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2012年12月19日 平成24年度第3回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成24年12月19日(水)16:00~18:00


○場所

弘済会館 4階 「萩」の間
(住所:東京都千代田区麹町5-1)


○出席者

出席委員:(5名)五十音順、敬称略、◎委員長、○委員長代理

○大平 勝美、岡田 義昭、花井 十伍、◎半田 誠、牧野 茂義

欠席委員:敬称略

山口 照英

参考人:敬称略

日本赤十字社血液事業本部
 田所 憲治(経営会議委員)、日野 学(副本部長)、百瀬 俊也(安全管理課長)
一般社団法人日本血液製剤機構
 秋山 裕治(副理事長)、祇園 吉彦(常務理事生産本部長)

事務局:

厚生労働省医薬食品局血液対策課
 加藤 誠実(血液対策課長)、丈達 泰史(血液対策企画官)、笠松 淳也(課長補佐)

○議題

1.議事要旨の確認
2.感染症定期報告について
3.血液製剤に関する報告事項について
4.日本赤十字社からの報告事項について
5.その他

○議事

○血液対策課課長補佐 薬事・食品衛生審議会平成24年度第3回血液事業部会運営委員会を開催いたします。本日は公開ですので、よろしくお願いいたします。
 まず委員の出欠状況です。山口委員から御欠席の御連絡をいただいておりまして、6名中5名の先生方に御出席いただいております。
 本日は参考人としまして、日本赤十字社血液事業本部より田所経営会議委員、日野副本部長、百瀬安全管理課長にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。カメラの頭撮りはここまでとなります。
 以降の進行は半田委員長にお願いいたします。
○半田委員長 事務局から資料の確認をお願いします。
○血液対策課課長補佐 議事次第、座席表、委員名簿と一つ綴じになったものです。資料1「平成24年度第2回血液事業部会運営委員会議事要旨(案)」、資料2「感染症定期報告に関する今後の対応ついて」、資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」、資料3-2「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」、資料3-3「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」、資料4「感染性因子低減化(不活化)技術導入準備に係る評価試験結果報告(日本赤十字社)」、資料5「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針(案)新旧対照表」、資料6「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」、資料7「株式会社ベネシスに対する改善命令について」。
 参考資料1、参考資料2、参考資料3、カラーの1枚紙の「ホームページの公表について」。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
○半田委員長 議事に移ります。議題1は前回の「議事要旨の確認」です。もし何か御指摘があれば、事務局まで申し出ていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 次に、議題2「感染症定期報告について」です。事務局から御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 文献による最新の報告です。資料2の5ページから12ページにかけて、ざっと御説明させていただきます。文献資料は37ありますので、10個ずつぐらいで一旦説明を区切らせていただきます。
 5ページの「感染症定期報告の報告状況」2012年8月1日から10月31日までです。1番目がB型肝炎に関するもので、南アフリカで個別NATのスクリーニングの結果、4年分を集めたものです。約300万の供血血液をスクリーニングしたところ、149件のNAT陽性供血が同定されました。149件中114件が抗HBc抗体が検出される前のウインドウピリオドであったということです。
 2番が、台湾におけるワクチン接種プログラムの効果の評価です。乳幼児のユニバーサルワクチン接種プログラムの評価として、1984年に開始されたプログラムの25年後の血清疫学調査の結果です。この本文には書いてありませんが、プログラム開始後に出生した被験者と、ベースラインの被験者で、HBs抗原の保有率が0.9%:10%ということで、若年者へのワクチンの有効性が明確であると示されたものです。
 3番が、中国におけるニワトリの血清及び肝臓中に含まれるHBVのB型肝炎の関連検査の結果です。3行目にありますが、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体の陽性率が、それぞれ26%、53%、17%ということでした。2行下ですが、2例の肝臓検体において、既存のB型の株と相同性が示されたということです。
 4番が、B型肝炎の日本の感染者の感染性に関する研究です。2行目、小児及び成人47名について、尿、唾液、涙液、汗中のB型のDNAを検出したところ、PCRで、尿検体が73%、汗の検体が100%等で、B型のDNAが検出されたということです。小児の1例の涙液の検体をマウスに静注したところ、DNA陽性となったということです。
 5番が、アメリカにおけるC型肝炎の感染の経過等を示したものです。1行目、738例のHCV抗体陽性供血者について調べたものです。5行目、独立因子は静注薬物使用、輸血や経鼻コカイン使用であったということです。下から2行目、感染後平均25年で2%に肝硬変が確認され、8%が5年以上でlshakステージ2以上に進行したということです。
 6ページの6番の文献です。E型肝炎です。オランダにおける臓器移植のレシピエントにおけるE型肝炎感染に関する報告です。オランダで、2000年から2011年に臓器移植を受けた1,200例のレシピエントのうち、12例の方についてE型肝炎の感染が判明し、11例が慢性肝炎であったということです。下から4行目、この感染の原因が市中感染か院内感染か、経路等は不明です。
 7番、同じくE型肝炎です。スウェーデン、ドイツ、アメリカの血漿供血における陽性率を調べたものです。5行目、E型肝炎陽性供血の割合は、スウェーデンでは7,900:1、ドイツでは4,500:1です。ちなみに日本は1万2,000:1ぐらいです。一方で、アメリカの供血では5万1,000検体に対して検出はなしということです。大部分のサンプルはウインドウ期供血であったということです。
 8番が、カメルーンにおけるPARV4の感染の報告です。2行目、451例を用いて調査を行った結果、17.5%でPARV4の抗体を有していたと。関連として、マラリア予防薬の静注、結核の非経口治療、避妊薬の筋肉注射に関連があり、ある程度の非経口感染があることが示唆されたということです。
 9番が、イギリスにおける血友病患者におけるPARV4の感染に関する報告です。血漿由来のウイルス不活化凝固因子製剤の治療を受けている血友病患者集団、194例におけるフォローアップの結果です。5行目、検査開始時の陽性率は44%に対して、観察期間中に年1.7%の割合で陽転化が観察されたということです。これは因果関係ではなくて、フォローアップしていった結果、そういう状況が見られたということです。
 10番が、インフルエンザで、アメリカにおけるH3型のバリアントの感染の報告例です。CDCによりまして、アメリカで12例の感染が発生して、初めての死亡例が確認されたということです。この方は複数の基礎疾患を持つ高齢者で、ブタに直接接触をしていたと。ヒト-ヒト感染は限られておりまして、集団での持続的な活性は認められていないということです。
○半田委員長 ただ今の御報告に関しまして、委員の方々、質疑応答をよろしくお願いします。
○岡田委員 B型肝炎に関して、2番と4番の論文で、日本ではvaccinationはユニバーサルではなくてセレクティブなvaccinationで、HBVに感染している母親から生まれた子どもだけにvaccinationしているのですが、4のような論文だとすると、キャリアの方がいると、涙にも感染性があるとなると、セレクティブなvaccinationといっても、もっと幅を広くやらないと感染が成立してしまうのではないかということで、例えば日本でも実際に起こっているのが、保育園などで感染が起こったり、父親から感染した例、祖父から感染した例などが報告されていますので、そう考えると、今までのセレクティブなvaccinationでは不十分な例も出てきているのかなということで、4は特にそれを示した論文だと思います。
