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2012年5月25日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年5月25日(金)


○場所

厚生労働省 専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(18名)  五十音順

○荒 井 保 明、 石 井 明 子、 今 井 聡 美、◎笠 貫   宏、

 川 上 正 舒、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、

 鈴 木 邦 彦、 高 橋 好 文、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、

 寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、 西 田 幸 二、 菱 田 和 己、

 松 岡 厚 子、 村 上 輝 夫

(注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人2名

 欠席委員(5名)五十音順

 荒 川 義 弘、 木 村   剛、 倉 根 一 郎、 千 葉 敏 雄、

 桃 井 保 子

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 浅 沼 一 成 (医療機器審査管理室長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開会いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして誠にありがとうございます。まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、今のところ17名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明させていただきます。平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については、医療機器の承認審査に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開といたします。
これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、以降の議事進行は、笠貫部会長にお願いいたします。
○笠貫部会長 最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○医療機器審査管理室長 公開案件分の配付資料の確認をさせていただきます。公開案件の資料1「体外診断用医薬品の認証基準の一部改正について」です。以上です。
○笠貫部会長 皆さん、資料はおそろいでしょうか。議題1に入ります。議題1「体外診断用医薬品の認証基準の一部改正について」事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料1「体外診断用医薬品の認証基準の一部改正について」御説明させていただきます。
誠に申し訳ありませんが、資料1に一部訂正があります。裏面の別添資料の表にある検査項目の一番上が「インタラクト」となっておりますが、「インタクト」の誤りですので訂正させていただきます。
 体外診断用医薬品の認証基準についてですが、薬事法第2条第13項に規定する体外診断用医薬品については、それぞれの体外診断用医薬品の一般的名称を定め、その一般的名称ごとにクラス分類を定めるなど、必要な規制を行っております。疾病の診断等に使用された際、その診断情報リスクが中程度に分類される体外診断用医薬品については、法第23条の2第1項の規定により、厚生労働大臣が基準を定めて指定する体外診断用医薬品として認証基準が定められており、これを製造販売しようとする場合には、認証基準への適合について、法第23条の7第1項の規定に基づき、厚生労働大臣の登録を受けた登録認証機関の認証を受けることとされております。
 今般、新たなクラスIIの体外診断用医薬品が承認されていることを踏まえ、本日御報告させていただきます別添の認証基準の対象となる体外診断用医薬品の4品目を追加するために、認証基準に関する告示を改正する予定としております。報告は以上です。
○笠貫部会長 委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。特に御意見が無いようですので、これで議題1を終了とさせていただきます。公開で行います議題は以上です。
○医療機器審査管理室長 ありがとうございました。以後の議題は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退室のほどよろしくお願いいたします。
非公開で行う議題2以降の開始時間は、14時6分とさせていただきます。
○笠貫部会長 よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理室長 準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開させていただきます。
非公開の議題に係る配付資料の確認をさせていただきます。資料2は、「医療機器『サーモガードシステム』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」です。資料3は、「医療機器『アダカラム』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」です。資料4-1は、「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について(神経内視鏡用バルーンカテーテル)(諮問書)」です。資料4-2は、「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について(患者適合型単回使用関節手術用機器)(諮問書)」です。資料5-1は、「医療機器『カワスミカリウム吸着フィルター』の再審査報告について」です。資料5-2は、「医療機器『ジェルパート』の再審査報告について」です。資料5-3は、「医療機器『マイクロドライバーコロナリーステントシステム』の再審査報告について」です。資料6は、「医療機器・体外診断薬部会報告品目」です。資料7は、「競合品目・競合企業リスト」です。参考資料1は、「薬事分科会審議参加規程」です。参考資料2は、「医療機器のクラス分類ルールの一部を改正する件について」です。
○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。これから、非公開で行う議題に入ります。
本日の審議事項に関与された委員、利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いいたします。
○事務局 本日の審議事項に関する影響企業の調査について、御報告させていただきます。資料7と参考資料1です。これらの報告については、平成20年12月19日付、薬事分科会で決定された、薬事分科会審議参加規程に基づくものです。皆様から毎回御報告いただいておりますので概要は御存じかと思いますが、過去3年度にわたり、寄付金、契約金等の額について、競合企業と申請企業から申告をいただき、その結果に応じて審議不参加、若しくは議決への不参加という形を審議会規程として定めさせていただいております。
 資料7の競合品目・競合企業リストを御覧ください。表紙になっておりますのが、今回の議題2「サーモガードシステム」についてです。申請者はZOLL Circulation,Inc.、選任製造販売業者がアドミス株式会社となっております。競合品目として、1点目がアイ・エム・アイ株式会社のArcticSun5000、体温管理システムです。競合品目の2点目は、米国PHILIPS社、開発コード名はInnerCoolRTxEndovascularSystemです。競合品目の3点目は、治験事務局が岡山大学医学部歯学部附属病院麻酔科蘇生科、開発コード名はi-Cool(咽頭冷却装置)となっています。開発中のものもありますが、いずれも体温調節を行う装置で、対象患者が重なることなどが想定されるとの理由で申告がされております。
次のページが議題3で、申請者は株式会社JIMROのアダカラムについてです。こちらは、競合品目の申告はありません。
 また、本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」、又は第13条の「議決不参加の基準」に基づき、御退室いただく委員及び議決に御参加いただけない委員はいらっしゃいません。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ただ今の事務局からの報告に御意見等はありますか。特に無いようでしたら、議題2に入ります。
