ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2015年2月25日)




2015年2月25日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成27年2月25日(水)16:00~


○場所

新橋会議室8F 8E


○出席者

出席委員(20名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 今 井 聡 美、
 梅 津 光 生、 川 上 正 舒、 塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、
 鈴 木 邦 彦、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 
 寺 崎 浩 子、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 新 見 伸 吾、 
 西 田 幸 二、 濱 口   功、 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(4名)五十音順

 荒 川 義 弘、 生 出 泉太郎、 齋 藤 知 行、 桃 井 保 子 

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
宇 津   忍 (安全対策課長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
 他

○議事

 

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催させていただきたいと思います。委員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。私は医療機器審査管理担当参事官の磯部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 はじめに、本年1月28日付けで薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われまして、それに伴いまして、本部会の委員につきましても新しく委員の任命を行ったところでございます。最初に、お手元にいろいろ資料がございますが、座席表と委員名簿が表裏で1枚紙になっています。この委員名簿に従って御紹介をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 最初に、荒井保明委員です。荒川義弘委員ですが、本日は御欠席でございます。石井明子委員です。それから新任の委員ですが、一色高明委員です。続いて、今井聡美委員です。梅津光生委員は少し遅れての御参加と伺っています。生出泉太郎委員は御欠席です。続いて、川上正舒委員です。齋藤知行委員は御欠席です。塩川芳昭委員です。正田良介委員です。鈴木邦彦委員です。武谷雄二委員です。田島優子委員です。千葉敏雄委員です。寺崎浩子委員です。それから、今回、新任の委員で入られました中島康雄委員です。中谷武嗣委員です。新見伸吾委員ですが、少し遅れているようです。また、西田幸二委員も少し遅れていると伺っています。濱口功委員です。菱田和己委員です。村上輝夫委員です。本日御欠席ですが、桃井保子委員です。また、笠貫宏委員、木村剛委員におかれましては、御退任をされています。

 続いて、この部会の部会長ですが、1月28日に開催されました薬事分科会において選出が行われています。この医療機器・体外診断薬部会については、荒井保明委員が部会長に選出されていますので、御報告申し上げます。最初に、荒井部会長、一言御挨拶をお願いできますでしょうか。

○荒井部会長 御紹介いただきました荒井保明です。国立がん研究センターに勤めております。8年間この部会に参加させていただきまして、今回、笠貫先生の後を引き継ぐ形で部会長を仰せ付かりました。もとより、この部会は、医薬品の対極をなす医療機器そして体外診断薬の、良質で有効かつ安全なものを、迅速に国民の方々にお届けするという大変重要な役割を担う部会であると認識しております。各委員の方々の御援助、御協力、御指導を仰ぎながらこの任を全うしたいと思いますので、是非ともよろしく御協力をお願いします。

○参事官 ありがとうございます。続いて、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づきまして、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされています。部会長代理については、部会長から御指名をいただくことになっています。荒井部会長、よろしくお願いしたいと思います。

○荒井部会長 実は私が専門する領域が、心臓以外ということもあり、循環器系を御専門にしておられる一色委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 よろしいですか。それでは、一色委員にお願いしたいと思います。どうぞ部会長代理の席にご移動下さい。

○参事官 一色委員、どうぞよろしくお願いします。私から、本日この医療機器・体外診断薬部会の委員24名のうち、18名の御出席をいただいていますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていますことを報告させていただきます。

 次に、改選後の最初の部会ですので、事務局より運営方法について、特に御留意いただきたい事項などについて御説明をいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 それでは、事務局から留意事項について御説明します。まず第1点目、守秘義務の関係についてです。国家公務員法第100条において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されています。委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であるので、この規定の適用を受けます。したがいまして、職務上知り得た秘密については漏らすことのないようお願いします。

 2点目は薬事に関する企業等との関係です。本日の配布資料のお手元の低い方の山に黒いクリップで留めた当日配布資料があります。その1番を御覧ください。「薬事分科会規程」になります。6ページをお開きください。上から三つ目の固まりぐらいに、「委員、臨時委員及び専門委員」として第11条があります。こちらにおいて、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されています。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されていますので、これらに該当する場合、また、任期の途中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただくようお願いします。

 続いて、医療機器・体外診断薬部会の審議事項について御説明します。今の当日配布資料の2番を御参照ください。「薬事分科会における確認事項」という資料になっています。8、9ページまでおめくりください。こちらは、7「医療機器」、7の2「医療機器及び体外診断用医薬品の使用成績評価」という表の見開きになる部分です。部会審議の内容については、薬事・食品衛生審議会に諮問が必要な議題であり、本部会において御審議いただくこととなります。この表の○×△の○が審議、△が報告、▲が文書配布報告、×は審議・報告なしを示しています。従って、8ページでいけば、部会は1~4までが審議となっています。5~7の議題においては、諮問は不要な議題であり本部会において報告させていただくことになります。それから、表の右から二つ目の縦の列が「分科会」と書かれていますが、区分ごとに印が付いていて、○△▲×は先ほどと同じですが、これに基づいて、本部会で審議した内容を分科会においてそれぞれ審議、報告、文書報告を行うこととなります。

 それでは、最後、当日配布資料の1番にお戻りください。5ページをお開きください。中程、薬事分科会規程の第7条に、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない」と定めています。先ほどの表に記載している事項以外にも、こちらのただし書にありますように、部会において「特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において審議をすることとなります。これらの規定について御承知の上、御審議いただきますようお願いします。

 運営方法について、特に御留意いただきたい点の御説明は以上になります。

○参事官 続いて、本日の議題の関係を御説明します。本日の「議事次第」と書いてあるのが1枚ありますのでお出しください。本日の議題に関して、公開、非公開の取扱いについて御説明します。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会の決議に基づいて、ここに挙げている報告事項、「公開案件」と書いてあります。議題1「指定管理医療機器の認証基準案について」、また議題2「指定高度管理医療機器の認証基準案について」は公開で行います。議題3、4、5、コアバルブ、それからNovoTTF-100Aシステム、サピエンXTの関係の審議、また、議題6も含めて、これは企業情報に関する内容などが含まれるということがあって非公開とします。あと、先生方には、公開案件で議題3というのも入れさせていただいていましたが、事務局の準備の関係で、今回は議題から落とさせていただいていることを御報告いたします。

 これより、議事に入りたいと思いますので、カメラ撮りはここまでにさせていただきます。以後の進行について、荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、最初に事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 公開案件について、資料の確認をいたします。議事次第の下に配布資料一覧がありますので、これに従って御確認ください。資料1「管理医療機器の認証基準案について」、資料2「高度管理医療機器の認証基準案について」です。公開案件の資料確認は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。資料はよろしいでしょうか。よろしければ議題に入ります。

 それでは、議題1「指定管理医療機器の認証基準案について」を事務局より説明お願いします。

○事務局 まず、報告事項、議題1「指定管理医療機器の認証基準案について」を事務局より御説明します。厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器等については、第三者認証機関がその基準に基づいて適合性の評価を行って認証する形になります。議題1としては、そのうち管理医療機器の認証基準案としてまずは御説明します。

 資料1を御覧ください。本日、先生方に御報告いたします管理医療機器の認証基準案については、資料の表紙にある「硬性手術用ランバースコープ認証基準」、この制定案1基準です。この内容については、資料1の裏面を御覧ください。硬性手術用ランバースコープ認証基準については、表にあるとおり、医療機器の名称(一般的名称)としては「硬性手術用ランバースコープ」で、その基準として、日本工業規格又は国際電気標準会議が定める規格として、JISのT0601--18及びJISのT1553となっています。

 この日本工業規格については、表の下にある「日本工業規格」と書かれてあるT0601--18については、医用電気機器-第2-18部、内視鏡機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項、T1553については、光学及び光学器械-医用内視鏡及び内視鏡用処置具、一般的要求事項となっています。

 もう一つの基準である使用目的又は効果については、「後方傍正中アプローチにおける腰の観察、診断又は治療のための画像を提供すること。ただし、中枢神経系に使用するものを除く」という形になります。

 硬性手術用ランバースコープについては、下にある「参考」と書かれている、当該基準の対象となる代表的な製品の外観等という形で写真にありますが、一般的に、低侵襲の内視鏡手術に用いられる脊椎の観察とかの治療用のスコープです。これは、実際には中枢神経系に使用される、いわゆる神経内視鏡とは異なるために管理医療機器クラス II となっていて、使用目的、効果において、今、腰と御説明しましたが、実際に学会の先生方、臨床の先生方に御意見を事前に伺ったところ、これは腰に限定されないということで、今回、資料では「等」という言葉がありませんが、脊椎に用いられる「腰など」という形で文言を追加したいと考えています。

 この件については、本日欠席となっている横浜市立大学の運動器病態学の齋藤知行委員には事前に御確認いただいていて、この文言の修正については問題がない旨伺っています。併せて御報告いたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、他に意見等ありませんでしたら、これで議題1を終了いたします。

 続いて、議題2「指定高度管理医療機器の認証基準案について」を事務局より説明をお願いします。

○事務局 それでは、報告事項、議題2「指定高度管理医療機器の認証基準案について」を事務局より説明します。高度管理医療機器の認証基準については、今回の法改正に基づいて、既に過去の部会において、インスリンペン型注入器、ヘパリン使用人工心肺回路用血液フィルタ等という形で、二つの高度医療機器認証基準を制定していますが、今回、3番目として、こちらにある経腸栄養用輸液ポンプ等の認証基準を制定いたします。

