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2013年3月11日 第51回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成25年3月11日(月)


○場所

労働基準局第1・第2会議室


○出席者

公益代表委員

勝部会長、臼杵部会長代理、鹿住委員、内藤委員、西村委員

労働者代表委員

大塚委員、久保委員、高橋委員、早川委員

使用者代表委員

島村委員、清水委員、新田委員、長谷川委員

(事務局)

山越大臣官房審議官(労働条件政策担当)、木原勤労者生活課長、曽我勤労者生活課課長補佐、小笠原勤労者生活課課長補佐


○議題

(1)一般の中小企業退職金共済制度における予定運用利回りの見直しの検討について
(2)平成25年度の付加退職金支給率について(諮問)
(3)一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組について
(4)その他

○議事

○勝部会長 定刻になりましたので、ただいまから第51回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を開催いたします。本日は、宮嵜委員と市瀬委員が欠席です。
 まず議題(1)ですが、「一般の中小企業退職金共済制度における予定運用利回りの見直し等の検討について」、まず内容を事務局から説明をお願いします。
○木原勤労者生活課長 前回2月18日の部会で、一般の中小企業退職金共済制度の予定運用利回りの見直し等の議論を行っていただきました。前回の部会での議論については、本日の資料1-2の3、4ページに、発言のあった順に意見を整理したものを付けています。累積欠損金の解消は重要であるということは共通であったと思われますが、いろいろな御意見をいただきました。おおむね、累積欠損金が解消するまでは付加退職金は支給しない、予定運用利回りの見直しは見送るが、今後柔軟に検討を行うことが適当であるという方向性が得られたと思われます。また、部会長からもその旨をおまとめいただきました。部会長からは、事務局に対し、部会としての意見の作成を指示いただきました。そこで、資料1-1(1、2ページ)のとおり、部会の意見の案を作成いたしました。
 「記」の1と2は、今回の意見の結論部分に至る前提として書いております。1は、一般の中小企業退職金共済制度の意義、2は制度の財政面の状況です。これらは、前回の部会の資料での記述を整理したものです。2ページの3が、結論部分です。9行ほど読み上げます。「以上のような状況を踏まえ、当部会としては、累積欠損金の計画的かつ早期の解消を図ることは重要な課題であると認識し、そのために必要な措置を講ずることが適当と考える。具体的には、累積欠損金が解消するまでの間の利益の処理については、付加退職金に充てることなく、利益の全額を累積欠損金の解消に充てることが適当と考える。また、予定運用利回りの見直しについては、現下の資産運用状況等を踏まえれば直ちに見直す必要はないと考えられるが、今後の資産運用状況等を注視し、必要に応じ柔軟に検討を行うことが適当と考える。」
 なお、前回も質問に対してお答えいたしましたが、付加退職金について、ここで累積欠損金が解消するまでは利益を付加退職金に充当しないという御意見をおまとめいただいても、毎年度の手続きとして、付加退職金の支給率について、別途、審議会の意見を聞いて大臣が定めることが必要です。そこで、本日の2つ目の議題でも、平成25年度の付加退職金支給率について御議論をお願いすることとしております。また、前回平成24年12月時点の数字を基に今後の推計を行った資料をお出しするとともに、1月の速報値として、口頭で800億円程度収入や利益がプラスとなる見込みだと申し上げました。1月の数字が固まりましたので、今回参考7(25ページ以降)として、1月までの実績を反映させたものを前回資料の改訂版のような形でお出ししております。25ページの一番上に、枠で囲んで「1月までの実績を反映させたもの」と書いております。例えば、26ページの過去8年間の実績を試算として出した推計1-2の「予定運用利回り1%のまま、付加退職金は支給せず」の数字で見ますと、この推計1-2の平成24年度の当期利益金は、1,573億円余りとなっております。前回12月末までの実績による資料では、764億円余りでしたから、おおむね800億円プラスになっております。このほか、この参考7には、前回の資料を1月末までに置き換えたもの一式を付けております。前回口頭で申し上げた部分がありますので、参考として改めて一式お示しいたしました。事務局からの説明は以上です。
○勝部会長 参考資料について、それ以外は前回と同じと考えてよろしいでしょうか。
○木原勤労者生活課長 はい。1月末の数字で置き換えたもので、そのほかは同様です。
○勝部会長 参考資料には参考1から参考8までありますが、この内容について、もし何かありましたらお願いします。前回配布されたものと同じということでよろしいですか。
○木原勤労者生活課長 資料としては、ほぼ同様です。議題2の説明の関係で参照条文を付けておりますが、そのほかは前回お付けした資料とほぼ同様です。
○勝部会長 ただいま説明がありましたように、資料1-1に見直し等の検討について案として事務局で取りまとめたものがあります。これにプラスして、資料1-2で前回の主な意見ということでいくつか羅列されています。これについて、何か御意見、御質問はありますか。
○久保委員 何点かあります。まず1点は、この意見書の扱いがどういう扱いになるのかです。1つは、以前に累損解消計画を意見書として取りまとめた経緯があると思うのですが、それを修正する意味合いでの意見書の扱いになるのでしょうか。2点目は、文言上は累損が解消するまでの間となっていますが、ということは現にある累損が解消された暁には、また別な議論がなされるという扱いなのでしょうか。
