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2012年11月19日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

医薬食品局

○日時

平成24年11月19日(月)18:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(13名):五十音順 

◎五十嵐   隆、 石 井 則 久、 猪 熊 茂 子、 大 野 泰 雄、

 加 藤 進 昌、 國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、  高 杉  敬 久、

 新 見 伸 吾、 日 野 治 子、  槇 田 浩 史、○松 本 和 則、

  村 島 温 子

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(9名)五十音順 

 遠 藤 一 司、 生 出 泉太郎、 金 澤   實、 倉 山 英 昭、

 林   邦 彦、 三 谷 絹 子、 三 宅 良 彦、 矢 野   哲、

 渡 邉 治 雄

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 渡 邊 伸 一 (安全使用推進室長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 それでは、「平成24年度第2回医薬品等安全対策部会」を開催いたします。
 本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りにつきましては、議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。
 また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など留意事項の厳守をお願いいたします。
 本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 本日の会議ですが、遠藤委員、生出委員、金澤委員、倉山委員、林委員、三谷委員、三宅委員、矢野委員、渡邉委員より欠席の御連絡をいただいておりまして、現在、13名の委員に御出席いただいております。本部会の定数は22名でございますので、定足数の過半数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 それでは議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事進行につきましては、五十嵐部会長にお願いいたします。
○五十嵐部会長 委員の先生方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。定数が今日は12人来れば成立するのですが、何とか13人来ていただきまして、ありがとうございます。事務局から審議の参加に関する遵守事項について、御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程についてです。本日の審議事項は、エメダスチンフマル酸塩、イソコナゾール硝酸塩、ミコナゾール硝酸塩及び一般用漢方製剤のリスク区分についてですので、エメダスチンフマル酸塩については、製造販売業者のロート製薬株式会社及びクラシエ製薬株式会社並びにその競合企業の大正製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、エーザイ株式会社の計5社から、イソコナゾール硝酸塩については、製造販売業者のロート製薬株式会社及びその競合企業の大正製薬株式会社、エスエス製薬株式会社の計3社から、ミコナゾール硝酸塩については、製造販売業者の大正製薬株式会社及び競合企業のロート製薬株式会社、エスエス製薬株式会社の計3社から、一般用漢方製剤については、一般用漢方製剤の売上げ上位3社のクラシエ製薬株式会社、小林製薬株式会社、ロート製薬株式会社からの過去3年度における寄附金等の受取りについて申告いただきました。
 なお、競合品目・競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいております。各委員の申出の状況から、今回の審議への不参加の委員はおりませんでした。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今、事務局から御説明がありました審議参加に関する遵守事項について、御意見、あるいは御異議などありますでしょうか。よろしいですか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解をいただいたということにいたします。
 それでは、事務局から本日配付されている資料の確認をお願いいたします。
○事務局 各委員の先生方には、事前に資料を配付させていただいておりますが、お手元の資料の御確認をお願いいたします。なお、当日配付資料がございますので、その旨も説明させていただきます。
 お手元に安全対策部会の座席表、議事次第、配付資料一覧がございます。
資料1の関係です。資料1「製造販売後調査の終了等に伴うリスク区分の変更について」、資料1-1「エメダスチンフマル酸塩のリスク区分について」、資料1-2「イソコナゾール硝酸塩のリスク区分について」、資料1-3「ミコナゾール硝酸塩のリスク区分について」、資料1-4「新たに承認基準が定められた一般用漢方製剤31処方のリスク区分について」。参考資料1「リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられたご意見」があります。
資料2の関係です。資料2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料2-2「子宮頸がん等3ワクチン、不活化ポリオワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性に関する評価について」、資料2-3「骨病変治療薬『ランマーク』投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について」、資料2-4「化粧品等のリスク評価について」です。
 資料3の関係です。資料3-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」、資料3-2「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」、こちらには参考資料3-2として「薬効分類表」をお付けしております。資料3-3「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料3-4「国内感染症報告の状況」、資料3-5「外国における新たな措置の報告状況」、資料3-6「研究報告の報告状況」。
 資料4の関係です。資料4-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料4-2「感染症定期報告の報告状況」。
