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2012年3月9日 平成23年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成24年3月9日(金)10:00~12:00


○場所

航空会館 701及び702会議室(7階)


○議題

1.サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)について
2.レブラミド適正管理手順(RevMate)について

○議事

○事務局 定刻よりも少し早いですが、先生方お揃いですので、平成23年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催します。本日の調査会は公開で行いますが、カメラによる撮影は議事に入るまでといたします。報道関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。傍聴者の方は傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと」「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願いいたします。
本日、御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、また朝早い中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、安全対策調査会の委員の先生につきましては全員御出席いただいています。次に参考人の先生方を御紹介させていただきます。社団法人日本薬剤師会副会長の生出先生、昭和大学藤が丘病院客員教授の小峰先生、東京大学大学院医学系研究科助教・財団法人いしずえ理事長の佐藤先生、日本骨髄腫患者の会副代表の上甲先生、社団法人日本医師会常任理事の高杉先生、大阪大学大学院薬学研究科教授の那須先生、群馬大学医学部保健学科長の村上先生、なお本日は御欠席ですが、新たに産婦人科領域から、東京大学大学院医学系研究科准教授の藤井知行先生に参考人に加わっていただいています。またサリドマイド製剤の製造販売業者である藤本製薬株式会社から大西さん、レナリドミド製剤の製造業者であるセルジーン株式会社から伏見さんに御参加いただいています。
これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。以後の議事進行は松本先生にお願いいたします。
○松本座長 それでは、まず事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。
○事務局 まず薬事分科会審議会審議参加規程についてです。本日、出席をされた委員の先生方の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況を報告いたします。本日の議題は、議題1がサリドマイド製剤関係、議題2がTERMS、レブラミド関係のものです。したがって関連企業としては、多発性骨髄腫の治療薬の製造販売業者である藤本製薬株式会社、セルジーン株式会社、ヤンセンファーマ株式会社の3社から、過去3年度における寄附金等の受取りについて申告をしていただいています。なお関係品目・関係企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいているところです。委員の先生におきましては、遠藤先生がセルジーン株式会社から50万円以下の受取りとの申告がございましたが、今回の審議への不参加の委員の先生はいませんでした。また参考人の先生方におきましては、村上先生がセルジーン株式会社から50万円以下の受取り、藤本製薬株式会社及びヤンセンファーマ株式会社から、50万円を超えて500万円以下の受取りとの申告がございました。那須先生が藤本製薬株式会社から500万円を超える受取りがあると申告がありました。しかしながら、那須先生は今回審議をする、サリドマイド製剤の安全管理手順の第三者評価のための受託研究で受領していること等から、今回の審議の参加には問題はないと考えられます。
○松本座長 ただいま事務局から説明がありました審議の際の申合せ事項については、よろしいでしょうか。特にないようですので、関係品目・関係企業の妥当性を含めて了解いただいたものとします。ありがとうございました。次に事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 お配りしている資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、資料の一覧がございます。資料1はサリドマイド製剤安全管理手順関係の資料ですが、資料1-1は薬剤(サレドカプセル)の服用及び管理の状況、安全管理手順に関する調査(医薬品医療機器総合機構実施)調査結果抜粋、次に資料1-1の別添が付いています。資料1-2はTERMS第三者評価委員会により実施された、患者・医療関係者アンケート結果、資料1-3は藤本製薬株式会社の意見と回答、資料1-4はサリドマイド製剤安全管理手順改訂案、以上がサリドマイド製剤安全管理手順関係の資料です。資料2はレブラミド適正管理手順の改訂案についての関係です。資料2-1はレブラミド適正管理手順の評価と改善に向けた提言書、資料2-2はセルジーン株式会社の意見と回答、資料2-3はレブラミド適正管理手順の改訂案です。資料3は佐藤参考人から提出された資料です。資料4は日本骨髄腫患者の会からの要望書です。資料5は主な論点です。
参考資料1は医薬品等の安全管理方策に関する審議について、これは本調査会においてTERMS等の類似製剤の安全管理手順について、調査審議を行うための整理のための紙です。参考資料2はサリドマイド製剤の製造販売後調査の結果について、これはサリドマイド製剤の承認のときに製造販売後調査を実施することが承認条件として義務づけられていて、定期的に結果を公表するとされていますので、今回、その定期的に公表された結果を参考資料としてお配りしているものです。
また、本日は、机上に直接配付してある資料が三つございます。机上配付資料として一つ目がTERMSに対する提言、これは医薬品医療機器総合機構実施調査のうち、提言の部分を抜粋したものです。机上配付資料の二つ目はRevMateに対する提言で、RevMate三者評価委員会の提言を抜粋したものです。三つ目は上甲参考人の当日配付資料で、サリドマイド製剤安全管理手順及びレブラミド適正管理手順に関する要望書の補足です。
資料については以上ですが、資料の不足や乱丁、落丁などがございましたら事務局までお申し出ください。
○松本座長 よろしいでしょうか。それでは本日は類似した安全管理手順について審議いただきますので、議題1と議題2を一緒に審議したいと思います。議題1はサリドマイド製剤適正管理手順、議題2はレブラミド適正管理手順についてです。それぞれの製剤についての安全管理の方法を定めた手順について、先生方に御検討をお願いしたいと思います。資料の説明をお願いしたいと思いますが、まず初めに事務局からTERMS、RevMateの現状について説明をお願いします。
○事務局 事務局より、TERMS及びRevMateの経緯について簡単に御説明させていただきます。TERMSはサリドマイドの適正使用、胎児曝露の防止を目的に、平成20年10月にサレドカプセルが承認され、販売が開始されるとともに運用が開始されました。その後、平成22年3月の安全対策調査会を経て、処方期間延長及び入院中の薬剤管理について改訂され、また平成22年9月の安全対策調査会においては、医療機関や医師、患者の登録に当たっての要件の緩和や、診察前に患者がFAXを送付することとされていた調査票を廃止する等の改訂が行われており、これまで大きく2回の改訂が実施されています。
また、もう一方のRevMateにつきましては、TERMSと同様に、平成22年6月にレブラミドが承認されるとともに運用が開始されており、平成22年11月の安全対策調査会では入院時の薬剤管理に関する改訂について審議が行われ、改訂が実施されています。
TERMS及びRevMateともに、遵守事項を評価するための独立した第三者評価機関を設置することとされており、これらの第三者評価機関は独自に調査や評価を行い、必要な改善点について提言を行うこととされています。今回、それぞれの第三者評価機関から昨年までに実施された患者や医療従事者に対するアンケート調査結果、及びそれを踏まえた提言が提出されました。また、これとは別に医薬品医療機器総合機構では、未承認薬審査迅速化のためのリスク管理体制構築に資する調査事業として、患者へのアンケート調査を実施し、同様に提言を取りまとめています。これらを踏まえ、本調査会では、調査結果及び提言の内容について御報告をいただくとともに、TERMS及びRevMateの見直しについて御審議をお願いしたいと考えております。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。それでは医薬品医療機器総合機構が実施したTERMSに関する調査の結果について、総合機構薬剤疫学課長から御説明をお願いします。
○総合機構薬剤疫学課長 総合機構の薬剤疫学課長の長谷川と申します。よろしくお願いいたします。資料の説明をさせていただきます。資料1-1別添を御覧ください。先ほど御紹介もありましたが、3ページの調査設計の下のところに今回の調査の目的について記載があります。今回の調査の目的については、厳格なリスク管理方策(TERMS)を条件に承認されたサリドマイドについて、そのリスク管理方策の実施状況に係る患者調査を行い、指摘のあった点の改善が行われた。今般、改善後の状況を調査することにより、今後の安全管理審査の検討に必要な資料とし、今後の未承認薬の審査迅速化に資する業務を実施するということで調査を行っています。調査期間等については、ここに記載されているとおりです。
