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2012年12月11日 第50回労災保険部会議事録
労働基準局労災補償部労災管理課
○日時
平成24年12月11日(火)10時00分~
○場所
厚生労働省専用第21会議室
○出席者
委員
岩村 正彦 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授) |
荒木 尚志 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授) |
大前 和幸 (慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 教授) |
小畑 史子 (京都大学大学院地球環境学堂 准教授) |
中窪 裕也 (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授) |
林 真奈美 (読売新聞東京本社社会保障部 記者) |
大江 拓実 (全国建設労働組合総連合 書記次長) |
黒田 正和 (日本化学エネルギー産業労働組合連合会 事務局長) |
齊藤 惠子 (UIゼンセン同盟政策局 部長) |
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長) |
立川 博行 (全日本海員組合 中央執行委員 国際・国内政策局長) |
森下 光一 (日本基幹産業労働組合連合会 中央執行委員) |
明石 祐二 (社団法人日本経済団体連合会労働法制本部 主幹) |
山中 一馬 (新日本製鐵株式会社人事・労政部 部長) |
小島 政章 (株式会社竹中工務店 安全環境本部長) |
田中 恭代 (株式会社旭化成アビリティ 代表取締役社長) |
長岡 英典 (社団法人大日本水産会 漁政部長) |
事務局
中沖 剛 (労災補償部長) |
木暮 康二 (労災管理課長) |
高渕 憲一 (労災補償訟務分析官) |
中原 慎一 (労災保険財政数理室長) |
山口 晃 (主任中央労災補償監察官) |
若生 正之 (補償課長) |
天野 敬 (職業病認定対策室長) |
引地 睦夫 (労災保険審理室長) |
植松 弘 (労災保険業務課長) |
江原 由明 (労働保険徴収課長) |
○議題
(1)社会復帰促進等事業に係る平成23年度評価の平成25年度概算要求への反映状況等について
(2)特別加入制度対象者の見直しについて
・健康保険と労災保険の適用関係の整理プロジェクトチームについて
・特別加入者の対象の見直しについて
(3)厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部改正について
(4)国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会の経過報告について
(5)(衆)決算行政監視委員会「行政監視に基づく事業の見直しに関する決議のフォローアップ決議」(労災診療費のレセプト審査事務)への対応について
(6)胆管がんの労災認定に関する検討会について
(7)その他
○議事
○岩村部会長 おはようございます。ただ今から、第50回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。
はじめに、前回の部会以降、委員の交替がありましたので御紹介させていただきます。労働者側委員として森下光一委員に代わりまして、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の吉村健吾委員が就任されていらっしゃいます。また、事務局でも人事異動があったということですので、自己紹介をお願いしたいと思います。
○労災補償部長 労災補償部長の中沖です。よろしくお願いいたします。
○主任中央労災補償監察官 9月10日付けで主任中央労災補償監察官を拝任しました山口です。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長補佐 同じく9月10日付けで労災管理課長補佐を拝任いたしました角園でございます。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 本日は、使用者側の齋藤委員、田中委員が御欠席です。齋藤委員の代理として、日本通運株式会社総務・労働部の高原博様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。お手元の議事次第を御覧ください。第1の議題ですが、「社会復帰促進等事業に係る平成23年度評価の平成25年度概算要求への反映状況等について」ということです。まず、事務局から説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長補佐 議題1について御説明いたします。資料1-1「『社会復帰促進等事業に係る平成23年度成果目標の実績評価及び平成24年度成果目標(案)』に関する総括表」を御覧ください。こちらについては、平成23年度の評価について、前回7月の部会の積み残し分となりますが、目標未達成事業について、原因を分析の上、改善措置が講じられているかを中心に御議論いただければと考えております。
具体的には、目標未達成の事業はC評価の事業が一つとなっていまして、1ページ目の一番上の事業、事業番号59番「技能実習生に対する事故・疾病防止対策等実施のための経費」です。技能実習生の受入れ企業・団体に対して、安全衛生・健康確保に関する助言指導等を行う事業ですが、平成23年度のアウトカム指標を技能実習生の死傷者年千人率を全労働者の死傷者年千人率以下とするということとしておりましたが、平成22年7月の制度改正もありまして、入国1年目の未熟練の実習生の労災もこちらの数字に含まれるようになるということもありまして、目標を達成できずC評価となっています。
平成24年度の目標については、平成23年度の技能実習生の労働災害の半数を、入国1年以内の者が占めているということもありまして、入国1年以内である技能実習生、技能実習1号と言われる方ですが、こちらの死傷者年千人率を、平成23年度の実績である6.48以下にすることにしております。
以下、B評価の事業はありません。その他、資料に載っているのは独法評価委員会との関係で保留となっていた事業です。こちらについては、全てA評価の事業となっていますので、個別の事業の説明については省略させていただきます。
資料1-2「社会復帰促進等事業に係る平成23年度評価の平成25年度概算要求への反映状況」です。C評価、B評価の事業について、適切に平成25年度概算要求に反映しているかを中心に御議論いただければと考えております。具体的には、C評価の事業で増額要求を行っているものが2事業、B評価の事業で増額要求を行っているものが4事業となっています。順に御説明させていただきます。
1ページ目はC評価の事業です。先ほど申し上げたように、増額要求となっているものは二つです。上から、事業番号34「地域産業保健事業」です。47都道府県に地域産業保健センターを設置して、産業医の選任義務のない50人未満の小規模事業場に対して、健康相談窓口の開設や個別訪問により産業保健サービスを提供する事業です。
