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2015年3月4日 第61回労災保険部会議事録

労働基準局労災管理課

○日時

平成27年3月4日(水)13:02~14:02


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

委員

荒木 尚志 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
岩村 正彦 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
大前 和幸 (慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 教授)
小畑 史子 (京都大学大学院人間・環境学研究科 教授)
永峰 好美 (読売新聞東京本社 編集委員)
黒田 正和 (日本化学エネルギー産業労働組合連合会 事務局長)
齊藤 惠子 (UAゼンセン政策・労働条件局 部長)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長)
田久 悟 (全国建設労働組合総連合 書記次長)
立川 博行 (全日本海員組合中央執行委員 国際・国内政策局長)
吉村 健吾 (日本基幹産業労働組合連合会 中央執行委員)
明石 祐二 (社団法人日本経済団体連合会労働法制本部 主幹)
桐明 公男 (一般社団法人日本造船工業会 常務理事兼事務局長)
佐藤 一郎 (新日鐵住金株式会社人事労政部 部長)
田中 恭代 (旭化成アミダス株式会社 代表取締役社長)

○議題

(1)労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別

   措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)

(2)労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)

(3)民法(債権関係)の見直しに伴う労働者災害補償保険法等の改正について(報告)

(4)指定農業機械作業従事者に係る特別加入の対象範囲の見直しについて(報告)

(5)厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部を改正する告示について(報告)

(6)独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法

   律案について(報告)

○議事

○岩村部会長 それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまから第61回「労災保険部会」を開催いたします。

 本日は、公益委員の中窪委員、使用者側の小島委員、新居委員が御欠席でございます。佐藤委員も遅れて間もなく来られることと思います。

 それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。

 お手元の議事次第にありますように、議題の1番目は「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」ということでございまして、本件は諮問案件ということになっております。

 それでは、まず、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○木塚労災管理課長 御説明に先立ちまして、1点御連絡を申し上げさせていただきます。大西審議官におきましては、本日業務の都合上、途中退席させていただきますので、何とぞ御了承お願い申し上げます。

 それでは、省令要綱案につきまして、読み上げた上で内容を御説明いたします。

○千原労災管理課長補佐 それでは、読み上げさせていただきます。

 お手元の資料1でございます。

厚生労働省発基 0304 第6号

平成 27 年3月4日

労働政策審議会

会長 樋口 美雄 殿

厚生労働大臣 塩崎 恭久

 

 別紙「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。

 

別紙

   労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別

   措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱

第一 労働者災害補償保険法施行規則の一部改正

一 常時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額十万四千五百七十円(現行十万四千二百九十円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額五万六千七百九十円(現行五万六千六百円)に改めること。

二 随時介護に係る介護補償給付費及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額五万二千二百九十円(現行五万二千百五十円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額二万八千四百円(現行二万八千三百円)に改めること。

第二 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部改正

   炭鉱災害による一酸化炭素中毒症について労働者災害補償保険法に基づく療養補償

  給付を受けている者であって常時介護を必要とするものに支給する介護料の額を、介

  護の程度に応じて月額五万六千七百九十円、四万二千五百九十円又は二万八千四百円

  (現行五万六千六百円、四万二千四百五十円又は二万八千三百円)に、介護に要する

  費用として支出した費用がこれを超えるときに支給する限度額を、介護の程度に応じ

  て月額十万四千五百七十円、七万八千四百三十円又は五万二千二百九十円(現行十万

  四千二百九十円、七万八千二百二十円又は五万二千百五十円)に改めること。

第三 施行期日等

一 この省令は、平成二十七年四月一日から施行すること。

二 この省令の施行に関し、必要な措置を定めること。

 以上でございます。

○木塚労災管理課長 参考1-1をご覧下さい。。労災保険法におきましては、業務上の事由あるいは通勤で被災された方に対しまして、介護が必要という方につきましては、介護給付を支給しているところでございます。この給付額につきましては、最高限度額と最低保障額を設けてございまして、この額につきましては人事院の国家公務員の給与勧告率に合わせてこれまで改定してきたものでございます。今般、平成26年度の人事院勧告によりまして、0.27%のプラス改定が行われるということでございますので、これに合わせて介護(補償)給付につきましても最高限度額と最低保障額を見直すということでございます。

 また、あわせて炭鉱災害による一酸化炭素中毒症の方に対しても、同様の措置がございまして、同様に見直すことといたしたいと思っております。

 具体的には、下に掲げる表がございますけれども、労災保険法につきましては常時介護を要する方に対しては、最高限度額は今までは104,290円でございましたけれども、これに0.27%のプラスをするということでございまして、104,570円ということでございます。最低保障額につきましても同様の方式で改定してございます。その他随時介護を要する方につきましても同様でございます。

