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2012年11月30日 第13回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成24年11月30日10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 労働基準局第1・第2会議室


○出席者

公益代表委員

宮本分科会長、井上委員、臼杵委員、権丈委員、高木委員、西村委員

労働者代表委員

大塚委員、齊藤委員(代理小松原氏)、須田委員、瀬尾委員

使用者代表委員

池田委員、上原委員、布山委員、三原委員

(事務局)

山越大臣官房審議官(労働条件政策担当)、木原勤労者生活課長、曽我勤労者生活課課長補佐、佐藤勤労者生活課課長補佐

○議題

(1)財形制度に係る平成23年度業務実績等について(報告)
(2)その他

○議事

○宮本分科会長 ただいまから、第13回労働政策審議会勤労者生活分科会を始めます。まず、本日の出欠状況と前回の分科会以降の委員の交替について、事務局から御報告いただきます。
○木原勤労者生活課長 出欠の状況ですが、資料に委員名簿がございます。本日は公益代表の勝委員、内藤委員、労働者代表の袈裟丸委員、齊藤委員、早川委員、使用者代表の塩野委員、豊田委員が御欠席です。なお、労働者代表の齊藤委員については、当分科会の運営規程により、分科会長の許可を受けて代理の方が出席できることとなっておりますが、許可をいただき、代理として社団法人全国労働金庫協会営業統活部部長、小松原様が御出席です。
 次に、委員の交代についてです。高橋委員の後任として、労働者福祉中央協議会事務局長の大塚委員が就任しておられます。増田委員の後任として、株式会社東芝人事部労働企画担当グループ長の三原委員が就任しておられます。このほかに、本日は御欠席ですが、西野委員の後任として、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の袈裟丸委員、秋山委員の後任として社団法人全国労働金庫協会常務理事の齊藤委員、津田委員の後任として全国生命保険労働組合連合会中央書記長の早川委員が、それぞれ就任しておられますので、御紹介申し上げます。
○宮本分科会長 事務局のほうも人事異動があったようですので、紹介をお願い致します。
○木原勤労者生活課長 新しい事務局の紹介をさせていただきます。大臣官房審議官(労働条件政策担当)の山越です。勤労者生活課課長補佐の曾我です。同じく課長補佐の佐藤です。どうぞよろしくお願い致します。ここで審議官の山越から、御挨拶を申し上げます。
○山越大臣官房審議官 本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。この勤労者生活分科会は、かねてより財形の問題を中心に御審議いただいております。本日もこの財形制度について、前回以降1年間の動きを中心に、後ほど御報告申し上げたいと思います。財形制度はこれまで、勤労者の自助努力による資産形成に大変大きな役割を果たしてきたと思っておりますし、今後もそうであると思っております。また、ここ1年間の動きとしては、融資関係の業務が中小企業の退職金共済事業を行う勤労者退職金共済機構に移管された、という新しい動きもございます。本日はこうしたことも踏まえまして、中小企業への普及促進の問題も含めて、後ほど御報告させていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い致します。
○宮本分科会長 ありがとうございました。それでは議題に入ります。議題1は「財形制度に係る平成23年度業務実績等について」です。まず、事務局から御報告いただきたいと思います。
○木原勤労者生活課長 まず資料1-1、制度の概要です。大きな変更点はありませんので、概略の御説明とさせていただきます。財形制度は大きく財形貯蓄制度、財形給付金・基金制度、財形融資制度の三つで成り立っております。財形貯蓄制度は、給与からの天引きによる貯蓄で、使い道を限定しない一般財形、60歳以降の年金を目的とする財形年金貯蓄、住宅の取得等を目的とする財形住宅貯蓄の3タイプがあります。年金と住宅については、550万円までの利子等が非課税です。財形給付金・基金制度は、勤労者の財形貯蓄に事業主が上乗せして拠出するものです。法人格のある基金を作って行うものと、作らないで行うものがありますが、勤労者にとっての効果は同じです。財形融資制度はいわゆる還元融資の仕組みで、金融機関にたまっている財形の預貯金等を財源とする融資制度です。現在、財形持家融資制度があります。住宅財形だけでなく、一般財形でも年金財形でも、財形貯蓄を行う勤労者が活用できるものです。貸付の金利は5年固定で、現在0.92%となっております。
 それぞれの平成23年度の実績が、2ページ以降にあります。2ページが財形貯蓄に関してです。下の表にありますように、平成23年度末現在の一般財形の契約件数が623万7,000件、貯蓄の残高が10兆6,487億円となっております。そのほかの実績はこの表、グラフのとおりですが、全体として件数は減少傾向にあります。一般財形が600万件以上ですので、日本の雇用者5,500万人の1割以上ですから、多くの勤労者に使われているとも言えますけれども、ここ20年ほど低下傾向にあるのは事実です。財形制度を導入している企業が減っているとか、勤労者にとって多様な金融商品があるとか、いろいろな要因が考えられるかと思われます。財形制度を活用いただくには、企業が財形制度を導入し、その企業の勤労者が財形貯蓄を行うという2段階が必要です。まずは企業に財形制度を導入いただかないと始まりませんので、中小企業に対する普及促進を始め、企業に財形制度を導入いただくための普及促進に一層努めていきたいと考えています。
 3ページは、財形給付金・基金の実績です。事業主が勤労者の財形貯蓄に協力すべく、上乗せしてお金を出すという仕組みです。三角の折れ線グラフで示している実施企業数と基金数、四角の折れ線で示している対象となる勤労者数は、ともに減少傾向にあります。このような勤労者の自助努力に対する、ある意味事業主の協力の典型のような制度があるということを、きちんとお知らせしていきたいと思います。
