ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会)> 第56回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録(2014年10月6日)




2014年10月6日 第56回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成26年10月6日(月)


○場所

中央合同庁舎第7号館共用第2特別会議室(12階)


○出席者

公益代表委員

勝部会長、小野委員、関委員

労働者代表委員

松岡委員、松本委員代理、宮嵜委員

使用者代表委員

市瀬委員、島村委員、新田委員、長谷川委員

(事務局)

谷内大臣官房審議官(賃金、社会・援護・人道調査担当)、松原勤労者生活課長、瀧原勤労者福祉事業室長、山口勤労者生活課課長補佐、竹田勤労者生活課課長補佐

○議題

(1) 中小企業退職金共済制度の現況及び平成25事業年度決算について
(2) 特定業種退職金共済制度の財政検証について
(3) その他

○議事

○勝部会長 定刻になりましたので、ただいまから第 56 回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を開催いたします。

 本日、鹿住委員、内藤委員、大塚委員、川野委員、松本委員、清水委員の 6 名が御欠席ですが、労働政策審議会令第 9 条の規定「全委員の 3 分の 2 以上又は公労使委員の各 3 分の 1 以上」、これは最低各 2 人となりますが、これに基づきますと、定足数を満たしているということになっております。関委員が少し遅れていらっしゃるということですので、よろしくお願いいたします。

 なお、松本委員代理といたしまして、日本労働組合総連合会 総合労働局労働条件・中小労働対策局、久保啓子様が御出席しておられます。よろしくお願いいたします。

 本日の議題ですが、最初のページにありますように 2 つあります。 1 つは、中小企業退職金共済制度の現況及び平成 25 事業年度の決算について、もう 1 つが特定業種退職金共済制度の財政検証についてです。本日の議題に入ります前に、事務局の異動がありましたので、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

○松原勤労者生活課長 勤労者生活課長でございます。新しい事務局の御紹介をさせていただきます。

 大臣官房審議官 ( 賃金、社会・援護・人道調査担当 ) の谷内です。勤労者生活課課長補佐の山口です。同じく、勤労者生活課課長補佐の竹田です。どうぞよろしくお願い申し上げます。ここで審議官の谷内より御挨拶申し上げます。

○谷内大臣官房審議官 今年夏の異動で、中小企業退職金共済制度を担当することになりました、官房審議官の谷内でございます。本日は大変お忙しい中、また、台風 18 号が本州に上陸して雨風が強くなり、交通機関も混乱している中でお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 中小企業退職金共済制度は、皆様御承知のとおり、独力では退職金制度を設けることのできない中小・零細企業のための相互扶助の仕組みとして、昭和 34 年に国が法律で設けた制度です。以来、時々の社会・経済情勢を踏まえた制度改正を経つつ、中小企業の従業員福祉の増進、さらには、それを通じた中小企業の振興に寄与してまいりました。本日の議題は、先ほど部会長がおっしゃったとおりでして、後ほど課長から御説明申し上げて皆様に御議論いただくこととしておりますが、中小企業で働く方々が安心して働くことができるよう、引き続き、中小企業退職金共済制度が安定的に運営され、従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与していけるような結果が得られればと考えておりますので、皆様の御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。以上で私の挨拶とさせていただきます。

○勝部会長 審議官、どうもありがとうございました。それでは、次第に沿いまして議事を進めていきたいと思います。議題 1 は、「中小企業退職金共済制度の現況及び平成 25 事業年度の決算について」です。

○松原勤労者生活課長 資料 1 と資料 2 を用いて御説明いたします。中小企業退職金共済制度の現況及び平成 25 事業年度の決算について御報告申し上げます。まず資料 1 からです。こちらは、中小企業退職金共済制度の現況をお示ししている資料です。

1 ページをお開けください。まず、新規加入状況です。一番下の段が平成 25 年度の実績になります。左側の共済契約者数、つまり加入事業主の数で見ますと、新規加入は合計で 1 7,217 件となっております。右側の被共済者、つまり従業員ですが、この新規加入者数は合計で 44 3,121 人となっております。

 次に、下のほうの在籍状況です。同じく一番下の行です。平成 25 年度末現在ですが、左側の共済契約者数につきましては、 53 8,418 件の在籍があります。また右側、被共済者数につきましては、全体で 630 6,475 人となっています。前年度と比較いたしますと、共済契約者数につきましては、建退共、清退共は若干減少しておりますが、一般中退、林退共は、ほぼ横ばいの状態です。

 被共済者数は、一般中退、清退共、林退共でほぼ横ばいの状態ですが、建退共で約 6 万人の増加となりまして過去最高の被共済者数となったため、全体では前年度よりも多いということになっております。

2 ページ、 3 番の退職金等支給状況です。これも一番下の平成 25 年度の数字ですが、支給件数、合計で 32 6,296 件、支給総額につきましては、 4,106 7,200 万円となっております。 1 件当たりの支給金額ですが、清退共を除きまして、前年度より減少しております。

3 ページ、 4 番の一般の中小企業退職金共済制度の平均掛金月額等の状況です。平成 25 年度につきましては、 9,232 円となっております。前年度より微増となっております。その右側は特定業種のほうですが、それぞれ、日額で表のように決まっておりまして、変更はありません。下の運用資産高状況です。平成 25 年度につきましては、合計で 5 2,218 億円となっております。そのうち、一般中退が約 4 2,848 億円を占めております。資産運用状況については次のページ以降に詳しい内訳を載せておりますので、こちらで御説明したいと思います。

4 ページです。こちらは一般中退における資産運用状況です。一番右側が平成 25 年度末の状況です。運用につきましては、自家運用と委託運用と 2 つに大きく分けてやっておりますが、中ほどの自家運用の所を見ていただければ、 53.44 %を占めております。国債等の有価証券等で運用を行っております。その利回りは、横に出ておりますとおり、 1.40 %となっております。自家運用につきましては、国債等の満期保有を行っておりますので、毎年、利回りに大きな変動はありません。平成 21 年度からの数字を見ましても、微減はしているものの、ほぼ安定した推移となっております。

 また、もう 1 つの委託運用、信託銀行等への委託運用です。平成 25 年度の利回りは、下から 2 つ目ですが、 12.54 %の利回りを確保しております。委託運用におきましては、株式等、比較的価格変動がある資産による運用を行っておりまして、平成 21 年度からの利回りの数値を見ましても、プラス、マイナス、それぞれあります。平成 25 年度は、外国株式市況の上昇、さらに円安及び国内株式市況の上昇により、前年度の実績には及びませんが、利回りは大きなプラスを確保しております。したがって、一般中退の運用全体としましては、資料の一番下ですが、 6.55 %となっております。

5 ページが建退共です。建退共におきましては、中小企業に対する事業と附帯的に行っております中小企業以外の企業に対する事業ということで、給付経理と特別給付経理とを区分して行っております。上段の表が給付経理です。平成 25 年度の利回りは、表の右側の一番下にありますように、 3.31 %の利回りとなっております。

