ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録(2014年11月14日)




2014年11月14日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

○日時

平成26年11月14日(金)
10:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

◎五十嵐    隆、  石 井 則 久、 今 村 定 臣、 遠 藤 一 司、
  生 出 泉太郎、○大 野 泰 雄、 柿 崎    暁、 加 藤 進 昌、 
  戸 部  依 子、  新 見 伸 吾、 林    邦 彦、 槇 田 浩 史、
  三 谷  絹 子、  三 宅 良 彦、 矢 野    哲、 渡 邉 治 雄
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)五十音順

  金 澤    實、 國 頭 英 夫、 倉 山 英 昭、 斎 藤   充、
  日 野 治 子、 村 島 温 子

行政機関出席者

宇 津     忍 (安全対策課長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監 他)

○議事

○事務局 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、平成26年度第2回医薬品等安全対策部会を開催いたします。本日、御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「部会長及び部会長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の会議に事前に御欠席の御連絡があった委員は、金澤委員、國頭委員、倉山委員、斎藤委員、日野委員、村島委員でありまして、現在16名の委員に御出席いただいております。本部会の定員は22名ですので、定足数に達していることを御報告いたします。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事の進行は、五十嵐部会長にお願いいたします。

○五十嵐部会長 皆さん、おはようございます。議事を始めたいと思います。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について説明をお願いいたします。

○事務局 議事参加について御報告いたします。本日、御出席いただいた委員の先生方におかれましては、過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金、契約金などの受取状況を御報告いただいております。

 本日の議題1に関して、競合品目、競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして御確認を頂いておりますが、申告の結果、全ての委員より第一三共ヘルスケア株式会社、エスエス製薬株式会社、ライオン株式会社から寄附金等の受取はありませんでした。このため、全ての委員が審議及び議決に参加できることを御報告いたします。

 また、前回の7月23日開催の医薬品等安全対策部会に御報告した内容について、訂正をさせていただきます。三宅委員の受取について、前回、第一三共ヘルスケア株式会社より50万円以下の受取と報告いたしましたが、正しくは、今回の報告と同じく、受取はなしとのことです。議事に参加し意見を述べることができ、議決に参加できるという前回の審議参加の取扱いには変更はありません。

これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。審議参加に関する遵守事項についての報告は以上です。

○五十嵐部会長 事務局から説明いただきました、審議参加に関する遵守事項について何か御質問はありますか。特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御了解を頂いたものとします。

 では、事務局から本日の配布資料の確認をお願いします。

○事務局 それでは、お手元にお配りしている配布資料の確認をさせていただきます。

 まず1枚目に座席表です。次に本日の議事次第、その裏面に本日の資料一覧がありますので、こちらも御参照の上、御確認いただければと思います。次に、本日の部会の委員の名簿です。

 資料1として、1枚紙のヨコ表ですが「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」というもので、ロキソプロフェンについての1枚紙があります。その裏ですが、8月27日に開催された安全対策調査会に御出席された委員と参考人の先生のリストを付けております。次に資料1-1「ロキソプロフェンナトリウム水和物のリスク区分について」、資料1-2は「ロキソニンSの製造販売後調査報告書等」という厚いものです。次に資料1-3「パブリックコメントに寄せられたご意見」です。参考資料1-1は「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」ということで、平成21年5月にこの部会で了解された区分変更の手続です。参考資料1-2はヨコ表の「一般用医薬品のリスク区分」、参考資料1-3は医療用の「ロキソニン錠の添付文書」です。

 続いて、資料2-1は「医薬品等の使用上の注意の改訂」です。資料2-2は、「シメプレビルナトリウムの使用上の注意の改訂について」、ソブリアードカプセルに関するブルーレターを発出した際のプレスリリースです。資料2-3は「要指導医薬品のリスク評価について」という横の1枚紙です。続いて、資料2-3に関連する個別の資料ですが、資料2-3-1「イブプロフェン・ブチルスコポラミン臭化物配合剤のリスク評価について」、資料2-3-2「メキタジン高用量製剤のリスク評価について」、資料2-3-3「エピナスチン塩酸塩のリスク評価について」、資料2-3-4「ペミロラストカリウムのリスク評価について」。参考資料2は「スイッチOTC薬等のリスク評価について」です。次に、資料2-4は「ワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性に関する評価について」です。

 次に、資料3-1は「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染等報告について」の1枚紙です。資料3-2は「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」で、一番厚い資料になっております。資料3-3は「国内副作用報告の状況(要指導医薬品)」、資料3-4が「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料3-5が「国内副作用報告の状況(医薬部外品)」、資料3-6が「国内副作用報告の状況(化粧品)」です。資料3-7が「国内感染症報告の状況」、資料3-8が「外国における新たな措置の報告状況」、資料3-9が「研究報告の報告状況」です。

 資料4-1は「感染症定期報告感染症別文献一覧表」です。資料4-2は「感染症定期報告の報告状況」です。

 次に、資料5-1「一般用検査薬の導入に関する一般原則の見直しに関する骨子」、資料5-2は「イエローレター又はブルーレターの発出に伴うRMPに係る承認条件の付与等の際の手続きの見直しについて」という1枚紙です。資料5-3は「薬事法改正について」という1枚紙です。最後に、資料5-4は「市販直後等安全性情報収集事業(定点観測事業)報告書」です。以上です。漏れ、落丁等ありましたら、事務局にお申し付けください。

○五十嵐部会長 足りない方はいらっしゃいますか。大丈夫ですか。本日は議題1が審議事項で、議題2以降が報告事項となっています。早速ですが、これから議題1「一般用医薬品のリスク区分について」の審議に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、議題1「一般用医薬品のリスク区分について」事務局より御説明します。まず、資料1を御覧ください。現在、第一類医薬品にあるロキソプロフェンについて、製造販売後調査が終了したことに伴い、リスク区分の変更の検討をお願いするものです。

 一般用医薬品のリスク区分の変更手順について御説明します。参考資料1-1を御覧ください。一般用医薬品のリスク区分の変更等については、3に記載されているとおり、安全対策調査会において、専門家の方々や関係学会などの御意見を踏まえ事前整理をした上で、その結果とパブリックコメントの結果を踏まえ、安全対策部会で調査、審議を行いまして、リスク区分の変更の要否について答申を得るものとされております。

 次に、一般用医薬品のリスク区分について御説明します。参考資料1-2を御覧ください。第一類医薬品は、その副作用などにより、日常生活に支障を来すほどの健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、及び新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働大臣省令で定める期間、製造販売後調査後の1年間ですけれども、これを経過しないものとされております。販売に当たっては、薬剤師より、患者の年齢やほかの医薬品の使用状況などについて確認した上で情報提供を行う義務があります。

 一方、第二類医薬品は、その副作用などにより、日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品(第一類医薬品を除く)であって、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師若しくは登録販売者により販売され、情報提供については努力義務という規定になっております。第二類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、この中でも指定第二類として指定されておりまして、情報提供するため設備から7メートル以内の範囲に陳列する、また、指定第二類医薬品を購入する場合は、当該指定第二類医薬品の禁忌を確認すること及び使用について薬剤師又は登録販売者に相談することを勧める旨、購入者が確実に認識できるようにするなどの措置をとることとされております。販売は第二類医薬品と同様、薬剤師又は登録販売者により行われ、情報提供についても努力義務という規定になっております。

 残りの第三類医薬品ですが、第一類医薬品、第二類医薬品に分類されていないものでありまして、薬剤師又は登録販売者により販売されます。

 続いて、今回御審議いただく品目の説明に移ります。資料1にあるロキソプロフェンのリスク区分については、8月27日に開催された医薬品等安全対策部会安全対策調査会で検討されましたので、その結果とパブリックコメントの結果を御報告し、御審議をお願いするものです。なお、調査会においては、資料1の裏面に御名前のある参考人から御意見を頂戴しております。ロキソプロフェンについては、投与経路が経口、効能・効果が頭痛、月経痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽頭痛などの痛み、そして悪寒、発熱時の解熱とされております。

