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2014年10月24日 第87回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年10月24日(金) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○出席者

永井部会長
相澤委員、今村委員、江藤委員、大澤委員
川越委員、桐野委員、玉腰委員、手代木委員
橋本委員、福井委員、宮田委員、門田委員
山口委員、渡邉委員

○議題

1.研究費の公募について
  1平成27年度日本医療研究開発機構対象の研究課題(厚生労働省補助
金分)について
  2平成27年度厚生労働科学研究費補助金の公募について
2.研究指針の制定又は改訂について
  1人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(案)について
  2遺伝子治療等臨床研究に関する指針(案)について
  3ヒトES細胞の樹立に関する指針(案)について
3.研究指針に基づく審査について
  1ヒト幹細胞臨床研究について
  2遺伝子治療臨床研究について
  3ヒト胚研究に関する審査手続きについて
4.第3次対がん総合戦略研究事業の事後評価について
5.厚生労働行政の推進に資する研究に関する検討について
6.その他

○配布資料

資料1-1 平成27年度日本医療研究開発機構研究費 公募課題(案)
資料1-2 平成27年度厚生労働科学研究費補助金 公募要項(案)
資料2-1-1 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(案)概要
資料2-1-2 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(案)
資料2-2-1 遺伝子治療等の臨床研究に関する新指針(草案)概要
資料2-2-2 遺伝子治療等の臨床研究に関する新指針(草案)
資料2-3 ヒトES細胞の樹立に関する指針(案)の制定について
資料3-1-1 ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について
資料3-1-2 ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について
資料3-1-3 諮問の取り下げについて
資料3-2-1 遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する申請について
資料3-2-2 遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について
資料3-3 ヒト胚研究に関する審査専門委員会について
資料4 第3次対がん総合戦略研究事業の事後評価について
資料5 厚生労働行政の推進に資する研究に関する検討について
資料6-1 研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン
資料6-2 「平成26年度戦略研究 健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究」の一次選考について
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2 ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料
参考資料3 遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する参考資料

○議事

 

○中山研究企画官 

それでは時間を過ぎていますので、これから始めたいと思います。傍聴の皆様には、すでにお配りしております注意事項をお守りくださいますようにお願いします。

 それでは「第87回厚生科学審議会科学技術部会」を開催いたします。委員の皆様には御多忙の折、お集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。本日まだいらしていない先生もおられますが、6名の委員が御欠席ということで、委員21名のうち出席の委員は過半数を超えておりますので、会議が成立いたしますことを御報告いたします。

 まず始めに、1020日付けで手代木委員が新たに就任されましたので、御紹介いたします。手代木委員より一言、御挨拶いただければ幸いでございます。

○手代木委員 

御紹介にあずかりました手代木でございます。塩野義製薬に勤務をしておりまして、日本製薬工業協会の副会長として出席をさせていただきたく思います。製薬の立場から、できる限りこの部会に貢献させていただきたいというふうに思っておりますので、是非、よろしくお願い申し上げます。

○中山研究企画官 

よろしくお願いします。本日の会議資料の確認をお願いします。今回、議題も多く、資料も多いので確認も大変かと思いますが、順番に行きたいと思います。議事次第、座席票、資料1-1、資料1-2、資料2--12、資料2--12、資料2-3、資料3--1、資料3--2、資料3--3、資料3--1、資料3--2、資料3-3、資料4、資料5、資料6-1、資料6-2です。参考資料は、13まであります。第3次がん総合戦略研究事業の全体報告とがん研究の今後の在り方についての冊子が付いているかと思います。

 机上配布の資料とは別に、「第87回厚生科学審議会科学技術部会の審議事項等の概要」の2枚紙、「平成27年度の『医療分野の研究開発』関連の研究の流れのイメージ」「厚生労働省における研究不正等への対応」「平成26年度戦略研究『健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究』の一次選考について」、これらは机上配布で配られているかと思います。以上ですが、何かありましたら御連絡くださるようお願いします。

 それでは、本日、永井部会長が20分ほど遅れると御連絡をいただいておりますので、福井部会長代理に議事の進行をよろしくお願いします。

○福井部会長代理 

それでは永井部会長に代わり、最初の部分の議事進行を担当させていただきます。

 議題1の研究費の公募について、平成27年度日本医療研究開発機構対象の研究課題と平成27年度厚生労働科学研究費補助金の公募についての御審議をお願いします。事務局より最初に説明をお願いします。

○中山研究企画官 

資料とは別に配ったものの審議事項の概要があると申し上げましたが、その内容どおり最初の議題は、研究費の公募についての審議事項ということで、今後公募するに当たり、事前に公募の内容について審議をすることをお願いします。

 今回審議いただくものは、資料1-1と資料1-2を御覧いただきながら、あとA4横の「平成27年度の『医療分野の研究開発』の関連の研究の流れのイメージ」と書いてある資料に基づいて、説明させていただきたいと思います。

 従来から委員でおられる方はよく御存じかと思いますが、この時期に行う研究費の公募についての議題は、厚労科研費は、通常3年を一区切りとして、またそこから新規に公募して研究を行うことを繰り返しているところでありますが、今年度研究が終了するものについて、来年度4月以降に速やかに研究が採択され、実施されるように、4月を前に余裕をもって公募を開始し、その後に採択のための評価を行った上で、41日以降の契約ができるように準備をしておくとするために、この時期に公募課題についての審議を行うものとしています。

 予算要求上、全くの新規で新しく要求しているものについては、この時期に公募の準備を始めることはせず、新年度になって本当に予算がついたかどうかを確保した上で始めるという手続になりますが、今の段階は、一定程度予算が来年度も付くであろうと予定されるものについて審議を行うことになっています。

 来年度の場合、1つこれまでと違うことがあり、それがA4横の1枚の資料に基づくものですが、これは科学技術部会でもこれまで何度も御説明したとおり、厚生科学研究費の中でもいわゆる医療分野の研究開発で、日本医療研究開発機構に補助金として流して採択から研究費の進捗管理評価等を行っていただくというタイプの研究費と。これまでどおり厚労行政施策に密着した研究ということで厚労省の研究費として残るタイプというものの2通りがあります。新しい独法、日本医療研究開発機構に流すほうの研究費の流れのイメージで、この追加でA4の横の資料を準備しています。

 現在、厚労省と新しい独法はないという状態なので準備室と相談の上、かつ厚労省にある研究費の評価委員会の先生方とも相談の上、いろいろ課題を検討し今回()を提示しております。今回、そこが科学技術部会で了承されれば、公募を開始する。実際に応募がされ評価までは行うということになります。

 実際、日本医療研究開発機構は来年の41日から設立されるので、41日の設立の段階で委託費としての契約ができるように、あらかじめ厚労省として準備しておくいう流れになる位置付けで今回の公募の課題を上げています。

 資料1-1で、日本医療研究開発機構に補助金として流すタイプの研究費の課題の一覧が入っています。3ページから9ページで一通りの研究課題が掲げられている状況です。今回新しい独法、日本医療研究開発機構で、1つの大きな目玉として、3(厚労省・文科省・経産省)の連携プロジェクトとして、9つの連携プロジェクトというものを大きく知らせています。

 それに沿って1番目は、3ページ、医薬品創出の基盤強化に向けてで、創薬基盤推進研究事業、医療技術実用化総合研究事業は、治験の医師主導治験を中心とした臨床研究です。更にレギュラトリーサイエンスと言われるタイプの研究がここに含まれますが、それぞれにおいて、3ページから4ページに掛けて御覧いただくとおり課題が上げられています。これは従来から掲げてきた課題とほぼ同様の課題が上げられていると考えていいかと思います。

