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2012年3月12日 第48回労災保険部会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年3月12日(月)17時30分~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

委員<公労使別五十音順>

荒木 尚志 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
岩村 正彦 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
小畑 史子 (京都大学大学院地球環境学堂 准教授)
中窪 裕也 (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授)
大江 拓実 (全国建設労働組合総連合 書記次長)
黒田 正和 (日本化学エネルギー産業労働組合連合会 事務局長)
齊藤 惠子 (UIゼンセン同盟政策局 部長)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長)
立川 博行 (全日本海員組合 中央執行委員 国際・国内政策局長)
森下 光一 (日本基幹産業労働組合連合会 中央執行委員)
明石 祐二 (社団法人日本経済団体連合会労働法制本部 主幹)
伊丹 一成 (新日本製鐵株式会社人事・労政部 部長)
小島 政章 (株式会社竹中工務店 安全環境本部長)
田中 恭代 (株式会社旭化成アビリティ 代表取締役社長)
長岡 英典 (社団法人大日本水産会 漁政部長)
宮近 清文 (日本通運株式会社 取締役 常務執行役員)

事務局<順不同>

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
小澤 龍二 (調査官)
野地 祐二 (労災保険財政数理室長)
須永 敏良 (主任中央労災補償監察官)
飯田 剛 (労災管理課課長補佐)
河合 智則 (補償課長)
渡辺 輝生 (職業病認定対策室長)
若生 正之 (労災保険審理室長)
植松 弘 (労災保険業務課長)
美濃 芳郎 (労働保険徴収課長)

○議題

(1)労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)労災診療費の改定について(報告)
(3)石綿による疾病の認定基準の改正について(報告)
(4)独立行政法人改革の最終報告について (報告)
(5)行政不服審査法の行政救済制度検討チームの取りまとめについて(報告)
(6)その他(報告)

○議事

○岩村部会長 ただいまから、第48回労災保険部会を開催いたします。本日は大前委員、林委員がご欠席です。
 それでは本日の議事に入らせていただきます。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。第1の議題は「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あての諮問案件です。それでは、事務局のほうから説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○労災管理課長 まず、省令案要綱について読み上げた上で、内容をご説明いたします。
○労災管理課長補佐 それでは読み上げます。お手元の資料1-1をご覧ください。厚生労働省発基労0312第1号、労働政策審議会会長諏訪康雄殿。別紙「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、貴会に意見を求める。平成24年3月12日厚生労働大臣小宮山洋子。
 別紙、労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱第1、介護補償給付及び介護給付の限度額等の引下げ 1常時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額10万4,290円(現行10万4,530円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を月額5万6,600円(現行5万6,720円)に改めること。2随時介護に係る介護補償給付及び介護給付について。介護に要する費用として支出した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額5万2,150円(現行5万2,270円)に、介護を要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額2万8,300円(現行2万8,360円)に改めること。
 第2、介護料の引下げ 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症について。労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付を受けている者であって常時介護を必要とする者に支給する介護料の額を、介護の程度に応じて、月額5万6,600円、4万2,450円又は2万8,300円(現行5万6,720円、4万2,540円又は2万8,360円)に、介護に要する費用として支出した費用がこれを超えるときに支給する限度額を、介護の程度に応じて月額10万4,290円、7万8,220円又は5万2,150円(現行10万4,530円、7万8,400円又は5万2,270円)に改めること。