6 ページが清退共です。こちらも同じように、給付経理と特別給付経理があります。上の給付経理ですが、平成 25 年度につきましては 2.80 %となっております。

7 ページが残る林退共です。こちらは、委託運用が 2.52 %となっていることもありまして、ほかの事業より若干低めの 1.69 %となっております。以上が資料 1 の御説明です。

 続きまして、資料 2 を御説明いたします。こちらは、平成 25 事業年度の決算の概要をお示ししております。

 まず 1 ページです。こちらは、機構全体の貸借対照表及び損益計算書の要旨をお示ししております。まず下の損益計算書を御覧ください。網掛けしてあります当期純利益を見ていただければと思います。 1,834 億円の当期純利益となっております。平成 25 年度は、昨年度より運用収入等が若干減少しているものの、全体で約 1,834 億円の当期利益を計上しているということです。

 次のページ以降が個々の事業です。 2 ページは一般中退です。これも下の損益計算書から申し上げます。平成 25 年度につきましては、中ほどに運用収入等というのが網掛けになっておりますが、こちらが 2,629 億円になっております。この結果、下の当期純利益につきましては、 1,608 億円となっております。こういったこともありまして、上の貸借対照表ですが、下から 3 つ目の数字に「利益剰余金合計」というのがあります。 2,128 億円という数字になっております。平成 24 年度には約 520 億円ありましたので、大きく積増しができております。

3 ページです。これも下の損益計算書から言いますと、中ほどに運用収入等があり、 299 億円運用収入等がありまして、当期純利益は、 190 億円という数字になっております。こういうこともありまして、上の貸借対照表ですが、利益剰余金につきましては、 1,007 億円となっております。

4 ページが清退共です。下の損益計算書ですが、運用収入等が 1 3,100 万円、当期純利益が 3,700 万円となっております。上の貸借対照表ですが、利益剰余金が 25 億円となっております。

5 ページです。こちらは林退共です。下の損益計算書ですが、運用収入等が 2 2,700 万円、当期純利益が 9,400 万円となっております。これにより若干の繰越欠損金の改善が見られました。上の貸借対照表ですが、 10 7,100 万円の繰越欠損金ということがあり、若干減らすことができたということです。

6 ページは決算の流れを示したものです。平成 25 事業年度決算につきましては、法律に基づき、平成 26 6 30 日に機構から厚生労働大臣に財務諸表が提出されました。その後、独立行政法人評価委員会委員長から意見書を受け、 9 12 日付けで厚生労働大臣が承認したところです。以上、資料 1 、資料 2 の説明でした。よろしくお願いいたします。

○勝部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして何か御意見、御質問等はございますでしょうか。かなり運用収益が良くなっているということもあると思いますが、何かございますでしょうか。それでは、特に御意見等がないようですので、次の議題に移りたいと思います。

2 番目の議題ですが、特定業種退職金共済制度の財政検証についてです。まず、事務局から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松原勤労者生活課長 次に議題 2 、「特定業種退職金共済制度の財政検証について」として、資料 3 を御説明いたします。まず 1 ページに目次があります。構成としては 1 で制度の概要を示した後、 2-1 2-2 として、総論的なところを御説明した後、業種別に 3 4 5 となっております。

2 ページが制度の概要です。これについて委員の皆様には御案内と思いますので、内容の説明は省略させていただきますが、中小企業事業主と各業種別に大きな差があること、被共済者である従業員も業種ごとにかなり大きな開きがあること、更に各共済の財政状況があり、予定運用利回り、累積剰余金、期待収益率にもそれぞれ特徴がありますので、今回の財政検証に当たっては、このような業種ごとの違いも留意していく必要があると考えております。

3 ページが制度の財政検証ということで、こちらのほうで法律上の根拠等について記述しております。財政検証というのは中退法第 85 条に基づき、少なくとも 5 年に一度、掛金や予定運用利回りに基づく退職金の額を検討し、必要に応じて見直すこととされております。また、下の※印は、昨年 12 月に閣議決定が行われて、「独立行政法人改革等における基本的な方針」が決められています。ここで退職金支給要件である掛金納付月数、現在 24 か月以上ですが、この短縮について各業種ごとの財政状況等を踏まえながら、その可否を検討する必要があるということです。今回はこの財政検証と大きく関わるということで、こちらのほうで行っているということです。

4 ページでは、今回の将来推計の前提を幾つか書いております。要素として、大きな点が 2 つあります。 1 つ目の要素が掛金収入、退職金支出及び責任準備金です。これらについては平成 21 25 年度の、過去 5 年間の加入・脱退状況の実績値等を基に推計しております。要素の 2 つ目の運用収入については、資産運用には自家運用と委託運用があると先ほど申し上げましたが、この 2 つに分けて考えの前提を置いております。

1 つ目の自家運用ですが、平成 25 年度末時点で保有している資産については、購入時の利回りで推計しております。また、入替えということで新規に購入する資産もあります。国債は以下の長期金利 (10 年国債 ) で推計を行っております。この長期金利の見通しですが、勤労者退職金共済機構において、民間機関に毎年作成を委託している経済予測を基にしています。本年 7 月、政府の内閣府のほうに経済財政諮問会議に中長期の経済財政に関する試算を提出しております。その中でケースを 2 つ挙げております。日本経済再生に向けた、いわゆる 3 本の矢の効果が着実に発現した経済再生ケースと併せて、内外経済がより緩やかな成長経路となる場合の参考ケースを示しております。本資料の数値については、その後者の場合の長期金利をベースにしており、更に 0.1 %下回る数字を採用しているところです。

 委託運用に掲げている国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の 4 種の資産で、業種ごとにそれぞれの基本ポートフォリオに基づき、実際に運用しているのですけれども、先ほど申し上げた経済予測を基に、まず資産別の期待収益率をこの表のように求めております。これを各業種の現在ある基本ポートフォリオに基づき加重平均したものを、メインシナリオとして将来推計作業を行っております。このメインシナリオに加え、前回の財政検証と同様に、標準偏差を超えて収益率が悪くなる場合が発生しないと仮定した楽観シナリオと、標準偏差を超えて収益率が良くなる場合が発生しないと仮定した悲観シナリオの 2 つによるものも、併せて将来推計を行っています。

 この将来推計については、参考資料 5 に掲げておりますが、業種ごとに順に御説明していきたいと思います。 5 ページの 3-1 から建設業退職金共済制度、いわゆる建退共になります。建退共については、平成 21 年に行われた前回の財政検証の際の中退部会の取りまとめと、今回の財政検証における将来推計を踏まえて考えますと、累積剰余金をどう取り扱うかというのが課題と考えております。すなわち、 1 の前回の財政検証時の議論です。この当時は景気が悪かった時期に財政検証を行ったわけで、建退共の累積剰余金の在り方については、安定した制度運営を行うためには現行程度、当時は 351 億円の累積剰余金を持つことが望ましいということでした。それが 1 点です。もう 1 点が、累積剰余金は将来的に従業員に還元されるべき性格のものであるといった取りまとめが行われています。

