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2014年12月16日 第58回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成26年12月16日(火)


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)


○出席者

公益代表委員

小野委員、鹿住委員

労働者代表委員

大塚委員、川野委員、松岡委員、松本委員代理、宮嵜委員

使用者代表委員

井口委員、市瀬委員、島村委員、新田委員、長谷川委員

(事務局)

谷内大臣官房審議官(賃金、社会・援護・人道調査担当)、松原勤労者生活課長、瀧原勤労者福祉事業室長、山口勤労者生活課課長補佐、竹田勤労者生活課課長補佐

○議題

(1) 独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直しについて
(2) 中小企業退職金共済法施行規則の一部改正について(諮問)
(3) 中小企業退職金共済制度と企業年金制度とのポータビリティの拡充について

○議事

○松原勤労者生活課長 始まる前に私から一言、運営についてお話させていただければと思います。先ほど勝部会長から、お怪我をされてこちらに来られなくなったという御連絡がありました。これにより、今回の部会については労働政策審議会令第 7 条第 8 項にある、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」という規定があります。これについて部会長から、第 1 順位として内藤委員をお願いしていたところですが、第 2 順位として小野先生というお名前を頂いておりますので、今回は公益委員でいらっしゃる小野委員に、部会長の職務を代行していただくということで進めさせていただければと思います。それでは小野委員、よろしくお願いいたします。

○小野委員 不慣れでございますが、御指名ですので、ただいまから第 58 回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めます。まず本日の出欠状況について、事務局から報告をお願いいたします。

○山口勤労者生活課課長補佐 本日は関委員、内藤委員、松本委員、勝部会長が御欠席ですが、労働政策審議会令第 9 条に規定された定足数は満たしております。また松本委員の代理として、日本労働組合 総連合会総合労働局 労働条件・中小労働対策局部長の蒲原俊之様が御出席しておられます。

○小野委員 それでは次第に沿って議事を進めます。本日の議題ですが、「独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直しについて」が 1 つ目です。 2 つ目が、「中小企業退職金共済法施行規則の一部改正について」ということで、これは諮問です。 3 つ目が、「中小企業退職金共済制度と企業年金制度とのポータビリティの拡充について」となっております。まず議題 1 、「独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直しについて」です。前回の部会において、部会長から事務局に作成をお願いした取りまとめ案を、資料 1 としてお配りしております。事務局から文章を読み上げていただきたいと思います。

○山口勤労者生活課課長補佐 それでは、私のほうから資料 1 を読み上げさせていただきます。

 平成 26 12 16 日。独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直しについて。労働政策審議会勤労者生活分科会、中小企業退職金共済部会。「独立行政法人改革等に関する基本的な方針について」 ( 平成 25 12 24 日閣議決定。以下「平成 25 年閣議決定」という。 ) 等を踏まえ、中小企業退職金共済制度 ( 以下「中退共」という。 ) を運営する独立行政法人勤労者退職金共済機構 ( 以下「機構」という。 ) における資産運用に係るリスク管理体制の整備及び事務の効率化を図るため、労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会において検討を行った結果は、下記のとおりである。

 記。 1. 資産運用に係るリスク管理体制の整備。 (1) 資産運用委員会の設置。中退共において、かつて多額の累積欠損金が生じる状況があったことを踏まえ、機構の資産運用業務に関し実効性あるリスク管理体制を整備することが、平成 25 年閣議決定において求められた。このため、経済・金融の有識者その他学識経験を有する者から厚生労働大臣が任命する委員により構成される資産運用委員会を設置し、資産運用の重要事項に関して審議を行うほか、機構の資産運用業務を監視する等の業務を行うこととする。なお、当該委員に機構の資産運用業務の利害関係者が就任するなど当該委員会の公正性に疑念を持たれることのないよう、必要な措置を講じることとする。この資産運用委員会の運営を含め、機構の資産運用については、中退共の制度趣旨を十分に踏まえた上で、掛金を拠出している事業主や退職金を受給する労働者といった制度利用者の意向が反映される形で、安全かつ効率的に行うことが求められる。

