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2014年9月24日 平成26年度第2回血液事業部会運営委員会 議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成26年9月24日(水) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室 12階
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員:(5名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田崎 哲典 花井 十伍
山口 照英

日本赤十字社:

碓井 達夫 日野 学 籏持 俊洋

事務局:

浅沼 一成 (血液対策課長) 亀田 義人(血液対策課長補佐) 永井 美玲(血液対策課長補佐)

○議題

・委員長の選出及び委員長代理の選出
・議事要旨の確認
・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・その他

○議事

○亀田課長補佐 それでは、定刻より若干早くなりましたが、「平成26年度第2回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

まず初めに、前回まで委員長をしていただいた牧野茂義先生から、一身上の都合により辞意の表明がありまして、辞任されたことに伴って、新たな委員長が選出するまでの議事進行は大平委員長代理にお願いしたいと思います。

出席者に関しては、現在の委員5名中5名の出席をいただいております。

また、本日は日本赤十字社血液事業本部より、碓井達夫総括副本部長、日野学製造販売総括管理監、籏持俊洋供給管理課長、以上3名に参加いただいております。よろしくお願いいたします。

以上、事務局からの報告とさせていただきます。

カメラ等の頭撮りはここまででお願いいたします。

○亀田課長補佐 それでは、以降の進行を大平委員長代理にお願いいたします。

○大平委員長代理 それでは、議事を進行させていただきます。

事務局からの審議参加に関する遵守事項について、報告をお願いいたします。

○亀田課長補佐 本日出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受取状況を報告いたします。

本日の検討事項に関して、「薬事分科会審議会参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題3から議題5に関して、岡田委員から関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受取の申告がなされたため、議題3から議題5の検討に当たりましては、意見を述べることは可能ですけれども、議決には加わらないこととさせていただきます。

以上となります。

○大平委員長代理 それでは、議題に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○亀田課長補佐 それでは、事務局から資料の確認をさせていただきます。

議事次第

 資料1 平成26年度第1回血液事業部会運営委員会議事要旨(案)

 資料2-1 A 研究報告(概要一覧表)

 資料2-2 A 研究報告(詳細版)

 資料3-1 供血者からの遡及調査の進捗状況について

 資料3-2 血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について

 資料3-3 献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数

 資料4-1 平成25年度日本赤十字社の血液事業への取り組みについて

 資料4-2 平成25年度血液事業への取り組みについて

 資料4-3 山口県赤十字血液センターにおける輸血用血液製剤保管管理の事故について

  資料4-4マル1(血液対策課) デング熱について

  資料4-4マル2(日本赤十字社) デングウイルスの国内感染が確認されたことに伴う対応について

  資料5 フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について

 以上となります。

不足等ありましたら、事務局までお知らせください。

○大平委員長代理 ありがとうございました。

それでは、議題に入りたいと思います。

  まず議題1、「委員長の選出及び委員長代理の選出について」です。

薬事分科会血液事業部会運営委員会規定第4条に基づき、委員の互選により委員長を選出したいと思います。意見はございますでしょうか。

それでは、私のほうから、委員長候補として田崎哲典先生を推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大平委員長代理 それでは、異議なしということで、田崎哲典先生を委員長にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(席の移動)

○田崎委員長 進行役を仰せつかりました田崎と申します。今日はよろしくお願いいたします。

まずは、委員長代理を指名したいと思いますが、運営規定第4条第3項によりまして、これは委員長の指名ということでありますので、大平委員のほうに引き続き委員長代理をお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○大平委員長代理 はい。よろしくお願いいたします。

○田崎委員長 それでは、大平委員のほうに委員長代理ということでお願いしたいと思います。

では早速、議題2のほうに移りたいと思います。平成26年度第1回の運営委員会の議事要旨を確認いただきたいと思いますけれども、委員の先生方、いかがでしょうか。

特に問題なければ、これを記録としたいと思います。

それでは、議題3、「感染症定期報告について」ということで、これは資料2-1と資料2-2、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○永井課長補佐 それでは、資料2-1をごらんください。平成26年5月から7月に報告された感染症定期報告のうち文献資料の概要です。全部で16編の文献が報告されており、その詳細は資料2-2にございますが、2-1の概要を用いて説明いたします。

文献1は、E型肝炎ウイルス感染の報告です。欧州医薬品庁により公表された血漿由来医薬品のE型肝炎ウイルスの安全性に関するコンセプトペーパーの案です。原料血漿プールがHEVで汚染されていることを示す事例から、血漿由来医薬品の安全性について懸念されるため、201410月にワークショップが予定されております。

文献2は、ジカウイルス感染の報告です。フランス領ポリネシアで2013年からジカウイルスの流行があり、無症候性供血者のジカウイルス核酸増幅検査を行ったところ、3%が陽性でありました。現在までにフランス領ポリネシアでジカウイルスの輸血による感染は報告されておりませんが、輸血感染防止のために核酸増幅検査を行うべきと示唆しております。

文献3は、マルセイユウイルスの報告です。無症候性献血者と受血者であるサラセミア患者の2群においてマルセイユウイルスの感染率を調べております。両群間に感染率の有意差は認められませんでしたが、サラセミア患者がより若い年齢で抗マルセイユウイルスIgG抗体陽性であり、頻回の輸血がマルセイユウイルス伝搬の危険因子となる可能性が示唆されております。

文献4は、バベシア症の報告です。白血球除去赤血球の血液バッグにBabesia divergensを添加したところ、4℃、31日間の保存後にも生存し、感染するために十分な原虫が存在することが明らかになりました。

文献5は、C型肝炎の報告です。血漿にHCVレポーターウイルスを加えたところ、4℃及び22℃で6週間保存後の検体でウイルスの感染性が確認されました。汚染源や医療器具を介した感染の可能性を示唆する結果と考えられます。

文献6は、サイトメガロウイルス感染の報告です。生後2カ月の満期産男児が、母乳が感染源と考えられるサイトメガロウイルスに感染しました。重症サイトメガロウイルス腸炎を認めましたが、この患者さんは回復されております。

文献7、8は、エボラウイルス感染の報告です。文献7は、西アフリカにおけるエボラウイルスのアウトブレイクに関する報告、文献8は、ギニアにおけるエボラウイルス感染の報告です。

報道で御存じと思いますが、本年3月に、ギニアがWHOに対してエボラ出血熱のアウトブレイク発生を報告しております。9月2日現在では、患者数が3,500人を超えたと報告されております。

文献9は、ジカウイルス感染の報告です。ドイツ人男性がタイから帰国後、デング熱様症状を呈し、ジカウイルス感染と確認された、ヨーロッパで初めて確認されたジカウイルス感染症の輸入症例の報告です。

文献10は、チクングニヤウイルス感染の報告です。西インド諸島におけるチクングニヤ感染の報告で、東南アジアで同定されたアジアタイプに属していることが確認されております。

文献11は、梅毒の報告です。米国で、2011年以降、男性における梅毒の罹患率が上昇し、特に2009年から2012年、第1期及び第2期の梅毒の男性の大部分というのはMSMであることが報告されております。

文献12は、インフルエンザの報告です。中国で、重度急性肺炎で死亡した男性の咽頭スワブで、鳥インフルエンザウイルス、H5N6核酸陽性であることが判明いたしました。この男性は、病気で死亡した家禽への曝露歴がありました。

文献13は、オルソポックスウイルス感染の報告です。グルジアにおいて牛飼いが病気の牛との接触後に新種のオルソポックスウイルスに感染し、CDCでは、動物との接触後に生じた皮膚病変のある患者ではオルソポックスウイルス感染を考慮すべきとしております。

文献14は、クリミア・コンゴ出血熱の報告です。クリミア・コンゴ出血熱で患者さんが退院後に性交渉を持った妻でのクリミア・コンゴ出血熱の感染が確認されており、回復期患者との性的接触を介した感染の可能性が示唆されております。

文献15は、ヘニパ様ウイルス感染の報告です。中国の炭鉱で働いていた3名が原因不明の重症肺炎で死亡しました。その後、同じ洞窟内のラットから、ヘニパ様ウイルスが検出されております。

文献16は、ヒト顆粒球アナプラズマ症の報告です。静岡県でリケッチア様症状を呈した患者さんの血清検査で、間接蛍光抗体法にて、IgMIgG抗体が陽性となり、また、ウエスタンブロット法でアナプラズマのP44蛋白質に対する特異的反応を認識しました。ヒト顆粒球アナプラズマ症の血清学的診断法としての有用性が示唆されております。

資料2-1の説明は以上でございます。

○田崎委員長 ありがとうございました。

ただいまの御説明に関しまして、委員のほうから御意見等あればお願いいたします。

山口委員、どうぞ。

○山口委員 一番最初の論文のE型肝炎に関するEDQMのこれが、今年の10月にワークショップ開かれて最終的にどうするかというのは決まると思うのですけれども、ここで考えられているウイルス血漿の発症頻度というのが4,000分の1から7,000分の1ぐらいで、日本の北海道よりはもちろん頻度が高いのですけれども、でも、倍程度ということで、頻度が高くなっても倍程度でこういう対応がとられているということはちょっと着目に値するのかなという気がしております。

北海道のやつは、後のほうで議論されると思うのですけれども、1万ぐらいかなと、平均するとそのぐらいかなという気がちょっとしているのですけれども、この辺の差がどのように、この頻度をどう考えるかというところも必要なのかなという気がしますのと、もう一つは、将来的にもう一度、今、本州でやってないですけれども、本州での頻度ぐらいは今度検討してもいいのかなとちょっと気がいたしました。

あと続けてよろしいですか。

○田崎委員長 では、今のところまでで、要するに頻度をどう考えるかということですね。それから、将来的にこれをどのように扱うのかという御質問というか御提案がありましたけれども、血液センターのほうからはそのことに関しての、後からにしましょうか。それとも、将来についてはここでお話しされても、何か御意見があれば結構ですが。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 確かにヨーロッパのほうでは、かなり豚肉を食べるということで、頻度は日本よりも多いと思います。日本の場合は、全国おしなべて見ると、抗体で5%ぐらいだと思うのですけれども、実は関東よりも東側に多くて、西側に少ないという傾向も1つあります。そういう中で、頻度だけで考えるのか、それとも、その病原体の持っている重篤性がどうなのか、キャリア化するのかどうかということも含めて検討していく必要があるかなと思っています。いずれにしても、今回の資料ナンバー1の状況は注視していきたいと思っています。

