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2010年3月12日 平成21年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第6回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の第6回合同開催 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成22年 3月12日( 金 )15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(厚生労働省6階)


○議題

1.新型インフルエンザワクチンの安全性について

2.その他

○議事

○事務局 平成21年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第6回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会合同開催を行います。本日の調査会も公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。傍聴者の方々は、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、厳守をお願い申し上げます。
 また、本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中御出席を賜りまして、ありがとうございます。本日は第6回目の合同開催となりますので、委員の紹介は省略します。御欠席の先生は、安全対策調査会委員の五十嵐先生、大野先生、土屋先生、参考人の内山先生、金兼先生、神田先生、是松先生、林先生、名取先生、予防接種後副反応検討会委員の多屋先生です。これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとします。議事進行は松本先生にお願いします。
○松本座長 まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。
○事務局 薬事分科会の審議参加規定についてです。新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の先生方には、薬食審ルールに準じた対応となりますことを御了解いただければと思います。
 本日出席されました委員の方々の過去3年度の関連企業からの寄付金、契約金などの受取状況の御報告です。本日の議題は、議題1が、新型インフルエンザワクチンの安全性に係るものですので、国産または輸入新型インフルエンザワクチンの製造販売業者である、学校法人北里研究所、財団法人化学及血清療法研究所、財団法人阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、以上の会社から、過去3年度における寄付金などの受取について、申告を頂戴しています。なお、(競合)品目・(競合)企業については、事前に各委員に資料をお送りし、確認をいただいております。今回の申し出状況から、審議への不参加の委員はいらっしゃいませんでした。
 参考人において、岡田先生が化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社から50万円以下の受取、工藤先生がグラクソ・スミスクライン株式会社から50万円以下の受取、村島先生がノバルティスファーマから50万円以下の受取、桃井先生がグラクソ・スミスクラインから50万円以下の受取との申告がございました。
 予防接種後副反応検討会の委員の先生方におかれましては、飯沼先生がグラクソ・スミスクライン、ノバルティスファーマから50万円以下の受取、稲松先生がデンカ生研から50万円以下の受取、岡部先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクラインから50万円以下の受取、川名先生がグラクソ・スミスクラインから50万円以下の受取、永井先生がグラクソ・スミスクラインから50万円以下の受取との申告がございましたので、冒頭に御報告申し上げます。
○松本座長 ただ今事務局から説明のありました、審議の際の申し合わせ事項についてはよろしいでしょうか。
(了承)
○松本座長 特にないようですので、(競合)品目・(競合)企業の妥当性を含めて、了解いただいたものとします。ありがとうございました。
 次に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 いちばん上に本日の議事次第、次に委員名簿、その裏に配付資料一覧があります。その次に本日の座席表がありまして、次から資料です。資料1-1は推定接種者数及び副反応報告頻度について、資料1-2は副反応症例の内訳(性別・年齢別)、資料1-3は重篤症例一覧、資料1-4は重篤症例の概要、資料1-5は死亡症例一覧、資料1-6が死亡症例の概要、資料1-7が季節性インフルエンザワクチンの副反応状況との比較、資料1-8はギランバレー症候群(GBS)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の可能性のある副反応報告、資料1-9はアナフィラキシー様症状の可能性のある副反応報告、資料1-10は間質性肺炎の可能性のある副反応報告、資料1-11は企業報告による副反応報告(薬事法に基づく重篤例の報告、国からのフィードバック症例以外のもの)。参考資料1-1は副反応報告の概要リスト、参考資料1-2は諸外国の状況、参考資料1-3は新型インフルエンザワクチンの添付文書、参考資料1-4は新型インフルエンザに関する安全性評価について(第一回合同開催の検討結果)、参考資料1-5は基礎疾患を有する者への適切な接種の実施について(厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局事務連絡)、参考資料1-6は基礎疾患を有する方への適切な接種 Webパンフレット、参考資料1-7がアナフィラキシーの分類評価(社団法人細菌製剤協会提出資料)です。配付資料は以上です。
○松本座長 ありがとうございました。議題1は受託医療機関等における新型インフルエンザH1N1ワクチン接種実施要領に基づく、新型インフルエンザワクチンの副反応についてです。本日も重篤症例の評価、死亡症例の評価などについて、先生方に御検討をお願いします。本日の議事及び資料について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 まず、いつものように、先に全体の接種状況並びに重篤症例、GBS、ADMの症例、アナフィラキシーの症例などについての資料の御説明をします。後ほど、死亡症例、間質性肺炎の資料等について、御説明、御審議をお願いします。
 資料1-1「推定接種者数及び副反応報告頻度について」です。まず、2枚目にわたっていますが、報告全体の表があります。全体としては、3月8日現在で、2,280万回接種分が医療機関に納入されています。報告としては、副反応全体で2,389、前回の2月8日の検討会からは、123例ほど増えました。重篤は402例で、こちらは23例増えています。死亡が131となりまして、5例増加しています。