 資料2の1ページを御覧ください。経腸栄養用輸液ポンプ等の認証基準については、法律の第23条の2の23第1項の規定において、厚生労働大臣が基準を定めて指定する形になっていて、その別表の方に、この1ページの下にある基準を追加することになります。この別表第一については、この輸液ポンプの認証基準として含まれる一般的名称は、1番目として経腸栄養用輸液ポンプ、2番目として汎用輸液ポンプ、3番目として注射筒輸液ポンプ、4番目として患者管理無痛法用輸液ポンプとなります。その基準については、ここにある「既存品目との同等性を評価すべき主要評価項目とその基準」として、次の評価項目について厚生労働省医薬食品局長が定める基準により評価することとされております。

 評価項目については、1設定流量、2ボーラス量、3保護機能、4高優先度アラームとなっています。その基準に含まれる「使用目的又は効果」については、医薬品及び溶液等をポンプによって発生した陽圧により患者に注入することを目的とし、あらかじめ設定された投与速度又は投与量に従って連続(持続)注入、非連続(間欠)注入又はボーラスを制御するポンプであることとされています。この製品の一般的なものについては、2ページの下にある、よく病院で見掛けるような輸液ポンプということで写真として載せています。

 実際には、この基準について表にある評価項目であると、なかなかどういう内容を評価するのかということになるので、先ほど言いましたとおり、局長の定める基準として、3ページを開くと、この基準の適合に関して必要な事項を、別途局長通知という形で出していただくことになります。参考までに御説明しますと、()()とありますが、3ページの()の所の下に1.設定流量、2.ボーラス量、3.保護機能、4.高優先度アラーム、それぞれにおいてどういうものを評価するのかが書かれています。例えば、設定流量において、輸液ポンプ等に求められる一般要求事項、これは1.の所ですが、例えば、JISのT0601-2-24、医用電気のこの輸液ポンプ及び輸液コントローラの安全に関する個別要求事項の50番、作動データの正確度を参照してそれを評価しなさいという形で示されております。こういう規格に基づいて評価を行うという形で基準が作成されています。報告は以上になります。

○荒井部会長 ありがとうございました。委員の皆様から、御意見、御質問等ありますでしょうか。よろしいですか。それでは、ないようでしたら、これで議題2を終了いたします。

○参事官 ありがとうございました。それでは、以後の議題は非公開案件ですので、大変恐縮ですが、傍聴の皆様には御退席いただくようお願いしたいと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。

○参事官 お待たせいたしました。準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開させていただきます。

○事務局 まず、非公開案件について資料の確認をいたします。資料4「医療機器『コアバルブ』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」、資料5「医療機器『NovoTTF-100Aシステム』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」、資料6「医療機器『サピエンXT』の使用成績評価の指定の要否について」、資料7「医療機器・体外診断薬部会報告品目」、資料8「競合品目・競合企業リスト」、参考資料1「薬事分科会審議参加規程」です。

 当日配布資料3として、資料4「コアバルブ」、資料5「NovoTTF-100Aシステム」の正誤表。当日配布資料4「コアバルブを用いた生体弁の留置方法について」、当日配布資料5「経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設基準」、当日配布資料6、審議品目の専門協議委員リスト(3品目分)です。非公開案件の資料確認は以上です。

○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。御確認ください。よろしければ、ここから先は非公開で行う議題に入らせていただきます。

 初めに、本日の審議事項に関与された委員と、利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業の調査について御報告いたします。資料8、参考資料1です。これらの報告については、平成201219日付け、薬事分科会で決定された薬事分科会審議参加規程に基づくものです。皆様から毎回御報告いただいておりますので、概要は御存じかと思いますが、過去3年間にわたり、寄附金、契約金等の額について、競合企業と申請企業から申告を頂き、その結果に応じて審議不参加、若しくは議決への不参加という形で、審議会規程として定めさせていただいております。

 資料8です。1ページは、議題3のコアバルブの競合品目・競合企業リストです。申請者は日本メドトロニック株式会社です。競合品目として、本品と同様に経皮的心臓弁留置に用いる経皮的大動脈生体弁1品目が申告されております。

 2ページ、議題4のNovoTTF-100Aシステムの競合品目・競合企業リストです。申請者はNovocure Ltd.株式会社です。競合品目は申告されておりません。

 3ページ、議題5のサピエンXTの競合品目・競合企業リストです。申請者はエドワーズライフサイエンス株式会社です。競合品目として、本品と同様、重度の大動脈弁狭窄で、手術リスクが高く外科手術が困難な患者に経カテーテル的に大動脈弁を送達、留置する品目が申告されています。

 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」又は第13条の「議決不参加の基準」に基づき、御退席いただく委員、議決に御参加いただけない委員はございません。しかしながら、議題3のコアバルブの競合品目に関わる申請資料作成関与者及び議題5の審議品目のサピエンXTの申請資料作成関与者に、一色委員が該当いたします。つきましては、薬事分科会審議参加規程第5条「申請資料作成関与者の取扱い」及び第7条「競合品目に関わる申請資料作成関与者の取扱い」に基づき、一色委員には議題5の審議及び議決中、別室にて御待機いただきたいと思います。以上です。

○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、皆様の御了解を頂けたものとし議題に入ります。

 まず、議題3「医療機器コアバルブの製造販売承認の可否等について」です。本審議に当たり、参考人として上尾中央総合病院心臓血管外科の手取屋岳夫先生においでいただく予定でしたが、先ほど連絡が入り、手術が長引いておいでになれないということですので、手取屋先生はおいでになっておられませんが、このまま審議を進めさせていただきます。御了承ください。

 まず、審議品目の概要について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題3について御説明いたします。資料4を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器「コアバルブ」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否についての御審議をお願いします。

 まず、資料4の「一般的名称の新設について」というタブをお引きください。本品、経カテーテルブタ心のう膜弁は、カテーテルにより留置される人工心臓弁です。通常、後天性弁膜症の治療に用い、主にブタ心のう膜の材料で構成され、デリバリーシステムを含む場合もあります。当該医療機器については、既存の一般的名称のいずれにも該当しないことから、一般的名称を新設し、これに該当する医療機器が高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器のいずれに該当するか、また特定保守管理医療機器に該当するかを指定します。

 経カテーテルブタ心のう膜弁については、中程の1.ですが、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与える恐れがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、その下の2.ですが、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであるとは考えられないため、特定保守管理医療機器としては指定しないとすることが適切と考えております。

 承認の可否等について、審議品目及び審査の概要については、機構より御説明いたします。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より説明いたします。まず、当日配布資料6「専門協議委員」一覧を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする5名の専門委員の御意見を頂きました。

 当日配布資料3を御覧ください。こちらを訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。

 品目の概要について説明いたします。審査報告書の4ページを御覧ください。本品は次のページの図1から図3にお示しする構成品から成り立っており、外科的な大動脈弁置換術、AVRの施行が困難な症候性の重度大動脈弁狭窄症の患者に対して、経カテーテル的に弁留置を行う人工心臓弁システムです。本品を用いた経カテーテル大動脈弁留置術TAVIについて、当日配布資料4の図を用いて簡単に御説明いたします。

○荒井部会長 この1枚のカラーのものですね。

○事務局 はい。本品は左の図のように、大腿/腸骨動脈、鎖骨下動脈、上行大動脈を介した3種類のアクセス方法により、弁の留置が可能となっています。右側の模式図を御覧ください。まず、適切なアクセス部位から、上段の図のようにガイドワイヤーに添わせて、本品のデリバリーカテーテルを留置部位である大動脈弁まで進めます。その後、中段の図のように、最適な位置に調整しながら生体弁を展開します。展開が完了しますと、下段の図のようになり、デリバリーカテーテルを抜去し治療終了となります。

 このようなTAVIに使用できる医療機器としては、平成25年6月にエドワーズライフサイエンス社製のサピエンXTが国内で初めて承認を取得しておりますが、サピエンXTと本品とでは留置原理が異なり、その有効性と安全性の特徴も異なることから、本部会で御審議いただくことが必要と判断いたしました。

 審査報告書の説明に戻ります。審査報告書の7ページを御覧ください。()外国における使用状況については、欧州では2006年にCEマークを取得、米国では外科手術不適合患者を対象に2014年1月に、外科手術ハイリスク患者を対象に2014年6月に承認を取得しています。201411月現在、70を超える国々で上市されており、約□□□□個の販売実績があります。

 非臨床試験の詳細は審査報告書の10ページです。本品の非臨床試験については、安定性及び耐久性に関する資料をはじめとして、性能を裏付ける試験として実施された動物試験に関する資料が提出されて、その内容を審査した結果、特段の問題は認められませんでした。

 審査報告書の16ページの()を御覧ください。本品に使用される動物由来原料の外来性感染性物質に係る安全性についてです。本品の生体弁の弁尖及びスカート部分に使用されているブタ心のう膜は、動物細胞組織原料基準に適合しており、特段の問題は認められませんでした。