 4ページは、財形持家融資の実績です。上のグラフが財形持家融資の推移です。下の表にありますように、平成23年度の貸付件数は670件、貸付決定額は120億円となっております。近年、住宅ローン市場が縮少傾向にあることも言えるのでしょうけれども、一般に住宅ローンの利用者は金利を重視されるようで、最近利用が減っているのは、金利の状況によるところが大きいのではないかと考えております。折角、財形貯蓄を行っている勤労者に対する還元融資の仕組みとして、制度があるわけですし、金利も5年固定で0.92%と、決して高くはないと思われますので、財形持家融資についても5年固定の低利融資制度として、勤労者の住宅ローン検討時の選択肢に加えていただけるように、制度の周知などを行っていきたいと考えております。平成23年度の実績は以上です。
○宮本分科会長 いま、事務局から御報告いただきました。これに基づいて御意見・御質問などがありましたら、お願い致します。
○臼杵委員 初めてなので基本的なことかも分かりませんが、一般財形と住宅財形と財形年金があって、もちろん貯蓄ということもあると思うのですが、先ほど他の金融商品が増えているということもおっしゃられたと思うのです。他の金融商品と比べて、財形にどういうメリットがあるかというのを確認させていただきたいのです。
○木原勤労者生活課長 給与からの天引きによる貯蓄制度ということで、最初の手続だけすれば、あとは本人が特段の手続をしなくても天引きで自動的に貯蓄できる、資産が貯まるというのが、一つのメリットであります。それに加えて、一般財形は使途は問わないわけですけれども、使途の限定がある年金財形や住宅財形については、利子等の非課税措置が講じられています。また住宅財形だけに限らず、一般、住宅、年金のいずれも、財形貯蓄を活用している人については、低利の住宅融資が活用できる。このような一連のパッケージの製品として、有用性があると言えるかと思われます。
○臼杵委員 これは公務員もやっていいのですよね。
○木原勤労者生活課長 はい、できます。私もやっております。
○臼杵委員 「企業、企業」とおっしゃっていたけれども、公務員もやっていいですよね。私もやっているのですが、今おっしゃった中では財形年金しかやっていません。なぜかというと、今は金利が低いので、あまりメリットが感じられないのですけれども、利子等の繰延べ、課税の繰延べというところが、長い目で見るとかなりあるのかなということで。どういうように広報されるかはありますけれども、その辺を少し広報されてもいいかなと。まずは公務員から普及されたらどうかと思います。
○木原勤労者生活課長 公務員も利用できますし、公務員も住宅融資の活用ができます。説明の中で「企業」と申しましたが、後ほど中小企業への普及促進ということが、いろいろ課題になってきますので、説明の中でも「企業」という発言を多用したかもしれません。公務員も含めて利用できますし、利用してほしいという周知もしていきたいと思います。
○瀬尾委員 住宅の持家の関係なども、大分減少しているわけです。金利そのものを見たときに、銀行関係の利率などと比較しても、いまは遜色ないぐらい同じになって、低金利の中の競争だと思うのです。ただ、瞬間的に金利が低いから利用度が増すかというのではなくて、就労の部分で先を見たときに、住宅ローンなど、長丁場で返済していかなければいけないということを考えた場合に、果たしてそれが本当にどうなのかという不安があって、持家なども踏み切れないということがあるのかなと。また、いまは非正規の人が多く増えていて、賃金そのものも、年収そのものが大分低くなっています。そのようなこともある意味、結構減少しているのかなという見方をしているのですけれども、それについてはどうですか。
○木原勤労者生活課長 いろいろな要因があるかとは思われます。冒頭の説明の中でも若干触れましたが、住宅ローン市場全体が縮少しているということもあります。それも、おっしゃったような所得の問題なども影響しているかもしれません。財形について言いますと、5年固定ということで、いろいろな金融商品がある中でそれぞれの勤労者が、超長期がいいかとか、変動がいいかとか、いろいろなことを検討されるのでしょう。そのときに5年という一定期間を見通した、計画的な利用ができる仕組みであるということで選択される勤労者もおられると思います。そこはいろいろな選択肢の一つとして、こんなものもある、こんな制度があるということは、きちんと周知していきたいと思っています。
○瀬尾委員 利用の仕方の中ではね。全体的な傾向の中では、世間の動向も含めて増えないで、逆に減ってしまっているのかなと。あと、これからの見通しの中では就労者の部分も減っていきますけれども、少子化の部分で全体的に人口も減っていくのです。そういったことも含めると、いろいろな形で一般財形とかほかの部分とか、住宅の持家の関係なども全体的に伸びないで、どちらかと言うと減少傾向にあるのかなという感じを受けているのです。
○木原勤労者生活課長 現実に実績としても減少傾向にあるわけです。臼杵先生から御質問があって、こういったメリットがあるのではないかと申しましたが、この財形制度というのは、結構よく仕組まれたいい制度であると思っております。ですから低下傾向が止まるように、利用していただくように、我々としても努力していく必要があると思っております。
○井上委員 住宅財形の減少度合というのはいろいろな要素があって、事務局の方もいろいろ分析されて、今回、改善策等も提案されておりますし、それなりに御苦労いただいていると思います。住宅融資という意味での条件については、かなりいいものではないかと私も感じました。
激減というのがどういうあれなのかはよく分からないのですけれども、本当にこれだけ減って、全体の状況から見ると資産デフレと言うのですか。要するに、いままで土地・住宅というのは、住まいの根拠としての安心・安全にプラスして財の形成という意味でも、かなり大きな要素があったような気がするのです。しかし現在の住宅価格というのは、非常に低下していると言ったら言い過ぎかもしれませんが、財の蓄積という意味では、余り魅力のあるものではない状況になってきている感じがするのです。こと財形制度自体、三つの制度は非常にいい制度だとは思うのですが、そういった経済状況の変化に応じて、どのメニューを、どういう使い方をしたら、本当に勤労者が安心して資産形成ができますというところが、何かあればいいのかなという、私も解はないのですが、そういう感じがしております。
