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2012年10月31日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年10月31日(水)
15:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(12名) 五十音順

 新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 菊 池    嘉、 黒 木 由美子、

 佐 籐 俊 哉、 田 村 友 秀、 豊 見 雅 文、 中 島 恵 美、

 濱 口    功、 山 口 照 英、 山 本 一 彦、 ◎吉 田 茂 昭

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

他参考人3名

欠席委員(9名) 五十音順

 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 清 田  浩、 櫻 井 敬 子、 

 鈴 木 邦 彦、○土 屋 友 房、 半 田   誠、 前 崎 繁 文、 

 増 井  徹

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 赤 川 治 郎  (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森    和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。
本日はお忙しい中御参集いただき、ありがとうございます。
 本日は、「その他」の事項に関しまして、国立感染症研究所生物活生物質部の宮崎義継先生、国立成育医療研究センター総合診療部の土田尚先生、愛知県がんセンター中央病院薬物療法部の安藤正志先生を参考人としてお呼びしています。
 本日の委員の出席についてですが、庵原委員、大槻委員、清田委員、櫻井委員、鈴木委員、土屋委員、半田委員、前崎委員より御欠席との御連絡をいただいています。また、増井委員より遅れていらっしゃるとの御連絡をいただいています。現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 それでは、吉田部会長に以後の進行をお願いいたします。
○吉田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。議事次第に記載されている資料1~10を、あらかじめお送りしています。このほか、資料11「審議品目の薬事分科会における取り扱い等の案」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。当日配布資料として、資料14「佐藤委員からの御質問」、資料15「イモバックスポリオ皮下注の4回目接種データを踏まえた添付文書の改訂について」を配布しています。
 続いて、資料13の本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告します。各品目の競合品目選定理由は次のとおりです。
 1ページ、「アフィニトール」です。本品目は「結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫など」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
 2ページ、「エルビテグラビル」です。本品目は「HIV感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページ、「コビシスタット」です。本品目は「抗HIV薬に対する薬物動態学的増強」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 4ページ、「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」です。本品目は「スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症(全身ステロイド療法の効果不十分な場合)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 5ページ、「SAR302503」です。本品目は「骨髄線維症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしています。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明に対して特段の御意見等ございますでしょうか。
ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況についてです。
議題1の「アフィニトール」に関して退室委員はなし、議決に参加しない委員はなしです。
議題2の「エルビテグラビル」に関して退室委員はなし、議決に参加しない委員は奥田委員です。
議題3の「コビシスタット」に関して退室委員はなし、議決に参加しない委員は山本委員です。
議題4の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」に関して退室委員はなし、議決に参加しない委員は奥田委員、山本委員です。
議題5の「SAR302503」に関して退室委員はなし、議決に参加しない委員はなしです。
以上です。
○吉田部会長 本日は、審議事項が5議題、報告事項が4議題となっています。また、本日は、「その他」事項のために参考人の先生方に来ていただいていますので、まず、「その他」事項から行います。
 それでは、議題1「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価において」について、参考人の宮崎先生、土田先生、安藤先生より御説明をお願いします。
○宮崎参考人 シクロスポリンの公知申請の該当性に関して、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議での検討結果を御説明いたします。検討会議の抗菌・抗炎症ワーキンググループの座長代理をしています、感染研の宮崎から報告します。
 お手元の資料10、通し番号3ページを御覧ください。今回、日本眼科学会よりシクロスポリンに関して、ステロイドの全身投与で効果不十分の非感染症ぶどう膜炎の効能を追加する要望が提出されていました。
 3~4ページに、要望内容の医療上の必要性について記載しています。非感染性ぶどう膜炎は、発病早期の副腎皮質ホルモン薬の全身投与により、眼内炎が抑えられ、視力が改善することが多い疾病です。しかし、副腎皮質ホルモン薬に対する忍容性が低い患者さんや副腎皮質ホルモン薬に十分反応しない患者さんには次なる治療選択肢がなく、不可逆性の重度の視力障害や失明に至る症例も見られること、さらには本効能・効果がドイツ及びフランスで既に承認されていることから、検討会議では本要望について医療上の必要性が高いと判断されました。
 26ページから、無作為化比較試験の結果や国内外の教科書等の記載をまとめています。これらに基づいて、37ページ以降に記載したとおり、海外臨床試験において、ベーチェット病のぶどう膜炎に対して示された本剤シクロスポリンの有効性が、その他の非感染性ぶどう膜炎で示された有効性と同等であることが確認されています。また、国内においても、少数例ですが既存の臨床試験成績において、ベーチェット病以外のぶどう膜炎に対しても治療効果を発揮することが示唆される成績を得ています。
 安全性については、これまでに国内外で得られている、眼症状がある場合のベーチェット病に対する安全性プロファイルと大きく異なるものではなく、許容可能範囲と考えられました。
 以上を踏まえて、38ページ(3)にあるとおり、本剤は既にベーチェット病の効能を有していますが、ベーチェット病以外の、その他の既存薬で効果不十分な非感染性ぶどう膜炎に対しても有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断されました。
 なお、効能・効果については、38ページから記載しているとおり、ベーチェット病以外の非感染性ぶどう膜炎では、副腎皮質ホルモン薬の全身投与が標準治療であること等を踏まえ、既承認の「ベーチェット病(眼症状のある場合)」に加えて、「その他の非感染性ぶどう膜炎(既治療薬で効果不十分な場合)」とすることが適切であると判断しました。
 用法・用量についてです。海外での承認申請に用いられた臨床試験において、シクロスポリンの用量は、ベーチェット病とベーチェット病以外の非感染性ぶどう膜炎で同一用量が用いられていることや、当該用量は本邦におけるベーチェット病に対する承認用量と大きく異ならないことから、既承認のベーチェット病と同一とされました。当初学会から要望のあった用法・用量は「漸減」となっていましたが、臨床試験や使用実態から、ベーチェット病の用法・用量と同様に「減量又は増量」とすることが適当であると判断されました。なお、40ページに記載のとおり、本剤の吸収は患者さんにより個人差があるため、承認されている他の適応疾患及び海外の添付文書に合わせて、用法又は用量に関連する使用上の注意において、1か月に1回を目安に血中トラフ値を測定して、用量調節を行うよう注意喚起することが適当であると判断されました。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。続けてお願いいたします。