○血液対策課課長補佐 関連ですが、本日欠席の山口先生からも、2と4について同様のコメントというか、セレクティブなvaccination以外の部分が必要ではないかというコメントをいただいております。
 前回も多少この件は議論になりましたので、ワクチン担当の結核感染症課に確認しましたところ、今年5月の厚生科学審議会予防接種部会で、予防接種制度の見直しに関する提言が行われたということで、その中で、B型肝炎を含む七つのワクチンについて、医学的な観点から、広く接種を促進することが望ましいとされたところです。課題として、定期接種化には、継続的な接種に対する財源確保等が必要なこと等がありますが、そういうことも含めて、現在、厚生労働省において制度改正の作業が進められているということでした。
 なお、2と4に関しては同様でしたが、山口先生から4番について、確かに注目する論文である一方で、保育園、幼稚園といった所での感染というのは、非常に容易に起こるという話ではなくて、かなり特殊な場合、血が出ているようなときなど、状況が限定されていることもあるので、単純にこれが差別につながらないように考えておくことも必要ではないかというコメントをいただいております。
○大平委員 B型肝炎の問題ですが。こういう涙ですとか、体液からの感染の問題は指摘はされていて、これが感染者への差別の問題、病気自体への偏見の問題につながるところもあります。二本立てで、アジアでユニバーサルワクチンの接種がプログラムとしてされていて、日本はかなり特殊な事情という形で残されているのではないかと思うのです。今後、B型肝炎の問題はいろいろな疾患との重複の問題もありますし、ワクチン部会で検討はされているのだろうと思うのですが、優先順位としてはまだ低い方だという話も聞いたこともあるのです。できればワクチンそのものの入手の問題もあるのかもしれませんが、積極的な形で考慮していただければなと思います。
○岡田委員 6番と7番はE型肝炎なのですが、最初に日本では北海道で輸血の例がありましたが、ヨーロッパでも今、盛んにE型肝炎の研究がされていて、抗体保有率も日本より高いし、7番の論文に書いてありますが、日本よりもE型肝炎の核酸が陽性となる率が高いということで、そういう面では、ヨーロッパは日本以上に感染している方が多いということです。
 それで、6番の論文ですが、通常は不顕性感染で終わってしまうのですが、免疫不全の状態、特に臓器移植されている方、HIV等の感染で免疫が抑制されている方というのは、持続感染。通常のE型肝炎というのは急性肝炎で終わってしまうのですが、慢性肝炎になることがある。それを追試するような論文が6番です。
 9番でパルボウイルスのPARV4と言われているのですが、この日本語だけを読むと、今の製剤がとても危ないような印象を受けるのですが、よく論文を見てみますと、投与された方は1990年の前半に投与されていて、その血清を解析しています。ですから、それからもう20年ぐらい経っておりますので、その当時のやっと不活化が導入された製剤とは違って、今は更に不活化のいろいろなステップが入っていますので、今は恐らくこういうことをやっても差がないのではないかと考えられます。
 この論文で、ウイルス血症の量を定量しているのですが、109、1010ぐらいのハイタイター感染者がいるのです。それで、今までの報告だとPARV4というのは、非常に力価が低い状態でしか見つかってなかったのですが、パルボウイルスですので、一過性には非常に高いウイルス血症を示すということが、9番の論文で初めて明らかになったと思います。
 病原性に関しては発疹等が書いてありますが、正直なところ、このPARV4がどういう病気を起こすのかという原因については、残念ながら今のところ分かりません。ただ、中国の献血者からも見つかっているということなので、世界の分画に関係する人にとっては、PARV4というのは気になるというか、今後どうなるかについて、多くの方が関心を持っているウイルスです。
○半田委員長 それでは、続けて御報告をお願いします。
○血液対策課課長補佐 7ページの11番です。鳥インフルエンザです。メキシコにおける鳥インフルエンザAのH7型の発生報告で、ヒトでの感染事例が2例あったということです。1例が飼育場の従事者の方、もう1例がその親族の方で、両方とも重篤な症状に至ることなく回復ということです。
 12番が、アメリカにおけるウエストナイルウイルスです。この報告は8月の第2週の段階でということで数字が書いてありますが、11月末現在で、5,245名の感染者うち死亡者が236例ということで、感染者、死亡者数とも、2002年、2003年に大きく流行した年と、ほぼ同じ水準であったということです。
 13番がデング熱です。プエルトリコにおける輸血によるデング熱感染です。4行目、検体1万5,350例のうち、デングウイルスRNA陽性が29例の0.19%で観察されたということです。
 14番が、サウジアラビアにおけるヒトヘルペスウイルス8型です。4行目、血液透析患者と健康な被験者との間で、抗体陽性率が16.7%:0.4%、DNAの検出率でも4.2%:0.4%と差があったということです。ちなみに、血液透析患者の口腔内のウイルスは高ウイルス量で、多様性があったということです。
 15番が、ボリビアにおけるハンタウイルスの事例です。死亡例1例を含む3例の患者に見られました。ハンタウイルスの抗体調査ですが、人口の12.2%に過去にばく露があったことを示していまして、特に農業従事者の間で最も検出率が高いということです。
 8ページの16番です。同じくハンタウイルスで、ドイツにおいて2011年から2012年にかけて852例ということで、多い水準であったということです。3行目にありますが、ハタネズミの排泄物のばく露によりヒトに伝播するものです。
 17番、18番が、カンボジアの幼児における手足口病で、54例の死亡が見られたということで、大部分が3歳以下です。死亡例が多いということで、WHOがフォローアップしているという論文です。
 19番が、中国におけるヒトへの山羊痘感染発生です。山羊への接触がある方で、ウイルスが検出されたということです。34例の報告があったということです。
 20番が、中国においてブタにおけるサイトメガロウイルスとサポウイルスの抗体陽性率によるものです。中国の湖南省です。サイトメガロウイルスの陽性率が96.4%、サポウイルスが63%ということで、この地域ではかなり多いということです。
 21番が、日本において新しいウイルスのDNA配列が発見されたということです。下から3行目、この新しい配列をKIs-Vと名付けられています。ALT値の高いE型肝炎ウイルス抗体陽性者において、度々検出されたということです。
 22番、23番が、ドイツにおけるウスツウイルス感染の報告です。1例の陽性の方が出たということです。この方は男性で、感染症状はなかったということですが、鳥では多数の死亡が報告されているということです。
 24番が、サウジアラビアにおける新規コロナウイルスの感染者ということです。この症例では、49歳のカタール国籍の方、60歳のサウジアラビア人の方について、報告がなされています。現在WHOが疫学調査を進めているところで、国内でも厚生労働省から、都道府県並びに検疫所等に注意喚起をしているところです。
○半田委員長 委員の方々、質疑応答、コメントをよろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。それでは、次をお願いします。
○血液対策課課長補佐 続きまして、25番です。フィンランドにおける皮膚疾患患者に対する献血の対応です。下から3行目、フィンランドでは皮膚疾患を有する方については現行では献血を御遠慮いただくというガイドラインになっていますが、その検証です。皮膚疾患患者については、皮膚の細菌の全数と、黄色ブドウ球菌の数が一般の方よりも多く存在しているので、今のやり方はいいのだろうということで、論文になっております。
 26番が、イギリスにおけるオウム病のヒトからヒトへの感染が疑われた事例です。患者が5例、そのうち4例はお互いが親族であって、もう一方は医療従事者であるということです。感染源の推定は不可能ですが、症状の発現の時期が重なっていますので、ヒト-ヒト感染が疑われるということです。
