ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2014年12月5日)
2014年12月5日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録
○日時
平成26年12月5日(金)15:00~
○場所
厚生労働省専用第22会議室
○出席者
出席委員(14名) 五十音順
○荒 井 保 明、 今 井 聡 美、 生 出 泉太郎、 塩 川 芳 昭、 |
齋 藤 知 行、◎笠 貫 宏、 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 |
武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 寺 崎 浩 子、 新 見 伸 吾、 |
菱 田 和 己、 村 上 輝 夫 |
注)◎部会長 ○部会長代理 |
他参考人1名 |
欠席委員(10名)五十音順
荒 川 義 弘、 石 井 明 子、 梅 津 光 生、 川 上 正 舒、 |
木 村 剛、 千 葉 敏 雄、 中 谷 武 嗣、 西 田 幸 二、 |
濱 口 功、 桃 井 保 子 |
行政機関出席者
神 田 裕 二 (医薬食品局長) |
成 田 昌 稔大 (大臣官房審議官) |
森 和 彦 (審査管理課長) |
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官) |
宇 津 忍 (安全対策課長) |
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) |
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長) |
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長) |
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) |
佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役) |
○議題
○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催したいと思います。委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただき、ありがとうございます。本日は医療機器・体外診断薬部会委員24名のうち、14名の先生が御出席の予定ですが、現時点で13名の御出席を頂いています。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを、まず報告させていただきたいと思います。今ちょうど、武谷先生がお見えになりましたので、14名が御出席です。
初めに本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明をさせていただきます。本日は机上に配布させていただいております議事次第を御覧いただきまして、議題1の一般用検査薬についてと、議題2の使用成績評価については、会議を公開で行うということにさせていただきたいと思います。また、議題3以降については、医療機器の承認審査等に関する議題です。企業情報に関する内容などが含まれることから、非公開とさせていただきたいと思います。
これより、議事に入りたいと思います。傍聴の方によりますカメラ撮りについては、ここまでとさせていただければと思います。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、以後の進行について笠貫部会長、よろしくお願いいたしたいと思います。
○笠貫部会長 それでは、最初に事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 公開案件について、資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に配布資料一覧がありますので、これに従って御確認をお願いいたします。
資料1-1、一般用検査薬の導入に関する一般原則の見直しに関する骨子、資料1-2、一般用検査薬の導入に関する一般原則について、資料1-3、一般用検査薬の承認審査等に係る運用について、最後に資料2、承認時の使用成績評価の対象に係る基本的な考え方についてです。公開案件の資料の確認は以上になります。
○笠貫部会長 資料の方は皆さんお揃いでしょうか。では、よろしければ議題に入らせていただきます。
議題1、一般用検査薬について。本日は一般用検査薬について、これまで取りまとめてまいりました一般用検査薬の導入に関する一般原則の見直しに関する骨子、一般用検査薬の導入に関する一般原則について、一般用検査薬の承認審査等に係る運用についての御確認を頂きたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○参事官 ありがとうございます。資料については、資料1-1、資料1-2、資料1-3、この三つを御覧いただきたいと思います。全体の内容については、前回の部会において、おおむねおまとめいただいたところです。ただ、最後に幾つか御意見を頂きまして、修正をするという箇所がありましたので、その部分を御説明したいと思います。
資料1-1は前回のものから変更がありません。資料1-2で修正があります。2ページの「2.製品への表示等について」というのが上にあります。その中の1.から5.まであります。資料の5.には、「誤判定の可能性など検査の性能に関して説明をすること」とさせていただいています。ここの検査の「性能」という言葉が前回のとき、「感度」という言葉でして、感度というのでは、不十分ではないかという御意見を頂きまして、「性能」という言葉に変えるということでした。ここを「性能」という言葉に修正をさせていただいています。
それから、3ページです。「3.販売時の情報提供について」というのが2ページ下にあります。実際に修正箇所は3ページの上に・が幾つか並んでいますが、下から二つ目の・です。「適切な受診勧奨を行うこと。特に、医療機関を受診中の場合は、通院治療を続けるよう説明すること」と記載があります。前回の資料では、「通院治療を続けること」と書いてありまして、あくまで説明する側から言ったときのことですので、ほかと並び合わせることもありまして、最後に「続けるよう説明すること」というのを追記をさせていただいております。内容に係る修正は以上です。
そのほか資料1-3の一番冒頭の所に、「薬事法に基づく」と書いてありますが、これは11月25日で、医薬品医療機器等法ということで、法律の名称も変わっています。「医薬品医療機器等法に基づく」と修正をさせていただきたいと思います。今日の修正が間に合いませんので、申し訳ありません。この場で修正をさせていただきたいと思います。
そのほか、細かいことですが、同じ1ページの2.の所に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構で(PMDA)と記載を入れさせていただいています。ちょうど、3ページの所にPMDAとしか出てこない所がありましたので、入れさせていただいています。そのほか、若干の誤字が幾つかあります。それを整理しまして、本日の資料にさせていただいています。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から、これでよろしいかどうかですが、いかがでしょうか。説明がありましたように、変更していただきました点は、前回御指摘いただいた点を2点変えたということと、あとは誤字の問題ですので、それを訂正したということです。よろしいでしょうか。
○村上委員 資料1-3の2ページに表があります。今回、いわゆる定量評価みたいなのがどうかという所が一つ、大事な所になると思うのです。そのような事例として説明を書かれるということだと思うのですが、その場合に表の脚注の所に、「2段階の場合には」という記述があります。一方、説明として、表の例は100mg/dLと150mg/dLという3段階評価という表記だと思うのです。そのように3段階とか、2段階とか、これは企業の側で選んでいいというようなことで、理解してよろしいでしょうか。
○参事官 多分、今回の場合は、定量評価は対象にならずに、定性か半定量ということになっています。定性ですと、どちらかというと、陽性、陰性という話なので、2段階のものが多いと思います。半定量になりますと、3段階くらいのものが出てくるかと思います。それで、2段階の陽性、陰性のものと、3段階であるものは少し書き振りが変わってまいります。ここは具体例として、一応表記には3段階の例を書かせていただいています。100mg/dL未満と、100mg/dL以上、150mg/dL以上に分けていますが、100mg/dLを分岐点として、100mg/dL未満と100mg/dL以上だけにする場合は、表現振りが判定のところで「今回の検査では尿糖が検出されました」という形で、二つの具体例を、同じようには書いていますが、下の方が分かりがいいだろうということで、このようにさせていただいています。
