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2010年12月6日 平成22年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の第2回合同開催 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成22年12月6日(月)18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(厚生労働省6階)


○議題

1.新型インフルエンザワクチンの安全性について

2.その他

○議事

○事務局 「平成22年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会(平成22年度第2回合同開催)」を開催します。昨年からの通算では第8回になります。本日も公開で開催しますが、カメラ撮りは議事に入るまでということでお願い申し上げます。傍聴者の方は、傍聴に際しての留意事項、「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、厳守をお願いします。
 本日、御出席の先生方におかれましては、お忙しい中ご出席いただきありがとうございます。委員の出欠ですが、岡田先生が遅れていらっしゃるほかは、安全対策調査会の委員の五十嵐先生が御欠席、参考人の神田先生が御欠席、予防接種後副反応検討会委員の永井先生が御欠席と承っています。また、岡部先生が30分程度で御退席の予定と承っています。本日、議題1のワクチンの関連について合同開催とし、議題2以降は安全対策調査会の単独開催としますが、新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の先生方には、引き続き参考人として御参加いただくこととしていますので、委員の構成に変更はありませんので、申し上げておきます。
 議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとします。松本先生、議事進行をよろしくお願いします。
○松本座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。
○事務局 薬事分科会審議参加規程についてです。新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の先生方には、薬食審ルールに準じた対応となりますことを御容赦ください。
 本日御出席された委員の方々の過去3年度の関連企業からの寄附金・契約金などの受取り状況の報告です。議題1がインフルエンザワクチンの副反応の報告状況に係るものですので、国産および輸入品インフルエンザワクチンの製造販売業者である学校法人北里研究所、財団法人化学及血清療法研究所、財団法人阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社から、議題2に関しては、各ワクチン及びその競合品目の製造販売業者であるサノフィパスツール株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から過去3年度における寄附金等の受取りについて申告をいただいています。なお、(競合)品目・(競合)企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいています。
 各委員会の申し出状況から、審議への不参加の委員はいらっしゃいませんでした。土屋委員がノバルティスファーマ株式会社、ファイザー株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたので、お知らせします。
 参考人においては、庵原先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社、ファイザー株式会社から50万円以下の受取り、岡田先生が、化学及血清療法研究所、グラクソ・スミスクライン株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取り、桃井先生がグラクソ・スミスクライン株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありました。
 予防接種後副反応検討会委員におかれましては、多屋先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、ファイザー株式会社から50万円以下の受取り、岡部先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたのでお知らせします。
○松本座長 ただ今事務局から説明がありました審議参加に関する遵守事項に関しては、よろしいですか。
(了承)
○松本座長 特にないようですので、(競合)品目・(競合)企業の妥当性を含めて了解いただいたものとします。ありがとうございました。続いて事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認です。1枚目に座席表、2枚目に本日の議事次第、3枚目に委員等の名簿、4枚目に配付資料の一覧があります。
 資料1のシリーズは、資料1-1が副反応報告等の状況、資料1-2が重篤症例一覧、資料1-3が死亡症例一覧、資料1-4が死亡症例の概要、資料1-5が昨シーズンとの報告状況との比較、資料1-6がギラン・バレー、ADEMの可能性のある症例一覧、資料1-7がアナフィラキシーの症例一覧。参考資料として、参考資料1-1がインフルエンザワクチンの添付文書、参考1-2が非重篤症例一覧。
 資料2の関係は、資料2のみで、抗インフルエンザウイルス薬投与妊婦の出産と小児に対する特定使用成績調査中間報告。