 右にいき2番目のプロジェクトとして、オールジャパンでの医療機器開発で、機器開発に関係する非臨床試験、臨床研究の研究事業が1つ厚労省の中にはあります。これについても従来どおり、これを新規として公募することになります。

3番目は、革新的医療技術創出拠点プロジェクトで、これは臨床拠点の整備並びに臨床研究拠点における臨床研究も含まれていることで、ここの臨床研究の部分については、継続課題として実施されることで新規の課題はないことになっています。

4番目は再生医療の事業で、ここについても再生医療実用化研究事業でこれも従来どおりの課題を設定しておりこの中で新たな研究者の研究を公募し採択することを進めたいと考えているところです。5番目はゲノム医療実現化プロジェクトで、これも継続課題のみで新規の公募課題はなしです。

6番目は、革新的がん医療実用研究事業でがんの研究で、これについても従来から上げている課題どおり、5ページの1~9までの課題が上げられており、これも従来どおりの課題になろうかと思います。

 さらに、7番目は、脳とこころで、認知症と障害者対策総合研究開発事業の一部で、障害者対策総合研究開発事業があります。これについても一部、例えばその中の4番に危険ドラッグ使用の病態・症状対応法の開発に関する研究が今年新たに加わっている、一部課題を見直し新たに加わっているところがありますが、おおむね従来からの課題を踏襲しています。

8番目は新興・再興感染症です。これも最近の行政的なニーズに基づき、一部課題は見直しつつ公募を実施したいと考えているところです。9番目は難病プロジェクトで、これも従来どおり難病の治療薬に資するような非臨床研究、臨床研究といったものを公募することになっています。

 ここまでは1番~9番までの連携プロジェクトですが、それ以外に3省連携以外でも、厚労省として非常に重要な研究課題があり、それが7ページから9ページにかけて掲げられています。地球規模課題の解決のための研究、更には成育、循環器、糖尿病等の生活習慣病、腎疾患、免疫アレルギー、慢性の痛み、障害者対策、エイズ、肝炎、地域医療基盤で、ここは統合医療に関する研究が入っていますが、こういった一連の研究課題として公募したいと考えているところです。

 続いて資料1-2については、これについては厚労施策の推進の上で密接に関係する研究ということで、新しい日本医療研究開発機構で補助金として流す研究費については、医薬品とか医療機器あるいは医療技術の実用化に資する研究が、そちらに補助金として流れるという研究なので、それ以外の正に厚労行政の施策という観点では密接に関係する研究が残っているということであり、それについてここで公募課題がまとめられているということです。

 どのような研究課題が上げられているかについては、28ページから31ページにかけ課題の一覧がございます。最初に、1は政策科学総合研究事業がありますが、この中身にありますのはいわゆる児童家庭の分野あるいは、保険局とか社会保障といった関係、あるいは統計情報、国際保険とかの領域の研究課題が上げられているいることです。IIは厚生科学基盤研究分野は、これは現時点で全て新独法対象経費で、こちらの研究経費として公募課題はございません。

28ページ、IIIは疾病・障害対策研究分野で、各種疾患対策の社会科学的な研究という部分で、これは先ほどの新独法に補助金とし流れるタイプの研究費とこちらにあるタイプの研究が両方にまたがるタイプの研究になろうかと思います。いわゆる社会科学的な研究というものがここの中では挙げられていることです。例えば難病の研究が29ページの真ん中辺りにありますが、ここも難病に対する新しい薬品を開発するというタイプが新独法のほうに行くタイプするならば、ここにやっているものについては、難病の医療費助成の制度と密接に関係するような研究がここには入っていると御理解いただければと思います。

 さらに、30ページの真ん中辺りにIVの健康安全確保総合研究分野があります。ここにはそれ以外でも厚労行政の中に必要な研究分野がありまして、例えば医療体制、労働衛生、31ページの食品安全、薬事関係、化学物質、危機管理といったようなタイプの研究課題が上げられています。先ほどの日本医療研究開発機構に補助金として流れるタイプの研究も課題については、こちらの研究についても、厚労省の行政側の必要性とともに評価委員会での先生方の第三者の意見も入れさせていただきながら、いずれも設定されている状況です。こうした形で公募をさせていただきたいと考えているということです。以上です。

                            ( 永井部会長入室)

○永井部会長

 ただいまの御説明に御質問、御意見はありますか。

○相澤委員

 既に住み分けについては、応募する方にはきちんと説明があって、どちらへ応募すべきかについては、既に了知済みと理解してよろしいですか。

○中山研究企画官

 はい。実際にそこについては、公募において、この後いろいろ詳しく、どういう研究をしてほしいかや、求められる成果はどういうものかということを具体的に示すことによって、そのタイプが違うものは明確に区別できる形をとることになると思います。

○門田委員

 最初のほうですが、最後に地域医療基盤開発推進研究事業の中に統合医療としてと、統合医療がここに入っております。私は以前、厚労省の統合医療の在り方に関する検討会にも参加していましたので、いろいろなディスカッションがあったことはいまだによく覚えているのです。ただ、その必要性ということは、そのときもディスカッションになりましたが、どこでどう線を引くのか、本当にエビデンスが近いところまで出来ているものと、エビデンスが全く分からないものとがごちゃ混ぜになったものを「統合医療」で囲んでいるという辺りを整理しないと、なかなか先には進みにくいという話もあったのです。

 それを整理していく研究が必要というのは分かります。ただ、少し分かりにくいのは、この地域医療基盤開発推進事業というタイトルの下に入っていることは、何か質的に違うような気がするのです。ここのところに統合医療が入っているのはどういう考え方というのか、どういうふうに説明していくことになっているのでしょうか。

○中山研究企画官

 この地域医療基盤開発推進研究という名称と、この統合医療という名前が合っていないのではないかという御指摘ではないかと思います。私もこの開発事業については、ほかの課題もあって、こういった名前に即したものがあって、今回、公募したいものがこういった課題が多かったという理解をしていたのですが、実は必ずしもそうではなかったようなのです。あくまで枠としては地域医療基盤開発推進研究事業という枠でやったものの、現在残っているタイプのものが、結果的にこういったタイプの研究になっているという実情であるということです。

○門田委員

 ということは、研究者に対して流していくときも、こういうくくりの中に入れていくのですか。

○中山研究企画官

 そうなのですが、1つ言えるのは、先ほど申し上げた、厚労省側に残るタイプの研究事業、補助金の68ページですが、ここの中に地域医療基盤開発推進研究事業という名前があって、ここに、いわゆる厚労省の行政に密接に関連する研究として各種研究があるということで、そこが全体としてはあるのですが、新独法に補助金として出すタイプのお金ということで切り出したときに、統合医療の部分だけが出ていったということです。確かに名前としては違和感があるということですが、そういう事情があるということです。

○門田委員

 分かりました。

○中山研究企画官

 今後考えさせていただきたいと思います。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、平成27年度日本医療研究開発機構対象の研究課題(厚生労働省補助金分)については資料のとおり進めさせていただきます。今後、字句等の修正がある場合には、事務局にて行い、その後、必要に応じて私のほうで確認した上で内容を確定したいと思いますので、御了承いただきたいと思います。

 議事2に移ります。「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針()」について御審議いただきます。事務局より御説明お願いいたします。

