ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)> 平成24年度第1回血液事業部会運営委員会




2012年5月28日 平成24年度第1回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成24年5月28日 10:00~12:00


○場所

弘済会館 4階 菊の間
(住所:東京都千代田区麹町5-1)


○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長、○委員長代理

○大平 勝美、岡田 義昭、花井 十伍、◎半田 誠、牧野 茂義、山口 照英

欠席委員:なし


参考人:

日本赤十字社、田辺三菱製薬株式会社、株式会社ベネシス

○議題

1.議事要旨の確認
2.感染症定期報告について
3.血液製剤に関する報告事項について
4.日本赤十字社からの報告事項について
5.日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画事業の統合について(非公開)
6.その他

○議事

○血液対策課課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「平成24年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会運営委員会」を開催いたします。なお、本日は議題5を除き公開で行うこととなっていますので、よろしくお願いします。
 まず初めに、本日の委員の出欠状況です。花井委員から、少し遅れるとの御連絡をいただいています。5人の委員の御出席をいただいています。また、本日は日本赤十字社血液事業本部より、経営会議委員田所参考人、副本部長の日野参考人、血漿分画事業統合推進室主幹の石井参考人にお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、本日の運営委員会においては、日本赤十字社と田辺三菱製剤株式会社の血漿分画の統合に関する議題があることから、「平成20年3月24日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会申し合わせ、審議参加に関する遵守事項」に基づいて、関連企業との利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決への参加については、退室委員及び議決に参加しない委員は、ともになしとなっています。カメラの頭撮りは、ここまででお願いします。それでは、以後の進行は半田委員長よりお願いします。
○半田委員長 皆様、おはようございます。それでは、早速事務局より資料の確認をお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料ですが、いちばん上に次第があります。ホチキス留めで座席表と名簿、委員会の規程があります。資料1は議事要旨。資料2は感染症の定期報告。資料3-1は供血者からの遡求調査の進捗状況について、資料3-2は医療機関からの感染症報告事例等について、資料3-3はHIVの陽性件数。資料4は日赤からの提出資料ですが、HBV感染の既往がある方への対応スケジュール予定。資料5は、岡田委員からの資料ですが、欧州での調査報告。資料6は、研究班からの報告ですが、HBIGのガイドライン。資料7は基本的な方針の改訂スケジュール(案)。資料8は血漿分画事業にかかる統合、新法人の設立について。資料9は定例のフィブリノゲン製剤の納入先医療機関の追加調査についてです。資料は以上ですが、不足等ございませんでしょうか。
○半田委員長 本日は、御覧のように非常に議題が多いので、皆様方御協力をよろしくお願いします。最初に議題1「議事要旨の確認」です。これに関しては、できましたら会議が終わるまでに何か御指摘があれば、事務局まで御連絡をいただきたいと思います。次に議題2「感染症定期報告について」、事務局から資料の説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 お手元の資料2の5ページ以降が、本年の2月1日から3月31日までの文献ですが、今回、20報ございます。
 一つ目は、米国におけるHCVスクリーニングの費用対効果に関する報告です。米国では、人口の約1.5%がHCVに感染しています。感染者が最も多いのは、1945年から65年生まれの方で、感染者の50~75%の方は感染に気付いていない潜在的な感染者とされていますが、HCVスクリーニング検査を実施する場合の費用対効果について検討しています。具体的には、スクリーニングも治療も行わない場合と、現在行われているリスクに基づくスクリーニングと標準治療を行う場合と、1945年から65年生まれの人を対象としたスクリーニングと標準治療を行う場合と、1945年から65年生まれの人を対象としたスクリーニングを行って、HCV、ジェノタイプの2と3の患者には標準治療を行って、1の患者には標準治療に加えて、DAA(直接作用型抗ウイルス薬)を併用する場合の四つのシナリオを設定して解析した結果、1945年から65年生まれの人を対象としたスクリーニングを実施すれば、HCV持続感染者は新たに約80万人検出できて、さらに標準治療を行う場合にはQALY1年当たりの費用1万5,700ドルで死亡を約8万人減らせて、遺伝子型によって治療法を変えるやり方では、QALY1年当たりの費用3万5,000ドルで約12万人の死亡を減らせると推計されたという研究です。
 二つ目は、日本の献血者におけるHIVの検査状況や安全対策についての概況です。献血血液のHIV抗体検査は、1986年から開始され、2004年より20プールになって行っていますが、ウィンドウ期の献血を防止するために、問診票での質問を設けています。また、国内のHIV陽性献血者数は、2007年に100件を超えて、2008年に107件と増加し、2009年102件、2010年86件と減少傾向を認めています。男女別では、この5年間で男性が96%を占めています。都道府県別では、東京、大阪が他と比べて高い状況です。年齢別では、10代から30代の若い世代が80%を占めています。2010年のHIV陽性血液は、すべてHIV-1で、サブタイプ別の内訳ですが、Bが77件で90%です。その他、組換え流行株がそれぞれこのような形で検出されています。また、NAT陰性事例が1件あったという報告です。輸血によるHIVが確認されているのは、1997年から2003年の合計4件で、2004年の20プールNAT実施以降は、こういう事例は起きていないという報告です。
 三つ目は、CEマーク取得済みのHIV NATスクリーニングアッセイで、HIV-1陽性供血血液が検出できなかった件について調査を実施したところ、デュアルターゲットNATの必要性が示唆されたという報告があります。異なる設計のHIV-1 NATシステム12種類を用いて比較調査したところ、偽陰性結果のモノターゲットNATと同様の方法で設計された他のNATアッセイにも、ウイルス変異の検出において欠陥が見られる一方で、デュアルターゲットアッセイでは増幅効果が減少したものがあったが、偽陰性結果は示さなかったという結果でした。このため、モノターゲット領域のNATスクリーニングアッセイは、デュアルターゲットアッセイよりも配列の変異に対してより脆弱であることが示唆されたという報告です。
 四つ目は、A型肝炎ウイルスの不活化に対する変異株の影響に関する報告です。米国におけるヒト血清アルブミンの低温殺菌について、各製造販売業者でHAVの不活化能力に最大3.9Logの相違があることが報告されていることを受けまして、HAV変異株の低温殺菌への感受性に関して実験的に評価した結果、四つの変異株はウイルス減少率に有意な差がある二つのグループに分けられていました。そして、5%のアルブミンよりも25%のアルブミンにおいてウイルスのリダクションレートが高かったという結果です。この結果から、HAVの変異型とアルブミンのタンパク濃度が低温殺菌によるHAV不活化に影響を及ぼすことが示唆されたという報告です。
 五つ目は、スウェーデン、ドイツ、米国における献血のHEV RNAに関する調査についてです。スウェーデンにおいては、9万5,835例中12例、ドイツにおいては1万8,100例中4例が陽性でしたが、米国では陽性例が確認されませんでした。また、すべての症例がジェノタイプ3で、多くはウィンドウ期の血液だったという報告です。
 六つ目は、中国のブタとヒトにおけるHEVの陽性率に関する報告です。中国雲南省の養豚場等から収集されたブタの血清、肝臓、糞便検体について、血清学的検査とRT-PCRによりHAV、HEVの陽性率が調査されています。また加えて、173例のヒト血清についても調査されています。その結果、ブタ血清では78.9%が抗HEV抗体陽性で、ヒト血清においては39.9%が陽性であったというものです。HEV RNAは、肝臓95例中6例、糞便60例中5例によって検出されました。ヒト血清においては1例において検出されています。検出された12例のHEV株の配列を分析したところ、九つの異なる塩基配列が確認されまして、すべてジェノタイプ4に分類されていました。このことから、雲南省のブタとヒトにおいて、ジェノタイプ4が広まっていることが示唆されたという報告です。
 七つ目は、ウエストナイルウイルス感染患者における血漿及び全血中のウイルス濃度に関する報告です。米国において、ウエストナイルウイルスの個別NATを実施したにも関わらず、輸血感染事例が報告されたことを受けて、血漿及び全血検体に対するNAT検査の有用性を確認するため、ウエストナイルウイルス感染患者における血漿及び全血中のRNAをリアルタイムPCR法を用いまして調査した結果、血清中抗ウエストナイルウイルス抗体陰性の患者29例においては、全血中よりも血漿中でRNAの濃度が4倍以上高かったという結果になりました。一方で、抗体陽性の13例については、血漿中より全血中において10倍以上高かったという結果が出ました。また、10例の抗体陽性の患者について、200日間の追跡調査を行ったところ、全血中のウイルス量が血漿中より常に高かったという結果でした。これらの結果から、血漿の代わりに全血を用いて行うNATの感度向上は、抗体陽性段階に限定されることが示唆されたというものです。
 八つ目は、日本のHTLV-1感染率に関する報告です。2006年から2007年に、国内の初回献血者におけるHTLV-1感染率の調査がされまして、献血者以外の年齢層に適合曲線を適用したところ、国内の0~99歳における現在のHTLV-1のキャリア数は108万人と推計されています。これは、1988年に報告された値よりも、約10%少なかったという結果でした。全体的な感染率は、男性、女性それぞれ0.66%、1.02%と推計されています。キャリア数のピークは、70歳代で見られまして、これは1988年のデータベースの段階で50歳代に観察されたピークがシフトしたものであると推定しています。もともとキャリアが多いといわれている九州だけではなく、日本全土、特に首都圏で増加していました。また、人口予測により、今後のキャリア数は20年間で半分に減少すると推計しています。
 九つ目は、供血におけるXMRVの影響に関する評価の報告です。欧州委員会からの要請を受けて、2011年の7月に欧州CDCは、供血におけるXMRVの影響について、リスクアセスメントを発表しています。現在得られている証拠の大半は、XMRVと慢性疲労症候群との間には因果関係がないという結論を支持しているが、現在、ヒトにおけるウイルスの潜在的な役割を示す十分な証拠は得られていないものの、輸血の安全性に影響を及ぼす別の新興感染因子である可能性があるので、ほかの因子と同様に最善の科学に基づいた迅速かつ効果的な行動が必要であるという報告です。