 資料3-1が子宮頸がん予防ワクチンの副反応報告状況、資料3-2がHibワクチン、資料3-3が小児用肺炎球菌ワクチンのものとなっています。参考資料3-1が子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金について(案)、参考資料3-2が各ワクチンの添付文書、参考資料3-3が小児科学会の委員会声明、参考資料3-4が肺炎球菌ワクチン誤接種防止対策に関する通知の写しです。資料は以上です。
○松本座長 よろしいですか。議題1に入ります。議題1は新型インフルエンザワクチン副反応報告状況についてです。10月1日から新たに2010-2011シーズン用のH1N1を含む3価のインフルエンザワクチンの接種事業が開始されました。新たな3価ワクチンでの副反応の報告状況、死亡症例の評価、重篤症例の評価について、先生方に御検討をお願いします。資料について事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局から資料を一通り順を追って説明しますが、先に参考資料1-1を御覧ください。資料1のシリーズが資料1-7の次が参考資料1-1となっており、インフルエンザワクチンの添付文書です。
 今、松本先生から御紹介いただきましたように、参考資料1-1にインフルエンザHAワクチンの添付文書があり、左下の方に2.として組成という表があります。有効成分としては、昨シーズン新型インフルエンザワクチンとしてはA型H1N1の単価のワクチンを使用しましたが、今年10月から接種されているものは、ここにありますA型H1N1、A型H3N2、B型一つ、3種類の抗原を含む混合ワクチンが流通しています。並行して単価のワクチンも在庫はありますが、実際には流行状況などからこちらの3価ワクチンが使用されている状況になっています。
 資料1-1から順に簡単に紹介をします。資料1-1がインフルエンザワクチンの副反応報告等の状況についてです。医療機関の副反応報告状況の表ですが、報告全体について、今シーズン、特に接種の順位が集団によって決まっているというわけではありませんので、10月、11月の1カ月単位でまとめました。10月に約2,500万回分、11月に2,000万回分、製造販売業者から流通業者を通じて医療機関に納入されています。接種状況の詳細についてはこれだけ打たれているかどうかはまた別の問題でして、理論上の最大接種者数になります。
 報告状況としては、これらのほかに流行状況が先週金曜日の時点で公表されている資料、今年の第47週時点では定点医療機関当たり0.44ということで、昨年の同時期と比べれば流行の状況が格段に違いまして、昨年は定点当たり数十の報告があったという状況がありますので、念頭に置いていただければと思います。
 全体としては、副反応報告そのものが434件、重篤が64件、うち死亡が8件という状況でした。いずれも昨年度の状況に比べると低い水準となっています。
 1ページの下、「関連有り」と2ページにかけて「関連無し」、「評価不能」ということで、昨年のものと同様に因果関係による表を分けています。特に注目する傾向はありません。副反応の内訳、性別では女性の方が約7割近いということで、昨シーズンと同じ傾向になっています。
 年齢別に分けた表が2ページにあります。
 3ページには、製造販売業者からの副反応報告についての件数をお示ししています。こちらは医療機関から先ほど説明した報告がありますが、これを企業に情報提供しています。それによって報告されているもの以外の分について集計していますが、場合によっては医療機関からの報告と重複しているものを含んでいる可能性があります。製造販売業者からの報告では、トータル33件の重篤な副作用の報告があり、うち死亡は4件ありました。
 4ページが、医療機関からの実接種者数報告に基づく推定接種者の集計とそれに基づく頻度の推計です。実際の接種者数は1カ月遅れで集計されるためにまだ10月分しか参っていませんが、10月分、14都道府県の接種者数を基に全体を推計しますと、10月はおよそ1,000万人近い948万人という数字が出ています。頻度については先ほどと大きく変わるものではありませんので、説明は割愛します。
 参考資料を5、6、7ページに付けていますが、参考1は季節性インフルエンザワクチンの従来お示ししている実績、6ページは新型インフルエンザワクチンの実績を集計したもの、参考3は報告制度の解説について昨年度と同様のものを付けています。
 資料1-2ですが、報告されているもののうち重篤な症例の一覧を添付しています。全部で5ページほどありますが、比較的年齢の低いところと高齢者の分が目につくところがあるかと思いますが、内容的には特別変わった傾向というものはありません。このうちGBS/ADEM、アナフィラキシー、死亡症例については、さらに別の資料で詳細を説明したいと思いますので、こちらの説明は以上とします。
 資料1-5の昨シーズンとの副反応の報告状況の比較を御覧ください。こちらは医療機関からの報告について重篤のみをピックアップして、医療機関からと製造販売業者からの報告件数を集計しています。
 重篤の中で多かったものは、2ページの上から見ていただきますと、医療機関からのところで8件あるものは発熱、医療機関からのところで13件あるのはアナフィラキシーというものです。その他は最後のページになりますが、医療機関から4件あるのは全身性皮疹、企業と合わせて4件が蕁麻疹と、重篤中で多いものはこういった既知の副作用の報告になっています。
○事務局 続いて死亡症例について紹介をします。資料1-3、1-4を御覧ください。資料1-3を御覧いただきますと、11月30日までの報告分ということで症例の一覧表があります。今回、先ほどありましたように医療機関から報告をされている分、製造販売業者から報告されてきている分、8例、4例ということで、合わせて12症例の一覧を付けています。
 2ページに死亡症例の内訳がありますが、性別については男性10例、女性2例ということで、男性が多くなっており、これは昨年と同様の傾向となっています。年齢別ですが、これも80歳以上が11分の8ということで高齢者が多いという傾向でした。