 10ページの27番です。東京におけるMSM間での赤痢のアウトブレイクの報告です。2011年秋に、5例の細菌性赤痢患者が入院されました。5例ともHIVに感染したMSMであるということです。下から6行目、問診では、5例の患者間における直接性的接触のような密接な関係は認められませんでした。一方で、患者の分離株の結果、類似のパターンを示すことが明らかということで、予防行為の重要性がより強調されるということです。
 28番が、アメリカにおける輸血関連マラリア感染のリスクを減らすためのガイドラインのドラフトが発表されたということです。内容は主に3点で、マラリアの感染既往のある方は治療の成功証明書がない限り、無期限で献血を御遠慮いただきます。マラリアの流行国の居住歴のある方は、3年間献血を御遠慮いただきます。流行地域への渡航歴、通過歴のある方は、献血を1年間御遠慮いただきます。ただし、前回御報告いたしましたが、メキシコの中でもマラリアは州によって多い所と少ない所と分かれておりますので、感染率が低い州に対しては、こういう措置はとらないということです。
 29番、30番がバベシア症です。アメリカにおけるBabesia microtiの抗体陽性供給者の遡及調査に関するものです。遡及調査の対象となった656製剤から、合計208例の抗体陽性供給者が同定されております。詳しい検査を行ったもののうち、12.7%がPCRで陽性です。これは抗体陽性者に献血を御遠慮いただくようにしてからの2001年の6.3%ということで、その前の33.3%に比べて下がっているという結果です。
 30番は、同じくアメリカのバベシア症の垂直感染に関する症例報告です。生後6週目の女の子からバベシアが検出されたということです。下から6行目、お子さんが罹患したときに、お母さんのPCRスメアでは、バベシアは陰性でありましたが、総抗体価陽性ということで、母親の分娩前の感染症が原因でバベシア症になったという診断があったということですので、流行地域では注意しておく必要があるということです。
 31番が、アメリカのシャーガス病についてです。3行目、2,900万の供血のうち1,084例で抗体陽性となりました。更に詳しく調べた結果、37例中15例で感染がほぼ間違いないということでした。その方々について、全例が媒介昆虫や感染した哺乳類の生息地に居住した経験がある、野外レジャーや仕事があるということ等がございます。これは海外よりも、むしろアメリカ国内での昆虫媒介性感染の発生源を特定することが重要であるということです。
 32番が、アメリカにおいてトリパノソーマの抗体検査が一度陰性であったら、献血は御遠慮いただかずに献血の対象者にするという対応をとっているのですが、その検証です。実際に、一度陰性になった方が陽転化することが見られないということで、選択的検査は全数検査に匹敵する安全性を提供していると示されたというものです。
 33番以降が、クロイツフェルト・ヤコブ病に関するものです。33番が、フランスにおける弧発型クロイツフェルト・ヤコブ病に関する疫学研究です。こちらは研究で、年間の推定患者数を数学的なモデルで推定したものです。このモデルによれば、供血時から1年以内に発症するドナーが平均で1.1例、15年以内の発症が33.4例と推定されましたが、実際にはそういう方はいらっしゃらないということですので、今回の結果等から、輸血による弧発型CJDの感染のリスクは非常に低いということを示しています。
 34番が、アメリカにおける医原性のクロイツフェルト・ヤコブに関する最終評価に関する報告です。医原性の感染を防止する最良の方法は、一次感染ということですが、リスクを完全に除くことはできない。したがって、現段階では、??というような、リスクの高い方を同定する。器具の殺菌や体液の処理時のプリオン低減工程を組み込むなど、現在でできる方法を組み合わせて、リスクを最小化するのが最良の方法だということです。
 35番は、赤血球輸血経由のvCJDの感染リスクを評価するモデルが、イギリスとフランスで開発されたというものです。潜在的な有病率、供血者数、赤血球の輸血数、疾病の感染者数等を入力するということです。数学モデルですので、推定値の高いもの、低いものと出るわけですが、低い推定値を使うと推定の無症候性感染数は、臨床の症状数の10倍以上多いと予測されたということです。これはモデルの問題なのか分かりませんが、この論文では、90%が明確な兆候を示す前に亡くなった可能性を示しているという結論になっています。
 36番が、FDAにおける血液製剤を介したvCJDの伝播リスク減少の措置のためのガイダンス案です。この中では、血漿分画製剤によってvCJDを発症する可能性は極めて低いけれども、完全には排除できないということで、新たに血漿分画製剤の添付文書にvCJDに言及し、感染リスクを明記するように勧告するものです。ただし、アルブミンとアルブミン以外ではかなりトーンが違っておりまして、アルブミンについては、リスクということからはほとんど考えられないという表記になっている一方で、アルブミン以外のことについては、感染は排除できないので、可能性としてはあり得るというような表現になっています。
 37番が、イギリスにおける異常プリオンの保有率に関する報告です。2000年から2012年に収集された、41病院、虫垂検体3万2,441例から、異常プリオンが16例検出されたと。これは全体の有病率の推定は100万分の493ということで、前回の1995年から1999年の調査と比べると、統計的には同じ水準であったということです。以上です。
○半田委員長 質疑応答をよろしくお願いします。
○岡田委員 文献30で、生後6週の女児がバベシアを発症したということなのですが、これは健常な方が感染しても症状が出ないという一方で、免疫不全の方、脾臓のない方、乳児が感染すると発症しやすいということで、それを反映しているのかなと思います。そういう面で、日本ではまだ1例しかないわけですが、輸血の場合ですから、輸血をして、説明ができないような発熱、貧血があった場合、先ほど言ったようなリスクがあるような人は、鑑別診断の一つにバベシアを考えてもいいかなと思います。
 32番のトリパノソーマの抗体スクリーニングで、これは選択的検査ということが示されたということで、今、我が国においては、当然のことながらリスクがあるような人に対して、血漿分画製剤だけにしているということです。アメリカにおいては31番のようなこともありますが、リスク的には前回陰性であれば、新たに感染することはないということを示していると思います。
 35番と37番ですが、英国においてvCJDを発症する患者の症例数は激減しているのですが、37番の虫垂の症例を見ると、まだまだ発症していないというか、発症前の方が存在しているということが分かって、私自身びっくりしています。37番は3万2,441例の虫垂を調べたのですが、英国では扁桃を10万検体集めて、組織検査をするというのも並行して進んでいます。それは2010年に論文として発表されたのですが、それは6万5,000例ぐらいの扁桃を調べたのですが、1例もいなかったということが報告されているので、私も、発症する人はとっくに発症して、発症する前の人は少ないのかなと思っていましたが、37番の虫垂の例を見ると、まだ発症しない人がいるということで、英国においては今後もプリオン対策は続けざるを得ないので、厳しいなということを感じました。
○半田委員長 ほかにいかがでしょうか。
○大平委員 関連ですが、狂牛病の問題で、ブラジルで狂牛病が出て、日本の医薬品でも対策がとられるということが出ていました。お伺いしたいのですが、血液事業に関連しての問題点というのは、どのような問題があるか、全くないのか、分かりましたら教えていただきたいと思います。
○血液対策課長 ブラジルで結構高齢の牛で、サブクリニカルな検査で見つかったという報告がされています。ブラジルでは、これは1例だけでして、当然のことながら、まだブラジル国内では患者は出ていません。したがって、従来血液対策、特に献血の際に、問診その他を追加する際に御議論があったときに、患者が出ているかどうか、狂牛病の牛自体がどのぐらいいるのか、急激に増えている傾向があるのかといった観点から、対象として献血を御遠慮いただくという基準を定めていただいたと思いますが、今、申し上げた三つのいずれにも今回のケースは該当しないということです。
○半田委員長 ただ今の御意見等を参考にしていただきまして、より一層情報の収集をよろしくお願いします。