 10件目は、新規ブタインフルエンザの発生報告です。2011年7月以降、10例の米国人が、このS-OtrH3N2ウイルスに感染しております。このウイルスは、もともと北米で循環しているブタのインフルエンザH3N2ウイルスと、2009年に流行しましたH1N1ウイルスが結合した新しいウイルスです。最初の7症例は、患者か身近な人がブタに接触歴があったというものでしたが、最新の3症例はブタに接触した方はいらっしゃらず、また3人の子どもが同じ保育園の集会に参加していたことから、ヒトヒト感染が示唆されたという報告です。ここまでで、御審議をお願いします。
○半田委員長 それでは、早速、質疑応答にいきたいと思います。委員の方々、いかがでしょうか。
○花井委員 6ページの7番目なのですが、ここに書いてあるとおりなのですが、素人的にはなぜかなと。抗体陽性も全血に多くなるというのが、すんなり理解ができないので、理由が分かっているのであれば教えていただきたいと思います。
○半田委員長 岡田委員、あるいは山口委員、いかがでしょうか。日本赤十字社の参考人の方でも構いませんが。
○田所参考人 おそらく、抗体が陽性のときに全血の方が多くなるというのは、血球と抗体、抗原、複合物が結合するのではないかと。血小板なりほかの血球で、抗体と抗原が結合した免疫複合物が結合して存在しているのではないかということだと思います。
○岡田委員 文献3において、HIVで偽陰性が出たと。プライマーとプローブの不一致があると、一組のセットでは偽陰性が出てしまう危険性があって、それをデュアルターゲットにすると、感度は落ちるもののある程度は検出できるということで、HIVのように変異しやすいウイルスとしてはこういうこともあるということで、これは検査をするうえでは非常に重要な知見の報告だと思います。では、それを防ぐにはどうするかというのは非常に難しいのですが、一つは2番に報告しているように、やはり抗体で見つかった症例がNATでも検出できることを絶えず検討するなり、シークエンスを解析して現行のNATシステムでそれらの検体が検出できることを確認することを続けることが必要かなと思っています。
 というのは、NATで陰性ですと、結局NATで見つかったものはNATで検出できるのですね。ところが、検出できないものはいつまで経っても検出できませんので、そういう意味ではセロコンバージョンを起こしたものに関しては、NATで本当に検出できるかどうかを確認した方がいいと思います。その点2番で、日赤の方は実際やっているということで、これは非常に評価できると思います。ついでに言えば、HCVやHBVの数は非常に多いのですが、これでも例えば1年間に陽転した例などもシークエンスで現行のNATシステムで検出できるかどうかを検討されると、さらに制度管理のうえで有益な情報が得られると思います。
○半田委員長 非常に重要なポイントで、現在のNATシステムが脆弱したということで、抗体陽性でもNAT陰性の場合があると。それは、日本赤十字社も文献2で報告されると。これに関しては、何か日赤の方からコメント等ありますか。
○日野参考人 日赤の方では、抗体スクリーニングで陽性のものについては、2種類の核酸増幅検査を用いて確認しているところです。一つは、PCRで、もう一つはTMA法でやっている状況です。その中で、過去にスクリーニング陽性のものは1,500件を超えているところなのですが、それについては今のところ差がみられたものは今のところ見られていない状況です。
○大平委員 3番のモノターゲットとデュアルターゲットで、現在日赤の方ではNATもいろいろ個別NATで制度という形で確保されているわけですが、現在のアッセイのシステムとしては、モノターゲットになるわけですか。
○日野参考人 はい、そうです。
○大平委員 それは、今後デュアルターゲットにしていくことと、モノのままでやっていくものと、どちらが効率的なのか教えていただきたいと思います。
○日野参考人 効率的ということよりも、今回の報告がされたこともありますが、今私どもが扱っているものはモノなのですね。それで引っ掛からないものは出てくるかもしれませんが、一つはセロロジカルも同時にスクリーニングしていますし、今後NATについても、こういった報告もありますから、メーカーの方もデュアルの開発をしているという情報が得られています。ただ、そのことについては、内容的にはあまりこの場では言えないところもあるかなと思います。
○田所参考人 HIV-1について、今デュアルかモノかという議論もあるわけですが、HIVには1、2というのもあり、1の中にもMとOがあり、その中で全体像でどうするかという判断があります。現在の試薬は、1と2を検出できる試薬です。今デュアルターゲットにして、世界的にも用いられている試薬の方が、2は入っていない試薬という状況です。もう一つ言うと、それぞれ今の試薬は我々が作っているのではなく、一つのセットとして作られています。新しい試薬をその中に加えて、すぐ改善できる状況にはありません。トータルとして、トータルの機能が保持できることを確認されて出てきている状況がありますので、なかなか即時性という意味では新しいものが出来たからすぐにそれに替えようというのは、なかなか難しい状況にはあるということです。
○半田委員長 まだ議論があるかと思いますが、できましたらこれは一度安全技術調査会の方で何か議題としてというか、そういうものができればいいかなと思います。
○血液対策課課長補佐 こういう論文が出ているということで、安全技術調査会の議題に出させていただきます。
○半田委員長 よろしいですか。では、後半の文献についてよろしくお願いします。
○血液対策課課長補佐 11番は、世界におけるデングウイルス感染状況の報告です。パキスタンでは、パンジャーブ州のデング熱の患者は、合計3,678例に上っています。インドでは、デリーにおけるデング熱患者数は945例に達しますが、症例数は徐々に減少しています。台湾では、2011年6月以降、高雄市において10例のデング熱症例が報告されています。韓国では、CDCの発表によりますと、2011年7月に国内で32歳の女性がデングウイルスに感染した可能性があります。またブラジルでは、2011年の9カ月間で70万症例以上のデング熱症例が報告されていますが、1~2月の報告数は2010年に比べて24%減少しました。
 12番は、血小板減少を伴う発熱疾患の原因となる、新規ブニアウイルスのヒトヒト感染に関する報告です。中国において、2006年に未知の感染症に罹患した二つのクラスターの患者13例の血清を用いまして、RT-PCR法によってSFTSV-RNA、これは新規ブニアウイルスのRNAと抗体検査を実施しています。その結果、1例はサンプル不足のため分析できませんでしたが、13例中12例において新規ブニアウイルスのRNAの検出、または抗体力価の増加、セロコンバージョンのいずれかが認められたものです。また、対象患者全員に典型的な臨床症状、発熱、血小板減少、白血球減少があり、両クラスターの二次感染者全員が一次感染者、初発患者の血液に接触後、6~13日で発病しておりました。それぞれの初発患者と接触したが、血液への曝露がなかった人においては、発病したものはいなかったと。このことから、新規ブニアウイルスは血液との接触を通じてヒトからヒトへ感染することが示唆されたという報告です。
 13番は、似た症例です。新規ブニアウイルスのヒトヒト感染に関する報告です。中国東部において、2007年に血小板減少を伴う発熱疾患を発症した1家族の7例に対して疫学的調査を行い、そのうち二次患者6例において調査を行っています。その結果、初発患者が発病した6~9日後に、家族であった6例が類似症状により入院しており、二次感染者はいずれも初発患者と個人的に接触しております。また、6例ともにRT-PCR法により新規ブニアウイルスのRNAが陽性となっており、抗体も陽性となっていました。また、1例の検体よりウイルスが直接分離されております。これらの結果から、家族内で生じた疾患が新規ブニアウイルスにより引き起こされたこと、また接触によって他者へ感染が広がったことが示唆されたものです。
 14番は、NATに関する国際調査の報告です。国際輸血学会により、eメールのアンケート調査を全血とアフェレーシス供血におけるNATに関して、調査が行われています。2009年8月に、59カ国77人の専門家に送付されまして、37カ国50人が回答しております。網羅される人口は、12億人です。2008年にNATを実行したと報告した国の人口は、合計11億6,000万人でした。2008年のNAT検査状況については、HIV-1は3,350万人中実施しておりまして、そのうち2,189がNAT陽性、100万の人単位ですと65.9人です。陽性結果の3分の2は、南アフリカからです。HCVについては、2,660万人に実施していまして、そのうち4,586がNAT陽性であったと。初回献血者陽性率が最も高い国は、エストニアです。HBVについては、902万人実施していまして、そのうち3,081がNAT陽性です。ギリシャ及びマレーシアの陽性供血数は、合計1,517件あり、高かったという報告です。
 15番は、白除製剤によるCMV感染に関する報告です。1999年から2009年に、抗CMV抗体検査未実施の白血球除去血液製剤を使用した造血幹細胞移植患者を対象に、輸血関連CMV感染の有無について、プロスペクティブに調査をしています。その結果、CMV抗体陰性の患者で、造血幹細胞移植を受けた23患者に対して、3,180の供血者由来の1,847の血液製剤が輸血されたことが確認されまして、すべての患者はCMVDNAが陰性でした。17人の患者に、抗CMVIgG抗体の陽転化が起こっていまして、陽転群は非陽転群に比べて1週間当たりの輸血量が顕著に高かったと。このことから、造血幹細胞移植患者における抗CMV抗体検査未実施の白血球除去血液製剤によるCMVのリスクは低く、輸血によるCMV感染リスクは低く、IgG抗体陽転化の原因は、血液製剤中の移行抗体である可能性が最も高いことが示唆されたものです。
 16番は、ウシ肝臓におけるO-157に関する報告です。厚生労働省による全国16自治体の食肉衛生検査所の調査により、ウシの肝臓内部からO-157が確認されています。約150頭のウシのうち、2頭の肝臓内部からO-157が検出されています。厚労省は、生レバーの提供を禁止するかどうかを検討しているということですが、現時点では生食用の牛肉レバーの販売を禁止する方向で手続を進めているということです。
 17番は、こちらも同じ報告です。国の審議会で提出された資料です。内容としては、全く同じです。
 18番は、米国における梅毒等の発生状況の報告です。CDCの報告によりますと、2006年から2010年まで米国における梅毒の症例数は、36%増加しています。特に、若いアフリカ系男性においては、約35%増加していまして、CDCは同性間性交渉のある男性は、3カ月に一度STDのためのスクリーニング検査を受けるべきと勧告しているという報告です。
 19番は、各国における2012年1月時点でのプリオン疾患発生状況の報告です。英国では、vCJD確定または疑い症例の合計は、176例です。すべてのCJDについては、2011年の1年間で148例が報告されていまして、死亡者数は孤発性で74例、GSSで2例、家族性CJDで9例、vCJDが5例、医原性CJDで3例でした。韓国では、2011年11月から12月に、今回第1例目と2例目になる医原性のCJDが報告されました。CDCによりますと、これらの患者はそれぞれ1987年と88年に脳外科手術を受けていまして、人工硬膜が使用されている報告です。
