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2013年6月12日 平成25年度第1回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成25年6月12日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 19階 専用第23会議室


○出席者

出席委員:(5名)五十音順、敬称略、◎委員長

岡田 義昭、田崎 哲典、花井 十伍、◎牧野 茂義、山口 照英

欠席委員:

大平 勝美

参考人:

日本赤十字社血液事業本部
 日野 学(副本部長)、五十嵐 滋(安全管理課長)

事務局:

厚生労働省医薬食品局血液対策課
 加藤 誠実(血液対策課長)、丈達 泰史(血液対策企画官)
 笠松 淳也(課長補佐)、上田 恵子(課長補佐)

○議題

1.委員長の選出及び委員長代理の指名
2.議事要旨の確認
3.感染症定期報告について
4.血液製剤に関する報告事項について
5.その他

○議事

○上田課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「平成25年度第1回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。
 なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、委員の交代がありましたのでお知らせいたします。
 委員長の半田誠先生が血液事業部会長に御就任されて、運営委員会を退かれました。
 運営委員会規程第3条1項では、運営委員会委員は部会長が指名することとされております。今般、半田部会長の御指名により、東京慈恵会医科大学附属病院教授、田崎哲典先生が新たに就任されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、田崎先生、一言お願い申し上げます。
○田崎委員 東京慈恵会医科大学の田崎と申します。臨床的な視点から、少しでも意見が述べられればと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
○上田課長補佐 ありがとうございました。
 なお、本日の出席状況ですが、大平委員より御欠席の連絡をいただいておりますが、6名中5名の委員に御出席いただいていることを御報告申し上げます。
 また、本日は、日本赤十字社血液事業本部より、副本部長、日野参考人、それから、安全管理課長、五十嵐参考人にお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、事務局の異動ですが、4月1日付で、私、上田が血液対策課長補佐に着任しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 カメラの頭撮りは、ここまででお願い申し上げます。
 それでは、議題1ですが、半田委員長が退かれましたので、委員長の選出が必要でございます。運営委員会規程第4条第1項により、委員の互選により委員長の選出を行いたいと思いますが、どなたか御推薦はございませんでしょうか。
○山口委員 長年の御経験の御豊富な牧野先生にお願いしてはどうかと思うのですが。
○上田課長補佐 ありがとうございます。
 異議等ございませんでしょうか。
(拍 手)
○上田課長補佐 ありがとうございました。
 異議がございませんでしたので、牧野委員が委員長に選出されました。
 牧野委員におかれましては、委員長席にお移りください。
 では、以降の進行につきましては、牧野委員長よりお願いいたします。
○牧野委員長 それでは、皆様の御指名によりまして、運営委員会の委員長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、運営委員会規程第4条第3項に基づき、委員長代理の指名は委員長が行うこととされていますので、私のほうから指名させていただきます。
 本日は欠席でございますが、引き続き大平委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、初めに、事務局より本日の資料の説明をお願いします。
○上田課長補佐 それでは、資料の確認をいたします。お手元の資料のクリップを外していただきまして、まず、資料1、1枚紙でございますが、前回の運営委員会の議事要旨(案)でございます。
 続いて、資料2-1、感染症定期報告(研究報告概要一覧表及び個別症例報告概要)ということでございます。
 資料2-2が、この厚い資料になりますが、詳細版でございます。
 次に、資料3-1ですが、供血者からの遡及調査の進捗状況についてという資料がございます。
 それから、資料3-2、血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等についての資料がございます。
 資料3-3は、献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数の資料でございます。
 最後に、1枚紙でございますが、資料4、フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査についての資料がございます。
 資料は以上でございます。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
○牧野委員長 それでは、議題の2、議事要旨の確認ですが、お手元の資料1の議事要旨(案)につきまして、御意見がございましたら事務局まで御連絡いただきたいと思います。
○上田課長補佐 事務局のほうから1点だけ補足をさせていただきます。
 議事要旨の表、一番下にございますが、議題4についてというところで、前回の運営委員会におきまして、「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」に関する事前評価を行っております。この結果、全113件の評価を行った結果、「承認」が89件、「修正の上で承認」が8件、「却下」が16件となりました。また、運営委員会での事前評価が不要とされた140件については、いずれも「承認」となっております。
 承認課題一覧につきましては、参考として記載があります一番下の厚生労働省ホームページアドレス、こちらのサイトに掲載しておりますので、情報提供させていただきます。
 以上です。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 次に、議題3、感染症定期報告についてですが、まず、事務局から資料の説明をお願いします。
 本日の報告件数が全部で29件ありますので、少し分けて報告していただきたいと思います。まず最初に1から8までで一区切り、それから9から15で次の区切りをつけまして、あと16から20で一区切りついて、あと21から29ということで、4つに分けて報告していただきますので、よろしくお願いします。その一区切りごとに、皆様からの質問を受けたいと思いますので、よろしくお願いします。
 では、よろしくお願いします。
○上田課長補佐 それでは、資料2-1をごらんください。平成25年2月から4月に報告された感染症定期報告ということで、概要でございます。詳細は、先ほど申し上げたとおり2-2にございますが、以後の説明は、こちらの概要を用いて説明させていただきます。
 先ほど牧野委員長から説明がありましたとおり、今回、文献が多うございますので、分割して御説明申し上げたいと思います。まず、めくっていただきまして、2ページ目から5ページ目には、1つ目のセッションとして、血液製剤、輸血の安全性に関する報告として15文献がございます。まず、この文献中8文献を御説明申し上げます。
 それでは、報告の内容に入ります。文献番号1番及び2番をごらんください。これは、E型肝炎ウイルスに関する報告です。
 文献番号1は、フランスから、肝臓移植後にE型肝炎ウイルスによる急性肝炎を発症した症例の報告となっています。分離されたウイルス株は、中国のウサギからの分離株との相同性が高く、感染実験でも、ウサギで抗HEV抗体が一過性に検出されたということです。これは、ウサギからヒトへのE型肝炎ウイルス感染が疑われる初の報告ということです。
 また、補足ですが、当該症例は、死亡ウサギと接触の機会のある職業であり、そのウサギの供給源が中国であったとの情報も述べられております。
 続く文献番号2ですが、こちらは日赤からの報告です。同じくE型肝炎ウイルスに関しまして、培養系及び感染価定量系確立に関する報告です。御存知のように、E型肝炎に関しましては、今まで適切な感染系が確立しておりませんでしたが、今回、ここに方法がありますように、3型及び4型のE型肝炎ウイルスをヒト肝がん細胞株及びヒト肺腺がん細胞株に接種後、培養し、感染性を確認したと報告されております。