それで、これについては、まずは企業の方で、同じ資料1-3で、3ページの上の方に、「業界において検討を行い、ガイドライン(案)を作成」という形がございます。それで、まず、業界から出されるガイドライン(案)が2段階か3段階か、それ以外かという案がまず、たたき台になりまして、それの根拠のデータも当然付けていただきます。それについて、では2段階で、つまり業界の言う案でいいのか。それとも、それは修正した方がいいのか。これについては、まずPMDAの別紙であります専門協議でデータも見て確認をしていただいて、修正することは当然あり得ると思っています。
そのデータに基づいて議論をさせていただいて、何段階が適切かもやらせていただこうと思っています。業界が言ってきたものがそのままということは考えていません。しっかりと検討した上で決めるということです。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ほかには御質問がありますか。よろしいでしょうか。
○参事官 すみません。部会長、大変申し訳ありません。ちょっと、いろいろ私どもの文章に関連していますので、資料1-2の3ページに少し直し忘れがありました。資料1-2の3ページの「適切な受診勧奨を行うこと」という所に、説明を一言入れていますが、それの・の二つ上、「検査薬の感度についてわかり易く説明すること」になっていますが、先ほどの所を「性能」という言葉に変えましたので、ここはこの「感度」は「性能」ということの方がよろしいかと思います。「性能」に修正させていただければと思います。よろしければそのような感じでお願いします。
○笠貫部会長 「性能」ということで統一していただくということでお願いします。それでは、よろしいでしょうか。この平成2年から3年にかけての一般用の検査薬の項に関して、規制改革からの指摘を受けつつ、この時代にあるべき一般用検査薬については、関連業界の方々の御意見を十分に聞きながら、本部会でも慎重に検討した結果、今のまとめになられたということで、皆さんに説明し、御了解を得たことになると思います。
それでは、本日の御確認いただきました資料については、次の薬事分科会において、報告することにいたします。今後は承認審査等に係る運用に基づきまして、個別の検査項目ごとに検討をしていきたいと思います。これで議題1を終了といたします。
それでは、議題2「使用成績評価について」、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料2「承認時の使用成績評価の対象に係る基本的な考え方について」、御説明したいと思います。先月、御説明させていただいた資料と1ページは同じになっておりまして、再審査、再評価に代えて、この薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、厚生労働大臣が指定する医療機器について、製品の特性に応じ、調査期間を設定し、当該期間中に使用成績に関する調査を行い、有効性、安全性を確認するということでして、その品目の対象となる考え方については、2.の所において、先月、新医療機器という所が原則として考えられ、ただし、1.や2.に相当する場合には、使用成績評価の対象とする必要はないと考えられると御説明したところです。
次ページ、3番目の所で、調査期間の考え方というところにおいて、使用成績評価の目的を明確にし、調査計画を策定すると御説明をさせていただいております。
具体的な期間の考え方については、別途検討すると先月御紹介させていただきまして、今回の部会において説明させていただきたいとしておりました。その赤字の部分について、今回新たに記載したものになります。その期間の考え方について、承認審査の過程で懸念された有害事象等の発生率、因果関係、発生要因等を分析するために調査を行う場合、また、新規性やリスクが高く市販後早期の手技等の影響が危惧され、その有効性、安全性を把握するための調査を行う場合などについては、比較的観察期間が短期であることから、原則として調査期間を3年とし、ただし、推定される使用実態等に鑑みて個別に検討するということで、3年を前後するということもあり得るかと思います。
また、使用実態下での有効性・安全性の確認に一定期間を要することが想定されます。下に・が二つありますが、植え込んで使用される医療機器等、一定期間にわたって患者に使用される医療機器であって、患者の生存率や長期使用時の治療効果等、治験で評価された期間を超えたそれらの指標の変化が重要なものであるとか、そもそも使用症例数自体が少ない希少疾病用医療機器というような場合に当たっては、調査の結果、収集された症例等を早期に取りまとめ、評価を行うことも重要であります。医療機器の改善・改良が早期に進むということも踏まえまして、原則、上限を7年として5年を目安に調査の計画を立てるということを目途に検討していきたいと記載をさせていただいております。
こちらの赤字の部分について、その期間、考え方のところを具体的にお示しをし、今後個別の品目を審議される際に、目安としていただくことになるかと思っております。以上、説明になります。
○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、この議題について、委員の先生方から御質問、御意見を頂きたいと思います。今の使用成績評価の調査期間の考え方について、前回も御質問も出たかと思いますが、御意見、御質問がありますか。
○村上委員 先月の会議でも、御意見が出ていたのですが、対象とする医療機器によって、いろいろな損傷の出方が違います。例えば、心拍系といいますか、循環器系などですと、荷重の繰り返しというのが1日10万回くらいとしますと、2、3か月くらいで、1,000万回くらいの繰り返し荷重を受けるのです。いわゆる疲労という現象で問題が生じる場合があると思います。例えば、運動器系ですと、1日数千歩を歩いたとしても、1,000万回となると、10年というスパンになるわけです。ですから、やはり対象の条件に応じて、期間を検討していただくということをお願いできればと思います。原則は今回提案された形でいいと思いますが、柔軟に対処していただければと思いまして、発言させていただきました。
○参事官 正しく、いろいろな視点が医療機器の場合、多分いろいろなものがあります。そのものの特性を鑑みて、耐久性など、そういった動く回数などを念頭において、どのくらいの期間、そういう意味での期間を考えておくと、ある程度疲労の度合いからは実際どのくらいの不具合の問題にどうつながるか見えてくる場合もあると思います。そういった視点も含めて、期間の設定については、考えていくようにしたいと思います。
○笠貫部会長 ほかにはありますでしょうか。特にありませんでしたら、これで議題2は終了とさせていただきます。
○参事官 それでは、以後の議題は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様には御退席いただきますよう、お願い申し上げたいと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。
それでは、準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。
○事務局 非公開案件について、資料の確認をいたします。資料3、医療機器「バイオパッチCHG含浸スポンジドレッシング」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、資料4、医療機器「HAL医療用 下肢タイプ」の希少疾病用医療機器としての指定の要否について、資料5、医療機器「輪部支持型ハードコンタクトレンズCS-100」の希少疾病用医療機器としての指定の可否について、資料6「優先審査品目について(報告)(Pipeline Flexフローダイバーターシステム)」、資料7「医療機器・体外診断薬部会報告品目」、資料8「競合品目・競合企業リスト」、参考資料1「薬事分科会審議参加規程」となっております。また、当日配布資料として、バイオパッチCHGスポンジ含浸ドレッシングの審査に関する専門協議委員リストを配布しております。非公開案件の資料確認は以上です。
○参事官 資料8の「厳重管理」ですが、当日配布です。2枚ありますが、数枚付いているものが正しいものですので、そちらを御覧ください。
○笠貫部会長 資料についてはよろしいでしょうか。よろしければ、これより非公開で行う議題に入ります。本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。
○事務局 本日の審議事項に関する影響企業の調査について御報告します。資料8と参考資料1を御覧ください。これらの報告は、平成20年12月19日付け薬事分科会で決定された薬事分科会審議参加規程に基づくものです。皆様から毎回御報告いただいておりますので、概要は御存じかと思いますが、過去3年にわたり寄付金・契約金等の額について申告をいただき、その結果に応じて審議不参加、若しくは議決への不参加の形で審議会規程として定めております。