議題2「医療機器『サーモガードシステム』の製造販売承認の可否等について」審議を行います。本議題の審議に当たっては、参考人として千葉県救急医療センター、センター長の小林繁樹先生に御出席いただいております。まず、審議品目の概要について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議品目の概要について御説明いたします。資料2を御覧ください。こちらの1枚目は「サーモガードシステム」の諮問書です。
次に2ページの審査報告書を御覧ください。一般的名称が「中心静脈留置型経皮的体温調節装置システム(新設予定)」となっております。販売名は「サーモガードシステム」、申請者は「ZOLL Circulation,Inc.」専任製造販売業者ガアドミス株式会社です。
 品目の概要は5ページです。図1の装置本体、図2のスタートアップキット、図3のカテーテルから構成される体温調節装置システムです。申請時の使用目的は3ページにあるように、「集中治療室等において、中心静脈用カテーテルを必要とする急性重症脳障害に伴う発熱患者に対し、発熱負担を軽減するための解熱剤、冷却用ブランケット等の補助として、専用の中心静脈留置型熱交換用灌流式バルーン付カテーテルを介し、血管内で血液との熱交換を行う(ただし、低体温療法を除く)ものです。
 「一般的名称の新設について」という1番目のタグをおめくりください。今回、中心静脈留置型経皮的体温調節装置システムは、1.高度管理医療機器として新たに指定すること、2.特定保守管理医療機器として新たに指定すること、3.本品はヒトその他の生物に由来するヘパリンナトリウムを原料、又は材料として製造されているため、生物由来製品として新たに指定することとし、一般的名称を「中心静脈留置型経皮的体温調節装置システム」として新設し、クラス分類をIVと考えております。詳細については機構から説明いたします。
○機構 議題2、資料2「医療機器『サーモガードシステム』の高度管理医療機、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきます。
諮問書の次のページを御覧ください。本審査に当たり、紙に記載しております3名の専門委員の先生の御意見をいただきました。
 本品目の概要については、審査報告書の4ページを御覧ください。サーモガードシステム、以下は「本品」と略します。本品はZOLL Circulation,Inc.より申請された体温調節補助装置で、図1、図2及び図3にお示ししますとおり、装置本体、中心静脈に留置するカテーテル、体外部回路を形成するスタートアップキットから構成されています。カテーテルのシャフト部側面には、内部に生理食塩水を灌流させるバルーンが備わっております。本体装置内の恒温槽で温度調節された生理食塩水をこのバルーン内に灌流させ、血液を介して体温を調節します。併用される深部体温計の情報を本品が受け取り、設定された体温になるように常に生理食塩水の温度が調節されるシステムになっています。
後に臨床試験に関する論点においても述べますが、本品を低体温療法に用いることに関する根拠については、本申請に添付された資料からは十分に説明されていないと判断し、本品の使用目的から、低体温療法を除く措置をとっております。それに伴い、申請時にはCLタイプと、ICタイプの二つのカテーテルのタイプが存在しましたが、そのうち低体温療法への適応を想定して開発された、ICタイプのカテーテルを本申請から除くことが妥当と判断いたしました。なお、海外において平成24年3月末日現在で、装置本体が1,427台、CLタイプのカテーテルは合計で16,410本の販売実績があります。
 非臨床試験の成績に関する論点を御説明させていただきます。審査報告書11ページの「使用方法を裏付ける資料」の項で、動物試験においてバルーンとバルーンの間に血栓の形成が確認されております。この点について、審査報告書の12ページにかけて記載しましたとおり、動物試験において見られた血栓形成部位と、本品を血流下に置いた際の血流のシミュレーションにおいて、血流の低下及び渦流の形成が確認された位置が一致していることを踏まえると、本品の構造上の特徴が、血栓形成のリスクになることは否定できないと考え、血栓の形成に関する本品のリスクについて、添付文書で注意喚起することが妥当と判断いたしました。
 本申請に添付された臨床試験成績について御説明させていただきます。審査報告書13ページからになります。臨床試験として脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞又は外傷性脳損傷の発熱患者を対象に、被験機器の体温管理機能を対照群と比較する目的で、米国12施設において、2000年8月~2002年4月に無作為非盲検比較試験が行われました。対照群に対しては、一般的な中心静脈用カテーテルが留置された後に、薬物、冷却ブランケット等の解熱のための一般的な処置を行い、被験群に対しては、対照群に対する解熱処置に加え、被験機器を適用し、最長7日間被験機器による体温管理を行いました。
 無作為化された296例は、審査報告書14ページの表2に示すように、被験群154例と対照群142例に割り付けられました。有効性の評価の結果については、審査報告書16~17ページの表3~5を御覧ください。有効性の主要評価項目として、治療開始後72時間までに膀胱温が38℃以上となる温度時間曲線下面積を用いて計算される、発熱負荷量を比較いたしました。その結果、被験群において有意に発熱負荷量を減少していることが示され、解熱が必要な発熱患者に対し、薬物による解熱治療に本品を併用する有効性が示されました。また、副次評価項目として、物理的冷却法の使用率及び解熱剤を追加投与した患者の割合について評価したところ、本品を使用して解熱を補助することにより、物理的冷却の簡素化及び解熱剤投与量の有意な減少が示されました。
 安全性の評価については、審査報告書18ページ以降の表6~12に記載しているとおり、治療開始後7日間及び30日間に起こった有害事象及び登録後30日間の死亡について結果が示されました。非臨床試験からは、血栓系の有害事象が懸念されましたが、血栓の流出による肺塞栓は有害事象として報告されていません。審査報告書18ページの表6に記載のとおり、被験群のみに生じた因果関係の否定できない有害事象として、深部静脈血栓症が1例、血胸が2例報告されましたが、発生頻度は一般的な中心静脈アクセスによる発生率を大きく上回るものではありませんでした。
 また、審査報告書22ページの表12に記載のとおり、有意差は無いものの、くも膜下出血患者において、対照群に比べ、被験群において死亡率が高い傾向が見られましたが、現時点では当該疾患に特化した危険性は認められないことから、事実関係について添付文書に記載することが妥当と判断いたしました。
 以上の臨床試験成績を踏まえ、本品の審査における主要な論点について御説明申し上げます。審査報告書27ページの「総合評価」を御覧ください。一つ目の論点は、「添付された資料に基づく本品の臨床上の位置付けについて」ですが、臨床試験から確認できる本品の性能としては、解熱剤や冷却ブランケットの体温を平熱まで下げる作用を補助し、体温を38℃以下に維持できることであり、この点については発熱負荷量の減少が見られたことに加え、併用する解熱剤の減量及び物理的冷却法の併用を減らしていることから、中枢性発熱を起こしている患者に対する解熱の補助には、一定の有効性が確認できたと判断いたしました。また従来の方法に加えて使用できる点や体表からの冷却で問題となるシバリングなどが起こりにくい点について有用性があると考えております。
 一方で、本品を用いて患者の体温を平熱よりも低い体温に維持できるか否かについては確認されていないと判断いたしました。本品を低体温療法に使用できるために十分な性能を備えているかを確認するためには、非臨床試験での性能の確認のみならず、低体温療法が必要な患者を対象とした臨床試験で確認する必要があると考えます。よって、本品の対象疾患から、低体温療法の患者を除くことが妥当と判断し、本品の適応を臨床試験の対象患者に合わせるよう申請者に指示いたしました。
 また、審査中に使用目的を変更したことにより、米国において当該使用目的と異なる適応で認可されている、ICタイプのカテーテルについては、本申請から取り下げることが妥当と判断いたしました。申請者は、使用目的の変更とICタイプのカテーテルについては、本申請から取り下げることを了承しております。
 続いて二つ目の論点である、「使用目的を限定することに伴う混乱を最小化するための措置について」です。本申請に添付された資料からは、本品の低体温療法への適応の妥当性については確認できませんでした。しかしながら、心肺停止後に蘇生した患者に対する低体温療法は、患者の神経学的予後の改善を見込めることが確認され、米国心臓協会のガイドラインにおいて、推奨される治療法として掲載されていること、ICタイプのカテーテルについては、米国においても低体温療法に用いるものとして認可されていることを踏まえると、本邦においても低体温療法に有効な医療機器の導入が待たれていることは明らかであり、その点については専門協議においても一致した意見でした。
 臨床現場のニーズ及び海外での本品の使用実態と本品の承認内容の乖離が長期化することは、本品の低体温療法への適応外使用を助長することにつながる懸念があるため、本品の適応拡大に向けた臨床試験の実施とその結果に基づいた適応拡大の一部変更承認申請を行うことを申請者に指示することが妥当と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は3年と判断しております。審査報告書13ページに記載されるとおり、本品のコーティングにヘパリンナトリウムを用いているため、生物由来製品に該当するものと判断しております。なお、薬事分科会で報告を予定しております。
