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2012年3月7日 第48回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成24年3月7日(水)


○場所

中央合同庁舎第5号館 労働基準局第1・第2会議室


○出席者

公益代表委員

勝部会長、臼杵委員、鹿住委員、内藤委員、西村委員

労働者代表委員

大塚委員、久保委員、鈴木委員、早川委員、林委員

使用者代表委員

市瀬委員、島村委員、清水委員、新田委員、長谷川委員

(事務局)

熊谷大臣官房審議官(労働条件政策担当)、木原勤労者生活課長、瀧原勤労者生活課調査官、廣瀬勤労者生活課課長補佐

○議題

(1)中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率を定める件について(諮問)
(2)東日本大震災の被災被共済者等に対する退職金請求勧奨対策につい
て(報告)
(3)一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業におけ
る退職金の確実な支給に向けた取組について(報告)
(4)今後の加入促進対策について(適格退職年金制度廃止後の取組)
(報告)
(5)独立行政法人改革の動向について(報告)
(6)その他

○議事

○勝部会長 定刻になりましたので、ただいまから第48回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めます。前回の部会から委員の交代がありましたので、ご報告いたします。高橋均委員の後任として、労働者福祉中央協議会事務局長の大塚敏夫委員が就任されています。よろしくお願いいたします。本日は委員全員が出席ですけれども、臼杵委員につきましては、所用がありまして途中で退席されると伺っていますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議題ですが、資料にありますように(1)から(6)までございます。(1)は、中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率を定める件についてです。これは諮問となっています。その他、報告事項がございます。(2)東日本大震災の被災被共済者等に対する退職金請求勧奨対策について。(3)一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組について。(4)今後の加入促進対策について、これは適格退職年金制度廃止後の取組についてです。(5)独立行政法人改革の動向について。(6)その他となっています。
 それでは、まず議題(1)の「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率を定める件について(諮問)」に入りたいと思います。この件につきましては本日、厚生労働大臣から労働政策審議会宛に諮問がなされていますので、事務局から説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 議題(1)は、いわゆる付加退職金の支給率についての諮問です。資料は2分冊になっています。右上に枠で囲んで資料1-1と書いてある冊子と、右上に枠で囲んで参考1と書いてある冊子、資料と参考の2種類です。その資料の4頁と参考の1頁で説明させていただきます。
 参考の1頁です。中小企業退職金共済法の退職金の金額についての条文をお示ししています。第10条が退職金の額に関する規定です。退職金には基本退職金、すなわち掛金月額とその掛金納付月数に応じて政令で定めるものと、付加退職金、すなわち毎年度の運用収入に応じて基本退職金に付加されるものと2つございます。その付加退職金は掛金納付月数が43月以上の場合に生じてきます。この条文の第10条第2項第3号の43月以上というところをご覧ください。上の段の左側です。43月以上のところでイ及びロの合算額ということですが、イが基本退職金、ロが付加退職金です。ロの付加退職金の部分ですが、ある年度に退職したとみなした場合の仮定退職金額を出して、それに支給率を乗じた額がその年度についての付加退職金となります。その乗ずる支給率については、下の段の第4項に書かれています。
 資料の4頁の「付加退職金の支給率の算定方法について」の上のところで、平成24年度の支給率の算式を書いています。平成24年度の支給率は分母としては、「平成24年度における仮定退職金額の総額」、すなわち平成24年度にすべての被共済者が退職したと仮定した場合の退職金額の合計額となります。分子は「平成23年度の運用収入のうち付加退職金の支払に充てるべき部分の額として算定した額」となります。支給率は、この式による率を基準として先ほどの条文の第4項に書かれていますが、厚生労働大臣が各年度ごとにこの率を基準として当該年度の前年度末、すなわち3月末までに労働政策審議会の意見を聴いて定めるものとすると決められています。そこで今回、平成24年度の付加退職金の支給率について諮問させていただくものです。
 参照条文の2頁は経過措置で、過去の法改正による経過措置の対象者がいることを踏まえて、付加退職金の支給率についても政令で経過措置が定められています。ただし、分母、分子の考え方や審議会の意見を聴くべきことなど、枠組みは同じです。
 参照条文の3頁は施行規則です。付加退職金の支給率についての先ほどの算式の分子に関して、付加退職金の支払に充てるべき部分の額については、前年度の利益の2分の1とするという考え方が示されております。
 付加退職金の支給率の説明上、必要がありますので、次に累積欠損金の状況について説明させていただきます。中退事業にある累積欠損金の解消については、参考の10頁に抜粋を付けていますが、勤労者退職金共済機構が平成17年10月に累積欠損金解消計画を策定しています。下線を引いていますが、毎年度180億円の解消を目安とするというものです。これは平成17年に当部会からいただいた意見書を踏まえ、厚生労働省労働基準局長から勤労者退職金共済機構に累積欠損金の解消計画の策定を要請し、勤労者退職金共済機構が策定したものです。
 参考の11頁は累積欠損金の解消状況です。毎年度、180億円解消という目安どおりであれば、下半分のグラフの直線のように減っていくことになりますが、最近、特に経済状況などが厳しく、平成22年度につきましては、目安の額よりも854億円多く累積欠損が残っている状況となっています。以上が累積欠損金の状況です。
 このような前提のもとで、平成24年度の付加退職金の支給率についてです。資料の冊子の4頁に戻っていただき、上の平成24年度の支給率の算式の分子に当たる部分についてです。下半分に図を示しています。これは平成17年3月に当部会からいただいたご意見を基にした、付加退職金と累積欠損金解消についての考え方です。先ほど年度ごとに解消する累積欠損金の額の目安が180億円と申しました。事業で利益が生じた場合、180億円までであれば累積欠損金の解消に充てる。さらにそれを上回る利益が生ずれば、その分は付加退職金の支払に充てる。さらにこの図には示していませんが、360億円を超える利益が出れば、その半分は累積欠損金解消に、半分は付加退職金に回すという考え方です。