 次に進みます。議題3「血液製剤に関する報告事項についてについて」です。資料の説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」です。4ページです。献血時にウイルス検査プラスであった方について、過去の献血時の保存サンプルに遡って調査を行ったものです。一番右です。平成24年4月1日から9月30日までの縦のカラムを御覧ください。一番上に3,540となっていますのが、調査の対象となった献血件数3,540件、3,494製剤ということです。内訳は、4月から6月が、3,500分の396件、7月から9月が3,092件と、同じ3か月で400:3,100となっていますが、これは7月からスクリーニング検査の基準、具体的にはB型肝炎のHBc抗体の基準を厳しく取ったので、一時的に対象者が増えているということです。中長期的には減るはずです。
 この3,540件、3,494製剤についてフォローアップをした結果、個別NATの陽性になった事例が33件、34製剤ということです。この製剤の受血者情報が全て判明していまして、そのうち1例の方が陽転化されたということです。
○半田委員長 ただ今の御報告に、何かコメント、御質問をよろしくお願いします。よろしいでしょうか。それでは、引き続き資料の御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 続いて資料3-2です。裏側の横長の表は、いずれも前回の9月に報告した事例のフォローアップの御報告です。「輸血用血液製剤で感染が疑われる事例について」、ここに挙げているのはB型、C型の劇症または死亡された方、HIVの全例について、フォローアップしております。御報告しているのはそういう事例で、ほかの例もフォローアップはしています。
 上が、B型肝炎の感染が疑われた事例で、平成21年11月に御報告しているものです。この方は、45人の献血者由来の製剤を投与されておりますが、その45人中全ての保管検体はNAT陰性で、再献血者が43人いらっしゃって、その方についても全て陰性ということで、ウインドウピリオドも否定されているということです。残りのお2人の方は、この3か月間再来訪はないということで、動きはございません。
 下が、C型肝炎が疑われた事例で、平成24年2月に御報告申し上げた事例です。11人の献血者由来の製剤ですが、11人中9人が来訪され、保存検体、検査、ともに陰性であったところですが、残りの2人の方はいらしていないという状況は変わらないという御報告です。
 3ページです。輸血用血液製剤で感染が疑われた事例で、亡くなられた方が2例ありますので、御報告申し上げます。1例目は9月に調査中として御報告した案件の続報です。亡くなられた方は70歳代の男性で、原疾患が骨髄異形成症候群です。E型肝炎の感染が疑われるということです。平成23年5月2日に、赤血球2単位輸血後、5月18日に肝機能障害が出現し、一時検査値が3桁、6月10日に改善傾向が認められましたが、原病による全身状態の悪化により、肺炎で亡くなられたということです。この方のケースは、血漿分画製剤の国内製造販売業者からのHEV RNA陽性の情報に基づいて、日本赤十字社で輸血後、検体の調査をしたところ、E型肝炎の関連検査がいずれも陽性であったということです。
 3番の(2)です。検体検査の状況は、供血者の保管検体の個別NATはプラスであった。保管検体と患者検体についての塩基配列が全て一致し、Genotypeは3であったということで、これは輸血による感染ということです。
 (3)担当医の見解は、今回は肺炎と膿胸の併発により入院し、原病とともに重症感染症が直接の原因で死亡するということで、E型肝炎は直接死因ではないけれども、全身状態の増悪に影響を及ぼした可能性があるということです。
 続いて5ページです。亡くなられた方の2例目です。B型肝炎ウイルスへの感染が疑われている事例です。この方は50歳代の男性で、原疾患は多発性骨髄腫です。平成23年10月から11月にかけて、汎血球減少症により血小板30単位、赤血球8単位の輸血をされています。平成23年12月22日に部分寛解ということだったのですが、平成24年2月から7月にかけて、再び血小板60単位、赤血球4単位の輸血をし、3月2日に末梢血幹細胞移植、化学療法、その後は外来にてフォローということでした。
 平成24年7月17日、汎血球減少を来し、多発性骨髄腫再発ということです。このとき、これより前はB型の関係の検査は全てマイナスでしたが、このときにB型のHBs抗原がプラスということになっています。その後、全ての検査でプラスになっています。平成24年9月16日に発熱、9月17日に肝酵素が上昇し、21日には4桁まで上がっています。24日に急性B型肝炎を発症し、治療を開始するも急性腎不全も併発ということで、10月2日に劇症肝炎に準じるような状態で亡くなられたということです。
 3番の(2)検体検査の状況は、供血者保管検体の個別NATは全て陰性、献血者15人のうち、9人は再献血に来訪され、B型肝炎の関連検査は全て陰性でした。
 主治医のコメントは6ページです。副作用の程度は重篤であり、本剤との因果関係は可能性があるということです。詳しく確認したところ、原疾患によるウイルスの再活性化という可能性もあるし、輸血による感染の可能性もあるということをおっしゃっているようです。なお、検査値については、HBs抗体、HBc抗体マイナスで、DNAが輸血前は非常に低かったということで、輸血前の段階での感染は否定的と考えられるということです。今後、更に再来していない6名のフォローアップを行う予定だということです。
 7ページです。この死亡された症例も含めた感染報告事例のまとめです。1番ですが、8月から10月にかけての全ての報告事例が28件、うちB型が11件、C型が5件、HIVは0件、その他E型が2件、サイトメガロウイルスが1件、細菌が9件です。
 B型の11件については、いずれも陽転事例ですが、献血者の保管検体の個別NAT陽性事例は2例です。そのうち1例は調査中ということで、もう1例の方は献血時のウイルス量が非常に少ないということで、核酸が検出できなかったために、Genotypeの一致は検査ができませんでした。また、亡くなられた方1例というのは、先ほど御報告したとおりです。
 3番はC型肝炎で、5例のうち、いずれも陽転事例です。保管検体の個別NAT陽性事例は0件です。
 5番はその他の感染です。E型肝炎2例のうち1例死亡というのは、先ほど申し上げたとおりです。細菌は全体で9例ですが、そのうち1例で、患者と製剤との間で菌株が一致したということで、今後遺伝子の比較を予定しているということです。
 後ろから2枚目を御覧ください。「試行的HEV20プールNAT実施状況について」です。北海道の全域で、E型肝炎のプールNATを試行的に実施しているものの結果です。陽性率ですが、一番下から2番目の行で、平成24年1月から9月で0.0008%、12,000:1ということで、大きな増減の傾向はないようです。Genotype3とGenotype4の比率ですが、重症化しやすいと言われている4型についても、特段大きな比率の変化はないようです。
○半田委員長 ただ今の御説明に対しまして、委員の方から質疑応答、あるいは補足があれば日本赤十字社の参考人の方からコメントをいただきたいと思います。問題点、御指摘事項等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、続けてお願いいたします。
○血液対策課課長補佐 続きまして、資料3-3は、献血件数とHIV陽性件数の報告です。一番下の行を御覧ください。速報値ですが、2012年1月から9月は約394万件の献血をいただいています。そのうち、HIV陽性が56件、うち女性が5件です。10万件当たり1.420件で、ここ10年では低い水準であります。
 3ページに、都道府県別に示しています。右から5番目のカラム、平成24年は、東京17件、大阪は5件です。東京・大阪へ一極的に集中しているなど、例年と違う特段の傾向はないようです。以上です。
○半田委員長 ただ今の報告に関しましての質疑応答、何かございませんでしょうか。よろしいですか。引き続き、事務局・日本赤十字社におかれましては血液の安全性に関する情報の収集をよろしくお願いいたします。
 次の議題です。日本赤十字社からの報告事項として、まず、資料4に関して事務局から説明してください。
○日野参考人(日本赤十字社) 日赤からでよろしいでしょうか。
○半田委員長 はい。それでは、日本赤十字社からよろしくお願いします。