 3点目は、直接この意見書には関係ありませんが、前回の部会でいくつか意見があったと思います。累損は無いに越したことはないが、ただ1円たりとも赤字があってはいけないのかというような議論の仕方はいかがなものかと思います。本日の資料にもありますが、サステナビリティをどう考えるのだろうという意見もあったと思うのですが、こういったことについては今後どのような場面での議論が考えられるのでしょうか。以上、お願いいたします。
○木原勤労者生活課長 3点について、順次御説明いたします。1つ目の意見書の扱いですが、平成17年3月に部会でまとめていただいたものが、今回の参考資料の8ページに付いております。この中退共制度の運営改善に関する意見書の見直しはどうなるのかという御質問です。今回は、累積欠損金が解消されるまでの間は、全額を累積欠損金の解消に充当するということで、案を作成いたしました。平成17年の意見書では、8ページ、9ページにわたる部分ですが、利益の処理について年度ごとに解消すべき額の2倍を超える場合はどうするか、それに満たない場合はどうするかというような付加退職金と累損の解消に充てる部分と、利益をどのように処分するかの一定の考え方をまとめていただきました。それに対して今回は、累積欠損金がある間は全額を累損解消に回すのだということですので、その意味において、この扱いを見直すことをおまとめいただいたと思っております。
 2点目ですが、ここでは文言として累積欠損金が解消するまでの間としております。前回の御意見もそうですが、現在の累積欠損金をどのように解消しようかということで議論がされてきたものです。仮に一旦解消されたとした場合、そのあとは、付加退職金については毎年度部会の意見を聞いて大臣が率を定めるという手続きになっておりますので、そのときの状況を見て毎年度この部会で議論がされるものと考えております。
 3点目ですが、累積欠損金は無いに越したことはないのだが、どうなのだろうかということです。今は、とにかくこの累積欠損金をどう解消していこうかというのが基本だと思っているのですが、今後の状況においては、累積欠損金が解消されたあとの状況も念頭に置いた議論がこれから必要になってくるのかと思っています。その際には、前回の会議で
部会長からも御提起がありましたような、サステナビリティの観点からも一定のバッファー、積立金が必要なのではないかという財政的安定性をも念頭に置いた議論も必要となってくるのかなと思っております。
○久保委員 最後の点は、必要かなと思っておりますということでしたが、では具体的な議論をされる予定は、お考えとしてあるのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 それこそ、累積欠損金の状況を見た上でとなるのでしょうが、勤労者退職金共済機構の決算が固まって、その決算状況を見て、更にはそのときの資産運用の状況を見て、必要があればこの部会での御議論について、また相談することになろうかなと思っております。
○勝部会長 今の点は、かなり重要な部分ではあると思いますので、今の点について御意見等がありましたらお願いします。
 そうしますと、付加退職金は毎年この部会で決めて大臣に回答すると。その前提となる基本的な考え方を、今回こういった形でまとめるという理解でよろしいでしょうか。
○木原勤労者生活課長 はい。
○勝部会長 そうすると、将来的な部分で、今言われたようなバッファーのようなものをつくるかどうかは、次の議論になるということでよろしいでしょうか。
○木原勤労者生活課長 累損の状況などを見た上で、次の議論としてお願いすることになるかと思っております。
○久保委員 意見ですが、その部分は多分累損が無くなってから議論しましょうという話ではないのではないでしょうか。ある意味では、大きな制度をどのように安定的に運営していくかという観点での議論だと思いますので、必ずしも累損がなくならないとできないような性格ではないと思いますので、是非、速やかにそのような議論ができるような準備をしていただければと思います。お願いいたします。
○勝部会長 ほかに何かありますか。
 そうすると、予定運用利回りという変数と、付加退職金への充当を加味して、どのような制度が最適なのかはかなり大きな課題になるかと思います。前回、臼杵委員からは運用利回りを低くして付加退職金に充てていくというような、ある意味で運用の実績が直接反映されるような制度にするという意見もある一方で、むしろ運用利回りを維持した上で付加退職金は余り考えないという考え方もあります。その辺りのバランスも、これから考えていかなくてはならないのかなと思います。
 ほかに、何か御意見はありますか。2月の実績は、どれぐらいでしたか。
○木原勤労者生活課長 速報値なのですが、2月の1か月間で、おおむね200億円程度プラスになっています。
○勝部会長 そうすると、累損の解消もかなり早くなる可能性が高いのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 そこは、今後の状況がどうなるか分からないというのが、一番正直な答えかなと思います。
○勝部会長 よろしいでしょうか。
○臼杵部会長代理 今回の案は、前回部会長におまとめいただいたようなことでよろしいのではないかと思います。今後のことについては、なかなか難しいのですが、場合によってはかなり早い時点で累損解消がされるかもしれません。そのことも念頭に置きながら、先ほどから出ていますように、どのぐらいのリスクがあるのかを考えながらやっていくことになると思います。若干テクニカルな話で恐縮なのですが、今回の資料を見ても、過去7、8年の実績は1つのメルクマールにはなるかと思います。もちろん、それより悪くいくこともあれば良くなることもあり、1つの運用のシミュレーションをしながら、いろいろなケースを考えるというモンテカルロ・シミュレーションなどの方法がありますので、その辺りは勤労者退職金共済機構とも協議していただいた上で、どのぐらいの損失の可能性があるのかを数字で考えていき、サステナビリティも踏まえていけばいいのかなと思います。
○勝部会長 今の御提案については、いかがでしょうか。