 次に資料1-1を御覧ください。本剤の製造販売後調査については、モニター店舗でアンケート調査票を配って調査を行う特別調査で1万448例、使用者若しくは薬剤師からの自発報告である一般調査で276437件が収集されております。この中で重篤と判断された副作用報告は1418件ありまして、このうち転帰が死亡の症例は1例ありました。この方はアスピリン喘息の既往のある使用者で、服用後に喘息発作重積を起こして死に至ったものです。外国籍の使用者であったため、販売時に言葉の問題により情報伝達を十分に行うことができなかったことが一因と製造販売業者では考えておりまして、これを受けて外国語の情報提供文書の作成や配布を行うなどの措置を講じております。転帰が不明の症例は、症例7の脳血管発作の症例です。これは使用者家族により、それ以前に使用者が脳卒中と診断されたが、長い間服用していたロキソプロフェンナトリウム水和物や本剤を含む市販の解熱鎮痛剤が関係あるのかという問合せを受けたことにより情報を入手した事例です。その後詳細情報が入手できなかったため、これについては転帰不明となっております。ほかの症例については、いずれも軽快又は回復しております。

 1ページの下を御覧ください。安全対策調査会での審議概要を御説明します。調査会においては、このような製造販売後調査の結果、イブプロフェンやアスピリン等の類似薬との比較も踏まえて審議を行っていただきました。参考人として御出席いただいた整形外科の専門医の先生からは、ロキソプロフェンについては既に指定第二類として分類されているイブプロフェンやアスピリンといった、ほかの解熱鎮痛剤と比較して特記すべき点は認められていないという意見。産婦人科の先生からは、禁忌である妊娠後期については、既に注意喚起がなされているものの、適切な情報提供がなされることが重要であるという御意見を頂いております。また調査会においては、本日の審議に御参加いただいている生出委員も参考人として御出席されておりまして、妊娠後期の方への使用に当たっては十分な情報提供が必要であり、引き続き第一類医薬品に位置付けるべきという御意見を頂いております。

 一方で製造販売後調査の結果を見ますと、医療用医薬品又は一般用医薬品のほかの解熱鎮痛剤と比較して特記すべき点は認められておらず、イブプロフェンやアスピリンなどのほかの指定第二類医薬品よりも厳格な取扱いとすべき理由が見当たりませんでした。以上のような議論を踏まえて、ロキソプロフェンについては妊婦への注意喚起、長期連用の防止のための情報提供を適切に行うことを条件として、最終的に指定第二類とすることが妥当であるという結論に至りました。資料1-2にロキソプロフェンの製造販売後調査報告書と添付文書、製造販売業者が作成した使用者向け情報提供文書、外国人向け情報提供文書をお示ししております。

 ロキソプロフェンのリスク区分については、30日間のパブリックコメントを実施しておりまして、その結果については資料1-3を御覧ください。ロキソプロフェンについては、全部で10件の御意見が寄せられておりまして、指定第二類とすべき旨の意見が一件、長期連用の問題があること、妊娠後期は禁忌とされていること、アスピリン喘息等の副作用が生じるおそれがあることなどを理由として第一類医薬品として位置付けるべきという意見が8件、その他の意見が1件でした。

 以上、ロキソプロフェンに関する調査会の結果及びパブリックコメントの意見を踏まえて、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 私も8月27日の調査会に出席して座長を務めましたが、今の御説明のとおりで、結論としては指定第二類医薬品とすることでいいだろうということになったのです。ただ、妊娠後期の患者への注意喚起は必要だろうということと、長期連用する方がどうしてもいらっしゃるということで、これについての注意喚起も少しは工夫した方がいいのではないかということで、薬剤のパッケージの表面に少し色を変えて注意喚起をするなどのことを考えていただけないかというのが、そのときの意見だったと思いますが、本日は、遠藤委員、大野委員、柿崎委員、生出委員もその調査会に出席されていましたので、何か追加のコメントがありましたら、先にコメントいただきたいと思いますが、いかがですか。

○大野部会長代理 特にありません。

○生出委員 追加というよりも、8月27日に申し述べたとおりであり、その結果を受けて資料1の3番目に、「妊娠末期の女性に対して禁忌であること、長期連用しないことなどの情報提供を確実に行うことが重要であり、購入者への文書による情報提供の継続」が記入されているとおりですので、こういうことをするのは薬剤師の義務ですので、第一類のままという気持ちは変わっていません。

○五十嵐部会長 ということで、8月27日の調査会の雰囲気もお分かりいただけたと思いますが、それを踏まえた上で改めて本部会において委員の先生方の御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

○今村委員 調査会の御判断は御判断として十分に理解をしますが、一方、今の妊娠末期の御婦人への影響は重大に考えなければいけないと思っています。私自身、産婦人科の医師ですが、特に妊娠後期の妊婦の方には処方は当然のことながら禁忌と。しかしながら、いろいろな所で痛みを訴える方がいらっしゃって、そのようなときにどうするかについては、臨床医として最大限の注意を促しているところです。

 ほかの同類の鎮痛剤に比べてロキソニンは、非常に出荷数が多いです。鎮痛剤としてほとんど第一選択となっているのではないかと思います。そういったことで、家庭にロキソニンが常備という状態でかなりストックされているのではないかと。そういう状態のときに妊婦が腰が痛い、おっぱいが痛い、どうこうというところで、よく効くからということで飲むことは、非常にあり得ると思います。

 御案内のように、これは後期の妊婦が飲んだときに、胎児に動脈管攣縮とか閉鎖が起こって、そして胎児死亡の懸念があるということで、そういうことになっていますが、実際の副作用例として、胎児についてのことは全く触れられていない。胎児のことについてはよく分からないわけですから、当然のことだと思います。

 ところで、自然死産は大体1%に起こるということで、大体100万ちょっとの出産になるので、年間1万例の死産があるのです。この中でこういった鎮痛剤に関わるものがどれぐらい含まれているかは、ほとんど分かっていません。これも先生方は御案内のとおりだと思いますが、今回、6月の医療法の改正で事故調の制度が来年10月に発足することが言われています。そして、ここで報告をすべきものとして、妊娠4か月以上の死産例が入っているのです。この中で、自然死産を1万例も届けられてはどうしようもないからということで、届けなくていいという仕分けになっているのです。

 ただ、この中で医療の介入があった場合には、報告してくださいとなっています。妊娠後半の死産、これで鎮痛剤を服用したときに亡くなった、こういう例は相当数出てくる。例えば、そのうちの10分の1として1,000例ぐらいが報告されたとしたら、この事故調制度自体が破綻してしまいます。この医療事故調制度は、10年来の議論を経てようやく医療法の改正で来年の10月からスタートになっているのですが、それに向けて来年の4月ぐらいへの省令の整備、ガイドラインの整備が、今、別の所で検討されているわけです。

 ということになると、こういった医療介入があった死産の例を届けることになったら、せっかく出てきた事故調制度が破綻してしまう。これぐらいのことで破綻していいのかと。今も事故調制度については、ものすごい議論があります。今まで主張されている方々のいろいろな意見がありますが、それを取りまとめながらやっていかなければいけないときに、一類から指定二類にすること、そして報告義務を考えたときに、果たして二類に分類することが妥当かどうかは、調査会の御意見は御意見として大事にしながら、もう一度この部会で検討する必要があると思います。

○五十嵐部会長 慎重に対応していただきたいという御意見ですが、ほかにいかがですか。

○柿崎委員 調査会のときも、第一類に残すか第二類にするかはかなり議論の対象になったところですが、私も第一類というか、リスク管理を高くしておいた方がいいとは考えたのですが、同程度のリスクのイブプロフェンとアスピリンが既に指定第二類に分類されているので、それらとの整合性を考えて最終的には指定第二類と判断しました。もしロキソニンを第一類にするのであれば、イブプロフェンとアスピリンを第一類に戻すのが技術的に可能であるのであれば、ロキソニンを第一類に残すことも可能だと思うのですが、その辺はどうなのでしょう。