 一覧表をご覧いただきますと、いずれも基礎疾患、持病をお持ちの患者で、接種後に死亡が報告されているということで、いちばん右に報告医の評価がありますが、今回、報告医から「関連有り」とされた症例が4例ほどありますので、こちらを中心に資料1-4、症例の概要で症例の中身、専門家の御意見について紹介をします。
 資料1-4の1ページ、症例1をご覧ください。80代の女性で、心房細動、うっ血性心不全等の既往のある患者です。インフルエンザHAワクチンを接種していますが、このとき同時にセファレキシンの処方がされています。セファレキシンの処方に基づいて服用10分後に全身掻痒感が認められ、その後血圧測定不能、脈が微弱ということで救急病院に搬送されています。心肺蘇生を開始したものの結果的にお亡くなりになっているということで、死因はアナフィラキシーショックでした。
 因果関係に関する報告医の意見ですが、接種医は、セファレキシンについて過去の投与経験があるということから、インフルエンザHAワクチンによるアナフィラキシーショック、搬送先の医師については、インフルエンザワクチンによるものかセファレキシンによるものかは不明ということです。
 今回、1から3ページにわたり5名の先生の御意見をいただいています。1ページ下ですが、アナフィラキシーということで、ブライトン分類で判断をするとカテゴリー1ということですが、この基準では遅発性も考慮されたものということで、セファレキシン内服のみならず、1時間半前のインフルエンザ接種との因果関係を否定する合理的な理由は見当たらないという御意見です。
 2ページにいきますと、次の先生、お二方いらっしゃいますが、いずれもセファレキシンの方が疑しいのではないか、注射した薬によるアナフィラキシー反応が1時間以上経って現れるのは稀である、という御意見をいただいています。
 下の方ですが、D先生、これはブライトン分類1に相当し、アナフィラキシーの可能性が出てくるものの、原因がいずれによるかは明らかではないということです。
 最後、5人目の先生ですが、本剤およびまたはセフェム系によるアナフィラキシーであろうということで、ブライトン分類としては2という御意見をいただいているところです。
 「関連有り」としては、症例3でして、資料の概要としては4ページです。70歳代の男性で慢性呼吸不全を基礎疾患とする患者です。接種当日に頭痛、口渇、食欲低下、倦怠感がありましたが、4日後に脱水と診断されて入院をしています。翌日、状態が悪くなって人工呼吸器の装着などをしていますが、17日目に多量のタール便ありということで亡くなっておられます。この方の既往としては、過去にインフルエンザワクチンによる体調不良があったということでした。
 報告医の御意見ですが、インフルエンザワクチンの副反応による食欲低下を契機に脱水、感染が発現して、呼吸、循環動態が不安定となったことによって、その身体ストレスで出血性胃潰瘍を引き起こしてショックとなり、死亡に至ったもので、因果関係ありという御意見でした。
 次に専門家から御意見をいただいていますが、もともとの状態から些細な理由で原疾患の悪化、死亡が起こりうる病態ということでありますが、詳細情報がなく判定が困難であるという御意見です。
 比較的重症な慢性呼吸不全の基礎疾患をしているということで、上気道炎の罹患、脱水症の合併などによって、重篤な呼吸不全になることも稀ではないということで、インフルエンザワクチンと口渇、食欲不振、脱水などの副反応の因果関係は否定できないと考えられるものの、死亡との因果関係は否定的という御意見でした。
 もう1方の先生についても、2人目の先生とほぼ同様の御意見をいただいています。
 5ページ、症例4ですが、胃切除後のダンピング症候群により、低血糖のある患者です。投与した後から発熱が出ているということですが、4日後に汎血球減少、意識障害、呼吸困難、多臓器不全があったということです。ただし、4日後に発熱は回復をしているようですが、12日後に死亡ということでした。
 報告医の御意見ですが、接種を契機にDICが発症し、多臓器不全、死亡に至ったもので、本剤以外の原因は考えられないという御意見でした。
 専門医の御意見ですが、5ページの下、詳細情報がなく判定困難であるが、敗血症による死亡によるものと思われる。6ページの上ですが、HAワクチンの副作用でこのような経過をたどるものは知られておらず、副反応と断定する根拠は乏しいという御意見。また、ほかの原因がなく、汎血球減少が急速に進行している状況を考えると、ワクチンの可能性が高いという御意見、最後に、血液検査の間隔、またその間の状況が分からないということで、接種による汎血球減少の診断には限界があるという御意見がありました。直接の因果関係は低いと思われるが、一連の事象としては否定できないという御意見でした。
 最後もう1例、因果関係ありということでいただいているのが、症例7です。こちらは概要としては8ページからです。10歳未満の男児の症例です。精神運動発達遅滞、慢性肺疾患を基礎疾患としてお持ちの方です。接種翌日の朝に呼吸停止で救急搬送されたものの亡くなっているということです。蘇生時の血液検査で肝逸脱酵素の上昇、高アンモニア血症、低血糖を認められたということで、CT検査では特段、死因を特定できる変化を認めなかったということです。
 報告医の御意見ですが、死亡病名としてライ様症候群という判断でして、ライ様症候群と本剤の因果関係は有り、その他の要因として基礎疾患の可能性があるということです。現在、肝臓、皮膚の組織採取を行って病理検査をしていますが、未だ結果はいただいていないという状況です。
 専門家の御意見ですが、8ページ下、ライ症候群(疑い)発症までの時間が非常に短いこと、基礎疾患をお持ちということで、ワクチンが死亡の原因かどうかは否定も肯定もできない。
 もう1方の先生は、ライ様症候群の根拠は、肝逸脱酵素、アンモニア等の著明な増加と低血糖ということだと思うが、入院時、すでに心肺停止状態であったので、その影響も否定できないということで、組織検査の結果を待ちたいという御意見でした。
