug-01については、3年間の旧法再審査期間、FASTlabについては、3年間の使用成績評価期間が設定されています。本品については、これらと同等の製品であると考えることから、現行法で承認されたFASTlabと同様の考え方に基づき、準備期間年、症例登録期間年の計3年間の使用成績評価を課すことが妥当であると考えております。以上の内容について御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 委員の皆様から御意見、御質問等いかがでしょうか。ございませんか。特に説明の補足などはよろしいですね。特に御意見はありませんか。

 よろしければ議決に入らせていただきます。医療機器「放射性医薬品合成設備MPS200Aベータ」について、本部会として使用成績評価の対象に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告とさせていただきます。ありがとうございました。これで議題2を終了いたします。

 引き続き、議題3、医療機器の再審査結果についてに進みます。事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題3、医療機器の再審査結果について御報告いたします。資料3-1から資料3-4です。再審査は、改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則、新しい医療機器等について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせ、その資料に基づき、有効性、安全性などの再確認を行うことを目的とした制度となっています。

 資料3-1から資料3-3については併せて説明させていただきます。

 まず資料3-1です。1枚目が医療機器の再審査確認等結果通知書です。本品は、アトラス+HFという販売名の除細動機能付植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータであり、申請者はST.Jude Medical株式会社です。資料3-2は、エピックHFという販売名の除細動機能付植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータです。これら2品目は、心不全症状を改善するために、両心室の心筋に長時間連続して規則的に弱い電気刺激を与え、心室の収縮を同期化する心臓再同期療法、また、心室細動、心室頻迫又は徐脈を自動的に検出し、除細動治療等に用いることができる植込み型のパルス発生器です。

 資料3-3です。クイックサイトというペースメーカーのリードです。先ほどのアトラス+HF、エピックHFのような除細動機能付植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータなどとともに使用し、心筋に長時間連続して刺激を与え、心臓のリズムを補正するペースメーカー用のリードです。アトラス+HF、エピックHF及びクイックサイトの3品目の使用成績調査は、使用実態下における不具合発現状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、平成19年6月から平成20年7月まで症例登録が行われ、植込み後6か月間、経過観察が実施されました。

 資料3-4です。本品は、パワーリンク ステントグラフト システムという販売名の大動脈用ステントグラフトで、申請者はコスモテック株式会社です。本品は、腎動脈下腹部大動脈瘤の動脈瘤内部への血流を遮断することによって、動脈瘤の拡大、破裂を阻止することを目的として使用するステントグラフトと、ステントグラフトを病変部位まで送達させるために用いるデリバリーシステムから構成されています。本品の使用成績調査は、使用実態下における不具合発現状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、平成20年2月から平成21年7月まで症例登録が行われ、術後1年間の経過観察が実施されました。

 今回お配りしている資料については、事前に委員の先生方にお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきますが、今回報告させていただいた4品目については、安全性、有効性について特段な問題がないと判断されています。以上のことより、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しない、すなわち、再審査結果の区分を、効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。以上です。

○荒井部会長 今の4品目、本件について委員の皆様から御意見、御質問等はありますか。よろしいですか。御意見、御質問等が特別ないということで、ただ今の報告について、この部会として了解させていただくことにいたします。これで議題3を終了いたします。

 進行を事務局にお渡しします。

○事務局 議論を終了いたしましたので、本日の部会はこちらまでとさせていただければと思います。

 事務局より1点御連絡です。次回の部会ですが、7月29日水曜の14時からの開催を予定しております。詳細については、また御連絡させていただきます。連絡事項としては以上です。部会長にお返しいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかはよろしいですか。

 これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。長時間ありがとうございました。

 


(了)

備考
 この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局審査管理課 医療機器・再生医療等製品担当参事官室 室長補佐 佐々木(内線4226)

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