ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議> 第12回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議速記録




2012年7月30日 第12回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 速記録

○日時

平成24年7月30日(金) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○出席者

出席構成員:

堀田構成員、五十嵐構成員、伊藤構成員、岩田構成員、岡部構成員、小川構成員、
奥田構成員、落合構成員、北田構成員、後藤構成員、友池構成員、西川構成員、
葉梨構成員、藤原構成員、村島構成員、横谷構成員、吉村構成員

出席参考人:

花岡参考人、山本参考人、勝野参考人、金澤参考人、安藤参考人、中村参考人

○議事

○医薬食品局審査管理課
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第12回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催いたします。
 まず、会議に先立ちまして、本検討会議の構成員に交代がございましたので、新たに御参画いただくことになった構成員を御紹介申し上げます。
 日本医師会常任理事、葉梨構成員です。

○葉梨委員
 葉梨です。よろしくお願いします。

○医薬食品局審査管理課
 本日は、樋口構成員、松石構成員、山本構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 それから、岩田構成員と落合構成員が少々遅れておられるようでございまして、現在のところ15名の先生方に御出席いただいております。
 また、ワーキンググループの検討状況を御報告するに当たりまして、前回同様、各ワーキングのメンバーから参考人として御出席いただいております。これまで御出席いただいている先生方になりますので、御紹介は割愛させていただきます。
 それでは、堀田先生、以降の議事進行をお願いいたします。

○堀田座長
 皆さん、こんにちは。大変暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 今年度初めての会議になりますけれども、新しい委員にも参画いただきまして、これから進めてまいりたいと思います。
 それではまず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。

○医薬食品局審査管理課
 本日の配付資料についてでございますけれども、議事次第をめくっていただきますと配付資料一覧がございますのでごらんください。
 資料1、検討会における検討の進め方についてでございます。
 資料2-1、資料2-2がございますけれども、専門作業班、ワーキングの検討状況の概要についてということで、資料2-1が第I回要望関連、資料2-2が第II回要望関連となっております。
 資料3-1~3-7が、医療上の必要性に関する専門作業班の評価となっております。
 資料4-1~4-6が、公知申請への該当性に係る検討会報告書となっております。
 資料5-1が、医療上の必要性が高いとされた品目に係る専門作業班の検討状況について。これも資料5-1が第I回要望関連、資料5-2が第II回の要望関連となっております。資料5-3は、デシタビンの骨髄異形成症候群に関する開発についてでございます。
 資料6-1、企業から提出された開発工程表は、一部資料に誤りがございますので、今事務局から配付させていただいておりますものに差し替えをお願いいたします。
 資料6-2、企業から提出された開発工程表の概要について、第I回要望関連が資料6-2、第II回要望関連が資料6-3となっております。
 資料7、開発企業の募集を行った医薬品のリスト。
 以上の資料を配付しております。
 そして、参考資料はひとまとめとしてお送りしておりまして、最後に座席表が入っているかと思います。
 資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

○堀田座長
 それでは、ただいまの説明で資料の落丁等不具合がありましたら、お申し出ください。特によろしいでしょうか。
 本日は先ほど申し上げましたように、前回は年度末の3月23日に開催しておりますが、まずは、事務局からその後の検討の進捗状況について説明いただきます。

○医薬食品局審査管理課
 それでは、資料1、資料2を御用意ください。事務局から進捗状況について御説明させていただきます。
 まず、資料1につきまして、前回3月23日、第11回の検討会議以降の状況ということでございますけれども、資料1の右下辺りに前回会議で第II回要望の80件につきまして、医療上の必要性が高いという評価になっておりまして、ここにございますとおり、企業に開発要請したものが第II回要望は67件、それから、開発企業を募集したもの、第II回要望は13件となっておりまして、この作業を開始したところでございます。
 開発要請を行ったものにつきましては、右下の開発支援になりますが、ワーキンググループにおいて必要な試験の妥当性や公知申請への該当性の評価を行っております。
 続きまして、資料2-1をごらんください。こちらは第I回要望に係る概要の資料でございますけれども、医療上の必要性が高いとされたのは全部で186件となっておりまして、段階的に開発要請を行ってきたということでございます。
 裏のページをごらんください。開発要請を行ったものについてワーキングにおける検討状況を示しております。参考にございます前回の資料からの変更点でございますが、検討中であった6件のうち3件について公知申請が妥当ということで報告書をとりまとめていただいております。この6件の検討状況につきましては、資料5-1に掲載しております。
 続きまして、資料2-2をごらんください。前回会議におきまして80件について医療上の必要性が高いという御評価をいただいたところでございます。
 前回会議時点で検討中となっているものが、未承認が5件、適応外薬が62件ということで、合計67件がございます。この67件に係る検討状況を2に進捗状況ということで記しておりますけれども、このうち8件、未承認薬1件、適応外薬7件について必要性が高い、10件について必要性が高いとまでは言えないという評価となっております。引き続きワーキングでの医療上の必要性について検討中の品目につきましては、この資料の別添ということで3ページ以降に一覧としてまとめております。
 2ページでございますけれども、開発要請などを行っている80件の状況についてお示ししております。開発要請をした67件のうち3件については公知申請が妥当ということで報告書をとりまとめていただいておりまして、本日の資料4-4~4-6となっております。
 また、既に開発に着手されているものが15件、今後治験の実施が必要なものが23件、検討中が26件ということで、この状況の一覧については資料5-2に掲載しております。個別の状況については後ほど御説明させていただきます。
 本日は、第I回要望、第II回要望が織り混ざった格好でございますが、資料の順に沿って御検討をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に何か御質問・御意見ございますか。今日はうずたかい資料が机に積まれてあって姿が見えにくいので、なるべく姿勢をよくしていただければと思います。よろしいですか。
 また何かありましたら、途中でも言っていただければと思います。ただいまの説明を受けまして、各ワーキンググループから第II回要望に係る医療上の必要性に関する検討状況の説明をお願いしたいと思います。まず、代謝・その他のワーキングから花岡先生、お願いできますか。

○花岡参考人
 それでは、代謝・その他のワーキングから御報告いたします。お手元の資料3-1をごらんください。
 代謝・その他のワーキングでは今回検討が完了しました3件の要望の医療上の必要性について御報告いたします。
 医療上の必要性が高いと判断したものは1ページに記載してございますミコフェノール酸モフェチルです。
 要望された効能・効果は、ループス腎炎です。
 12歳以上の患者を対象として海外の臨床試験が実施されており、今回の開発において特に投与患者さんの年齢については好発年齢等やあるいは海外の臨床試験における組入れ基準を踏まえて検討すべきと考えております。
 次に、必要性が高いとまでは言えないと判断したものについては、次の2品目でございます。これもミコフェノール酸モフェチルでございますが、小児のループス腎炎に対する要望でございます。小児を対象としたものについては、数報の観察研究等が報告されておりますが、海外のガイドラインでは成人の治療を中心とした記載となっており、小児の治療については無作為化比較試験等は行われておらず、成人の治療に準じることが提案されるにとどまっていること等を踏まえますと、現時点では欧米等において標準治療に位置づけるとまでは判断できないと考えました。
 また、ロペラミドについてでございますが、要望された効能・効果は、化学療法(イリノテカン)に伴う重篤な下痢でございます。
 一方、要望の根拠とされています海外のガイドラインでは、化学療法の種類を限定せずに処置のアルゴリズムが記載されていることから、化学療法全般に伴う下痢について検討いたしました。国内外において化学療法に伴う重篤な下痢に対する本剤の至適用法・用量、有効性及び安全性が検討された臨床試験は実施されておりません。また、国内において承認用量を超える高用量の実態に関する報告も残念ながらほとんど確認できなかったことから、現時点では要望された用法・用量は日本において有用であるか判断できる根拠が十分でないと考えられました。
 したがって、この2品目については必要性が高いとまでは言えないと判断したところでございます。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御報告につきまして、何か御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。小児科の先生よろしいでしょうか。

○五十嵐構成員
 小児の定義が問題ではないかと思いますが、一番最初の承認されたのは12歳以上のループス腎炎ですから、これは小児も入るわけですよね。その整合性はどう考えるのでしょうか。

○花岡参考人
 ワーキングの検討において、この2つの申請がございましたので、今回は最初の申請の中で小児の12歳以上、いわゆる好発年齢の方を含めて開発要請をするのが妥当ではないかという結論に至りましたので、今回のようなちょっとややこしい御説明をさせていただいたところでございます。

○五十嵐構成員
 そうすると、12歳以上の小児ではいいわけですね。

○花岡参考人
 それについて今後、開発要請をしていった方がいいのではないかというのがワーキングでの結論でございますので、その旨を今後、開発の中に入れさせていただきたいということで、このように回答させていただいたところでございます。