○工藤課長補佐

 資料2-1を御覧下さい。通しページで16ページが2--17ページからが2--2という構成となっています。まず、2--1に沿って御説明します。

 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」については、去る5月の科学技術部会で、その草案を御審議、御了承いただきました。その後、文部科学省とともにパブリックコメントの手続を行い、多方面から非常に多くの御意見が寄せられました。107日に「疫学研究に関する倫理指針の見直しに関する専門委員会」と「臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する専門委員会」の合同会議を開催しまして、パブリックコメントの提出意見を考慮して、一部規定の見直しを行ったものが最終案として取りまとめられたところです。その主な変更点を、2ページの中ほどに整理して記載しております。適宜、資料2--2の該当ページも御参照いただきながら御説明いたします。

 まず1点目として、「既に学術的な価値が定まり、研究用として広く利用されており、一般に入手可能な試料を用いる研究に加えて、同様の情報を用いる研究についても、この指針の対象としないこととする」と記載しておりますが、そちらは通し番号で14ページの中ほどの第31の「適用される研究」の「また、次に掲げるいずれかに該当する研究は、この指針の対象としない」というところのウの1です。5月の時点の従前の規定においては、「人体から取得された試料のうち、既に学術的な価値が定まり、研究用として広く利用され、一般入手可能なもの」となっていましたが、情報に関しても同様に扱うということで、「試料・情報」と修正しております。

2点目としては、研究計画書の記載事項とインフォームド・コンセントの説明事項としてそれぞれ掲げられている事項があり、通し番号で20ページと30ページに、それぞれ記載があります。これらについて、基本的にここに掲げている事項については記載あるいは説明いただくこととしておりますが、研究の内容等に応じてフレキシブルに対応することができるようにということで、倫理審査委員会の意見を受けて、研究機関の長が許可した場合には、必ずしもこれら全てを反映することを要しないという形で修正がなされました。

 また、これらの修正と合わせて、通し番号30ページの中ほどに「研究計画書の変更」という項目がありますが、こちらについても、研究計画書の変更がなされた際はインフォームド・コンセントを、基本的には受け直してもらうこととしておりますが、例えば、研究対象者等の同意に影響を及ぼさないと考えられるような軽微な事項について、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した場合にはこの限りでないという形が採れるようにしております。

3点目、「公開データベースでの登録を義務付ける研究」です。通し番号22ページです。こちらは5月の時点での従前の指針案では、現行の臨床研究倫理指針を踏襲して、「介入を行う研究のうち侵襲を伴うもの」という形で規定を置いておりました。パブリックコメントの結果を踏まえて、侵襲を伴うか否かによらず、介入を行う研究全般に義務付けの範囲を拡大することとしたものです。

4点目は監査についてです。従前は、モニタリングと監査をセットとして規定しておりましたが、パブリックコメントにおいて、ICH-GCPや欧米における取扱い等の国際整合性の観点から、その対象としている「侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって、介入を行うもの」に対して、監査については、「必要に応じて実施するもの」と規定することとしております。通し番号41ページの一番下の行で、「モニタリンク及び必要に応じて監査を実施」という形で修正しております。

5点目は、第20の規定、即ち「モニタリング及び監査」に関する規定については、今回、新たに盛り込んでいる規定であるということで、その体制整備等に期間を要する意見を考慮して、指針全体のほかの規定の施行日から6か月間の猶予を置いて、適用することとしております。通しページの36ページです。「この指針は、平成2741日から施行する。ただし、第20の規定は、101日から施行する」という形で記載しております。

 指針の構成や、その他の内容については、既に5月で御審議、了承いただいておりますところ、本日は、これらの変更点について御確認願えればと思います。こちらの部会で御審議いただいた後、来週27日には、文部科学省の部会でも同様に御審議いただくこととなっており、両部会での了承を得られれば、告示のための法令審査等の所要の手続の後、厚生労働省と文部科学省の共管の告示として、年内の公布を予定しております。その施行日としては、先ほど御説明しましたように、モニタリング及び監査に関する規定を除いて、来年、平成2741日を予定しております。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長

 続いて、「疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議」の委員長を務められた福井委員から、追加のコメントをお願いいたします。

○福井部会長代理

 ただいま事務局から説明がありましたように、今年の5月以降の動きについてはただ今の説明のとおりです。この合同委員会では、昨年の10月にも1回パブリックコメントをお願いして、今年もまた8月から9月にかけてもう1回パブリックコメントを行い、できるだけ多くの御意見を伺った上で作ったものです。

 資料2--11ページの下半分の「主な内容」に、○が1ページに4つ、2ページに4つあり、このような特徴がありますが、疫学研究と臨床研究で作られたものを統合するに当たって、患者さんへの侵襲の程度と、介入の有無という2つのキーワードで、インフォームド・コンセントを精緻に取るのか、簡便化していいのかというようなことを考える枠組みとしえました。

 今読んでいて気が付いたのですが、生命の危機が生じている患者さんを対象にした救急の場での研究を行うに当たって、インフォームド・コンセントの手順について、通し番号32ページの真ん中付近に書いてありますが、こういう項目が今回新たに入れられたということも特徴の1つだと思います。

 前回もいろいろ御意見を伺ったのですが、玉腰先生が研究班長として倫理審査委員会の実情について行った調査結果に基づいて、以前に比べてかなりきちんと倫理審査が行われる体制が、指針として出されているのではないかと思います。以上です。

○永井部会長

 ありがとうございます。御質問、御意見をお願いします。

 モニタリング監査に関する規定のところで「侵襲(軽微な侵襲を除く)」という言葉が出てきますが、「軽微な侵襲」とそれ以外というのは、どういう線引きになるのでしょうか。

○工藤課長補佐

 通し番号10ページの「用語の定義」の(2)に侵襲の定義があり、その侵襲のうち、「研究対象者の身体及び精神に生じる傷害及び負担が小さいものを『軽微な侵襲』という」と指針上は定めております。個々の研究に関して、基本的には、研究責任者が研究計画書を作成するに当たって御判断いただいて、それを含めて倫理審査委員会で審査を受け、研究機関の長の許可を受けるということになりますが、そういった判断の際の参考となるように、この「軽微な侵襲」の基本的な考え方について、今後、ガイダンス等で解説を加えていくことを予定しております。

○桐野委員

 最初のところに、福井先生がポイントを8つ挙げられましたが、研究に関する登録・公表についてです。データベース介入を伴う研究については○○に登録せよというところは、新しいと思うし、これも主なところに加えられたほうがいいのではないかと感じたのですが。

○福井部会長代理

 おっしゃるとおりと思います。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。御意見がなければ、指針の改正案は、科学技術部会として了承したとさせていただきます。ありがとうございます。

 続いて、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針()」について審議をお願いいたします。事務局より説明をお願いします。

○中山研究企画官

 資料2--1「遺伝子治療等の臨床研究に関する指針(草案)の概要」を御覧ください。遺伝子治療臨床研究に関する指針については、この資料には載せなかったのですが、一番最初にできたのは平成6年当時です。その後、文部科学省との共管の指針とするという形で、平成13年に改正されました。それ以来改正はされてこなかったということです。1つ前の議題に、統合指針の改正がありましたが、そういった流れもあるところで、遺伝子治療臨床研究の指針についても見直しを進めようということで、昨年の64日から8回にわたって委員会を開催してきたということです。

 そこで、一定の今の草案が出来上がったという状況です。ただ、これは統合指針の今の状況と比べると一段階前でして、今回、もしここの審議会で御了承いただけるならば、その後、パブリックコメントという手続に進めたいという段階のものであることを御了解いただきたいと思います。