 20番は、アルツハイマー病のプリオン様伝播に関する報告です。アミロイドベータの蓄積が、プリオン様に伝播するか否かを検討するために、マウスを用いてアルツハイマー患者または若年者由来の脳抽出物を脳内に接種して調査を行っています。接種後、脳内を観察したところ、アルツハイマー患者の脳抽出液を接種したマウスでは、脳内にアミロイドベータ凝集体が見られて、接種後も時間が経過するとともに増加していました。また、接種部位から離れた領域での病変も認められていますが、対象コントロールのマウスではアミロイドベータ沈着は見られなかったものです。この結果から、アルツハイマー病に関連する脳異常の一部は、プリオン用の疾病伝播メカニズムによって引き起こされる可能性が示唆されたという報告です。以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○半田委員長 ありがとうございました。後半の10個の文献について、委員の方から御質問、御意見はいかがでしょうか。
○花井委員 12と13なのですが、共通してSFTSVというのでしょうか。この情報だけであれば、ウイルス血症になることが分かって、比較的発症が早いのではないかということが分かっています。発症率がどれほどかは分からないというような情報かなとは思うのですが、これですと一般的な渡航後の献血制限と問診で、疫学的な情報の広がりということもあるかと思いますが、現状ではそれで十分対応できる理解をしていていいかどうかを確認しておきたいと思います。
○半田委員長 今の御質問に関して、委員の方どなたかお願いします。あるいは、日赤の参考人の方、事務局でも構いません。
○血液対策課課長補佐 無症候は除いてかと思うのですが、症状が出る方については、潜伏期間は確か4週間は超えていなかった報告だと思いますので、症状が出る方については今の4週間の渡航歴で対処することは可能だと思います。それとは別に症状が出ないで無症候性のバイレミアを起こす人がどれぐらいいるのかは、今の段階では分からないということかと思います。
○半田委員長 よろしいでしょうか。
○花井委員 引き続き、動向を注視するということでいいのかなとは思います。
○半田委員長 ほかにはいかがでしょうか。一つ私の方からよろしいでしょうか。CMVの特に造血幹細胞移植に対するCMV陰性血の供給は、我が国でも今行われているわけですが、世界的に見ると白血球除去が有効であると。ただし、それがなかなか完全には浸透していなく、まだ標準的にはCMV陰性血の供給が多いということなのです。これに関して、この文献は最終的にはCMV抗体のテストはあまり有効ではないので意味がないのではないかというようなことを言っています。これは、確かドイツからの報告だと思います。これに対して、日本赤十字社の参考人の方、何かコメントはありますか。例えば、日本人はCMVの陰性はすごく少ないわけで、したがって供給量もそんなに多くはないと思いますが、テスト自体も結構あると思いますので、その辺りのことはいかがでしょうか。
○田所参考人 供給量そのものは、そんなに変わっていないだろうと思います。白血球除去が行われているわけで、日本の場合は血漿も含めてすべてやっているという、世界でも希な国なのです。すべての製剤について。それでも、抗体陰性血の供給量は昔に比べるとやや低下ぎみかもしれませんが、まだ続いてはいます。一度、抗体陰性血が必要なのかどうかについては、全般的な調査活動を学会等と一緒にやってみた方がいいかもしれません。
○半田委員長 牧野委員は血液内科ですが、何かコメントはありますか。
○牧野委員 造血幹細胞移植を受ける患者の中で、サイトメガロウイルスの抗体陰性はかなり少なく、例えば当院では移植までの期間中に既に輸血を受けてきている人が多いものですから、対象になる患者が少ないということで、オーダーとしてはあまり増えているイメージはありません。実際、血液内科の先生方にお聞きしますと、やはりLR製剤になっていることもありまして、なかなか確保が難しいサイトメガロウイルス(-)の血液の供給をオーダーされる先生は、あまり増えていません。
○半田委員長 それは日常診療で非常に重要なポイントであるということで、私の方から指摘させていただきました。たぶん、何らかの調査を行って、本当に有効かどうかを我が国でもある程度。そのままダラダラきていますので。その辺りは必要かなと。これは、血液事業上も非常に重要なポイントだと思いますので、ここではそのような指摘をさせていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
○岡田委員 文献11番のデング熱ですが、デング熱は台湾で毎年夏になると発生しています。この文献ですと、台湾では3例死亡例があるということで、どうも10例中8例が55歳以上ということで、どうも年齢が高い人がデング熱を発症しやすいのではないかと思います。日本と台湾は、人の行き来も頻繁ですし、地理的にも近いので、今後も注意して動向を見る必要があるのではないかと思います。
○山口委員 文献の14ですが、世界のNATの状況を調べているということで、日本では生物由来原料基準から血液製剤については、HCVとHIVとHBVをすべてNATにより検査をすることになっています。アメリカなどは、まだ案ですが、HBVについては2008年からようやく実施するようになったと。ただ、FDAのガイドラインを見ると、2005年時点ではまだHBVのNATが十分な感度をもっていなかったのだという判断がありました。その後、この文献の紹介にもありますように、自動化やできるだけ小さなミニプールサイズにするということで感度が上がってきたので、有用になってきたと述べられています。やはり、技術的革新がこのようなNATのウイルスの適用を広げていくような要因になっているのではないかと思いました。
 それから20番です。すごく気になるような論文なのですが、これが本当に輸血で感染するという話をしている論文ではないと思います。アルツハイマーも病因としてアミロイド凝集体病というような形で分類されていまして、そういうものであれば凝集体を介した発症の原因にはなっているかもしれませんが、伝播という話を結論にするには早いのではないかと思います。
○半田委員長 ありがとうございます。それでは時間ですので、ただいまの御意見等を参考にしていただいて、引き続き情報収集をよろしくお願いします。それでは、次に議題3「血液製剤に関する報告事項について」をお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料3-1は、供血者、献血者からの遡及調査の進捗状況です。4ページが最新の状況で、この表の向かって右側が平成23年4月1日から平成24年2月29日までの報告となっております。調査の対象とした献血件数が2,378件。製剤の本数としては2,626本。それを遡って個別NATを見てみますと、陽性となったのが108件あったというもので、すべてHBVです。これらについて医療機関での使用状況、また受血者への感染状況等を確認したところ、陽転事例が6件。前回も6件でしたので、この期間は増えておりません。なお、*が付いていますが、この陽転事例6件中2件はHBs抗体のみの陽転事例ということです。資料3-1は以上です。
○半田委員長 いかがでしょうか。今の御報告について、何か御意見等々はありますか。特によろしいですか。資料3-2をよろしくお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料3-2は、医療機関からの報告です。今回個票となる事例が1例ありましたので、まず2ページを御覧いただければと思います。輸血用血液製剤でHCVの感染疑い事例ですが、2の事例を御覧いただきまして、患者は70歳代の女性で原疾患は膀胱癌、糖尿病、閉塞性動脈硬化症の方です。昨年の10月28日に膀胱全摘術を受けまして、また子宮卵巣拡大切除術及び尿管皮膚瘻の造設術を行っております。この際に出血で輸血をしておりますが、赤血球濃厚液を14単位、FFPを6単位受けております。その約1週間後の11月4日にトランスアミナーゼが軽度上昇しまして、11月7日にはASTが103、ALTが139になっています。ただ、その後一旦改善しまして、また11月の下旬に入ってトランスアミナーゼが上昇してまいりまして、11月28日にはASTが245、ALTが156、その後も悪化しまして、12月20日にASTが515、ALTが337ということで、肝機能障害で転院してHCV抗体陽性というのがこの段階で判明しております。その後もかなり肝機能が悪化して、AST、ALTともに1,000を超える値に一旦なっております。1月に入ると、トランスアミナーゼの方はずっと下がってきております。ただし凝固系の動きを見ると、1月12日にPTが36%、INRで1.91という状態になっております。その後DICも併発しているようで、1月26日の血小板も2万以下になっていたようです。1月27日に消化管出血で亡くなっております。輸血前のHCVのこの患者の抗体検査は陰性でしたが、輸血後の抗体検査は陽性です。核酸増幅検査も陽性だったということです。
 3の状況です。(1)当該患者には、11人の供血者から採血された6本の赤血球製剤と3本のFFPが輸血されております。(2)の検体検査等の状況ですが、保管検体の個別NAT11本11人分やりまして、すべて陰性です。11人の供血者のうち、現時点で7人が事後検査あるいは再度献血にいらしていただいて、この7人については今のところすべて陰性という結果です。(3)担当医の見解ですが、こちらにお示しさせていただいているとおりで、「C型急性肝炎の程度は重篤であり、本剤との関連性は可能性が大きい」「輸血と死亡との関係性あり」とのコメントをいただいております。今後の対応ですが、再来していない供血者4人のフォローアップを引き続き行う予定です。以上です。
○半田委員長 HCV感染事例ということで、なかなか直接的な証拠がないことと、臨床的に言うと潜伏期間があまりにも短いかなと。ただし、輸血前検査では陰性だった。この3カ月ぐらいの短期間で陰性から陽性になったと非常に難しいですが、何かコメントはありますか。
○牧野委員 この経過から見てみまして、NATで陰性の血液が入って、術後7日目に肝障害が来て肝炎が起こるというのは、臨床的に早いような気がします。それから、死亡の原因として出血傾向が非常に強い、DIC合併というのがありますが、この患者の肝臓の状態が最初どうだったか。検査データ上そうなっても、実は慢性の肝障害とか凝固異常につながるものがあったのではないかとか、そういうところが不明だなと思います。輸血をして、それが原因で輸血後肝炎になったにしては、経過がunusualな感じを受けます。
○半田委員長 ほかにはありませんか。
○山口委員 確認だけで、原因を解明するのは難しいと思いますが、この個別NATというのは、先ほどおっしゃったHIVの話ではRNAウイルスですから、普通のPCRとRT-PCRと両方をやられている。こういうケースでも両方やられるのですか。それともRT-PCRだけですか。感度としては、TMAの方が感度が良いのではないかなという気がしますが、そうではないですか。
○日野参考人 若干TMAの方がいいかもしれませんが、そういう意味では今やっているものはそんなに劣るものではないと思っています。
○半田委員長 完全検体のウイルスの検査というものをもう少しきちんとやると、もしかしたらそういうものがあって、ただ単に前からの慢性の感染者で、今回何らかの形で増悪した可能性もあると思うので、これは引き続き結果を見てやっていくということでよろしいと思います。ほかにはよろしいですか。資料3-2の後ろの方をよろしくお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料3-2の3ページです。劇症化死亡事例で継続して調査している症例については、新たな報告はありませんでした。