 第3、障害補償年金又は障害年金受給権者の定期報告に係る住民票の写し又は戸籍の抄本の添付省略。障害補償年金又は障害年金の受給権者が定期報告を行うに当たり、厚生労働大臣が、住民基本台帳法(昭和42年法律)第81号第30条の7第3項の規定により、当該受給権者に係る本人確認情報の提供を受けるときは、その住民票の写し又は戸籍の抄本を添付を省略するものとすること。
 第4、施行期日等 1この省令は、平成24年4月1日から施行すること。2この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めること。以上でございます。
○労災管理課長 内容については、参考1でご説明を申し上げます。参考1の(1)介護(補償)給付及び介護料の引き下げです。現在労働者災害補償保険法により介護補償給付という制度がありますが、この制度は基本的には実際にかかった介護費用をお支払いをするという制度です。しかしながら、最高限度額を設けており、また併せて介護を家族の方が行って実際に、外部に金銭支払いなどがない場合についても最低補償額の支払いをしているということです。これらについては、ほかの制度、被爆者援護法等とも含めまして、均衡を考慮して定めているところで、従来から人事院勧告に併せて上げたり、下げたりしてきたところです。今般、平成24年度から0.23%マイナス改定ということで、その0.23%の率を掛けて計算した改正を今般ご提案申し上げています。同時にこの労災保険法の施行規則等の並びの制度である炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法の関係の介護料についても、同様の措置を行いたいということです。これが大きな1点です。
 (2)障害(補償)年金受給権者の関係です。これは現在毎年定期報告をしていただいますが、その際に住民票の写し等の添付をいただいております。これについては、かねてより業務簡素化、その他ご負担の軽減の観点から検討を進めてまいりましたが、システムの回修その他について目処が立ちましたので、住民基本台帳ネットワークシステムの活用を平成24年度から始め、添付書類の省略を行いたいということです。以上です。
○岩村部会長 それでは事務局から説明いただいた諮問省令案要綱について、ご意見あるいはご質問がありましたらお願いしたいと思います。
○黒田委員 今回の改定は、平成23年度の人事院の国家公務員の給与勧告率のマイナス改定に応じた見直しという説明でありましたが、私たち労働側としては、その社会的な影響の度合いも見極める必要があると考えております。昨年も確認させていただきましたが、今回の施行規則改正の対象となる労災保険の介護(補償)給付を受けていらっしゃる方及び介護料を支給されている方々などの件数、人数、それから昨年と比較した場合の、その増減はどのくらいなのかということを教えていただければと思います。
○岩村部会長 それでは事務局からお願いします。
○労災管理課長 労災保険法に基づきます介護(補償)給付の支給件数は、平成23年度の件数はまだ出ておりませんが、平成22年度は5万5,551件でした。平成21年度が55,650件でしたので、若干減っているということです。炭鉱災害の特別措置法については、平成22年度の支給人数は、28人です。平成21年度は30人でした。これについては、三井三池の炭じん爆発の関係ですので、人数は今後も減少するということはあっても、増加することはないという状況です。以上です。
○岩村部会長 黒田委員いかがでしょうか。
○黒田委員 はい、ありがとうございました。
○岩村部会長 その他にいかがですか。よろしいですか。それではこの諮問のありました本件については、当部会としては妥当と認める旨を労働条件分科会に報告したいと考えますが、それでよろしいですか。
                  (了承)
○岩村部会長 それではそのとおりにさせていただきます。報告文については私にご一任いただくことでよろしいですか。
                  (了承)
○岩村部会長 ありがとうございます。それでは議題(2)に移ります。(2)の議題は「労災診療費の改定について」です。これについても資料が用意されておりますので、事務局から説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○補償課長 労災診療費の改定の方針について説明いたします。資料2です。労災診療費の算定は、健康保険の診療報酬点数表に原則準拠しており、点数表の改定と同様2年に1度見直しを行ってきております。すでにご案内のとおり、昨年末に決定された健康保険の診療報酬改定率は、医科、歯科等の診療費本体は1.379%引き上げられ、逆に薬価等については1.375%引き下げられ、全体として0.004%の引き上げとなったところです。このため、健保引き上げに準拠する形で労災診療費におきましても、昨年末27億3,200万円の予算を追加で要求しております。このうち27億の大半26億2,100万円に関しては、先般明らかとなった健保の改定項目に伴う当然増の経費となって、追加予算のほとんどがこれに当てられることになります。