2ページです。この後に、指針の全体が、新旧も含めてあるわけですが、その中の変更のポイントになっているところをまとめております。「主な改正点」ということですが、1つ目は「遺伝子治療の定義及び適用範囲に関する事項」ということで、まず、適用範囲に関することなのですが、現行指針においては、「薬事法」に定める治験に該当する遺伝子治療臨床研究については適用除外であったことは、もちろんそうです。ただ、一方で、いわゆる再生医療新法がもうじき施行されようとしていますので、その再生医療新法の適用対象となる遺伝子治療臨床研究についても、適用を除外するということが、まず適用範囲に関しての改正の主な事項です。

 さらに、2番の「対象疾患に関する事項」と合わせて説明いたしますが、遺伝子治療臨床研究については、最初に出来たのが平成6年と申し上げましたが、約20年前で、その当時は遺伝子治療に関するリスクなどもよく分からない部分もあり、そのため、対象疾患については、「重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患」という要件を付けていたということで、事実上、指針ではありますが、こうしたもの以外については、遺伝子治療臨床研究としては実施しないということを示していたということかと思います。約20年が経過したということもあり、ここの対象疾患という要件については削除してもいいのではないかという議論がありました。そこで、削除するという案にしております。

 これと関係もするのですが、1番に戻っていただいて、2つ目のポツです。遺伝子治療の定義について、当然のことながら、遺伝子治療ですので治療のみを対象としていたのですが、見直しの指針では、予防についても含んでもいいのではないかと。今後どういったものが出てくるかもまだ分かりませんが、予防も対象としてもいいのではないかということで、適用の対象として、まず対象疾患を治療でも外すということと、予防というものも含むということとしたのが改正点です。

3番目として、「研究終了後の対応に関する事項」として、研究終了後の長期間経過してからの有害事象等の発生を想定し、ということで、いわゆる生物的なものですので、長期間的なものを想定して、再生医療等安全衛生確保に関する法律との整合性を図るということで、現行指針で規定されている5年から10年ということで記録の保存期間を変更することにいたしました。

 これは事務的なことではあるのですが、現行指針は厚生労働省と文部科学省の共管で、文部科学省さんの共管というのは、大学等の研究状況の把握のためということで、文部科学大臣への研究計画書の写しなどの提出が規定されていたということですが、現在の臨床研究指針において、厚労省での審査をしっかり行っていただければ、文部科学省の書類提出は必要ないということで、文部科学省の共管は外すことで改正をしたいと思います。

 その他については、先ほど御説明した統合指針で新たに規定されたところなり、文言として整備されたところなどについての整合を図るということで整理したいと思っております。今回の審議会で御了承いただければ、今後、パブリックコメント等の手続を進めさせていただきたいと考えている段階です。以上です。

( 川越委員入室)

○永井部会長

 続いて、「遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」の委員長を務められた山口委員からコメントをお願いいたします。

○山口委員

 ありがとうございます。先ほど事務局から御説明がありましたが、適用範囲を、重篤なものから、より一般的な疾患にも使えるようにということで、これは、海外での臨床研究などでは、治験などでもそうなのですが、慢性疾患に対する遺伝子治療なども実施されていることを受けたものです。

20年間、大きな改正が行われてこなかったという中で、例えば遺伝子治療では、制限増殖性の腫瘍溶解性ウイルス、要するに増殖能を持ったベクターを用いたような開発も非常に活発に行われております。こういう最新の遺伝子治療の開発に適応するような形で指針の改訂を行うことが求められているところで、そういうことを整備させていただきました。

 もう1つは、遺伝子治療臨床研究をなさっている様々な研究者から、海外のガイドライン、海外との整合性を図ってほしいということ。それから、こういう臨床研究から、いずれ、医薬品の開発、遺伝子治療薬製品の開発に行ったときに、少なくとも、その品質・安全性に関しては同じようなレベルを求めるべきではないかと。その辺りについても、今、この指針本体ではなく、附則のところでも議論をさせていただいております。最終的には、こういう研究を行ったデータを、直接使えるか、あるいは参考資料として使えるかは分からないのですが、医薬品開発のほうにも、できる限り利用できるような形での改正を行わせていただいたところです。

○永井部会長

 ありがとうございます。ただいまの御説明に御意見、御質問をお願いいたします。

○福井部会長代理

 確認です。資料の通し番号29ページの第三十三「モニタリング及び監査」のところです。人を対象とする医学系研究に関する倫理指針では、モニタリング及び、必要に応じて監査を、と変えたのですが、このタイプの研究では、全例監査となるのかどうかだけ確認させてください。

○中山研究企画官

 そこについては、まだ整合させてできていなかったところがありますので、あくまで統合指針と整合する形でパブリックコメントにまとめたいと思っております。失礼しました。

○宮田委員

 確認なのですが、通し番号6ページの定義で、「この指針において『遺伝子治療等』とは、疾患の治療や予防を目的として遺伝子を人の体内に投与することをいう」と定義されています。例えば、アンチセンスDNAのような、必ずしも増殖性のないもの、あるいはmiRNAのようなものはどういうふうに取り扱うことになるのでしょうか。

○山口委員

1つは合成核酸というような言葉を使おうとしたのですが、今、プラスミドでも合成で出来てしまう時代になってしまうので、定義がなかなか難しい。要するに、区別を明確にするとしたら、むしろ、その下のほうの、例えば附則などというところで明確化、あるいは説明したほうがいいのではないかということで、もちろんそれは、外すという方向で考えております。

○宮田委員

 今、私が知っている限りでも、国内で国際共同治験で2件以上のアンチセンスを使用したものが走っていますので、それはもう、薬事法以外に、例えば臨床研究でもそういったものは外すと考えてよろしいのですね。

○山口委員

 そうしようかと考えております。

○宮田委員

 分かりました。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、この改正案は科学技術部会として了承したとさせていただきます。

 次に移ります。「ヒトES細胞の樹立に関する指針()」について、御報告をお願いいたします。

○神ノ田研究開発振興課長

 「ヒトES細胞の樹立に関する指針()の制定」について、説明を申し上げます。資料2-3を御覧ください。本指針を文部科学省と共管することにつきましては、7月に開催された科学技術部会において既に御了承をいただいています。まず1の「経緯」です。平成12年のヒト胚研究小委員会において、ヒトES細胞については基礎的研究に限定した利用のみが認められ、これを踏まえ、文部科学省において「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針」が制定され、その後、この指針に基づき、基礎的研究に限ってヒトES細胞が研究に利用されてきたという経緯があります。

 この間、海外におきましては、ヒトES細胞を用いた臨床研究が開始されるなど、状況の変化がありましたし、また、国内におきましても、昨年11月に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が制定され、ヒトES細胞等の臨床利用について、法的枠組みが整備されております。こうした状況の変化を踏まえまして、昨年12月、科学技術・学術審議会の生命倫理・安全部会等において、関係指針の見直しの検討が開始されまして、本年4月の総合科学技術会議生命倫理専門調査会の報告書において、ヒトES細胞の臨床利用を認める旨の見解が示されております。

2の「本指針案の概要」ですが、3ページのスライド番号2を御覧ください。現行の制度では、基礎的研究に限定する指針として、文部科学省所管の樹立分配指針が定められておりますが、新制度ではこの樹立分配指針を廃止して、文部科学省と厚生労働省の共管の指針として、基礎的研究から医療までをカバーする樹立指針を新たに制定することとなっております。