 続いて、本品の臨床試験成績について説明いたします。審査報告書の18ページを御覧ください。本品の臨床評価資料として、本品の有効性と安全性を検証したピボタル試験である二つの米国臨床試験成績と、国内医療適合性の確認を目的とした国内臨床試験の成績が提出されました。審査報告書の22ページの()を御覧ください。一つ目の米国臨床試験USピボタルHigh Risk臨床試験は、AVRの施行リスクが高いと判断された患者を対象に、本品がAVRに非劣性であることを検証した無作為化比較試験です。

 審査報告書の24ページの1行目を御覧ください。HR試験の結果、主要評価項目、手技後12か月の死亡率は本品群で14.2%、AVR群で19.1%となり、AVR群に対して本品の非劣性が示されました。

 2段落目から御覧ください。安全性については、術後12か月において、弁に関連する死亡、主要血管合併症、心穿孔及び植込み型ペースメーカーの留置で、本品群がAVR群に比べ有意に高いことが示されました。

 審査報告書の26ページの()を御覧ください。もう一つの米国臨床試験、USピボタル Extreme Risk臨床試験について御説明いたします。本試験はHR試験よりもリスクが高く、外科不適合と判断された患者を対象に実施された非無作為化単群試験です。

 審査報告書の27ページの下段を御覧ください。本試験での主要評価項目、大腿/腸骨アクセス群における術後12か月の全死因死亡又は重度脳卒中の発生率は26%であり、事前に設定された内科的治療群による達成目標の43.0%を有意に下回ることが示されました。

 安全性については、次のページの表12にお示しするとおり、重度脳卒中、主要血管合併症、ペースメーカーの植込みなどの有害事象が一定の頻度で発生しております。

 次に、国内臨床試験成績について説明いたします。審査報告書の18ページの()を御覧ください。国内臨床試験は外科手術を施行することが困難な患者を対象として実施された、非無作為化単群試験であり、その主要評価項目は大腿/腸骨アクセス群における6か月フォローアップ時にNYHA新機能分類が、少なくとも1レベル改善し、かつ有効弁口面積が1.2平方センチメートルを超えた植込み被験者の割合とされ、症例の91.7%が主要評価項目の要件を満たし、事前に設定された既存療法の成功基準を達成しました。

 安全性については、審査報告書の21ページの表5に示しますとおり、重度脳卒中、主要血管合併症、ペースメーカーの植込みなどの有害事象は、一定の頻度で発生しております。

 本品の審査における主な論点について説明いたします。審査報告書の42ページの「総合評価」の項を御覧ください。一つ目は、本品の国内医療適合性についてです。予後を改善するためにAVRが必要であるにもかかわらず、併存疾患等によりAVRの施行が困難とされた患者における本品の有効性と安全性については、米国大規模臨床試験により、AVRと非劣性以上であることが示されていることから、本品がこれらの患者にとって有用な治療法となると考えます。また、国内臨床試験と米国臨床試験の成績に大きな差は認められなかったことから、米国臨床試験の成績に劣ることなく、本品を国内導入することは可能と判断いたしました。

 ペースメーカーの植込みリスクについては、審査報告書の37ページの3行目から御覧ください。本品の臨床試験においてペースメーカー留置率は20%程度認められましたが、留置位置を工夫、調整することで、このリスクを約10%程度まで低減化できることが、海外の市販後臨床試験で示唆されております。本品のペースメーカーの植込みリスクについては、その注意喚起とその低減化のためのトレーニングを徹底することで、留置原理やアクセス方法にサピエンXTと異なる特徴がある本品をTAVIデバイスの新しい選択肢の一つとして国内導入する臨床的意義はあり、本品をサピエンXTと同じ臨床的位置づけのデバイスとして承認することは可能と判断しました。

 二つ目の論点、市販後安全対策について御説明いたします。審査報告書の43ページの1行目を御覧ください。現時点において、手技的にも難易度の高いTAVI治療が国内で十分に普及、成熟するには至っていないこと、その治療に伴う合併症は重篤であることから、本品を国内に安全に導入するためには、先行品であるサピエンXTと同様に次の要件を承認条件として付すことが重要と判断いたしました。

 一つ目は、デリバリー及び留置に失敗した場合には、緊急開胸手術による対応も必要となることから、迅速に外科的及び内科的対応ができる体制が整った医療機関において使用される必要性があると考え、承認条件1を付すことが妥当と判断いたしました。

 二つ目は、本品を適切に使用するために、本品及び対象疾患に対する治療法について十分な医学的知識を有し、本品に関するトレーニングが適切に行われる必要があることから、承認条件2を付すことが妥当と判断いたしました。

 三つ目は、本品にはサピエンXTと手技的にも治療成績にも異なる特徴があることから、本品を安全に国内導入できることについて、使用成績評価により確認する必要があると判断し、承認条件3を付すことが妥当と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。

 本品の原材料として、ブタ心のう膜が用いられているため、生物由来製品に該当すると考えます。特定医療機器に指定し、トラッキングすることが適当であると判断しました。また、本品を使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は7年とすることが妥当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、荒井部会長、川上委員、中島委員より、事前にコメントを頂戴しております。まず、荒井部会長より、使用成績評価における症例数□例の設定根拠について御意見を頂戴しております。

 審査報告書の41ページの表20を御覧ください。本使用成績調査では三つのグループに分けて調査を行うことを計画しております。導入前期では、サピエンXT導入済みの施設と、サピエンXT非導入施設の二つに分け、TAVI修熟度の差における安全性対策の充足性について確認することを目的とし、症例数は各群最大□症例を予定しております。導入後期では、導入施設基準の一つであるPCIの年間施行数200例から緩和した後の安全性を確認するために、最小200症例の調査を予定しております。

 本品の主要な合併症のうち最も発現率が低い重度脳卒中は、臨床試験成績が2%程度と推定されております。これを精度よく検出するためには、各グループ□例程度の調査症例数が必要と考えております。また、本品の使用成績評価の調査症例数は合計□例となり、国内臨床試験では検出できなかった有害事象についても、精度よく検出できる設定と考えております。

 川上委員からは三つの御意見を頂戴しております。部会資料の添付文書案のタブの1ページを御覧ください。1ページの赤い四角で囲んだ警告欄の1番に記載のある関連学会の定める「経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設基準」と、審査報告書の39ページの表19に導入施設基準が記載されておりますが、「それは同じですか」というコメントを頂戴しております。

 関連学会が定めた基準については、当日配布資料5を御覧ください。こちらの学会基準は、TAVI治療を行うに当たり必要と考えられる手術実績や設備、人員など、一般的な要件について規定されております。一方、審査報告書に記載している導入施設支援基準は、トレーニングや教育訓練制度など、本品を用いた治療や手技を安全に行うために申請者が設定している支援基準で、学会基準よりも本品に即した具体的な内容となっております。

 二つ目は、適応については添付文書の警告3、先ほどの青いタブの添付文書案を御覧ください。そちらの赤い四角の枠の中の警告3「大動脈弁置換術の施行ができず、本品による治療が当該患者にとって最善であると判断された患者に対して、本品を用いること」及び4の「本品を用いた治療を選択する際には、心臓外科医及び循環器内科医を含む医療チームにより、本品のリスク・ベネフィットについて慎重に検討すること」での制限となると思いますが、解釈によってはかなり広い範囲となるように思います、という御意見を頂戴しております。

 こちらは本品の主な対象患者である80歳を超える高齢者に対する本品の適応については、本治療のリスクを踏まえ、本疾患に関わる医療関係者が総合的に議論して判断することが重要であることから、このような注意喚起をしております。

 審査報告書の40ページの表を御覧ください。そちらの下段にV「本品の適応に関する第三者判定委員会」を御覧ください。こちらの項目には、適応の解釈については御指摘の懸念があるため、本品の導入後一定の症例数までは、各医療機関における適応判断に関しては第三者委員会により確認されるシステムが申請者により準備されております。

 三つ目は、審査報告書の37ページの植込み型ペースメーカー留置のリスクの可能性が高いことは、添付文書のどこにそれを示唆する記載があるのでしょうか、というコメントを頂戴しております。

 こちらの記載について、本品を用いた治療のペースメーカーの留置率については、添付文書案の1ページの右下の「使用目的又は効果に関連する使用上の注意」において、「本品は、ペースメーカーの新規植込み率が高い可能性があることから、本品の適応については慎重に検討すること」と記載し、注意喚起を行っています。臨床試験成績については、同じ青色のタブの添付文書の中の7ページの表6に、本品群及びAVRのペースメーカー留置率を掲載しております。

 中島委員からは、適応判断が最も重要と考えられる。本品の使用に当たっては、医療チームによる検討が必要となることは言うまでもない。また、種類の選択においては、画像診断の重要性が指摘されている。治療に直接当たる心臓血管外科医、循環器内科医以外に、放射線科医、画像診断、IVRの専門医も、手術前の検討会に加わることが望ましいとの御意見を頂戴しております。

 学会基準でも、TAVI治療を行う際には、心臓血管外科医と循環器内科医を含めたハートチームが機能することとなっております。中島委員の御指摘のとおり、放射線科医を含め、各医療機関で対象疾患の治療に関わる医師により適切なハートチームを結成することが重要と考えております。医薬品医療機器総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 この議題について、今の説明につきまして、委員の皆様から御意見、御質問はいかがでしょうか。