資料8を御覧ください。1ページ、議題3「バイオパッチCHG含浸スポンジドレッシング」の競合品目・競合企業リストです。申請者はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。競合品目として、本品と構造及び原理・使用目的が類似する1品目が申告されております。
2ページ、議題4「HAL医療用 下肢タイプ」の競合品目・競合企業リストです。申請者はCYBERDYNE株式会社です。競合品目として、リハビリ用途の装着型ロボット・機器3品目が申告されております。
3ページ、議題5「輪部支持型ハードコンタクトレンズCS-100」の競合品目・競合企業リストです。申請者は、株式会社サンコンタクトレンズです。競合品目として、軽度のスティーブンス・ジョンソン症候群が適用となる場合があるハードコンタクトレンズ2品目が申告されております。
本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加」の基準、又は第13条「議決不参加」の基準に基づき、議決に御参加いただけない委員はいらっしゃいません。以上です。
○笠貫部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段御意見はありますか。よろしければ、皆さんの御了解を得たものとして、議題に入ります。
議題3、医療機器「バイオパッチCHG含浸スポンジドレッシング」の製造販売承認の可否等について審議を行います。本議題の審議に当たっては、参考人として聖路加国際病院内科感染症科部長の古川恵一先生においでいただいております。よろしくお願いいたします。
審議品目の概要について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料3を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器「バイオパッチCHG含浸スポンジドレッシング」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。
審査報告書を御覧ください。1ページです。一般的名称は穿刺部保護パッチ、申請者はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。審議品目及び審査の概要については、総合機構より御説明します。
○機構 医薬品医療機器総合機構より説明いたします。当日配布資料を御覧ください。専門協議委員の一覧があります。本審査に当たり、資料にお示しする4名の専門委員の御意見を頂戴しました。
本品については、平成7年に本邦で承認されているバイオパッチとほぼ同一の製品であり、この19年間で約□□万個が販売されております。承認当初の使用目的は、穿刺針の穿刺部保護のみでしたが、今回、新たに効能を追加する申請がなされたため、新医療機器として審査しました。
品目の概要です。審査報告書4ページ中段からを御覧ください。本品は、抗菌成分としてクロルヘキシジングルコン酸塩(以下、CHG)を含有するポリウレタン製の円形パットです。当ページの図2.に示しますように、本品はカテーテル等の各種経皮デバイスの刺入創を被覆する目的で使用されます。
次に、開発の経緯を御説明します。審査報告書7ページの表1.を御覧ください。米国では、1991年に創傷の被覆保護剤として510(k)を取得しましたが、その後、2001年に本品を用いた臨床試験成績を提出することで、中心静脈又は動脈カテーテルを挿入した患者におけるカテーテル関連血流感染症(以下、CRBSI)の発現率低減等の適応を新たに取得しました。
次のページの表2.を御覧ください。その後、米国疾病予防管理センターが作成した「血管内カテーテル由来感染の予防のためのガイドライン(2011年改訂)」(以下「CDCガイドライン2011」)において本品の臨床成績等が引用され、本ガイドラインにおいて基本的な感染症予防策を徹底した上で、CRBSI低減のために本品を使用することがカテゴリー1B、すなわち使用が強く推奨されるものとして記載されるに至りました。
本邦での開発経緯については、審査報告書6ページ下段に記載しております。先ほど申し上げたように、平成7年に本品とほぼ同一の製品バイオパッチがプラスチックカニューレ型穿刺針との併用専用品として承認されております。バイオパッチは、裏表や切れ込み部を案内する印字がないという点のみが本品と異なります。今、サンプルを回しておりますが、本品には印字がありますので、裏表や切れ込み部が確認できます。バイオパッチの承認時には、抗菌性やCRBSI発現率低減等に関する評価資料は添付されておらず、これらの効能も標榜されておりませんでした。今般、米国と同様にCRBSI及び局所感染の低減を使用目的、効能又は効果として標榜するために本品が承認申請され、同様の効能を有する既存品がなかったため、新医療機器として審査が行われました。
続いて、外国における使用状況を御説明します。審査報告書7ページの表1.を御覧ください。本品は、米国のほか、カナダ、EU、オーストラリアにてほぼ同一の使用目的を取得しており、これまでに全世界で約□□万個の販売実績があります。
次のページ、表3.の外国における不具合発生頻度の一覧を御覧ください。これまでに報告された不具合及び有害事象の頻度は、2014年6月末までに全世界で本品100万個当たり□□件と極めて低いものでした。
非臨床の評価については、10ページ中段から12ページに記載があります。本品の非臨床試験について、安定性及び耐久性、物理的・化学的特性、生物学的安全性、並びに性能を裏付ける試験の成績に関する資料が提出されました。審査の結果、特段の問題はなく、総合機構は本品は安定性、生物学的安全性及び本邦におけるCRBSI起因菌に対し、in vitroでの抗菌性能を有することが確認されたと判断しました。
次に、本品の臨床評価について御説明します。審査報告書13ページを御覧ください。臨床評価に関する資料として、臨床評価報告書が提出されております。報告書は大きく三つに分かれており、一つは米国510(k)申請に添付された臨床試験データ(以下、Maki試験)、二つ目は本品を用いたTimsitらの大規模臨床研究に関する文献(以下、Timsit研究)、三つ目は国内外における本品の臨床使用に関する文献調査結果です。
本品の有効性のまとめについては、審査報告書21ページ、最終段落から記載があります。Maki試験は、無作為化比較対照試験として行われ、CRBSI発現率は本品群において対照群に対し有意に60%低減し、刺入部の局所感染も本品群において有意に低い結果でした。また、Timsit研究においても、CRBSI発現率を対照群より有意に低減させることが示されており、この結果はほかの無作為化比較対照試験とともに「CDCガイドライン2011」に引用されました。
本品の安全性に関しては、審査報告書22ページ中段から御覧ください。本品のこれまでの臨床使用実績における不具合、有害事象の頻度が極めて低いことに加え、Maki試験及びTimsit研究においても、本品又は対照群と関連した重篤な有害事象は両群ともに認められず、臨床上特段の問題はないと判断しました。
本品の審査における三つの主要な論点について御説明します。審査報告書28ページ、5.「総合評価」を御覧ください。一つ目の論点は、本品の有効性及び安全性を文献により評価することの妥当性についてです。第1に、本品は国際的に広く認められている「CDCガイドライン2011」において、本品の大規模無作為化比較対照試験等を根拠に、本品を含むCHG含浸スポンジドレッシングの使用が強く推奨されています。2点目としては、米国ではCRBSI及び局所感染の低減効果について、Maki試験を根拠として510(k)の認可が下ろされています。3点目として、メタアナリシスを含め、追随する文献が多数報告されております。
以上を踏まえ、総合機構は、中心静脈又は動脈カテーテルを挿入した患者におけるCRBSI及び局所感染の低減効果は医学薬学上、公知として認められる範囲であり、新たな治験を実施せずとも、文献による本品の臨床評価は受入れ可能と判断しました。
29ページを御覧ください。二つ目の論点は、CHGによるアナフィラキシーショックのリスク及び適正使用についてです。本邦では、過去にCHGが要因と推測されるアナフィラキシーショックが発現し、緊急安全性情報の配布等の対応が必要となった事例があります。この点については、本品の安全性上の懸念点として申請者に照会し、本品からのCHG溶出量及び体内移行量などは非常に低いことが説明されました。総合機構は、これまでの国内での十分な使用実績も踏まえ、本品のアナフィラキシーショックのリスクについては特段の問題はないと判断しました。また、本品により、もともとの基本的な感染症対策が怠られることがないよう、「CDCガイドライン2011」にて推奨されているように、基本的な感染症対策を十分に行った上で使用することを、添付文書等で注意喚起する必要があると判断しました。この点については、関連学会とも連携し、臨床現場に周知を徹底する旨を申請者に指示しております。
三つ目の論点は、本品の使用目的についてです。提出された本品に関する文献調査等により、現時点では、中心静脈又は動脈カテーテル以外の各種経皮デバイスに本品を使用した際のCRBSI及び局所感染の低減、並びに本品の貼付下皮膚の細菌増殖抑制に関しては、裏付けとなる十分な臨床成績を確認することはできませんでした。したがって、中心静脈又は動脈カテーテル以外の各種経皮デバイスに対する貼付下皮膚の細菌増殖抑制効果については、申請時の使用目的、効能・効果から削除することが適切と判断しました。