2 の今回の財政検証の推計ですが、累積剰余金が平成 25 年度で約 868 億円ということで、前回の 351 億円と比較して、大きく増加しております。推計しますと、平成 30 年においても更なる増加が見込まれます。こういったことを踏まえて、累積剰余金が現に大きく増加しており、今後更に増加していくことが見込まれることから、累積剰余金を従業員に還元するため、安定的な運営に必要な累積剰余金の水準、 4.8 %を確実に確保した上で予定運用利回り、現行 2.7 %を引き上げるのが適当ではないかといったことが、事務局としての提案です。

 補足として※印が 2 つあります。 1 つ目の※印に、 4.8 %の根拠が書いてあります。委員の皆様が本年 2 月から 3 月にかけて、一般中退の累積剰余金の在り方について、中退部会で御議論いただきました。このときに制度の安定的な運営を図るために必要な剰余金は、リーマンショック時の金融情勢の急激な悪化が生じた場合にも、対応できる水準とされたところです。これを同様の条件で検討しますと、建退共における必要な水準というのが責任準備金に対し、 4.8 %と計算されます。そういうわけで、こちらで 4.8 %という数字を掲げているわけです。

 もう 1 つの※印では、引き上げた場合の新たな予定運用利回りの適用対象について補足しております。利回りを引き上げる場合は、前回の利回り引下げの平成 15 10 月以降の期間に対しても新しい利回りの適用対象とすることが、過去の前例に倣って適当であると考えております。 ( ) に書いてありますが、仮に適用対象としない場合、同じ掛金日額であっても、予定運用利回りの異なる証紙とする必要があります。そういった場合、退職金の算出が複雑なものになることに加え、共済契約者・取扱金融機関等の事務負担が大きいという問題があり、このような取扱いが適当ではないかと御提案申し上げております。

 この措置による財政上の負担も織り込んで、次ページ以降の推計を行っています。 6 7 ページにありますように、将来推計の結果を現行の 2.7 %、更に 2.9 %、 3.0 %、 3.1 %で行っております。 8 ページにあるのが、この数字を 1 枚の表にまとめてみたものです。こちらでは利回り 3.0 %のケースを中心にして、財政上どうなのかを示しております。前提として 3 つ置いております。利回りの見直しが平成 28 年度から実施されること、利回りの引上げは平成 15 10 月まで遡って実施すること、退職金支給要件である掛金納付月数の短縮も含んだものとして計算していること、この 3 つの前提を置いて計算しております。

 まず累積剰余金です。中ほどの棒グラフを御覧ください。平成 25 年度の数字が 868 億円と出ております。これが現行の 2.7 %で、累積剰余金が 965 億円と大きくなることが見込まれます。これが仮に 3.0 %とした場合、 823 億円の累積剰余金となります。責任準備金に対する比率が、 9.90 %を確保しつつ、 3 年間で約 140 億円を利回りの見直しの原資、すなわち従業員に還元することに用います。

 一方、 823 億円の吹出しの所に利回り 2.9 %と書いてありますが、この場合だと累積欠損金は 898 億円となります。これは従業員への還元という観点からは、若干不十分という見方もできるかと思います。また、利回り 3.1 %のケースの場合は、 758 億円の累積剰余金になりますけれども、念のため悲観シナリオで検証しております。左側の下の点線で囲った箱です。一番下側が利回り 3.1 %の場合です。累積剰余金について 4.79 %ということで、先ほど申し上げた確保すべき 4.8 %水準を、平成 31 年度には下回る見込みになります。制度の安定的な運営との観点からは、リスクをはらんでいる数字ではないかと見て取れます。

9 ページで、退職金支給要件である掛金納付月数の短縮について説明しております。いわゆる特定業種退職金共済制度というのは、業界退職金とされており、従業員がその業種で従事する期間が、一般の中退における 1 企業での勤続期間より長いと考えられることから、一般中退の不支給期間 1 年より長い 2 年間と説明されてきたところです。一方、下のマルにありますように、平成 21 10 月の中退部会においては、建退共の不支給期間の短縮について議論が行われました。当時の経済情勢の下では実施が見送られましたが、短期間に業界からの退職を余儀なくされている労働者の状況や財政状況等を勘案しながら、引き続き検討を行うこととされたところです。

 現在の状況と、それを踏まえた事務局からの提案が下の枠の中に書いてあります。現在は技能労働者の確保が課題となる中で、短期離職者対策の強化が求められているところです。その中で、人材確保の観点から、短期離職者に対する建退共の魅力を増す必要が高まっていること、建退共における掛金の平均納付期間が、一般の中退と比較して短い傾向が見られること ( 平成 25 年度で一般中退 125 月、建設業で 110 ) 、不支給期間を短縮することのできる財政基盤を有していること、という 3 つの考慮すべき事項が書いてあります。

 そういうことを考慮いたしますと、昨年 12 月の「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」の閣議決定に即しつつ、一般中退の不支給期間と合わせる形で、建退共における支給期間を 1 年に短縮するのが適当ではないかと考えております。下の※印です。今般、前のページで長期勤続者の退職金額に係る予定運用利回りを引き上げるとするならばという話を申し上げました。これと併せて考えますと、建設業界への定着促進機能を維持しながら、短期離職者への対応を行うことができると思います。

10 ページが以上申し上げた措置、予定運用利回りを 3.0 %に引き上げる、退職金支給要件である掛金納付金月数の 12 か月への短縮等を行うといった場合に、実際に従業員が受け取る退職金の姿を試算してみたものです。平均退職金額については、 3.32 %の増があるという姿になっております。以上が建退共です。

11 ページからが清酒製造業退職金共済制度、いわゆる清退共についてです。これについては責任準備金を大きく超える累積剰余金が存在し、かつ、今後も存在し続ける見込みで、制度の安定的運営に問題はありません。他方、脱退者数が新規加入者数を上回る状況が続いています。今回の財政検証の推計ですが、清退共における累積剰余金は平成 25 年度で約 24 億円となっております。前回の財政検証時の水準、当時 9 億円と比較して増加しております。他方、脱退者数が新規加入者数を上回るため、平成 30 年度においては責任準備金と累積剰余金は減少するという見込みになっております。こういったことを踏まえて、制度の当面の運営には支障は生じないものの、今後、累積剰余金が減少することが見込まれていることから、予定運用利回り、現行 2.3 %の見直し及び退職金の不支給期間の短縮は行わないことが適当ではないかというのが、事務局としての提案です。

12 ページが、今申し上げた財政見通しについて、数字でお示ししているものです。下のグラフで見ていただければと思います。累積剰余金が毎年約 4,000 万円ずつ減少していく見込みというのが、※印で書いてあります。累積剰余金が 24 億円から 23 億円というように減っているといった姿になっております。次のページで、加入者の状況をお示ししているものがあります。ここのところ、ずっと脱退者数が新規加入者数を上回る状況が続いているということです。