(2) 合同運用の実施。これまでは、機構は、一般の中小企業退職金共済制度 ( 以下「一般の中退共」という。 ) 及び各特定業種退職金共済制度 ( 以下「特定業種」という。 ) それぞれにおいて資産運用を行ってきているが、今般の財政検証において、林業退職金共済制度の安定的運営のための改善策として、委託運用の部分について一般の中退共と特定業種との合同運用を行うことが適当とされた。このため、一般の中退共と特定業種の間において資産を合同で運用できることとし、その実施に当たっては、合同運用を行うための勘定を設けるとともに、合同運用によって生じた利益・損失は当該勘定から合同運用を実施する各共済制度の勘定へ適切に配分されるよう、必要な措置を講じることとする。

2. 制度のポータビリティの向上等を通じた事務の効率化。 (1) 制度間通算における全額移換の実施。現行では、被共済者が一般の中退共と特定業種との間等を移動し、移動前の制度における退職金を移動後の制度に通算する場合、通算できる金額に上限があるところ、通算制度を利用する被共済者の利便性の向上及び将来に支給される退職金の充実を図るため、全額を移動後の制度に通算できることとする。

(2) 特定退職金共済事業からの資産移換。特定退職金共済事業 ( 以下「特退共」という。 ) を実施している団体の中には、厳しい運営状況となっているものが一部存在していることを踏まえ、特退共に加入している企業における退職金制度の存続を図る観点から、特退共を廃止する団体から、機構が直接資産を引き受けることができることとする。なお、中退共への円滑な移行を実現するため、事業主が支払う掛金月額について、中退共に加入したときから 3 年間に限り、特退共を廃止した時点の当該被共済者に係る掛金 (2,000 円が下限 ) 以上の掛金とすることを認めることとする。

(3) 確定拠出年金 ( 企業型 ) への資産移換。共済契約者が中小企業者でなくなったことを理由として中退共の退職金共済契約が解除された場合、その企業における退職金制度を実質的に存続させるため、確定給付企業年金等への資産移換ができることとされているが、現在、確定拠出年金 ( 企業型 ) が中小企業においても普及が進んできていることを踏まえ、中退共から確定拠出年金 ( 企業型 ) へ資産移換ができることとする。

(4) 企業間通算の申出期間の延長。従業員が中退共の加入事業所間を転職した場合等においては、退職後 2 年以内に通算を申し出ればその前後の退職金を通算することができるが、通算制度を利用する被共済者の利便性の向上及び将来に支給される退職金の充実を図るため、その期間を 3 年まで延長することとする。

(5) 未請求退職金発生防止対策の強化。未請求退職金の発生防止対策の強化の一環として、既に退職している者に対して中退共の退職金を確実に支払うため、機構が、必要に応じて住基ネットを活用できるようにする等の措置を講じることとする。

(6) 退職金の不支給期間の短縮。特定業種における退職金の不支給期間は現在 24 月未満となっているが、今般の財政検証の結果を踏まえ、建設業退職金共済制度における不支給期間を、一般の中退共と同じ 12 月未満とすることができるよう、必要な措置を講じることとする。

3. 施行時期。 1.(2) 及び 2. の施行時期については、「各独立行政法人の統廃合等に係る措置の実施時期について」 ( 平成 26 8 29 日行政改革推進本部決定 ) を踏まえ、平成 28 4 月とすることが適当である。ただし 1.(1) については、平成 28 年度以降の資産運用の基本方針について議論を行う必要があるため、平成 27 10 月をめどに施行することが適当である。以上。