資料1-1に戻っていただきたいと思います。こちらが調査結果の抜粋になります。1ページを御覧ください。調査結果から分かることということで調査結果をまとめて記載しています。例えば全体的事項として1ポツに、患者の多くは過去のサリドマイド薬害に関する認識はしっかり持っていたことが分かりました。患者背景、医療機関とまとめてありますが、医療機関の関係で言いますと1ポツにありますように、転院をした人は前回の調査より数は少なくなっていますが、通院の利便性、専門医の治療を受けるため転院をしているといったことがわかりました。
2ページで教育の関係ですが、5ポツ目で教育のために複数回通院がまだ行われているために負担を感じている患者もいるのが現状です。その要因として、補助教育ビデオを家で見てくるように言われた患者がいることが調査結果から分かっている状況です。その後の、同居者、家庭内での情報の共有、理解度確認テスト、3ページで薬剤管理者、登録手続き、処方前確認、カプセルシート等々、いろいろな質問事項について調査結果をまとめています。
このように調査結果を取りまとめ、それに対して最終的な意見ということで6ページを御覧ください。2.調査結果や臨床現場の経験を踏まえた委員からの意見ということで、ここに全体的なものの取りまとめを行っています。(1)患者の実態に即した見直しで、?女性患者Cの定義の見直しです。女性患者Cについては、その区分が適切に機能しているとは思えない調査結果もあり、入院中、または主治医が状況を見て判断できるとするRevMateの改訂案に賛同する。RevMateの患者区分の見直し議論と整合性を取る形で見直しが必要ではないかということです。この中で一つ誤植がありますので訂正させていただきます。○の四つ目のポツに「産婦人科専門医が定期的に検査し、卵巣機構」と書いていますが、「卵巣機能が廃絶していると判断できる」と訂正させていただきます。
?処方及び調剤までの流れの見直しですが、遵守状況等確認票のところで言うと、1.遵守状況等確認票の確認項目に関しては、見直しを行うことが適当である。患者が高い意識を持っている項目は削除して差し支えないと考える。2.定期確認調査票で患者が自ら申告する項目と重複する確認項目については、過度な重複確認をしないよう整理することが適当ではないか。3.「処方医師記入欄」「患者記入欄」は削除してもいいのではないか。4.TERMS管理センターで処方前にリアルタイムに確認が必要な項目は、女性患者Cの妊娠検査結果のみであるとして、そちらの方を重点的にやる。男性患者A及び女性患者Bについては、事後に返事を確認する手順にしてもいいのではないかということです。?定期確認調査票の内容、実施時期の見直しですが、1.定期確認調査票の確認項目については、処方ごとに医師や薬剤師と行う遵守状況等確認票の確認項目と重複する項目もあるので、整理したほうがいいのではないかということです。
(2)治療を受けられなくする、または治療開始を遅らせる要件の見直しで、?処方医師の登録要件ですが、前回のTERMS改訂時に処方医師の登録要件が緩和されたが、未だ処方のために転院している患者が見受けられる。現行のTERMSでは既に日本血液学会認定血液専門医以外でも処方できるシステムになっているが、原因を把握し改善を検討するため、TERMS委員会にて評価し、藤本製薬株式会社が処方医として登録しても差し支えないと判断した医師はどれくらいいるのか確認することが必要である。また、このシステムが周知されていないのであれば、製造販売業者の努力によりさらに周知を図る必要がある、という結論が出されています。?DVDの扱いの見直しで、DVDをTERMS登録前に視聴しなければならない規定となっていますが、そのために複数回病院に通院している患者がおり、治療開始を遅らせる要因となっている可能性がある。結論として、視聴時期を登録開始前と規定せず、家庭内で視聴するものと位置づけ、視聴したかどうかの確認を処方開始後早い時期の初回の定期確認調査において行う手順とすることが適当であるとしています。
(3)患者が疑問に感じる手順の見直しで、?理解度確認テストの見直しです。理解度確認テストについては、米国のS.T.E.P.S.や類似薬の管理手順RevMateにもない手順であり、同意書の記入の確認を確実に行うことで代替できるのではないかということです。?カプセルシートの見直しで、処方時の数量管理については、毎回の処方時に空のカプセルシートの持参を求めていますが、その必要はないのではないかということです。?薬剤管理者の見直しで、RevMateと整合性を図り、「原則、全ての患者に設置する。設置できない患者で処方医師により不要と判断された場合はこの限りではない」とすることが適当であるという結論になっています。
9ページで、3.今回の調査を踏まえて、今後、安全管理の実施が承認の条件とされる薬剤の安全管理方策についてですが、このような安全管理方策については、1~4までの基準を満たした形で作成するのが適当であると結論をまとめています。2の最後にある、幅広い関係者の意見を聞きつつ作成されることが重要であるとか、3の最後にある管理手順の見直しですが、これは想定しなかった大きな負担となるものがあった場合、見直しをする必要があること。4ポツの同一施設の同じ診療科内で類薬同士に違う管理システムが存在すると事故の原因になるので、類薬の管理手順同士の間で双方の整合性を図っていくことが必要である。こういったことが今回の調査の結論として出されています。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。この検討委員会の委員長をされた村上先生、追加でコメントはございますか。
○村上参考人 今、御説明がございましたように、患者さんのTERMSに関する理解度は非常に高いものがあり、薬剤管理もしっかりされていることが分かりました。ただ、今、御説明がございましたように患者さんにとって、また医療現場で負担になっていることがありますので、皆さんの御意見を聞いて、これから御提言があったようなところを改善していけばよろしいかと思っています。
○松本座長 ありがとうございました。続いてTERMS第三者評価委員会からの資料について、那須参考人から御説明をお願いします。
○那須参考人 資料1-2をお願いします。TERMS第三者評価委員会は、患者さんがTERMSを理解しているか、またTERMSに沿って治療を受けているか、またサリドマイドが安全に使用されているかを継続的にモニターしています。同時に、患者さんに対して負担をかけていないかについても調査しています。調査は電話インタビューが基本となっています。また患者さんの声に関してはテキストデータとして保存し分析しています。これまで2009年3月から2011年12月現在、電話では4,519名、回答率は約56%です。書面は493通発送し、回答率は61%です。継続患者さんに関しては電話インタビューが、4,162通の送付に対して回答率が56%、書面は373通に対して64%でした。また医師、薬剤師に対する書面調査も行っています。2011年度の調査では、医師に約2,000通発送して回答率が31%程度、薬剤師では544通発送して回答率は74%でした。
3ページを開けてください。今回の改訂に伴い、どのような変化があったかを分析しました。その結果、理解度に関しては、クエスチョンで「胎児に奇形を起こすことを知っている」という項目においてのみ、初回調査群では有意水準5%で改訂前後に差が認められていますが、それ以外の項目については改訂による理解度の変化は認めませんでした。つまり、改訂によって理解度に変化はなかったということです。また、TERMS改訂前後でTERMSの理解度の変化はないと同時に、その理解度というのは非常に高いものであると。これは海外の調査と比べても、日本の患者さんの理解度は非常に高いことが明らかとなっています。
4ページで説明用のDVDですが、1%の有意差が出ています。つまり、改訂前では「はい」という回答が96%で、96%の方は分かりやすいという回答があったのですが、改訂後はそれが79%と低下しています。これは分かりにくいということよりも、御覧になっていないケースもあり、今回の改訂に伴いDVDの取扱いが変わっていますので、御覧になっていない場合は「はい」とは答えにくいので、このような結果が出ています。また無回答に関しても増えています。ただし、このようにDVDを「分かりやすい」と答えない、また御覧になっていないケースも増えているわけですが、実際には理解度に影響を及ぼしていない。つまり、DVDを御覧になっていない方も改訂によって少し増えていますが、理解度には変化がなかったことが、今回の調査で明らかとなっています。
5ページで患者さんの声ですが、電話調査を行っていますので、書面調査と比べて多くのコメントを患者様からいただいています。そのコメントを大別すると三つになります。一つはシステムに関する御意見です。また妊娠回避等の確認などの御意見、特にこの場合はプライバシーや患者さんの心情等が電話インタビューでも伝わってきています。患者さんが要望する情報としては副作用や服用方法などが寄せられています。
6ページですが、以上をまとめると、TERMSの改訂は患者さんの理解度にほとんど影響を与えていない。そして患者さんは非常に高い理解度を維持されていることが明らかになっています。しかしながら、このTERMSの良好な理解度というのは、登録患者の80%以上をサリドマイド被害の記憶を有する60歳以上の方が占めているということが、背景にあると考えられます。若年層においては、この被害の理解度が低下しているという報告もあります。また我々もそのような調査データを現在、まとめています。近い将来には、積極的なリスクコミュニケーションとリスク教育を行う必要があると我々は感じています。また現在治療中の患者さんへの継続的な情報提供とリマインドの方法についても検討が必要である。ただし、リマインドの頻度が多すぎると却ってリスクを高めるという研究結果も報告されていますので、対象に応じた適切なリマインドのあり方を、これから考える必要があります。