○土田参考人 エプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え)の公知申請への該当性に関して、検討会議での検討結果について生物ワーキンググループから御説明いたします。
 資料10、通し番号43ページを御覧ください。一般社団法人日本血栓止血学会より既承認の効能・効果である、血液凝固第VIII因子、又は、第IX因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病及び後天性血友病患者の軽度から中等度の出血に対して、現在の承認では、初回は90μg/kg、以後は60~120μg/kgを止血が得られるまで2~3時間毎に投与となっているところ、270μg/kgの単回投与を選択肢として追加する要望が提出されています。43ページに、要望内容の医療上の必要性について記載しています。本要望の対象とする血友病患者では、「軽度から中等度の出血」においても出血を繰り返すことにより関節症を生じる等、身体機能を損なうことにより日常生活に著しい影響を及ぼすものと考えます。本要望内容は、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアで承認され欧州等のガイドラインにも記載されていること、また、海外で多くの使用実態があり、安全性上の問題は報告されていないことを踏まえ、検討会議では、先天性血友病患者の出血抑制に対する270μg/kg単回投与の医療上の必要性が高いと判断されました。
 58ページに、公知申請の該当性について記載があります。海外で実施された無作為化比較試験において、有効性・安全性が確認されています。また、先天性血友病患者の軽度から中等度の出血に対する270μg/kgの単回投与の用法・用量は、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアで承認され各国のガイドラインに記載されていることから、有効性・安全性のエビデンスは使用経験等も踏まえて確立しているものと考えています。
 報告書(案)59ページに記載していますように、健康成人における本剤の薬物動態は、日本人と外国人とで同様であり、血友病患者において本剤の安全性に関する民族差を示唆する報告は認められていません。
 以上より、報告書(案)60ページのとおり、血液凝固第VIII因子、又は第IX因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者の、軽度から中等度の出血に対する本剤270μg/kg単回投与の有効性及び安全性は確認されており、医学薬学上公知であると判断しました。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。次をお願いいたします。
○安藤参考人 抗悪性腫瘍薬ワーキンググループの安藤です。シクロホスファミド、ビンクリスチン、ダカルバジンの「褐色細胞腫」に対する併用療法についてです。シクロホスファミドが65ページ、ビンクリスチンが107ページ、ダカルバジンが135ページで、一括して御説明します。以上、「CVDレジメン」といいますが、公知申請の妥当性について検討会議での検討結果について報告します。3剤併用レジメンでして、まず、資料10、通し番号65ページを御覧ください。今回、日本内分泌学会より、極めて稀な疾患である「褐色細胞腫及び傍神経節腫」、褐色細胞腫は副腎から発生し、傍神経節腫は副腎以外から発生するものを示しますが、これらに対するCVDレジメンの要望が提出されています。ちなみに、褐色細胞腫は平成20年度の国内の症例数は320例と報告されています。
 65ページの下に記載していますとおり、欧米等では要望された効能・効果、用法・用量での承認はありませんが、海外での臨床研究の結果に基づいて、教科書やガイドライン等に記載されていまして、海外で標準的な治療に位置付けられていると考えられます。また、国内では当該疾患に対して承認を持つ薬剤がないこと等を踏まえ、検討会議では本要望について医療上の必要性が高いと判断しました。
 91ページ以降に、海外での臨床試験成績の文献報告より、腫瘍縮小や、高血圧等の症状改善等の有効性が示されており、国内においても症例報告等の治療成績でCVDレジメンの腫瘍縮小等の有効性が報告されています。
 95ページに記載がありますように、国内外の教科書と海外のガイドラインには、CVDレジメンが手術不能な悪性の褐色細胞腫、又は傍神経節腫に対する緩和的な治療選択肢の1つとして位置付けられています。
 97ページにまとめましたように、極めて稀な病気で、国内では適応を有する薬剤がないことも考慮し、海外の臨床試験成績、国内の臨床使用実態と教科書やガイドラインの記載内容を踏まえ、褐色細胞腫及び傍神経節腫に対してCVDレジメンの有効性が示されていると判断しました。
 99ページからの、安全性についてです。海外臨床試験等で発現した有害事象は、血圧の変動を除いて、CVDレジメンを構成するいずれかの薬剤で既知の事象の範囲と判断しました。血圧変動については、褐色細胞腫自体でも発現が認められる症状ですが、CVDレジメンを施行した後に一過性の血圧の変動や急に血圧が上がる高血圧クリーゼが発現したとの報告があり、国内の教科書や治療ガイドラインに記載されていますように、降圧剤であるα遮断薬等の投与を行った上でCVDレジメンが実施されることが適当だと判断しました。このため、降圧剤の投与に関する注意喚起を行う必要があると判断しました。
 以上の内容を熟知した、内分泌疾患の治療に精通した医師と、がん薬物療法に精通した医師が連携して適切に副作用が管理され、必要に応じて休薬・減量等が実施されるのであれば、日本人の悪性褐色細胞腫及び傍神経節腫に対してCVDレジメンは管理可能と判断しました。
 100ページに記載した効能・効果については、学会からは、「傍神経節腫」を併記した形で要望されていますが、カテコラミンを過剰に産生する病態や国内外の臨床使用実態における治療が同様であり、褐色細胞腫と傍神経節腫の疾患名は厳密には使い分けられていないことや、既承認の、例えば降圧剤のαブロッカーの効能・効果には「褐色細胞腫による高血圧症」などと表記されていることを含めて、傍神経節腫も含めて褐色細胞腫のみと記載することが妥当と判断しました。
 101ページに示したように、用法・用量については、海外の臨床研究で用いられた用法・用量を記載してあるとおり設定することが妥当と考えました。
海外の臨床研究では、シクロホスファミドやダカルバジンで増量の規定がなされていましたが、増量例の詳細が不明であったことも踏まえて、増量の設定はしないことが妥当と判断しました。また、ビンクリスチンの報告書131ページに記載してありますように、CVDレジメンを実施した症例について、ビンクリスチンの1回量が2mgを超えて投与された症例の報告は限られています。本邦のビンクリスチンの既承認の用法・用量にある、副作用軽減のために1回量2mgを超えないことを、CVDレジメンに関しても設定することが妥当と判断しました。
これらを踏まえ、本要望についても、有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断しました。
 続きまして、ヒドロキシカルバミド、本態性血小板血症の追加公知申請への該当性について、検討会議での検討結果を報告いたします。
 161ページを御覧ください。今回、日本血液学会より、本態性血小板血症の効能・効果の追加に関しての要望が提出されています。ドイツとフランスでは、本態性血小板血症の効能・効果が承認されていまして、海外の臨床試験成績や欧米等の教科書及び治療ガイドラインの記載内容から、欧米等について標準的療法に位置付けられていると判断しました。このため、検討会議では、本要望について医療上の必要性が高いと判断しました。
 162ページから、欧米6か国の承認状況を示しています。先ほど述べたとおり、ドイツとフランスでこの効能・効果が承認されています。
 171ページからは、国内外の臨床試験成績を示しています。海外臨床試験においては、対照群と比較して、血栓症、又は出血等のイベントの発現までの有意な延長等の有効性が示されています。国内臨床試験においても同様の有効性が示されています。
 180ページからの安全性について、国内外の臨床試験で発現した有害事象については未知の事象が幾つか認められましたが、これらの事象について検討したところ、当該薬のヒドロキシカルバミドとの関連性は不明で、現時点で既承認の適応と比較して安全性プロファイルには大きな差異はないと考えています。したがって、造血器悪性腫瘍の治療に精通した医師によって適切に副作用が管理され、必要に応じて休薬等が適切に実施されるのであれば、管理は可能と判断しました。
 なお、教科書やガイドライン等の記載に関しては、175ページにありますように、血栓症や出血等について高リスクの本態性血小板血症に対する一次治療として推奨されています。