○安全対策課長 今日お配りしている参考資料1-1があります。「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」であり、平成21年5月8日の医薬品安全対策部会でとりまとめていただいたものです。この4ページを御覧ください。下から二つ目のマルがあります。「以上の分類は」ということで、これは分類の考え方に従って医薬品を分類したことを言っていますが、「現在時点で承認されている医薬品の添付文書を基にした分類であることを留意する必要がある。この成分の分類は変更があり得るものであり、その時点における新たな知見、使用に係る情報の集積等により不断の見直しが行われる必要がある。」ということですから、今、イブプロフェンは指定第二類になっているので、その安全性に関する情報を蓄積した段階で更なる見直しが必要になった場合は、見直すことになるかと思います。ですので、イブプロフェンに関して言いますと、今の段階で指定第二類を第一類に変更する副作用の蓄積とかいうものはないのですから、指定第二類から第一類にすることは現実にはなかなか難しいと考えています。

○今村委員 今、柿崎委員がおっしゃったように、同類薬剤との整合の問題が一番問題になると思います。イブプロフェン等についても、できれば第一類に見直した方がいいとは思っています。ただ、それができにくいことであれば、ロキソニンについては、先ほど申し上げましたように、鎮痛剤の第一選択剤となっている可能性が非常に高いことを踏まえて、このものについてだけでも第一類に留め置くことが必要だと思います。

○生出委員 私も今村委員の意見に全く同感です。

○戸部委員 イブプロフェンとアスピリンについても、妊娠末期の婦人に対して禁忌ということですが、これの使用実態は分かるのでしょうか。というのは、今、皆さんの御意見があるように、ロキソプロフェンについて、妊娠末期の婦人に対しての禁忌というところの注意喚起を、どのように強化していくかというところの実効性も含めて考えないといけないと思うので、現状が分かれば教えてください。

○事務局 現在、一般用医薬品としてロキソニンが販売されている実態の中でどれだけ妊婦の方が使っておられるかという情報は、具体的にはありません。使用者の背景情報としては、本日お配りしています資料1-2の3ページに製造販売等調査における対象患者の年齢層や性別、4ページに使用回数や日数、あと、アンケート調査を記載した患者の背景ということで、どういう目的で使われたかといった情報はありますが、このうち妊婦の方が含まれていたのかどうかといったことに関しては、現時点では情報はありません。

○五十嵐部会長 ほかにいかがですか。今の状況ですと、例えば指定第二類医薬品としてイブプロフェンを使って、その後で胎児死亡というデータが蓄積されていないという話ですが、蓄積できる環境にないことも言えるのでしょうか。その辺も聞きたいのです。つまり、重大な副反応事例がきちんと上がってくるシステムがあるのだけれども結果として報告がないのか、それともシステムそのものがあまり完備されていないのかどうか、その辺はいかがですか。

○安全対策課長 当然、医薬品による副作用とか、その影響があることであれば、副作用報告の制度に従って報告いただくことになっています。

○五十嵐部会長 そうすると、今の状況でも十分に薬剤との関連を疑わせる情報は上がってきていると考えていいわけですね。

○安全対策課長 そうです、その報告対象になっているものについて情報が入手できれば、上がってくるということです。

○五十嵐部会長 そういう状況の中では特に指定第二類医薬品になっているイブプロフェンに関しては、妊娠後期に使われている症例はそれほどないし、また、そのために胎児が死亡したということが増えていることはないと考えているわけですね。

○安全対策課長 そうです、頻度の比較がなかなか難しいかもしれませんが、その報告制度の中において出てきているものはないということです。先生方が御存じのように、イブプロフェンもロキソプロフェンも同じ作用機序ですので、妊娠後期の婦人については、イブプロフェンについても同様に禁忌という形で取り扱っているということです。

○今村委員 副作用の情報については、そこの使用にあるとおりですが、これはあくまでも使用した御本人に対しての報告ということで、頻度として胎児死亡が増加しているうんぬん、そうでないということは、ほとんど分かっていないのではないかと思うのです。その死因が動脈管の問題になると、これは解剖しなければ分からないですね。死産についてどれほどの解剖があるかというと、ほとんどないと思います。ということになれば、きちっとした解析は今までできていないと考えた方がいい、あるいは、それぐらいの安全性を見込んで考えた方がいいということなので、これをわざわざ第二類にやってリスクを取る意味が全く分からないということで、あくまでも慎重にやった方がいいと考えます。

○事務局 事実関係を補足いたします。2004年からPMDAに副作用の報告が上がってきて、データベースが蓄積されています。その中で、一般用医薬品でNSAIDsと言われているもので、アスピリンとかイブプロフェンですが、こちらで妊娠されている方にお使いになったという例がイブプロフェンで1例報告されています。この症例については、妊娠初期にお使いになられまして、初期の段階で流産をされたものが今までのところ1件報告されているということです。申し訳ありません、これは医療用のロキソニンです。もう少し整理をしてから事実関係を報告します。

○生出委員 今回のロキソニンSの問題は、第二類にすることによって、どこでも手軽に購入することができるというメリットは生まれるかもしれませんが、安全性を考えると、今のハードルのままの方が安全性をきちんと保てると。例えば、これからスイッチする問題に関しても、このような議論が多く出てくるかと思うのですが、その試金石になる医薬品だと思っています。ですから、安易に利便性だけを追求する形での指定第二類への移行はすべきでないと思っていて、第一類医薬品のままの方が国民にとってもいい判断になるのではないかと思っています。

○矢野委員 産婦人科ですが、ロキソニンはよく処方するのですが、どの人に対してもやはりよく説明してから出している薬です。もちろんぜん息もですが、胃腸障害もあるし、この薬はいろいろな副作用があるのです。常用する方も多いのです。特に高齢の方もいらっしゃいます。妊婦の方はもちろんほとんど出しませんが。妊婦については、ほとんどの方はアセトアミノフェンしか出していないと思うのです。五十嵐先生に質問ですが、第二類をどんどん増やしていく方向にある理由は何ですか。薬はもともとはっきり言って毒ですね。ですから、第二類をどんどん増やしていく流れは、なぜあるのでしょうか。

○安全対策課長 第二類にする流れということではありませんで、リスク区分の考え方が、本日お配りした参考資料の1-2にあります。第一類は、先ほど説明しましたが、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがあってとされています。第二類については、その横に書いてあるもの。指定第二類については、その下に書いてあるものとなっています。こういう考え方によって、どの医薬品をどの類にするかを判断するということです。

 考え方が非常に漠としていることは事実だと思います。一つの考え方として、この大原則がある中で現在どういうものが分類されているのかが、今の第一類になっているもの、第二類になっているものが一つの参考にはなるということです。ただ、参考にはなるのだけれども、原則の考え方は、第一類、第二類とこの表に書いてあることですので、この原則を常に見ながら、その時点で、その成分の該当性を、判断していくことになるわけです。

○今村委員 今、矢野先生から御指摘がありましたが、なぜこういう流れになっているのだということは、これは大きく言うと医療費の抑制と。自分で買えるものは国が負担しなくていいと。公の負担、保険者も負担しなくていい。自己責任で、自分の懐から出して買いなさいと。その代わり国がある程度の安全性を保障するから、どうぞと、こういったことです。とすると、本当に安全なもの、そして利便性があれば、その方向は可とすべきだと思いますが、こういったようにパブリックコメントでも、その大方が注意してくださいというものがあるときに、これに国がお墨付きを与えて、では、どうぞと、これは全く納得がいかないと思います。

○事務局 先ほど私から、過去、これまで集積された副作用について報告しました。まとめると、訂正がなくて、今まで2004年以来、一般用医薬品のNSAIDsで報告されている妊婦にお使いになった例はイブプロフェンでして、妊娠4週目までにたまに服用されていたという方で、妊娠9週目で流産されたという例です。これについては情報が少ないということで、御報告された方も含めてあまり薬剤と因果関係はないだろうという御報告があったと、これだけです。

 もう一つ、実は前に調査会の議論であったのは、今、先生方の御議論があった形で、きちんとした情報提供を実施し、危険性の高い方には使えないようにきちんと工夫をすべきと、これは厳しく言われています。これについて、先ほど部会長からもお話があったように、少し添付文書の見直しと、外箱等に分かりやすく、現在も妊婦への注意書きはあるのですが、そこについて目立つ形にすること等の工夫をすることにはなっていますが、その上でも今の御議論を踏まえて御検討していただければと思っています。