○山口委員 10月にワークショップでどんな議論がされるかということを受けて、必要であればちょっと考えていただければと思います。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 そうですね。

○田崎委員長 頻度に関しては、確かにおっしゃったとおりだと思いますね。それで、東のほうに多いということですけれども、今、山口委員からご指摘があったのは、将来的に、ここで意見を述べられるのはちょっと難しいのかもしれませんが、北海道だけでなくて、東日本、あるいは、全国的に検査を進めるかということですけれども、そのような方向までは今のところはないということでよろしいわけですね。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 いずれにしても、先生がおっしゃったような、前回北海道で、今、研究的なスクリーニングをしておるわけですけれども、その前に都内で採血された血液のNATを見たのですね。そのときには、東京都内で見たNATの陽性の頻度と北海道のものを見ると、北海道のほうが、後で報告されると思いますけれども、当時は8,500分の1ぐらいの頻度だったのですけれども、都内はどうかというと1万4,000から1万5,000分の1程度のNATの陽性の頻度であったということがわかっていたのですね。そういった頻度も含めて検討する必要があると思いますし、ユニバーサルスクリーニングでいくかということも、B、C、Iと同じように、全数にNATを実施するかという必要性も含めて少し検討したほうがいいかなと思います。

○山口委員 それとちょっと1点だけですが、検査を導入するという意味ではなくて、言いたかったのは、一度、大分前に、今おっしゃられたように、検査の調査をされているので、その詳細調査みたいなものをやってもいいのではないかなという、ちょっと提案です。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 確かに前回の、先ほど説明した都内の頻度といいますのは、たしか20052006年ぐらいの話だったと思いますし、10年ぐらいたっていますので、それから食生活も少し変わっている可能性もありますので、見てみる必要はあるかなと思います。

○田崎委員長 それから、今1つありました頻度のほかに病原性に関してどのように考えるかということですけれども、HEVに関しては、いわゆる不顕性感染というのでしょうか、ほかのウイルスに比べるとそんなに臨床的には問題でないかという感じもあるのですが、そういう視点からは、この検査を進めるかどうかはいかがでしょうか。

○山口委員 そうですね。1つは、北海道で検査をすべしとなったのは、北海道でのみジェノタイプ4が見つかっているということで。今のところですけれども。ジェノタイプ4のほうが重篤化するということで、それは非常に妥当な結論かなという気がしております。

ただ、もう一つちょっと気になるのは、HEVは一過性感染と言われているのですけれども、場合によって持続感染するのではないかという報告もありますので、そういうことを考えると、先ほどおっしゃられた調査の件も含めて、そういう調査をしてもいいのではないかという気がいたします。

○田崎委員長 ありがとうございます。

○岡田委員 確かに、Eが問題になってもう10年近くたつので、ヨーロッパでもそうなのですけれども、抗体検査を疫学調査としてやっているのですね。ただ、抗体の問題点として、感染すると、ある一定期間は陽性になるので、現状を反映していない可能性があるのですね。ですから、例えばA型肝炎の抗体検査をしますと、10年、間をあけると、その抗体陽性の年齢分布が10年高齢者のほうに移るということで、そういう現象が見られています。ということは、その10年間において新たな感染がないということを示しているわけです。

ですから、E型肝炎も、抗体の陽性と、あと年齢を調べることによって、より高齢というか、10年たって調査して、10年、年齢がずれているようであれば、新たに感染した可能性は非常に低くなるし、全然年齢関係なく、また若い人でも新たに抗体陽性が出ているということになると、現在でも感染は起こっているということが考えられるので、10年ぐらいたっていたので、抗体も含めて評価するということは必要ではないかと思うのですね。

あともう一つ、ヨーロッパで問題になっているのは血漿由来の血漿分画製剤なのですね。そういう面で見ると、各血漿分画製剤を製造しているメーカーにとって、このE型肝炎が混入しても、それが現状の製造工程で除去できるかどうかというのは、もちろん評価していると思うのですけれども、そういう検討で、製剤によっては、今、現状だと、SD処理とか、あとはアフィニティークロマトとか、あとはウイルス除去膜で、特に20ナノのウイルス除去膜を導入しているところは、このE型肝炎は25ぐらいの大きさですので、理論的にはウイルス除去膜でトラップできるだろうと思うのですけれども、製剤の中には非常に高分子のために20ナノのウイルス除去膜が使えないような製剤があるのですね。だから、そういう特殊な製剤の原料血漿に入った場合に安全性をどう担保するのかとかいうことで、特に除去効率が悪い製剤については、メーカー製造工程をある程度、不活化をさらに上乗せするとか、そういう製剤をつくる原料血漿にはE型肝炎の量をチェックして、陰性のものを使うとか等の工夫によって血漿分画製剤の安全性は一応確保できるのではないかと考えております。

以上です。

○田崎委員長 ありがとうございます。今話が出たのは、結局、頻度の問題と、それから病原性の問題、それからもう一つは製品としたときの安全性の問題、そのほかにもいくつかあると思うのですけれども、その3つの視点からもう一度これを考えたほうがいいだろうという意見だったと思います。先ずはこれはコンセンサスペーパーですので、いわゆる速報みたいな感じだと思うのですが、102829ですかね、本文のほうを読みますと、ワークショップが行われるということですので、多分そのときに新しい情報とかがまた出ると思いますので、そのときに、またそういう情報も含めて、この問題に関して御検討いただければと思います。

文献1のほかには、どなたか。

○岡田委員 この10月に開かれるワークショップに厚労省のほうでどなたか参加したり、あとは、現地の大使館の方にちょっと聞いてもらって情報等を入手するとかいうことは可能なのでしょうか。

○永井課長補佐 血液対策課から参加する予定は、今のところございません。そのほかについては、後で確認します。

○岡田委員 このワークショップって参加はある程度自由なのですか。それともメンバーは限られているのでしょうかね。

○永井課長補佐 日赤の方はどなたか御参加されると伺いましたが?

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 当初、参加も考えたのですけれども、結局、その時期に私どもの学会と当たっておりまして、そちらのほうをやはり優先したということになります。

○山口委員 老婆心ながら、出しているのがEDQMですので、局関連の方に情報は回る可能性があるので、例えばPMDAの基準課とか、その辺の関連で行く人があれば情報収集していただくのをちょっとお願いするのも手かなという気がいたします。

○亀田課長補佐 いずれにしろ、情報が手に入るように調整していきたいと考えております。

○田崎委員長 ありがとうございます。どうぞ。

○花井委員 E型肝炎に関しては、これまで血漿分画製剤に関してはウイルスの脅威というのはかなり減っているという理解で、生物学的製剤基準においても、B、C、I等々については一定のクライテリアで配慮していると。もちろんスクリーニングも含めてなのですけれども。Eについては、生物基以下の通知その他では、B、Cに比較してどのような整理になっているというのはちょっと確認しておきたいのですが。

○山口委員 一応生物製剤基準に関してはBとCとIだけでして、Eに関してはちょっと記載がございません。ただ、例えばウイルス安全性、これは血液製剤にかかわらずということで、例えば局保というのは医薬品全般に係るということを考えれば、局保の中ではそのウイルス安全性に関して、Eに特化せずに、ウイルス安全性のことについて言及はされております。それは例えば十分なウイルスクリアランス能を持った工程を入れるべきとか、そういう観点での評価であって、Eに特化した形ではないと思います。

○花井委員 ということは、Eに関してどの程度のウイルスリダクションができているかというのは、モデル的にだと思うのですけれども、例えばB19とか、そういうのと同じようなレベルと理解していいですかね。現状では。

○山口委員 多分、EはBより強い可能性はあるとは思います。かなりpHの低いところでも生き残りますので。ちょっと問題になるのは、普通、ウイルスクリアランスとかそういうときに言うのは、よく医薬品の中でICH-Q5Aという培養医薬品のクリアランスのことが書かれたガイドラインがあるのですけれども、多くの場合はモデルウイルスを使って検討されているのですけれども、このように血液製剤の場合には、必要に応じてレリバントウイルス、対象ウイルスを対してクリアランスを評価する必要があるのかなという気がいたします。

先ほど岡田先生がちょっとおっしゃられたように、E型肝炎、要するに、場合によってはクリアランスが十分達成できてない可能性がある。特に分子量が多いものとかでは。さっき言いましたように、ちょっとpHが低いところでも強いですし、それから、ノンエンベロープに関して、要するにエンベロープを持っていないウイルスに関して言えば、多分105 とか106 でも合格しているような形になっているのですけれども、このEDQMの中ではウイルスガイレミアとして107 ぐらいの場合があるということで、ほとんどセーフティマージンがない。ただ、実際にはすごくリスクがあるわけではなくて、一番高いやつがそのぐらいで、それをプールして、さらにそこから精製していくという形をとりますので、スターティングのタイダはそれほど高くないとは思うのですけれども、それでも、BとCとかIが100IUというよりも、実質上は少し高濃度になる可能性はあるとは思います。

○田崎委員長 よろしいですか。

○花井委員 今後ある程度整理ができたら、そういうこともきっちりと基準ができたらなと思います。

○田崎委員長 とにかく濃度が高くなる可能性はあるものの、製造過程を考慮するとそれ程問題は無いのではということかと思いますが、まだ整理しなければならない基準があるようですね。

そのほか、この文献1のほかに、何か委員の方々から御意見ありますでしょうか。

○山口委員 文献5ですけれども、C型肝炎の温度を変えたときの安定性に関する話で、これだと、常温とか4℃だとほとんど生き残っているという話になるのですけれども、これは恐らく、文献を読みますと、要するに凍結乾燥状態でどれだけ安定かということなので、これが即、例えば溶液状態に適応できないかもしれないですし、使っているのがセルスペシックに、セルに適合したHCB株ですので、これが臨床株と同じ挙動を示すかどうかというのはちょっと違うかと思います。

というのも、幾つかC型肝炎に関してどれだけの安定性があるかということで再生医療等で少し問題になっておりまして、それに関して考えれば、溶液状態ではそれほど安定ではないとは思います。