 ただ、この27億と26億の差、隙間と申しますか、この分については、従来から、行政の政策課題を踏まえて労災独自の診療項目を設定してきております。今回は1億1,000万円が労災診療費の改定に充てられることになります。今年度に関しては、そこにありますように3点を行政課題として考えております。(1)精神障害を発病した被災労働者の職場復帰の促進、(2)石綿関連疾患の労災請求の促進、(3)職場復帰に向けた医療技術の評価等です。この3課題が労災補償行政として早急に取り組まなければならない課題であって、特定項目への点数の加算などの見直しを行いたいと考えております。
 2の改定内容の(1)精神障害を発病した被災労働者の職場復帰の促進については、ご存じのとおり昨年末、精神障害の認定基準を策定しており、これからの課題は精神障害を発病された被災労働者の方の早期の職場復帰になります。被災労働者の職場復帰に関しましては、主治医が事業主等に文書指導や産業医に対して情報提供を行った場合に、現在でも420点の算定ができることとなっておりますが、精神障害については、特に留意点が多いことを考慮しまして、その点数を140点引き上げ560点にしたいと考えております。
 (2)石綿関連疾患の労災請求の促進についてです。すでにご存じのように、昨年7月から全国の労働局において、各地の法務局へ出掛けて行って、中皮腫で亡くなられた方を捜しまして、そのご遺族で未だ石綿救災法による特別遺族給付金の請求を行っておられない方に対し、請求されるよう勧奨しています。この石綿関連疾患の労災請求を促進する取組みの一環として、石綿関連疾患の確定診断を行った医師が、仕事による石綿の被ばく状況を確認して、その上で業務によるものが疑われた場合、監督署に労災請求をするように勧奨しまして、現に労災請求された場合に450点算定するものです。
 2頁で早期の職場復帰に向けた医療技術を評価するものとして、3点を挙げております。特徴的なものとして申し上げますと、?にイメージと書いてありますが、透視下の手術です。これはエックス線で透視をしながら手術を行うことによって、切開する部分を極力小さくして、結果として手術による患者の肉体的な負担軽減を図るという手法です。入院期間等が短くなって早期の職場復帰に効果があると考えております。このようなことから、特定の手術、具体的には下腿骨等の骨折の手術は、こうしたイメージを使った場合に220点算定できるようにしたいと考えております。これ以外に被災労働者が転院する際に職場復帰に向けたリハビリ計画書を提供した場合に、それを評価するものや、ポリネック等の患部を固定する軟性装具についても筋力・体力を落とさずに、早期の職場復帰に効果があると評価し、この場合、医師の診察により必要である場合には、労災診療費で支給したいと考えております。
 改定内容は以上のとおりですが、これらの内容については、現在財務省と調整中で、表題も「方針」としております。これらの事項が実現できるよう引き続き取り組んでまいりたいと思っております。以上です。
○岩村部会長 ただいまの事務局からの説明について、ご意見あるいはご質問等ありましたらお願いします。
○森下委員 労災医療の特性を考慮して設定する労災独自の措置について、現下の課題を踏まえて労災診療費を見直すということですが、ここに記載の、精神障害また石綿関連の疾患、職場復帰に向けたリハビリ等の課題は、いずれも重要な課題と認識しております。そういった中で、今年度の診療報酬のプラス改定がなされたということですが、実態として、このプラス改定がなければ、これらの取組みが、前に進まないものなのかどうかということについて、是非、事務局の考えを示していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○補償課長 予算の枠というものがあり、こうした時代ですので、何でもというわけにはいかないと思いますが、可能な限りその時期、時期の労災補償行政の課題を考慮し、是非、きちっと検討していきたいというふうに思っております。そういう意味で今回は1億円の枠があったということで、これまでも概ね労災独自の措置を取るための枠というのは出てきていますので、私の認識している限りでは、まったく何もなかったということはないのではないかなと思います。
○岩村部会長 森下委員よろしいですか。
○森下委員 はい。
○岩村部会長 ありがとうございました。他にはいかがですか。よろしいですか。
 次の議題に移ります。議題(3)は「石綿による疾病の認定基準の改正について」です。これについても資料を事務局のほうで用意しておりますので、その説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○補償課長 資料の3以下です。先般、「石綿による疾病の認定基準に関する検討会(報告書)」が取りまとめられました。現在の石綿の疾病による労災認定基準というのは、平成18年2月に作成されましたが、その後国際的にも新たな医学的知見が示されていること等を踏まえまして、厚生労働省においては、平成22年5月から石綿の認定基準に関する検討会を開催し、石綿による肺がん等の認定基準について検討を行ってまいりました。検討会では、11回にわたり議論をいただき、さる2月14日に報告書が取りまとめられたところです。資料3-1のポイントペーパー「石綿による検討会」をご覧ください。報告書は肺がん・びまん性胸膜肥厚について、新たな認定基準に盛り込むべき事項を示しました。表は肺がん、裏面がびまん性胸膜肥厚になっております。