 資料5の関係です。資料5-1「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」、資料5-2「不適切な油脂を用いて製造されたセフェム系抗生物質を含有する医薬品について」、資料5-3は本日机上に配付させていただいた当日配布資料ですが「ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用報告の報告件数等について」、以上です。不足等がありましたらお申出いただければと思います。よろしくお願いします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。皆さんよろしいでしょうか。資料は足りていますでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議題1の審議に入ります。事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項の議題1「一般用医薬品のリスク区分について」の御説明をいたします。資料1、資料1-1~資料1-4、参考資料1を御用意ください。
 まず、資料1を御覧ください。現在、第1類医薬品であるこれら3成分について、製造販売後調査の終了等に伴い、リスク区分の変更の検討を、また、これらに加え、新たに承認基準が定められました一般用漢方製剤31処方のリスク区分について検討をお願いするものです。リスク区分については2ページのとおり、安全対策調査会において、専門家の方々や関係学会等の意見等を踏まえ、事前整理した上で、その事前整理の結果とパブリックコメントの結果を踏まえて、安全対策部会で調査審議を行い、指定の変更の要否について答申を得るものとされています。
 1ページにある3成分及び一般用漢方製剤31処方のリスク区分については、本年9月7日に開催された安全対策調査会で検討されましたので、その結果とパブリックコメントを御報告し、御審議をお願いするものです。
それでは各成分について御説明させていただきます。資料1の1枚目を御覧ください。まず、エメダスチンフマル酸塩についてです。資料1-1にエメダスチンフマル酸塩の製造販売後調査報告書と添付文書を示しております。エメダスチンフマル酸塩については安全対策調査会で、「製造販売後調査報告書では、抗ヒスタミン作用、抗コリン作用の副作用が報告されているが、頻度も非常に少ないので、第2類医薬品のアデラスチン等と比べても比較的安全である。」との御意見をいただき、第2類医薬品とすることが適当とされました。その後、1か月間パブリックコメントを行いました。その結果については参考資料1を御覧ください。こちらの一番上にエメダスチンフマル酸塩については、引き続き第1類医薬品とすることが適当である旨の意見が1件寄せられています。
 資料1にお戻りください。膣カンジダによる外陰部の症状に使用するイソコナゾール硝酸塩の外用剤、ミコナゾール硝酸塩の外用剤についてです。これらについては同じ適応の医薬品ですので、併せて御説明をさせていただきます。資料1-2にイソコナゾール硝酸塩の製造販売後調査報告書と添付文書、資料1-3にミコナゾール硝酸塩の製造販売後調査報告書と添付文書をお示ししております。安全対策調査会においては、「膣カンジダ症は、膣内の病変を治療しないと完治しないものであり、ほとんどの場合、膣剤を併用し、本薬だけを使って治すということはほとんどないため、膣剤と同様に薬剤師の適切な情報提供のもとに使用する必要がある。」との御意見をいただき、膣カンジダによる外陰部症状に使用する外用剤のイソコナゾール硝酸塩、ミコナゾール硝酸塩のリスク区分は、膣剤と同様に引き続き第1類医薬品とすることが適当とされ、その後、パブリックコメントを1か月間行いました。パブリックコメントの結果については、参考資料1を御覧ください。イソコナゾール、ミコナゾール硝酸塩ともに第1類医薬品とすることが適当である旨の御意見を2件いただいています。
 続きまして、新たに承認基準が定められた一般用漢方製剤31処方のリスク区分について御説明をさせていただきます。資料1-4を御用意ください。1.のとおり、平成24年8月30日付けで、薬食審査発第0830第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知により、資料1-4の2ページの別紙1にあります31処方が新たに一般用漢方製剤承認基準に追加されました。これらの31処方のリスク区分について、リスク区分の検討をお願いするものです。
 2.を御覧ください。一般用漢方製剤のリスク区分については、平成17年12月15日の厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会報告書において、「漢方処方製剤は、服用時点での症状・体質などに応じて処方を選択することが必要である。また、漢方処方製剤には複数種類の生薬が用いられ、その有効成分は天然由来成分の混合物であることから、他の薬剤との併用による相互作用への注意喚起が必要である。症状・体質に合っていない処方を選択した場合や、不適切な薬剤との併用により、日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれがあることから、第2類医薬品に相当すると考えられる」とされ、制度の制定時から漢方製剤については第2類医薬品とされました。
 その後、平成23年度に一般用医薬品のリスク区分の見直しの一環として、一般用漢方製剤263処方について、リスク区分の見直しを行いましたが、平成17年報告書の考え方は妥当として、漢方製剤は引き続き第2類医薬品とすることが適当とされ、現在のリスク区分では一般用漢方製剤263処方はすべて第2類医薬品となっております。
 3.を御覧ください。安全対策調査会において、今回、新たに一般用漢方製剤承認基準に追加となりました別紙1の31処方についても、一般用漢方製剤263処方のリスク区分と同様、第2類医薬品にすることが適当とされ、また、これらの処方に含まれる生薬成分等のうち区分がされていないもの、別紙2にありますが、こちらの成分については第3類医薬品とすることが適当とされました。なお、一般用漢方製剤に係るパブリックコメントについては、参考資料1をご覧ください。「2.一般用漢方製剤について」のところに1件御意見をいただいておりますが、第2類医薬品とすることが適当である旨の御意見をいただいております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問はありますでしょうか。倉田委員どうぞ。
