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2015年9月2日 第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬食品局安全対策課

○日時

平成27年9月2日(水)19:00~


○場所

中央合同庁舎5号館12階 専用第12会議室
(〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○事務局 定刻になりましたので、「平成27年度第2回医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。

 本日御出席の委員、参考人の先生方におれかましては、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 本日の調査会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解・御協力のほどお願いいたします。

 傍聴の方々におれかましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠状況ですが、委員全員から御出席をいただいております。

 なお、薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。

 また、本日は今回参考人といたしまして、日本医師会の今村常任理事、日本薬剤師会の生出副会長、また、日赤医療センターの鈴木副院長、公益財団法人いしずえの佐藤理事長、日本骨髄腫患者の会の上甲副代表、大阪大学大学院薬学研究科の那須教授、また東京大学医学部附属病院の藤井教授、群馬大学大学院保健学研究科の村上教授に御出席いただいております。

 このほか、現在のTERMS及びRevMateの運営状況について必要に応じて説明をいただけるよう、サリドマイド製剤の製造販売業者である藤本製薬株式会社から長谷さんと大西さん。また、レナリドミド製剤の製造販売業者であるセルジーン株式会社から北川さんと伏見さんにも御参加いただいております。

 これ以降は議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 では、以後の議事の進行は、五十嵐座長にお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、これから議事を始めます。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、御説明をお願いいたします。

○事務局 議事参加について御報告いたします。

 本日御出席の委員及び参考人の方々の過去3年度における関係品目の製造販売業者からの寄附金・契約金などの受け取り状況を御報告いたします。

 本日の議題は、サリドマイド製剤及びレナリドミド製剤に係るものでございますので、関連企業といたしまして、多発性骨髄腫の治療薬の製造販売業者であるセルジーン株式会社、藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社、ノバルティスファーマ株式会社の4社から過去3年度における寄附金等の受け取りについて、事前に各委員及び参考人に資料をお送りして申告いただきました。

 その結果、本日御出席の委員及び参考人のうち、次のとおり申告いただきました。

 遠藤委員より、セルジーン株式会社から50万円超500万円以下の受け取り。柿崎委員より、ヤンセンファーマ株式会社から50万円以下の受け取り。上甲参考人より、セルジーン株式会社及びノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受け取り。鈴木参考人より、藤本製薬株式会社及びノバルティスファーマ株式会社から50万円以下、セルジーン株式会社及びヤンセンファーマ株式会社から50万円超500万円以下の受け取り。那須参考人より、藤本製薬株式会社から500万円超の受け取り。藤井参考人より、セルジーン株式会社から50万円以下の受け取り。村上参考人より、セルジーン株式会社及び藤本製薬株式会社から50万円超500万円以下の受け取り、ヤンセンファーマ株式会社及びノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受け取り。

 この結果、遠藤委員を除く全ての委員におかれましては、意見を述べ議決にも加わることができます。遠藤委員は意見を述べることはできますが、議決には加わることができません。

 追加で申しわけありませんが、上甲参考人より、ヤンセンファーマ株式会社から50万円以下の受け取りがあるとのことです。

 また、参考人におれかましては、那須参考人から、藤本製薬株式会社から500万円を超える受け取りとの申告がございましたが、これは今回審議するサリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)の第三者評価のための受託研究で受領されたものです。TERMS第三者委員会の委員長として今回の審議への参加が必要と考えておりますけれども、那須参考人の参加が必要と御判断いただけるか確認をお願いいたします。

 そのほか今回の審議に参加することのできない参考人はいらっしゃいませんでした。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 今、御説明いただきましたように、那須参考人の御参加が必要と思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございました。那須参考人の御参加につきまして御確認をいただきました。

 そのほか関係品目・関連企業の妥当性につきまして、何か御意見ございますか。

 特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解をいただいたものといたします。

 では早速、事務局から本日の配付資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、配付資料の一覧に沿って御説明いたします。

 本日、右手にございます資料の山の一番上が議事次第でして、めくっていただくと委員・参考人等一覧、その下に座席表、その下に配付資料一覧がございます。これに沿って御説明いたします。

 まず最初に、資料1「TERMS及びRevMateの一部改訂の概要」、両面裏表の1枚紙です。

 次に、参考資料1「藤本製薬()及びセルジーン()に対する指示事項」が1枚。

 資料2-1「平成27年1月29日調査会指示事項に対する回答」、藤本製薬からのものです。

 資料2-2「TERMS(サリドマイド製剤安全管理手順)の一部改訂案」。

 資料3-1「平成27年1月29日調査会指示事項に対する回答」、セルジーンからのものです。

 資料3-2「RevMateの一部改訂案」、こちらは修正履歴ありのものです。

 資料3-3、同じ改訂案ですが、こちらは反映版です。

 資料4-1、1枚紙ですけれども「パブリックコメントの概要」。

 資料4-2「パブリックコメントの結果」。

 参考資料2「医薬品等の安全管理方策に関する審議について」。

 参考資料3「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会報告書」を配付資料としております。

 また、当日配付資料といたしまして、以下の資料をお配りしております。左手にあるものです。

 1つ目が「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理手順の緩和撤回を求める意見」、いしずえから御提出いただいたものです。

 2つ目が、平成26年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会、1月29日のものですけれども、こちらの議事録。

 3つ目が、その調査会での資料一式、この3点を当日配付資料として配付させていただいております。

 漏れや落丁などがありましたら、お申し出ください。

○五十嵐座長 ありがとうございました。皆さん御確認いただけましたか。よろしいですか。

 では、議題の「サリドマイド及びその誘導体の安全管理について」に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 まず初めに、これまでの経緯を御説明申し上げます。資料1の「1.これまでの経過」をごらんください。

 平成25年3月に本調査会において、サリドマイド及びレナリドミドの胎児暴露を防止するための安全管理の考え方や具体的方策等について検討することを目的として、「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会」の設置を決定いたしました。

 その後、平成25年6月から7回にわたって検討会で検討を重ね、平成2612月に報告書がとりまとめられました。

 平成27年1月29日には再度、本調査会においてTERMS及びRevMateの審議を行い、企業への指示事項を決定し、企業へ通知いたしました。

 この指示事項に基づき、企業において手順書の改訂案が作成され、この改訂案について6~7月までパブリックコメントを行いました。

 本日の調査会では、パブリックコメントの結果等を踏まえつつ、企業が作成した手順書の改訂案について御審議いただき、この改訂案の諾否を御判断いただきます。

 続きまして、今回の手順書の改訂案の主な内容を御紹介いたします。「2.主な改訂内容」をごらんください。

()の薬剤管理者の設置については、処方医が患者の状況に応じて個別にその要否を判断し、患者本人が薬剤を確実に管理できることを処方医師が確認した場合に限り、その省略を可能としました。