○岡田委員 今、培養できるC型肝炎の株って1つしかないのですけれども、それを使って、我々の研究班でも、実は4℃で、アルブミンとグロブリンでどのぐらい生きるかということで、恐らく数日以内で失活するかと思ってやったのですが、6週間でも全然変わりませんね。ですから、予想以上に、これがCに特化したのではなく、ほかのウイルスですけれども、溶液であっても、温度が4℃ぐらいであって、それで蛋白が豊富にあると溶液状態でも意外にウイルスは生存するのではないかということが、我々の実験ではそういうデータになりました。

ただ、C型肝炎はいろんな株がありますので、全てがそのように安定なのかというのは、残念ながら、今の科学レベルでは証明することができませんけれども、意外に安定だなということが示されました。

○山口委員 22℃は。

○岡田委員 22℃はやっていません。4℃だけですね。

○田崎委員長 ありがとうございます。恐らくここで言っているのは、結局、肝細胞がなくても、血清とかそういうものが例えばガーゼに付着するとか、あるいは機材に付着しただけでも、その中のウイルスはずっと生きているということかと思います。それが即感染に結びつくかということを言っているわけではないですね。そういう理解でいいでしょうか。

レポーターウイルスを用いて、発現を見たということだと思います。そのほか、5番以外に何か御意見ある委員の先生方いらっしゃいますでしょうか。

どうぞ、岡田委員。

○岡田委員 10番でチクングニヤですけれども、これは西インド諸島にチクングニヤのアウトブレイクが起こって、その影響で、米国本土でも旅行者を中心としてチクングニヤウイルスの感染が起こっていて、ちょうど日本の今のデングの状態と同じようなことが起こっているのですね。それで、このチクングニヤ、実は東南アジアにも広がってきておりますので、日本でも同様なことが、今年はデングですけれども、来年はチクングニヤかもしれませんので、そういう面では要注意の感染症であることは間違いないと思いますね。ですので、皆さん、デングに注意していますけれども、たまたまデングが今年はやったので、来年はということで、何らかの、要するに早期に見つけるようなシステムをつくっておかないと、気づいたら結構流行が起こったという、今回のようなことが起こるかもしれませんので、来年のことを考えて対策を考えておく必要があるかと思います。

○田崎委員長 ありがとうございます。どうぞ、御意見あれば。

○山口委員 岡田先生と同じ、10番をちょっと今コメントしようとしたのですけれども、デングも血清型が違う1から4までで、多分、PCRのターゲティングも少し違っているのかなという気がするので、今回、フラビウイルスが結構たくさん出てきているのですけれども、万が一入ってきたときのために、検出法の検討とか、日赤でされているのでしょうか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 今回のデングもそうですけれども、中央研究所のほうで、チクングニヤも含めてPCRできるような形で体制は整えています。もちろんスクリーニングの話ではないですけれども。

○田崎委員長 そのほかに御意見等ありますでしょうか。

岡田委員。

○岡田委員 11番の文献で、梅毒が増加しているということで、日本赤十字社の方にお聞きしますけれども、日本ではどうなのでしょうか。献血者における梅毒の増加というのは、そういう傾向があるのでしょうか。それともないのでしょうか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 以前から、先生もこれは懸念していたのですけれども、実際の献血者の中においては、もうほとんど横ばいか、若干減少ぎみというデータです。

○田崎委員長 そのほかに御意見等ありますでしょうか。

○岡田委員 16番になるのですけれども、ヒトアナプラズマ症の血清学的診断をやったら日本にも存在しているということが明らかになったのですけれども、実はヒトアナプラズマ症と、SFTS、重症熱性血小板減損症の症状というのは非常によく似ているのですね。ですので、SFTSかと思ったら実はヒトアナプラズマ症という可能性もありまして、このヒトアナプラズマ症は細菌感染ですので、テトラサイクリン系の抗生剤がある程度効果があるのですね。ですので、SFTSかと思って対症療法ばかりしていたら、実はヒトアナプラズマ症だったりすると、治療する機会をなくしてしまうということで、SFTSの可能性があったときには、アナプラズマ症でも鑑別診断の一つに入れるということが重要だと思います。両方ともダニによる感染症なので、起こる地域も恐らくダブっていると思いますので、鑑別診断としては考えたほうがいいと思います。

以上です。

○田崎委員長 顆粒球にいるのですね。そうしますと、白血球除去フィルターなんていうのは有効なのですか。

○岡田委員 恐らく顆粒球の中にいると思いますけれども、全てが顆粒球の中にいるわけではありませんので。

○田崎委員長 今、保存前白血球除去というのは全部やっているわけですので、そういう視点からすると余り起こらないのかなあと思ったのですが、そうでもないわけですね、当然。

そのほかに御意見などありますでしょうか。

よろしいですか。

ありがとうございました。では、次に議題の4のほうに移りたいと思います。血液製剤に関する報告事項についてということですね。資料3-1から3-3までまとめてお願いいたします。

○永井課長補佐 それでは、資料3-1をごらんください。「供血者からの遡及調査の進捗状況について」です。

資料をめくっていただきまして3ページ目、右上に別紙-1と記載されている、日赤から報告された遡及調査実施状況をまとめた表がございます。右端の列、平成26年4月1日~平成26年6月30日が直近の情報です。この3カ月間では、一番上の1,615件が期間中に遡及調査の対象となった献血件数であり、個別NATが実施された件数を示しております。

この3カ月の件数から考えますと、前年と比べややHVBの件数は減少傾向にあるのではないかと思われます。

右端の列の中ほどをごらんいただきますと、8という数字が、遡及調査の対象のうち、個別NATが陽性となった件数です。8件全てがHBVでした。さらに同じ列の下をごらんいただきますと、受血者情報が判明した件数というのがございます。この中で陽転事例は0例でございます。

資料3-1は以上です。

続いて資料3-2をごらんください。「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」です。まず、表紙の1ポツ目ですが、今回の調査期間、平成26年4月1日~6月30日におきまして、輸血用製剤で感染が疑われる事例は、細菌感染報告の2例でした。この2例の詳細は、次からのページにございます。

1ページ目をごらんください。1例目の患者さんは70代の女性。原疾患は急性肝不全等です。7月7日に急性肝不全で緊急入院し、翌日、血漿交換を実施した際に新鮮凍結血漿を使用しました。7月15日に、急性肝不全、敗血症で死亡しております。

患者さんの血液培養より黄色ブドウ球菌を検出しております。

3の状況の(2)に示しますように、当該製品を確保できず、細菌関連検査は実施できておりません。

もう一例の患者さんは、次の2ページ目、70代の男性、原疾患は慢性骨髄単球性白血病です。7月2日に肺炎で入院し、7月5日に赤血球濃厚液を輸血した後、容体が急変し、ショックに伴う多臓器不全のために死亡しています。患者さんの血液培養は陰性でした。

3の状況の(2)に示しますように、同一採血番号の血漿で、無菌検査結果は「適合」でした。

輸血用血液製剤で感染が疑われる事例は以上2例でございます。

次のページをごらんください。こちらは過去に報告されたHBVHCV感染疑い事例についての継続調査のまとめです。今回新たに更新情報はございません。

次の4ページをごらんください。平成26年5月から7月における感染症報告事例をまとめております。輸血用血液製剤につきまして24件の報告がございました。内訳としましては、HBV感染報告事例が8例、HCV感染報告事例が9例、HIV感染報告事例はなく、その他の感染症報告として7例、そのうち1例がHEV感染でした。

HBV HCV感染報告事例のうち献血者の個別NATが陽性であった事例はともに0件です。その他の感染症報告例のHEV感染の詳細は、9ページのエクセル表の下段、「輸血によるHEV感染報告例」にございます。9ページをごらんください。患者さんには血小板濃厚液が投与され、患者さん、献血者からHEVのジェノタイプ3が検出されております。

なお、本献血者由来の原料血漿が血漿分画メーカーに提供され、一部製品が出荷されておりますが、この原料血漿からつくられる血漿分画製剤の安全性につきましては、安全技術調査会座長の吉澤先生、委員の山口先生、岡田先生に製造工程等をごらんいただき、最終製品にウイルスが混入することはなく、安全性に問題はないことを御確認いただいております。

感染症報告の詳細は以上です。

続きまして、資料をめくっていただいて14ページ、「試行的HEV20プールNAT実施状況について」をごらんください。北海道で実施しておりますE型肝炎に対する20プールNATスクリーニングの結果です。一番下から2つ目の行、直近の情報としまして、平成26年1月から7月の情報が記載されております。HEV-RNA陽性者数は10名、内訳は、ジェノタイプ3が7名、劇症化が懸念されますジェノタイプ4が3名でございます。

資料3-2は以上です。

続いて資料3-3に移ります。平成26年1月から6月の献血者数におけるHIV陽性件数は、第1四半期の報告数20件に加えまして、第2四半期に16件の報告があり、合計は、一番下の行にあります36件となっております。うち女性が2件、核酸増幅検査のみにおける陽性件数は0件です。前年同時期の陽性件数は35件であり、ほぼ横ばいです。また、10万件当たりの陽性率は1.433となっております。

続いて2ページ目は、陽性者数を年齢別に示したものです。この資料は昭和61年からの累積値になっておりまして、20代から30代の日本人男性が全体の7割を占めております。

3ページ目は都道府県別の陽性者数です。1月から6月までに16の自治体から陽性者の報告がありました。陽性者報告のあった自治体の数は、前年同時期は17自治体でありました。また、都道府県別に見てみますと、前回、第1四半期は、東京で4件、大阪4件で、今期、4月から6月の報告分は、東京は3件、東京の前年同期は4件です。大阪は2件、大阪の前年同期は1件でした。

次のページで陽性数をブロック別に見ますと、10万件当たりの陽性者数は、近畿で高く、10万件当たり2.365でした。

5ページ目は、平成21年から26年1月から3月にかけての年齢別の陽性割合を示したものです。平成26年1月から3月につきましては、1619歳が1件、20代が5件、30代が3件、40代が8件、50代以上が3件という構成となっております。合計20件のうち、20代と30代の合計が8件で、全体の4割に対し、40代が8件と40代の割合が大きくなっております。

次のページは、25年1月から3月までの10万人当たりの男女別の陽性者数の年次推移でございます。

資料3-3は以上です。

○田崎委員長 ありがとうございました。資料が多いので、資料3-1から順番に見ていきたいと思いますが、まず資料3-1ですね。これに関しまして、御意見、あるいは御質問お願いいたします。