○日野参考人 資料4を御覧ください。感染性因子の低減化、いわゆる不活化の技術導入の準備を進めているところですが、その評価を行ってきましたので、その報告をいたします。一つは、1.にあるとおり、感染性因子の低減化のミラソル処理の血小板製剤に対する凝集塊の問題です。もう一つは、7ページですが、ウイルスの低減化について検証しましたので、その点について報告します。
 まず、凝集塊についてです。これは既に過去に本委員会で、血小板については凝集塊が見られることがあるという報告をしています。このような現象が日本だけかどうかも含めて、開発メーカーにも問い合わせていました。欧州では、そのような目に見える凝集塊は特にないという報告がありました。日赤が現在供給させていただいている血小板は、非常にきれいな血小板で凝集塊がほとんどない状況の血小板になっていますので、不活化製剤が供給されたときに、そのような凝集塊があると医療機関側で混乱をきたすことも予想され、検証しました。
 「現状」についてです。PCの凝集塊の発生について、いくつか分かってきたことがあります。?は、凝集塊はミラソルの処理群だけではなく、未処理の血小板についても発生していたという事実がありました。?、次のページの図1と2、少し細かい絵で申し訳ありませんが、両群とも採血日を0(ゼロ)としますと、Day2にも凝集塊の発生が見られました。
 ?、図3は横軸が血小板製剤の容量、縦軸が血小板の濃度を示しています。丸印の中が青い部分で凝集塊が見られ、濃度や容量にかかわらず発生していたことが分かりました。
 ?、Day5においても、処理群では高単位のもの、15単位、20単位の製剤では100%、10単位製剤でも90%の製品に凝集が見られることが分かりました。一方、未処理群でも、保存開始の翌日には、10単位製剤で17%程度、高単位のものでも翌日にはもう60%以上に凝集塊が認められたことが分かりました。?、2ページの写真にありますように、ミラソル処理の凝集塊と未処理のPCの凝集塊を比較すると、処理群の方の凝集塊が大きいことが見た目でも分かりました。
 3ページを御覧ください。このような中で分かってきたことは、凝集塊の発生はミラソル処理PC群にとどまらず、同じ処理バッグに保存した未処理のPC群でも発生しています。これにより、処理のバッグ自体に何らかの原因があるのではないかということが推察されました。
 そのため、処理バッグの検討を行いました。実際に使っている処理バッグは、現行でもトリマで血小板を採血して保存していますが、それと同じバッグの材質で、一部違いがありました。上から3行目にありますように、ミラソル処理のバッグには、UV照射中に未処理の血小板がトランスファーチューブに流れ込まないよう、図7のとおり、スパイクポートと呼ばれるピンがチューブの口を塞いでいます。最終的にはこの部分のピンを折って血小板を測定するためのサンプルを採取します。この部分の折った切り口が凹凸のギザギザになっています。この辺りが血小板の凝集塊の発生原因ではないかと推察されました。
 まず、バッグのピンと血小板が接触するバッグ及び接触しないバッグを、次のページの図9・図10のように作りました。ピンが接触するパターンと接触しないパターンを、高周波によりシールをバッグに付けて比較検討を行いました。その結果、ピンが血小板に接触しない形状のバッグでは、図11のように、凝集塊の発生が非常に小さくなったことが分かると思います。図10のバッグで保存したものについては、凝集塊がほとんどなくなったことが分かりました。
 一方で、メーカーといろいろとやり取りをしています。欧州においても、凝集塊はないものの、スパイクピンを折った状況になるとバッグが破損するというようなクレームがあったことから、メーカーはこれを改善したバッグを作りました。それが5ページの図12です。現行バッグではスパイクピンがバッグの中に突き出ていますが、改良型では、それをもっと上の方に位置する改良がされています。
 まだn数が少ないのですが、このようなバッグを用いて、表1に示したように、未処理・処理群とも、改良型バッグにおいては、現在のところ凝集塊の発生は見られなくなっています。ただ、nの数がまだ少ないので、今後もう少し増やして、血小板の品質に影響がないかどうかを検証していく必要があると思っています。
 次に、7ページを御覧ください。「血小板製剤に対する感染性因子低減化技術ミラソルによるウイルス低減化能」についてです。いろいろなウイルスを用いて検証を行ってきましたが、今回は、A型肝炎のウイルスとE型肝炎のウイルスの低減化能について検討しました。A型肝炎については、下の表にありますように、過去に出された文献と同等の結果が得られ、また、HEVについては私どもの研究所が確立した培養系がありますので、そちらで2log以上の低減化能が認められました。
 参考として、大韓赤十字、テルモBCT社による測定結果を併記しました。今年3月の運営委員会においても報告していますが、ウエストナイルは株によって低減化能が変化することが既に明らかになっていますので、今後、承認申請する場合には、日赤独自の測定結果を持っておく必要があるだろうと考えています。
 8ページは、海外の情報です。このところ少し動きがありました。オーストリアでは10月に、民間の製剤メーカーが製造承認を取得したという情報が入ってきています。フランス、ドイツ、イギリスにおいても、評価試験が開始される予定だとのこと。また、ベルギーでは、オランダ語圏で改良型バッグの評価試験が進行中であることという情報も入ってきています。また、大規模な調査を行っているオランダ、カナダ、ノルウェーにおける国際サーベイランス研究、「PREPAReS」という研究ですが、特に安全性に関して懸念すべき兆候を認めなかったという情報もいただきました。
 9ページに、今後の日赤の予定を示しています。作業計画は今年3月にも報告させていただいていますが、今回はこのように凝集塊の問題などがあって少し時間がかかっていますので、最終的には当初の予定より1年近く治験の申請がずれ込むのではないかと思っています。もちろん、このような技術的な評価がうまく行けば、もっと前倒しで申請することができると思っています。以上、簡単ですが、日赤からの報告です。
○半田委員長 進捗状況、それから、今後の予定について報告していただきました。委員の方々から御質問はいかがでしょうか。
○岡田委員 凝集塊の問題は、バッグの改良で対応できそうだということは分かりました。7ページのウイルスの低減化についてです。ミラソルはもう1社のシステムに比べて、若干、ウイルスの低減化能が低いことは当初から言われていたのです。現行の日赤のシステムにはミラソルの方がより適合することや安全性の面からということで、総合的にミラソルを選択して治験を進めることになったのですが、どうも7ページのBVDVの値を見ても、当初製造元から出されたウイルスの値よりも低いように思われます。製造元のデータではどうしても甘い評価になってしまって、本当はそのような能力が出ないのではないかということを、私は個人的に心配しています。
 ウエストナイルにしても、これは株が違ったり試験法が違って、このぐらいの差が出てしまうのではないかということもありますが。当初は、細菌感染の予防がファーストプライオリティで、その次にウイルスということでしたが、この低減化能に関しては、メーカーから示された能力が本当にあるのかなと、正直なところ心配しています。
○日野参考人 BVDVに関しては、メーカーからのデータは過去にもなかったと思います。ヒト由来のHCVに関しては、LRVが3.2logあったという報告は以前にさせていただいていました。
 ウエストナイルに関しては、今回、私どもが株として利用したのはニューヨークのものですが、実際にヒト由来であるウガンダの株においては、5.1log以上の不活化能があるという報告はあります。
○岡田委員 実は、『Vox-Sanguinis』の一番新しい号に、三社の成分製剤のレビューが載っているのです。一覧表で各社のウイルス低減化能が書いてあるのです。そこにある数字を見ても、BVDVの日赤が出されたデータは、そこで示されたものに比べても低いのです。ですので、確かにメーカーからすればチャンピオンデータのようなものを出す傾向があるのではないかと思うのです。実際に日本赤十字社で試したデータは、データを出すからには、恐らく相当厳密に条件を決めて何回も評価をしたもので、このデータは正しいと思うのです。私が危惧しているのは、本当にこのシステムがメーカーが言うような低減化能を持っているのかということで、少し疑問に思っています。