 次に、全体をまとめた表が4ページにあります。平成23年12月から平成24年4月までの感染症報告(疑い治療も含むもの)は全体で20例ありまして、B型肝炎が9例、C型肝炎が9例、HIVが0、その他が2例です。B型肝炎は陽転事例が8例で、うち個別NAT陽性が1例ありました。劇症化死亡事例は0です。C型肝炎は、陽転化事例が8例で、個別NATは0、劇症化死亡は先ほど説明した1例です。HIVは0。その他は、B型、C型肝炎以外の肝障害、その他感染での無菌試験陽性事例、死亡事例はありませんでした。
 5ページ以降がラインリストになります。5ページのいちばん上が、HBVの陽転化事例の中で、保管検体の個別NATが陽性の事例です。
 6ページのいちばん下は受血者がHBV陽転化して、保管検体を調査したところ、すべて個別NATは陰性でしたが、事後検査依頼で供血者を調べたところ、1名がHBV-DNA陽性と判明しました。受血者と献血者とのウイルスの相当性については、献血者のウイルス量が少ないため検査できずというものです。
 8ページの下から2番目が、先ほど死亡事例として報告した事例です。
 12ページは、北海道管内で行われている試行的なHEV20のプールNATの実施状況ですが、今のところ8,341分の1程度の陽性があるというものです。
 また13ページですが、今回経年的な陽性者数の変化を日赤から出していただいています。
 14ページは昨年1年間のNATスクリーニングの結果ですが、35例が陽性で、陽性率は0.017%。男性の比率が高く、ジェノタイプは3が88%、4が12%でした。資料3-2については以上です。
○半田委員長 実際の報告例、HBVに関するものですが、何か御質問はありますか。
○岡田委員 日赤の番号で3-120011の症例は、献血者の個別NATは陽性ですが、いちばん右のコメントでシークエンスは2カ所異なっていて、患者と供血者のセロロジカルな食い違いがあります。これは最終的に、この個別NAT陽性の血液によって、この感染が成立したかどうかという判断はどうなったのですか。
○日野参考人 日赤の方の判断としては、相違がどのくらい見られるかによって若干違ってくるかなと思います。この場合はそこに書いてありますように、2カ所の塩基の相違という程度ですので、極めて輸血が原因であろうという判断はしております。
○花井委員 数字の問題なのかもしれませんが、HEV NATスクリーニングの男女比ですが、この比較だと陽性例の比率になっていて、そもそも献血者の男女比があると思うので、それぞれで何パーセントかという比較がないと、どちらの陽性者が高いかが分からないのではないかと思いますが、それはどうですか。
○日野参考人 次回から少し修正したいと思いますが、比率からいくと1万人当たり男性の方は1.4、女性の方は1という数字にはなっています。若干、男性の方が高い状況は見られるかなと思います。
○岡田委員 B型肝炎のところで、3-120002という7ページのいちばん下の症例は、輸血前のHBs抗原が陰性、輸血後のHBs抗原が陽性。病院の方では1回DNAも陽性になっていますが、日本赤十字社でやった成績ですと、HBs抗原は陽性です。これはDNAは確認されていないのですが、日赤でもDNAは確認されたのでしょうか。
○日野参考人 輸血後の患者の検体ということですね。
○岡田委員 はい。
○血液対策課課長補佐 先生、0005ではないですか。
○岡田委員 7ページのいちばん下、3-120002です。
○血液対策課課長補佐 失礼しました。
○岡田委員 あとでもいいですから確認をお願いします。
○日野参考人 検体の量にもよると思いますので、すべてが核酸増幅検査できる症例ではないと思います。
○岡田委員 それをセロロジカルの試験だけで一応やったということですか。
○日野参考人 この表を見る限りはそうだと思います。あとで、もう一度確認させてください。
○岡田委員 分かりました。それと、9ページのいちばん下の症例の3-120023と、10ページのいちばん上のHCVの抗体陽転の症例ですが、輸血前はHCV抗体が陰性で、輸血後で病院の方で検査して抗体陽性。ところが、RNAが陰性だった。それで、日本赤十字社の方で検体を調べても、輸血前はHCV抗体は陰性ですが、輸血後、HCV抗体が陽転している。けれども、HCV-RNAが陰性という症例が2例ありますが、この場合、HIVの文献の報告もあったりすると、これが非特異的な反応なのか、NATでは検出しにくいようなウイルスなのか。もちろん検体の量にもよりますが検討した方がいいのではないかと。というのは、おそらく病院の方でやったキットと日赤がやるキットは抗体が違っていたりとかしますから、そうなると両方陽性にもなっているし、非特異的と言ってしまうのはもう少し検討を加えて、違うキットを使うと確かに抗体は陰性だとか、そういうことが分かれば非特異であってもいいかなと思いますが、これは非特異的と判断するのは慎重を要するのではないかと思います。
○半田委員長 よろしいですか。一つ質問ですが、HCV抗体は中和抗体ということはないですか。
○岡田委員 一般的にはないというふうに。
○花井委員 また素人っぽく気になったところですが、先ほどのHIVでもそうですが、抗体は陽性だけれどもウイルスは陰性になる。HIVでは、定期的に治療している人はそうですよね。そうすると、治療を開始している患者が、一般的にはウイルスが消えているというふうに臨床で言われると、もうウイルスは消えているから献血できるのだと思われている方はそんなに多くはないとは思いますが、そういう可能性があって。HCVも抗ウイルスというのが治療としてできてきて、そうするとその抗体との関係というのは、治療開始の患者という可能性が実態としてあるかどうかということを調査できるかどうかは分かりませんが、そういった評価。逆に言えば、治療している患者の血漿の評価とか、そういったことをやっておく必要が出てくるというか。HCVも今後、抗ウイルス薬のいろいろなバリエーションが出てきて、わりと内服薬だけで治療する時代になってきたときに、患者からするとウイルスはもう消えているよとか言われるときに、もう治ったんだということと献血の関係というのは、必ずしも皆分かっていることではないと思いますし、まだこちら側としてもそういう場合に、どういう評価になるかというのはあまり確立していないと思うので、そこは研究ということで今後検討ではないかと思います。
○半田委員長 時間もだいぶ過ぎましたので、資料3-3をよろしくお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料3-3は平成24年第1四半期の献血者数におけるHIVの陽性件数ですが、いちばん下の部分にあります14件です。うち、女性が1件です。前年同期の陽性件数は29件ですので、前年比で大きく減少しています。また、10万件当たりの陽性率は1.056となっております。
 2ページは陽性者数を年齢別に示したものですが、この資料は昭和61年からの累計値になっております。20代から30代の日本人男性が男性の7割を占めております。今期の陽性者も10代、20代、30代の14件の報告のうち、10件が20代、30代の日本人男性となっております。
 3ページは、都道府県別の陽性者数です。平成24年の第1四半期は、九つの自治体から陽性者の報告がありました。前年度同期は13自治体ですので、大きく減少しております。また都道府県別に見てみますと、東京と大阪がもともと多いですが、東京が3件、前年同期は5件。大阪が2件、前年同期は7件と、いずれも前年比で減少しております。
 4ページ、陽性者数をブロック別に見ると、10万件当たりの陽性者数はほとんどのブロックで前年と比べ、減少しております。
 5ページは、平成19年から平成23年にかけての年齢別の陽性割合を示したものです。平成23年については16~19歳が2件、20代が41件、30代が31件、40代が8件、50代以上が6件という構成になっております。合計89件のうち、20代、30代が72件ということで、全体の約8割を占めております。
 6ページは、平成23年までの10万人当たりの男女別の陽性者数の年次推移です。今回の四半期は入っておりません。前年に比べ、今回は男性は減少、女性は増加しており、全体としても増加しております。資料3-3は以上です。
○半田委員長 資料3-3について、御質問、御意見をよろしくお願いします。いかがでしょうか。よろしいですか。これからも引き続き日本赤十字社事務局は、血液製剤の安全性について、ただ今の御意見等々を参考にしていただいて、よろしくお願いしたいと思います。
 次に資料4になります。議題4「日本赤十字社からの報告事項について」。HBV既往感染の血液に対する更なる安全対策の向上についてということで、日本赤十字社の日野さんからよろしくお願いします。
○日野参考人 資料4です。HBVの感染既往の血液について、日赤が現在やっております基準をさらに強化しようということで準備をしているところです。しかしながら、HBVの感染既往の献血者というのは50代、60代が非常に多い事実と、そういった献血者におかれましては複数回献血をやられている状況がありました。そこで、この当運営委員会でもより丁寧な対応をしていくべきではないかということで準備をしております。資料4のいちばん上の表絡みになりますが、いきなり判定基準を変えるということではなくて、そういった対象となる献血者について判定基準が変わることについて、事前に通知を差し上げて問合せ対応もしていくということで、今やっているところです。そういった内容については、次のページの「『お知らせとお願い』の連絡を受けた皆様へ」ということで、HBVの簡単なパンフレットを通知文書と一緒に併せて対応しようと思っております。それで、こういった方法が本当に混乱を起こさないでよかったかについて、いくつかの血液センターで事前の通知の試行的な実施をしまして、それで問題を洗い出して検証している状況です。
 私どもが検討したよりも、かなり問合せ件数が多くて、通常のHBVの通知であれば数パーセントに満たないのですが、今回の場合は10%近く問合せが来ている状況もありまして、よりきめ細かな対応が事前に必要だろうということがあります。表の下から2番目にありますように、判定基準の変更が7月でGOという形で書いておりますが、そこについてはもう少し準備期間が必要ということです。少なくとも、この8月には医療機関側の方にコアの判定基準の変更をした血液がお届けできるような形で、今、鋭意準備をしているところです。以上です。
○半田委員長 ただ今の件について、委員の方々から御質問、御意見はいかがでしょうか。
○山口委員 お願いのところはそのとおりかなと正直思いますが、いちばん献血者にとって分かりにくいのは、単に今までの検査システムの判定基準をそのまま変えるのではなくて、検査方法がクリアに変わったので、そのときにボーダーラインのところというか、偽陽性とかがそういうのが出ている可能性があったために変えるという、その辺の情報がこのままですと伝わるかなという心配があるなと思います。要するに、本来、今までの頻回献血者はたぶん問題ないはずですよね。こういう結果になっている方、問題ありませんよと説明されている方々は。ただし、試験方法が変わったために、そこのボーダーラインのところをより安全域を広く取るために、献血を御遠慮いただくのだという話ではないのかなという気がするので、その辺の説明があった方がいいのではないかという気がします。
○半田委員長 いかがですか。