HB 抗体のカットオフインデックスをかなり厳しくしたということで、検査する件数がすごく多かったのですけれども、最終的に見ると、今のところ、これは3カ月ですけれども、陽転例はないということですね。それから、個別NAT陽性が8件ということで、そういう意味では導入がかなり有効に働いているようですが、この評価をするにはもう少し様子見なければいけませんか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 当時、年間に実ドナー数でカットオフインデックス12未満のドナーさんの数が6万5,000人ぐらい推計されました。そういうこともありまして、日赤とすれば、実際にカットオフインデックス1にする以前に、そういったドナーさんにはあらかじめ陽性通知データをお送りして、コア抗体が陽性ですということで、献血の御辞退の連絡を差し上げていたのですね。そういう通知を差し上げていますので、それがかなり減ってきているということのあらわれかなと思います。

○田崎委員長 そのほか。

これは3カ月ですから、4倍してもかなり少ないなという感じはしますけれども、委員の方々から何かコメントございますでしょうか。

特になければ、では資料3-2ですね。これは医療機関からの感染症報告事例についてということで、最初の件が血漿の輸血でしょうか。それから、その次のほうが赤血球濃厚液ですか。これらの副作用について、或いは5年間分というところでもいいですし、そのほかについても構わないですけれども、資料3-2のところでコメント、あるいは御意見あればお願いいたします。

○山口委員 よくわからないのですけれども、輸血用血液製剤で細菌感染が疑われた事例の2例目というのが、最終的には担当医の御意見でも因果関係不明ということなので、ただ、この状況だけ、出ているデータだけ見ると、細菌感染症とはなかなか素人目にも考えにくいような気がするのですけれども、こういうのがいつまでも残ってくるというのも私はちょっとどうかなという気がするのです。

○田崎委員長 事務局のほうから何かありますか。

○永井課長補佐 おっしゃるとおりと思いますけれども、現場から報告が挙がってきたものに関しましては、こういう場で御報告させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山口委員 逆に言うと、その前でも幾つかあったのですけれども、例えばここの意見としては、これはなかなか考えにくいですという意見をフィードバックしていただくとか、そういうことはできないのですかね。そうすることによって、委員会としては、これはちょっと考えにくいですねということが言えればいいのかなとちょっと。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 医療機関側からの、患者さんの副作用もそうですけれども、感染症報告についても、例えば感染症報告であれば、ドナーさんがその後の献血とか呼び出しで全てHBV陽性、陰性でしたということがあれば、輸血と因果関係ありませんねということは言えると思うのですけれども、今、山口先生おっしゃったようなことに関しては、調査する立場からすると全く否定はできないというのがあるかなと思います。

○山口委員 日赤としては言いにくいなというのはよくわかっているのですけれども、例えば委員の中から、これについてはちょっと疑わしいという意見が出ましたということを言っていただくというのはどうかなと、そういうことです。

○田崎委員長 どうぞ、大平委員、お願いいたします。

○大平委員長代理 今のと、それから最初の症例もそうですけれども、最終的に調査中ということで、現在も調査中ということで、因果関係は永久に出てこないのか、それとも、いつの段階か結論が出るのかというところを何かはっきりさせるような形でないと、輸血といいますか、血液製剤の輸血行為についての信頼性というのですか、それが担保されないなあというところがあって、いつまでも原因不明のままに残っているということが多くあると、そこは余りよろしくないのかなあと。山口委員の意見と同じです。

なかなか難しいところだと思いますが、日赤で調査を打ち切るというところはきちっと打ち切るということを何か明示できるような方法とかいうのがあったらいいかなあとは思うのですけれどもね。

○山口委員 そういう情報を集める立場としてはできるだけたくさん集めていただきたいとは思うのですけれども、どこかである程度切りをつけないと、大平委員のおっしゃったようなこともちょっと懸念されるところだと思うので。

○田崎委員長 結局、症例1に関しては原因の究明に努める、ということですが、最終的にはこれは、申しわけないですけれども、どのような評価になったのでしょう。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 FFPの成分由来ですので、いわゆる片割れもないという状況の中で、そういう意味では、症例1に関しては全く検討ができなかったということになりますね。そういう意味で、確認できずという表現なのかなと思います。2つ目に関しましては、片割れ輸血が赤血球でしたので、血漿部分は残っておりました。それについては無菌試験で陰性を確認されておりますけれども、できる範囲の中で、否定まではなかなかできないと思うのですけれども、確認の評価結果をそのままお借りするしかないと思っています。

○田崎委員長 こういうのはやはり救済制度に関係しますから、非常に微妙なところだと思うのですね。これが輸血と関連するのか、それとも全くしないのかというところはやはりどこかで線を引いておかないといけないと思うのですね。この1番の症例は、おっしゃるように、どうもそうでないだろうというところですけれども、記述も一部曖昧で、例えば急性肝不全というのが一体何が原因だったのかとか、FFPが実際に血漿交換で、事例の3行目ですけれども、480CCを4本使ったと書いてありますが、下のほうの「状況」の2行目には、7人の供血者から採血された7本を輸血したと書いてあります。これは3本は結局使ってなかったということですか。要するに血漿交換始めたけれども、ぐあいが悪くなって途中でやめてしまったと、そういうことなのですね。血漿交換のときは全部一つのバッグに一緒に入れてやるものですから、7本全部入れて、残ってなかったが実質の使用量が4本であったのか。その7本のうち3本は、未使用なのか。だということであれば、それは関係ないのかもしれませんけれども。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 実際に使用した製剤につきましては、上にあります4本という記録はいただいています。

○田崎委員長 そうすると、7本使ったという中に血漿交換の4本があり、残りの3本については確認できなかったということなのですね。

あとは2例目ですけれども、これは溶血が起こっているというのですね。我々、輸血をやっている人間からすると、例えば直接クームスはどうだったのかとか、不規則抗体はどうだったのかとか、溶血というのはいろんな原因で起こるわけですから、細菌汚染血によるゼプシスみたいな形だけではありません。いろいろ免疫学的な溶血というのはあるわけですね。その辺のデータというのは多分押さえていると思うのですけれども。ABO不適合輸血というよりは、私たちとしては遅発性の溶血というか、後から抗体がぎゅっと上がってきて、それで、入れた血球が壊れてしまうみたいな、そういう視点での御検討は。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 これは感染症報告になっておりますので、そういう意味では、先生おっしゃられたような側面からの検討は、医療機関側ではしているかもしれませんけれども、日赤のほうでは細菌感染の疑いの症例として挙がってきましたので、その検討しかやられていないということです。

○田崎委員長 2つの症例ともいろいろもう少し幾つかの視点からの評価、データがあれば我々としても非常に検討しやすいと思いますし、ただ、感染症報告ということなので、それしかデータがないと言われればやむを得ないかなと思いますけれども。

○岡田委員 確認なのですけれども、この2例目に関しては、溶血性の副作用として挙がってきたのではなく、細菌感染疑いということで挙がってきたのでしょうか。これは内容を見ると、正直言って、どこにもというか、主治医のほうも全然疑ってなくて、専ら異型輸血のほうを心配して否定しているので、もしかしたら溶血性の副作用として挙げてきたのではないかと私は思っているのですけれども、どうなのでしょうか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 これは細菌感染と溶血で挙がってきているようです。溶血のほうも、自己抗体ありということで検査は終わっているということです。

○田崎委員長 同種抗体はなくて、自己抗体だけですね、そうすると。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 自己抗体です。

○田崎委員長 ちょっと資料が不十分なのですけれども、いずれにしても、両方とも現在調査中であると。あるいは、原因の究明に努めるという書き方でしたので、救済という意味からも、先ほど申しましたような形で、もうちょっとはっきりしておいたほうがいいのかなというのが私の意見です。そのほか、これ以外のことでも結構ですけれども、3-2の資料全般に関しまして。

どうぞ、山口委員。

○山口委員 先ほど事務局から御報告いただいたように、HCVの感染事例で、これは片割れというか、血漿部分が製剤に使われていたやつについて、私も岡田先生もちょっと資料を見させていただいて、工程で十分クリアランスできているでしょうという、このケースに関してはしたのですけれども、先ほどのEDQMのような非常に高いウイルス汚染があった場合には、今のところ知られているのは例えば107 ぐらいまでいくとなっているので、そういう場合には個別にちょっと判断しないといけないという話もありますし、もう一つ、先ほどちょっと岡田先生おっしゃったように、製剤の原料血漿での試験というのも考慮したほうがいいのかなという気がちょっといたします。

○田崎委員長 今の症例は9ページですね。HEVですね。

○永井課長補佐 患者さんに投与されたのが血小板で、それを投与された患者さんを契機にわかったという事例でございます。

○田崎委員長 販売名のところに血小板とか赤血球濃厚液と書いてありますが。

○永井課長補佐 いろいろな被疑製剤がございまして、多くの献血者の保管検体を調べていただき、その中で陽性であったものが血小板でした。

○田崎委員長 ありがとうございます。

そのほか、コメントとか御意見ありますでしょうか。

資料3-2はよろしいですか。

その次、資料3-3、これはHIVの報告ですけれども、これに関してはいかがでしょうか。

どうぞ、花井委員。

○花井委員 資料3-3の4ページの近畿なのですけれども、たしか平成20年ぐらいにも近畿が突出して高いということ。今、速報値なので、単純に倍するとどうかというのもあるのですが、そのときも、近畿における保健所の検査件数とか検査体制について、担当課のほうにちょっと実情を聞いて、もし脆弱だったり予算がないということであれば、そこはこういう状況があるのでということで、検査体制を強化していただきたいということをお願いした経緯があって、少しそれで下がってきて、もしまたこれで戻ると、また戻ったということにもなりかねないので、速報値の段階で、担当課のほうに、速報値でこういうことになっているので、以前、検査体制とかを当時ある程度強化したという経緯もありますので、その後それが緩んでないかとか、そういったあたりを照会しておいていただいて、最終値までにどうなるかということを見ていきたいかなと思います。