使用成績評価の指定の要否について御説明します。審査報告書27ページ中段、6)を御覧ください。本品は、国内外において十分な使用実績があることから、本品の有害事象の頻度は極めて低いと判断しました。ただし、万が一アナフィラキシーショックが発生した場合には、その情報を確実に収集し、十分なリスクマネジメントが可能となるよう、不具合報告体制の徹底を申請者に指示しました。以上より、総合機構は本品に関する使用成績評価の指定は不要と判断しました。
以上の審査を踏まえ、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。
○笠貫部会長 それでは、参考人の古川先生から何かありましたらお願いします。
○古川参考人 聖路加国際病院の感染症科の古川と申します。臨床医から見ますと、血管内カテーテル感染は特に院内感染における菌血症の主要な原因で、そのために死亡する患者も、時にはありますし、あるいは入院期間の延長や医療費の増大につながります。それを少しでも減らすための対策の一つとして、クロルヘキシジン含有のパッチでカテーテル挿入部を覆うことで、局所の挿入部の皮膚の部位に菌が増えて、それが内部に入り込んで感染を起こすという一つの重要な経路をできる限り抑えるために開発されたわけです。これは実際欧米で広く使用されており、その臨床的な効果も明らかですし、副作用、副反応の面でも非常に低い。当院でも使用経験がありますし、副作用の面でも特別問題になることはありませんでした。今、御報告があったように、もちろんこれだけでは対策として十分ではありませんが、カテーテル感染を少しでも減らすための対策の一つの手段としてバイオパッチを使用することは、今後広く行われてよいのではないかと、私の立場からは考えます。
○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はありますか。
○塩川委員 私は脳外科をやっておりますので、いろいろなものを経皮的に刺入することがあります。添付文書(案)が探しにくかったのですが、要するに使用目的が各種経皮デバイスと中心静脈と動脈カテーテルというお話があって、ほかのものは適応から外したという記載ですが、添付文書だけ見ると、使用目的に「各種経皮デバイス」と書いてあると、例えば脳外科で硬膜外に入れるカテーテル、報告書7ページの米国の検査では硬膜外カテーテルも入っているようですが、あるいは血液感染ではありませんが、持続的な電極を入れたり、これも広い意味では経皮デバイスの刺入創になりますが、そういうものが添付文書(案)を拝見すると、使ってよろしいのかよろしくないのか分かりにくいような気がするのです。それはどのように読めばよろしいでしょうか。
○機構 御指摘いただいた点については、こちらの使用目的は2段階の書きぶりとなっております。本品の一番の目的は、カテーテルや、先ほど先生がおっしゃったような硬膜外カテーテルなども含めて、各種経皮デバイスの刺入部を保護することが第1の目的です。そういった目的で使っていただく分には、各種経皮デバイスということで審査報告書7ページに書出しがされているようなもの、米国は書き出していますが、こちらに書かれているようなものについてお使いいただくことは、もちろん問題ないと考えております。使用目的、効能・効果の一つ目の文章については、そういった意味です。
一方、二つ目の「また」以降の中心静脈あるいは動脈カテーテルを挿入した場合にという後半の部分については、今回提出されたデータや文献の中で証明されたと確認できた範囲なので、硬膜外カテーテルについても需要があるということでこちらで検討しましたが、十分に裏付けるデータがないということで、今回は中心静脈、あるいは動脈カテーテルとしました。
○塩川委員 そうすると、添付文書(案)の最初の文章に「各種経皮デバイス」と書いてありますが、この用途は中心静脈と経皮動脈カテーテルの二つに限られるということですか。
○機構 すみません、感染症の低減については中心静脈、あるいは動脈カテーテルのみということです。
○塩川委員 最初の文章の「各種経皮デバイス」というのは、要するに使ってもよろしいということですか。
○機構 おっしゃるとおりです。
○笠貫部会長 ほかにはございますか。
○機構 総合機構からですが、本議題に関して、今回、部会委員の先生から一つコメントを頂いておりますので、そのコメントだけ御紹介したいと思います。
○機構 本日御欠席の川上委員から頂いているコメントについて簡潔に申し上げます。総合機構の審査結果に異議はないこと、また、既に米国等で感染低減を目的として承認されており、人種や環境の違いを勘案しても、同じデータを根拠として我が国で承認することについて否定する要因は全くない、といった御見解を頂いております。
○笠貫部会長 この機器が使用成績評価という新しい評価区分での決定としては最初のケースになるかと思いますが、これが平成7年に承認されている構成品と同じだということと、先ほどお話があったように既に□□セットも出されていて、有害事象は1件だけであったということで、使用成績評価は必要ないということは賛成です。文献として出されているのが41文献、日本では七つですが、有害事象は被害報告の話だと思うので、この七つの文献で日本での安全性に問題ないということですか。
Timsit研究で、フランスでは8例で高度の接触性皮膚炎があるということもあるので、アメリカとフランスと日本で比較して、根拠となる論文が七つでいいのかどうか、不具合報告だけでいいのかについて御意見をいただければと思います。
○機構 本邦での使用実績としては、もう既に□□個販売されているという点を重視しております。文献はあくまでも文献報告であって、□□個という数を第一に考えております。その中で不具合報告を見ると、重度のアレルギーが1件なので、頻度としては極めて低いという点が1点です。
もう1件、Timsit研究で見られた8件の接触性皮膚炎に関してですが、これは重篤な不具合になり得る可能性があると考えております。使用する際に、使用者にはCHGアレルギーの可能性があることをかなり周知して実治療していただく方に重点を置いて、市販後も不具合報告情報などを管理しながら販売していただければと思っております。
○笠貫部会長 不具合報告の限界と、接触性皮膚炎はなかなか報告に上がってこないという問題があります。また、論文の中で不具合の内容が、論文数、メガスタディ、メタ解析まで求められるかどうかについて、使用成績評価では検討されたらと思います。
古川先生も実際に使ってみて、今の学会関係を含んだ、あるいは先生の御経験から、高度の接触性皮膚炎や重篤な合併症については、日本の中では学会でも議論はされていないと考えてよろしいでしょうか。
○古川参考人 これはクロルヘキシジンが皮膚の外側に触れるもので、体内には少なくとも直接的には入りませんし、当院でもかなり使用していましたが、それによる重篤な接触性皮膚炎等の問題は起きておりませんでした。海外で随分たくさんの使用実績が既にあります。日本で更に副作用について検討してとなるとたいへんな時間と手間を要します。予防目的で使用するという認識が普及しない、それも問題になるかと思います。今後、使用後に問題があればすぐ報告をしてもらう体制は必要だろうと思います。
○武谷委員 資料3、5ページの下段に米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインの説明として、「感染症予防には複数の予防戦略が同時に実施される必要があるとしている。具体的には、基本的な感染防止対策(教育・訓練、皮膚消毒のためのクロルヘキシジンの使用を含む)の徹底」とあります。8ページの表2.にCDCガイドラインの原文邦訳が出ていますが、これは基本的な予防策(教育・訓練、皮膚消毒のためのクロルヘキシジンの使用を含む)の徹底にもかかわらず感染の割合が低下しない場合において、生後2カ月以上の患者には一時的・短期的にクロルヘキシジンスポンジを使用するということで、少しニュアンスが違うのです。
私の質問は、CDCガイドラインでは必ずしもファーストラインに使わなくてもよくて、基本的なことをやって、当該施設で感染が多発する場合にはバイオパッチを使うのだと読み取れるのです。そうすると、これはとにかく長期留置している人に全例やるのか、あるいは当該施設でのInfection controlがうまくいかないときに使うのか、そこをはっきりさせないと、現場で混乱するのではないかと思います。
それから、ここに「temporary short-term catheters」と書いてありますが、これはショートタームで使うことを意図しているのか、ロングタームで使うことを意図しているのか、また実際にこれが意図している使用期間が一体何なのか私にははっきりしないので、その辺りも併せて御説明いただければと思います。
○機構 使用期間ですが、本品については7日を上限として使用することが定められております。ただ、実際は浸出液などが多い場合は、スポンジの中に浸出液が吸い込まれて、膨らんでしまって、それを交換することになるので、3日、早ければ7日より前に交換されることになります。現場での混乱があるかどうかについては、古川先生からお答えいただければと思います。