○木原勤労者生活課長 技術的な部分もありますので、勤労者退職金共済機構とも相談をして進めていきたいと思います。
○勝部会長 ほかには、何かこちらの文面について、御意見、御質問等ありますか。よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、予定運用利回りの見直し等の検討について、事務局から説明のありました案を了承することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○勝部会長 それでは、この案で了承ということで、よろしくお願いいたします。
 次の議題に移ります。(2)「平成25年度の付加退職金支給率について(諮問)」に入りたいと思います。この件について、本日厚生労働大臣から労働政策審議会宛に諮問がなされておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 議題(2)「平成25年度の付加退職金の支給率について(諮問)」です。資料の6ページに、大臣からの諮問文を付けております。支給率について、中小企業退職金共済法の根拠条文と、法改正の際の経過措置の関係で、経過措置に関する政令の根拠条文を「記」以下に掲げてあります。内容は、付加退職金の支給率をゼロとすることについて、審議会の御意見をお伺いするというものです。基本的には、今おまとめいただいた意見を踏まえ、累積欠損金がある状況下では支給率はゼロとすることが適当と考えての諮問です。では、関係資料の説明をいたします。
 7ページを御覧ください。参考のほうにも参照条文を付けておりますが、そこの法律や条文の内容を1枚にまとめたものです。退職時に掛金納付月数が43か月以上の被共済者に対しては、基本退職金と付加退職金が支給されます。?の基本退職金の支給額は、掛金月額と掛金納付月数に応じた額で、予定運用利回り1%を前提に、政令で額が定められています。?の付加退職金は、毎年度の運用状況に応じて基本退職金に付加されるものです。計算月に退職したものと見なした場合の基本退職金の額に、その年度の付加退職金の支給率を乗じた額が、その年度分の額として出て、その各年度分の合算額を退職時に受け取るというものです。注2に書いておりますが、支給率については、厚生労働大臣が各年度ごとに、次の式による率を基準として、当該年度以降の運用収入の見込額その他の事情を勘案して、当該年度の前年度末までに、労働政策審議会、具体的には当部会の意見を聞いて定めるものとされています。4月からの支給にも関係してくるものですので、中小企業退職金共済法により前年度末までに定めることが求められています。したがって、平成25年度の支給率について、この3月末までに厚生労働大臣が定めることができるように、本日当部会の御意見をお伺いしているものです。御意見をいただいた後、年度内に大臣が支給率を官報で告示します。
 支給率の算式の分子にあたる付加退職金の支払に充てるべき部分の額について、具体的に※1で示していますが、平成24年度における利益の見込額の2分の1とされております。年度の数字が確定していない3月の段階で支給率を決めることが必要となりますので、利益の見込額を用いることになります。なお、2分の1というのは、累積欠損金がある中で、累損解消と付加退職金とに2分の1ずつ充てるということを基本とする考え方です。
 その利益の見込額は、8ページの表の右端を御覧ください。平成24年度の欄の下から2つ目ですが、平成24年度の利益の見込額は690億円と見込んでおります。上の平成24年度の所に、(安全率を加味した見込み)と書いております。先ほどの参考7の推計では、安全率を見てはいないのですが、ここでは安全率を加味した見込みです。これが、この利益の見込額の特徴です。具体的には、9ページを御覧ください。安全率に関係するのは、3の(2)の委託運用の部分です。1の収入及び支出や2の責任準備金については、過去3年平均を基に推計をしています。3の運用収入については、自家運用と委託運用に分けています。(1)の自家運用については、国内債券の満期保有が基本ですので、利払いの日なども分かり、おおむね額は推計できます。(2)の委託運用は、価額変動の大きな国内外の株式等での運用を行っていますので、1月末時点の評価額を基に、運用状況が悪化した場合も考慮しながら、ベンチマーク収益率の過去の統計的データから、3月末の時価評価額を推計しています。具体的には、2月の収益率についてはベンチマーク収益率が出ていますので、それをそのまま用いています。3月の収益率については、過去5年分のベンチマーク収益率の「平均値」及び「標準偏差」を用いて、ここに書いてありますように「3月の収益率」=「平均値」-「標準偏差」×2として、安全率を加味して推計しております。
 付加退職金の支給率に関して、利益の見込額を算出するにあたり、累積欠損金がある状況下で、付加退職金を支給することにより更に累積欠損金が拡大するというような結果にならないように、利益の見込額を手堅く推計したものです。統計的に見ると、この平均値マイナス標準偏差の2倍ということで推計しますと、3月の収益がこれよりもよくなる確率が約97.5%と、つまり、ほぼこの値以上が見込まれるという手堅い方法です。これまでも同様の考え方で利益の見込額を出して、この部会の議論の中でも事務局から説明をしておりましたが、今回は資料の中に推計の方法を明示しました。このような考え方による結果をまとめたものが8ページの表です。当期損益金、すなわち利益の見込額が690億円、累積欠損金は1,051億円にのぼるということです。このような結果と、議題1でおまとめいただいた意見を踏まえて、平成25年度の付加退職金の支給率をゼロとすることで諮問をさせていただいております。よろしくお願いいたします。
○勝部会長 ただいまの説明について、御意見、御質問等はありますか。