○木原勤労者生活課長 財形貯蓄の使い方として先ほど臼杵先生御本人の口から、自分は年金財形をやっているというお話がありました。例えば、これからの自助努力という観点で、年金財形の活用はどうですかというアピールの方法もあるのかもしれません。そこは状況に応じて、どのような訴えができるのかといったことも検討していきたいと思います。
○齊藤委員(代理小松原氏) この実績の中で、財形貯蓄の残高全体で見ると減少しているところですけれども、労金業態においては依然として増加しております。これは私どもの取引先である労働組合を通じて、各組合員の方々に、勤労者の方々に利用していただいているということです。その中でも特に財形年金については自助努力ということで、件数自体も増加しております。特に来年から比例報酬部分の年齢が引き上がるといったこともあり、無年金無収入の期間が続くということもあって、それへの備えということで、かなり意識が高まってきていると思っております。私どもとしてはそういった努力をしていきたいと思っておりますし、特に中小企業での周知活動も、是非やっていただければと思っております。
○宮本分科会長 そのほかにいかがですか。それでは、いろいろな御意見が出たと思いますが、このあたりで議題1はおしまいにしたいと思います。
 それでは議題2に移ります。「その他」ですが、事務局から御説明をお願い致します。まず資料2-1と2-2ですね。
○木原勤労者生活課長 資料2-1、5ページに財形制度の中小企業への普及促進についての資料を付けております。まず、7ページを御覧ください。前回の分科会でもお出しした、企業規模別の財形貯蓄の導入状況です。まず、どの規模についても経年的に導入割合が低下していることが気になります。この傾向を食い止めなければとも思いますけれども、企業規模に着目しますと、規模が小さいほど導入割合が低いということが明らかです。平成21年度の数字で見ますと、1,000人以上規模の企業では導入割合が8割であるのに対して、30~99人規模の企業では、導入割合は4割ということで約半分です。
 このような現状がある中、8ページのとおり、国会での附帯決議や独立行政法人評価委員会、当分科会においても中小企業に対する普及促進について、いろいろな指摘がなされております。中でも2の独立行政法人評価委員会では、財形融資業務が中小企業の退職金共済制度を実施している勤労者退職金共済機構に移管されたことに着目して、周知の取組の工夫とか、退職金共済と財形の連携についての期待が示されております。当分科会での意見の中でも、勤労者退職金共済機構への移管ということで、中小企業への普及を一層行うようにという御意見をいただいております。
 このような実態や各方面の指摘を受けとめて、勤労者退職金共済機構を中心に、様々な取組を開始しているということをまとめたものが5ページの資料です。5ページに戻ってください。1の既に取組を行っているものでは、退職金共済事業の関係での機関誌や支部の活用、退職金共済の加入促進等で協力をいただいている全国中小企業団体中央会や各商工会議所、社会保険労務士会等に働きかけて、財形の普及にも協力いただいております。また、中小企業向けのメルマガへの掲載依頼といった取組もしております。以上はいずれも勤労者退職金共済機構の取組ですが、中小向けに限らず、一般向けの周知も必要と考えており、厚生労働省のメルマガでの情報発信もしました。これは一度だけでなく、今後も進めたいと考えております。
 次のページの2の今年度中に取組予定のものは、勤労者退職金共済機構の財形のウェブサイトのリニューアルを予定しております。現在、機構で作業を進めているところですが、中小企業への情報発信を意識した内容となることを念頭に置いております。同様の観点から現在、新たにパンフレットも作成中です。これらは行政にも相談いただきながら、勤労者退職金共済機構で作業を進めていただいております。退職金共済事業との連携という観点で、作成予定のパンフレットを、中退共未加入企業へダイレクトメールを送る機会に同封することなどの活用も、予定していると承知しておりますし、既に退職金共済に入っている企業に対しても、送り先をどう絞るかという工夫が必要ではありますが、パンフレットを送る予定と承知しております。
 更に、3の現在検討中のものとしては、中小企業事業主団体との連携による周知広報活動として、もう少し工夫できないものか、機構とともに検討を進めているところです。このように中小向け、あるいは中退共事業と連携した周知の取組を進めております。
 9頁が「財形持家融資制度の見直しについて」です。更なる利用促進を図るという観点から、利用者の要望等を踏まえて、運用上の改善を行いました。併せて、東日本大震災の特例措置を拡充しました。順に簡潔に御説明申し上げます。1の融資の受付に関しては、受付の時期的な弾力化を図りました。2や4は文字どおり、融資対象費用の拡大や敷地面積要件の廃止を行ったものです。3は東日本大震災関連です。財形持家融資の特例貸付を設けております。その対象として、福島の原発事故による避難指示区域内の住宅に代わる住宅を取得しようとする勤労者も対象に加えました。この制度は8月にできて、10月までの実績では1件ですけれども、御利用いただいております。
 次が10ページの5です。融資率を、住宅取得等に要する費用の8割から9割に引き上げました。6は金利設定の見直しです。財形持家融資については累積欠損金が生じておりましたが、今年度で解消される見込みとなり、財務状況の改善を踏まえて、貸付金利を再設定しました。その結果、貸付金利の引下げにつながりました。10月1日現在で0.92%です。持家の融資ということで、すぐに利用が増えるものではないかもしれませんが、これらの見直しが今後の利用につながることを期待しております。
○宮本分科会長 ただいま御説明いただいた二つの資料について、御質問・御意見をお出しください。