○古川参考人 血管内カテーテル感染の予防対策としては、もちろんこのことだけでなく、挿入時の清潔操作が非常に重要とされています。カテーテル挿入のテクニックや手洗い、あるいは広い範囲で清潔なドレープを置いて穿刺するとか、きちんと手順に沿って行うことをルール付けて、手順を踏んだかどうか、一つ一つ行ったことを確認しながら、きちんと徹底して行うことが進められております。その中の一つとしてこのクロルヘキシジンを用いた消毒が重要視されています。クロルヘキシジンは残留性があって、抗菌効果がほかの消毒薬より長く続き、抗菌スペクトラムも非常に広く、カンジダから各種細菌に効くということで、最初の消毒でそれを使います。また、このようなバイオパッチが最近広く使われるようになり、ロングタームはもちろん、ショートタームでもこれを使うことが多くなっており、必須はないにせよ、それを使う施設が米国では多くなっています。あるいは、これに類似するものも出ております。挿入局所の皮膚での細菌の増殖を防ぐために、挿入時の清潔操作が大切ですが、その後もそこに細菌がコロニー形成、増殖をしないようにする対策が重視されており、バイオパッチあるいはそれに類似するものを使用するということが、今、米国でも広く行われてきていると思います。
○武谷委員 そうすると、通常7日以内の使用ということは、CDCのオリジナルで書かれている「temporary short-term catheters」という表現に相当するということでよろしいのですね。
また、今の古川先生の御説明でも、実際にリアル・ワールドで使う場合にガイドラインの原文がかえって紛らわしいので、原文がない方が先生の説明がよく理解できるので、あえてこの原文を付ける意味があるのか。もし、この原文があるとしたら、バイオパッチのポジショニングももう少し原文に忠実にするのであれば、使用説明書か何かにどういう状況で使うのか、記載がないとまずいのではないかと思うのです。原文を無視していいのであれば、もっと頭の中がすっきりするので、なまじこれを出されると、むしろConfusingなのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。先生の御質問に関しては、使用目的の範囲とCDCガイドラインの推奨の範囲が少し違っているのではないかという御指摘と理解しております。その点については、我々はCDCガイドラインの記載というよりも、今回提出されたMaki試験の成績で確認されている範囲について、米国のFDAと同様に使用目的としたということですので、厳密な意味でCDCガイドラインの記載どおりにはなっておりません。
ただし、本品さえ貼れば感染症は防げるのだと誤って認識されるのは大変危険なので、そういったことがないように、添付文書の中に記載を追記させております。添付文書は、資料3の承認申請書の別紙8-1の後ろから2枚目ですが。
○医療機器審査第一部長 「添付資料概要」というタグが付いていると思いますが、その2枚前に「使用上の注意」が付いております。
○機構 別紙8-1の左側の一番下に、【使用目的】<効能又は効果に関連する使用上の注意>として「本品は基本的な感染症対策に代わるものではなく、感染症の治療を目的としているものではないため、感染対策の適切な処置を行った上で本品を使用すること」と、本品の位置付けについてはっきりと記載させております。また、日本環境感染症学会が医療感染症に関する総本山となっており、そちらの学会から本品の位置付けや適正な使用について周知していただく予定となっております。
○武谷委員 分かりましたが、今の機構の御説明と古川先生の御説明では、これはファーストラインとして使ってよろしいのだという理解だと思うのです。ですから、余りこだわるつもりはありませんが、このガイドラインを読んでしまうと、かえってミスリードされるというか、If以下の条件のときのみこれを使いなさいということなので、もしこれを残すのであればその辺りの説明があった方が、これを読んだ人はかえって頭の中が混乱するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございました。確かにそのような形で、何か起こったときに次善の策としてとも読めると思いますので、学会の先生方と御相談して、日本の環境感染症学会としてはどう考えるかといったことで適正使用指針を一緒に考えていただいて、ミスリードがないようにしたいと思います。
○笠貫部会長 CDCガイドラインがどうしてこのような表現をしたのかを含めて学会関係に、古川先生を含めて、臨床現場に合致するような形で御検討をお願いできればと思います。武谷先生、それでよろしいでしょうか。
○武谷委員 はい。
○笠貫部会長 ほかにございませんか。御意見がなければ、議決に入ります。医療機器バイオパッチCHG含浸スポンジドレッシングについては、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、使用成績評価の指定は不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要ということでよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのようにさせていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告することにいたします。ありがとうございました。これで議題3を終了します。参考人の古川先生におかれましては、御退室していただいても結構ですし、お聞きいただいても結構ですので、よろしくお願いいたします。
議題4、医療機器「HAL医療用 下肢タイプ」の希少疾病用医療機器としての指定の可否について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4と議題5については、いずれも希少疾病用医療機器の指定に関する議題です。初めに、希少疾病用医療機器の指定制度について簡単に御説明いたします。本制度は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、本邦では十分にその研究開発が進んでいないものについて、その研究開発を促進するための支援の措置を講ずるものです。この指定基準として、用途に係る患者数が、本邦において5万人未満であること。それから、難病など重要な疾病を対象とするとともに、代替とする適切な医薬品・医療機器又は治療法がないこと。既存の医薬品・医療機器等と比較し、著しく高い有効性及び安全性が期待されること。また、対象疾患に対して、当該医療機器を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることとしております。なお、この指定が直ちに本品の製造販売承認に結び付くものではありません。
資料4を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「HAL医療用 下肢タイプ」の希少疾病用医療機器の指定の可否について御審議をお願いします。まず、申請品の構造及び原理の概要を説明します。申請書と書いてあるタグをお引きください。1ページの形状、構造にあるように、左右の脚部及び腰部で装着者に固定され、左右の股関節及び膝関節部分に内蔵されたパワーユニット、いわゆるモーターですが、こちらがトルクを発生することにより、装着者の身体動作を支援する装置です。
本品の原理については2ページです。5行目辺りに、人が筋肉を動かそうとしたときに、脳から脊髄、運動ニューロンを介して筋肉に伝わる生体電位信号を、皮膚に貼り付けた表面電極から読み取り、その信号をもとに、独自の方法でパワーユニットを制御し、人の意思に従って動作支援を行います。また、人の行動をパターン化し、装置自らがパターンに合わせて行動支援も行うことがあります。これらの制御方法に、更に関節の動きを滑らかにする制御方法を組み合わせることで動作します。
本申請の概要について御説明します。資料4の機器概要というタグをお引きください。1ページで、予定される効能・効果は緩徐進行性、あるいは慢性進行性の神経・筋難病疾患患者の筋萎縮・筋力低下の進行抑制です。申請者はCYBERDYNE株式会社です。
対象患者数について説明します。事前報告書というタグをお引きください。2ページの1.対象患者数についてまとめてあります。本品の対象となる具体的な疾患名は脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位性ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー及びHTLV-1関連脊髄症の9疾患で、本邦におけるこれらの疾患の合計患者は4万8,000人程度となりますが、本品を用いた歩行訓練の対象となる患者は更に限定されます。したがって、指定基準に合うものと判断しております。