また、教育資料としてのDVDは、副作用など、患者さんが医師に尋ねたいこと、また医師の説明を家庭で補い、肉付けするためのものとして活用されていくことが期待されています。サリドマイド被害を患者さんに伝えるための方法論についても、再検討が必要であると考えています。
さらなるTERMSの改訂を行う場合には、患者さんからのコメント等を踏まえることが非常に重要であり、同時に、胎児曝露のリスクを増やさないために必要な対策は何かということを考えていくこと。そのような適正化が必要であると考えています。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。引き続きましてRevMateの第三者評価委員会からの御提言について、小峰参考人から説明をお願いします。よろしくお願いします。
○小峰参考人 RevMate第三者評価委員会の小峰でございます。よろしくお願いします。私どもの調査報告書は、資料2-1にアンケート調査の報告なども含めてまとめていますが、提言に関わる部分は、そのうちの21ページから26ページにまとめています。また先ほど配付していただいた参考資料の中に抜粋されているのが提言部分ですので、それについて簡単に要点をお話させていただきたいと思います。
レブラミドの使用が始まり、ちょうど1年程度までの期間で臨床実態がどうであるのか、あるいはRevMateの運用状況がどうであるか報告を受けつつ、医師、患者、薬剤師の三つの対象を別々にアンケート調査したわけですが、そこから得られた問題、あるいは現行のRevMateの機能状況といったものも測ることができたと考えています。それを踏まえてさらにRevMateの改善を考えた場合に、どのような点に焦点が絞られるかということでお示ししたのが提言-1から提言-5にわたるいくつかの項目です。最も重要と思われるのは提言-1にある、いわゆるC.女性と定義されている、妊娠可能性のある女性の区分けの臨床実態とのずれに着目、あるいはその事実に配慮して、現行の定義3項目が除外される必要がありますが、それに、ここに示した4と5の二つの項目を加え、合計五つの項目を満たさない場合、それをC.女性、妊娠可能性のある女性と定めるのが現実的ではないか。これはリスク管理の精度を損なうことなく、臨床の実態上把握される患者さんのアクセス確保、あるいは人道、人権の尊重といった面も踏まえた、合理的な基準になるのではないかということです。
仔細な条件の設定と申しますか、判断、判定基準を設けることは、この中では具体的に示していませんが、一つは主治医がきちんと判断できるということ、あるいは産婦人科の専門医の検査によって、その部分が担保できるという診断上の根拠が得られる場合になろうかと思います。それに加えて患者さん自身が自己選択し、自己責任を裏付けにしているという背景も考える必要があろうかと思っています。
提言-2以降は、比較的これまで行われていた医師から患者さんへの確認とか、処方要件の確認書の作成過程で行われる確認、書類の説明等に関わる問題で、患者さんのリスク区分等によらず、一律に近い進め方が決められていますけれども、医師の判断を入れて融通の利く、より簡略化したものになるように、そのような余地を求めたいということです。また残薬数の確認方式も、いろいろ現実には不都合があるようですので、それに関してレブメイトキットを用いたり、空シートの点検をしたり、残薬数を確認したりという部分は融通を利かせ、主に患者さんの自己申告を中心にしたものであっても構わないというところまで幅を持たせた方策に改めても、リスク管理上のデメリットは生じないのではないかということです。また、これはテクニカルな部分もかなり含まれていますが、RevMateの運用上、かなり薬剤部門にかかる負担が大きいので、RevMateに特有なハンディ端末の操作、それと関連して参照される医師の作成した書類との突合などのプロセスが、かなり時間を食う原因にもなっているといった訴えがありますので、それらの点で整合を取り、簡略化し、患者さんを待たせることになる、時間を取る部分の障害を軽減するのに役立つのではないか。これは技術的な問題も含まれていますので、医師や薬剤部門との調整を図りながら、同一基準で通信システムの修正を行うことを提言するということです。
提言-4については、患者さんが記入する遵守状況の確認票というのがRevMateにはありますが、TERMSの方では別の名称になっています。これについても項目の検討、吟味、それから配布間隔の検討、これはどのような間隔で行うのが最適かということについて、必ずしも具体的な数値を挙げて提言することには至っていませんけれども、検討の余地があることを提言申し上げたいと思っています。
提言-5は、1、2、3と観念的に近いところですが、次世代の患者、医療関係者へのサリドマイド禍等の背景についての教育、情報の伝達といったところに関わることです。また今回の調査で主として想定したのは、外来診療下におけるレブラミドのリスク管理でしたが、実際にやってみると、入院状況下におけるこの問題が意外と細かく詰められていなかったと思われる事例も挙がってきていますので、ここは見直す、あるいは再整備を急ぐということを申し上げました。もう一つ、レブラミド治療を受けている患者さんたちからの要望として、経済的な問題、薬自身の作用や効果に関して具体的な情報がほしいといった声が強くありました。これはリスク管理で患者さんに負担をかけているということもありますし、また数少ない病気で悩んでおられる方々でもありますので、そのような患者サイドからの要望に誠実にアップデートした情報を提供することも、提言案の中に入れさせていただき、全体の一部に加えさせていただきたいと思っています。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。佐藤参考人より資料が提出されています。佐藤先生、御説明をお願いいたします。
○佐藤参考人 資料3を御覧いただければと思います。私、今日の議論をする上で少し考えておくべきことがあるかと思いまして、それを整理したものです。私は、RevMateとTERMSの両方の第三者評価委員会の委員をしていますけれども、そこの中で、A.男性の患者さん、B.女性の患者さん、C.女性の患者さんの人数などは製薬会社から出されていますが、それが公表される形で今はみんなが共有する形になっていないものですから、こういう所で議論する上でリスク区分ごとの人数と、A.男性、B.女性、C.女性のそれぞれについて、比較的詳細な5歳刻み程度の年齢分布をしたデータがあると、非常に議論がしやすいのではないかと思います。
例えば、C.女性の人数あるいは割合について、もしTERMSやRevMateに登録されている患者さんの割合が、一般の骨髄腫の患者さんにおけるC.女性に当てはまる割合と違うのであれば、サリドマイドやレブラミドを投与することを処方医がためらうこともあるのではないかと、意見がいろいろ出るのですが、具体的な数字として、それがはっきり今は分からない状況ですので、そういうことも含めて年齢分布が非常に重要であると思います。その年齢分布や病態を考慮したリスクに応じて、教育とアプローチの確認等の方法を丁寧に検討すべきだろうと思っています。もう一つは胎児曝露(被害)です。「被害」と書きましたが事故と言ったほうがいいかもしれません。これは起こり得るという前提で考えるべきだと思っています。もう一つ、最近、適応外使用が少しずつ増えていますので、そのことも考慮してリスク管理のあり方を考えるべきだと思っています。
胎児曝露が起こり得るということの例として、海外での妊娠事例、これはレブラミドの審査報告書に書かれていたものから拾ったものです。主にアメリカだと思いますが、女性患者の妊娠が7例、男性患者のパートナーの妊娠が6例、現実に報告されています。男性患者については、この6例に含まれるかどうか分からないですが、男性の患者が70歳代で、その女性パートナーが妊娠したという事例もあると聞いています。ですから、こういうことは現実に起こり得るという前提で、どのようにそれを防いだらいいか。かつ、それを防ぐために患者さんや医療従事者の方の負担が最小な方法は何かというのを、きちっと考えるべきだろうと思います。
2ページですが、アメリカではイソトレチノインという重症のにきびの治療薬が使われています。それはアメリカのサリドマイドシステムであるS.T.E.P.S.とほぼ同じ内容の、iPLEDGEというリスク管理プログラムが組まれているのですが、重症のにきびの治療ということで、薬を使う患者さんは10代、20代の若い女性、男性がかなり多くて、30代も少しいるというところです。そういう年齢分布の場合、ここに書いてありますけれども妊娠数122ということが起きているわけです。ですから、非常に性交渉がアクティブな年代でこういう薬が使われると、今のリスク管理プログラムでも十分ではないということなわけです。逆にサリドマイドの方はS.T.E.P.S.で薬使用中の妊娠というのは1例だけです。年齢分布が異なるとこれだけ起きるリスクが違うということだと思います。
次のグラフですが、日本では、サリドマイドの適応外使用については個人輸入によってかなり使われていて、これは個人輸入の登録システムに登録された患者さんの中で、妊娠可能な女性の割合を示したものです。多発性骨髄腫は1%で、他のがんも少し多いのですが、がん以外のその他の疾患では1割以上が妊娠可能な女性であるということで、最近、少しずつサリドマイドの適応外使用が、TERMSの枠内でも使われるようになってきていますので、今後、こういうことについても丁寧に考えながら、胎児曝露の防止をTERMSとしてどのようにしていくか考えたほうがいいと思います。
3ページのグラフが年齢分布を少し細かく見たものです。多発性骨髄腫の患者さんは、妊娠可能と言っても50歳代がお1人だけで、これがその他の疾患という青い色のグラフですと10代、20代が結構いる。主に自己免疫疾患の患者さんが多いと思いますが、こういう状況です。今、個人輸入でこれが使われているというのは非常に危険で、これ自体早急に改善しなければいけないのですが、これをTERMSの中で管理したほうがいいことは明らかなのです。そうした場合にはそういう女性もTERMSの中に入ってきますので、そういうことも考慮して、今後、考えていく必要があるということです。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。それでは日本骨髄腫患者の会からの要望書が提出されていますので、上甲参考人、御説明をお願いします。