○三谷委員 獨協医大の三谷です。今回のロキソプロフェンナトリウム水和物の医薬品のリスク区分の変更を考える際に、産科的な合併症は一番大きいのかと思うのです。産科の先生がたくさんいらっしゃるので、少しお伺いしたいのですが、妊婦はおそらく産科医にかかっている際は、妊娠中は処方薬以外を服薬しないでください等の御指導をお受けになって、一般用医薬品を安易に購入して服薬されたりしないのではないかと、私自身は少し思っていたのですが、そうではなくて、多くの妊婦が一般用医薬品を薬局でお買いになって、重篤な副作用を背負い込んでしまっているという実態があるのでしょうか。

○矢野委員 ほとんど先生のおっしゃるとおりで、御本人の自己責任もあるし、使われないと思うのですが、こういう薬を使われるとすると、妊婦は妊娠後期だと今度は腰痛が出てくることがあるのです。腰が痛い、そういうときに使う。貼付剤も実はあるみたいですが、そういうものを使うので、我々はそのときでもアセトアミノフェンぐらいしか出さないようにはしているのです。

 今、第二類に分類されている薬もあるのですが、その薬も出してはいないのです。もちろん出さないので、その辺、医師とか薬剤師の注意を何回も聞いていると、多分、御本人も分かると思うのですが、完全に第二類にしてしまうと、自己責任ですね。ですから、アメリカのように、本当に自己責任をどんどん強調して何でも売る方向でいいのかというのも、先生がおっしゃったように、ロキソニンをどうするかは、皆さんがたくさん使われる薬ですから分かれ目だと思うのです。

○生出委員 三谷先生、薬局でだと、妊娠後期でロキソニンをもし指名買いに来ても、多分、販売しないことの方がほとんどだと思っています。

○今村委員 そういう実態調査は、あまりなされていないのだと思います。どれぐらいの妊婦の方が自己責任で飲んでおられるかも、分かっていないと思います。また一方、そういう添付文書があって、こういうときには飲まないでくださいということが書いてありますが、それでもそういうものを読まずに飲んだ場合には救済措置はないのですね。自己責任で、注意書きが書いてあるにもかかわらず服用なさったのでしょうと。それは救済措置の対象ではありませんということになって、これは救われないということで、こういう危険性もあります。

○五十嵐部会長 いろいろと御指摘ありがとうございました。ほかにいかがですか。確かに調査会で議論があり、相当注意喚起を促すという条件付きでイブプロフェンやアスピリン等々、薬効に関して、あるいは副反応に関しても大きな差がないので、指定第二類の医薬品にしてもよろしいでしょうという結論は出したのですが、今日の部会ではそれに対してもかなり慎重であるべきという御意見が多いのですが、いかがですか。そろそろ議決を採りたいと思いますが、その前に何か御意見はありますか。本日の議論の流れによると第一類のままにすべきだという意見が多かったと思います。いかがですか。よろしいですか。

 それでは、今回は第一類のままということで指定第二類にはしないことにいたします。ありがとうございました。それでは、今後の事務局の手続について御説明いただきます。

○事務局 本日、御審議いただきました結果を薬事分科会に報告するとともに、リスク区分の変更に係る告示の改正の手続を進めます。どうもありがとうございました。

○五十嵐部会長 ここまでの議論に関して、御意見と御質問はありますか。よろしいですか。それでは、議題1の審議はこれで終了します。続いて、報告事項に移ります。議題2について、事務局から資料の説明をお願いします。

○事務局 資料2-1を御覧ください。医薬品等の使用上の注意の改訂について説明いたします。平成26年7月に開催されました第1回医薬品等安全対策部会で、平成26年6月までの改訂を報告していますので、今回は7月から10月までに改訂の指示の通知を発出したものを御報告いたします。平成26年7月に8件、8月に10件、9月に2件、10月に6件の改訂を行いました。これらの使用上の注意の改訂については、本部会の先生方に事前に御確認を頂いたものであり、詳細の説明は省略させていただきますが、このうち、4点紹介いたします。

 1ページ、通し番号が一番左の列にありますが、14-19のシメプレビルナトリウムについて「重大な副作用」の項に敗血症、脳出血を追記いたしました。なお、シメプレビルナトリウムと併用されるペグインターフェロン及びリバビリンの使用上の注意の「重大な副作用」の項には、既に敗血症、脳出血を記載しています。

 3ページ、通し番号14-32のプレガバリンについて、従来より「その他の副作用」の項に肝機能障害を記載し、注意喚起していましたが、劇症肝炎による死亡例1例を含む因果関係の否定できない肝機能障害関連の副作用が複数報告されたため、「重大な副作用」の項に劇症肝炎、肝機能障害を追記しました。

 4ページ、14-36のエンザルタミドについて、平成26年5月の販売開始以降、約3か月間に血小板減少で因果関係が否定できない症例が7件報告されたため、「重大な副作用」の項に血小板減少を追記しました。

 最後になりますが、5ページの14-39のシメプレビルナトリウムについて「警告」「重大な副作用」の項に、高ビリルビン血症に関する記載を追記し、注意喚起しました。また、「効能・効果に関連する使用上の注意」の項の慢性肝炎の確認に関する記載を、本剤の使用に当たり検査結果等により「慢性肝炎であることを確認すること」から、「肝硬変でないことを確認すること」に改め、「重大な副作用」の項に肝機能障害を追記しました。この高ビリルビン血症の警告の設定の経緯及び内容の詳細については、次の資料2-2で説明いたします。資料2-1は以上です。

○事務局 続きまして、C型慢性肝炎治療薬ソブリアードカプセル100 mgに関する安全性速報、いわゆるブルーレターと言っているものですが、こちらの発出に関して御説明いたします。資料2-2を御覧ください。ソブリアードカプセル100 mg型肝炎ウイルスの複製に必須のプロテアーゼを選択的に阻害するシメプレビルナトリウムを有効成分とするカプセル剤です。平成25年9月に「セログループ1のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」の効能・効果でペグインターフェロン、リバビリンとの3剤併用療法として承認されています。製造販売業者の推計では、昨年12月の販売開始から本年9月末までの間に約18,900人の患者に投与されております。今般、本剤投与により、血中ビリルビン値が著しく上昇し、肝機能障害又は腎機能障害等を発現し死亡に至った症例が報告されたことから、使用上の注意を改訂し、警告欄に血中ビリルビン値上昇に関する注意喚起を追記するとともに、安全性速報を配布して医療関係者等に対して速やかに注意喚起を行うよう、製造販売業者の方に指示しましたので御報告いたします。

 本剤は開発段階の非臨床試験において、ビリルビンの肝臓への取込みや胆汁中への排泄に関わるトランスポーターを阻害することで、血中ビリルビン値の上昇を引き起こす可能性が示唆されておりました。また、臨床試験においても、プラセボ群と比較して、血中ビリルビン値の上昇に関連した有害事象が高頻度で認められていたことを踏まえ、昨年12月の販売開始当初から、添付文書の「重要な基本的注意」の項において、血中ビリルビン値上昇に関する注意喚起がなされてきたところです。また別途、製造販売業者も医療関係者などに配布すべく情報提供資材を作成しており、その中でも本剤投与時の血中ビリルビン値上昇に関する注意喚起がなされてきたところです。  しかしながら、昨年12月の販売開始以降、本年1010日までに本剤との因果関係が否定できない血中ビリルビン値の上昇に関連した国内での死亡症例が3例報告されたことを踏まえ、更なる注意喚起を迅速に行う必要があると判断し、本年1024日付けで、使用上の注意の改訂と安全性速報の配布を行うよう、業者の方に指示したところです。

 今回のブルーレターにおける注意喚起のポイントとしては、こちらのプレスリリースの下段にある4点です。まず1点目、本剤投与中は定期的に血中ビリルビン値を測定すること。それから、血中ビリルビン値の持続的な上昇等の異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。本剤投与中止後も血中ビリルビン値が上昇することがあるので、患者の状態を注意深く観察すること。患者に対し、本剤投与後に眼球・皮膚の黄染、褐色尿、全身倦怠感等が見られた場合は直ちに受診するよう指導すること。以上の4点をブルーレターの1面に大きく記載する形で注意喚起しております。