 全体の傾向としては、2月分の報告は、従来に比べると報告数はやや低下傾向にあります。頻度に関しては、前回までと変化は生じておりません。2ページ目、3ページ目が「関連有り」の集計表になっていますが、こちらも全体の発生頻度には変化はありませんでした。4ページ目、5ページ目の「関連無し」、「評価不能」も、同様です。
 今回から、5ページの中程の?「輸入ワクチンに係る副反応報告」として、2月中頃から、輸入ワクチンに関して医療機関への納入が開始されています。1)「乳濁A型インフルエンザHAワクチン」は、グラクソ・スミスクライン株式会社のものですが、3月8日現在で、550回接種分が納入されていまして、今のところ副反応報告は当方には頂戴していないところです。
 2)「乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチン」はノバルティスの製品ですが、6ページですが、トータル2件で、重篤、死亡は輸入ワクチンはいずれもありませんが、副反応報告としては2件あったということです。こちらは550と1,938という接種回数が納入されていますが、バイアルサイズも大きいので、接種の正確な数はさらに低いものと思っています。
 6ページの2ポツ目で、接種事業における医療機関から報告者数を頂戴していますが、10、11、12月までの分については、前回までに御報告しておりまして、数字を更新しているのみですが、9ページの1月分が、今回新たに報告させていただいているものです。同じポピュレーションでも、徐々に発生頻度の低下傾向が見られていまして、1月では全体の620万回接種分程度が集計されています。11ページが10月から1月接種分の合計で、トータルでは1,772万回接種が行われています。納入数量からの推計よりは、若干落ちていますが、この数字と納入数量からの推計の間に、実際の接種者数があると考えています。12ページが死亡報告の傾向です。接種日と死亡日で、11月から12月にかけての報告が多くありましたが、今年に入って以降は、散発的な報告が続いている状況です。
 4番の重篤、死亡報告の頻度です。こちらも報告数を企業の各ロットの接種回数で割り返したところ、大きな相違は見られないという傾向は引き続いています。資料1-1は以上です。
 資料1-2は「副反応症例内訳」です。性別に関しては、全体の報告数の増加がそれほど多くありませんので、前回までとほとんど変わりなく、妊婦の症例の数も変化はありませんでした。年齢別の報告数では、副反応報告数の部分では、全体で123例増えていますが、年代別で20以上増えているのは、70~79歳と80歳以上ということで、重篤に関しても、70~79歳と、80歳以上が、それぞれ9例、7例増えていまして、その他では、0~2例ということになっています。死亡も今回は5例増えていますが、80歳以上にすべて含まれています。
 2ページ目、3ページ目は、接種期間別、年代別の報告数です。報告数自体が減っていますので、特段の傾向というものは特に見られません。3ページ、4ページ目にわたって記載している季節性と今回の新型での件数の多い副反応報告についても、順位にほとんど変化はありません。以上が資料1-2です。
 重篤症例について、新たに報告された分を中心に御説明申し上げますが、資料1-3が重篤症例の一覧です。数が増えてきましたが、今回新たに追加されているのは、いちばん最後の6ページの250番以降で、あと248番が新たに詳細調査により、重篤ということで追加されている症例です。250番以降をざっと拝見いただいたところでは、先ほど申し上げましたように、70歳代、80歳以上という高齢の方のほうが、相対的に多くなっているように見えます。御高齢の方の報告では、253、259、260の症例で転帰として残念ながら後遺症の残っている状況になっております。
 重篤症例の概要で、それぞれの症例の詳細並びに一部専門家のコメントをいただいているものがありますので、御紹介します。追加分に関して、86ページが250番、86ページに248番が追加されている分です。御紹介するのは87ページのいちばん下の254番の無菌性髄膜炎です。回復している症例ですが、10代男性、無菌性髄膜炎に見られた症例ですが、ワクチン接種8日後にはインフルエンザのウイルス陽性が観察されております。専門家の先生方は、接種時にすでに新型インフルエンザの感染が疑われるということで、無菌性髄膜炎に至ったのではないかという評価を頂戴しています。
 90ページの261番に「脳炎(調査中)」とありますが、こちらはあとのGBSのADEMの関連の一覧にも出てきますが、ここでいただいている吉野先生のコメントが資料には反映できていませんので、御紹介しておきます。60代男性で、接種6日後に頭痛、7日後に医療機関受診、8日後に発熱、頭痛が増強し、脳炎の疑いという報告です。吉野先生からは、因果関係は現時点では不明。EBウイルス、DNAが検出されていますので、これによる可能性が高いということですが、因果関係を否定することは難しいという症例です。262番など、GBSの症例は後ほどGBSの症例のほうで御説明します。
 94ページの269番を紹介させていただきます。70歳代の男性で、既往に高血圧、高脂血症、左虚血性視神経症、ワクチン接種9年前に脳梗塞で、入院加療されています。また、接種1カ月前に、左顔面神経麻痺を生じている方で、季節性インフルエンザワクチン接種による副反応歴はありません。右眼に関する既往ないし視力は正常という方です。本ワクチンの接種17日前に季節性を接種しておられ、本ワクチンを接種し、3日後に右眼の異常感、黄色く見えるという症状を訴えられ、医療機関を受診されました。画像検査などでは脳に異常はなく、接種5日後には、視力が1.5から0.7まで低下。入院されまして、接種1カ月後には退院となっていますが、視力は0.6に低下し、黄色く見えるという症状は現在も不変ということです。
 関連評価は、情報不足ということになっています。虚血性視神経症との診断の適正性や右眼の視力低下に関しての情報なども必要だということを、澤先生からいただいています。敷島先生からは、眼科への診察結果の詳細が不明で、視神経炎が原因かどうかは判断しかねる。さらなる所見を確認することが重要という御指摘をいただいています。田中先生からは、薬剤との因果関係を否定できないものにぎりぎり区分けされるということですが、かなりバックグラウンドもあり、基礎疾患との関連、偶発症も起こり得る状況ということで、所見がもう少しほしい、というようなコメントの症例です。
 重篤症例の方で、今回追加があった分に関しては以上です。資料1-5、資料1-6は後ほど御説明します。資料1-7は季節性と新型の比較表ですが、今回は新型での追加は多くなく、取り立てて大きな変化はありませんので、後ほど御参照いただければと存じます。
 GBS、ADEMの資料1-8の御説明をします。詳細調査などで、今回コメントなどが追加されているものが1ページ目の49番です。70代女性で、副反応名は急性散在性脳脊髄炎、ADEMとして御報告をいただいているものです。過去、新型インフルエンザワクチンの1カ月以内に、季節性のワクチン接種も行われている方ですが、新型ワクチン接種3日後にADEMが出現し、医療機関の受診などが行われています。接種26日後には次第に回復、全快し、退院ということで、ADEM自体は回復している症例ですが、現時点ではADEMは否定できない、あるいは画像所見からはADEMと言えるというコメント。また臨床的に、ADEMと考えていいというコメントを中村先生、埜中先生、吉野先生からいただいております。また、本日御欠席の神田先生からも、ADEMの可能性はある。画像所見等があれば、なお判断ができるのではないかというコメントをいただいています。