以上です。

○田崎委員長 検査体制の充実といいますか、これは事務局から意見を求めますか。

○花井委員 充実したから下がったと、一応そういう評価をしたのですけれども、また戻ったのであれば、充実がなかったのか、充実したのだけれども、違う要因あるのかということをまた評価しなければいけないかもしれないので。でも、このペースでいくと確実にそういうことになろうかと思うので、担当課のほうにその辺を伝えておいてもらえますでしょうか。

○永井課長補佐 はい。担当課に伝えます。

○田崎委員長 現時点でのコメントはよろしいですか。

そのほかに、資料3-3ですが。

大平委員、どうぞ。

○大平委員長代理 2ページの年齢別HIV抗体の献血者の推移ですけれども、若い人については若干増える増えないかというところで、まだ1月~3月の推計なのでわからないところがあるのですけれども、その下の40歳、それから50歳代、60歳代が増えているということがすごく気になるかなあというところで、最近、検査については特に年配の人たちの、エイズ発症して状態がわかるという、そういうのが増えてきているということが疾病対策課のほうの報告ではあるのですけれども、それがここの献血者の増加のところに何かあらわれているのではないかなあとは思うのですね。

というのは、献血、若い人たちは割と検査所とかそういうところに行きがちですけれども、年配の方たちというのは、ちょっと症状があったとしても、不安があって、もしかして、献血のほうに行って、そこで確認するとか、何かまた献血の中でわかったとかいう形が多いのかなあというのが懸念なのです。ですから、それは日赤のほうにしわ寄せが来るのではなくて、もっと疾病対策課とか健康局のほうで十分な配慮というのですか、そういう年配者についての検査のシステムとか啓蒙とかいうのをしっかりやっていかないといけないのではないかなあと思っています。ぜひこちらからも伝えていただきたいと思います。

○永井課長補佐 先ほどの近畿の件と、今いただいた、年配の方の件につきましては、担当部局に伝えます。

○田崎委員長 そのほか御意見などありますでしょうか。

よろしいですか、資料3-3。

それでは、資料3-3は以上で終わりまして、次は議題の5番、これは日本赤十字社からの報告事項についてということで、まず資料4ですね。これは1から4までありますけれども、資料4-1と4-2、これをまず御説明いただきたいと思います。その後に3と4に行きたいと思います。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 それでは、平成25年度の血液事業の取り組みということで御説明させていただきます。お手元の資料4-1と4-2がございます。4-1のほうは要約したようなペーパーになっておりますので、スライドのほうの4-2を中心に御説明させていただきます。

スライドの下の2番目ですが、25年度事業計画における重点事項として、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」等の関係法令を遵守しながら、適正かつ確実な事業運営を行い、国民の負託に応えることを使命としまして、1番目に「医療機関の需要に応じた献血者の確保」、2点目が「供給体制の強化」、それと3点目が「輸血用血液製剤の安全性の向上」、この3つを掲げまして事業計画を遂行していくということにしておりました。

次のスライド3番ですが、こちらは、初めに採血の実績、献血者の確保ですが、全体で、25年度につきましては延べ516万人の御協力を得て、医療機関の需要に見合った血液量の確保を行うことができました。しかしながら、医療機関からの需要が多い400mL献血由来製剤の確保のために、全血献血に占めます400mL献血率のさらなる向上を図る必要があると考えております。

現状、事業計画では400mL献血率90.4%を掲げておりましたが、実際、実績は89.1%というような献血率になっております。

次のスライドですが、これはスライド4番と5番の部分に当たります。若年層への働きかけとしまして、献血セミナー、また年間を通じた献血啓発活動であります「LOVE in Action」などのキャンペーンを通じまして、10代の献血者では、前年度に比べまして約5,800人余り増加しております。また、献血セミナーや血液センターの体験学習では延べ2万人の方々に御参加いただきました。

しかしながら、10代では歯どめが多少かかったものの、依然として、このグラフにも出ておりますように、20代の献血者、献血率の減少が続いており、対策強化が大きな課題として残っております。

スライド6番目でございます。こちらは年齢層に応じた対策といたしまして、献血ルームなどでのキッズスペースを設置しまして、子育て世代の方々が安心して献血していただける環境を整備いたしました。また、働き盛りの年齢層の方々が献血に御協力いただけるよう、企業等に理解を求め、献血に協賛いただける企業等に献血サポーターとして登録していただき、その結果、平成25年度末の累計で1万1,888件の登録件数となっております。今後はさらに、企業、団体献血への強化を図ることといたしております。

また、複数回献血クラブ、こちらの御説明をいたします。クラブ会員に向けて健康増進等の講習会等を実施したという成果が出まして、約185,000人の方々に御加入いただいたという結果になっております。25年度末の累計では、851,000人の会員の確保につながっております。

今度はスライドの7番目でございます。「安全対策」でございます。安全対策につきましては、血液事業情報システムの稼働が開発、評価に多少時間を要したことから、25年度中の稼働を見送っております。御承知のとおり、安全対策の一環としまして、本年の8月1日から全国8カ所の検査施設におきまして個別NATを開始することができました。

スライドの8番目は「輸血用血液製剤の供給」でございます。輸血用血液製剤は、医療機関の需要に見合った安定供給が実施でき、全体で1,887万単位を医療機関に供給いたしました。

次のスライド、9番は「供給体制の整備」ということで、迅速な供給体制を図るべく、新たに5カ所の供給出張所を開設し、加えまして、県境を越えた供給体制では新たに4カ所の地域で供給業務を開始しております。

スライドの10番目は、(参考)でございますが、本年2月の関東地方を襲いました大雪の影響で、緊急対策用としてヘリコプターの契約をしております。交通網が遮断したということもありまして、今回初めて、このヘリコプターを用いて、山梨、群馬、長野という地域に血液製剤の搬送を行ったという事例がございます。

ページおめくりいただきまして11番目のスライドでございます。血漿分画製剤の販売についてです。一般社団法人日本血液製剤機構との販売提携に基づき、おおむね計画に沿った事業を行うことができました。25年度については、全体で592,000本の供給本数になっております。

12 番目のスライドです。「原料血漿の配分」でございます。こちらにつきましては、国が決定した需給事業計画に基づき、国内製薬会社3社に対し、92万Lの原料血漿を送付いたしました。

また、その下の6番目、「事業運営体制の充実」ということでございますが、先ほど御説明しました次期システムである血液事業情報システムの開発・評価に時間かかったということで、25年度中は本稼働を見送りました。本年26年度の6月末をもって全国稼働を開始しております。現在、安定稼働に向け取り組んでいるところでございます。あわせまして、製剤の自動化機器につきましては、本年の8月から近畿ブロックでの検証作業を終了しまして、段階的に各製造所に整備していくこととしております。

次のスライドでございます。「その他」の部分ですが、造血幹細胞提供支援機関につきましては、本年1月に国の指定を受けまして、従来の骨髄データセンター業務に加えまして、移植用臍帯血の品質向上に向けた協力、また関係者間の連絡調整、情報の一元化や普及啓発を実施しております。

また、臍帯血バンク事業につきましては、臍帯血供給事業者の許可申請を国に提出いたしまして、本年4月から臍帯血供給事業者として運営を行っております。

その下のスライド14番でございます。「医療用iPS細胞ストック構築への協力」では、京都大学iPS研究所の依頼に基づきまして、近畿ブロックの2カ所の採血現場において血小板献血者に対し呼びかけを行っております。今後も、京都大学iPS研究所との共同研究として、協力体制をひいていくこととしております。

次のスライド15番でございます。ここから平成25年度の血液事業特別会計の決算概要について御説明いたします。初めに収益的収入でございます。輸血用血液製剤の供給収益及び原料血漿の供給収益の増加、それと分画製剤の供給収益等の減少によりまして、事業収益の合計では、前年度より約14億円の増加となりました。そのほかに、事業外収益、関連事業収益などで約4億円の増加となっております。

これらの結果、収益的収入全体では約1,674億円、前年度に比べまして約18億円の増加となりました。

スライド16番のほうでございます。こちらは収益的支出でございます。まず一番上の人件費の部分でございます。前年度に引き続き献血受入体制の充実及び広域事業運営体制のさらなる供給体制の強化を図るため、職員を増加したことに加えまして、通常の定期昇給分等の増加がございます。

一方、その下の材料費、それと経費の部分でございますが、材料費、経費につきましては、前年度に比べまして減少いたしました。その他供給原価が増加しております。このその他供給原価というのは、日本血液製剤機構から購入した分画製剤の払い出し時に発生する費用でございます。

そのほかに、事業外費用、関連事業費用、特別損失ともに前年度に比べて減少しており、収益的支出全体では約1,766億円、前年度に比べ約32億円の増加となりました。これらの結果としまして、収益的収支の差引額につきましては、約91億円の赤字決算となっております。

次のスライドでございます。こちらは資本的収支でございます。既存の血液センターの移転用地の取得及び建物等の取得のほか、成分採血装置、移動採血車などを整備いたしました。また、血液事業情報システムのソフトウェアの取得を含めますと、固定資産の支出合計で約96億円となり、借入金の償還約8億円と合わせまして、総額で約104億円となっております。

これらの整備財源としましては資本的収入でございます。左側のオレンジの円グラフでございます。補助金約1億円と、銀行からの借り入れは行わず、全て自己資金約103億円を充当して整備いたしました。

スライド18番目でございます。こちらは今後の見通しでございますが、既存の血液センターの更新整備に加え、先ほど申しました血液事業情報システムの本格稼働、それと、8月以降段階的に導入していきます製剤自動化の機器の導入などを控えております。これらのことから、資本的支出の増に伴う減価償却費の増加など、向こう数年間は赤字決算を見込んでおります。

今後の課題といたしましては、まず費用削減の目標計画を立て、より効率のよい採血を行うなど、血液事業本部を中心に、全国の血液センターで収支改善に向けた取り組みを行う必要があると考えております。

また、不要不急の設備投資を必要最小限に抑え、財務体質の改善を図ることなどもあわせて行う必要があるため、現時点でその取り組みを行っている状況にあります。

それと、適正な人員の配置の計画、また費用の削減を図ることによって、できる限り早期に黒字転換できるよう経営改善に向けて努力する所存でございます。

現状、2年続けての赤字決算ということで非常に厳しい状況にはありますが、現段階でいろいろと取り組みを行っております。その成果をなるべく早い時期に黒字転換できるようにしていきたいと思っておりますので、この努力の成果を早い段階にお示しできればと思っております。