 また、この系におきましては、感染価定量も可能でありますので、Mirasolを用いた感染性低減化技術の性能評価にも有用であったと報告されております。
 続きまして、文献番号3及び4をごらんください。パルボウイルスの報告でございます。パルボウイルスは、本邦では、献血時スクリーニングがなされているところでありますが、不活化方法については有効な方法が知られていないとされております。したがいまして、血液感染について理論的な懸念が残るとされる点につき、さまざまな議論が現在なされているところでございます。
 文献番号3をごらんください。こちらはパルボウイルスに関する最新知見をまとめたレビューであり、パルボウイルスB19の新たな遺伝子型やヒトパルボウイルス4の最新知見などが載ってございます。また、パルボウイルスが引き起こす臨床症状や現在実施されている検査手法なども紹介されている文献です。
 引き続きまして、文献番号4は、ガーナから、ヒトパルボウイルス4番の報告であります。ヒトパルボウイルス4に関しては、感染経路や症状などいまだ不明の点が多くございますが、本報告では、気道症状を呈する15歳未満の小児1,904人から鼻腔検体、ふん便検体を採取したところで、このPARV4のDNAがおのおの、鼻腔からは0.83%、便からは0.53%検出されたという結果より、ヒトパルボウイルス4の感染経路として、気道あるいはふん口感染が示唆されると述べられたものでした。
 3ページをごらんください。次は、文献番号5、米国からの報告です。HTLVの抗体陽性率に関する報告です。これは、米国赤十字社が3年間、約700万人の供血者検体を解析した結果、HTLV総抗体陽性率が10万人あたり2.3人ほどであったと報告されております。また、アメリカにおいては、ここに示しますように、男女差及び地域差が認められたということです。
 なお、3年以内の新規感染が14例認められたということで、複数回献血者に対しては、単回のみのスクリーニングでは十分ではないのではないかということが考察のところで議論されております。
 次に、文献番号6でございます。2010年の、これは流行期間中だったそうですが、ニューヨークの血液センターで実施されたウエストナイルウイルスに対するNATスクリーニングの結果であります。これによりますと、ウイルス血症と思われる血液20本中9本が、ミニプールNATでは検出できない可能性があったということです。また、うち2本は、遡及的に行った供血者個別NATで陽性が出たという結果でした。
 先ほど述べましたこのセンターでは、ウエストナイルウイルスの流行の状態に応じて、ミニプールNAT、特別NATの切りかえを行う方式をとっているそうですが、一定のアルゴリズムに沿ったこの切りかえ方式の条件下では、少なくとも1本のバイレミックドネーションが見逃された可能性があると詳細の本文中には述べられております。したがいまして、スクリーニング体制について議論が必要ではないかとつけ加えられております。
 次は、文献番号7番、カンボジアのデング熱の報告です。2012年9月までに3万4,483人のデング熱症例が報告され、この中には146人の小児の症例、死亡例が含まれるとのことでした。これは、昨年の同時期に比較して発症、死亡ともにおよそ2.5倍前後の増加を見ているというものです。この死亡率上昇の背景としては、受診や治療のおくれがあるものであるとカンボジアの保健当局は考えているようです。
 次に、文献番号8番です。これは、カナダから、肝細胞移植レシピエントの輸血関連EBウイルス感染に関する分析です。肝細胞移植前後に血液製剤を投与された移植前抗体陰性患者において、移植後の30日目、60日目の累積感染率がおのおの4.6%及び13.4%と上昇しておりました。また、臍帯血移植に限った場合においても、60日の累積感染率は8.3%であり、また、感染と輸血量の相関関係が認められたという結果もございまして、これらから移植患者における輸血と移植後EBウイルス感染の可能性が示唆されたと述べられております。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 ただいまの1番から8番までの御報告に対しまして、委員の先生方から御意見、御質問がございましたらどうぞ。では、田崎先生。
○田崎委員 1番の文献で、接触という言葉がちょっと曖昧かなと思うのですが、具体的にはどういうことでしょうか。
○上田課長補佐 事務局のほうからお答え申し上げます。
 これは、フランスからの報告で、肝臓学会のアブストラクトということで、詳細な記載はございませんが、こちらによりますと、ウサギを含む複数の死亡動物を調理するようなレストランのシェフの方が感染したということで、接触という点では、死亡動物をさわったり、さばいたりするようなところで「接触」と記載がされているかと思います。
○田崎委員 それを食べたということですか。接触というのは。
○上田課長補佐 そこまでは明確には書いておりません。
○牧野委員長 ほかにいいですか。山口委員。
○山口委員 6番のウエストナイルなのですけれども、これは、やはり10本に1本は個別でないと検出できないということで、多分、日本では幸いにしてアウトブレークは起こっていないのですけれども、アウトブレークが起きた場合には、前からちょっと議論になっていますように、地域を限定した個別NATの必要性もあるのだろうということかと思いました。
 それとあと、8番の文献ですけれども、これは明らかに輸血量とEBV感染が相関しているという、造血肝細胞の移植プラス、その輸血のところでのプラスアルファがあるということは、例えば免疫抑制にあるような感じではそういう感染が起こる可能性があって、多分こういう患者には、輸血に関しても特別な輸血というものが考えられるのでしょうか。もし日赤のほうでそういうことが、要するにEBVの検査をしているとか、そういうことは考えられるのかどうか、ちょっとわかれば教えていただければ。
○牧野委員長 通常、移植のときにEBウイルスのネガティブの血液というものは、オーダーはないですよね。
○日野参考人 現在のところ、CMVに関してはオーダーはありますけれども、EBVに関しては、オーダーがないと認識しています。
○山口委員 ありがとうございます。
 それと、ちょっと2番なのですけれども、これはせっかく日赤のほうで開発された方法なのですけれども、まだ、先ほどの1番と同じで抄録だけなので、論文化の話がもしわかっていたら教えていただければというのと、それから多分、感度がまだLogの5.5でTCID50ぐらいなので、感度の上昇というのがもし測られていれば教えていただければ。ちょっと今は無理かもしれませんが。
○牧野委員長 どうですか。
○日野参考人 持ち帰って、先生のほうに御連絡したいと思います。
○牧野委員長 お願いします。
 ほかに。岡田委員。
○岡田委員 2番の系は、これは日本赤十字社が集めた供血者から樹立したウイルス株ですので、Eのウイルス株は複数報告されているのですけれども、その多くが豚とかイノシシとか、動物由来のもので、あっても、その発症した患者さん由来のものなので、こういう発症していない供血者から樹立したウイルス株としては、恐らく一番最初のウイルス株だと思います。それで、そういう面では、輸血の安全性確保のためには非常に有効なウイルス株だと思いますので、場合によっては、血漿分画メーカーとかにその分与をしていただいて、有効に利用できればさらにいいかなと考えています。
 それと、1番のE型肝炎ですけれども、日本で輸血の安全性のために検査を導入しましたけれども、実はヨーロッパのほうでも、今まで気づかれなかったというか、軽度の肝機能異常程度で見過ごされていたものが、よく調べたらE型肝炎だったということで、非常に注目されて、いろいろなペーパーがパブリッシュされています。ですので、今後も、いろいろなジェノタイプも見つかってきていますので、特に免疫不全症の患者さんとこのE型肝炎というものが問題になるかと思います。
 それで、日本ではないのですけれども、ヨーロッパではSDプラズマといいまして、FFPをウイルスの不活化するためにSD処理をしているプラズマが医薬品として供給されています。それが一番リスクが高いということで、EDQMのほうでは、混入するウイルス量の規定を導入する予定で検討が始められています。数年後にはHEVが、2.5乗だと思いますけれども、10の2.5乗以下の血漿からつくるようになると思います。
 あと、4番ですけれども、4番のパルボウイルスのこれはPARV4ですけれども、これは、実はそこに書いてあるのは、何らかの気道の症状を示している子供さんからのデータなのですけれども、実はまだ、PARV4はどういう病気の原因となっているかというのがわかっていません。ただ、原料血漿なりドナーから見つかったりとか、あとはドラッグユーザーとかHIVの感染者等からこのPARV4が見つかっているということで、血液の関係者としては、パルボウイルスそのものが、除去することが非常に難しいというので注目されていますけれども、まだ病原性に関してははっきりしていないということです。