○塩川委員 私は脳外科をやっております。そうすると、脳血管の治療機器も非常にリスクを伴うので、そうしますと承認条件というのを最近の脳血管と比べていたのですが、脳の場合は、例えばトレボとかSolitaireというものは、「関連学会と連携の上で」という文言が入るのですが、私は心臓のことはよく分かりませんが、かなりリスクの高そうなものにこういう厳しい条件を付けるときに、「関連学会との連携の上で」というものが承認条件に含まれないのは、領域ごとの違いみたいなものがあるのでしょうか。それなりの縛りになるようにも、実際に脳血管の分野では、非常に脳血管内治療学会が厳しく自己規制をしているのですが、承認条件に「関連学会と連携の上で」という文言が脳の場合は入っているのですが、心臓の道具で入らないのは、何か背景の違いがあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構からお答えいたします。承認条件の文言については、先生の御指摘のとおりなのですが、実際にはTAVIの学会基準に関してはかなり厳しい基準が設けられております。実はこの基準の中で、人員、設備の要件が設定されているのですが、そのほかにも経カテーテル大動脈置換術をやっている学会の関連学会が構成する委員会の査察を受けて、そこできちんとハートチームが機能して、きちんと設備的な要件も満たしていないと、本品の治療を行ってはいけないという厳しい設定がされておりますので、実質上、学会が非常にコントロールした状況下で、本品の治療が行われている状況があります。

 ただ、承認条件に入っていないのは確かですので、それは必要に応じて先生の御指摘のとおり修正する方向で、事務局と相談させていただければと思っております。

○荒井部会長 承認条件に学会名を入れるか入れないかということについてです。何かコンセプトがあるのか、それとも今後検討するということか、どちらでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 検討して、入れられる状況だと思います。実際は関連学会とかなり強く連携しながら運用しておりますので、実質上、入れても問題ない現状かと思います。

○荒井部会長 そのほか、御意見はいかがでしょうか。

○中島委員 私は放射線科医ですが、適応判断、デバイス選択に対して大動脈のステントグラフトのように画像診断の精度を規定した方が良いと思います。たとえばスライス厚とかです。大動脈弁周辺というのは画像診断が非常に難しい所でもあり正確な術前判断が肝となるためその辺について何か記載を加えた方がいいのではないかと感じますが、いかがでしょうか。

○荒井部会長 「承認条件に」という意味と私は理解していましたが、画像の判断についての記載が詳しくあってもいいのではないかということですね。どこでどう縛るかは別にしても、どういう画像を使うかなどを、もう少し規定した方がいいのではないか、というご意見ですね。

○中島委員 そういうことです。適応、デバイス選択を判断をする要件として、警告の所に何か記載があった方がよろしいかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生がおっしゃられるように、適応の判断をどのようにするかというのは、非常にこちらとしても、企業も含めてきちんとしていきたいと考えているところです。ただ、明確に文章にすると、それがかなり縛りになってしまう場合もあり、トレーニング案の中で、そこのところを細かく御説明申し上げたり、実際に適応をどのように判断していったらいいかというところの記載を、トレーニングの方に反映させて、今のところは運用しているところです。

 ただ、添付文書に、そういった画像についてもう少し詳しく書いた方がいいという御趣旨と理解しましたので、持ち帰らせていただき、使用方法の所にそういったところを少し盛り込めないか検討させていただきたいと思います。

○荒井部会長 そのほかにいかがでしょうか。

○西田委員 関連学会の施設基準の中で、人員とか施設の中で、専門医とか基幹施設等の表現がたくさん出てくるのですが、今、専門医制度の改革があって、学会から専門医機構に母体が移りつつありますので、その基準あるいは基幹施設の基準等もある程度変わる可能性があるので、この施設基準を一定期間で随時見直していく必要があると思うので、その点だけ注意していただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 学会基準も、条項に少なくとも3年後には見直す、定期的に見直し柔軟な運用をしていくという規定がありますので、先生の御指摘のとおりの運用がなされるものと考えております。

 もう1点よろしいでしょうか。

○荒井部会長 どうぞ。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど塩川先生から御指摘いただきました承認条件の件です。先行品のサピエンXTも全く同じ状況になっておりますので、この点に関しても「関連学会と連携」という文言を入れることについて、少し検討させていただきたいと思います。

○塩川委員 当該学会の自主規制というか、かなり厳しいルールでやるものなので、そういう関連学会と連携ということが承認条件に入っていた方がいいのではないかと思いますので、その方向で是非お願いします。

○荒井部会長 そのほかにいかがですか。

○村上委員 弁の耐久性というのは非常に大事なところだと思うのですが、後ほど議題で出るサピエンXTはウシの素材なのですが、こちらはブタの素材です。その違いというのは何かあるのでしょうか。そういうのを考えて使い分けるというか、何かその辺の情報がございましたらお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構から御説明いたします。ウシとブタの同じ心のう膜を使っているので、非臨床試験の耐久性試験とか、そういうベンチテスト上はほぼ同じ性状を持っております。ただし、実際に今までの外科手術、AVRで使われる人工弁などの情報を見てみますと、ある程度先生の好みも出てくるのですが、耐久性のところで使い分けがなされている状況かと思います。

 耐久性の面で、一般的にブタの方がcalcificationが少ないとか、そういう報告があるのですが、逆の報告もあって、その辺は一長一短なのかなと考えております。

○千葉委員 添付文書で拝見しますと、合併症の中で、出血の合併症が数字からいうと目立ちます。この出血に関しては、場所はどこが一番多いという分析はなされておりますでしょうか。これが第1点です。

 術後30日と12か月では、合併症の高い率はあまり変わらずに推移していると。これらのことが推奨される抗血小板療法との関係を何か有するとお考えかどうか、あるいはこの抗血小板療法がベストとお考えかどうか、その辺のお考えをお教え願えますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構から御説明いたします。まず、出血の事象がどういうイベントが多いかについてです。出血は、当然、手技のときに多い出血としては、穿刺部、腸骨動脈を刺した所の止血に難渋する場合であったり、あとは実際に留置したときに内部の血管、大動脈を損傷してしまうことによる出血がメインとなっております。

 術後に関しては、実際に先生のおっしゃるとおりで、抗血小板療法を併用することにより、例えば脳出血であったり、腸内の出血が出てくる事象が、それほど大きな頻度ではないのですが報告されております。

 現在設定されている抗血小板療法がベストなのかという点については、ベターな方法でやっているというのが現状で、実際に、最初に国内に導入した際には、米国とか、欧米での抗血小板療法のプロトコルを日本に持ってきて、かつ今まで冠動脈で培ったプロトコル等を参照しながら行っている現状ではあるのですが、どうしても最初の術後1か月は、抗血小板薬の2剤併用が行われており、それによってある程度出血が出ている現状があります。

 実際に、臨床上ではどのような運用がされているかというと、慣れた施設では、術後1か月ぐらいたってしまえば、あとはバイアスピリン1剤のみでコントロールして、それで出血事象は大体見られていないというのが、学会等で報告されている現状です。それなので、抗血小板療法については、世界的にも今のところはいい方法を探しながら進めているのが現状かと思います。

○千葉委員 現実には、12か月でも結構高い合併症の出血系の発生率がございますね。これは、最低3か月抗血小板療法をやり、その後かなり切って、あるいは減らしているだろうと思いますが、それにもかかわらず、12か月で相当な率が相変わらず維持されているという印象がどうしても否めないのですが、これは30日で起きたものが、そのままあるだけのことで、その後に新たに増えているわけではないということですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。これは積算なので、0から12か月間で起こったものですので、積算の率なので上がっているように見えるだけで、実際には、ほとんどは術後30日の周術期で起こった出血事象がメインとなっていると考えられます。

○千葉委員 そうしますと、やはり手術の直後といいますか、1か月前後までの抗血小板療法はこれだけ率が高いと、学会ともいろいろと御相談いただくのはいいのではないかという気がいたしますね。

○医薬品医療機器総合機構 実際に、いろいろと議論されている状況だと思います。学会とか、関連学会にお伝えして、どういう注意喚起をこちらから出すことができるのかについても検討させていただきたいと思います。

○千葉委員 お願いいたします。

○荒井部会長 先ほどの市販後の調査についてですが、全例調査ということですね。全例調査で、最大□とか、やや不明瞭な表現があったのですが、実際にはどのぐらい使われるという予測をしているのでしょうか。こういうものは、実際に使われる頻度や対象症例数の比率、あるいは、市販後調査で明らかにしなければならない事柄の頻度と、予測される頻度の兼ね合い等で決められると思いますが、どのような背景、根拠でこの辺の設定をしたのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構からお答えいたします。実際に、どのぐらいの頻度で本品が使用されるのかにつきましては、本品は実際に使用されていないので、そこについては正確な見積りはできないのですが、先行品のサピエンXTの最初の全症例を対象にPMSが行われており、その実績からすると、半年で600例がエントリーされましたので、今のところは1年間で1,000件以上のTAVI治療が行われていることを考えますと、本品が導入され、単純に2分割したとしても、年間に本品が500例程度使われる可能性があると考えています。