○久保委員 結論に異を唱えるものではありませんが。先ほどの話に続くのですが、本日お配りいただいている「参考7」のシミュレーションで、平成24年度の運用収入1,950億円強となっていますが、これは今のまま単純にいくと、このぐらいの数字だという理解でよいと思いますが、そのことと、今御説明いただいた安全率を見込むとこのぐらいだということとの乖離がこんなにあるのかというのが、率直なところです。実は、この見込みで、付加退職金をどうするかという議論をしているわけですから、果たしてここまでの違いがあってよいのかと。付加退職金を議論するときには、例えば今年度であれば運用収入は1,033億円で、最終的に利益の部分は690億で、最後の690億円で議論することだと思うのです。前段の収入の見積りの仕方がこんなに違う中で議論をして、場合によってはこのままいくと勤労者退職金共済機構の決算のときに1,900何億円の運用収入があるということになり、利益状況は随分違いましたというような結果として大きな違いが出てくる可能性をもっているように思いますので、この辺りの見積りの仕方が、果たしてこのとおりでいいのかどうか。先ほど申し上げたような、これからの制度の運用の仕方をどうするかという中で、是非、検討の1つに入れていただければと思います。
○木原勤労者生活課長 このような付加退職金の支給率を議論する際の利益の見込額と、実際に決算が固まった数字とを見て、かなり乖離があるではないかというような議論があったことは過去の議事録等で見させていただきました。確かに、この数字はそういう可能性がある数字ではあります。累積欠損金がある状況下において、このような計算によって利益の見込額を出すことも、一定の合理性はあると思っております。しかしながら、今後もこれでいいのかという議論は、御提起がありましたように、議論の対象にはなるのだろうと思っております。
○勝部会長 ほかに何かありますか。本文の8ページに、平成24年度の安全率を加味した見込みとあるのですが、掛金収入が大きく減少しているのは、どういう意味でしょうか。
○木原勤労者生活課長 平成23年度までは適格退職年金からの移行がありました。このときには、その年度分の月々の掛金ではなくて、過去の資産がそのまま丸々移ってきますので、その分だけ額が膨らみます。それが平成23年度末で終わり、平成24年度はその分がありませんので、減っているわけです。
○勝部会長 ほかに何か御質問、御意見等はありますか。それでは、部会として厚生労働大臣からの諮問を適当と認め、労働政策審議会会長宛に報告をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○勝部会長 それでは、諮問どおりで適当と認めるということで、労働政策審議会会長宛に報告することにいたしたいと思います。事務局で報告案を用意していただきましたので、それをお配りしていただき、読み上げていただければと思います。
(報告案配布)
○曽我勤労者生活課課長補佐 「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率」について、平成25年3月11日付け厚生労働省発基0311第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。厚生労働省案は、妥当と認める。
あわせて、労働政策審議会令第7条第9項により部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第9項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められていることから、御承認いただければ、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛の答申となることを申し上げます。
○勝部会長 今の事務局の説明のとおり、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申されることとなります。ただいま朗読していただきました文案でよろしいでしょうか
(異議なし)
○勝部会長 ありがとうございます。異議なしと認めます。では、この内容で厚生労働大臣宛に答申することとしたいと思います。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。議題(3)「一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組みについて」事務局から説明をお願いします。
○小林業務運営部長 それでは、「一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対するこれまでの取組」について説明させていただきます。資料3の11ページを御覧ください。対策については、左側の「新たな未請求退職金の発生を防止するための取組」と、右側の「累積した未請求退職金を縮減するための取組」の大きく2つに分かれております。
 まず、「新たな未請求退職金の発生を防止するための取組」のうち、「従業員に対し加入認識を深めるための対策」としては、1つ目の○ですが、加入の際に、加入したことを通知する「加入通知書」、あるいは2つ目と3つ目の○にありますように、年に1度事業所に対して、被共済者の「掛金納付状況及び退職金試算表」を送付しております。これにミシン目を付けて、被共済者ごとに切り取ることができる様式に変更し、「加入状況のお知らせ」を、被共済者1人ひとりに配布くださるよう事業主にお願いしています。また、4つ目の○ですが、加入から退職金の請求までの制度内容等を被共済者に周知するために、モバイルサイトを構築して、「加入通知書」等にQRコードを掲載し、利便性を図っております。