 一酸化炭素中毒症に関しましても同様の手続で改定いたしたいということでございます。

 施行期日は、平成27年4月1日ということでございます。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から説明をいただいたところでございますけれども、これにつきまして御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 では、吉村委員どうぞ。

○吉村委員 今回の改定につきましては、人事院の勧告により平成27年度からプラス改定が行われることに合わせました介護補償給付の最高限度額及び最低補償額の見直しです。改定の社会的影響度合いを確認する観点から質問いたしますが、今回の施行規則改正の対象となる労災保険の介護給付を受けている方及び介護料を支給されている方の人数と状況を教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○岩村部会長 事務局、いかがでしょうか。

○千原労災管理課長補佐 お答えさせていただきます。介護(補償)給付に関してですけれども、平成25年度でございますが5万4,241件でございます。総額で68億円弱でございます。一酸化炭素中毒症につきましては対象者が大体20名程度でございまして、すみません、詳細な数字は持ち合わせてございません。

○岩村部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 ほかにいかがでございましょうか。特にないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、特に御意見もほかにはないということでございますので、諮問のありました本件につきましては、当部会としては妥当と認めるということで、労働条件分科会に報告したいと考えますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、そのように取り扱うことにさせていただきたいと思います。

 報告文でございますけれども、これについては私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、次の議題に移ることにいたします。議事次第の2番目にありますように「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」ということでございまして、こちらも諮問案件ということになっております。

 それでは、まず事務局から説明をお願いいたします。

○千原労災管理課長補佐 それでは、まず読み上げさせていただきます。資料2でございます。

厚生労働省発基 0304

平成 27 年3月4日

労働政策審議会

会長 樋口 美雄 殿

厚生労働大臣 塩崎 恭久

 

 厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)第9条第1項第1号の規定に基づき、別紙「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。

 

別紙

   労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱

第一 労働時間等設定改善推進助成金の廃止

労働時間等設定改善推進助成金を廃止すること。

第二 職場意識改善助成金の支給要件の追加等

  職場意識改善助成金の支給に当たり、中小企業事業主が作成する労働者災害補償保険

 法施行規則(昭和三十年労働省令第二十二号)第二十八条第一号ロの規定に基づく計画

 に記載する労働時間等の設定の改善のための措置に、労働基準法施行規則(昭和二十二

 年厚生省令第二十三号)第二十五条の二第一項の規定により労働者に一週間について四

 十四時間、一日について八時間まで労働させることができる事業であって、一週間の所

 定労働時間が四十時間を超えているものにおいて、一週間の所定労働時間を短縮して四

 十時間以下とする措置及び情報通信技術を活用した勤務のうち、その中小企業事業主が

 指定した事務所であって、労働者が所属する事業場と異なる事務所(いわゆる「サテラ

 イトオフィス」)において一週間に一日以上当該勤務を行うものを可能とする措置を追

 加すること。

第三 施行期日等

一 この省令は、平成二十七年四月一日から施行すること。

二 この省令の施行に関し、必要な措置を定めること。

 以上でございます。

○古瀬労働条件政策課調査官 続きまして、内容を御説明させていただきます。参考2-1の資料をご覧いただきたいと存じます。

 今回の改正内容は主に3点ございまして、「1.改正の趣旨」に書いてございます。まず1つ目が、中小企業向けの助成金でございます職場意識改善助成金のテレワークコースの助成対象としまして、在宅テレワークに加えましてサテライトオフィスにおけるテレワークを追加することといたしております。

 また、2つ目でございますけれども、労働基準法施行規則に定めます特例によりまして、法定労働時間が週44時間とされている事業の中で、週所定労働時間40時間を超えているものにおきまして、それを短縮して40時間以下とする措置をとっていただく中小企業事業主の方を対象といたしました所定労働時間短縮コースを新たに設けることといたしております。また、あわせまして団体向け助成金でございます労働時間等設定改善推進助成金につきましては、昨年12月の本部会でも御説明させていただきましたところですが、今年度限りで廃止することといたしております。

 さらに、参考資料2-2をご覧頂きたいと存じます。まず、テレワークコースの見直しの概要でございます。今般の見直しの背景につきまして上の枠囲いのところに書いてございます「世界最先端IT国家創造宣言」等におきまして、政府全体でテレワーク導入促進策を実施するとされております。また、昨年12月に閣議決定されました「まち・ひと・しごと創生総合戦略」におきましても、サテライトオフィスやテレワークの促進が求められているところでございます。