○倉田委員 参考資料1の二つ目、イソコナゾール硝酸塩とミコナゾール硝酸塩の区分変更についてなのですが、別にこれに異議があるというわけではなくて、薬剤師さんたちにお願いなのですが、知り合いの薬剤師に聞いたところ、この製品は売れる地域がわりといろいろで、全く売れない所もあれば多量に売れるような地域があって、それは多分、薬剤師さんが調べてくだされば分かるだろうと思います。地域性があるような所もあるし、かといって、この膣カンジダというのは一般的にそれほど珍しいものではないので、必要とされるのは非常に多いのではないかと思われるのですが、患者背景といいますか、どのようにしてこれが必要になっているかというのを上手に引き出してほしいという希望があります。ほしい場合というのは、一度受診したことがあってこれを使う患者であるということを言うでしょうが、わりと嘘を言って買うこともありますので、上手に聞き出すということと、症状が改善しなかったら、必ず医療機関に行ってください、というのを伝えていただきたいと思います。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。これは御要望ということでよろしいですね。何かございますか。よろしいですか。
○倉田委員 はい。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。日野委員どうぞ。
○日野委員 ミコナゾールとイソコナゾールに関しては全く問題なくて、1類のままでいいと思うのですが、ただ、ミコナゾールの添付資料の12ページに、メディトリートクリームの説明文として、「してはいけないこと」の中に、「15歳未満又は60歳以上の人。(自己判断が難しいため)」とあるのですが、この中にも60歳以上の方はたくさんおられると思うのですが、60歳で判断が難しくなるのでしょうか。これに関して、これが悪いのではなくて、添付文書は昔作ったのだと思うのです。60歳が危い年齢だったころなのかもしれませんが、そのころに作った添付文書そのままを漫然と作られていること自体の方が問題で、適当な時期に見直していくべきではないかと思う、そのことの方を申し上げたいのです。
○事務局 御指摘ありがとうございます。そちらについては調査会のときにも御指摘をいただきましたので、記載理由を調べたところ、60歳以上で自己判断が難しいとなっているのは、他の菌による複合感染等のリスクも考慮する必要があるためということが理由のようです。ご指摘いただきましたような誤解を生じる可能性もございますので、今後、何かの折に、改訂という形で進めていこうと思っております。よろしくお願いいたします。
○日野委員 もう1点なのですが、用法・用量のところで、「ただし、3日間使用しても症状の改善がみられないか」となっています。改善がみられなかったらそれ以上使わないで、というのも結果的な考え方なのであって、更に6日間使用させるかという問題が出てくるのですが、更に使わせて、それでも消失しないというように考えるべきなのか、最初の段階でやめさせるのが普通ではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○安全対策課長 これは3日間使用して改善がみられなければ医師の診療を受けてもらう。3日間使用して改善傾向にあるのだけれども、6日間までいっても消失しないという場合は、これも受診するという意味だと思います。
○日野委員 これだと、更に使い続けたいという形になってしまうので、そこで薬剤師さんが説明すると。その点を言わせるための文ですね。それならよろしいと思います。
○五十嵐部会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。
 それでは議決を取りたいと思います。各医薬品のリスク区分について、初めにエメダスチンフマル酸塩、鼻アレルギーの症状に対する薬ですが、これを第1類の医薬品から第2類の医薬品に変更するということでよろしいでしょうか。
異議はないと判断して、第2類の医薬品に変更するということにいたします。
 引き続きまして、今、議論もありましたが、膣カンジダによる外陰部の症状に使用するイソコナゾール硝酸塩外用剤については、引き続き第1類のままでということでよろしいでしょうか。
それでは、これも異議なしとさせていただきます。
同じくミコナゾール硝酸塩外用剤についても、同じように第1類のままでよろしいでしょうか。
これも異議なしとさせていただきます。
続きまして漢方の方ですが、新たに承認基準に追加になりました一般用漢方製剤31処方は、第2類の医薬品といたします。そして、これら31処方に含まれる生薬及び動植物成分のうち区分が示されていないものについては、資料1-4の別紙2のとおりに、第3類に区分することにしたいと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
 これについても異議なしとさせていただきます。ありがとうございました。
ただ今審議いただきましたエメダスチンフマル酸塩、イソコナゾール硝酸塩、ミコナゾール硝酸塩及び一般用漢方製剤のリスク区分について、今後の予定を事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 御審議いただきありがとうございました。本日御審議いただきました結果に基づいて、リスク区分の変更ということで、これら変更に係る告示の改正の手続を進めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。議題1の審議は以上となります。続きまして議題2に入ります。これ以降は報告事項となりますが、議題2について、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題2「医薬品等の市販後安全対策について」です。資料2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」を御覧ください。本年8月2日に開催されました前回の医薬品等安全対策部会以降に、改訂の通知を発出したものの一覧です。8月7日に8件、9月11日に1件、9月25日に13件、10月23日に1件、10月30日に8件の改訂を行いました。
 これらの使用上の注意の改訂については、本部会の先生方に事前に御確認をいただいたものです。また、これらの改訂はPMDAメディナビで配信するとともに、PMDAの情報提供ホームページと「医薬品・医療機器等安全性情報」にも掲載しておりますので、詳細な御説明は省略させていただきますが、このうち2件について紹介します。
 第1に、資料3ページのデノスマブ(遺伝子組換え)については、重篤な低カルシウム血症の発現に関する安全性速報、ブルーレター、が発出されたものです。その内容については、この後、資料2-3で説明します。
 第2に、資料5ページの炭酸リチウムについては、[用法・用量に関連する使用上の注意]の項の血清リチウムの濃度の測定に関して、「投与初期又は用量を増量したときには維持量が決まるまでは1週間に1回をめどに、維持量の投与中には2~3ヵ月に1回をめどに、血清リチウム濃度の測定結果に基づきトラフ値を評価しながら使用すること」等の注意喚起を追記しています。以上です。
○事務局 引き続きまして資料2-2「子宮頸がん等3ワクチン、不活化ポリオワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性に関する評価について」の御説明をいたします。本年10月29日に開催されました安全対策調査会において、子宮頸がん等3ワクチン、不活化ポリオワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性について評価をいただきました。