 次に、「退職金未請求者に請求を促すための対策」としては、25年1月から省令改正により、事業主が提出する「被共済者退職届」に記載すべき事項として、被共済者の住所欄を追加しております。このため、1つ目の○ですが、事前に「被共済者退職届」の様式を改正して、被共済者住所記入欄を設け、住所情報のデータベースによる住所管理システムを24年10月から稼働しております。それに伴い、2つ目の○ですが、退職後3か月経過した未請求者については、その住所情報を活用して、未請求者に対して直接請求手続を要請しております。また、「被共済者退職届」に住所の記入がない場合については、事業所に対して郵送で住所情報の提供を依頼し、それでも回答がない事業所に対しては電話で再度、住所情報の提供を依頼しております。それらで得られた住所情報に基づき、未請求者に対して直接請求手続を要請しております。更に、3つ目の○ですが、退職後2年経過直前には、住所情報を得た未請求者に対して、2回目は郵送で、更にそれでも請求がない場合で、電話番号の情報がある未請求者については、3回目として電話で請求手続を要請しているところです。これらの取組の結果、2年経過後の未請求率は、下の表にあります。取組前は3%程度あったものが、取組後2%、1%台となっており、取組効果が出ております。なお、24年度については1月末で、1.84%で、2月の途中までの速報値では1.79%となっております。引き続き縮減に努めてまいります。
 次に、「周知の徹底」です。これについてはフリーコール、注意喚起文の掲載、併せて、私どものホームページに加入事業所名を掲載し、閲覧できるようにしております。また、その他各種の取組を効果的に行うための調査等を行っています。
 次に、「累積した未請求退職金を縮減するための取組」としては、1つ目の○ですが、退職後5年を経過した(時効完成後の)未請求者について、順次、事業所に対して、未請求者の住所等の情報提供を依頼し、得られた情報に基づき、未請求者に対して直接請求手続を要請しております。また、2つ目の○にありますように、住所情報のあった退職後5年経過直前の未請求者に対しても、再度請求手続を要請しています。これらの取組の結果、下の表の時効処理後の支給状況ですが、取組前の19年度までは数百件程度あったものが、20年度以降については数千件ベースに拡大しているところです。
 続いて、「退職金未請求者に対する今後の取組」です。12ページを御覧ください。まず、左側の「新たな未請求退職金の発生を防止するための取組」の「退職金未請求者に請求を促すための対策」として重点的に取り組む事項は、1つ目の○ですが、24年10月から被共済者の住所情報のデータベースによる住所管理システムを稼働しておりますので、事業主が提出する「被共済者退職届」への被共済者の住所記入を徹底すべく、あらゆる機会を通じて周知に努めることとしております。なお、2つ目の○以下は、これまで実施してきたことです。また、「従業員に対し加入認識を深めるための対策」及び「周知の徹底」等についても、これまで実施してきたとおりですので、割愛いたします。
 次に、「累積した未請求退職金を縮減するための取組」としては、1つ目の○ですが、この取組については24年度をもって、全ての事業所に対し、未請求者の住所情報の提供を依頼して得られた情報に基づき、未請求者に直接請求手続を要請したところです。
 今後についてですが、未請求者の現状を踏まえた効率的な対策として、既に住所が把握できており、かつ、請求が見込まれる者を中心に請求手続を要請するなど、長期にわたる事務管理コスト削減等の観点から、例えば時効の援用など新たな長期未請求者の縮減方策を厚生労働省と連携しながら検討することとしております。また、2つ目の○の住所情報があった退職後5年経過直前の未請求者に対しては、これまでどおり再度請求手続を要請することとしております。中退共からは以上です。
○勝部会長 ただいまの説明につきまして御意見、御質問はございますでしょうか。
○鹿住委員 奇しくも本日は東日本大震災が発生して、ちょうど2年経った日ということで、11ページの未請求率を拝見しますと、やはりかなり努力されて未請求率は減ってきたのですが、23年度に少しまた増えている。恐らく震災の影響というのも少なからずあるかと思うのですが、被災地域の企業さんへの働きかけというか、そちらからお問合わせをしたり、未請求の状況を確認されている割合はどのくらいかというのを教えていただきたいです。
 あと、現実に被災地の中小企業の経営者の方とお話させていただくと、被災直後は、やむを得ず従業員の方を一旦解雇して、事業が再開できてからまた再雇用するというような方法で、何とか事業を継続しようというように努力されている経営者の方が多くいらっしゃいます。その場合、一旦退職された場合に、本来であれば加入していれば請求手続をされるのでしょうが、恐らく再雇用するというお約束で一旦退職をされていると思います。そういった事情で請求されていないというケースもあるかと思うのですが、その場合どういうような取扱いをなさっているのでしょうか。数字の上では、この未請求に入ってしまうのかもしれませんが、実態的には、恐らく加入継続の意志はあるのだと思います。そういったケースに対して、どういうふうに対応されているのかを教えていただければと思います。
○小林業務運営部長 震災直後に調査をやりまして、その当時、当然その震災により、請求がなかなかできないということもありましたが、市あるいは団体のほうに連絡して、全ての被災者の未請求者の方を把握して、請求手続を終えております。全体の請求者からの割合については、今データを持っていないので何パーセントかは言えませんが、未請求の中で、震災によるものが多いということはなかったと、数字的にはそういう状況です。再雇用したとしても、掛金納付できない方のために、掛金納付期限を延長するなどの特別措置をやりました。この特例措置については、掛金納付期限を更に1年間延長いたしました。今は、このような状況です。そういう意味ではあと1年納付延長があります。
○勝部会長 ほかに何か御質問等ございますか。
○新田委員 この退職金の確実な支給に向けて勤労者退職金共済機構の方で、まだ様々な取組をやっておられることにつきまして、僭越ながら、改めて敬意を表させていただきたいと思います。その上で2点御質問、御確認をさせてください。1点目は、先ほどモバイルサイトを構築したということで御紹介がございました。このサイトにはどのような情報が載っており、そして利用状況はどのようになっているのかについて、教えていただきたいということです。