 助成の目的といたしましては、週1回以上終日、在宅またはサテライトオフィスでのテレワークを導入する企業に対しまして、導入経費等の一部を助成することとしております。

 成果目標でございますけれども、事業実施期間中の一定期間に、計画時に申請をしていただいた対象労働者の全員が少なくとも1回は終日、在宅またはサテライトオフィスでのテレワークを実施する。また、対象労働者を平均しまして週1日以上終日、在宅またはサテライトオフィスでのテレワークを実施することとしてございます。

 助成率及び上限額につきましては、成果目標の達成状況に応じたものとしてございます。

 もう1枚おめくりいただきたいと存じます。所定労働時間短縮コースの内容でございます。背景といたしましては、「労働政策審議会労働条件分科会」におきまして、本年2月13日に建議がとりまとめられまして、その中に特例措置対象事業場の範囲の縮小を図る方向で、法案成立後、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当である旨が盛り込まれております。

 また、同分科会の議論におきまして、これらの事業場における労働時間の削減の取り組みに対しましては、経営基盤が弱いということ等に鑑みまして、政策的支援が必要ではないかという御指摘もいただいたところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、法定労働時間が週44時間とされております特例措置対象事業場であって、週所定労働時間が40時間を超えているところにおきまして、それを2時間以上短縮して40時間以下とする措置を実施していただく事業主に対しまして助成をすることといたしたものでございます。

 助成対象といたしましては、既存のコースの助成対象と同じく、就業規則等の作成費用や研修費用、労務管理用機器等の導入費用といった労働時間管理適正化のための費用、あるいは労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新費用としてございます。

 成果目標でございますけれども、週所定労働時間を2時間以上短縮して40時間以下とすることとしてございます。

 助成率につきましては、目標を達成した場合費用の4分の3、上限額は50万円としてございます。

 説明は以上でございます。

 

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました施行規則の一部改正の要綱につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 では、齊藤委員どうぞ。

○齊藤委員 職場意識改善助成金テレワークコースの新設が諮問された昨年2月の第56回労災保険部会において、労働側委員からは、テレワークは「従来の労務管理では対応が難しい面もあることに十分留意をする必要があること」、また、「テレワークが企業の単なるコスト削減策として用いられることのないよう、制度の導入に当たっては、導入の目的や対象となる業務、労働者の範囲、労働時間管理の方法などについて労使で十分に協議を行う必要があること」を指摘させていただきました。

 こうした労働側の指摘に対しまして事務局からは、ガイドラインやセミナーなどで十分周知をし、適切にテレワークを推進していきたい旨の答弁がなされましたが、本制度導入後における周知の状況を含め、本施策の推進状況に対する事務局の評価をお伺いしたいと思います。

○岩村部会長 では、事務局からお願いいたします。

○古瀬労働条件政策課調査官 御質問いただきました点でございますけれども、ガイドラインあるいはセミナー等で、具体的な件数は今持ち合わせてございませんけれども、適正なテレワークの推進ということを念頭に置きまして、現在関係省庁でもテレワークの推進をどのようにしていったらいいかということを検討会等でも検討しているところでございますが、そういった中におきましても、どのような労務管理なり時間管理が重要になってくるかということも十分に御議論いただいているところでございまして、こちらもまだ結論は出ているわけではございませんが、そういったところがとりまとまりましたら、Q&Aですとか、ガイドラインですとか、そういったところに十分反映させていきたいと考えてございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 齊藤委員どうぞ。

○齊藤委員 ありがとうございました。労働側といたしましては、テレワークの推進や導入経費の助成金は、先ほど述べましたテレワークが抱える課題への対応が適切になされることが前提でありまして、また、本人の意思が十分尊重されるべきと考えております。こうした前提は「サテライトオフィスでのテレワーク」においても同様ですので、厚労省におかれましては、こういうことを十分御留意いただき、引き続き適切な対応を講じていただきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 そのほかにいかがでございましょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員 参考2-2の2ページにあります職場意識改善助成金所定労働時間短縮コースの新設について質問と意見を申し上げたいと思っております。

 これは、背景にも書かれておりますように、先日来行われておりました「労働条件分科会」において、この特例措置対象事業場のあり方について、その範囲の縮小を図る方向で検討をするということがとりまとめられたわけです。私どもとしては、昭和63年の改正以来、48時間から40時間に向けて短縮を図ってきた中で、この特例対象措置の事業場が、小売商業等を初めとする4つの業種についてまだ残ってしまっていることに対して、早急にこれを廃止に向けて検討するべきであるということを主張してきたところです。今回、こうした論議を踏まえて、助成金のほうでそういった政策誘導をしていくことでございますので、方向としては賛成をしたいと思っています。