 肺がんについて説明します。新認定基準との対比でよりわかりやすくするための表になっていますが、まず肺がんについては、その発症が石綿によるものであると判断するために、現在の労災認定基準では、1石綿肺所見が認められること。2胸膜プラーク又は石綿所見が認められ、かつ石綿ばく露作業従事期間が10年以上あるということ。ここでいう胸膜プラークというのは、肺の胸膜の一部が限局的に、そういう意味ではポツポツとっていう意味で、白く厚くなるものです。これはいわゆる石灰化によるものです。ここには書いておりませんが、3乾燥肺重量1グラム当たり石綿小体が5000本以上又は石綿繊維が5μm超の場合には、200万本以上、1μm超の場合は500万本以上認められること。この主に3つを要件とし、このいずれかが認められる場合に、業務上と認定してきております。
 今回の検討会報告書は右側になりますが、現在の認定要件を維持した上で、これに加えて広範囲の胸膜プラークの所見が、この下にあるように「エックス線写真で確認できる場合又はCT画像上1/4以上の範囲にプラークが存在すること」が認められ、かつ石綿ばく露作業従事期間が1年以上あることとしています。同時に従事期間が1年未満の場合には、個別に検討するということです。もう1つ下のほうについては後ほど説明しますが、びまん性胸膜肥厚を発症した方に肺がんが併発した場合です。3点目がいちばん新しいもので、石綿紡織品製造作業・石綿セメント製品製造作業又は石綿吹付け作業に5年以上従事した場合です。この場合には、上でいいます胸膜プラークなり、石綿小体なりの医学的な所見は不要という形で、5年以上の従事によって業務上とすると示しているところです。これが新たな認定要件として示されたものです。
 資料3裏面では、びまん性胸膜肥厚について説明します。びまん性胸膜肥厚は、この資料にもありますが、臓側胸膜とその反対側の壁側胸膜がゆ着し胸膜のほぼ全体が厚くなる症状、疾病です。びまん性胸膜肥厚については、肺がんや中皮腫と比べてなじみのない疾病であることもありまして、お医者さんの中でも病気の状態や診断方法があまり知られてないという実情がありました。そのため検討会報告書では、びまん性胸膜肥厚の定義を明確に示すとともに診断方法についても示しております。下の現在の認定基準として、?で肥厚の厚さが5mm以上であることを認定要件の1つにしていますが。この要件については、不要であるということが示されております。厚生労働省としては、肺がんについて新たに客観的な認定要件が加わりましたので、これによって迅速な労災認定が可能となると考えております。また、びまん性胸膜肥厚については、診断方法等が示されたことによりまして、迅速、適正な労災認定に繋がるものと考えております。
 今後のスケジュールでは、この報告書に基づきまして、労災認定基準を改正することとして、現在パブリックコメントを実施しているところです。これらの手続きを経た上で今月末を目標に認定基準を改正したいと考えております。認定基準の改正後については、周知・広報を積極的に実施するとともに、改正認定基準に基づきまして、石綿による疾病を発症された方に対する労災補償を迅速、適正に実施して参りたいと考えております。以上でございます。
○岩村部会長 いまご説明いただきました石綿による疾病の認定基準の改正について、ご意見あるいはご質問がありましたらお願いします。
○立川委員 今回の石綿による疾病の認定基準の改正について、最新の医療、医学的見地等を基に新たな認定基準の設定していただいたということで、現行の認定基準の明確化を含めまして見直しをされたことについて、一定の評価をしたいと思っているところです。いま説明がありましたように、今回の改正内容について、労働基準監督署、事業主等、石綿に従事した労働者、医療機関等に早急に積極的に周知を進めていただきたいと思っています。
 確認事項が1つと、伺いたい件が1つあります。ポイントペーパーのほうの現在の基準の3番目の石綿小体のところで、これは石綿小体自体の基準だけで、年数の基準はないのですか。平成22年のパンフレットを見ますと、これに10年というようなレンジが付いていたかと思うのですが。その辺はいかがでしょうか。
○補償課長 おっしゃるように現在の認定基準上は、石綿小体に石綿従事期間10年という形の認定基準があります。ただ今回、検討会の結果報告に合わせるために、そこの部分は明確に書いてないのです。そのときの石綿小体という意味は、今回の基本はそこの部分は維持しております。いろんな形で話を聞くと、誤解のある部分は石綿小体というのは、乾燥肺重量1グラム辺りの石綿小体数5000本ということで、従来の石綿小体プラス石綿作業従事期間10年という意味での石綿小体は、この乾燥肺の5000本ということではなくて、肺の病理組織のプレパラートで確認できる石綿小体の存在という意味です。そこで石綿小体が確認されれば、乾燥肺重量の5000本に相当するという形での考え方、労災認定基準となっております。この部分については今回、労災のこの報告書でも明確に記載されておりますし、今回の認定基準においても、そこの部分をきちんと書いて明確にご説明したいと考えております。
○立川委員 そうすると簡単に考えますと、石綿小体と10年という期間から同じようなレベルで石綿小体と1年という期間に変更されたという理解でよろしいですか。
○補償課長 石綿小体と1年ですか。
○立川委員 今回の検討会において、この3番の上の段でいきますと、そういう理解でよろしいですか。