○堀田座長
 よろしいですか。小児でも12歳以上は大人と同じような扱いの中で今後開発要請をかけるという話だと思います。

○花岡参考人
 実際、SLEの方で高校生で運動会で光を浴びて発症するというのは幾らでもありますので、そういう方はきちんと対象とすべきだと思います。

○医薬食品局審査管理課
 事務局から少し補足してもよろしいでしょうか。要望のところを見ていただければと思いますが、成人に関しては一日3,000mgまでというような用法が記載されております。これは海外で実施された臨床試験も同様でございます。ただ、小児に関しましては上限2,000mg/dayと書いてございまして、実は要望された段階では腎移植で承認されるであろう用量を持ってきて書かれたという経緯がございました。海外においては小児のループス腎炎ということでのエビデンスは確立しておりませんので、そのような情報を踏まえて小児に対する開発要請は難しいのではないかと考えております。
 ただ、一方では、海外では12歳以上で試験がなされておりますし、好発年齢等も考えて今後、製薬企業においてどういう患者さんを対象として開発していくかを検討いただいてはどうかということで御意見をいただいている状況でございます。

○堀田座長
 よろしいでしょうか。その他御意見ございますか。もしなければ、次のワーキングに移りたいと思います。
 次は、循環器ワーキングから山本先生、お願いします。

○山本参考人
 循環器ワーキングから御報告いたします。資料3-2をごらんください。循環器ワーキングからは1件のみの御報告です。
 今回、体内診断用薬分野ですけれども、医療上の必要性が高いと判断したものはございませんでした。医療上の必要性が高いとまでは言えないと判断したものが1つありまして、それがイオヘキソールでございます。
 要望された効能・効果は、子宮卵管造影です。欧米等では承認されているものの、本邦においては本剤と同じ非イオン性水溶性造影剤が既に承認され、広く使用されていること、関連学会等の見解によりますと、使用の選択肢が増えることについて一定の意義があるとは考えるものの、腹膜刺激症状が増加する可能性があること等も踏まえて緊急性は乏しいという意見であったことも考慮いたしまして、本要望内容に係る開発を現時点で開始する優先順位は高くないと考えたことから、医療上の有用性が高いことが期待できるとまでは判断できないと考えております。
 以上でございます。

○堀田座長
 いかがでしょうか。個別の御意見等があれば。
 落合先生、よろしいですか。

○落合構成員
 選択肢が広がるということは、医師としていろいろな薬剤を使えるということは確かに重要だと思います。ですから、そういう面でいろいろな薬剤を承認していただく必要はあるかと思いますけれども、現時点ということで考えれば、私はこの見解を特に否定するものではありません。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 そのほか御意見ございませんか。ありがとうございました。
 それでは、次に精神・神経ワーキングになりますが、勝野先生よろしくお願いします。

○勝野参考人
 では、精神・神経ワーキングの第2回要望品目に係る医療上の必要性に関する検討状況について説明いたします。資料3-3の表紙をまずごらんください。
 これから御説明いたします品目は2品目ございまして、いずれも精神・神経ワーキングにおいて医療上の必要性の基準に該当しないと考えられた品目です。
 まず、II-169、ハロペリドールは第I回の開発要望としても提出され、医療上の必要性に係る基準への該当性の評価を行い、その結果、必要性が高いとまでは言えないと判断しておりますけれども、当該評価以降、本剤の有効性・安全性を示すエビデンスは得られていないことなどから、現時点においては本邦における医療上の必要性が高いとまでは言えないと考えました。
 なお、備考欄に記載のとおり、器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性は、社会保険診療報酬支払基金の審査情報提供事例において使用事例が掲載されていることから、既に国内保険償還が認められています。
 次に、II-260、リスペリドンのワーキングの見解としましては、(1)せん妄の治療の中心は、せん妄の原因の同定と除去による治療であり、また環境調整による治療も行われていること。(2)欧米等6か国のいずれにおいても、せん妄について承認されていないこと。(3)リスペリドンのせん妄に対する有効性・安全性のエビデンスは海外においても十分に得られているとは言いがたいことから、必ずしも欧米等で標準的な治療に位置づけられているとは言えず、現時点においては本邦における医療上の必要性が高いとまでは言えないと考えました。
 なお、本品目についても備考欄に記載のとおり、器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性は既に国内保険償還が認められています。
 精神・神経ワーキングからは以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 医療上の必要性が高いとまでは言えないけれども、既に保険償還は両方とも認められている現状があるという状況ですが、何か御意見等ございますか。
 そうしますと、保険償還はこのままして薬事承認をとりにいくことは基本的に考えないということなのか、その辺りの整理は事務局としてはどのようにお考えですか。

○医薬食品局審査管理課
 事務局よりお答えいたします。基本的には、この検討会議の中では医療上の必要性が高いのか、あるいはそこまではないのか、突き詰めていきますと製薬企業に今直ちに開発を進めてもらってやるべきなのかどうなのかという御判断をいただいているところかと思います。そういった意味では、直ちに製薬企業において開発を進めていただくものには当たらないのかもしれないということで御意見いただく形になるかと思います。
 あと、保険の話につきましては、支払基金がどう対応していくかというところになるかと思いますが、今時点ではございますけれども、この会議の結論をもって直ちに取扱いを変更するということは聞いておりません。

○堀田座長
 それを確認したくて聞きました。医療上の必要性が高いとまでは言えないからすでに認められている保険償還をやめますという話にならないという理解でよろしいですね。
 ほかに御意見ございませんか。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、抗菌・抗炎症ワーキングの金澤先生、お願いいたします。

○金澤参考人
 資料3-4をごらんください。抗菌・抗炎症ワーキングは、検討が完了したものが5件ありましても、3件が医療上の必要性が高いと判断しました。
 まず、クリンダマイシンの顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎に関する適応ですが、開口障害や嚥下困難のために注射用抗菌薬が必要だろうということで、ウの基準で該当しまして重篤性を認めると。
 それから、医療上の必要性に関しましては、内外の成書においても取り上げられておりますし、国内でも口腔外科領域で標準療法として奨励されていますので、ウの基準に該当すると判断いたしました。
 続きまして、結核病学会、呼吸器病学会と感染症学会からのストレプトマイシンに対する非結核性抗酸菌症に対する適応ですが、まず、いわゆるNTM(非結核性抗酸菌症)は、患者数も増加しておりますし、重症例もあるということで重篤性に関してはイと判断いたしました。
 それから、医療上の有用性に関しては、既にこの疾患に関してはクラリスロマイシン、アジスロマイシンもしくはエタンブトール、リファンピシンが推奨されておりますが、ほかのオプションがありませんで、これだけということになりまして、一般的に成書においても、また、日常の臨床においてもストレプトマイシン標準療法として用いられておりますので、ウに該当するということで有用性があると判断いたしました。
 続きまして、コハク酸メチルプレドニゾロンの全身性の血管炎やSLEなどの難治性のリウマチ疾患に対する適応です。自己免疫疾患ですが、御承知のように多彩な臓器症状がありまして、早期診断・早期治療が重要な疾患と思われまして、これは極めて重篤性が高いということでアと判断いたしました。
 また、医療上の必要性においても多くのガイドラインや臨床現場でもメチルプレドニゾロンのパルス療法が行われておりますので、ウの基準に該当するということで有用であると判断しました。
 次に、必要性が高いとまでは言えないと判断したものがバラシクロビル塩酸塩ですが、多発性骨髄腫に対するプロテアーゼ阻害剤投与時における水痘・帯状疱疹ウイルスの感染症の発生抑制に対する要望です。
 まず、本件は欧米等6か国では承認されておりません。また、NCCNのガイドラインで取り上げられているのですが、根拠となります論文が明らかにされておりませんで、エビデンスが十分とは言えないと判断し、エと判定しました。
 また、最後にミコフェノール酸モフェチルですが、これは先ほど代謝ワーキングでループス腎炎に対する必要性が高いと言われたのですが、本ワーキングではSLEなどの治療抵抗性のリウマチ疾患に対する要望ですけれども、欧米6か国でもこの疾患群に関しては承認がありません。文献報告ガイドラインもループス腎炎に関するものがほとんどで、SLEの症状、その他の治療抵抗性のリウマチ性疾患においては教科書やガイドラインへの記載も十分でなく、欧米等において標準的療法に位置づけられているとまでは言えないと判断いたしました。
 抗菌・抗炎症ワーキングからの報告は以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 非結核性抗酸菌症については必要性が高いのですが、そのほかのものについてはそうでもないという御判断ですが、何か御意見ございますか。
 岩田先生どうぞ。

○岩田構成員
 おまとめいただきましてありがとうございます。クリンダマイシンですけれども、多分、成人領域の方で要望が出ているのだと思いますが、小児との関連という点ではいかがでしょうか。非定型抗酸菌のストレプトマイシンの方はなかなか難しいところがあろうかと思いますけれども、顎骨周囲の蜂巣炎は小児でも結構あるかなと思うのですけれども。