 なお、今回の安全性速報の発出を踏まえ、医薬品リスク管理計画、いわゆるRMPと言っているものですが、こちらの策定及び実施を本剤の承認条件ということで追加しています。これは本年10月1日に施行された改正GVP省令に基づく措置で、製造販売後に新たな安全性上の懸念が判明して、RMPの承認条件を付すものとしては初めてのケースになります。これについてはブルーレターの内容を事前に部会の委員の先生方に御確認いただいたときに、この手続きについても御確認いただいたところかと思いますが、緊急案件ということで、事前確認に十分な時間確保ができなかったことを踏まえ、今後この手続きについて、一部見直しを行いたいと考えています。これについては後ほど資料5-2の方で御説明させていただきます。資料2-2についての事務局からの説明は以上です。

○事務局 それでは、要指導医薬品のリスク評価について御説明いたします。参考資料2を御覧ください。要指導医薬品の一般用医薬品への移行については、平成2512月に開催された医薬品等安全対策部会において部会決定された手続にのっとり、行うこととしています。要指導医薬品のうち、スイッチOTC及びダイレクトOTCについては、一定期間の経過後、一般用医薬品に移行することになりますが、移行する際には、一般用医薬品としての販売可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。このリスク評価については、製造販売後調査及び副作用報告に基づいて、重篤な副作用の発生状況を評価し、製造販売承認の拒否事由に該当するような状況にないことを確認していただくものですが、部会決定により、この手続は安全対策調査会で行い、その結果を本部会に御報告させていただくものです。本日はこの手続にのっとり、本年8月27日の安全対策調査会における確認結果を本部会へ御報告させていただきます。

 今回御報告させていただく品目は資料2-3「要指導医薬品のリスク評価について」にある4品目です。まず、解熱鎮痛薬イブプロフェン/ブチルスコポラミン臭化物配合剤について御説明いたします。資料2-3-1を御覧ください。効能・効果は生理痛とされています。イブプロフェン/ブチルスコポラミン臭化物は、それぞれ一般用医薬品に既に含まれている成分ですけれども、本剤は初めて解熱鎮痛薬として、この2成分を配合したものとなります。製造販売後調査のうち、特別調査では3,121症例が収集されており、重篤と評価されたものはありませんでした。一般調査でも同様に、重篤と評価されたものはありませんでした。

 また、薬事法に基づく副作用報告は、第三次報告書のデータロック期間の5月18日のあとに重篤な副作用の報告はありませんでした。以上を踏まえ、調査会におきまして、要指導医薬品から一般用医薬品への移行は可能であると判断されました。

 続いて、鼻炎用内服薬3成分について御説明いたします。一つ目はメキタジン高用量製剤です。資料2-3-2を御覧ください。効能・効果は花粉、ハウスダストなどによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和、くしゃみ、鼻水、鼻づまりとされています。製造販売後調査のうち、特別調査では3,069症例が収集されておりましたが、重篤と評価されたものはありませんでした。一般調査では副作用の報告はありませんでした。また、薬事法に基づく副作用報告例がありますけれども、第三次報告書のデータロック期間の5月18日のあとに重篤な副作用の報告はありませんでした。以上を踏まえ、調査会においては要指導医薬品から一般用医薬品への移行は可能であると判断されました。

 2成分目は、エピナスチン塩酸塩です。資料2-3-3を御覧ください。効能・効果は花粉、ハウスダストなどによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和、くしゃみ、鼻水、鼻づまりとされています。製造販売後調査のうち、特別調査では3,205症例が収集されており、重篤と評価されたものはありませんでした。一般調査では重篤症例として、てんかん用発作1例、肺炎1例の合計2症例の2件が報告されていますが、いずれも詳細情報が得られておらず、本剤との関係性を評価することが困難でした。

 一方で、参考人として御出席いただいた専門家の先生からは、これまでの医療用医薬品としての使用経験を踏まえると、要指導医薬品から一般用医薬品への移行は可能であるとの意見がありました。薬事法に基づく副作用報告ですが、第四次報告書のデータロックの1月21日のあとに、重篤な副作用の報告はありませんでした。これらを踏まえ、調査会においては、要指導から一般用医薬品への移行は可能であると判断されました。

 最後の4品目は、ペミロラストカリウムです。資料2-3-4を御覧ください。効能・効果は先ほどの2成分と同じく、花粉、ハウスダストのアレルギーによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりとされています。製造販売後調査のうち、特別調査において、重複13症例を除いた4,338症例が収集されており、重篤と評価された症例は1例1件、腸炎がありましたが、副作用情報は得られておらず、本剤との関係性を評価することは困難でした。一方で、参考人として御出席いただいた専門家の先生からは、重篤と評価された症例は、単なる偶発症と考えられるとの意見がありました。一般調査では、重篤と評価されたものはありませんでした。一方で、薬事法に基づく副作用報告は、中間報告書のデータロックの6月1日のあとに重篤な副作用の報告はありませんでした。これらを踏まえ、調査会においては要指導医薬品から一般用医薬品への移行は可能と判断されました。

 なお、要指導医薬品の一般用医薬品への移行については、平成26年6月27日開催の薬事分科会で、この評価の方法の進め方において、次のように確認されています。まず一つ目が、製造販売後調査期間終了後までに、安全対策調査会において評価は実施する。また、安全対策調査会には、必要に応じて参考人を招致する。二つ目に、部会長の判断により、必要に応じて安全対策部会での議論を行う。三つ目として、部会長の判断により、必要がある場合には、要指導・一般用医薬品部会においても確認する。最後の四つ目に、これらの品目のうち、分科会長、両部会長の判断により、必要なものについては更に薬事分科会において議論をするということが決められています。以上のような整理を踏まえ、本日御報告させていただいた4品目については、要指導・一般用医薬品部会の委員にも確認済みであることを併せて御報告いたします。本日要指導医薬品のリスク評価について、本部会へ御報告は以上です。

○事務局 続いて資料2-4について御説明いたします。資料2-4「ワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性に関する評価について」を御覧ください。本年1029日に開催された安全対策調査会において、ワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性について評価いただきましたので、その結果について御報告させていただきます。ワクチンに関しては厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会の副反応検討部会との合同開催において御審議を頂いております。

 始めに、1ページの1「麻しん、風しん、おたふく風邪、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌ワクチンの各ワクチンによる副反応報告の状況」についてです。各ワクチンについて、本年1月から7月末までの副反応報告の状況について、集計した結果が表1のとおりです。この期間の副反応報告は、上から順番に、MRワクチンが医療機関から29名、製造販売業者から7名。麻しんワクチンは製造販売業者から1名。風しんワクチンは製造販売業者から2名。おたふく風邪ワクチンは医療機関から10名、製造販売業者からは15名。水痘ワクチンは医療機関から3名、製造販売業者から6名。A型肝炎ワクチンは製造販売業者から2名。23価肺炎球菌ワクチンは医療機関から13名、製造販売業者から37名。以上がそれぞれ報告されており、これまでに報告されている各ワクチンの副反応報告の状況と比べて大きな差はありませんでした。

 また()死亡症例については、期間中にMRワクチンの死亡症例が1例報告されていますが、こちらについては追加情報入手後に調査会に詳細情報を報告する予定としております。

 次のページの2「インフルエンザワクチンの副反応報告の状況」です。昨年10月から今年7月末までの副反応の報告の状況について、昨シーズンの状況と比べて表2に示しています。また、死亡症例については調査期間内に11例報告されていますが、そのうち、脳炎により死亡された1症例について、ワクチン接種との因果関係が否定できないとの評価をされております。調査会においての副反応の報告数、報告頻度等については、昨シーズンのものと大きな変化はなく、安全性において重大な懸念は特段見られないと評価を頂いています。

 続いて、3ページの3「抗インフルエンザ薬の副作用報告状況」です。まず()インフルエンザ罹患に伴う異常行動の発現に関する厚生労働科学研究の調査結果について、主任研究者の岡部先生に御報告を頂き、インフルエンザ罹患時の異常な行動の発生状況は、従来の報告と概ね類似しており、抗インフルエンザ薬の使用有無、種類にかかわらず発生しているという結果を御報告いただきました。