 お伺いしたいのは、こうした助成を新設するということですけれども、予算額をどれくらいで見込んでいるのか。対象事業場の数も調査によりますと8割以上の職場で既に40時間になっているという現実もございますので、残された事業場が幾つくらいあって、どれくらいの予算執行を見込んでいるのかということをお聞かせいただきたいと思っております。

 意見としては、申し上げておりますように、速やかにこれがゼロとなるような取り組みを行政として強力に取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局からお願いいたします。

○古瀬労働条件政策課調査官 ただいま御質問いただきました対象事業場ですが、特例対象事業場全体は約178万事業場となっておりますけれども、そのうち2割ほどがまだなのですが、その掛け算したところが対象となり得るというところでございます。

 この予算上見込んでいる件数でございますけれども、これは事業場単位ではなくて企業単位になってまいりますので、この178万掛ける0.2とは一致する数字ではないかもしれませんが、予算の制約上もございまして約1,400企業と見込んでございます。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでございましょうか。特にないということでございますので、本件諮問のありました件につきましては、当部会としては妥当と認める旨を労働条件分科会に報告したいと考えますけれども、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、そのように取り扱わせていただきたいと思います。

 報告文でございますけれども、こちらについても私に御一任いただくということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、3番目の議題に移りたいと思います。議事次第にありますように「民法(債権関係)の見直しに伴う労働者災害補償保険法等の改正について」ということで、報告になっております。

 それでは、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○木塚労災管理課長 資料3をご覧下さい。

 平成21年に法務大臣から法制審議会に対しまして、民法の債権関係部分につきまして社会経済の変化への対応、国民一般にわかりやすい民法という観点から見直しにつきまして諮問が行われたところでございます。

 その後、有識者の皆様によります議論が行われておりまして、平成27年2月に法務大臣に対し答申が行われたと聞いてございます。

 また、答申を踏まえまして民法改正法案を国会に提出される予定だと聞いてございます。民法上の文言が改められるということに伴いまして、労災保険法、労働保険徴収法につきましても文言の改正が必要というところでございます。

 矢印の下のほうでございますけれども、まず、1つ目の○でございますが、時効の中断の効力につきましては、時効の完成が猶予される効力である完成猶予と、新たな時効が進行を始める効力である更新の双方の意味合いが含まれていたわけでございますが、その効力をよりわかりやすくすべく「時効の完成あるいは更新」という文言を明確に規定することとされてございます。

 それから、2つ目の○でございますけれども、債権の消滅時効におきます起算点に関してでございますが、新たに主観的起算点からの時効期間が追加されまして、客観的起算点と主観的起算点に分けられるわけでございます。労災保険法、労働保険徴収法につきましては、客観的な起算点を前提として運用してまいりました。そこで、客観的起算点を前提とするものである旨の文言を加える必要があるわけでございます。

 3つ目の○でございますけれども、現行の民法におきましては年5分ということで法定利率が定められておりますが、民法の法定利率は当初利率を年3分とする変動制とすることとされてございます。損害の発生時点の法定利率とする旨の明示等をするということでございます。

 これらの改正につきましては、いずれも民法改正に伴う軽微な形式的な改正という、いわゆるハネ改正と呼ばれるものでございます。これらの改正項目につきましては、民法の改正法案とともに法務省より国会に提出される予定でございます。いわゆる民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律というような中で措置される予定と聞いております。

 説明は以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 ただいま御説明いただきましたことにつきまして御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。黒田委員どうぞ。

○黒田委員 本年2月に法制審議会から法務大臣に答申されたことを踏まえて、本部会でも報告なされたのは、丁寧さの観点からこのタイミングで報告事項としていただいたものと認識しているところです。

 その上で、1つ確認と、あとはお願いがありまして、資料3の1ページ背景のところには、民法上の文言等を改めること等に伴い、労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律についても文言改正とあるわけですけれども、今後、本件につきまして労政審に諮問されるかどうか、事務的な取り扱いについて確認させていただきたいのと、あと一つお願いは、改正内容の矢印の下ですけれども、時効の起算点については「客観的起算点である旨明示する」とありますけれども、201212月の第50回労災保険部会において労働側委員から消滅の時効について確認をさせていただき、事務局からも答弁をいただいているところです。消滅時効の考え方については、そのときの本部会でも確認させていただいておりますけれども、重要なポイントだと考えておりますので、ぜひ事務局におかれては、ハネ改正ということではありますけれども、改正法の成立を踏まえて、今後適切なタイミングで必要な内容を本部会で御報告いただけるようにお願いしておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局からお願いいたします。