 最後の先生ですが、これも呼吸停止出現までの時間要素からは、呼吸停止との因果関係を否定する合理的な理由は見当たらないものの、ライ症候群(疑い)とする判断根拠は稀薄であるという御意見をいただいています。以上が「関連有り」に関する専門家の御意見でした。
 なお、御意見をいただいた専門家の先生方のお名前ですが、今回、資料1-4の後ろから2枚に、個別症例の評価に御協力いただく専門家の一覧を付けており、死亡例のほか、ギラン・バレー、ADEM、アナフィラキシー、その他今日紹介する3ワクチンについても、これらの先生方に個別症例評価の御評価をいただいています。
○事務局 引き続いて資料1の関連の資料1-6、資料1-7の説明をします。資料1-6は、GBS/ADEMの可能性のある症例一覧です。資料1-6の1ページ左上を御覧いただきますと、選択基準ということでGBS/ADEMの副反応名で報告された症例、副反応名としてしびれ、脱力感、神経障害、筋力低下、物が飲み込みにくいというタームで報告された症例、さらにそれらタームが経過欄に記載のある症例ということで、幅広めに症例をピックアップし専門家の評価を受けているものです。資料の中身の概要の説明は、最後のページを御覧いただくのがいちばん分かりやすいかと思います。
 医療機関からの報告としては、これら基準でピックアップされたものは28例、製造販売業者からはトータル10例あります。これらのうち否定できないとされたものは、製造販売業者からの症例はまだ調査中となっていますが、医療機関からの報告28例のうちGBS/ADEMがそれぞれ各1例、No.2とNo.15となっています。
 1ページに戻りますとNo.2がありますが、30代男性でワクチン接種12日後、午前に頬の筋力低下が出現、飲み込みづらさ、手足の力が入らないなどの症状が出て、夕方、GBSの診断を受け、13日後に球麻痺出現、気管内挿管し、呼吸管理中、γ-グロブリン大量療法を実施中とのことです。専門家の意見として、否定できない症例というコメントを頂戴しています。
 No.15、ADEMは3ページになります。こちらは30代の女性になります。12日後に体のだるさ、力が入らないという訴えがあり、その後種々の検査をされ、現在、精査のための入院中です。専門家の意見において否定できないというものでした。しかしながら、GBS/ADEMはいずれもこれら各1例ずつということで、数は非常に少ない状況でした。
 資料1-7、アナフィラキシーの症例一覧も、11月30日までの報告分について集計をしています。先ほど死亡症例の中でもアナフィラキシーの症例が1例ありましたが、こちらの資料の10、11、12ページと、昨シーズンにも使用しましたが、アナフィラキシーとして報告があったものについて、その正確さ、確からしさを10ページ以降の分類評価に当てはめて、再度、集計の見直しをしています。
 全体の集計の評価としては、9ページに表があります。報告のあった各ロットの出荷数量と報告数を全体集計し、いちばん下の欄ですが、全体ではすでに4,000万回分以上出ていますが、アナフィラキシーの報告のあったロットに限ると837万回分接種、回数が出ています。報告数としては、38例、うち重篤が21例の報告があります。
 ただし、これを先ほどの分類評価に当てはめて見直したところレベル3以上、アナフィラキシーであることが確からしいというものは、全体で11例、さらに重篤なものは9例ということになります。対10万回比で見た場合には、それぞれ11と9で差の数字が同じになりますが、10万回当たり0.1、0.1という数字になっています。
 ちなみに、昨年のワクチンでは、全体の集計で10万回当たり0.4、重篤なものが0.2ということでしたので、こちらも昨年のものよりもまだ低い水準だという状況です。資料の説明は以上です。
○松本座長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対しまして、御質問、御意見等ありますでしょうか。死亡症例が12例報告されており、やはり80歳以上の高齢者に多いですが、稲松先生、何かこの点に関してコメントをいただけますか。
○稲松座長代理 それぐらいのお年寄りになると、突然いろいろなことで亡くなる方があり、肺炎、窒息、尿路性敗血症、心筋梗塞、大動脈瘤破裂など、起こしています。それがたまたまワクチン接種日であった場合に、因果関係を否定できないことになるのですけれど、これまでの私自身の臨床経験からいけば、やはりこれは突発した原疾患によるものだろうと考えられる例が多いような気がいたします。ただ時間的タイミングだけから言えば、因果関係を100%否定できるものではありません。そういう意味で、その辺を詰めていくためには、ある程度の症例数を集めた段階でもう一度、全体を見直す作業が必要なのかもしれません。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。死亡症例につきましては、この度、小児の0~9歳が1例ありますが、この辺についてどなたかコメントありますか。桃井先生、いかがですか。特にコメントはありませんか。まだ細かい内容が出ておりませんので難しいかと思いますが。
○桃井参考人 これだけでは何とも確実なことは言いにくいです。データも心肺停止後のデータです。ただ、高アンモニア血症、低血糖は死後の変化としては生じにくい変化なので、この二つのデータは、逸脱酵素の上昇以外の何らかの病変が起きたことが想定され、慢性肺疾患に伴う呼吸器の問題以外の病態がここにあったのだろうと想定されます。それ以外のことは何とも言えないのですが、慢性肺疾患の程度にもよりますけれども、10歳未満の何歳だか分かりませんが、幼児以降ではよほど窒息などが起きそうな方以外はあまり突然死の形は起きないので、なおかつ窒息によるデータの変化ではないので、やはりその直前にあったインフルエンザワクチンとの何らかの関連は否定できないのではないかと思いますが、これだけでは何とも言えません。
○松本座長 ありがとうございました。年齢をはっきりさせるのは難しいかと思うのですが、この人は10歳未満、5歳以上ぐらいですか。