 次に、企業へ登録する患者情報等についてです。薬剤管理者の情報は、薬剤管理者の設置が必要と判断された場合であっても、医療機関側で必要な情報の管理・運用を行い、必要があれば企業が医療機関に問い合わせることで入手可能な状況にしておけば問題は生じないため、薬剤管理者の企業への登録は不要といたしました。

 患者情報は患者情報のうち、氏名、連絡先の情報は企業へ登録しなかったとしても、患者登録番号を用いることで企業と医療機関との間で連絡を行うことが可能で、安全管理上も特に問題ないことから、氏名、連絡先については企業の登録は不要といたしました。

 次に()毎処方時の手順については、医療機関における患者の遵守状況確認手順について変更を行いました。従前では、患者は自身の遵守状況を定期確認票に記入した後、定期確認票を自宅からFAX等で製造販売業者へ送付していましたけれども、今回の改訂では処方医師へ提出することとしました。

 この際、処方医師は、定期確認票の記入内容を確認した上で必要な説明を行い、遵守状況確認票に必要事項を記入することとしました。

 薬剤師は、医師が記入した遵守状況確認票及び患者が記入した定期確認票の記入内容及び処方せんの記載事項を確認した上で、薬剤管理に関する必要な説明を行い、遵守状況確認票に必要事項を記入した後、定期確認票とともに企業へ送付することとしました。

 一方、企業は薬剤師から送付された遵守状況確認票及び定期確認票をその都度確認し、不備等があった場合には医療機関へ速やかに連絡し、対応を依頼することといたしました。

 なお、患者が定期確認票を記入するタイミング以外の審査時の確認・説明は、毎回全ての患者に一律に同一項目について行うのではなく、患者の病態や理解度等に応じて処方医師及び薬剤師の判断により実施することとしました。

 また、定期確認票の確認項目ですけれども、「本剤の適正な保管管理」「性交渉がない又は規定の避妊方法の実施の確認」「本剤の譲渡、廃棄、紛失の有無」としました。

()企業による安全管理手順の実施状況の確認については、問題点や懸念がある場合に限らず、定期的に企業担当者が医療機関を訪問し、遵守状況確認票等を確認することにより、安全管理手順の確認に企業が主体的にかかわっていくべきとされました。

 なお、企業担当者の医療機関への訪問による確認は、薬剤及び安全管理手順に係る知識を有しており、適切にその役割を担うことができる者によってプロモーション活動とは独立した形で行うこととしました。

()TERMS及びRevMateの様式名等の統一については、異なる目的を有する様式に類似した名称が付されている遵守状況確認項目が一致していないといった問題点が指摘されていたため、両手順の間で様式名等の統一を図り、医療現場での混乱を避けることとしました。

 以上の()()までを踏まえて企業が作成した手順書の改訂案は、TERMSについて資料2-1及び資料2-2、RevMateについて資料3-1、資料3-2、資料3-3としてお配りしております。

 企業が作成した手順書の改訂案については、平成27年6月26日から平成27年7月27日までの間パブリックコメントを実施いたしました。その結果は資料4-1及び資料4-2にお示ししておりますので、簡単に御説明させていただきます。資料4-1と資料4-2を御用意ください。

 今回のパブリックコメントにおいては、合計で31の個人または団体から意見が提出されました。資料4-1はいただいた意見をまとめた概要、資料4-2は個別の意見を載せております。ここでは資料4-1に基づいて御説明させていただきます。

 パブリックコメントで寄せられた御意見を賛成、反対、その他と分けまして、その中で御指摘を分類いたしました。

 反対意見では11分類の意見がありました。改訂案を簡素化とするもの、待合室でのチェックはプライバシーの観点から問題であるとするもの、薬剤管理者は省略すべきでないとするもの、中央一元管理が必要とするもの、安全管理手順の逸脱等の可能性を指摘するもの、トラッキング、トレーサビリティを確保すべきとするもの、情報の登録漏れの可能性があるとするもの、責任の所在を指摘するもの、医療機関の負担が重くなることを指摘するもの、国など製薬会社以外による管理が必要とするもの、企業も消極的であることを指摘するものなどです。

 なお、7個目の情報の登録漏れですけれども、補足させていただきますと、患者が自ら記入する定期確認票が企業ではなく直接医療機関に送られるため、医療機関の責任が重くなること、ひいては手順の逸脱が発生するのではないかということです。

 賛成意見としては4つの分類がありました。改訂案に賛成するもの、サリドマイドの問題を患者に対して説明すべき、個人情報を企業に登録するのは望ましくない、また、医療の実情に合わせたさらなる手順書の改善を望む意見などがありました。

 その他に入る意見ですけれども、薬害の安全教育を必要とするもの、さらなる改訂が必要とするもの、また、安全管理手順自体を不要とするものなどでした。

 資料の御説明は以上です。本日は、企業が作成した手順書の改訂案について、パブリックコメントの結果等を踏まえて御審議をお願いできればと存じます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 今、御説明いただきましたけれども、手順書の改訂案、パブリックコメントの結果につきまして審議を行いたいと思います。事務局から御説明いただいたのですけれども、資料4-1の反対意見が多いのですが、これを見ますと、ことし1月29日の調査会で議論されたことがほとんどではないかとも思いますが、何か御意見がございましたらいただきたいたと思います。いかがでしょうか。

○佐藤参考人 改訂に反対の意見を述べさせていただきました、いしずえの佐藤です。

 趣旨は、前回の調査会でもお話しさせていただいたとおりですけれども、一番懸念されるのは医療機関での混乱だと思います。患者さんが記入する定期確認票をだれがどのタイミングで渡すのかに関しては、医療機関にその手順化が委ねられているのですね。次の診察のときに定期確認調査票への記入が必要なとき、薬剤部から次のときに持ってきてくださいねと言って渡すのか、もし、受診の当日に渡すとしたら、薬剤師外来みたいなところがあるところはいいのでしょうけれども、そうではないところはどうやって薬剤部に立ち寄ってもらうのかというところが非常に難しいと思います。

 そういう中で、最終的に患者さんの確認票と医師・薬剤師がチェックした調査票を製薬会社のセンターに送るわけですけれども、一連の手順がきちんと行われたかの確認が事後的にならざるを得ない。今まではリアルタイムに確認してOKの返信があってから、薬が患者さんの手元に渡ったわけですけれども、その過程でさまざまな逸脱が起こり得るのではないかというのが一番懸念されるところです。