医療上の必要性については2.になります。本品の対象とする神経・筋疾患では、いずれも神経又は筋の障害により不可逆的に四肢筋力が低下し、歩行機能が低下します。これに伴い、日常生活動作の障害、社会参加機会の逸失、医療や介護への依存など、患者QOLは、疾病の進行に伴い著しく低下します。現状では、これらに対する根治的な治療方法はなく、リハビリテーション専門職による機能訓練に加え、多職種からなる専門ケアによる支援によって、QOLの向上が図られてはいます。本品に予定される効能・効果の機序は、本品を用いて患者自身の運動意思を反映した身体動作を行うことにより、脳神経のフィードバックが促進されることによるものと推察されており、これは他の方法による他動運動を中心とする、現行のリハビリテーション訓練では実現が困難なものです。本品を用いた訓練は、他に適切な治療法のない患者に対して効果が期待される新規の治療法と考えられ、指定の要件に合うものと判断しております。
開発の可能性についてです。3ページを御覧ください。現在はHTLV-1関連脊髄症を除く神経・筋難病を対象とした、本品を用いた医師主導治験が、本年10月に終了しております。この中間解析において、現行のリハビリテーションに比べ、より高い治療効果が示唆されています。また、HTLV-1関連脊髄症については、本品と同等の試作機器を用いた先行研究が行われており、2分間歩行距離において、現行のリハビリテーションより高い歩行改善効果が得られています。また、これらの結果に基づき、脊髄症についても治験が開始されたところです。これらから、本品の開発性があり、指定の要件に合うものと判断しております。
以上より、本申請は緩徐進行性、あるいは慢性進行性の神経・筋難病疾患患者を対象として、定期的、間欠的、治療的に装着し、筋収縮を助けることで、筋萎縮と筋力低下の進行を抑制することを主要目的とし、先ほど申し上げた9疾患を対象として希少疾病用医療機器の指定要件を満たすものと判断しております。
説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
○鈴木委員 本機器は、脳卒中や脊髄損傷のリハビリテーションに使用されて、一定の効果はあるとされております。今回は対象が進行性の神経難病等なので、目的は改善させていくよりは、進行を遅らせることのようです。1日のうちどれぐらいの時間装着すると効果があるのかを教えてください。これは、装着するのに時間がかかるし、付けたり外したりするのも大変だと思うのです。どのぐらい使用してそういう結果が出たのかを確認したいのです。
○機構 先行の臨床試験では、40分程度で行っているのを、適宜繰り返してやっている状況です。
○鈴木委員 1回40分で、週に何回やれば効果が出るというデータはあるのですか。
○機構 □□□□□□□□□□□□□□□□□規定の上で行っています。
○参事官 鈴木先生、今これは治験中なので、治験のプロトコールを説明してくれたのです。治験のプロトコールで、それでどのぐらいの改善効果があるかは整理中なので、結果的にそれがどのぐらい良いかはまだ分からないのです。治験プロトコールではそうやって、CYBERDYNE株式会社としては、それが効果があるということで設計したプロトコールだと理解しております。
○鈴木委員 症例も少ないし、治験中ということではあるのですが、リハビリテーション等で使っていて効果が明らかにあるという場合は、かなり限定的ではないかという気がするのです。かなり幅広い疾患に効果があるとおっしゃっているのですが、そもそも全てが、慢性でありますけれども緩徐に進行していきますから、それを抑制するということは、筋力をある程度強化するとか、そういう効果があるのでしょうか。ただ、歩行をアシストする効果はあると思うのですけれども、それ以上の効果があるのかという感じがするのですが、その辺がどうなのかと思います。歩行のアシストをする機器としては、一定期間有効なのかもしれませんが、その改善をするというか、進行を抑制するというのは少し言いすぎのような気もするのですがどうなのでしょうか。
○参事官 正しくそこの効果がどのぐらいあるか、今、治験で実際にデータを取っているところだと思います。今回は、先ほど言いました対象患者数、それから医療上の必要性で、実際に申請に来たときに、優先的に審査するかどうかを一応、現時点で決めておくオーファンデバイスということです。先生がおっしゃったことは、申請されたデータで、今言ったことが本当に認められるのかどうかを、申請された後にこの部会で見ていただくことになると思います。
現実には、おっしゃるとおり、アシストだけであれば介護機器になります。それを実際にこういう疾患で、いわゆるそのリハビリテーション効果として、治療効果が見えるかどうかが、医療機器として承認するかどうかのポイントになってくると思います。それは正しくこれから申請された後、よく見ていくことになります。
○鈴木委員 今は脳卒中とか脊髄損傷で使われているけれども、あくまでもこれは杖の代わりみたいな感じで使っているのです。ですから、先行してここの部分で治験がされるというのはちょっと。もうちょっと効果がある、脊髄損傷の一部とか、そういうところの方が、効果を見るのだったらいいような気もするのです。そんな気がしたものですから、ちょっとお話させていただきました。別にやることに文句を言うつもりはありませんが、一応そういう印象を持ったので質問させていただきました。
○塩川委員 今おっしゃられていたように、脳卒中、脊髄損傷もこれは医療機器ではなくて、この治療効果というのは、これを使っている所も幾つかあるのですけれども、あくまでも臨床治験というか、そういう段階だと認識しています。これを、神経難病の方に別にこういう形で出そうというのは、神経難病は脳卒中と比べると、進行性で他に治療もないからという、それでこの別のくくりにする。その背景はどういうところにあるのですか。
○参事官 それは、会社側の開発意図のこともあると思うのです。こういう神経難病の方で、実際には今後の会社の開発の計画としては、将来的には脳卒中で実際に効果が出るかどうか。医療用としての効果があるかどうかというのは見ていきたいという話があります。それから、ドイツでもこれが進められていて、ドイツでは脊損の患者に労災保険の中でやっています。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□そういう意味では、確かに先生がおっしゃるように、脳卒中とか脊損の方が普通に思うターゲットだと思うのです。
会社側でも、どういうものに効果があるかということで、言ってみれば、こういうオーファン的な、他に治療法がなかなかない分野でどういう効果があるかを、症例数も少なくて評価しやすいということもあると思うのです。やりやすいということもあると思うのですけれども、まずはそこから先行してやるという形で、それ以上は会社の戦略もありますので、なかなかお答えできるものはないかと思います。何か補足することはありますか。
○笠貫部会長 お話がありましたように、この機器は日本初の機器であり、介護機器として現在使われています。これを医療機器として、治療効果の評価ができるかどうかということが出発点で、まず優先して希少疾病用医療機器としての治験に入れるかどうかという段階です。希少疾病用医療機器かどうかについて、ここでお認めいただけるかどうかということで捉えていただくと、皆様の御質問については一応クリアしたかと思います。しかし、治療効果や、臨床治験のプロトコールについては、まだこれからの話だということで御了解いただけますか。御異議がないようでしたら、そのように議決させていただきます。
○村上委員 このHALという装置の特色というのは、生体電位信号を検知しながら制御するところが特徴だと思います。こういう神経難病の患者の場合には、生体電位信号が弱いのかというところが気になるのですが、その辺についてはいかがですか。
○機構 先生がおっしゃるように、こういう患者に対してはかなり生体電位が小さいということも考えております。そういう弱い電位であっても、確実に検知できるようにセンサー等ハードウェアに工夫をこらしています。今の段階でも、こういう患者の生体電位は検知できるような状態になっていると理解しております。
○村上委員 いわゆる生体信号に基づくサイバニック随意制御と称されていますが、そちらに頼るというよりも、その他の自律制御とか、インピーダンス制御の方で、変な作用が行われないように、患者に合わせて制御するという理解で、そちらに重みを付けていると。その辺も今から調べていくのだと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。その生体信号の少ないところをカバーしながらという理解でよろしいですか。
○機構 今現在は治験中ですので、詳細な状況は入手しておりませんが、おおむね先生の御理解で間違いないと理解しております。
○笠貫部会長 この機器を開発した先生方、あるいはこの会社が医師主導型治験を含めて進行中で、その過程でいろいろな御質問については十分研究者、開発者が検討されながら、医療機器として開発されるかどうかという検討に入ったということです。そこで希少疾病用としてまず認めていただいて、その結果についてはプロトコールや御指摘の根本的なところの問題、そして臨床効果については別途その結果を基にして御検討いただくということで、ここでは疾患の特殊性と、機序はまだ分からないとしても、進行性を抑制する医療機器となり得るのかどうかについての検討を始めるということでいかがでしょうか。