○職業病認定対策室長 私のほうから申し上げます。石綿小体も検出の仕方が2つあり、従来からあるのは、病理組織で光学顕微鏡で見るやり方です。18年のときに、それを別のやり方で、溶解をしてより判別しやすい形に加工して計測するというやり方を導入し、それが5000本という基準に当てはまるものです。このときには特に年数要件は明確には設けてありません。今回1年としたのは、その要件で5000本あれば、当然それは石綿を原因とした肺がんとして診ていいということを前提としつつ、それが労働者としてばく露したのか、それとももしかすると環境ばく露によるものなのかというところを峻別しなければいけないわけです。その峻別の方法として労働者としての作業期間が1年あれば、それはもう労災保険のほうで給付しましょうということを明確にするために、この1年という要件を設けたということです。ですから1年に達してなくても、これは石綿による肺がんということにはなりますが、その場合には基本的には環境ばく露という認定がされると考えております。
○立川委員 関連ですが、2月23日に東京地裁で労災認定としての石綿の関係の判決が出ました。その要旨を読ませていただくと、専門家が検討した厚生労働省の06年認定基準では石綿作業に10年以上従事するなど条件があれば認めた。ところが厚労省は事務処理規定等として、新たに07年に認定基準の通達を作り、10年以上従事し、乾燥した肺1グラムに石綿小体が5000本以上あるなどの条件を満たさなければ原則的に不認定とした。男性のこの石綿小体は、1000本台だったため労災不認定となったが、東京地裁においては現行の石綿作業従事期間と石綿本数規定について合理性に疑問ありと否定する判決が出ています。
 いまのお話の中と、この東京地裁の判断というのは、イメージが違うのかなという感じです。その辺はどのように考えているのか伺いたかったのが質問の趣旨です。
○補償課長 個別の訴訟案件ですので、この場で詳細については申し上げるのは非常に難しい。その判決自体については、私どもとしても裁判所の誤解があるのかなと。正確に私どもの主張をご理解いただけなかったのかなという評価です。もう1つ上の段階で再度検討いただくという形の内容になっております。ただこれ以上この場で個別の中身について申し上げることはできませんので、そこはご了承いただければと思います。申し訳ございません。
○岩村部会長 ちょっと訴訟が絡むと、なかなか議論を一般化してできない部分もありますし、微妙な問題もあろうかと思います。はっきりしているのは、今回の新しい基準になる前のいまの基準のもとでは、少なくとも新しい検査方法のもとで5000本という石綿小体等が見つかれば、期間は問題にしていませんというのが先ほどのお答だったと思います。今回は新しい検査方法によって石綿小体が5000本以上など出たときに、労働者としての石綿作業従事期間が1年以上あれば、これは業務上とします。しかし1年に満たないというときには、業務上かどうかについては個別検討ですと。そういうお答だったと思います。それでよろしいですか。立川委員、訴訟が絡む問題もありますので。これ以上立ち入ることはできませんが。先ほどの厚労省のお答の趣旨は、そういうことだったと思います。よろしいですか。ほかにいかがですか。よろしいですか。ありがとうございます。
 次に議題(4)「独立行政法人改革の最終報告について」です。これについても事務局のほうで資料を出していただいていますので説明をお願いします。
○労災管理課長 資料4-1です。昨年9月から行政刷新会議で検討されていた独立行政法人改革の概要です。独立行政法人制度創設から10年以上が経過していますが、非常に様々なものが独立行政法人という1つの制度で行われていますので、これを類型化して、最適なガバナンス、ルールを作ろうということで、全独立行政法人について見直しが行われました。このうち労働者健康福祉機構についてどういう指摘があったかが3頁にあります。
 労働者健康福祉機構と国立病院の関係については、大まかな所でいいますと、独立行政法人とは別の新たな制度に移ってくださいということで、最初のポツにあるように、「固有の根拠法に基づき設立される法人に移行することが適当である」ということでして、この報告書全体の中では「民営化等」の「等」に当たります。労災病院、国立病院自体はほとんど診療報酬によって運営されていて、国の予算に依存していないところに着目したわけです。
 2番目のポツですが、具体的な制度の在り方については、国民負担の最小化とか、適切な目標管理システムの構築など、ここに書いてあるようなことを勘案して制度設計をしてくださいとなっております。さらに、労働者健康福祉機構につきましては、「移行に当たって、労災病院関係業務等の真に必要な事務・事業に限定すべき」ということでして、いま現在、勤労者退職金共済機構という独立行政法人がありますが、未払賃金立替払事業はそこに移管することが適当とのご指摘です。また、国立病院機構については非公務員化を行うとのことですが、この非公務員化を行った国立病院機構と引き続き連携を進めつつ、将来の統合も視野に入れた具体的な検討を行うべきであるというご指摘を受けました。
 本報告を受けて、既に1月20日、この報告と同趣旨の閣議決定がなされていますが、スケジュールとしては、平成26年4月、独立行政法人制度全体が変わるというのが政府全体のスケジュールであると承知しております。したがいまして、「固有の根拠法に基づき設立される法人」という、この固有の根拠法については、これから制度設計を行いまして、できれば来年の通常国会に法律が提出できるようなスケジュールで検討を進めていきたく、本日はまず、審議会にご報告を申し上げ、また、検討が進んだ段階でお諮りすることを考えています。