○上甲参考人 骨髄腫患者の会の上甲でございます。提出いたしました要望書について御説明申し上げます。私は普段からこのようなことをずっと考えていますが、おそらくここにおられる先生方はサリドマイドやレナリドミド、TERMSやRevMateのことを普段からずっとお考えでいらっしゃるわけではないと思いますので、この要望書の内容は唐突に思えるかもしれませんが、これを提出するに至った背景も含めてお話いたしますので、少し想像力を膨らませて聞いていただければと思います。自分の年老いた親が骨髄腫でサリドマイドを飲んでいたら、自分の娘が若くして骨髄腫になってレナリドミドを飲んでいて、このシステムに入っていたらと、少しそういうことを考えながら聞いてください。
サリドマイドが承認されるときは、TERMSがなければ承認はされないという承認条件でしたが、私はTERMSを作るときからここに携わっています。海外にはS.T.E.P.S.がありましたが、日本では初めてのことでしたので関係者は手探りでTERMSを作っていました。でも今考えても、その手順を踏むことでどう胎児曝露リスクを下げることになるのだろうと、にわかには分からない手順がたくさん含まれていましたが、それを考えることに時間を費やそうとしても、患者さんたちからの「早く承認してほしい」という強い声に押されて、初版のTERMSは完成して世に送り出されました。でも、やはりおかしいものはおかしくて、蓋を開けてみたら医療現場からは不満が噴出して混乱が起きました。このままでいいとは誰も思わなくて、冒頭に事務局から説明がありましたが、さまざまな調査を経て何度かの見直しを行い、現在のTERMSやRevMateがあります。
いくつか見直しをして、本当に意味のないであろうことが削ぎ落とされていくと、より本質的な部分にフォーカスが当たってきているように思っています。ただ、面倒くさいとか手間だということではなく、この手順を踏むことに一体どんな意味があるのか。リスク最小化も何も、性交渉しないのだからリスクはゼロですという声が明らかになってきています。
要望書の3ページ目を御覧ください。参考として書いていますが、これは先ほど御紹介があった各種調査の自由記載欄から、それぞれのカテゴリーについて一つずつ選んで紹介しています。男性患者は90歳であろうと100歳であろうと寝たきりであろうと、生涯生殖機能が保持されているという理由で、どんな人にも処方ごとに避妊のことや妊娠のことや催奇形性のことの確認を受けています。女性患者は、何十年前に閉経していようとも催奇形性のことを毎回、処方ごとに確認されています。女性患者Cというのは妊娠可能というところに分類されている方々ですが、この方々に至っては寝たきりでベッドから10cmも動けない人であろうが、月経がなかろうが性交渉を全くしていなかろうが、妊娠可能であると決められて、毎回、処方ごとに妊娠反応検査を受けているというのが現状です。そして、最後に医師のコメントが出ていますが、医師からも「果たして、こんなことをやっていていいんですか」と、これは女性患者Cを診たことのある医師の声ですが、これは1人の声ではありません。これは代表的な一つを抜粋しました。これが数々の見直しを踏んできても、今現在のTERMSでありRevMateであるということを、まず認識していただきたいと思って、御紹介させていただきました。
こういう、ある意味、患者の人権にも関わるのではないかというところにそろそろ目を向けて、このTERMSやRevMateを考えていただけませんかというのが、今回の要望書の趣旨ですが、それをするには今までと同じような考え方では、おそらく今のTERMSやRevMateから進むのは難しいであろうと思います。サリドマイドだから仕方がないとか、これはもう難しいですねというような同じ考え方の下でやっていたのでは、おそらく何も変わらない。発想の転換をしてくださいということをこの要望書には書いています。男性は生涯生殖機能が保持されるだとか、化学療法によって失われた月経は復活する可能性があるだとか、1件でも胎児曝露を起こしたら国の責任だとかメーカーの責任だとか、いつまでもそういうところに立っていたのでは、おそらく今のシステムから一歩も前に進むことはないと思います。
然りとて、今のシステムで胎児曝露防止が鉄壁なのかというと、本当はそうではありません。4週に一度、妊娠反応検査をしているからと言って、それは胎児曝露を防止しているわけではないです。それは妊娠してないかどうかを4週間に一度確認しているだけで、それは胎児曝露防止には直結していない。処方ごとにおじいちゃんの患者さんに避妊を確認しているからといって、それは胎児曝露には直接していません。そういうことを一から、もうそろそろ考え直していただけませんかというふうに思っています。本当に1例も出したら駄目、鉄壁でないと駄目ということならば、サリドマイドの処方をやめるか、レナリドミドの処方をやめるか、患者さんを隔離してこれらの薬を飲んでもらうか、たぶんこれくらいしか私には方法は思い浮かびません。
でも誰もそんなことは、おそらく望んでいない。だから今のTERMSやRevMateが苦肉の策で出てきたということは承知していますが、でも何となく4週間に1回、妊娠反応検査を寝たきりの、骨が折れている女性の患者さんにやっていれば安心とか、何となくおじいちゃんに「避妊していますよね」と聞いていれば安心みたいなところから、そろそろ変わっていただけないかと思います。那須先生のまとめにもありましたが、本当に必要な対策は何かということを、そろそろ考えていただきたいと思って書いた要望書であります。
要望書で最も言いたいことは、1ページ目の下の4行です。今、申し上げたこととほとんど重複いたしますが、本当に胎児曝露防止に効果的なことを選んでやってくださいということを最後の4行で書いています。
胎児曝露防止に効果的な手順は何かと私どもが考えるのは、2ページ目の上の三つです。最も効果の高い方法は患者がリスクを正しく理解することです。その理解と意識レベルを保持し続けることです。ほかの薬では、こういう患者の個人情報を登録することはやっていませんでしたけれども、私はやっていただいていいと思いますし、こうやってやることで骨髄腫の患者は、この先もサリドマイドやレナリドミドを飲み続けることができると思っています。
この要望書を書くについて、私は本当にこういう要望を出していいのだろうかとずいぶん悩みました。短い期間でしたが、17の施設を回って血液内科医の先生に話を聞いて歩きました。本当に北海道から九州まで歩きまして、「今のTERMSやRevMateを、どう思われていますか」というのと、提言案をお見せして、「これでできるようになると思いますか」と聞いて歩いたとき、必ず言われたのが、「何でサリドマイドやレナリドミドだけ、急性前骨髄球性白血病のベサノイドカプセルは」と、「C型肝炎のリバビリンは出ているでしょう。こういう薬を自分たちはずっと処方してきて、こういうシステムで義務化をされなくても目の前の患者を診てやってきているのに、何でだと思いますか」と言われたときに、私は合理的な答えをすることができませんでした。
それともう一つ、そういう医療者の話を聞くにつけ、このままこのシステムをやり続けることで、どんどん、どんどん医療現場では形骸化していくのではないかと思いました。ある先生が、妊娠反応検査をせずに陰性と書こうかと何度も思ったと言われるのを聞いたとき、患者を全く信用しない医療者、患者のリスクコミュニケーションを全く尊重しない、この方法を保持し続けることがマイナスになるような気がして、この要望書を書くことができました。
今回の要望書は、便宜上、医薬食品局長宛にしていますが、これは医薬食品局長だけにお伝えしたいことではありません。この場にいらっしゃる、このシステムを考える役目を担っていただいている先生方、それから広くは国民全体に向けて書いたものであります。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。最後に事務局より資料の説明をお願いします。
○事務局 事務局より、これまで御説明いただきましたアンケート調査結果や提言等を踏まえた現時点における企業の回答と、手順書等の改訂案について御説明いたします。分量が非常に多くなっていますので主要な点、特に提言内容と企業の考え方が異なっている部分について触れさせていただきたいと存じます。
まずTERMSについて御説明いたします。資料1-3、横長の資料を御覧ください。こちらは先ほど説明のあった総合機構のアンケート調査結果、及びその提言に対する藤本製薬の意見と回答を示した資料です。表のうち、いちばん左側の列が提言内容、中央の列が藤本製薬の考え方、右側の列が回答とありますが、こちらが考え方を踏まえた手順書の改訂方針となっています。順番に御説明させていただきます。
?女性患者Cの定義の見直しについてですが、上から二つ目の行を御覧ください。提言で追加提案されている二つの新たな基準のうち、一つ目の産婦人科専門医が定期的に検査し、卵巣機能が廃絶していると判断できるという基準については、藤本製薬からは、廃絶が不可逆的であれば同意する。つまり卵巣機能の廃絶が不可逆的なものであれば、女性C患者から除外できると回答しています。
次の行で二つ目の提案である、全身状態が著しく不良あるいは入院中など、妊娠の機会がないと主治医が判断できるという基準については、何をもって妊娠の機会がないと判断できるのか不明確であるため、主治医であっても判断が難しいと考えるとして、「同意しない」と回答しています。