○荒井部会長 そうすると、先ほどの最大□というのは、簡単に到達可能だということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 詳細についてここで申し上げるつもりはありませんが、重度の合併症や脳卒中が2から5%で見付かるから、それが拾われるところまでやりましょう、という考え方については、「それを拾ったから何になるのか」という話を明確にする必要があると思われます。既に報告がある場合に、95%信頼区間でこのぐらいの可能性があるということをもう1回再現するところまで、市販後調査として要求することが本当に必要かどうかという辺りについては、今一度検討していただいた方がいいのではないかと思います。今日ここで特に回答を求めるものではありませんし、先行品とのバランスもあると思いますので、あまりドラスティックなことをやってはいけないかもしれませんが、いつも申し上げているように、市販後調査を要求する以上、それには明確な根拠は必要だと思います。たくさんやれば信頼性は高くなるのでしょうが、それを本当に全部要求すべきかについては議論の余地があると思われます。是非、御検討下さい。そのほかに御意見はございますか。

○武谷委員 教えていただきたいのですが、添付文書の青の所の最初のページの「警告」という所の文言です。そこの警告というのが8まであるのですが、3番目に「大動脈弁置換術の施行ができない患者を対象とする」と読み取れるのですが、6番目で「緊急大動脈弁外科手術が直ちに実行できる実施医療機関のみで本手技を実施すること」ということで、この手技を行って、このデバイスを装着した場合に、どういう事態が発生したら、緊急大動脈弁外科手術を施行すべきなのでしょうか。

 それと、緊急というと、30分なのか1時間なのか。緊急手術を行えなくてレスキューできなかった場合に、当該手術の責任を問われることになると思うので、緊急というのがどの程度の時間の枠でこういう文言にしたのか。その2点をお教えいただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 事務局よりお答えします。先生の御指摘どおり、少しアンバランスな感じだと思うのですが、まず「緊急」というのは、本品は大動脈弁破裂とか、大動脈を傷付けたりということで、正に「そういう合併症が起こったら直ちに」という意味で、「緊急」というようになっております。

 逆に、「大動脈弁置換術の施行ができず」ということに関しては、例えば事前のハイリスク、予想死亡率等から鑑みて、通常は外科医がためらうような患者さんにおいて、本当にこの治療が最善であるというところを、内科治療の適応も含めて判断してくださいという意味で記載しております。

○武谷委員 そうしますと、6番の緊急大動脈弁外科手術というのは、これを挿入するときの手技における予期せぬトラブルが起きたときに、直ちにバックアップとしてこういうことができる体制だということなのですね。分かりました。しばらくたって、1月とか半年後の事故を想定したものではないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 違います。この手術はカテーテルで行う治療なのですが、外科手術にすぐに移行できるようなハイブリッド手術室というものでないと施行できないという条件になっています。

○武谷委員 「緊急」というのは、文字どおり直ちにできないといけないということになりますね。

○医薬品医療機器総合機構 実際に心臓の弁輪破裂などが起きると、心タンポナーデになってしまうので、即、開けて手術に移らないと命の危険性が高いという。

○武谷委員 開胸して、大血管とか心臓の手術ができるような心臓外科医がスタンバイしていないと、こういうことをやってはいけないということですね、麻酔医を含めて。

○医薬品医療機器総合機構 はい。これは内科の先生がこのカテを操作したときでも、外科医が必ず隣にいなければいけないという体制になっております。

○武谷委員 そうすると、極めて厳しい体制になりますね。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○武谷委員 分かりました。

○荒井部会長 今の所の文言は、普通に読むと確かに矛盾があるように取られる可能性がありますね。御指摘について内容的には御理解いただけたと思いますので、検討をお願いします。そのほかはよろしいですか。

 御意見がなければ議決に入ります。医療機器「コアバルブ」については、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器に指定しないこととする。また、生物由来製品に指定することとしてよろしいでしょうか。さらに追加として、使用成績評価期間は7年とし、使用成績評価の対象に指定するとさせていただきたいと思います。御異議がなければ、このように議決させていただきます。

 なお、この審議結果については、次の薬事分科会において報告することといたします。ありがとうございました。だいぶ進行が遅れてしまいまして、申し訳ございません。これで議題3を終了いたします。

 引き続いて議題4「医療機器NovoTTF-100Aシステムの製造販売承認の可否等について」です。本議題の審議に当たりましては、参考人として東京女子医科大学先端生命医科学研究所先端工学外科学分野教授の村垣善浩先生に御出席いただいております。村垣先生よろしくお願いいたします。

○村垣参考人 私自身は脳神経外科医で、脳腫瘍学会の理事も務めております。本日はよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 審議品目の概要について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題4について事務局から御説明いたします。資料5を御覧ください。1ページは諮問書です。本議題では医療機器「NovoTTF-100Aシステム」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。

 「一般的名称の新設について」というタブをお引きください。先ほどの品目と同様に「交流電場腫瘍治療システム」という品目については、体外に配置した電極を用いて身体の特定の部位に交流電場を供給する可搬型機器で、細胞分裂を阻害することによって悪性腫瘍等を治療する装置ですが、該当する既存の一般的名称がありませんので、こちらについて、一つ目は、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器等の指定につきまして、いずれに該当するものか。二つ目は、保守、修理その他の管理を必要とするものであるかどうかという点について、御審議をいただきたいと思います。また、承認の可否等については、審議品目、審査の概要について機構より御説明いたします。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。まず、当日配布資料6の「専門協議委員」の一覧です。本審査に当たりまして、資料にお示ししております3名の専門委員の御意見を頂きました。また、資料5ですが、事前に発送するのが遅くなりましたことをお詫び申し上げます。さらに事前にお配りしました審査報告書の一部に誤りがありましたので、当日配布資料3にお示ししております正誤表にて訂正をいたします。御迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。

 本品の概要についてです。審査報告書の5ページです。本品は図2に示しておりますように、頭部にトランスデューサーアレイを貼り付け、脳内に交流電場を形成する医療機器であり、可能な限りの外科手術及び放射線治療を行った後に再発した多形性膠芽腫、再発GBMに対する治療を目的として使用いたします。

 再発GBMは、急速に増殖する予後不良の疾患であり、治療が奏効しなかった場合の全生存期間は平均で3.5か月程度です。また、再発GBMに対する標準的な治療法は確立されておらず、摘出手術及び放射線治療を施行後の患者については、化学療法以外の治療の選択肢がないのが現状と言えます。

 本品の主な作用原理です。脳内に形成した交流電場によって、細胞分裂の過程において紡錘体の形成を阻害することによって細胞分裂を阻害することと考えられております。本品は、EUでは200710月に初発及び再発GBMを適応として承認され、米国では2011年4月に再発GBMを適応として承認されております。また、本邦においては、医療ニーズの高い医療機器として早期導入品目に選定されています。

 本品の非臨床試験成績です。ここでは、本品の細胞分裂阻害効果について検証されたin vitro及びin vivoの代表的な試験について御説明いたします。審査報告書11ページの下段にお示ししております図7の右側のグラフです。こちらは、ラットGBM細胞を含む複数の細胞種に対して、24時間交流電場を印加したときの効果を調べたものです。横軸に電場強度、縦軸に交流電場を印加しなかった場合を100%とした細胞数の比率を示しております。三角で示しておりますのが、ラットGBM細胞の結果です。電場強度依存的に細胞増殖が阻害されていることが示されました。

 審査報告書14ページです。上段にお示ししております図10です。がん動物モデルを用いたin vivo実験系において、本品の腫瘍増殖抑制効果を調べた結果です。横軸に治療開始からの時間、縦軸に腫瘍体積を示しております。対照群は時間の経過とともに腫瘍体積が増加したのに対し、交流電場を印加した治療群では腫瘍体積の増加が抑制されたことが示されました。ほかの非臨床試験成績についても審査した結果、本品の有効性及び安全性が示されていることを確認いたしました。

 臨床評価について御説明いたします。審査報告書16ページ上段の()です。本品の臨床評価に当たっては、海外で実施された第 III 相臨床試験、EF-11試験の成績が提出されました。本試験は、可能な限りの外科手術及び放射線治療を施行した後に再発したGBM患者を対象に本品単独で治療を行った本品群120例と、各治験実施施設において医師が最適と判断した化学療法を行ったBSC群117例を比較した試験です。試験の結果をお示ししながら、本品の有効性及び安全性について御説明いたします。

 本品の安全性についてです。審査報告書21ページの下段です。表9に、本試験で発現した有害事象の一覧をお示ししております。化学療法に多く見られる胃腸障害、感染症等の有害事象は、本品群ではほとんど発現しませんでした。これらは統計学的にも有意に発現率が低いことが示されております。一方で、本品に起因する有害事象はトランスデューサーアレイを貼った部位に起こる皮膚刺激反応のみであって、ステロイド外用剤の使用及びトランスデューサーアレイの貼る位置を変更することで治癒したと報告されています。以上のことから、本品は化学療法と比較して安全性が高いと判断しました。

 有効性です。審査報告書19ページ中段の表6です。EF-11試験では、主要評価項目として全生存期間が設定され、その中央値は本品群が6.6か月、BSC群が6か月でした。EF-11試験は、本品群の全生存期間の中央値がBSC群を4.5か月上回ることを検証するための優越性試験としてデザインされましたが、本品群とBSC群の結果の差は0.6か月で、本品群の優越性を示すことはできませんでした。そこで、本審査において本品の有効性を評価するために、EF-11試験の結果の妥当性について検討いたしました。