○小野委員 ただいまの説明について御意見、御質問などがありましたらお願いいたします。

○川野委員 前回も若干質問させていただいたところです。特に 1. の資産運用に係るリスク管理体制の整備の (1) 、資産運用委員会に関する点で 3 つ目の○に「資産運用委員会の運営を含め」ということで記載されています。前回もこうしたリスク管理というか、我々制度を利用する者の意向が反映する形で、「安全かつ効率的に行うことが求められる」という中に、前回のことも含まれていると解釈するわけです。実際にこの運用委員会の構成の人数であったり、その中身というか、どういう人たちがそういう構成になるかというのは、任命権者である厚生労働大臣が任命するわけですけれども、前回、使用者側委員からも、そうした中では労使の委員がその委員に当たることがふさわしい等との話もありました。この中にそうした意向も踏まえて、その部分が含まれているのかをお聞きしたいのです。

 具体的に資産運用委員会については、我々、特に労働者側から言うと、中小企業の経営者が多いということで、退職金の外部保全先として中退共を利用するということですが、退職金は御存じのとおり、我々労働者側から見ると賃金の後払的な要素ということで、我々の権利をそこに預けるという認識でいます。そうした観点から、こうした資産運用委員会のチェック機能については非常に強い関心がありますので、その辺の補足的なことも含めて、考え方を御説明いただければと思います。

○小野委員 では、事務局からお願いいたします。

○松原勤労者生活課長 前回御指摘いただいたことを、再度言っていただいたと思います。我々はその点も踏まえ、部会長と御相談させていただき、○の 3 つの中にその意味を込めたというように考えております。前回の各委員の御意見を踏まえ、今後、人選も含めて、正に資産運用委員会の運営をどうするか、あるいは機構の資産運用全体についてどう対応していくかという細部については、これまでの御主張を踏まえて対応を検討していきたいと思います。

○川野委員 今の時点でその構成について、考え方が明確にあるわけではないのですか。

○松原勤労者生活課長 はい、現時点で固まっているわけではありませんが、御趣旨は十分お聞きしておりますので、そういった趣旨も踏まえて検討していきたいと思います。

○小野委員 そのほかに御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

○新田委員 本日の資料 1 については、前回の部会での意見あるいは事務局案を踏まえて作られたものと承知しております。内容について、特に私から申し上げた資産運用委員会の委員の件については、やはり事業主が全額拠出しているという観点からすれば、その意向を踏まえた方を是非選出できるような枠組みにして、そういったことを踏まえ、資産運用委員会の運営もしていただきたいという旨を申し上げたわけです。それが今し方、課長から御説明のあった○の 3 つ目に入ったと承知しております。

 ただ、私から繰り返しのお願いです。厚生労働大臣が任命するということですけれども、多分、事前に事務局等から候補者等の選定にあたられることになると思います。その際は○の 3 つ目にあるような観点を十分に踏まえた方を是非選抜していただきたいと考えております。

 加えて右側の 2. (3) に、「確定拠出年金 ( 企業型 ) への資産移換」という記述があります。こちらについては前回も申し上げたとおり、資産のポータビリティ向上の観点から、是非進めていただきたいと申し上げたところで、これが盛り込まれていることについて、私は高く評価しております。改めて感謝申し上げたいと思います。

○小野委員 何かコメントはありますか。

○松原勤労者生活課長 先ほどの答弁と全く同じです。

○小野委員 そのほかに御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいですか。それでは私から 1 点お伺いしたいと思います。新田委員から御指摘の 2. (3) についてです。確定拠出年金への資産移換というのは、非常に歓迎することだと思うのですが、移換できるケースとして中小企業でなくなったということで、これを機会に新たに確定拠出年金を設定すると言いますか、導入するケースとは別に、その企業が既に確定拠出年金を実施しているケースとか、いろいろなケースがあると思うのです。企業年金への移換一般について、こういった既設のケースも含めて御検討いただけるのかどうかというところをお伺いしたいということです。

○松原勤労者生活課長 まず、現行の仕組みを御説明いたします。企業が中小企業でなくなったときの移行先としては、おっしゃったとおり DB 等が認められています。この場合、新しく DB を始める場合のみ再移換が可能で、既に DB を実施している場合は再移換することができないという仕組みになっております。今、小野代理からありました、既に企業年金を実施している場合の資産移換については、もちろん制度の受皿として制約がないという観点が望ましいのは、そのとおりだと思いますが、そういったニーズがどれだけあるか。あるいは中退共での退職金額を今まで積み立ててきたわけですが、それがきちんと移換先でも担保できるのかといった論点が、恐らくあろうと思います。ですから、これは税務当局なり内閣法制局、あるいは企業年金の実務を行っている受託機関など、いろいろな関係機関との調整を行いながら、実現可能かどうかを検討していきたいと思っております。