○田所参考人(日本赤十字社) 我々も、同じようなデータが出るか出ないかという点では非常に関心を持っていました。それは二つの点で、一つは、先生が言われたように、メーカーが言っているのは本当かという問題ももちろんありますし、我々の不活化技術が、それに対応して手技上できちんとやれているのかということです。その二つの点がありましたので確認しました。
 一番違いの大きかった、ウエストナイルについてはどうなのかという点では、お互いに株を交換して確認したところ、低いものは確かに低く出る、高いものは高く出るということが分かりました。しかも、Log Reductionが近い、ここにある5.1以上のものについては、実際にアメリカで感染が起きている例であって、我々が入手できたものは実際の感染例ではないなどのことを踏まえると、お互いの技術にはそれほど変わりがない、評価する方法、結果はそう変わりがないことが分かりました。それから、ウエストナイルについては、臨床的に関係するものはそれなりのLog Reductionが出ているということで考えました。今のところは、そういうことです。
 それから、今、先生が言われた、『Vox-Sanguinis』のデータについては、もう1回チェックしておきたいと思います。
○半田委員長 いかがでしょうか。今の田所参考人のお答えに関して、岡田委員から何かございますか。
○岡田委員 結構です。
○花井委員 作業計画についてです。これは、こういう計画で治験を始める、CROと契約するということは治験をするということですが、治験をするということは、治験終了後は薬事承認を取ることはもう決めているということなのですか。そういうことですね。そうすると、これは血小板なので、細菌感染が防げるということはよいのでしょうけれども。事実上、ウイルスには効かないということなのですか。
○田所参考人 ものによるし、そのタイターにもよります。どのようなウイルスでも効きますという万能のものでもない。
○花井委員 具体的には、Bが一番重要だと思います。Bは、これを見ると、モデルウイルスがPRV、2.8では少しきつい感じですか。
○田所参考人 NATを中止する前提に立つと、そのような話にはなるのでしょうけれども。
○花井委員 NATもやっているし。
○田所参考人 NATをやめるという方針は、世界中でもないと思います。とすれば、これ自身は大きな問題にはならないのではないかということが一つです。それから、もう一つは、今までの議論の中で、確かにある程度の不活化はできるのですが、全てができるわけではない。血小板の機能はやはり落ちてしまうという問題がある。それは核酸増幅検査などによる安全対策とは大きく違うところです。そうだとすれば、製造承認は取ったとしても、すぐに全国導入するとか、現状の製剤に替わるものであると考えるべきでもないのではないか。
 そのような品質上の問題、凝集能等がやや低いということがあっても、それを超えるメリットがあるという条件で使うという考え方がある。しかし、そのためには技術を導入しておくという考え方もあってもよいのではないか。ただし、そのような考え方は、今までの薬事承認の中では余り考えられてきた方法ではないのです。しかし、今までにはない製剤だということを考えれば、今後そのようなあり方についても議論していく必要があるのではないかと考えています。もう少しデータが出て、実際に治験が行われる段階あるいは治験が終わった段階で、もう一度そのような議論を是非していただきたいと思います。
○岡田委員 日本赤十字社として、ここに書いてあるウイルスも検討はされて、製造元との比較などはやっていらっしゃるのですか。
○田所参考人 ここに書いてあるものについては、私どもでやって、大きな違いがあるかどうかは見ていますが、大きな違いはありませんでした。先生が言われた『Vox-Sanguinis』のデータとは、私は比較していなかったので、それについてはチェックしておきたいと思います。
○半田委員長 ウエストナイルウイルスのニューヨーク株に関しては、製造元でも同じように、1.3ぐらいの低減化になるということですね。
○田所参考人 そうです。はい、そこは確認していただいています。
○半田委員長 ほかにはいかがでしょうか。少し外れた質問ですが、凝集塊が病原体低減化処理専用バッグによって出るということですね。これがなぜ、欧州の血小板製剤では出なくて、我が国の血小板製剤では出るのでしょうか。
○田所参考人 私たちも非常に疑問に思って、本当にないのかということを確認していたのです。向こうでは気がつかないという話でした。ただ、カナダでは、よく見るとあるということになっています。日本人が普通に見るのと、向こうがよく見るのと、ひょっとするとその辺の違いがあるかもしれません。いろいろな品質では、外国ではOKでも、日本に持ってくると、うちの職員が「これでは駄目だ」というものが結構あります。そのような問題もあるかとは思います。完全に解明されたわけではありません。何か条件があるのではないかと、血小板の量や容量など、そういうものをいろいろと振ってみて、そのようなことで凝集し易い条件があるのかどうか。特に、日本のものは10単位で、向こうはほぼ15単位なので、そのような条件の違いではないかということも含めて検討しましたが、必ずしもそうではなかった。欧州との違いはまだ完全に解明はされてはいません。カナダでもよく見るとあるということなので、似たような条件ではあり得る、きちんと見ていただければあるのではないかという思いを持っています。
○半田委員長 ほかにはいかがでしょうか。ウイルスの病原体の低減化率に関しては、非常に危惧されることでもありますので、これは安全技術調査会で一度お諮りするということに関して、いかがでしょうか。
○岡田委員 これは先に進めることが重要なので、このような新たなデータが日本赤十字社から提供されたということで、一度検討して、そこで再認識してもらうこともよいのではないか。再検討も含めて議論してもらうことが適切ではないかと思います。
○半田委員長 ほかの委員の方々も、それでよろしいでしょうか。
○大平委員 海外での評価試験がようやく始まるというか、フランスはかなりもう進んでいるのではないかと思っていたのですが、全体としての評価試験が開始されるのが12月からになるというような感じですか。ドイツでもそうですし、イギリスでもそうです。規模的にはどのような感じで評価試験が行われるのか、また、将来的にかなり有益性を含んで各国が取り組まれるのかどうかが、よく見えないところがあります。
 日本では、検査方法がかなりしっかりしていて、HIVやHCVも余りすり抜けがないので、特に輸血用血液製剤の問題については信頼を得ているわけですが、B型の問題などは今回まだ出てきています。ウイルス全体としてのメリットがどうなのか、よく分からないところがあるので、やはり一度、こういった評価と日赤での評価を安全技術調査会で諮っていただいて、それをまた検討させていただけるような機会を得たいと思います。
○半田委員長 それでは、この件に関しては、安全技術調査会に御検討を願うことで、日本赤十字社におかれましては大変御面倒ですが、もう一度データを集約していただいて、最新情報があればそれも加えて、資料の作成をよろしくお願いしたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
 続きまして「その他」の議題です。資料5を御覧ください。前回もありました、「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」、血液法の基本方針の改訂案について議論していただきたいということです。事務局から資料について説明をお願いします。
○血液対策企画官 お手元の資料5を御覧ください。上段の傍線を引っ張っている部分が改正案です。前回、改正の趣旨を含めて説明いたしましたものに、本日の会議までに委員からいただいた修正意見を反映させています。前回との違いの部分は二重線を引いています。その部分を説明します。
 まず、13ページです。第五「血液製剤の製造及び供給に関する事項」の二「血液製剤の安定供給の確保のための需給計画」について、御意見をいただいた部分です。ページの真ん中辺りの、「なお」書きのところです。もともと5行の文章が少し分かりにくいという御意見をいただいたので、分かりやすくするために、二重線を引いた文を挿入しています。一読します。「なお、今後の国内自給の状況の変化を踏まえ、国内の献血に由来する原料血漿を一旦海外へ輸出して外国の工場において製剤化して日本へ輸入する血液製剤を取り扱うことが特に必要であるとされた場合には、血液法の趣旨である国内での安定供給及び国内自給の推進と両立する範囲内において、当該輸入血液製剤を取り扱うことについて、課題毎に具体的な検討が必要である」と記載を修正しました。これが1点目です。