 審査報告書31ページの中段の表17です。再発GBMに対して治療が奏効しなかったと報告された文献をまとめております。再発GBMに対して有効な治療が行えなかった場合の全生存期間の中央値は、平均で3.5か月程度です。これに対しまして、EF-11試験のBSC群の成績は全生存期間の中央値が6か月です。従って、EF-11試験のBSC群でも化学療法によって生存期間が延長しており、本品群はそれと同等の6.6か月という成績であり、本品群のカプランマイヤー曲線はBSC群と近似した曲線であったということからも、本品は再発GBMに対してBSC群と同程度の有効性が示唆されたと判断しております。

 更にEF-11試験における副次評価項目である画像上の治療奏効率では、本治療が奏効し完全寛解又は部分寛解を得た被験者が一定数認められたことも、本品の有効性を支持していると考えます。

 また、本品の有効性を示唆するものとして、最近の臨床試験であるPRiDe試験とEF-14試験に関する資料を、参考資料として提出するように申請者に指示しました。審査報告書22ページ中段の()です。こちらにお示ししておりますPRiDe試験は、米国において実施された市販後レジストリ試験で、再発GBM患者を対象に457例の使用成績が収集されました。なお、本試験は実臨床において収集された使用成績であるため、化学療法の併用については制限されておりません。このPRiDe試験の結果、全生存期間の中央値は9.6か月でした。

 続いて、審査報告書23ページ下段の()です。こちらにお示ししておりますEF-14試験は、つい最近まで米国で実施されていた初発GBM患者を対象として、本品とテモゾロミドの併用療法群210例とテモゾロミド単独投与群105例を比較した試験です。その結果を審査報告書24ページ下段の表13に示しております。併用群の全生存期間の中央値が20.5か月、テモゾロミド単独投与群が15.6か月であり、併用群の方が統計学的に有意に良い結果であったことが示されました。

 これらの臨床試験と先ほどのEF-11試験は、化学療法併用の取扱いや対象患者が異なることから、試験成績を横並びに比較することはできませんが、これらの試験成績はEF-11試験で見られた本品の有効性を支持する臨床成績であると考えます。冒頭に申し上げましたとおり、再発GBM患者の治療の選択肢は限られており、現状では化学療法以外に治療の選択肢はありません。また、一般に化学療法には胃腸障害等の副作用が発現するため、患者のQOLが低下してしまう問題があります。一方で、本品は化学療法と比べて安全性の高い治療法でありながら、化学療法と同程度の治療効果を有することが示唆されたため、リスク・ベネフィットバランスを考慮して、再発GBM患者に対する治療の選択肢の一つとして、本品を医療現場へ提供する意義はあると判断いたしました。

 本品の使用目的及び適応についてです。審査報告書32ページ下段の()です。本品は、再発GBM患者に対する単独療法としての使用を意図した医療機器として承認申請されました。しかし、仮に本品を単独で使用する医療機器として承認した場合、化学療法を実施中の患者が本品を使用する場合には承認適応上、化学療法を中止しなければならず、それまで化学療法によって病変の進行を抑制していた患者が、かえって不利益を被る可能性があることが懸念されました。

 そこで、本審査において本治療と化学療法の併用に関して情報収集を行いました。その結果、本品と化学療法を併用した際の有効性及び安全性についてのエビデンスは現時点では十分とは言えませんが、PRiDe試験及びEF-14試験の成績を考慮すると、本品と化学療法の併用を積極的に否定する根拠はないと考えました。よって、添付文書において、本品と化学療法との併用について十分に検証されていない旨を適切に情報提供した上で、本品の使用目的を単独療法に限定しないことで差し支えないと判断しました。また、初発GBMへの医療ニーズも高いことを想定し、EF-14試験に関する最終報告がまとまり次第、速やかに初発GBMへの適応拡大を行うことを指示事項として申請者に指示しました。

 最後に使用成績評価の要否についてです。審査報告書34ページの中段やや下にあります()です。本品は本邦において新規性が高い医療機器であり、本邦の実臨床における有効性及び安全性を評価するために、使用成績評価は必要と判断しました。安全性については、EF-11試験の結果及び専門協議での議論から、特に皮膚刺激反応、神経系障害及び精神障害の三つについて、その発現率がEF-11試験と同等であるかを確認する必要があると判断しました。更にEF-11試験の結果のみでは本品の有効性を十分に確認できなかったことから、有効性に係る評価項目として、1年生存率及び6か月後の無増悪生存率を評価する必要があると判断しました。

 また、本治療の成績に影響を及ぼす要因としてGBMの再発回数、本治療に対するコンプライアンス等についても併せて情報収集すべきと考えております。なお、専門協議での議論から目標症例数は30例とし、評価期間は3年とすることが妥当と判断しました。

 以上の審査に基づいて本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、先ほど御説明したとおり使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は3年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。

 本品について、事前に荒井部会長、川上委員、新見委員、菱田委員よりコメントを頂戴しておりますので、ここで御紹介いたします。

 荒井部会長より、使用成績評価における有効性評価について御意見を頂戴しております。総合機構は、使用成績評価において可能な限り有効性を評価する必要があると考えております。本審査では、審査報告書35ページの中段1)の末尾に記載しておりますが、本品の有効性に関する評価項目として、1年生存率及び6か月後の無増悪生存率を評価することを申請者に指示しております。

 また、本品の適応となる患者は本邦において年間2030例程度を見込んでおりまして、本使用成績評価の目標症例数30例は、そのほぼ全例について調査することとなると考えております。そのため、本使用成績評価の実施によって可能な限りの有効性に関する情報の収集が可能と考えております。

 続いて、川上委員から頂きました御意見を御紹介いたします。審査報告書20ページの表8です。EF-11試験におけるQOL評価の結果を示しております。表8の下から5行目に「経済的困難」という項目があります。この項目について御意見を頂戴しております。EF-11試験で経済的困難が本品群7.6%、それに対してBSC群-10.4%という結果が出たということは、本品群で何か経済的困難が大きかったということだろうかというコメントを頂いております。頂いたコメントに基づきまして、この項目で差が出た理由について調査をいたしましたが、この点については詳細な原因が分かっていないということを御報告いたします。

 続きまして、新見委員から頂いた御意見を御紹介いたします。三つ御意見を頂いております。一つ目は、優越性の検証ができなかったピボタル試験に基づく同等性評価は不適切であり、有効性があるとは言えないのではないかとの御意見を頂戴しております。新見委員より頂いた御意見のとおり、主要評価項目がフェイルした試験を基に有効性を評価することは本来、不適切でありまして、本品とBSC群の同等性を評価するためには、非劣性を評価するために設計し直した上で、新たに治験を実施する必要があるとすることが原則と考えられます。

 そこで本審査において、新たな治験を実施することが必須であるか検討いたしました。その結果、再発GBMに対して治療が奏効しなかった場合の全生存期間の中央値は、平均で3.5か月程度であるということに対して、EF-11試験におけるBSC群の成績は全生存期間の中央値6か月、本品群はそれと同等の6.6か月という成績でした。従って、本品群及びBSC群で生存期間が同程度延長していることが認められ、本品は再発GBMに対してBSC群と同程度の有効性を有することが示唆されたと判断しました。また、PRiDe試験及びEF-14試験の成績から本品の有効性を支持されていると判断しております。

 本品については、関連学会から早期導入の要望が挙げられていることも考慮しまして、再発GBMに対する治療の選択肢の一つとして、いち早く本品を臨床現場に提供することが適当と判断しました。

 二つ目の御意見としまして、実臨床では化学療法と併用することが十分予測できるのに、EF-11試験を本品の化学療法に対する上乗せ効果を検証する試験としなかった理由が分からないとの御意見を頂戴しております。EF-11試験は審査報告書18ページの下段に記載しておりますように、EF-11試験の達成基準は、再発GBM患者10例を対象として実施されたパイロット試験の成績に基づいて設定されました。申請者はパイロット試験の成績から、BSC群と比較して本品群の全生存期間が有意に長くなることを見込んで、それをEF-11試験で検証することで、再発GBM患者に対して本品を使用することを正当化することができると考えたようです。

 三つ目は、化学療法と比較してQOLが低下する重篤な副作用がない点を本品の臨床上の意義とするなら、当初から再発例に限定した試験とする必要はなかったのではないかという御意見を頂いております。この点については、本申請はEF-11試験に基づいて再発GBMを対象として申請されております。申請者は、初発GBMに対する開発も同時に進めてきております。初発GBMに対する本品の有効性、安全性はEF-14試験において検証されており、現在、最終報告書がまとめられております。総合機構は、初発GBMに対しても医療ニーズが高いと想定されることから、EF-14試験に関する最終報告がまとまり次第、速やかに初発GBMへの適応拡大を行うように指示事項として申請者に指示をしました。