○池田委員 質問です。中小企業が減っているという7頁の表で、1,000人以上と30~99人というのがありますね。これには基本的に所得の差というのがあるのでは。例えば可処分所得です。やはり大企業のほうが給与が多いと思うのです。中小企業のほうが給与が少ないから、貯蓄に回せる金額が少ないということがあると思うのです。給与の平均所得の差というのは、どれぐらいあるものですか。それで最初からこの差が出ているということはないのですか。それから、この貯蓄制度というのは、会社が替わっても持っていけるわけですか。中小企業の経営は安定していないからといって貯蓄しにくいとか、給与の総額の差と企業にどれぐらい就職していられるかという観点から、なかなか貯蓄しにくいとか、その辺の観点はどうなるのですか。
 それからもう1点。2ページの中で、先ほど貯蓄が増えているというお話がありましたね。一般財形貯蓄は確かに残高が増えているのですけれども、件数が減ってこれが増えるということは、大企業の勤労者たちの貯蓄が増えているということですか。1件の総額が増えているのか。
○木原勤労者生活課長 お答えできるものとできないものがあるのですが、順次申し上げます。まず2ページの表の関係です。残高を件数で割って、数字上1件当たりの額を出しますと、1年ごとに大体4万、5万程度増えているのです。ということは、財形貯蓄ですので貯蓄をしていきますから、その結果、1年間で1件当たりの貯蓄が増えているということの現れが、件数は減っているけれど残高としては増えているということかと理解しております。貯蓄ですので、年月が経てば1件当たりが増えて、その結果がこういう数字に出てきているということかと思っております。それに対して年金や住宅というのは、利用が決まればその分減っていく性格のものですので、こちらは件数・額ともに減ってきているということかと思っております。
 規模別の所得の差と財形の利用との関係については、そのような分析をした資料は手元にありません。いま御指摘のあったような観点も踏まえて、どのようなことが言えるのか、検討してみたいと思っております。いろいろ数字を見て考えていきたいと思っております。
 それから、企業を替わったときに持っていけるのかという件です。これは替わった先の企業が財形をやっていれば持っていけます。退職して次の企業に移るまでの期間が2年以内であれば持っていけます。ですから辞めて2年以内であり、再就職をした企業が財形をやっていれば持っていけるということです。
○瀬尾委員 9ページの「財形持家融資制度の見直しについて」の関連です。東日本大震災の関係で、勤労者の場合でも住宅を失われた方が多いと思うのです。たしかこの利用件数はまだ少ないと言われたと思うのですけれども、どういった理由でなかなか利用されない部分があるのか、その状況を聞きたいと思います。
○木原勤労者生活課長 まず、いま申し上げた1件というのは、8月に新たに設けた原発の事故に関連するものですので、そもそもそのように限定されたものであるというのがあります。そのほかに東日本大震災関係で設けている特例措置の利用としては、平成23年度で20件、平成24年度には原発のものを含めて10月末で22件の利用があります。これが多いのか少ないのかという問題はありますけれども、財形融資全体の利用状況が減っている中にあって、20件なり、今年度10月末までで22件なりの御利用をいただいているということは、一定の意義は認められるのではないかと考えております。
○上原委員 中小企業にも普及しろということですので、例えば全国中央会からも御指摘があるように、PRに努めるということには一層協力したいと思います。ただ、先ほどから議論があるように、傾向がやや右下がりだと。一般論で言うと、右下がりの要因はいろいろあるということですけれども、よくよく解析されて、個別の理由に対してどうすれば財形の制度として競争力を高めることができるのか、洗い直しを深掘りする必要があるのではないですか。多分、そういう一連の結果が2-2のいろいろな四角に書いてあることだろうと思うのです。
 例えば、大震災の影響にも対応するということですけれども、当地は当地で二重ローンとか、いろいろな課題がありますよね。そういうところをどうやってクリアしていくのかという、様々な知恵を出していく必要があります。更に能開機構から退職金共済機構に移って、ちょうど1年くらい経つわけですから、PRをするときに、変わったんだという新製品というか、そういうプラスアルファー部分を強調されたほうがPRもしやすいのです。知っているよということなのか、よく知らないよということなのか、いろいろな人がいらっしゃると思うのです。企業のPRでもそうですけれども、ここが今度新しいですよということをPRすることが必要だと思います。
 特に中小企業、我々の企業も昔やったことがあるのですが、それは平たく言うと、やはり金融機関から相当のプレッシャーがあったのです。いまは金融機関のほうも中央銀行がどんどん限りなく金融を緩和していますから、お金を集めることにそれほど魅力がないというか、行員へのノルマがないというか。私は知りませんけれども、一般的な傾向としてそういう傾向があるのではないかと思うのです。お金を集めても、むしろ使い道のほうが問題なわけですから、そこの部分を上手に利用するというのも一つの方法なのかなと。中小企業もさることながら、個別のいろいろな金融機関があるわけですから、そこに普及方をどうお願いするかということだろうと思うのです。その辺も少し具体的な整理をされたほうがいいのではないかと思います。
 あとは個別の金利の問題とか、550万円まで利子等に税金がかからないとか、いろいろなプラスがあるわけです。おそらく民間にも、銀行とかいろいろな所がやっている競合する商品がいくつかあるだろうと思うのです。これも一般論ですが、そういうものとメリット・デメリットを作表して、弱い所をどうやって強くするのか、強い所は更に強くするというプランニングが必要です。いろいろな制約があると思うのですけれども、そういう整理を1回されて対応することが、非常に重要かと思います。