 ヒトES細胞の樹立の際の手続については4ページのスライド番号3のとおりです。このスライドの右下に記載されているとおり、主務大臣が樹立計画の指針適合性の確認をすることとなっております。臨床利用を含む樹立計画については厚生労働大臣が確認することとなりまして、その際には関係審議会の意見を聴取することとなっております。

 その他の変更事項としては、その下のスライド番号4を御覧ください。17'のとおり、提供者への再同意の原則禁止を追加したこと、また、20のとおり、匿名化の方法として、これまでの連結不可能匿名化だけではなくて、今後は臨床利用も踏まえた連結可能匿名化が可能となっております。こういったものが主な変更点として挙げられます。

1ページ目に戻ってください。3の「指針見直しの状況について」です。88日~96日にかけてパブリックコメントを実施して、合計57通、81件の意見の提出がありましたが、指針案に大きな修正はありませんでした。資料では10月下旬に諮問予定と記載されておりますが、既に22日に開催された、総合科学技術・イノベーション会議に指針案が諮問されております。今後、10月下旬から11月上旬頃に答申が予定されていて、1125日以降に告示・施行予定となっております。

 最後に、4の「今後の体制について」です。先ほど説明したとおり、臨床利用を含む樹立計画については厚生労働大臣が指針の適合性を確認することとなりますが、その際には、厚生科学審議会に設置される予定の再生医療等評価部会の意見を求める予定です。説明は以上でございます。

○永井部会長

 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いします。

○宮田委員

 確認なのですけど。再同意の原則禁止というのは、具体的にはどういうことを考えているのですか。

○神ノ田研究開発振興課長

 一度、こういう形で進めましょうということで同意を取って、その後、また追加で、こういうこともああいうこともということで、要求がいろいろ次々と出てくることはやめると、想定されるものについては最初の段階でしっかりと同意を取っておく、そのような考え方です。

○宮田委員

 同意者を保護する方向での改正ですか。

○神ノ田研究開発振興課長

 左様でございます。

○宮田委員

 分かりました。

○永井部会長

 ほかに、いかがでしょうか。

○相澤委員

 取り纏めに反対するわけではりませんが、インフォームドコンセントに軽微な瑕疵(例えば、不明確な記載)があったような場合、一律にそこを修正することが禁止されるということであれば、疑問を感じます。再同意を禁止することが、必ずしもそれが患者さんの保護になるのかどうか疑問を感じます。

○永井部会長

 よろしいでしょうか。よろしければ、この指針の改正案につきましては、総合科学技術・イノベーション会議の答申後にまた御報告をお願いしたいと思います。

 続きまして、「ヒト幹細胞臨床計画実施計画の申請」についての御審議をお願いします。

○神ノ田研究開発振興課長

 説明します。資料3--1を御覧ください。申請件数は1件のみでして、概要は3ページをお開きください。研究課題名はこちらに記載されているとおりでして、実施施設は国立国際医療研究センター、研究責任者は福田尚司氏です。対象疾患は、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症・バージャー病)、ヒト幹細胞の種類は自己骨髄間葉系細胞、実施期間は厚生労働大臣意見発出日から3年間、対象症例数は5症例です。

 研究の概要は4ページを御覧ください。まず、局所麻酔下で1020ccの骨髄と、200ccの血液を採取します。自己骨髄を自己血で2週間培養しまして、増やした骨髄細胞を全身麻酔下で、患部周辺の筋肉内に50か所前後、注射で投与します。入院期間は1週間ほどで、評価につきましては、1か月、3か月、6か月、12か月後に、主に安全性を評価するということで、有効性についても副次的に、可能な限り検討していきたいとなっております。説明は以上でございます。

○永井部会長

 ありがとうございました。それでは、御質問をお受けしたいと思います。

○山口委員

 先月でヒト幹の審査は終了していると思いますが、今後、これも含めて審査はどのようになっていくのか。たぶん再生医療等のほうでいくのだと思いますが。

○神ノ田研究開発振興課長

 来月25日に再生医療新法が施行される予定でして、それに合わせてヒト幹指針は廃止されます。したがって、新規のものにつきましては、従来のようにヒト幹審査委員会のほうで審査することは、25日以降はやらないということで、今御指摘のとおり、部会のほうで審査をしていくことになります。今回の申請について、そこら辺のところを十分説明した上で、それでもヒト幹審査委員会の専門家の御意見を一度聞いてみたいということで、申請が上がって来ております。この期間に審査を終了するのはなかなか難しいことは申請者も承知しております。

○永井部会長

 よろしいでしょうか。よろしければ、これらの審査につきましては、審査委員会で審査を行っていただき、検討結果が報告された時点で総合的に判断したいと思います。

 続きまして、「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について」の御審議です。広島大学ほか3件の申請について、事務局から審査委員会の検討結果を御説明してください。

○神ノ田研究開発振興課長

 資料3--2を御覧ください。こちらにあるように、4件の申請について、ヒト幹審査委員会の意見を取りまとめております。1件目は2ページになります。研究課題名はこちらに記載されているとおりです。実施施設は広島大学病院、研究責任者は越智光夫氏です。対象疾患は外傷性損傷あるいは離断性骨軟骨炎に起因する膝関節軟骨損傷、ヒト幹細胞の種類は自己骨髄間葉系細胞、実施期間は厚生労働大臣意見発出日から3年間、対象症例数は5症例です。

 審議概要と主な変更内容は、次の3ページを御覧ください。第1回審議は平成26324日に実施しております。説明文書につきましては、効果と危険性について、より具体的に記載することを求めて、そのとおりに説明文書が改訂されております。また、細胞培養加工施設について、人と物の動線を記載した図面、各部屋の室圧を記載した図面の提出を求め、これに対して必要な書類が提出されております。安全性試験について、磁性化間葉系細胞に磁場を当てた後の染色体検査と造腫瘍性検査の実施を求めております。第2回審議は平成26930日に実施されまして、安全性試験について、前回に指摘された染色体検査と造腫瘍性検査の結果が提出されております。それに基づいて審議を行った結果、当該実施計画について了承しております。

2件目は42ページになります。研究課題名はこちらに記載されているとおりです。実施施設は順天堂大学、研究責任者は田中里佳氏です。対象疾患は難治性四肢潰瘍、ヒト幹細胞の種類は自己末梢血単核球に含まれる血管内皮前駆細胞です。実施期間は厚生労働大臣意見発出日から2年間、対象症例数は10症例です。

 審議概要と主な変更内容ですが、43ページを御覧ください。第1回審議は平成26730日に実施されております。説明文書につきまして、3種類の説明文書が提示されていましたが、これを1つにまとめることを求めたところ、その指摘に従って、説明文書が1つにまとめられております。第2回審議は開催しておりませんが、前回の審議における疑義に対して、資料が適切に提出されたことを受けて、当該実施計画を了承しております。

3件目は92ページになります。研究課題名はこちらに記載されているとおりです。実施施設は愛知医科大学、研究責任者は山田陽一氏です。対象疾患は歯槽骨萎縮症です。ヒト幹細胞の種類は自己歯髄幹細胞、実施期間は厚生労働大臣意見発出日から3年間、対象症例数は10症例です。審議概要と主な変更内容が93ページです。第1回審議は平成26730日に実施されております。採血につきましては、高齢の患者からの採血について再検討するよう求めたところ、対象者の上限が80歳以下から70歳以下に変更されました。また、採血基準は自己血輸血のガイドラインに従うこととなっております。第2回審議については開催されておりませんが、前回の審議における疑義に対し、資料が適切に提出されたことを受けて、当該実施計画を了承しております。