 以上です。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか。花井委員。
○花井委員 今の関連なのですけれども、文献3のパルボと文献4のパルボは、B19とPARV4というので違うものかと思うのですが、いわゆる不活化できないということで、日本の場合はナノフィルターがちょうど10ナノでパルボのサイズと大体一緒ぐらいのフィルターがかかっていると思うのですけれども、これは、大きさも同じぐらいという理解でいいのですか。もしそのフィルターが効いているとすればPARV4についても有効だという理解でいいということなのですか。日本ではその心配は今のところないのかもしれませんが。
○牧野委員長 どうですか。日赤のほうからは、どなたか。
○五十嵐参考人 私の知識ではパルボB19が一番小さいウイルスだと言われていて、それで15ナノを導入しているのだろうと思うのですね。多くはそれでとれていると。それで、PARV4がどの大きさかわかりませんけれども、それよりも小さいということはちょっと考えにくいかなという気はします。だから、多分とれるのではないかと思いますけれども、ちょっと大きさはわからないので。
○花井委員 わかりました。例えば、今後そういう評価をしようと思ったら、またできるということですね。例えばの話ですが。
○五十嵐参考人 ウイルス株があればできるだろうと思います。
○花井委員 わかりました。
○岡田委員 実は、PARV4というのは非常に珍しいので、なかなか高タイターのものを大量に得ることはできません。ですので、実はこの大きさがないのも、大きさは電顕か何かではかると思うのですけれども、そういう評価するのに十分な量もないのだと思うのですね。ただ、遺伝子工学的にウイルスの殻をつくることは可能ですので、それをつくったものを濃縮すれば、おおよその大きさはわかると思います。
 それで、実は最近、2004年ぐらいから血漿分画製剤のパルボのスクリーニングが導入されたのですけれども、その効果がどうだったのかという評価が幾つかの論文で発表されています。そうしますと、やはり完全ではないという論文もあります。ただし、よく読みますと、先ほどの20ナノは、ウイルスというかパルボを取り除くのには有効な方法なのですけれども、全ての製剤が20ナノを通すことはできません。製剤によっては、分子の大きさからいって、製剤そのものが通らないものがありますので、そういうものに関してはそういうものが原因かもしれませんけれども、抗体がコントロールの人に比べて高い、1.7倍ぐらいになっているというのが報告にあります。
 ただし、パルボのスクリーニングが導入されてから明らかに臨床症状を呈したという報告はないので、ゼロとは言えないまでも、かなり有効で、数的にパルボの安全性は非常に高くなっているというのが今の理解でいいと思います。
○牧野委員長 それでは、次の9番から15番までお願いします。
○上田課長補佐 それでは、後半の説明をいたします。4ページをごらんください。文献番号9及び10は、ヒトヘルペスウイルス8の報告です。
 文献番号9は、ヒトヘルペスウイルス8の抗体保有率が高いとされるアフリカ・ガーナからの報告であります。これは、抗体陽性血を輸血された抗体陰性受血者において、中ほどにありますが、12人中1人で感染が疑われたということが報告されております。本症例は、免疫正常な症例であったため臨床的な影響はなかったとされております。しかしながら、免疫抑制状態ではこのようなリスクが懸念されることが、ここで述べられております。
 また、文献番号10ですが、ウガンダから、同じくヒトヘルペスウイルス8の抗体陽性血輸血が受血者に与えた影響に関するコホート研究が報告されております。これによりますと、保管期間が短い、具体的には4日以内ですが、抗体陽性血を輸血された患者では、陰性血を輸血された患者より死亡率が高かった。ハザード比にして1.92倍高かったということが報告されております。一方、保管期間の長いもの、5日以上であった陽性血液を輸血された患者さんの死亡率は、陰性血を輸血された患者の死亡率と変わらなかったことも報告されております。
 次に、文献番号11ですが、米国から、ヒト顆粒球アナプラズマ症の症例報告です。ヒト顆粒球アナプラズマ症は、マダニの一種が媒介するリケッチアということですが、本症例は、白血球除去を行った赤血球を輸血されておりました。しかし、その後に発熱、頭痛、悪寒などが発症し、末梢血中に特徴的な桑実胚様の多形核白血球が確認されまして、アナプラズマ症と診断されたものです。また、供血者1名より病原体が検出され、また、この供血者が、媒介ダニの多発地帯出身であるということも判明しております。
 続きまして、文献番号12及び13をごらんください。こちらはリーシュマニアの報告です。
 文献番号12ですが、こちらは不活化技術に関する報告でありまして、リーシュマニアは、こちらもハエが媒介する原虫ということで、スペインのバレアレス諸島等では、流行地帯として知られていますけれども、このあたりでは無症候性感染率も高いため輸血感染が問題になっております。この文献12番では、インターセプトを用いて除去に成功したということが初めて報告されております。
 一方、13番のほうですけれども、同じくスペインからの報告で、こちらはリーシュマニアのアウトブレークの報告です。2012年の150例を含めまして過去3年間に500症例が報告されておりまして、このアウトブレークは、まだ継続していると見られております。中には、重症型であります内蔵リーシュマニアも3例報告されております。ウサギが保有宿主と言われておりまして、駆除対策がとられたということも記載されております。
 続きまして、文献番号14及び15は、異型クロイツフェルトヤコブ病に関する報告です。
 文献番号14は、赤血球のプリオン除去フィルターの費用対効果に関する研究です。これは、アイルランドにおいて、このフィルターを使用した場合、使用しなかった場合に場合分けをしてさまざまなコストを計算しておるのですが、まず、このフィルターを使用しなかった場合には10年間に2人が赤血球輸注で本症を発症したのではないかと算定されています。また、失われる寿命は18.5年と推定されております。一方、ろ過の実装にかかる費用ですけれども、これは日本円にして70億円ぐらいの費用がかかるとも推定されております。
 最後、文献番号15番ですが、昨年ブラジルで初めて発症したBSEの報告です。死亡時の牛の年齢は13歳、免疫組織学的検査で確定したということです。これについては、前回、平成24年12月の運営委員会でも議論させていただいておりますので、詳細は省略させていただきます。
 以上です。
○牧野委員長 ただいまの9番から15番の報告に対しまして、委員の先生方から御意見、御質問ございませんでしょうか。山口委員。
○山口委員 14番の文献なのですけれども、多分これは費用対効果から割と否定的な報告であったかと思います。あともう一つは、最近FDAが赤血球輸血に関するプリオンのリスク評価を出しておりますけれども、それでもリスクの高い、基本的にはイギリス滞在歴が一番リスクの要因になっていて、その高いリスクモデルを使った場合と低いモデルを使った場合で、恐らく実際に発症している患者数からすると、ほとんどリスクモデルとしては非常に低いという結論になっているかと思いますし、またあと、OIEでつい最近、日本も米国も一応清浄国扱いになったと、最終結論はなっていないですけれども、指定されていますので、ある意味、こういうプリオンに関する状況については少し変わりつつある、考え直すべきときに来ているのかもしれないと思いました。
○牧野委員長 ほかに。
○岡田委員 11番のヒト顆粒球アナプラズマ症ですが、これは、後で出てくる16番の重症熱性血小板減少症候群ですか、SFTSと非常に臨床的によく似ている疾患で、鑑別診断として大体両方の疾患が考えられます。それで、11番のこれはAABBの学会の詳録だと思うのですけれども、これは、実はもうフルのペーパーとしてパブリッシュされています。それで、顆粒球に、これはリケッチア症といいましたけれども、この感染症は正確にはグラム陰性のバクテリアなのですね。それで、通常、顆粒球の中にいますので白血球除去フィルターが効果的だと言われたのですけれども、この症例に関しては、残念ながら完全には除去できなくて感染してしまったということで、恐らくこの学会及び雑誌に投稿されたのだと思います。
 それで、日本でも今SFTSが問題になっていますけれども、日本にもこのアナプラズマ症が存在するので、症状が、両方とも熱が出て、白血球が下がって、血小板が下がるといったときに、やはり鑑別診断にこれを考えておかないと、こちらはバクテリアですから抗生物質が効くわけですね、それで一方のSFTSは効果がないということで、最初からSFTSと断定して治療してしまうと、それがアナプラズマ症だった場合に治療にちょっと差が出てしまう、そういう可能性があるので注意する必要があるかなと。もちろんSFTSも頻度が非常に低いので、実際なかなか臨床の現場ではその鑑別とかは非常に困難だと思いますけれども、一応考慮というか頭の中に入れておく疾患だと思います。