 181ページにかけて、効能・効果、用法・用量について記載しています。効能・効果は本態性血小板血で、用法・用量は、既承認の用法・用量と同一である国内臨床試験の用法・用量を設定することが妥当だと判断します。
 以上を踏まえて、本要望について有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断しました。
 次も、ヒドロキシカルバミドです。今度は、真性多血症の効能の追加について、公知申請の妥当性について検討会議での検討結果を御説明します。
 185ページを御覧ください。今回、日本血液学会より真性多血症の効能・効果について要望が提出されていました。ドイツ、フランスでは真性多血症の効能・効果が承認されており、海外臨床試験成績や欧米等の教科書、診療ガイドラインの記載等により、欧米等において標準的療法に位置付けられると判断し、検討会議では、本要望について医療上の必要性が高いと判断しました。
 186ページから、欧米6か国の承認状況を示しています。先ほど述べましたように、ドイツとフランスでは当該要望の効能・効果で承認されています。
195ページからありますように、国内外の臨床試験成績で有効性が示されています。
 204ページからの安全性について、国内外の臨床試験成績で発現した有害事象については未知の事象が幾つかありますが、これらの事象を検討したところ、当該薬であるヒドロキシカルバミドとの関連性は不明であり、現時点において既承認の用法・用量、適応と比較して安全性プロファイルに大きな差異はないと考えています。したがって、造血器悪性腫瘍に精通した医師により適切に副作用が管理され、必要に応じて休薬等が適切に実施されるのであれば管理は可能だと判断しています。なお、教科書やガイドライン等に関しては、198ページに記載のとおり、血栓症や出血等の高リスクの真性多血症に対する一次治療として推奨されています。
 効能・効果、用法・用量については205ページにかけて記載されています。効能・効果は真性多血症で、用法・用量は、既承認の用法・用量と同一である国内臨床試験の用法・用量を設定することが妥当であると判断しました。
 これらを踏まえて、本要望についても有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断しました。
 次に、イリノテカンの小児悪性固形腫瘍の、公知申請の妥当性に関する検討会議での検討結果を報告します。209ページを御覧ください。今回、日本小児学会等より小児悪性固形腫瘍の効能・効果について追加の要望が提出されていました。
 209~210ページです。欧米6か国で要望された効能・効果、用法・用量での承認はありませんが、これも海外臨床試験成績や欧米等の教科書、診療ガイドラインの記載内容より、欧米等では標準的に用いられている薬であると判断しまして、検討会議では、本要望についての医療上の必要性が高いと判断しました。ただし、要望された用法・用量のうち、(1)の用法・用量並びに小児固形腫瘍に対するテモゾロミドの使用に対する併用に関する要望については、平成24年3月の検討会議で、医療上の有用性は「エ」に該当すると判断しました。このため、それ以外の内容について検討を行いました。
 235~236ページを御覧ください。企業によって実施された海外臨床試験成績はありませんが、米国では、2001年にFDAが本薬を販売するPfizer社に対して、小児での開発を促す「Pediatric Written Request Letter」が出されました。当該文書では、再発、又は難治性の小児悪性固形腫瘍患者並びに、未治療の転移を有する横紋筋肉腫患者を対象とした臨床試験成績を2003年末までに提出することを求めています。当該文書に対応して、2003年に独占販売期間延長等に係る申請がなされました。当該申請において、28ページに示した臨床試験成績が提出され、Pfizerから提案された、本薬の小児に対する有効性が確立されていない旨を添付文書に記載することをFDAが了承しています。また、FDAは、これらの試験成績の提出を以て独占販売期間の延長を承認しています。以上のような経緯のある薬剤です。
 有効性について、247ページを御覧ください。小児に好発する悪性腫瘍として、神経芽腫、肝芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫及びユーイング肉腫ファミリー腫瘍等が挙げられ、いずれも稀な疾患です。特に、再発、又は難治の症例数が非常に限られていまして、第II相試験でも特定の癌腫に固定せずに、小児悪性固形腫瘍全般を対象とした試験もあることから、小児悪性固形腫瘍全般について検討を行いました。
 海外臨床試験は記載されているとおりです。未治療の横紋筋肉腫を対象とした海外臨床試験では、未治療の横紋筋肉腫に対する標準的治療であるVACレジメン、これはビンクリスチン、アクチノマイシンG、シクロホスファミドレジメンの実施前の本剤単独投与によって一定の奏効が認められた症例もありました。しかし、進行例が19例中6例、32%認められたことにより、本剤単独投与分での症例登録が中止されているため、未治療の横紋筋肉腫患者に対しては、標準的治療とみなされているVACレジメン施行前に本剤単剤投与の有効性は確立されていないと判断しました。
 再発、又は難治性の横紋筋肉腫及び肝芽腫の小児悪性固形腫瘍患者を対象とした臨床試験では、米国FDAに報告した以降にも新たな臨床試験成績が報告されています。要望された2つの用法・用量における単独投与、又はビンクリスチンの併用によって、完全寛解を含む奏効例が報告され、本薬の有効性が示唆されていると判断しています。また国内においては、要望された用法・用量のうち、1日1回20mgの5日間連続投与、点滴静注を2週間連続して、1~2週間休薬するという用法・用量で、単独、又はビンクリスチンの併用で用いるとき、再発、又は難治性の小児悪性固形腫瘍に対して奏効例が確認されています。
 251ページにありますように、本邦国内での使用が認められた用法・用量について安全性を検討した結果、海外臨床試験成績で発現した有害事象は主に骨髄抑制、感染症、下痢及び嘔吐等の消化器症状、脱水及び電解質異常等の既知の事象があり、国内外で安全性プロファイルに大きな差異はないと考えています。このため、小児悪性固形腫瘍の治療に精通した医師によって適切に副作用が管理され、必要に応じて休薬等が適切に実施されるのであれば管理は可能と判断しています。
 なお、244ページに記載のとおり、教科書やガイドライン等において、再発、又は難治性の横紋筋肉腫に対する治療選択肢の1つとして推奨されています。
 253ページにありますように、効能・効果は小児悪性固形腫瘍で、用法・用量は、海外臨床試験で有用性が示され、国内でも有効性が期待され忍容可能とした、1日1回20mg/平方メートルの5日間連続投与、点滴静注を2週間連続し、1~2週間休薬すると設定することが妥当であると判断しました。
 これらを踏まえて、本要望について有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断しました。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問などございましたら、お願いします。
よろしいでしょうか。山本先生、田村先生、何かございますか。
○山本委員 特にありません。
○田村委員 特にありません。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかにないようですので、「その他」の事項については先生方の御確認をいただいたものとします。参考人の先生方、ありがとうございました。
──宮崎参考人、土田参考人、安藤参考人退室──
○吉田部会長 それでは、議題1に移りたいと思います。医薬品医療機器総合機構から概要説明をお願います。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品アフィニトール錠2.5mg及び同錠5mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びにアフィニトール分散錠2mg及び同分散錠3mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 今般、本剤は、結節性硬化症に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。
結節性硬化症は、腎臓、脳、皮膚など、様々な臓器に過誤腫と呼ばれる良性腫瘍が形成され、これに付随する全身機能障害が見られると同時に、精神発達遅滞や行動異常の症状が見られる場合もある遺伝性疾患です。結節性硬化症では、ヒト9番染色体長腕上のTSC1遺伝子又は16番染色体短腕上のTSC2遺伝子の変異により、哺乳類ラパマイシン標的タンパク(以下「mTOR」)のセリン/スレオニンキナーゼ活性が恒常的に上昇していると考えられております。
本剤の有効成分であるエベロリムスは、マクロライド系免疫抑制剤として開発された、シロリムス誘導体であり、mTORを介した細胞増殖シグナルなどを阻害し、細胞の増殖を抑制すると考えられております。
 なお、本剤は結節性硬化症に対する開発について、平成23年12月に希少疾病用医薬品の指定の可否が審議され、指定されております。