 本日御欠席の木村委員より、適応を限定して承認する機構の方針に賛同する旨の御意見をいただいております。機構からは以上です。
○笠貫部会長 参考人の小林先生の方から、付け加えることがありましたら御意見をいただきたいと思います。
○小林参考人 今の説明で十分かと思うのですが、御存じのように体温の異常の場合に、それをコントロールする方法として薬を使う、物理的に温めたり、冷したりする方法があります。その中で、体内で中心静脈を直接血液の温度をコントロールする方法は非常に効率が良いと考えられます。
 先ほどお話がありましたように、特に、重症不整脈後の心肺停止状態の患者さんに対して、その後の低体温治療というのは、その後の予後を良くするというエビデンスがあります。現実に沢山行われております。それから一時ほどではないのですが、重症の脳疾患の場合に、低体温治療というのは広く行われている方法であります。この道具を使うと、そのような低体温治療といったものへの使用も当然考えられてしまうのですが、今回出てまいりました試験からは、そこに対する有効性・安全性はとても読み取ることはできないということで、ただ今説明がありましたように、今回については、重症脳疾患における高体温に対して、それを平熱に下げる、そこの部分については十分有効性・安全性が分かったということで、そのように承認するのがいいのではないかという結論に至ったわけです。
 一方でこれが承認されると、欧米で既にこれを使って低体温治療が沢山行われておりますし、そのような報告もあることから、そのような使用法を望む声が非常に強いだろうということですね。若しくは使われる可能性もあるということで、それについては早いタイミングで臨床治験を行って、それについても、きちんとした形で適応を拡大してほしいということを申し添えるという形での承認はいかがかと考えました。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件について、委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。先ほどの説明では少し理解が不十分だったかと思うのですが、今注目されているのは、心肺停止後の脳症である心停止後症候群に対する低体温療法は、今度の心肺蘇生ガイドラインの中にもしっかりと書かれています。日本だけではなく、世界のスタンダードの治療法として良い機器が無いことも事実だと思うのです。先生とPMDAの説明の中で、今回平成19年に申請された時には、企業からの申請は低体温療法も含まれていたのですね。
○機構 はい。
○笠貫部会長 有効性・安全性を示すデータが無いことで、この適応だけにしたということですけれども、欧米では低体温治療法として行われているのですね。そのデータはあるはずですね。それが無いという判断なのですか。
○機構 添付資料として出てきた臨床試験は、説明させていただいたように高熱の患者さんに対して、平熱に戻すというか、平熱にまで下げる治療だったわけです。その後は、まずそこで承認が取られて使っているうちに、低体温にももちろん使われた事例がありながら、ヨーロッパではそのような患者さんが増えてきたので、レジストリーというような形でのデータ収集が行われています。それが添付資料として提出ができるだけのエビデンスとしてできますかということを相談させていただいたのですけれども、それは提出できないということです。論文データとしては存在するのですけれども、機構に提出できる資料としてはまだまとまっていないのが事実です。
 それがあるので、日本では添付資料として使えるデータとして、臨床試験をということで御相談を進めていて、その結果、日本で少し臨床試験の症例数はそんなに沢山ではないのですけれども今計画をしておりますので、それを付けて再申請をするということですが、その部分については改めて申請するということで、申請者とは合意をしております。
○笠貫部会長 患者さんサイドからいくと、代替機として余り良いものが無いので、是非これを使いたいという臨床のニーズがあると思うのです。その時に、申請者が、アメリカでもヨーロッパでもこれだけ認められている機器について、添付資料が出せないのでしょうか。その理由はどこにあるのでしょうか。
○機構 正直申し上げて、申請者の方にその理由を求めるのは、逆に私どもとしてもそれを聞きたかったわけです。なぜそれが出せないのですか、なぜそうやって使われているのにデータが無いのですか、ということは何度も尋ねました。これは申請する前に相談が来たのですけれども、対面助言の中でも同じように申し上げて、それについてはデータを出してくださいというお話をしたのですが、それを付けずに申請された経緯があります。
 そんなところから、どうにかデータを集めて、その部分まで適応を広げた形で承認できないかということで、これは審査にすごく時間がかかっています。その中でなんとかしようと頑張っているのですけれども、結果的にそこは提出できなかったということです。最終的にはここまででまとめて、まず物を出すということで、適応を限定して承認するという方向で判断いたしました。
○笠貫部会長 これは平成19年に申請されて、今回出てきたということですね。だいぶ時間がかかっているのですが、今言ったような理由が主なものと考えていいのですか。
○機構 一番大きな理由は、適応を限定するところのエビデンスを出していただくという部分が大きかったです。
○笠貫部会長 一方では承認されると、低体温療法に使われるだろうという現実を踏まえた上での苦渋の判断だとお伺いしました。企業サイドの説明では、PMDAが理解できなかったように、私も理解できないのです。臨床現場のニーズとしては、低体温療法での検討を強く求めるようにここでも加えたいと思うのですが、この点についてほかの先生方から御意見はありますか。
○齋藤委員 競合品目があると思うのですけれども、それが現在の医療現場で低体温療法に使われている品目はあるのですか。
○機構 この品目と同じような、身体の中から冷やす方法での品目はありません。これが初めてになります。
○齋藤委員 そのような状況でしたら適応を拡大した方が企業にとってはメリットが多いですね。
○笠貫部会長 カテーテルのタイプが違うということはないのですか。これはCLタイプということだったのですが、低体温用にはカテーテルが特殊なものだとか、ICタイプというのもあるということなのですが。
○機構 御指摘のとおりです。低体温の方に持っていくためには、もう少し冷却力が必要なのです。生理食塩水を流すルーメンの数が大きかったり、バルーンの大きさが大きかったりするものが、今海外では作られています。そちらの方が主に低体温用として販売されているものになります。
○塩川委員 脳外科の塩川です。発熱患者に使うけれども、低体温療法には使わないという背景は今の説明から、そうであるのかと思いました。この添付文書には、具体的な体温というのは適応のところに明示されていないわけです。私は脳卒中が専門なのですが、脳神経領域だと余り温度を下げなくても、脳平温療法と言って少しだけ体温を37℃から下げる等、低体温療法とは言い難いのですが、少し熱を下げるというようなことをする場合がしばしばあります。適応にある発熱患者には使えるけれども、低体温療法には使えないという建前というのが現場に分かりにくいのではないかと思うのです。その辺の周知の方法は何か考えていることがあるのですか。
○機構 今の質問の意味はよく分かります。ですけれども、逆にどこの体温という表現は書きにくいところも議論の中でありました。確かに明確な記載をしない適応の形で、最終的には落ち着いたというか、落ち着かせたわけです。確かに先生がおっしゃるように様々な治療法の中で、どれが低体温に当たり、どれが普通で、どれが高温から下げる療法かというところに対する明確な定義というのは、この中では確かに十分ではないのです。
 ですけれども、この後にこの製品については、余り沢山の施設で最初から使うというものではないので、順番に広げていく形になります。その時には講習を必ず受講していただく形になっています。その病院ごとになるのですけれども、そこの中でニュアンスといいますか、この内容を適切に伝えるようにというところについては、企業と一緒に詰めていきたいと思います。
○塩川委員 これに関連してもう一つ追加の質問というか意見としては、新しい道具・機器を承認してもらう時のレギュラトリーサイエンスの考え方が先ほどお話をされました。やはりきちんと適応を守って、そしてその結果を検証して、市販後調査もしてというようなフィードバックの作業が当然この次にあると思うのです。その点で、今の適応の曖昧さがあると使い始めての再評価が難しくなるような印象を持つのですが、そのようなことはないのですか。
○機構 その患者群によって出てくる有害症例数、若しくはその効果の出方であるとかは違ってくる可能性は確かにあると思います。その点については先生の御指摘を踏まえ、市販後調査の中でも、どのようなシチュエーションに対して、どのように使ったのかというのをきちんと分けて書き、最初の段階としては、症例数が余り多くないということが予想されているので、最初のスタートは、登録施設については全例を集めてくる形で、使った症例についてはデータを取ってくるということで始めます。今の御指摘を踏まえ、その辺りもきちんとデータの中に入れてくるようにさせていただきたいと思います。