 次の 14 ページからは林業退職金共済制度、林退共における対応について書いてあります。先ほど議題 1 でも御紹介したとおり、林退共は累積欠損金を抱えておりますが、将来推計に基づけば、今後においても脱退者数の増加等を主な理由として、欠損金が増加していく見込みが描かれます。このような中で、累積欠損金の解消に向けて対策を講じることが必要です。今回の財政検証の推計ですが、下のほうを見ていただければと思います。林退共における累積欠損金は平成 25 年度で約 10 億円と、前回の財政検証の水準、当時 15 億円と比較して改善はされております。ただ、平成 30 年度に何も対策を講じない自然体ということでは、むしろ累積欠損金が増加することが見込まれているところです。機構で策定している累積欠損金解消計画に沿って、着実に累積欠損金の解消を進めることが重要であることから、制度の魅力を減じないように留意しつつ、予定運用利回りの引下げや資産運用方法の見直し等、踏み込んだ対策を講じるべきではないかというのが、事務局としての提案です。

 次の 15 ページです。こういった問題状況に対して林業界としても、業界としての検討を行ったという経緯がこちらに書いてあります。日本林業協会というのは、林業の事業者の横断的団体です。ここにおいて今年 4 月から 5 回にわたり、林退共の安定的運営に向けた検討が行われ、 6 月に報告書が取りまとめられたところです。その報告書の概要がこちらに紹介してあるものです。

 まず、 1 の「林退共の在り方についての基本的認識」です。林退共の創設の経緯なり、林退共の重要性が書いてあります。近年、林退共の加入者は減少傾向で推移しており、当面厳しい状況が続くことが懸念される状況であるという認識を示した上で、林業界としては戦後に造林したものがようやく主伐期を迎え、その主伐した後の再造林なり、それを育てる保育の作業量が増加することが見込まれています。そういった中で、そういう作業にふさわしい期間雇用の従業員向けの制度である林退共の役割は、引き続き大きいとしております。そのようなことを踏まえ、今後とも林退共を制度として維持し、安定的な運営を図ることは林業界にとって重要な課題ということが、基本的認識として示されています。

2 が「財政問題の存在」です。平成元年度以降、実際の運用利回りが予定運用利回りを下回る状況について、平成 8 年度以降、累積欠損金が発生しております。今後については先ほどの将来推計でも出てきましたけれども、かなり厳しい見通しが出てきています。このような財政問題が深刻化することとなれば、安定的な運営に支障が生じ、林退共を制度として維持することも困難となるおそれがあるとしております。

 こういったことを踏まえ、 3 の「今後取るべき対策」です。ここでは 4 つの対策を総合的に講じて、財政の安定化等を図ることにより、当初計画どおり平成 34 年度末の累積欠損金解消を目指し、もって制度の安定化を図るべきということです。1として予定運用利回りの引下げ及び掛金日額の引上げ、2として業務費用の縮減、3として資産運用方法の見直し、4として加入促進対策の強化が必要としております。

16 ページでは、報告書に書いてあるような総合的対策を具体化するとどうなるかというのを、数字をもって示しております。ここでも報告書の整理に従って、 4 つの事項に分けております。 1 つ目の事項が「予定運用利回りの引下げ・掛金日額の引上げ」です。これを平成 34 年度の累積欠損金解消を前提に組み立てますと、現行 0.7 %ある予定運用利回りを 0.5 %に引き下げます。また、掛金日額は現行 460 円ですが、これを 10 円引き上げて 470 円とします。この掛金日額の引上げにより、退職金給付は現行程度の水準を確保することができます。制度の魅力を失わないようにすることを前提にすれば、このように掛金日額の引上げが併せて必要になるということです。なお、掛金日額の引上げについては、機構の理事長が運営委員会の議を経て、掛金日額を定めている共済規程を変更して、厚生労働大臣の認可を受けることが中退法上定められております。

2 が「業務費用の削減」です。業務費用というのは、本部の人件費なり事務費に加え、支部への委託費で構成されております。現在、約 1 億円かかっておりますけれども、これを機構本部・支部とも、それぞれ 500 万円ずつ、計 1,000 万円程度削減することを目指します。

3 が「運用方法の見直し」です。これは運用収入の増加を図るために、資産運用方法の見直しを行います。その際、安全でかつ効率的な資産運用を図るため、委託運用の部分について一般中退との合同運用を行うということです。なお、合同運用については中退法の改正が必要になりますので、法律改正として別途、本部会にお諮りする必要がありますが、今回、林退共の財政検証の 1 つの要素となっているので、こちらで掲げているものです。

4 が「加入促進対策の強化」です。制度の安定的な運営にとっては、まずもって新規加入者数が脱退者数を上回るようにする必要があります。一義的には事業者に御努力いただくことですけれども、制度を所管する厚生労働省及び業を所管している林野庁としても、ここに書いてあるような指針を行うことを検討しているということです。

 次のページで、今申し上げた推計の数字を掲げておりますが、具体的には 18 ページを見てください。上のほうが累積欠損金解消計画の目標額で、下のほうで緑の枠で囲ってあるのが、今申し上げた改善策を講じた場合、今後どのように見通せるかということです。まず平成 25 年度です。累積欠損金解消計画上は 8.2 億円まで縮減していますが、現実には約 10 億円の累積欠損金になっております。これを今回対策を講じることにより、自然体であれば若干、累積欠損金が膨らんで 11 億円になるところ、対策後の平成 30 年度の時点では、 6 億円まで縮減することが可能となります。また、対策を講じた場合には平成 34 年度まで延長すれば、累積欠損金の解消が見込めるということが計算されます。

 最後のページです。こちらも加入促進の状況ですけれども、脱退者数が新規加入者数を上回っている、新規加入者数が十分でないということが見て取れるかと思います。以上で資料 3 の説明を終わります。

○勝部会長 参考資料は、適宜使えばよろしいということですか。

○松原勤労者生活課長 はい。

○勝部会長 ただいま御説明がありましたように、今年度は 5 年に一度の特定業種退職金共済制度の財政検証の年ということで、それぞれ特性が異なりますので、それについて委員の先生方に御意見、御質問などを伺えればと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。建退共については剰余金が非常に増えているということですが、何か御意見はありますか。

○長谷川委員 資料 3 で御説明いただいたように、 9 ページに建退共の状況が書いてあります。我々建設業界は今、技術・技能者不足で、将来の担い手が不足するという喫緊の課題を抱えております。様々な対策を取っておりますが、そういった中で建退共制度そのものは極めて安定した運用状況で推移していることがよく分かりました。不支給期間の短縮については入職促進、離職者対策にもつながるということで、こういうようにしていただくと大歓迎です。それから、将来に向けた安定した制度の運用の維持を図り、加入者への還元を大きく考慮したときには、建退共については運用利回りの 3 %への引上げも極めて妥当ではないかと判断しています。