 以上です。
○牧野委員長 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、次の16番から20番をお願いします。
○上田課長補佐 それでは、その他の報告としまして、まず、16番から20番までを御説明いたします。
 その前に、その他の報告としてまとめましたのは、前のセクションの血液製剤、輸血の安全性に関する報告と少し区別いたしまして、直接血液製剤及び輸血の安全性にかかわる関連性は明確ではないものの、各国で報告されて問題になっている感染症あるいはその流行状態などをまとめたものがこちらのセクションになっております。
 それでは、まず、5ページ下から6ページにかけて、文献16、17、18をあわせてごらんください。これは、先ほど御説明がありましたが、SFTS、重症熱性血小板減少症候群関連の報告です。以後、SFTSと申し上げますが、SFTSは、2009年ごろ中国で発症が報告され、11年に原因ウイルスが特定されたものですが、本邦においては、山口県において2012年に初めて症例が報告されました。
 文献番号16番及び17番は、ともにこの本邦初の症例に関係したものでありまして、おのおの厚生労働省及び感染研のホームページからの抜粋ですので、あわせて御説明いたします。
 本症例は、文献番号17のほうに記載がございますが、発熱、嘔吐、下痢及び黒色便などの重篤な消化器症状を呈しまして、全身状態が悪化し死亡に至った症例でございます。また、血液からウイルスが分離され確定診断となっております。文献番号16の中ほどにございますが、御存じのように、厚生労働省におきましては、依頼自治体を通じて最新情報を収集し、研究、調査などを行っております。また、前後して申しわけないのですが、文献番号17のほうにございますが、感染研のホームページにおいては、マダニが媒介していること及び、後ほど出てまいりますけれども、血液を介した感染が中国からも報告されていることについて、ホームページで情報提供しております。
 続く文献番号18のほうをごらんください。これが、今述べました血液を介したと思われるSFTS感染例で、中国からの症例報告です。発端患者とその血液に接触した31名のうち4名、このうち3名は家族ですけれども、この4名に症状が出現し、回復期血清でもIgGが陽性ということで、血液が二次感染源と推定されております。
 補足いたしますと、血液感染ということで、献血からの感染等も懸念されるところではございましたが、この中国の報告例を詳細に検討しましたところ、ウイルスタイターがかなり高いものであったことや、発端者に対し、直接の血液に触れるなどの濃厚接触が確認されたことから、通常の健常者献血の状況とは異なる状態にあったと判断しております。したがいまして、現在のところ、本邦におきまして、特別な献血制限等はとっておりませんが、引き続き経過を見ていく予定になっております。
 最後に、国内最新情報を追加いたします。現在までに国内発症例は20例、それから、死亡例がそのうち9例です。なお、感染者に献血歴などは確認されておりません。
 続きまして、文献番号19及び20をごらんください。こちらは、中東呼吸器症候群、いわゆるMERSの症例報告です。MERSは、御存じのとおり、アラビア半島を中心に昨年ごろから発症が報告されている重篤な呼吸器感染症です。特に、合併症を伴う患者あるいは免疫不全状態を伴う患者において重症化が報告されているようです。症状は、ここにありますが、主に呼吸器症状で、発症は、クラスターを形成し、接触家族や介護者などの二次感染の可能性も示唆されております。
 文献番号19の最後のほうにあるのですけれども、SARSのように集団内感染や持続的な感染拡大は報告されていないとのことです。現在までに最も多く患者が発症しているのはサウジアラビアであり、渡航者やその濃厚接触者を中心に、他の中東諸国やヨーロッパでも症例が確認されているとのことです。文献番号19番がこれらの症例の報告でありまして、2012年のサウジアラビア、ヨルダン、カタールでの流行状況に関するWHOの報告です。これらの症例は、ここにありますように、それぞれカタール2例、サウジアラビア5例、ヨルダン2例とこの時点において報告されておりますけれども、全例が重症でありまして、9例中5例が死亡と報告されております。
 一方、文献番号20番に関しては、英国からなのですが、英国の患者においては、中東渡航後に発症した患者の家族に症状が発生したということで、二次感染が確定したという報告でした。
 最後に最新情報を追加いたします。これは、11日の時点でCDCのホームページによる情報ですが、感染者は55例、それから死亡例が32例、患者が報告されている国ですが、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、UAE、フランス、チュニジア、英国、そしてイタリアの8カ国だそうです。多くはヨルダン、カタール、サウジアラビア、UAEで発症しておりまして、チュニジア、フランス、イギリス、イタリアといった国々の患者は、中東渡航履歴者や患者への濃厚接触者、介護者ですとか病室同室者などであるそうです。また、他のヨーロッパの国々、英国やドイツなどには、中東からの患者が搬送されているという情報も載っております。
 国内では、アラビア半島諸国への渡航あるいは帰国者への注意喚起などを行っておりますし、医療機関に対し、疑い患者に対する情報提供等を実施しております。
 1つ訂正をしておきます。先ほど、SFTSのほうで私、最新情報として、現在までに発症20例、それから死亡9例と申し上げましたが、死亡例が1名加わっておりましたので、死亡例はトータルで10例ということで訂正させていただきます。
 以上です。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 では、ただいまのSFTSとこのコロナウイルス感染に関しましての御報告に、御意見、御質問ございませんでしょうか。岡田委員。
○岡田委員 この新型のコロナウイルスに関して、潜伏期はどの程度なのでしょうか。
○上田課長補佐 事務局のほうからお答えいたします。
 潜伏期は10日ほどと報告されております。
○岡田委員 ということは、今の献血制限というか、海外から帰ってきた場合は、一応1カ月ということで、それでは潜伏期を超えていますから、海外からの帰国者が献血して、感染ということは考えなくてもいいという理解でよろしいでしょうか。
○上田課長補佐 そのように理解しております。
○牧野委員長 ほかにございませんでしょうか。山口委員。
○山口委員 SFTSの感染研のホームページだと2から6日ぐらいが潜伏期だと言われていたと思うのですけれども、恐らくこれは国内で感染することになるので、発症のほうが割とすぐに起きてしまうので、輸血後感染症は起きにくいと考えていいかと思うのですが、日赤のほうの何かコメントがございましたら。
○牧野委員長 日赤のほう、いかがでしょうか。潜伏期間が結構短いというのは。
○日野参考人 特にありません。
○笠松課長補佐 SFTSにつきましては、潜伏期のこと、献血制限のこと、海外由来の方という意味では、先生おっしゃるとおりだと思います。また、国内の血液を介してということが感染研でもQ&Aが出ておりますし、WHOなどでも報告されておりますが、先ほど上田補佐から御説明させていただきましたが、これについては、今まで血液を媒介した感染というものは、これまで私どもが把握している限り、論文としては2つ出ております。今回1つ、前回が2012年6月に論文報告されています。
 中国の浙江省と中国の山東省ですが、共通しておりますのが、まず1つが、2人とも、イニシャルケースの方は、SFTSは通常、出血熱のような症状を呈することはないそうなのですが、お2人とも、亡くなる前というか非常に重たい段階で、口腔または鼻腔からおびただしい出血をしている状況であると。つまり、ほかのSFTSの方と比べてさらに特異な経過をたどっていると。お2人ともICUに類するような病院に入っておられますというのが1点。すなわち、献血に来るような方とはちょっと違って、入院をし、さらにICUに入り、さらには、もう出血熱を呈するというようなことが1つ。
 それから、今回の論文も、前回の論文では、2012年のケースでは、出血熱で感染をした人というのは、ICUで治療に当たったお医者さんがお2人、それから、親族の方で、亡くなられる前後、息子さんですが、お父さんのお顔を拭いたりとか、当然血を拭ったりというようなことをされて臨終に立ち会った方、それと、いわゆるお葬式のメーキャップをする方ということで、いずれにしても、非常に濃厚接触という、いわゆる病院の中で接触がありましたというものより、さらに濃厚な接触をしている人ということでございます。