 2点目は、16ページです。第六「血液製剤の安全性の向上に関する事項」の中の二「迅速かつ適切に安全対策を実施するための体制整備」という項目がありました。ここは、最後のところに「なお」書き以下4行を追記しましたので読み上げます。「なお、安全対策を実施するための体制については、感染症等に関する情報、安全技術の開発動向、海外の制度等を参照しながら、そのあるべき姿を追求し、必要に応じて体制の充実・強化を検討すること」。これは、海外の制度なども参考にしながら、更に安全対策の体制整備を日頃からきちんとよく検討しなければいけないという御指摘をいただいたので、その旨の追記をさせていただいたものです。
 前回から御意見をいただいた部分は以上の2点です。これらも含めまして、更に修正する点があるかどうか御議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○半田委員長 ただ今の御報告のように、今回2か所の部分を追加して、改訂案として提示していただきました。委員の方々はこれを資料として見られていると思いますが、御意見はいかがでしょうか。今後の我が国の血液事業の5年間の方向性を示す非常に重要なものだと思いますので、いかがでしょうか。
○大平委員 5年間という大事な期間に、科学的な進歩やいろいろな問題がこれからも推測されます。以前の計画の中にも書き込まれているように、課題ごとに具体的な検討が必要であるということです。それぞれの課題として、国内自給の状況を踏まえてということが書かれていて、そのような問題点が把握されているという意味で、「国内自給の状況を踏まえ」というところは、少し進んだ形で書き込まれているのではないかと解釈します。
 いろいろな提言があると思いますが、献血の問題とかなりリンクしていて、献血者への配慮の問題や、日赤でもかなり力を投入した血液製剤機構の問題など、いろいろな新しい課題を抱えながら出発した面もあるので、この辺についてはこの条文でよいのではないかと私は思います。
○半田委員長 今の大平委員の御指摘は、13ページの需給計画についてです。ほかにいかがでしょうか。今のお話に付け加えるなど、何か御意見等はありますでしょうか。
 5年というスパンの中でいろいろな状況がこれから発生することに関して、それに対してフレキシブルな考え方を導入するということは、以前の方針にもありましたが、それがより明確化されたと解釈してよろしいのではないかということですが、何か追加のコメントはございますか。よろしいでしょうか。
 もう1点は、16ページに関しての質問です。諸外国では、いわゆる血液を監視する体制が整備されています。国によってそれぞれ違うと思いますが、Haemovigilance体制がある。そういうものも参考にされて、より安全管理の強化をやっていこうという、そういう意志が表れていると解釈してよろしいのでしょうか。これはいかがでしょうか。
○血液対策課課長補佐 今おっしゃいました、Haemovigilanceについては、各国いろいろな状況を踏まえてやっています。特にヨーロッパは、先進的に行っているところがあって、そこにヨーロッパのスタンダードが乗っかったり、あるいは、かなり独自に中央集権的にやるようなところと、それぞれのブラッドバンク、血液銀行から発生したようなものがあるなど、その国その国で独特の風土の下で行われています。日本も各国もいろいろとやっています。この前WHOでもHaemovigilanceに関するフォーラムがあって、私どもも行ってまいりました。やはり、どの国も、先進的といわれている国も、その国々の状況に応じて発展して、地道に発達してきたものがほとんどなので、右から左にというような話ではないとは思います。ただ、5年というスパンの中で、外国の状況やいろいろな状況を踏まえて、常により良い方法は何かを考えることは重要だろうと考えています。委員長の御指摘のとおりだと思います。
○半田委員長 ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。それでは、今後のスケジュールについて報告してください。
○血液対策企画官 本日、この原案でお認めいただけますと、来週の26日に血液事業部会がありますので、そちらにお諮りしたいと考えています。そこでこの原案でよいということになりますと、年明けにパブリックコメントを取る手続に入りたいと考えています。以上です。
○半田委員長 それでは、このスケジュールでよろしくお願いいたします。
 では、次の議題に移ります。資料6「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」です。事務局からお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料6。フィブリノゲン製剤の納入先医療機関についての調査は、そのときそのときでやっているものですが、11月の段階で医療機関から新たにいただいた回答はありませんでしたので、9月とは大きな変更がないという御報告です。
 1枚めくっていただいて、8月10日付けのプレスリリースです。2番目ですが、平成23年度、平成24年度にフィブリノゲン納入医療機関のうち、厚生労働省所管の医療機関あるいは国立大学法人の医療機関を対象として、私どもが訪問調査をしておりました。その結果を御報告しているものです。
 今回訪問調査した158施設でいろいろな対応をしていただいているというところが調査結果の3番にあります。一番下の行ですと、125施設で平成6年以前の記録が保管されております。その施設の状況に応じて、対象を絞るなどして精査を行っていたり、お問合せに応じて適切に誠実に対応していたり、あるいは全ての記録について網羅的にやったりと。施設の状況や資料の量に応じて対応しているということです。
 2ページ目を御覧いただくと表があります。158施設において、2,401名の方の投与事実が確認されております。可能な限りお知らせしているわけですが、連絡先が不明や既に亡くなられているということで、連絡ができない方も一部いらっしゃいます。こういう結果を踏まえて、今後、こういうことを広く情報提供するとともに、医療機関にはより一層の綿密な御協力をお願いしています。
 資料7は後ほど御説明があります。参考資料1、2、3です。一番後ろを御覧ください。いろいろな通知が付いていますが、一番後ろはカラーになっています「『献血血液の研究開発等での使用に関する指針』に基づく公募」です。献血血液でいただいた血液の中で、実際の輸血治療等に必要な分は当然使うということ。それ以外の部分について、貴重な血液を有効活用させていただこうということについて、研究開発の指針を取りまとめております。それに基づく公募を現在行っているという報告です。公募期間は平成24年11月28日から来年の1月9日まで。通知は既に参考資料のように、関係部署に出しております。ホームページでも、このように公表しております。公募終了後、採血業者及び製造販売業者の御意見等をいただきつつ、この運営委員会において個々の募集について評価をしていただいて、必要に応じて血液をお渡しすることになろうかと思っております。年度内に審査し、新年度から実施できるようにと考えております。以上です。
○半田委員長 ありがとうございました。資料6のフィブリノゲンについて、参考資料1、2、献血血液の研究利用についての御報告でしたが、いかがですか。何かありますか。
○花井委員 細かいというか、直接的なコメントではないのですが、国立系においてフィブリノゲンの調査にわざわざ行かれて、結構数が上がってきたというか、成果があったということは大変結構なことだと思うのですが、やはり行かなければ難しいということだったのですか。本来はもともと全体で、病院がある程度、国立系であれば協力してくれたら済む話で。結構かなりのリソースをここから裂いてやって、成果が出たのでそれは本当に大変御苦労があったと思います。やはり行ってやるということが、こういう調査は有効だという認識でよろしいのですか。それとも、もう少し病院でうまく工夫すればできる方法もあるのかなという、それ教えてもらえますか。