○木塚労災管理課長 まず、この部会でいわゆる法律の改正等につきまして諮問をさせていただくか否かということにつきましてでございます。労政審につきまして調査審議する事項につきましては、厚生労働省の設置法におきまして、労働政策に関する重要事項または各法律に基づいて労働政策審議会の権限に属させられた事項とされているわけでございます。権限に属させられた事項ということにつきましては、労災保険法につきましては労災保険法と徴収法の政省令の改正のときに諮問させていただいているわけでございます。そういうことで、法律を手当する場合につきましては、労働政策に関する重要事項に当たるか否かということになるわけでございます。

 今般の民法の改正に伴います労災保険法あるいは徴収法の改正のような、いわゆるハネ改正につきましては、これまで重要な事項ということはとらえておらずに、そういうのは形式的な改正ということで諮問という形ではなくて、こういう形で報告をさせていただいておりましたので、今般につきましてもそのような取り扱いとさせていただいたところでございます。

 今後また実際に改正して、その中身等々でこちらの部会の報告したほうがいいというようなことがございましたら、報告させていただきたいと考えているところでございます。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○黒田委員 わかりました。

○岩村部会長 そのほかにはいかがでしょうか。特段ございませんか。ありがとうございました。

 次の議題に移ることにいたします。4番目の議題は議事次第にもありますように、「指定農業機械作業従事者に係る特別加入の対象範囲の見直しについて」ということでございまして、これもやはり御報告ということでございます。まず、事務局から説明をお願いいたします。

○木塚労災管理課長 資料4をお願い申し上げます。農薬の空中散布の作業に用いる産業用無人ヘリコプターにつきましては、平成3年に実用化がされたわけでございまして、それ以来、利用実績は増加していると聞いてございます。農林水産省など政府といたしましても、無人ヘリコプターの普及を推進しておりまして、平成26年4月には重量規制の緩和が行われたところでございます。こうしたことを背景といたしまして、無人ヘリコプターにつきましても指定農薬機械に追加し、特別加入の対象とさせていただきたいということでございます。

 2ページをご覧下さい。2ページは特別加入の対象とするか否かについての検討に関連するものでございますけれども、特別加入の対象とするか否かについては、主な条件といたしまして、1つ目として業務の実態や災害の発生状況から見まして、労働者に準じて保護するにふさわしい者であるか否か。2つ目といたしまして、業務の範囲が明確に特定でき、業務災害の認定等が保険技術的に可能であるか否かによって、これまで判断してきたわけでございます。

 さらに、逆選択ということが生じないように危険防止措置の徹底が図られるかどうかをこれまで見てきたわけでございます。

 これらにつきましてですが、まず、1点目についてでございます。既に他の動力関係の防除機が対象となっていること、あるいは政府としても普及の推進をしている中で、今後利用拡大が見込まれるということ。それから、参考に掲げてございますけれども、普及台数に対する死亡事故の件数が、現在対象となっているほかの農業機械と比較して危険度が高いというようなこともございまして、「1」についてはクリアーされているものと考えております。

 また、2点目についてでございますけれども、無人ヘリコプターを用いた空中散布を行う際には、実施計画を農林水産省に報告することとされておりまして、保険技術的に業務の範囲は明確に特定されていると考えているところでございます。

 3ページ目をご覧下さい。さらに危険防止措置につきましては、国、都道府県で技術指導指針を定めてございまして、一般社団法人農林水産航空協会あるいはそのメーカーにおきましては、無人ヘリコプターを購入するに当たって教習の受講、一定の技能を習得した者の推薦を行いまして認定証を交付するということで、しっかりとした安全対策が実施されているというところでございます。

 以上のようなことで、農薬の空中散布などの作業に用いる産業用無人ヘリコプターを使用する方を特別加入の対象とさせていただきたいということで、今般措置をするものでございます。

 説明は以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました特別加入の新しい範疇につきまして、御質問あるいは御意見がありましたら、出していただければと思います。では、吉村委員どうぞ。

○吉村委員 1点お願いしておきたいと思います。

 特別加入の対象範囲の見直しにつきまして告示事項であることから、本部会での報告として扱われたことにつきまして理解しております。

 資料4の2ページには特別加入の対象範囲の見直しに当たって主な条件が示されております。無人ヘリコプターを使用する者についても特別加入の対象とする対応自体は、妥当と受け止めております。

 また、2ページの下にもある(参考1)には事故の発生状況が出ております。しかも、ヘリコプターについても最近大型化されているということがございますので、3ページに示されております危険防止措置につきまして、ぜひ実効性を高めるよう取り組みを強化していただきたいと思います。当該作業に従事する労働者の命と健康が守られるよう要請したいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。