 今回の報告にございましたのも、31人の接触者がおりまして、医療従事者も16人いるのですが、その出血症状が出る前に診察をしたお医者さん、ヘルスケアワーカーは、いずれも、グローブとかをしている、していないにかかわらず症状は出ておりません。ヘルスケアワーカーのうち感染した人というのは、最終的に亡くなられた病院で、さらに出血症状が起こって、その直前に診察をした方だということでございます。あと、やはり葬儀に関係する方も感染されていますが、そのとき、やはり素手で作業をされていた、指にけがをされていたというような情報もございます。御家族についても、10名いらっしゃるのですが、そもそも出血時にいなかった人、出血する前にお見舞いした親族等の感染はありません。やはり出血で、血を拭って御本人が顔に血を浴びた、そういう御家族が3人中2人感染しているということで、いわゆる血にちょっとさわってしまったというようなことではなくて、鼻腔、口腔からおびただしい出血を起こした極めて重症な入院患者さんに、直接血を拭うような行為をなさった方が、前回の報告でも今回の報告でも、感染している方というのはそういう方だというケースであります。
 したがって、結論としましては、先ほど事務局から申し上げましたとおりでございますけれども、少なくとも現時点で元気に献血に来られる方とは著しく趣が異なるのかなということで、献血制限等の措置ということではございませんが、いずれにしても血液に関連してということでございますので、情報をさらに今後、今までの報告とは違うようなことがないかどうか、結核感染症課等と連携いたしまして、密に情報収集を図ることとしております。
 以上です。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 それでは、最後の、報告の21番から最後までお願いします。
○上田課長補佐 それでは、これ以降は、発症した感染症の病原体、症状、流行地帯等を簡略化した形で御紹介申し上げたいと思います。
 6ページ目の最後からですけれども、文献番号21は、アメリカから、これは1月の時点でのインフルエンザの流行状態の報告です。インフルエンザの予防接種を呼びかけておりますが、拡大が非常に急速に進んでいるということで警告を発しているというものです。
 続きまして、7ページをごらんください。文献番号22です。これは、コンゴ民主共和国から、2009年に発症した3例の急性出血熱の報告です。ここにありますように、症状が、高熱、吐血、血性下痢等でありまして、3例発症中2例が3日以内に死亡したとのことです。
 補足として、この3例から発見されたのは新型のラブドウイルスであったということも報告されております。したがいまして、詳細や発生源については現在のところ不明ではありますが、ヒト・ヒト接触で伝播する可能性もあるとのことが書かれております。
 次に、23番、オーストラリアからロスリバーウイルス感染の報告です。2012年はロスリバーウイルス感染が増加傾向でありまして、1年で1,570人感染しておりまして、これは3年前の5倍の増加数だということです。この増加には、ラニーニャ現象による媒介蚊の増加が関連していると述べられております。
 続きまして、文献番号24、これもオーストラリアからの報告でして、コウモリリッサウイルスに感染した8歳男児が、狂犬病様症状を呈して、現在、危篤状態であるという報告です。これは、今までにわずか3例の報告ではありますが、他の2例は死亡例でございますし、非常に重篤な病態が懸念されております。予防としては、コウモリを避けることなどが上げられており、注意喚起がなされております。
 続きまして、文献番号25、こちらは、コンゴ民主共和国から再び報告ですが、エボラ出血熱の発症状況に関する報告です。2012年10月の時点で発症例は49例、このうち24例が既に死亡しているとのことです。血液を介した感染も知られておりまして、ヘルスケア担当者等への感染が注意喚起されております。
 次に、文献番号26でございます。バングラディッシュからニパウイルス脳炎の報告です。ニパウイルス脳炎は、同国において、これまでにもアウトブレークがございまして、一番下にございますように、これまでに感染者180人おられて、このうち139名が死亡しております。今回は、同国における再流行ということで、2月までに12人が発症し、10人が死亡しているとのことです。コウモリで汚染された生のナツメヤシジュースあるいは果物などを飲食しないようにという警告が出ております。
 次に、8ページをごらんください。文献番号27でございますが、アメリカから、ボレリア回帰熱を引き起こすスピロヘータの感染状況についての報告です。ここに挙げられますBorrelia miyamotoiという病原体が感染している状況を、同様のダニが媒介するライム病の浸淫地域で調査したものです。これによりますと、ライム病の浸淫地域では、同病原体についても感染が広まっている可能性が示唆されたということが述べられております。
 文献番号28でございますが、スペインからトキソプラズマ症に関する報告です。9例の臍帯血移植患者のトキソプラズマ症の解析から、本症は、健常時には無症状で、血清学的検査等も明確でないのにもかかわらず、免疫不全の状態では重篤な播種性疾患等を呈する可能性があるため、免疫力が低下している患者に関しては、例えばこちらにありますような臍帯血移植レシピエントなどに関しましては、迅速な、適切な診断、予防など、そういった戦略が必要と考えられるという報告であります。
 最後、文献番号29ですけれども、メキシコからロッキー山紅斑熱の発症状況の報告です。4例が確定例となっておりまして、別の4例が疑いありと発表されております。この中には2例の女児が死亡しているという報告もありまして、地域においては、緊急事態に直面し、予防措置が実施されているというようなことが報告されております。
 以上で資料2-1の説明を終わります。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御報告に対しまして、御意見、御質問ございましたらどうぞ。
 大丈夫でしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局は、本日の御意見を十分念頭に置きつつ、引き続き感染症定期報告の収集等をお願いしたいと思います。
 それでは次に、議題の4ですけれども、血液製剤に関する報告事項についてです。遡及調査の進捗状況や副作用感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応状況等につきまして報告をいただきたいと思います。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。
○上田課長補佐 それでは、資料3-1をごらんください。「供血者からの遡及調査の進捗状況について」でございます。
 4ページをごらんください。一番右列、平成24年4月1日~平成25年3月31日という欄が最新情報になっております。これによりますと、一番上に9,983という数字があるかと思いますが、これは、期間中に遡及調査の対象となった献血件数、すなわち個別NATを実施された件数を示しております。この9,983という数値をその左側の列であります過去の数値と比べますと、やや増加が認められております。例えば昨年度、平成23年4月から24年3月までの2,491という数値と比べますと4倍ほどに増加しております。これにつきましては、前回も御説明があったかと思いますが、平成24年8月よりHBc抗体の基準を献血時に厳格化したことにより一時的に遡及調査対象が増加したものと考えております。
 一方、下を見ていただきまして、149という数値がございます。これが遡及調査の調査対象のうち、実際、個別NATが陽性となった件数でございます。全てHBの症例でした。
 また、さらに下に行っていただきまして、受血者情報が判明した件数の中、陽転事例が5という数字がございます。比較していただくとおわかりかと思いますが、先ほどの149、つまりNAT陽性となった件数及び5という数値、すなわち受血者で陽転が判明した件数、これにつきましては、過去の報告と同程度のものと報告されております。すなわち、HBc抗体基準厳格化によって個別NATの調査対象は増加いたしましたが、陽性件数及び実際の受血者情報によって受血者陽転が判明した件数には大きな変化がないということを示していると思われます。
 今後、HBc抗体陽性者が献血スクリーニング段階で除かれていることになりますので、中長期的には、この調査件数、続きましてNAT陽性件数や受血者の陽転の件数、こちらも減少していくことが予想されております。
 3-1については以上です。
○牧野委員長 ただいまの御報告に対しまして、御意見、御質問、それから、日赤からの何か追加があればどうぞ。
 日赤のほう、追加は大丈夫でしょうか。
 田崎先生。
○田崎委員 結局、この検査は一見無駄な検査をしている印象を受けてしまうのですけれども、そうではないのですね。