 もう一つは、定期確認票を患者さんがどこで記入するかということですけれども、もし当日渡すということであれば、病院の待合室とか、場合によっては診察室で医師がその場で患者さんに渡して、その場でチェックしてもらうということもあるかもしれません。そうすると、定期確認票への記入が形骸化されてしまって、形式上ただ提出しているだけということになりかねないというのが一番懸念されます。ですから、医療機関での逸脱の可能性がふえるということと、患者さんの定期確認票への記入が、今までは自宅で静かな環境で1カ月なり2カ月なりを振り返ってチェックしていたものが、比較的慌ただしい病院の中でチェックすることになって形骸化してしまうのではないかという、その2点が一番懸念されます。

 それから、薬剤管理者の設置を不要としたことに関しても、いろいろな御事情でおひとり暮らしの方とか現実的に難しい場合はあると思いますが、今の手順でもある程度そこは柔軟な対応ができるようになっていますし、そうでない場合に、御家族がいらっしゃる場合にはどなたか患者さんとは別の、この薬の危険性についてきちんと理解して注意を払うという方が必要ではないかと思います。患者さんが薬の管理が自分でできるからという理由で、設置を不要とするのは納得がいかない。やはり、もう1人家族の方にそのことをわかっていらっしゃる方がいるということが、完全管理上とても重要なことではないかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 3つ御指摘をいただきましたけれども、いかがでしょうか。

○遠藤委員 佐藤先生が御懸念されていることの1つ目は、定期確認票をどういうタイミングで、どこで渡すのかということだと思いますが、基本的には今回のシステムは患者さんの名前を企業に登録しませんから、当然病院の中では患者さんのあらかじめ決めた番号か、カルテ番号か、そういう一覧表、対照表をつくると思います。これは企業の方にも後でお伺いしたいと思いますけれども、基本的には病院の中で手順書をつくりますので、それにあわせてそういう一覧表をつくって、患者の種別によってどのタイミングで定期確認票を渡すということが決まっていますので、いつ、どこで渡すとか、もしかしたら次回持ってきてくださいということになるのかもしれませんが、先ほど佐藤先生がおっしゃった、受診のときに必ず薬剤師が会うような病院であれば、そのときに渡して書いてもらうということもできます。もしかしたら企業さんがいろいろ配付する中で見本のようなものをつくってあげて、たくさん患者さんがいるところでは独自でつくるかもしれませんが、患者さんが少ないところであれば、チェックリストみたいなものをつくって配付していただければ、漏れなく患者さんの手元に渡るのではないかと思っています。そういうものは、治験の中でも病院では行っていますので、それに準じてやってもいいのかなと思っています。

○五十嵐座長 それについては、よろしいですか。

 2番目に、安全管理手順が逸脱する可能性があるという御指摘をいただきましたが、これはどうでしょうか。もともと普通の医療でも医師・薬剤師がダブルチェックはしているわけですけれども、このシステムになったから逸脱する可能性が高くなるという御指摘はいかがでしょうか。

○藤井参考人 今、佐藤先生が御指摘した問題については、全て検討会で当然のように論点になったことでございまして、賛成の意見、反対の意見双方が出ましたが、現場でやっている医師・薬剤師の先生から、今回の結論になったものでも安全管理手順の逸脱は起こらないだろうということで、このようにまとめた次第です。

○五十嵐座長 その点につきましても、よろしいですか。

○遠藤委員 追加で。今回は企業の方も定期的にモニタリングすることになっていますので、仮に佐藤先生が心配するようなことがあれば、そこでチェックができると思いますので、そういう漏れはないかと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見はいかがですか。

○佐藤参考人 逸脱の可能性について、実際に今でも結構な数の逸脱が起きておりまして、第三者評価委員会に私も属しておりますけれども、そこで出てくるのは、1つはTERMSのほうでは、責任薬剤師から企業へのFAXの送信し忘れがかなりの数起きております。その中には単に忘れたというだけではなくて、薬剤師の交代などによって引継ぎがうまくいかなくて、そもそも管理手順がきちんと理解されていなかったというケースもありますし、そういう中で今、遠藤先生が言われたような対応表による、いつ、何を、だれに、どのようにやらなければいけないかというチェックが、薬剤部なら薬剤部で本当に責任を持ってできるのかということです。恐らく、治験がやれるような施設では割ときちんとできるのだろうと思いますが、そうではないところもありますので、そのあたりが非常に心配であるということです。定期確認票をどのように渡すのかということと、逸脱の可能性というのはかなりリンクしておりまして、非常に私は心配ですし、実際に起こるだろうと思っております。

○五十嵐座長 いかがでしょうか。その点につきまして、ほかに御意見はございますか。

○事務局 御意見いろいろありがとうございます。

 まず、どのタイミングで定期確認票を渡すかという点は、確かに今回の見直しのポイントの1つで、患者さんが記入する場所も限定しないということですから、医療現場にそこは任せることになります。患者さんが家で書きたいということになれば、例えば薬剤交付のときに渡していただいて、次回に書いて持ってくるということもあり得るし、医療機関で書きますということであれば診察に訪れたときに書くことになって、タイミングというのはまちまちになるだろうということは想定されます。ですから、それが漏れなくできるようにするということで、先ほど遠藤先生がおっしゃったようなことを、医療機関で状況が違うと思われますので、問題がないように運用開始までにいろいろな方策を医療機関、企業等が話し合って、そこに合った対応をとっていただくことになるかと思います。

 それから、逸脱が起きるのではないかということで例を挙げていただきました。確かにそういうことも起こっております。遵守状況確認票を医療機関から企業に今でも送っておりますけれども、その逸脱例ということで、エラーとしてどういうものが多いのか企業の方にも調べていただきました。その中で一番多いのが、記入日を書いていなかったとか、外来・入院のチェック欄がなかったとか、それから、未付与の薬剤の数量がなかったというものが数としては多いということです。記入漏れが多いということでございますので、こういう点については確認をとればいいということでもあり、遵守状況確認票は医療機関の中で確認することになりますが、企業にも送ることになっておりますので、企業のチェックも今回の改訂案では入ることになりますから、そこでのバックアップもとれるということかと考えております。

○藤井参考人 先ほど検討会での意見も述べましたとおり、今回はとにかくアクセスが実際に薬を使っている患者さんが、これによって阻害をかなり受けていて、薬を使いたいけれども使わないという方がいらっしゃるということから始まりました。実際に、この薬が胎児に対して非常に危険な薬であるということは、患者さんもみんな十分過ぎるぐらい理解しているという状況にあって、逸脱というのは要するにシステムからの逸脱で、本当に危ない逸脱、例えば紛失してしまったとか、人にあげてしまったとか、そういうことは起こっていないということになりますと、複雑なシステムであればあるほど逸脱は多くなりますので、現場の実情に合わせてやったほうが、むしろ逸脱は減って、危険なことが起こらないのではないかという判断もあった次第でございます。