 利益が生じた場合の累積欠損金と付加退職金への割振りの考え方はこのように整理されていますが、今回はどうかとなると、この図にもありますし上のほうにも大きな字で書いていますが、平成23年度の収支の見込みとしては、年度末に向けて運用状況がさらに悪くなるリスクも織り込んだ上で、752億円のマイナスと見込んでいます。したがって、平成23年度につきましては利益が生じない見込みですので、平成24年度の付加退職金の支払に充てるべき部分の額はゼロ円で、支給率についてもゼロとせざるを得ない状況です。この752億円のマイナスという見込みの基となる、収入・支出の見込みについては、次の5頁の23年度の欄のとおりです。この収支見込みの算定の考え方については、6頁に整理しています。
 以上を基にして資料の2頁ですが、厚生労働大臣から労働政策審議会への諮問としては、平成24年度の付加退職金の支給率はゼロとするということで、諮問をさせていただいております。説明は以上です。
○勝部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして何かご意見、ご質問があればお願いいたします。
○早川委員 このゼロということ自体は、やむを得ないという判断をしていますけれども、いまのご説明の中で、これから年度末に向けて一層の実績の悪化もというご説明があったかと思いますが、むしろ足元の状況を見ますと、752億円が縮小される可能性も結構あるのではないか。ただ、4頁でご説明いただいたゼロ円を変えるほどの影響はないだろうと思いますけれども、年度末に向けての方向というか動きとしては、むしろ一層の悪化というより、多少これよりは赤字幅というか、縮小するのではないかという予測も成り立つかと思いますが、その辺はいかがですか。
○木原勤労者生活課長 この収入見込みにつきましては6頁にございますが、いちばん関係するのは(2)の委託運用のところです。ここは平成24年1月末現在の時価額を基に、ベンチマーク収益率の過去の統計データから推計したということですが、具体的には2月の運用利回りはベンチマークと同じであるとしました。そして3月の運用利回りは、当然、ベンチマークがどうかわかりませんし、将来のことですので、ここは過去の状況を参考にしました。過去5年間のベンチマーク収益率の平均値と、それから標準偏差などを基に推計したものです。将来見込みは何ともわからないところがございますから、過去の実績を基に推計したということで、そこは推計の方法としてはやむを得ないと考えています。
○勝部会長 よろしいでしょうか。ほかに何かご質問などございますか。
○臼杵委員 いまと同じかもしれませんが、2月末までの株の値上がりとか円安になったとか、その辺は反映されているということですね。
○木原勤労者生活課長 はい、そうです。
○臼杵委員 あと、だからひと月ということで、確かにひと月についてはたぶん固めに見ているのだろうと思います。毎年、こういう話があって思うのですが、このタイミングでこれを決めないといけないものなのですか。法律を見ると別に3月の初めに決めろとは書いていないから、ちゃんと締めてから決めたほうが、こういう余計な質問も出ないのではいかと思います。これは来年からのことかもしれませんけれども、いかがですか。
○木原勤労者生活課長 先ほど説明が不十分だったかもしれませんが、法律で当該年度、平成24年度でしたら平成24年度の前年度末、すなわち3月末までに決めるということが決まっていて、タイミングとしてはこのタイミングが精一杯ということです。
○臼杵委員 しようがないですかね。
○木原勤労者生活課長 4月からの新年度に適用される退職金についてのものですので、これは今年度中に決めておかないと如何ともしがたいということです。
○瀧原勤労者生活課調査官 法律上、年度末というのは、いま申し上げたとおり4月1日から適用されます。4月1日から適用するとなると、それを必ず公報しないといけないという手続きがございます。この場で31日に決めるというのも難しいのと、あと先生もご存じのとおり、ベンチマークも締めという形になると3月末まで待たないといけない。そうすると実際には4月以降にならざるを得ないところがあります。3月15日まで見られないかとか、1日1日の話になりますけれども、そこは例えば半月であっても相当のブレというのは委託運用には発生せざるを得ないので、我々としては2月末の時点、ひと月の確率的な推計を入れざるを得ないというのが現状かと思っています。
○勝部会長 よろしいですか。ほかに何かございますか。
○鈴木委員 数字的にこうなりましたよという形で、今年度も駄目でしたよということで結果を聞かされてはいるのですが、このマイナス752億円になったことについて、これだけの努力をしたんだよと、そういった経過の話が何もないのです。ローリスク、ローリターンでこうやったけれど、結果的にはこういう状況で、こうなりましたとか。我々としては結果がこうなったから仕方がないね、駄目ですねという話でなく、こういった努力のもとにこうなりましたよという、経過も含めてお話があるべきではないか。そんな感じがするのですが、その辺はどうですか。
○木原勤労者生活課長 これは、付加退職金の支給率の算定に当たっての推計としての数字ですが、実際の運用実績につきましては決算が閉まったあと、今年度でしたら11月の部会で運用実績はこうでしたということもご報告申し上げています。その際に、今年度から委託運用と自家運用と分けての報告もしていますし、そのあたりは運用状況についても、またちゃんとお示しできるようにしてまいります。
○鈴木委員 それは11月ということ。
○木原勤労者生活課長 はい。
○鈴木委員 24年度のは今日決めるというからね。
○勝部会長 そうですね、資料とかもあって然るべきなのかもしれないですね。これは今、いろいろ問題になっていますけれども、いま運用先はいくつぐらいで、それは近年ずっと変わっていないのか。この辺の情報というのは、公開されているのか教えていただきたい。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 勤労者退職金共済機構です。中小企業退職金共済に関しては、委託先として国内債券が13社、株式が6社、外国債券5社、外国株式5社というように、30社程度の委託先でお願いしています。毎年度、これらにつきましては、当然、その結果を基に定性評価、定量評価を行い、解約あるいは減額を実施しています。ちなみに実績を申しますと、平成21年度実績を踏まえて5つのファンドの解約、入替えを行い、平成22年度については2ファンドの解約、2ファンドの減額という形で、それぞれ評価をしながら厳しく入替え等を実施しているところです。
○鈴木委員 わかりました。
○勝部会長 よろしいですか。今、いろいろご意見も出たと思いますが、結論としては厚生労働大臣からの諮問を適当と認め、労働政策審議会会長宛に報告いたしたいと思いますが、よろしいですか。
                 (異議なし)
○勝部会長 それでは、諮問どおり適当と認めるということで、労働政策審議会会長宛に報告をすることにしたいと思います。事務局のほうで報告案を用意していただきましたので、読み上げていただきたいと思います。
                 (報告案配付)
○廣瀬勤労者生活課長補佐 それでは読み上げさせていただきます。「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率」について。平成24年3月7日付け厚生労働省発基0307第2号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は、妥当と認める。