平成23年度は、アウトカム・アウトプット指標ともに平成22年度実績以上という目標でしたが、こちらに僅かに届きませんでしたが、予算額が前年度比85%等ということも踏まえて、引き続き平成25年度も事業を実施することにしております。業務上疾病の約7割が小規模事業場で発生しているということ、また、精神障害による労災認定数が依然として増加傾向にあることから、本事業の必要性は高まっていると考えておりまして、平成25年度要求においては、労働者に対するメンタル相談等の活動を強化することとしており、増額要求となっています。
二つ目は事業番号40番「石綿障害防止総合相談員等設置経費」です。こちらについては、都道府県労働局に石綿障害防止総合相談員を、また、労働基準監督署に石綿届出等点検指導員を設置して、労働者の石綿による健康障害を防止するための相談、また、石綿含有建築物の解体等についての届出の審査や事業者への指導を行う事業です。
平成23年度のアウトカム指標について、石綿健康管理手帳の交付件数を対前年度増としていましたが、石綿健康管理手帳の制度の周知が一定程度行き渡ったことなどを踏まえて、アウトカム指標を実地調査の実施率にするなど、目標の変更を行って、引き続き事業を実施することにしております。過去の石綿の輸入量から推測すると、耐久年数を迎える建築物の解体の増加が今後見込まれることがあり、平成25年度以降、届出等の点検指導員を計画的に増員設置していくこととしていまして、平成25年度要求においては増額要求となっています。
3ページ目はB評価の事業です。増額要求になっているのは上から四つの4事業です。一つ目は事業番号36番「職場における受動喫煙対策事業」です。こちらは、事業場に対して測定機器の貸出しや電話相談・指導を行うとともに、飲食店・宿泊業等で喫煙室等を設置する事業場に対して、設置費用の一部の助成を行う事業です。平成25年度の見直し内容ですが、測定機器の貸出しについては、事業運営の効率化に努めて予算額を削減する一方、喫煙室の設置費用の助成について、助成制度の利用促進のため、補助率の見直しを行うとして増額要求となっています。
二つ目は事業番号63番「産業医学振興経費」です。こちらは、産業医科大学への助成などを行っている事業ですが、平成25年度については、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴って、放射線業務に従事する労働者の安全衛生対策の充実のため、産業医科大学において、放射線業務を専門とした産業保健人材の育成、研究体制を整備するための増額要求となっています。
三つ目は事業番号57番「家内労働安全衛生管理費」です。こちらは、家内労働安全衛生指導員が家内労働者の安全確保や健康保持に関して必要な指導を行い、また、危険有害業務に従事する家内労働者を対象として健康相談を実施する事業です。
平成25年度の見直し内容ですが、平成23年度に実施した「家内労働等実態調査」の結果を踏まえて、危険有害業務に従事する家内労働者の安全対策について一層推進するために、作業環境や災害事例の実態把握のための経費、実地の把握のための経費について増額要求となっています。
四つ目は事業番号56番「自動車運転者の労働時間等の改善のための環境整備等」です。こちらは、自動車運転者の時間管理等指導員による事業場訪問やパンフレット作成等により、自動車運転者の長時間労働の抑制を図る事業です。今年の4月に発生した関越自動車道での高速ツアーバス事故もありまして、労働時間等の労務管理上の問題について国交省とも連携して対応する必要があります。このため、都道府県労働局と地方運輸支局等との間で、都道府県単位の連絡協議会を設置して、自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善に係る対策について、情報・意見交換を行うための経費として増額要求をしております。
その他、資料になっているものは、減額要求となっている事業又はA評価の事業となっていますので、この場での個別の事業の説明については省略させていただきます。
続いて、資料1-3「平成25年度社会復帰促進等事業における新規事業」です。こちらについては、新規事業の必要性は妥当か、また、社会復帰促進等事業で行う必要性があるかについて、御議論いただければと考えております。新規事業として要求しているのは、表紙にあるとおり六つです。順番に簡単に御説明させていただきます。ポンチ絵がありますので、併せて御覧ください。
一つ目は「原発事故からの復旧・復興従事者の適正な放射線管理実施の指導」です。復旧・復興の進展に伴って、新たに放射線防護措置が必要な業務は増えていくことが見込まれていますので、専門家による検討会を設置するとともに、避難区域等において、一定の線量下で除染や復旧作業を実施している中小・零細事業者の連合会等に対して、線量管理指導員の派遣などを行い、適切な放射線管理の実施を指導するものです。
二つ目は「治療と職業生活の両立等の支援対策事業」です。こちらは、平成25年から27年度の3年間の計画を考えておりますが、平成25年度においては、長期にわたる治療等が必要な作業関連疾患等の疾病を抱えた労働者の就労継続に係る事例集収を行って、就労支援のあり方に関する検討会を行うとともに、就労継続支援のための手引きの作成を行うことを予定しております。
三つ目は「第三次産業労働災害防止対策支援事業」です。労働災害全体の約4割を第三次産業が占めているわけですが、特に労働災害が多発している社会福祉施設又は小売業を対象に、最も多い事故の形態である転倒災害防止のために、職場内の危険箇所の「見える化」推進のためのツールの開発・作成を行うとともに、個別の事業者に対し、当該ツールを用いたコンサルティングを実施し、また、介護従事労働者の腰痛予防教育の実施等、腰痛予防対策を講じるものです。
四つ目は「製造業に対する特別労働災害防止対策」です。労働災害の発生件数そのものは長期的に減少してきていますが、平成22年・23年については、33年ぶりに2年連続で増加するという状態になっています。特に製造業については、障害が残るような重篤な労働災害が多発するということで、労働災害防止対策を強化する必要があります。中でも小規模零細事業場については、労働災害防止のためのノウハウも十分ではないこともありますので、中央労働災害防止協会において、製造業の小規模事業場に対して、研修会や個別指導を実施する予定としていまして、こちらの費用補助を行うものです。
五つ目は「第三次産業における労働災害減少のための設備機器の開発事業」です。第三次産業では、転倒や切れこすれといった既存の設備機器や技術等では、安全対策が十分に取りにくいという労働災害が多い状況がありますので、検討委員会を開催して、設備機器開発に係る提案を公募して、採択した提案者に対して補助を行い、設備機器開発を支援する事業です。
六つ目は「職場における雇用均等対策の推進」です。近年、セクシュアルハラスメント被害を受けたことにより、労働者が通院のおそれのある精神状態になったと思われる事案が増加していることがありまして、大規模な労働局、予定では10局において、専門的な知識を有する者を新たに設置して雇用均等室の体制を強化し、労働者からの相談に適切に対応することで、企業のセクシュアルハラスメント対策について指導・支援を行う事業です。
最後に参考資料について御説明いたします。参考資料1-1から1-3と1-5については、社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本的な基本方針等の資料ですので、説明を省略させていただきます。
