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2011年9月12日 平成23年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催) 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成23年9月12日 18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎5号館 9階省議室


○議事

○事務局 定刻になっております。まだいらっしゃっていない先生がいらっしゃいますが、定刻になりましたので、平成23年度薬事・食品衛生審議会医療品等安全対策部会安全対策調査会(第5回)、子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(第2回)を合同開催させていただきます。
本日の調査会は、公開で行われますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいております。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
傍聴者の方につきましては、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし、喧騒にわたる行為をしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願いいたします。
本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
子宮頸がん等ワクチンの安全対策につきまして検討するため、本日は、「薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」と、健康局長諮問会議であります「子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会」を合同で開催させていただきます。
本年度第2回の会議になりますので、今回新たに御参加いただく参考人の委員のみ御紹介申し上げます。
本日の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の参考人の独立行政法人国立生育医療研究センター病院 器官病態系内科部長の賀藤先生でございます。
本日の委員・参考人の出欠ですが、子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の委員の鈴木先生は御欠席でございます。
また、大野委員におかれましては遅れていらっしゃるという連絡を受けております。
議事に入ります前に、事務局に異動がございましたので、簡単に紹介させていただきます。
健康局結核感染症課長として、亀井の後任に正林が着任しております。
○正林結核感染症課長 正林です。よろしくお願いします。
○事務局 健康局結核感染症課ワクチン対策専門官として、岡田の後任に喜多が着任しております。
○喜多専門官 喜多でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 医薬食品局安全対策課安全使用推進室長として、佐藤の後任に渡邊が着任しております。
○渡邊安全使用推進室長 渡邊でございます。よろしくお願いいたします。
○黒羽課長補佐 申し遅れましたが、私、医薬食品局安全対策課課長補佐の堀内の後任の黒羽でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 それでは、これ以降の進行を松本先生、よろしくお願いいたします。
○松本座長 それでは、まず事務局から「審議参加に関する遵守事項」について、報告してください。
○事務局 薬事分科会審議参加規程についてですが、子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の委員の先生におかれましては、薬食審のルールに準じた対応とさせていただきますことをご容赦ください。
本日出席をされた委員の方々の過去3年間における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況を御報告いたします。
本日の議題1に関しまして、子宮頸がん予防ワクチン・ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの製造販売業者でありますグラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から、過去3年度における寄附金の受取りにつきまして申告いただきました。
なお、(競合)品目、(競合)企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りさせていただいて確認をいただいております。
各委員からのお申し出の状況から今回の審議への不参加の委員はいらっしゃいませんでした。
五十嵐委員から、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社から50万円を超500万円以下の受取との申告がございましたので、議題1の議決に御参加いただけません。
また、参考人におきましては、庵原先生から、グラクソ・スミスクライン株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取。
岡田先生からグラクソ・スミスクライン株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取。
桃井先生からグラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取、稲松先生から、MSD株式会社から50万円以下の受取。
岡部先生からグラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取。
多屋先生から、グラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取の申告がありましたので、お知らせいたします。
○松本座長 ただいま事務局から説明がありました審議参加に関する遵守事項についてはよろしいでしょうか。特にないようですので、(競合)品目・(競合)企業の妥当性を含めて了解いただいたものとします。ありがとうございました。
 それでは、次に事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは、資料確認をさせていただきます。お手元の資料でございます。まず座席表、本日の議事次第、委員名簿、資料の一覧がありますので、資料一覧をお手元に置きながらお願いいたします。
資料1-1「子宮頸がん予防ワクチンの副反応報告状況について」。
資料1-2「子宮頸がん予防ワクチンに関する死亡報告」。なお、この資料につきましては、詳細な経緯等につきましては、ご遺族の希望により、委員限りとさせていただきますので、御了承ください。
資料1-3「子宮頸がん予防ワクチンについての関連資料」。
資料1-4「Hib(ヒブ)ワクチンの副反応報告状況」。
資料1-5「小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告状況」。
資料1-6「ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンに関する死亡報告」。
資料2としまして、「今シーズンのインフルエンザワクチン副反応報告実施体制について」。
資料は以上でございまして、参考資料といたしまして、参考資料1-1「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業における副反応報告と薬事法における報告の違い」。
参考資料1-2としまして、「各ワクチンの添付文書」でございます。
資料は以上でございます。過不足等ありましたら事務局までお申し出ください。
○松本座長 よろしいでしょうか。
よろしいようでしたら、議題1に移りたいと思います。議題の1は、「子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの安全性について」です。
まず子宮頸がん予防ワクチンに関する資料について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料1-1、1-2、1-3に従いまして、子宮頸がん予防ワクチンの副反応の状況について説明させていただきます。
まず資料1-1の「子宮頸がん予防ワクチンの副反応報告状況について」の資料をご覧ください。
現在、子宮頸がん予防ワクチンは2品目承認されておりますが、今回の副反応報告につきましては、平成21年12月よりグラクソ・スミスクライン株式会社より発売されているサーバリックスという製品のものでございます。もう一品目につきましては、MSD株式会社のカーダシルという製品ですが、販売が今年の8月26日からということで、今回の副反応報告は出てきておりません。