 以上でございます。
○勝部会長 ただいま朗読していただきました文案によりまして、労働政策審議会会長宛に報告をいたしたいと思いますが、よろしいですか。
                 (異議なし)
○勝部会長 異議なしと認めます。なお、労働政策審議会令第7条第9項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第9項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められておりますので、ご承認いただきました報告により、労働政策審議会から厚生労働大臣宛に答申をすることにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは次の議題に入りたいと思います。議題(2)は、東日本大震災の被災被共済者等に対する退職金請求勧奨対策についてです。これにつきまして事務局から説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 資料の8頁をご覧ください。東日本大震災等により被災し、亡くなられた中退制度の被共済者の遺族の方が、退職金の請求ができることを知らないとか、あるいは共済契約者、すなわち事業主の方が亡くなって、その事業所を退職された方が退職金の請求手続きを知らないために請求がないとか、そういう事案が想定されます。これらの方々に対して退職金が確実に支払われるように、本年度の第3次補正予算におきまして、勤労者退職金共済機構が退職金請求勧奨を実施するための経費として2,800万円を確保したところです。具体的な取組につきましては、勤労者退職金共済機構で現在進めているところでございます。現況等につきまして勤労者退職金共済機構から説明をいただきます。お願いいたします。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 9頁の資料をもとにご説明させていただきます。先ほどご説明がありましたように、被共済者及びその遺族への請求要請ということで、「対象地域」としては岩手、宮城、福島の3県の被害が大きかった地域、及び茨城県の一部が含まれています。「調査の対象」はここにあるとおりです。なお調査は補正予算の成立前から準備を進め、昨年12月より調査を開始し、現在進行しているところです。
 調査の「実施事項」としては、対象となるすべての共済契約者に対して、被害の状況、事業活動の状況、活動再開の見込み等を尋ねた後、被共済者について退職された方、死亡された方等の状況、連絡先などを郵送により確認し、回答がない場合には電話により再度確認を行っております。さらに、これにより連絡先を把握した被共済者の方々に対して、文書及び電話による個別の請求勧奨を行っているところです。なお特定業種退職金共済につきましては手帳更新時等に把握している住所も活用しているところです。現在、連絡先を把握した退職者等に、順次、請求勧奨を実施しているところです。なお、??の取組によっても連絡先が不明な場合には、厚生労働省のご協力をいただいて労災保険の遺族給付等のデータを活用させていただき、照合してさらに連絡先を把握し、請求勧奨をすることを考えているところです。なお、これについての広報として、ホームページへの掲載、フリーコールの設置と併せ、3県における地方紙に大きく広告を出させていただき、周知に努めているところです。以上です。
○勝部会長 ありがとうございました。ただいまのご説明に対して何かご意見、ご質問はございますか。
○鹿住委員 東日本大震災で被災された事業者の方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、特に事業主の方が亡くなられた場合、ご遺族の方は、どういった共済制度に加入されていたかご存じない場合もあるかと思います。例えばこういう方法でどうかということでご提案申し上げるのですが、ほかにも中小企業関係の共済制度では小規模企業共済、中小企業倒産防止共済といったものもございますので、おそらく複数の制度に加入していたという方もいらっしゃると思います。できる限りワンストップで、1回の照会等でほかの制度について入っていたかどうか、あるいは小規模企業共済、中小企業倒産防止共済に入っている方が中小企業退職金共済はどうかといった形で、確認ができるような形で照会をしていただけるといいのではないか。
 もう1つは広報等ですが、残されたご遺族の方とつながりがある団体として、もちろん労災保険もありますけれども、例えば商工会とか商工会議所、もしくは地元の業界団体といった所にも問合せをして請求漏れがないか確認する。あるいは、こういう制度があるけれども、もしかして入っていたのではないかということで問合せをしていただくことも有効ではないかと考えます。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 先ほどお話のありました商工会あるいは業界団体等につきましては、既にお話を申し上げましていろいろ協力を呼びかけておりまして、その機関誌等への記事の掲載等をお願いしているところですが、さらに強力に行っていきたいと思っています。なお小規模企業共済等につきましては、検討させていただきたいと思っています。
○勝部会長 ほかに何かご質問、あるいはコメント等ございますか。いま2つ提案がありましたけれども、特に最初のワンストップということでは、いろいろやり様はあると考えられるのでしょうか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 やはり相手のあることですので、少しお話をこちらからさせていただきまして、どのような方法が可能なのか少し話合いをさせていただければと思っています。
○勝部会長 よろしいでしょうか。それでは次の議題に入りたいと思います。議題(3)は、一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組についてです。これにつきまして事務局から説明をお願いします。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 勤労者退職金共済機構より説明させていただきます。「平成23年度未請求者対策(実績)」ということで、11頁をご覧いただければと思います。大きく対策は、左側の「新たな未請求退職金の発生を防止するための取組」と、右側の「累積した未請求退職金に対する取組」の2つに分かれるわけですが、最初の未請求者に請求を促すための対策として、退職後3か月経過してもまだ未請求の方がいる事業所に対し、事業所のほうからの請求を促すことと併せ、その被共済者の住所の情報をいただき、その得られた情報に基づいて、直接未請求者に対して請求手続きを要請しています。併せて平成21年度脱退者の方については、一度要請を行っていますが、さらに未請求の方について2回目の請求手続きを要請しています。
 3つ目、4つ目の○は今年度から新たに始めた取組です。この情報を得た未請求者のうち、電話番号が確認できている方については、電話により直接請求を要請する。あるいは事業所に対して情報がなかなか得られない場合には、電話で事業主に確認するといった2つの取組を今年度から新たに開始しているところです。