参考資料1-4は、1ページが「社会復帰促進等事業費の推移」です。全体の事業費の推移です。社会復帰促進等事業費については、平成21年度の予算までに平成17年度予算の4分の1を削減して917億円規模にするという目標がありまして、着実な予算の削減に取り組んできたところです。下のグラフにあるとおり、平成21年度と平成23年度についてはリーマンショックや東日本大震災の影響を受けて補正予算を組んだ結果、対前年度よりも予算が増額となっていることを除けば、目標に沿った削減が図られてきているところです。
平成25年度の要求額については一番右側ですが、683億円、未払賃金の立替払事業を除くと498億円となり、それぞれ対前年度比で7.5%減、2.8%減という水準になっています。
2、3ページについては、事業の種類別の予算額の推移、また、立替払いの制度の状況となっておりますので、御参照いただければと思います。
4ページは「労災保険経済概況」です。直近5年間の労災保険の財政状況についてお示ししております。今回、平成23年度の決算が終了しておりますので御報告させていただきます。収入は1兆1,610億円で、平成22年度と比較して224億円増となっています。この要因としては、保険料収入が8,095億円と、平成22年度と比較して254億円増となっています。一方、支出は1兆2,686億円で、平成22年度と比較して301億円増となっています。この要因としては保険給付費が8,625億円と、平成22年度と比較して102億円増となっています。東日本大震災の関係で、被災地3局の遺族給付が増加しているのが要因です。さらに、社会復帰促進等事業費についても918億円と、平成22年度と比較して118億円増となっていますが、こちらも先ほど申し上げたように、震災対応で補正予算を計上した関係で増加しているものです。
収入と支出の差額である「決算上の収支」については、1,076億円のマイナスになっています。このマイナス分については、積立金より補足して決算を終了しております。その結果、平成23年度末の積立金の累積額については、7兆9,457億円となっています。表のとおり、平成21年度決算から赤字の決算が続いていますが、平成20年度までに年金給付の責任準備金として積み立てております積立金がほぼ必要額を充足していることと、年金受給者が減少していくということから、現在、積立金を取り崩して各年度の給付に財源を当てていく局面に入っていることによるものです。
5ページは労災勘定の平成25年度の要求概要ですので、御参照いただければと思います。長くなりましたが、議題1に関する御説明は以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただ今、御説明いただきました社会復帰促進等事業に係る問題について、御意見、御質問がありましたらお願いします。
○齊藤(惠)委員 資料1-1の「技能実習生に対する事故・疾病防止対策等の実施のための経費」について、確認をさせていただきたいと思います。平成24年度成果目標を設定するに当たっての基準とした、技能実習1号の死傷者年千人率が、平成23年度の数値の6.48以下としている点についてですが、この技能実習1号、つまり入国1年目で就業している技能実習生の災害発生率が非常に高い原因を、どのように分析しているのかという点についてです。
もう1点は、安全衛生アドバイザー又はメンタルヘルスアドバイザーによる実地指導の件数目標についてです。現在、これらのアドバイザーがどれぐらいいて、実地指導の件数目標は技能実習生を受け入れている事業場のどのぐらいの割合を対象としているかなど、目標設定の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
○事務局 外国人研修推進室です。まず、入国1年目の方の災害が多い原因ですが、入国1年目の方は、日本語がまだ十分理解できていないこと、日本の生産現場に慣れていないことから、入国1年目までの災害が多いのではないかと考えております。
技能実習生の受入事業場ですが、事業場数は約2万です。事業を受けているのがJITCO(ジツコ)、公益財団法人の国際研修協力機構ですが、ここは本部と地方に17の駐在事務所を持っています。この中で、安全衛生アドバイザーは本部に1名、地方に13名を配置しています。メンタルヘルスアドバイザーについては本部に1名、地方に5名です。
平成23年度の目標については、平成20年度から22年度に業務上で被災した技能実習生の数の3年間の平均が552人であるところから、アドバイザーの訪問指導件数目標540件としたところです。そして、災害の多い業種・事業場に対して訪問指導を行うことを目標にしておりました。今回については、災害の多い業種・事業場に対して、集団的な指導を行う手法をとりまして、個別指導と集団指導を組み合わせて効率的に行いたいと思っているところです。
○岩村部会長 齊藤委員、よろしいでしょうか。ほかにございますか。
○黒田委員 資料1-2の3ページ、事業番号36の「職場における受動喫煙対策事業」について1点、意見を述べたいと思います。先の国会では、労働安全衛生法の改正法案は継続審議法案とされました。職場における受動喫煙を防止するための措置を事業者に義務づけるなどの内容が盛り込まれていたわけですが、御存知のように衆院の解散に伴って廃案となってしまったわけです。しかしながら、この法案には一昨年の12月に労働政策審議会が決議した建議「今後の職場における安全衛生の対策について」において、「労働者の健康障害防止という観点から、一般の事務所・工場等においては、全面禁煙や空間分煙とすることを事業者の義務とすることが適当である」としたことなどを踏まえて策定されたものだと考えています。
平成25年度は補助金を増額する方向で、喫煙室の設置費用の助成等を挙げていただいているのですが、法案が廃案となってしまったことで、取組みが後退することのないように、是非とも、増額する概算要求を堅持していただけるようにお願いしたいと思います。
○岩村部会長 御意見ということですが、よろしいですか。
○事務局 労働衛生課でございます。今ほどございましたように、法案自体は残念ながら廃案ということですが、一方で中小事業者に対する助成措置などを通じて受動喫煙の防止対策を進めていくことは非常に重要ですので、助成率のアップも含めて、増額要求には現在力を入れているところでございます。
○岩村部会長 そのほか、いかがでしょうか。
○立川委員 平成25年度の社会復帰促進等事業の新規事業に関しての3番目ですが、「第三次産業労働災害対策支援事業」があります。その事業概要については、第三次産業のうち社会福祉施設や小売業を中心に、特に転倒災害の事故が多いということで、職場内の危険箇所の「見える化」の推進に係るツールの開発・作成といったことを行い、それを用いたコンサルティングを実施するとお伺いしたところです。一方で、現在の労働政策審議会の下に設置されている安全衛生分科会において、来年度からの5ヶ年計画である第12次労働災害防止計画の論議が行われていると承知しています。その中では、安全衛生行政の重点対象としてこなかった第三次産業である社会福祉施設や小売産業のほかに、陸上貨物運送事業の荷役作業における労働災害の防止を重点的な取組みとするという方向性が位置づけられて検討が行われていると聞いております。