 本剤は、審査報告書5ページに記載していますように、平成24年7月時点において、結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫(以下「SEGA」)に関する適応にて、52の国又は地域で、また、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫(以下腎「AML」)に関する適応にて4の国又は地域で承認されております。
本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料12にございますとおり、6名の委員です。
 以下、結節性硬化症に対する本剤の承認審査の概要について御説明いたします。
今回の承認申請では、主な臨床試験としては、結節性硬化症に伴う腎AMLを有する患者を対象に、本邦を含む世界各国で実施された国際共同第III相試験であるM2302試験、並びに結節性硬化症に伴うSEGAを有する患者を対象に、海外で実施された第II相試験であるC2485試験及び第III相試験であるM2301試験が提出されております。
 有効性について、審査報告書23ページ下から10行目以降に示しますように、結節性硬化症に伴う腎AML及びSEGAに対して、一定の奏効が得られており、当該腫瘍に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書24ページ上から2行目以降に示しますように、既承認の癌腫である腎細胞癌及び膵神経内分泌腫瘍と、結節性硬化症において、本剤の安全性プロファイルに大きな差異はなく、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、既承認癌腫において、本剤投与に伴う特徴的な有害事承と判断した事象である間質性肺疾患、感染症、口内炎、腎臓関連有害事象等と判断いたしました。これらの有害事象については、本剤の安全性プロファイルについて十分理解した上で、有害事象の観察や管理、休薬・減量・中止等の用量調節を行うなどの適切な対応がなされるのであれば、結節性硬化症患者に対する本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 ただし、審査報告書43ページ下から13行目以降に示しますように、本剤の臨床試験において、日本人小児患者が含まれていないことから、製造販売後には、小児患者の本剤使用全例を対象に、目標症例数30例、観察期間1年間とした製造販売後調査を実施し、安全性情報を迅速に収集する必要があると判断いたしました。
 アフィニトール錠2.5mg、同5mgについては、当該製剤を用いて実施されたM2302試験及びC2485試験成績を踏まえ、「結節性硬化症に伴う腎AML」に対して、成人1日1回10mg経口投与、「結節性硬化症に伴うSEGA」に対して3.0mg/平方メートルを開始用量とした、トラフ濃度による用量調節を、それぞれ効能・効果及び用法・用量として承認することは可能と判断いたしました。
 また、アフィニトール分散錠については、臨床試験で用いられておらず、かつアフィニトール錠との生物学的同等性はCmaxでは示されておりません。しかしながら、分散錠については、その薬物動態の情報等を踏まえ、トラフ濃度に基づく用量調節下で使用する場合には、分散錠の臨床現場での必要性を考慮すると、「結節性硬化症に伴うSEGA」のうち、アフィニトール錠2.5mg、同5mgの内服が困難な低年齢の小児患者等に対して分散錠を使用することは許容されるものと判断いたしました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新効能医薬品、及び新用量医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。また、アフィニトール分散錠は、アフィニトール錠と同様に原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。
以上、本剤の製造販売承認の可否等について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
 なお、事前に佐藤委員から御質問をいただきましたので、機構から回答させていただきます。
 佐藤委員からの御質問の1点目は、以下のような主旨です。
結節性硬化症に伴うSEGAに対する用法・用量について、普通錠の開始用量を3mg/平方メートル/日とすることは理解できるものの、分散錠に関しては審査報告書に、「分散錠では、M2301試験で設定された4.5mg/平方メートル/日を開始用量と設定することは可能と考える」と記載されている一方で、「医療安全上の観点を踏まえると、アフィニトール錠で設定した3.0mg/平方メートル/日と同様の内容に統一することが適切」と機構が判断した根拠が不明である。分散錠では、普通錠との薬物動態の差異を情報提供した上で、開始用量を4.5mg/平方メートル/日と設定することは可能と考える、というものでした。
 本件について、提出された資料の範囲では、反復投与時の普通錠と分散錠とのトラフ濃度の差異は不明であり、製剤を切替える時の用量比が明確になっておりません。疾患の特性等を考えますと、本剤の使用にあたっては、普通錠から分散錠への切替えも想定されますが、製剤間の開始用量が異なりますと、切替え時にトラフ濃度の検討なく1.5倍量投与する、普通錠の開始用量を4.5mg/平方メートル/日とするなどの誤解が医療現場で生じる恐れがあります。このような医療安全上の観点、及び本剤は主に小児患者で使用され、その使用経験が日本では十分でないことを考慮すると、両製剤の開始用量は同一とする方がよいと判断いたしました。また、結節性硬化症に対する本剤投与において、投与開始後のより早期に目標トラフ濃度に到達することに、上記の安全性上の懸念を上回る意義が明確でないことなどから、安全性を優先し、3mg/平方メートル/日で開始し、その後血中濃度を測定しつつ、目標濃度への到達を図ることが適切と判断いたしました。専門協議においても開始用量について議論していただきましたが、目標トラフ値への到達について同様の意見を頂戴しており、この開始用量に関する考え方を支持していただいております。
 御質問の2点目は以下のような主旨です。
添付文書案での生物学的同等性試験の記載について、Cmaxは分散錠で20%低かったとの情報提供がされているものの、AUCは同等であったと記述されている。普通錠と分散錠との薬物動態の差異について注意喚起するという趣旨からは、試験成績に基づいて、AUCに関しても「同等の範囲内であったが、分散錠で10%低く」と情報提供する方が正確と考える、というものでした。
 こちらに関しては、具体的な数値について表で示してありますが、御指摘いただいたとおり、文章中の記載につきましても、AUCに関して分散錠で10%低いことを明記いたします。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。佐藤先生、今の回答でいかがでしょうか。
○佐藤委員 追加で質問があります。米国の承認状況についてはどうなっていますか。
○機構 米国においては、SEGAに関しての開始用量は4.5mgで、もともとはC2485試験を基に設定されていたのですけれども、M2301試験の成績が提出されて4.5mgに変更になっております。
○佐藤委員 分散錠も、普通錠も、4.5mgで開始用量になっていますね。
○機構 はい、そうです。
○佐藤委員 その点については、専門協議等では議論されたのでしょうか。
○機構 はい、その内容についても御説明しています。
○佐藤委員 そのことが審査報告書には書かれていないのですが、それはどうしてでしょうか。
○機構 米国の承認内容について書いていないということですが、米国の方とほぼ同時期に専門協議では議論したのですが、報告書上には記載していませんでした。
○審査第五部長 補足いたします。米国での承認時期が、専門協議の開始の時期と重なる状況でしたので、専門協議の方でこの事実を口頭で御説明することは可能だったのですが、審査報告書の方にそこまでの記載はしておりませんでした。
○佐藤委員 米国で承認されたのは8月29日ですね。審査報告書1に間に合わないのは理解できますけれども、専門協議あるいは審査報告書については間に合いますね。
○吉田部会長 審査報告書2、51ページの一番下のパラグラフに少し書いてないですか。「専門委員からは4.5mg/平方メートル/日とすることも一案との意見が出されたものの」云々とありますが。
○佐藤委員 ここに、米国の承認状況を検討して、このように議論したということが書かれていれば理解できるのですが、それが何も書かれていないので、米国の承認状況について全く知らないで議論したのかとも読めてしまいます。その記載は重要な情報だと思いますから、必要ではないかと思います。
○吉田部会長 なるほど。
○佐藤委員 米国の承認状況の情報を考慮した上で、専門協議で議論した結果、開始用量は3mgと判断したということになるわけですか。
○機構 そのような形です。
○佐藤委員 よく分からないのは、普通錠の方は、日本人での成績から考えて3mgからスタートというのは非常に合理的だと思うのです。分散錠の方は、結局いずれも使用経験がないわけですね。そうすると、臨床試験成績に基づいて判断するしかないわけです。もし医療安全上の問題があるからということであれば、それはきちんと安全対策をする問題であって、開始用量を3mgから始めるという問題ではないと思うのですけれども、その点については検討されたのでしょうか。