 次に「従業員に対し加入認識を深めるための対策」として、加入の際に加入したことを通知する加入通知書、あるいは下のところにありますように、年に一度、事業所に対して個人別の納付状況及び退職金試算票を送付しているわけですが、これにミシン目を付けて、1枚1枚、被共済者別に取り外せるようにして、それをできる限り被共済者の方一人ひとりに配付してくださいというお願いを事業主にしています。これらの取組の結果を表のところに書いていますが、2年経過後の未請求率は、取組前は3%程度であったものが2%、1%台となっています。なお平成23年度については中途ですが、2.11%となっています。11月より、先ほどお話させていただいた電話での取組等を始め、さらにこの減少に努めていきたいと思っています。
 なお周知の徹底ということで、フリーコール、注意喚起文の掲載に併せ、私どものホームページに加入事業所名を掲載しているところです。その他、各種調査で取組を効果的に行うための調査等にも努めているところです。
 右側ですが、「累積した未請求退職金を縮減するための対策」として、これは後ほど表で説明しますけれども、平成12年度以前に脱退した未請求者等についても、順次、住所情報を手に入れた上で直接の請求を行っているところです。
 これらの結果、下の表ですが、時効処理後の請求額については、取組前の19年度までは数百件程度であったものが、20年度以降は数千件ベースということで拡大しているところです。
 12頁で、「平成24年度未請求者対策(案)」です。これまでと同じものについては説明を割愛させていただきたいと思いますが、まず住所情報についてはデータベース化をしたところで、これらのシステムを稼動する。2つ目の○ですが、事業所の方から出てくる退職届に被共済者の住所欄を設けることにしましたので、その書かれた住所記入欄を活用して従業員の方への直接の請求手続きを行いたいと考えているところです。以下、これまで実施してきたとおり、2回目の請求手続きの要請、電話での要請等は平成24年度も引き続き実施したいと思っています。また右側の「累積した未請求退職金に対する取組」についても、平成12年度以前に脱退した未請求者を中心に実施してまいりたいと考えています。その下については平成23年度までと同様ですので割愛します。
 13頁で、これまでの取組を時系列に表でまとめたのが「未請求者調査実績」です。横の欄が平成12年度以前から平成24年度までの脱退年度別に、それぞれの年でどういった対応を行ったかで、下が1回目の請求勧奨、上が2回目の請求勧奨となっています。平成19年度については、時効になる平成14年度脱退者について行い、平成20年度については平成18年度まで行い、平成21年度から平成24年度の4年間に分けて計画的に、平成12年度以前の脱退者についての取組を実施したところです。
 なお、ここで「在籍者有」「在籍者無」と書いていますが、これは現在、当共済制度に加入している従業員がいる事業所と、いない事業所に分けて、いる事業所のほうが把握率が高いと考えられましたので、先に実施したということです。なお、それぞれ脱退した直近の方々に対しては、3か月経過した時点で請求勧奨を実施しているということです。以上です。
○勤労者退職金共済機構建退共山根建設事業部長 続きまして資料3-2をお開きください。「特定業種退職金共済事業における共済手帳の長期未更新者に対する取組」についてご報告いたします。特定業種というのは建設業、清酒製造業、林業の3つで、それぞれについてまとめてご説明させていただきます。基本的には各事業において、大きなフレームは同様の取組をしています。
 15頁の長期未更新者調査ですが、3事業とも実施していて、過去3年間、共済手帳の更新手続きのない被共済者について直近の更新申請、つまり平成22年度の調査で申し上げると、平成18年度に最終更新を行い、その後、19、20、21年度の3か年間更新がなかった被共済者について、事業主を通じて現況調査を実施しています。調査としては、現在も調査対象事業所で就労しているかどうか、就労していない場合には被共済者の住所を調査対象事業所に聞いています。この調査の結果、当該事業所を既に退職している被共済者については、退職金請求等を要請します。また現在も引き続き当該事業所で就労している被共済者については、事業主に対して証紙の貼付が満了したときには、速やかに手帳の更新申請を行うよう要請しています。
 平成22年度の実績ですが、いちばん上の表です。建設業退職金共済については調査対象となる被共済者数が3万1,048人、そのうち手帳更新件数が3,715人、退職金請求件数が1,842人でした。平成23年度の実績については、現在調査を実施しているところですが、建設業退職金共済について調査件数は2万9,201人です。
 2番目の表で、清酒製造業退職金共済の平成19年度から平成22年度の実績については、調査件数が7,339人、そのうち平成23年12月末現在の実績で手帳更新件数が82人、退職金請求件数が4,048人です。平成23年度の実績については、調査件数が54人、うち平成23年12月末現在で手帳更新はありませんが、退職金請求件数が2人です。
 3番目の表で、林業退職金共済の平成19年度から平成22年度の実績については、調査件数が6,103人、そのうち平成23年12月末現在の実績で手帳更新件数が600人、退職金請求件数が3,369人となっています。平成23年度の実績については、調査件数が157人、そのうち手帳更新件数が20人、退職金請求件数が31人となっています。
 次の16頁をご覧ください。加入通知を実施しています。内容としては新規に加入されたときに共済手帳の申込者に対し、被共済者の住所を記入していただき、その住所の被共済者本人宛に文書を送付することにより、加入したことを被共済者に通知するものです。これは平成23年12月末現在、建設業退職金共済は8万2,330人、清酒製造業退職金共済は102人、林業退職金共済は1,890人となっています。
 右上の表をご覧いただき、被共済者の住所のデータベース化です。内容として、新規加入時に共済手帳申込書に記入された被共済者の住所情報、あるいは先ほどご説明した長期未更新調査で判明した被共済者の住所情報、共済手帳を更新していただく際に入手した直近の被共済者の住所情報を、それぞれデータベース化しています。
 左下の表を見ていただき、被共済者に対する注意喚起等です。確実に退職金を支給するため、退職金請求手続き、共済手帳の更新手続き等に関する問合せの呼びかけの取組などを実施しています。平成23年度の実績としては、ホームページへの掲載、専門紙への広告の掲載、関係団体の広報誌への掲載、被共済者向けポスターの備付・配布、共済契約者向けのチラシの備付・配布を、3事業共通で実施しています。また清酒製造業退職金共済においては、相談員に対して共済手帳更新や退職金請求についての相談対応を依頼しています。
 右下の表ですが、その他の対策として、1点目は共済手帳へ住所欄を追加しています。これは共済手帳そのものに住所欄を設け、被共済者が自ら記入する仕組みです。これにより被共済者が事業所を退職したときなどに、共済手帳を本人に渡すことがより確実になることが期待されます。2点目は共済手帳の重複チェックの実施です。これは建設業退職金共済で実施していますが、新規加入時と退職金請求時、それぞれにおいて被共済者が重複して加入していないか、チェックシステムによりチェックを実施しています。このチェックにより、退職金受給者が2冊以上の共済手帳を持っていることが判明した場合については、それらを合わせて追加して退職金を支給するものです。3点目は全共済契約者に対する要請文書です。これは清酒製造業退職金共済と林業退職金共済で実施しているものです。内容としては証紙の貼付が満了したときなどには、速やかに共済手帳の更新申請を行うこと。被共済者が事業所を辞めたときには、退職金請求の意思があるかなどを確認していただくことを要請しているものです。