これは、第三次産業における労働災害が、高齢者の増大による医療・介護産業の拡大により増加傾向にあり、陸上貨物運送事業における交通労働災害は年々減少の傾向にある中で、荷役作業における転落や墜落による労働災害の死傷者数は、平成12年以降あまり減少していないと伺っています。この社会復帰促進等事業において、第三次産業における労働災害の防止支援については、今回、平成25年度の予算として計上されているわけですが、陸上貨物運送事業の災害防止に資する何らかの支援策があるのか、あるいはそのことが検討されているのかをお伺いしたいと思います。
○事務局 安全課からお答えさせていただきます。今、委員からお話があったとおり、陸上貨物運送事業においては、荷役作業における墜落・転落災害が死傷災害において非常に多く発生していますので、現在、行政委員会を立ち上げて、荷役作業における安全対策検討会を開催しているところです。年度内を目処にガイドラインをまとめる方向で作業を進めておりまして、ガイドラインを策定したあとについては、ガイドラインを用いて労働局や監督署においてガイドラインに基づく指導を強化していく形で、今、考えております。
○岩村部会長 立川委員、よろしいでしょうか。
○立川委員 はい。
○岩村部会長 そのほか、いかがでしょうか。
○新谷委員 同じく資料1-3の4番目の「製造業に対する特別労働災害防止対策」について、お聞きしたいと思います。特に製造業においては、大手を中心にして中災防と一緒になって、労働災害の削減に取り組んできて大きな成果を上げてきたと思います。我が国における労働災害防止に対する知見の蓄積からいっても、中災防はかなりお持ちになっていると思いまして、それを中小・零細企業に対しても拡大していくということで、今回、取組みについて提起をされているわけです。4番目に書いてある対策について、裏のポンチ絵等にも分かりやすく書いてありますが、小規模製造業に対する集団指導と個別指導を行うとあります。全国の20事業場で100回ですから2,000事業場で、下は800事業場に対しては個別指導を実施すると書いてあります。補助については定額補助となっています。
この中災防の収入の状況を見たときに、賛助会員制度あるいは会員制度があって、一口いくらということで、一定のお金を払うといろいろなメリットが受けられる制度があります。この事業における個別指導なり集団指導に対して、賛助会員なり会員委員とのメリットの関係をどう考えたらいいのかということを確認したいと思います。
○事務局 計画課です。今の委員の御質問ですが、今回の新たな製造業に対する特別労働災害防止対策の補助金ですが、中災防の会員、それから非会員に対する差は、この補助金に対しては設けていません。委員のおっしゃるように、会員や賛助会員は一口数万円という会費を払って、いろいろなサービスを受けているわけですが、もともと通常の災防補助金自体も、会員・非会員を区別して補助しているわけではありません。中災防は、特に賛助会員に対して、研修や技術サービスの割引きをしたり、定期刊行物の配付、労働衛生に係る専門的な知識・経験を有する中災防の職員、いわゆる相談員の方が電話相談を行ったりというメリットを設けており、これらが会員に対するサービスになります。今回の、国からの補助金の制度については、会員・非会員問わずサービスをしていくことになっています。ただ、委員からの御意見は貴重な意見だと思いますので、その辺りは団体にもお話をさせていただきたいと思います。
○新谷委員 分かりました。基本的に、今回の施策と中災防の会員制度のメリットとは関係ないということでしたが、実は中災防のホームページを見てみると、今、御説明があったように、会員になるといろいろなメリットが受けられ、中災防が開催する安全衛生の研修の受講料が、会員になると一般価格よりも1~2割安くなることや、定期刊行物を配付いただけると書いてあります。ただ、会費が、年会費一口5万円という金額なのです。従業員が50人未満の零細だと4万円という金額になっています。非常に高いなと、私は印象として思いまして、ほかの団体をみると、例えば全国中小企業団体中央会の会員になるための年会費は年間1万円であり、商工会議所も同じく年間1万円となっています。これに比べて、中災防の会員のメリットはそれだけ大きいということなのかもしれません。
もう一つ気になるのが、中災防の今年度の収支計算書を拝見すると、年間で約60億円の予算で運営されているのですが、国庫補助金が約8億円あって、そのうち約2億8,500万円については、中災防が行う特定の研修事業について、一定の要件を満たした中小企業に対して割引料金を適用する場合に、その割引料に相当する額を国から交付する補助金だと書いてあるのです。今の御説明を踏まえると、賛助会員ではないのかもしれないけれども、とにかく一定の要件を満たす中小企業に対しては何らかの割引制度があって、その割引制度に対しては国の補助金が使われているというのが、この中災防の収支計算書に書かれてあるのです。
基本的に賛助会員の割引とは関係ないという御説明でしたので、多分、これとは違う何らかの一定の割引があって、それは賛助会員とは関係ないということなのだと思いますけれども、会費のあり方や国庫補助との関係等について、一度御検討いただいて、また何らかの場で御説明いただければと思っております。
○事務局 今、委員から御意見がありましたが、その辺りを踏まえて、中災防のほうとも検討していきたいと思っております。
○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。
○吉村委員 資料1-3の6「職場における雇用均等対策の推進」について、お聞きしたいと思います。資料では、セクハラ被害を受けたことにより、労働者が通院のおそれのある精神状態と思われる事案が増加しているということです。裏面のグラフでは、大規模地方労働局における紛争解決援助及び調停の受理件数については、年々10件から20件のペースで増加しているのが見てとれます。セクハラで悩んでいる労働者に対して、様々な窓口で相談体制を強化することは重要と思っておりますが、現状において、雇用均等指導員は各局で何人程度、総計で何人程度配置されており、主にどのような案件を対応しているのか、また、受理された相談件数はどの程度なのか。今回、セクハラに関する専門的な知識を有する者を新たに配置するとしていますが、現状の人員ではそうした事案の増加に対応できないのか、件数が多いのか、セクハラに関する専門知識を有しないのか。以上について、セクハラ対策も重要と考えておりますので、その視点から確認したいと思います。
○事務局 雇用均等政策課です。雇用均等指導員のうちセクハラ対策担当の指導員は現在47名です。企業訪問についてはセクシュアルハラスメント防止措置への企業への支援、労使からのセクシュアルハラスメントに関する相談への対応、労使間の紛争解決援助の補助業務等を行っているところです。
雇用均等室に寄せられるセクシュアルハラスメント関係の相談は、年間1万2,228件というのが平成23年度の件数です。紛争解決援助件数は同じく平成23年度は379件と、前年度より26件増加していて上昇傾向にあります。特に大規模局では、うつ状態等の精神障害の発症や、通院のおそれがある労働者からの相談が増加し、複雑困難な事案が増加していることから、これらに対応するための体制の整備が必要と考えているところです。