2ページを御覧ください。いちばん下の行を御覧いただき、薬剤部での調剤時でのFAX確認についての提言です。男性患者A及び女性患者Bについては、調剤前にTERMS管理センターにFAXした後、確認の返事を待たずに調剤し、事後に返事を確認する手順とすることで、長時間かかる処方の手続きの負担を軽減することが適当であるとの提言に対して、藤本製薬からは、遵守状況等確認票の未服用薬数量の記載に問題があるケースが多く、TERMS管理センターによる相互確認により、これらを発見できていることから、「同意しない」と回答しています。ただし、TERMS管理センターにFAXした後は調剤してもよいこととし、薬剤の交付は、TERMS管理センターの確認結果を入手後に行うこととしています。
3ページで、?定期確認調査票の内容、実施期間の見直しについてです。上から2つ目、定期確認調査は、ある一定期間実施すれば意識が定着するので、患者区分に応じ、実施期間の見直しの可能性も検討することが適当であるという提言に対して、定期確認調査票は患者自らが申告する目的で設定されたものであるので、女性患者Bについても廃止することは考えられない。男性患者については現在8週毎としているが、24週毎とすることに支障はないと考える、と回答しています。
1ページ飛ばして5ページを御覧ください。上から2つ目、?カプセルシートの見直しについてですが、委員会からの提言では、処方時の数量管理については、毎回の処方時に空のカプセルシートの持参を求める必要はなく、自己申告による残数確認で行うこととすることが適当であるとされていますが、これに対して藤本製薬は、毎回の診察時に記憶を頼りに確認することは不正確であり、飲み残したカプセルを目にして残数確認することが重要であるとして、未服用薬が残っているカプセルシートのみ持参することでよいこととする、という回答をしています。
その下の?、薬剤管理者の見直しについては、提言において、RevMateと整合性を図り、「原則、全ての患者に設置する。設置できない患者で処方医師により不要と判断された場合はこの限りでない」とすることが適当であるとされていますが、それに対しては、これまでに薬剤管理者から不要薬は返却されたケースが多く、患者が死亡した場合等を考慮すると薬剤管理者の設置は必要である、と回答しています。
以上、主な項目について藤本製薬の回答を御説明してきましたが、これらの回答を踏まえたTERMSの手順書及び各種様式の改訂案を、資料1-4としてお配りしています。資料1-4については各ページの左側が現在の手順書、右側が改訂案となっています。修正部分はすべて赤字で記載していて、赤い吹き出しが付いている部分は今回の提言を踏まえての改訂、黄色の吹き出しの部分は企業が自主的に行っている記載整備の部分を示しています。また今回の提言とは直接は関係のない改訂となるのですが、サレドカプセルについては昨年7月29日に、らい性結節性紅斑に対する効能追加の一部変更承認申請が行われており、これが承認された場合には、処方医師の登録要件とTERMSの手順書も変更しなければならないことになりますので、その改訂を予定している部分について青い吹き出しで記載しています。こちらも分量の多い資料になりますので詳しい説明は割愛させていただきます。
続きましてRevMateについて御説明します。資料2-2を御覧ください。こちらもTERMSと同様に左側の欄に第三者委員会からの提言内容、それに対するセルジーンの考え方を中央に、手順書の改訂内容を右側の欄に記載しています。提言1ではTERMSと同様に二つの新たな基準を女性患者C、妊娠可能な女性の定義に加えることが提言されています。これに対してセルジーンからは、妊娠の機会または可能性がないと主治医が判断できるという基準については、主治医の裁量に負うところが漠然としているため、リスクが大きいことから追加しない。卵巣機能が廃絶していると判断できるについては、廃絶の判断が難しく、通常の産婦人科医では廃絶の判断が困難であり、大きな責務を産婦人科医が負うこととなると考えられることから、追加しないと回答がなされています。なお、この卵巣機能の廃絶の判断に関する点につきましては、本日、御欠席の藤井委員から、血液中のホルモンを定期的に産婦人科医がチェックすることで確認できるのではないか、との御意見をいただいております。
続きまして、いちばん下の提言4ですが、残薬数と空シートの確認はレブメイトキットの持参によることを必須とせず、患者の自己申告のみによってもよいこととするとの提言については、セルジーンからは、提言のとおりに手順書を変更し、医師が処方時に患者から薬剤数を聴取することとする旨、回答がなされています。
2ページの提言13ですが、処方開始から一定期間までに重点を置いて確認を行い、その後の配布間隔を見直すとともに、確認すべき対象と内容を検討するとの提言について、セルジーンからは、A男性患者の確認頻度を2ヶ月から6ヶ月に変更し、B女性患者の定期確認は廃止することができるのではないかという旨の回答がなされています。
これらの改訂内容を実際に手順書及び様式に当てはめた改訂案が、資料2-3になっています。こちらもTERMSと同じく非常に大部になりますので詳しい説明は省略させていただきます。
企業からの資料については以上ですが、引き続き資料5を御覧ください。これまで提言で改訂することが望ましいとされている項目について、細かい点を御説明してまいりましたが、TERMS及びRevMateに共通する見直しの大きな論点として、一つ目に女性C患者、妊娠可能な女性患者に関する議論、二つ目に患者に対する処方ごとの確認事項と定期的な確認事項の重複の問題、この二つの論点が挙げられると考えています。資料5はその二つの論点について、TERMSに係る提言内容、RevMateの提言内容、日本骨髄腫患者の会からの要望書の三つの資料の該当する部分を抜粋して並べたものになっています。また最終ページには、TERMS及びRevMateの処方ごとの確認事項と定期的な確認事項を整理した表を添付しました。本日の御議論におきましては、こちらの資料を御参考いただきつつ、御審議いただければと考えております。長くなりましたが以上です。
○松本座長 TERMSおよびRevMate改訂についての御意見をお願いしたいと思います。提言を聞いて、いかがでしょうか。上甲参考人、何か御意見はありますか。
○上甲参考人 私はRevMate、TERMSの第三者評価委員会の委員をしております。また、PMDAの検討委員をしておりますので、それぞれで委員として出てきて、この提言には合意はしております。それにさらにという要望を私どもは出させていただいておりますので、これも併せて今日は御審議いただければと思っております。
○松本座長 提言のところは、ある程度御了解いただけるということで、よろしいですか。
○上甲参考人 はい、提言自体は了解しております。
○松本座長 資料5のまとめで、RevMate第三者評価委員会から提言したのと、下のPMDAの調査結果を踏まえたTERMS委員会からの提言という部分に関しては、特に御異論ありませんか。
○上甲参考人 言い換えますと、それでは足りないと思っているから、私どもの要望書が出てきておりまして、例えば資料5でしたら2ページ目の下にある部分は、3、女性患者Cに関する項目、定義の見直し、これは委員会からの提言に出てきておりますが、4番目に関しては新たに私どもが追加した要望になっておりますので、ここについては御審議いただきたいと思っております。
この3の女性患者Cに関する項目について、それぞれの委員会から提言案が出されていますが、私はこれをもって北海道から九州まで歩いて、血液内科医に「これでできますか」と聞くと、各メーカーが答えているように「主治医の判断だけではちょっとできませんよ」というような答えを言われました。では、どうしたらできるでしょうかというのを聞いてきて集めたものが、当日配付資料で出していただいたところです。
今、女性患者Cだと言われている人を、よりBの中に、妊娠しないだろう、Bと認めることができるのではないかという方のために、このように書かれていたら主治医は判断できるであろうというたくさんの声を聞いてまとめたものが、この当日配付資料です。
○松本座長 この辺の考え方について、村上先生、何かコメントをいただけませんか。Cの女性の定義といいますか。
○村上参考人 サリドマイドやレブラミドを飲まれる患者さんの自己責任にするのかということが、大きな点だと思います。参考資料の3番、4番に書いてある、「本剤による胎児曝露のリスクを正しく理解し」ということを理解をして、自分で責任を持って対応する患者さんという前提で、このような提案が出ていると思います。この委員会では、自己責任に重きを置くかどうかを議論することが、いちばん重要なポイントと思っております。
○松本座長 そうですね。主治医の判断といっても、やはり最終的には自己責任がかなりかかってくるのではないかと思うのです。この辺に関しては、佐藤先生、何か御意見がありますか。
○佐藤参考人 これに関しては、私もそれぞれの委員会に属しておりまして、臨床現場の先生方が合意され、そういうことでいいということであれば、基本的には賛成いたします。
○松本座長 そうですね。臨床の村上先生、このような形でよろしいですか。自己責任というのは、かなり漠然とした形ではありますが、そういう形でここに加えるということに関してはいかがですか。
○村上参考人 私としては、実際の現場ではこういう形で医師がしっかり説明をして、患者さんにリスクを御理解いただいて、薬剤管理もしっかりしていただく。個人の責任でしっかり自分の体調を管理することに加えて、妊娠も管理していただければ、問題なく薬剤管理システムは動くと思っております。
○松本座長 この点に関して、御意見はありますか。次に、薬の処方時の確認及び定期的な。
○事務局 先生、すみません。資料5の1ページ目にあるRevMate第三者委員会からの御提言、またはPMDAの調査結果を踏まえたTERMS委員会からの御提言のC患者の定義について御審議いただいたと理解しております。加えて、先ほど上甲参考人から御説明がありました要望書の内容ですが、要望書の4番目として、毎回の処方時に実施されております患者Cについてですが、今、御議論いただいて、患者Bにいく、今までBに入っていなくてCになっていた患者さんで、Bにいく方が少し拡大した形で、4番、5番を御議論いただきましたが、まだCに残る患者さんがいて、そのCに残る患者さんに対しての妊娠反応検査の義務付けについて、患者会の方から要望書が出ておりますので、その点についても御審議をお願いいたします。