○事務局 事務局です。5歳以上10歳以下です。
○松本座長 ありがとうございます。死亡例についてほかに御意見ありませんでしょうか。重篤な副作用ということになりますと、頻度は低いようなのですけれども今回もアナフィラキシーの報告がありますが、岡田先生、何かこの点についてコメントをいただけませんでしょうか。
○岡田参考人 当初は、たくさん報告されてきましたが、ブライトン分類のレベル3以上はそんなに多くはありませんでした。今シーズンのこれまでの接種母数がまだよく解りませんが、去年が100万接種当たり2~4ぐらいの頻度だったと思います。今回、事務局からお示していただいた今の接種母数の中では、大まかに計算すると80万から100万に1くらいのようです。まだ関心が高いために、たくさん報告されているのかもしれませんけれど、今から注意して見て行かなければいけないだろうと思います。去年と比べて非常に増えている感じではありません。去年と同じぐらいの程度は出ているのかなという感じは受けました。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。特に重篤な例が多いとも言えないわけですね。ほかにこの点に関して御意見はありませんでしょうか。今日は神経の専門の先生はおいでになりませんが、ギラン・バレー、ADEMに関しては、先ほどの事務局からの報告によりますと、「可能性あり」が各1例ぐらいと頻度は低いようですので、今後注目ということでよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。何か御意見がありますか。
 全体的に死亡症例、重篤な副作用に関して他に御意見はありませんか。死亡症例及び重篤症例、ギラン・バレー、ADEM、アナフィラキシーなどについて今シーズンの11月までの報告が集計されておりますが、先ほどから見てみますと、全体的には昨シーズンのインフルエンザワクチンの報告状況も踏まえますと、ワクチンの安全性において重大な懸念は認められないという評価になろうかと思いますが、いかがでしょうか。御異論はありますか。今の段階では、重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。特に、重篤な副作用は多くないという話なのですが、岡田先生はそういう評価で今のところはよろしいですか。死亡症例に関しましては、稲松先生、いかがでしょうか。
○稲松座長代理 昨年は優先順位を付けて、かなり重篤な症例を先にワクチン接種を始めたので、因果関係を付けるのが大変難しい死亡例が多発していたような気がします。その意味では、今年の傾向を見ますと、普通に順番に打っている感じで、実際上それほど重篤なものも出ていないと思います。因果関係についての論議については先ほどお話したとおりです。
○松本座長 ありがとうございました。この点について特に御発言はありませんでしょうか。御異論がないようですので、現段階においてはワクチンの安全性に重大な懸念は認められないという評価にさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、インフルエンザワクチンの副反応等の状況に関する審議はこれまでとなります。なお、本日この会議の終了後、座長から記者向けブリーフィングを行うことになっておりますので、内容は座長に御一任いただきますようお願いいたします。
 合同検討会はこれで終了ということで、事務局はよろしいですか。
○事務局 ありがとうございました。新型インフルエンザワクチンの安全性に関する合同検討会はここまでで終了とさせていただきます。
 以降は、平成22年度第8回の安全対策調査会として引き続き議事を進めさせていただきたいと存します。以降、新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の先生方には、安全対策調査会の参考人として引き続き御参加をお願いいたします。それでは松本先生、よろしくお願い申し上げます。
○松本座長 それでは、安全対策調査会として「抗インフルエンザウイルス薬投与妊婦の出産と小児に対する特定使用成績調査中間報告について」の議題に入りたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料2を御用意ください。1枚めくると産婦人科学会からの通知があります。この度、産婦人科学会から11月22日付けになりますが、「抗インフルエンザウイルス薬投与妊婦の出産と小児に対する特定使用成績調査中間報告」をいただきましたので御紹介させていただきます。
 2ページを御覧ください。中間報告の成績になっています。まず前段に背景の御説明をいただいています。昨シーズンの新型インフルエンザワクチンの対応につきましては、産婦人科学会でQ&Aなどを作成して、早期の抗インフルエンザ薬の服用を勧めていただきました。この結果、4ページの表1にあります、まずインフルエンザそのものの感染の重症例と死亡者数の各国の比較がありますが、特に、日本の次に出てくる米国、それとカナダに比べまして、重症例も少なく、また死亡者も出さなかったということで、日本は非常に落ち着いた結果になりました。
 この原因は次のページの表2です。アメリカ、カナダの比較がありますが、抗ウイルス薬の使用、特にこの中でも発症2日以内の使用率が高かったこと、それからワクチンの接種率も高かった、このようなことが結果的に妊婦の重症化を少なくした原因ではないかという推察がありました。今のところ特に、抗インフルエンザ薬を妊婦が使用した中で重篤な副作用は報告されていないということですが、必ずしも症例が十分でないので、昨年末から抗インフルエンザ薬の妊婦と胎児・新生児に対する安全性に関する調査を行っていただいているものです。