 そういうことなので、今までのシステムが1人の暴露者も出さないという意味では、その防止という意味では完璧なシステムでしたけれども、アクセスを阻害したということは実際の患者さんたちがそう言っておられますので、その辺をできる限りしたいというところで、この案で報告をまとめました。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

○佐藤参考人 質問があるのですけれども、手順書に関する質問ですが、今の逸脱の確認に関して、製薬企業がどのように確認をするのかというところですが、例えば、資料2-2のサリドマイド製剤安全管理手順でいいますと17ページの右側が変更案ですが、ここで処方及び調剤終了までの流れが書かれております。7-17-12までが書かれていますけれども、7-8 7-9で責任薬剤師は、定期確認票と遵守状況確認票をFAX送信すると。「FAX送信は遅くとも当日中に行う」と書いてあります。その次の7-10で「責任薬剤師は、藤本製薬株式会社より照会があれば解決するよう努力し」と書いてあるのですが、製薬会社は、もし送られたFAXに疑義がある場合に、どのタイミングで、いつまでに照会するということが全然書かれていないのですが、これに関してはどのようになっておりますか。

○事務局 御指摘ありがとうございます。

 御指摘のとおり、この7-(5)の手順は医療機関の中ですることを主眼に書いておりまして、藤本製薬さんがどのように対応するかということが出ておりませんが、16ページの「7.3.調剤」をごらんください。赤くなっている段落の3つ目に「藤本製薬株式会社は」という段落がございます。そこで「遵守状況確認票を確認し、照会がない場合は、遵守状況確認結果を責任薬剤師等へFAX送信する。照会がある場合は、責任薬剤師等へ問題点を連絡し、処方医師を含め院内での対応を依頼する。」ということで、藤本製薬さんがやる対応については、この部分で書いてございます。

 確かに御指摘のように、7-(5)の部分だけを見ますと、藤本製薬さんがやる部分についてわかりにくいところがございますが、「7.3.」で藤本製薬さんが確認する行為については記載してあるということでございます。

○佐藤参考人 照会するということは書いてあるのですが、いつまでにということが書いていないです。今の手順であれば、FAXを受け取ったら即座に見て、通常10分以内に返信されているということです。それで、患者さんがまだ病院にいる間に、もし何か問い合わせが必要な場合は、その場で解決することになっているわけですけれども、そもそもFAXが送られるのがその日のうちということですから、例えば翌日なのか、そういうことが少なくとも明記されるべきではないかと思います。

○事務局 基本的に「7-(8) 7-(9)」では速やかにFAXするということですし、そういうふうに来たら企業さんも速やかにということで確認して返していただくことになるかと思います。

○藤井参考人 この点は以前も書いていないですよね、でも速やかにやっていた。だから、先生の意見は、あえて「速やかに」とここで入れるべきだということですか。

○佐藤参考人 基本的にこの改訂案に反対の立場ですので、細かいところをどう直すという立場にはありませんが、もし、このシステムに決定されるならば、最低限そこは明記しないと、企業がいつまでにというのがなければ、1カ月後でもいいのですかということになってしまわないでしょうか。

○五十嵐座長 上甲さん、どうぞ。

○上甲参考人 3点ありまして、1点目は、先ほど佐藤さんがTERMSのほうで逸脱例が結構な数あると言われましたが、それはTERMSの第三者評価委員会のときに社内委員会の報告書を私たち委員はいただいていて、それを見ていたら確かに毎回逸脱例はありますが、結構な数という言葉だけ議事録に残ってしまうと、知らない人はどれだけあるのだろうと思われると思いましたので、多分何千処方があって、そのうちのそんなに多くの割合を占めているわけではありません。あるのは毎回ありますが、かなりを占めていることではないということを申し上げたかったのが1点。

 もう一点は、新しい手順になったら、いつ定期確認を患者さんはもらうのだろうというのは私も心配しています。最初のうちはうまくいかなくて、渡してもわからなくて、最初のうちは逸脱だ、逸脱だというのがたくさん出てくるのではないか、それをもって、やはりこれはだめなのだということにならないだろうかということをすごく心配していますので、一個一個の施設それぞれの事情があることは企業のそれぞれの施設の担当の方はわかっているでしょうから、ここは新しい手順になったら、熱心に行って新しい手順を伝えて、知らないうっかり逸脱がないようには努力していただきたいと思っています。

 3点目は、参考資料にも入っていまが、報告書の一番最後に手順案の絵が描かれていまして、これが検討会では承認されています。この絵を検討会ではさんざん議論していただいて、薬剤交付をした後にTERMSの場合はFAX送信する、RevMateの場合は端末を操作するということが検討会で決定されています。この検討会の報告書には、いつやるということは書かれておりませんが、常識的にはそんなものはいつまでもため込むものではありませんので、すぐに送るものだということは、この手順がある限り医療機関・薬剤師さんにさっさとしてほしいと思っていますが、セルジーンは現行手順でも既に一回一回端末からセルジーンの会社の中のRevMateセンターにデータを送っているわけではありませんよね。端末の操作で一人一人の適確確認は、センターに確認して、センターがどうぞと言っているわけではなく、プログラムがOKだと言っていて、その端末をしかるべきところに置いたらデータ通信されるということで、この絵とそこのところは一緒ですよね。それで、いつまでも送ってこないような事例は実際にあるのでしょうか。その日お薬を渡しているのに、いつまでもデータが通信されない困ったところというのがたくさんあるのだったら、これからやらんとしている藤本製薬は根性入れてやってもらわないと困ることになるのですが、今やられている方法が問題なく、一日分はちゃんとその日に送られてきていますよ、それでクリティカルな問題は起きていませんよということならば、この絵は実現できると思うのですけれども、そのあたり実際にやられていますので、そういうものを伺ったら懸念もなくなると思いました。

○五十嵐座長 ただいまの現場での状況に対する質問はいかがですか。

○セルジーン 当社の現状でも上甲参考人のおっしゃったように、1症例ずつのデータを薬剤師の先生がハンディー端末に入れた段階で、例えば調剤が可能ですというのはそこで判断するようにしております。