○審査第五部長 佐藤委員の御指摘のとおり、比較検討をする必要があると考えております。徹底的に情報提供を行うことを前提として、普通錠を3mg、分散錠を4.5mgの開始用量とするという方策もあり得るのではないかということは我々としても考えました。
 一方、開始用量が異なるということ、それも同様の製剤が現場に混在するということの影響を私どもは考え、これが疾患の性質上急速にその目標濃度に達する必要性があるのであれば、前述の方策をとることも必要だと考えましたが、トラフ濃度で用量を調整するといったこの薬の性質を考えたときに、医療安全の観点をより重視して、開始用量を同一にした方がよろしいのではないかという考えに至りました。
○佐藤委員 これは難病に対するお薬なので、かなり専門的な先生しか多分使用されないと理解しているので、ほかの抗癌剤などと同様に、その十分な知識を持った先生であっても、そういうことは起こり得るのでしょうか。抗癌剤などでよくあるのは、十分な知識を持った先生であれば、臨床試験成績等で特に注意喚起しなくても、添付文書を読んでもらえば理解して使ってもらえるという論調でこれまで承認されてきたと思うのですが、なぜ今回に限っては、医療現場で混乱が起こるから開始用量を下げるという判断になったのでしょうか。
○審査第五部長 医薬品の安全性確保に当たっては、どのお薬であっても、添付文書を読んでいただいて、現場の先生がきちんと添付文書のとおりに使用していただくことが前提と考えております。そういう点では、このお薬も専門の先生が使うとはいえ、添付文書の情報をきちんと御理解いただいた上で使用していただくことが重要です。その一方で、本剤についてはやはり開始用量が異なるという点について、現場の先生が混乱を生じかねないというところを心配いたしました。今回は開始用量を考慮しつつ、疾患の性質上トラフ濃度で調整をするということを併せて考えたときに、医療安全上の観点をより重視したという考え方に至りました。
○吉田部会長 通常であれば、錠剤と分散錠がこんなに違うというのはないはずなので、同等でなかったということ自体がこの薬の特徴だろうと思うのですが、なぜこのようなことになっているのか。通常と違って、錠剤と分散錠で、これ程薬理が違ってしまったのは何か理由があるのでしょうか。
○機構 本剤の有効成分は非常に水に溶けにくい性質です。通常の製剤開発の場合には溶出試験等々で処方を決定し、必要に応じて、ヒトでの同等性試験成績を最終的に確認し、新製剤を開発していくことが行われております。申請者からは、原薬が水に溶けにくいということがあり、溶出試験成績から、ヒトでの関係を想定するのはなかなか難しい製剤であったと聞いております。しかし、なんとか分散錠の処方を決定して、生物学的同等性試験を実施した結果、一般的に用いられてる判定基準から外れていたということです。申請者の方も、現時点までは製剤開発にかなり苦労をしたという話は聞いており、同等性を目指して試験はしているものの、実際にはなかなか判定基準を満たすようなレベルに現時点では達していないと聞いております。
○吉田部会長 実際の体内での状況とはまた違うかもしれない、ということも背景にあるということですか。
○機構 非常に水に溶けづらい物質ですので、溶出試験の場合、通常は水で溶かしてやるのですが、可溶化剤を入れて実施しているような状況です。ヒトの体内に入った状況に近い条件を試験管内で再現するのは難しいということで、製剤開発に難儀しているという状況です。
○吉田部会長 トラフ濃度で見た方が安全性の上ではより確実だろうという話ですね。
○機構 もう一点は、この疾患は良性腫瘍ということもあり、疾患自体の進行がかなりゆっくりしています。通常の悪性腫瘍だと、モタモタしている間に疾患が急速に増大することがあるのですけれども、ある程度時間的に用量調節する時間を持っても、さほど有効性について大きな影響を及ぼさないだろうと、むしろ経験のない所に用量を作るよりも、今経験のある所で用量を作って、トラフ濃度を見ながら調節していくことでも対応は可能ではないかとして考えたというのも、3mgに落ち着いた中での議論の理由になります。
○吉田部会長 そういう背景もあるようですが。
○佐藤委員 分散錠については経験がないわけですね。その理屈はおかしいのではないですか。4.5mgで使っても、多分臨床試験成績の普通錠1.0mgを5錠よりも用量が少なく入っているわけですよね。それを更に3mgに下げるということは、更に少ない量しか入らないということになると思うのですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○機構 M2301試験で検証されたものと比べると、どうしてもCmaxとAUCは低めに出てくるとは考えています。
○佐藤委員 M2301試験に基づいて判断されたのですよね。
○機構 はい。ただ、分散錠は単回投与の試験のみで薬物動態が検討されていて、反復投与したときに、トラフ濃度がどのぐらいになるかというのが明確ではなく、また、実際に小児患者さんに投与したことがないので、安全性のリスク等を考慮すると、今回は錠剤が飲めない方のみの救済的な使用と考えているところもあり、錠剤の方に合わせたという経緯です。
○吉田部会長 用量が違うと混乱するという懸念というか配慮があって、このように決められたということであれば、承認条件として、実際に使用後にどうなったかということで再検討して頂く、ということを付与する価値がありそうですね。
○審査第五部長 先ほど説明がありましたとおり、今回この製剤は非常に水に溶けにくいという性質があり、製剤の工夫をするのが非常に難しかったという状況もあって、製剤ごとの開始用量をどうするかといった議論にも至っていると考えております。
 製薬企業の方には、この様な状況を少しでも早く改善した方がよいこと、引き続き製剤開発を進めていただき、こういうバランスの悪い状況を早く解消してほしいといったことを依頼しております。製薬企業側も、引き続き製剤開発に努めたいといった回答をいただいておりますので、その状況を踏まえ、申請に基づいて必要な対応を図っていきたいと私どもは考えております。
○吉田部会長 確かに根拠としては余り明確ではありませんが、実際に飲めない方がどれぐらいいるかということも分からないわけです。基本的に確か、市販後には何例か調べることになってますね。20例でしたか。
○機構 小児を対象としては全例です。
○吉田部会長 そのときに、分散錠の人と錠剤の人とを比較をして、分散錠の用量が適切であったかどうかということを再度評価してほしいということで、条件付きにしたらいかがかと思うのですが。
○機構 そちらに関しては、製販後に関してもどういう錠剤を使用して、その後どれぐらいで目標トラフ値に入ったかというのは確認していく予定です。
○吉田部会長 それと同時に、製薬メーカーとしては分散錠の方の作り方を工夫したりするのでしょう。
○機構 はい、今後も予定しております。
○吉田部会長 そうすると、またデータが変わってくる可能性がありますね。ですから、今ここで議論しても、要するに未知の部分が多いので、妥当な結論は得られないということになります。とりあえず安全域を見るのと、トラフ濃度で一応チェックしていくという現場の対応をしつつ、薬剤の開発と、そのデータの集積をお願いするという形でいかがでしょうか。
○佐藤委員 できましたら、何らかの形でこの分散錠を3mg開始にするということは、M2301試験の4.5mgよりもかなり低くなっている可能性がある、ということを十分情報提供した上で、3mg開始とするならいいかと思います。
○吉田部会長 それも大事な話だと思います。説明文書に書いておくことは必要です。
○機構 そちらに関しては、製販後の資材等でも十分情報提供させていただきます。
○吉田部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○菊池委員 今のことに関してですが、分散錠の方の添付文書(案)に、「患者の状態はトラフ濃度により、適宜増減する」と書かれています。こういう薬というのは、治験の最中は測ってくれますけれども、終わった後に測る体制などはきちんと整って準備するのでしょうか。
○機構 これは、国内では実際に心移植とか腎移植の領域で、トラフ濃度を調節しながら、錠剤はサーティカン錠という名前で違うものにはなるのですが、その領域で実際に測りながら用量調節をしているという現場の状況があります。今回の場合についても、それに準じた形で設定できると考えております。
○菊池委員 一般的な企業の検査会社でも、できるような状況であるということですね。
○機構 実際に検査会社でもできますし、現在はキットが市販されておりますのでそれで測れます。また新たなキットも、今後は出てくると聞いております。
○吉田部会長 その辺は、いろいろと便宜は図られるのですね。ほかにありますでしょうか。