 続いて下の()副作用報告制度により報告された、抗インフルエンザ薬ごとの異常な行動の報告数及び死亡症例数の集計結果は、表3のとおりとなっています。死亡症例の11症例については、情報不足等で抗インフルエンザ薬との因果関係を評価できないとなっており、()()の結果から、()に記載していますとおり、抗インフルエンザ薬の処方の有無、種類にかかわらず、異常行動の注意喚起に引き続き努めていく必要があるとの評価を頂いています。以上、安全対策調査会において御確認いただきました内容を報告いたしました。資料2-4についての説明、また、議題2に関する資料の事務局からの説明は以上です。

○五十嵐部会長 ただいまの事務局からの御説明に対しての御意見、御質問はいかがでしょうか。

○今村委員 各ワクチンの副反応の報告がありましたけれども、現在話題になっているHPVワクチンの接種回数とその副反応については、どのようになっているのでしょうか。

○事務局 安全対策調査会におけるワクチンの副反応の報告については、全てのワクチンを一度に報告する形ではなく、現在予防接種法の対象になっているワクチンを幾つかのグループに分けまして、それぞれのグループごとに毎回報告をさせていただいています。今回は主に単独接種が行われるワクチンのグループとして、資料2-4の1ページに掲げている麻しん、風しん、おたふく風邪等の副反応報告をしております。次回以降、別のワクチンについても御報告する予定ですので、その結果はまたこちらの安全対策部会にも御報告する予定です。

○安全対策課長 前回の調査会では、今日お示しした資料の範囲ですけれども、その前の調査会でHPVの状況を報告していまして、ちょっと正確な数字は手元にはないのですが、かなり少なかったと記憶しております。確認して先生へお伝えするということでよろしいでしょうか。

○五十嵐部会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか、それでは、次の議題3に移ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 議題3の資料について説明いたします。資料3-1を御覧ください。薬事法第77条の4の4の規定に基づく、薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症の報告について説明いたします。平成26年4月1日から平成26年7月31日までの4か月間に受け付けた副作用報告等に関する状況です。1に示します製造販売業者からの報告と、2に示します医薬関係者からの報告があります。まず、1の()製造販売業者からの国内症例の報告状況です。今回対象の4か月間で、医療用医薬品について15,555件、要指導医薬品について10件、一般用医薬品について91件、医薬部外品について202件、化粧品について49件、合わせて15,907件の報告を受け付けております。

 また、感染症報告は表の右側のとおり、医療用医薬品について30件の報告がありました。前回、平成26年7月の部会で報告いたしました平成2512月1日から平成26年3月31日までの4か月間の医薬品の副作用報告は12,905件、感染症報告は31件であり、報告件数としまして医療用医薬品の副作用報告が約3千件増加しております。

 1の()は、外国症例の報告状況です。この4か月間で副作用報告が102,406件、感染症報告が15件ありました。前回の4か月間の報告数は、副作用報告が90,318件、感染症の報告が9件であり、副作用報告は近年次第に増加する傾向にありますが、特徴的な変化などは見られておりません。1の()は、外国での新たな措置の報告状況です。この4か月間で430件の報告を受け付けております。前回は392件でした。1の()は、研究報告の報告状況です。4か月間に460件の報告を受け付けております。前回の4か月間の報告数は459件でした。

 2は医薬関係者からの報告です。この4か月間に医薬品等、ワクチン等を合わせまして、1,807例の報告を受け付けております。前回4か月間の報告数は1,689例でした。資料3-2から資料3-9までは、副作用報告、感染症報告、外国措置報告、研究報告の概要をまとめております。資料3-2は、医療用医薬品の国内の副作用報告について医薬品別、副作用名別の件数を整理したものです。薬効分類別に並べておりますが、薬効分類については資料の191ページ以降にあります薬効分類表を御参照ください。

 表の見方に幾つか注意事項があります。1)として、これらの副作用報告は医薬品との因果関係が不明なものを含め、製造販売業者等から報告されたものでして、個々に医薬品との関連性を評価したものではありません。2)として、副作用報告の件数については、平成26年4月1日から7月31日までに、新たに提出された報告書の件数を示したものです。同一症例に複数の被疑薬が存在し、同じ症例が複数の企業から報告された場合は、そのまま複数、重複してカウントしておりますので、ここで報告された件数がそのまま症例数にはなりません。3)として、副作用報告の件数ですが、本報告期間中に報告されたものであっても、期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となって非重篤となり、報告対象外となった場合には報告件数から除外しております。

 資料3-3は、要指導医薬品の国内副作用報告です。平成26年6月12日に改正薬事法が施行されまして、新たに要指導医薬品が設けられ、スイッチ直後品目など販売開始から間もないリスク評価中の品目の有効成分や劇薬が要指導医薬品として指定されました。この資料では、6月12日に要指導医薬品として指定された医薬品について、平成26年4月1日に遡りまして、7月31日までの副作用報告をまとめております。

 資料3-4は、一般用医薬品の国内の副作用報告です。薬効群別に有効成分名ごとに示しております。資料3-5は、医薬部外品の報告状況です。本年4月1日に薬事法施行規則が改正され、医薬部外品や化粧品により発生した重篤な副作用等についても、医薬品と同様に個別症例ごとに報告を求めることといたしました。例えば、2ページのクリーム等の欄の一番上にありますように、4-(-ヒドロキシフェニル)--ブタノールと記載されているロドデノールを含有する医薬部外品の副作用報告が多く報告されておりますが、多くは昨年の自主回収前に使用した症例です。

 資料3-6は、化粧品の報告状況です。適用部位の反応が多く報告され、特定の製品で特定の副作用が多く報告されている状況ではありません。資料3-7は、感染症の報告状況です。多くが輸血用血液製剤に関連する感染症の報告です。資料3-8は、外国での新たな措置の報告状況です。資料3-9は、研究報告の報告状況です。簡単ではございますが、議題3について事務局からの説明は以上です。

○五十嵐部会長 ただいまの事務局からの説明に対しまして、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議題4に移りたいと思います。資料の説明をお願いします。

○事務局 続きまして、議題4の医薬品の感染症定期報告です。資料4-1及び資料4-2を御覧ください。感染症定期報告は、薬事法に基づき製造販売業者が製品又はその原材料による感染症に関する論文等を報告する制度です。今回は、本年4月から7月末までに企業から報告された結果を取りまとめておりまして、資料4-2のとおり感染症定期報告が提出された件数は、合計308件です。資料4-1を御覧ください。感染症定期報告感染症別文献一覧表です。提出された感染症定期報告のうち、前回の本部会で報告済みのものを除いた文献等を感染症ごとにまとめたものです。新たに報告された文献等は81件ありました。

 今回、比較的報告が多かったものとしては、1ページにありますE型肝炎が8件、その下のインフルエンザ、鳥インフルエンザに関するものが8件ありました。また、その下には、エボラ出血熱に関する報告も4件報告されております。委員の皆様には当会議の前に資料を送付しておりますが、国立感染症研究所の渡邉委員、石井委員、国立医薬品食品衛生研究所の新見委員に資料を御確認いただくとともに、事前にコメント、御意見をお願いしております。御意見等をお願いしました委員からは、直ちに安全対策を講ずる必要があるものはなく、また今回、特段のコメントをするものもなかったと伺っております。議題4に関する報告は以上です。

○五十嵐部会長 それでは、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。次の議題5に移りたいと思います。資料の説明をお願いします。

○事務局 続きまして、資料5-1は「一般用検査薬の導入に関する一般原則の見直しについて」です。この資料は今月12日に開催されました医療機器・体外診断薬部会で了承されたものです。今後、新しい一般用検査薬の製造販売が認められることとなった場合には、第一類医薬品から第三類医薬品のリスク区分につきまして、本医薬品等安全対策部会において御審議いただくこととなることから本日、医療機器・体外診断薬部会の現在の検討状況について概要を報告いたします。