 GBSの関連は110番で、70代男性の症例です。接種10日後より四肢感覚が低下し、各種検査でギランバレー症候群が疑われたということで、接種25日後にγ-グロブリン点滴の加療を開始され、31日後に筋力が改善、57日後にはギランバレーの疑いは軽快、退院という症例です。経過からはGBSが否定できず、因果関係が否定できないということで、中村先生、埜中先生、吉野先生から、ギランバレー症候群を否定できないというコメントをいただいています。
 2ページの122番です。いちばん上の10代女性のギランバレー症候群としての報告です。こちらも接種4日後に頭痛、嘔気、微熱があり、こちらは軽快したのですが、6日後に両側手指の動きが鈍く、筋力低下、感覚異常が認められたという症例です。現在の時点では、接種18日よりγ-グロブリン療法を行っているというところまでの情報ですが、中村先生、埜中先生、吉野先生のそれぞれからコメントを頂戴しておりまして、GBSを否定できないというのが、中村先生、埜中先生、吉野先生からいただいています。吉野先生と、本日御出席の神田先生からは、吉野先生のコメントで、上肢筋力低下の改善が見られてから、下肢の筋力低下が改めて出現するというのは極めて珍しい。通常のGBSでは見られない経過であるという御指摘を頂戴しています。
 それから、ほかにGBS、ADEMの肯定的な症例の関係では、3ページの132番で、あまり肯定的ということではありませんが、80代女性の症例で、接種8日後に、発熱、痙攣があり、副反応としての因果関係は不明で、ADEMの関連が疑われるが、可能性は低いとされています。それぞれの先生方からは、8日目の発熱であり、因果関係は否定的、あるいはGBS関連が疑われるが、すぐに回復しており、否定的。ADEMの可能性は否定できないが、1日で改善という経過からは、感冒と脱水の可能性が高いという評価をいただいています。
 4ページの135番で、70代男性です。ギランバレー症候群として副反応報告を頂戴しています。接種14日後に、左下肢の痺れ、疼痛が出現し、背中から肩へ上行、同時に右上肢の脱力感も出現するという症例です。各種の検査も行われた結果、免疫グロブリン療法が行われ、症状は27日後に改善傾向が見られ、40日後に軽度な筋力低下、下肢深部覚障害、四肢の筋萎縮、歩行時の軽度ふらつきなどの程度までは改善したというものです。こちらも、中村先生、埜中先生、吉野先生のそれぞれから、GBSが否定できない、あるいは考えてよいというコメントを頂戴しています。
 137番が10歳未満の女性の症例です。接種3日後に、上気道炎の疑いで受診された症例です。12日後に話し方がゆっくりとなり、歩行時ふらつき等の神経症状が出現、急性小脳失調の診断をされ、副反応として報告されたものです。21日後には、経過観察のみで症状は改善、退院されている症例です。小脳失調と言っていいかは、各種検査結果から可能性も考えられますが、情報不足、不明というコメントです。あるいはADEMとまではいかないが、それに近い状態に至った可能性は否定できないのではないかという埜中先生のコメントがありました。吉野先生からは、ワクチン接種後の急性小脳失調と判断してよいというコメントをいただいています。また、神田先生からも、急性小脳失調と判断してよいというコメントをいただいています。
 そのほかでは最後の5ページで、140番の70代女性です。急性横断性脊髄炎とギランバレー症候群として報告された症例です。こちらも新型ワクチンを打つ1カ月前に季節性のワクチン接種をされております。新型インフルエンザワクチン接種の翌朝に、前胸部痛が出現、1時間後に両手部に力が入りづらくなり、さらに1時間後に歩行困難が出現、2日後には、四肢の筋力低下、感覚障害が進行です。MRIの検査をされ、錐体レベルに横断性の脊髄病変があったという症例です。2カ月後、現在両下肢の弛緩性麻痺がありまして、PCRにて各種のウイルス検査をされていますが、こちらはすべて陰性というものです。中村先生、埜中先生、吉野先生、それぞれからコメントをいただいていますが、横断性脊髄炎に関しては、時間的関連として否定できない。神田先生からも、横断性脊髄炎として関連を否定できないということです。
 141番の70代男性は、重篤の一覧の方で説明したものですが、右眼視神経炎で、GBS、ADEMの観点からは判断できないということです。吉野先生からは、顔面麻痺と一連と考えると、多発性硬化症の関与を指摘されています。142番は50代男性のギランバレー症候群の報告ですが、こちらは経過からは発症が早すぎるなど、GBSとする判断根拠は現在の情報からは情報不足というものです。以上が、それぞれの症例についてコメントをいただいたところです。
 加えて、過去のGBSの症例評価にもコメントをいただいています、近畿大学医学部の楠先生からも今回全体の評価に関してコメントをいただいております。これまでのところ、新型インフルエンザワクチン接種後、ほぼ確実が6名、疑いを含むもので7名のGBSが報告されています。全体の推定接種者数が2,000万人を超えるところまで推定されていますので、GBSの自然発生例の存在を考えると、過去に米国で1976年にGBSが多発したような事態と比較して、顕著にGBSが増加したことはないと考えられる状況にあるというコメントをいただいています。
 また、GBSの症例調査などについては、今後の課題として、GBSやADEMについての診断に重要なポイントをチェック項目として、調査用紙を予め準備しておくなどして、それに記入してもらう形にすれば、解析、分析、評価に大いに役立つのではないか、という御指摘を頂戴しています。資料1-8のGBS、ADEMの関連は以上です。
 資料1-9のアナフィラキシーの症例ですが、新たに5症例追加があったのみです。追加のあったものと、変更のあったものを御紹介します。4ページのいちばん上です。微研会の14番で、10歳未満の男児のアナフィラキシーの症例です。こちらは今回新たに報告されたものです。既往歴に、ハウスダスト、ネコ、ダニのアレルギーのある方ですが、ワクチン接種後、30分間若干の腹痛を認めるものの、これは消失し、45分後、帰宅途中に全身発疹が出現、喘鳴と呼吸困難も認め、医療機関にすぐに再来院されたということです。この時点で、ステロイド剤、抗アレルギー剤などの点滴投与などをされ、2時間15分後に他医療機関へ救急搬送されています。翌日には全身状態は良好となり、退院されていますが、見られている所見から、企業評価、各先生方の評価ともに、典型的なアナフィラキシーということで、ブライトン分類も1番となっています。
 情報の変更がありましたものは、10ページの化血研の28番です。こちらはブライトン分類レベルや委員のコメントなど、特に変更ありませんが、SpO2などの臨床経過の情報が、若干追加されていました。内容的には、評価に影響はありません。
 12ページの化血研の48番です。こちらは死亡症例の127番と同一の症例になりますが、ワクチン接種6時間後にショック状態となった方で、アナフィラキシーショックとして御報告をいただいたものです。ショック状態から回復はされたのですが、嚥下性の肺炎などを発症され、意識障害も残ったということで、接種65日後に死亡されているという情報が追加されました。アナフィラキシーとしては、皮膚のメジャー症状などが観察されないことから、ブライトン分類では、企業は5、委員からは高い方で4とさせていただいていますが、アナフィラキシーとは言い難いというものです。死亡に至っている分の情報追加に関しては、岡田先生、金兼先生、森田先生からは、関連はないという御評価、是松先生からは、死因が現疾患の増悪/再燃でも、引き金となったショックにワクチンが関連した可能性は否定できないというコメントをいただいています。