○岩村部会長 吉村委員、よろしいでしょうか。
○吉村委員 はい。
○岩村部会長 それでは、議題1についてはここまでとさせていただきたいと思います。
第2番目の議題は、議事次第にもありますが、「特別加入制度対象者の見直しについて」です。まず、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 はじめに資料2-1「健康保険と労災保険の適用関係の整理プロジェクトチームとりまとめ」という資料です。労働者の業務災害については労災保険で行う、業務外は健康保険で行うという制度になっておりますが、実態から申し上げると健康保険法上の業務の解釈は非常に広く、「職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業」ということでやってきましたので、副業で行っている請負やインターンシップなどについては、労災保険法からも健康保険法からも給付がなされない。今こういう状況がございました。
今回、娘さんの扶養の形になっていたシルバー人材センターの会員の方が、健康保険からの給付が認定されないということで、国その他について裁判を起こされました。それを契機として厚生労働省内にプロジェクトチームを立ち上げ、シルバー人材センターの問題のみならず、健康保険と労災保険の隙間の問題について検討をいたしました。
結論として、「健康保険」のところにあるように、基本的に隙間については健康保険で埋めるということで、労災保険の給付が受けられない場合には、健康保険の対象とするという整理です。その上で、労使等関係者の負担に関わる変更であるために、法律でやるのか解釈でやるのか、遡及するのかしないのか、それから役員の業務上の負傷に対してどうするのかも含めて、社会保障審議会での審議を行って結論を得ることになっております。これについては既に社会保障審議会が、医療保険部会は11月28日に開催され、既に1回議題となり議論がされております。
それでは労災保険についてどうするかです。労災保険については、労働基準法に規定する労働者以外の者については「特別加入制度」があります。今回、具体的に問題になったシルバー人材センターの会員の方も、造園の作業をやっていたということで、特別加入制度に入ろうと思ったら、入れないことはなかったのかもしれないという状況はありますが、いずれにしても特別加入制度について十分な周知・勧奨を行うことに加え、特別加入制度の対象者について、現在の最新の社会情勢を踏まえて適切となるよう検討を行うという整理をいたしました。
当然のことではありますが、シルバー人材センターの会員であっても、名目が雇用でないということであっても、実態として労働者である場合については、労災保険の適用をいたしますので、この点について改めて労働局等に徹底することにいたしました。これについては既に11月5日に通知を発出しております。シルバー人材センターについては、特に一般企業や公共機関から受注している作業を中心に、可能なものは全て職業紹介や派遣への転換を指導していくことにしております。
このような情況を受けて、資料2-2です。これから御説明するのは、バイク便事業者に係る特別加入について拡大をしたいということです。
バイク便事業者については、今現在、貨物自動車運送事業法という国土交通省所管の法律の規制の対象となっている総排気量125CC超のバイクについて、特別加入できることにしております。この125CC以下については業規制がないということで、平成6年に新たにバイク便を特別加入の対象にしたときには、125CC超だけという形で追加をした経緯があります。ただこれについては、やはり事業者からそこで区切るのはいかがなものかということで、かねてより指摘を受けていました。
今回、私どもとしては125CC超のバイクを使用する場合と、125CC以下でバイクを使用する場合とについて調査をしました。結論から申し上げると、特別加入の対象に加えていいのではないかということで、本日、御説明するところでございます。具体的には昨年11月に319事業場、これは把握できる限り全てということで調査を実施しております。場所としては、やはり東京、大阪の大都市圏にかなり固まって存在しております。その結果の概要は、災害発生率あるいは種類別災害発生件数について、排気量による差に大きな違いはありませんでした。あるいは業務の実態についても、総排気量で大きな違いはなかったということです。さらに労働者性についても判断基準に基づいて調べましたが、総合的に判断して労働者として認められる実態にある者は認められなかったということです。兼業なども非常に広く認められている実態もありますし、独自の称号なども認めているところが多いというようなことです。
次のページ、「対応方針ついて(案)」です。調査結果に基づき、125CC以下のバイク便事業者については、労働者に準じて保護するにふさわしい者といえるということで、125CC超のバイク便事業者に準じた取扱い、これを通達等で定めて対応したいということです。民間の保険との関係は、民間の保険については相手方に対する損害なども補償内容としているというようなことですので、必ずしも特別加入を導入することにより、民間を全くやめることにはならないだろうということです。それから、このようなかなり危険な分野ですので、逆選択されることもなかなか考えられないだろうということです。
今回、来年4月1日施行予定で新たな対象範囲について拡大したいと考えておりますが、その際、特にバイク便事業者の労働者性については、実態に応じて判断すべきものということで、注意喚起を監督署に図りたいということです。また業務範囲の特定についても、明確化を図りますし、業規制がない分野ですので、道路交通法等の規制に準じた災害防止協定の提出を求めるといったような安全措置の徹底については、図ってまいりたいということです。
以上、本日の議論を経て、できれば早い段階で地方に指示を行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ただ今、事務局から説明いただいたことについて、御意見、あるいは御質問がありましたらお願いします。
○新谷委員 まず、2-1の内容です。今般のシルバー人材センターの会員の方の就業中の負傷について、健康保険の適用がされなかったということから今回の見直しの提起があり、請負の業務、インターンシップ等々、従来の公的保険の対象から漏れていた方々に対して、新たなセーフティネットを強化することについては歓迎したいと思っております。ただその一方で、こうした取扱いがされるということが明確になることにより、実質的に雇用関係にあるにもかかわらず、事業主が労働保険の適用を逃れることを目的に、いわゆる偽装請負を助長してしまわないのかという懸念もあります。
今回の資料の中にも書かれている労災保険の扱いに関して、適正な運用を図るために、2ページ目の二つ目の○で、「実質的に雇用関係にある方には労災保険の給付の対象とする」旨徹底を図るとあります。御説明にもあったように、11月5日付けで補償課長から各労働局の労働基準部長に対して通達が発出されていることは承知しております。その通達の中に、形式的には労働者ではない者から労災請求があった場合は、引き続き、契約の形式のみで労働者性を判断することなく、作業の実態を調査の上、労働者性が認められた場合には適切に給付を行うよう、徹底をお願いする」とされているわけです。