 まず、「1子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告状況」については、本年4月1日~8月末までの副反応報告について御議論いただきました。この期間に子宮頸がん予防ワクチンの「サーバリックス」の副反応報告は、医療機関から87人、製造販売業者から83人報告されております。同じく子宮頸がん予防ワクチンの「ガーダシル」の副反応報告は医療機関から63人、製造販売業者から23人報告されております。Hibワクチンの副反応報告は医療機関から65人、製造販売業者から20人報告されております。小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告は医療機関から102人、製造販売業者から35人報告されています。これらの副反応の報告頻度は、これまでの報告状況と比べて、大きな変化はありませんでした。
 注目する副反応として、子宮頸がん予防ワクチンにおいては、接種後に失神するという報告がありますが、これまでと比べて発生頻度に大きな変化はなく、引き続き注意喚起の徹底を図っていくこととしています。
 また、Hibワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの接種後の死亡例が、前回5月25日に開催されました調査会ののち7例報告されましたが、そのうち今回評価が行われた5名については、ワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないとされています。
 裏面にいきまして、「2不活化ポリオワクチンの副反応報告状況」についてです。本ワクチンの接種が開始されました9月1日~30日までの期間の副反応報告は、医療機関から2名、製造販売業者から2名でした。また、10月3日に報告されました、接種後19日目に死亡された症例について評価を行いましたが、ワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないとしています。
 続きまして「3抗インフルエンザ薬の副作用報告状況」についてです。昨シーズンの抗インフルエンザ薬の副作用の状況について御議論いただきました。インフルエンザ罹患に伴う異常行動の発現に関する厚生労働科学研究によれば、インフルエンザ罹患時の異常な行動の発生状況は、従来の報告と概ね類似しており、抗インフルエンザ薬の使用の有無、種類にかかわらず発生しています。抗インフルエンザ薬ごとの異常な行動の報告件数、報告数及び死亡症例の症例数は表3のとおりでしたが、昨シーズンと比べて大きく異なりませんでした。また、死亡症例については、リレンザ服用後のアレルギー反応で亡くなった1例は因果関係が否定できないとされていますが、その他は情報不足で評価できないとされています。また、イナビル接取後に飛び降りにより死亡された1例が報告されていますが、因果関係は評価できないとされています。念のために、企業に対して注意喚起を徹底するよう通知を発出する措置をとりました。以上のことから、引き続き、抗インフルエンザ薬の処方の有無、種類にかかわらず、異常行動の注意喚起に努めることとしております。本事項については以上です。
○事務局 続きまして資料2-3「骨病変治療薬『ランマーク』投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について」の御説明をさせていただきます。ランマーク皮下注120mgは多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変を適応症とするヒト型モノクローナル抗体です。本剤は、破骨細胞の活性を抑制することで骨吸収を抑制するもので、低カルシウム血症を起こすことが知られています。2012年4月に発売が開始されて、2012年7月10日に「使用上の注意」を改訂して、重篤な低カルシウム血症が発現することについて注意喚起を行ってきました。その後、2012年9月11日までに、関連性の否定できない低カルシウム血症による死亡例が2例報告されたことを受けまして、患者の安全性確保を迅速に行うため、「1.投与前及び投与後頻回に血清カルシウムを測定すること。2.充分量のカルシウム及びビタミンDを合わせて服用すること。3.重度の腎機能障害者では、低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、本剤を慎重に投与すること。4.低カルシウム血症が認められた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。」の以上4点について、改めて注意喚起することとし、製造販売業者に対し、添付文書の改訂を指示するとともに、医療関係者及び患者に対して、速やかに情報提供をするため、5ページ目以降にお示しします「安全性速報」という、いわゆるブルーレター及び患者向けのレターを配布しましたので御報告いたします。以上です。
○事務局 続きまして、資料2-4について御説明します。まず、本件の経緯について簡単に御説明します。7ページを御覧ください。こちらは9月6日付けのPress Releaseです。製造過程で非意図的に生成したポリ塩化ビフェニル(PCB)が、国際条約で流通させるべきではないとされている濃度50ppmを超えて含有する可能性がある有機顔料が見つかり、この有機顔料の出荷の停止、回収の指導を行ったものですが、次の8ページ目の4番にありますように、この有機顔料の主な用途が、化粧品原材料であることから、この有機顔料が使用された化粧品について調査を行い、10月11日に開催した「第3回安全対策調査会」にて、安全性について御審議いただきましたので、その結果を御報告いたします。
 1ページ目を御覧ください。調査の結果、この有機顔料が使用されていた24社329品目の化粧品について、1に記載されているとおり、1.各社の製品ごとに、使用方法に応じた暴露シナリオを想定し、2.暴露シナリオに従って、化粧品等の使用によるPCBの推定一日最大暴露量を試算し、3.PCBの推定一日最大暴露量を人への健康影響の観点からの摂取の指標となる値と比較して、安全域の大きさを算定しました。安全域の算定には、3ページ目の中段にお示しした二つのPCBの摂取の指標となる値、1.暫定一日摂取許容量と2.WHO評価書の一日耐容摂取量を用いました。
 その算定結果をまとめたのが、4ページ目の表になります。最大の濃度1,500ppmのPCBを含有する有機顔料が使用されていることが判明した24社329品目について、用法・使用方法・使用量の同等な製品種ごとに一日耐容摂取量に対する安全比が最も小さいものを示しております。
 1ページの3を御覧ください。この算定結果をもとに、調査会が検討した結果をまとめたものがこちらになります。暫定一日摂取許容量(1日当たり5μg/kg体重)に対して、各社製品のPCB推定一日最大暴露量の安全域はすべて1倍以上でした。WHO評価書の一日耐容摂取量(1日当たり0.02μg/kg体重)に対しては、4社3製品種(ヘア用カラースプレー(化粧品)、貼付剤(医薬品)、ファンデーション(化粧品))を除き、安全域は1倍以上だったことから、4社3製品種以外の製品種については健康リスクが十分に低く、特段の措置をとる必要はないと考えられました。