副反応報告件数ですが、サーバリックスの販売開始から本年8月22日までの分をまとめさせていただいているものをまず1ページに記載しております。8月22日現在までの出荷数量から、接種可能延べ人数ということで、表の一番左に記載されておりますが、前回御報告させていただいた5月以降の6月1日~8月22日までの接種延べ人数は約160万回でございまして、発売開始からの累積は約350万回分出荷されています。サーバリックスは本年4月、5月に供給量が減少いたしまして、新規の接種が制限されておりましたが、供給量が増加いたしまして、この制限も7月になくなったこと、また、夏休みなどで接種の機会回数が増加したということで、接種可能の人数が前回に比べて大幅に増加しております。
本剤は1人に3回接種をいたしますが、接種者数が現在広がっているという状況から、平均すると1.5回ぐらいではないかと仮定いたしますと、これまでに推定238万人程度が接種されていると推定されております。
副反応の報告状況ですが、薬事法77条の4の2に基づきます製造販売業者からの報告、こちらは重篤と判断された症例でございますが、本年6月1日~8月22日までの間に83例ございまして、累積は275例でございました。
医療機関からの報告につきましては、本年6月1日~8月22日までの間に171例あり、累積は390例の報告がございました。そのうち重篤と報告された症例は20例でございまして、累積は33例でございます。死亡報告は後ほど御説明いたしますが、1例ございました。
前回と比較いたしますと、副反応報告は、6月~8月22日までの約3か月間で160万本の供給が行われておりまして、接種数が非常に増加したことが背景にありますが、報告頻度については大きな変化はございません。
2ページ目からは、接種事業に基づきます医療機関からの副反応報告でございます。
集計の期間は、都道府県からの集計のために7月末までになっております。そのため、前のページの数値と整合いたしませんので御留意を願います。
接種回数は9月1日までに都道府県を通じまして報告のあった市町村からまとめたものでございます。前回会議からの追加分は6月分で47都道府県の5万2,000接種。7月分の47都道府県で23万8,000接種の報告でございます。
表の?報告全体の表に移りますが、今回、報告いたします6月、7月の推定接種者数は約29万回分で副反応報告は81例、そのうち重篤は9例ということでございました。副反応報告の頻度につきましては大きな変化はございません。
4ページ目には医療機関からの報告における重篤症例の一覧を記載しております。いずれも迷走神経反射に関するような報告が多くを占めております。
5ページ目から製造販売業者からの報告でございまして、同じく重篤の一覧を示してございます。こちらは275例でございます。
11ページ目は、医療機関からの重篤とした33例につきまして副反応名の多いもの順に集計したものでございます。失神寸前の状態というのが6例で、迷走神経反射による失神の関連が多くなっております。
12ページ目からは、製造販売業者が重篤とした275例の副反応についてまとめたものでございます。失神が87件、意識消失が33件、失神寸前の状態が26件ということですが、企業におきましては、血管迷走神経反射の副反応につきましては、医師の重篤性の判断にかかわらず重篤と企業が判断しているため、失神関係が多くを占めてございます。
14ページ目からは、医療機関からの報告で、非重篤とされたリストでございます。
21ページ目からは、アナフィラキシーの可能性のある副反応についてリストを示して、可能性のあるものは専門家の意見をいただいてまとめてございます。
25ページ目にございますように、6月~8月の報告分で、アナフィラキシー等として報告された13例のうち、専門家にブライトン分類評価が3以上と評価されたものは4例でございました。表の一番右側の推定接種者人数と比較いたしまして、特に発生率が増加しているということはないと思われます。
26ページ目は、迷走神経反射が疑われる症例にアナフィラキシーが紛れ込んでいないかを確認したもので、ブライトン分類3以上のアナフィラキシーが疑われる症例は確認されませんでした。
27ページは、実際に失神に至った症例につきまして接種から失神までの期間を集計した資料でございます。失神のほとんどは30分以内で発生しておりますが、少数ですが、それを超えて失神が発生しております。そのうち時間がわかっている症例は、接種から30分を超え24時間以内が3例、接種後1日~3日目が10例で、合計13例ございました。
28ページ目以降に経過について記載しておりますが、失神はマッサージを受けているときとか、お風呂やトイレ、航空機内で起こった例もございますが、特異的な共通項は認められません。
迷走神経反射による失神につきましては、例えば献血時において発生することが知られておりますが、失神を伴う重度の迷走神経反射の発生率は、女性では0.036%程度と言われております。その割合でサーバリックス接種可能の延べ人数から計算いたしますと1,250件程度になるということでございます。
また、サーバリックスの失神につきましては、グラクソ・スミスクライン株式会社から、本年1月にサーバリックスを接種する際に御注意いただきたい点という情報提供を医療機関、医療関係者の方々へさせていただいております。資料が飛んで恐縮でございますが、資料1-3の16ページに資料がございます。この中で、?として痛みの発生、?として接種の仕方、?といたしまして臥位で接種する方法、接種後も座らせるなどした上で、状態を観察すること。特に若い女性は失神、転倒を起こす可能性があるという情報提供をしているところでございます。
また、添付文書につきましても、従来より迷走神経反射の注意事項を重要な基本的注意に記載しておりましたが、本年2月にはさらに直後又は接種後の注射による心因性反応を含む迷走神経反射として失神があらわれること。転倒を避けるために30分程度座らせるなどした上で、というような部分を改訂しております。それも資料1-3の後ろのほうにございます。こちらは2月上旬に使用上の注意の改訂をいたしまして情報提供させていただいているという状況でございます。
続きまして、資料1-2にまいります。こちらはサーバリックスの死亡一覧でございます。今回初めて死亡症例が認められました。患者さんは10歳代の女性で、心室頻拍と診断されており、投薬を受けておりました。本剤を接種した翌々日の朝、家の人により心停止、呼吸停止状態で発見されたものでございます。心臓の主治医の意見では、心室頻拍から心室細動に移行し、致死性不整脈で死亡したと考える。接種2日目後などでワクチンと関係ないと思うが、可能性は完全に否定できないため不明と考える、との評価でございます。
PMDAの専門家の評価でございますが、因果関係は不明、という評価でございます。
なお、症例の経過につきましては、御遺族の方の御意向により委員のみ配付とさせていただいておりますので御了承願います。
1-3をご覧ください。海外における死亡症例について、企業からいただいている資料でございます。
1ページ目でございますが、これまで全世界では4例の死亡例が確認されております。英国の12歳と14歳の症例、インドの15歳、10歳の症例で、それぞれ死因につきましては、A群レンサ球菌性敗血症、悪性新生物、蛇咬傷の疑い、マラリアによる重度の貧血でございまして、ワクチン接種と直接の因果関係はない、という評価をされております。
2ページ目に、先ほどの死亡症例のうち、英国の14歳の症例につきまして、英国保健省からのステートメントを付けております。
また、4ページ目からはサーバリックスの循環器系に対する影響に関する資料でございます。これは企業から提供されている資料でございます。非臨床試験ではラットの筋肉注射、ビーグル犬の静脈注射で心血管系の影響は認められておりません。
サーバリックスの臨床データでは、これまで試験を行った9万例の被験者のうち、SOC「心臓障害」に該当する事例が41例ございます。そのうちの15例がサーバリックスでございます。その15例のうち12例が回復、1例が後遺症あり、1例が軽快、1例が死亡でございました。
死亡の症状につきましては、この資料の1-3の11ページの3カラム目のところでございますが、米国で接種されてから2年経過した後の症例でございました。
対照ワクチンのA型肝炎ワクチンにつきましては死亡が2例、盲検中の死亡は4例ということでございました。
また、全世界の自発報告の中でMedDRA PTが不整脈、房室ブロック、第二度房室ブロック、僧帽弁逸脱、心停止、心血管障害の報告につきましては、これまで16例が報告されておりまして、9例が重篤、7例は非重篤でございました。このうち7例が回復、3例が未回復、4例が不明、2例が死亡ということでございました。死亡は日本の本事例とさきの英国の12歳の症例でございます。特に共通するパターンはこの中では得られていないということでございます。
また、公表文献につきましても、HPVワクチン接種と心臓障害に関する文献はないということでございます。
事務局からは以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。ただいま事務局からの説明について御質問、御意見等はございますでしょうか。
 このたび、死亡症例が1例報告されております。小児の例ですので、小児循環器を御専門の賀藤先生がおいでになっていますけれども、コメントをいただけますでしょうか。
○賀藤参考人 国立生育医療研究センターの循環器の賀藤と申します。