○荒井部会長代理 すみません。私が聞き漏らしたかもしれないのですけれども、市販後調査は全数調査で行うのですか。
○機構 これは施設を限ってしまうと、場合によっては沢山といいますか、正しく言うと登録した施設だけに全数です。ですから、その契約をしていない施設に対しての使用についてまで全部集める必要は無いのですけれども、一定の施設数について限定して、そこで使われた数については全数という形でお願いしようと思います。
○荒井部会長代理 現場的には、逆に言うときちんと報告をする全数調査の対象の所では解熱に使われて、それ以外の所では低体温療法の方に流用されるということはかなり容易に想定できる光景です。先ほど御指摘のあった適応のところというのは、本当に現場的には非常に混乱するだろうと思います。特に全数調査の対象になるようなものは、基幹病院等しっかりした使い方をしている所で、本来使いたい所とは少し違う使い方で報告を行い、そこで集められたデータから、まさかそこで適応外のデータを集めるわけにはいきませんので、そこで集めたものが、今度は先ほどお話のあった何か科学的にエビデンスとして、この適応を広げる方に流用可能なデータが集められるのかどうか少し疑問に思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 まず一つ整理をしなければいけないのは、市販後調査のデータを用いて適応拡大するということではなく、適応拡大については、こちらとは別に臨床試験を走らせるということで始めます。適応拡大のところは、既にプロトコールの相談をしているのですが、それを別途走らせるという形で低体温の方は進めます。
 使用成績調査の方は、最初に企業と相談していた時に、症例数が集まりにくいのだけれども、でも裾野を広げて物を置いておかないと、これは緊急で使うデバイスなので、患者さんが来てから登録を始めるというわけにはいかないものですから、まずは置いた上で始めます。そこで症例が多い所を中心にまず集めてきて、使用成績調査としては、なるべく全数に近い形にはしたいとは言っております。ただ1例も使わない、使うか使わないか分からない所にまで物を置くことによって契約をして、全部集めてくることになると非常に大変になるという背景があります。最初は、そのような所まではいいですというように、ある程度使う施設でまず集めましょうということで症例を集めることにしましたので、一定の施設に関して全数という感じで、少し中途半端といえばそうなの
です、そのような形になりました。
○荒井部会長代理 私の理解が悪かったのだと思います。ありがとうございました。
今回の狭い範囲での適応に関しての承認ということで、それに関しては逆にこのデータで、本当に市販後の全数調査を要求する必要があるぐらい危ういデータなのでしょうか。確かに血栓等その辺のところで少し分からないところがあるのは事実だと思うのですが、これで全数調査を要求すべき程度で認めるにしてもそのぐらいのことは後で追加資料が必要というような話なのでしょうか。
 先ほど、私は別の適応拡大のところで考えてしまったのでポイントの外れた質問の仕方をしてしまいましたが、この適応に限った場合に、この機械でどのぐらい使えるのか存じませんが、そちらについて全数調査を要求しなくてはいけないというレベルの解釈でしょうか。
○機構 まず市販後に見なければいけない内容については先生がおっしゃったとおりで、血栓性事象については見なければいけないというお話もあります。それから、日本でこのような使い方は初めてというのもあるので、安全に導入する上でというのも、日本できちんとしたデータを取らなければいけないということもあります。一番最初に来た理由は、3年間でどのぐらいの症例数が想定されるかという時に、積み上げた結果が100例程度とすごく少ない数字だったのです。それがあったので、そうであればある程度全数を集めてくるぐらいの形で集めないと、まとまったデータは取れないだろうということで、全数調査に近い形にさせていただきました。
○荒井部会長代理 少ないのですね。
○小林参考人 先ほど部会長から、このように非常に有効であることが想定されるものについてというお話がありましたが、そこで少し追加をさせていただきます。確かに、現実に欧米で非常に多く低体温治療にも使われておりますが、低体温治療は、非常に良い面は注目されておりますけれども、実際に大きな副作用の問題、感染の問題等いろいろ持っております。それから、どのぐらいの温度まで下げるのか、どのぐらいのスピードで下げるのか、どの期間下げるのか、全身的な影響を考えると、むしろ頭部だけを冷やす方法の方が良いのではないかという、いろいろControversialな部分があります。
 まだそのような状況であるということと、主として体外から冷やすデバイスについては現状でもいろいろあります。胃の中を冷やす方法や方法としてもいろいろあることを考えますと、今後これが主力になる可能性は高いと思うのです。唯一無二というほどのものでもないのではないかという気もします。そのような意味で、やはりそれなりに治験等を踏まえた上で、適応拡大する方が安全ではないかという意見も個人的には持っております。
○笠貫部会長 市販後に日本の低体温療法として、この機器の治験を行うとなると、また相当時間がかかると思うのです。既にアメリカとヨーロッパでは2001年以降随分時間が経っています。そこで承認された時のデータと、世界中でその後報告されている論文等を検索していけば、新たな臨床治験を、日本で行う必要があるかどうかというのは、異論があると思うのです。
 今の先生の低体温療法の何度までかという話になると、これは学会のガイドラインのマターになり、それから脳の方でも学会のガイドラインが必要か、低体温でもガイドラインが必要かという学問的なところは学会で行う必要があると思うのです。欧米では既に2001年から使われている機器であり、静脈系で冷やす代替療法は無く、ほかに機械が無いということです。体外から冷やすのはありますが、限界があります。
 臨床治験を義務付けるというのは、現実的には難しいかと思いますし、臨床現場で待っている医師から見たら、非常に遠いことになるかということが気になりました。それは先生のお立場では、やるべきだということなのでしょうか。
○小林参考人 臨床の立場からすると非常に辛い選択ということになります。デバイスというのは、種類が多ければ多いほど良いという部分があります。それを誰がどう責任を持って使うかという部分がその後にあるわけですから非常に重要だと思うのですが、ただ今回の審査においては、この治験結果を根拠にしてどこまでを言えるかということを考えた場合には、この結論を出さざるを得なくて、ただ現場でのニーズが非常に高いことは分かっていますので、なるべく早くそれを適応拡大の方向で動いていただきたいという意見を添えるという方法しか、出されたデータからは判断できなかったということです。
○笠貫部会長 臨床試験をしなければいけないという条件だけではなくて、海外のデータについてを海外で承認された時、そしてその後の海外の論文データを含めてきちんと整理してきて、それがリーズナブルなものであったら、特に臨床試験を行わなくても良いという選択肢を残すかどうかです。臨床試験をしなければ適応拡大は認めない、という縛りまで付けるかどうかは、少しきつすぎるかと思いました。そのことについて御意見等はありますか。
○事務局 今の論点ですが、当然我々どもといたしましても、海外で使われているものが実際ラグとしてあり、またそれを増長するということを好き好んでやっているわけではありません。先ほど来、機構からも御説明させていただきましたけれども、外で使っているというのは事実としてあります。ただ、それがきちんとした形で、ある程度ハイクオリティの論文なりでまとまっているかどうかということです。また、そのレジストリーされた結果に、日本の会社を通じて、きちんとしたアクセスがデータとしてできるのでしょうか。
 機構としても、データがきちんとあれば、それを基に今回、低体温療法についても、当然検討をした上で、専門協議の先生にお話を持っていくことができたわけです。申請されてからの4~5年の間、企業にそれをずっとお願いさせていただいたのですけれども、結局最後まで出てきませんでした。海外のデータをきちんとした参考資料という形で取りまとめることができなかったという事実があります。その事実を踏まえた上で、臨床の現場の方での混乱も事前から御指摘があったところですが、そこは治験なりを進め、治験でなくてもいいのですけれども、何らかのきちんとしたエビデンスを示していただかないと、効能追加ができないということを踏まえて、今回の指示事項としては、低体温療法への適応拡大を速やかに行うよう必要な措置を講じることとさせていただいております。必ず治験をしなければ駄目だというわけではありませんが、今まで4~5年のやり取りの中で、それに値するようなエビデンス、あるべきエビデンスが申請者側からきちんと提示されていなかったところの背景があることは御理解いただければと思います。