○木塚労災管理課長 今後こうした危険防止措置等については、農水省でよく勉強しながらしっかり対応してまいりたいと考えております。

○岩村部会長 そのほかいかがでございましょうか。

 では、明石委員どうぞ。

○明石委員 対象範囲の見直しについては了解します。参考までにお聞きしたいのは、大体予定としてどれくらいの方がこの特別加入になりそうだということです。おわかりであれば教えてください。

○岩村部会長 事務局いかがでしょうか。

○木塚労災管理課長 農林水産省のほうから聞いております範囲では、今、普及台数が2,600台ほどと聞いてございまして、そのオペレーターが1万1,736名だと聞いてございます。このヘリコプターの空中散布というのは、いわゆる無人ヘリコプターの利用技術指導指針というのがございまして、これに基づいてオペレーターと合図マン、いろいろヘリコプターを動かすに当たって操縦する方以外に合図を送る方が必要ということでございまして、それを一緒になって実施するということでございます。

 合図マンの数というのは把握できてございませんけれども、オペレーターの数のうち農業関係者が約半数と聞いてございますので、同数の合図マンが必要だと考慮いたしますと、大体1万2,000人の半分の6,000人掛ける2ということで、1万2,000人程度ではなかろうかと考えているところでございます。

○岩村部会長 明石委員どうぞ。

○明石委員 これは私どもからのお願いごとでございますが、かなり事故率が高そうなので、農林水産省とともにまたソフト・ハード面でもいろいろと安全に対策が行われるように、もう一段の努力をお願いしたいと思います。

○木塚労災管理課長 先ほど御説明させていただきました無人ヘリコプター利用技術指導指針というものをしっかり守っていただくように、この団体の災害防止規定にもその辺を追記していただくように指示してまいりたいということでございまして、いずれにしても当該指針の遵守によります安全対策がしっかり講じられるように努めてまいりたいと考えております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

 そのほかいかがでございましょうか。では、永峰委員。

○永峰委員 認定証の交付ということなのですけれども、ヘリコプターの操縦の要件になっているわけではないですよね。つまり、認定証を持っていなくても操縦することはできると。ただし、この認定証を持っていないと特別加入できないということなのでしょうか。ちょっと確認です。

○千原労災管理課長補佐 お答えさせていただきます。この無人ヘリコプターを購入する際にこういった認定証が必要となってございます。ですので、それを使うかどうかは、またその後でございますけれども、まず購入するに当たってこの認定証が必要になります。さらなる段階といたしまして、この無人ヘリを使いまして実際に業務をする場合には、農水省に対しまして計画をしっかりと作りまして、届出することになってございます。そういった中で無人ヘリを使って農薬散布といったことをやっていく、このようなこととなってございます。

○岩村部会長 永峰委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでございましょうか。本件についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、次に5番目の議題に移りたいと思います。議事次第にございますように「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部を改正する告示について」ということで、こちらも報告ということになっております。

 まず、事務局からの説明をお願いいたします。

○山本労働保険徴収課長 それでは、資料5をお願いいたします。まず、3ページをご覧いただきたいと思います。現物給与制度の概要について、まず御説明申し上げたいと思います。

 労働保険の保険料につきましては、全ての労働者に支払われる賃金の総額に、その事業に定められた保険料率を乗じて算定されます。ここで言う賃金につきましては、労働保険徴収法上、賃金、給料、手当、賞与その他名称いかんを問わずに、労働の対償として事業主が労働者に支払うものとされております。一般に賃金につきましては、労働協約や就業規則、労働契約などによりまして、その支払いが事業主に義務づけられているものを言いまして、任意的なもの、恩恵的なもの、実費弁償的なもの、福利厚生的なものは労働の対償として支払われるものではございませんので、賃金には該当しないということになっております。

 一方で、食事や住居など通貨以外の現物で支給されるものにつきましても、いわゆる現物給与として賃金とみなされる場合がございます。現物給与であります食事や住宅で支払われる報酬等を幾らと評価するかにつきましては、徴収法の第2条第3項に基づきまして、その価額が厚生労働大臣の告示によりまして定められているところでございます。

 次に、お戻りいただきまして1ページをご覧いただきたいと思います。告示の改正の概要についてでございます。

 まず、「1 趣旨」についてでございますが、最後のパラグラフにございますように、今回御報告させていただきます告示につきましては、直近の統計調査の結果を踏まえまして、より現在の実態に即した現物給与の価額とするため、一部地域を除きまして食事の現物給与額を改正して告示するものでございます。