特にないようですので、議決に入ります。先ほどの条件を付与するということを前提にして、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。御異議がないようですので、承認を「可」として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題2及び議題3に移ります。事務局より概要説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題2、資料2「エルビテグラビルを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、及び、審議事項議題3、資料3「コビシスタットを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局よりまとめて御説明いたします。
 予定効能・効果は、エルビテグラビルは「HIV感染症」、コビシスタットは「抗HIV薬に対する薬物動態学的増強」となっております。
資料2の二つ目のタブを開いてください。申請者は、日本たばこ産業株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について順に御説明いたします。
 まず「対象患者数」ですが、厚生労働省エイズ動向委員会報告によると、2012年6月24日までのヒト免疫不全ウイルス感染者及び後天性免疫不全症候群患者数の累積報告件数は、合計で22,106例であったことから、指定要件の「5万人未満」を満たすと考えております。
 次に、「医療上の必要性」について御説明いたします。現在の標準的な抗HIV療法としては、抗HIV薬を3剤又は4剤組み合わせて併用する抗レトロウイルス療法が施行されていますが、耐性ウイルスの出現が懸念されており、また作用機序が同じ抗HIV薬では、交差耐性を示すことが多いこと等からも、既存の薬剤で効果不十分な患者に対する薬剤開発が望まれています。
エルビテグラビルは、新規インテグラーゼ阻害剤であり、既承認インテグラーゼ阻害剤であるラルテグラビルが、1日2回服用であるのに対し、本薬は1日1回の服用で治療が可能と考えられており、抗レトロウイルス療法における薬剤選択肢を増やすものとして期待されています。
 続きまして資料3の二つ目のタブを開いてください。コビシスタットは、新規の薬物動態学的増強因子(ブースター)です。国内外の抗HIVガイドラインにおいて、ブースターとして、リトナビルの少量使用が推奨されているものの、消化器症状や、インスリン抵抗性及び血清脂質の上昇等の副作用があり、また耐性ウイルス出現の懸念からリトナビルの使用はプロテアーゼ阻害剤との併用に限定されています。本薬は、リトナビルと比較して同程度のヒトCYP3A活性阻害作用を有すること、脂質及び糖代謝に対する影響が少ないことがin vitro試験において確認されており、本薬は新規ブースターとして期待されています。
以上の理由から、エルビテグラビル及びコビシスタットの医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性」ですが、米国においてエルビテグラビル、コビシスタット並びに核酸系逆転写酵素阻害剤のエムトリシタビン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含有するQUAD配合錠が、平成24年8月に承認されており、欧州においては平成23年11月に承認申請が行われ、現在審査中です。
 また、米国及び欧州におけるエルビテグラビル単剤の承認申請は、それぞれ平成24年6月及び平成24年5月に行われ、一方、コビシスタット単剤の承認申請については、平成24年6月及び平成24年4月に行われていることから、これらの薬剤の開発の可能性はあると考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。菊池先生いかがでしょうか。
○菊池委員 我々の領域では非常に有り難いお薬であります。細かいことになりますけれども、用量のところで、リトナビルとの併用のときに85mgになるという根拠はどこに出ていますか。3枚目のタグの2ページの、「アタザナビルとロピナビルと併用する場合には、エルビテグラビルを1回85mgにしてもよい」という根拠は、後ろの論文のところにあるのですが、数が少ないので、それでよろしいかということです。
○事務局 こちらに関しては、実際に企業の方から承認申請がありましたら、その内容を機構において審査し、希少疾病用医薬品指定とは別途この部会において御審議いただくことになりますので、そのときということでよろしいでしょうか。
○菊池委員 分かりました。
○吉田部会長 そういう議論があったということは伝えてもらえるのですか。
○事務局 はい、機構の方に伝えます。
○吉田部会長 よろしくお願いいたします。他にございますか。
病気が病気ですし、開発の可能性もありますし、頻度の問題、重症度の問題、指定することに関して特に問題はないように思います。よろしいでしょうか。
それでは議決に入ります。まず、議題2について議決を行います。なお、奥田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。御異議がないようですので、指定を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3について議決を行います。なお山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。御異議がないようですので、指定を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題4に移ります。議題4について、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題4、資料4「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より御説明いたします。
予定効能・効果は、「スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症(全身ステロイド療法の効果不十分な場合)」です。
資料4の二つ目のタブを開いてください。申請者は日本製薬株式会社でございます。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について順に御説明いたします。
 まず、「対象患者数」ですが、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業「重症多形滲出性紅斑に関する調査研究班」が実施した全国疫学調査において、2005年~2007年のスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN)の患者数は、それぞれ273~326人及び156~210人と推定されており、指定要件の「5万人未満」を満たすと考えております。
 次に、「医療上の必要性」について御説明します。スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症は、発熱、全身の皮膚多形紅斑、粘膜障害を特徴とする重篤な全身性疾患であり、本邦における死亡率は、SJSでは1.3~3.7%、TENでは18.6~32%と報告されています。SJS及びTENの治療方針については、早期の副腎皮質ステロイド剤の全身療法が第一選択とされているものの、副腎皮質ステロイド剤の全身療法では効果が不十分な症例も存在します。そのような場合には血漿交換療法等が試みられているものの、大量の体外循環を伴うため、患者に対する身体的、精神的負担が大きく、実施可能な医療機関が限られている等の問題点があり、現状では有効性・安全性が確立した治療法は存在しておらず、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性」ですが、本邦において、ステロイド全身療法により効果不十分なSJS又はTEN患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討するため、□□□□□□□□が□□□□年□月より開始されていることから、本剤の開発の可能性はあると考えております。これらのことから、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。
濱口先生、完全分子型の静注用ヒト免疫グロブリン製剤というのは、どのような特徴があるのでしょうか。完全分子型云々というのは、みんなそうなのではないのですか。本剤に限った話でしょうか。
○濱口委員 多分、日本製薬以外のところでも静注用の免疫グロブリンというのは作ってあると思いますが、大量に投与するというところで、有効性の観点から、これしかないということで開発を進めたいのだろうと思います。ただ、エビデンスがあまりないということも書いてありますし、その辺は情報を集める必要があります。また、皮膚科の先生方がこれを実際に使われて、経験されている例もあるかもしれませんけれども、やはり情報がないと、これだけでは有効かどうかが私にはよく分かりません。
○吉田部会長 類薬とどこが違っているのか、よく分からなかったものですから。疾患頻度や重篤性について、これから開発に向けての動きがあるということは分かりましたが、特性みたいなものも、併せて解明できるような形で進めていただきたい、そのようなことでよろしいでしょうか。ほかに何かあればお願いいたします。