○中谷委員 海外で低体温として使われている時の使われ方についてお聞きしたいと思います。例えば、良いというエビデンスがペーパーでもいいけれども、それも無いのかよく分からないのでその辺をはっきりしていただきたいのです。要するにこのものがあるから、海外でもこれを聞いている限りは、使ったらいいのではないかと言われて使われ出し、これ単独では無しにほかのも併せて使っていて、やはり使い心地が良いというレベルなのでしょうか。あるいは、ペーパーとして一編でも二編でもこれを使ってこのような管理をしたら等、様々な意見はあると思うのでそのようになっていなくてもいいのですけれども、そのような報告まであるのでしょうか。そのレベルがどうも今は無さそうです。今言われた話から、どうも海外では、使ってみたら良さそうであるという感覚で使われているのかという思いを持つのです。それならそれで、そのようなことの前提で今言っているように、広げるなら広げるとなると思うし、一編や二編でもあるけれども、それはペーパーであるけれども、一応それなりのエビデンスはありますということで、日本で追加をするのとでは全く話は変わってくると思うのです。今のお話を聞いていると、かなりアバウトな使われ方で広がっているような印象を持つのですけれども、その辺のところは明確にしておかなくても良いのでしょうか。
○小林参考人 私がこの審査にかかわった中で調べた文献はいくつかあります。その中で比較的新しいもので、具体的に申しますとStroke誌であるとか、かなりきちんとした論文に、こちらを使って低体温を行い、結果が良かったということです。もう一つは、静脈から冷やすことで有害事象は特に無かった、非劣性であったというペーパーを三つ見ました。それはそのような形で非常によくできたペーパーなのですが、ただ残念ながら、それはこの製品やこの方法そのものを評価したものではなかったのです。ただ、使ったのがこれであったと書いてあっただけなものですから、そこまでの評価はできませんでした。
○村上委員 確認させていただきたいことがあります。カテーテルで今回認められるのはCLタイプということで、低体温用だとICタイプのカテーテルという、そこのデバイスが違うということなのですが、本体や制御系は共通ということですね。
○機構 本体は共通のものを用いることになっております。
○村上委員 そういたしますと、今回販売が認可されるのは、CLタイプだけですと、低体温治療に使おうと思うと、ICタイプも限定的に使えるようにされるということなのでしょうか。それともCLタイプで試された場合の成果が上手く出れば検討していくという位置付けなのでしょうか。カテーテルの種類が違うというところをどのように指導されるというか、判断されるというか、その辺について御説明いただけますか。
○機構 臨床で使われたのは、今回承認をするタイプのみ、臨床試験に使われたのはこのタイプだけであったので、今回の話は割と分かりやすいのではないかと思います。次の展開については、海外でも今回承認にならなかった方のタイプのものを用いて主に使われていて、実際に低体温の方ではそちらの方ばかり使われています。先ほどから日本の臨床試験の話も出ていましたけれども、そちらの方にはもちろん低体温用の新しいタイプの方を使って臨床試験を行うというようになっていますので、そちらの方で十分エビデンスは出てくるのではないかと期待します。
○笠貫部会長 この適応を絞ることにした場合に、研修は会社の研修を受けるということでしたが、施設基準や実施医師の方に条件は付けないで、集中治療室だから大丈夫だということですね。高度な場所で使うからということで、特にそれは条件を付けなくてもよろしいのでしょうか。これについても、先生方から御意見があればと思います。
 先ほど塩川先生から、適応の話が出たと思うのですが、その適応が曖昧な形で通す時に、この条件として一定の登録した施設で全症例ということであるならば、それは条件にならないですか。
○機構 そちらについては、使用成績調査のプロトコールの中で定めておりますので、特にそこだけの場合、承認条件という形では付けてはないと思います。
○笠貫部会長 先ほど300例と3年間で100例ということだったのですが、これが低体温療法にも使われるかもしれないという心配がありますね。そうすると、施設については、私は一定の施設に限らない方がいいのではないかと思います。全部の施設でどのように使われていたかということをきちんと把握しておくことが必要ではないでしょうか。これだけ曖昧というか、幅広い、発熱というだけでの適応なので、どのように使われているかについて、後でそれを評価せざるを得ないのです。特に、企業の平成19年からの対応については、多少疑念を持たざるを得ないので、企業に対してもそこはきちんと条件にした方がいいと思うのですが、その点について委員の先生方はどうでしょうか。
 企業との話合いでも良いとは思うのですが、この適応でということなら、これを使った施設は全症例登録というのを課してもいいのではないかと思います。
○機構 使用成績調査となると契約をしてという話になるので、そこはまだ制度的に手順もありますので、なかなか全施設・全症例登録というのは非常に難しい側面があります。ただ、本日の先生方の御議論を伺わせていただいて、適応の曖昧さから来る適切な使用をいかにとどめるのかということについては、大変大きな問題ですので、そのようなところがきちんと把握でき、どのように使ったのか等、そのようなところの調査という使用成績調査とはまた違う調査になりますけれども、そのようなことできちんと安全に使っている、適応外には余り使っていないようにということをきちんと管理するという方法論については工夫ができるかと思いますので、そちらの方を企業と相談することとさせていただいて、使用成績調査の方はこのままでということではいかがでしょうか。
○笠貫部会長 それでよろしいでしょうか。
○荒井部会長代理 結局のところ、今回の承認のカテーテルでないタイプのものが、海外では主に低体温の方に使われていて、基本的にそこは似て非なるもので全く別のもので、新しい適応について先ほどプロトコールは既に相談されている段階と伺いましたが、要するに結果としてはとても狭いところのワンポイントで承認が下りたけれども、元々本来現場では使いたい低体温の治療に関しては、非常にハードルが高く、要するに、全く新しい別のデバイスで、フルで臨床試験を行いなさいということで、現場的には数年は来ないという感覚を持たざるを得ないのが結論ではないかと思うのです。
 あくまでエビデンスベースで、これに関して今回は先ほど小林先生のお話がありましたようにこれはしようがないとしても、現にそのように海外、欧米で使われていて、日本の現場で使いたいことがあるのだけれども、エビデンス的にあるというものがあるというものに関して、本当にどこまで臨床試験を要求するかというのは非常に大事な問題だと思います。先ほど笠貫先生からお話がありましたけれども、ここは是非慎重に考えていただきたいと思います。これは希望です。
 先ほど小林先生からお話があった、学問的に言うとどこまで下げればいいのか、どのぐらいの時間がいいのか分からないということでした。ただ、デバイスの承認に関しては、実際の学問的なところのイエス、ノーの判断で、これは大きな臨床試験が実際に沢山使われてジャッジしないと判断がつかないところがいっぱいあるのです。一方、国内で使えるかどうかということに関しては、一定の安全性、もちろんいくつかの根拠は必要ですけれども、そこで学問的な興味のレベルと承認しなくてはいけない、示しておかなくてはいけないレベルとは基本的に違うところがあると思うのです。そこのところは、この治療法が本当にすべて確立してから、ようやくそれに基づいて承認するというのでは、本当に手遅れになると思いますので、その辺は是非御配慮いただきたいということを希望として申し上げさせていただきます。
○石井委員 本品の抗血栓性に影響の大きいヘパリンについてお伺いいたします。2点ありまして、1点目はヘパリンの塗布量が一定であることがどのように管理されているかということです。2点目は、審査報告書には「修飾ヘパリンナトリウム」とあるのですが、原料はUSP適合品で問題は無いと思うのですが、製品化の過程で修飾されているのであれば、その部分も抗血栓性に影響があると思いますので、その辺りの管理についても教えてください。
○笠貫部会長 機構の方で答えられますか。
○機構 1点目の質問についてもう一度確認させていただいてよろしいでしょうか。
○石井委員 ヘパリンの塗布量がどのように管理されているか、あるいは試験されているかということです。
○機構 コーティングの量の話ですか。
○石井委員 はい。
○機構 今、原材料(案)のところの記載を確認したのですけれども、少し十分でない箇所があるので、その点についてきちんと決めなければいけないのは決まっておりますので、そこの記載については見直させていただきます。ありがとうございました。
○石井委員 2点目、承認申請書別紙規格6では、一般名として「修飾ヘパリン」、科学名「ヘパリンナトリウム」となっています。実際にその製品に付いているものが、ヘパリンナトリウムなのか、それとも構造が変わっているものなのか、この辺りをはっきり教えていただければと思います。ヘパリンは構造が違うと、抗血栓の作用が変わってきます。