○田所参考人 今回の変更は同じ検査法ではありますが、既往感染の人はある意味すべて排除しようということで、従来はHBc抗体、COIが12以上であったのを1以上のものは全部排除しようということですので、検査法というよりは同じ検査法でより精度を上げて基準を厳しくしたというのが現状です。そういう意味では今まで献血できていたのに、なぜ今度はできないのだ。特に高齢の方では99回献血して、あと1回是非やりたいと思っていたときに、なぜそういう連絡が来るのだというところで丁寧な説明が必要かなと思っています。
○山口委員 凝集法からクリア法に変わった経過を言ったつもりだったのですが、実際は今度はクリア法の中での話だとは思いますが。
○半田委員長 ほかにはいかがでしょうか。このパンフレットの2枚目というか後ろ側を見ると、「治った後でも血液中に微量のB型肝炎ウイルスが見つかることが明らかになってまいりました」「普段の生活には問題ありません」「医療機関を受診する必要はありません」と書いてあって、この辺はなかなか素人は不安に思って、自分は調べたいという人もたぶんいて、今までの問合せはそういうのはありましたか。
○日野参考人 実は、問合せの多くはHBに関するものは文書を見ていただければ理解していただけたようです。かなり簡単に書いてあります。ところが、「私はなぜ、いつどこで過去にHBの感染をしたのか」とか、先ほど田所が話したように、「今まで一生懸命献血してきたのに、なぜ献血できないのか」という、医学的なものよりも、特に献血事業に関わってきた1人のドナーとしての御意見というか、そのような苦情が非常に多いという状況がありました。今後はそれについても少し日赤として対応を考えていくこととしました。
○半田委員長 例えば、私の個人的なあれですが、今まで献血してこうなったと。ただ、自分は心配ないと言われていても、献血できないということは何か調べなければいけないのではないかと思ってしまう人もたぶんいると思うので、そういうところの対応も「医療機関に行く必要はありません」と混乱を避ける意味で書かれているのだと思いますが、逆に、そういうルートも作っておかなければいけないかなと。これは個人的な意見です。
 よろしいですか。引き続き、円滑に早く移行するように事務局と連絡していただいて、速やかな作業を進めていただければと思います。
 次に、資料5は岡田委員から欧州における病原体不活化技術の現状視察ということで、御報告願いたいと思います。
○岡田委員 資料5を見てください。出張期間を入れ忘れてしまいましたが、3月の中旬にオランダ、ベルギー、ポーランド、フランスの4カ国を訪問して、その国における不活化の情報を集めました。最初にオランダのSanquin研究所を訪れました。オランダは多数の血液バンクが存在しましたが、12年前にSanquin研究所が血液供給の唯一の事業体、日本でいえば日本赤十字社に当たるような組織となりました。
 FFPに関しては不活化法は導入していません。一度献血した人が2回目にセロロジカル及びNATの陰性が分かった時点で、1回目に採血したFFPを医療機関に供給するというactive quarantineを導入しています。Sanquinは不活化よりもquarantinに非常に力を入れていたのですが、お話を聞くとプリオン除去フィルターというのが開発されていますが、それが開発されたのでS/Dプラズマに変更するというようなことを聞きました。S/Dプラズマというのは数百のバッグを1回一つのプールに集めて、Solvent/detergent処理をして除去して、それをまた個々のバッグに戻すということで、何か不活化できないような病原体が入る場合は、個別に分けたバッグにすべて病原体が入るという危険性がありますが、トラリーの起こす抗体が希釈されるとか、均一な製剤が得られるということで、そういうリスクよりもベネフィットの方が多いというのがSanquinの考え方なので、将来的にはS/Dプラズマに変更することをおっしゃっておられました。
 血小板に関しては日本と違って、多くのヨーロッパの国は血小板を全血から作っていますが、90%が全血由来でした。有効期間は7日間。全例に無菌検査を実施しておりました。不活化は臨床治験を実施しましたが、現在のところ導入していません。というのは、どうしても不活化をすると有効期間を短くせざるを得ないということで、その点とコストが高くなることを理由として挙げられました。
 2番目に、ベルギーのFederal Agency for Medicines and Health Productsという、レギュレーションを担当している所を訪問しました。ベルギーはヨーロッパでは珍しいのですが、赤十字社が全体の94%の採血を行っていて、ほかに病院単位の血液バンクと軍のバンクがあるそうです。
 FFPに関してはヨーロッパですとvCJDの問題がありますが、個々のバックで処理できるということでメチレンブルを2004年から導入しています。現在、95%以上がメチレンブルを使用しています。特に副作用は多くないということです。S/Dプラズマは医薬品として登録されていますが、あまり使用量は多くないということです。メチレンブルが95%以上ですが、あとで説明しますがフランスではメチレンブルが処理のFFPの供給は停止することに決定したのですが、ベルギーでは特に副作用は多くないので今後も続けるということです。
 血小板ですが、2010年までにすべての血小板に不活化法を導入することが決定されていましたが、現実的には国の南半分の地域にアモトサレン法が導入されておりました。北部ではリボフラビンを導入する予定でしたが、現在のところ導入されていないということです。血小板の有効期間は7日間ですが、不活化処理された血小板は5日間。どうしても短くなってしまいます。それと、当然不活化処理されていない血小板があるわけですが、それに関しては全例無菌検査を実施する。でも、無菌検査ではどうしても偽陰性ということで、数例感染例があったということです。
 ポーランドでは、全体で21の地域に分かれてそれぞれに血液バンクがあります。そのほかに、警察と軍のバンクが存在します。訪れたところは、バンクの中でいちばん大きなバンクでした。
 FFPに関しては2010年1月からリボフラビン法による不活化を導入していました。この血液バンクが製造する60%のFFPに関して、不活化処理されています。今までに6万単位のFFPを製造し、特に有害事象の報告はなかったということをお聞きしました。
 血小板に関しては2009年7月からリボフラビン法による不活化を導入し、2011年12月までに1万5,700検体を不活化処理しました。やはり、ここも血小板の有効期間は5日間ということで、この導入前後では特に変えていないということです。有害事象は特になかったということです。どうしてリボフラビン法を導入したのかということに対して、種々の不活化法を検討したけれども、FFPとかクリオにも使用できることと、処理時間が10分程度でアモトサレン法では不活化処理に加えて、除去するために4時間以上かかるということで作業効率を考えて導入された。それで、また処理しても凝固活性とかフィブリノゲンの減少は認められないとの理由から、リボフラビン法を導入したということをおっしゃっておられました。
 最後にフランスのAFssapsというところで、日本でいえば総合機構に当たりますが、そこを訪問しました。
 FFPに関しては2008年から三つの方法、S/D処理、同メチレンブル処理、アモトサレン法が地域によって選択されて導入されておりました。最も多く使用されているのがメチレンブル処理のFFPです。ところが、アレルギーの頻度がほかの処理の製剤に比べて高いことと、1名の死亡症例が報告されたということで、供給を停止しました。停止することによって、その後の安全対策としてはactive quarantineによって対応するそうです。将来的にはS/Dプラズマとアモトサレン法の併用、もしくはS/Dプラズマで対処するということをおっしゃっておられました。
 血小板に関してはフランス本土では、アルザス地方の血液センターでアモトサレン法による不活化を実施していました。あとは、三つの海外県ではチクングニア等の対策で、既にアモトサレン法による不活化を導入しています。フランス本土では、今のところ全土に拡大する計画はないということです。
 血小板の有効期間は7日間ですが、不活化処理をすると5日間ぐらいに短縮しています。国によって考え方が異なっていて、一方の国では副作用が多いから使用を中止したというし、一方では特に問題がないから使用を続けるということと、FFPと血小板の不活化を同一の方法で処理をしている国もあれば、FFPはFFP、血小板は血小板で分けて異なる方法で処理をしている国、国の考え方が実際の導入されている方法に反映していることが分かりました。
 我々が意外に思ったのは、ヨーロッパではS/Dプラズマが不活化法としては非常に評価が高いということで、我々としては多数のバッグを集めることによる感染症の拡大というのを心配していますが、訪問した施設においては、それ以上に混ぜ合わせるためのメリットの方が大きいと考えているようです。これも、その国の考え方によって方法が違うのかなと感じました。そういう面では実際の現場を訪問できて、それで意見交換ができたのは非常に有効な調査だと思います。以上です。
○半田委員長 大変素晴らしい最新の情報をいただいたと思いますが、今の御報告に関して何か御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。
 一つだけよろしいですか。ベルギーだと、今のところ不活化処理というのは考えていないというか、プラズマをS/Dでやる。血小板に関しては考えていない。例えばベルギーは全面的に血小板に導入する。この場合は、不活化処理をしない血小板製剤というのが必ず代替としてあるのか、全部トータルでやってしまうのかというのはどうでしょうか。ほかの国でもそうですか。
○岡田委員 ベルギーに関しては、血小板を供給している南半分のある病院で、かなり機能が低下しているというクレームが入って、その病院だけしょうがなく、不活化処理していない血小板を導入しているということが実例としてありました。あとの国においては、ポーランドの血液センターもそういう面では、すべてが不活化されたものを供給しているわけではないので、多少不活化されているものといないものが混在していますが、これが一過性なのか体制が揃えば全面的に導入するのかは、ポーランドに関してはそこまでは聞き漏らしてしまいました。
○半田委員長 いかがでしょうか。リスク管理からいうと、そういうものをシャットダウンして全部駄目になるというのは良くないと思いますが、ヨーロッパの国にはいろいろな地域でまちまちなので、それでお互いに回すことができるという安全策を取っているような気もするので、これは非常にポイントとしてあるのではないかと思います。よろしいでしょうか。この件に関しては引き続き情報収集していただいて、この運営委員会の方にまた何か情報がありましたら御報告願いたいと思います。
 資料6、HBV、HBs人免疫グロブリン製剤の国内自給に関する施策ということで、ガイドラインについて日赤の石井主管の方から御報告願います。
○石井参考人 時間が押しているようなので、極めて簡単に御説明いたします。このガイドライン案は国立病院機構の長崎医療センターの八橋弘先生を班長として、一昨年度、昨年度、厚労科学研究として作成させていただきました。本来は、その八橋先生がこの場で御説明するところでしたが、どうしても外せない用事がありましたので、昨年度まで班メンバーの一員であった石井から御説明させていただきます。
 目的とストラテジーの部分を中心に御説明させていただきます。まず目的です。1ページは前段長いところがありますので、目的の最後の4行を掻い摘んで御説明いたします。「本ガイドライン案は、HBIGの原料血漿収集の目的と意義を理解し、無償かつ自発的に血漿提供者となることに同意したワクチン接種既往者へHBワクチンを追加接種し、抗体価の高い血漿を提供(以下、本プログラム)いただくための倫理的かつ医療技術的に適切なストラテジー及び手順概要を定めたものである」。