 また、これら4社3製品種についても、これらによるPCBの推定一日最大暴露量は、PCBの皮膚からの吸収100%と想定するなど、現実には起こりえないほどの安全サイドに立ったシナリオを想定して試算された値であること、また、PCBが50ppmを超える顔料は今後流通せず、これらを用いる製品から生涯にわたって一日耐容摂取量を超えるような暴露を受けることはないこと、また、一日耐容摂取量の根拠となった動物実験における毒性学的影響のヒト健康への重要性が明らかではなく、また比較的毒性の強いPCB同族体を用いた実験であることなど、WHO評価書にも記述されているように、一日耐容摂取量は過度に厳しめに見積もられていると考えられることを考慮すると、これらの製品の使用による健康リスクは十分に低く、特段の措置をとる必要はないと考えられたことから、厚生労働省としては、引き続きPCBを含有する有機顔料に関する情報収集に努め、化粧品等の安全対策に努めるべきであると結論づけられました。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対して、御意見、御質問はございますか。
○石井委員 資料2-2の表1の中で、副反応の報告が、医療機関からの報告、企業報告があるのですが、下の注)に「重複している可能性がある」ということですが、重複しているということになりますと、人数がはっきりしないということなので、これを一元的に副反応の報告ということができないのでしょうか。そうすると、実際のワクチンに対する副反応がどのぐらいいるか分かると思いますが、いかがでしょうか。
○事務局 「重複している可能性がある」という記載があるのですが、実際には、年齢や医療機関、またイニシャルなどで、分かる範囲においては重複がないように処理しております。ただ可能性として、重複の可能性があるのでその旨を記載しているということですので、概ね足した数が全部の副反応の数とみなして差し支えないかとは思います。
○五十嵐部会長 よろしいでしょうか。他にいかがでしょうか。
○國頭委員 インフルエンザの薬で亡くなった患者さんが、これで見ると、この期間内に12人で、因果関係が分からないのは評価できないのでしょうが、どういうふうに亡くなったかというデータはないのでしょうか。この「ランマーク」の資料にはとても詳しいデータが書いてあって、患者さんが亡くなった経緯が書いてあるのですが、それに比べて、余りにあっさりしているのです。この患者さんがインフルエンザ肺炎で亡くなったのか、ほかのことで亡くなったのかというようなことは、数が把握されているということは、どこのどういう方が亡くなったかというのは分かるはずで、分かるのだったら、看取った先生の所に行って、そこまでデータがなくても、こういうことでお亡くなりになりましたというレポートなどは貰っているのでしょうか。もらった結果、分からないのならそれでいいと思うのですが。
○安全対策課長 今日の資料は、大変シンプルな資料で申し訳ございませんでした。調査会には、死亡症例についても、症例の概要を入手できている範囲における概要については御報告し、その資料については、すでにWebサイトにも公表しており、どういう副作用で死亡の報告があったということについては公表しております。今日の資料には、詳細な資料は付けておりませんで、大変申し訳ございません。
○國頭委員 少なくとも死亡診断書から直接死因は全部チェックされた上で、分からないという話にはなっているのですか。
○安全対策課長 入手できている限りでの情報については、概要を公表させていただいています。
○五十嵐部会長 更に第三者による評価、複数の先生の評価を経て、こういう判定になっているのだと思いますが、よろしいですか。
○國頭委員 あともう一つ、ランマークですが、今日もほかの病院のドクターから私の所に電話がかかってきたのですが、私の患者さんでたまたま今、関西の方に用事で行っている人がいて、定期的にランマークを打っているのですが、打っていいものかと。ものすごくびびったようで、「あれって、こういうレターが回っていて大丈夫ですか」と。それはいいのですが、頻回に血液をチェックしてということで、頻回というのは、どのぐらい頻回なのかと言われると分からないですね。
 例えば、癌の化学療法をやっていて、頻回に血液をチェックしてくださいという場合は、我々の意味では、大体週3回が頻回かと。週2回は普通かというところです。恐らく、圧倒的多くの患者さんはそこまでのことは要らないだろうと思うのですが、頻回と言うと、3週間、4週間に1回皮下注射するものですから、その患者さんをずっとのべつ幕無しに週3回採血するわけに当然いかなくて、そうすると、貧血になってしまいますので、ある程度の目安は出されないと、現場は丸投げされても困ってしまうのではないでしょうか。
○事務局 医薬品医療機器総合機構よりお答えいたします。この注意喚起をした以降、カルシウム及びビタミンDの補充がなされていくことも考えると、先生がおっしゃるとおり、「頻回」というのが大体どれぐらいの回数かというのも、恐らく変わってくるというところも考えています。現在、添文改訂後にこういった補充をしていって、頻回というのが、一体どれぐらいかというのは、ランマークに対する使用成績調査等もやっておりますので、そういったところも踏まえて判断していけたらと思っています。
○國頭委員 あとは初回治療と、当然何回もずっとやるものですから、3回目、4回目、5回目、6回目とリスクは大分違うと思うのですが、その辺もある程度目安を示しておかないと、この薬を使ったがために、週3回外来に来て採血するのかという話になりかねないので。
○事務局 ありがとうございます。
○五十嵐部会長 もう少し具体的な数字を入れてほしいという、そういう御要望ですね。そういうふうに考えていいですか。
○國頭委員 恐らく、そうでないと現場は怖くて使えないだろうと思います。
○五十嵐部会長 PMDAの方は検討していただきたいと思います。
○猪熊委員 医療機関への注意喚起というのは、恐らくMRが病院ごとに訪問しているのかと思うのですが、患者さんへの注意喚起というのは、その医療機関へ配布をお願いする形で徹底を期すものなのでしょうか。
○安全対策課長 それもお願いをしておりますが、あと、PMDAのWebサイトや、また企業のWebサイトに掲載していただいているほか、ランマークのときは、それぞれ関係する患者会のホームページなどにも掲載をしていただいていまして、そういったところからも患者さんへの情報が提供されていくようになればいいと考えています。
○大野委員 資料2-4の化粧品のリスク評価について、下の3の3.のところで、「比較的毒性の強いPCB同族体を用いた実験である」ということで、このものとは違うタイプのPCBであるというニュアンスですが。私は前、今回問題になったのは、コプラナーPCBみたいな、クロルが少ないものと伺ったのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○安全対策課長 私たちが把握している情報では、クロルが少ない、二つぐらいのクロルというふうには理解しております。
○大野委員 了解しました。