○木原勤労者生活課長 大変ありがとうございます。お伺いしながら、経営の観点からかなとも思いました。抽象的なお答えになってしまって恐縮ですけれども、我々の思い至らないところも含めて、様々なアドバイスをいただいたと思っております。できるだけ細かな情報を集め、分析できるところはして、可能な措置を講じていけるように、いろいろな分析や対策の検討を進めていきたいと思います。
○宮本分科会長 その他いかがですか。
○臼杵委員 今の上原委員の御意見に私も大変共感します。それに関連して、事務局から御説明がありました住宅ローンについてお伺いします。2点ほどあります。一つは、これは先ほどとも関連していますが、民間金融機関と比べて、財形住宅持家融資制度が、どういう競争力というか、どういうメリットが具体的にあるのかどうかというのが一つです。
 もう一つは、持家融資のグラフは、先ほどの御説明に戻ってしまいますが、4ページにありますが、一つはこれは全体で住宅ローンの件数がどうだったか。その中で財形の持家が何パーセントぐらいのシェアというのでしょうか、そういうものを持っているのかを見ないと、世の中全体としてこういう傾向にあるのかどうかということと、その中で財形持家融資制度がどういう位置づけになっているかというのが分からない気がします。もしそういうことが分かっていればお伺いしたいです。
 むしろ金融機関が、今競争相手になっている状況でいくと、それはただ2000年ごろからずっとそうだったということで言うと、平成14年や平成17年ぐらいに、なぜこの時に伸びたのかということも、もしご存じであればお伺いしたいと思います。
○木原勤労者生活課長 まず住宅ローン全体に占めるシェアについては、融資の残高について言うと、大体1%前後ということです。新規の貸出決定に占めるシェアとなると、0.何%程度です。
○臼杵委員 それはトレンドとして、もちろん今のシェアというのは分かるのですが、これが上がっているのか、下がっているのかとなると。
○木原勤労者生活課長 今、5年程度の数字しかないのですが、実績が落ちていることもあるのですが、5年程度の数字で見ますと、低下傾向にあります。住宅金融支援機構のデータから見てそのようなことが言えます。
 平成14年から平成17年ごろに利用が増えているのはなぜかということですが、これは他の金利と比べて、金利の上で優位性があった時期ということです。これに対して、最近落ち込んでいるのは、専ら金利の影響が大きいと思っております。これも住宅金融支援機構の調査によると、利用者の半数以上が変動金利を利用しているようです。その変動金利となると、いろいろ条件付きの有利な率として、ホームページで公表されている数字を見ても、0.8%台が一般的ですし、0.7%台の銀行もあります。そういった低い金利の中にあって、財形の率が少し見劣りしていたのかというのはあるかと思います。ただ、財形のメリットとしては、いろいろな金融商品がある中で選択をされるのでしょうが、5年固定で35年までいけますので、長期で5年ごとに見直されるという仕組みです。しかも、金利については比較的低金利であると。このように5年固定で、低金利で活用できるという、ある程度安心であるということがメリットとして言えるかと思っております。
○臼杵委員 要は5年ごと見直しの中では、先ほどの0.92%というのはかなり競争力があるということですか。
○木原勤労者生活課長 そういう意味では、今、5年固定で一般的に見ますと、これも金融機関がホームページで公表しているいろいろな条件付きで優遇される金利で見ますと、大銀行でも1.1%といった数字が見られます。その中にあって決して高くはないと思っております。もっと言いますと、一般の金融機関については、いわゆる団信が入っているとか、0.92%はそれがないということはあるのですが。
○臼杵委員 これは何で5年固定なのですか。
○木原勤労者生活課長 そこは調達との関係があります。大きなリスクを取るわけにはいきませんから、勤労者退職金共済機構が資金を調達する際に5年債券を発行して資金を調達しておりますので、貸出も5年でやることによってそこのバランスをとるようにしております。
○臼杵委員 余り同じことに時間をとってもあれですから。スワップを使うと普通に変動金利に変えられると思うので、別に5年固定にこだわる必要はあまりないのかなと。お客さんのニーズが変動であれば、それは理屈としては変動で出せると思いますので、もし今後の検討課題としてお考えいただければと思います。
○三原委員 財形制度そのものについては、当然事業主が加入しないと勤労者が入れない仕組みになっていると思っています。そういう意味では、先ほど事業主の数が減っているのは、当然全体の数の増加にもつながらないという話になるかと思います。特に中小企業の事業主にとってメリット感をどうPRされるか。若しくは、現状で言うと事業主にとってのメリットがないと思っているのです。その辺を何だか考えないと、このまま事業主として余りメリットを感じないと、現状のように人が来なくて大変だという時代ではないので、財形があるから従業員が集まる状況ではありませんから、その辺を考えないと、事業主として財形制度を導入しようという気持にならないのではないかと思います。現状で何か考えていらっしゃることがあれば聞きたいと思います。今後、何か検討をいただければと思います。
○木原勤労者生活課長 やはり、財形制度があるということが、働く人にとっての魅力があることにつながれば、事業主さんにとってもそれ自体がメリットになるのでしょうが、今はそこまでいっていないのではないかという御指摘であるかと思います。
 企業が財形制度を導入しているのが当たり前だという状況になれば、ここは財形がないのということになるのでしょうが、そういう意味では鶏が先か、卵が先かになるかもしれませんが、たくさんの企業に使っていただけるように、これは福利厚生の観点から財形制度は大変魅力的ですということをPRしていくことが、今は大事なのかなと思っております。その他にどんなことができるのかは、またお知恵などをいただきながら検討していきたいと思います。