 そして、12ページの右側に、「累積した未請求退職金を縮減するための取組」の1つ目の○の中ほどに、例えばということで、時効の援用のくだりがあります。時効の援用について、具体的に、退職後5年になっていますが、それをどこかの時点で確かに切らないと、このコスト削減というところの絡みが出てくると思うのですが、もしお考えであれば具体的にどのような年数を教えていただければというのが、2点目の質問でございます。
○木原勤労者生活課長 2点目の時効の援用のほうを先に事務局から御説明させていただきます。現在、中小企業退職金共済法上、その請求は5年で時効になっておりますけれども、今は時効を援用せずに請求があれば支払いをしております。これは部会でもこれまで御報告してまいりましたが、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から、勧告の方向性が示されておりまして、そこで、ほぼここにあるのと同じように、コスト削減等の観点から時効の援用など新たな長期未請求者の縮減方策を検討せよという指摘を頂いております。それを踏まえて、来年度から始まります勤労者退職金共済機構に関する第三期の中期目標・中期計画にも、ここに書いてありますような内容を盛り込む予定としております。それ故に、ここに書いてあるのです。ただ、総務省の政独委の指摘も、長期にわたる事務管理コスト削減等の観点から新たな措置を講じろというのが、ポイントです。「例えば時効の援用など」というのは、読んでそのとおり、例示として書かれております。ですから、今、5年ではなくて5年を超えて何年のところでどうするのかというようなことを具体的に念頭に置いているわけではございません。時効の援用というものは難しいのだろうなと。ただ、コスト削減という観点から何ができるか。ここに、最初の2行半ほどのところに書いてありますが、全部に当たるというのは一通りやったので、更にそれをやるとコストの点で莫大だと。だから、既に住所が把握できており、かつ、請求が見込まれる者を中心に請求手続を要請するということ、こういった形でコスト削減を図っていきたいというのが、今の考え方です。
○小林業務運営部長 モバイルサイトの内容ですが、加入から退職金の請求までの制度内容でございます。それと「加入通知書」、加入の際に従業員に渡していただく加入通知書です。それから退職金請求書の裏面のほうに、退職金請求の手続の流れをモバイルサイトに掲載しております。
○新田委員 そうすると例えば、御本人が、例の年金の記録のあれではないですけれども、金額とかは具体的に個人で見られるという、そういうサイトではないということですか。
○小林業務運営部長 そういうサイトではないです。当然それは個人情報ですから認証も必要となりますので、そこまではまだ構築しておりません。
○新田委員 そうすると、ではこのQRコードは個人個人に対して個別に発行されているものではないということですか。
○小林業務運営部長 ではなく、全体の制度の内容です。
○新田委員 何かちょっともったいないという気がします。新たな長期未請求者の縮減方策の関係では、木原課長のほうからご説明いただき、よく分かるのですが、例えば11ページの右上に、平成23年度末の件数と金額が出ております。そうしますと、かなり少額のケースも想定されるなという気がいたします。この場は全然そういう場ではないのであれですが、金額というのを1つ、線引きの際には考慮をするというのはあり得るのかなという感じがいたします。一応御参考までに申し上げます。
○高橋委員 先ほどの報告の中で、データベース化という話がございました。現在この事業所のデータベース化はどのぐらいですか。一応全数は把握しておるのだろうと思うのですが、その把握をしているのであれば、中退共の加入者の全数について把握も当然できるのではないのでしょうか。そこから未請求者は明らかになるでしょうから、その辺の把握状況がどういうふうになっているのかということが1つです。
 もう1つは、企業の倒産が相変わらず多いわけですよね。年間1万件を超えておりますので、そういう倒産した事業所の加入者はどういうふうに扱われているのですか。そこをお尋ねしたいのです。
○清川総務部長 恐れ入ります。データベースの件でございますけれども、私どもは、全ての共済者及び被共済者につきましてデータベースを持っておるわけです。この未請求者対策を進める上で最も難しかったのが、被共済者につきまして、御氏名と掛金額及び生年月日等は把握しているわけですが、その被共済者の住所を持っていなかったために、未請求者の氏名は分かるわけですが、その人にどのようにアプローチしていくのかというのが最も難しかったところです。この前、厚生労働省に省令を改正していただきまして、退職される際に、事業主の方から被共済者の住所を私どもも把握するということができたわけです。今後は頂きました住所をデータベース化しまして、効率的な未請求者対策に繋げていきたいというふうに思っているところでございます。
○高橋委員 分かりました。
○勝部会長 あと1つは倒産企業の取扱いです。
○小林業務運営部長 倒産企業は当然退職になります。解約ではありませんので、退職金の請求をしていただいております。
○高橋委員 それは滞りなく行われていると思って、よろしいのですかね。
○小林業務運営部長 はい。
○高橋委員 分かりました。
○勝部会長 あと、特退共について何か御説明はありますでしょうか。これは資料として付いていますけれども。
○山根建設事業部長 お手元の資料の13、14ページですが、特退共につきましても、若干御説明させていただければと思います。13ページは現状で、14ページが今後の取組ということです。建退共を中心に御説明させていただきます。一番大きな取組といたしまして、中退共との制度的な違いは、退職される時点で退職届なるものを私どもは頂戴しません。なぜならば、中退共は特定企業で常勤として働かれる方々に対する退職金制度でございますが、特退共は建設業、清酒製造業、林業それぞれの業界の業種という枠はありますけれども、期間労働者、非常勤の方々を対象としておりまして、A社で働く、B社で働く、C社で働くということが可能な制度になっております。それぞれ働いた所から証紙を頂き、それを最終的にまとめて、自らが退職ということを判断された時点で請求されるという制度ですので、退職届なるものはございません。したがいまして、私どもは長期にわたりまして手帳の更新がなされてない方々を長期未更新者というネーミングで呼んでおります。