 先ほどおっしゃられましたように、クレードルというところに置いたら会社にデータが送信されるようになります。会社にデータが即送信されない場合でも、毎日夜間にバッチを動かして、そのチェックはするようにしておりまして、もし、そこで機械的な問題等で送られないような場合は、こちらから連絡してハンディー端末不具合事務連絡書というもので新たに情報をもらうようにしております。そういうケースというのは本当にごくわずかです。ほとんどの場合は、ハンディー端末が電池切れを起こさないように必ず台座に置いてもらいますので、その日のうちにはデータが送られております。本当にうっかりデータ送信、入力を忘れましたというのは、正確なところではないですが、この4~5年の中で1~2件です。翌日ぐらいに薬剤師の先生から、きのう入力し忘れましたが、どうすればいいでしょうかというのが、本当に正確ではないですけれども、ほんの数件あった程度でございます。答えになっていますでしょうか、よろしいでしょうか。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 現場では比較的うまくいっていると理解していいようですけれども、よろしいでしょうか。

○佐藤参考人 今、上甲参考人が言われた大した数ではないというのは違うと思います。TERMSに関しては、第三者評価委員会で出された資料の数字はしゃべってはいけないということがあって、この場でちゃんと言えないのですが、FAX送信し忘れというのは1カ月に数件、例えば半年間でいうと数十件という単位で起きていますので、全体の割合からするとそれほど多くないのかもしれないですけれども、決して少ない数ではないです。

○五十嵐座長 割合からすると何パーセントという数字は言えないのですか。

○佐藤参考人 それは藤本製薬さんから言っていただければよいのですけれども、私から話すわけにはいかないので。

○那須参考人 藤本製薬さんが全部まとめていらっしゃいますし、藤本製薬さんがよろしければ、ここで御報告していただいたらいいと思うのですけれども。FAXを送っていらっしゃらなかった薬剤師さんが何人かいらっしゃったかと思いますが。

○藤本製薬 今、佐藤さんが言われたように、半年の中で大体40件弱は起こってきていると。これにつきまして今、母数、全体が何枚あったかというのは、大体月々が千何枚ぐらいあるので、半年ですから7,000枚ぐらいのやりとりをした中で40前後は出てくるというのが大体の数になるかと思います。今、セルジーンさんが言われたように、何年の中で1~2件ということではないということです。

○事務局 FAXが送られていないという点について、今回の改訂の中での1つのポイントに、企業が定期的に医療機関に行って遵守状況を確認するという点があります。FAXがそもそも送られていないものは企業ではチェックはできません。ですから、企業は医療機関に行って、きちんと手順ができているかどうかを定期的に確認し、企業から医療機関へのリマインド、遵守事項をしっかりやっていただくということで逸脱が起こらないように言っていただく、それが最善の策ではないかと思います。

 それと、佐藤先生から御指摘があった速やかに確認するということで、実際にはされているということですけれども、確かに文章上入っていないので、入れておくべきだという御意見であれば、16ページの問題がある場合は速やかに医療機関に連絡をするということで、「速やかに」という言葉を入れてもよろしいのではないかと。それは実際にやられていることを書き込むということで、よろしいのではないかと思います。

○生出参考人 FAXが送られていないということの分析はされているのですか。例えば、送ったのだけれども受けとれなかったとか、スイッチがうまく入っていないとか、解析はされているのですか。どういう具合でFAXが送られなかったのか。単に薬剤師が忘れて送らなかったのか、物理的に何かの都合でエラーになったのかというようなことはわかるのですか。

○藤本製薬 薬剤師さんのほうでトラブルが起こっていればFAXの中にエラーが出ますので、そこで送り損ねているかどうかはわかるかと思います。

 こちらで数がわかるのは、出納表を月に1回出していただいています。その出納表と遵守状況を照らし合わせるのですが、出納表には払い出し、何月何日に何番の方に幾つ出したとあるのですが、その遵守状況がこちらに届いていないというところからも、今言いました数がわかるようにはしております。ですから、今、先生がおっしゃられたような受け取りが失敗しているということではなくて、今のFAX機は送るときに送信エラーか、待機しているかというのは出ますので、そこについてはないかと思います。本当に送られていないときという形で、先ほどもありましたように、きのう送り忘れたので今から送るという御連絡を電話でいただくことはあります。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 そのくらいの頻度で、1%まではないが、時々あるということがわかりました。ほかにございますか。

○遠藤委員 今のことですけれども、人間のやることですからそういうミスもあるのかもしれませんけれども、基本的には連絡が来たりしてFAXが送られていないというのは突き合わせするまでわからないのですか、そうではないですよね。出納表というのは現場にある出納表ですよね。行ったときにきちんと確認はされるわけですよね。定期的に医療機関に訪問してモニターするわけですから、その中で、もしFAXを送る手順がその医療機関で十分できていないのであれば、うまくできているところのこういうふうにやるとFAXの漏れがないですよというようなことも話ができると思うので、どんどん改善されていくのではないかと思います。同じ医療機関が毎回毎回FAXをし忘れるということであれば、医薬品をストップしてもいいと思います。医療機関はふえているわけですから、そこはきちんと藤本さんがシステムを動かす前に説明をするでしょうし、動かした後に行って、そこがもし漏れているようなことがあれば注意もできるでしょうし、システム的におかしいのであれば助言もできるのではないかと思います。

○五十嵐座長 実際、どのくらいの頻度で病院を訪問される予定なのですか。

○藤本製薬 少なくとも月に1回は要るのかなとは思っておりますが、施設によって患者さんの数が多ければ1回お伺いしたときのチェックの量は、それぞれ施設ごとに差が出てくるかとは思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。この点について、よろしいでしょうか。

 あともう一点、薬剤管理者の方がいないことがやはり問題だと御指摘をいただいております。この点については藤井先生いかがですか。

○藤井参考人 いないのではなくて、必要かどうかを個々に判断するということです。必要があったら置く、必要がないものはいいのではないかと。前は自動的に全部置いていたのを少しやめたということですので、どういう状況かというのは、私は必ずしも現場を見ているわけではありませんけれども、恐らく高齢になっておられるとか、精神状況が非常に悪くて自分の管理ができない方というのが問題であって、例えば、先ほど言ったダブルチェックを家族の中でもやってもらうということになりますと、そもそもそういう方は御本人が判断できないので、その段階でダブルチェックではないので、本人がよくわからないときに、代わりのしっかりした人にやってもらうのが薬剤管理の考え方なので、そもそも薬剤管理をつくった最初の発想というのはダブルチェックだったのですか、そういう場合ではないですよね。やはり本人がだめな場合ですよね。

○上甲参考人 検討会の議事録にも載っていますが、薬剤管理責任者を置いたのはサリドマイドが個人輸入されているころに、当時は個人輸入ですから薬剤師さんも看護師さんもほとんど関与しない、医師と患者さんだけだったときで、今だったらパッケージに注意しなさいということが書かれたものを企業はつくられていますけれども、そういうことも英語で書かれたようなものを個人輸入で患者さんたちが飲んでいるときに、もう1人関与する人を入れてというのが、日本血液学会が考えたサリドマイドのこういうふうにやろうという中に入っていたのがスタート地点です。