 そのほかに追加のあったものは、16ページの化血研の71から74番が新たに追加されています。いずれも女性で、30代、20代、50代、10代というものです。副反応名は、それぞれアナフィラキシーショック、アナフィラキシー、アナフィラキシー、アナフィラキシー様反応ということですが、観察されている所見などから見る限り、ブライトン分類では5ないし4というもので、アナフィラキシーではないようであるというものです。
 17ページに集計した表を付けています。全体の報告数は、前回の113から118に増えていまして、重篤は52から54に増えています。ただし、レベル3以上に関しては、今回微研会の14で追加されたものだけですので、53が54になっていて、1件追加というだけですので、対10万回比の報告頻度では、全く変化はありませんでした。以上がアナフィラキシーの資料の関連です。
 資料1-11です。こちらは医療機関から直接厚生労働省に寄せられたもの以外で、企業の方に直接情報提供があった分です。前回、昨年末までの分の集計を御報告していますが、今回は1月末分までが報告されています。全体としては、副反応症例数は201例、297件であり、重篤副反応は39件となっています。ただし、12月末までの重篤は全体では36件ですので、企業の方に1月に来ている症例というものも、あまり多くはなかったという状況になっています。資料1-10は後ほど御説明申し上げます。資料の説明は以上です。
○松本座長 ただ今事務局から説明があったことに関して、御質問、御意見等はございませんか。ギランバレーとADEMに関しては、ギランバレーで新たに追加されたのが3例、ADEMが1例です。これに関して楠先生が、全体的に見て自然発生に近いということで、特別な対応は必要ないという御意見をいただいていますが、埜中先生からコメントをいただけますか。
○埜中参考人 接種数から見てみると、ADEM、ギランバレー症候群の頻度は少ないですので、特にワクチンと関連づけてどうこうということはないと思います。
○松本座長 委員の先生方から、特に何か御意見はございませんでしょうか。神経内科の楠先生からのコメントと、埜中先生のコメントから、この面に関しては特段の対応は必要ないとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○松本座長 御異論がないようですので、そのようにさせていただきます。アナフィラキシーに関しては、今回7例ぐらいで、軽いものがほとんどのようなのですが、このことについても、頻度その他から、新たな対応が必要かどうかコメントをいただけませんか。
○岡田参考人 特に問題はないと思います。先ほど死亡例がありましたが、情報からすると、おそらく関係はなさそうです。確かにショックが肺炎の引き金になった可能性はありますが、基本的には直接の関係はなさそうだと思います。最終的な因果関係の評価は難しいのですが、今からの特段の配慮は必要ないと考えます。
○松本座長 ただ今アナフィラキシーに関しても、頻度からいって新たな対応は必要ないというコメントをいただきましたが、委員の先生方、いかがでしょうか。そのような対応でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○松本座長 アナフィラキシーに関しても御異論がないようですので、そのような対応にさせていただきます。小児の小脳失調が1例あるようなのですが、小児科の先生からコメントをいただけませんでしょうか。
○桃井参考人 これだけのデータではなかなか難しいのですが、この症状から判断するには急性小脳失調症らしい記載であるということが言えます。急性小脳失調症は、感染症等をきっかけに、あるいはきっかけは分からず生じることもありますので、これだけでワクチンがきっかけになったかどうかはなかなか判断が難しいと思いますが、日常臨床でも、比較的よく見る疾患でありますので、これで1例だけですから、これでワクチンとの関連性を言うのは難しいと思います。
 特に、この症例につきましては、ワクチン接種後3日後に上気道炎も発症していますので、それの関連も、ワクチンと同等にあり得るというところから、この症例においては、どちらの関係性が強いということも、特に言えないというのが印象です。
○松本座長 この1例をもってして、新たな対応は必要ないということでよろしいですか。委員の先生方、いかがでしょうか。小児科関係においても、1例のみの報告のようですが、新たな対応は必要ないということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○松本座長 御異論はなさそうですので、そのようにさせていただきます。全体を通じて、何か御意見はございませんか。今御意見を伺っていますと、全体的に現時点においては、ワクチンの安全性に重大な懸念があるという状況ではないということになろうかと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○松本座長 御異論がないようですので、そのように評価していただいたことにさせていただきます。事務局としては、このような問題の収集に今後も当たっていただきたいと思います。それでは残りの資料の説明をお願いします。
○事務局 まず資料1-5の前半、それから資料1-6を使いまして、死亡症例について御紹介させていただきまして、引き続き資料1-10の間質性肺炎の表について御紹介させていただきます。その後、資料1-5の後半について御説明をします。まず資料1-5を御覧ください。
 3月8日までの報告分ということで、死亡症例一覧を付けています。先ほども御紹介しましたように、これまでで131例の報告が来ています。13ページの中程ですが、死亡症例の内訳について御紹介しています。
 まず性別です。男性82例、女性49例です。前回の割合ですが、男性が63.5%、女性が36.5%ということでしたので、だんだん男女差というものは解消する方向で変化をしています。年齢別については、先ほども御紹介したとおり、今回新規に報告された5例は、いずれも80歳以上でした。接種日ごとの死亡報告書については、先ほど御紹介したとおりです。
 続いて、資料1-5と資料1-6を使いまして、前回まで調査中であった症例、今回新たに報告が来た症例について、御紹介させていただきます。まず、資料1-5の11ページを御覧ください。中程ですが、119、120、121と3症例ありまして、前回調査中とさせていただいたものです。資料1-6については、88ページから症例の御紹介をしていますので、併せて御覧いただければと思います。
 まず119です。50代の男性で、ネフローゼ症候群ほかの基礎疾患をお持ちの患者さんでした。接種翌日に心停止により救急搬送されましたが、搬送先で脳出血、肺のびまん性浸潤が認められまして、2日後に脳出血により死亡された症例です。資料1-6の88ページの下に、報告医の因果関係評価がありますが、死因は脳出血が主要因ということで、ワクチンの因果関係は不明ということです。専門家に御意見をいただいておりますが、重松先生からは、ネフローゼ症候群は脳卒中のハイリスクグループであり、死因としては脳出血によるものという御意見をいただいています。情報評価としては、情報不足もしくは原病によるもものという評価をいただいています。山本先生あるいは久保先生からは、因果関係を判断することは困難とありました。