○小野委員 そのほかに御発言はありますか。特に御意見がなければ、独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直しについて、事務局から説明がありました案を了承することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○小野委員 どうもありがとうございます。異議なしと認めます。それでは部会として、「独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直しについて」を了承することといたします。事務局におかれましては、この取りまとめに基づき、法案作成作業を進めていただき、次回の部会において、法案要綱を諮問していただくよう、よろしくお願いいたします。

 それでは議題 2 に移ります。「中小企業退職金共済法施行規則の一部改正について ( 諮問 ) 」に入ります。この件について本日、厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問がなされておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

○松原勤労者生活課長 資料 2 に基づいて説明いたします。 1 枚目に「中小企業退職金共済法施行規則の一部改正について」と書いてあります。 1 枚めくっていただきますと諮問文が書いてあります。厚生労働省発基 1216 2 号、労働政策審議会会長樋口美雄殿。厚生労働省設置法第 9 条第 1 項第 1 号の規定に基づき、別紙「中小企業退職金共済法施行規則及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等及び経過措置に関する省令の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。平成 26 12 16 日、厚生労働大臣塩崎恭久とあります。内容については、一番最後のページで説明いたします。

 中退共制度における割増金の利率改定について、参考とあります。現行、中退共制度におきまして、事業主が掛金を納付期限後に納付した場合、機構は事業主に対し、割増金を納付させることができるとされております。この割増金の利率を割増率と申します。これは社会保険等の延滞金の利率を参考に設定されております。中退法におきまして年 14.6 %を上限とするとされております。実際の徴収に当たっては、中小企業退職金共済法施行規則第 49 条に基づき年 10.95 %とされております。

 下の割増率の改定案の左側です。割増率というところで、中退法については 14.6 %、また、掛金負担軽減措置が取り消された部分に係る割増率も 14.6 %です。これは、中退則では前者については 10.95 %、後者については 14.6 %とされております。これが今の現行の仕組みです。上の 3 つ目の■ですが、現在の低金利状況を踏まえまして、事業者の負担を軽減する観点から、当面の間の特例として、国税の延滞税率や社会保険の延滞金の利率の引下げが行われることから、中退共制度における割増金の割増率についても、当面の間の特例として同様の改定を行うこととするというものです。

 これは、下の参考 : 延滞税率改定 ( 社会保険も同様の改定 ) というところにも書いておりますが、国税の延滞税については国税通則法で 14.6 %と定められております。これは、平成 26 年から既に措置されておりますが、租税特別措置法で特例基準割合プラス 7.3 %とされております。上の※に書いておりますが、特例基準割合というのは、貸出約定平均金利に 1 %を加算したものとされております。貸出約定平均金利というのは、日銀が公表する国内銀行の貸出約定平均金利の 19 か月の平均に 1 %を加算したものとされております。

 平成 26 年は 1.9 %とされておりますので、現行の国税の延滞税については 1.9 %プラス 7.3 %の 9.2 %とされているものです。これに倣いまして、中退共制度におきましても、割増率を同じ考え方を適用して改定しようとするものです。中退則 ( 改正後 ) というところを御覧ください。現在、 14.6 %を中退則で 3.65 %引き下げたものとして規定しております。 7.3 %から 3.65 %に引き下げたという考え方を適用いたしまして、特例基準割合プラス 3.65 %と本則的にはしたいと思います。

 一方、掛金負担軽減措置が不正行為により取り消された場合、その期間は未納になりますので、後納することができるとされておりますが、その金額に係る割増率です。この点については、不正行為性も勘案いたしまして、中退則の 14.6 %と、中退法の考え方をそのまま取っております。これについては、 7.3 %をそのまま足すということで、特例基準割合プラス 7.3 %ということにしたいと思います。なお施行日については、平成 27 7 月としております。機構でシステムの整備の必要性もありますので、これを踏まえまして平成 27 7 月を施行日にしたいと考えております。