○日野参考人 それまではコア抗体のカットオフインデックスを12というところで設定しておりました。また、日赤はこれまでも、さまざまな安全対策、例えば2004年からはNATの感度を上げるという対策を打ってきましたが、先ほど補佐のほうから説明がありましたけれども、今現在、日赤の血液で感染しているもとの血液の原因は何かということになると、それは、カットオフインデックスが12以下の血液のHBVの感染既往者の血液だったということになりました。その数といいますのは、年間500万件の輸血血液を供給しておりますけれども、そのうちの大体3件から4件程度のものなのですね。ただ、それを今後全てなくしていくためには、こういったHBc抗体基準の厳格化のような安全対策が必要だろうということで、去年の8月から安全対策を打ってきております。
○笠松課長補佐 済みません、このHBc抗体を厳格化した結果というのは、今回は大きな数字の変化はないということでございますけれども、これはあくまで今回HBc抗体で新たな基準、厳しくした基準で引っかかったと。前回の献血に戻って調査をしたらこうだったという結果でございますので、前回の献血というものが、3カ月前の人もいれば、平均すれば1年前後前ということになろうかと思いますけれども、そういうことですので、いわば、厳密に評価するとすれば、前回も今回も、大体の人が新システムになった段階でどうなのかということがあろうかと思いますので、これはワンポイントではなくて、数年程度の幅のあるものですので、そういう観点からは、幾つか、年間数件というところを、年間3件、4件のところを減らしていこうというところですので、Nの問題もありますし、遡及調査、幅の問題があります。前回献血1年前とか、2年前とかということがあろうかと思いますので、そこの幅を持って、あるいは症例がある程度集まるという段階で、若干数年、何年かの蓄積を待って評価をすることになってくるかと思います。期待はされるところで、これを導入する際に、平成23年9月の運営委員会で御議論いただいて、こういうことであれば期待ができるだろうということで、先ほど3件、4件ということが日本赤十字社のほうからございましたけれども、期待はできるだろうと。ただ、実際の評価はそこのところ、若干数年のスパンで評価することになるかと思っております。
 以上です。
○牧野委員長 岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 確認なのですけれども、この新しいHBc抗体の基準を変更した後に、供給に支障が来たというか、迫ったことがあるのでしょうか。
○日野参考人 これの安全対策を打つ前に、実際問題、安全対策をしたのはいいのだけれども、安定供給できるのかというところがありましたので、それは、平成23年から採血基準を変えるとかということもありましたし、年間6万人程度の方なのですけれども、そのためにそういった、当時プラスの方向に行くような動きにもあったということがありますので、今のところは安定供給できていると思っています。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 花井委員。
○花井委員 今、事務局から説明あったとおり、Bに関してはどうしてもミニプールでも抜けてしまうということで、大きくこれに期待されるということだと思うのですが、今、話に出たので関連してなのですけれども、複数回献血者で急に献血できなくなったという人があって、では、私は病気なのかとか、そういう誤解とか心配がないかということがちょっと懸念されたと思うのですけれども、献血者側の反応で、何か大きく問題になったということも起きていないという理解でよろしいですか。
○日野参考人 これも始める前の一つの大きな課題だったのですけれども、HBの既往の方というのは、大体50代、60代の方が非常に多いのですね。その方々というのは、今までも非常に献血に協力していただいた方ということがあって、今、花井委員がおっしゃられたようなことは懸念されていましたので、いろいろな媒体を使って、あらかじめ説明の文書をつくるという形で、事前に御説明したということがあります。
 全くなかったかというと、そうではなくて、やはりもう何百回も過去に献血している方がいらっしゃいましたので、その方については、いろいろな御意見はいただいていました。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。はい。
 それでは、続きまして、資料3-2について事務局から説明をお願いいたしたいと思います。
○上田課長補佐 それでは、資料3-2を御説明いたします。3-2は「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」でございまして、まず、2ページ目をごらんください。
 今回、輸血用製剤で感染が疑われる事例ということで、関連した死亡例、劇症肝炎例の新規報告はございませんでした。2ページ目にあります表には、過去の死亡症例としてB型肝炎が2例、C型が1例記載されております。これらの症例に関しては、用いられた輸血製剤、保管検体のNAT及び献血者来訪による関連検査の呼びかけ等を行いつつフォローしております。
 今回は、右の新規報告の列をごらんください。この状況にどういった変化があったかということですけれども、3例中2例は、平成25年2月21日以降、特に供血者の来訪等に変化はございませんでした。しかし、中段の1例、こちらでは、新たに1名が来訪いたしまして、15人いらっしゃった供血者のうち、トータルで11名で、今のところHBV関連検査陰性が確認されたとのことです。残り4名についてはいまだ来訪がございませんので、引き続き経過を見ていく予定でございます。
 次に、3ページをごらんください。感染症報告事例のまとめについて載っております。
 平成25年2月から4月までに報告された感染症は、これは疑いを含めまして24件でありました。うち、こちらに載っておりますとおり、HBVの感染報告事例は15件、HCVに関しては4件、HIVはございませんで、その他の感染症報告として、これは全て細菌感染でございますが、5件ございました。
 詳細についてですけれども、まず、2番のところですけれども、HBに関しましては、輸血前後でHBV-DNAあるいはHBs抗原、これらが陽転した15件のうち、個別NATが陽性であった件数が(2)にありますとおり4件でございました。
 C型に関しましては、3番にありますけれども、輸血前後にHCV-RNAあるいは抗体検査等が陽転した事例は4件ございましたが、個別NATによる検査によると、これら個別NATが陽性となった事例はゼロ件でございました。
 HIVについては、もともと報告がございませんので、次に、最後に5番目のその他の感染症報告というところをごらんください。先ほど申し上げましたとおり、B型、C型以外の肝炎の報告はございませんでした。また、先ほど申し上げましたとおり、その他の報告として、細菌感染が5例ございました。こちらについても、使用された輸血用血液製剤を提供した献血者の保管検体の無菌試験というものを行っておりまして、これらは全て陰性が確認されております。
 次に、4ページから12ページまで、これが報告された24件の症例の詳細になっております。4ページ目、5ページ目にあります最初から4例、これがHBの個別NATが陽性であった4例の症例です。4ページ目に載っております最初の2例については、DNA塩基配列から輸血製剤由来の感染が確定しております。一番右の欄にこの内容が書いてございます。ですが、残り2例、これは5ページ目にありますが、こちらのほうについては、いまだ調査中ということです。
 また、感染症等転帰が死亡という報告で上がってきているものが2例ございまして、1例目が、同じ5ページの下の症例、日赤番号で言いますと3-1300022でございます。もう一例が、少し飛びまして10ページ目の下にあります日赤番号で言うと3-1300032という症例がございます。これらにつきましては、最初の症例がHBとして報告され、後のほうが細菌感染として報告されておりますが、いずれも供血者の検体において関連性が否定されているという結果を得ております。したがいまして、冒頭に申し上げましたように、輸血製剤に関連した死亡例は、新規報告はなしという判断になったということになります。
 また、補足ですが、11ページをごらんください。日赤番号で言いまして3-130043という敗血症性ショックの症例、それからもう一例、その1例飛んで一番下の症例ですが、3-130044という、こちらも細菌感染の症例ですが、この2例につきましては、投与中止した後の製剤というものが残っておりまして、こちらで培養試験を行っていることが記載されております。これは、列にして、日赤投与前検査というところ、13列目にその内容が書かれております。表には「実施予定」と書かれているのですが、こちらは、最新情報で両者とも実施済みでありまして、陰性が確認されたということでございました。
 症例の詳細につきましては以上となります。