○事務局 先ほどの完全分子型というのは、単にヒト血清から採ってきたということで、モノクローナルとかそういうことではないです。
○吉田部会長 そうでしょう。合成したわけでもないし、抽出しただけで、ほかのものと変わらないのですね。
○事務局 はい。いわゆる通常のグロブリン製剤とお考えいただければと思います。
○吉田部会長 そうすると、これも使ってどうなるかということに、これからなるわけですね。何か、そこで話合われていたように見えたのですが、よろしいですか。
○濱口委員 特にありません。免疫グロブリンがいろいろなところで使われるというのは非常に大事なことだろうと思いますから、適応範囲が広がっていくことは喜ばしいことだと思います。しかし、やはり人の血液から採ってくるものですから、何でもかんでも使えるような状況にするということについては、十分な検討が必要だろうと思っております。
○吉田部会長 分かりました。
○事務局 事務局から1点よろしいですか。こちらは申請がなされましたら、有効性・安全性の検討に関しては、審査段階できちんと検討させていただき、また本部会にお諮りしたいと思います。本剤の適応疾患ですが、どうしても重篤性がありますので、□□□□□□□□□□□□□□□という状況があります。ただ、これまでの投与経験等のデータなどもきちんと踏まえて、有効性の説明をするように機構と調整したいと思います。
○吉田部会長 ありがとうございます。そのほか何かあればお願いいたします。
○山本委員 実際の臨床の現場では、このIVIGというのはかなり汎用されておりまして、どうしてもステロイドが効かない患者さんについて、やらざるを得ないことがあります。ただし、ある会社が、この疾患についてやるぞというのがないと、エビデンスが取れないですから、そのような意味では御苦労でもやっていただいて、これについては効くのだというのを皆さんに示すということは重要だと思います。そのような意味もあると考えていただいた方がいいと思います。
○吉田部会長 分かりました。そのほか御意見があればお願いいたします。
ないようですので、議決に入ります。なお、奥田委員、山本委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、指定を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題5について、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題5、資料5「SAR302503を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、医薬品医療機器総合機構からの評価報告書に沿って事務局より御説明いたします。
申請者はサノフィ・アベンティス株式会社(現サノフィ株式会社)、予定効能・効果は骨髄線維症となります。
原発性骨髄線維症患者が平成10年度の厚生労働省疫学調査班のアンケート調査より480人であったこと、また、骨髄線維症に占める二次性骨髄線維症の患者数も原発性骨髄線維症患者と同程度と考えられることから、患者総数は1,000人程度とされ、患者数が「5万人未満」という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えております。
 骨髄線維症に対しては、造血幹細胞移植は唯一治癒が期待されますが、移植適応等の問題から、第一選択とはなっておりません。症状緩和を主な目的として、アンドロゲン製剤や抗悪性腫瘍剤等による薬物治療、また、そのほかに脾臓摘出等が実施されている現状を踏まえ、骨髄線維症に対する新たな治療薬の開発が望まれており、医療上の必要性は高いと考えております。
本薬はJAK2阻害作用を有しており、骨髄線維症を含む骨髄増殖性腫瘍の原因の一つと考えられているJAK-STAT経路の情報伝達を阻害し、抗腫瘍効果を発揮すると考えられます。海外第I/II相試験において、抗腫瘍効果が確認されております。海外において第II相試験、プラセボ対照第III相試験が開始されており、本邦においても第II相試験が実施される予定となっておりますことから、本品目の開発の可能性はあると考えております。
以上から、本薬は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。
疾病の重篤性と頻度、医療上の必要性、これはかなり氏素姓がはっきりしていて、JAK2の阻害ということで、タイロシンカイネース又はチロシンキナーゼ阻害剤ということです。臨床開発の可能性も、海外ばかりか国内でも、一応第II相試験が計画されているということですので、条件は揃っているように思いますが、御意見はありませんでしょうか。
よろしいですか。それでは議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、指定を「可」として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、報告事項について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料6「医薬品ザイボックス錠600mg及び同注射液600mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、事務局より御報告いたします。
本剤の有効成分であるリネゾリドは、細菌の蛋白合成を阻害することでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)及びバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VRE)に対して抗菌作用を示すオキサゾリジノン系抗菌薬です。
本邦において、本剤は成人に対する用法・用量が設定されていますが、小児の用法・用量は設定されておりません。海外では2000年4月に米国で小児の用法・用量が承認されて以降、現在までに15か国以上の成人に加え、小児の用法・用量も承認されております。また、国内外において、小児における臨床使用報告が多数存在し、国内外の教科書及び各種診療ガイドラインにおいても、小児に対する本剤の使用が推奨されております。このような状況を踏まえ、日本小児感染症学会及び日本感染症学会より、小児の用法・用量の追加の要望がなされ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、本年4月19日に開催された医薬品第二部会における事前評価を踏まえて製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料6に記載した用法・用量について、承認して差し支えないと判断いたしました。議題1は以上です。
 続きまして、報告事項議題2、資料7「フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「モチダ」、同注100μgシリンジ「モチダ」、同注300μg「モチダ」、同注75g「F」、同注150μgシリンジ「F」及び同注300μgシリンジ「F」の製造販売承認について」です。
本剤は、フィルグラスチム(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤であり、富士製薬工業株式会社及び持田製薬株式会社より、グランを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として製造販売承認申請がされたものです。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤と先行バイオ医薬品であるグランとの同等性/同質性は認められ、平成21年3月4日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「バイオ後続品の品質・安全性・有効性の確保について」に基づき、本剤は先行バイオ医薬品グランのバイオ後続品に該当すると判断いたしました。したがって、「造血幹細胞の末梢血中への動員」、「造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進」などの効能・効果で承認して差し支えないと判断したところです。
 なお、事前に佐藤委員よりコメントをいただいております。資料14としてお配りしておりますが、資料7の審査報告書24ページ下から2行目~25ページ3行目までの記載について、次のようなコメントをいただいております。
「同等性検証の際には、本来、両側95%信頼区間を用いて評価することが適切であったと考える」との記載について、両側5%水準の同等性検定は、両側90%信頼区間と対応していますので、この記述だけでは同等性検証について誤解を招いてしまうように思われます。したがいまして、当該部分につきましては、「ANC Cmaxは臨床上の有効性の代替指標であり、臨床的有効性の同等性検証の際には、両側95%信頼区間を用いて評価することが望ましく」という記述をすることが正確ではないでしょうか、という御意見をいただいております。