 要綱については、 3 枚目で省令案要綱を掲げております。タイトルが非常に長いのですが、本則的には中退法施行規則の省令改正です。併せて、厚生年金保険から移換に際しまして、中退法施行規則を引っ張っている分がありまして、この分も連動して変わるということなので、この分の改正も含めてタイトルとしております。実質的には第 1 の割増金の割合の特例というのは先ほど説明した内容となっております。お願いいたします。

○小野委員 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、部会として厚生労働大臣からの諮問を適当と認め、労働政策審議会会長宛て報告したいと思いますが、よろしいですか。

                                  (異議なし)

○小野委員 どうもありがとうございます。それでは、諮問どおり適当と認めるということで、労働政策審議会会長宛て報告をすることとしたいと思います。事務局で報告案を用意していただき、読み上げていただきたいと思います。

○山口勤労者生活課課長補佐 平成 26 12 16 日。勤労者生活分科会分科会長、宮本みち子殿。中小企業退職金共済部会部会長、勝悦子。「中小企業退職金共済法施行規則及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等及び経過措置に関する省令の一部を改正する省令案要綱」について。平成 26 12 16 日付け厚生労働省発基 1216 2 号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。記、「中小企業退職金共済法施行規則及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等及び経過措置に関する省令の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働省案は、妥当と認める。なお、労働政策審議会令第 7 条第 9 項によって、部会の議決をもって分科会の議決とすることができるとされており、また同令、第 6 条第 9 項によりまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。したがいまして、御承認を頂けましたら、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となります。この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されるということになります。以上です。

○小野委員 事務局からの説明のとおり、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることとなります。ただいま、朗読した文案でよろしいでしょうか。

                                  (異議なし)

○小野委員 異議なしと認めます。ありがとうございます。では、この内容で厚生労働大臣宛て答申することといたしたいと思います。

 続いて、議題 3 です。「中小企業退職金共済制度と企業年金制度とのポータビリティの拡充について」、事務局から説明をお願いします。

○松原勤労者生活課長 資料 3 を用いまして説明いたします。前回の部会におきまして、社会保障審議会企業年金部会の動きを事務局から説明いたしまして、フリーディスカッションを行っていただきました。本日は前回の議論を整理して資料を作っております。中退共と企業年金制度のポータビリティの現況という資料を付けております。これは、前回の私の説明の中で用いました資料です。改めてエッセンスだけを申し上げますと、まず、制度間のポータビリティについては、個人単位の資産移換と事業主単位の資産移換に分けられるということです。個人単位のポータビリティについては、中退共の事業所間及び特退共との間で措置されておりますが、企業年金 (DB DC) との間では措置されていないというのが現状です。

 次のページの事業主単位のポータビリティについては、このうち中退共から他制度への資産移換は、事業再編等の理由により企業規模が拡大し、中小企業でなくなったことを理由として中退共の退職金共済契約が解除された後に、企業年金等を実施した場合に措置するとなっております。具体的には、 DB DC との間で中退共が中小企業でなくなった場合、 DB については既に措置されております。先ほど取りまとめていただいた内容にもありましたとおり、 DC については措置予定です。

 一方、他制度から中退共への資産移換は、原則廃止されることになった制度等について措置というのが現況です。この資料について、いろいろ御議論いただいたものが次のページに書いてあります。各委員から様々な御意見を頂いておりますので、ここに列挙しております。まず、事業主単位のポータビリティに関する主な御意見を読み上げます。独法改革の一環で中退共から DC へ資産移換ができるようになるのは良いが、中小企業でなくなった場合にしか認められておらず、例えば企業買収のとき、グループ企業となった中小企業が中退共に加入していた場合、中退共以外の制度と合わせようとしても中小企業のままでは資産移換ができないという御意見。