 一方、先ほどの御説明にもありましたが、11、12ページの一般の中退共におきましては、退職金の未請求者というネーミングになっております。なぜならば、退職届を出して退職したことが事実として何月何日どこの会社を辞めたということが確定した方々に対するフォローという、そこで大きな対策の違いがございます。その辺をちょっと念頭においていただきながら説明を聞いていただければと思います。
 一番大きな取組は、その長期未更新者に対するフォローアップです。長期未更新者とは、過去3年間手帳の更新がない方で、建退共の場合ですと1冊の手帳が250日分、毎日お仕事されますと、大体1年で1冊更新ということになります。3年間手帳が更新されてない方々を、毎年度調査対象としております。例えば、建退共の欄で、23年度を見ていただきますと、対象となった方々が2万9,201名おられました。その方々に対して共済契約者、事業所を通じて調査して、その結果として、23年の調査年度内に手帳の更新に繋がった方々が2,944名、同じ23年度内に退職金の請求手続に至った方々が1,366名です。ということは、単純に引き算をしますと、2万4,891名ということです。この2万4,891名の中には、引き続き継続してお仕事をされておるけれども、何らかの事情で3年間未更新になっておる方々、あるいは、住所が不明で行方不明といいますか、私どもが調査した対象企業からはもう離れておるのですが、どこにいらっしゃるか分からないということで、コンタクトがとれなかった方々、そのような方々が含まれています。
 清退共、林退共の方は比較的人数が少ない状況でございますので、それぞれの最後の欄で、例えば23年度で見ていただきますと、清退共は3,220名、林退共は2,175名、これは過去の長期未更新者数の調査の累積の残といいますか、まだ長期未更新者でとどまっておられる方々でございます。建退共は、全部で被共済者登録が290万おりますので、3か年調査で毎年度の長期未更新者数の調査の残が毎年度これだけ発生しておるというデータになっております。この点については、次のページで御説明したいと思いますが、今後ちょっと改善していきたいと考えております。現行の取組として、下にいろいろ書いておりますが、大体中退共と同じような取組が中心ですので、割愛させていただきます。
 次のページを御覧ください。現在、取り組んでいる有効な取組も併せまして、今後の取組を整理しております。新規の取組を中心に御説明をさせていただきたいと思います。14ページの左上の欄、「手帳更新、退職金請求の要請」ということで、1つ目は現況の調査と同様の調査でございます。2つ目の○は、現在やっております取組、3か年未更新の方々に対する長期未更新者の調査の取組後、現在は先ほど申し上げましたように、その年度の調査で切れておりますが、それをもう少しフォローアップできないかということで、各年度にやっております3年間未更新者調査の取組の後、一定期間経過しても、まだ手帳の更新がない方々に対して、住所が把握できていることが前提になりますが、直接被共済者に対して手帳更新または退職金請求を要請していくということで、中退共と同様に、次の欄に書かせていただいております。住所把握の徹底ということで、今般、厚生労働省令を改正していただきまして、申請書、共済手帳の新規の手帳の申請書ないしは更新の申請書について、今までも住所記載欄を設けて、任意の記載ということで運用しておりましたが、それを必要的記載事項として位置付けられましたので、その住所記載を徹底し、書いていただいた住所情報をデータベース化することに取り組んでいきたいと思っております。被共済者の住所把握の徹底ということが1つです。
 システム整備の2つ目としては、先ほど申し上げましたが、現行の調査から一定期間経過後の要請が実施できるように、システムを改修することです。3つ目は、全ての長期未更新者につきまして、年齢別、未更新期間別、共済手帳の更新冊数別、退職金試算額別と書いております。年齢別ということは、まさに生年月日がきちんと入っていないと把握できないことになります。その次に書いておりますが、システムに入力されていない被共済者の生年月日は、画像データでは全て把握しておりますが、平成14年以前に加入された方々で、その後手帳更新されておられない方々につきましては、デジタルデータとしてまだ登録ができておりません。その方々が100万人ぐらいいらっしゃると思われますが、その方々の生年月日を時間とお金をかけまして、きちんと入力をしまして、全ての方々について、いつでも年齢別、未更新期間別、冊数別、あるいは退職金試算額別という集計ができるようにしたいということが、次期の中期計画期間中の目標でございます。
 「加入通知の実施」は、今までも同様でございますが、新規加入時に、勤労者退職金共済機構から直接、期間労働者の御本人に対し、共済制度に加入されましたことを通知しております。当然その前提として、新規加入時点の住所を把握していると、データ上も把握しているということでございます。「その他」として、継続取組ですが、重複のチェックということです。新規加入時点で、ほかの会社で、過去に手帳を作っていないか、もし作っていらっしゃれば、その手帳は有効ですので、それをお使いいただければよいと。もし紛失されていれば、紛失届を出していただいて、新しい手帳を発行させていただくということで、1人の方が何冊も手帳をお持ちにならないようにすることが1つです。もう1つは、最終的な出口ですが、退職金の申請をされるときに、ほかの手帳を持っていて、そこの手帳にも一定の証紙が貼られていれば、それを加算するというチェック、いずれにしましても、引き続き、そういう重複チェックに取り組んでまいりたいということです。