○松本座長 難しい問題だったので、あとに回そうかと思ったのですが、事務局からそういう御意見がありましたので、この点に関して御意見はありますか。最終的に妊娠反応を検査することをやめることに関して、いかがでしょうか。
○上甲参考人 説明が不十分で申し訳ないのですが、これはやめてほしいという意図ではありません。これはどういう人のことを言っているのかといいますと、先ほどの女性Bの方に寄せられない人はどんな人のことを指しているのかといいますと、月経がある、身体状況としても、外来に通ってこられるような身体状況である、また例えば40歳より若いというような女性患者がいます。その患者さんでも、「私は性交渉してないのに。性交渉してなかったら、妊娠はしないでしょう」と言われたときに、返せる言葉が今のところはありません。そういう患者さんについて、何でもかんでもフリーパスでいいとは思っておりませんが、診察に来て、「妊娠してませんか。妊娠の可能性はありませんか」という問診は必ず必要でありますし、そこで妊娠反応検査をするかしないかということを、患者さんから自己申告によって、する・しないを選ぶことができませんかという、これは要望であります。
ただ、申告をして妊娠反応検査をしなかったということは、どこかに記録として残さないといけないとは思いますので、それは必要ではありますが、この要望の趣旨はそういうことです。これはどこからも提言として出ておりませんので、私どもからの要望であります。
○松本座長 その辺も先ほどの村上先生との話で、自己責任ということで、さらりと逃げようと思ったのですが、やはり難しい問題で、佐藤先生、先にあれを出されましたね。ということで、かなり兼ね合いが難しいところがあるものですから、その辺をどうするかはいかがでしょうか。何か御意見があればお願いしたいと思います。自己申告で、「その可能性がない」と言われた場合に、主治医がそれでは検査はやめてもよかろうと判断できるかどうか、非常に微妙だと思うのですが、どうでしょうか。
○佐藤参考人 上甲参考人の言われたことは、気持としては非常によく分かります。私も何度もそういうことは伺っておりますので、非常に心苦しいのですが、どこで線を引くかというのは非常に難しくて、これをシステムの中にどのように取り込むかということに関しては、もう少し慎重な議論が必要なのではないかと思います。まだこれはいずれの第三者評価委員会でも議論されたことがありませんし、もう少しその辺りで議論をした上で、大事な問題であることは私も同意しておりますので、もう少し議論を重ねてから結論を出すということではいかがでしょうか。
○松本座長 心情的には分かるのですが、そういう意味ではまだ議論が足りないという御意見もありますが、上甲参考人、いかがでしょうか。もう少し議論を重ねた上で、この点に関しては結論を出すということに関してはよろしいですか。ここで結論を出すのは、かなり難しいかとは思うのですが、その辺に関して同意していただければと思います。
○上甲参考人 はい、今日ここで突然出てきた要望に対して、「ああ、そうですね」というようになるとは思ってはおりませんでした。ただ、誰と誰が何を材料にどう議論したら答えが出てくるのかということは、最初に要望書の説明を申し上げたとおり、これはもう、これを考えるすべての人が考えを変えない限り、一生議論は続くと思っておりますので、発想の転換をするということを前提に置かれて議論を継続するということに、今日結論付けていただけましたら幸いですし、広く国民からも意見が聞けるチャンスがあればいいと思っております。
○松本座長 ここで少し議論をするということに関しては、確かに少し心苦しいところもあるのですが、これはいろいろな問題点を含んでおりますので、簡単にどちらかというような結論を出すというのは難しいのではないかと思います。よろしいですか。ということで、こちらに関しては、事務局はそういうことでよろしいですか。
○事務局 今日は結論は難しいということで理解いたしましたので、引き続き御議論いただけるように事務局も環境を整えたいと思います。
○松本座長 もう一つの問題点は、薬の処方時の確認及び定期的な確認について内容、期間、重複等についての考え方があるわけなのですが、これについて村上先生、何かコメントをいただけますか。
○村上参考人 両方の委員会から御提言がありましたように、今まで初回登録時の確認事項と処方前確認との重複とか、患者さんへの定期的調査との重複とかありますので、そこをなるべく整理していただいて適切なシステムにしていただきたい。ただ、これらを完全になくすことに関して、私はちょっと疑問がありますので、質問項目の整理をしていただければいいのではないかと思っております。
○松本座長 小峰先生、何かコメントをいただけますか。
○小峰参考人 それについても、提言書の中にも具体的なことは確かに整理して書かれているわけではありませんので、今後の問題としてといいますか、対応を決定する場合に、もう少し具体的にどういう方の場合にはどうということになるのですが、それを定式化してお示しするというのは相当面倒なことでもありますし、ルールみたいなものの網の目が細かくなるだけの方向ですと、これはまた大いに悩みます。そうすると、どうしてもそこに入ってくるのは臨床現場で医師と患者さんの間で整理される状況判断が非常に大事ですが、これをまた外から見ると不明瞭といいますか、単なる1人の医師と患者さんの間の暗黙の了解みたいなものに還元されてしまいがちですから、なかなかそこを言葉に換えてお示しするというのは勇気の要ることです。一つ定形を出しますと、今度その周辺の問題が出てきてしまうだろうと予測されるものですから、私などはあまり具体的にそれを詰めることをためらったぐらいです。
しかし、これは類型を考えてみた場合に、先ほど来の御指摘もありますが、現在適応とされている患者さんの集団というのは相当ユニーク。高齢層に寄っているという意味でもユニークですし、しかも長い病気で、医師とのつながりはかなり密接で、しかも長期にわたりますから、その間に醸成される信頼関係にしても、あるいは人となりその他の理解度、お互いの理解度についても、かなり深いものがあるというのが骨髄腫にしてもMDSの疾患にしても、現実の状況なのですね。仮初に袖を振り合って医師と患者の関係ができるわけではありませんから、そういう中できちんとした認識があって判断されることであれば、これは文字には表しがたいけれども、きちんと省略できるものがあるのだという概念をお認めいただければ、もしもチェックするフォーマットに何らの修正が加えられないとしても、現実の応用・適用の面で簡素化が成り立っている。しかも、実のある簡素化ができるというのは私の個人的な考えなのですが、それを文書にせよと言われると、これは大変に勇気のいることで、ためらい続けておりました。
提言の内容が示す方向性というのは、私はこれでよろしいと思っておりますので、先ほど来、ほかの問題も含めて、煮詰める操作はこれからも続ける必要があるだろうと、それも答えになるのではないかというような気がしております。ちょっと曖昧ですけれども。
○松本座長 遠藤先生、何か御意見はありますか。
○遠藤委員 TERMSもRevMateも、薬剤部の窓口で患者さんにお薬をお渡しするときに、いろいろ聞くわけですよね。そのいろいろなことを聞くことが、このシステムをきちんと動かすための重要な点になっているのです。ただ、一方で、どちらもそうだったのですが、患者さんの先ほどのアンケートで、副作用のこととか効果のことを、もっとちゃんと知りたいということが希望として出ています。現場の薬剤師はこのシステムのことがものすごく頭にあって、それを動かすことだけに集中して、患者さんの待ち時間も長くなることで、本来薬剤師としていろいろなことをしなければいけないことが疎かという言い方はないのですが、そこまでの余裕がなくなってしまっているので、できればこのシステムを、最低限の条件で確認をすることは大事だと思うのです。患者さんが要望している、効果や副作用のモニタリングとか、副作用の注意をするとか、本来の薬のことについて、もっと患者さんとしっかり話し合えるような、そういうある程度余裕を持った体制にしないといけない。この両方の薬は患者さんの病気を治すためのお薬ですので、そこにもっと重点を持っていった方がいいのではないかということで、簡素化できるものについてはできるだけ簡素化していただいた方が、患者さんのためにとっても、ものすごくプラスになるのではないかと思っています。
○松本座長 この点に関して、御意見はありませんか。
○佐藤参考人 患者さんが自ら記入する定期確認票についてなのですが、PMDAからのTERMSに関する提言の中で、私がここの検討会の委員でもあるのですが、この提言に同意できない点が1カ所あります。机上配付参考資料の2ページ目の?、定期確認調査票の内容、実施期間の見直し。今、男性の患者さんは、2ヶ月ごとにこの定期確認票に記入することになっているのですが、藤本製薬さんやセルジーンさんの御回答を見ると、これを6ヶ月に延ばしますというのですが、これには反対です。PMDAのTERMSに関する検討会の中でも、ここに書いてあるような男性患者Aについての2ヶ月ごとの調査は、6ヶ月程度の定着期間後は頻度を落とすことというのは、たしかPMDAの安全管理監からこのような趣旨の御発言があったことは記憶しておりますが、この検討会の中でもそれ以上突っ込んだ議論はなされなかったというのが私の認識です。
RevMateの第三者評価委員会でも小峰先生がおっしゃられましたように、具体的な期間、どのぐらいの頻度が適切なのかということに関しては、まだ十分な議論が詰められておりませんし、むしろ今後検討すべき重要な課題ということで、今後さらに議論を進めるということが重要なのではないか。今日ここで結論を出して、男性の患者さんの定期確認票の頻度を6ヶ月にするというのは、あまりに乱暴ではないかと思います。今、長期処方が可能になっておりますので、そもそも3ヶ月に一遍しか医療機関での確認がない患者さんがいらっしゃる。それに加えて、患者さんが記入する定期確認票が半年に一遍になってしまうと、これは定期的なリマインドということからすると、かなり頻度が減る可能性があると思います。