2 つ目です。選択肢の拡大は良いが、中退共は中小企業の労働者の退職金をみんなで助け合いながら作っていくもの。例えば DC に移換するのは、本来の趣旨とちょっと外れるのではないか。また、一般的に DC に移行する場合、労使でかなり検討を行っているが、そういう場が果たしてできるのか。従業員 100 人以下の企業における労働組合の組織率 1 %であり、労働者の意見がどのような形で反映されるのか危惧している。 3 つ目です。事業再編により制度の行き場がなくなってしまうような場合はポータビリティを措置すべき。

 個人単位のポータビリティに関する主な御意見です。 1 つ目です。労働市場の流動性が増していく中で、今後ポータビリティ制度が必要になるということは反対するものではないが、中退共は、将来の年金であると同時に、退職金としての意味合いが強い。退職金と企業年金では制度構築が異なる中で、ポータビリティが増せば良いというだけでいいのか、じっくり検討する必要がある。 2 つ目です。労働市場の流動性は、被用者間だけの問題ではない。自営業者と被用者の移動もある。中退部会や企業年金部会での議題ではないかもしれないが、中小企業庁が所管している小規模企業共済も視野に入れて、全体で制度の整合性を考えていかなければ流動性への対応という意味では十分ではない。

3 つ目です。労働者の老後の生活のための資産形成を促進していくという意味では、退職後の受け皿がないということは資産形成においてマイナスになるという観点からすると、企業年金のほか、場合によっては退職手当制度や財形年金貯蓄のような制度も含めてポータビリティを促進すべき。 4 つ目です。他方、資産移換が日常的に行われればポータビリティを通じて関連する制度が一括りにされる可能性があることから、それぞれの制度設計や税制の違いを十分に踏まえながら検討を進めていくべき。という御意見を頂きました。これを踏まえまして、最後のページで中退共のポータビリティに係る考え方の整理という紙を取りまとめております。今ほど読み上げました意見を 3 つの○プラス 1 つの※で整理しております。

 労働者の 1 つ目の○です。労働者の就労形態の多様化や、会社合併等の事業再編の活発化といった最近の労働市場や企業活動の状況を踏まえると、職業生活の引退時等にまとまった退職金・企業年金を受け取ることができるよう、ポータビリティについて制度利用者の選択肢を拡大していくことは望ましい。 2 つ目です。退職金制度と企業年金制度は、それぞれ異なる趣旨・目的の下で設立され、その制度固有の考え方に基づき税制上の優遇措置が講じられていることから、制度間のポータビリティを拡充するに当たっては、各制度の果たすべき社会的役割を十分に踏まえた上で、全体として整合性のある形となるように制度の在り方を検討していく必要がある。

3 つ目です。現行制度の枠組みを変えずに、ポータビリティを拡充していくことはできないか、検討してはどうか。その※です。例えば、前回の部会で御意見のあった、会社合併により 1 つの企業に複数の退職金・企業年金制度が並立し、資産移換できない場合のポータビリティについてどう考えるか。このように考え方を整理いたしました。本日は、これにつきまして御議論賜ればと思います。よろしくお願いします。

○小野委員 ただいまの説明について、御意見、御質問などございましたらお願いいたします。

○新田委員 この資料の最後のところに考え方の整理ということで、○ 3 つで示されておりますが、今回特にこの場で議論すべき点としては、○の 3 つ目、現行制度の枠組みを変えずに、ポータビリティを拡充していくことについて、 1 つの例示として、会社合併によって 1 つの企業あるいは 1 つの企業グループ内で複数の制度がある場合のポータビリティについてどう考えるか、という理解でよろしいのですか。

○松原勤労者生活課長 はい。

○新田委員 そういうことであるならば、私が前回も申し上げたとおりポータビリティを是非高めていただきたい。その際に無限定にということまでは考えておりません。例えば、例示としてここにあるような、こういうケースについてはやはり、同じ企業あるいは同じ企業グループ内で違う制度が運用されることになります。そういう場合には一定の要件の下で認めていくことが、事業主にとっても、あるいは労働者にとっても私はいいことだと思いますので、ポータビリティを認める方向で検討してはどうかと考えます。私からは以上です。