簡単ではございますが、25年度の事業概要と決算状況については以上でございます。

○田崎委員長 ありがとうございます。資料4-1、4-2、これに関しまして御意見、御質問お願いいたします。

 どうぞ、花井委員。

○花井委員 シングルNATの整備もされ、また電子カルテの実装も済んで着々と進捗しているとは思うのですが、2つほど教えてほしいのですけれども、この横の表の資料で、まさに血液事業情報システムというのは、いわゆる手作業工程を可能な限り機械化して効率化するということを目指されています。効率化するという意味は、平たく言えば人手が減るということなのですが、一方で人件費は結構ふえているというところが若干、字面だけ見れば矛盾していて、その辺、効率化が人件費減のほうに、赤字決算とおっしゃるのですけれども、そういうところに今後結びついていくものなのかというのをちょっと教えてほしい、それが1つですね。

2つ目は、9の県境を越えた血液製剤の供給について、新たに4カ所と言っているのですが、これは大分前からの課題ではあって、これは進捗がそんなにスピーディではない気がするのですが、通常のロジスティクスの考え方からすると、供給先の医療機関とこっちの供給拠点があって、その一番効率的な線があって、それでグループ化して理想に近づくと、そういうことになるわけですね。今、4カ所の地域でこれをやったのですが、全体としては、その全体のロジスティクスが、理想的には、このぐらいならば一番効率がいいはずだという図には大分近づいたものなのか、まだ途上であって、もうちょっとセンター同士の横の供給体制の連携を強めなければいけない状況にあるのか、その2つについて教えてもらえますか。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 今の御質問、システムですが、本来であれば、システムを入れて、なるべく人手を煩わさないということでもちろんやるべきであると思います。もともと皆さんからいろいろと御指摘あるのですが、広域事業運営体制をしいたのであれば、合理化でないかと、人も削減できるのではないかというお話がございます。実際、過去、平成20年以前、まず血液センターを整備したくてもなかなかできないような状況にありました。これは独立採算制をしいていました。平成24年、広域事業一体運営をしいて、財源を全部本社のほうに集めて、そこで平準化した製造ライン、製造施設をつくりましょうということで、ブロックセンターにそういった製造を設けてきました。

もう一点、御指摘のございました供給の部分ですが、1時間以内に医療機関にお届けするという大前提で供給出張所を何ヶ所かつくりまして、それとあわせまして、2点目の御質問の県境を越えた部分も含まれてくるのですが、その部分で供給体制を充実させるということで人の採用をしたというのが実情でございます。

今後につきましては、適正な人員配置ということで、業務に見合った配置計画をもう一回再検証しながら、早い段階で人員の適正化を図っていくということを考えております。

また、県境の部分につきましては、まだまだ至らない部分があると思いますけれども、これもまだ検討の段階で、今年度、昨年度と始まったばかりのような部分がございますので、一番近い拠点から短時間にお届けできるような分については、今後も県境を越えたような供給施設の実施、またやり方を検討していきたいとは考えております。

○花井委員 ありがとうございます。登山で言うと何合目ぐらい。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 どうでしょう、供給管理課長。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 供給管理課、籏持と申します。

登山で言うのは難しいところです。ここまで4カ所できたところは、明らかに他県から行ったほうが近いというのが明確なところはやはりやりやすいというところがございました。しかし、地理的条件からしますと、どちらから行ってもと非常に悩ましいところもございます。それと、人をふやさずにエリアを変えるというのは簡単なことではなくて、無尽蔵に人をふやすということにつながらないように、どういった形が一番ニーズに応えられるのかというところを慎重に検討しながらやらざるを得ないと考えておりますので、少しお時間はいただく形になるかと考えてございます。

○田崎委員長 何合目なのでしょうか。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 そこはまた改めて、明確にお答えできるときにと考えています。ただ、県境だけではなくて、遠隔地というものを抱えてございますので、どんな供給の方法がいいのかということも含めて考えていきたいと思っていますので、そのほかの方法も、海外等も参考にしながら考えてございますので、また何かの機会に報告できればと思ってございます。

○花井委員 ちょっとしつこいかもしれませんが、1時間以内ということで、医療機関のニーズに応える体制で、全体として合理的な供給体制を構築しようとすると、人を雇わなければいけないと。無尽蔵に雇わないようにということをおっしゃったのですけれども、何となく、これは外から見る実感からすれば、うまくやりくりすればむしろ、これを行うことによって、人も効率化するのだから、基本的にはむしろマイナスに働くようにも思うのですけれども、今、必ずしもそうでないという御説明でしたね。そこはちょっと難しいものなのですかね。センターごとに移動できないとかそういうことがあるのですかね。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 人間の移動のところはクリアーできている問題だと思いますが、やはり距離というものがございます。それと、人間をどのぐらい集約しておけば効率的か。余りにも分散してしまいますと、今度、機動力を失いますので、機動力を失わずに、なおかつニーズに応えられるというのがどのぐらいが一番いいのか、ちょっと悩んでいるというところでございます。

○花井委員 わかりました。ありがとうございます。

○田崎委員長 そのほか。

どうぞ、山口委員。

○山口委員 今の供給体制のことに関連するのですけれども、ブロック化したというもともとの要因も、1つは、検査体制を全国で3つのところに集約化するという、そこの過程での話であったような気もしてはいるのですね。今回見せていただいた2の「安全対策」のところと、それから「供給体制の整備」ということで、かなりいろんなところに拠点をつくるという体制になっているのかなという気がいたします。

それで、前のときには、NATをするための検体を動かすための非常に大変な移動、輸送手段とかいうのが必要だったのですけれども、今度はNATと血清学試験を同時に並行してやるということになると、その辺、逆に言うと、輸送手段はむしろ簡略化したほうが効率的にならないのかなという気もちょっとするのですね。

もう一つは、災害時の安全対策としては、できるだけ地域に割と密着するほうがむしろいいケースもあるような気がするのですね。事業部会で大戸先生がちょっとおっしゃっていたように、何らかの事故が起きたときとかにできるだけ迅速に対応できるというのは一つの重要なポイントかなというちょっと気がしていまして、将来的にこういう体制をどのように持っていこうとされるのか、要するに検査の仕方とかその辺とちょっと関連するような気がするのです。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 検査施設は、各ブロックセンター、基本的に7つのブロックセンター、分地施設もございますけれども、そこに全部検査製剤を集約させたということでございます。供給については、先生のおっしゃるとおり、地域に密着した供給のほうが迅速に動けるのではないかということがございます。今、製品をブロックセンターで製造しまして、各地域センターに、需要に見合った製剤を定期的に送り込む、定期配送をしているということがありますので、実際、災害等が起これば、もちろん本部が主導になってそういった指揮をやりますけれども、そのブロック内でまずうまく動かしましょうということをやっております。まずはブロック内で採血から供給までを完結させるというのが、今回の広域事業運営体制で一歩近づいたのかなとは思っております。

○田崎委員長 大平委員のほうから何かありますでしょうか。

○大平委員長代理 もう余り時間がないのであれですけれども、今回の資料4-1の表に事業計画、事業実績、課題・懸案等というのが書かれていて、初めて課題と懸案事項というのがきちっと出てきたというのが評価できるかなとは思うのですね。今まで、なかなか課題と懸案事項というのが出てこなかったので、関係者の皆さんの御努力だろうと思います。ありがとうございました。

あとは、採血実績とかいろいろ、200mL献血が計画比より高くなって上回っているというのは、やはり若年層とかの人たちが増えているということの少しあらわれなのか、そういう分析とかそういうのがあったらいいかなとは思うのですね。

あと、先ほどの安全対策のところで、検査システムの問題と、それから供給体制の問題、同じあれで、繰り返しになってしまうので、そこが本当に整合性うまくとれていくのかというところは1つ心配なのと、今回の会計の報告を見ますと、そこはいろいろ読み取れないところがいっぱいあって、広報誌とかそういうのはどこに入るのかなあとか、そういうのもあるのですけれども、もう少しこちらの委員の人たちがわかりやすいような項目をきちっと提示していただけるとありがたいなと思うのですが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 今、大平委員のおっしゃるとおりだと思います。過去、この課題・懸案というのはなくて、事業報告だけで終わっていたと思います。今後はこういうスタイルで、厚労省さんのほうとも協議しながら、何が問題点で、何をやらなければいけないかというものを整理していきたいと思っております。

また、財政の部分について、実際、24年度スタートして、本来、3年目になるのですが、まだまだ過渡期の時期であるとは思っておりますので、この辺はいろいろと今検証作業をやっております。早い段階で安定した血液事業ができるように努力してまいることとしておりますので、もうしばらくお時間いただければと思います。

○山口委員 余り時間ないのに申しわけありません。もう一つちょっと聞いておきたいのが、7番の造血幹細胞提供支援機関として、これはあくまでも支援なのでしょうか。将来的にも、今、一応法律ができたのでその対応かと思うのですけれども、許可を受けた事業者として事業を運営するということは、いわゆる運営主体と今度はなっていくのかなとちょっと思っていまして。

それと、将来的に造血幹細胞移植というのが、特に臍帯血のところですけれども、以前、医薬品かというところもあったかと思いますけれども、そういう点をどう見据えておられるのか、ちょっと教えていただければと思います。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 支援機関につきましては、いろんなところの関係調整等の役割をやるということで、あくまでも支援機関ではあります。

あと、骨髄データセンター事業の部分は。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 造血幹細胞につきましては、この1125日の改正薬事法の外なのですね。造血幹細胞に関しては、先生おっしゃられたように、薬事法とは別の法律で縛られているというのがありますので、当面の間は薬事法の外になりますので、いわゆるGMP。もちろん、GMPに遵守した形での管理は必要かなと思いますけれども、それにのっとった形で自己点検もやっておられますし、きちっと日赤として責任持ってできる体制には整えているということだと思います。