○松岡委員 今、長谷川委員がおっしゃったとおりだと思っております。ここに書かれているように、被共済者に還元していただくことについては、大変有り難く思っていますし、そういうことが必要だと思うのですが、併せて林退共にもありましたように、加入促進の課題があります。この前の現況の御説明にもありましたけれども、契約者数が減少していて被共済者数は増えているというのを、どういうように見るかというのがあります。やはり契約者数が減少しているというのは、それはそれで今後の加入促進に努めていかなければ、要は共済をやっていなかった所にも、やっていただくように広げる必要があるだろうと。今の状況で増加している所にはどういった特徴があるのか、もしお分かりになったら御説明いただきたいと思います。併せて林退で触れられていたような加入促進対策を本省のほうで検討いただければ、なお有り難く思っております。

○松原勤労者生活課長 資料 1 を御覧いただければと思います。制度の現況について示したものの 1 ページです。まず、新規加入状況については共済契約者数で言いますと、平成 25 年度は 5,435 件の新規加入があります。一時期減っていたのですが、平成 23 年度から 24 年度、 24 年度から 25 年度と若干ずつ盛り返しているかと思います。一方で在籍状況を見たときに、共済契約者数が減っているという数字になっております。これら 2 つを併せて考えますと、恐らく脱退者が多いのだろうと考えております。

 建設業については長谷川委員から、一方で厳しい状況があることをまた補足していただければ有り難いのですが、やはり合併や廃業等により抜けていく方も若干数いらっしゃいます。そういった数字がこちらのほうに反映されているものだと考えております。また、新規加入の促進については、たまたま今月は加入促進月間ということもあり、機構でも熱心に取り組んでいただいているところです。厚生労働省においても国土交通省とよく連携しながら、それを側面支援していきたいと考えております。

○勝部会長 そうすると、加入促進は順調にいっているということで、そちらの課題は特にないという感じでしょうかね。では、ほかにありますか。

○小野委員 まず建退共についてです。こちらは賛成とか反対ということではなく、一応確認ということでお話申し上げたいと思います。 2 ページに先ほど課長から御説明いただいた各共済の財政状況に、予定運用利回りと期待収益率というのが掲載されております。例えば一般中退ですと、 1.0 %の予定利回りに対して、積立金の運用の期待収益率は 2.60 %ということで、そこそこ上回っているわけです。建設や清酒においては、この関係が逆転しています。つまり、もしこの予定運用利回りが積立金の運用に対して必要な利回りだとすれば、逆転というのは余り好ましくないことだろうと思います。

 特定業種の制度というのは、基本的に証紙の方式です。労働者の皆さん方は 1 年間通して満遍なく働いているわけではないので、一定のブランクの期間があると思うのです。例えば 1 年間勤務したという証紙が貼られるのに要する期間が 3 年間あるとか、そういう構成になっているのではないかと思うのです。そうなると給付のほうは、そこは利息として反映されませんけれども、その間資産が寝かされているわけですので、これに対する運用収益の期待があるということです。恐らくブランクの期間を考慮した場合には予定運用利回りというのは、実質的にはかなり低くなるだろうと。低くなった利回りとその期待運用収益率との関係でプラスかマイナスかというのが、一応把握されるべきだということだろうと思います。その大小関係で是非というのは、ある程度判断できるのではないかというのが 1 点です。

 それから、期待収益率を御覧いただくと、これだけ一般中退と比べると、それなりの違いがあるというのは、先ほどの運用の結果として御報告いただいたわけです。いわゆる委託運用で市場で運用されている部分について、株式や外国証券などに投資している部分がどれぐらいあるかということに関しては、この報告の中では一般的に金銭信託という形でまとめられておりますので、必ずしも明確ではないのです。恐らく一般中退のほうがリスク性の資産にかなりというか、それなりに投資されているのに対して、特定業種の制度はそれをかなり控えていらっしゃるという現状があると思います。

 そうなってくると、その結果として資産の収益率のぶれというのが、構成しているポートフォリオによって異なってきます。その異なった結果が、例えばリーマンショックによる積立金の変動などの影響にも差が出てくる、という形で現れてきます。結局、一般中退は、必要な剰余金は確か 9 %程度だったと思うのですが、それが 4.8 %で済んだというのは、積立金のポートフォリオの違いだと思います。このような構造の問題やポートフォリオの関係が、今後も変わらないということであればというか、そういう条件付きでこのシミュレーションがなされているかと思います。ですから、そこは十分踏まえられたほうがよろしいのではないかと思います。

○勝部会長 今の点についてはいかがでしょうか。

○瀧原勤労者福祉事業室長 それでは私から、小野委員からお話のあった件の確認ということで、正に小野委員のおっしゃったとおりというのが答えにはなります。まず最初のほうの予定運用利回りと期待収益率の差につきましては、委員がおっしゃったとおりで、一般中退の場合には常用雇用の労働者ですので、毎月毎月掛金が納められるという形で、制度設計と同じ形で従業員の方々の退職金のことが計算されるわけですが、特定業種の建設、清酒、林業については期間雇用ですので、先ほど御指摘がありましたとおり、例えば建設業ですと、 1 か月に 21 日働いて、それを 12 か月続けることによって 1 年間の納付という計算をしておりますが、期間雇用、日雇労働ということもありまして、平均的には 21 日の就労があるのですが、実際は建設業でしばらく働いたが、また製造業に行くとか、いろいろ移動して、また建設の仕事がたくさんあるときには戻ってくるという働き方をしていますと、月に 21 日あるいはそれを 12 か月続けることが一般的ではないというか、そうではない方々が相当数いらっしゃるということで、その結果、資産の運用期間が制度設計上よりは延びるということで、設計上の 2.7 %と、その制度に求められる収益率が少し変わってきます。

 そこのイメージは、資料 3 6 ページで財政検証の推計結果を出しているわけですが、この制度がどのぐらいで収支をとるかを見るのに、ちょうど都合のいいのが推計 2 の平成 29 年度、平成 30 年度辺りを見ますと、平成 29 年度で運用利回りが 1.69 %で、当期利益金が▲ 3 1,800 万円でマイナスになっております。平成 30 年度を見ると、 1.7 %の利回りになって、 6.700 万円のプラスですので、年度によって少しぶれるのですが、大体 1.7 %少しぐらいでこの制度の収支がゼロになるというイメージが見えるかと思います。

 これは推計ですので、この数字が出るのは平成 25 年度までの実績に基づいているわけですが、この制度の予定利回り 2.7 %よりも少し低い利回りになっています。今は推計 2 を使いましたので、これは現在の 2.7 %よりも少し利回りを上げるという予測で取っておりますので、それまでを踏まえると、現行の制度というのは今のところは 1.7 %を切るぐらいの利回りで回っているというのが、大体イメージとして見ていただけるかと思います。

 そういう意味で制度として設計上、あるいは給付何パーセント程度というときの予定運用利回りと期待収益率には少し乖離が出ておりまして、それが制度の実際の運用に当たっての必要となる利回りでこれを基に期待収益率を決めているという形です。