 続いて120番です。10歳未満女子の症例です。脳性麻痺ほかの基礎疾患をお持ちでして、接種翌日まで特段の異変はなかったようですが、呼吸停止で発見されたということです。こちらも89ページの下に報告医の評価として、因果関係は極めて低いと考えているということでした。専門家のご意見、五十嵐先生、岩田先生、山本先生から、因果関係は判断できない、不明ということです。
 121番、80代女性です。うっ血性心不全ほかの基礎疾患をお持ちの症例です。接種の翌日に肺炎がありまして、12日後にお亡くなりになったというものです。90ページの中程に、接種医の因果関係評価がありますが、すでに肺炎が潜在していた可能性があり、ワクチン接種との因果関係はないという御意見でした。岸田先生、小林先生からは、肺炎による死亡という御意見でした。久保先生からは、肺炎によるものかどうかは評価困難ということでした。
 資料1-5の11ページのいちばん下で、126です。こちらも情報が追加となっています。資料1-6については、94ページの後半から症例の概要を紹介しています。70代女性で、慢性腎不全ほかの基礎疾患をお持ちの患者さんです。接種後に嘔吐などがあったようですが、10日後に腸閉塞、その後50日後にお亡くなりになった症例です。94ページの下に接種医の因果関係判断があります。接種後に後頭部痛、嘔気等が出現し、時間的に否定できないものの、結果として腸閉塞を起こしていたこと、透析中であったことから、因果関係は評価不能という御意見でした。95ページの上に専門の先生方の評価をいただいています。副反応と原疾患による症状との鑑別が困難、ワクチンが原因でイレウスになることは考えにくい。このような意見をいただいています。
 127からが、今回新たに報告をいただいたものです。127については、先ほどアナフィラキシーの御紹介の中で御説明をしておりますので、次に進みます。128番で、資料1-6は96ページの上の方からです。90代の女性で、基礎疾患として気管支喘息などをお持ちの患者さんです。接種5分程度で心肺停止に至られたということです。96ページの中程に、接種医の因果関係評価があります。因果関係を積極的に示唆する理由はなく、老衰であるという御意見です。専門医の意見ですが、接種直後ということで、死亡との因果関係は否定できない。また、因果関係は基礎疾患が多くあるので、明らかにできないという御意見をいただきました。
 129番で、80代の男性です。接種3時間後に、急性心筋梗塞、その後搬送されてお亡くなりになったという症例です。こちらについては、97ページに接種医の因果関係評価があります。病歴からは、虚血性心疾患が基礎疾患として存在していたことが考えられるということで、因果関係は否定しておられます。専門家からの御意見は、心筋梗塞による死亡によりワクチンとの因果関係はなしとの御意見でした。
 130番で、80代の女性です。認知症ほかの既往をお持ちの方です。接種後30分後に、咽頭浮腫、意識障害などがありましたが、翌日には回復をしておられます。その後、接種13日後に心筋梗塞を起こされたという症例です。98ページに評価があります。上の方の主治医の評価ですが、因果関係はなしとの御意見でした。専門家の御意見ですが、稲松先生から、あとから考えれば接種後の出来事も心筋虚血であったということです。埜中先生からは、30分後に起こった症状はアナフィラキシー様症状と判断する。死亡については因果関係なしとのことです。
 131番、80代の男性です。脊髄損傷ほかの原疾患をお持ちの患者さんです。接種翌日に発熱がありまして、3日後に肺炎が認められています。6日後に死亡されたという症例です。こちらについては、99ページに因果関係評価をいただいています。まず、主治医は、当日の発熱の再発については、ワクチン接種との関与が否定できないものの、死亡については嚥下性肺炎を起こしていた可能性もあり、因果関係はないという御意見でした、専門家の評価は、死亡については嚥下性肺炎ということで、ワクチンとは関係なしという御意見もいただいています。
 続いて、資料1-10で間質性肺炎に関する症例の御紹介です。今回全体で19症例を御紹介しておりますが、追加になったものは、いちばん最後の19番目の1例のみでした。そのほかに、前回は入手できていなかった画像を、この1カ月で新たに入手をした上で、先生方に御評価いただいたものがありますので、その辺りも御紹介させていただきます。
 まず、2ページのいちばん下の7番の症例です。もともと基礎疾患に間質性肺炎をお持ちの患者さんにワクチンの接種をしておりまして、2回目の接種後に、発熱などが認められたというものです。久保先生に画像を御覧いただいておりまして、肺線維症の急性増悪で矛盾しないということと、増悪への関与は否定できないという御意見をいただきました。3ページの上の8番です。こちらも新たに画像のデータを入手できまして、評価をいただいています。ワクチン接種6日後に、発疹とともに肺のスリガラス陰影などが認められた症例です。久保先生からは、スリガラス影について、ワクチンによる薬剤性肺炎が否定できないという御意見をいただいています。小林先生からも同様の御意見をいただいています。9番の専門家の御意見のところに誤字がございます。いちばん上の春日先生の御意見の中で「間質性肝炎」となっていますが、「肺炎」の間違いです。お詫びの上、訂正させていただきます。
 続いて4ページです。12番の症例も、新たに画像が入手できました。もともとの間質性肺炎にニューモシスチス肺炎を合併した患者さんに、ワクチンを投与して、肝機能異常なども見られている症例です。画像を御覧いただきまして、永井先生からは、増悪しているのは明らかであるが、ニューモシスチス肺炎の悪化かどうかは不明ということです。
 13症例目についても画像が入手できました。もともと扁平上皮癌の術後で、閉塞性肺疾患などもお持ちですが、接種後に間質性肺炎の疑いが出現しています。永井先生に画像を御覧いただきましたが、細菌性肺炎、胸膜炎の合併も否定できないとの御意見でした。
 16症例目です。突発性間質性肺炎の患者さんに接種したものです。その後、間質性肺炎の増悪にて入院されています。竹中先生からの御意見としては、画像情報その他から、接種前にもともとの間質性肺炎の活動性が高くなっていたことも否定できないので、自然経過による急性増悪の可能性が高いということです。永井先生からは、インフルエンザも含めたウイルス感染症も否定できなく、因果関係は不明との御意見です。
 最後になりますが、新しく報告された19番です。この方は慢性肺気腫などの基礎疾患をお持ちの患者さんです。接種32日後、肺炎ということで受診され、胸部X線で肺に陰影などが認められ、間質性肺炎の増悪ということで、診断が付いたものです。久保先生に御意見をいただきましたところ、インフルエンザワクチン接種より因果関係はないということで、画像からは間質性肺炎を疑うものの、原因は不明ということです。竹中先生からは、間質性肺炎増悪で矛盾しない所見であるものの、偶然に急性増悪した可能性が高いとの御意見をいただきました。間質性肺炎の御紹介については以上です。
○事務局 引き続きまして、資料1-5の後半部分です。14ページです。前回からこういった死亡報告の情報について、少しずつ事務局でも情報の整理をさせていただいているところですが、今回も情報の整理をしています。1番目は、「死亡報告における接種から死亡までの日数」ということで、11月の死亡、12月の死亡、15ページが、1月・2月にお亡くなりになった方の、接種から死亡までの日数です。11月に比べると、12月、1月の方が、少し後ろの方に報告がきているような形になっています。