4件目は124ページになります。研究課題名はこちらに記載しているとおりです。実施施設は名古屋大学医学部附属病院、研究責任者は片桐渉氏です。対象疾患は、顎顔面外傷、顎骨腫瘍や顎骨嚢胞摘出術、抜歯等による顎骨欠損又は歯槽骨萎縮です。ヒト幹細胞の種類は骨髄由来間葉系細胞です。実施期間は厚生労働大臣意見発出日から66か月間、対象症例数は、これは歯の本数で数えていますが、83本、内訳は、被験者群が55本、対象群が28本です。審議概要等については125ページになります。第1回審議は730日に実施されております。対象群の設定につきましては、本臨床研究は有効性を主要評価項目としていて、何らかの比較を行うように求めております。その指摘に従って試験デザインの検討がなされております。第2回審議は930日に実施されました。対象群の設定につきましては、指摘に従って対象群を設定することが示されております。採血量の妥当性についてです。自己血輸血の採血基準を参照するように求めたところ、日本自己血輸血学会の基準よりも採血可能なヘモグロビン値を高めに設定することが示されました。製品標準書の出荷判定についてです。出荷判定の項目とその判定基準を具体的に記載するよう求めました。それに対して、生細胞率や総細胞数等の具体的な項目とその判定基準が示されております。これらの審議を行った結果、当該実施計画を了承しております。

 以上、4件につきましては、いずれもヒト幹審査委員会として、実施計画の内容が倫理的、科学的に妥当であるという判断に至っております。説明は以上でございます。

○永井部会長

 ありがとうございました。御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御質問はないようですので、審査委員会からの報告については科学技術部会として了承し、厚生科学審議会へ報告したいと思います。

 続きまして、諮問の取下げについて、事務局より御説明をお願いします。

○神ノ田研究開発振興課長

 資料3--3を御用意ください。1件の諮問の取下げがありました。3ページをお開きください。申請された東京女子医科大学のほうから、このような形で取下願が提出されております。424日に申請された、自己由来培養線維芽細胞シートを用いた肺気漏閉鎖、この研究につきまして、4番の取下理由の所に記載されているとおり、学内手続に不備があったため、申請を取り下げたいということで、この文書が提出されております。説明は以上でございます。

○永井部会長

 よろしいでしょうか。よろしければこの点も了解としたいと思います。

 続きまして、「遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する申請」についての御審議です。自治医科大学からの申請で、108日に厚生労働大臣より諮問され、9日に当部会に付議されております。自治医科大学附属病院からの申請ですが、私は自治医科大学に所属しており、部会長代理の福井委員も客員教授ですので、本件の審議は発言を控えさせていただきます。進行は事務局よりお願いします。

○中山研究企画官

 それでは、自治医科大学附属病院からの申請について御審議いただきたいと思いますので、説明させていただきます。資料3--1を御覧ください。今回、申請があったのは、自治医科大学附属病院からの遺伝子治療臨床研究の実施計画が2件です。この2件、自治医科大学附属病院からの2件ですが、両方とも組み込む遺伝子とベクターは同じで、一方がAADC欠損症に対する遺伝子治療であるのに対して、もう一方はパーキンソン病の遺伝子治療ということで、2件挙がってきています。

 資料3--1の左下、6ページを御覧ください。その真ん中辺りに、本件の最初の、AADC欠損症に対する遺伝子治療臨床研究についての、「遺伝子治療臨床研究の目的」が書いてあります。これについては、ヒト芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症患者の線条体に、ヒト芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(AADC)遺伝子を組み込んだ2型アデノ随伴ウイルスベクターを定位脳を手術的に注入し、その不安全性を検証するとともに、運動症状を改善することを目的とすることになっております。AADCというのは、神経伝達物質であるドパミンを合成して、更にその後、ノルエピネフリン、エピネフリンといった神経伝達物質につながっていくものを合成するために、最初に必要なものになろうと思います。また更に、セロトニンの合成にも関係するということで、重要な酵素です。この酵素の遺伝子は、我が国では欠損した症例が診断されているのは4例で、乳幼児期に重度の運動障害で発症して、様々な障害が起きるとのことです。この欠損症を対象とした臨床研究を目標症例数を4例として実施したい、というのがまず最初の臨床研究の実施計画です。

 もう1件は、99ページ以降にありますが、パーキンソン病患者を対象とした臨床研究で、左下でいうところの104ページ以降、105106107ページにその概要が示されております。臨床研究として、目標症例数は6例で、共にその安全性を検証することを目的とした臨床研究です。これは既に部会の下の審査委員会で審査を開始していまして、その審査結果についてまとめた上で、最終的にはこの科学技術部会で御審議いただいて審査を進めたいと考えています。以上です。

 今の説明についての御意見、御質問をお願いしたいと思います。よろしいようですので。

○永井部会長

 それでは、次にまいります。「遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告」です。事務局より報告をお願いします。

○中山研究企画官

 次は報告事項です。資料3--2を御覧ください。「実施施設からの報告」ということで、4件ございます。1件目は自治医科大学附属病院からの報告で、右下のページ数で言うと、5ページを御覧ください。変更内容は総括責任者の所得の変更です。実施施設であるところの自治医科大学には、実施責任者をしっかり置いた上で総括責任者の所得が変更となっても、密接に連携を取る体制を取ることを保障するということで、変更報告書が了承されています。

2件目は、岡山大学からの重大事態等報告書です。右下の1112ページにかけて御覧いただければと思います。本遺伝子治療臨床研究の結果、腫瘍が縮小したということで、腫瘍によって塞がっていた食道裂孔ヘルニアによる逆流症状が認められるようになりました。ただ、91歳の高齢の患者であること、更に治療を受けられてから最終的には2か月半後に、低栄養や全身浮腫などが誘引となった心不全でお亡くなりになったと推定されております。したがって、遺伝子治療についての直接的な因果関係は否定的です。今後の対応としては、かなり高齢の患者には慎重な経過観察と、十分な身体管理を行うということで報告を受けております。

3件目は東大医科学研究所附属病院で、右下15ページ辺りを御覧いただければと思います。基本的には臨床経過及び画像所見などについて、臨床症状、臨床経過などから原疾患の進行によるものと推定され、審査委員会でも直接の因果関係は認められないという判断をしたということで、それで妥当であると考えました。

4件目は、右下19ページ以降を御覧いただくと分かりますように、東大医学部附属病院からの報告です。これについても3件目と同様に、原疾患の進行による被験者の死亡が妥当であろうという判断をされました。以上、4件の報告がありましたという御報告をいたします。

○永井部会長

 ただいまの説明について、御質問、御意見を頂きたいと思います。よろしければ次にいきます。

 続いて「ヒト胚研究に関する審査手続について」ということで、御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○倉澤生殖補助医療対策専門官

 資料3-3を御覧ください。「ヒト胚研究に関する審査専門委員会について」の次のページ、「審査手続について」です。経緯としては平成233月の科学技術部会において、ヒト胚研究に関する審査専門委員会が設置されています。本日の審査のお願いですが、2.に「委員会について、審議の迅速化・効率化のため、科学技術部会長の了解が得られた場合は、科学技術部会の審議を経ずに、委員会での審査を先行して実施できることとする」ということです。