この労働者性の判断について、これは労働基準法第9条の労働者性の判断になると思いますが、この判断基準について改めて確認させていただきたいのが1点です。それと、本来であれば労働保険の適用がなされ、給付だけではなくて事業主としては保険料も適正に納め、労働保険が成立した中で給付が行われるべきであり、その上で給付をいただくというのは筋であり、本来であれば、あらかじめ労働保険を成立させるという対策も同時に行うべきではないかと思います。その辺りの取組みについても、併せてお聞きしたいと思います。
○岩村部会長 では事務局からお願いします。
○労災管理課長 今、御指摘がありましたように、労災保険の労働者については、労働基準法上の労働者という判断基準でやっております。具体的には指揮命令をする、賃金を受けるということで、労働基準法について既に通知が出ておりますので、それに則って適正に判断をしたいと考えております。具体的に労働者ということで、労災保険給付が行われた場合には、その保険料が払われていないのではないかという御指摘があろうかと思います。それについては、労働保険の世界で算定基礎調査を新たに行うなどして、足りない分については追加で納めていただく。あるいは全く元から入っていないというケースは、さすがに少ないとは思いますが、そういう場合についてはやはり最低2年間は遡って、時効にならない分については、保険料について適正に対応していきたいと考えております。
○新谷委員 世の中の働き方の多様化、雇用の多様化などいろいろ言われておりますが、本来であれば労働関係・雇用関係にあるにもかかわらず、契約形式上は請負という形で、使用者がいろいろな責任を回避することが残念ながら世の中に多くあります。そういう偽装請負を撲滅するために、労働監督行政の面からも、是非、取組みの強化をお願いしたいと思っておりますので、この場で重ねてお願いを申し上げたいと思っております。
○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。
○齊藤(惠)委員 資料2-2「バイク便事業者に係る特別加入の対象範囲の見直しについて」です。今回、125CC以下のバイク便事業者も特別加入できるということで、セーフティネットの拡大につながるものであり、率直に評価したいと思っております。その上で1点要望です。今回、対象に追加されるバイク便には、原動機付自転車を使用する事業者も含まれると解釈しておりますが、これとは別に自転車を使用して貨物の輸送や信書の送達を行う事業者、いわゆるバイシクルメッセンジャーが東京や大阪などの大都市を中心に事業を行っております。もちろん労働者性を有する者については、労災保険が適用されますが、労働者性のないバイシクルメッセンジャーについては、バイク便との業務内容の類似点の多さを踏まえれば、特別加入制度の対象とされている、業務の実態、災害の発生状況等から見て、労働者に準じて保護することが適当である者に該当する可能性があるのではないかと思われます。今後、バイシクルメッセンジャーに対する特別加入制度の適用についても、調査や研究をお願いしたいと思います。
○岩村部会長 事務局から何かございますか。
○労災管理課長 いわゆる自転車を使ってという業務形態も存在するのは、私ども承知しております。確かにバイクであれば原付も含めて、いわゆる免許というものが必要で、それなりの安全、教育などが別の法律によって担保されております。自転車については、なかなか今現在そういう担保がないということで、これをどう取り扱っていくかは課題であるとは思っております。いずれにしても社会情勢に応じて、恐らく警察関係あるいは国土交通関係でも、自転車の事故についてはそれなりの対応を進めていくと思いますので、私どももそのような状況も見ながら、特別加入も含めて、安全衛生労災全体について対応を考えていきたいと思っております。
○岩村部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは次の議題に移ります。議題の3「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部改正について」です。事務局から説明をお願いします。
○労働保険徴収課長 労働保険徴収課から御説明します。資料3「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部改正について」です。内容は?の一つ目の○にあるように、社会保険料と労働保険料は社会保険であれば、報酬月額、労働保険であれば賃金総額を元にして算定しておりますが、その場合の賃金には、住宅や食事などの現物による給付も含めるとしております。この現物給与の価額については、厚生労働大臣の告示により社会保険、労働保険共通のものとして告示で都道府県ごとに額が定められております。
これについて、二つ目の○の第一段落にあるように、支店等も含めて本社で一括して人事労務管理を行っている場合については、本社は支店等も含めて一つの適用事業所として扱われます。これまで第二段落辺りにあるように、社会保険ではそういう支店に勤める労働者に対しても、本社の属する都道府県の現物給与の価額が適用されてきました。こうした取扱いについては3段落目にありますが、生活実態に即した価額が適用されていないという御指摘もございまして、今般、告示を改正してこのような支店にある現物給与の価額の適用について、実際の勤務地が属する都道府県の現物給与の価額を適用するということです。
言葉だけでは分かりにくいかもしれませんが、参考資料の1ページの下のほうですが、一つの事例として、住宅の現物給与の価額の例です。左側が現在の適用で、本社が東京にある事例です。この場合について価額が1畳当たり2,400円になっておりますが、現行の取扱いでは支店を含めてここにあるように2,400円が適用されており、北海道であっても、大阪でも東京と同じ価額になっております。これを今般、右側にあるように、本社は引き続き2,400円で変えませんが、例えば北海道であれば北海道の価額である870円、大阪であれば大阪の価額で1,480円を適用していくということです。
また資料3に戻り、このような形で社会保険において取扱いの変更を行いますが、労働保険については三つ目の○にあるように、こういう取扱いについては具体的には扱いを示してこなかったのですが、社会保険における取扱い変更に伴い、今後は同様の取扱いをすることを明示することが望ましいことから、労働保険についても社会保険と同様とする取扱いを明確化するということです。そのために今回、告示の改正を行いたいということです。
現在、資料3の内容でパブリックコメントを行っておりまして、今週末が締切りです。そういうパブリックコメントを経て資料3の?にあるように、来年1月下旬に公布して、周知を行い、来年度の平成25年4月1日から適用していくよう考えております。
○岩村部会長 これについて何か御意見、御質問ございますか。よろしゅうございますか。それでは次に議題の4番目です。「国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会の経過報告について」です。事務局から説明をいただきたいと思います。