 以上が、特定業種における長期未更新者の発生防止及び解消のための取組の報告です。
○勝部会長 ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問はございますでしょうか。
○清水委員 建設業においては、東日本大震災の関係で、かなり大勢の人が首都圏からでも移動が行われて、職種によっては、かなり首都圏の人手不足のようなことが顕在化してきているのが実態です。それも派遣企業から転勤になったという方以外に、かなり被災地のご出身の方がいらっしゃるので、こちらの職を辞して向こうへ移動されるという方が、建設業においてはここのところかなり増えております。今後、震災復興の具体化になると、さらにそういう意味の移動が加速化されるとも思います。ここで見ても、建設業退職金共済絡みのものはなかなか把握しにくい、それから未更新者の数も非常に多うございますので、そういうことにならないような、事前の届出の働きかけとか、そういったものを強めていただくほうがいいのかなと。それが結果的に未更新者を防ぐことにつながるのかなという気がいたしますので、ご提案をさせていただきました。
○勤労者退職金共済機構建退共山根建設事業部長 応援演説ありがとうございます。念のためということですが、建設業退職金共済については、期間労働者、いわゆる日給月給的な給与体系の下にお仕事をされている建設期間労働者を対象とする共済事業です。一般の建設業界でありましても、いわゆる常勤の方々については、一般の中小企業退職金共済に加入されております。したがいまして、常勤の方が被災地以外の会社をお辞めになってお移りになる場合は、一般の中小企業退職金共済の退職の手続きとか、新たなお勤め先での加入の手続きが必要となりますが、私ども建設業退職金共済の特殊性としまして、期間労働者を対象としておりますので、被共済者である期間労働者の方が手帳さえお持ちになれば、建設業退職金共済に加入している18万社のどこにお勤めになりましても、1日1枚当たりの証紙をその手帳に貼っていただくことになっております。
 したがいまして、期間労働者の場合ですと、たとえ九州から被災地に移動になってお仕事をなさいましても、そのお仕事をされている会社が18万社のうちの1社であれば、証紙を貼っていただきまして、その会社を通じてご請求いただくことになっております。そもそも建設業退職金共済の場合は、労働者ご本人がいろいろな会社で一定期間お仕事をなさるという制度スキームになっておりますので、念のためですが補足させていただきます。
 当然のことながら、退職金の請求をされるまでの間は、1日1日の証紙が予定利回り2.7%を稼いでいくということになります。したがいまして、期間労働者の場合は、お辞めになってまた被災地でご加入になりますと、かえって場合によっては損をするという状況です。
○長谷川委員 全国建設業協会の長谷川です。いま建設業退職金共済さんからご説明があったように、東日本の震災の復興を全国的に支援する、手前どもは全国組織なものですから、そういった広域連携システムを4月の新年度から立ち上げまして、技術者・労働者の不足がかなり発生していて復興が遅々として進まないという声もありますので、全建のネットワークを活用して、今後そういった労働移動が四国・九州からも東日本に入っていただいて、取組をするというようなものを検討中です。そういうことで、建設業退職金共済さんからお話があったように、きっちりと運営していただければよろしいのではないかと思います。
○勝部会長 そういった周知が非常に重要だということですね。
○長谷川委員 はい。
○林委員 いま建設業退職金共済の話も出たのですが、私どもの組合も建設業退職金共済を中心に普及活動をやっているのです。前々からこの部会でも発言させていただいているのですが、いちばんの欠点は、特定業種の場合、24か月掛金を払わないと退職金をもらえないのです。だから、掛捨てになってしまうのです。24か月証紙を貼ろうと思うと、平均しますと約3年間働かなくてはいけないと。平均ですから、長い人は5年ぐらい働かないと駄目だということです。
 特に私ども建設業の場合に、一人親方という層が存在していまして、この層は自分で自分のために掛金を払うのです。ところが24か月しないと退職金をもらえないと、世の中の常識とは懸け離れているような制度でして。いま建設業の就業者数が減っていますが、若い人はどんどん建設業から離れていくという状況を考えますと、少しでもそういうことについて改善していただければと思っているところですので、課長よろしくお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 建設業退職金共済制度は、言うまでもなくいわゆる業界退職金でして、対象者がその業種で従事する期間というのは、1つの企業で働く期間よりも長いだろうということから、不支給期間を24か月としているものです。また、その不支給分については、長期加入者の退職金に上乗せをするという制度設計になっています。
 ご指摘のあった不支給期間の短縮については、これまでもこの部会で議論をいただいております。平成21年の10月には、賛否両論があるとした上で、「不支給期間を短縮するためには長期勤続者の退職金額を減少させなければならない。制度の安定的な運用という観点からは、長期勤続者の期待利益を害することには慎重である必要がある」として、現時点において、直ちに不支給期間の短縮を行うことは適切ではないとの考えをおまとめいただきました。その状況につきましては、現在においても変わりはないのかなと考えております。魅力ある建設業とするためにも、現在の仕組みというのは有効なのかなと考えておりますので、ご理解をよろしくお願いいたします。
○久保委員 何点かあるのですが、1つはいまの点です。この部会の中での議論の仕方が、仮にするとすればという手順です。すなわち、今日なら今日この場でもって、がんがんやり合ってもいいようなものなのか、または別に場を変えなければいけないのか、これが1点です。
 もう1つはお尋ねです。そもそも未請求というのはなぜ発生するのか。素直に考えますと、退職者に対して、事業主から「これを出すと退職金がもらえますよ」と言われたら、基本的に請求しないということが発生するのかなと思うのです。そもそも知らされないということなのだろうかと思うのですが、その辺はどのように捉まえているのでしょうか。
 もう1つは、2年以上経過した人の未請求は、現段階で時効処理をしたあとの支給件数が表にありますが、現段階で未請求で残っている総件数は1件当たりどのぐらいの金額になっているのでしょうか。
○勝部会長 最初の短縮の問題については制度設計にかかわることなので、今日はその議論は特にしないと理解しています。2番目の事業主の最初の責任ということ、未請求がどのぐらいあるのか、その辺についてお願いいたします。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 まず、なぜ未請求があるのかについてですが、これはなかなか難しくて、私どももいろいろ調査等を行っています。1つの材料として、未請求であった方が請求していただいた場合に、私どもはその方々に対してアンケートを実施しております。そのアンケートの結果ですが、加入していたことを知っていたかという質問に対して、「知らなかった」という方が70.8%、「知っていたけれども忘れていた」が13.4%で、「知っていた」という方は14%ということですので、加入者がそもそも知らなかったということが、原因の大きなものかなと思っております。そのため加入した際に加入通知書を出すとか、年に1回加入状況をご本人に渡してもらうように事業主にお願いするといったことで、まず加入者の方に知ってもらうことが第1なのかなと思っております。