 次に、13ページをお願いいたします。これは、北海道で実施しておりますE型肝炎に対する20プールNATスクリーニングの結果でございます。先ほどから議論が幾つかございましたが、御存じのとおり、北海道ではHEV-RNA陽性率が高いことや劇症化が懸念されるジェノタイプG4の割合が高いということより、施策的にこのNATスクリーニングを取り入れているということですが、今回、陽性率及びジェノタイプのG3、G4の比あたりを見ていただきまして、平成24年、平成25年のあたりの数字を見ていただきますと、25年の報告は1月から3月までの速報という形になりますが、例年に比べまして特記すべき事項はないかと考えております。
 資料3-2は以上です。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 ただいまの御報告に対しまして、御質問、御追加はございませんでしょうか。花井委員。
○花井委員 これは毎回のことなのですけれども、輸血前に検査して、その後に陽転して、しかし、個別NATは陰性というのが、今回Bで陽転したものが4件で、Cに関しては全然ないということで、これを見てみると、輸血前検査と、それから陽転したまでの期間はちょっとばらつきがあるようですけれども、普通考えると、特にCなんかがこの期間に、またこの患者の年齢とかを見ていくと、何かどこかでCに感染するような機会がなさそうなのに陽転しているということで、いつも結局真相はやぶの中ということで毎回終わっているのですけれども、これが院内で何かそういうことがあるのか、何かこうあるのかというのが、いつも不明のまま終わっているので、評価というか推定というか、そういうことはやはり今のところわからないということですか。済みません、ちょっと漠然としているのですけれども、毎回わからないままでずっと来ているというところで、特にCになると本当に不可解な感じがするのですけれども、日赤としてはどういうふうに考えているのでしょうか。
○牧野委員長 日野参考人。
○日野参考人 実際に日赤でできる範囲といいますのは保管検体の検査のNATしかないのですけれども、少なくとも輸血をされているという事実がありますし、花井委員がおっしゃったように、輸血だけ、それ以外の、例えば手術とか内視鏡とかいろいろあると思うのですけれども、そのあたりの関連性についてはなかなか難しい評価なのだろうと思っています。だから、最終的には、日赤のほうからは、不明ということになるかと思います。
○牧野委員長 院内でいろいろな治療を受けて、輸血が必要な患者さんですので、手術とか、内視鏡とか、化学療法とか、いろいろな治療を受けている患者さんですので、院内感染というものも一つあるのかもしれませんけれども、なかなかそれを同定するというのは難しいことなのだろうとは思いますが、さらにこの検索を進めていくということだろうと思いますね。
 ほかは。
○花井委員 あともう一つ、北海道のE型肝炎の件ですが、これはずっとやっていて、大体同じような結果です。率も変化がないような感じなのですが、これはどこまでやるのかとか、これまでの評価とか、そういうことをちょっとそろそろ考えてもいいかなというところはあるのですけれども。
 これは、またちょっと一般論的になって申しわけないのですけれども、感染症定期報告にしろ、さっきのプリオンの問題にしろ、その時々で、何かあったらこのように最善をここで検討してやっているわけですけれども、1回始めたことは、なかなかそれをやめるというのはやりにくいとは言えるのですが、次々と新しい感染症も出てくる中で、マンパワーとかコストも有限なので、やはり一定程度施策をやった後に評価をして、今後どうするかということを検討するというのは必要かと思うのですが、北海道のいわゆる試行的というのは、これまでの評価をして、次に継続するかどうかという議論は、日赤の内部ではあるのですか。
○牧野委員長 日野参考人。
○日野参考人 13ページを見ていただくと、少し変化は来ているのだろうと思っています。例えば、試行的な疫学調査をやり始めた平成18年当時は、陽性率というものは7000分の1ということでした。当時、安全技術調査会の中でも北海道だけでいいのかという議論がされまして、東京で採血された血液はどうかということでNATによる調査を行いました。そうすると、やはりNATの結果に関しましては、東京よりも北海道のほうが高い陽性率を示したということで、北海道での調査が現在までも続いているわけですが、徐々に、少し年によって差はありますけれども、例えば平成24年であれば1万1000分の1ということになっておりまして、当時、東京のほうでは1万5000分の1程度だったと思うのですね。そういう意味では、少しずつ北海道のほうの陽性率が低くなってきたという状況があるかと思います。
 ただし、見ていただきたいのは、ジェノタイプの4のところにつきましては毎年数件出ているという事実もありますので、本州のほうで劇症型のジェノタイプが見つかっていないわけではないと思うのですけれども、やはり北海道のほうでドナーさんをスクリーニングする限りにおいては複数本見つかっているということがありますので、そういう意味では、北海道のこういう調査、安全対策はまだ必要なのだろうと思います。
 花井委員がおっしゃるように、では、本州のほうはどうかということにつきましては、現在、全国的に広げるとなると、その病原体の持っている重篤性、キャリア化がどうなんだということとか、劇症化はどうなのだというところも含めて、あとは頻度等、いろいろの方面から総合的に考えて、ブラッドスクリーニングするかどうかということは考えていく時期に来ているかと思っています。
○花井委員 わかりました。これは、始めたときに東京と比較したのですけれども、現在の東京というのは比較するデータはないのですね。
○日野参考人 ないわけではないのです。日赤では北海道しかやっていませんけれども、血漿分画メーカーさんのほうで、一部受け入れ試験という形でHEVのNATを実施していますので、そこからデータをいただくと、やはりこの平成24年、25年の1月から3月の程度の数字に近づいているということになります。
○花井委員 わかりました。事務局として、この件について何かお考えがあれば。
○笠松課長補佐 花井委員おっしゃるように、ある時点で導入した技術、あるいは今の時点では導入していないけれども、将来的に、今、日本には入っていないけれども、先々を考えれば気をつけなければいけないもの、いろいろな病原体があり、その中でどれを導入し、どれをやらないのかというのは、リスク評価というものがやはり重要なのだろうと考えております。
 リスク評価、頻度、なった場合の重篤度等々を勘案して総合的に判断するということは重要でございますので、E型肝炎も含めて、やはり私ども厚生労働省と日本赤十字社、さらには国立感染症研究所並びに日本輸血・細胞治療学会等とも、こちらにもいろいろ御報告をしつつも、日本赤十字社だけではなく、関係者でより国民の御理解をいただきやすいような形でリスク評価をするということが、これまでもそうでございますけれども、今後、よりどういう観点でそれをしたのかということがわかりやすく情報提供しながら政策判断をしていくことが重要かと思っています。E型肝炎に限らず、逆に言えば、これはどうなのだというものはいろいろあろうかと思いますので、そこはモニタリングをし、検査方法を開発し、しかも、それを導入するのが合理的かということ、技術論とリスク評価一体になってやっていくことが重要かと思っております。
○牧野委員長 岡田委員。
○岡田委員 またE型肝炎に戻りますけれども、日本赤十字社が検出した陽性の方が結果的にどうなったかですね。要するに、北海道でE型肝炎のNATをやっている理由として、ジェノタイプ4が見つかるということなのですけれども、実際、そのジェノタイプ4が見つかった方が、その後どうなったかですね。要するに不顕性感染のままで行ってしまったのか、それとも本当に重症な肝炎になったかどうかという、もちろんフォローするのは難しいと思うのですけれども、できる範囲で、供血者、ドナーさんがどうなったかという情報を集めていただけると、例えばジェノタイプ4が非常に病原性が強いと思われていたけれども、実際、献血で見つかった人は誰も発症しなかったとか、ジェノタイプ3が見つかった方も、ほとんどは不顕性感染だと言われていたけれども、実は何割かの方が肝炎になったとか、そういう情報があると、今後どうするかという判断をするときに非常に役に立つ情報になると思いますので、個人情報もありますのでなかなかフォローするのは難しいと思いますけれども、陽性になった方がその後どうなったかという情報を集めていただきたいと思います。
○牧野委員長 よろしくお願いします。
 それでは、続きまして。
○田崎委員 ちょっとよろしいですか。
○牧野委員長 どうぞ。
○田崎委員 昨年12月ですけれども、ほかの病院でもみんなそうしていると思いますが、私どもの病院でも、いわゆる血液製剤を出庫するときに外観チェックというものをやっております。血小板、それから赤血球など、うちの検査技師は結構しっかり見ているのですけれども、特に血小板はスワーリングがあるかどうか、それから血小板の中に異常な塊みたいなものがないかどうかが重要で、そういうチェックをやっている中で、非常に微細な凝集塊に気付いたのですね。その検査技師は、これはちょっとおかしいぞということで、もちろん患者さんに使わずに、血液センターにそれを届け出たわけです。培養したところ、結局、黄色ブドウ球菌が見つかりました。