 併せまして資料4-3です。それらの検討と併行しまして、私ども厚生労働省の中で検討会を設けて、国立病院、労災病院の在り方の検討を重ねてきました。これは、事業仕分け、省内仕分けの流れの中で、政策医療を提供する病院としての在り方、その他を検討すべきということで、昨年4月以来会議を重ねてきましたが、この報告書のポイントを説明します。
 3番目の両法人の統合です。厚生労働省内に、国立病院、労災病院という政策医療を担う2つの病院グループがあることについてどう考えるかということですが、両法人の統合についてのメリット、デメリットについて整理しています。メリットについては、本部管理部門の一定のスリム化、あるいは医薬品などの共同購入、臨床例やデータ量の増加などがあります。一方デメリットとしまして、合わせて170を超える病院があって、ガバナンスができるかどうかという問題、あるいは、もともと国が直轄していた公務員型の国立病院と、純粋民間である労災病院とをどうやって1つにしていくかという実際上の問題、また、一般会計の世界でやっている国立病院が現在黒字であり、特別会計の世界の労災病院が赤字であるということで、統合によって、あたかも税金で特別会計の赤字を埋めたようなことになるのをどう考えるかといった問題が、デメリットとして指摘されたわけです。また、法人統合の課題として、特に労働条件、公務員型と非公務員型ということもありますので、労働条件を統一することの時間的な問題、そして、先ほど申し上げたような、労災病院グループの累積欠損金の取扱いの調整といったものに時間がかかります。両法人の統合については、もちろん将来的な課題としてはあるわけですけれども、メリットは運用で対応することが可能な部分はありますが、一方、デメリットや、仮に統合しようとする場合の縣案・課題は短期間で解消することが難しいので、今回の一連の独法改革の中でただちに統合するのは困難であろうと考えております。
 まずは両法人間の連携方策をより強化することにより、法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくことが適当というご指摘を受けました。しかしながら、この両病院グループにつきましては、将来の統合も視野に入れた法人の在り方について引き続き検討していくことにしていまして、今後、この連携方策を具体的に進め、まさに法人統合を行う効果については先取りをしてやっていくことにしております。個別病院の再編・整理については、地域医療の中で考える問題として整理しております。
 2頁ですが、具体的な両法人の連携の強化については、医薬品や医療機器の共同購入、治験の共同実施、情報システムの相互利用、治験症例データの共有化、さらには将来の統合なども睨んで、人事交流まで踏み込んだ連携を行うことにしています。また、いま現在、労災病院グループだけというわけではありませんが、メンタルヘルス対策、その他、非常に社会的意義の深いものをやっています。こういうものについて、国立病院グループという非常に大きな病院グループについても、共同で取り組んでいくことによって政策効果を上げたいと考えています。
 その他考慮すべき事項ということで、特に労災病院グループについては、繰越決算金の解消を着実に進めるための様々な改革を進めるべきであるというご指摘を受けております。その中で、非常に予定利率が高い状態のままの厚生年金基金、代行返上もしていないという状態で、経営に大きな影響を与えております。これについては早急に解決するべきということで、特に取り上げて指摘をしています。この報告書を受けまして、労災病院をはじめとした独法の事業の中身の改革、それから、独立行政法人の制度としての改革の2つをこの1、2年で強力に進めていきたいと考えております。以上でございます。
○岩村部会長 ただいまご説明いただきました独立行政法人改革の最終報告等について、ご意見あるいはご質問があればお願いします。特にございませんか。よろしいですか。
 それでは、議題の(5)に移ります。「行政不服審査法の行政救済制度検討チームの取りまとめについて」でして、これについても事務局のほうで資料を用意していただいております。まずその説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○労災管理課長 資料5です。行政不服審査法全体の見直しの中で、労災も関わっていますので説明をします。これはかねて本審議会にもお諮りをして、行政不服審査制度の改正法案を国会に提出したことがありますが、国会で廃案になった経緯があります。政権交代が行われた後、昭和37年の制定以来、行政不服審査法そのものは実質的に見直しされていないということで、現在の政権の下で再度見直し作業が行われまして、昨年12月に「行政救済制度検討チーム取りまとめ」として取りまとめられました。その内容については、3頁に全体の取りまとめがあります。基本方針として、公正さにも配慮した簡易迅速な手続の下で柔軟かつ実効性のある権利利益の救済。2番目として、国民が救済手続きをいっそう自由に選択という、この2つの方針があります。この中で、具体的には、その下の右側の図にありますように、行政不服審査制度においては、審査請求が原則という整理をした上で、その中で審理官制度というのを創設しているわけです。行政に関する高度な専門的知識と十分な経験を有する者が、審理官という第三者的な独立した立場に立って審査を行い、裁決意見書を書くという仕組みを行政不服審査法の本体の原則にしようという考え方です。