今回○歳の女性で、心室頻拍、心室細動で亡くなったということが書かれた症例概要が私のところに来たのですが、まずフォローされている病院の診断名が何であったのかをお聞きしましたところ、○○○○○○○○○○○○○○○○、別名、昔は○○○○○○○○○○○○と言われていたものです。これは非常に珍しい病気で、かつ大変予後の悪い不整脈です。ほとんどは運動時の失神、または感情の高ぶったときに誘発される不整脈といわれていまして、そのときにとられた心電図で心室頻拍、特にいろんな形の波形があらわれるタイプの心室頻拍であるということが特徴とされています。
ただ、珍しいと申しましたが、2003年に「HEART」という英国の学会雑誌に日本からの調査報告が出ています。これは小児循環器学会で主にやった仕事で、日本でどのくらいの患者さんがいて、どのような予後をたどったかという報告がございます。日本でそのとき報告されたのが全国で29人です。大変珍しい病気です。その後、平均8年間フォローしましたところ、亡くなった方が29人中7人です。2人は助かりましたが、低酸素性脳症という状況になっています。ということは、9人が重篤な不整脈を起こして、それで7人が亡くなって、2人が低酸素性脳症ということです。そのうちほとんどの方は薬を飲んでいます。
ということで、この病気としては好発年齢というのがございまして、幼児期は起こりません。ほぼ小学生に上がってから、かつ成人にはほぼありません。というので、小学生、中学生、高校生に大変見られる病気として年齢依存性があるということが1つの特徴となっています。
年齢依存性がなぜあるのかというのはまだよくわかっていません。遺伝子関係の研究で言いますと、リアノジンレセプターという、いわゆるカルシウムチャネルですが、これが関与しているということがわかっていて、リアノジンレセプターの遺伝子異常ということが判明しています。ただ、これがわかっているのは患者のほぼ3~4割、全員ではありません。そのほかいくつかの遺伝子もわかっていますけれども、1番は学校時に運動をたくさんさせるということが、この病気の患者にとっては大変よくないということが論文でも記載されています。ですので、成人期は運動することがなくなってきますので、あと、強制的に運動させるということがありませんので、重症な不整脈が減っているのではないかということが1つの考察となっています。
ただ、一番のポイントは、この患者さんたちが、どのような状況で突然死をしているのか。いわゆる運動時、エモーショナルなストレスがあったときに誘発されると書いてありますが、突然死を起こした状況が何であったかということはあまり文献では書かれていません。ただ、日本で発表された「HEART」の文献ですと、明確なのは運動時の死亡は7人中2人だけです。2人は学校で突然死ということで、学校のどのような状況で亡くなったかということが記載されていません。1人は入浴中に亡くなった。もう一人は、これもよくわかってない。原因不明ということです。ということで、あと2人の状況はわかってないんですが、薬を突然退薬してしまったということがきっかけだろうということになって、結局ポイントとしては運動またはエモーショナルなストレスとして誘発されるこの病気の突然死のリスクが大変高いんですけれども、突然死を起こす状況として、必ずしも運動ではないということであることだけは確かなようです。
米国の学会雑誌にも2009年に載っていますけれども、この病気の不整脈を起こすリスクは何なのかということはまだ不明であると言われています。
我々としては、この病気を見つけた場合はβブロッカー、今回も使っていますし、それでだめならばフレカイニドというものを使いますが、残念ながら埋め込み型のICDを入れざるを得ないことが多いようです。ただ、ICDを入れても亡くなった患者さんを聞きます。ということで大変重症で予後不良で5年以内に亡くなる確率が25%というような病気となっております。
今回は朝方発見されたということですが、運動時ではなかった、もしくはエモーショナルなストレスがないという状況、だからこの不整脈の病気と今回の死亡が何ら関係ないのかと言われると、それは論文、科学的な根拠として、「この不整脈と死亡との間に因果関係がないということは言えない」ということになります。普通考えると、大変重症な予後不良な病気ですので、我々が多分この患者さんを受け持って、朝亡くなったという報告を受けた場合は、この病気が原因だろうなと素直に受け入れてしまう状況だろうと思います。以上です。
○松本座長 ありがとうございました。
ただいまの死亡症例に関しまして、委員の先生方、どなたか御意見ございますでしょうか。今、賀藤先生の御意見に対しても結構ですが、御質問、御意見等ございませんでしょうか。保坂先生、どうぞ。
○保坂委員 前回の検討会のときに申し上げたんですけれども、失神例が非常に多いのについて、ただ一言、血管迷走神経反射じゃないかということで片づけられていると言うとおかしいですけど、されています。普通に血管迷走神経反射が起きるよりも、本日、御報告があった24時間以降というのではなくて、30分以内であっても、私たちの日ごろの経験的には、血管迷走神経反射であれば、20分とかたってから起きるとは考えにくいような気がするんですが、本日、お聞きしましたところ、まだ30分以内の時間の経過のことなどはデータがないということでした。30分以内の例についても、どういう時間で失神が起きたのか、失神のときの状況が、例えば血圧はかっているか、脈拍はどうだったかということがわかれば、それはデータとして出していただきたいと思います。ただ、失神、失神と言って想像だけで血管迷走神経反射ですよというふうに片づけてきているのはちょっと心配なような気がしますので、今回の判定がどうかということとは別にそのことをやはり知っておくべきだと思います。
○松本座長 ありがとうございました。ただ、その前に、死亡症例に関しましては、特に御意見ございませんか。
○保坂委員 そういうことがわかっているということが、今回の死亡例について、確率的な問題ですけれども、接種が関係があった可能性があるかどうかに、それで直ちに何か言えることではないけれども、この接種というのがどういう影響を及ぼし得るかというか、そういうことを想像できるのではないかと思いますので、そのことを知りたいと強く思います。
○松本座長 おっしゃるとおりだと思うんですが、これに関する資料は今のところはないですね。事務局のほうは。
○事務局 申し訳ございません。事務局のほうで先生の御指摘受けて、30分以内だとしても、どういうタイムコースというか、起こっているのかということと、そのときの血圧等について、可能な限りの情報を今後集めて精査をしていけるような形で御提出できればと思いますので、そこは事務局の宿題とさせていただければと思います。
○松本座長 そうですね。30分以上で起こっている例を見ましても、心電図撮っている例もないみたいですし、細かい資料がないみたいなので、現在のところは確定的なことは言えないのではないかと思うんですが、保坂先生、それでよろしいですか。
○保坂委員 こういうワクチンの副反応を見ていくときに、どういう理由で、どういうふうにしたら起きるから、これはワクチンの副反応であるとか、それから、何といいますか、副反応として許容できるかということをずっと議論してきていると思うんですけれども、失神がこんなに多い予防接種って見たことがないので、やはりそこのところはきちんと押さえる必要があって、この死亡例のことについても、例えばそういうことがある程度わかっていれば、この方は○○○○○○○○○○○○というお考えもあって、そういう○○○○○○○○○○○○○○○○○はもちろんいらっしゃると、今、賀藤先生の御説明ありましたけれども、接種をするタイミングを、このタイミングでする必要がなかったかもしれないと私はとても強く思っています。
○松本座長 具体的には不整脈による失神発作も場合によっては含まれているのではないかということを心配なさっておられるわけですね。先生、どうぞ。
○賀藤参考人 失神という事例が書かれていたところをぱらぱらと見ますと、10分間意識がなかったとか、3分間とかは結構長いんですね。桃井先生がお詳しいので、失神の定義に当てはまるかどうかも、私はわかりませんし、10分間を失神というのかどうかもわかりませんし、血管迷走神経反射というならば、ティルトテストをきちんとやらない限りはそういう診断名つけちゃいけないので、今、保坂先生がおっしゃったように、あまりにも血管迷走神経反射の診断名が安易に使われすぎているような感じはします。
○松本座長 この点については何か御意見ございますか。今、ここに報告されている例というのは失神としては少しあいまいであるということですか。
○賀藤参考人 というか、失神の定義をどういうふうにして会社は言っているのかということと、血管迷走神経反射という、失神として欧米では最も多いものですけど、その定義はどういうふうにしているのか、こういうサマリーにあるような症例の記載の仕方なので、ちょっと違和感は持ちました。
○松本座長 意識消失発作ということですべて失神発作ということになっているみたい。
○賀藤参考人 意識消失発作と失神は違うはずですので。
○松本座長 その辺の区別。岡田先生、何かコメントいただけませんか。
○岡田参考人 私はこれまで意識消失発作と失神などで上がってくる症例をアナフィラキシーかどうかを鑑別してきました。書かれている中身ではなかなかそれが区別できない時があります。1つ、賀藤先生にお伺いしてよろしいですか。こういう死亡例は本来、ワクチンを打てないお子さんと考えるのでしょうか。