 続きまして、6ページの表3を御覧ください。これまでの期間に詳細を検討できた症例の内訳です。全体で163の症例がありますが、このうちタミフルを投与した症例が147例で約9割、リレンザを投与した症例が15例で1割弱の9.2%になっております。それぞれ妊娠初期を四つの時期に分けたもの、中期・後期、不明なものが一部ありますけれども、それぞれの投与時期ごとに対象となった患者数と胎児・新生児の異常の症例の数を示しています。タミフルについては147例中17例に胎児・新生児の異常がありましたが、リレンザについては対象患者15例のうち特に異常の認められた症例はありませんでした。
 7ページの表4に、タミフル投与症例での生まれた児の異常と関連性について詳細を記載しています。左は今回の調査ですが、まず、初期のうち、絶対過敏期に投与した14例中に3例(うち流産が2例、早産が1例)。相対過敏期には新生児黄疸。比較過敏期には早産1例、新生児仮死2例、微熱1例でした。また、妊娠中期につきましては、60分の8例に報告がありますが、VSD(心房中隔欠損)1例、顔貌異常、両側多合指症の1例、黄疸2例、低血糖、早産、皮下腫瘤各1例となっています。後期は、44分の1例に聴力検査の再調査が行われた症例がありました。
 このような症例について学会で評価をいただいています。これは3ページ、?.「総括」です。まず絶対過敏期に流産のあった14分の2例ですが、こちらは自然流産率とほぼ一致しており、特に薬剤の影響は考えにくいということでした。また、この時期に認められた早産も、その時期からタミフルの影響は考え難いということです。妊娠中期の2例の奇形がありましたけれども、これは服用時期から考えて因果関係は否定的でした。リレンザの使用15例ではいずれも異常を認めず、今後さらに多くの症例を集積するとともに、さらに児について2歳児までのフォローアップ調査をするということですが、現時点で特にこの抗インフルエンザ薬の使用に制限を必要とするような副作用は認められなかったという御報告をいただいています。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対しまして、どなたか御質問、御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 これまでも妊婦への投与に関する安全性情報は随時報告をいただいていますけれども、今回産婦人科学会から中間報告が提出され、今お聞きになったように、特にこれまでの見解を改める必要はないとのことでありますが、それでよろしいでしょうか。特に御異論がないようですので、これまでの見解を改める必要はないとさせていただきます。事務局は、今後も学会及び企業からの情報収集に努めてください。
 次の議題3に移らせていただきます。子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの副反応の報告状況についての議題に入りたいと思います。まず事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料3-1、3-2、3-3の説明をさせていただく前に、参考資料3-1をお手元に御用意いただけますか。A4縦3枚の資料です。
 参考資料3-1、3枚目に「予防接種部会の意見書」がありまして、こちらから説明させていただきたいと思います。これは平成22年10月6日に厚生科学審議会の感染症分科会予防接種部会において取りまとめられた意見書です。5行目からですが、「一方、厚生労働省においては、ヒトパピローマウイルスワクチンの接種促進を念頭に置いた情報収集、分析を目的とする予算事業を要求しているが、これに加え、他の疾病・ワクチンについても適宜、予防接種法における定期接種を位置づけることを想定した対応を検討すべきである」という御意見です。「特に」の下に○が四つありますけれども、○四つの下のところに、「Hib、肺炎球菌、HPVワクチンは、予防接種法上の定期接種に位置づける方向で急ぎ検討すべきである」という意見書が取りまとめられています。
 予算事業の関係についてですけれども、ちょうど先週閉会いたしました先の国会におきまして補正予算が成立していますが、それがこの1ページにあります、「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金について」です。事業概要がありますけれども、対象疾病ワクチンとしまして、子宮頸がん予防ワクチン、それからHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、これらが補正予算の成立から平成23年度末までで事業が予定されています。2ページ目に、「本事業の接種の対象者」がありまして、子宮頸がん予防ワクチンでは中学1年生から高校1年生、Hibワクチンでは0~4歳の乳幼児、小児用肺炎球菌ワクチンでは0~4歳児の乳幼児を対象者としてこの事業が開始されることになります。これら三つのワクチンにつきまして、一番早く承認・発売されたHibワクチンでも平成20年12月ですので、発売から現在までの副作用の報告状況を今回取りまとめさせていただきまして御報告をさせていただきます。
 前置きが長くなりましたが、資料3-1に戻って御覧ください。一つずつ御説明させていただきます。3-1は子宮頸がん予防ワクチンについてです。品目名はサーバリックス、販売開始は平成21年12月で、今年の10月までにおよそ60万本出荷されています。このワクチンは3回接種しますが、3回接種するまでに一定期間を要しますので、前回のところまでであれば、一人当たりおよそ1.5回程度の接種と見積った場合に、約40万人の方が打っている状況が推定されています。副作用報告例は、企業からの報告が81例集計されています。一番多いものが、発熱と失神各11件、失神に関連して意識消失も10件で、ここは失神、意識消失、注射部位の疼痛が、今回お諮りするほかのワクチンと比べると、接種の対象者も違いますが、やや違った傾向の副作用の報告になっています。この関係については、本日の参考資料3-2の3ページ目にサーバリックスの添付文書がありまして、こういった失神に関しては既に右下「重要な基本的注意」に「接種後の血管迷走神経反射として現われる失神」について注意喚起が行われています。