先ほど資料をお示ししましたように、アメリカ等では男性の患者さんのパートナーの妊娠は現実に起きておりますので、定期確認票の頻度を6ヶ月に延ばすと、現実に日本でもパートナーの妊娠ということが起こり得る。それほど簡単に起こるとは思っておりませんが、そう簡単に起こらないということが、起こり得ないということとは全く違うわけですね。それは我々東日本大震災の原発の事故のことで身を以て知ったことですので、事故は起こり得ると考えて、きちんとした対応をすべきではないかと思います。
○松本座長 定期確認票を6ヶ月ということですが、これに関して反対の意見が出されました。この点に関して、どなたか御意見はありませんか。この点に関して何かコメントをいただけますか。
○村上参考人 臨床の現場ですと、システム上、負担と言っては申し訳ないですが、時間がかかるのは遵守状況確認票の記載です。ですので、遵守状況確認票をある程度使いやすい形にしていくのがいちばん大切で、定期確認調査票に関しては、お宅に郵送するということで、例えば在院時間が長くなるとか、診療に大きな影響を与えることはないと思います。
男性患者の定期確認調査票の調査期間を延ばすかどうかですが、佐藤先生がおっしゃったように6ヶ月に一遍に延ばすということは、確かにチェックが危うくなると言えるかもしれません。しかし、骨髄腫の患者さんでサリドマイドを飲んでいる方は、3ヶ月に一遍の受診ということはありません。最高でも1ヶ月ですね。3ヶ月処方をするのはなぜかといいますと、医療費の問題です。大体1ヶ月に一遍、私の所には受診されていますので、定期的なリマインドは遵守状況確認票でできると思いますので、その点は心配ないと思うのです。すぐ定期確認調査票の調査期間を延ばせということではありませんが、佐藤先生が御心配なさっているような患者さんへのチェック期間が延びてしまうということは、サリドマイドを飲んでいる限りはまずないと思います。
○松本座長 いかがですか。佐藤先生、やはりそれでもこれは少し長いというように。
○佐藤参考人 もちろん上甲参考人が言われたように、大多数の患者さんは高齢で、男性の患者さんであっても、病態からしても性交渉機会はあまりない方が大半であるというのは、私も重々承知しております。ただ、少数ではあっても、そうでない患者さんもいらっしゃいますし、サリドマイドやレナリドミドを飲むと、入院していなければならないような状況から、仕事に復帰できるようにQOLが非常に良くなりますので、そういう意味ではむしろ治療して、ある程度期間が経ってからの方が、胎児曝露のリスクは高まる場合があると思うのです。そういうことを考えても、患者さんが直接記入する定期確認票の頻度は、どの程度の頻度が適切なのかということはもう少し丁寧にどこかで検討をしてから、この場でもう一度御審議いただくのがいいのではないかと思っております。
○松本座長 ほかに御意見はありませんか。そうしますと、「処方時の確認事項及び定期的な確認事項」についてのPMDAの提言と、RevMate第三者委員会からの提言については、確認期間に関して佐藤先生から若干問題があるということなのですが、提言までは御異議ありませんか。上甲参考人からまた提言があるみたいなのですが、一応ここまでの方向性に関してはよろしいですか。期間は少しペンディングにさせていただきますが、この方向性に関しては同意していただけますか。さらに、日本骨髄腫患者の会からの要望書がありますが、これに関してどうするかということで、非常に難しい問題があるかと思うのですが、御意見はありますか。
○上甲参考人 処方時の確認事項の御議論を伺っていて、私どもが提出した要望書の意図がほとんど汲み取られていないように思いまして、非常に残念に思っております。骨髄腫は高齢者が多いから、確認は6ヶ月でいいということを私は思っておりません。言われるように、30代も40代もいますので、妊娠させる可能性のある男性もおります。だから、そういう話だけをこれまでどおりしていったのなら、6ヶ月がいいのか、3ヶ月がいいのか、4ヶ月か、5ヶ月かの答えは到底出てき得ません。誰もそんなことは実験できないのです。だから、私どもは要望書を出して、「もう少し考え方を変えてくれませんか」と申し上げたことに全く。要望したから全部それを皆さんが受けてくださるとは思っておりませんが、私はどれだけ議論しても、6ヶ月がいいか5ヶ月がいいかなんていう答えは出てこないと思います。誰が納得したら5ヶ月になるのかということは出てまいりません。
私どもが要望しましたのは、医師は自分の目の前にいる患者さんが性交渉して妊娠させるような可能性があるかということは、見て普通分かると思うのです。先ほども申し上げたように、何も催奇形性のある薬はサリドマイドやレナリドミドだけではありません。もっと催奇形性のある薬もあるかもしれないし、人で出たのもある。それらの薬はどうしているのですかということを、もう一度考えていただくと、それは医師は目の前にいる患者さんを見て、注意すべきこと、確認すべきことを選択してやっているのに、何でこれだけ、やれ6ヶ月だの、5ヶ月だのとか、やれちゃんと紙で項目がどうのだとかいうことを話さなければいけないのかというのが、私は非常に残念です。
私どもは、詰まる所は医師と薬剤師が目の前にいる患者に必要なことを、ほかの薬でもやっている当たり前の処方や当たり前の服薬指導をやるシステムになりませんか、ということを要望しております。ただ、この3点は肝ですと先ほど言いましたように、しっかり教育したことが根付いているか、忘れられていないか、高い意識レベルが保たれているかということは確認をしないといけないと思いますので、これの確認頻度について、ここで私がいつがいいということではありませんが、リマインドはしたとしても、もう医師から紙を使ってやらなくてもいい、普通の薬と同じにはなりませんかという要望をしておりますが、全くそういう話にはならない。やはり患者や医療現場はあまり信用されないということなのかと、大変残念に思っております。
○松本座長 おっしゃることはよく分かるのですが、実際上、要望書が「両薬剤のリスクに関する理解を持続されるために定期的な確認を行う」というのは、薬剤師さんということを意味しているわけですね。
○上甲委員 はい。
○松本座長 そうすると、お医者さんは当然いろいろな話を聞くわけなのですが、医師サイドとしては、村上先生、いかがなのですか。おっしゃるようなことは可能なわけですか。お話を聞いて判断するということ自体は。
○村上参考人 つまり、妊娠のこととか、今までの遵守状況確認票に載っているようなことですか。それはある程度、医師と患者さんというのは濃厚にお付合いしておりますので、毎回お話を聞けば、まず漏れなく情報は取れるとは思います。それでも信用できないと言われると困りますが、臨床現場では医師と患者でちゃんとお互いに確認していますので、まず問題なくリスクは回避できると思っております。
○遠藤委員 薬剤師が患者さんに会って服薬指導をする際は、患者さんに合わせて、この患者さんはどのぐらい理解度があるか、どういう状況かと判断しながらやっています。私が所属している日本病院薬剤師会の会誌に、TERMSとRevMateのそれぞれについて論文が出ています。患者さんに合った対応をすべきだということが、どちらの論文にも書かれています。画一的な対応ではなくて、きちんと患者さんを見て対応すべきだというのが、どちらの考察にも書かれています。両システムでは、どの患者さんにも同じことを聞くようになっていますが、薬剤師はこれはたぶん必要がないとか、これはこの方には必要であるということを判断して行っているのではないでしょうか。医師も薬剤師も専門職なので、その辺はある程度判断は可能なのではないかと、私自身も思っています。
○佐藤参考人 こういう薬のリスク管理を専門にしている立場から申しますが、今のTERMSないしRevMateは、アメリカの考え方がモデルになっているわけですね。アメリカ式は、とにかくもう機械的に一律に全部やって、手順を踏んでいることによって安全を担保するという、ISOなどのいわゆる企業でのリスク管理、品質管理の考え方に則って作られているわけです。日本も、とにかくモデルがなかったものですから、そういう考え方で、とりあえずこれは組み立てられているのですが、それに非常に問題があるというのは上甲参考人が言われたとおりだと私も思います。
もう一方でヨーロッパの方では、EUでもうシステムが作られているのですが、そちらはもう少し医師や薬剤師が積極的に関与するということを前提に作られているシステムだと聞いております。ただ、私自身も実はその内容を細かく存じておりませんで、EUというのは25カ国もありまして、国によって全部システムが違うのです。ですので、EUにおけるサリドマイドやレナリドミドのリスク管理プログラムをもう少し丁寧に検討すると、日本でどのようなものが適切なのかという、上甲参考人の言われた発想の転換をした議論というのが、もう少ししやすいのかと思っています。
○松本座長 ほかに御意見はありませんでしょうか。
○総合機構安全管理監 先ほどPMDAの調査を踏まえた提言の関係のところで、佐藤先生から、ここの提言について必ずしも合意しているわけではないというお話があったところなのですが、この議論をまとめていたとき、村上先生が委員長をやっておられて、参加していた者はここにも何人もいるのです。このときの議論の考え方について、ちょっとだけ先生方に理解をしておいていただきたいと思いまして、申し上げます。ここの議論で言っていることは、毎回毎回の処方において、医師・患者の関係で催奇形性のリスク、避妊の必要性、これをチェックをするということは依然としてやることになっているのです。それは今回の藤本が出してきている改訂案の中にも、遵守状況の確認票が入っていて、それを見ても催奇形性のリスクと妊娠回避の必要性を説明したというのを、処方のたびに医師・患者の関係でちゃんとチェックをするということがずっと保持されるようになっていて、ここは変わらないのです。これに加え、別ルートで患者さんの自己申告という格好で定期確認をするというルートがあって、この二つのルートでたびたびチェックをかけられることの男性患者の負担がかなりあるということが、改めてやった調査でもまた出てきていて、その負担をどのように整理できるのかという議論をしたのです。