○堀田座長
 ただいまの点について金澤先生、何かコメントございますか。

○金澤参考人
 小児の方は特に検討はしませんでしたが、事務局で小児への適応に関してわかりますか。

○医薬食品局審査管理課
 事務局で今わかる範囲でお答えさせていただきますと、要望書の中には小児に関する要望というチェック欄がございまして、こちらにはチェックがなかったということで、成人にスコープを当てて検討いただいたというのが実情でございます。

○岩田構成員
 たしか、以前の約束事で、要望書に小児に関する要望はなくても、小児にも関連がある可能性のある品目は一緒に検討するというようなことが、前に話し合いの中で出てきたような気がしたのでお聞きしたわけです。

○堀田座長
 今回の必要性の評価は成人が対応になっていますので、今後小児への要望が先生の方から出されるのであれば、ワーキングに持ち帰って検討していただくこともあり得るかなと思います。そのような仕切りでもよろしいでしょうか。

○金澤参考人
 当ワーキングも非常に課題が多いものですから、小児と共通のものもかなりありまして、すみ分けてやっておりますので、また整理していただいて検討させていただきたいと思います。

○堀田座長
 そのほかの点はいかがですか。
 バラシクロビル塩酸塩は、アシクロビルで既に対応できるということで、これはそこまでの必要性がないという判断になったのでしょうね。その辺御説明いただけますか。

○金澤参考人
 支払基金の審査情報提供事例に記載があり、その点も含めて検討しています。

○堀田座長
 そのほかはよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、その次にまいりますが、小児ワーキングの中村先生、よろしくお願いします。

○中村参考人
 資料3-7をごらんください。小児の専門作業班で検討が完了した7件の要望の医療上の必要性について御報告させていただきます。
 まず、代謝・その他分野ですけれども、代謝分野の要望のうち医療上の必要性が高いと判断したものがパミドロン酸二ナトリウムでございます。本要望については、開発要請時の適応を骨形成不全症とすることが適当ということで、実際の適応の書きぶりについては審査の際に御検討いただいた方がよろしいかと考えております。
 それから、必要性が高いとまでは言えないと判断されたものが2品目ございます。
 まず、ソマトロピンですが、要望された効能・効果は、骨端閉鎖を伴わない腎移植後の低身長でございます。欧米等6か国での承認がなく、欧米の添付文書では腎移植後には成長ホルモン製剤投与を終了すべきである旨が注意喚起されております。更に、小児腎移植患者における低身長が一律に重篤性の高い疾患であるとまでは判断できず、現時点では薬物療法が必須であるとは判断できないとの意見もあり、医療上の必要性が高いとまでは判断できないとされました。
 次に、ミコフェノール酸モフェチルでございますが、要望された効能・効果は、小児期発症ネフローゼ症候群(頻回再発型)でございます。欧米等6か国で承認がなく、海外において小規模な非盲検無作為化比較試験が実施されているものの、海外ガイドラインにおいて国内既承認のシクロホスファミド及びシクロスポリンが本剤よりも高いグレードで推奨されており、本剤とこれらの薬剤との使い分けあるいは国内既承認薬で治療困難な患者における本剤の有用性は明らかにされていないことから、現時点では本剤が標準的治療法に位置づけされているとまでは判断できないと考えました。
 続きまして、循環器器官用薬分野でございます。医療上の必要性が高いと判断されたものは3品目ございます。
 まず、イブプロフェンリジン塩については、早産児動脈管開存症について医療上の必要性が高いと判断いたしました。
 それから、カンデサルタンシレキセチルでございますが、要望された効能・効果は小児高血圧症でございます。後でロサルタンカリウムの話をする際にカンデサルタンの話にも触れようと思います。
 次に、プロプラノロールでございますが、要望された効能・効果は、ファロー四徴症について医療上の必要性が高いと判断されました。
 ロサルタンカリウムは、必要性が高いとまでは言えないと判断しております。本要望については、海外ガイドライン、教科書等に記載されていますが、小児高血圧を対象とし、本剤と同じ作用機序であるARBについては、バルサルタンが本検討会議にて公知申請に該当すると判断されています。また、本剤については、バルサルタンと比較して有用性が期待できる点は特に見当たらないことから、エの基準に該当すると判断しました。
 先ほどのカンデサルタンでございますが、対象となる年齢が1歳以上ということで、より低い年齢まで使えるということでバルサルタンと比較して有用性が期待できると判断し、医療上の必要性が高いと判断いたしました。
 小児ワーキングからの報告内容は以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 少し数が多いですが、何か御質問はございませんか。

○横谷構成員
 小児ワーキンググループのたくさんの検討、ありがとうございます。私は1つだけ申し上げます。
 パミドロン酸二ナトリウムの骨形成不全症に対する適応拡大の判断ですけれども、最終的に妥当な判断をいただいたと考えております。特に、この特記事項に書かれております、承認がないときにどういう場合に医療上の必要性が高いと判断するかという条件が、この検討会において明確になってきていると思います。その中で国内外のガイドラインに記載があって、用法・用量の記載があってということが重要だと書かれています。
 1つ付け加えますと、この薬剤に関しては、疾患の重篤性と単に使用できる薬剤がないということから、国内での使用実績がかなり進んでいるということも含めて判断していただけると余計によかったのですが、結果的には妥当な判断だと思っております。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 そのほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 これまでのワーキンググループの報告全般を通して何か御意見いただくことがございましたら、お願いいたします。特にないでしょうか。
 各ワーキンググループの検討結果につきましては御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○堀田座長
 それでは、そのようにさせていただきます。
 次に、各ワーキンググループから公知申請への該当性に係る検討会議の報告書の御説明をお願いしたいと思います。
 まず、循環器ワーキングから山本先生にお願いいたします。

○山本参考人
 循環器ワーキングからは2品目ございまして、まずは資料4-1、アルテプラーゼ(遺伝子組換え)、その後に資料4-2、プロプラノロール塩酸塩について御説明いたします。
 まず、資料4-1をごらんください。この薬は、一般社団法人日本脳卒中学会より既承認の効能・効果である虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善の発症後3時間以内を発症後4.5時間以内への変更という要望書が提出されております。
 要望内容における医療上の必要性についてですが、2ページを見ていただければと思います。虚血性脳血管障害を含む脳卒中は、本邦における死亡原因の第3位にある致命的な疾患です。また、米国及び欧州の診療ガイドラインにおいて、虚血性脳血管障害の発症後4.5時間以内の患者に対する本薬の投与が推奨され、標準的治療に位置づけられており、2012年6月の時点で英国、ドイツ、フランスにおいて発症後4.5時間以内の患者に対する本薬の投与が承認されております。
 以上より、2011年4月に検討会議により本要望内容の医療上の必要性は高いと判断されております。従来、本薬は発症後3時間以内に投与する薬剤として国内外で承認されておりましたが、発症後3時間長、4.5時間以内の虚血性脳血管障害に対する本薬の有用性が海外の臨床試験において検証されまして、その後、海外においては標準的治療に位置づけられていること。
 それから、国内外で発症後3時間以内の患者に対する本薬の用量が異なるものの、海外では発症後3時間以内と発症後3時間以降4.5時間以内の患者に対しては同一の用法・用量が用いられておりますし、国内でも発症後3時間以内の脳血管障害患者を対象とした臨床試験におきまして、海外臨床試験と同様の結果が得られていること及び既承認効能・効果である発症後3時間以内の患者に係る使用成績調査におきまして、発症後3時間以内の患者と用法・用量を変えることなく発症後3時間以降4.5時間以内の患者に投与された例も確認されたことなどから、日本人においても一定の有効性が期待され、許容可能な安全性が示されていると判断し得ると考えております。
 以上より、循環器ワーキングでは国内での使用経験は少ないものの、本薬の本邦における発症後3時間以降4.5時間以内の虚血性脳血管障害に対する有効性及び安全性は、医学・薬学上公知であり、効能・効果は虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後4.5時間以内)とすること及び用法・用量は既承認効能・効果の用法・用量と同一に設定することが妥当と判断しております。
 本剤におきましては、発症後3時間以内の虚血性脳血管障害に対する適応症が承認されて以来、日本脳卒中学会の協力によりましてrt-PA静注療法適正治療指針の作成及び講習会実施等による治療指針の周知徹底がなされておりますけれども、発症後3時間以降4.5時間以内の患者への使用に際しても、引き続き有効性・安全性についてのエビデンスを熟知した医師のもとで適正に使用されるよう、今後も学会と協力して安全性確保に向けた方策を継続することが望ましいと考えております。
 また、本邦の添付文書に関してですが、発症から投与開始時間が4.5時間まで延長されるに当たりましても、3時間以内での注意喚起を遵守するということで、同等の適正使用がなされるものと考えております。
 アルテプラーゼについては以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 確認させていただきますと、今、発症後3時間以内ということで全体の急性期の虚血性血管障害で実際問題何パーセントぐらいが適用になっているのですか。