○宮本分科会長 今のことに関わって、企業自身は財形に加入することによって負担があるのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 負担と言いますと、給料から天引きをして、それを銀行の口座に入れるという負担があります。そういう事務が生じてきますが、そこもいろいろ話を聞きますと、1回やればいいとか、銀行の協力をいただければそんなに面倒ではないという話も伺います。ですから、一定の手続はあり、それが負担と言えば負担ですが、過度な負担ではないのではないかと考えます。
○宮本分科会長 1枚目の表の真ん中のところに、給付金制度と基金制度の四角の中に、「事業主は毎年10万円まで拠出」となっていますが、この意味が分からなかったのですが。
○木原勤労者生活課長 これは拠出ができるということで、貯蓄ですので、勤労者個人が貯蓄をするわけですが、それに事業主サイドの協力として、事業主もそれにお金を出しましょうという制度を設けることができます。それによって、より貯蓄が溜まりやすいようにしようということです。それに対して、事業主が出すのに対しての課税の特例があります。事業主が一人当たり毎年10万円まで個人に対して上乗せができるのですよという仕組みです。
○宮本分科会長 負担ということではなく、できるという意味ですね。
○木原勤労者生活課長 はい。
○宮本分科会長 分かりました。
○須田委員 考え方は一つだと思うのですが、昔、ある意味で大企業を中心に福利厚生を充実することで、自助と福利厚生で生活をどう考えるかという時代から、自助、共助、公助をやらなければいけないという時代に変わったのだと思うのです。財形ができる前は、会社側の資金繰りも含めて、社内預金制度を作ってきたと。それをある意味で廃止していく中で財形制度を作って、大企業であれば、自社で住宅融資制度等を持っている所、中小で持っていない所。誰でも勤労者が必要なときに自助努力もしながら、いろいろな財産形成をしていくという意味で財形は生まれて、今に至っているという認識からすると、事業主のメリットという話が先ほどありましたが、それは働く人たちと事業主の関係をどう考えるかということに尽きるのではないかと思うのです。
 先ほど瀬尾さんからもありましたが、結果として非正規という雇用形態が増えている中で、そこをどう考えていくのかという観点で、財形というのはどう考えたらいいのかという整理が必要ではないか。この分科会の中心テーマではないとは思うのですが、今般労働契約法が変わりましたが、労契法第20条の関係をどう考えるかも含めて、この仕組みをこれからどうやっていくのか。今日は答えが出ないと思います。ただそういう課題意識も持ちつつ、これから検討していかないといけないのではないかと思います。
 東日本についても、これは住宅融資ですから、勤労者自ら住む家です。今段階で、本当にあの地に、もう一回定住しようと思う人がどれだけいるのかという現実があると思うのです。そうしたときに、これも大きな枠組みになってしまいますので、例えば被災3県と取るのか、福島だけ限定したらいいのかというのはありますが、これは融資以外が目的外用途になってしまうのかどうかという点も含めて、原発の被災地支援という意味で、住宅取得以外に住宅財形を取り崩したときに、目的外使用とすることがいいのかどうかも含めて検討された方がいいのではないかと思います。以上です。
○木原勤労者生活課長 御意見をいただいたということかと思いますが、お答えすべきことは1点あったかと思います。住宅財形について、住宅取得以外に引き出したときに目的外使用として課税されるのではないかということだったかと思います。これは措置が講じられており非課税です。
○須田委員 範囲はどうですか。
○木原勤労者生活課長 どこの居住者とか、そういう限定はありますが、住宅財形、年金財形について、住宅取得、あるいは年金支払い以外に引き出しても目的外使用にはならず、課税はされないという措置が講じられております。
○須田委員 それは少しPRしたほうがいいですよね。多分、知っている人は余りいないのではないかと思います。
○宮本分科会長 その他はいかがでしょうか。
○西村委員 今までの先生方の御意見に賛同するのですが、やはり、メリットとデメリットを一度再整理していただいて、見せていただきたいと思うのです。デメリットの部分について対策を講じて、広報だけが今度の中小企業への促進では中心的になっているのですが、それで十分ではないかもしれないと思います。
 あと一つ質問で伺いたいのは、住宅の持家融資については、先ほども転職の際に持ち運べるかという御質問があって、この融資を利用したときはどういうふうになりますか。続けてこの制度を使っていけるのかとか、そこも伺いたいと思います。
○佐藤勤労者生活課課長補佐 事務的なお話をさせていただきますと、事業主を通じて転貸融資を受けている勤労者は、転職した場合、次の事業主を通じて返す方法と、借りている勤労者退職金共済機構に直接返す方法の両方あります。それは個別に相談していただいて決めるということをやっております。
○西村委員 そうしたら、先ほどの貯蓄の方に持っていけるという要件は係らないですね。企業先が導入していないと財形は続けられないというのがありましたが、借りる場合は、そういうのとはまた違うということですか。
○佐藤勤労者生活課課長補佐 同じように、転勤した先の事業場が財形の融資を導入していなければ、そこでやることはできないということにはなります。もう一つの方法として、事業主を通さずに勤労者退職金共済機構に直接返す方法も選べることになっております。そこは個別の事情をお聞きしながらどうするか決めていると思います。
○西村委員 そういうのはやはり借りるときは長期になるので、従業員側も転職のリスクというのは貯蓄以上に考えると思うのです。
○佐藤勤労者生活課課長補佐 それは具体的には転貸融資ということになりますと、事業主と勤労者の方で契約を結びますので、その中で転職したときにはどうしますかというのを通常は盛り込んで契約をしております。
○宮本分科会長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○布山委員 今まで皆さんの御意見を伺っていて、普及促進のために何か周知をするとしても、今ここの中でも、そういう制度になっていたのかと思う部分はかなりあるのではないかと思うのです。その中で、こういう部分が強みなんだ、メリットなんだという部分をもっと知らせてPRしないと、こういう制度がありますというだけでは、なかなか積極的にこれを取り入れようということにもならないのかなと、今感じました。以上、感想です。