 あとは後半のリスク性資産の問題ですが、これは別冊の参考 3 4 枚目に「基本ポートフォリオ」というのがあります。これが先ほど話のあった期待収益率を、例えば一番上の表ですと、一般中小企業退職金共済事業において、期待収益率 2.6 %の収益を上げるために、どのような資産配分をしているか、原則的な資産の配分比率を示しております。これをベースにして少し前後ぶれるような形でやっておりますが、ここで一般的にリスク性資産と言われているのが国内株式、外国債券、外国株式の 3 つの部分です。運用としてぶれの大きいものですが、この 3 資産は一般中退の場合ですと、 7.7 × 3 23.1 %がリスク性資産で運用しております。一方で建設業の退職金共済制度は、リスク性ではないのが国内債券ですので 86.2 %が安定で、短期資産がありますので、短期資産も合わせてもよろしいかと思いますが、上の一般中退に比べて、建設業においてはリスクとなる国内株式、外国債券、外国株式の割合が相対的に低くなっております。

 この結果、ぶれが小さいということで、もしリーマンショックのようなときに、どのぐらい痛手を被るかを考えた場合には、この 2 つで比べますと、一般中退のほうが相対的にはやや大きくなるということで、安定した運用のために持つべき剰余金の割合が一般中退の場合では 9 %、建退共の場合は 4.8 %になるということの基のデータです。

 小野委員の発言の確認になりましたが、御指摘のとおりの状況が起こっておりますので、その点を踏まえた上での今回の将来推計及び見直し案と御理解いただければと思います。

○勝部会長 構造が変わらないので、今回予定運用利回りを引き上げるという議論がなされているのは、そういったベースで算定した結果という理解でよろしいかどうか。

○瀧原勤労者福祉事業室長 そうですね。脱退の状況や先ほどの必要となる利回りはどの程度かというのも、過去を見て、それほど大きく変動はしないという形が見て取れますので、その状況は今後も続くという前提で設計しております。

○勝部会長 ほかに御意見はありますか。

○新田委員 林退共の件で確認したいことが 2 つあります。 1 点目は、資料 3 16 ページの改善策 ( ) の冒頭に、日本林業協会の報告の取りまとめに即したものとお断りになった上で、例えば 0.5 %の引下げとか、掛金日額を 10 円引上げて 470 円とすると書いてありますが、ここの理解は、日本林業協会として 1 4 までに書かれている内容については、これでオーケーを出しているという理解でよろしいかということです。

 もう 1 点は、 3 の運用方法の見直しにおいて、一般中退との合同運用を行うということで、今回「中小企業退職金共済法の改正が必要」という文言があります。改正の程度はどの程度なのか。要は新しい条文を突っ込む必要があるのか、それとも現在ある条文の一部修正が入るのか、どの程度の修正が、今回は必要になるのかという点についてお聞かせください。

○松原勤労者生活課長 お答えしやすいほうからお答えします。後者ですが、若干、法技術的な点もありますが、合同運用については GPIF の法の前例があります。そこにおいては区分経理という条文のほかに、合同運用ができるという条文を 1 条起こしておりますので、イメージとしては似たような体裁を考えておりますが、法技術的に法制局と相談する必要があります。

 前者の質問は結論から言いますと、日本林業協会にこの内容については御説明しました。と申しますのは、参考 9 が実際の報告書で、 3 ページの中ほどに「今後の対策」という項があります。こちらに今後の基本的な考え方として幾つか書いてあります。まず 1 つは、当初の計画どおり、平成 34 年度末の累積欠損金解消を目指すということで、数字的には平成 34 年度にゼロになっているということで、この報告書はピン留めされています。

 その次に (2) の1で、予定運用利回りの引下げ及び掛金日額の引上げというのがあって、 1 段落目に「予定運用利回りについて、毎年度の当期損失金が発生しない ( 累積欠損金が増大しない ) 程度の水準に引き下げるべきである」と書いてありますが、要は収支が均衡するということを言っていまして、収支が均衡するということを数字にすると 0.2 %引き下げなければいけないことになります。

 もう 1 つ、その下に「ただし」と書いて、「現行の退職金給付水準の維持を図る」ということが書いてありますので、これも 0.2 %の引下げに見合うものは掛金日額の 10 円になります。ある意味で客観的に出てきますので、この報告書ではどうなったかということを厚労省に試算してほしいと言われましたので、この内容を報告書の取りまとめの前に私どもから、このとおりやればこうなりますという説明をして、これも含めて、この報告書が取りまとめられたという経緯があります。そういう意味では新田委員がおっしゃるような意味での業界としての覚悟ができているということかと思います。

○島村委員 林退共の運用方法の見直しについて確認です。一般の中退共との合同運用は欠損金が生じているため仕方がないかなと思うのですが、欠損金が解消されれば元に戻すということは視野に入っているのでしょうか。

 合同運用でも区分経理しますので、一般の中退共が不利になるということは全然ないと思いますが、林退共以外から一般の中退共との合同運用に関して反対の意見が上がるのではないかということをお聞きしたいと思います。

○松原勤労者生活課長 平成 34 年度に計画どおりいって、累積欠損金が解消されたときにどうするかということです。基本的に中退法というのは区分経理でできています。原則はそれぞれの特定業種の退職金共済制度というのは、もちろん業界退職金制度としてできてきたという経緯があり、あるいは冒頭に制度の概要で説明しましたとおり、従業員の数なり、共済契約者数なり、財政状況が全然違い、退職者数、加入者数が全然違うので、それぞれ違う制度設計で、区分経理の中で別々の会計でやるということが原則ですので、合同にとか、そういった意味でも例外だというのが基本スタンスだと思います。

 ただし、その時点でどのような判断があるかというのは、現時点で、はっきりこうしなければいけないというのはなかなか言い難いところですが、メリットとして運用手数料の縮減というものもありますので、そういった意味で引き続きやるということも選択肢としてはあるのかもしれません。

 ほかの業種でもどうかという話ですが、業界退職金制度としての性格付け、あるいは財政状況なり、加入・脱退状況の違いということで、それぞれの経理でやるのが最も合理的だと考えております。したがって、原則としては別々にやるのだろうと思いますが、委員が冒頭おっしゃったとおり、林退共については赤字を抱えており、これを何とかしなければいけないというのが喫緊の課題である中で、林退共については合同運用をするという選択肢がとられたもので、これをほかのものにも一般的に行うことは考えられないのではないかと思っております。

○勝部会長 ほかにいかがですか。

○市瀬委員 いろいろと試算を頂いて、林退共については一般中退との合同運用というのが、それを解消するためには一番のことになるのでしょうが、その他の建退共などについては、この良い状態が続けばいいのですが、中退共にしてもリーマンショック時のような急速な悪化が生じた場合を想定しているということも踏まえると、このような運用方針をしているところで、よろしいのかどうかが少し疑問に思います。要は建退共の方は、株に関しては少し少ないパーセンテージということで、財政状況を一気に解決するためには中退共のような状況になるということが試算の内容だとは思いますが、その辺は少し不安を持ちます。