そのときに、どちらかに確認内容を寄せて整理ができないか。両方で同じことを聞くというのは、ちょっとくどすぎるのではないか。平たく言うと、そういうことが議論されて、それでどちらかに項目を寄せるような格好で仕分けをしようと、そういう考え方で一定の理解が得られるということです。
それが資料5の3ページ目の「処方時の確認事項及び定期的な確認事項について」の箱のいちばん上の枠囲いの二つ目の「定期確認調査票の内容、実施期間の見直し」の話で、ここで処方ごとに医師や薬剤師と行う遵守状況確認票の確認項目と重複する項目もあるので、整理することが適当であると。この整理をしようという考え方の部分は、紛れもなくこの委員会では完全に合意されている話だと思うのです。ただ、整理をしていく中で、男性患者Aについての定期確認、自己申告の部分です。これをなくすのは、やはり難しいのではないか。ただ、頻度はもうちょっと見直せるのではないかという話で、今2ヶ月ごとにやっている、一方ではドクターとの関係で毎回の処方ごとにやっているのです。それに加えて、患者が自己申告をする部分の話が2ヶ月に一遍またやっていると。この部分の頻度をもうちょっと落として、どちらかというと医師・患者の関係の方に寄せた格好にできないかという、そういう議論としてこの提言というか、委員会からの提言にまとめられてきたということがあります。
ただ、具体的な頻度の話として、2から6がいいのかどうかということについて、完全な合意がなかったというように佐藤先生が言われるのであれば、そこはそうかなと思います。私も、このときに2ヶ月が例えば6ヶ月というのは、いかがでしょうかという話は確かにした記憶はありますし、そうしたものが一つのここの提言に数字として現れているということは事実です。ただ、その考え方自体が医師と患者の間の処方の都度、処方ごとのその確認をしていることの方にむしろ寄せるのが大事だろうというように、一定の理解が得られて、このような格好にまとまっているということなのです。
○松本座長 佐藤先生、会に出ておられたそうなので、やはりそういう意味からいけば、6ヶ月でもよさそうな気がいたしますが、いかがですか。
○佐藤参考人 いや、それには反対です。それと、今、森さんが医師や薬剤師の確認に寄せた方がいいと合意されたようなことを言われましたが、そういう合意も私の認識としてはなかったと思っております。重複というように今おっしゃられましたが、聞いている事柄は少し異なります。医師が「はい」とチェックすべき内容は、そういうリスクについて説明をしたということであって、実際に患者さんがどういう行動をとったかということは質問していないのです。患者さんが直接記入する方の定期確認票については、性交渉がなかったか、性交渉があった場合には避妊をしましたということに関して、「はい」と答えると。具体的な、ある種、患者さんの実際の行動に立ち入った質問を定期確認票ではしているわけです。
ただ、それを結局、医療現場の診察室のほかの患者さんも聞いている所で、医師がそういう立ち入った質問をするのはいかがなものかということもあって、それは患者さんが御自宅で記入すればいいでしょうというところで、役割というか、この質問の内容の意図も違っているわけですね。そういう意味においても、一応今の中では、そういう患者さんが自ら記入する部分と、医師がチェックする部分の機能を分けて作られているというのが私の理解です。
○松本座長 ほかに御意見はありますか。意見をお伺いしておりますと、資料5の日本骨髄腫患者の会からの要望書も含めて判断しますと、処方ごとに実施する確認の内容および方法と、定期的に実施する確認の内容と期間については、若干まだ意見が一致しないところがあるみたいなのです。男性患者Aについてなのですが、先ほど私は確認の期間を2ヶ月から6ヶ月にすること自体に関しては、ある程度御了解を得ておられると思っていたのですが、今、佐藤参考人からのお話がありましたように、この点についてもまだ十分同意が得られていないみたいですので、この点を含めて今後検討するということでよろしいですか。とにかくここまでの意見を事務局としてまとめますか。方向性としてはよかったのですが、「処方時の確認事項及び定期的な確認事項」のPMDAからの調査結果を踏まえたTERMS委員会からの提言の中の、男性患者Aの2ヶ月ごとの調査期間を6ヶ月にするということに関して、合意が得られていないみたいなのですが。
○事務局 私の理解が間違っているといけないので、確認をさせていただきたいと思います。その6ヶ月という定期確認の期間の問題が、繰り返し御議論されていますが、初めに村上先生、それから遠藤先生からお話がありました、医師または薬剤師の方は通常の診療行為といいますか、または服薬指導の中で、患者さんとの信頼関係の中で、その患者さんに必要な注意喚起といいますか、リマインドは実施ができていると。それは患者さんごとに、やはりここまで言っておかないとこの人はという人もいるし、これまでの繰り返しのお付合いの中で、必ずしも、例えば「避妊は分かってますね」ということを言わないでも、信頼関係で自信が持てるという場合もあって、それは患者を見てやるのですということで、先ほどそういうことかなと理解しました。
一方で、上甲さんからお話がありましたように、胎児曝露を回避するためには、重要なことは三つあって、きちんと患者さんが理解していることを繰り返し定着しているというか、繰り返し、引き続き理解があることを確認することが必要だということで、そこのやり方についてちょっとまだ御議論がないような気がしました。どういうタイミングでリマインドするかという期間の問題と確認の方法が、今は医師・薬剤師が確認するのと、定期的に患者さんが紙を提出するという二つのルートで行われていることを、先ほどの上甲さんの患者会からの要望書によりますと、お医者様または薬剤師さんとのやり取りのところは、必ずしも紙というものに縛られなくてもいいのではないかと。ただ、一方で患者さんに対する確認というものは、先ほどのお話ですと薬剤師さんとの服薬指導の中でということなのかと理解しましたが、そこのタイミングの問題ですが、定期的に確認をするという方法論に発想を変えられないかと理解したのです。そこの御議論が引き続き必要なのかと理解したのですが、そういうことでよろしいでしょうか。
○松本座長 ここまでのところで確認をとらせていただきますが、サリドマイド製剤やレナリドミド製剤の承認と合わせて、胎児曝露の防止と患者の製剤へのアクセスの確保の両立を目指して、TERMSやRevMateが実施されてきている中で、適切なリスク管理となるよう改善を行う必要があるということに関しては、皆さん特に問題はないですね。この点に関しては御了解いただけますね。そうすると、TERMSやRevMateの改善の方向性について、本日の調査会でさまざまな観点から議論がなされたわけなのですが、本日の調査会の議論は基本的にはそれぞれの提言内容に沿って見直しを行うことが適当であるということは言えるかと思うのですが、いかがでしょうか。了承していただけますか。
ということが現段階での結論にはなります。ただ、女性患者Cの妊娠検査については、医師から患者への妊娠の可能性の有無の確認のみを義務として、患者本人の申告を踏まえて義務を不要とするということに関してや、先ほども申しましたが処方ごとに実施する確認の内容や方法と、定期的に実施する確認の内容と期間については、議論はなされましたが結論は得られませんでしたので、これらの点については引き続き議論が必要であるということになろうかと思うのですが、いかがでしょうか。事務局はよろしいですか。
なお、TERMSについては、らい性結節性紅斑の効能追加に関する変更部分について、先ほど事務局から説明がありましたが、承認がなされたときに改訂するということで、御異論ありませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 本日は御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。本日の議論において継続検討していくものがいくつかあるということ、課長からも事務局としても議論のための環境を整えていくというお話がありましたので、本日の調査会の議論を踏まえて、TERMS、RevMateの見直しについて、どのような方向で見直していくべきなのかという点について、パブリックコメントを実施したいと考えております。今後実施いたしますパブリックコメントの結果の御報告も合わせて、次回の調査会において、引き続きTERMS、RevMateの見直しについて御議論をいただければと考えているところです。
○松本座長 先ほど事務局からお話がありましたように、TERMSおよびRevMateの見直しについて、パブリックコメントを実施するということです。本日の調査会で議論をなされた事項や継続して検討する事項についても分かるような形でパブリックコメントを実施していただくよう、事務局にはお願いいたします。ということで、よろしいでしょうか。特に御意見はありませんでしょうか。
次は議題3になりますが、事務局から何かありますか。
○事務局 先ほど申しました次回の調査会の日程については、追って連絡をさせていただいて、調整をしたいと考えております。
○松本座長 本日、用意いたしました議題はこれですべてです。本日は長い時間、どうもありがとうございました。本日の会議をこれで終了といたします。長い時間、活発な御議論をありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課

電話: 03-5253-1111

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