○労災管理課長 資料4です。これは独立行政法人の改革の中で、国立病院・労災病院を中心とした独立行政法人については新たな法人制度に移行するということで、今現在、議論が行われております。3ページ。今年3月30日以来、議論を重ねてきており、現在6回まで終わっております。7回目は未定ですが、中間的に今の議論の状況を御報告いたします。どういうことが議論されているかですが、4、5ページに第5回の検討会に出た資料にあるように、新たな法人の制度の制度設計という形での議論が行われております。
例えば「役員の任命」は、中期目標行政法人については、理事長は主務大臣が内閣の承認を得て任命、原則公募、理事は法人の長が任命。この辺りを新法人がどのようにするか。厚生労働大臣が任命で、理事は理事長が任命でいいのか、候補者を原則公募するのかどうかという議論を行っております。
あるいは「役員の人事管理」「職員の人事管理」についても、例えばここには書いておりませんが、役員・理事については通常様々な損害賠償責任等を負わせるという制度が一般にかなりありますので、そういう制度を設けるのか。監事についてきちんと法律上権限を書き込んだほうがいいのではないかというようなこと。あるいは職員についても特に国立病院は今、公務員型ですので、そういうものの非公務員化というようなものなどが議論されております。
「政府による財源措置」については、今現在、運営費交付金ということで、渡し切りの形になっています。しかし病院事業については通常の診療報酬で運営しており、国の予算のいわゆる赤字補填は行われておりませんが、なかなか一般にはそれが理解されにくいので、新法人については、例えば研究であるとか、あるいは教育普及など様々な政策目的に沿ったなるべく人に見えやすいような財政支援の在り方を検討してはどうか。更に公的・民間医療機関に対して補助制度は存在するものについては、可能な限りそれを活用できるということにしてはどうかということが議論されております。
また「利益処分」についても、なかなか今現在の制度が利益を再投資できないということですが、医療については、新しい設備の導入も急速に進めていかなければいけないということで、利益処分などについてもより柔軟にすべきではないかという議論が行われております。
「目標設定等」は、今現在の独法制度については、独法の委員会そのものが評価することになっておりますが、これについては、大臣が直接評価を行うという制度にしてはどうかということで議論がなされております。ただ新法人については医療の自主性がありますので、中期目標・中期計画を転がしていくというよりも、組織としての基本的な方針をまず大臣が示して、それを元にそれぞれの法人がやる計画を立てていく形にしてはどうかという議論がされております。
「評価」についても、大臣が評価するにしても、第三者である関係審議会の意見の聴取を行うということで議論がされております。
次のページ、新しい法人制度においてどのような業務の持ち方にするかです。今現在、労働者健康福祉機構が持っている労災病院と産業保健推進センター事業については、医療関係の中核業務ですので、新法人に移行するということで議論はされておりますが、リハビリテーション作業所については平成27年度中に廃止ですので、いわば経過措置という形で新法人に移行して、廃止していくことを考えています。
「未払賃金立替払事業」については、勤労者退職金共済機構に移管。「産業殉職者慰霊事業」については、国の直接実施が検討されております。
今現在、労働者健康福祉機構が経過措置として行っている安全衛生融資については、実施主体について検討とありますが、これについてはなかなか引き受け手がないので、引き続き経過措置としてやっていくのかなということで議論が行われており、中間的に御報告を申し上げます。
政府全体としては独法の改革法が解散により廃案になり、今後どのようなスケジュールになるのかは見通せません。しかし事務的に検討していたものについては、いずれにしても審議会段階で御報告を申し上げたいということで御説明したということです。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ただ今、御説明いただいた点については、御意見、御質問ございますか。よろしゅうございますか。それでは次に第5番目の議題です。「衆議院決算行政監視委員『行政監視に基づく事業の見直しに関する決議のフォローアップ決議』(労災診療費のレセプト審査事務)への対応について」です。事務局から説明をお願いします。
○補償課長 補償課でございます。資料5を見ていただければと思います。本年9月7日に衆議院の決算行政監視委員会において、「行政監視に基づく事業の見直しに関する決議のフォローアップ決議」がなされました。その中で、労災診療費のレセプト審査事務に関する業務改善等の具体策について、検討することを求められました。
このフォローアップ決議がなされた経緯ですが、昨年12月に衆議院の決算行政監視委員会から、労災診療費のレセプト審査について、支払基金への委託についても検討すべきという決議がなされました。それを受けて、厚労省としては検討会を設置して、今年6月1日に当検討会の報告書を公表いたしました。その内容としては、支払基金等に労災レセプトの審査を委託するよりも、国が直接一括して審査する現行方式のほうが妥当であるという結論でした。その後6月13日に、大臣から同委員会に、国が一括して審査する現行の方式の中で業務改善を行い、更なる経費の縮減に努めるという報告がなされました。
同委員会においては、国が直接一括して審査する現行の方式については、ご了承いただきましたが、更に労災レセプトの審査の業務改善等を具体的に行うことを求める今回の決議に結び付きました。
今後の進め方としては、支払基金への委託を検討していた労災診療費のレセプト審査事務に関する検討会を再開して、今度新たに議決された検討項目である労災診療費のレセプト審査事務に関する業務改善等の具体策について検討を行う予定です。新たな議題の下、今日午後から第1回目の検討会を再開する予定です。検討の中身については、レセプト審査事務に関する手法、範囲、審査の精度等の観点から業務改善の検討を行い、併せて業務改善に伴う経費の縮減についても検討を行います。年度内を目途に報告書にまとめたいと考えています。以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。今、御説明いただきましたこの「レセプト審査」について、御意見、御質問などありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
次に議題の6「胆管がんの労災認定に関する検討会について」です。まず事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 安全衛生部化学物質対策課長の奈良です。私から初めに、胆管がんの原因調査と関係業界などに関する行政の取組み状況について、時系列的に御説明申し上げます。
資料6-1です。労働基準監督署に最初に労災請求がありましたのは、本年3月30日です。これにより行政として情報を初めて把握して、化学物質による職業がんの可能性を考慮し直ちに調査を開始したものです。
印刷の業務では、非常に多くの種類の化学物質が使われていますので、化学物質のばく露は最も重要な調査項目の一つですが、この調査の開始時点では、それ以外の職業上の有害要因、例えば特殊なカビであるとか食物、あるいは職業外の要因、ウイルスなども排除せずに慎重に調査を行ってきました。一方で、5月21日に印刷業界に対する情報提供を速やかに行い、注意喚起するとともに、6月に同種の洗浄作業が想定される全国の561の印刷事業場に対して、労働基準監督署による立入調査も行い、法令の遵守の徹底を図りました。