 15ページの2番目は「死亡報告の月別の報告頻度」というグラフです。このグラフについては、11月、12月、1月分、先ほど資料1-1で御紹介しましたが、接種者数の数が医療機関からの報告で出てきていまして、65歳以上の基礎疾患を有する患者ということですが、11月は102万人、12月が210万人、1月が83万人です。年が明けても、まだ引き続き65歳以上の基礎疾患を有する方に対する接種は続いている状況ですが、一方で死亡例の報告の頻度については、この接種者数を分母にして、その報告数を見ていくと、11月、12月、1月と頻度が著しく減少している傾向があります。接種者数は一定量あるにもかかわらず、死亡報告の頻度は減っている状況が見られています。
 16ページです。ここは死亡例に占める発熱や原疾患の増悪例の割合です。こちらも同様に、11月、12月、1月・2月と時間が書いてありますが、1月・2月に死亡された方、また、1月・2月に接種された方の死亡例の中での発熱、および基礎疾患の増悪をされている方の割合が、昨年よりも明らかに下がってきているという傾向が見られています。11月、12月に亡くなられた方、1月・2月に亡くなられたということで報告をいただいた患者背景を下の方に整理していますが、全体的に呼吸器の疾患を持っておられる方の割合が高めではありますが、11月、12月、1月・2月と、基礎疾患を持っておられる方々の割合的な部分で言うと、それほど大きな差はないような状況です。死亡例についての各接種月毎の患者背景を見ても同様の傾向ということです。
 17ページですが、これまで見てきた数字では、接種者に対する死亡報告の頻度とか、発熱・増悪を伴う死亡報告の割合は、いずれも1月年明け以降に低下をしているという状況、また、死亡報告の推移と接種者数、患者の背景の推移には明確な関連がない状況となっています。また、前年までの状況を説明するには、いろいろな外的な要因もあり得るのか、ということで入れ込みの可能性についても御議論をいただければと思います。
 参考までに、新型インフルエンザによる感染で死亡された方の死亡日と、接種後に発熱・増悪をされた方の死亡日を重ねてみますと、こういうグラフになります。17ページ下の「発熱や基礎疾患の増悪がみられた死亡例の内容」では、接種から死亡までの日数、それぞれの群において前回と変わりない数字になっております。
 次の18ページは、発熱・増悪をされた方と基礎疾患の関係です。呼吸器と呼吸器以外の疾患の方々で、発熱・基礎疾患増悪がみられた方とそうでない方とを比べております。前回も御指摘をいただき、少しこの辺りは開示条件等の数字を入れておりますけれども、比較的、発熱・増悪を示している例については、基礎疾患が呼吸器の患者さんで報告されやすい傾向があるようです。一方、先ほど1-10の方でも御照会をいただきましたけれども、呼吸器の患者さんの死亡例、間質性肺炎においても、個々の画像診断における評価においては、ウイルス性・細菌性の肺炎と鑑別が難しいものが含まれ、他の何らかの感染と重なった可能性があるものがあるというような状況かと思います。
 18ページの下(4)は、接種後の重篤・死亡例、ワクチンと新型インフルエンザ感染の方々で入院された患者さん、死亡された患者さん、いずれも60歳以上の数字を整理してまとめますとこういった比較になってまいります。
 19ページの(5)は、新型ワクチンと、季節性、2009年シーズンの一方で接種をしていた季節性のワクチンとの比較が書いてあります。季節性のワクチンは、報告制度が今回異なっておりますので、絶対数の比較はできない格好になっていますので、割合的な部分を御覧いただくような形になろうかと思います。今回の新型の死亡例、重篤例として副反応報告をいただいているものについては、やはり基礎疾患を持っておられる方の割合が季節性ワクチンに比べても高く、発熱、基礎疾患を有する方の増悪をされているようなケースの割合も高いという部分はあります。2009年の季節性ワクチンは、新型インフルエンザのピーク前の状況で接種がスタートしている、ということが影響した可能性もあるのではないかということも書いてあります。全体的な整理をしますとこういう状況になります。以上、20ページに参考としまして、人口動態統計とワクチン接種後の死亡例の基礎疾患の分類ということで、これも前回お示ししたものの数字をアップデートさせていただいたものです。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。ただいま事務局の方から報告があったことに関して、委員の先生方、何か御質問、御意見等ございますか。ワクチン接種後の死亡症例が随分減少していると、大変ありがたいことですが、この度増加した5名が全部80歳以上ということで、最初に稲松先生、何かコメントいただけますか。
○稲松委員 たまたまワクチンを接種した日の直後、ないし数日以内に亡くなった場合に、御家族としては、一応、因果関係があるのではないかと考えるわけです。ワクチン接種と死亡の因果関係は常識的には否定的だが、タイミングだけからは否定は仕切れないということがどうしても出てくるわけです。そのようなことについて、云々するためには疫学的な調査が必要です。ワクチンを打たないような人でもどのくらいの死亡が出るのかとかと言った疫学的な調査の結果をある程度まとめて、それと付き合わせて、何か差があればワクチンの関係を考えなければいけないし、あまり差がなければ考えなくてもいいだろうと、こういう結論になるわけです。
 現在、11月頃に比べれば、全身状態の若干良い人たちがある程度その成績が出てきて、それの死亡の割合が減ってきたということは、そういう死亡がワクチンそのものによるよりも、原疾患の影響が大きいのだろうというふうに言えると思います。それから、いろいろな疾患の発生や死亡のピークの時期が、インフルエンザそのものが流行しているような時期か、ワクチン接種の時期かで比較してみれば、疾病や死亡がワクチンには直接関係ない、何らかの感染が合併しての死亡かどうかが判ると思います。そういうことを併せて考えていきますと、タイミングだけでは否定はしきれないけれども、その後のある程度の疫学的なデータがまとまりつつある段階で、死亡とか、重篤な副反応との因果関係は否定的になってくると思います。
○松本座長 ということは、1-5の15ページの、去年と今年で65歳以上の死亡率がずっと下がっているのは、先ほど先生がおっしゃったことがかなり関係していると考えてよろしいわけですか。この点に関して何か御意見ございますか。それでは、呼吸器の観点から、永井先生、間質性肺炎の写真を御覧になってられているそうですが、そのことも含めてコメントをいただけますか。
○永井委員 この15ページのデータを見させていただいて、インフルエンザの時期に死亡例が多かったということと、レントゲンでは、インフルエンザ肺炎、いわゆるウイルス肺炎との鑑別は難しい間質性肺炎であるということから、いわゆる紛れ込みもあり得ると思います。レントゲンだけでその時期たまたま一緒になった場合に、その因果関係を、と言われると非常に難しいです。しかも皆さん基礎疾患のある方で、何でも起こり得る状況での出来事ですので、確実な診断はちょっと難しいです。疫学的な裏付けがある程度出ていれば現場は助かると思っております。
 それと質問ですが、資料1-10の19例について、この死亡例が一番ピークの時期は間質性肺炎の時期と一致するのでしょうか。先ほどの死亡例の山と、インフルエンザの死亡例、またはワクチンの死亡例の山と一致しましたというところに、この間質性肺炎の19例は数的には集中しているのでしょうか。