 続いて別紙2を御参照ください。左側に図があります。真ん中ですけれども、研究実施機関の長は研究に際し、厚生労働大臣へ申請、科学審議会への諮問、会長からの付議を受けて科学技術部会で検討した上で、また専門委員会、科学技術部会へ報告を受けた会長という流れです。この付議のところで、「科学技術部会長の了解が得られれば、ヒト胚研究に関する審査専門委員会での審議を先行させることが、今後の審査の迅速化・効率化にふさわしい」ということで、本日の審議をお願いしたいということです。

○永井部会長

 これはヒト幹臨床研究、遺伝子治療臨床研究のいずれでも行っていることですね。よろしいでしょうか。御異議がなければ了承とさせていただきたいと思います。

 続いて、「第3次対がん総合戦略研究事業の事後評価について」の御審議をお願いいたします。事務局より説明をお願いいたします。

○正林がん対策・健康増進課長

 まず、この第3次対がん総合戦略研究事業の概要です。主にがんの本態解明を目指した研究、特にトランスレーショナル・リサーチ、革新的予防法・診断法・治療法の開発を推進することを目的としておりました。事後評価については、厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針に基づいて、研究事業の所管課が外部評価を行い、当部会にお諮りするという形にしております。そこでおめくりいただき、まずこれまでの経過です。昭和59年から第110か年総合戦略、平成6年にがん克服新10か年戦略、そして平成16年から第3次対がん10か年総合戦略という形で進められております。この第3次についてはがんの本態解明、予防・診断・治療などへの応用を中心に、がんの罹患率と死亡率の激減という目標を立てながら進めてきました。

 次のページに分野があります。まず分野12(発がんと臨床的特性の分子基盤)3(革新的予防)4(革新的診断)5(革新的治療)6(QOL)、そして7(実態把握と情報発信)といった分野に分けて、予防・診断・治療などに取り組んできました。評価方法としては評価委員会を設け、特に研究費として「第3次対がん総合戦略全体の報告と評価に関する研究」と、その研究の中で実際の報告書を分析し、更にその報告書にのっとって外部評価委員会に評価を頂きました。評価の視点としては、1研究開発目標の達成状況について、2研究開発体制について、3成果等について、4成果の利活用について、5人材育成、6今後の展望といった項目で評価を頂きました。

 次のページの1つ目が、開発の目標の達成状況です。目標は5つ掲げられていましたが、上の3つががんの研究に相当し、下の2つが行政的な目標です。上の3つとは、1つ目が進展が目覚ましい生命科学の分野との連携を一層強力に進め、がんのより深い本態解明に迫る、2つ目が成果を予防・診断・治療に応用する、3つ目が革新的ながんの予防・診断・治療を開発するというものです。このページでは達成できた目標を羅列しております。まず(1)の部分です。がん関連転座遺伝子の発見、胃がん発生機序としての胃粘膜DNAメチル化異常の解析等、世界を主導する研究成果が認められた。分子基盤の解明が進み、複数の研究が企業との共同研究に移行。多くの有意義な実験モデルマウスを開発。(2)様々な分野での治療法について臨床応用を目的とした研究が進行。多くは試作段階までではあるが、診断機器や医療機器の開発が進んだ。(3)多施設共同研究の推進が常に重視されてきたことは評価される。ガイドラインに収載された臨床研究もあるなど、標準治療の確立に貢献したと。

 逆に、推進が不十分であったものです。(1)研究対象とするがん種の選択方法に偏りが見られた。生殖細胞系列遺伝子多型・変異に関する研究が不足していた。(2)化学予防など、革新的な予防法の開発には至らなかった。新規診断法の開発は進んでいるが、臨床的評価まで行えた研究は少ない。(3)恒常的組織で行われていない臨床試験の進捗や品質管理が不十分。高齢者、若年者等、様々な患者の状態に着目したQOL評価のデータが乏しい。この辺が不十分だった点として挙げられています。

 次のページが研究開発体制です。効率的な推進体制はできていなかった。十分な専門的知識を持ち、関係省庁の研究事業を一体的に推進する専任のプログラムディレクター/プログラムオフィサーの設定が今後は必要だろうと。それから研究不正については、10年間で67件、返金金額は4,700万円ということです。

 次のページが研究開発の成果です。刊行された論文は16,576です。そのうち国際誌に投稿された論文は、英文で13,887、有名雑誌に投稿された論文、これはインパクトファクター10点以上ですけれども、640と。あと、知的財産、企業への導出、トランスレーショナル・リサーチの進捗状況、ガイドライン作成への貢献の数字はそこに書いてあるとおりです。

 次のページが研究開発成果の利活用です。ランダム化比較試験の研究成果で、ガイドラインに反映されたものが多数ある。がんの予防法についてホームページを初め、新聞・雑誌等、社会的な情報・宣伝活動、行政、特にがん対策推進基本計画や健康日本21などにも取り入れられた。また、NBI(Narrow band imaging)内視鏡や高精度放射線治療、緩和IVRなどが臨床導入された。がん登録の整備に関する研究は、全国のがん登録法制化、院内がん登録の推進にもつながった。

 次のページですが、人材育成関連の予算の不足も指摘されています。がん研究領域で、国際的に活躍できる人材の育成体制を再整備することが望まれる、という評価もいただいています。

 最後に今後の展望です。次のページですが、新たな「がん研究10か年戦略」を作っております。全体目標としてはがんによる死亡者の減少、全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上、がんになっても安心して暮らせる社会の構築という3つの10か年目標を掲げ、特にがんの根治を目指した治療、患者・家族のニーズに応じた苦痛の軽減、予防と早期発見、がんとの共生といったものを重視する観点でおります。具体的な研究事項は(1)(8)に記載しているとおりです。

 最後にジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトについてです。これは今年度、来年度に向けて、もうスタートしております。一言で言うと、文部科学省と厚生労働省が連携しながら、この分野を進めていきます。「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」というのは主に文部科学省が担当し、「革新的がん医療実用化研究事業」は厚生労働省が担いながら、相互に研究成果を導出したり還元しながら、最終的に実用化に向けていくといった形のジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトを、今年度からスタートしつつあります。説明は以上です。

○永井部会長

 それでは御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○宮田委員

 確認します。このがん研究10か年戦略第3期は、基本的にAMEDの体制になっても継続されるということですよね。戦略に基づいてAMEDが適切に対応し、AMED以外の研究費は、それぞれの各省庁が対応するという理解でよろしいのですか。

○正林がん対策・健康増進課長

 はい、そのとおりです。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見がないので、今後開催される総合科学技術・イノベーション会議評価専門調査会で御審議いただくことになります。

 では、次にいきます。「厚生労働行政の推進に資する研究に関する検討について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○中山研究企画官

 それでは資料5を御覧ください。本日も冒頭で御説明したとおり、厚生労働科学研究費については、日本医療研究開発機構に補助金として流れるタイプの研究と、引き続き厚生労働省に残る研究という2つのタイプがあると御説明申し上げました。新しい日本医療研究開発機構にいくタイプの研究については、医療分野研究開発推進計画というものがまとめられるなど、その重要性や目標などがいろいろとまとめられているという状況です。

 そういった研究も重要ですけれども、やはり厚生労働省としても実施していかなければならない研究にも重要性があるということは、前回の科学技術部会でも御指摘いただいたところです。公衆衛生学会からも、厚生労働省に残るタイプの研究についてもしっかりやっていくべきだという提言もいただいているという状況があり、これを機に、科学技術部会の下に、「厚生労働行政の施策の推進に資する研究に関する検討会(仮称)」という検討会を設け、そういったタイプの研究についての現状と重要性、更には今後の方向性といった観点で取りまとめを行った上で、科学技術部会に御報告して御審議いただくという流れにしたいということです。一応予定としては年度内に報告書案を取りまとめ、来春の科学技術部会を3月か4月か、どの時期にやるかにもよりますけれども、その時期の科学技術部会で報告書案を上げて、御審議いただく場を設けたいと考えております。