○機構 このヘパリンナトリウムについては、製造業者の□□□□□□□□□□の方から入れているものなのですが、これは実際に使っているものは同じもので違う製品に使っているものがあります。活性等のコントロールはそこでも確認されている内容ですので、そこのところの問題は無いのですけれども、記載としては先生がおっしゃったように、ブレがあるところについては否めないと、先生の御指摘を伺いまして確認しましたので、そこも含めて修正をさせていただきます。
○笠貫部会長 ほかにはよろしいでしょうか。本件については平成19年に申請されており、いわゆるデバイスラグの一つですが、企業サイドからの適応、あるいは資料などの箇所に問題があったと思います。いずれにしてもアメリカで2003年、ヨーロッパで2001年に低体温療法で使われているものです。カテーテルの違いもありますが、早急に日本の臨床のニーズに合った結果が出るようにしていただきたいと思いました。そのような意味では、臨床治験あるいはこれまでの十分なエビデンスというものを企業が1日も早く提出するようにお願いしたいと思います。
特に御意見が無いようでしたら議決に入らせていただきます。
医療機器「サーモガードシステム」については、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は要とし、生物由来製品への指定は要、特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。いかがですか。
御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会に報告することとします。
 議題2が終了いたしましたので、小林先生におかれましては御退室いただいても結構ですし、あるいは続けて聞いていただいても結構ですので、よろしくお願いいたします。小林先生、この件については本当にありがとうございました。
 引き続き議題3に移らせていただきます。議題3「医療機器『アダカラム』の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について」審議を行います。
本議題の審議にあたりましては、参考人として、広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授の秀道広先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に審議品目の概要について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 審議品目の概要について御説明いたします。資料3を御覧ください。
1枚目は「アダカラム」の諮問書です。次に審査報告書の4ページを御覧ください。一般的名称が「血球細胞除去用浄化器」、販売名は「アダカラム」、申請者が「株式会社JIMRO」です。一番下にございます図1が本品の外観となります。
 本品の概要としましては、末梢血中の顆粒球を中心とした白血球を吸着除去することで過剰な炎症反応を抑制し、病態を改善することを目的とした、体外循環用カラムです。本品は平成11年10月に、重症の潰瘍性大腸炎の活動期における緩解促進を使用目的として承認を受け、また、平成20年9月に栄養療法及び既存の薬物治療が無効又は適用できない大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病疾患の患者の緩解促進を使用目的とした承認事項製造販売一部変更承認を受けております。今回、膿疱性乾癬の臨床症状を改善させることを目的とする製造販売承認一部変更申請がなされたものです。
 また、本品は平成21年7月に、膿疱性乾癬患者の臨床症状の改善を「予定される使用目的」として、希少疾病用医療機器に指定されております。詳細につきましては、機構から説明いたします。
○機構 議題3、資料3「医療機器『アダカラム』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」機構より説明いたします。
 まず、審査報告書に1点誤記があるのでお知らせいたします。審査報告書の6ページの中程に「ハ.安全性に関する資料」とありますが、「ハ.安定性に関する資料」の誤記ですので、訂正いたします。
 次に、お手元の別紙にある専門委員の一覧を御覧ください。本審査では、御覧の2名の専門委員の御意見をいただきました。
 本品の概要から説明させていただきます。審査報告書の4ページです。本品は、末梢血中の顆粒球を中心とした白血球を吸着除去することで、過剰な炎症反応を抑制し、病態を改善させることを目的とした、体外循環用カラムです。ビーズ状に加工された酢酸セルロースが220g充填されたカラムとなっております。サンプルを準備していますので、そちらも御覧ください。
 本品は、平成11年10月、重症の潰瘍性大腸炎の活動期における緩解促進を使用目的として承認を受けており、また平成20年9月には、栄養療法及び既存の薬物治療が無効な又は適応できない大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者の緩解促進を使用目的とする一部変更承認を受けております。本申請は膿疱性乾癬の臨床症状の改善を使用目的に追加する、一部変更承認申請です。
 本品の適応である膿疱性乾癬は、発熱、皮膚潮紅と、多発する無菌性膿疱などを呈する難治性皮膚疾患であります。特に全身に症状が出現する汎発型膿疱性乾癬は特定疾患に認定されておりまして、本邦における患者数は約2,000人程度と稀な疾患です。また、再発を繰り返し難治であること、全身浮腫や関節炎、心不全等の全身症状や皮膚外症状を呈する重篤な症状が見られ、生命予後の危険もあることから、本品は平成21年7月に当該使用目的で、希少疾病用医療機器に指定されており、そのため優先審査を行いました。
 膿疱性乾癬に対する治療法ですが、全身症状を伴う汎発型に関しては、厚生労働省研究班と日本皮膚科学会の共同事業として「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン」が作成されております。ここに示されている治療アルゴリズムによると、エトレチナート及びまたはシクロスポリン内服療法を第一選択とし、その他外用療法や光線療法などが併用、あるいは補助療法として位置付けられております。近年、生物製剤であるインフリキシマブが膿疱性乾癬の適応を取得いたしましたが、既存療法で効果不十分な場合において、投与を考慮することが推奨されております。いずれの治療法においてもエビデンスが十分ではない、効果不十分や無効の症例が存在するなどの問題が認められ、また薬物療法では重大な副作用も報告されております。このため、新たな治療選択肢が期待されているところです。
 本品の海外における使用状況ですが、審査報告書の5~6ページに示しています。欧州で炎症性腸疾患、すなわち潰瘍性大腸炎及びクローン病、また関節リウマチ、ベーチェット病及び全身エリテマトーデスを対象とした医療機器として、平成14年にCEマークを取得しており、平成23年12月末日現在までの販売実績は□□□□□本です。
 平成23年9月21日までに、本品と因果関係の否定できない有害事象として11件が報告され、うち6件は当局への15日あるいは30日報告対象となりました。しかしながら、全例が回復の転帰を示し、回収を要するような不具合はございませんでした。
 なお、本邦におきましては、既承認の適応範囲における平成24年3月末日現在までの販売実績は、□□□□□本です。同日までに報告された副作用は、潰瘍性大腸炎の治療時では162件、うち10件は当局への15日報告対象となりました。クローン病治療時では95件で、当局への報告対象となるものはありませんでした。
 その他、平成23年9月には、炎症性腸疾患を対象とした医療機器として中国で承認を受けておりますが、同平成24年4月現在では販売は開始されておりません。本品の非臨床試験成績は審査報告書6ページです。効能を追加する承認事項一部変更承認であるため、新たな成績資料は提出されておりません。
 本品の臨床評価について御説明いたします。審査報告書の6~9ページを御覧ください。臨床試験は本邦において多施設共同非盲検非対照試験が実施されました。11施設において15症例が導入されましたが、これら対象患者は「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2008年度版」に準じて膿疱性乾癬と診断され、かつ同ガイドラインに定められる重症度判定スコアに準じて、「中等症以上」と診断された症例です。導入された全例が汎発型で、これら対象患者に対して、1回の治療における循環血液量を1分当たり30mL、体外循環時間60分として、週1回、連続5週間の治療を行いました。
 臨床試験成績ですが、有効性については、ガイドラインに定められる重症度判定スコアに、紅斑色調の改善度合いを別途スコア化したものを合算して求めた判定スコアを用い、治療前後で40%に相当するスコアの減少が見られたものを有効としました。安全性については、すべての随伴症状、臨床検査値の変動及び不具合から総合的に判定しました。
 その結果、初回の体外循環施行中に有害事象を発現し、有効性評価を行わずに中止に至った症例1例を除いた14例における有効率は、85.7%で、さらに逸脱例2例を除いた12例の有効率は91.7%でした。
 安全性について、副作用は3例に16件報告されましたが、そのうち14件は1例に発現した頭痛やめまいなどであり、本品使用時に一般的に認められる症状でして、数日以内に自然消失いたしました。