○木原勤労者生活課長 我々も不十分な点もあると思います。良い制度だから使ってほしいというのが基本的なスタンスですので、使っていただけるようにPRしていきたいと思います。
○宮本分科会長 大体御意見、御質問はよろしいですか。2年前の勤労者生活分科会で、勤労者財産形成促進制度について議題が出たときには、資料もごくわずかで、全体として利用が下がっているというくらいのところで、ここまで議論が進まなかったのです。そういう意味で言うと、昨年辺りから少しずつ本質的な議論をすべきだということで、そういう点で言うと、今日はかなり本質に触れる御意見、御質問、疑問等が出されたと思います。そういう意味でも、次回には更に議論がしやすい緻密なデータを用意していただく必要があるかと思います。それでは資料3と4の御説明をお願いします。
○木原勤労者生活課長 財形融資を実施している勤労者退職金共済機構は、独立行政法人ですが、この独立行政法人については昨年来、見直しが進められておりますので、その状況について御報告します。
 12ページの横長の図で、いちばん上に細長い枠があります。独立行政法人について、「全法人一律の現行制度と組織を抜本的かつ一体的に見直し、事務・事業の特性に着目して類型化するとともに、最適なガバナンスを構築」することとされました。こういう観点から見直しが行われております。
 廃止や民営化等が適当とされたものは別として、それ以外については、下の方に共通ルールがあります。共通ルールとして何項目か書かれておりますが、共通して適用するルールが見直されることになりました。全体として共通的な見直しが行われることに加えて、上の方に比較的濃いところで、文化振興型、大学連携型、金融業務型と列挙されておりますが、業務の性格によって類型化して、それぞれに最適なガバナンスを構築することとされました。
 こういった一連の改革の中で、勤労者退職金共済機構がどう整理されたかというのが、13ページです。閣議決定におきまして、?.で勤労者退職金共済機構は「高度なガバナンスの仕組みを措置した金融業務型の成果目標達成法人」とすると整理されました。即ち共通ルールに加えて金融業務型としてのガバナンスによるとされたものです。点線から上が閣議決定で、点線から下がその閣議決定のもととなった行政刷新会議の分科会の報告書です。ここではいちばん下の○の労働者健康福祉機構の部分を御覧ください。労働者健康福祉機構は、労災病院の運営等を行っていますが、現在、そこが行っている未払賃金立替払事業について、勤労者退職金共済機構に移管することが適当と整理をされました。なお、これら一連の改革については、閣議決定で平成26年4月に移行することを目指すとされました。続いて11ページの資料3です。こういった見直しが行われていることを踏まえて、共通ルールに関する独立行政法人通則法の一部改正の法案や、必要な法律上の整備を行う整備法案が、先の通常国会に提出されました。勤労者退職金共済機構の関係の法整備も含まれています。先般の衆議院の解散に伴う審議未了により、この法案は廃案となっております。今後の取扱いは未定ですが、このような独立行政法人の見直しが行われていることの報告です。
 14ページの資料4、勤労者退職金共済機構の見直し当初案についてです。勤労者退職金共済機構は、厚生労働大臣が定める中期目標を踏まえて、業務を実施しております。最初の○にあるように、その中期目標は平成24年度、今年度で終了予定です。(※)にあるとおり、独立行政法人通則法の改正法案が成立すれば、この中期目標の期間は1年間延長されることになっていたのですが、廃案となったということです。とにかく、現在の法律を踏まえて、今年度末で中期目標は終了ということを前提とした作業を行っております。
 具体的な作業としては、次の○にあります。「組織・業務全般の見直しについての当初案を作成」するということです。組織・業務全般の見直しに当たりましては、(※)で法の条文を引用していますが、第2項で評価委員会の意見を聴くとされています。これは厚生労働省の独立行政法人評価委員会です。第3項で審議会は勧告ができることとされています。この審議会というのは、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会です。
 これらを踏まえて、厚生労働省では勤労者退職金共済機構の組織・業務全般の見直し当初案を作成して、厚生労働省の評価委員会の御意見を伺った上で、現在、総務省の審議会の御意見を伺う手続を行っているところです。厚生労働省が作成した見直し当初案が15ページ以降です。中小企業退職金共済関係も多くなっております。15ページが一般の中退共における確実な退職金支給のための取組です。16ページが建設等の期間雇用者を対象とする特定業種退職金共済事業における取組です。17ページが、中小企業退職金共済事業への効果的な加入促進対策の実施と財務内容の改善に向けた取組です。
 財形の関係は18ページの上半分の二つです。一つは中小企業に対する制度の導入及び運営に係る情報提供の充実です。先ほども御説明したとおり、現在から先行して取組もしておりますし、次の中期目標期間においても更に取り組んでいく必要があると考えております。
 もう一つは財政の関係です。これも先ほど御説明したとおり、財形に関する財務状況が改善したので、これを踏まえて、現在、勤労者退職金共済機構の財形勘定に年間4億円程度の運営費交付金が出されているのを廃止して、自律的な財政規律の下、安定的かつ効率的な財政運営を実施することとしております。
独立行政法人勤労者退職金共済機構に関連した報告としては以上です。
○宮本分科会長 ただ今の御報告につきまして、御質問や御意見をお願いいたします。
○井上委員 平成24年度に中期目標期間が終了して、平成25年度からまた新しい期間が始まるという理解になるわけですね。
○木原勤労者生活課長 はい、そうです。
○井上委員 その平成25年度以降の目標を、先ほど御説明いただいた方でやっていくということですか。