 一方で、もう一つ、参考資料3-3がありますが、日本小児科学会の予防接種感染対策委員会の声明として、今年9月27日に小児科学会から公表されていますが、10歳以上で勧奨されるワクチンについて失神への注意喚起の必要性を御指摘いただいているものがありますので、この関係を後ほど御議論いただきたいと思います。
 3-1に戻りまして、全体の報告状況は1枚目で申し上げました。2枚目以降はA4を横に御覧いただきます。GBS/ADEMの可能性のある副反応報告。4ページ目からはアナフィラキシーとして報告のあった反応症例、先ほどの議題1のインフルエンザと同じような評価を実施しています。GBS/ADEMに関しては否定できないとされるものは、まだ接種者数も少ないのですがゼロでした。アナフィラキシーとして報告のあったものは、4ページ以降、トータル7例報告がありますけれども、ブライトン分類での見直しをすると7分の2がレベル3以上でした。
 続きまして、資料3-2、Hibワクチンになります。こちらはアクトヒブという製品ですが、平成20年12月から販売が開始されまして、出荷数量が230万本余り、推定接種者数は、これまで予約販売を行っていまして、140万人程度と把握されています。副作用の報告は44例あり、熱性痙攣、発熱、痙攣が多く報告がありました。同様に次のページから、副反応は2件ありますがGBS/ADEMの可能性があるものは0件。3ページ目以降、アナフィラキシーの報告がトータル7例ありましたが、ブライトン分類での見直しでは7分の5がレベル3以上の評価をいただいています。
 資料3-3、こちらは小児用の肺炎球菌ワクチンです。こちらが一番新しく今年の2月から販売開始されたプレベナーというワクチンで、出荷数量は120万本余り、推定接種者数は企業が実施した調査により推計したところ70万人程度と考えられています。副作用としましては、発熱が17件と多いほかは、白血球数増加、痙攣などが4件あるいは3件以下でした。2ページ目以降に同じようなものを付けていますが、GBS/ADEMのスクリーニングにかかるものはありません。アナフィラキシーのみ3件ありましたが、いずれもレベル3よりは低く、3以上のものは特に今のところはありませんでした。
 参考資料3-4を付けていますが、最後に説明しました肺炎球菌ワクチンに関連しまして、これまで小児用肺炎球菌ワクチンのほかに23価の肺炎球菌ワクチン、主に高齢者の方向けに使用されていたものがありますけれども、新たに今年2月から小児用の肺炎球菌ワクチンが出たことから、単に肺炎球菌ワクチンと呼んだ場合に両者を混同してしまうケースが発生しておりまして、実際、誤接種に至った例も報告されておりますことから、そういったことのないようにとの注意喚起の徹底を通知したものです。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明につきまして御質問、御意見等ありますでしょうか。子宮頸がん予防ワクチンの副反応の中に、失神、意識消失が結構多く報告されているようなのですが、このことについて、多屋先生、何かコメントをいただけますか。
○多屋委員 10歳以上で接種する場合に、以前MRワクチンの?期・?期が始まったときも、血管迷走神経反射による失神には注意して接種していきましょうということがありました。今回も想定されている頻度内ではあると思いますが、これぐらいの年齢の方に接種をする場合は接種から30分以内はやはり座って体調をよく観察することが重要ではないかと思いましたので、今後もこのような報告のまとめをしていっていただきたいと思います。
○松本座長 かなり痛いのですか。それで失神するのですか。
○多屋委員 非常に痛いとは聞いているのですけれども、痛いとか恐いとか、そういう精神的なものによって自律神経系の反応で全身の血管が拡張して、結局、脳血流が低下したりして、ひどいときには倒れてしまうことがあるので、そのときに怪我をしてしまったり、もう既に病院から外に出てしまっていたときに、外傷ということがありますので、接種して30分ぐらいは気を付けて見ていかれることは、ワクチンにかかわらず、どんなときでも、採血のときでもよくありますので、気を付ける必要があると感じています。
○松本座長 この場合は差し当たり、そういうことを起こしますという警告と言いますか、注意喚起で大丈夫と考えてよろしいですか。
○多屋委員 はい。そういうこともあって、今後この年齢層の方に対するワクチンの接種の頻度が増えることを想定して、参考資料3-3を日本小児科学会がまとめて出していますので、接種をされる先生方は少し注意をしていただければいいのではないかと考えています。
○松本座長 ありがとうございました。このことに関して他に御意見はありませんでしょうか。
○庵原委員 この子宮頸がん予防ワクチンの副作用名はものすごく種類が多いのですけれども、これは届け出た人の病名をそのまま並べているのですか。と言うのは、これはまとめればもう少し整理できそうな気がするのですけれども、これは整理せずに、届けられた病名でこのように並べるほうが正しいという解釈なのですか。
○松本座長 事務局、いかがですか。
○事務局 現時点では、副反応名は届け出たときの副反応名をそのまま集計させていただいています。そのときに、コーディングで、いろいろ国際的なMedDRAというコードの名前にはめ直したりなどはやっていますけれども、基本的には報告したときの副作用名で報告しています。
○庵原委員 ありがとうございます。と言いますのは、浮動性めまいとか神経原性ショックとか筋力低下とか、これはアナフィラキシーとどう違うのかと言われると答える方が答えにくい気がしますので、この辺りを今後どういう具合に整理していいのか、一つ気になるところです。
○松本座長 この辺の整理の必要性はあると思いますが、先ほどお話が出ましたアナフィラキシーについて、岡田先生、この三つのワクチンに関していかがでしょうか。