○事務局 今の厳密なデータをこの手元に持っておりませんけれども、大体間質性肺炎で御報告いただいている症例は、昨年接種された症例がほとんどです。年明けに入ってから接種された方で、間質性肺炎の基礎疾患を持っておられる方の報告の数はあまり見ていない感じかと思います。
○永井委員 時期的には一致する可能性があるということですか。
○事務局 はい。
○松本座長 間質性肺炎が増悪した中には、ウイルスとか細菌感染が関与していた可能性もあり得るということでよろしいわけですか。工藤先生、いかがですか。
○工藤参考人 確かに今の議論は、簡単な問題ではないと思います。少し疑問に思うのは、インフルエンザが流行っているときに、そして患者さんがインフルエンザのワクチンを接種されるときに、発熱がある場合は接種されないと思います。そのような状況を配慮されずに判断されるのは、どうかと思います。つまり、インフルエンザが流行しているときに、患者さんに何らかの症状があるときにはワクチンを打たないはずです。知らないで打ってしまうこともあるかもしれませんが、やはり打つ医師は、患者さんの状況をよくみて、異常がない場合に接種するはずです。その辺を注意深くみる必要があるのだろうと思います。
○松本座長 先生、何らかの形で症状が隠れていたという可能性は考えられますでしょうか。
○工藤参考人 間質性肺炎の急性増悪が静かに進行するというのは、あまりないと思います。本資料では、急性増悪と記載されています。
○松本座長 間質性肺炎ではなくて、インフルエンザをたまたま重ねていたとしたら。
○工藤参考人 インフルエンザウイルス感染による基礎疾患、間質性肺炎の急性増悪が引き起こされることはあると思います。その場合は、症状が出るはずですから、多分医師はインフルエンザワクチンを打たないと思うのです。
○松本座長 インフルエンザにかかっていて熱があればおそらくワクチンは打たないでしょうけれど、インフルエンザにかかっている可能性があるが症状が出ていなくて、表にはっきり出てない場合に打つ可能性はないでしょうか。
○工藤参考人 ワクチン接種時に胸部レ線をその都度撮るわけではないでしょうから、インフルエンザ感染と基礎疾患、間質性肺炎の急性増悪の時間差はあるかとは思いますが、急性増悪は通常静かに進行するということはないと思います。
○稲松委員 既にかかっている段階ではまず打たないと思いますけれども、ワクチンを打った翌日にかかったとか、ワクチンを打ちに行って風邪をもらってきたとか、そういう事例も若干入っています。それからワクチンを打って数日後の感染で、という例がかなりあるのではないかと思います。
○工藤参考人 資料の症例を見ますと、打った1-2日後に増悪しているところから、簡単には判断できないかと思います。
○永井委員 工藤先生のおっしゃるとおりに、その線引きは無理です。ただ今回の新型インフルエンザの潜伏期間は最大7日間と言われておりますので、その間にワクチンを打たれてしまうと、インフルエンザの発病と一致してしまうかもしれないということもあるわけです。
○松本座長 ほかに御意見はありませんでしょうか。いずれにしても、呼吸器も含めて、たまたま重なっていたとしても、こういう基礎疾患を有する方に接種する場合には注意喚起をする必要があるということでよろしいでしょうか。ほかに御意見ございませんか。
 先ほどからちょっと問題になっておりますが、この度は、緊急事態の接種でインフルエンザが流行っているときに接種を行ったわけですが、この次から、接種時期との関係、新型インフルエンザワクチン接種の時期について何かコメントありませんか。来年度以降の施行において、岡部先生、何かコメントございますか。
○岡部委員 来年度以降ですか。
○松本座長 これからです。
○岡部委員 今回の場合は、流行の真っ最中にインフルエンザを接種するということと重なってしまっているわけですけれども、本来分かっているならば、流行の前にやるわけですから、できるだけそういオーバーラップが少なくなるという考えでやらなければならないと思います。接種される先生方に注意を促すのは、厚労省も途中でいろいろな啓発をやっていたようですけれども、ハイリスクの方に接種をするということ自体は、やはりハイリスクな行為であって、そこは十分インフォームド・コンセントと言いますか、了解の下にやるべきことではないかと思います。それから失礼ですけれど、接種を担当される方々も、あまりインフルエンザワクチンに慣れていない方も行われた可能性があるわけで、問診のことであるとか、初心に立ち返ると言いますか、接種のやり方についてきちんとやっていくことを、我々の方はそういうことをアナウンスする必要があるだろうと思います。
○松本座長 そうですね、実際接種されている先生方に、その情報がいっているかどうかというのも一つ問題であろうかと思うので、その点情報を伝えることに関して指導をしていただければと思います。ほかに御意見ございますか。
○桃井参考人 今回は、開業の先生が大変御活躍して、御尽力をいただいたのですが、その現場では、十分にいろいろな副作用の頻度と、その他の情報を説明している時間は本当にないのです。例えば、子どもでも血小板減少性紫斑病の2例の報告がありますが、そういうものは普段でも子どもによく起きることであるが、予防接種後にも生じ得ますのでこういう症状がありうるとかを全て説明は出来ないのです。症状が出てから2日後に受診されたりしていますので、もうちょっと国民側にいろいろな情報があると、すぐに受診をされたりするのだろうなと思います。医者からの情報はもちろんですけど、受ける側にもっと厚生労働省が積極的にこういうことがあったらすぐに受診するようにとか、非常に例は少ないですが、ほかの原因でもこういうことが起きますとか、今回のインフルエンザ予防接種でも起こる可能性は非常に希ですがありますとか、もっと積極的にたくさんの情報を国民へも流していただきたいと思います。もちろん、あまり流し過ぎると怖がって接種しないとか、いろいろな予防、行政的な問題もあると思いますが、それは当然メリットも同時にお流しいただいて、そして注意もお流しいただきたいと思います。
 接種の現場では、一人の患者さんに時間を使って、副作用の頻度等についてじっくりとお話している時間はないのです。たぶん大学病院は重症の患者さんに接種するので時間をかけてメリットデメリットの説明は致しますしその余裕はありますが、一次診療の現場では、本当に大変な状況だと思います。
○松本座長 確かに、今年のこの接種事業というのは、落ち着きつつありますけれども、先生がおっしゃってることも、来年度、これから将来の接種事業についての安全対策の一つとして参考にしていただければと思います。他にも何か御提案いただけませんでしょうか。
○川名委員 ちょっと話が戻りますが、11月、12月、1月と死亡する患者さんの数が減ってきているということの解釈ですけれども、例えば、優先接種というものがあって、ハイリスクグループから順番に接種をしていったということがあるわけですが、そうすると11月はかなりハイリスクの人が多く接種を受けていて、12月、1月となってくるにしたがって、本来健康な人がポピュレーションの中で多数を占めてきていると。それで死亡の報告、頻度が減ってきているというようなことはないでしょうか。
○松本座長 それは少し分析されたのでしょう、いかがですか。事務局で明らかな差はないですか。