 それから2番目の所、「不服申立前置の全面的見直し」です。裁判に行く前に不服申立てを前置することについては、なるべく限定的に考えようという考え方になっております。これを受けまして、2頁の所に戻っていただいて、取りまとめの図があります。いま現在労災保険法におきましては、まず請求人は不服があったときに裁判に行くことができなくて、労働保険審査官への審査請求を法律上強制的に前置しております。さらに、労働保険審査官の決定が出た後、それに不服な場合には労働保険審査会に行くと、それを経ていないと裁判所に行けないと、この右側のラインが現在の制度です。
 行政救済チーム取りまとめにおきましては、労働保険審査官までの前置強制についてはご理解いただきましたが、労働保険審査会を経た後については、裁判所に行くか労働保険審査会に行くかについて、国民の自由な選択に任せてはどうかという指摘を受けたわけです。いま現在、労働保険審査官に申し立てて、3カ月経過しても決定がない場合には審査会に行きますし、審査会でも同様に3カ月経過しても決定がない場合には裁判所に行けるということで、半年もあれば裁判所に行けるという制度にはなっているわけですが、やはり裁判を受ける権利の制限についてはなるべく限定的にという考え方から、今回このような、1段階の前置強制というご指摘を受けたわけです。私どもとしては、これは労災保険法の改正になりますので、行政不服審査法の改正、これはいつになるかは政府全体のスケジュールによりますが、そのタイミングと合わせて労災保険法の改正法案を策定したいと考えていまして、その段階になりましたら、またこの審議会にお諮りを申し上げたいと思います。以上でございます。
○岩村部会長 ただいまご説明いただきました行政不服審査制度の見直しについて、ご意見あるいはご質問があればお願いします。
○新谷委員 いま、全体的な行政救済制度検討チーム取りまとめ内容と、それに関わる労働保険審査官・審査会のスキームについてご報告をいただきました。労働保険審査会には我々も参与という形で労働側の委員を推薦していまして、今後行政不服審査法の法改正のタイミングの後、どれくらいの期間をおいて労災保険の改正が動き出すのか、それと現在、審査請求と再審査請求の件数がどれくらいあるのか、参考までに教えていただきたいと思います。以上です。
○岩村部会長 では、事務局のほうでお答えをお願いします。
○労災管理課長 直接的には総務省が行政不服審査法を所管していますので、総務省のほうの作業がどのぐらいになるかによっていつ提出するかが決まるわけですが、施行までにどのぐらい周知期間をおいて、行政不服審査制度の改正を行うかということ自体、具体的にこうだということはまだ我々は承知していません。基本的にはかなり横並びを考えて、できるだけ行政不服審査制度の全体のスケジュールと合わせたいと考えていますので、様子がわかればまたご報告を申し上げますが、基本的には独自に施行を先にするとか短くすることはないと考えております。
 それから件数でございます。平成22年度の件数で申し上げますと、労災保険給付の支給決定件数が非常に多くて、528万件というのが全体の件数です。そもそもこれの中で審査請求されるものが1,908件で、再審査請求されるものが640件です。さらに、出訴される件数が125件でして、割合的に申し上げると、裁判まで行くのは非常に少ないです。
○岩村部会長 新谷委員、よろしいですか。その他、いかがですか。
 私の承知しているところでは、審査会に行く案件の多くは医学的なことに関わるもので、今回提案されている制度改正によって、審査官の所からいきなり裁判所に出訴される、とりわけ医学的な問題に関わるものがいきなり裁判所に出訴されるということが、認定業務にどういう影響を及ぼすのかが若干気にかかります。こういうことになってしまったので、しょうがないといえばしょうがないのですが、事務方におかれても、なるべく影響が出ないような形での対処を考えていただければと思います。この議題についてほかによろしいでしょうか。
 それでは、議題(6)、「その他」で報告となっております。最近の労災補償行政に係る動きについての報告をいただくものです。まず事務局のほうから説明をいただきたいと思います。
○労災管理課長 資料6-1「平成24年度 労災勘定の予算案」です。これは歳入、歳出とも、昨年末にご審議いただいた労災保険の料率引き下げを反映した形で組んでいます。したがいまして、歳入については保険料収入の減少を見込んで、対前年度の予算の94.6%という形で組んでおります。また、歳出についても同様に97.3%となっております。しかしながら給付費の所をご覧いただければわかりますように99.1%で、それほどは減っていません。これは東日本大震災の関係の遺族給付があったので、減ったとはいってもわずかな減少に留まっています。それから、社会復帰促進等事業の関係につきましては、未払賃金立替払事業の補助金について見直しを図って、昨年夏の概算要求からさらに減らした形で予算を組んでいます。
 資料6-2「労災保険経済概況」です。これに積立金も含めた全体像を示しております。平成22年度決算において積立金累計額は8兆円あります。平成23年度はまだ決算が終わっていませんが、8兆円を割ることは確実です。三次補正後の予算ベースで見ると7兆8,000億円となっています。決算を締めるともう少し増える可能性はありますが、このようなことで、平成24年度の積立金累計額は7兆7,000億円程度を見込んでいます。