○田崎委員長 よろしいですか。

○岡田委員 献血の確保対策ということで、何か高校生が抜けているような感じがするのです。要するに小学校、中学と、あと学生というと、大学が入っておりますので。高校に、昔は献血車が何回か来て、高校生は献血する機会があったのですけれども、どこかの報告で、都道府県によっては高校に献血車がいる頻度が非常に低いところの県があったりして、高校生のときに献血する機会を与えるということは、20代になったときに献血しやすい環境づくりにつながりますので、やはり高校生のときに献血の必要性とか、あとは可能であれば体験してもらうことが必要だと考えますので、そういう面では高校生の対策ということも入れていただけると助かると思います。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 申しわけございません。これは小中学生向け「献血セミナー」「体験学習」と書いてありますが、献血セミナーについては高校のほうにもかなり行っております。おかげさまで10代が若干伸びたと。2年続けて24年度で10代は1万人、25年度は5,800人程度ですから、伸びているという状況にあります。先生がおっしゃるとおり、やはり若いうちに一度献血を経験すると、将来も献血会場に足を運んでいただけるような傾向がございますので、この辺の啓発、啓蒙をますます充実させていきたいと思っております。

○田崎委員長 それでは、よろしいですか、ここまでの資料。

ありがとうございます。そうしましたら、続けて資料4-3、「山口県赤十字血液センターにおける」というところを御説明いただきたいと思います。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 では、資料4-3に基づき説明させていただきます。

本件に関しましては前回の運営委員会でも少し触れましたが、今年度頭に、愛知県の赤十字血液センターにおきまして発生しました保管事故に続きまして、山口県におきましても保管事故が発生しましたので、今回報告させていただきます。

まず、事故の概要でございます。山口県赤十字血液センターの宇部分室、こちらのほうは供給業務委託を行ってございまして、医療機関からの受注から保管、配送まで全てを業務委託しております。こちらのほうを宇部分室と呼ばせていただいております。こちらのほうにおきまして、新鮮凍結血漿を保管していた冷凍庫の警報が鳴り、警報を停止させようとした当直者が冷凍庫の操作盤を操作しました。その結果、警報はやみましたが、誤って保管設定温度を変更してしまい、平成26年6月7日午前3時40分から午前5時10分までのおおよそ1時間半、保管管理温度である-20℃を超えた状態で新鮮凍結血漿を保管してしまいました。

冷凍庫の警報が鳴った原因につきましては、冷凍庫が自動的に行う霜取り、この動作時に、庫内に付着した大量の霜により、除霜時間、いわゆる霜をとる時間が延長されまして、一時的に庫内温度が上昇したと推察されております。

その結果といたしまして、新鮮凍結血漿、これは400mL献血由来でございますけれども、FFP-LR240、こちらのほう、104本が輸血用の製剤としては使用できなくなったという事例でございます。

事故後の対応でございます。この新鮮凍結血漿につきましては、医療機関への出庫はありませんでした。そのことを確認しまして、山口県赤十字血液センターに該当の新鮮凍結血漿を移動させまして、出庫不可製剤として区分保管いたしました。

なお、当該新鮮凍結血漿にかわる在庫の補充を速やかに行ったため、医療機関への供給には支障はございませんでした。また、この当該新鮮凍結血漿につきましては、原料血漿の基準には適合しておりますことから、血液事業本部としましては、原料血漿へ転用するということを決定いたしました。

再発防止策でございます。「宇部分室における再発防止策」といたしまして、1つに、週1回の定期点検時に霜の付着状況を監視するとともに、年1回以上、冷凍庫の電源を切り除霜作業を行うことといたしました。

2つ目、冷凍庫の設定を安易に変更することがないよう、機器操作盤に誤操作防止のためのカバーを設置いたしました。

3つ目、従業員全員に対して保管機器の管理に関する教育訓練を実施いたしました。

4つ目、温度異常の際には、宇部分室の営業所管理者でございます山口県赤十字血液センターの供給課長へ速やかに連絡すること。それと緊急連絡先、この2つを全ての保管庫に表示いたしました。

また、日赤の本社、血液事業本部といたしましても、再発防止策を施しました。全血液センターの冷凍庫など保管機器の点検業務を行う全職員に対しまして、実地の教育訓練を行わせました。

今後、同様の事象が繰り返されることのないように、継続的に注意喚起を図ってまいる所存でございます。

以上、簡単ではございますが、報告とさせていただきます。

○田崎委員長  ありがとうございました。今の御説明に関しまして、御意見などあればお願いいたします。

○大平委員長代理 2例目なのでちょっとびっくりしたのですけれども、「事故の概要」の(1)にあります供給業務委託業者というのは、この山口分室を扱っている業者なのですか。民間業者?

○日本赤十字社籏持供給管理課長 そのとおりでございます。薬局を経営しているところでございまして、そこで、先ほど申しました医療機関からの受注から血液製剤の保管、実際の配送まで一手に業務をこちらのほうから委託しているという状況でございます。

○大平委員長代理 この従業員は全員、そこの委託先の従業員。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 そのとおりでございます。

○大平委員長代理 日赤関係者ではなく。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 ではないです。

ただし、営業所管理者、販売業を持ってございますので、その営業所管理者は血液センターの職員が管理者として名を連ねているという状況でございます。

○大平委員長代理 ちなみに、そういう分室というのはどのぐらいあるのでしょう。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 供給業務を委託しているものに関しましては、一番大きいものでは東京都内の献血供給事業団。こちらのほうは、受注は血液センターが行ってございますけれども、実際の配送をお願いしている状況でございます。それ以外に、注文を受けてから配送するまでという業務委託を行っているところは、九州におおよそ3つか4つほど業者が残ってございます。ほかの地域は、基本的には血液センターの直配という形になってございます。

○岡田委員 今回、冷凍庫に霜がつき過ぎて、それで温度が上がったということですけれども、この冷凍庫というのは日本赤十字社が供給したものですか。それともこの業者が自分たちで用意したものなのでしょうか。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 業者が自分たちで用意したものでございますけれども、血液製剤の管理方法、当然、保管機器も含みますけれども、こちらの管理方法につきましては血液センターのほうから指示しているという状況にございますので、今回はその委託業者への教育というものが至らなかったということを考えてございます。

○岡田委員 この冷凍庫が自動的に霜をとっているということで、それが適切に行われていれば大量の霜がつくことはなかったと思うので、自動的に行うシステムがちゃんと評価されてなかったのではないかと思うのですけれども。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 霜取りそのものにも限界がありまして、「再発防止策」の(1)のアに書きましたとおり、「年1回以上冷凍庫の電源を切り除霜作業を行うこととした」というとおり、やはりかなり霜がついてしまうという事象がございます。冷凍庫そのものは、どこに置いてあるものも、血液センターのは全て霜取りという機能がございます。それによっても取り切れない霜が残ってしまうという事態がございますので、それは年に1回以上、霜がついてきたと思ったら、一旦あけて霜を全部取り除くという作業を今後ちゃんとやっていこうというものでございます。

○田崎委員長 そのほかよろしいですか。

 どうぞ、花井委員。

○花井委員 時間もないのですけれども、事業団があって、九州3カ所で、山口1カ所、計4カ所ぐらいしかないということですね。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 はい、現在は。

○花井委員 そこの業者がどういう業者かわからないのですけれども、警報が鳴ったのをとめるのに別の誤動作というのは極めて素人っぽいミスになっているのですけれども、直配ではやはり厳しいということなのですか。あそこ、山大とかあるのですかね。日赤の管理全体の中で、民間に委託して、しっかりしたところであればいいですけれども、霜の感じとか、レベル的にそんなに高くないようにもちょっと思うのですが、業者を変えるとかそういうことは今考えてないという理解でよろしいですか。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 はい。まずは職員の教育をということを考えてございます。ただ、直配体制と医療機関に届ける上でどの形が一番いいのかとか考えて、今後、その業者に頼むかどうかというところは検討しなければならないとは考えてございます。

○花井委員 わかりました。

○田崎委員長 ありがとうございます。要するに2回続けてこういう事例が起こったというところが、委員の先生方も非常に問題視していると思うのですね。教育という言葉は一言で言うとそれだけだとは思うのですけれども、3度目は、これは非常に厳しい評価になると思いますので、今後ともこのような事がないようにぜひお願いしたいと思います。

 それでは、資料4-4ですね。これはデングウイルスのことで、事務局と、それから日本赤十字社のほうから御説明をお願いしたいと思います。

○亀田課長補佐 では、まず事務局から、資料4-4マル1を用いまして、デング熱の概要と今回のいきさつ、あとは対応について説明させていただきます。

「デング熱について」というマル2の表紙の紙をごらんください。デング熱は、デングウイルスによって起こる感染症で、アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く見られる感染症であり、毎年5,000万から1億人の患者が発生していると考えられています。日本では今までは輸入感染症例が全てであり、年間大体200症例報告されていましたが、先月、8月27日、国内感染事例が確認されました。

 次のページをお願いします。感染経路としましては、基本的には人--人の経路で感染が伝播すると言われておりまして、人から人への直接的な感染はない。ただ、間接的に血液を介してうつるということが報告されておりまして、このことに関しては昨年度の安全技術調査会で整理させていただいて、文献報告ベースで3事例5症例の報告があると報告をいただいています。

 臨床所見としましては、潜伏期が2~15日程度で、発熱、頭痛と、あとは血液検査で血小板減少等を認め、一部では重症化すると言われております。

病原の診断に関しては、ウイルス遺伝子の検出や、最近では非構造蛋白抗原の検出等の方法があり、治療は、ほかの多くのウイルス疾患同様、対症療法が主体となります。

 予防法に関しては、蚊に刺されないように注意することが一番というところです。

この8月27日のデング熱国内症例の確認を関知して、すぐさま血液対策課のほうで通知を出しております。それが次のページで、「デング熱の国内感染症事例について」というものになっております。下に書いてあるとおり、献血血液を介して感染する可能性もあるというところから、日本赤十字社に対して、感染被害の防止に万全を期すよう、血液センター等へ周知徹底等お願いしますと通知を出しております。

 また、9月12日の感染研が出している「デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き 地方公共団体向け(第1版)」をごらんいただきたいのですが、これの番号で振っている14ページをごらんください。「6.地方自治体(保健所等)の活動内容」のマル2の2つ目の矢印マークの真ん中辺をごらんいただきたいのですけれども、「発症前14日以内の輸血歴や献血歴があれば、ただちに日本赤十字社へ連絡する」と、連絡先をつけて地方公共団体向けのマニュアルのほうに記載させていただいております。