○正田委員 ちょっと気になったのは、原因がはっきりしないとか、進行性であるということでまとめていますけれども、神経の病気と、筋肉の病気と、それから進行の状態が違うものが、治らないとか、起きる現象はそっくりなのですけれども、起きている原因が全く違うものを希少だということで全部引っくるめています。それをどうやって解釈していくのかという疑問があります。
例えば、筋ジストロフィーだったら今は30代まで生きるわけですけれども、それぐらいの期間のものと、例えばALSなどで早いものだったら、もっともっと早くて、数年でというのもあります。疾患としてこれが全部一見同じように見えていても、まとめて出てくるということは非常に気になります。これをまとめて全部先に承認するという、そういう一括りにしてしまっていいのかどうかがちょっと気になりました。その点は、今ここで議論しなくても大丈夫なのでしょうか、そこだけ確認しておきます。
○参事官 どちらにしても、実際に本日申し上げた疾患については症例が幾つかずつ入ってくると思うのです。全く効果が見られない疾患であれば、それは当然効能・効果から外さなければいけないです。先ほど鈴木先生がおっしゃった介護用としてはいいかもしれないけれども、治療効果としてはどうだというのは、それは当然外して、承認する際には効果が見られる疾患だけに絞り込んでやっていく。希少疾病ですので、少なくともこれとこれは非常に病態も近いので、症例数はないけれども、ここの範囲は認めてもいいのではないかというのは、また議論が一つあると思うのです。そういう形でよく見て、申請があったらやっていくことになると思います。
○笠貫部会長 希少疾病用というと、患者数の問題であり、マックスで4万8,000ですね。実際にどういう対象に絞られてくるかを含め、今後の課題として臨床試験を進めたときのマックスの数字として示されたという解釈でもよろしいですか。
○参事官 はい、おっしゃるとおりです。
○武谷委員 いろいろな委員の方々の疑問は、私ももっともとお聞きしていました。この説明書の1ページの医薬品等概要の下段のパラグラフで、本品は筋萎縮・筋力低下の進行抑制効果を示す医療機器ということなのです。医療機器でなくても、筋萎縮、筋力低下の進行を抑えるツールは幾つでもあるわけです。ただ、あえて医療機器とここでうたっています。
それから、事前報告書の2ページの下の方に、新規治療法とか、うたい文句は壮大な、夢のあることが書かれています。それでは、一体筋萎縮とか、筋力低下の進行がよしんば遅らせられたとしても、それで新規治療法、医療的な介入をしたのかどうか、そういう判断というのは、これには脳神経のフィードバックがあるというのですけれども、どういう知見が得られたらこれが実証されたかというのは非常に難しいのです。一体何をもってこの器具は認可するのか。そこをあらかじめはっきりしておかないと、新規治療法と書いてあるし、それから脳神経のフィードバックとも書いてあるので、これが崩れたら、筋萎縮を遅らせる効果があっても不合格なのかどうか、これは判定でもめると思うのです。どういう研究結果が出たら、これをクリアするかどうか、ということをあらかじめ整理した方がよろしいかと思うのです。鈴木委員の御懸念もそのようなところではないかと思うのです。
○機構 確かに今回のこの機器は、病気そのものに対し、その本体に効いて治すというものではないと理解しています。期待される効果としては、歩行機能等を考えております。規定された時間にどの程度歩けるかとか、その持続時間はどの程度になるか。具体的に言うと、2分間でどの程度歩けるか、という辺りの改善をもって評価することになるのではないかと今のところは考えております。
○笠貫部会長 治療効果があるかどうか、その評価指標をどうするか、あるいはそれを使用群と非使用群とどうするかなど、臨床試験のプロトコールに関しては、開発者、研究者の判断として、進めていただけると思います。そのように考えないと、新規性やメカニズムは分からないという医療機器を開発していくときに先へ進めなくなります。介護機器として使われているものを、実際に今挙げられた疾患の人たちに使ってみて、治療効果があるかどうか評価できるプロトコールを作っていただかないと、多分本部会では承認されないと思うのです。そういうことは課題として開発者や研究者にお任せして、希少疾病に対して、研究者がチャレンジしようとしているのは何らかの根拠を持っているはずだと思います。
こうした議論がなされたことを踏まえて、研究者と開発者にお伝えいただくということで、ここで挙げられた疾患を対象として、希少疾病用医療機器とすることで御承認いただき、先に進めさせていただくということでいかがでしょうか。それで議決に入らせていただきますけれどもよろしいでしょうか。
それでは、「HAL医療用 下肢タイプ」について、本部会として、希少疾病用医療機器として指定して差し支えないものとしてよろしいでしょうか。ただし、これは希少疾病用医療機器として承認されるためには、これからのきちんとした臨床データを基にして、この部会でまた御判断いただくことと理解して、御異議がないようでしたらよろしいでしょうか。それでは御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告することにいたします。これで議題4は終了いたします。
次は議題5の医療機器「輪部支持型ハードコンタクトレンズCS-100」の希少疾病用医療機器としての指定の可否についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題5に入らせていただきます、資料5を御覧ください。1枚目が諮問書となっております。「輪部支持型ハードコンタクトレンズCS-100」の希少疾病用医療機器の指定の可否について御説明いたします。
1枚おめくりいただき、希少疾病用医療機器概要を御覧ください。名称ですが、先ほど申し上げましたが「輪部支持型ハードコンタクトレンズCS-100」です。重症多形滲出性紅斑によって、眼表面全体が高度に瘢痕化し、また高度ドライアイの患者においても装用可能となるような形状を当該患者用に設計したハードコンタクトレンズとなります。
申請者ですが、株式会社サンコンタクトレンズとなっております。重症多形滲出性紅斑の眼後遺症の視力補正及び症状緩和を予定される使用目的、効能又は効果として指定することについて御審議いただくものです。
まず対象患者数についてですが、医薬品医療機器等安全性情報や厚労科研の研究班の疫学調査から、国内における本疾病の年間発症患者数は多くとも約600人程度と推計されます。このうち、約7割の患者において急性期に眼障害も伴っております。更にその後、慢性期に至って最良矯正視力が0.9以下となる患者が約15.6%おります。平均発症年齢や平均余命などを考慮し、本品の適用となる患者数を推計すると約1,000人から1,400人と推計されることから、患者数が5万人未満という希少疾病用医療機器の指定基準を満たしているものと考えております。
次に医療上の必要性についてですが、本疾病に対する角膜移植は予後不良であること、既存のコンタクトレンズでは瘢痕化した角膜全体を覆うことができないこと、ドライアイにより脱落が生じやすいことから視力補正、装用が非常に困難であり、視力障害に対して有効な手段がありません。また、ドライアイに伴う痛みや不快感に対しては人工涙液、ヒアルロン酸などの点眼が行われておりますが、症状を十分になくすことができません。
本品の直径ですが角膜よりも一回り大きく、装着してもコンタクトレンズと角膜の間に涙液が入って、瘢痕化している角膜表面のデコボコを緩和し、視力補正が可能となります。また、コンタクトレンズが角膜全体を覆い、涙液の蒸散を抑えることで眼痛など、ドライアイに伴う症状が緩和されます。簡便で安定した視力の改善、QOLの向上が期待できることから本医療機器の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に開発の可能性についてですが、本邦においてスティーブンス・ジョンソン症候群による眼後遺症患者を対象に臨床研究が実施されており、視力改善や自覚症状の向上が認められております。更に現在、重症多形滲出性紅斑の眼後遺症を有する患者を対象として本品の有効性及び安全性の確認を目的とした医師主導治験も実施中であり、平成27年度中には承認申請する方向で作業が進んでおります。よって、本品の開発の可能性はあると考えております。
以上より、本品は重症多形滲出性紅斑の眼後遺症の視力補正及び症状緩和に対し、希少疾病用医療機器の指定要件を満たすものと判断しております。説明は以上となります。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明に対して御質問、御意見はございますでしょうか。
○寺崎委員 このコンタクトレンズは海外で類似のものがあり、我々も稀に使用したことがありますが、今回対象になるのはスティーブンス・ジョンソン症候群で、目の粘膜が薬剤などで強く傷害された方で、急性期には目が潰瘍になって、開けられない状態ですが、治ったあとは目の表面が凹凸になっています。それを涙液で覆うことによって視力が上がるということが目的です。