 1ページの第1「基本的な考え方」にありますように現在、体外診断用医薬品のうち、一般消費者が薬局薬店で購入できる一般用検査薬については、平成2年の基本的考え方に基づきまして、現在、尿糖検査薬、尿たんぱく検査薬、妊娠検査薬の3種類の製品が承認され、製造販売されております。近年、関係団体から一般用検査薬の拡大について要望されていることや、規制改革会議において平成26年3月に、「厚生労働省は医療用検査薬から一般用検査薬への転用の仕組みを早期に構築し、平成26年中に運用を開始すべき」という指摘がされていることを踏まえまして、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会におきまして、体外診断用医薬品の一般用医薬品への転用の在り方について検討が行われております。

 5ページです。医療機器・体外診断薬部会においては、本年の6月から検討を開始し6月、8月、9月、11月と、これまで計4回にわたって関係団体のヒアリング等も実施しながら、一般用検査薬の導入に関する検討が行われ、ここにお示ししました「一般用検査薬の導入に関する一般原則について」が取りまとめられております。

 8ページからは平成2年の基本的考え方から今回の一般原則への変更点について新旧対照表でお示ししております。主な点は、8ページの中ほどのア)検体について、右側の現行の部分では尿、糞便が検体として適当であるとされているところ、左側の改正後では、尿、糞便、鼻汁、唾液、涙液など採取に際して侵襲のないものが検体として適当であると改訂されております。また、その下の9ページの検査項目についても「健康状態を把握し、受診につなげていけるもの」という表現に改訂されております。そのほか、骨子の考え方に立って必要な修正がなされておりますが、詳細の説明は割愛いたします。

13ページです。今回の新しい一般原則を踏まえまして、具体的に新しい一般用検査薬の承認審査を進めていくための手順の案をお示ししたものです。1314ページに文書でお示ししておりますが、15ページにフロー図を掲載しております。こちらの手順案では、まず検査項目ごとに業界にてガイドライン案を作成することとしておりまして、右側の※1のとおり、使用上の注意、使用方法、検出感度等、統一的な基準をガイドラインとして作成することを想定しております。

 そのガイドラインが行政に提出された後、PMDAにおいて専門協議も含めた検討を行い、その評価結果を踏まえて医療機器・体外診断薬部会において一般用検査薬とすることが適当かどうか御審議を頂くこととしております。その結果、一般用として認められることとなった検査項目については、一般用検査薬として検査項目が追加され、個別の製品の承認申請の受付が始まることとなります。また、それと同時に、右側に矢印を引っ張っておりますが、本医薬品等安全対策部会において、リスク区分の検討を行う予定としております。この手順については、次回の医療機器・体外診断薬部会において最終的な御確認を頂く予定としております。簡単ではございますが、資料5-1についての説明は以上です。

 続きまして、既に製造販売されている医薬品に対して、RMPに関する承認条件を追加する際の手続等の見直しについてです。資料5-2「イエローレター又はブルーレターの発出に伴うRMPに係る承認条件の付与等の手続の際の見直しについて」です。医薬品リスク管理計画、RMPですが、医薬品のリスクを適切に菅理し、安全性確保を図るため個々の医薬品について、得られた治験に基づいて安全性検討事項を明らかにし、それを踏まえて安全性監視活動の計画及びリスク最小化活動の計画を策定、実施することによりまして、安全対策の充実・強化を図ろうとするものです。

 既に製造販売されている医薬品について、例えばイエローレターやブルーレターが発出されるような安全性上の懸念が生じた場合などにおいては、RMPの策定の必要性があれば承認条件として追加又は付与することとなります。これに係る手続につきましては、本年7月23日の医薬品等安全対策部会におきまして、イエローレターやブルーレターの発出等の手続と合わせて、本部会の部会長及び委員の事前確認を行った上で、直近の本部会に事後報告する旨を事務局より報告しております。

 その後、実際に本年1024日に、資料2-2にありますとおり、C型肝炎治療薬のソブリアードカプセルについてブルーレターを厚生労働省より発出いたしました。この際、本部会で御報告いたしましたとおりの手続を行いまして、本部会の委員の皆様にも通知発出の前日に厚生労働省からブルーレターの発出と、RMPに係る承認条件の追加について確認を求めましたが、十分な時間を確保することができませんでした。そこで、今後、イエローレターやブルーレターの発出及びそれに伴うRMPに係る承認条件の追加又は付与については、十分な時間が取れない場合は部会長に事前確認した上で行って、直近の本部会において事後報告を行うことといたします。イエローレター又はブルーレターの発出に伴うRMPに係る承認条件の付与等の際の手続の見直しについての報告は以上です。

 続きまして、薬事法改正に関して資料5-3に基づき御説明いたします。既に御案内のことと存じますが、薬事法の改正法が昨年1127日に公布され、今月1125日より施行される予定となっております。改正事項は多岐にわたっておりますが、本日は安全対策に係る改正事項についてのみで恐縮でございますが、抜粋して簡単に御紹介いたします。上から順に説明いたします。まず、I「医薬品、医療機器等に係る安全対策の強化」です。1ポツ目、薬事法第1条の目的規定に医薬品等の品質、有効性、安全性確保に加えまして、保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止を明記しております。

 2ポツ目です。医薬品を取り扱う関係者、具体的には国、地方自治体、メーカー等の関連事業者、医師、薬剤師等の医薬関係者、国民、それぞれの役割を責務規定として新たに設けております。3ポツ目です。医薬品等の製造販売業者に対して最新の知見に基づき添付文書を作成し、また、厚生労働大臣に届け出るよう義務を課しております。また、併せて添付文書の公表の義務も課しております。

 4ポツ目です。医療機関から行政への副作用報告について、これまでは厚生労働省に報告することとされておりましたが、製造販売業者と同様に報告先をPMDAに一元化することとしております。5ポツ目です。法律事項ではなく省令改正事項ですが、本部会への関連が深いことから御報告いたします。機械器具と一体的に製造販売する医薬品、いわゆるコンビネーション医薬品と呼ばれているものですが、機械器具部分による不具合についても通常の医療機器と同様に不具合報告を行うことを新たに義務付けております。

 続きまして、II「再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築」です。1ポツ目です。医薬品や医療機器と別に新たなカテゴリとして再生医療等製品を定義しております。これによりまして、これまで薬事法では医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の四つのカテゴリを対象としておりましたが、今後は再生医療等製品を加えた五つのカテゴリを対象とすることとなります。2ポツ目です。再生医療等製品を使用する場合は医師等が患者に対して適切な説明を行い、使用の同意を得るよう努めるよう規定しております。

 3ポツ目です。再生医療等製品に対しては、使用成績調査や感染症定期報告、使用者に係る記録と保存など生物由来製品と同様の市販後安全対策を義務付けております。4ポツ目です。再生医療等製品については、医薬品と同様に副作用被害救済制度及び感染等被害救済制度の対象とすることとしております。最後のポツです。薬事法の題名を変更することといたしまして、改正後は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という法律名になります。資料5-3の説明は以上です。

 続きまして、資料5-4の市販直後等安全性情報収集事業についてです。本事業は新たに承認された医薬品のうち、新規性が高いものや国内外において使用経験が少ないものなど、特に市販直後の安全性確保が必要と判断されるものについて医療機関での採用から6か月間、その医薬品の販売、使用状況や副作用の発現状況、また、製造販売業者が行う市販直後調査、製造販売業者が販売開始後6か月間、医薬品の適正使用を促し、副作用等に関する情報を迅速に把握するために臨床現場を定期的に訪問し、確実な情報提供、注意喚起、副作用情報の収集や調査への協力依頼を実施する、これが市販直後調査ですが、この市販直後調査等の状況などの情報を毎月1回、医療機関より提供していただき、必要な対応を図ることを目的としております。

 資料5-4です。今回は調査が終了いたしましたゼルヤンツ錠5mgについて報告いたします。販売名はゼルヤンツ錠5mg、一般名はトファシチニブクエン酸塩、製造販売業者はファイザー株式会社で、武田薬品工業株式会社と共同で販売しております。販売開始は平成25年7月30日。平成26年1月末まで市販直後調査が実施されておりました。効能又は効果は、既存治療で効果不十分な関節リウマチで、効能又は効果に関連する使用上の注意において、過去の治療においてメトトレキサートを初めとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与するとされております。