 次に、「2 改正内容」についてでございますが、食事で支払われる報酬等についての算定方法ですが、総務省の統計局が行っております家計調査を用いまして、全国平均一人当たりの食費を算出した額に、同じく総務省統計局の全国物価統計調査によります都道府県ごとの物価指数を乗じまして、それぞれの価額を算出しております。

 具体的には、家計調査に基づいて適用される全国平均一日一人当たりの食費が、平成26年度では604円でございましたけれども、平成27年度は10円増加いたしまして614円になっております。これに伴いまして、食事の現物給与の価額が変更になったというものでございます。

 なお、各都道府県ごとの物価指数につきましては、昨年度は調査が行われておらず変更となっておりませんので、家計調査の影響がそのままダイレクトに来ているところでございます。

 また、住宅で支払われます報酬の金額につきましては、これまた総務省の統計局の住宅・土地統計調査をもとに算出しておりますけれども、この統計調査は5年ごとに調査しており、直近の数値に変化がございませんので、平成27年度については価額は変更しておりません。

 次に、2ページの別紙を見ていただきたいと思います。別紙の表が平成27年度に適用されます各都道府県ごとの食事で支払われる報酬、住宅で支払われる報酬の告示で定める金額でございます。括弧内が平成26年度に適用されている価額でございますが、これと比較いたしますと先ほど御説明したとおり、全国平均の一日一人当たりの食費が10円増加したことに伴いまして、ほとんどの地域で一日当たり10円ずつふえているという内容でございます。

 告示の期日でございますけれども、社会保険でまとめて告示制定の手続をしております。本年1月16日に告示を制定し、4月1日から適用するという予定でございます。

 以上、議題5の説明でございます。よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お出しいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。特にないということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村部会長 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題の6番目でございます。「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案について」ということでございまして、やはりこれも報告ということでございます。

 それでは、まず事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○木塚労災管理課長 資料6をご覧下さい。

 この法律案につきましては、平成2512月に独立行政法人改革等に関する基本的な方針というものが閣議決定されておりまして、その閣議決定に基づきまして、厚生労働省関係の独立行政法人につきまして法律的な措置を行うものでございます。

 6法人あるわけでございますけれども、こちらに報告させていただくのは上の2つ、労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の統合についてでございます。労働安全衛生総合研究所につきましては、御案内のとおり労働災害予防のための安全対策などを行っている法人でございまして、労働者健康福祉機構は労災病院の運営管理等を行っているものでございます。これを統合して労働者健康安全機構と名称を改称し、理事数を管理部門等を統合して1名削減するということでございます。

 それから、化学物質の有害性調査、これは化学物質の発がん性の調査を行っているものでございまして、今これは国の委託事業として実施してございまして、この発がん性の調査は、大体モルモットを2年ぐらいいわゆる化学物質に曝露させて、その後いろいろな解剖を通して発がん性があるか否かを検証しているわけでございますけれども、大体研究スパンが5年ぐらいということでございまして、毎年いわゆる決算等をすると非常に煩雑であるということもあって、独立行政法人の業務にして安定的に実施していこうということで、この法人の業務に追加するものでございます。

 以上が、この部会に御報告させていただきたい点でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 ただいま御説明いただきました独立行政法人関係の事柄につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お出しいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 では、立川委員どうぞ。

○立川委員 お願いを1点だけさしあげておきたいと思います。

 独立行政法人の見直しに関しましては、当部会に対して既に報告されてきた内容でございますので、その内容ないしは概要につきましては承知しているところでございますけれども、改めまして今回の報告では、労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の統合につきまして、施行が平成28年4月1日、またその内容が示されております。両法人がこれまで担ってまいりました労働者の命と健康を守る役割に加え、各法人が積み重ねてきました所見を鑑みれば、新法人の予防から治療、職場復帰までを一括して扱う責任や使命はさらに重要度が増すものと考えるところです。つきましては、新法人への移行に伴いまして、労働災害への対応がより一層充実されますよう、万全な準備と対応をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○木塚労災管理課長 御指摘いただきましたとおり、両法人のいいところを一緒にして、シナジー効果が生まれるように努めてまいりたいと思っております。特に御指摘のあった予防、治療、職場復帰支援を総合的に展開するということをしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○立川委員 はい、よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 ほかにはいかがでございましょうか。特にございませんでしょうか。お手が挙がりましたので、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 終わりかけているのにすみません。まだ時間があるようですので、1点もう一度確認をさせていただきたいのですが、議題3の民法改正のハネ改正の部分で確認させていただきたいと思います。戻ってすみません。