○事務局 そこの母集団については、実はきちんと分析できるだけのデータがありません。一応、各都道府県等から実際の接種者の方についての数が上がってきますけれども、基本的には65歳以上で、基礎疾患があった方にチェックをして上がってくるような数字です。具体的に接種をされた、例えば83.6万人とか、210.9万人の方の内訳がどのぐらい重篤だったかということについては、ちょっと現時点では情報を持ち得ない状況です。ここでは、あくまで副作用報告で上がってきた方々の症例の中でのいろいろな原疾患の割合とか、そういうものを示しております。川名先生の御指摘については残念ながら情報がないということです。
○松本座長 その点は、かなり情報を集めているわけなので、今後少しずつ分析は可能ですか。
○事務局 次のこうした接種事業をするときには、実際に各医療機関から都道府県に上げていただく調査表等も工夫をさせていただいて、今回分からなかった部分についても分析ができる形にしていくべきだろうと思います。
○松本座長 安全性を確保するということに関して、先ほど楠先生からも、ADEMにしろ、ギランバレーにしろ、ある程度こういうことを報告してもらいたい、そういうものを知らせるという御提案がありましたけれども。埜中先生、いかがですか。やはり報告が漠然とくるよりも、こういう点について報告してくれれば、という面がありますでしょうか。
○埜中参考人 報告は、詳しければ詳しいほどこちらのほうは判断しやすいと思うのです。例えば副作用のところにADEMであったというところに、そこに画像があればいいのです。あまり詳しい報告にすると、今度は、副作用報告として上がってこない。先生たちも書くのは面倒くさいですよね。だから、今やっているような書式でもって、副作用報告を採用して、そして厚労省の方々が、怪しいと思えば、それをもう一回聴いていただく、そういう形が一番私はいいと思います。
○松本座長 確かに、副作用を報告する医師が、その副作用の専門家とは限らないので、情報が不十分であるというのは十分あり得るわけです。死亡症例とか、かなり判断が難しい例に関しては、厚労省なり、それに関係する会社なりが調査をするというのが必要ではないかと思います。死亡症例は、ここにかなり報告されておりますが、まだ長く調査中のままというのもあるみたいですので、その点はできるだけ早く情報を集めるというのも場合によっては必要ではないかと思います。
○岡部委員 私たちも厚労省からの研究費をいただいて、インフルエンザに限らずワクチンの後の副反応情報をどうやって効率よく集めるかという研究はやっているのです。しかし、今は、すべて手書きで行われている状態で、やはり何らかの改善をしていかないと。そこにはどうしてもお金がかかるわけです。そういう投資が必要だということをお金を出す側の人に強く説得をすることが必要ではないかと思います。
 では、すべて電子化すると解決するのかというと、現場では必ずしも全部が電子化されているわけではないので、残念ながらそこを両立していかないといけないというのがあります。そのシステムそのものをきちんと立ち上げていくべきだと。今回の場合は、新型インフルエンザということで、非常に例外的なことでやったとは思うのですが、しかしこれはいずれきちんとしたシステムに乗せていかなければいけないだろうと思います。そのときに効率よくやるというのがなかなか人の力だけではできないですし、厚労省の方もこればかりに取りかかっているわけにはいかないと思いますから、その辺の何らかのプッシュが必要だろうと思います。
○松本座長 この度のこういうシステムは大変いいことだと思いますので、もう少し精度が高くなれば、よりよい情報が得られるのではないかと思います。ほかに何か御意見ございますか。
○岡田参考人 アナフィラキシーの例を解析させていただいても、必要な情報がないということがありました。可能かどうか分かりませんが、チェックリスト方式で、あったか、なかったかということをチェックしていただくようなことだと漏れが少なくなるのかなと思います。最初からすべてのものをチェックするのは大変かもしれませんが、二次調査をやるときに、チェックリスト方式でやっていただくと、必要な情報が漏れなく得られるかと感じました。
○松本座長 この度、国際分類ということで、ブライトン分類がポンと出てきたので、かなりとまどっている人もいるのではないかと思います。今までの報告とは違う形で報告しなければいけない。これは、そういうふうにするということを報告される先生に知らせないと皆さんそれに基づいた報告はできないのではないかと思いますが、その点も含めて、今後はやはり広く情報を知らせることも必要ではないかと思います。ほかに御意見ございませんか。今後の安全対策に関して、いろいろと御意見をいただきましたが、今日の死亡症例に関しましては、稲松先生、5例ありますが、個々の症例で直接の因果関係はないということでよろしいですか。
○稲松委員 特にはありません。
○松本座長 ほかの先生方、特にこの点に関して御意見ございますか。
○稲松委員 先ほど話しましたことですけれども、タイミングというかワクチンを打ってその日に亡くなった、次の日に亡くなったということがあると、当然家族は関係あるだろうと聞いてきます。聞かれた医師側もタイミングからいって否定はしきれませんと言わざるを得ないわけですね。そのときに論理的に、疫学的にはこうですよというデータがきちんとあることが非常に重要なので、そういう意味では、今回のいろいろな調査の膨大なデータがあると思いますので、それをきちんとまとめて公表して、今回はこうでしたと結論を出してほしいです。そのことは、将来には非常に活きてくる重要な情報だろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
○松本座長 そうですね、折角これだけのことをやられたわけですから、因果関係の推定と言いますか、より強く因果関係があるかないかの判断をしていただければと思います。なかなか難しいとは思いますけれど。ほかにございませんか。事務局の方から何かほかに確認することはありますでしょうか。
○事務局 特にございません。
○松本座長 それでは、本日報告していただきましたけれども、ワクチン後の死亡症例につきましても、ワクチン接種との直接的な明確な因果関係が認められるものはありませんが、ワクチンの副反応が重篤な転帰に繋がる可能性も否定できないということですから、接種時、接種後の処置については今後も留意するということでよろしいですね。
                  (了承)
○松本座長 また同じように務めていただければと思います。事務局からほかに何かございますか。
○事務局 特にはございません。先生方におかれましては、この合同検討会におきまして、本日まで貴重な御意見をいろいろと賜りましてありがとうございました。昨年の11月21日から合同検討会を始めておりますが、新型インフルエンザの流行もかなり収束傾向にあり、接種事業におけるワクチン接種もかなり低調になってきておりますが、いろいろ御意見をいただきましたこと、ありがとうございました。一方、新型インフルエンザ対策につきましては、予防接種後の議論も進んでおりますし、今後も継続して引き続き取り組んでまいりますので、今後とも御指導の程、よろしくお願いを申し上げます。本日の検討会の資料につきましても厚生労働省のホームページに掲載をさせていだきたいと考えております。以上です。
○松本座長 全体を通じて何かございませんか。それでは、本日の会議をこれで終了といたします。長い時間、活発な御議論、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課

電話: 03-5253-1111

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