○賀藤参考人 私は全然そう思いません。普通に打っていいのだろうと思います。少なくとも不整脈の患者さん、重症不整脈の患者さん、心移植が必要な患者さんぐらいの重症な心筋症の患者さん、あとは先天性心疾患の重症の患者さん、低酸素性血症、例えばサチュレーションが70%未満の患者さんでも全員打ってもらっています。それで特に問題は起きていません。
○岡田参考人 小児循環器学会からは接種不適当者に該当するような基礎疾患は、とくに予防接種ガイドライン委員会には上がってきていないと思います。
○賀藤参考人 今回、福岡の循環器学会で、私がワクチン接種の講演をしたんですけれども、そのときに全部調べましたが、一切記載はありません。レッドブックにも先天性心疾患に関してどうのこうのということは一切ありません。逆に積極的に治療しますということです。ただ、注意しなくてはいけないのは、例えばファロー四徴症で低酸素発作が起こりやすい状況の患者さんがいたときに、注意して見なくてはいけないことは確かですけれども、だからといって禁忌であるということは一切どこにも書かれていません。
○松本座長 現在、慎重投与という形できているみたいですが、その程度の注意で十分であるということでよろしいわけですね、この点に関しては。
○賀藤参考人 はい。
○保坂委員 論点として、一般の予防接種をどういう方にするかということは禁忌はないと私も思っています。そのワクチンがこれだけ失神発作という名前で、まとめられている副反応報告があるのに、これの正体を私は知りたいと強く思います。この正体がわかっていたら、もしかしたら接種しないという選択があったのではないかと思いますので、とにかく失神の正体を、失神というのは、全体の症例報告がいっぱいありますよね、失神の。それの正体をぜひ知ることが私たちは必要なんじゃないかと思います。
○松本座長 これは先ほど事務局も言いましたように、もっと細かく少し情報を集めるということをこれからやっていくわけですか。ただ、一般的に失神発作というのは、一過性の脳虚血発作という定義ではいけないわけですか。
○保坂委員 それが実際の事例がそうであったのかどうか、全然わからないわけですよね。ただ、意識を失う発作があったと。それはアナフィラキシーではないかどうかは調べたということで、ということ以上に、前にこの失神は何で起きているんでしょうね、という話題があったときに、恐らく血管迷走神経反射ではないでしょうかという、そういう話の中で、全部そうであるみたいに話が行っていることもすごく疑問だし、これはこの方が、私は接種したから亡くなったとは思っていませんけれども、しかしながら、そうではなかったというふうに私たちがもし言いたいとすれば、これだけ失神発作というのが起きていることの正体を知った上で言うべきだというふうに思っています。
○松本座長 具体的には、先生、失神を起こしたお子さんからどういう情報を集めればよろしいですか。一般に心電図とか。
○保坂委員 もちろん集められるかどうかは別にして、全く今何もしてないわけですよね。30分以降の分はこうでしたということが出ていますけれども、30分以内のものについては、何分後に起きたのか。そういうことの統計というか、それもないわけですね。その中でデータがあるものがあったか、ないかわかりません。脈拍とか心電図とか、そういうものが実際とられていたものがあったどうかもわからない。私が今いただいている資料では、少なくともそういうことなので、それをきちんとしていただきたいと思います。
○松本座長 ということで、そういうことの理由づけといいますか、理由に関する情報を集めるのは大変必要だとは思うんですが、現時点では、今の対応策というのは、先ほど説明していただきましたけれども、あの程度ではまだ不十分であるということですか。失神に関する予防策としては。それに関して、先生が今おっしゃるように。
○保坂委員 ですから今回のことを判定するのに当たって、今回の副反応で本当にお気の毒に亡くなった方のことを、私たちが、これは予防接種とはあまり関係がないから大丈夫ですよ、ともし言いたいとすれば、そのためにはやはりきちんとした資料が必要だろうということを私は、そうでないと、一般の方が納得しないのではないかということを申し上げているんです。
○松本座長 不整脈との関連ということですか。
○保坂委員 失神が何で起きているかわからないわけですよね。
○松本座長 もちろんそれはそうですけど。
○保坂委員 それで私が思うのは、直後に起きるものは全然私も、女の子だし、年齢的にもそういうことが起きるのかなと思いますけど、しばらくたって、待合室で20分ぐらいたってから倒れるというのはやっぱり納得できないところがあるんですよね。普通に血管迷走神経反射ということでは。それについてどうなのかということが全く出てこないで、たまたま今回不整脈の基礎疾患持っている方がこういったことになっておられるということで、とてもそれは前から気になっていた失神の例が多いということと関係がないということをきちんと言いたいというふうに強く思います。
○松本座長 この亡くなられた患者さんに関しましてはかなり重篤な不整脈をお持ちなわけですが、これ以外に場合によってはワクチンが関係した可能性はあるというふうに疑われておられるわけですか。
○保坂委員 ですから、もしも普通に起きている、たくさんの例で起きている失神発作というのが、何かそういう心臓の不整脈につながるようなことが起きていることで失神が起きているとすれば、それはあり得るわけですよね。そうだとすれば、この事例だって、もともと基礎疾患であったのだから誘因になったということは言えなくはないというふうに私は思うんですけど、私、医者なのに科学的でないかもしれませんけれども。
○松本座長 先ほどの一般的な統計、資料1-3の5ページのこの統計でいきますと、一応あまりそういうものとの関連性はないというふうに先ほど説明を受けたわけですが、これをもっと幅広く検討する必要がある。
○賀藤参考人 ちょっとよろしいですか。
○松本座長 どうぞ。
○賀藤参考人 血管迷走神経反射というのは欧米人のほうが多いはずなんですが、欧米等のデータはどうなっているんでしょうか。
○松本座長 それは事務局でありますか。欧米人でそういうふうな失神発作。
○事務局 今、メーカーのほうには指示をしているんですけど、今日の時点では、済みません、間に合っておりません。
○松本座長 現段階ではないですか。
○岡田参考人 そのことで、少し調べてきました。アメリカのベアーズの有害事象の自発報告では、4価ワクチンには失神のタームがあります。概算すると、10万接種当たり8.8回となりました。自発報告ですけれども、アメリカは4価が先に導入されていて、2価がまだほとんど接種されていません。
○松本座長 これはかなり低いですね。
○岡田参考人 先ほど事務局から御報告いただいた国内のGSK2価ワクチンも概算してみました。失神に至った症例の発現までの時間の資料では症例数は271例となっています。今日の別の資料を見ていると、重篤も非重篤も合わせて271例になっていませんので、一応国内での失神例を271例として計算しました。350万回接種をされていることから計算すると、10万接種当たり7.7になりました。
○松本座長 同じぐらいになるんですか。大体8.8。
○岡田参考人 国も違いますから、正確なものではないと思いますが、概算では2価ワクチンも4価ワクチンも頻度は同じくらいと思われます。
○松本座長 かなり近い。
○岡田参考人 それは一応失神という病名で、血管迷走神経反射と先ほどの意識消失発作というようなものをどのように区別するのかはわかりませんけれども。
○松本座長 そちらのほうの問題はありますけど、大まかに言ってかなり数字的には似通っていますね。
○岡部委員 今の話は2価と4価の違いもあるんですね。
○松本座長 もっと高くなる可能性ありますか。
○岡部委員 いえ、どっちだかわからない。アメリカのは4価で、日本のは2価ですから。
○松本座長 そうするとどっちとも言える。
○岡田参考人 今、2価ワクチンのメーカー、GSKには厚労省からデータを求めているというお話を伺っています。4価ワクチンは、一応海外でのデータがきちんとあるという状況です。
○松本座長 ということなんですが、保坂先生、一応頻度的には、このところ急に前回と変わったわけではないので、ここで対応を急に変えるというわけにもいかないので、原因究明に対していろいろと努力をしてもらうのは必要だとは思うんですけれども、現段階で、確かに情報の報告状況や報告内容には十分注意は必要だとは思いますけれども、現時点で新たな対応が必要であるということに関してはいかがですか。
○保坂委員 ちょっと賀藤先生の御意見もお聞きしたほうがいいと思うんですけれども、接種について、海外で4価ワクチンでも、10万人に8.8回失神発作が起きていると今教えていただきましたけれども、普通ワクチンはそんなに失神発作を起こさないものだと。例えばこのぐらいの年齢の子でMRとか日本脳炎とかやったりすることがありますけれども、ないものですから、HPVワクチンというのがそういうことを起こしやすいのかなと、今、お話聞いて思いましたけれども、なるべくなら予防接種を重い基礎疾患を持っている方ほどしてあげたいというか、したいというのはわかるんですが、ちょっと注意したほうがいいということを言ったほうがいいのかなというふうに思います。ここで全体の対応を変える必要は全くないと思いますけれども。
○松本座長 現在は一応慎重投与、失神発作を起こしていることに関しては、注意をするということにはなっていますね。先ほどお話したんですが、このぐらいのあれではいかがなんですか、サーバリックスの。