○永井部会長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしますと、厚生労働行政の推進に資する研究に関する検討については、御了承いただいたということにしたいと思います。ありがとうございます。

 続いて、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインについて」ということで、御説明をお願いいたします。

○中山研究企画官

 資料6-1「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン()」と、机上配布させていただいた資料6-1追加資料、「厚生労働省における研究不正等への対応」を見ていただけますか。これまでの研究不正に対する対応ということで、研究不正に関しては預け金等の不正経理への対応と、いわゆる研究成果の捏造という、研究そのものの不正の2通りがあるということで、昨年来もいろいろなお話をさせていただいております。

 預け金等の不正経理への対応については、文部科学省が平成26218日に一連の経緯を受け、平成19年当時のガイドラインを改正したことがありました。厚生労働省においても、アカデミアや公的研究機関で研究費を受け取っているタイプの方々は、文部科学省も厚生労働省も共通ですから、基本的に厚生労働省の研究費を受け取った機関に対しても、文部科学省の定めたガイドラインを適用することで、一定の読替えを行った上で預け金等の不正経理に対するガイドラインも、科学技術部会に御報告した上で、3月の時点で発出させていただいたという手続を取っております。

 資料6-1の追加資料の右のほうに、今回の流れが出ております。そもそも研究成果の捏造に関する経緯としては、平成18年に総合科学技術会議においての報告が取りまとめられています。これを受けて、厚生労働省でも平成19419日に「研究活動の不正行為への対応に関する指針」が出ておりますが、最近になって一連の研究成果の捏造関係の問題に関しての対応ということで、文部科学省が826日付でガイドラインを発出するとともに、一方で総合科学技術・イノベーション会議も、今年919日付で「研究不正の実効性ある対応に向けて」という報告書を取りまとめているという状況です。

 こうしたことを受け、平成26926日に開催された「研究不正行為への実効性ある対応 関係府省会議」というのが、内閣府の呼び掛けにより行われて、いわゆる文部科学省の研究不正ガイドラインに準じた運用となるように、関係府省への依頼がありました。これを受けて、厚生労働省としても不正経理の対応と同様に、研究成果の捏造等に関する研究不正のガイドラインについても、文部科学省の定めたガイドラインについての所要の読替えを行って、厚生科学課長決定として発出したいと考えているという流れです。

 資料6-1がその内容です。この内容については、既に文部科学省から公表されている資料で、よくまとめていただいているものがありますので、その概要については通し番号39ページに、参考資料2という形で付けている資料を御覧いただければと思っております。このガイドラインについての研究活動の不正行為に関する基本的考え方としては、当然のことながら、研究者自らの規律とか、いわゆる科学コミュニティーによる吟味や評価を通じて品質管理を行うことを大前提とした上で、今回は研究機関の管理責任を明確化するということで、不正行為を事前に防止する取組を推進すべきと取りまとめられています。

 具体的な取組としては39ページの下にありますとおり、不正行為を抑止する環境整備です。大きな1つ目は、研究倫理教育をしっかりやっていくということで、研究機関に「研究倫理教育責任者」を設置するなど、研究倫理教育を徹底させます。2つ目としては、研究機関における一定期間の研究データの保存・開示を担保するということが挙げられています。2の下にありますように、不正事案の一覧化公開ということで、不正行為が行われたと確認される事案については、一覧化して公開するということも定めています。

 次に40ページを御覧いただきますと、研究活動における特定不正行為への対応ということでまとめられております。この内容は、不正行為が生じた場合の調査手続、あるいは方法等に関しての規定等をしっかり整備しておくことがまず求められています。さらに、不正行為の告発の受付、相談窓口の設置、調査を行う機関をあらかじめ規定に定めておく。さらに、調査体制についてはその調査機関の属さない外部有識者を半数以上入れるとか、全ての調査をする体制の調査員については、告発者や被告発者と利害関係を有しないことを条件とするとか、そのようなことを規定しているということかと思います。

 さらに、管理責任への措置ということで、研究機関の体制整備等の不備についてです。もし不正が起きた所で管理体制自体に不備があった場合は、「管理条件」と呼んでいますけれども、その改善事項などの管理条件を付します。その管理条件が達成されていないと認められるような場合には、「間接経費」の削減も行う場合もあるということを規定することによって、管理体制の整備を徹底させることを求めているものです。厚労省においてもこれと同様の形で、厚生労働科学研究費を取得している人たちに対する要件として、こういったものを求めていくことで対応したいと考えております。

○永井部会長

 ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いいたします。

○相澤委員

 確認ですが、手続については行政手続の関係法令に適合的であることは、確認済みであると理解してよろしいですか。

○中山研究企画官

 それでよろしいと思います。

○永井部会長

 ほかによろしいでしょうか。

○今村委員

 日本医師会としてもこの問題については、非常に重大に受けとめております。ただ、一方で余り厳格なと言いますか、そういうものを法律などで罰則規定まで設けてということについては、やはり行き過ぎな規制になりがちです。研究の自由闊達な発展と両にらみでやらなければいけない。こういったガイドラインレベルでの対応というのは、評価してもいいのではないかということで、大体の見解が一致しておりますので申し上げておきます。

○宮田委員

 具体的には昔、厚労科研費で捏造があったときに、その当時は規定がないために、文部科学省と同じような形で処分を議論することができなかったのです。このガイドラインが施行された後、遡上するような規定というのは考えていらっしゃいますか。

○中山研究企画官

 具体的にという話で言いますと、現在はまだ検討していないのですが、必要なものについては、しっかり整備をしていく方向で考えたいと思います。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしければ次へいきます。「平成26年度戦略研究 健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究」の一次選考についてということで、事務局より報告をお願いいたします。

○椎葉厚生科学課長

 平成26年度の戦略研究の進捗状況について、御報告させていただきます。資料6-2と、資料6-2追加資料がありますが、主に追加資料に基づき御説明させていただきます。平成26年度の戦略研究についてはタイトルにあるように、「健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究」です。この経緯ですが、公募要項については、本年718日に開催された部会において了承いただいており、722日から1か月間、研究課題の公募を行っております。その結果、31課題の応募がありました。

2ですが、選考委員会を設置し、この31課題について評価点を付けて評価しました。最終的には研究戦略企画調査専門検討会で審議を行い、一次選考を通過する課題ということで6課題を選定しております。その6課題が資料6-2の表にある課題です。

 今後の予定ですけれども、この一次選考を通過した6課題は現在、研究計画を策定してもらっているところで、1117日に中間評価を行い、来年3月に最終報告書の提出と、平成27年度以降に研究していただくということで、二次選考を行う予定です。平成27年度より研究を開始する課題を13課題ほど採択する予定です。この選考結果については、当部会において御報告させていただく予定です。

○永井部会長

 御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、以上で全ての議事が終了いたしました。事務局から何かございますか。

○中山研究企画官

 ありがとうございました。次回の日程は改めて調整した上で、日程や開催場所については御連絡をさせていただきたいと思います。

○永井部会長

 ありがとうございました。では、本日はこれで閉会といたします。

 


(了)

【問い合わせ先】
 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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