 その事例は御存じかもしれませんが、もし患者さんに入っていれば、患者さんがどういう結果になったか、それはちょっとわかりません。菌数とか種類とか、あるいはその患者さんの免疫能とか、いろいろなファクターがあるでしょうから、わからないのですが、何れにしましても患者さんに輸血する前に、外観チェックで未然に防げたわけです。この様な事例というのが実際どのくらいあるのでしょうか。今回みたいなものがもし患者さんに入った場合、非常に重大なことになったのかもしれないわけですから、幸い水際で防げたとはいえ、実際にこのような事例がどのくらいの頻度であるのかが心配です。赤血球製剤が黒ずんでいるとかも含め、件数がもしわかれば、教えていただきたいと思います。
○日野参考人 製剤別でお話ししますと、赤血球に関しての細菌汚染の苦情というのはありません。血小板に関しましては、11年、12年の2年間を見ますと、8例あるというデータを持っています。その8例のうちの5件につきましては、先生の病院でも見ていただきましたけれども、ブドウ球菌が見つかっているということになります。
 では、どこでそういったものが見つかったかといいますと、8例のうちの4例は、医療機関に供給する前に外観を見ていますのでその段階、残りの4例は、医療機関側で、それが、今、先生がおっしゃられたように、外観を確認していただいているというのがありますので、そこで見つかっているという結果がありました。
○牧野委員長 その結果というのは何かに出ていますか。
○日野参考人 今まで、輸血情報という媒体がありまして、それで、細菌感染事例とかについてとか、あとは、日赤で実施した無菌試験の結果については御報告しておりますけれども、苦情につきましては、この2年間で8例あったわけですけれども、特に医療機関側には情報提供しておりません。
○牧野委員長 どうぞ。
○岡田委員 確認ですけれども、未然に防げた8例中5例がブドウ球菌だということですけれども、今、初流菌除去が導入されているので、ブドウ球菌は大体皮膚に常在していますから混入する率は非常に低くなっていると思っていたのですけれども、こういうふうに5例もあるとうことになると、以前はもっと多かったのが減ったのかという、もちろんそういうこともありますけれども、この5例のドナーさんは、何か皮膚病変とか、あと何か非常に特別な職業とか、そういうものはなかったのでしょうか。
○日野参考人 苦情で見つかった場合は、ドナーさんまでさかのぼって調査しております。先生がおっしゃられたように、例えばアトピーの症状があったかどうかとか、そういったものについて、問診票の中で見られるものもありますし、実際にはないのですけれども、そういったものがあったかどうかということとか、もう一つは、もう一度献血者にお願いして、菌の検出に再現性があるかどうかも見せていただいています。全てではないのですけれども、そういったことを見た段階で、献血をしていただくという形をとっております。
 初流血除去の効果でございますけれども、初流血を除去する前と後で、それぞれ2万1,000本ずつ検査したわけですけれども、その効果といいますのは大体3分の1まで減少しているということがわかりました。ただし、やはり毛根の中に入っている細菌というのは、採血針が16ゲージといって非常に太いものですから、皮膚そのものも貫いて入ってしまうということがあります。
 ただ、一つ言えるのは、初流血除去をした後、そういった血小板による細菌感染の重篤例というものは、今のところなくなってきているかと思います。だから、ある程度、100%初流血除去で菌がバッグの中に入らないわけではないのだけれども、もともと入る量が少なくなってきているというのがあるようなので、そういう意味では、かなり安全になってきているかと思っています。
○牧野委員長 細菌汚染があったドナーというのは、次にドナーとして来られた場合も、普通のドナーとして採用なのですね。
○日野参考人 先ほど、ちょっとわかりにくかったかもしれませんけれども、次回については、一応、普通に献血としての形で来ていただくときには、それはもう一度無菌試験を実施します。だから、次回は、そういう意味では、医療機関のほうには供給されない血液になります。それ以外に、お願いして来ていただいた方に関しましては、その結果が陰性であれば普通に献血していただくということになります。
○田崎委員 それに関し、2ページのところで、何人かは連絡をしても来訪されないということのようですが、このようなケースというのは初めて献血した方に多いのですか。ちょっと気になるのですが。リピータードナーであれば、来てくださる気がします。本当に初めて献血して下さった方に多いのか、リピーターとか初回とかには関係なく、たまたまその人の事情なのか。献血して下さった方に非協力的との言葉は、ちょっと語弊があるのですが。
○日野参考人 かなり協力していただけるドナーさんが昔と比べて多くなってきていると思うのですけれども、今、先生がおっしゃられたような、そのドナーさんが初回かどうかというところのデータまではとっておりませんので、答えられません。
○田崎委員 当然、連絡はついているわけですね。
○日野参考人 そうですね。
○田崎委員 済みませんでした。
○牧野委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、資料3-3について、事務局から説明をお願いいたします。
○上田課長補佐 それでは、資料3-3「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」について御説明申し上げます。
 1ページ目ですが、これは、献血件数とHIV抗体・核酸増幅検査の陽性件数ということで、経年の表が載っております。右側、陽性件数、それから、一番右の10万件当たりの陽性件数を見ていただきまして、一番下の行、昨年度、平成24年、2012年では68件の陽性件数の報告がございまして、10万件当たりにすると1.29と。最新の情報の今年度、平成25年度の1月から3月までの速報では、今までに23件の陽性件数の報告がございまして、10万件当たりにしますと1.73という結果を得ております。
 数値を見ますと、今年度は昨年度に比較しまして大きい数値ではございますが、最後のページの経年グラフを見ていただくとわかりやすいかと思いますが、昨年度の数値は減少が非常に著明に見られている数値であったということ、それから、今年の年度の数字がまだ速報値であることなどから、これについては引き続きちょっと様子を見ていかなくては、有意な傾向であるかどうかというのは今の時点では判断しにくいものではないかと考えております。引き続き、件数等、アップデートしていこうと考えております。
 2ページ目から3ページ目につきましては、これは陽性者の性別、年齢別、それから、国籍別、それから、3ページに行きまして、都道府県別という形の一覧表になっております。これも過去の報告と比較しまして顕著な傾向はございませんで、日本人男性、20代から30代に多い傾向ですとか、3ページのマーカーの部分、速報でいいますと、都道府県別では東京あるいは大阪といった大都市を含む都道府県に多い傾向ですとか、このあたりの傾向は、近年同様、著変はなかったと示されております。
 資料3-3については以上です。
○牧野委員長 ありがとうございます。
 ただいまの報告に対しまして、よろしいでしょうか。
 それでは、事務局、それから、日赤におきましては、本日の御意見を念頭に置きつつ、血液製剤の安全性に関する情報を引き続き収集していただければと思います。
 それでは、資料4、フィブリノゲンに関する報告事項について、事務局から説明をお願いします。
○上田課長補佐 資料の4ですが、「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」の最新の情報です。
 結論から申し上げますと、この数カ月での変化はございませんでした。具体的には、こちらにはございませんが、追加調査対象が6,610施設ございましたが、この中で合計1万4,838人の投与事実がわかっておりまして、このうちお知らせできているのは8,834人、こうした状況に特に変わりはなかったということでございまして、残り、お知らせ紙ということで、引き続き対応を要していくと考えます。
 以上です。
○牧野委員長 どなたか御意見、御質問、大丈夫でしょうか。
 では、その他ということで何かございませんでしょうか。
 特になければ、本日の議題はこれで全て終了です。
 次回の日程等につきましては、後日、事務局から連絡いただくようにいたします。
 本日は、御多忙のところありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局血液対策課 上田(内線2914)

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