○石井委員 同じところですが、要するにPCBはそれほど毒性がないということですが、いわゆる50ppm以下になっていればいいという判断ですか。それとも0になるだけ近づけましょうという意味ですか。要するに、化粧品ですからなるべく安全なものがいい、0ならもっといいと思うのですが、そういう方向にはいかないのですか。安全域だったらいいということですか。
○安全対策課長 50ppmというのは、原材料の色素のところでの流通の一定の線引きですので、それを実際に使った化粧品というのはもっと少なくなって、できるだけ低い方がいいとは考えております。0になる方がいいですが、50ppmならいいですよという考え方ではないのですが、実際の色素の製造工程等で、そこまで入ってきてしまうものがあるとすれば、今のところ国際的にも50ppmまでの流通は禁止されていないので、そういったものが入ってきても、化粧品のところではかなり薄まりますし、今回の評価では暴露の対応といいますか、状況から考えても、例え入っていたとしても、50ppmを超えない限りは大きな問題にはならないのではないかとは考えております。
○五十嵐部会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは議題3に進みたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題3「医薬品等の副作用等報告の状況について」です。資料3-1を御覧ください。「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」の御説明をします。
 平成24年4月1日~平成24年7月31日までの4か月間に受け付けた副作用報告等に関する状況を御報告するものです。
 報告事項は大きく二つです。一つ目として、1.に示す製造販売業者からの報告、二つ目として、2.に示す医薬関係者からの報告です。1の(1)、製造販売業者からの国内症例の報告状況は、医療用医薬品について15,425件、一般用医薬品について109件、合わせて15,534件の報告を受け付けております。また、表の右側の感染症報告は、医療用医薬品について40件の報告を受け付けております。前回の部会に御報告した、その前の4か月間の副作用報告は19,489件、感染症報告は30件でしたので、あまり変化がありません。
 1.の(2)は外国症例の報告状況です。この4か月間で副作用報告が81,234件、感染症報告は7件ありました。その前の4か月間の報告数は、副作用報告が76,476件、感染症報告が9件であり、あまり変化はありません。
 1.の(3)は外国での新たな措置の報告状況です。この4か月間で352件の報告を受け付けております。その前の4か月間の報告数は482件であり、若干減少しています。1.の(4)は研究報告の報告状況です。この4か月間で335件の報告を受け付けております。その前の4か月間の報告数は300件でしたので、大きな変化はありません。
 2.は医薬関係者からの報告です。この4か月間に1,396件の報告を受け付けております。その前の4か月間の報告数は1,525件であり、大きな変化はありません。
 資料3-2~資料3-6は副作用報告、感染症報告、外国措置報告、研究報告の概要資料です。
 資料3-2を御覧ください。この4か月に報告された医療用医薬品の国内の副作用報告について、医薬品別・副作用名別の件数を整理したものです。薬効分類別に並べておりますが、薬効分類については参考資料3-2の表を御参照ください。表の見方にいくつか注意事項がありますので御注意ください。1)として、これらの副作用報告は、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたもので、個々に医薬品との関連性を評価したものではありません。2)として、副作用報告の件数につきましては、平成24年4月1日~平成24年7月31日までに報告されたものですが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、同じ症例が複数の企業から報告された場合は、重複してカウントしておりますので、ここで報告された件数がそのまま症例数にはなりません。3)として、副作用報告の件数は、本報告期間中に報告されたものであっても、本報告期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となり報告対象外となった場合には、報告件数から除外しております。4)として、報告件数は、副作用名別の件数で示したものであり、1症例で複数の副作用を発現する場合がありますので、報告件数を合計した数が報告症例数になるわけではありません。以上です。
 資料3-3を御覧ください。一般用医薬品の国内副作用報告です。一番左の行に薬効群の名前を示しております。資料3-4は、感染症の報告状況です。多くが輸血用血液製剤に関連する感染症の報告です。資料3-5は、外国での新たな措置の報告状況です。資料3-6は、研究報告の報告状況です。副作用等の報告状況については以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対して、御意見や御質問はございますか。
○國頭委員 大分昔から疑問に思っているのですが、研究報告の報告状況を見ると、『The New England Journal of Medicine』に載っていたあのペーパーだと私達が分かるのもあるのですが、こんなどうでもいいようなものがどうしてここに載っているのかというのもあります。世の中のこの間のメディカルジャーナルの研究報告を見ると、恐らくこの数百倍とかあるのでしょうが、どういう基準でこれを選ばれて、何をもってここに出てくるとか、出てこないとかが決まるのですか。世の中のペーパーはもっとたくさんありますね。
○安全対策課長 ここに一覧にしてあるのは、薬事法に基づいて製薬企業が報告をしてきたものについて掲載しております。
○國頭委員 そちらがざっとジャーナルレビューして、これは大事だからというピックアップではないわけですか。
○安全対策課長 そうではありません。それはそれで別途、論文の主要な学術誌についてはフォローしておりますが、これは薬事法に基づいて製薬企業が提出してきたものを、この審議会に報告するよう法律で定められておりますので、その関係で企業が報告してきたものについて取りまとめて御報告させていただいているものです。
○國頭委員 そうですか。分かりました。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議題4に進みます。事務局から資料の御説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題4「医薬品の感染症定期報告の状況について」です。お手元の資料4-1、資料4-2により、薬事法第68条の8に基づく、医薬品の感染症定期報告について御報告します。