 右側の上の欄ですが、これは中退共と同じ表現で書かせていただいております。内容につきましては、先ほど勤労者生活課長からの御説明のとおりです。この内容につきましては、今後検討していきたいと思っております。右下の欄ですが、注意喚起ということで、従前から、このような取組を行っておりますが、この点につきましては、引き続き気を緩めることなく強化していきたいということです。大変雑駁でございますが、以上でございます。
○高橋委員 今、丁寧に御説明いただきましたから、それなりに理解はできるのですが、おおむね290万件の手帳を発行しており、現在その手帳を更新している方というのが100万件ぐらいですよね。その不明者が100万いるとすると、残りの90万というのが、どうしてもそこが。どういうふうに行きつくような手立てがあるのかどうなのかというのが、一番心配です。1人の方が手帳を2冊、3冊持っているのは、私も存じています。それは勤め先との関わり合いでそうなっているということも伺っておりますけれども。であるならば、現在、既に住所を把握している加入者に対して、加入者証のような、その本人に直接郵送できるもので、あなたは加入者ですよということを知らせていただくということも、重要な課題になるのではないか。そうすることによって、90万から100万の内容の不確かな部分を確かなものにできるのではないかと思うのですが、データベース化が進めば、それはかなり費用はかかりますけれども、最初にそういう費用をしっかり使った上で、データベースをしっかり確立してほしいと思うのですが、いかがなのでしょうか。
○山根建設事業部長 高橋委員からは、この場以外の場でも、今おっしゃられたような御意見、貴重な御意見を頂戴しておりますが、いかんせん私どもは限られた予算の中で、基本的には国から予算を頂いておりませんので、基本的にはお預かりしております資金の運用益の中から私どもの人件費も調達しておりますし、システム改修にいたしましても、いろいろな今もおっしゃいましたような御提案に対する対応にいたしましても、限られた財源の中で、スポンサーの方々、関係者の方々の御理解を頂きながら、優先順位をつけながらやっております。
 高橋委員には、以前にもお話いたしておりますが、私どもは今、新規の加入者に対して、新規に加入されましたよという通知を直接御本人に対してお送りしております。例えば、それが何らかの形で、今高橋委員がおっしゃいましたような証明書に代替するようなものとして使えればということも含めて、検討しておりますので、もう少しお時間をいただくとともに、御相談を進めてまいりたいと思っております。以上です。
○鹿住委員 今の高橋委員のおっしゃること、本当にそのとおりだと思います。こういう時代ですので、今どきでしたらICカードとかを発行して、加入者がそれぞれの会社で働いたときに、ビッとやればその場ですぐに働いた分の情報が、勤労者退職金共済機構のほうに送付されると。そして、その方の証紙に代わる働いた分の累積というのが、すぐに計算できると。リアルな住所は、しょっちゅう変わります。お引っ越しされる方も多いし、変わるのですが、昔のようにいちいち郵便局に届け出て、例えば郵便物の転送を依頼したりということを、この頃皆さんは余りなさってらっしゃらなくて、正しい住所を把握し続け、更新し続けることが非常に難しいのですね。
 最近は、どこに行っても、何かに加入すると、携帯電話とかスマホのeメールを教えてくださいと言われます。そして何でもお知らせが来るという状況になっております。eメールのほうは割合変えないし、変えてもすぐ通知が来ますので、追いかけやすいというか、正しいものが比較的把握しやすいのです。なので、将来的なコストもシュミレーションされて、そのシステムを変えるときは、一時大変な金額がかかりますが、その後の管理コスト、運用コストなどと比較をされると。今すぐということではないのですが、長期的にはそういったシステムの更新とか、新しいシステムへの移行というのも検討されたほうがいいのではないかと思います。
○勝部会長 今の点はいかがでしょうか。
○山根建設事業部長 まさに鹿住委員が今おっしゃられた電子化については、もう数年前、10年前から検討はやっておりまして、やはりネックになるのはイニシャルのインフラコストといいますか、それが数十億のオーダーになりますカードやカードリーダーを含めて、その費用をどなたにお支払いいただくかということなのです。国から御支援いただければ一番いいわけですが、でないとすれば、業界団体なり受益者の方々ということになります。検討は進めておりますが、いかんせん、そのお金をどの方々に御負担いただくのかというのがネックになっております。大分コストも下がってきておりますので、引き続きその辺の検討は進めてまいりたいと思っております。ありがとうございました。
○勝部会長 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。確かに、今のシステム化については、かなり前からこの部会でも議論されていて、なかなか実現しないということですので、是非、課題として考えていただきたいということです。それから今、鹿住委員が言われたeメール等に住所という点ですが、これは確かによく変わる方が多くなってきているという状況の中で、この辺は何か住所以外のものもということは考えていらっしゃいますか。
○山根建設事業部長 私が知る限り、eメールのことは今日初めて伺いましたので、ちょっと持ち帰って検討させていただきたいと思います。
○勝部会長 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次の議題ですけれども、(4)「その他」となっております。事務局から何かございますでしょうか。
○木原勤労者生活課長 本日は特に予定をしてございません。
○勝部会長 特にないようですので、本日はこれで終了したいと思います。最後に、本日の議事録の署名委員は、高橋委員と島村委員にお願いいたしたいと思います。本日は、これにて散会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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