 本剤はヤヌスキナーゼファミリーを阻害することによって、サイトカインシグナル伝達抑制を初めとする免疫抑制作用を介し、抗リウマチ効果を示す薬剤であり、抗リウマチ薬として新規作用機序の経口薬です。その免疫抑制作用により日和見感染を含む重篤な感染症が懸念されること、因果関係は明らかではありませんが、国内外の臨床試験で悪性腫瘍の発現が認められていることから、適正使用を促すことを目的に日本リウマチ学会において、全例市販後調査のためのトファシチニブ使用ガイドラインが策定され、投与対象患者として1週間当たりメトトレキサート8mgを超える用量を3か月以上継続して使用してもコントロール不良の関節リウマチ患者であって、更に、日和見感染に対する安全性を配慮して、一定の検査値等の基準を満たす患者さんでの使用が推奨されるなど、制限が設定されております。

 全例調査に登録されたのは、市販直後調査期間中で285例、また、平成2610月末時点で1,114例です。現時点まで使用上の注意の改訂を指示するような重大な副作用の安全性の懸念は認められておりません。調査に御協力いただいた医療機関は、新潟医歯学総合病院、独立行政法人国立病院機構千葉東病院、医療法人ひのうえ会樋上病院、広島赤十字・原爆病院、株式会社麻生飯塚病院、社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院、これら六つの医療機関です。

 これらの医療機関におけます当該医薬品の使用状況、副作用発生状況、製造販売業者の活動等について示しております調査期間の平成25年8月から平成26年5月まで、各医療機関の採用から6か月間を御報告いただきました。使用状況について、全ての医療機関で採用され、合計で約20名の患者に使用されています。有害事象、副作用などについて、これらの医療機関では重篤な副作用や有害事象は認められておりません。製造販売業者の活動状況について、医療機関への訪問頻度や市販直後調査により得られた情報等の情報提供及び副作用情報の収集には一定の評価がありましたが、薬剤部への情報提供は少ないとの意見が複数の施設からありました。

 調査期間終了後、製造販売業者に対し情報提供の体制、その活動等について聞き取りを行ったところ、情報提供及び副作用情報の収集に当たって適切な頻度で訪問し、適正使用のお願い、副作用情報の収集に努めていたとの報告がありました。また、適正使用ガイドを改訂し、悪性腫瘍等について最新の情報を提供しているほか、適正使用情報として全例調査の登録患者背景や報告された副作用の情報提供をし、適切な患者選択がなされるよう注意喚起をしているが、引き続き適正使用を推進するため今後も情報提供、注意喚起を継続的に実施するとの見解が示されております。その他としまして、調査実施機関では安全性情報の共有、臨床現場での利用について適切に活動した旨の報告がありました。資料5-4については以上です。

○五十嵐部会長 事務局からの説明に関しまして御質問、御意見いかがでしょうか。

○今村委員 資料5-1ですが、一般用検査薬の導入ということで、ここのいろいろな議論というのは薬食審の医療機器・体外診断薬部会であるということになっておりますが、私どものこの医薬品等安全対策部会との仕分けというのは、ここの一般用検査薬の安全に関わる問題を議論すると仕分けしてよろしいのですか。

○安全対策課長 資料5-1の一番最後の別紙を御覧いただければと思います。フロー図になっております。新たな一般用検査薬が市場に出るまでということですが、まず、どういうカテゴリが新たな一般用検査薬として認められるのかということを業界から、例えば、何々検査薬の承認に係るガイドラインを案として出しまして、それについては承認に関わる事項ですので、検査項目や感度についてガイドラインを、医療機器・体外診断薬部会で審議いただきます。

 医療機器・体外診断薬部会で審議して、ガイドラインが確定しますと個別の製品の申請ということで、これも承認に関わるものですから、医療機器体外診断薬の流れということで、部会の審議になるかどうかは内容によって判断するようですが、承認に関わる事項で審査されます。一方、安全対策部会ですが、承認に関わるというよりはリスク区分、今日の第1議題でありましたが、一類にするのか二類にするのかというリスク区分について御議論いただくということで、タイミングとしては新たな検査薬のガイドライン案ができて、体外診断薬部会で一応の了解が得られた段階で、こちらの部会にリスク区分についての考え方について御審議いただくという流れです。

 現在、体外診断薬というのは三つありまして、すべて第二類ということになっているのですが、新たな検査薬、項目が出てきた場合にそれらが、どのリスク区分に該当するのが妥当かということをこの部会で御審議いただきます。

○今村委員 審議の末、承認されたものについて、例えば重大な安全上の疑義があると、こちらの部会で判断した場合はどのような取扱いになるのですか。

○安全対策課長 承認された後に疑義があったということですか。

○今村委員 はい。

○安全対策課長 これは最初のときに申し上げたとおり、その区分で市販後に安全性上の問題が出たということであれば、その区分が妥当かどうかということを、またこの部会等で御審議いただいて、その結果必要であれば区分を見直すということになります。

○今村委員 承認に関わる前には、安全部会には掛からないということなのですね。

○安全対策課長 ガイドラインでAという検査項目を新たに一般用として認めるということになれば、まず、ガイドラインが出てきます。今度新たにできるのは鼻汁とかの検査になりますので、例えば鼻汁の何々検査薬ということでガイドラインができてくれば、それについてこちらの部会でリスク区分一類がいいのか二類がいいのかということを御審議いただくことになります。その段階では個別品目はまだ医薬品としては世に出ておりませんので世に出る前に、そのリスク区分についてはこの部会で御判断いただきます。

○今村委員 例えば、ここで今、検体の拡大が言われて、新しく血液というのが出てきました。

○安全対策課長 今、体外診断薬部会では、血液については侵襲性があるということで、取りあえず対象にはならないとされています。

○今村委員 対象にはならない。

○安全対策課長 はい。先ほどお示しをしました8ページを御覧ください。どういう検査項目が必要かということで、左側は改正後で右が現行の取扱いになっております。左の改正後を見ていただきたいのですが、1ポツで検査項目があります。ア)で検体です。下から6、7行目ですが、これらの条件から今後認めるということで、現在あるのは尿と糞便、今後認めるのは鼻汁、唾液、涙液ということになります。侵襲性のないものが検体としては適当である。※がありますが、検体の採取に採血や穿刺等を伴う行為であれば侵襲があると考えるということで、血液については対象となっていません。

○今村委員 分かりました。

○事務局 体外診断用医薬品審査を担当しております部局から、補足して説明を申し上げます。今の血液検体の議論に関しては資料5-1の2ページを御覧ください。中ほどから「今回の見直しに当たり」という箇所があります。ここで自己血糖の測定などに関する検査対象についての要望があったということがあります。「しかし」以降ですが、「特に、血液を検体とする検査について、医療用検査薬を一般用検査薬とすることは難しい状況にある」。

 この理由に関しては、現状の課題としまして2ページの下にある部分で、侵襲性のある検体の採取についての問題点について3ページの冒頭に当たりまして、血液に起因する感染症を防止するための対応が必須であること、それから服用歴や既往歴によって止血困難等により対処が必要となることなど、様々な課題がありますので、これらの点について関係者の理解と合意の下で整備される必要があるということで、現在は対象から外れるものであるということになっております。

○今村委員 是非そうしていただきたい。通常の一般薬も含まれますし、検査薬もありますが、特に遺伝子検査等が今、こういったようなところ以外のところで非常に無秩序にされるということで、ちょっと採血して送ってもらえば、それで直接、被検者に報告を送ってくるという、全然安全とか何とかいうのとは別個の問題といいますか、遺伝子情報をどう扱うかという問題も出てきますので、採血については極めてきちんと取り扱わなければいけないと思っておりますので、この点もよろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、予定をいたした議題は以上で終了いたしますが、事務局から何かありますか。

○事務局 特にございません。次回の日程については調整の上、また御連絡いたします。

○五十嵐部会長 それでは、本日の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会を閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 清原(内線2752)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録(2014年11月14日)

ページの先頭へ戻る