○血液対策企画官 病院の方では、かなり一生懸命取り組んでいただいているところの方が多かったというイメージはあります。ただ古い資料なものですから、それが山積みにされているものがたくさんあればあるほど、なかなか調査が進まなかったり、調査の仕方自体を悩みながらされている部分があって、非常に効率的でないやり方のところもあったりして、実際に私どもが実地で見させていただいて、どちらかというと良くできている病院とそうではない病院がありました。我々の一つの役目は、今回の調査は良くできている病院の効率的な調査の仕方を、まだ進んでいないところにお示しさせていただいて、より良い方法で調査を更に加速させていただければというお願いをしてきたということです。実際に入ってたくさん見つかったと言われると、一通り見ているところは新たなものが見つかったというのは少ないのですが、たまに保管場所だと思っている以外のところから関係書類が出てきて、中を調べてみたら投与事例の記録が残っていたとか、たまにあったのですが、やっていただいているところは、非常に前向きな形でよくやっていただいているところも多くありました。
○花井委員 分かりました。大変御苦労様でした。
○半田委員長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。多分、次回、来年の3月のこの運営委員会に申請書が上がってくる。何件来るかという期待もあると思うのですが、事務局におかれては書類の取りまとめ等をよろしくお願いします。
 最後の議題になります。資料7について「株式会社ベネシスに対する改善命令について」ということで、本日は一般社団法人日本血液製剤機構より、副理事長の秋山参考人、常務理事の祇園参考人、両参考人がいらしているので御説明をお願いします。
○秋山参考人(日本血液製剤機構) ただ今、御紹介いただきました日本血液製剤機構の副理事長をしております秋山です。本件については、私ども、10月2日に日本血液製剤機構として事業を開始したわけですが、その直前にベネシス社が改善命令を大臣からいただいたということです。JBPOと略させていただきますが、JBPO社の前身はベネシスと日赤さんとの合弁ですので、当然ベネシスとの関係を重く受け止めております。私どもは、こういうことは決してあってはならないということで、事の重大さを重く受け止めております。
 そういうことで、事業も併せて対策を講じなければいけないということで、私どもは上田理事長以下、こういうことは決して二度と絶対に起こしてはならないという不退転の決意をもちまして、全社を挙げて原因究明、対策、スケジュールをどういうように取り進めるかということを協議して、10月29日に当局に改善計画書を提出させていただき、以後、粛々と取り進めてきています。その辺については、祇園常務から報告させていただきます。いずれにせよ、本件、患者様、医療機関の皆様、行政、関係の皆様には大変御迷惑をおかけし申し訳ないことだと思っております。ここに改めてお詫びを申し上げる次第です。大変申し訳ありませんでした。
○祇園参考人(日本血液製剤機構) 日本血液製剤機構生産担当の祇園と申します。秋山からもお話がありましたように、本年9月28日に株式会社ベネシスは薬事法第72条第2項に基づき、GMPに係る業務について厚生労働大臣より改善命令を受けました。お手元の資料7は、本件について株式会社ベネシスのリリース文です。具体的には、過去の数ロットの製品について、出荷判定が終了、もしくは検定合格証紙が貼付されていたにもかかわらず、製品の包装箱内のラベル表示などに疑義が生じたため、包装箱を開けて内容を確認した後、改めて出荷判定をせず出荷した等の事例が判明いたしました。また、このような通常と異なる操作をしたことについても、手順に定められた逸脱処理を行わず、記録にも残さなかったということも併せて分かりました。
 株式会社ベネシスでは、本年5月に事実判明後、速やかに当局に御報告してまいりましたが、7月に当局からの調査を受け、確認された後、今般の改善命令をお受けすることになったわけです。患者様をはじめ、医療関係者の方々、お手を煩わせた関係当局の皆様には誠に申し訳なく、改めてお詫び申し上げます。
 日本血液製剤機構では、この改善命令を引き継ぎ、10月29日に日本血液製剤機構として改善計画書を当局に提出し、現在、鋭意、改善を進めています。日本血液製剤機構としては、二度とこのようなことを起こさないように、現在も今回の問題事例の内容を従業員と共有するとともに、製品の封緘前の確認を強化し、記録書や逸脱管理システム、教育訓練システムやその内容の不備等の是正を行ってまいりました。また、改善内容の進捗については、定期的に当局の方に御報告に上がっています。現在、製造並びに供給を行うための改善は終了しておりますが、今後は一部補完的に設備等の手直しを行ってまいる所存です。以上、簡単ですが報告申し上げます。
○半田委員長 ありがとうございました。ただ今の御報告に関して委員の方々、御質問等ありますか。
○岡田委員 逸脱が起こったというのは、要するに一度パッケージをしたときに、中に所定のものが入っているかどうか不安になって、それをまた開けて確認をしてまた閉めたということですね。
○祇園参考人 さようでございます。
○岡田委員 分かりました。
○大平委員 お聞きするところによると、大変初歩的なミスというのですか。それがあってはならないことだと私たちも思いますし、本当に極めて残念だなと思っています。先ほど、患者や関係者に対してお詫びを言われましたが、今年の滋賀県での献血推進全国大会で、日赤の近衛社長が日本製剤機構の設立について大変詳しく献血者の代表の方たちに説明されておりました。ですから、そういった面で献血者の方たちにもこういった不祥事がもし二度と起きるようでしたら、日赤にも大変影響を及ぼしますし、献血制度全体にも影響を与えると思いますので、こういうことが絶対起きないように、今度の製剤機構は一私企業ではありませんので、その点を十分踏まえて、二度とこういうことが起きないようにしていただきたいと思います。これから出発が開始したところで、こういった問題を聞くということは、大変私たちも残念ですが、是非これを梃子にきちんと推進していただけたらと思います。
○祇園参考人 ありがとうございました。
○花井委員 どうも御苦労さまです。製剤機構ができる以前のお話だと思いますが、今回改善の命令が出て、それを引き受けるのは新法人が引き受けてやられたという話はよく分かったのですが、どのくらいの時間がかかるか分かりませんが、基本的にはこういった手順やいろいろなやり方がありますよね。1本に統合して、一つの新しい基準でいろいろなものを作り上げていくと思うのですが、タイムスケジュールは今回のことで見直しをある程度時計を早く回すとか、そういったことへの影響はあるのですか。
○祇園参考人 今回の内容の日本血液製剤機構内での水平展開は、もう既に行っております。こういった、例えば予期せぬようなトラブルが起こったときに関わる手順等の統一は、既に行っております。あと、各事業所、製造所が2か所あります。それについては、製剤の特性が少し違ったり、扱っている製剤も異なりますので、統一については順次、設備等とも相談しながらということになっております。
○花井委員 分かりました。誠にスタートのところで結構残念なことになっていますが、是非また今後ともよろしくお願いします。
○秋山参考人 お話しいただきましたので、私どもはやはり経営から見ても、新しく立ち上がったばかりの事業ですので、それぞれ、いろいろ経験とかが違うところもありますので、やはりトップも思いを一つにしなければいけないと。こういうのは教育とかが一番大事かなということで、そういう面での教育というところにも、やはり力を入れてやっていかなければいけないということも一緒に並行してやっております。こういうのは、ずっと継続していかなければいけないと私どもは思っております。そういう面で、いろいろ今後とも御指導をお願いしたいと思います。是非、御理解いただきたいと思っております。
○半田委員長 よろしいですか。日本血液製剤機構におかれましては、そのような文化を醸成し、再発防止策を徹底強化していただいて、二度とこういうことが起こらないようによろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 本日、事務局で用意した議題はこれまでですが、特に委員の方々から何かありますか。特にありませんか。それでは、本日の委員会をこれで終了いたします。次回の日程等は事務局の方から御連絡があると思います。本日はどうも御多忙の折、ありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局血液対策課 課長補佐 笠松(内線2905)

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