○山本参考人
 10%以下だと思います。

○堀田座長
 これが4.5時間になると、どの程度増加すると予測されますか。

○山本参考人
 数パーセント伸びる程度で余り伸びないのですけれども。ただ、実際には3時間以内ということになりますと、病院には2時間から2時間半以内に来ないととても間に合わないんですね。それと、実は脳卒中学会の適正使用指針が非常に浸透しておりまして、3時間をちょっとでも超えると、みんなが打つのをやめるという状況になっておりますので、そういう点から考えても、4.5時間以内に延ばすことでそれほど多数の患者さんではありませんけれども、確実に使用の範囲を広げることにはなると思います。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 何か御意見ございますか。

○小川構成員
 1つ質問なのですけれども、時間を遅らせることによって出血性の合併症の発生率が上がってくることはないでしょうか。

○山本参考人
 勿論それはございまして、このアルテプラーゼの成功した治験は実は国外でも2つしかございませんで、3時間以内で行った米国の臨床試験と、最近4.5時間に延ばすときに欧州で行われたもの、その2本だけが成功しておりまして、用量違い、時間を5時間までで行った大規模臨床試験等はすべて失敗しております。それは後でメタアナリシスが出ておりまして、報告書の17ページにメタアナリシスの総説等の報告を載せておりますけれども、こういう大規模臨床試験は数試験ありまして、それをまとめてメタアナリシスを出した結果では、4.5時間以内であれば出血よりも機能改善、ベネフィットが上回る。4.5時間を超すとリスクの方が高まるというのがメタアナリシスでも示されましたので、これが欧州で行われた大規模臨床試験を更に補強するようなデータとなっております。

○小川構成員
 適用拡大で救命される症例が非常に増えるということであればあれですが、今のお話のように適用拡大しても実際に適応される症例が増えないときに、いわゆる非常に母集団が大きい場合のメタアナリシスと違って、非常に少ない母集団の中での出血リスクがちょっと懸念されたところです。

○山本参考人
 実は、この使用成績調査が脳卒中学会の先生方も一緒にやっておられまして、『Stroke』という臨床系の専門雑誌に投稿されて通っているのですけれども、その使用成績調査の結果では、国内では用量を調整しておりますので、国内の出血率と欧米での出血率、有効性それぞれは使用成績調査同士で比べてほとんど違いがないということがわかっておりますので、恐らく4.5時間までにしても余り大きく変わることなく使われるのではないかと思っております。

○堀田座長
 ありがとうございました。そのほかはよろしいですか。
 それでは、続いて資料4-2をお願いします。

○山本参考人
 続きまして、資料4-2をごらんください。プロプラノロール塩酸塩でございます。こちらは日本頭痛学会、日本神経学会及び個人より、片頭痛における頭痛発作の予防の効能・効果を追加する要望書が提出されております。
 要望内容における医療上の必要性については、1~2ページをごらんください。
 片頭痛は、発作発現中は仕事や家事等の日常生活に支障を来すような苦痛を伴い、発作への不安も日常的に大きいことから、身体面、心理面、社会的側面において幅広く機能障害を生じさせる慢性的な疾患と言えると思います。
 また、国内では本剤とは作用機序の異なるロメリジン塩酸塩及びバルプロ酸ナトリウムが片頭痛発作の予防での使用が認められておりますが、日本頭痛学会の慢性頭痛の診療ガイドライン2006年版では、片頭痛発作の予防効果に対するエビデンスの評価及び推奨度は、ロメリジンよりもプロプラノロールの方が高く、欧米におきましても本薬の使用が積極的に推奨されております。
 以上より、2010年4月に検討会議におきまして本要望内容の医療上の必要性は高いと判断されております。
 本薬は、米・英・独・仏において既に片頭痛の発作予防に対する適応を有しておりまして、国内外のガイドラインにもその有用性が記載されております。国内におきましても使用実態調査の結果、本薬が片頭痛発作の予防に対して使用されている実態が明らかになっております。
 以上より、循環器ワーキングでは本薬の片頭痛発作の予防に対する有効性及び安全性は医学・薬学上公知であり、効能・効果は片頭痛発作の発症抑制と設定することが妥当と判断しております。
 用法・用量についてですが、本邦の慢性頭痛の診療ガイドラインにおきましては片頭痛発作予防に対しまして、20~60mg/日の投与が推奨されております。日本頭痛学会が中心となって行った本薬の片頭痛発作予防を目的とした適応外使用実態に関する用法・用量の調査では、ほとんどの患者さんにおきまして開始用量が一日20~30mgで、一日用量は20~60mgまでの範囲内であったこと、投与回数につきましては、一日2回または3回に分割投与して使用されているということが実態として確認されました。
 本邦では、高血圧症の効能・効果で120mg/日まで、不整脈及び狭心症の効能・効果では90mg/日までの用量が承認されていることを踏まえまして、本剤の開始用量は20~30mg/日としまして、及び効果不十分な場合の増量範囲は60mg/日までとすることが妥当であり、用法・用量は通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として一日20~30mgより投与を始め、効果が不十分な場合は60mgまで漸増し、一日2回あるいは3回に分割経口投与すると設定することが適切と判断しております。
 以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、資料4-2につきまして御討論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 要望内容で言いますと、学会からの要望内容は欧米の用法・用量とは随分違いますね。これはどのように整理されていますか。例えば、160~240mg/日までとされていますが。

○山本参考人
 もともとベータブロッカーは欧米人と日本人でセンシティビティにかなり違いがございまして、高血圧症、不整脈の治療でも既に用量にかなり差がついております。ですので、国内の用法・用量としましては、国内での高血圧症、不整脈の治療効果の用量と見比べて、それよりも少量の設定とさせていただきました。

○堀田座長
 日本人ではこのくらいでも十分に有効性があるという判断ですか。

○山本参考人
 欧米の方の量を飲むと多分、徐脈になって耐えられないということになると思います。ベータブロッカーは日本人は少量でよく効くので、このぐらいで十分であろうということで、ワーキングとしても適切な量だと考えております。

○堀田座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 続きまして、精神・神経ワーキングから勝野先生、資料4-3をお願いします。
○勝野参考人 メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムの公知申請の妥当性に係る報告書について御説明いたします。資料4-3をごらんください。
 これは日本神経学会から多発性硬化症の急性増悪の治療の要望でございます。
 2ページから欧米4か国の承認状況についてまとめてございますが、米国等で多発性硬化症の急性増悪について承認されております。
 8ページから無作為化比較試験の結果をまとめてございますが、500~1,000mgの範囲でプラセボ群に対して有効性が示されたことが報告されております。
 12ページからは国内外の教科書、ガイドライン等の記載をまとめておりますが、多発性硬化症の急性増悪に対する標準的な治療法の一つとして、用量範囲は一日当たり500~1,000mgがおおむね共通して記載されております。
 17ページからは日本神経学会により行われました使用実態調査の結果をまとめてございます。国内でも主に一日当たり500~1,000mgの用量範囲で使用されていることが確認されました。
 18~21ページ、要望内容に関する有効性と安全性について検討を行った結果ですけれども、海外での承認状況、国内外教科書、ガイドライン等に標準的治療法として記載されていること、国内での使用状況、既に知られている副作用を除き、日本人において本剤を多発性硬化症の急性増悪に用いた場合に、重大な安全性上の問題は認められないと考えられることなどから、多発性硬化症の急性増悪に対して本剤を投与したときの有効性・安全性は、医学・薬学上公知であると判断いたしました。
 21ページの効能・効果につきましては、他の多発性硬化症の治療薬の記載も参考として、多発性硬化症の急性増悪といたしました。
 また、用法・用量につきましては、通常成人にはメチルプレドニゾロンとして一日500~1,000mgを緩徐に静注、または点滴静注するといたしました。
 なお、国内外のガイドラインなどの最新の情報を参考に実施する旨、注意喚起することが適切であると判断いたしました。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、本報告についていかがでしょうか。
 メチルプレドニゾロンのパルス療法ですね。これは日常診療で既にやられていますよね。

○勝野参考人
 一般的に標準的にやられていると思います。

○堀田座長
 ですから、むしろ既に55年通知で対応していても不思議はない状況ではないかと思います。これは先生に言ってもしようがないですが。
 いずれにしても、医療上の必要性は高いという判断でよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、公知申請に向かっていきたいと思います。
 次は、抗がんワーキングです、安藤先生よろしくお願いします。