 2の本プログラムの基本ストラテジーです。?として若干端折りますが、本プログラムは血液法の基本理念に則り、国庫補助事業として日本赤十字社が実施主体となり行う。?として、日赤は国とともに予め医療機関等の関係医療機関、本プログラム事業の啓発と献血への協力の依頼を行う。?として、日赤血液センターは献血時のスクリーニング検査結果を活用し、HBs抗体保有献血者。条件としてはHBs抗体が100mIU/mL以上で、かつHBC抗体陰性の方々を抽出し、しかも40歳以下の方をHBワクチン追加接種候補者といたします。?として、日赤及び協力関係施設は、?で申し上げたHBワクチン追加接種候補者への具体的な説明により協力依頼を行い、本プログラムを実施いたします。?として、本プログラムによる高力価抗体保有該当者に対して、年2回以上の血漿成分献血の協力を依頼します。?として、現在のHB自給率は3%以下であることから、暫次委託する施設数を増やし、段階的に自給率の向上を図ることとする。?も摘んで御説明しますが、平成27年度を目途に、筋注用製剤、平成30年度を目途に静注用製剤も国内自給達成を目指す。以上7項目の基本ストラテジーを設定させていただきました。
 3以降は、手順の概要を示しました。5ページまでになります。いちばん最後の裏側に、実際のフローの概要を示しました。6ページ以降は、その説明のための文書と同意書になります。以上、簡単ではありますが、私からの説明とさせていただきます。
○半田委員長 ただ今の御報告、このガイドラインについて御意見あるいは御質問がありましたら、よろしくお願いします。いかがでしょうか。これは、あくまでも医療関係者だけに限定する。あるいは、一般に献血をされた方でも同意されればこれをやるとか、そういうものではなくて。
○石井参考人 このガイドライン案は、医療関係者だけに限定する形で記載させていただいていますが、ただし、実際に特に適合する方がいらっしゃったら、この中に入れ込むことも不可能ではないという設定はしております。
○半田委員長 逆に集まりにくいとか、医療関係者に限定するというのは一つあれかなとは思いますが、分かりました。ほかには何か。
○大平委員 医療機関への御協力をお願いする形でしょうけれども、たぶん相当数、ある程度決められた医療機関になるのだろうと思います。大学病院とか国立系の病院機構とか、そういうところにお願いするのかなという想像ですが、日赤ではいかがでしょうか。日赤の病院の方で、積極的にそういうのもお願いしてみることも考えておられるのでしょうか。
○石井参考人 もちろん考えております。お願いするやり方としては、大きな組織を持つ医療機関があるのかと思いますので、国立病院機構もそうですし、赤十字病院もそうかと思っております。
○半田委員長 よろしいですか。それでは、このスケジュールに沿ってどうか進めていただければということで、よろしくお願いしたいと思います。
 資料7「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方針」の改訂スケジュールということで、事務局からよろしくお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料7「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方針」の改訂スケジュール(案)です。血液法に基づく基本方針ですが、平成20年度に見直しされまして、血液法に基づいて少なくとも5年ごとに見直すこととされておりますので、ちょうど今年度見直しの議論をして、来年度に見直しをしたいと考えております。その具体的なスケジュールですが、改定案について事務局案をまず策定しまして、次回の運営委員会で御協議いただいて、その御意見を踏まえて修正作業をいたしまして、第3回の運営委員会で改めて御審議いただいて、御了承いただければ12月頃に改正予定の第1回の血液事業部会に上程して御審議いただいて、改定案についてパブリックコメントを書いて、来年3月頃に予定している第2回の血液事業部会で改めて御審議いただいて、薬事分科会で御報告させていただくという流れを考えております。当然ではありますが、このスケジュールで十分議論ができない場合には、適宜臨時の開催もさせていただきたいと考えております。以上です。
○半田委員長 資料の案の最初のスケジュールに従って改定するということで、大体9月ぐらいの第2回の運営委員会で改定案を出していただくということですが、内容はなかなかあれだと思うので、作業はこれでよろしいでしょうか。何か御意見等々はありますか。
                 (異議なし)
○半田委員長 ありがとうございます。このスケジュールに沿いまして、順調に作業を進めていただければと思います。
 次に資料9、フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加報告をよろしくお願いします。
○血液対策企画官 お手元の1枚紙を御覧いただきたいと思います。これは、本年の5月25日に公表したペーパーです。何度も御紹介しているものですので簡単に御紹介いたしますと、これは毎月1回ごとに公表をしていて、5月25日付で公表したものでは前回の報告で特段、医療機関から新たな報告はなかったという内容だけになっているものです。ちなみに、元患者様への投与の事実のお知らせの状況というのを別途公表してきていますが、既にお知らせできている方々というのは8,810人で、投与が判明した総トータルの人数は1万4,807人となっておりますので、お知らせできている方々が約60%の状況になっております。以上です。
○半田委員長 今の御報告に関して、特に御意見はよろしいですか。引き続き、追加調査をよろしくお願いしたいと思います。その他、今までのところは特に何かありませんか。
 その他、何か委員の方からありますか。
○岡田委員 これまで定期感染症情報として論文で何度か出たことがありますが、シャーガス病のスクリーニングについて研究班で検討を続けていて、日本に住んでおられる中南米出身の方を対象にした調査、実際に献血に来られた中南米出身者の調査の結果、あとは最近WPROの報告書等が出ましたので、ここで一度日本において中南米出身の方に対するシャーガス病のスクリーニング等をどういう方向で行うのかという議論を一度やるべき時期に来ているのではないかと思って、それをここでは安全技術調査会のマターだと思いますが、そちらの方で検討していただきたいというふうに提案したいと思います。
○半田委員長 我が国では、中南米出身の献血者は、どのぐらいのインパクトがあるのでしょうか。数からいって。
○岡田委員 研究班の方では、年間1万人ぐらい行われているそうです。
○半田委員長 無視できない数字であるということですね。いかがでしょうか。何か御意見等々はありますか。それでは本件は非常に重要な案件で、技術的な案件ですので、安全技術調査会の方に行って議論をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 ほかに何かおありでしょうか。特になければ、議題5以外は終了とさせていただきます。後の手順を事務局からよろしくお願いします。
○血液対策課課長補佐 これから議題5の統合についての議論に移りたいと思いますが、本議題は薬事分科会血液事業部会運営委員会規程の第7条に基づいて非公開とさせていただきますので、傍聴人の方は申し訳ありませんが御退席をお願いいたします。会場の準備などもありますので、5分間休憩とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
                 (傍聴人退席)
                   (休憩)
○血液対策課課長補佐 準備が整いましたので議題5を始めさせていただきます。まず、本議題に関しまして、両社より参考人にお越しいただいておりますので御紹介させていただきます。
 日本赤十字社より先ほどの3名の方に加えまして、経営会議委員の上田参考人でございます。同じく、経営会議委員の俵参考人でございます。血漿分画事業統合推進室主幹の石川参考人でございます。田辺三菱製薬株式会社より取締役常務執行役員、子林参考人でございます。顧問の秋山参考人でございます。経営企画部部長の乙幡参考人でございます。代表取締役社長の渡邉参考人でございます。失礼しました。それでは、以後の進行は半田委員長よりお願いいたします。
○半田委員長 本日は参考人の方々、ありがとうございました。それでは早速資料8、5月8日に公表された資料ですが、参考人の方から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○石川参考人 日本赤十字社の石川でございます。私から資料8に基づきまして概要の御説明をさせていただきたいと思います。
 お手元にございますように、このプレスリリースですが、日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社は、昨年6月17日に基本合意というものを結んで両社の血漿分画事業を統合するということで、田辺三菱製薬株式会社にありましては、完全子会社で血漿分画事業をやっております株式会社ベネシスさんの血漿分画事業を統合するということで検討を開始したわけでございます。それにつきましては、昨年のこの運営委員会でも御報告を申し上げました。その後、本年4月1日を目途に事業を開始するということでしたが、昨年の東日本大震災などで統合の検討の開始時期が遅れました。また、それ以降の検討につきましても、両社、いろいろそういったことの対応ということで時間が足りなかったということで統合を6カ月延期して、10月1日から開始するということで変更をさせていただいたわけでございます。その辺の事情につきましても、昨年12月のこの運営委員会で御報告を申し上げたところでございます。
 そして今般、両社間で統合の話がまとまりました。両社、それぞれの社内での手続を経て、日赤側は理事会が最高議決機関でありますので、5月7日の理事会を待って、田辺三菱さんの議決のあとになりましたが日赤側が議決して、5月8日に両社の統合についてのプレスリリースを発表したという段取りでございました。
 この新法人につきましては、社名を一般社団法人日本血液製剤機構と申しまして、献血者の善意に基づいて無償で得られた血液を原料とした血漿分画製剤による国内自給達成という公益性の高い目標のために取り組んでまいります。また、事業統合で得られるスケール・メリットを活かし、生産段階および供給段階でのコストを低減させ、事業の健全性を確保してまいる所存でございます。日赤及び田辺三菱製薬におきましても、この日本血液製剤機構が、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の基本理念に則り、血液製剤の国内自給の達成に貢献し、将来にわたって国民の保健衛生の向上に広く寄与していくものと考えております。
 新法人の概要を裏に示しております。法人の名称は「一般社団法人日本血液製剤機構」、英語表記でJapan Blood Products Organizationでございます。本社の所在地は、浜松町駅にございます世界貿易センタービルの7階に設置することとしております。工場所在地ですが、現在、日赤側では千歳に血漿分画センターというのを持っておりまして、これを千歳工場といたします。京都におきましては、ベネシスさんが福知山市に京都工場を持っておりまして、この2工場で稼動していくこととしております。研究所につきましては、神戸市の医療産業都市に新設する予定でございます。事業開始は、先ほど申しましたように10月1日から。理事長は、現在、日本赤十字社の血液事業経営会議委員である上田英彦、副理事長は、現在ベネシスの顧問である秋山裕治さんにお願いすることとしております。従業員数は、両社で約900名、売上高は、薬価ベースの売上げの単純合算ではございますが、約370億円の規模でございます。主な製品については、両社で現在取り扱っているものを、?グロブリンからずっと列記したものでございます。新法人のロゴにつきましては、先ほど申しましたように、Japan Blood Products Organization(JBPO)を図案化して、左上からJ、右上をB、左下をP、右下をO、これを図案化したものでございます。