 併せて、未請求になるもう1つの理由として、例えば懲戒免職になった場合とか、中退の場合は1年間加入していますと退職金が発生するわけですが、その事業所の制度で、例えば3年以上の場合ですとか、事業所では退職金の対象にならないような方の場合には、お辞めになるときに、事業主の方が退職金がもらえることをご提示していただけないという場合もございますので、そういったことなども未請求の原因の1つかなと思っております。
 次に、既に未請求になっている方々について、金額がどの程度になっているかについてです。現在、構成比で申しますと、1万円未満の方が33.8%、1万円から5万円の方が38.4%、5万円未満の方が72%となっております。ただ、50万円以上の方も1%ぐらいはおられるところですが、大部分は5万円未満となっておりますので、どちらかといえば少額の方というのは勤続年数が短い方だろうと思っておりますので、そういった方々について、未請求の方が多くなっているというのが実態ではないかと思っております。以上です。
○鈴木委員 未請求の関係で、当初、平成18年度で49万件、365億でした。それはどのような経過で、どのぐらいになっていますか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 平成19年度の時点で未請求者が49万2,000人余り、金額は365億円と出ていましたが、平成22年度の決算時点では、未請求者が49万6,000人強、388億円となっています。新たに時効になるものは、例年1万人前後であったものが5,000人という形で、ほぼ半減しております。一方で時効後請求者数は増えていますので、平成21年度以降は、未請求者が少し減っている状況にはございますが、退職年度が古い方の場合には、例えば事業主が倒産あるいは廃業などして、そもそも事業主にも連絡を取れなくなっているような場合が4割強あったり、平成12年度以前の脱退者の場合には、いろいろ住所を仮に事業主から把握できても、もうそこから転居して辿り着かないというように、脱退年度の古い方については相当難しい状況になっております。例えば住基ネットの活用などが可能になれば、その辺りも含めて追っていくことができるのではないかと、私どもは期待しているところです。
○鈴木委員 ということは、一向に数字的には減ってはいないということですね。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 固まりの層は、なかなか難しいというのが現状です。
○早川委員 いまの久保委員の2つ目の質問とも関連するのですが、未請求対策にご尽力いただいていることはわかったのですが、11頁に「2年経過後未請求率」ということが載っています。平成23年度の実績のところで、前年度よりも0.5ポイントほど未請求率が上がっているのですが、この辺の原因は解明しておられますか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 まだ年度途中ですので、これから請求を出していただければ、もう少し数字は下がってくるかなと思っております。昨年より少し高い数字になっていることは事実でして、原因については調べているのですが、確たることは難しいです。1つ考えられるのは、未請求者の住所情報を把握して請求をお願いする場合に、従来は6か月経った方について行っていたものを3か月の段階、まだ請求途上の方も含めて早い段階で実施しましたので、少し対象が多くなったということから、従来は簡易書留で勤められていた事業所の名前等も記載してお願いしていたものを、普通郵便で請求手続要請書の送付に留めたということも原因しているのかなということも考えられますので、改めて未請求者の方全員に対しまして、簡易書留で実際に働いていた事業所の名前を入れるとともに、返信用封筒も添えまして再度送付したところです。何とか3月末まで、できる限り数の縮減に努めていきたいと思っております。
○勝部会長 この問題はこの部会でもいろいろ長く議論したものだと思うのですが、例えばいま考えられている歳入庁みたいなもので、個人の税と社会保障を一体的に把握できるようなシステムになれば、こういった問題も軽減されてくるのかとは思うのですが、何かございますか。
○臼杵委員 住基ネットの話がありましたが、住基ネットや、いま部会長から話のあったマイナンバーというものが検討されているわけで、そういうものができて、そもそもマイナンバーを使って住基ネットにいけるかは、まだよくわからないと思うのですが、まずはそこをしっかり押さえていただきたいと思います。ただ、仮に住基ネットを活用できたとして、10年前に請求時期がきていた人の勧奨はできるのですか。
○木原勤労者生活課長 住基ネットについては法改正が必要で、どういう段階でできるかについては、引き続き関係する省と調整を進めていきたいと思っております。それによって、住所なりを把握できれば、10年前に請求時期がきていた人への勧奨が、ある程度できると考えております。
○臼杵委員 それで住所が把握できますか。
○木原勤労者生活課長 ある程度は把握できると思います。住基ネットの活用ができれば、直ちに全部解消するというものではないのでしょうけれども、ある程度は累積の未請求者の対策には資するものと考えております。
○臼杵委員 不謹慎かもしれないのですが、例えば10年経っているものは諦めるというか、法律的には時効は成立しているわけです。最近、銀行の休眠口座を政府が召し上げるという話も出てきていて、問題提起になるのかもしれませんが、時効が成立して相当程度いって、そこにお金をかけるのがいいのかどうか。逆に、未払いのものを中退制度のために活用するようなこともあるのかなということも考えている次第です。
○木原勤労者生活課長 掛金をお掛けいただいて、それで退職金が支給できるのに、請求されていない方について、できるだけ支給を進めるようにするというのが、基本的にあるべき姿なのだと思っております。ただ、どこまで追求していくかということもありましょうから、累積の未請求対策として、一通り請求勧奨を行った上で、さらにこの後どうするのか、先ほど1万円未満が3分の1、5万円未満で7割を超えているのだというお話もございましたし、どこを重点的に今後やっていくのかについては、確かに検討していく必要があると考えております。
○大塚委員 住基ネットを検討するというのですが、選択肢として年金番号は使わないのですか。
○廣瀬勤労者生活課長補佐 年金関係につきましては、基本的に年金制度のために個人情報を活用するという縛りがありますので、使えないものです。
○大塚委員 住基ネットは総務省だけれども、年金番号のほうが厚生労働省に近いかと思ったのですが、わかりました。そういう問題ではないのですね。
○勝部会長 これはかなり広い問題も含まれているということで、引き続き検討していくことになるかと思います。