○保坂委員 ほかのワクチンは、今、接種しないと感染するので、重篤な基礎疾患を持っている方はなるべく早くやったほうがいいというのはわかるんですけれども、このワクチンは違いますよね。もう少しゆっくりやってもいいのではないかと、そういう感染の機会がある年齢はもうちょっと上だろうと私は思いますので、特にそういう重篤な疾患を持っていらっしゃる方であれば。ですからもう少し年齢が上になってからやることを考えるといった対応のほうがいいのではないかと私は今思っています。
○松本座長 こういう病気に関しては、年齢を見た場合にもっと年を取ったら安全になるということはありますか、賀藤先生。
○賀藤参考人 これに関して、○○○○○○○○○○○○○○だけに限りますと、これは大人になってくるとほとんど失神発作がなくなってくるという、いわゆるage dependency(年齢依存性)のある疾患として有名なんです。ただ、何でそうなのかということがまだわかっていませんけれども、科学的に言えば、社会人になってからこの病気で失神発作が出る頻度は大変珍しい、少なくなるということは一応教科書的には書いています。
○松本座長 この1例があったから、この病気はワクチンは禁忌にもっていくにはかなり。○賀藤参考人 この病気自体はいつ亡くなっても、いつ心室細動になってもおかしくない病気なので、この患者さんも、不整脈発作に、今日なってもいいですし、あしたなってもいいですし、いつなるかわかりません。ですので、それをワクチンのリスクが高く、それでもって何かが起こるということの科学的なデータが何もないものですので、だったら打たないほうがいいということを私たちが言う根拠は一切何もありません。科学的データは一切ありません。
○事務局 添付文書には、今、心臓血管系疾患等々の基礎疾患を有する者というのが要注意者となっていまして。
○賀藤参考人 どのワクチンの添付文書にも書いてあります。だから問題なんです。心臓血管系疾患等でワクチン接種にどの程度の危険性があるかというエビデンスはないはずです。ですので、一切無視しています。でないと、小児循環器疾患の子ども、先天性心疾患の子ども、みんな受けられなくなってしまうんです。でも実際は、打っているんです。添付文書に書いてあることであって、現実はそれでは動かないわけです。
○事務局 ですから、禁忌ということにはなっていなくて、主治医の先生が接種の適否については御判断した上で接種してもいいということになっている。
○賀藤参考人 全部現場の医師の判断に任せるという話になっているわけですね。ですよね。
○事務局 はい、そうです。
○賀藤参考人 だから現場の医師に話が全部振られているわけなのです。私たちは予防接種をやるべきと言っているわけです。ただ、保坂先生が言ったのは、今じゃなくてもいいじゃないですかということです。それはすごく私もそうかなと思う。例えば20歳過ぎか、大学へ入る前か、いわゆる高校卒業をして、それでもってスタートでもいいのではないか。何でこの年齢でなくてはいけなかったのかと言われると、確かにそれも一理あるかなと私は思います。
○松本座長 この病気だけでそういうことを言えるのかどうかもありますけれども、どうなんですか。こういう病気いっぱいあるかもしれないですね。先でやれるようなものが、それを全部リストアップしていって。
○賀藤参考人 それは期限も限りがないので、どこかで線引くしかないですから、ただ、現実としてそこまでの対応は必要なのかなと。
○五十嵐委員 ちょっと整理したいと思います。血管迷走神経反射は注射直後に発症すると思われます。ですから保坂先生おっしゃったように、注射後20分とか30分以降に起きた事例はそうではなくて、起立性調節障害の可能性が高くはないでしょうか。このワクチンはセックスを開始する前の12歳前後の方が対象です。その年齢層では起立性調節障害の患者が少なくありません。従いまして、保坂先生がおっしゃっていることをクリアするには非常に難しいのではないかと思います。
正しい診断をつけていない状況のもとで、医療側が失神発作というような曖昧な診断をつけて副反応として出してきているのが現状です。ただし、賀藤先生もおっしゃったような試験まで含めて実施しないと正しい診断がつけられないというのも事実で、難しい問題があります。
○松本座長 最終的に少し確認をさせていただきますけど、確かに保坂委員がおっしゃるような理由づけというのはあり得るとは思うんですが、少なくともこの死亡されている人がワクチンと関係があるかどうかというのは大変重要なことだと思います。そのことに関して、委員の先生方の意思統一を図りたいと思うんですが、一応この患者さん、評価された先生方は、明確な直接的な因果関係は認められないという評価をいただいているわけですが、今、賀藤先生からも直接的な因果関係はないという意見をいただきましたですけれども、これに関しましていかがでしょうか。保坂先生がおっしゃるように可能性は絶対ないわけではないんですが、今の段階の資料で、何らかの関連性はあるとお考えになっておられるわけでしょうか。今のところはないということでよろしいですか。
○保坂委員 100%否定できない。
○松本座長 それはそうですね。
○保坂委員 それはいつも問題になることですけど、偶発なのかどうか。私が何を言いたいかというと、100%否定できないことはたくさんあるわけだけれども、もしかすると防げ得たかもしれないということがどこかにあるとすれば、もう一回、同じことが起きないようにすることが私たちが求められていることなのであって、この方に非常に個別のお話なので申し上げると、○○○○○○○○○○○○○にしていたんだったら、その後じゃいけなかったのとか、それから20歳ぐらいになってからではいけなかったのかというのは、このワクチンの特徴なわけですよね。ほかの予防接種というのは、感染を、いつ感染するかわからないから防ぐということでなるべく早くやったほうがいいということがあるので、そこのところをちょっと考えていただきたいというのが私の考えで、ただ、これが関係があるというふうにここで決めるようにという意見ではありません。
○松本座長 先生のおっしゃられることはいちいちごもっともなんですけれども、そうなりますとなかなか先へ進んでいけないので。どうぞ。
○岡部委員 こういう問題が起きると、この先に例えばこのワクチンをとめるべきなのか。あるいは何か添付文書の変更をすべきなのかということが実際問題になってくるわけですね。もう一つは、しかし、100%解決されてない部分があるから、きちんと調べていかなくちゃいけない部分がある。調べるときにとめて調べるのか、実施しながら調べるのか、ということがあると思うんですけど、ここから先は私の意見なんですけれども、確かに失神というものの定義づけであるとか、あるいはその内容の時間経過などがわからないから、これは分析する必要があるだろう。分析したほうが恐らく我々も少しでもわかりやすいことがあるので、これは科学的にやるべきである。しかし少なくとも現在得られているデータで、賀藤先生もおっしゃるように、心疾患で何か心不全を起こしている状態ならともかくとして、こういう状態で普遍的に非常に危ないというようなことは、国際的にもあまり言われてないので、現状でこれをストップする必要はないのではないかと思います。ただ、調べなくちゃいけないことは確かなので、そこは、大丈夫だからもうこのまま行きましょう、ということではないのではないかと思います。
 それから、今までの経験で全部言えないのは、例えば年齢層で、このぐらいの年齢層に集中して痛みを伴うワクチンを接種するというのは、これは日本では初めての経験なので、そこは接種に当たり慎重にすべきところというか、よくフォローしていかなくちゃいけないところですけれども、これまた直ちにワクチン接種を中止するものでもないだろうと思います。
後は主治医の先生の判断で、この患者さんに早く接種をやったほうがいいのか、あるいはちょっと待ったほうがいいのか。しかし恐らく現在接種費用の負担ということがある一定の制限があるのは、問題がなければこの範囲のうちにやろうじゃないかというのが一般的な考えじゃないかと思いますので、そこを総合して判断する余地をとっておいたほうがいいと思います。ちょっと長くなりましたけど、結論としては、私は今の状態で接種方法に大きな変更をしなくちゃいけないような危険性を示唆するものではないだろうと思います。ただし、今までのデータのとり方では科学的にもう少し根拠を持ってやる部分があるだろうから、そこは調べていこう、ということでいいんじゃないかと思うんですけど、保坂先生、いかがですか。
○保坂委員 急いでやる必要はないですよということを、お母さんたちにも、お金のことがあるので、この年齢でぜひやりたいというお気持ちもあろうかと思いますが、急いでやらなくてもというのは、元気な子でない子は、元気な子というか、基礎疾患があって、かなり重い方は少し考え、年齢的なことを、もう少し大きくなってからでもいいじゃないかということを私は言ってあげたいと思います。それを公式に言うのかどうかは皆様のご意見でと思います。
○松本座長 それは先ほど賀藤先生のお話にもありましたですけど、お叱りを受けるかもしれないですが、実際ワクチンを打っている先生が、ある程度判断することはやむを得ないのではないかと私は思うんですけれども、それもということであると、ワクチンを接種するのはなかなか難しくなってくるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。どうぞ、桃井先生。