涙液が交換されませんと酸素も行きませんので、本品では涙液の交換も可能であり、しかも凹凸を涙で覆うことができるものになっています。スティーブンス・ジョンソン等の重症の角膜疾患は、治験を行った京都府立医大の方にほとんど集まっているような状態です。患者は我々も稀に経験しますが、治ったあとは角膜が濁ってしまいますので、特殊な角膜移植のために京都府立医大に紹介するような状況になっています。
本当に重症で、視力が0に近いようなものは再生医療で口腔粘膜の移植等を行って、視力が回復するものもあるということが京都府立医大から報告されていますが、一般に、ある程度視力がある患者は、手術はしませんので、少しでも視力を良くしてあげようということで、これを使用します。視力が良くなっているというのが、希少疾病用医療機器指定申請書の後ろ、別紙5(11)にあります。参考文献1のタグの前を3枚ほどめくりますと、余りなじみがないかもしれませんが、装用前の視力と装用後の視力が書いてあります。線より上になったものが全て視力が上がったものということになりますので、全員に効果があったということが示されています。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。スティーブンス・ジョンソン症候群はこれこそ希少疾病だと思いますが、一つの効果として期待されます。今、京都府立医大というお話も出ましたが、そこでの臨床研究を踏まえた上で、今日の希少疾病用医療機器としてお認めいただけるかということですが、いかがでしょうか、特に御意見はございませんでしょうか。
それでは議決に入りたいと思います。「輪部支持型ハードコンタクトレンズCS-100」について、本部会として希少疾病用医療機器として指定して差し支えないものとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですのでそのように議決させていただきます。ここの審議結果につきましては次の薬事分科会において報告することにいたします。これで議題5を終了いたします。
議題6、優先審査品目について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から御説明いたします、資料6を御覧ください。1ページから御説明させていただきます。優先審査品目1品目を御報告いたします。1ページに記載されておりますとおり、コヴィディエンジャパン株式会社よりPipeline Flexフローダイバーターシステムという品目が承認申請されております。本品は内頚動脈の錐体部から上下垂体部におけるワイドネック型の大型又は巨大頭蓋内動脈瘤に対する血管内治療に使用されることを目的として申請されております。
本品の概要について、3ページの一番上「対象医療機器の概要」というところに記載されておりますけれども、コバルトニッケル/プラチナのワイヤーで構成された円筒形のメッシュ構造をしております。離脱型コイルを留置することなく、母血管にこの医療機器を留置することで脳動脈瘤を閉塞させることを目的としたデバイスになります。また、円筒型のメッシュ構造をしておりますので、母血管を温存したまま脳動脈瘤を閉塞することが可能とされております。
この品目につきまして、平成24年2月3日に実施されました「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において疾病の重症度が高く、医療上の有用性についても高いと判断され、早期に本邦へ導入されるべき医療機器として選定されましたので、この製品が承認申請されましたことに伴い優先審査品目として指定することといたしました。御報告は以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。ただいまの件につきまして御質問、御意見はございますでしょうか。特に御意見がなければこれで議題6を終了させていただきたいと思います。議題7、部会報告品目について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題7、部会報告品目について資料7に沿って御説明いたします。横向きの資料になっております。
平成26年7月1日から平成26年9月30日までの3か月間に承認された品目のうち、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。1から19ページが医療機器で、合計すると107品目となっております。20ページから21ページが体外診断用医薬品であり、11品目あります。これらの品目については事前に送付しておりますので、この場では詳細な説明は割愛させていただきます。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について御質問、御意見はありますでしょうか。特に御意見がないようでしたらこれで、議題7は終了とさせていただきます。以上で本日予定した議題は全て終了しましたが、事務局からその他として伝えることはありますでしょうか。
○事務局 10月10日に開催した部会において、医療機器「MRガイド下集束超音波治療機ExAblate2000」について、骨転移がんの疼痛緩和に適用を拡大する一部変更の承認の可否等について御審議をいただきました。この際、変更前の適用として、平成21年に承認を受けた子宮筋腫の症状緩和について、保険適用申請がなされていないことについて企業を指導するようコメントをいただいております。部会後に製販業者と面会したところ、既承認の子宮筋腫につきましては実際には未だ保険償還はされておりませんが、保険適用申請自体は平成25年3月になされていることを確認しました。
また、追加されました骨転移がんについては現在保険申請の準備中であることを確認いたしました。10月10日の部会におきましては、保険適用申請されていないというように事務局から御説明しておりましたことを訂正するとともにお詫び申し上げます。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。前回の部会において御指摘いただいた点、非常に大事な問題だと思いますが、それについては保険申請が既にされていたということでした。この点について御質問、御意見はありますでしょうか。ないようでしたら、今の御報告で御理解いただけたものと思います。事務局からほかにありますか。
○参事官 次回の部会につきましては、今、一応2月を予定させていただいております。来年になります。本年はどうもありがとうございます。
実は来年1月に、薬食審の委員の改選があります。2年に一度、改選をさせていただいております。笠貫部会長におかれましては5期10年、この部会の委員をしていただいており、昔は医療材料部会と医療機器部会の二つがあったのですが、それが統合される前から笠貫部会長におかれましては委員をしていただきました。部会長も4期8年していただいております。部会の規定上、10年を超えてできないということもあり、事実上今日の部会で御退任されるということでございます。そういうことで、笠貫部会長に一言御挨拶いただければと思っております。
○笠貫部会長 最後に一言御挨拶申し上げます。10年前と言いますと医療機器の部会でありながら「医薬品等」という字でまとめられ、私はその都度「医療機器」だと主張していたのがつい先日のように思います。その頃デバイス・ラグに大変危機感を持ったのが本部会長をお引き受けした一番の理由でした。
審査過程で医療機器のリスク・ベネフィットの評価における医薬品と異なる特殊性と難しさを痛感してまいりました。その間、私がこの承認の部会と安全対策の部会、両方の部会長をさせていただいたことは大変有意義でした。二つの部会を通してリスク・ベネフィットについて広い視点から、バランスをどう取るかを考えさせていただきましたし、その課程で承認条件が定着してきたと思っています。
PMDAができる以前から現在まで、ニーズの高い医療機器の早期導入検討会など急速な制度改革の進む難しい時期に、無事に重責を果たせたのは本部会の委員の方々及び事務局の御協力の賜物であり、心から御礼申し上げたいと思います。
今、11月25日、「医薬品医療機器法」というように名称も変わったところで、次の方にバトンタッチできることを大変うれしく思っております。本部会では皆さんから非常に活発に御意見をいただき、私自身が大変刺激されました。これからも、本部会が国民のために医療機器を適切に評価して、リスク・ベネフィット評価を行い、さらにコスト・ベネフィットも含めて広い視野から国民により有効かつ安全な医療機器を提供するという役割を果たしていただくことを心から祈念し、私の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○参事官 ありがとうございました。
○笠貫部会長 これで本日の部会を終了とさせていただきます。長時間にわたる御協力、どうもありがとうございました。
※ 備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。
連絡先:医薬食品局審査管理課 医療機器・再生医療等製品担当参事官室 室長補佐 佐々木(内線4226)
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