○藤井参考人 現在は日本語でしっかり書かれているので、ちょっと状況が違いますよね。もちろん健康な人でも2人でやったほうが間違いは絶対ない、確かにそうなのですけれども、現実問題としてその上に医師と薬剤師がチェックしておりますので、本当に個々の状況で、間違えて勝手に医師と薬剤師が見ないところでやっては困るということで、現場の医師が判断するという形でいいのではないかということで検討会では結論にしたと思います。

○望月委員 そこに関してですけれども、薬剤管理自体、適切に服用していただくことがきちんとできる患者さんはいらっしゃるし、かなりの方ができると思います。もちろんできない方は、家族の方なりが適切に使っていただけるように御指導されると思うので、管理者が不要、あるいは必要な場合というのは医師がきちんと判断されると思います。そこはそうなのですけれども、先ほどの佐藤参考人からの御意見で、家族あるいは同居人と言うべきかもしれないですが、そういう方々に、この方が飲んでいらっしゃる薬はこういうものなのだという情報がきちんと伝わる形はとったほうがいいだろうと。サレドの手順書の8ページで拝見しますと、各企業が、きちんと管理するための知識を持っていただくために、いろいろな提供資料をおつくりになっているのですが、患者、薬剤管理者及びパートナーに行く資料というのは○がついているのですが、その他の一緒に住まれている方々に対しても知っておいていただいたほうが、いいのではないかと思いました。情報管理者以外にもきちんと情報が行き渡るようにしていただくことが必要かなと思いました。

○佐藤参考人 私も全く同じ趣旨なのですが、薬剤管理責任者という名前がついたのは、上甲さんが言われたとおり、個人輸入の時代にそういう経緯があったというのはそのとおりなのですが、TERMSないしRevMateのシステムが承認される段階で少し意味合いが変わったと思います。管理責任者という名前だけが残ってしまったのですが、やはり一番重要なのは、最初の教育の段階で、特にTERMSがスタートした当初は、薬剤管理責任者が患者さんと受診のときに一緒に来ないと、そもそも薬がスタートできないという非常に厳しい運用がされていました。それはなぜかというと、患者さんと生活をともにするパートナーなり家族の方が、この薬の危険性をきちんと理解することが非常に重要であるという認識のもとに、そのような手順がつくられ、厳しい運用がされたわけです。ただ、例えば御家族がいらっしゃらないような方、だれも付き添いがいなくて1人で病院に来るしかない患者さんにもそれが要求されたがために、サリドマイドの開始が遅れるというようなことが起きてしまったので、それはよろしくないだろうということで、徐々に柔軟な運用がなされるようになってきたという経緯がありますので、特に最初の説明の段階で、家族の方に一緒に来ていただいて理解していただくというのは非常に重要なことだと思うのですが、そのことが今回の改訂で完全に抜け落ちてしまうのではないかということが非常に心配です。

○事務局 家族への情報提供・説明をどうするのかという、これは確かにポイントであるかと思います。現時点でそういう点については文書等がない状況ですけれども、例えば、患者向けの説明のものはありますが、その要点を抜粋か何かわかるような形で家族用のものを。

○上甲参考人 それは、RevMateはあります。

○事務局 TERMSは。

○上甲参考人 ないです。

○事務局 では、そちらをつくるということでご指摘のところは対応できると思います。

○上甲参考人 RevMateのほうは、家族と患者・関係者用説明文書を医師から渡す、このことですよね。

○村上参考人 現場のことを申しますと、多発性骨髄腫という病気はがんですので、先ほどのひとり暮らしの御老人という場合は別かもしれませんけれども、私たちが治療を開始するときにはできるだけの家族の方をお呼びして、特に御高齢の患者さんの場合は、例えば、患者さんが男性で奥様がやはり御高齢の場合には、息子さんや娘さんまでお呼びして薬の説明もしますよね、鈴木先生。そういうことですので、家族に話が行かないということはまずないです。それだけは言っておきたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

○佐藤参考人 わかるのですけれども、実は一番問題なのは御高齢の患者さんではなくて、性交渉がアクティブな年代の方で、まさに薬が自分で管理できるぐらいのQOLが保てる方がその可能性があるわけです。そのときに薬の危険性を、性交渉するような方、パートナーがきちんと認識しているということが一番重要なことであって、それをどのように担保するかということなのだと思うのですが。

○鈴木参考人 やはり30代、40代の患者さんもかなりいますので、その辺は徹底してよく話をしています。特に、夫婦の場合はいいのですけれども、まだ独身という場合も親や兄弟に一緒にきちんと説明すると。特に最初の診断のときは本人だけに説明するということは原則ありません。

○五十嵐座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。特に御意見はほかにございますか。

 それでは、そろそろこの調査会としての結論をとりまとめたいと思うのですが、いかがですか。

○佐藤参考人 すみません、これだけ意見を述べていて、こんな簡単にそれを無視されるのは非常に心外です。パブリックコメントの意見を皆さんはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。これだけの数の反対意見がある中で、そのことに関して何の議論もせず、これを無視してこのまま決めるというのは歴史に汚点を残すことになるのではないでしょうか。

 このシステムの簡素化は、私どものいしずえからも意見書を出させていただきましたけれども、ここにも書きましたが、交差点で例えるならば信号機をなくすようなものですよね。きちんと赤信号、青信号があって中央での一元管理がされていたものを、信号機をなくして、通る人がそれぞれの責任において気をつけて事故が起きないようにしましょうという、そこに委ねられてしまっているわけですから、そういうふうにシステムを変えることに関する厚生労働省の責任というのは極めて重いと思います。そのことについてパブリックコメントを受けて、厚生労働省はどのように考えているのでしょうか。

○事務局 パブリックコメントは、いろいろな規制やシステムを変更するときに、その変更案について広く意見を聞くことで、寄せられた意見については、当然考慮した上で決定するということです。ですから、今回の場合もパブリックコメントを6~7月にかけてやりまして、寄せられた意見をまとめて、この調査会にお諮りしているということです。ですから、無視したということではなくて、その意見を全て並べて、それについて議論がどうであったか、議論があったというのは今回だけではなく、これまで2年間やってきたものも多いわけですから、パブコメの意見について関係する先生方の御意見をいただいて、とりまとめていただいたということです。無視しているということではなくて、いただいた意見には賛成もあるし、反対もありますので、その意見を全て並べて、御意見をいただいて判断いただいたということです。