 肺陰影の1例は確定診断には至らず、本品との因果関係は「多分あり」と判定いたしました。合併症である類天疱瘡の悪化の1例は、本品の使用との因果関係を明らかに否定する明確な根拠が不明であるため、因果関係を「不明」と判断いたしました。
 次に審査における論点についてで、審査報告書の14~15ページです。申請者から提出された資料を総合し、機構は3点について審査の論点として整理し、評価を行いました。まず1点として、非盲研非対照臨床試験による有効性判定の妥当性ですが、治験前に観察期間を設けたり、治験中の併用薬剤の用量を一定にするなどの方策が取られておりまして、比較対照試験ではないものの、本品の介入前後の比較により判定スコアの改善、重症度スコアの低下、全身症状の改善などが見られたことから総合的に判断して、本品の有効性は評価できると考えます。少数症例での治験ではありますが、既存治療に奏功しない、又は適応できない患者の存在や現在推奨されている治療アルゴリズムなどを踏まえますと、本品を新規の治療選択肢として導入する意義はあるものと判断いたしました。
 第2点として、本品の適応です。本臨床試験の症例の多くが、内服剤による既存療法に奏功しない患者であったことも踏まえまして、本品の適応対象を「全身治療における既存内服療法が無効又は適応できない、中等症以上の膿疱性乾癬の臨床症状の改善に使用する」と変更することが妥当と判断しました。また、生物製剤が無効又は適用できない症例に対しては、現時点で有効性及び安全性が十分に評価されていないため、注意喚起及び使用成績調査での確認を行うことが妥当と判断しました。
 第3点として、限局型膿疱性乾癬の治療及び本品の長期又は繰り返し使用の有効性及び安全性についてです。本臨床試験においては、結果として限局型の症例は組み入れられず、また、治療後10週までの有効性の持続が確認されたのみで、十分なデータがあるとはいえないことから、これらの点については十分に有効性及び安全性が確立されていないことを注意喚起すると共に、使用成績調査で一定期間確認を行うことが妥当と判断いたしました。
 これらの審査を踏まえ、総合評価として審査報告書の15ページの中程に記載しましたとおり、機構は本品を御覧の使用目的で承認して差し支えないとの結論に達しました。なお、本品は新効能医療機器であり、希少疾病用医療機器に指定されていることから、再審査期間は7年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。
 なお、本日御欠席の木村委員より事前に御意見をいただいておりますが、「全身治療における既存内服治療が無効又は適用できないという条件下での承認は妥当である」との御意見でした。機構からの報告は以上です。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 参考人の秀先生から、何かありましたらお願いいたします。
○秀参考人 今御説明がありましたように、まず膿疱性乾癬という病気は、「乾癬」と付いていますが、その中に非常に重篤なタイプ、あるいは元々余り乾癬とは似て非なる症状だけを起こすようなタイプもありまして、いずれも非常に重篤な病気であります。時に、そのために生命にかかわることもありますが、この診断が付いた患者のQOLは非常に大きく損なわれる病気です。既存の治療である程度症状のコントロールができても、その副作用のために実際のQOLは非常に妨げられますので、より有効な治療が求められている疾患です。
 この治療機器は、既に他の潰瘍性大腸炎及び活動期のクローン病で使われていますので、安全性については評価が確立していますし、膿疱性乾癬の他の治療法に比べても、安全性についてはむしろ高く評価できる治療手段であると思います。ただ、血液の体外循環という治療法ですから、外用、内服治療に比べると、患者への負担は小さくないと思われるわけです。
 それで近年、生物製剤の中でインフリキシマブという生物製剤の適応がありまして、症例によっては非常に大きな効果があることが分かっていますが、効果が無い例もありますし、長期的な効果については、効果が減弱する例が多いということも分かっていますので、有効な他の治療法が無いというか、非常に限られている疾患であります。
 この治療法は症例数が余り多くなかったのですが、元々患者数が多くない疾患ですので、治験を組む上では、このプロトコールはやむを得ないというか、妥当な規模であったと考えます。説明がありましたように、その前後での状態の評価は十分にしてありますので、非常に有効性が高いということも踏まえまして、有効性に関しては十分に確認できたと思います。
 そのようなことで、提案がありましたように、既存の内服薬を中心とした治療薬効果が無い場合に、選択し得る治療法としての位置付けは妥当なものであると考えます。以上です。
○笠貫部会長 各委員の先生方から、御質問、御意見はございますでしょうか。
○齋藤委員 専門外なので分からない点なのですが、膿疱性乾癬症の病態というか、血液中の顆粒球あるいは単球を除去することによって、なぜ症状が改善するのでしょうか。発現機序が理解できませんので、教えていただければと思います。
○秀参考人 この病気の病態はまだ十分には解明されていません。ただ、皮疹部の膿疱性という膿疱は好中球が非常に沢山集まっている病気でして、その点では潰瘍性大腸炎やクローン病と病態は恐らく共有のものだと思います。
 ステロイドや各種免疫抑制剤が有効ですので、免疫学的な異常に基づく炎症性疾患であるということは間違いないと思うのです。顆粒球を循環から取ることがなぜ効くのかということ自体が、私の理解では余りよく分かっていないと思うのですが、他のクローン病や潰瘍性大腸炎に効果があるということから考えると、何らかの抗炎症的な作用が奏功しているものと考えます。
○笠貫部会長 このような疾患の体外循環用カラムは往々にして、メカニズムはよく分からないけれども、臨床的には良く効くということがあると思うのですが、この膿疱性乾癬は海外ではまだ適応が認められていません。日本で、効くという結果が出たのは何か日本の独自性があるのですか。あるいは日本が最初にそれに注目して、良い効果が出たということなのでしょうか。
○秀参考人 そこは厳密には詳しくないのですが、10年程度前から、潰瘍性大腸炎や慢性関節リウマチに試行されていたということは聞いておりまして、その点では、割と日本では古くから研究に取り組まれていたと認識しております。余り厳密なところは存じませんが、これ以外にも体外循環カラムで、白血球を除去するという治療法が行われていますので、そのような背景は割と日本はあったのではないかと認識しております。
○笠貫部会長 ほかには御意見はございませんか。
○正田委員 潰瘍性大腸炎に対する治療というのは、欧米と同時にスタートしたのですが、日本で主に研究開発が進んでいたと記憶しています。
 私の質問は、慢性の病気では原因が分からず、症状が軽快するためにどれぐらいまで使っていいかというのが分からないです。潰瘍性大腸炎の時に問題になるのは、導入するのはいいのですが、その後維持をどのようにするのかということなのですが、今こちらであると週に1回ずつ、5週間までということです。その後はどうなるのかというのは、わざと書いていないのかもしれないのですが、どうなっているのかを教えていただけますか。
○機構 本品の有効性について、本治験では5週間の治療を1クールとしまして、この1クールの治療が終わった後も追跡して、効果が持続しているかを見ています。効果が有効であったという12例のうち、患者の希望で1例脱落した後の11例の持続というのは、非常に高い数値を出していましたので、一度クールが終了しても、その効果はある程度持続するものと考えられております。
 一方、再治療ということに関して、つまり2クールや多回の治療に関しては、今回の臨床試験では検証されていませんので、その有効性・安全性についてはエビデンスが足りないということで、今回の審査においては1クールの使用ということで確認を取ったということになっています。
○笠貫部会長 秀先生から付け加えることはございますか。
○秀参考人 添付文書では、1クール行って効果が無かった場合は、続けて行わないでくださいという趣旨だと思うのです。先生の今の御質問は、有効だった場合に後がどのようになるのかということだと思うのですが、膿疱性乾癬は発作のような症状があり、1年中通して膿疱が出ているということは普通ありません。突然悪化の波のようなものがきて、どう乗り切るかということが大変で、そちらでステロイドを使ったり、各種免疫抑制剤で何週間かを乗り切るということが多いと思います。ですから、この治療薬で、ある程度症状が良くなった場合は、一旦使用を中止するというのが、恐らく現場での使われ方だと思います。それがどの程度続くかということについては、データが無いという状況だと思います。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。
医療機器「アダカラム」については、本部会として、製造販売承認事項一部変更承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は7年間とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することといたします。