○安藤参考人
 抗がんワーキンググループとしては3剤、資料4-4、L-アスパラギナーゼ、資料4-5、ゲムシタビン塩酸塩、資料4-6、パクリタキセルを説明させていただきます。
 まず、資料4-4をごらんください。L-アスパラギナーゼ、急性白血病及び悪性リンパ腫の筋肉内注射に関する用法・用量の追加です。日本小児血液学会と日本小児がん学会から要望が出ております。
 現在、L-アスパラギナーゼは国内では静注で一日体重1kg当たり50~200K.U.を連日または隔日投与という用法・用量ですが、今回の要望では筋肉内投与の要望が出ております。
 欧米6か国の承認状況については、6か国のうち4か国で静注と筋注の用法・用量が承認されております。
 また、米国の製剤と今、国内で流通しているロイナーゼというのは製剤が異なっていまして、米国の1インターナショナルユニット(I.U.)は国内の単位では0.86キョウワユニット(K.U.)に相当すると報告されております。
 ドイツの製剤に関しては、国内製剤と全く同一のものです。
 L-アスパラギナーゼの治療成績の公表論文ですが、体外では国内製剤と同一のL-アスパラギナーゼ製剤が使用された臨床試験は全部で10試験ありまして、国内製剤と異なるアスパラギナーゼ製剤の臨床試験も報告が幾つかございます。
 日本における臨床試験は20ページにありますが、例えば、日本小児癌・白血病研究グループでは、リンパ芽球性急性白血病に対して一日1回2,000U./m2を計9回筋肉内投与。
 九州山口小児がんグループだと、リスクに応じて他の抗がん剤との併用で一日1回体表面積当たり1万Uを筋注する。また、22ページにもございますように、一日体表面積当たり1万Uを週3回投与等さまざまな用量で報告されております。
 国内症例の報告は、おおむね一日1回2,000~1万K.U./m2の週3回、または一日1回で6,000~2万5,000K.U./m2週1回の用法・用量で用いられていまして、一定の有効性が報告されていまして、有害事象としては膵炎やじんましん等の皮膚障害とアナフィラキシー症状や高血糖等が発現したことが記載されております。
 メタアナリシス及びガイドラインの中にもL-アスパラギナーゼに関しては有用性がしっかり記載されておりまして、日本における小児白血病リンパ腫の診療ガイドラインの中にも、初回の急性リンパ芽球性白血病の寛解導入療法では、L-アスパラギナーゼと他の抗がん剤の併用が重要な位置づけを持っていることがしっかり記載されております。
 本邦での使用状況についてですが、筋注に関しての有害事象は注射部位反応で発赤、疼痛、腫脹、硬結等が報告されております。
 37ページから公知申請の妥当性について、ちょっと長くなりますが御説明いたします。
 今回のE.coli由来のL-アスパラギナーゼは、国内外で複数の製剤が流通していて、製剤間で生物活性が異なることが報告されておりますが、教科書や診療ガイドラインでは製剤の違いにかかわらず、急性白血病及び悪性リンパ腫の標準的な治療レジメンを構成する抗悪性腫瘍薬の一つとして、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼが重要な位置づけを持っているとはっきり記載されております。
 それから、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼの投与経路としては、海外の教科書、診療ガイドラインでは静脈内または筋肉内投与の臨床試験成績が列記されています。
 一方で、本邦では現時点の承認は静脈内投与です。いろいろな用量に関しては、1回量が5,000~1万K.U./m2週3回、または1回1万~2万5,000 K.U./m2でした。国内においては製剤は異なるのですが、おおむね海外と同様の用法・用量である1回2,000~1万K.U./m2週3回もしくは、1回6,000~2万5,000 K.U./m2週1回の筋肉内投与が用いられていまして、その臨床試験成績は海外と同様の完全寛解率や無増悪生存期間、生存期間が同様の報告がなされていて、効果が特に劣っている等はっきりしたものは認められませんでした。
 次に、安全性に関しては、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼに特徴的な有害事象としては、アナフィラキシー等の過敏性反応やじんましん、膵炎、肝機能障害などがありまして、これらに関しては国内と海外で特に異なったものはありませんでした。
 ただし、今回は筋肉内投与ということで注射部位反応が懸念されるわけですが、特に大腸菌由来のL-アスパラギナーゼの筋肉内投与は先ほどお示ししたように、国内海外でも小児患者に対しての広い臨床使用成績実態があるのですが、国内では70年代に抗生物質や解熱鎮痛剤の筋肉内投与による筋拘縮症の発現について社会問題化した経緯があることを踏まえまして、筋拘縮症の発現状況について確認をいたしました。企業見解によると、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼの筋肉内投与による筋拘縮症の発現は特になかったということです。
 以上から、検討会議では海外の臨床研究において、他の抗がん剤との併用で国内製剤1回5,000~1万K.U./m2週3回または1回1万~2万5,000K.U./m2週1回の筋肉内投与で認められた有害事象は、今のところ現行の国内添付文書に注意喚起されている静注のものと全く同じで、認容可能と考えます。
 小児に対する筋肉内投与の安全性については、現在、国内外の公表文献や企業の自発報告から大腸菌由来のL-アスパラギナーゼの筋肉内投与による筋肉拘縮症の発現に関する報告は確認されていないけれども、薬の種類にかかわらず筋肉内で同一部位で短期間に投与を繰り返すことで筋拘縮症の発現リスクが高くなるという報告もあるので、投与部位や同一部位に繰り返し投与することを避ける等の筋肉投与を実施する際の一般的な注意事項と、過去に抗生物質等で筋肉内投与で筋拘縮症を発現した事例があることに関しては、適切な注意喚起を行う必要があると考えています。
 また、国内で承認されている用法、静注の200K.U./kg一日1回反復静脈内投与の活性を考えると、大体3,000~5,000K.U./Lの範囲であることが考えられていて、一日1回1万K.U./m2週3回または一日1回2万5,000K.U./m2週1回を筋肉内投与した場合の曝露量というのは、これまでに報告されている静脈内の投与量を大きく上回る可能性は低いと考えます。有害事象の方も、特に静脈内注射よりも筋肉内注射の方が強いというはっきりしたデータはないことから、そのように考えております。
 検討会議では筋拘縮症の注意喚起を適切に実施した上で、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を有する医師により適切に副作用が管理されて、必要に応じて休薬等の処置が適切になされるのであれば、日本人の急性白血病及び悪性リンパ腫に対して、他の抗がん剤との併用において1回1万K.U./m2週3回または一日1回2万5,000K.U./m2週1回を筋肉内投与する用法・用量は管理可能と考えております。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、L-アスパラギナーゼの公知申請について、吉村先生どうぞ。

○吉村構成員
 41ページに書いてある用法・用量に関連する使用上の注意は、筋肉内投与時だけで静注のときはこういうものはないのですか。

○安藤参考人
 これは現在の添付文書ではないので、筋肉内投与のときに溶解したときのペーハーや浸透圧を考えて、こういう注意喚起を特につけるということです。

○吉村構成員
 だから、静注のときは特につけなくてもいいということですね。

○安藤参考人
 静注は既に承認されています。

○吉村構成員
 もう一つ、文章の真ん中ぐらいに適切な注意喚起とありますが、具体的にどういうことを指しているのでしょうか。

○安藤参考人
 一般的な筋肉内投与に伴う筋拘縮の予防に関して、例えば、投与部位や同一部位に繰り返し投与を避ける等の一般的な注意事項と、筋肉内投与するので筋拘縮症に注意しましょうという注意喚起のことを指しています。

○吉村構成員
 それは医師に対する注意喚起ですか、患者ではなくて。

○安藤参考人
 はい、そうです。そこに対しては小児の実際に血液疾患を治療されている先生方にいろいろ伺ったのですが、そこは今の現場で十分注意をされているということでした。

○堀田座長
 よろしいでしょうか。
 L-アスパラギナーゼはやたらそこらの医療機関で使う薬ではありませんので、恐らく専門医でないと使わないと思います。これはあくまで小児の血液学会、がん学会から出ていますけれども、大人も含めての使い方ということでいいですね。
 岡部先生どうぞ。

○岡部構成員
 本質的なところでなくて申し訳ないですけれども、筋注に対して非常にいい表現をとっていただいたと思うのですが、参考のためにお聞かせいただきたいのですが、そんなに使える薬剤ではないと思いますけれども、実際に38ページの企業見解によると、今までに大腿四頭筋拘縮症のようなものはないというのは、大体何例ぐらいを使ってのことになるかわかりますか。別に今でなくていいですけれども。

○安藤参考人
 母数に関しては、申し訳ございませんが、こちらでは把握しておりません。

○岡部構成員
 例えば、パリビズマブの場合は四百数十例という数でないということが表明されています。ですから、そういうものがあるとほかのところで引用するときに非常にありがたいので、もし母数がわかればと思ってお聞きした次第です。