○佐藤参考人 意見は集めて公表したけれども、そのことに関しての省みがないわけですから、それは無視したということですよね。

○事務局 無視したということではなくて、パブリックコメントで提出された意見も踏まえて議論したと言うことです。

○遠藤委員 検討会で佐藤先生も意見を述べられて、それも含めて何回も検討会の中でディスカッションしてきて、最終的に検討会の報告書をまとめたわけですので、全く佐藤先生の意見を聞かないで勝手に我々が最終案をつくって、パブコメもしたけれども意見も何も聞かないで最終的に決めたということではないと思います。これだけの時間もかけて、検討会の中で先生もずっと傍聴もしていたと思いますし、後半では意見も述べていただいた経緯もありますので、全く無視だということはあり得ないし、佐藤先生が言っていた意見が最後にまた出てきたことに、私は逆に違和感を覚えました。

○五十嵐座長 藤井先生どうぞ。

○藤井参考人 今回のパブリックコメントの概要に出ていた項目につきましては、検討会で長い間かけて論点で、佐藤先生は傍聴でいらっしゃいましたけれども、委員の中でも今回のことについて強い反対を述べておられた方もいたし、賛成の方もおられて最終的にまとめたものでございます。

 パブリックコメントで検討会で検討されていない項目が新たに出た場合というのが非常に問題で、それは真摯に検討し直さなければいけないと思いますけれども、細かい点では先ほど佐藤先生がおっしゃったところについては修正をすべきところはありますが、それ以外につきましては既に十分に議論して、賛成の立場を最後まで貫いた方、反対の立場を貫いた方の中で、こういう報告書をまとめたということでございますので、議論をもう一回やり直すということになりますと検討会をもう一回ということになってしまいますので、新たな論点が出ないのであれば、これでいいのではないかと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。

○大野委員 きょうの資料4-1の改訂案への反対意見、その主要な部分については、きょうの議論の中で対応が出てきたと思うんです。考え方が出て、それについて同意されたと思っています。

 例えば、1の簡素化するということに関しては、本来の目的が簡素化するということで今まで議論してきました。

 2については、確認票を場合によっては薬を渡すときに渡して次に来るときに書いてもらう。患者さんによっては、そのときに書いてもらう、そういうオプションがあるということで問題ないのかなと私は思いました。

 3の薬剤管理者は省略すべきでなく必須とすべきということについても、事前の会議でも議論していただいたし、私自身は望月先生も言われましたけれども、患者さんしかわからなくて家族には秘密だとか、そうなったときに一番心配していたのですが、がんの治療ということで、そういうことはあり得ないという説明がございましたので、家族が知らないで間違いを起こすということはないと思います。また、パートナーについても十分説明するんだと、若い人についても説明するということもございましたし、3についてはパスしたのではないかと思いました。

 中央一元管理に関しては、いろいろ説明がございましたけれども、登録に不備があった場合には確認する。それについては速やかに出すように修正して問題ないという説明がございました。

 トレーサビリティについては、患者IDを医療機関で管理しているので、何か起きた場合には十分トレースできるのではないかと私は思いました。

 先ほどの薬剤管理者の関係ですけれども、いただいたパブリックコメントでも家族に対して秘密にするということはなかったですね。親戚とかそういう人に対しては秘密にしたいという方もおられましたけれども、家族については隠しておくとかそういうことはなかったと思います。

 それから、結局だれも責任がとれないものとするという意見もございましたけれども、事故が起きた場合やミスした場合は、当然、医療機関なり医師なり薬剤師なり、また患者がミスしたら患者自身が責任をとるべきであって、だれも責任をとらないということはあり得ないと思いました。

 それから、医療機関の負担が重くなるというのは、こういう危険なものを処方するわけですから、負担があるのは当たり前であると思いました。それに対応できないようなところは登録機関から外すべきだし、負担が多いからといってミスを起こすようなところは登録から外すべきだと思いました。それは先ほどのお話の中で、そういうこともあり得るという遠藤先生からの御指摘もございましたし、それはできるのではないかと。

 それから、国など製薬会社以外による管理が必要とするものという意見もございましたけれども、それに関しては、さらに管理を複雑にするとほかの問題が出てくるのではないかと思いました。

 企業も消極的であることからすべきでないという意見もございましたけれども、それに関しては、患者の利便を考えて改正されるということでよろしいのではないかと私は思いました。

 コメントを詳しく読んでいるわけではないですけれども、ざっと読んだところではそのように感じたところです。ですから、パブリックコメントに関して、この場で議論をしなかったということではなくて、その内容についていろいろ御意見を伺ったと思っています。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 確かに、資料4-1にまとめていただきましたように、既にこの検討会で討議した内容がほとんどであって、新しい論点はほとんど出なかったと考えます。非常に細かい部分できょう御指摘いただいた点はありましたけれども、それにつきましては修正しなくてはいけないと思いますが、全体としては既に議論は出ていて、それについてある程度一定の同意あるいは方向性はこの検討会で示されているのではないかと私は理解しております。

委員の先生方いかがでしょうか。 佐藤参考人がおっしゃる様な「信号を外す」つもりは全くないことを申し上げたいと思います。

○佐藤参考人 私の反対の立場は変わりませんけれども、そのようにお決めになるのでしたら、私が言っている逸脱の懸念について、ここにいらっしゃる皆さんは、それほど心配ないだろうと、対処可能な範囲だろうとおっしゃっているわけで、それは改訂してみないと実際のところはわからないわけですけれども、そのように改訂されるのでしたら、まさに逸脱が起こるかどうかをきちんと評価すべきだと思うのです。そこが第三者評価委員会の役割だと思いますので、そのことはこの調査会として第三者評価委員会に改訂後の評価を依頼されてはいかがでしょうか。

○五十嵐座長 非常に貴重な御指摘ありがとうございます。

○藤井参考人 私も、検討会の座長として先生のおっしゃるとおりだと思っていまして、先生は大丈夫だろうと言われましたが、私は怖い、怖いと思いながらこれをつくっているのですけれども、やはり検討して逸脱があったらまた元に戻し、逆に、これで全く大丈夫だということになった場合には、もう少し簡素化するということも考えていいのではないかと思っています。両方の道の可能性があるので、先生のおっしゃるとおり、モニターは非常に重要であると私も思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 それでは、これから議決を取りたいと思います。今までの議論では、ことし1月29日に、この調査会の指示事項に基づいて企業に改訂していただきました業務手順書に対して、ほぼ賛成という意見が多かったと理解しております。これまでの議論を踏まえまして、本調査会の結論として企業が提出した改訂案はおおむね妥当であり、本改訂案を承認したいと考えますが、それでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。