 製品名にもありますように、アルブミンなど、同じ規格の製剤が現在ありますが、当然、こういったものを製品の片寄せをして効率的な事業運営を行います。
□□□□□
統合の話がまとまりましたが、具体的な事業計画については、現在策定しているところですので、どの程度皆様の御質問にお答えできるかということはございますが、このプレスリリースにつきましての御説明はこのところで一旦終了させていただきたいと思います。以上でございます。
○半田委員長 ありがとうございました。今回は、運営委員会として第三者的な立場からこの統合に関して意見を述べさせていただいて、できましたらそれを持ち帰っていただいて、それで実際の運営や体制づくり等々に活かしていただければと思います。それでは、早速委員の方、たぶんランダムになるとは思うのですが、いろいろなポイントからどんどん質問していただければと思います。いかがでしょうか、御質問、御意見があると思いますが。
○花井委員 細かい話からスタートであれですが、一つは、今、一部は輸入血漿原料の製品があると思うのですが、こういうものに関して、やはり必要なものを供給するために輸入するしかないことについては輸入血漿の事業も継続するということなのか、行く行くはすべて献血のものというように考えているのかというのが1点と。それから、これはお願いなのですが、やはり研究開発ですね。研究所が出来るということで、そこはどのくらいの人員でやられるのか、教えていただきたいのです。お願いとしては、研究開発というのを是非強力に推進していただきたい、ということの2点ないし3点です。
○半田委員長 ありがとうございました。では、まず第1点目です。国内自給というところもありますので輸入の血漿も使うのかどうか、その辺りはいかがでしょうか。
○石川参考人 献血血液による国内自給という血液法の理念に基づく会社、法人ということですので、そういった方向性は打ち出すわけですが、当面、輸入に依存する部分は残るかとは思います。ただ、いずれは献血による国内自給というところを目指すという考えでございます。
○半田委員長 今の追加はございますか。
○渡邉参考人 ベネシスの渡邉でございます。やはり特殊な免疫グロブリン、抗Dグロブリンとか、この辺につきましてはやはりかなり難しい形があって、検討はしてまいりますが、当面のところはまだ頼らざるを得ないところもあるかと思います、すみませんが。
○半田委員長 ありがとうございます。次に研究開発について、研究所の所在地、兵庫県神戸予定と書いてありますが、この辺に関しまして。
○渡邉参考人 同じく渡邉でございます。現在、神戸の方で□□□□□名ぐらい、現在のベネシスの研究員と、これは日赤さんの千歳の方々も、これから検討いたしますが、□□□□□人ぐらいの研究所でスタートさせたいと。
 既にベネシスで行っておりますが、一つは、やはりタンパク製剤に関する技術研究。ここは将来のいわゆるリコンビナントとか、そういうところにつながると思います。
 二つ目がタンパク薬理。いわゆるグロブリンを中心に新規の非常に希少疾患等のメカニズムも含めた研究、こういうことを進めていきたいと。
 三つ目が、やはり感染性病原体に対する研究という形です。感染性につきましては、社内のみならず、社外、大学等との連携も取りながら今後も取り組んでいきたいと思っている次第でございます。よろしいでしょうか。
○半田委員長 今も神戸にあるベネシスの研究所をそのまま使われて。
○渡邉参考人 恐縮でございます。現在、田辺三菱の大阪の加島というところに研究所がございますが、やはりこれは独立をしたいと。ということで神戸のポートアイランドのところの医療産業都市構想に則ったところに私どもも、これは借りるわけですが、場所を借りまして、あるいはウイルス等も扱いますので、やはりそういうことがとどめられるところということで施設の設定をいたしました。
○半田委員長 ありがとうございます。今のお答えに関して、花井委員、いかがでしょうか。
○花井委員 特に研究開発については、それは素晴らしいことだと思います。血液凝固因子製剤市場は結構飽和しているように言われていたのですが、今、やはり拡大していて、業者の新規参入がかなり多いという、そういう状況にありますので、是非その辺に追いついていただいてやっていただけたらと思います。
○半田委員長 それでは今言った、輸入製剤とか輸入血漿をどうするか、それから、研究開発に関しての御質問だったのですが、よろしいですか。では山口委員。
○山口委員 日本の血液製剤が高いという話でずっと議論を重ねてきたところでちょっと気になっているのは、献血というのは検査をするために個別の単価がすごく高くなっているのではないかという議論があったかと思うのです。やはりその辺も少し考えていただきたい、というのが一つございます。
 それから、今、お話がございましたが、リコンビナント製剤を考えておられる。要するに、血液製剤だけに特化するのか、それとも、例えば第?因子だと、今、リコンビナントと血漿由来の2製品が国内にある。その辺をどのように将来的にカバーしていかれる方針なのかというのを教えていただきたいのです。
 もう一つだけ。日赤は今、ウイルス安全性はたぶん本社の方でやっておられるかと思うのです。社が分かれてその辺が、最終的なウイルス安全性をどのように分担してやっていかれるおつもりなのかというのを是非教えていただければと思います。
○渡邉参考人 すべて、お答えはできないのですが、やはり凝固系のものについては、皆様の御要望とか、これまで日本の製薬会社がなかなか手が届かなかったということもございまして、我々の技術がどこまでついていけるかということもございますが、持っている力を上げていきたいと。おっしゃいました?、?、フィブリノゲン、この辺の一連のものが場合によればどちらかの手とも共働もしながら、やはり自分たちの手でも作っていきたいと思っております。それが一つと。
 それから、日赤さんの中央研究所とどのように共働していくかは、これはまだ、新法人が立ち上がったところでして、この辺につきましても、現在の日赤の方々とシェアできるところはシェアしたいと、あるいは、やはり私どもでやっているものにも基づいて。ここも、やはり全部頼るのではなくて新法人自らもある程度手を加えたいと思っておりますが、これはまた先生方のサポートもいろいろ要りますし、最近でいきますと、やはりプリオンとかHEV等とか、こういうものも将来的には、リスクとしてなかなか見にくいところなのですが、やはり継続していくべきだろうと思っております。よろしいですか。
○山口委員 あと気になっているのは、本来は血漿分画製剤は全て献血血液から作るべきだと思うのですが、その辺のバランスについて、コストの面とかその辺を教えてください。
○上田参考人 上田でございます。コストの面はリリースをしたものにもたくさん書いてございまして、効率性を求めながらコストを下げていくということを謳っております。これをしなければどうしようもないと我々も思っていますし、コストと同時に、やはり安全性の追求は絶対的なものだと思っています。安全性についての体制は十分にとったつもりでおりますが、コストの面については、これから我々両社でいろいろな相談をしてまいりますが、例えば、製造のコストを下げて患者さんに対してできるだけいいものを、安全なものを□□□□□お届けするというのは、やはりこの新法人の一番の目標にしなければいけないところだろうとは思っております。やらなければいけないのは、最初に申し上げましたようにアルコール分画工場をつくることとか、あるいは製品の整理をしてコストを下げるようなことをもっと考えるとか、いろいろなことがあると思います。具体的には、これは絶対的に取り組まなければいけない問題だと思いますが、今の段階ではまだそこまで詳しいところの検討にまでは入っていません。これからという段階です。ただ、おっしゃるように、ここはどうしても避けて通れない、我々新法人の一番の目的になってくるのではないかと思っております。
○渡邉参考人 確かに、ミニプールとか、この辺がやはり私どもも悩みの種でして、この辺をどのようにやるかということも、またいろいろ御意見を伺いながら。これは、きちんとやりながらどのように改善できるかと思っております。
○半田委員長 一つ製品として、リコンビナントのアルブミンに関してはどういう扱いをされるのでしょうか。
○子林参考人 現在、バイファ社で市場に再出荷できる状態を、つまり恒常的に安定的な供給ができる体制の構築に努力しております。□□□□□当面、田辺三菱側で扱いますが、これは、市販後の全例調査が義務づけられておりますので、これをきちんとやって安全性が確立した段階で、当然、アルブミン製剤ですので、新法人が扱うことが妥当ではないかと現時点では判断しております。
○大平委員 期待はしているのですが、やはりここの新法人というのは、今までの一般の会社とは違って日赤の特殊な形態と公益的な問題をかなり含んで立ち上がるというところで、今、日赤への透明性とか、そういう確保というのはこういった運営委員会とか、そういうところでいろいろとお話をさせていただいたりして意見交換ができているというところがあります。今度の新法人について透明性の確保。これはやはり一般の企業とは違った形で、こういった運営委員会とか、患者の意見とか、いろいろな形で吸収していただけるような形を是非考えていただきたいと考えています。
 国の方もそうした形の法人として。イギリスなどでは、これはまた全然違う例外的な話かもしれませんが、いろいろな製品を開発するのに国策としていろいろ国が負担していただいて、そして、それに手を貸して企業を育てていくという。そういうこともありますので、こういった新しい公益的な問題も含めて、立ち上がっていく法人に対して、やはり国の方も支援をしながらも関与していっていただきたいと考えています。それを受け止められるようなだけの法人形態としてどういう形がいいのかというのを是非皆さんに提示していただけるようにお願いしたいと思います。
○半田委員長 ガバナンスの問題、特に透明性。血液法でも謳っていますが、血液事業の透明性をどうやって担保するか。ですから、新法人のガバナンスですね。それから、今言った、社外取締役をどうするかとか、そういういわゆるコンプライアンスの問題とかはやはり明示していただくというところもあるのですが、この辺に関してはいかがでしょうか。
○上田参考人 御質問にお答え申し上げます。おっしゃるとおり、我々の事業は、一法人のやる事業というよりも血液法に基づいた、ある意味で言えば国策、これをきちんとこなしていかなければいけない法人だというように理解をしております。過去にいろいろなことがありましたので、今、大平先生がおっしゃったように、透明性がいちばん大事なことだと思っています。社内的にも、私どもは、両社で話をして、組織上もガバナンスの中からも、例えば信頼性保証の「安全と品質の管理」のところ、もう一つは、組織と人の融和というものを早く図って新しい会社としての出発ができるよう、これに大きな力を入れながら、今、やろうと考えています。