 次の議題に入ります。議題(4)今後の加入促進対策について(適格退職年金制度廃止後の取組)ということで、事務局から説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 資料の18、19頁です。中小企業退職金共済制度は、そもそも退職金制度がない中小企業の勤労者に退職金制度を創設するというのが基本ですので、多くの事業所に入っていただき、多くの勤労者にその利益を受けていただくというのが基本であり、加入促進は制度の基本です。これまで、特に平成23年度までは適格退職年金制度からの移行ということに力を注いできましたが、それが今年度で終わり、平成24年度からは適格退職年金制度からの移行がなくなるということもありますので、さらに加入促進について力を注いでいかなければならないということから、厚生労働省と勤労者退職金共済機構との間でも連携をして、加入促進対策を進めていくこととしております。
 資料の18頁は、いま行っている加入促進対策です。?一般的な周知広報、?個別の加入促進、?関係機関との連携、?例えば加入促進月間などを設けた集中的な対策、?適年からの移行促進、?そのほかの加入促進といったことで、いろいろと進めております。?は平成24年度はなくなりますが、平成24年度については、こういったことを引き続き一生懸命やっていく。
 19頁にいきまして、さらに勤労者退職金共済機構として、??のことを予定しております。?事業主に対する加入勧奨等の強化で、地域密着の金融機関、具体的には信用金庫を想定しております。信用金庫などを訪問して、信用金庫に「中小事業主に是非普及促進を図ってください」ということで連携して、協力していきたいと考えております。そのほか、加入事業主に対する追加加入の促進、適年からの移行者に対する対策も講じていくこととしております。
 ?関係機関との連携ということで、我々労働局関係との連携。2つ目に、勤労者退職金共済機構として、新規開業が多い医療・福祉分野の加入促進に力を入れていきたいと考えておりますので、これらに対して厚生労働省としても、労働局、業界団体、医療・介護分野の団体への要請といったことで、連携を図っていきたいと思っております。
 これまでも一生懸命やっていますし、平成24年度以降もこのような形で加入促進に努めていきたいと考えています。
○勝部会長 これも大変重要なことだと思いますが、ご意見、ご質問はございますでしょうか。
○新田委員 平成24年度から適格退職年金が廃止になるということで、特に18頁の?の周知広報活動はすごく重要になってきていると思っております。CMなどさまざまな形で目にする機会は確かに増えてきているのですが、一層の周知活動が必要ではないかと思っております。ご提案というほどでもないのですが、いろいろな形はあると思いますが、厚生労働省で、労働保険、社会保険の実務担当者向けのメールマガジンを出されていると思いますので、そういうところにも中小企業退職金共済の宣伝、あるいは先ほどの未請求についても関係してくると思うのですが、メールマガジンも活用するとよろしいのかなと思いました。
○木原勤労者生活課長 企業の労務担当者も目にすると思いますので、検討させていただきます。ありがとうございました。
○島村委員 加入目標を立てていると思うのですが、加入目標というのは新規ということになってしまうのですが、企業によって退職金の規定もあるでしょうけれども、入った方に5,000円を1万円、1万円を2万円にしてもらうという需要もあると思うのです。そういったものを目標にして、増やすという目標設定というのは可能なのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 入っていただくことは目標にできるでしょうが、掛金については、その会社の退職金水準がどうかということとも関係すると思いますので、勤労者退職金共済機構の目標として設定するのは難しいかなと思っております。ただ、増額について、掛金補助などの優遇措置もありますので、そういったことのPR、増額ができることの周知は進めていきたいと考えております。
○勝部会長 20頁の加入目標というのは平成22年度まで出ていますが、これは将来的なものもあるのでしょうか。そもそも目標値とはどのように算定されているのでしょうか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 加入目標については、中期計画で5年間の目標を定めるときに定めておりまして、平成20年度から始まった5年間の中期計画の中で目標を定めております。なお、それぞれの加入目標の数字については、第1期中期計画の実績平均にさらに努力目標分というものを加えて設定しております。なお、平成22年度が高くなっておりますのは、適格退職年金の終了間際ということで、さらに力を入れて行うようにということで目標値が高くなっています。
○清水委員 先ほどのご提案で、積み増しに力をということがありました。私の記憶が違っていたら申しわけないのですが、前に積み増しのそういう活動をされて、積み増しをしたときに多少のメリットを加えて運動をされていた時期があったような記憶があるのですが、そういったものについては、今後どうお考えでしょうか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 掛金の増額についてですが、現状をご説明させていただきますと、掛金を増額していただいた場合には、増額分の3分の1を1年間厚生労働省から助成していただいているところです。その結果として、平成22年度ですと年間16万5,000件ということで、全体の加入者が300万人ですので、5%程度が1年間で増額されています。その結果、掛金の平均額も、加入時掛金平金額は6,881円ですが、在職者全体ですと9,119円ということで、6,000円程度で入られた方が、例えば8,000円あるいは1万円という形で増額していくことは、事業主の方もかなり行っていただいております。私どもも、こういった助成金のあることを周知徹底して、増額に結び付けていきたいと考えているところです。
○鹿住委員 これだけ雇用が余っていると言われている時代に、中小企業はなかなか必要な人材を採れないということで、こういう中小企業退職金共済制度に入っているということが、むしろ中小企業が採用をするときにいい宣伝材料になるかと思いますので、例えばハローワークで求人票を出されている中小企業に、中小企業退職金共済の制度に入っているか、そういったことを公表したほうがいい人材が採れるといったことでお勧めいただくとか、そういった方法もあるのかなと思います。
 もう1つは、最近、開業の多い医療機関・介護事業所ですが、こちらは正規のフルタイムの職員の方というよりは、ヘルパーなどの短時間勤務の従業員を雇うケースが多いかと思います。そういった方も加入できるということを、是非、強調されたほうがよろしいのではないかと思います。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 掛金は通常の場合に5,000円から3万円と設定させていただいておりますが、短時間労働者の場合には2,000円から入れるということで、できる限り短時間労働者の方にも入っていただくようにお願いはしているところです。
○瀧原勤労者生活課調査官 最初にご提案いただいたハローワークのことですが、いまの求人票に中小企業退職金共済に加入していることの欄は入っております。そこにチェックしていただくと見られる形になっておりますが、制度自体が知られていないと、あっても意味がないというのはあります。そういう意味では、ハローワークではお知らせするような形にはなっていますので、併せて広報をよりやっていくと意味が出てくるのかなと思っております。