○松原勤労者生活課長 まず林退共については、大前提として参考 3 に掲げてありますように、基本ポートフォリオについて、極めて国内債券が多い基本ポートフォリオになっております。国内債券は 95.6 %ということで、これはほかの業種に比べて極めて安全資産を取っているいうことがまず 1 つで、そのうち、今回委託運用分をやるというのがまず本旨だということが 1 つあります。

 もう 1 つは、一般中退についてはまずリスク回避が大切かと思います。昨年決定された閣議決定の中で、一般中退というのは委員が御懸念のとおり、過去赤字を持っていたということも踏まえて、こういったリスク管理をどうするかということが課題だと閣議決定で書かれております。

 これについては、参考 6 3 ページを御覧いただきますと、右側が閣議決定で、左側がその閣議決定の基になった分科会の報告書です。報告書のほうがわりと分かりやすく書いてありますので読み上げますと、「財務の健全性及び適正な業務運営の確保のため、金融業務に係る内部ガバナンスの高度化を図るべきである。特に中退共において、かつて多額の累積欠損金が生じる状況があったことを踏まえ、外部の専門家による監視体制の強化等の実効性あるリスク管理体制を整備することが必要である」とされています。この具体策については次回以降、法律の改正に係る審議において御説明してまいりたいと思いますが、こういった意味で、そもそも一般中退について、リスク管理体制をきちんと整えていくことが課題となっておりまして、それにふさわしい体制を法律改正でどのようにしていくかを省として検討しているところです。そういった意味で総合的なリスク管理が現在よりも、より高度化されるようにしてまいりたいと思っております。

○市瀬委員 リスク管理という問題ではなくて、要はアベノミクスで急激に良くなったわけです。ですから、その辺が少し不安です。平成 34 年まで良い状態が続くのであれば、もちろんこのシナリオどおりでいいと思いますが、その辺に一抹の不安があります。一応それだけ申し上げておきます。

○勝部会長 確認ですが、委託運用部分を合同運用をするということですか。

○松原勤労者生活課長 はい、そうです。

○勝部会長 ポートフォリオが大きく変わるわけではないということで、先ほどのこれを見ますと、国内の債券運用が 9 割以上ということですので、それほど大きくポートフォリオは変わらないという認識でよろしいのでしょうか。参考資料で林退共は 95 %が国内債券になっていますが、ここは変わらないということでよろしいのでしょうか。

○瀧原勤労者福祉事業室長 今、御指摘の変わらない部分は、自家運用と委託運用の比率は変えておりません。ですから、一般中退と合同運用にするかという点で、一般中退のポートフォリオはそのためにあるというわけではないということです。実際に先ほどの現在の運用状況を見ていただいた部分もあったのですが、林退共は自家運用のところが一般中退より高くなっておりますので、合同運用にしても、自家運用の比率を高くすればリスクは押さえられます。そういう意味では合同運用する際に、自家をどのぐらい持つかというのはその時点で検討することは必要になります。ただ、現在の推計においても一般中退よりも、より堅い、自家運用中心の運用をしているというのはありますので、直に一般中退になるというものではないと思います。

 あと市瀬委員がおっしゃったとおり、平成 25 年度、平成 24 年度は確かに高いのではないかという面はあると思います。そこの部分は、実際にやっていく上ではより慎重にしていきたいとは思っておりますが、現在の推計においても、推計前提というのは少し堅めにしております。

 例えば資料 3 17 ページで林業の推計をさせていただいております。平成 25 年度は実績ですが、 17 ページの推計 1 の自然体で行きますと、平成 25 年度の運用利回りは 1.69 %ということで、これは今のアベノミクスがうまくいっている中での値です。これをそのまま伸ばすことは考えていません。実際にそれ以降の平成 26 年度、 27 年度で見ていただきますと、例えば株式なり、外国債券等がそこまでうまく回らないことも想定して、平成 26 年以降の推計をしております。全体的な見通しは決して今のままとは見ていないのですが、下の推計 2 を見ますと、平成 27 年度 0.96 %から、平成 28 年度は 1.92 %ということで 1 %ぐらい上がっております。この 1 %上がった要因が委託運用においても堅くやっている林業の部分を一般中退との合同運用によりリスクを上げたという形になっております。そういう意味では、これぐらい上げるということは、それなりのリスクが発生するということは間違いないことです。そこの部分は実際、そこまでリスクを取るかどうかというところは自家運用と委託運用の比率をどうするかというところで、もう 1 本チェックを掛ける形になると思います。

 今回の委託運用をやるというのは、林業だと資産割合が小さいので、委託運用をするとそれに対するコストが、外国債券とか外国株式を買おうと思いますと、一定の費用がかかってしまいます。それを一般中退と一体化することによってコストを下げていこうという形で、リスクを取れる選択肢を広げるというのが基本的な考え方です。リスクを取れるようになった上でどの程度リスクを取るのが妥当かというのは、最終的にやる段階できっちり見極めなければいけないと思います。今がいいからこのままで行くと期待してやってしまうと、大焼傷をすることも十分考えられます。そういう意味では、今回の合同運用については、そういう道を開いて、資産の大きさが小さくてもそういう選択肢を採れるようにし、少しリスクを取る運用ができるようにして、最終的にはそのときの状況を踏まえて、きっちり設定をしていきたいと思います。

○関委員 専門家ではないので、よく分からない点もありますが、合同運用の件で一点。今のお話を伺っておりますと、リスク回避の必要性とか、いろいろありますが、委託運用のコストなどを考えると、将来的には清酒など規模の小さい所については、林業でうまくいきそうでしたら、同じように合同運用していくことを検討してもいいのではないかと思います。

○松原勤労者生活課長 将来的な話としての清酒の話です。清酒については、 12 ページですが、少なくとも次回の財政検証は平成 31 年度に予定するとして、当面十分な累積剰余金を抱えており、退職金の支払いについては何ら問題がないという状況です。ただ、おっしゃるとおり、合同運用をどうするかということ以前に、どのように将来的に考えていくかということの中で、財政検証も次回きっちり行った上で考えていくことが必要なのではないか。その課題の中の 1 つとして、関委員がおっしゃったような課題も、もしかしたら出てくるのかもしれないと思いますが、当面安定的な運営は可能かと思っております。

○宮嵜委員 確認ですが、林退共の関係で、資料 3 16 ページにある 1 4 の対応策を得られるということで、これについては先ほどの答弁の中で、日本林業協会にも確認されたということでした。先ほど説明があった参考 9 3 ページで、業務費用の関係については「当分の間」と日本林業協会からは掲げられているのですが、これについては改善策の中では、当分の間というのは出しているという考え方でいいのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。

○松原勤労者生活課長 実は私は「この報告書の当分の間というのはどういう意味ですか」と取りまとめられた方にお聞きしたことがあります。累積欠損金が解消すればという意味だそうです。平成 30 年度までの推計を行って、それの延長線上で平成 34 年度まで推計してみたものですから、解消されたあとの姿は、実は私どもは描いておりませんので、そういう意味では今回の推計には入っていないといえば入っていません。