○小野委員 事務局から何かありますか。

○松原勤労者生活課長 今日は御意見を承りたいと思います。

○小野委員 そのほか御意見、御質問等ございますか。

○大塚委員 いわゆる中小企業でなくなった場合、 300 人以上になった場合は、この間の議論で、それなりのポータビリティをもつというのはやってきました。今回この場合に、どのような具体的な事例、ここにありますように吸収合併により複数の制度があるというのはまずいのではないかという、こういう議論は私も分かります。それ以外にどんなことがあるのか、例えば、現に中退共に入られている事業主の意思によって、ポータビリティを持たせる、あるいは DC とかに移行することまでを許容しようという、そういう議論になっているのですか。そこがよく分からないのです。

○松原勤労者生活課長 前回の新田委員の例示も私なりに解釈させていただければ、一般的に認めるというよりは、企業買収によってグループ企業になったときに、その企業が中小企業のまま存続する。会社合併なり企業買収があったときに、ある意味やむを得ず、 2 つ並立してしまっているケースを想定していると私は理解しております。ですから、なんでも広げるというわけではなくて、今典型的にありますのは中小企業でなくなったときという要件がかかっておりますが、それはある意味やむを得ない、やむを得ず抜けられない。やはり 2 つの制度が並立するということは、非常に使用者、労働者にとっても具合が悪いという状況の中では、こちらも中小企業でなくなった場合に同視できるのではないか私どもとしては理解したということです。

○大塚委員 ある意味でレアケースみたいなものですよね。一般的に中退共に入っている所で、自由意思でやっぱり年金へいこうかなという話ではないのですね。

○松原勤労者生活課長 もちろん、ここで現行制度の枠組みを変えずにと言っておりますので、現行制度というのは当然、抜けるときは被共済者の同意を得てとなっておりますので、例えば、そういうことを外すとか、そういうことについては現行制度の枠組みを変えずにということであれば、考えられないと思います。

○小野委員 これからの議論になると思います。おっしゃる意味は、事業主の自由意思による制度間移行は基本的には想定していないが、労働組合等との協議の結果として他制度に移行するケースについては、まだ検討の余地があるという理解でよろしいでしょうか。

○松原勤労者生活課長 この前の御意見をお聞きいたしまして、一般的にというのは現時点ではなかなか難しい。もちろん、継続して御議論いただくことは多分、必要だと思います。一方で、やはり具体的な要望がある、あるいは現行制度の枠組みを変えずにという範囲内であれば、できるものから措置していくべきというのが基本的なスタンスとして取るべきではないかと、私どもは前回の御議論を理解いたしました。

○小野委員 そのほか何か御意見、御質問ございますか。

○鹿住委員 今の点で確認です。 A 社、 B 社が合併して存続会社を決めて新たに 1 つの会社になるというのは、よく分かるケースなのです。企業同士の連携の形はいろいろありまして、例えば資本提携の形で、規模の大きな大企業から中小企業に出資をする。株の一部を取得するという形での提携の仕方もあると思うのです。中小企業政策では政策ごとにみなし大企業ということで、大企業からの出資が過半数を超えると大企業とみなして、一部、政策が利用できなくなるという制限などがあります。

 あるいは役員を派遣して、実質的に大企業が当該中小企業の経営を統制するというか、コントロールするとか。そういう場合には、みなし大企業という形で一部の政策は使えなくなるという制限があるのです。全く 1 つの会社になるというわけではなく、資本出資を受けて過半数、大企業から出資を受けた。あるいは、そういう企業グループの中の子会社とか、子会社もいろいろ連結子会社とかありますが、そういう形での連携を結んだ場合にも、例えば親企業となった大企業の制度に移換したいから中退共から抜けて、こちらの確定拠出型とかに移換するとかそういうことはできるのですか。