 資料3に、民法改正に伴なうハネ改正が3つ書いてあるのですけれども、このうちの時効の関係についてです。これをもう少し詳しくお聞きすればよかったのですけれども、資料の3ページに現在の労災保険法の条文が書いてありまして、特に第42条の消滅時効の扱いがあります。これは、一時的な給付と定期債権的な給付とを分けて時効が書いてあって、2年と5年と書いてあるわけです。今の民法の規定ですと、定期債権給付の消滅時効が5年ということですが、2年というのが民法の規定の2年の短期消滅時効とも余り関係ないところだと思うのですけれども、いずれにしても基本法である民法があって、こういう特別法で決めてあってハネの改正をやるということなのですけれども、今回は客観的起算点を用いるということですので、今度の改正内容を示した2ページ「第7消滅時効」、1の()になると思いますけれども、今ある第42条が具体的にどのような改正になるのかということを教えていただきたいのが1点です。

 もう1点は、今回ハネ改正で労災保険法と徴収法の改正ということが出てきたのですけれども、今回の民法の改正によるハネは、これ以外にないのかどうかです。時効と聞いて一番に思い浮かぶのは基準法の第115条の2年と5年の短期消滅時効の規定ですけれども、あちらの改正はなぜしなくていいのかというロジックをもう少し説明していただきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 労基法のほうが今日御説明いただけるかどうかちょっとわかりませんが、少なくとも今日御説明いただいている2つの労災保険法と徴収法については、今の御質問に対してお答えをいただれければと思います。

○木塚労災管理課長 御指摘がございましたとおり、労災保険制度におきます時効につきましては、いわゆる民法の一般債権の原則10年の時効、それから、会計法上の5年の時効を念頭に置きつつ、労災保険法というのは権利行使が容易だということもあって、権利関係をいたずらに長期にわたって不安定なものにすると煩雑な事務をますます複雑化するということもあって、他の社会保険制度等との並びというか参考にして、長期給付については5年、短期給付については2年としているところでございます。

 今般の民法改正によりましても、民法上の一般債権と申しますのは、客観的起算点でございますが原則10年ということ。それから、会計法上の5年の時効につきましても、何ら変更されることはないということで、労災保険法の時効期間を変更する必要性は生じていないのではないかと考えているところでございまして、労災保険法上の消滅時効につきましては、現在の短期給付の請求権は2年、長期給付の請求権は5年のままとすることが適当ではないかと考えてございまして、年金でありますとか、他の社会保険制度におきます時効につきましても、今般の民法改正で変更されるものではないと承知いたしてございます。これらの制度との整合性など、あるいは事務手続を考えても、今般の民法改正を契機とした労災保険法の時効期間の変更は必要ないと考えているところでございます。

 具体的にどのように変わるかにつきましては、参照条文で申し上げますと、中段に「二年を経過したときは」と書いてあるのですが、その前に「これらを行使することができるときから」という文言が入ります。それから、同様に「五年」というのが下から2行目にありますが、ここの「五年」の前に「これらを行使することができるときから」、いわゆる客観的な起算点であるということを表示しているハネ改正ということでございます。

○岩村部会長 新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今の説明でわかりました。資料3の1枚目の内容ですと、そこが読めないんですね。どこをどう改正するのか。今の説明でわかったのは、起算点の扱いだけを変更するだけで、時効期間は変更していないということですので、それもよく読めばわかるのですけれども、説明がないと多分すぐにはわからない。この資料のまま出ていったとき読み手は起算点の扱いだけを変更するという内容が恐らくわからないと思います。民法はもともと難しいのですけれども、起算点の扱いと時効の期間の扱いは区分けして書かないと、説明文章としてはちょっとわかりにくい資料だったなと思いました。

 以上です。

○木塚労災管理課長 今後の資料作成におきましては、御指摘の点も踏まえて、よりわかりやすい資料の作成に努力してまいりたいと思っております。

○岩村部会長 労基法のほうは労働条件政策課のほうでお答えできるところをお願いします。では、審議官、お願いいたします。

○大西審議官(労災担当) 労働基準法につきましては、労働条件分科会で別途御議論させいただくという取り扱いになっていたと思いますので、そちらで改めて御審議いただきたいと思います。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 全体を通しまして、ほかに御意見等ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、以上をもちまして、本日の部会は終了とさせていただきたいと思います。

 最後に、本日の議事録の署名委員でございますけれども、労働者代表につきましては田久委員に、使用者代表につきましては田中委員にそれぞれお願いを申し上げます。

 本日は、お忙しい中ありがとうございました。これで閉会といたします。

 


(了)

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