○勝部会長 ほかに何かありますか。

○小野委員 お酒と林業についての私なりの感想です。私どもの研究所の親会社は信託銀行でして、信託銀行では企業年金が主力の商品です。企業年金として考えれば、お酒の 50 億円という資産とか、林業の 140 億円という資産は非常に良いお客様だということに、正直なところなるわけです。ただ、 1 つの国の中の 1 業種、全国版ということですか、それで見た場合には、この規模が、例えば一般中退であるとか、建設と比べると、かなり桁が違うという話になってくると思います。

 その中で、例えば清退共では資産 50 億円が収支が逆転しているという関係で、年々資産の減少傾向にあるし、将来予測においても剰余金が少しずつ減っていくという状況になっていることが見て取れるわけです。そういった観点からすると、今すぐにということではないかもしれませんが、今後、中長期的な視点から制度の在り方は検討すべきではないかと思います。

 同じく林業ですが、積立金は確かに 140 億円ということで、お酒と比べると多いということですが、累積欠損金を抱えているし、幾つかの改善案を出していただいておりまして、これでやりましょうということではあるわけですが、これでやって頂いたとして、このあとの定期的な検証を踏まえつつ、もし計画どおり進まないということであれば、次の財政検証の辺りでもう一回検討していただくことが必要ではないかと思った次第です。

○勝部会長 今のはよろしいでしょうか。

○松原勤労者生活課長 おっしゃるとおり、清酒製造業退職金共済及び林業退職金共済については、林業についてはこの対策でやりたいと業界が言ってきたという経緯もあります。また清酒については、当面財政的には問題がないということがありますが、委員が御指摘のとおり、中長期的に見たときにどうなのかという課題としては、確かに私どもも感じるところですので、そういったことも踏まえて対応していく必要があると思っております。

○勝部会長 本日はお休みですが、鹿住委員からもコメントを頂いております。 1 つは建退共において 3 %に引き上げるということについて、再度リーマンショックのようなことが起きた場合に財政的に大丈夫かという懸念があるのではないかというのが 1 点です。

2 番目としては、清退共、林退共について、就業形態が多様化しているということへの対応で、通年雇用が増えているという御指摘もありますが、これらの動きに対してどう対応していくかも中長期的には検討していく必要があるのではないかというコメントを頂いておりますが、これについては何か事務局のほうでありますか。       

○松原勤労者生活課長 まず 2 番目の中長期的な在り方については、正に小野委員と同じような御指摘かと思いますので、正に御指摘のとおりかと思います。

 前者については、建退共の話については、先ほど資料の中で若干御説明いたしましたが、再度触れさせていただきたいと思います。資料 3 8 ページの中ですが、リーマンショックのようなことが起こったというのは、実は安定的水準を持っていなければいけない、それに備えるという意味では 3.1 %水準に上げた場合は、確かに 4.8 %を下回る恐れがあるかと思います。

 悲観シナリオで言いますと、 3.0 %の観点からは、まだ耐え得る水準を保っているということがあり、悲観シナリオの場合でも、当面の不安はないのではないかと思っております。また、前段で国債の長期金利についてお触れになっております。確かに足元の長期金利から見れば、このように伸びるかということについてどうかというのはあろうかと思いますが、政府の経済財政見通しの根拠あるいは民間のいろいろな調査機関においても、大体このような長期金利の見通しを立てているということを考えれば、堅実ではないかと思っているところです。

○勝部会長 ほかには何かありますか。それでは、これまでの委員の先生方の御意見をまとめますと、建退共については、予定の運用利回りを 3.0 %へ引き上げる、事務局から御説明がありましたように、準備金をある程度積むということで 3.0 %へ引き上げる、それから不支給期間を 1 年間に短縮するという 2 点が御意見としてあったかと思います。

 それから、清酒製造業退職金共済制度についても、中長期的な課題が多々あるということで御指摘もありましたが、予定の運用利回りについては、不支給期間の見直しはこの場では行わない、次回の財政検証は 5 年後ですが、今後事業の中長期的なやり方について検討を行うとの 2 点があったかと思います。

 それから林業退職金共済制度については、多々課題があるかと思いますが、予定運用利回りを 0.5 %に引き下げる、それから委託運用については一般中退との合同運用を行う、不支給期間の見直しを行わないという 3 点について、それらの対応策を講じるということの御意見がありました。

 この対応策については進捗状況を都度検証するということ。次回の財政検証において、必要に応じて事業の在り方を検討するという御意見が出されていたかと思います。大体委員の先生方の御意見は、この方向性にあったかと思われます。この方向性、並びに本日の各委員の御意見を踏まえまして、次回までに特定業種退職金共済制度の財政検証についての本部会としての取りまとめ案を事務局に作成していただき、次回はそれを基に議論し、取りまとめをしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                      ( 異議なし )

 ありがとうございます。それでは、そのような形で対応させていただきたいと思います。本日の議題について、御意見は出尽くしたかと思いますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。最後に事務局から今後の日程について説明をお願いいたします。

○松原勤労者生活課長 今後の日程ですが、次回は 12 3 ( ) 16 時~ 18 時を予定しており、厚労省内の会議室で行いたいと思っております。本日、御議論いただきました特定業種退職金共済制度の財政検証につきましては、先ほどの部会長の御指示に基づきまして、次回の部会において取りまとめ案を出すべく部会長と御相談したいと思っております。

 次回の議題は、先ほど御質問に対する回答の中で若干触れさせていただきましたが、独法改革に関する中退法の改正法案を年明けの通常国会に提出する予定ですので、これについての御審議を特定業種の取りまとめのあとに始めていただければと思います。

 もう 1 つ、場合によっては議題になる可能性があるものが 1 つありますので、御紹介したいと思います。今、社会保障審議会企業年金部会で企業年金制度の見直しの議論がされていることは新聞報道等で御覧になっているかと思います。これについては企業年金部会の中で、例えば企業年金制度と中退制度とのポータビリティのような論点も入っております。ただ、具体的な制度改正の内容につきましては、それをやるのか、やらないのか、どのような内容にするのかというのは、今後の企業年金部会において、いろいろ御議論いただくと承知しております。仮に何らかの措置をすることになれば中退法の改正にもつながる可能性があります。その場合は中退部会の議題として付け加えさせていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。私からは以上です。

○新田委員 今、松原課長がおっしゃった点で、併せてお願いしたいのが、企業年金部会で中退共からのポータビリティの話と、中小企業向けの新しい簡易型 DC 制度についても提案がなされたと承知しております。したがいまして、その内容が中退共に及ぼす影響が今後考えられますので、その中身についても、ある程度形が見えてきて、議論が煮詰まってきましたら、担当の方にお越しいただいて説明していただくかどうかは別にして、資料提供なり何らかの情報提供を是非お願いできればと思います。

○松原勤労者生活課長 承知いたしました。年金局とよく連絡を取りまして、対応したいと思います。

○勝部会長 それでは、本日はこれにて終了といたします。台風は過ぎ去ったかと思いますが、気を付けてお帰りください。

 最後に本日の議事録署名委員は、松岡委員と島村委員にお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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