○堀田座長
 では、わかりましたら事務局から御連絡してください。

○医薬食品局審査管理課
 御指摘のとおり、もしそのような情報が確認できましたら岡部先生に御連絡さしあげたいと思います。

○堀田座長
 よろしいでしょうか。
 それでは、資料4-5をお願いします。

○安藤参考人
 資料4-5、ゲムシタビン塩酸塩、再発・難治性悪性リンパ腫に対しての効能です。日本リンパ網内系学会の要望として、再発・難治性悪性リンパ腫でゲムシタビン1回1,000mg/m2週1回を3週連続投与・4週休薬を1コースとして投与を繰り返すという要望が出ております。
 欧米6か国においては、今回の要望の再発・難治性悪性リンパ腫ということで要望は認められておりません。
 欧米6か国での標準的使用状況に関しては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫に対して再発後の二次化学療法として、ゲムシタビンとカルボプラチンとデキサメタゾンの併用療法や3剤療法の有用性に関してガイドラインの中に明記されております。
 次に、国内外の公表文献・成績等に関して、海外では単剤投与ではゲムシタビン1,000mg/m2週1回ずつ3週連続投与・1週休薬や、1回投与量が1,200mg/m2で3週連続投与・1週休薬、あとは、抗がん剤との併用が幾つか海外で報告されております。
 次に日本における報告ですが、これは学会抄録を含む報告例ですが、用法・用量が把握できたものは3報ありまして、単独では本薬を1,200mg/body週1回投与を3週連続投与・1週休薬、他の抗がん剤との併用では1,000mg/m2週1回投与を2~3週連続投与・1週休薬という用法で用いられておりました。完全寛解を含む奏効が認められたことと、主な有害事象としては血液毒性であったということが報告されております。
 海外は第II相試験の報告です。国内では、学会報告レベルのものが数報報告されているというのが現状です。
 ガイドラインや教科書の中には、再発例の悪性リンパ腫に対しての二次化学療法としての有用性の位置づけが記載されております。
 公知申請の妥当性に関してですが、本剤は1,000mg/m2を3週連続投与・1週休薬か、1,200もしくは1,250mg/m2を3週連続投与・1週休薬、あるいは他の抗がん剤との併用で1,000mg/m2を1週目、2週目やって、3週間または4週間ごとの用法で用いられております。
 海外の試験成績で悪性リンパ腫に関しては、本剤の単剤か本剤と他の抗がん剤、シスプラチンまたはカルボプラチンか副腎皮質ステロイドとの併用療法により有効性が示唆されております。
 本薬は用法・用量としては、1,000mg/m2か1,200mg/m23週間連続・1週休薬の単独か、1回投与量が1,000mg/m2で2週または3週連続投与・1週休薬して抗がん剤との併用が報告されております。
 国内においては大規模な臨床試験成績の報告はないのですけれども、再発または難治性悪性リンパ腫に対して完全寛解例も報告されておりまして、国内においても学会報告レベルの報告で単剤もしくは他の抗がん剤との併用投与の有効性が示唆されると考えました。
 このために海外の臨床試験成績、国内の使用成績実態とガイドライン等の報告を見ると、本薬は再発または難治性の悪性リンパ腫に対しての有用性は、医学・薬学上公知と判断可能と考えました。
 次に、安全性に関しては、この用法・用量で用いることにおいては、ゲムシタビンの主な有害事象は骨髄毒性、肝機能異常ですが、主に今まで報告されたものとの大きな相違は認められないと判断いたしました。
 検討会議でいろいろ検討した結果、再発または難治性悪性リンパ腫に対する治療薬の一つとして、本薬の単剤または抗悪性腫瘍薬との併用下で1回1,000mg/m2の週1回投与、2~3週連続投与・1週休薬する用法・用量の有用性は、医学・薬学上公知と考えました。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 ゲムシタビンにつきまして何か御質問・御意見ございませんか。
 悪性リンパ腫の二次治療法については、比較試験はほとんどないんですね。ですから、この程度が限界かなと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、最後になりますが、資料4-6をお願いします。

○安藤参考人
 資料4-6、パクリタキセルをごらんください。これは、日本泌尿器科学会等から転移を有する精巣がん、性腺外胚細胞腫に対する要望です。
 欧米6か国等の承認状況については、胚細胞腫への効能で承認されている国はございません。
 要望内容に関する国内外の公表文献、成書等についてということで、文献等に関しては第III相試験はありません。再発の胚細胞腫瘍に対してパクリタキセルとイホマイド、シスプラチンの併用療法報告があります。ただし、その中で本薬の用法がさまざま用いられていて、1回175mg/m23時間投与や、24時間投与で1回175~215mg/m2の投与、それから、250mg/m224時間投与があります。
 なお、海外では再発の胚細胞腫瘍に対しては、イホマイドとシスプラチンとエトポシドまたはビンブラスチンの併用も用いられておりまして、今回のイホマイドとシスプラチン、パクリタキセルとの併用の第III相比較試験が数年前、主にアメリカで行われていたのですが、症例登録が不良ということで中止になっております。
 日本における臨床使用成績に関しては、日本も例えば、本薬は175mg/m224時間投与でイホマイドとシスプラチンの併用、本薬が210mg/m2の3時間投与でイホマイドとプラチナ製剤の誘導体であるネダプラチン、これも国内では胚細胞腫瘍に認められておりますが、この併用の有効性と安全性について報告されております。
 海外のガイドライン、教科書等で、パクリタキセルというのはイホマイドとシスプラチンとの併用での胚細胞腫瘍に対する二次療法としての位置づけが記載されております。
 まとめますと、海外においては再発または難治性の胚細胞腫瘍に対する他の抗がん剤との併用で、本剤の3週間前投与の有効性が示されていると判断いたしました。
 国内においても、同様の患者さんに対して3週間投与法を用いて併用レジメンとしてパクリタキセルとイホマイドに対して、それから、シスプラチンもしくは白金製剤の誘導体であるネダプラチン、レジメンの報告がなされております。このために海外の試験成績、これは第II相試験しかありませんが、それから、国内の使用成績の報告と教科書やガイドラインの記載内容を踏まえると、再発または難治性胚細胞腫瘍に対して、他の抗悪性腫瘍薬との併用下であれば、本剤の3週投与法の有効性は医学・薬学上判断可能と考えております。
 それから、安全性に関してですが、血液毒性と非血液毒性、神経毒性の発現が報告されていますが、国内の添付文書で注意喚起されている内容の範囲内と考えました。
 次に、用法に関してです。本薬は3時間投与法と24時間投与法の報告があるのですが、3時間投与法に関しては、海外の臨床試験成績や国内の使用成績で発現した副作用というのは、先ほど申し上げたように、国内の添付文書で注意喚起されている事象と同じで、安全性のプロファイルは既承認の他がん種と比べて、プロファイルに差異はないと考えました。
 国内では既に他がん種で1回210mg/m2の投与量を3時間投与で承認されていまして、日本国内で一定の安全性情報が蓄積されていることを考慮しますと、がん薬物療法に精通した医師によって適切に副作用が管理されて、必要に応じて休薬等の処置が適切になされるのであれば、日本人の再発または難治性胚細胞腫瘍に対して本薬の175~210mg/m2の3時間投与・3週間ごと投与方法は管理可能と考えました。
 24時間持続投与に関しては、3時間投与と比べると同じ用量で見ると、24時間投与法の方が骨髄抑制が明らかに強くなるため、24時間投与での有用性は、卵巣がんで実は国内でも24時間投与が承認されているのですが、そのときの1回投与量は135mg/m2でして、今回海外で胚細胞腫瘍に用いられた175~215mg/m2の24時間持続投与法というのは、安全性と有用性は十分確認されていないと考えました。
 以上から、パクリタキセルの175~215ミリmg/m2の3時間点滴投与・3週ごとの有用性は、他の抗がん剤との併用下で医学・薬学上公知と判断可能と考えました。
 用法・用量に関しては、再発または難治性胚細胞腫瘍に対しては、他の抗悪性腫瘍剤と併用でA法を使用するということで210mg/m2を3時間かけて3週間1回、175というのも海外で使われているのですが、175mg/m2というのは210mg/m2の中で読み込めると考えて、今回の用法・用量で差し支えないと考えました。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、パクリタキセルの胚細胞腫につきまして、何か御意見いただくことはございますか。
 これは卵巣腫瘍と性腺外腫瘍に対しては既に適応があるのですか。

○安藤参考人
 いえ、いわゆる卵巣がんは適応がありまして、性腺外の胚細胞腫瘍と性腺原発の胚細胞腫瘍には適応がないので、今回効能・効果をということです。

○堀田座長
 26ページのアンダーラインが引いてある効能・効果で、精巣腫瘍と卵巣腫瘍と性腺外腫瘍となっていますよね。

○安藤参考人
 これは卵巣原発の胚細胞腫瘍ということです。

○堀田座長
 そういう意味ですか、胚細胞腫瘍の中のという意味ですね。わかりました。よろしいでしょうか。
 特に御異議がなければ、公知申請に持っていっていただきたいと思います。
 それでは、時間が大分過ぎましたけれども、次に、医療上の必要性が高いとされた品目に係る専門作業班の検討状況について、事務局から整理して説明をお願いします。