○桃井参考人 これだけ突然死のリスクの高い疾患で、なおかつ接種2日後にこういう状態が起きていますから、関連性を議論する論拠があまり医学的にもないのだと思います。その関連性を議論する論拠があまりない。つまり関連性がなしとする突然死のリスクのほうが極めて明確であり、なおかつ2日後であるということにおいても、関連性を支持する論拠はあまりない状況において、後で接種することを一般化することは極めて問題があろうと思います。
○松本座長 それは先ほどの話ではないんですが、実際やっておられる先生が相談に乗って、どうするかを決められるという裁量権はあると思うんですけど、それを一般論として決めるというのはかなり難しいのではないかと思います。
ということで、保坂委員、いかがでしょうか。現時点で死亡例1例ありましたが。
○保坂委員 対応を変えるということは私は主張していません。ただ、こういう意見もあるということが皆さんに聞いていただきたかったということでございます。このワクチンの特性ですね。すぐにやらなくてもいいかもしれないワクチンであるという特性を考えて、皆さん接種をされたらどうですかということを言っている人がいるということをこの会議の中で残していただきたい。普通に対応は今までどおりで、私は特に異論はありません。
○松本座長 ありがとうございました。ということで、死亡症例1例ありましたが、以上の専門家の評価を含めて、今の賀藤先生の評価も含めまして、直接的に明確な因果関係は認められないという結論で当調査会としてはよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○松本座長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
それから、もう一つ、失神発作、これに関しましてはいろんな意見が出ましたが、実際上もっとどういうものであるかという分析は必要だとは思いますが、現在報告されている数値、頻度は特に増えているわけではありませんので、引き続き注意を喚起するのは当然なんですが、改めて現段階では新たな対応の必要性はないということでよろしいでしょうか。
○庵原参考人 済みません。
○松本座長 どうぞ。
○庵原参考人 このワクチンの報告のところで、失神寸前の状態とか、アナフィラキシー様反応であるとかが分類されています。これ全部同じような病態だと思うんですけれども、これが全部いろんな形で数字が出てきています。症例の定義みたいなものをはっきりしておかないと、数字だけが勝手にひとり歩きしてしまわないかなということが私ちょっと懸念しています。先ほど賀藤先生から、失神と意識消失発作は違うんだと。そういう形で言われますと、一般の臨床している者は意識消失と失神とはさほど区別したような形でこれ書いてないと思うんですね。そうすると、そういうことを言われますと定義をしていかないと、後の数字がまたこんがらかってくるということになりますし、そうしたらアナフィラキシー様症状だという人は、一体何をもってアナフィラキシー様症状にしているのかとか、それをはっきりしておかないと、事務局が聞くにしても、みんなそれぞれ思っていることが違う答えが出てくると思います。少なくとも失神と意識消失発作というのはどういうものを言うのかだけははっきりさせておいたほうがいいのではないかと私は聞いていて思いました。以上です。
○松本座長 企業報告と医療機関からの報告の分析も異なっていますので、確かに解釈は難しいですね。この辺は事務局で、ある程度どうするか、方針を決めていただいたほうがいいかもしれないですが、いかがでしょうか。
○事務局 わかりました。ちょっと整理をして事務局で対応を考えたいと思いますけれども、先生方からいただく症例を見ていても、なかなかタームが必ずしも整理されてないというか、整合してないので、先生方の副反応の報告名称をきちんとした形で統一するというのはなかなか現場的には難しいと思われるので、できるだけ情報を得て、それを整理していくということしかないのかなとは思うので、どういう情報を。
○事務局 情報をとる際にもう少し注意喚起して、不完全かもしれないけれども、今の議論になったような定義をここでオーソライズしてもらうかどうかあれですけれども、示して、できるだけ次の報告に反映させるようにしたほうがいいんじゃないでしょうか。
○松本座長 確かに定義は決められるんですが、各医師、各機関から報告されている内容がいろいろありまして、それをある一定のものに統一しようとすると、報告されたものをそのまま上げたほうがいいのではないかという意見もあるんですね。現実そのまま反映するので。だから単純なようでも整理するというのはなかなか難しいんです、事務局が言うように。できれば、失神はこうだからとして、すべて失神に入れて計算したいんですけど、実際上の報告はそう簡単に白黒つけられるような報告じゃないんですね。
○事務局 先生方の議論が少し定義をはっきりしたほうがいいんじゃないかということですから、私はそう申し上げたので、そこのところをどうしたらいいか、決めていただきたいと思いますけど。
○賀藤参考人 必要な情報は、意識がなくなったと思われる時間が何分であるか。意識を消失する前に何か前兆があったかどうか。あとは結構痙攣様のものが一緒にあったりとか、記載があるので、その有無が大切です。意識が回復したと思われるようなときの状態とか何か書いて、いわゆるてんかん発作との違いとかもいろいろ考えなくちゃいけないものですから、具体的な病気の定義ではなくて、どういう状況だったかをもう少し細かく1つのフォームをつくって、マル、バツでもいいですし、そうやったほうがもっと簡単かなと思います。
○松本座長 痙攣もそうなんですね。これもちょっといろいろあって問題となるところなんですけれども、その辺、何か統一したような形にできれば一番いいのではないかと思うんすけど、先ほど言いましたように、そのまま上げたほうがいい、とったほうがいいという意見もあって、難しい面もあるんです。どうぞ。
○岡部委員 何を求めて情報を集めるかというところが問題で、この子宮頸がん予防ワクチンもヒブワクチンも肺炎球菌ワクチンもそうだったと思うんですけど、どちらかというと全体を広く集めて異常反応をそこからとろうということで、最初から厳密にやると、むしろ情報が上がりにくいのではないかということでスタートしていたのではないかと思うんです。問題はただ、それの整理と後追い調査といいますか、もう一回、さかのぼり調査とかというところに実は膨大な人と機械力が要るんですけど、そこが欠けているのが今のシステムの問題点ですね。それであるものでやらなくちゃいけないんですけれども、今後としては、そういう副作用のモニターというものをもっと程度電子化させて、自動的に行うということを導入する中で考えていくということをやっていかないといけないので、そういうようなことをもう少し進められるような工夫をぜひ、工夫というのはシステムとしてやれるようにしていただかないと堂々めぐりになってしまうと思います。ただ、今回やっているのは、どちらかというと、全体を広げて多く問題点を挙げようというところですから、そこで上がってきたことについて、保坂先生のおっしゃるような細かいところの分析がどこまでできるかわかりませんけれども、できるものはやったほうがいいだろうと思います。
○松本座長 確かに保坂先生がおっしゃるのはもっともなんですね。だからそれが出てくれば一番いいんですけど、出ないので悩む。
○保坂委員 ですから広く集めるということで、岡部先生、今、おっしゃったとおりで、それから経済的な点やなんかも大変というのもおっしゃるとおりで、いつもそれが厚生労働省健康局は苦しんでいるところではないかと思いますが、このどれかにスポットを当てて、失神とかアナフィラキシーとか、そういうのにスポットを当てて、その症例がどこから出た症例かわかっているわけですよね。ですからそこに再度調査をかけるというようなことを、例えば何かの研究班でもいいんですけれども、どこからお金が出ることを探していただいて、それをやるということはできるのではないかと思うんですけど、今の副作用調査の中ではなくて、今の副作用調査で上がってきたものをもとにして、何か調べるのも、多屋先生、首振っていますけど、多屋先生のところでできないでしょうか。
○松本座長 どうぞ。
○多屋委員 今、ご指名いただいたのですけれども、定期の予防接種については予防接種後副反応サーベイランスの報告書を電子化して、もっと効率よく集計できるような仕組みをつくりたいということで研究班でやっています。今までの手書きの副反応報告書を集計してまとめる中で、私たちもすごく困ったのは、先生おっしゃるように、報告された先生がどういう疾患を考えていらっしゃるか、非常にわかりにくいので、例えばHPVワクチンであれば、考えられる疾患名はある程度特出しをして、この表でも出てくるのですが、失神寸前の状態、失神、それ以外にも同じような症状が記載されていますが、これらが1つにまとまって集計されるような報告基準、疾患名というものをあらかじめつくっておくと書く方の医師としては報告基準に基づいて選びやすく、その後集計しやすいのではないかと感じているところです。
○松本座長 ありがとうございます。どうぞ。