 もう一つ、今おっしゃった透明性、一般社団法人というのは社員総会というのがありまして、社員が参加して会社を補完していくという形になっていますが、私ども、そこのところのガバナンスをもう少し強くしたいと思っています。今、両社で話し合っていてほぼ御了解をいただいているのは、社団法人にはないのですが、一般財団法人にある評議員会、こういうものを□□□□□作りまして、ここに患者の会の代表の方、学識経験のある方、あるいは経営の専門の方に入っていただいて経営の監視というものをお願いしたいと思っています。これは10月1日の事業の発足後ぐらいに早急に立ち上げられるように、これから準備をしてまいりたいと考えております。
○半田委員長 では、法人の定款等々を次回の例えば運営委員会で説明していただくとか、そういうことでよろしいでしょうか。ほかにございますか。
○岡田委員 今回の統合で、最大のメリットというのか、スケールを大きくしてコストを下げるということなのですが、実際、現在、二つの工場があるわけですが、目安としていつごろ工場の統合、もしくは、統合しないでどこか別の所に分画だけをやって、粗精製したものをそれぞれの工場で製造するのかどうか、その辺の計画はどの程度までいっているのかが一つと。
 もう1点としましては、10月1日で事業開始ということですが、重複する製剤がありますが、これは10月1日付で「日本血液製剤機構」というラベルを貼られた製剤になるのでしょうか。その場合、その区別ができないというか。要するに、現行の日本赤十字社が作った製剤とベネシス社が作った製剤に関して、ラベルが同じであった場合に全く区別ができなくなってしまうのではないかという心配。
 もう一つ、その薬価というのはどうなるのでしょうか。この三つについてお願いします。
○上田参考人 岡田委員の御質問のとおり、スケール・メリットを考えなければいけません。先ほどお話があったように、スケール・メリットを出していくには、今、2社がそれぞれ。例えば、γグロブリンは二つありますし、アルブミンも二つあります。これをいつまでも続けていても、効果が出てまいりません。そうかといって、それでは今、片方の工場にそれを全部片寄せしようとしても、そのキャパもないというのが実態です。あるいはアルコール分画工場をつくるといったことも今すぐは予算面で難しいので、早いうちに、アルコール分画工場及び片寄せをして効率よくスケール・メリットで作っていく工場の検討をしなければいけないというように思っておりますし、もういくつかのお話も来ていますので、そういう中から我々が何がいちばんいいのかというのを早急に作ってまいりたい。
 具体化のために、組織の中に製品戦略部というのをつくりまして、ここが製品の片寄せとか、製造の規模をどうしていくか、これから新しい製品をどうするか、こういうものを考えるところをつくりましたので、急ぎ、これに取組んでいきたいと思います。ただ、ここでこんなことを言っていいのかどうか分かりませんが、何せ新製品がどんどん出てくる事業ではありませんし、薬価も2年に一遍は下がっているという状況ですから、経営は決して楽な経営ではありません。その中からこういう工場をどうしてつくるかというところがこれからの一番の大きな鍵だと思っています。
□□□□□
○半田委員長 ありがとうございました。今のガバナンスの件とか、ほかに何かおありでしょうか。
○山口委員 今、スケール・メリットというか、その辺の話をしていることと逆のことなのですが。たぶんベネシスの方ではオーファンドラッグとしてたぶん、先天性の欠損症でしたか、何かああいうものを作られていると思うので、この辺の非常に対象患者の少ないものについては、これも是非きちんと継続してやっていただけたらと思っております。
○大平委員 日本血液製剤機構というので、名前としては大きな名前だと思います。それを当面2社で統合して運営していくという形ですから、将来的に国はどのような、厚労省としてはどんな方向でその機構を育てていきたいかなというところとか、そのようなことを、本来、今日お聞きできたらと思っています。
 あと、新しい法人として出発していく中で、なかなか知られていない国内の薬の種類とか、そういうものの広報を盛んにしていただいて、そして、なるべくそういう献血由来のものを使っていただけるように是非働きかけをお願いしたいと思っています。
○半田委員長 ありがとうございます。特にガバナンスに関して国の関与、国策ということもありますので、例えば評議員会の中に国の代表の方が入るとか、何かそういうことはないのでしょうか。いずれにしろ、三宅さんの方から何か。
○血液対策課長 血漿分画製剤の供給のあり方の検討会でもいろいろ突っ込んだ議論をしていただいて、今回でこの話が出てまとまっていくに当たっても、その検討会でのいろいろな議論が引き金になった部分があるのではないかと感じております。そういう意味ではやはり、国内自給を進めていくというのが血液法の大きな理念ですし、安定供給あるいは安全を確保していくという意味でもバックにすることがあるかと思います。ですから、血液法の理念をこういう形で進めていくという意味では、望ましい形として一歩進めていただいたのではないかと感じております。これを2歩、3歩、ほかのメーカーも参加していただければ、よりスケール・メリットが効いてきますし、よりいいものをより効率的に、そして、それが行く行くは国内自給に進んでいけるのではないかと思っております。そういうことを少しでも進められるように、是非この話をよりいい形で作っていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
○半田委員長 国としても血液法の観点から積極的に協力をするという形にしていきたいということですね。せっかくですので牧野先生、どうぞ。
○牧野委員 学会の方からの御意見と一緒ですね。スケール・メリットというのは何か非常にいいような感じで、すぐにコストが下がるようなイメージもあるのですが、お話を聞きますと、やはりなかなか厳しいと思います。相手がやはり海外からのもので、アルブミンはかなり安く来ますので、それにコストだけで対抗するというのは非常に厳しいかと思います。
 今回のこの企業統合の目的が、血液製剤の国内自給の達成に貢献するというのがやはり大きな目標でありますので、それを考えたときに大切なのは、例えば都道府県で、アルブミンの使い方は県ごとにものすごく大きな違いがあって、4倍ぐらい多く使うところとそうでもないところと。もしそうでもない、使用が非常に少ない都道府県ぐらいの使用量が日本全体になってしまうと、おそらく国内自給は今すぐにでも達成できると思います。つまり、使用量が減れば、国内自給はおそらく達成できると思います。
 我々はアルブミンの適正使用に関するガイドラインの作成なども行っているわけですが、もう一つ大切なのがやはり、国内とか、海外の輸入とか、献血・非献血の情報などが実際に使用する患者さんに十分に提供されていない可能性があるということです。班研究としましても、インフォームド・コンセントの輸血説明書もしくは血漿分画説明書というのを作成しているのですが、今回、日赤と田辺三菱とベネシスの統合という輸血も血漿分画製剤も関係したところの統合であるわけで、そして、国内自給の達成という目標がありますので、この機会に例えばほぼ新しい法人の名前で輸血・血漿分画製剤説明書、患者さんへの説明書みたいなもの、つまり、情報が十分入った、適正使用などの情報が入った説明書というものが提供される環境があると、非常にいい効果があるのかなと思います。
 我々、学会および班研究としましては大体完成してきていますので、継続的に印刷して提供していくというシステムが必要だろうと思いますが、そういう一つのチャンスでもあるような気がしましたので、将来的に相談させていただいてできると非常に素晴らしいと思います。
○石川参考人 今の牧野先生からの御提案につきましては、新しい法人として十分に検討させていただいて対処してまいりたいと思っております。
○半田委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか、せっかくですので何か御意見があれば。
○花井委員 コストの話が出ていましたが、今はまだ日本赤十字社がやっているというのですが、日本赤十字社からの最大の応援は、原料の最終コストを下げていただいて、下げた価格で配分できれば最大の応援になると思います。そういうことは可能か。あまりそれを聞いたら。採血と分かれる形になるわけですよね。ですから、日本赤十字社としてもそういう形で応援できるようにまた努力していただけたらと思います。
○半田委員長 あとはいかがでしょうか。私の方から。10月1日に事業開始予定と。それで、もちろん法人としては認められたということで、当然、定款もおありになるわけですね。その辺のガバナンスの実態というのをある程度知りたいというところもちょっとあります。委員の方々、その辺に関していかがでしょうか。できましたら、10月1日、事業開始予定ということなので、もしその前にもう一度お話を伺うような機会があって。これは意見ですので、そういうところで。今お話したように、もし意見が反映できるようなところがあればお答え願うというか。あとでまた事務局とも相談をさせていただきたいのですが、どうでしょうか。これ、もう一度というのはちょっと。そのままスタートしてしまうというのはもちろんよろしいのでしょうけれども、なるべくなら、我々運営委員会としては、事業をする前にもう一度お話をお聞きした方がいいのか、あるいはそのあとでもいいのかと。この辺はどうでしょうか、ここで今議論するのも、裏でやるのがいいのかどうかは分からないのですが、せっかく皆さんはもう顔を合わせているので。どういたしましょうか。まず委員の御意見はどうでしょうか。大平さん、花井さん、どうでしょうか。
○大平委員 あまり拘束をしてしまうとなかなか始まらないなとは思うのですが、できれば進捗状況みたいなものが分かればいいかなと。このままうまく進んでいただければ、それに越したことはないのですが、たぶんいろいろな問題点が出てくるのだろうとは予想されるのです。その困難な点をどのように解決されて、こちらが協力すべきところというか、協力というか、いろいろなお話を伺うべきところがあるのかどうかというところが出てきた段階で、またそういった席を設けていただけたらと思うのです。
○山口委員 前かどうかという話ですが、たぶんどのような運営をされるかと、要するに統合されてからが重要と思います。将来、より大きな機構、要するにスケール・メリットをもっと、先ほど課長からお話があったように、もっと大きな統合という話になっていくようなときの試金石になっていくような気がするので、むしろ統合後に実際にどのような運営をされているかというお話を聞かせていただけるとありがたいと思っています。
○半田委員長 ありがとうございます。それでは、統合後にお聞かせ願うというところが一つ意見として。これに関しましては、また事務局とも相談をさせていただくということでよろしいのでしょうか。では、各委員から有用な御意見を出していただいたので、この意見を取り入れていただいて新法人が順調に事業を進めていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それではこれで非公開の報告会を終わります。次回の運営委員会等のスケジュールをまた事務局からお願いします。
○血液対策課課長補佐 次回は9月ごろを予定しております。また別途、御連絡させていただきます。よろしくお願いします。


(了)

議題5については、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局血液対策課 課長補佐 伯野(内線2905)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)> 平成24年度第1回血液事業部会運営委員会

ページの先頭へ戻る