○医薬食品局審査管理課
 事務局より資料5-1、資料5-2、資料5-3を続けて御説明させていただきます。
 まず、資料5-1でございますが、第I回要望で医療上の必要性が高いとされた品目に係るワーキンググループの検討状況をまとめていただいております。これにつきましては、公知申請の該当性に係る報告書をまとめていただいた3件について記載を変更したものでございまして、そのほかについては使用実態の結果などを踏まえて詳細に検討することとしておりますので、御説明は省略させていただきます。
 続きまして資料5-2をごらんください。4月6日の開発要請を踏まえまして5月7日までに必要な試験や公知申請の該当性に係る見解が企業より提出されております。それを踏まえてワーキンググループで検討いただいた結果をまとめておりますので、幾つか御説明させていただきたいと思います。
 2ページをごらんいただけますでしょうか。右から2つ目のカラムに開発要請に対する企業見解、一番右のカラムにワーキンググループの意見などの特記事項を記載させていただいております。それぞれ承認申請中ですとか治験実施中など、品目の状況が記載されておりますけれども、例えば、PMDAでの治験相談を踏まえて開発中のものについては、それに基づいて適切に進められているものと考えられますので、本日は企業から公知申請が妥当との見解が出されている一方で、ワーキンググループで知見等が必要とされたものなどを中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず、II-78~II-86にかけて、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンにつきまして、各臓器の移植後の治療抵抗性の拒絶反応の治療ということで開発要請をさせていただいております。これについては企業から臓器移植後の治療抵抗性の拒絶反応については既存の治療薬がなく、症例数も極めて限られていることなどを踏まえて、国内使用成績調査ですとか、国内外の公表文献等に基づいて有効性・安全性の情報を精査して、承認申請の可能性を検討したいとの御意見が出ております。
 これに対してワーキンググループでは、企業の見解の趣旨については理解するけれども、治験相談などで詳細に検討してはどうかということで御意見をいただいております。
 続きまして、6ページの循環器ワーキングです。一番上のII-21、アミオダロン塩酸塩。電気的除細動抵抗性の心肺蘇生について開発要請を行っております。これについては海外臨床試験において有効性が示されていること、国内の使用成績調査において73年の投与実績があることなどを踏まえて、国内で治験を実施することなく既存の情報を用いて申請を行うことは妥当ではないかという企業からの見解が出ております。
 これにつきましてワーキンググループでは、再審査期間中ということですので、安全性について広く知られているという説明がつかないものですから、公知申請が妥当と判断することはできないだろうと。ただ、現在までにやられている情報を精査して、申請して早期に臨床現場に提供することでどうかということで御意見をいただいております。
 続きまして、II-30、II-31、一酸化窒素の肺高血圧を伴う低酸素性呼吸不全の改善です。これは既に新生児が承認されておりますけれども、小児と成人に関する開発要請を行ったものです。これにつきましては、EUで公表文献に基づいて承認が得られたことなどを踏まえて臨床試験を実施することなく承認申請を行いたいという見解が出ておりましたけれども、ワーキンググループで国内における用法・用量に関するエビデンスが十分ではないと。この状況では用法・用量を設定できないのではないかという御意見をいただいておりまして、臨床試験を実施して適切な用法・用量を検討する必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 続きまして、精神・神経ワーキンググループ、10ページをごらんください。II-274、レチガビンにつきましては、特に大きな問題ということではないのですけれども、米国を中心に徐放剤の開発が行われているということでございます。投与回数を減らすことができて、血中濃度の推移も平坦になるという見解が申請者から提出されておりまして、徐放剤として開発して承認取得をしたいということで企業から見解が出されておりました。
 これにつきましてワーキンググループでは、この方向性に大きな問題はないだろうということだったのですけれども、今後、治験相談利用予定があるということでしたので、その治験相談の中で詳細を詰めて検討していきたいと考えております。
 続きまして11ページですが、II-283、レミフェンタニルの全身麻酔の維持における鎮痛の小児適用の追加に関して開発要請を行っております。これにつきまして企業から臨床試験は実施していないけれども、国内の使用実態等を踏まえて公知申請を希望するということで見解が出されておりました。
 これに対してワーキンググループでは、再審査期間中であることを踏まえて、医学・薬学上公知とは言えないと御判断いただいております。今後の方針については、また企業と相談しまして進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、抗がんワーキングの20ページをごらんください。II-148、ノギテカンの小児悪性固形腫瘍について開発要請を行ったものです。こちらにつきましては、国内で現在、製造販売しております日本化薬株式会社において本適応の開発権がないということで、現在、海外企業とこの適応について開発することについて交渉中ということでございましたので、その結果を踏まえて今後、対応していきたいと考えております。
 II-194、フルオロウラシルの膵がんと、II-281、レボホリナートカルシウムにつきましては、膵がんの効能で開発要請を行っておりますけれども、19ページのオキサリプラチン等の開発が株式会社ヤクルト本社を初めとして行われておりますので、その結果を待って同時に承認申請を予定しているという見解が企業から出されております。この方向性については特に問題はないものと考えております。
 資料5-2につきましては以上です。
 続きまして、資料5-3を御説明させていただきます。
 デシタビンの骨髄異形成症候群に対する開発について、これまで進めてきたところですけれども、製薬企業で開発を断念せざるを得ないという見解が出されておりますので、その内容について御説明させていただきたいと思います。
 まず、本件につきましては、米国で本剤が承認されたことを踏まえて、この検討会議の前身に当たる未承認薬使用問題検討会議で検討されまして、早期に開発着手が必要な薬剤と結論づけられました。また、第I回要望募集においても要望が個人から提出されまして、第4回会議で医療上必要性が高いという評価をいただき、平成22年12月13日に開発要請を行っております。
 「2.開発要請先企業からの見解」をかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
 米国では3日間レジメンという投与方法の試験が行われまして、本剤群の寛解率が17%、対象とされた支持療法群の寛解率が0%という結果をもって承認されております。
 また、米国ではその後5日間レジメン投与方法が検討されまして、完全寛解の割合が多かったということで、こちらについても追加承認をされております。
 一方、欧州では、生存期間を主要評価項目とした3日間レジメンの成績が得られるのを待って申請することとなりました。これにつきまして結果を次のページにお示ししております。
 結論を申し上げますと、上の図のとおり支持療法に対する有意差はなく、この結果から欧州における開発が断念されたという状況でございます。
 一方、国内の状況ですが、平成23年1月21日にアザシチジンという類薬が既に承認されまして、こちらのアザシチジンについては支持療法と比較して統計学的に有意な生存期間の延長を認めております。
 本剤については、そのような状況の中で5日間レジメン、米国で追加承認されたものになりますが、こちらで第I/II相試験を実施していたところ、今般、寛解率が26.5%という結果が得られております。
 「3 今後の開発について」ですが、欧州において開発を断念しているので、国内のみで開発を行う必要があるという状況です。第III相試験のデザインについて幾つか検討していただいたのですけれども、(1)支持療法を対照とした優越性試験については、アザシチジンか承認されている現時点では倫理的に困難であろうということ。それから、本剤とアザシチジンの活性物質が一部同一であると考えられておりますので、アザシチジン不応例に対して本剤は十分な治療効果は望めないと考えられますので、その患者層での開発は難しいという状況でございます。
 (2)アザシチジンを対照とした優越性試験については成功確率は非常に少ないであろうということでございます。
 (3)アザシチジンを対照とした非劣性試験についてはどうかということで御検討いただいたのですが、少なくとも1,000例以上の症例数が必要になるということで、実施には10年以上の歳月を要すると推計されるということでございました。
 このようなことを踏まえまして、製薬企業でアザシチジンが承認された結果、本剤の開発を進めるための選択肢が非常に限られてしまい、今般得られた国内第I/II相試験の成績を踏まえると、その選択肢も現実的に実施困難な状況であるという見解が出されております。
 これについて参考としまして、関連学会の日本血液学会に意見を求めたところ、次のような見解をいただいております。「今回の企業の開発断念は止むをえないと考えます。ただし将来、他の企業や医師による開発の可能性を皆無にしないよう、御配慮いただければ幸いに存じます」とのことでした。これについては、先ほども少し触れましたけれども、本検討会議はあくまで海外で広く使用されていて必要性が高いものを企業にやっていただくという仕組みになりますので、自主的な取組みなどがなされることを否定するものではないということを申し添えさせていただきます。
 最後「4.対応(案)について」でございますが、新たにアザシチジンが承認された状況などを踏まえて、あくまで現時点ではということになると思いますけれども、本要望については医療上の必要性が高いとは言えないと判断してはどうかということでまとめさせていただいております。
 以上でございます。