○事務局 今の報告も医療機関から報告されたときに、できるだけ、そのときにどういう状況だったのかということは企業も、先生のところへ情報を集めに行きますし、医療機関からいただいて、PMDAのほうでフォローする症例もございまして、可能な限り、情報をいただいているんですけれども、なかなか起こったときに情報がとれてないケースが結構あるので、なかなか分析までいかないところがあるんですけれども、これから先の症例については、先ほど局長からもありましたように、先生、こういう情報を、例えば意識を失った時間であるとか、そのときの血圧であるとか、そういったものを可能な限り情報提供いただきたいということで、前向きには先生方にお願いができる部分があるだろうということと、そういった中で、今後集めるものについては、可能な限りそういう情報を事務局としては企業にも収集をさせて情報は整理をしたいと思います。
今日の御議論を踏まえて、特に失神といいますか、意識消失の事例については、このワクチンで非常に特徴的な副反応で上がってきておりますので、その辺の背景について、少なくともこれから先の症例については前向きに情報収集ができるようにちょっと仕組みを考えてみたいと思います。
○松本座長 これだけ情報が集まりましたので、この中で似たようなものに関しましては少し整理してもらって、どこか色合いがつくようにしていただいたほうがいいのではないかと思うので、その辺よろしくお願いします。
ということで、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○松本座長 これから現時点では新たな対応はいたしませんですが、いろいろな情報を集めて、また分析の方法も考えていただくということで、この部分に関してはまとめにさせていただきます。
それでは、次にヒブワクチンと小児肺炎球菌ワクチンに関する資料について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、まずヒブワクチンの副反応状況について御説明いたします。資料1-4をご覧ください。こちらのワクチンも子宮頸がん予防ワクチンと同じような構成で資料を作成しております。
1ページ目ですが、こちらにアクトヒブという1製品が対象でございます。平成20年12月に販売開始がされております。現在までの接種可能延べ回数といたしましては、約495万回分で前回報告以降の本年6月~8月22日まで約95万回分増加しております。正味の人数といたしましては、これまでの販売状況から把握されている平均接種回数は1.84回ということでございまして、269万人程度ということでございます。
製造販売業者からの報告ですが、本年6月~8月22日までの間で15例、累計104例でございます。死亡症例は前回会議から増加しておりません。
医療機関からの副反応報告ですが、この期間では60例でございまして、累計233例でございます。そのうち、重篤は7例、累計34例で本年6月~8月22日までの間で死亡が1例と書いてありますが、これは6月4日に報告されたものでございまして、前回の7月13日の合同調査会で御評価いただいているものでございます。副反応の頻度につきましては、6月~8月22日までの間で前と比べて大きな変化はございません。
2ページ目、3ページ目につきましては、ワクチン接種事業に基づく医療機関からの副反応報告でございます。こちらは7月末までの状況の集計でございます。したがいまして、1ページ目と数値が整合しておりませんので御留意お願いいたします。
前回の検討会からの増加分につきましては、6月分47都道府県30万2,000接種、7月分47都道府県30万9,000接種で合計61万2,000接種分でございます。これまでの累計は173万8,000回分となっております。
6~7月におきます副反応報告は45例で、累計228例、そのうち重篤は7例、累計34例でございます。こちらも6~7月分に死亡例が1例ございますが、これは先ほど説明した死亡症例でございます。
副反応報告の頻度は6~7月分で、これまでと大きな変化はございませんでした。
4ページ目からは、医療機関からの重篤症例の報告の一覧でございます。
5ページ目からは製造販売業者からの報告でございます。
7ページ目が、副反応報告の状況でございます。医療機関からは34例でございますが、発熱が10件などとなっております。
8ページ目は企業からの報告状況で、発熱、熱性痙攣、痙攣、アナフィラキシー反応などが比較的上位にございます。血小板減少性紫斑病が8件ございますが、添付文書の副作用の項に記載済みでございます。
9ページ目からは非重篤症例の一覧になります。
13ページ目はアナフィラキシーの症例でございますが、今回症例はございませんでした。
最後は「小児用肺炎球菌ワクチン」でございます。資料1-5について御説明いたします。
1ページ目ですが、プレベナー水性懸濁皮下注という1製品が対象となっております。こちらは平成22年2月に販売が開始されておりまして、前回報告以降の6月1日~8月22日までの接種可能延べ人数は約110万回で、これまでの出荷数量はおよそ413万回分でございます。
企業のサンプリング調査による接種対象者の年齢階層をもとにいたしまして、接種者数を推計いたしますと、250万人程度と思われるものでございます。
企業からの報告は6月1日~8月22日までの間、29例で累計134例でございます。医療機関からの報告は同期間で104例、累計310例で、そのうち重篤が11例でございます。重篤の累計は35例でございます。死亡症例は5例となっております。この期間、6月1日~8月22日までの期間で1例と記載されておりますが、この1例につきましては、6月4日に報告されたもので、前回の7月13日の会議で御評価をいただいているものでございます。
副反応の頻度につきましては、6月~8月22日までの間で、これまでの期間と比べて大きな変動はございません。
2~3ページにワクチン接種事業に基づく医療機関からの副反応報告が記載されております。こちらも7月末接種分までの報告でございます。前回報告からは6月分の47都道府県34万2,000接種、7月分が46都道府県で35万9,000接種でございまして、2か月で70万2,000接種分となっております。推定接種回数は合計195万接種でございます。
医療機関からの副反応報告はこの期間で76例、累計296例でございます。うち重篤症例は7例でございます。死亡症例につきましては、先ほど説明した症例でございます。副反応報告の頻度につきましては、6月~7月までの期間について、他の期間と大きな変動はございませんでした。
4ページ目は医療機関からの報告の重篤症例の一覧でございます。
5ページ目から企業報告の一覧を示しております。
8ページ目は医療機関からの副反応報告数をまとめたものでございます。こちらも発熱が他の副反応に比べると多く、その後に痙攣などが続いているという状況でございます。 
9ページ目からは、製造販売業者からの副作用報告をまとめたものでございます。
10ページ目からは非重篤の一覧を示しております。
16ページ目ですが、アナフィラキシー報告は6月~8月22日までの間、1症例報告がありましたが、ブライトン分類が3以上とされた報告、症例はございませんでした。
17ページは、これまでアナフィラキシーの可能性のある症例数についての症例は1例ございましたが、ブライトン分類が3以上とされた症例はございませんでした。
資料1-6でございますが、「ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンに関する死亡報告一覧」ですが、前回7月13日からの報告から更新はございません。
説明が長くなりましたが、以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。
○多屋委員 ヒブと肺炎球菌のワクチンに共通することなんですけれども、血小板減少性紫斑病の報告が単純に足し合わせますと、10万接種に対して1ぐらいの頻度で報告されてきています。乳児期に血小板減少性紫斑病です。ほかの生ワクチンで麻疹や風疹などでは100万接種当たり1ぐらいの頻度と添付文書には書かれています。乳児で血小板が数千レベルに低下しますと、入院して治療されていることが多いと思うのですが、この結果を詳細に見ますと、接種日と発生日が同じ日であったりします。接種した日に血小板減少性紫斑病が発生したというのは医学的にあまりに早過ぎると感じたことと、ほかの症例を見ても接種日から発生日まで4日とか、免疫学機序を考えると非常に早い例が多く報告されています。
先ほど事務局から御紹介いただきましたように、複数の製造販売業者から重複して報告されている症例が含まれている可能性があると書かれてはいるのですけれども、症状としては乳児で血小板が数千レベルに低下すると、出血に関してかなり注意を要する状況が来ます。症例が重なっている可能性があるというところは何とか削除していただくなり、1人に統一してもらうなりして、この頻度は明確にしていただいたほうがいいのではないかと感じているのですけれども、いかがでしょうか。
○松本座長 ありがとうございます。事務局いかがでしょう。これは大変必要だろうと思いますけれども、あと因果関係がどうかということに関しても細かく分析する必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。
○事務局 そうですね。重なりも含めてちょっと精査をさせていただいて、専門家の御評価を血小板減少性紫斑病に特化して進めてみたいと思います。
○松本座長 多屋先生、よろしいですか。
○多屋委員 はい。