○西村委員 2点ほどございます。1つは、運用状況もかなり悪かったので、次回のアジェンダとして、予定利回りが2.6%の計画に無理があるのではないかとも考えられるので、早いうちにもう少し見直しした計画を立てたほうがいいのではないかと思います。ポートフォリオを見直す必要も出てきて、このままで持続性ということを考えて大丈夫なのかということが懸念されると思います。
 それから、未請求についてです。先ほど年金番号という話が出ていて、ご回答では他の目的では使えないということで、それが現状なのですが、その現状を変えることが可能なのかも含めて議論ができるように、厚生労働省側で調整していただいて、次回などにはそういうところも含めた議論、制度設計できるような形で議論できたら、改善策の選択肢が広がるのではないかと思います。
 これから未請求を新規に出さないことはすごく重要だと思うので、累積のところはほかの先生がおっしゃっていたように、どこかで対策をやめることを決定していく時期もあるかと思うのですが、これから新規に増えるというところは、是非とも制度を考えて、作らないようにしていく必要があると思うのです。選択肢を増やすところも含めた議論ができる環境づくりもしていただければと思います。
○木原勤労者生活課長 いますぐにここでというよりも、次回に向けてということですので、受け止めたいと思います。
○西村委員 よろしくお願いします。
○勝部会長 次の議論に入ります。議題(5)独立行政法人改革の動向についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 前回の11月の部会の場で、独立行政法人改革の状況についてご報告いたしました。その後ですが、本年1月20日に閣議決定が行われました。資料の22頁に独立行政法人改革の全体像をまとめた資料をお付けしております。
 勤労者退職金共済機構に関しては、23頁をご覧ください。?です。閣議決定において、勤労者退職金共済機構は「高度なガバナンスの仕組みを措置した金融業務型の成果目標達成法人とする」と整理をされました。成果目標達成法人については、現在の独立行政法人について適用されるルールを見直した共通のルールが適用されます。さらに、金融業務型でしたら、少し上の?金融業務型の「構築すべきガバナンス」で、「法人の財務状況を専門的に点検する体制の整備を図り、内部ガバナンスをより高度化する」といった体制整備が図られていくことになります。
 今後のスケジュールですが、閣議決定の中で、平成26年4月に新たな法人制度及び組織に移行することを目指すとされています。したがって、約2年後の平成26年4月に向けて、勤労者退職金共済機構についての具体的な制度設計を検討して必要な法的措置を講じるなど、今後、必要な作業を進めていくことになります。
 また、この閣議決定の基になりましたのが、行政刷新会議の独立行政法人改革に関する分科会の報告書です。この分科会の報告書の抜粋を点線から下に付けているのですが、いちばん下の○の労働者健康福祉機構のところです。労働者健康福祉機構は医療関係の法人として整理されることになるのですが、「移行に当たって、労災病院関係業務等の真に必要な事務・事業に限定すべき」とされています。そして、下線を引いておりますが、「このような観点から、未払賃金立替払事業については勤労者退職金共済機構に移管することが適当である」とされています。したがって、平成26年4月の新組織への移行に際しましては、現在の退職金共済事業、財形融資事業に加えて、未払賃金立替払事業も実施する法人として、新法人へ移行するということになります。以上です。
○勝部会長 ご質問、ご意見はございますか。
○内藤委員 勤労者退職金共済機構がいらっしゃっていますので、1つご質問を申し上げます。ここに「構築すべきガバナンス云々」ということで、当然すべての独法についてはその見直しは非常に重要なことであるわけですが、現在の勤労者退職金共済機構の、例えば会計監査及び業務監査はどのような形になっているのでしょうか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 会計監査については、外部の監査法人に見ていただきまして、決算等について確認いただいているところです。また、業務監査についても、常勤、非常勤の監事の下に、確実な業務監査をやっていただいていると考えています。
○内藤委員 常勤、非常勤監事という方々の人選、その他はどのような形になっているでしょうか。
○勤労者退職金共済機構清川総務部長 監事の任免は厚生労働大臣になりますが、私どもからはご推薦申し上げる形になっていますが、公認会計士等も含まれているところです。
○勝部会長 勤労者退職金共済機構の金融業務としては、例えば財形の住宅融資のように、融資業務も一部やっているということですよね。
○木原勤労者生活課長 やっております。
○勝部会長 これについては、今後、金融庁と連携して検査等も入っていくという見通しでよろしいのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 事実として申し上げますと、行革の議論の中では、勤労者退職金共済機構について金融庁の検査を導入するという議論はございませんでした。もちろん今後の制度設計の中でどう整備されるかというのはあるのでしょうけれども、特にいまのところはその議論もなく、閣議決定などにもほかの法人では金融庁検査の導入というのが書かれているものもあるのですが、勤労者退職金共済機構についてはいまのところは書かれていない、そういう議論はされていないというところです。
○勝部会長 そうすると、ほかに考えられることとしては、基本方針が出たということであるとすると、どういう形のガバナンスの評価が考えられるのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 この類型について、どのようなガバナンスが考えられるかについては、行革の当局でもいま検討を進めていると承知しております。その状況など、ほかの例などを見ながら、今後の制度設計をしていくことになろうかと思っております。
○勝部会長 ほかによろしいでしょうか。議題(6)その他ですが、何かございますか。
○木原勤労者生活課長 1点だけご報告いたします。勤労者退職金共済機構は、いま芝公園にあるビルに本部がございますが、前回の部会の際に移転をするというご報告をいたしました。具体的には、勤労者退職金共済機構の本部は、芝公園から池袋の賃貸ビルにゴールデンウィーク明けに移転することになりました。なお、財形事業本部が今横浜にいるのですが、こちらは少し早く4月に移ります。残った勤労者退職金共済機構のビルは処分することになりますが、処分するに当たりましては、厚生労働省の独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で、認可するという手続きがありますので、いまこの手続きを進めております。以上、移転のご報告でございます。
○勝部会長 特にご意見、ご質問がないということであれば、本日の第48回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を終了いたします。本日の議事録署名委員は、大塚委員と清水委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)

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