 最後になりますが、菱田委員からは、本品の添付文書案の「適用禁忌」の記載についてコメントを頂いております。本品の導電性ゲルに対して、炎症やアレルギーを示す人はどれぐらい存在するのかという御意見を頂いております。こちらの御指摘を踏まえて改めて調査をしましたが、これまでに本品を使用したことで重篤なアレルギー反応を示した例は報告されておりませんでした。皮膚の炎症は有害事象のうち皮膚刺激反応に分類されます。EF-11試験では、皮膚刺激反応の発現率が16%であって、いずれも軽度又は中等度であったと報告されております。また、本品の使用成績評価における安全性に関する評価項目として、皮膚刺激反応を指定しておりますので、本邦の実臨床における使用実態も踏まえて情報収集をすることが可能と考えております。なお、菱田委員には事前にこの点について御説明し、御了承を頂いております。

 総合機構からの御報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 まず、初めに参考人の村垣先生から、何か追加の御発言を頂けますでしょうか。

○村垣参考人 私自身はGBMの患者を最も診ているうちの1人なのですが、再発後の予後は非常に悲惨な状況です。(改善の候補として)、インターフェロンですが、JCOG試験でfailureと改善を示さず、アバスチンは再発でQOL向上に非常に効果があるのですが、今回、初発でも承認されたので、初発で使われてしまうと再発後に使えず、ほとんど治療法がないという状況になってきております。

 その中で、今回のNovoTTFですが、委員の先生方も作用機序が極めて新規でにわかに信じ難いという感想と思われ、私自身も2009年ASCOでの再発のEF-11試験の発表を見て最初は効果を疑いました。しかし、論文を精査すると、PNAS(米国アカデミー紀要)含めて(機序に関する)基礎実験をきちんと出版しているということ。EF-11試験は対照群がベストサポーティブケアという名称ですが、実際には積極的な化学療法なので、先ほど新見先生からも御指摘があった(優越性でデザインした)試験としてはfailureになりますが、有害事象が(対照群と比較して)非常に少ないということで、FDAも認めたのではないかと思います。

 最後に、効果への懸念は残っていたのですが、201411月にマイアミで行われたSociety for Neuro-oncology(国際脳腫瘍学会)で数ある新薬が初発に対し試験で優越性を示せない中、唯一このEF-14試験でのNovoTTFが初発に対し生存期間で有意差が出たというところで、会場は大変高い評価であったと伺っております。

 では、初発での承認を待てばいいのではないかという御意見もあると思います。現場は待てないということ、また特殊な治療なので現場が混乱するとの懸念から、再発から現場で進め、その後、初発で御審査いただくのがよいかと思います。作用機序は信じ難いところなのですが、いくつか前向き臨床試験によって申請者はそこの疑義を埋めようと考えていると思います。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。審査のときに、「疑わしいものは通さない」という姿勢で臨めば引っかかってしまうのかもしれませんが、逆に非常に厳しい疾患背景に、「期待の持てるものは使える状況に持ち込もう」という判断が勝ったということではないかと思います。では、この議題について御質問、御発言いかがでしょうか。

○寺崎委員 使用説明を見ても、本人ではなくて周囲の人たちや、周囲の環境に対する注意喚起はないようですが、磁場が周囲の妊婦などに影響を及ぼさないのでしょうか。本人だけの問題でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本品の形成する電場に関して、申請者よりシミュレーションではありますが、どのような電場分布になるかというデータが示されております。本品は、電極を設置しております脳内のみに電場が影響を及ぼすということが示されておりますので、周りに対して何か影響を及ぼすということは考えにくいと思われます。

○荒井部会長 そのほかいかがですか。

○塩川委員 EBMからすると今言われた話でちょっとというところですが、それはほかに治療がない厳しい病気ですので、そのときに指示事項というのが適応拡大を初発で速やかに必要な措置を講ずる。これは、私は今まで何回かこの会議を聞いていて、あまり聞かない話というか、これは別に指示事項としてあえてここに加える必要があるのでしょうか。こういうものは学会に任せればよろしいのではないかという気もします。あるいは、ここに指示事項が出ていると、速やかに初発に早く通してあげますみたいな意思表示が含まれているのでしょうか。この辺の背景についてお尋ねしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。まず、指示事項の位置づけです。こちらに初発GBMへの適応拡大を速やかに行うようということを記載しております。こちらにこれが記載されているからといって、次に初発に対する申請が来たときに審査が早くなるということはありません。まず、そこは御理解ください。今回、指示事項を記載しているのですが、指示事項を記載するということ自体は過去にも例がありまして、本品に特別という措置ではありません。

 今回、初発GBMの適応拡大を指示した背景としては、今回、再発GBMのみに関して申請されておりますが、初発のGBMに関して、そのGBM自体がそもそも予後の悪い疾患ということもあって、初発GBMに対してもニーズが高いということを想定して指示しております。

○荒井部会長 ニーズが高いという現場からの判断に基づいて、適応拡大しようというのであれば、それは本来学会が提案することであって、承認要件の中の指示事項として、あえて加える必要があるのか、という御質問だと思います。いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。まず、指示事項です。こちらは承認要件には含まれていない内容です。

○荒井部会長 どうも宙ぶらりんですね。企業に対する指示なのですか、指示ではないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 企業に対する指示です。

○荒井部会長 企業に対して指示をしているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 塩川委員の意見は、今回の承認に関して、そういう指示を企業へ出すことが適切なのか、それは学会がやることではないか、という御意見なのですが、いかがですか。

○医療機器審査第一部長 まず、承認条件と指示事項の違いについて御説明したいと思います。承認条件については、法令上の義務として課せられておりまして、これを遵守しなければ申請者が違反状態になり、罰則がかけられるということになります。承認条件では、それだけ重たい位置づけになります。指示事項は、我々として企業でこのように対応していただいた方がベターであるということを示唆しているという程度のもので、罰則がかかるなど、そういう重たいものの扱いということではありません。また、事前に私どもで申請者と議論いたしましたときに、彼ら自身も初発については今後取っていきたいというお話もありましたので、そのような御回答もあったということで、こちらからはそれをお願いするというスタイルにしたということです。

○荒井部会長 いかがですか。

○塩川委員 村垣先生もおっしゃられていたように、これが脳腫瘍をやっていらっしゃる方もコンセンサスとして、今、既に確立されているシュープレジメンというお話になったような治療に取って代わるのかどうかというと、やはり現場の混乱があるかもしれないので、あえてこの文章はここに加えなくても。加えると更に混乱する気もしましたので、質問した次第です。

○荒井部会長 指示事項は承認要件とは区別されるとの御説明をいただいた訳ですが、企業に対して本当に指示するのかどうか微妙なところがありますし、現場の意見を代弁して、行政側から指示するということを飛び越えてやることが適切かどうかという点についてはいかがでしょう。

○参事官 今の部会長と塩川先生のお話をお伺いしていて、多分PMDAで考えたのは、デバイスラグの問題はいろいろ言われておりますので、こういう試験がいろいろ行われたら、その新しい試験の結果で世界に遅れないように、多くの場合、日本で非常に申請が遅れてしまうということがあるものですから、そういうことはきちんと検討していただきたいという意味で多分指示するという話だと思っております。

 ただ、指示事項の中身も適応拡大を速やかに、例えば、この新しい試験の結果が出た段階では、それについての適応についてもよく検討を進めるようになど、言い方の問題は少し考えて対応させていただくようにしたいと思います。

○荒井部会長 では、そういうことでお願いしたいと思います。

○千葉委員 脳腫瘍、脳細胞でいけるということが言われたとして、これは有糸分裂を抑制するというだけならば、ほかの腫瘍でも何でもいいのではないかという意見が多分出るかもしれません。その辺の見通しはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構よりお答えいたします。今回、脳腫瘍に対して使用されるものとして申請されておりますが、審査報告書の11ページに、今ほかの腫瘍に対しても検討が進められておりまして、非臨床の試験の結果が示されております。図7の左側のグラフです。原理まで詳しく分かっていないのですが、交流電場の効果については、その周波数に依存するということが試験から示されております。図7の左側のグラフにおいても、神経膠芽腫、GBMの細胞も含まれておりますが、例えばヒトの乳がんや肺がんに対しても検討が進められているのではなかろうかということが見て取れます。

 申請者として、今取りあえず脳腫瘍ということで、GBMに対する適応ということで進めておりますが、ほかの腫瘍に対しても将来的には使用するということを目標に開発を進めているという話を聞いております。

○荒井部会長 それでは、よろしいでしょうか。

○武谷委員 多少細かい話ですが、青のインデックス、添付文書の所です。2ページの左側の中段に「使用目的又は効果」というものがあります。そこで、「治療時間に対する注意」が括弧で書いてあるので、そこに「医師の指示があった場合にのみ、使用を中止すること」。これは誰向けか分からないのですが、通常、中断した場合、直ちに生命の危険、有害事象が起こるということでなければ、一般にこの種の治療の中断等は患者さんの自由意思になるので、治療をやめると治療効果が減少する可能性があるという文言だけで十分であって、これは、ややパターナリースティックな響きを持つのではないかと思うので、書かずもがなな文言かという気がいたしますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構よりお答えいたします。御指摘いただいた点については、申請者としては検証の試験の結果から1日最低18時間以上、長時間にわたって使用することが推奨されるということがデータとして出ております。ただ、御指摘いただいたとおり、1ポツと2ポツの記載に関しては少し分かりにくい記載になっていると思いますので、御指摘を踏まえまして、ここの書き方については修正することを検討いたします。