○木原勤労者生活課長 平成25年度からの新しい目標を作るわけですが、その目標を作るに当たって、平成24年度までのことをまず振り返って、それを踏まえて、この先どうするかという方針をまず決めようと。それを前提に次の目標を作っていこうということで、次の目標を作るに当たっての前作業ということです。
○井上委員 独立行政法人の名称を変える、変えないという話が出ているようですが、廃案になったということで、平成25年度というのは独立行政法人のまま、また再度目標を設定するということになるのですか。
○木原勤労者生活課長 今の法制度を前提としますので、そういうことです。
○井上委員 名称を変えるだけでも大変ですよね。
○木原勤労者生活課長 最初は平成26年度から新しくなるということで、平成26年度からきれいになるように、目標も、ちょうど平成25年度で終わって、平成26年度から新しくなるようにするという枠組みだったのですが、平成26年4月からというのが曖昧になりましたので、とにかく24年度までと25年度までと両方で作業をしていこうということで進んでいました。今、平成26年4月からというのが廃案になって、さて、というところです。そういう意味では確かに分かりにくい状況です。
○宮本分科会長 その他いかがですか。
○臼杵委員 今、御説明がなかったところかもしれませんが、17ページの3番の累損の解消の話ですが、この辺は何か具体的にお考えはおありですか。一部の新聞等の報道では、今の利率を少し下げるということも出ていたように思うのですが。
○木原勤労者生活課長 一部の新聞の報道は、どうしてあんな記事が出たのだろうということで、私どももびっくりしております。これは財形ではありませんが、臼杵委員も部会長代理である中小企業退職金共済部会で、これから議論することになっております。今、財政再計算をこれから中小企業退職金共済部会の中で御検討をいただくこととしております。その中で累損欠損金を念頭に置いて、どういうふうに対応するかということも御議論いただくということです。
○宮本分科会長 その他、いかがですか。
○瀬尾委員 初めて聞いてよく分からないのですが、これは法人に関わる改革的な部分の一環として、今までやってきている部分を見直していくものがあって、今回法案の部分ではそれが通らないから、その部分はもう持ち越しだよと。そのままですよという解釈ですか。
○木原勤労者生活課長 独立行政法人の現在の仕組みの中で、国が定める中期目標を受けて、法人が定める中期計画に従って、いろいろな業務を行っていくという仕組みがあります。その中期目標期間が終了するときに、組織・業務全般の見直しを行うという枠組みがあります。こういう現在の独立行政法人制度の枠組みに従って、見直しの作業を行っているのが資料4の流れです。
 それとは別に、独立行政法人制度そのものを見直していくというのが、資料3の流れです。この二つのことが一緒にきておりますので、少し分かりにくくなっておりますが、資料4は今の枠組みでの作業です。
○宮本分科会長 瀬尾委員、よろしいですか。
○瀬尾委員 何か事業的な部分を、不具合点があるからとか、そういう部分ではなくて、組織見直しそのものがもうあって、変わっても事業内容とか、そういう同じような形を継承するということでしょう。それを結構見直すということですか。
○木原勤労者生活課長 瀬尾委員が御疑問なのは、11ページの資料3の独法改革の件ですか。
○瀬尾委員 そうですね。
○木原勤労者生活課長 これはおよそ独立行政法人制度というものについて見直していこうということで、大きな枠組みが変わるものです。この中では、こと勤労者退職金共済機構に関しては、中小企業退職金共済の業務、財形の業務を引き続き行っていくことは変わりはありません。それに加えて、未払賃金立替払事業も加わるという、法人全体として変わってくる中で、勤労者退職金共済機構については、今の業務は変わらずに新しく付いてきますというのが行われようとしている。ただ、これはまだ法律は通っていないという状況です。
○瀬尾委員 見通し案も法律が通らない限りは、もうそのままだということですか。
○木原勤労者生活課長 これはここで何か私が言うような性格のものではない、もう法律次第だと思っております。
○宮本分科会長 どうぞ、上原委員。
○上原委員 一般的な意見ですが、恐らく国民の声というのは、行政もスリムにしなさいという話だと思うのです、国の成長力は落ちていますから。そういう中で、それぞれの法人なりがどうなろうと、守るべきものはこれで、捨ててもいいものはこれだと内部整理していく必要はあるのだろうと思います。その捨てるものを、言葉は悪いけれども、どこかにやってもらうのか、縮小するのか、そういう整理と方法がいるのだと思います。これは伸ばすと、いくつかの根本的なシナリオを作っておいて、どういうふうになろうが、しっかり対応できるというのが行政側のあるべき姿ではないかと思います。
○木原勤労者生活課長 独立行政法人対策をこれまでいろいろ進めていく中で、いろいろな業務を廃止するとか、組織も見直しをするとか、いろいろなことを進めてきております。今回は、まだ案段階ですが、中でもいろいろなガバナンスの見直しが予定されております。御指摘のように、やるべきものはしっかりやっていく。それをしっかりやっていけるような体制を作っていく。無駄などはないかということも検証していく。これはやはり必要なことだと思っております。
○上原委員 その中で、そういう事務作業をしなければならないわけですから時間もかかるし、ロスもあるわけです。そこはやはりある意味ではPRしないと、時の変化というのはすごく早いですから。そこも非常に重要です。余り邪魔するなと言うと語弊はあるけれども、そういう価値観もいるような気がします。この場でこれを議論する話ではないかもしれませんが。
○宮本分科会長 大体、御発言、御意見はよろしいですか。今日は大変活発な御発言をいただきましてありがとうございました。特にないようでしたら、本日はこれで終了したいと思います。最後に、本日の議事録の署名委員は大塚委員と布山委員にお願いします。それでは本日は散会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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