 議題3が終了しましたので、参考人の秀先生は御退室していただいても結構ですし、引き続きお聞きいただいても結構でございます。ありがとうございました。
 続いて、議題4「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」の審議を行います。今回は2品目ですが、審議品目の概要については事務局よりまとめて御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料4-1、4-2「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について(神経内視鏡用バルーンカテーテル)(諮問書)」、「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について(患者適合型単回使用関節手術用機器)(諮問書)」について説明いたします。
資料を御覧ください。医療機器に関しては、一般的名称と呼ばれる区分が無いものについて、高度管理医療機器なのか、管理医療機器なのか、一般医療機器なのかということは、薬事法の規定に基づいて審議会の御意見を伺った上で定めることとなっていますので、今回お尋ねするものです。
 資料4-1の3ページを御覧ください。「新設する一般的名称(案)について」です。こちらで、今回一般的名称を新設するのは、神経内視鏡用バルーンカテーテルというもので、一番下の「類似の一般的名称とその定義」に記載していますように、これまでには「人工開口向け単回使用内視鏡用非能動処置具」というものがありました。現在機構で審査している品目は、一番最後に「新一般的名称が付される予定の品目概要」という項にありますように、神経内視鏡を用いた水頭症手術において、内視鏡用鉗子などで、穿刺した穿刺孔の拡大を目的として使用するバルーンカテーテルというものです。
 1ページ戻りまして、「新設する一般的名称(案)」の「既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由」で、本品は中枢神経系に直接作用して使用される機器であるため、GHTFのルールの6の例外規定が適用されるだろうということで、新しい一般的名称を設定することが適当であると判断し、こちらの詳細は参考資料2で説明しています。
 参考資料2で、新たな医療機器の承認等に伴い、医療機器規制国際整合化会議(GHTF)で合意された最新のクラス分類ルールに基づき、同通知の一部改正を行うことを考えております。改正の内容についても、クラス分類のルール6の例外として、今回の中枢神経系に直接接触して使用するよう意図した場合は、クラスIVと規定すると共に分析機器のクラス分類ルールにおいて、医療機器規制国際整合化会議(GHTF)において合意された最新のクラス分類ルールを導入することを考えております。具体的に今回改正しようとする通知を3ページから記載しています。
 次に2品目で、資料4-2を御覧ください。1枚目が諮問書になっていまして、こちらの資料4-2で新設しようとされているものは、3ページの「新設する一般的名称(案)について」で、一般的名称は「患者適合型単回使用関節手術用器械」ということで、現在「単回使用関節手術用器械」といった一般的名称がありますが、今回機構において審査されている新一般的名称が付される予定の品目には、次の最後のページにあるような人工関節置換術等の関節手術に用いられるドリルガイドというものがあります。こちらはこれまでの一般的名称とどこが違うのかと申しますと、前のページの「既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由」の項に記載しています。患者個人に合わせて設計されるという点において、これまでの一般的名称と違うことから、新たに一般的名称を新設しようといったもので、「患者適合型」というところを付記しているものです。以上2点につきまして、今回一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定についての説明を終わらせていただきます。
○笠貫部会長 ただ今御報告いただいた件について、委員の皆様から御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。特にございませんか。よろしければ、議決に入ります。
まず1件目、神経内視鏡用バルーンカテーテルについて、本部会として、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。
 次に2件目、患者適合型単回使用関節手術用器械について、本部会として、管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。
この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することとします。
 次に報告事項に進みます。議題5「医療機器の再審査結果について」事務局より、説明をお願いいたします。
○事務局 議題5、資料5-1~5-3「医療機器『カワスミカリウム吸着フィルター』の再審査報告について」、「医療機器『ジェルパート』の再審査報告について」、「医療機器『マイクロドライバーコロナリーステントシステム』の再審査報告について」事務局より説明いたします。
資料は順に、資料5-1の「カワスミカリウム吸着フィルター」、資料5-2の「ジェルパート」、資料5-3の「マイクロドライバーコロナリーステントシステム」です。こちらの資料は事前に委員の皆様方にお送りさせていただいていることもありますので、この場で一つひとつの詳細な説明は割愛させていただきますが、ここに出てきます3品目とも、いずれも有効性・安全性などについて、機構で評価しておりまして、結果として、薬事法第14条第2項の各号のいずれにも該当しないということで、再審査の区分を効能・効果、用法・用量など、承認事項について変更の必要が無いカテゴリー1に該当すると3品目とも判断しています。
以上、御報告をさせていただきました。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。いずれも有効性・安全性などについては問題無く、カテゴリー1ということです。よろしいでしょうか。特に御意見が無いようですので、議題6に移ります。
 議題6「部会報告品目」についてです。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、資料6「医療機器・体外診断薬部会報告品目」についてです。
医療機器・体外診断薬部会報告品目、平成24年1月1日~3月31日の3か月間に承認された品目を掲載しています。こちらは、すべて本部会の報告対象となっている品目をまとめたもので、1~16ページまでに記載されていますのが医療機器で、後半の16~19ページまでが体外診断用医薬品です。
 医療機器は、臨床試験の試験成績に関する資料を添付した品目、臨床試験の試験成績に関する資料を添付していない品目を合わせまして82品目、体外診断用医薬品は12品目となっています。こちらについても、事前に委員の先生方にお送りしていますので、この場で一つひとつの詳細な説明は割愛させていただきます。
以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御質問・御意見はありますでしょうか。こちらのクラスIV、新規、報告のみ等といった判断はどちらで行うのですか。
○事務局 臨床試験の成績に関する資料を添付すべきかどうかということでしょうか。
○笠貫部会長 判断はPMDAと厚生労働省で行うのですか。例えば心臓内での除細動のカテーテル等については、新規でクラスIVということですが、こちらはその判断で良いということですね。
○事務局 薬事分科会における確認事項で、クラスIVの医療機器のうち基本的な構造等が承認品と異なり新規性を有する医療機器に該当するものなどを除くもの、クラスIIIの医療機器のうち臨床試験成績の評価を必要とするものであって、このうち基本的な構造等が既承認品と異なり新規性を有するものを除いたもの、こういったものに関しては、本部会の報告品目とするということになっておりまして、その規定に基づき報告をしているということになります。
○笠貫部会長 そのようなことでこれを見ていただいて、特に御質問、御意見はございませんでしょうか。特段無いようでしたら、本日予定された議題は終了となります。
事務局から、そのほかとして何かありましたらお願いします。
○医療機器審査管理室長 次回の医療機器・体外診断薬部会は6月22日(金)を予定しております。連絡事項は以上です。
よろしければ、これをもちまして、本日の薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。


(了)

備考
 この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個別案件以外は公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 高江(内線 2912)

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