 今回は、本年4月~7月末までに報告された感染症定期報告を取りまとめており、合計で349件の報告がありました。資料は二つありますが、資料4-2が感染症定期報告の報告ごとの整理、調査結果です。資料4-2は、医薬品材料・原材料ごとになっており、感染症単位でまとまっておらず、同一文献が何度も出てくること、また、前回までの部会にも御報告済みのものがありますので、それらのうち新たに報告されたものについて、感染症ごとに整理したのが資料4-1です。資料4-1は、この期間に新たに報告された文献、報道記事等70件をまとめてあります。今回比較的報告が多かった感染症は、BSEが10件です。次いでインフルエンザが8件、炭疽が4件ありました。今回も事前に渡邉先生、石井先生、新見先生に御確認いただいておりますが、その結果、直ちに安全対策措置を講ずる必要がある報告はありませんでした。また、石井先生からNo.60~62の米国のバベシア症につきまして、新見先生よりNo.27~29のSchmallenberg Virusにつきましてコメントをいただけると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○石井委員 資料4-1の9ページです。ID番号60、61、62「バベシア症」というのがありますが、本来は犬などが持っている原虫の病気です。これは、そういうのに感染している犬をマダニが吸血して、そのマダニが人にまた吸血する。そういうことによって、バベシア症が発症します。これは発熱や貧血を起こすのですが、主に新生児や免疫不全の方です。こういう方が献血のようなことをしますと、ほかの人にバベシア症をうつすこともありますが、日本ではまだ1例の報告がある程度です。この検査の方法がまだ開発されておりませんので、厚生労働科学研究費の研究班の中で、今、検査法などの開発が行われているということです。以上です。
○新見委員 私は4~5ページの27~29のSchmallenberg Virusの欧州の家畜に対する感染について、前回報告しました。その後の状況について引続き紹介したいと思います。
 29に記載されているように、3月16日までにおける感染施設が2,380施設と増大しております。ここには記載されておりませんが、農林水産省の報告によりますと、それ以降は少なくともヒツジにおいては感染が減少しているということです。
 ヒトへの感染性については28に示しますように、国際獣疫事務局が専門家による会議を招集しておりまして、その結論として、ヒトへの健康リスクは無視できると結論されているということです。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。お二人の先生のコメントを含めて、事務局からの説明に対して御意見や御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。御意見がないようでしたら、議題5に進みたいと思います。資料の説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題5「その他」です。資料5-1を御覧ください。「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」の御説明をします。
 小麦を加水分解した成分を含有した石鹸の使用者において、小麦含有食品を摂取後に運動した際に、全身性のアレルギーを発症した症例が報告されたことを受け、平成22年10月以降に、小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品について、小麦アレルギーに関する注意喚起や副作用報告の徹底、更に製品の自主回収及び使用者に対する注意喚起等の安全対策を実施してきております。このような経緯につきましては、前回の部会においても御報告したところです。
 今回、副作用報告の集積状況につきましては、2ページの(別紙1)の表でお示ししております。報告された副作用名をもとに分類した結果、食物依存性・運動誘発性アレルギーの報告は、医療機関からの報告が前回の報告より2例増えて133例であり、このうち救急受診や入院が必要となった重篤症例が27例です。この27例のうち、専門家の評価により因果関係が否定できないとされたのは15例で、前回の報告から増加はありません。
 また、その他のアレルギーの副作用名で報告された報告は、医療機関からの報告が102例、うち重篤症例は27例であり、こちらも前回から増加はありません。
 製造販売業者からの報告では、食物依存性・運動誘発性アレルギーの報告は325例増加し、2,181例、うち重篤例は19例増加して205例になりました。因果関係については、報告書から得られる情報が十分ではなく、評価が困難な症例が多いものの、因果関係が否定できないとされた症例は12例増加して41例となっております。
 3ページの(別紙2)を御覧ください。こちらは「茶のしずく石鹸」以外の小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生したアレルギーについてお示ししております。平成24年9月30日までに全10例の報告がありましたが、症例1~9までは前回部会においても御報告させていただいた報告です。新たに報告された10番目の症例につきましては、シャンプーによるアレルギー症状の発現となっておりますが、この製品に含まれる小麦加水分解物は、「茶のしずく石鹸」に含まれていたグルパール19Sとは異なるものでした。今後も引続き副作用の発現状況を注視するとともに、必要な安全対策を実施していくこととしております。以上です。
○事務局 続きまして、「不適切な油脂を用いて製造されたセフェム系抗生物質を含有する医薬品について」の御報告をします。資料5-2を御覧ください。本年9月に、中国において下水道から取り出した再生食用油の成分が含まれた油脂を用いて、セフェム系抗生物質の製造に使用される7-アミノセファロスポラン酸の製造を行い、製薬企業に販売した製造業者があり、SFDA(中国国家医薬品食品監督管理局)が当該製造業者に対し調査を行うとともに、不適切な化学原料が医薬品の製造過程で使用されることを厳密に防ぐよう、同国の医薬品製造業者に対して要求した旨、発表がありました。
 このことから、日本国内の製品の品質及び安全性の確保を図るため、今回指摘された油脂を用いて製造された成分を使用していないか点検するよう、国内の医薬品製造販売業者に対して指導いたしました。点検の結果は、国内での製造販売業者から、今回指摘された油脂を用いて製造された成分を使用していたとの報告はありませんでした。不適切な油脂を用いて製造されたセフェム系抗生物質を含有する医薬品についての報告は以上となります。
 続きまして、「ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用報告の報告例数及び死亡例数」について御報告します。資料5-3を御覧ください。ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用の報告の件数については、これまでも安全対策部会や安全対策調査会の機会に定期的に御報告しておりますが、今回は、平成24年9月末までの状況につきまして、アストラゼネカ株式会社よりデータが提出されましたので御報告します。