 この点については、佐藤委員の御指摘のとおり、本品目ではANC Cmax等の薬力学、PDの同等性評価結果を以て、臨床上の有効性の同等性を確認しております。したがいまして、当該試験におけるPDの同等性評価については、臨床的同等性を検証する場合に該当すると考え、両側95%信頼区間を用いて評価すべきと判断し、その旨記載をしています。該当の部分について、今回、佐藤委員からの御指摘も踏まえまして、いただいた文面も参考に誤解のないよう、適切に修正させていただきたいと思っております。議題2については以上です。
○事務局 報告事項議題3、資料8「医療用医薬品の承認条件の解除について」、事務局より御説明いたします。
平成22年1月20日に、アフィニトール錠5mgが「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」の効能・効果で承認されております。本年8月24日に同錠2.5mgの規格が追加されております。本効能について、2~3ページにお示ししたように、1.及び2.に示す承認条件が付されております。今般、この承認条件のうち、1.の全例調査に係るデータがノバルティスファーマ株式会社より提出され、機構における調査が終わりましたので御報告いたします。
 3ページにあるように、本剤の特定使用成績調査は、目標解析症例数300例、観察期間は1年間とされており、今般、1,077例の調査票が収集され、調査結果がまとめられております。
安全性については4ページ、2.に記載しております。安全性解析対象1,067例のうち、副作用が発現した症例は84.9%、重篤な副作用は43.9%に認められました。4~5ページの表に示したように、本剤に特徴的な重点調査項目に関して、臨床試験と比較して更なる注意喚起を要するような状況は認められておりません。なお、間質性肺炎の発現予測因子については、最終集計時に改めて注意喚起の要否について検討を行うとされております。
有効性については6ページ、3.にお示ししたような形で、有効性解析対象781例の奏功率は6.8%であり、日本人患者での有効性に特段の問題は認められておりません。
これらを踏まえ、6~8ページに示した添付文書の改訂、適正使用に関する措置等が講じられており、全例調査に関する承認条件の内容については確認できたものと判断しております。
○事務局 報告事項議題4、資料9「医療用医薬品の再審査結果について」、事務局より御報告いたします。
一般名称「バラシクロビル塩酸塩」、販売名「バルトレックス錠500及び同顆粒50%」です。
本品目については、製造販売後の特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告は以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。公知申請による適応拡大、バイオ後発品の承認、市販後調査による承認条件の解除、再審査結果による「カテゴリー1」の報告の4点です。佐藤先生、今の回答でいかがですか。
○佐藤委員 記載の整備で結構です。
○吉田部会長 ほかの先生方で御質問、御審議がありますでしょうか。
○豊見委員 報告事項議題1、資料6のザイボックスですが、錠剤を投与する場合、12歳未満の小児には1回10mg/kgとなっておりますが、当然これは粉砕をするわけですね。600mgですから、粉砕して投与することになるのは当然ですが、安全性などについては、フィルムコーティングの状態で、添付文書からはそのことが全く分からないのです。多分大丈夫だから書いてあるのだろうとは思うのですが、そのことが添付文書を見て分かるように配慮していただけたら、調剤する方としては有り難いと思います。何も書いてないのをバラバラにするわけですから、少し不安が生じるのではないかと思います。
○事務局 御指摘については、審査チームを介して企業へ伝えたいと思います。その際、資材等で現場に対して情報提供という形で対応させていただきたいと思います。
○吉田部会長 ほかに何かあればお願いいたします。
○奥田委員 議決事項の内容について質問があるのですが、よろしいですか。アフィニトール錠の内容について、分散錠という、水に分散させた後に飲むという、あまり馴染みのない飲み方で、添付文書にも「適用上の注意」に飲み方が書いてあるのですが、恐らく体重に合わせて、分散させたものの量を調節して飲むという意味だと思います。ただ、馴染みがないために、誤って丸ごと飲んでしまうということが現場で起きるのではないかと思うのです。そういった場合、例えば血中濃度がどのぐらいか、本来の飲み方と比べて変わってくるかなど、そういったデータはあるのでしょうか。
○機構 今の御質問は、分散錠をそのまま飲んだときのデータということでしょうか。
○奥田委員 そうです。
○機構 そのデータはございません。錠剤としてはかなり大きい製剤ですので、小さなお子様がそれをそのまま飲めるとはなかなか思えないところではあります。
○奥田委員 手元にあるのでそれは分かるのですが、例えば1平方メートルの対表面積ですと、分散せずにこのまま飲む可能性もあるのではないかと思うのです。きちんと指導すれば、きちんと飲むだろうというのが前提ではあると思うのですが、誤ってそうしたことが起きた場合を考えたときに、「適用上の注意」の注意方法だけで十分かどうかという意味でお尋ねしたのです。
○審査第五部長 御指摘のデータはないのですが、飲み方が非常に重要であるということは御指摘のとおりだと思いますので、注意喚起を徹底するように製薬企業に連絡したいと思っております。
○吉田部会長 奥田先生がおっしゃっているのは、ドクターではなく、患者さんが間違えないようにするにはどうしたらいいかを考えてほしいということのようですが。
○審査第五部長 恐らく、ドクターあるいは薬剤師を介して患者さんに御説明するという形になると思いますので、そういった飲み方がきちんと指導できるような情報提供をするように、製薬企業には連絡したいと思います。
○吉田部会長 よろしくお願いいたします。そのほか何かあればお願いいたします。
○新井委員 議題4ですが、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンとありますけれども、わざわざ「ポリエチレングリコール処理」と書く理由は何かあるのでしょうか。
○事務局 生物学的製剤基準で一般的名称という形で、基準名で収載されている名称でして、他の処理したものではないということです。
○新井委員 剤形のことかと思ったのですが、過程を見ると、最後に加えるのではなくて、最初から入れていますね。
○濱口委員 免疫グロブリンが開発されたときには、筋注用として出てきました。これを静注用にするための問題点は、重合物を作らないような形にするということなのです。それをやるために処理が加えられる必要があって、単体で存在するための処理のやり方は、各社それぞれの特許の下でやられているわけです。日本製薬の場合、ここにあるようにポリエチレングリコールで処理して、ほかのメーカーはまた別のやり方で処理をしているということです。それぞれが同じ免疫グロブリンですが、そこが頭のところに付いているような形になっております。
○吉田部会長 そのほか何かあればお願いいたします。
ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から報告があればお願いいたします。
○事務局 当日配付資料で恐縮ですが、資料15「イモバックスポリオ皮下注の4回目接種データを踏まえた添付文書の改訂について」、簡単に御報告いたします。
サノフィパスツール株式会社の単独不活化ポリオワクチン(販売名イモバックスポリオ皮下注)については、本年4月19日開催の本部会における御審議を踏まえまして、4月27日に承認をしました。承認申請時は、国内臨床試験について初回免疫の3回のデータを以て申請をされたところですが、今回サノフィパスツール株式会社から4回目の追加免疫のデータが提出されました。前回、部会においても御報告することとさせていただいておりましたので、資料を御用意いたしました。
 1ページに簡単な概要があります。中程にある免疫原性のところにも記載があるとおり、追加免疫4回目の接種データ後も、ポリオウイルス1型、2型、3型のいずれについても100%の抗体保有率が認められております。
また、安全性についても、追加免疫4回目のデータで、特段問題となるものは認められなかったということです。
以上を踏まえて、3ページ~4ページにある10月23日付けで添付文書の「使用上の注意」の改訂通知を発出し、4ページにあるように、用法・用量に関連する「接種上の注意」について、4回目の追加免疫についての注意事項を追加したところです。不活化ポリオワクチンについての報告は以上です。
○吉田部会長 御意見があればお願いいたします。免疫原性が上がってよかったと言いますか、予想したとおりという結果で一安心です。よろしいですか。
それでは、本事項については御確認いただいたものといたします。事務局からほかに連絡があればお願いいたします。
○事務局 次回の部会の日程ですが、既に御案内のとおり、次回は11月29日(木)午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 本日はこれで終了いたします。御苦労様でした。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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