○松原勤労者生活課長 現時点において、典型的な例として会社合併、企業買収をこちらに書いております。今、鹿住委員から御指摘のあった点についてどう考えるかというのは、実は私どももまだ確たる考え方は持ち合わせておりませんので、そこはどの程度まで現行制度の枠組みを変えずに、今言ったやむを得ない事情として、どちらかの制度にしなければいけないというケースがどういう場合に生じるかということは、実態ケースを頭に描きながらよく勉強させていただければと思います。現時点ではどちらともお答えしかねるということです。

○小野委員 そのほかに何かございますか。

○新田委員 質問ではなくて確認です。今回、考え方を整理ということでお示しされて、これはしばらく、例えば今後、部会を継続して開催して意見交換等を行って、どこかのタイミングでまとまれば、また法改正をするということなのか、その場合のタイムスケジュールはどうなのですか。今回の議題 1 で、とりあえず独法改革に伴う中退法の改正は次回の会合で法案要綱が示されるということですので、 DC への移換、中小でなくなった場合に移換というのは、そこで当然法改正されると認識しておりますが、今、正に議論している内容のスケジュール感というか、イメージはどのようにお考えなのですか。

○松原勤労者生活課長 前回から企業年金との関係を御議論いただいておりますが、その発端は社会保障審議会の企業年金部会で企業年金制度をどうするかということが議論されている。それについて 1 つのパーツとして中退共をどう考えるかという論点があって、それについてこの中退部会で議論いただいているという経緯があります。したがいまして、中退部会として、おおむねの方向性を頂けるのであれば、それも含めて企業年金部会でまた御議論いただきます。

 ただ企業年金部会の今後の運営については、まだこういう時期ですので、どうするかという確たる結論は出ておりませんので、全体の動きの中で、年明けの通常国会で、措置するのかどうするかということは、向こうで議論して、もし法案化するということであれば、今の話も盛り込んでいくべく先方にお伝えするということになります。したがいまして、向こうの動き、企業年金部会も昨日あったばかりで、今後のスケジュールも示されていないと承知しておりますので、また向こうのスケジュールも見ながら、こちらの中退部会についても議論を深めていただければと思います。

○長谷川委員 そうすると、年金部会とのすり合わせは当然行われるのですか。

○松原勤労者生活課長 そのように理解しております。

○小野委員 そのほか何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、何点か御指摘等がありました。これまでの意見をまとめますと、退職金と企業年金のポータビリティについて、制度利用者の選択肢を拡大していくことが望ましいということです。税制上の優遇措置は各制度固有の考え方に基づいて講じられているということですので、制度全体としての整合性を図る必要があるということ。それから、そのために現行制度の枠組みは変更しない範囲で、例えば会社合併により複数の制度が並存し資産移換ができない場合などについて、ポータビリティの拡充を検討するということが適当である。こういう方向性が得られたのではないかと思います。この方向性、並びにこれまでの各委員の意見を踏まえ、事務局には制度改正の内容の検討や関係機関との調整を進めていただきまして、その結果について本部会で報告いただき、審議することといたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

                                  (異議なし)

○小野委員 それでは、事務局にはそのように進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、本日の議題について御意見は出尽したと思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。最後に事務局から今後の予定について説明をお願いします。

○山口勤労者生活課課長補佐 今後の日程について御連絡いたします。次回の会議の開催は 1 15 日とお伝えしていたのですが、大変恐縮ですが、スケジュールの再調整をお願いしたいと考えておりまして、詳細はまた別途事務局から御連絡いたします。大変、申し訳ございません。よろしくお願いいたします。本日御議論いただきました「独立行政法人改革に関する中小企業退職金共済制度の見直し」については、先ほどの部会長代理の御指示に基づきまして、次回の部会において、取りまとめを踏まえた法律案の要綱を作成いたしまして、諮問したいと考えておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○小野委員 不慣れな進行でございましたけれども、進行いろいろ御協力いただきまして、どうもありがとうございました。最後に本日の議事録の署名委員ですが、大塚委員と市瀬委員にお願いいたします。第 58 回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を終了いたします。


(了)

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