 資料の1~4ページまでが、平成24年9月末までのゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用の報告例数及び死亡例数の推移を月ごとにお示ししているものです。1ページがグラフで、2~4ページがそれぞれを数値にまとめた表となっております。1ページの右上に示しているとおり、報告例数につきましては、累積で総数が2,328例です。これは前回報告の3月末時点の集計から23例増えております。また、そのうち死亡例数につきましては857例で10例増えております。
 5ページは、ゲフィチニブに係る新規処方患者数及び継続投与患者数等について、四半期ごとに整理した表です。新規処方患者の数が大体1,700~2,000名程度、継続投与患者の数については、大体8,000人弱で推移しており、特段の変化はありません。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対して、御意見や御質問はございますか。
○新見委員 資料5-1の2ページ目の別紙1の「その他」のところで、8例が、「うち因果関係が否定できないもの」で、その8例中4例は、専門家の評価の結果、食物依存性運動誘発性アレルギーとしての因果関係が否定できないと。その8例と4例というのは、どういう評価が違うのかというのが分からなかったので教えていただければ有難いと思います。
○安全対策課長 「その他」の欄の8例ということですが、ここの「その他」は、報告をいただいた先生が「食物依存性運動誘発性アレルギー」とは書かずに他の副作用名で報告されております。その報告のうち8例が因果関係は否定できないのですが、その中の4例は専門家に御評価いただいたところ、食物依存性運動誘発性アレルギーであることが否定できないということで、その他の4例は、食物依存性運動誘発性ではないアレルギーだったと御理解いただければと思います。
○五十嵐部会長 他にいかがでしょうか。
○猪熊委員 「アレルギー」という言葉が「食物依存性・運動誘発性アレルギー」という言葉になっていて、「アナフィラキシー」という言葉にはなっていないですね。それは何か意味があってアナフィラキシーを使っていないのでしょうか。
 例えば3ページでは、報告された副作用名に「アナフィラキシーショック」、あるいは「アナフィラキシー」という言葉がいくつも出てきます。しかし、前の方ではすべて「アレルギー」となっています。
○安全対策課長 アナフィラキシーでない方も含め、入っていますので、こちらの表の方はアナフィラキシーも含め、「アレルギー」という表現にしたのだと思います。
○猪熊委員 しかし問題になっているのは、アナフィラキシーが問題になったのだと思いますが。「茶のしずく石鹸」で、食物依存性ではなくて、「茶のしずく石鹸」で感作されて、その後でもう一度「茶のしずく石鹸」を使うことによって、局所にアレルギーが生じている例はたくさんあるわけです。それはアレルギーでいいと思うのですが、そういう方が小麦粉を食した後に小麦粉を食すれば、腸は吸収するための器官ですから、大量に抗原が入って、アナフィラキシーが起きるから非常に問題になったわけですね。
○事務局 医薬品医療機器総合機構です。先生のアナフィラキシーではないかという御指摘ですが、通知で示した文言が、食物依存性の運動誘発アレルギーという形で10月に通知を出した関係で、「アレルギー」という言葉を使っておりまして、読み方だけの違いです。中には、厳密的にはアナフィラキシーではない症例も入ってくるかとは思いますが、基本的にはアナフィラキシー様の症状が出ておりますので、アナフィラキシーと思っていただいて差し支えございません。
○猪熊委員 ただ、アナウンスメントのされ方によって、随分受ける印象が違いますね。アレルギーも困りますが、アナフィラキシーの方がより重篤なわけで、そういうアナウンスメントでもいいのかという気が少しします。
○石井委員 そうしますと、この報告数が、例えば133例で、そのうちの重篤が27例というと、133例でそのくらいアナフィラキシーがいて、更に重篤が27例いるのですか。これだけ見ると、重篤なのがアナフィラキシーで、そのほかの方が余り重篤でないように見えるのですが、どうなのでしょうか。
○事務局 医薬品医療機器総合機構から追加で御説明します。重篤となっているのは、下の注釈の2番に記載しているとおり、アナフィラキシーと報告された中でも救急受診、あるいは入院が必要となったものを重篤として評価しておりますので、そこで分けております。
○石井委員 アナフィラキシーだと割と重篤で、入院も要するのではないかという意味で質問したのですが。普通のアナフィラキシーで入院も必要としない、ほどほどの軽症もあるのかと、少々ひ弱に感じましたので。
○安全対策課長 133例の内容についてもう一度精査をして、どういう表現がいいのかも含めて、検討させていただければと思います。
○五十嵐部会長 言葉の使い方だけではなくて、もしかすると、一部誤解があるのかもしれませんので、これははっきりさせてから、次回の部会のときにまた御報告いただければよろしいですか。ありがとうございます。その他いかがでしょうか。
○猪熊委員 今更ながらの質問になってしまうかもしれませんが、ゲフィチニブについては、死亡症例が未だに出ているわけですね。リスクとベネフィットを天秤にかけて、ずっと使い続けているのだと思いますが、そのリスクとベネフィットに関わる考え方をお教えいただけると有り難いです。
○國頭委員 効果に関する予測因子はかなりはっきりしたものが出ておりまして、資料のEGFR-activating mutationというものが出ております。それがあるものは効果が非常に期待できる。ないものは、エフィカシーに関してはプラセボと同じです。ただ、間質性肺炎の発現に関するものは、バックグラウンドとして、こういうものがあるとリスクは高いというところは分かっておりますが、効果についてこれがあると当たる、これがないと当たらないというほどのものは、毒性については分かりません。ですから、今、現時点で我々が患者さんに処方するのは、エフィカシーが期待できる患者さんに対しては、リスクをお話した上で使うということになっております。
 エフィカシーに関して、当たる患者さんに対しては、通常の化学療法よりもHazard Ratio0.3とか0.4ですから、3倍ぐらいの効果は期待できることになっております。毒性に関して、もちろん間質性肺炎が起こって亡くなってしまえば、元も子もありませんが、毒性に関してそういうのを完全に避けられる方法は、今のところまだ私が知る限りはありません。背景因子等から、ハイリスクであるけれども効果が期待できるという使用の場合は、かなり我々も悩みます。
○五十嵐部会長 よろしいですか。大変難しく、専門的なお話ですが。他にいかがでしょうか。よろしいですか。それでは本日予定されていた議題は以上です。事務局から他に何かございますか。
○事務局 特にはございません。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。それでは、本日の部会はこれで閉会とさせていただきます。長い時間どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 広瀬(内線2752)

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