 また、21ページと23ページをごらんいただきたいのですが、21ページ、(保健所等の聞き取り調査)として、右上のところに輸血歴、献血歴を聴取して記載していただくように設けております。次の23ページに関しましても、右上のところに同様に記載いただく項目を設けております。

こちらが通知を発出した以降の日本赤十字社の対応に関しては日本赤十字社からお願いしたいと思います。

 以上です。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 では、日赤のほうから報告させてください。資料4-4マル2です。

先ほどの8月27日付の血液対策課長通知を受けまして、日赤では4つのステージに分けて各血液センターに指示しているところです。それをまとめたものが資料4-4の1ページになります。2ページ以降につきましては直近の血液センターへの通知の抜粋を示しておりますので、1ページ目の資料を用いまして簡単に説明させてください。

 「対応策」としましては、1つは、デング熱の国内感染症例の周知に係るポスターを献血会場に掲示して、献血希望者に御理解をいただく。2点目は、献血受付及び問診時のところで発熱等の確認の徹底をする。3つ目は、献血していただいたドナーさんには、いわゆるコールバックですけれども、献血後の健康情報ということで、献血後14日以内の急な発熱・頭痛・皮膚の発疹等の症状があった場合には最寄りの血液センターに連絡してくださいというのが基本でした。それに加えて、マル4の制限につきましては、献血者への対応ということで、感染発生地域に行かれた方の4週間の献血制限ということで、この4つの対応策をその下に表で示しました。

 一番初めの8月27日の時点では、患者さんは埼玉県にお住まいで東京都内の学校に通学する学生さんという情報がありましたので、8月27日の時点では対応策のマル1とマル2とマル3につきましては、東京都と埼玉県の各血液センターにそのようなマル1からマル3の対応をするようにという指示をしております。翌8月28日になりまして、新たな情報として、一緒に活動していた同じ学校に通う学生さんが代々木公園で活動していたという事実も明らかになりまして、代々木公園といいますと年間500万人以上来園される方がいらっしゃるという情報もありましたので、不特定多数の人が集まる公園ということで、とりあえず、東京と埼玉に加えまして、交通アクセスのよい神奈川県と千葉県に対しても、献血後のいわゆるコールバックについて情報を収集するというお願いをすると同時に、全国的にもポスターによる周知をして、発熱等の徹底を図るということにしました。

 その後、徐々に患者さんがふえてくるということになったわけですけれども、9月5日の時点での厚労省の発表によって、患者さんがかなり全国に散在してきているということと、代々木公園以外の公園においても感染が確認されてきたということがありまして、ステップアップしまして、9月5日からは、今度はマル4の献血制限をするということで、9月5日の時点では、欄外になりますけれども、東京・代々木公園等、厚労省の発表した感染発生地域に最後に行かれてから4週間は献血制限しますということの対応を5日以降開始しました。

その後、9月11日になりまして、そういった公園以外に、千葉県の千葉市とか東京都台東区という形で一定の公園、狭いエリアではなくて、市、区レベルの発生ということになりましたので、そういう意味では、千葉市、台東区にお住まいの方を全員献血制限するということは厳しい状況になりましたので、9月11日以降は、欄外の2)になりますが、東京・代々木公園周辺と新宿中央公園、外堀公園の3公園に限定して献血制限をしたという状況で現在に至っております。

これが、今現在、日赤がデングウイルスの国内感染が確認されたことに伴う対応でございます。

あと、海外の情報はどうかということにつきまして少し簡単に説明したいと思います。ページをめくっていただいて7ページからが海外の情報になります。7ページ、8ページ、9ページが、AABBという雑誌がありまして、そこのファクトシートと呼ばれているものですが、8ページの左側の真ん中辺を見ていただきますと、輸血感染の報告が3つのポツで示されております。この3つのポツに関しましては、より詳細は13ページ以降、各文献が発表されておりますので、そちらを見ていただければと思いますけれども、いずれにしましても、発生国は、2002年に香港、2007年にシンガポール、2007年はプエルトリコという3つの国での輸血感染報告があったという報告です。

2002 年の香港につきましては、赤血球製剤を輸血されましたが、輸血後2日で発熱が発症されて、輸血によるデング熱ということが確認された症例です。

2番目のシンガポールは、2007年の症例でございますけれども、こちらの症例は、一人のドナーさんで赤血球製剤と新鮮凍結血漿と血小板の3製剤が製造されて輸血されましたけれども、実際に赤血球と血漿について輸血後の感染症が発症したということになります。こちらのほうも輸血後2日の発熱で見つかったということになります。

血小板製剤につきましては、輸血後の抗体検査で陽転しているということが確認されましたけれども、無症候性であったということがシンガポールの事例です。

3つ目のプエルトリコの事例は2007年ですけれども、こちらのほうは、そういった病院側からの報告ではなくて、2007年に、実はプエルトリコ全体で非常にデング熱患者のアウトブレイクがありました。患者さんの数は1万人を超える非常に大きなアウトブレイクの中で献血事業が行われていたわけですけれども、さかのぼって、後追いでそういった検体をためておいたようですけれども、1万5,350名の検体に対してデングのNATをやったところ、デングのウイルスは25件検出されたということになります。

その25件のうちの1件、赤血球製剤について輸血された方について、輸血後3日目で発熱があったということで、こちらの患者さんは108 コピー/ML以上のウイルスの非常に高いものを輸血されたということもあったのかもしれませんが、デング出血熱の発症をしたということで、血小板が18万から5万ぐらいまで下がったというような報告でした。

そういうことがありまして、デングにつきましては、先ほど血液対策課のほうから、1億人程度の発症者がいるという状況はありますけれども、今のところ、この3例の報告のうちの5症例ということでとどまっているということです。

以上、簡単ではありますけれども。

○田崎委員長 ありがとうございます。デング熱について、それから我が国の対応、それと世界の現状、輸血による感染とその3つの点で御説明がありましたけれども、委員の先生方から何かコメント、御質問。

○亀田課長補佐 1点ちょっと経緯を追加させていただきたいのですが、9月4日に代々木公園の蚊からデングウイルスが検出されて、それを受けて、5日、翌日にはすぐに献血制限というのに踏み切っていただいた、そのようにこちらは理解しています。

 以上、追加です。

○田崎委員長 ありがとうございます。コメント等ありますでしょうか。

○岡田委員 これは保健所の聞き取り調査とかの用紙が入っているのですけれども、これで例えば献血歴ありというときに、日本赤十字社のほうに連絡が来るようなシステムになっているのでしょうか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 はい。そういう形で血液対策課のほうで手配していただきました。

○浅沼血液対策課長 輸血歴のほうでも。感染症報告でも出るのですが、時間かけないですぐ、輸血であっても、献血であっても、いわゆる疫学調査ですぐ日赤のほうに連絡を入れるようなマニュアルにしてもらっています。

○田崎委員長 どうぞ、花井委員。

○花井委員 現状、迅速かつ適切な対応がされたというのでよいことだと思うのですが、熱発したら教えてくださいということを結構書いていると思いますが、これをやったことでかなりかかっている状況でしょうか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 コールバックの話ですね。思った以上にコールバックがなくて、今のところ、2件でした。その2件とも、もちろんデングのウイルスの検査を中央研究所で行っておりますけれども、陰性だったということであります。

 ちなみに、新型インフルのときも同じような体制でやったのですけれども、そちらのほうは500件ぐらい来ておりました。そちらのほうもここで報告させていただきましたけれども、全て陰性という結果です。

○田崎委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員長代理 範囲が広がったというところで、献血者の動向としては、まだ短期間ですけれども、何か動きというのはありますか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 献血者数が減ったとかいうことですか。

○大平委員長代理 はい。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 その情報は入ってないですね。

○田崎委員長 どうぞ、山口委員。

○山口委員 先ほどちょっと、献血者のほうはすぐわかるということですが、受血者のほうも、発熱した場合にはその情報をフィードバックしてもらうという形ですね。基本的に、デングウイルスって半分は無症候になると。今回の場合、セロタイプ1なので、半分ぐらいは無症候で、無症候の人が、あるいはウィンドウ期の人がという両方含める話かなという気がちょっとしたのですが、そういう理解でよろしいわけですね。

○亀田課長補佐 そうですね。自分が感染していることを知らずにもし献血していて、その製剤で輸血を受けて発症したようなケースも想定の中にあり得るので、先ほどまれとは報告しましたが、あり得るのであれば報告するスキームはつくっておいたほうがいいだろうということでしております。

○山口委員 全て感染者が発熱するわけではないので、受血者だけが発熱する可能性もちょっとあるなと。

 あと、この辺は検討する必要があるのかどうかという、今回のやつがこのまま終わるのか、来年また発症してしまうのか、その辺もあるので、ちょっと気になるのが、デングって、抗体ができて防御できるというだけではなくて、抗体ディペンデントな感染を起こすという、だから、セロタイプが変わったときに重症化するという話があるので。

例えばことしの3月でしたか、ドイツ人の方が日本を通過してデングに感染したと。一番心配しているのは、デングがもう既に幾つか入ってきてしまっていると。そういう状況の中で特に気になるのは、デングの抗体、別のタイプのセロタイプに抗体をとっている人がどれだけいるかということで、これは日赤だけの仕事でないのはよくわかってはいるのですが、例えば一部の患者の、一部の献血者とかそういうサンプルについて抗体価をはかってみるとか、そういうのはどうかなと前から少し気にはなっていたのです。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 中央研究所と検討させていただければと思います。

○田崎委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

それでは、最後のほうになりましたが、6番、「その他」について、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○亀田課長補佐 資料5をごらんください。「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」ということで、こちら、現在、フィブリノゲン製剤の納入先の医療機関を対象として追加調査をしているところでして、その結果を現在集計中でありまして、10月中ぐらいをめどに結果を公表する予定です。

「その他」は以上になります。

○田崎委員長 ありがとうございました。

本日の議題はこれで全て終了いたしましたが、何かそのほか御意見等あればお願いしたいと思いますが。

ございませんか。

でしたら、これで私の担当は終わりにしたいと思います。事務局に議事を戻したいと思います。お願いいたします。

○亀田課長補佐 田崎委員長、ありがとうございました。

次回の運営委員会の日程は別途御連絡差し上げたいと思います。

本日は長時間にわたり、委員の皆様、本当にありがとうございました。これにて、「平成26年度第2回血液事業部会運営委員会」を終了いたします。


(了)

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