資料の裏面を御覧ください。2に「大阪の印刷事業場の状況」があります。私ども、事業場の調査や聞取調査を進めていく一方で、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の協力を得て、化学物質の使用状況に関する現場調査を5月から7月にかけて3回行いました。その結果、この事業場では労働者への化学物質ばく露が極めて大きいことが判明しました。すなわち、作業場が地下の通風が不十分な所にありまして、その中で多量の揮発性の化学物質が使用されていました。しかも、そこで使われていた換気設備が有害物質を取り扱うための構造がとられていませんでした。5月以降、本件に関する報道が繰り返しなされ、社会的関心も高まっていたということもあり、この調査結果については、7月10日に中間報告を行い、その詳細を報告しました。
特にばく露が大きいと考えられるのは、印刷機の洗浄剤として6年前まで使用されていた脂肪族塩素化合物、これは炭化水素の一部が塩素化された洗浄力の高い物質です。この事業場で行われていた作業は、通常の印刷工程ではなくて、10枚程度の、いわゆる校正見本の印刷を主体とする工程であったために、頻繁にこの印刷機の洗浄が行われていたことが明らかになっています。
資料の表に移ります。印刷工程におけるこの洗浄作業は、頻度の違いこそはあれ多くの印刷事業場で行われていること、使用状況は異なるものの、洗浄作業は印刷業以外でも広く行われていることから、7月23日に通風が不十分な屋内作業場での脂肪族塩素化合物を含む有機塩素系洗浄剤を用いた洗浄作業について、有機溶剤中毒予防規則の適用の有無を問わず、ばく露防止措置を講ずるよう安全衛生部長名で注意喚起を行いました。さらに、こうした問題に対応するため、7月から全国の1万8,000の印刷事業場に対する通信調査と、それに続く集団指導を行い、法令遵守の徹底を図っています。
二つ目として、医学的な観点から胆管がん発症の原因を調査するため、外部専門家グループによる疫学的調査に着手し、更には、胆管がんに関する電話相談窓口を設置しました。11月末で791件の相談が寄せられています。
疫学調査については、短期間で結論が出せるものではありませんが、化学物質による職業がんの可能性もあるだけに、しっかりした調査が必要であると考えています。また、印刷事業場に対する指導は、現在も集団指導に欠席した事業場に対する監督指導などを行っています。さらに印刷業団体とも連携して、事業場の自主的な安全衛生水準の向上に向けた技術指導を継続しています。私からの説明は以上です。
○職業病認定対策室長 続きまして「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」について説明を申し上げます。資料6-2を御覧ください。胆管がんについては、過去に労災認定事例はなく、また、職業病のリストにも掲げられていないため、地方局ではこの労災請求に対して結論を出すことは困難であると判断して、本省で一括して処理をすることとしました。そこで、労災請求のあった地方局に対して、調査事項や収集資料などについて指示するとともに、本省では7月頃から検討会の設置に向けて準備を開始しました。
所管の監督署では、請求人、会社関係者、主治医からの意見聴取を行うとともに、関連性が指摘されている化学物質の使用量を確認するなどの調査を行って、本省宛てにりん伺がなされました。本省ではそれを受けて、9月6日に第1回の検討会を開催しました。
資料を1枚めくっていただきますと、検討会の参集者名簿があります。検討会のメンバーはこの資料のとおりであります。これまで、労災認定では主に公衆衛生、内科など医学専門家の検討会というのは、これまで開催したことがあるのですが、今回は特に校正印刷作業場における作業環境が問題とされていましたから、今回については化学と労働衛生工学の専門家にも加わっていただきました。
検討会での検討事項は、その次のページ、別紙2にあります。1つ目には「胆管がんの発症のメカニズム」、2点目としては、事業場で使用された化学物質が疑わしいという指摘がなされている、ジクロロメタンと1,2-ジクロロプロパンの発がん性について議論をいただくこと。3点目には「事業場で使用された化学物質のばく露量とばく露濃度の評価」、4点目には「事業場で使用された化学物質と胆管がん発症との間の因果関係」、そして5点目として「個別労災請求事案の業務起因性」の判断が主な検討事項です。
本日、午後6時から第3回目の検討会を開催する予定にしていますが、これまでの2回の検討会においては、胆管がんを発症した労働者の病理所見の検討、事業場における作業環境の評価、ジクロロメタン、1,2-ジクロロプロパンの発がん性に関する文献調査を行ってきました。この検討会は年度末を目途に5回開催して、一定の考え方を報告書に取りまとめることとしています。
なお、胆管がんに係る労災請求件数は、11月末現在で56件あります。そのうち本省にりん伺が上がっているものが、現時点で大阪の11件ですが、それ以外の局でも請求があります。地方局での調査が終了次第、本省にりん伺させて順次検討会で検討する予定にしています。以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただ今、御説明いただきましたことについて御意見、御質問等ありますでしょうか。黒田委員、どうぞ。
○黒田委員 労災保険法には消滅時効の規定があると思います。時効に至る期間は2年とか5年とか一般の債権より短いわけですが、胆管がんと業務に因果関係があり、労災の対象となることが明らかとなった場合、過去に遡っての請求が可能なのかどうかも含めて、消滅時効の考え方について確認させていただきたいと思います。
○岩村部会長 事務局、お願いいたします。
○労災管理課長 労災保険についての消滅時効ですが、これは民法と同じで、請求権を行使し得るときから進行するということです。因果関係が一般的に明らかでないという場合、業務と疾病の因果関係が明らかとなるまでは請求権の時効は進行しないというふうに取り扱うこととしています。これについては、既に昭和50年にクロム精練工程作業従事者について肺がんが多発した段階で、通達の形で示したということがあります。今回の件についても、今現在、因果関係について検討会で議論されていますので、その結果が分かってからしか対応できないと、こういう整理になろうかと考えています。
○岩村部会長 よろしいでしょうか。
○黒田委員 はい。
○岩村部会長 そのほかいかがでしょうか。特にありませんか。そうしますと、今日予定していた議題はこれで全て終了したことになります。特に御意見、ご発言がないということでしたら、これをもって本日の部会は終了とさせていただきます。本日の議事録の署名委員は、労働者代表は黒田委員に、使用者代表は山中委員にそれぞれお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今日はお忙しい中ありがとうございました。これで閉会いたします。
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