○岡田参考人 アナフィラキシーに関しましては、Hibと肺炎球菌もそうなのですけれども、問い合わせのときに、インフルエンザのときは今年からはブライトン分類に基づいてチェックリスト方式で問い合わせをしていただいています。この三つのワクチンに関してはそれが今回なかったものですから、評価するだけの情報が実はあまりありませんでした。そういう意味では、問い合わせをするときにブライトン分類に基づいてチェックリスト方式でしていただくと、ある程度正確な判断ができると思いました。そして、庵原先生が言われるように、子宮頸がんワクチンに関しても血管迷走神経反射とアナフィラキシーというのはある程度明確に区別しないといけないのだろうと思いますから、やはり「アナフィラキシー疑い」あるいは「血管迷走神経反射疑い」のようなケースは、もう一度戻してチェックリストでしていただいたほうが評価はしやすいと思いました。
○松本座長 報告名がダブるというのは、子宮頸がん予防ワクチンが一番多いようなのですが、これはやはり関心が大きいからですか。
○事務局 恐らく報告数が多いからだろうと思いますけれども、いま岡田先生から御指摘いただきましたように、これからまた接種に関する事業等をやる中で、こちらに報告いただきましたものは、少し副作用名を幅広めに、また、ブライトンのスコアリングを先生方に御協力いただいたり、そういう形で少し精緻に見ていく形にしていきたいと思います。また、先生方に評価のお願いがいくかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
○岡田参考人 今から予算事業で、かなりたくさんの方々が接種され始めると、関心が高い分だけ報告数は増えてくる可能性があると思います。そうすると、やはりそれなりの評価をきちんとしていかないと、ワクチンの副反応だけがたくさん出てきたということになりかねないので、ある程度正確な評価が必要になってくると思っています。
○松本座長 ありがとうございます。
○庵原委員 もう1点です。サーバリックスですね、年齢的に痙攣を起こすような年齢の方に打っていないのに、痙攣が6例もあるのが、ちょっとこれも解せない報告なのです。肺炎球菌にしてもHibですと年齢が0~4歳に接種しますので、割と熱性痙攣などの痙攣を起こしやすい年齢層ですけれども、11歳か12歳以上の年齢で6人も痙攣があるのは、少し臨床の現場では納得のいかない副作用です。この辺りもなぜこういう報告があったかをきちんと整理しておかないと、おかしな副反応だけが先走りしそうな気がします。その辺も整理をお願いしたいと思います。
○松本座長 ありがとうございます。一応は整理してあるのですが、評価をされているだけで、一つ一つの副作用名の統一などに関してはまだ検討されていないのですね。
○事務局 現時点で整理している中で、厳密に1例1例の因果関係評価をお願いしているわけではありませんので、今、庵原先生から御指摘いただいた点については少し注意して専門家の評価をいただく形にしたいと思います。
○岡田参考人 三つのワクチンの副反応の報告システムが今までの報告システムになっているものですから、新型インフルエンザと報告システムが少し違っていて、今回事務局の方が報告様式を少し変えましたけれども、1枚の報告用紙ですべてを評価するのはとても難しいです。今までの副反応システムで、例えば、蕁麻疹とか筋肉痛とか症状名が挙がってきていますけれども、1枚の副反応報告だけを見ていて、これがそうなのかそうでないのかは、とても判断ができない状況なのです。その辺りは難しいのでしょうけれども、上がってくる情報が非常に今は限られている状況です。
○松本座長 情報を自由に上げてもらうのは必要なのですが、やはりある程度統一していくのは、確かに庵原先生がおっしゃるように必要なのですけれど、どうでしょうか、いい方法があれば。
○事務局 やはり、これから接種事業を始める中で、実施要領の中で、一枚の紙に先生方に記載いただいて御提出いただく流れになってまいります。そのときに現場の先生方に、最初の報告の入口の時点で大きな負担をかけるのもなかなか難しい部分があります。ただ、いただいた報告については、今、先生方何人かから御指摘をいただきましたように、血管迷走神経反射の部分、アナフィラキシーの部分、痙攣の部分など、少し重点的な部分については、こちらから報告医療機関の先生方に質問を返して、少し詳細な情報を取る形で評価をする、恐らくその積み重ねになるのだろうと思いますけれども、そこは徹底してこれからやって行きたいと思っています。
○松本座長 ほかに御意見ありませんでしょうか。いくつか収集において問題点はあろうかと思いますが、接種事業が今後開始されるということで、副作用の状況の集計報告をいただきましたけれども、いずれのワクチンにつきましても、一定の副反応は見られるものの、安全性上特段の懸念が示されるものではないということでよろしいでしょうか。いかがでしょうか。この辺に関して特に御意見はありませんか。御異論がないようであれば、現在の段階で安全性上特段の懸念が示されるものではないとさせていただきます。ただし、子宮頸がんの予防ワクチンにつきましては、失神などが一定の数見られるので、接種上の注意喚起が重要であることから、小児科学会の声明も踏まえて一層の注意喚起に努めていくようお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 また、事務局は今後も接種事業を通じ、また企業から情報収集に努めていただくようお願いします。
 事務局から何かほかにありますか。
○事務局 特にございません。
○松本座長 全体を通じて特に御発言はありませんか。事務局から最後に何かありますか。
○事務局 本日の議題は以上です。本日は貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。また、今回の会議資料についてもいつもと同様に厚生労働省のホームページに速やかに掲載させていただく予定にしています。
○松本座長 本日の会議をこれで終了といたします。活発な御議論をいただきましてありがとうこざいました。


(了)
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