○堀田座長
 ただいま幾つかの検討状況、企業への開発の意見とそれに対するワーキンググループの考え方、また、デシタビンの開発についての話がありましたけれども、何か御意見ございますか。
 デシタビンにつきましては、平成18年に1回検討会議で俎上にのせて、早期の開発が望まれるということでしたが、このとき同時にアザシチジンは既に海外では古くから承認されているので、新たに俎上にのせる対象ではなかったのですが、類薬ということでこれも検討対象になりました。そのときの議論としては、どちらかは医療現場に必要だという意見だったと思います。要するに、脱メチル化剤というのが薬としてない状況では、アザシチジンも未承認なので同列という意見だったのですが、結果としてアザシチジンの方が先に開発が進んだという状況です。よろしいでしょうか。デシタビンは当時は当然、開発が望まれたのですけれども、今とはなっては必要性が高いとまでは言えないという整理にしたいと思いますが、よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)

○堀田座長
 ありがとうございます。
 続きまして、議題3になりますが、企業から提出された開発工程表について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発振興課治験推進室長
 医政局の研究開発振興課でございます。企業から提出された開発工程表等につきまして御説明させていただきます。
 まず、資料6-1をごらんください。今回、開発工程表が提出されましたのは、第I回の要望に係る187件及び第II回の要望に係る74件でございます。未提出の企業はございません。これらの工程表につきましては、本年7月5日現在の状況を踏まえたものでございます。
 評価基準につきましては2ページに記載がございます。当初お配りした資料は2ページ目が印刷されていないものでして、大変失礼いたしました。
 開発工程表の評価基準につきましては、以前の当評価会議におきまして了承されたものでございますけれども、第I回要望分に対します3回の開発要請を1つにまとめておりまして、今回から第II回要望分の開発要請品目について、これは期限を明記した形で記載させていただいております。
 具体的な評価は資料6-2をごらんください。第I回の要望募集に係るものでございます。1ページ目に全体の数字がございますが、2ページ目からの区分に従ってご説明いたします。まずaとして承認済みのもの、承認申請済みのもの、治験計画届提出済みのものとなっております。承認済みが88件、申請済みが27件、治験届提出済みが54件ございまして、これらにつきましては適切に開発が行われているものと評価しております。
 詳しい内容につきましては5ページ以降に記載しておりますが、内容については省略させていただきます。
 続いて、bの半年以内に公知申請を予定しており公知申請が可能とされたもの、cの公知申請を計画していたが臨床試験の実施等が必要とされたもの、dの半年以内に公知申請を予定しているがワーキンググループが検討中のものは、いずれも今回はゼロでございます。
 eの開発要請後半年以降に公知申請を予定するものということで6件ございますが、個別品目ごとに評価することになっております。34ページをごらんください。ここで記載されておりますものにつきまして、先ほど公知申請に該当するということで報告があり、この会議で御了承いただいたものが273番、それから、305番、362番でございます。これらにつきましては、今後、公知申請がなされるものと思いますし、これまでの経過で特に遅れが生じているということではございませんので、適切に開発が行われているものと評価したいと思います。
 それから、残りの239番、114番につきましては、まだ検討中あるいは使用実態調査実施中ということですので、評価を保留させていただきます。
 次に、fの1年以内に治験計画届を提出するものはございません。
 gのその他は12件ありますけれども、これらは個別品目ごとに評価することになっております。
 前回から変わったところだけ御説明させていただきますが、38ページをごらんください。353番のレボフロキサシン、多剤耐性結核に対するものでございますが、前回は5月に申請予定ということでございましたけれども、その後、現在実施中の臨床研究の実施期間が1年間延長されました関係で、申請予定が削除されております。まだ予定が立たないということでございます。
 243番、ビガバトリンでございますが、前回は治験計画届の提出予定が今年4月となっておりましたけれども、PMDAとの協議が長引いてしまったということで、7月に遅れております。ただ、この資料につきましては7月5日現在の資料になりますけれども、7月27日付で治験計画届が提出されたと聞いております。
 268番は2社書いておりますが、これについて治験計画届の提出予定が2013年2月ということで新たに予定が記載されております。
 以上の個別評価、その他の案件につきましては、すべて評価保留とさせていただきたいと思います。
 第I回の要望募集に関するものは以上でございます。
 続いて、第II回の要望募集に係る工程表につきまして、資料6-3にまとめてございます。
 2ページ目、aの承認済みはまだございません。承認申請済みが4件、治験計画届提出済みが16件ございます。これらにつきましては、いずれも適切に開発を行っているものと評価したいと思います。
 bが開発要請後半年以内に公知申請を予定しておりワーキンググループより公知申請が可能とされたものが3件ございます。これは先ほど御了承いただいた、がんの品目の3件でございますが、これにつきましても近々公知申請がなされるということでございますので、適切に開発が行われているものと評価したいと思います。
 c、公知申請を計画していたがワーキンググループの結論により臨床試験の実施等が必要とされたものが1件。
 d、開発要請後半年以内に公知申請を予定しているがワーキンググループが検討中のもの、これらにつきましては評価保留とさせていただきたいと思います。
 e、開発要請後半年以降に公知申請を予定するものということで、これは個別評価になりますので14ページをごらんいただきたいと思います。II-253、ゲルベ・ジャパンのリピオドールについてですが、これは組み合わせて用いますシアノアクリレート系の医療用接着剤とセットの薬剤ですので、これは医療機器に当たりますけれども、こちらの開発状況を踏まえて公知申請の時期を検討ということで、現時点で予定が立たないということから評価を保留させていただきたいと思います。
 次に、fが開発要請後1年以内に治験計画届を提出するとしているものでございまして、現時点の予定でございますけれども、これは適切に開発を行っているものと評価したいと思います。
 g、その他でございますが、これは今のところ17件ございます。個別の事情につきましては記載のとおりでございまして、一部につきましては先ほど審査管理課から御報告させいただいておりますけれども、それぞれの事情がございまして見通しが立たないということでございますので、現時点では評価保留とさせていただきたいと思います。
 以上、評価を行ったものに関しましては、開発要請に対して適切に対応しているものと評価し、評価保留に関しましては、引き続き状況を見守るものといたしたいと思います。
 続きまして、資料7をごらんください。開発企業の募集を行った医薬品のリストでございます。表側が第I回の要望募集に係るものでございまして、前回から12番のハイドロモルフォンが麻薬の開発の事情で、開発企業を公募した品目として扱うことにされておりますので、前回から1品目増えて20件となっております。
 20件すべてについて開発の意思の申し出のあった企業がありますけれども、前回から変わったところにつきましては、まず2番のニチシノンでございます。これは企業名が未公表であったのが、今回アステラス製薬株式会社ということで公表されております。現在、承認申請準備中でございます。
 あと、開発状況が若干変わりましたのが、3番のコリスチタンメタンスルホン酸ナトリウム塩ということで、治験終了後、製造品目の関係で滞っておったのですけれども、今回は承認申請準備中となっております。
 それから、6番のベタインについては前回、治験準備中であったものが治験実施中となっております。
 裏をめくっていただきまして、今回から記載しております第II回の要望募集に係るものでございます。企業の公募を行ったものが13件ございまして、開発の意思の申し出があった企業が名乗り出たものが上から5つでございます。現段階では、まだいずれも企業名は未公表ということでございます。
 企業なしのものについては引き続き募集している状況でございます。
 以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、企業から提出された開発工程表に対する評価ですけれども、今の事務局の説明で何か質問や御意見はございますか。
 特に問題があるということは基本的にはないという状況ですか、個別の評価についても。

○医政局研究開発振興課治験推進室長
 個別の事情があって若干遅れているものはございますけれども、全般的には特に問題のあるものはないと判断しております。

○堀田座長
 そのような評価でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○堀田座長
 ありがとうございました。
 開発企業の募集を行っている医薬品が第I回要望が20件、それから、第II回要望が13件という状況ですけれども、これについてはいかがでしょうか。第I回要望については,すべての品目について開発の意思がある企業が出そろったという状況でよろしいですね。
 それでは、全般に今日のディスカッションを踏まえまして、進め方等で何か御意見がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。新しい先生は何となく目まいがするような、たくさんの書類がございますけれども、順次また御発言いただければと思います。
 葉梨先生、何か一言、印象でもいいですから、最後にいただけますか。

○葉梨構成員
 専門的に検討しておられる様子がよくわかりますので、特に今日は申し上げることはありません。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 それでは、大体予定したものはここまでかと思いますけれども、事務局からその他の事項につきましてお知らせがあれば、よろしくお願いします。

○医薬食品局審査管理課
 次回の検討会議でございますけれども、9~10月ごろの開催をめどに別途、日程調整をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○堀田座長
 よろしいでしょうか。今日は大分スピードアップしてやっていただいて時間内に終わることができそうです。
 それでは、これで第12回の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を終了いたします。御協力ありがとうございました。


<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬食品局審査管理課

03-5253-1111(内線 4163、4221)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議> 第12回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議速記録

ページの先頭へ戻る