○参事官 特に誰向けなのかということだったので、よくそこら辺は、多分、武谷先生がおっしゃったとおりで医師の指示があった者のみ使用中止するというのは、多分いらないのではないかと思いますが、考えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ議決に入らせていただきます。医療機器「NovoTTF-100Aシステム」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品による指定は不要としてよろしいでしょうか。さらに使用成績評価期間は3年として、使用成績評価の対象に指定することでよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

 御異議がないようですので、そのようにさせていただきます。この結果については、次の薬事分科会において報告することといたします。ありがとうございました。それでは、議題4を終了いたします。参考人の村垣先生、ありがとうございました。

 引き続き、議題5「医療機器サピエンXT使用成績評価の指定の要否について」、審議を進めます。一色先生については、申し訳ございません、審議の間、別室で御待機いただきます。

                              ( 一色部会長代理退室)

○荒井部会長 審議品目の概要について、事務局より説明お願いします。

○事務局 資料6の1枚目、諮問書を御覧ください。本議題では「医療機器サピエンXT」の使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。サピエンXTは議題3にて御審議いただきました「コアバルブ」と類似する製品で、既に平成25年6月21日に製造販売承認を受けている「経カテーテルウシ心のう膜弁」です。今般、人工心臓弁のサイズ追加を行う一部変更承認申請がありましたので、追加されるサイズに対する使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いするものです。審議品目及び予定する使用成績調査の概要につきましては、総合機構より説明させていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。まず当日配付資料6「専門協議委員」の一覧の3ページを御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする5名の専門委員の御意見を頂戴いたしました。なお、本品につきましては新規申請品目の審議ではございません。製造販売承認事項一部変更承認申請に当たり、追加されるサイズに対する使用成績評価の指定の要否に係る審議です。そのため、品目の概要と使用成績評価の指定の要否に係る内容を中心に御説明いたします。

 初めに品目の概要について御説明します。審査報告書4ページ1.審議品目の「使用目的」を御覧ください。本品は先ほどのコアバルブとは異なり、バルーン拡張により留置するタイプの人工心臓弁システムであります。自己大動脈弁弁尖の硬化変性に起因する症候性の重度大動脈弁狭窄を有し、かつ外科的手術を施行することができず、本品による治療が最善であると判断された患者に用いる、経カテーテル大動脈弁留置術TAVI用のデバイスです。

 次に5ページの表1を御覧ください。本品は既に23mm26mmの弁サイズが平成25年6月に承認されており、今般、両端のサイズとなる20mm29mm弁のバリエーション追加のための製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。

 この20mm弁については、特に日本人を含むアジア人の高齢女性などに一定の割合で必要な患者が存在すると言われています。適切なサイズの弁を留置しなければ、弁輪の破裂や弁の移動などのリスクがあるため、小さいバリエーションの追加はそれらのリスクの低減化につながると期待されています。29mmについては、日本人で対象となる患者は少ないと推測されていますが、バリエーションの一つとして追加されました。

 続いて「使用成績評価を指定する根拠について」、御説明いたします。審査報告書5ページ、最後の段落を御覧ください。関連する臨床の評価資料としては、20mm及び29mm弁の有効性と安全性が、既存サイズと大きく変わらないことを確認する目的にて行われた二つの臨床試験成績が提出されました。

 続いて報告書6ページ、()です。20mm弁の評価に用いた国内試験PREVAIL2OJapanは、既存サイズが承認された際の国内試験PREVAILJapanと同様の選択基準及び評価項目にて行われ、有効性に関する項目は表2にお示しするとおり、既存サイズと同等の成績が得られました。また1年フォローアップ時までに劣化傾向も認められていないことから、総合機構は本品の20mm弁も既存サイズと同等の有効性が期待できると判断しました。

 一方、この試験では3例の重篤な手技関連の有害事象が発生し、手技成功率も既承認サイズに比べ低い傾向が認められました。この他の安全性については、次の7ページ表3にお示しするとおり、主要な項目の発生頻度は1年時で比較しても20mm弁と既存サイズに大きな違いは認められませんでした。

 発生した3例の重篤な手技関連の有害事象について分析した結果、対象患者の体格が小さくなる傾向にある20mm弁の方が、既存サイズと比べアクセスする血管径や左心室のサイズが小さくなるために、留置時の手技リスクが高くなる傾向があることが要因と考えられました。

 また29mmについては、報告書8ページ中ほどの()を御覧ください。米国にて臨床試験が行われ、有効性及び安全性は既承認サイズと比べ大きな違いはありませんでした。

 次に、使用成績評価の必要性について御説明いたします。同じページの()を御覧ください。総合機構は20mm弁を本邦に安全に導入するためには、専門協議の議論も踏まえ、体格が小さくなることに起因するリスクへの低減化措置の充足性と、本弁の安全性について使用成績評価により確認するとともに、これに連動して未知のリスクが生じた際にも迅速に安全対策を講じることができる体制を整えることが重要であると考えました。

 以上より、20mm弁については手技的成功率、生存率及び主要心脳血管有害事象等を調査項目として設定した上で、既承認サイズと臨床上許容できないほどの解離がないことを確認する必要があると判断しました。また29mm弁については、国内での使用実績は全くございません。ですので、本邦の実臨床における長期的な有効性と安全性を確認するため、20mm弁と合わせて使用成績評価の対象とすることが妥当と判断しました。

 また、申請者が設定した調査症例数100例については、本品の臨床成績から保守的に見積もった場合でも、確認すべき事象を精度よく検出できる例数であるため、受入れ可能と判断しました。なお症例数につきましては、事前に荒井部会長から次のような御意見を頂戴しております。

 国内試験結果より重篤な合併症発現頻度が高い懸念があるため、20mm弁を使用成績評価の対象とすることは理解できるが、調査症例数については明確な根拠に基づき説明すること。以上の御意見を頂いております。こちらに関して総合機構は、TAVIの治療及び手技成績には経験、習熟度が大きく影響することから、既存サイズの手技経験数が十分ではない施設における成績も収集可能な調査を計画する必要があると考えております。

 本調査対象とする事象のうち、最も発現頻度が低い5%の事象を精度良く検出するためには、少なくとも60例が必要であり、手技経験数に基づき先ほどのコアバルブのように厳密に調査するのであれば、経験数別に2群に分け各群60例、脱落を考慮すると計130から140例程度と算出されます。しかしながら申請者が提案した100例でも、経験数が十分でない施設で50から60例程度の成績の収集が可能と予測できたことから、受入れ可能と判断しました。

 続いて審査報告書9ページの4.を御覧ください。使用成績評価の期間については、本品20mm29mm弁にて人工弁として重要な長期成績は世界的にも確認されていないため、既承認サイズと同様のフォローアップ期間5年を設定し、準備期間は2年程度と想定し、合計7年間とすることが妥当と判断しました。

 以上より、総合機構は使用成績評価の対象として、本品の20mm29mm弁を指定し、評価期間は7年とすることが妥当であると判断しました。なお薬事分科会では報告を予定しております。

 総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。御質問、御意見等いかがでしょうか。

○梅津委員 この弁をこういうふうな形でいろいろなバラエティが広がるというのは、多分とてもいいことだと私は思います。ただそのときに大事なのは、丁度この中間にあるような、ヒトの体というのは丁度その大きさにあるわけではありませんから、丁度中間になったときにどっちを選ぶのかとか、そのようなことが何かの形で後でデータとして残った方が将来いいのではないかというので、その辺りを何か工夫して入れていただいたらいいのではないかと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。将来に向けての非常に大切な御示唆だと思いますので、企業と検討してください。そのほかいかがですか。

私から確認ですが、20mm29mmを合わせて100例ですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、おっしゃるとおりでございます。

○荒井部会長 ですから、症例数の設定根拠としては薄弱だという認識を免れないのです。先ほどの話でもそこそこ数は出るものということで、企業の方の100例ということで一応いいでしょうという判断をしたという理解でよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 そのほか御意見はいかがでしょうか。ございませんか。そうしましたら、よろしければ議決に入ります。「医療機器サピエンXT」につきまして、本部会として使用成績評価期間を7年として使用成績評価の対象に指定することでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決いたします。この審議結果については、次の薬事分科会において報告いたします。それでは議題5を終了いたします。

 最後に議題6「部会報告品目について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 それでは議題6「部会報告品目について」、資料7に沿って御説明いたします。平成2610月1日から1231日までの3か月間に承認された品目のうち、本部会への報告対象となっている品目についてまとめてあります。1から15ページまでが医療機器であり、合計すると79品目になります。最終の16ページが体外診断用医薬品で、3品目ございます。これらの資料については、事前に送付していますので、この場では詳細な説明は割愛させていただきます。以上になります。

○荒井部会長 ありがとうございます。委員の皆様から御意見、御質問はございますか。特に御意見ございませんでしたら、議題6を終了いたします。遅れまして申し訳ありません。これで本日予定されました議題は全て終了いたしました。事務局からそのほか何かございますか。

○参事官 特にございません。次回の部会につきましては、また追ってご連絡をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○荒井部会長 進行の不手際で、時間が超過してしまいまして申し訳ございません。それでは、これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局審査管理課 医療機器・再生医療等製品担当参事官室 室長補佐 佐々木(内線4226)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2015年2月25日)

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