 企業が提出した改訂案はおおむね妥当で、きょうその他御指摘もありましたので、その点を修正するということで改訂案を承諾したいと思います。ありがとうございました。

 もう一点お伺いしたい点がございます。この改訂手順案の施行時期についてですけれども、ある一定の期間、周知する時間が必要だと考えます。どの程度周知期間を設けたらよろしいでしょうか。これについて御意見をいただきたいと思います。

○柿崎委員 実際に診療される現場の先生方のご意見はいかがでしょうか。

○村上参考人 対応ができるかということですか。

○五十嵐座長 どのくらいあれば周知できますか。

○鈴木参考人 三カ月もあれば大丈夫と思いますけれども、念には念を入れて一応来年4月1日ぐらいからはどうでしょうか。もっと早いほうがいいでしょうか。もっと早いほうがいいとおっしゃっている方もいますけれども、3カ月あれば少なくとも間違いなく確実にできると思います。

○五十嵐座長 企業側はどうでしょうか。企業のほうから現場の先生方に周知する、あるいはお願いに上がるなどの作業をしなければいけないですね。

○セルジーン セルジーンとしましては、ハンディー端末のプログラムの変更が必要になります。その辺のスケジュールはこれから検討すると。改訂内容が固まっておりませんでしたので、まだ十分検討はやっていないのでその時間と、あとは資材をつくり直して先生方に御説明する、我々の営業部隊が説明するのですけれども、そのトレーニングと実際にお伺いしていろいろ説明会を開催する時間が必要かと思っております。ですから、そこはできるだけ早く改訂するということで検討いたしますけれども、トータルの準備期間としてある程度の日数をちょうだいできればと思っております。

○五十嵐座長 具体的にどのくらいでしょうか。

○セルジーン 余りはっきりとここで申し上げても。

○五十嵐座長 藤本製薬さんはどうですか。

○藤本製薬 今セルジーンさんもおっしゃられたように、きょう出た「速やか」という言葉を入れるかどうかも含めて資材のつくり直し、それから、今回の改訂では幾つか話が出ましたように、薬剤部の先生方への周知というか、御理解いただくのに過去の改訂よりは時間がかかるのではないかと。それから、当社のMRに対しても周知する期間、そこをわかった上で御説明に行って御理解いただいて運用していくということからしたら、年末年始含めればそこを明けてからぐらいの時間をいただければと思っておりますが。

○事務局 どうもありがとうございました。医療現場の先生方はおおむね3カ月見ればということもございました。あとは、資材など企業の準備期間があると思います。そういう御意見をいただきましたので、その御意見を参考に私どもで検討させていただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。来年早々あるいは新年度からぐらいを一つの目安にするということでお願いしたいと思います。

 本日の議題は終了いたしましたけれども、前回の調査会でも確認したとおり、管理手順の変更後は運用が適切に行われているかどうか、逸脱のケースがないかどうかをしっかりとチェックしていって、その上で必要があれば運用手順の見直しをもう一度考えなければいけないと思います。そのためには先ほど佐藤参考人からも御意見をいただきましたけれども、第三者評価委員会でモニタリングをしっかりとしていただいて、本調査会にも報告していただけるよう、要望したいと思います。その点についても、ぜひお願いいたします。 事務局から何か補足事項はございますか。

○那須参考人 第三者評価委員会は、厚生労働省には定期的に報告書を出しております。そのまとめた経時的な分析は年に1回出すことになっておりますので、この調査会に我々が出すというよりも、一番最初の企画書の段階で厚生労働省の中にこういう調査会が入っておりますので、厚生労働省のほうで御対応いただきましたら、ありがたいと思います。

○事務局 第三者評価委員会で審議された状況や、きょう御指摘があったような改訂後のモニタリングをしなければいけないので、そういう情報についてはこの調査会に報告をするということで、報告のやり方についてはまた御相談させていただければと思います。那須先生に来ていただいて報告するのか、それとも情報が出ているわけですから、いただいた情報を我々が出すのか、そういう点については今後検討させていただくとして、第三者評価委員会でモニタリングされた結果については、この調査会の先生方にもきちんと報告します。

○五十嵐座長 よろしいでしょうか。ほかに何かありますか。

○上甲参考人 報告書をまとめてくださった検討会の先生方に大変感謝しています。それから、報告書どおりにこれからやっていくように決めていただいた調査会の委員の先生方にも大変感謝申し上げております。ありがとうございます。

 心配の声がパブリックコメントにもたくさんあったので、これから企業も、先生方も、薬剤師の先生方も、私たち患者も、締まってやっていかなければいけないと非常に強く思っておりますが、それをみんなで真面目にやってモニタリングしてもらって、また、さあどうだった、だめだった、いけたというときには、この報告書をもう一度ひもといて、ここには宿題が幾つか書かれています。例えば、男性患者の精液中の薬剤が胎児にどういう影響を及ぼしたのか、そういうことはちゃんと研究しなさいというようなことも書かれていますし、診療報酬についても検討しなさいということも書かれていますので、この報告書は今回の調査会で終わりということではなく、ここには手順案1の絵も描いていただいていますので、報告書には手順案1の意見のほうが多かったものの、まずは手順案2でやるとまとめていただいていますから、この絵は消えないでこの先も残しておいて、モニタリングの結果次第でまた考えていただくときに、もう一回絵を描くのではなくて、この報告書をもとにこの先も検討が続いてほしいと切に願っております。

 本当に大変感謝申し上げております。ありがとうございました。

○事務局 御指摘のように、報告書の中で宿題を何点か、研究もやらなければいけないし、教育もやらなければいけないし、診療報酬の話もございました。その点についてはできるところをやっていきたいと思います。診療報酬でいいますと、関係部局のほうには報告書をまとめていただいた後に相談はしております。ただ、決めるところは「中央社会保険医療協議会」でございまして、かなりハードルが高いことは事実ですけれども、担当部局で情報収集に動いていただいています。なかなか厳しいところではございますけれども、状況がわかりましたら、また御報告できればと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、最後に事務局から。

○事務局 座長より指示のありました修辞上の訂正、及びTERMS16ページに文言を入れる訂正につきましては、修辞上のものにつきましては趣旨を変更しない範囲で事務局にて記載整理をいたしまして、座長に確認をいただきます。最終版は、委員及び参考人の皆様にお送りさせていただきます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、最後に、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 本調査会の後に、企業において最終版の改訂手順書に基づいて施行の準備を進めます。施行日につきましては、今回いただいた御意見を踏まえて、具体的な日付が固まりましたら、また御連絡いたします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 その他事務局から何かございますか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐座長 それでは、本日の調査会をこれで終了いたしたいと思います。御協力、どうもありがとうございました。


(了)

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