○補償課長 続きまして、資料6-3をご覧ください。東日本大震災の対応についてです。これについて説明します。今回の震災は、津波により多くの労働者の方が業務中または通勤中に被災されましたので、震災発生直後から避難所を中心に、出張相談の実施や新聞・テレビでの広報等、労災保険制度の周知の取組みを進めるとともに、平成23年末にかけて、未だ請求されていない被災労働者、またご遺族に対して請求勧奨を行うために、海岸から20?圏内のすべての事業所に対して、事業所を通じて雇用されていた労働者の被災状況や労災請求の有無などを確認するという取組みを実施してきました。
 今年の2月末現在ですが、約55,000事業所を対象に取り組んでおります。また、今回の震災では死亡・行方不明者が多数に上り、多くの労災請求がなされることが予想されましたので、全国の労働局や労働基準監督署から応援体制を組むなど、労災保険給付を迅速に処理するための体制を整備してまいりました。参考までに申し上げますと、4月4日から12月9日までの間に延べ519人の職員を被災3局に派遣しております。こうした取組みによりまして、全国の遺族請求件数は3月8日現在で2,101件となっております。このうち支給決定した件数は2,052件で、全体の98%です。また、労災請求事案の事務処理について、こうした遺族請求事案については、標準処理期間は通常4カ月を目標にしていますが、今回の震災により請求された事案については概ね1カ月で保険給付の決定と支払いを行っております。今後とも、震災により被災された労働者及びそのご遺族に対する請求勧奨と、迅速な事務処理に努めていきたいと考えております。以上でございます。
○岩村部会長 ただいまの事務局のご説明について、ご質問あるいはご意見はありますか。
○新谷委員 最後にご報告いただいた、労災保険の請求についてお伺いしたいと思います。厚労省におかれては震災発生直後から迅速な対応、機動的な対応をしていただいたと認識しております。不幸にしてお亡くなりになられた方、行方不明の方が約2万人という状況の中で、そのうち労働者の方が何人おられたかに係ってくるわけです。いま現在、全国から2,100件の請求があったわけですが、お亡くなりになられた、あるいは行方不明も含めて、約2万人という方々とこの2,100件との関係をどのように分析されているのか、お伺いします。
○補償課長 委員のご指摘のとおり、現在、死亡者、行方不明者の数は19,000人余りです。それで我々の推計方法といいますか、労働者比率がどれくらいあったかということについて、まず雇用者の比率を見ました。いろいろな統計がありますが、15歳から59歳までの統計、あと、60歳から69歳の統計があります。これは宮城県についてだけですが、雇用者の比率としては、当時15歳から59歳までは53.2%、60歳から69歳については21.1%でした。この2つを合わせると70%程度あるのですが、実際に働いているのは、おそらく18歳から、いいところ65歳ぐらいまでの方だろうと考えております。また、津波が発生した時間帯の業務従事比率というのがあります。それが63.1%です。こうした観点から、労災補償の対象者はおそらく3,000~4,000人はいると考えておりました。ところが、この後明らかになってきましたが、亡くなられた方の年齢構成を見てみると、70歳以上の方が44.9%、60歳以上の方も19%おられまして、15歳から59歳、つまり、いちばん労働力として確実な方が30.7%という状況です。
 こうした全体を勘案して、現時点で再計算しますと、大体2,500人ぐらいが労働者としてお亡くなりになられているのではないかと推計しております。現在2,100件余りの請求がありますが、実はこの残り400件の中には、民間で働いていて、消防団等で活動中に亡くなられたという方もおられます。そうした方は、いわゆる公務災害として救済されています。それは230~240人おられると私どもは聞いています。そういった点を勘案すると、もちろんまだ請求されていない方がおられると思いますので、積極的に勧奨を行って、今後ともできる限りやっていきたいと思いますが、今日まで相当数は請求がなされたのではないかと、私どもとしては考えております。以上でございます。
○岩村部会長 新谷委員、よろしいですか。その他、いかがですか。
 私から1つだけお聞きしたいのですが。資料6-1で、予算案の概要の所の歳入で、全体で見ると、前年度比94.6%となって減っているのだと思います。次の頁を見ると、特に内訳を見ると、保険料収入の所が対前年度比91.98%で、かなり落ち込んでいるのですが、この落込みの原因についてはどのように分析されているのか、可能であればお聞きしたいのです。
○労災管理課長 当然、料率改定の影響額がありますが、これについては598億円のみの影響です。その他は賃金総額の減少とか、実際の数字を使って、保険料収入の実態を見て数字をはじき出していますので、そういうことも影響はあるかと思います。ただ、平成23年度の保険料収入が大震災とか様々な影響で実際イレギュラーであったかどうかは、まだ今後、来年度蓋を開けてみて分析してみないとわからないと考えております。
○岩村部会長 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これで予定していた議題はすべて終了しましたので、以上をもちまして本日の部会は終了します。議事録の署名委員ですが、労働者代表については大江委員、使用者代表については宮近委員に、それぞれお願いしたいと思います。
 どうもお忙しい中、ありがとうございました。これで閉会といたします。


(了)

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