○岡部委員 もう一つなんですが、今回、幸いに重篤の中でも死亡例がなかったということでこれは非常にありがたいんですが、今までも副反応報告で重篤例というような中で、転帰が回復されている方はこれでほっとします。しかし未回復、あるいは不明というままでそのままになっているのがあります。これは最初にデータとるときはある時点で聞いているのでしようがないと思うんですが、この中でも、例えば重篤例でざっと見ただけなんですけれども、高度腫脹で未回復、こういうのは多分治っていると思うんですが、中には神経麻痺であるとか、あるいは多形性紅斑というようなものが出ていたりしているので、できれば、その予後というのはもう少しわかるような工夫はできないでしょうか。
○松本座長 いかがですか、その辺のフォローは必要かと思いますけれども、何か事務局のほうでありますか。
○事務局 接種医、また報告医の先生の御協力をどのようにいただけるか、ちょっと検討して、特に報告時点で未回復で後遺症が残りそうな副反応についてはフォローの情報もいただけるように今後依頼をしていきたいと考えていますが、よろしいでしょうか。
○岡部委員 確かに臨床側も途中まであんまり聞いてくると、何だか根掘り葉掘り聞かれているみたいで嫌だとおっしゃる方とか、あるいは家族の方も、もう結構です、というような方もおられるとは思うんですけれども、予後は非常に重要だと思うので、できれば、そういうようなものをきちんと調査できるようにしていただきたい。聞いたけれどわからないというのと、何もやってないのでわからない、というのは大きい違いだと思うので、できるだけわかるようにしていただければと思います。
○松本座長 重篤な症例で因果関係がありそうなものに関してはぜひ調査をしていただければと思います。ほかに御意見ございませんでしょうか。
いろいろと御意見いただきましたけれども、今回の副反応報告状況を踏まえますと、引き続き報告状況や報告内容には十分な注意が必要だと思いますが、現時点では何らかの新たな対応を行う状況にはないということでよろしいですか、この2つに関しましては、特に御異議ございませんでしょうか。
(「はい」と声あり)
○松本座長 ということであれば、そのようにさせていただきます。
ほかに御意見ございませんか。御意見ないようでしたら、議題2に進みます。議題2は、「今シーズンのインフルエンザワクチン副反応報告実施体制について」ですが、事務局から説明をお願いします。
○事務局 結核感染症課の飯野と申します。よろしくお願いいたします。
今シーズン以降のインフルエンザワクチン予防接種後副反応報告の取扱いにつきまして、本日のこの検討会の場をおかりしまして御報告いたします。
新型インフルエンザワクチンの接種を開始する以前までの副反応報告は、定期二類(原則65歳以上)としての接種については、次ページの上段、下段になりますが、予防接種法ルート、それ以外は薬事法ルートで報告され、一部情報を共有しますが、それぞれ別に評価してきたところであります。
新型インフルエンザワクチン(A/H1N1)の接種開始後は、下段にあります予防接種法と薬事法で報告ルートを一本化し、PMDAで整理を行い、合同会合で評価してきたところでございます。
平成23年4月から、新型インフルエンザが通常の季節性インフルエンザに変更されたことから、本来であれば新型インフルエンザワクチンの接種前の次ページ、上段、下段にありますそれぞれのシステムで評価する方法に戻ることになりますが、一元的に副反応情報を収集することにより、より網羅的な評価・検討ができること。これまでのデータの継続性を確保することができること、副反応報告の方法について継続性があり、医療機関に混乱がないと考えられることから、今後も予防接種法と薬事法の報告ルートを一本とし、PMDAで整理を行い、合同検討会で評価する方法を継続していきたいと考えております。
委員の皆様におかれましては、引き続きよろしくお願い申し上げます。
説明は以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について御質問、御意見ございませんでしょうか。保坂委員。
○保坂委員 これは報告ということで、ここで出されていますけれども、報告なんでしょうか。こういうふうにしますよという報告なんでしょうか。
○事務局 報告ですけど、御意見伺っても構わないというか、あれですけれども、我がほう、行政としてはこういうふうな体系でやりたいと。
○保坂委員 ですからやりたいという、今日ですけど、こうすることにしますという、もし御報告ということで出てくるとすると、私どもとしてももうちょっと内容について検討させていただきたい部分もございますので、ここに(3)で「副反応報告の方法について継続性があり、医療機関に混乱がないと考えられる」と書いてありますけど、本当にそうなのかどうかということについて、深く考えておりませんので、その辺は、結局FAXで送ることになっていたんですね。新型インフルエンザのことで、昨年も新型と季節性混ざったけれども、一応新型という法的な枠組みの中でワクチンは使いましたので、だけど、今度は普通のただの任意接種といわゆる二類の定期のインフルエンザワクチンの分を一緒に全部取り扱うということですよね、これ。
そうすると、例えば報告の仕方についても、これが任意で行われたものなのか、定期の二類としてやったものなのかということも当然本当は書いてあったほうがいいのかなとかということも思いますし、ただ、こうやって報告とこの場に出されるのはちょっと遺憾です。
○松本座長 それはいかがですか。
○事務局 細かいことはあれですけれども、関係機関と事前に協議した上で整ったということで出したんですけれども、もしそうでないのであれば、また出し直しますけど。
○保坂委員 ちょっとそういう情報はお伺いしておりますけれども、具体的にどうするかとかということについては御協議させていただいてないので、多分これがいいのだと私も思っておりますが、もう少し詳細を御相談させていただきたいと思っています。方向としては、こういうふうにするのが望ましいということは大変よく私自身は理解しておりますが。
○松本座長 先生の具体的な疑問点というのは何か挙げていただいたほうがいいですか。
○保坂委員 要するに今までの方法だと、副反応であるというふうにかなり強く感じたものだけを報告していたわけですよね。今までPMDAに報告するものは。新型のときは、とにかく何か有害なことといいますか、症状があったら報告してくださいということで全部FAXで厚生労働省に直接お送りしていたわけで、そのほうが全体としては望ましいと思うんですけれども、全例を報告しろという義務を課すということが、任意接種の場合に、それについてどのように位置づけるかといいますか、そういったことについてもう少し相談させていただきたいということと、それから、全例を報告するときに、任意接種と定期の接種をどのように扱うかといいますか、そういうことも含めて御相談させていただく。この方向でやるということについては特に問題ないと思いますが、具体的に実際にやるときにどうなるかということについて全くお話がない状態だということでございます。
○松本座長 その辺はどうなんですか。どうぞ。
○事務局 方向性については、保坂先生にも御理解いただいていますので、もうちょっと細かなところは引き続き御相談させていただきます。
○松本座長 そうですね。実際細かいところのほうが大事かもしれませんね。大きな面ではこれは全く問題がないような気がするんですけれども、その辺については、医師会の先生方も納得されるようにしていただければと思います。
○多屋委員 予防接種後副反応報告書と予防接種後健康状況調査というのが定期の予防接種のワクチンの場合は行われていると思うんですけれども、インフルエンザのワクチンについては定期接種ですので、過去平成6年から、インフルエンザのワクチンが定期二類になってからずっと蓄積された情報がありますよね。それが今回変わることで、今までのデータがぶつっと切られてしまうのでしょうか。今までと同じ報告様式で報告されてくるのかこないのかによって、せっかく今まで蓄積された情報が有効に活用されなくなると思うので、報告形式についても議論されるときに少し考えていただければと思います。
○松本座長 その辺はいかがですか。そちらのほうから説明を。
○事務局 基本的には類似の報告様式を用いているものだと理解しておりますけれども、過去との継続性、過去といっても3年以上前と、それから、この2年の継続性両方あると思いますので、御指摘の点を踏まえて新たな報告様式ということを考えていきたいと思います。
○松本座長 ほかに御意見、どうぞ、先生。
○岡部委員 質問なんですけれども、補佐のほうからは、この会で委員の先生方、評価よろしくお願いしますというようなことをちょっとおっしゃっていたんですが、今後のインフルエンザワクチン予防接種後副反応の場合の専門家評価というのはここがやるんですか、それとも別のところがやるんでしょうか。
○事務局 今日の会合でございますけれども、安全対策調査会と子宮頸がん等ワクチンの副反応検討会というものの合同を行っております。最初、御報告と申し上げたところも、そういった会の構成とも関連するんですけれども、安全対策調査会というものについては、これまで新型インフルエンザワクチン、3ワクチン共通して評価をいただいておりましたので、この仕組みが共通性のあるものというふうに考えております。
一方で、インフルエンザのワクチンにつきましては、これまであったものは新型インフルエンザのワクチン、今日お集まりいただいているのは子宮頸がん等のワクチンの検討会ということでございますので、委員の先生が一部共通になっておりますけれども、今後、さらに新たな定期、任意のインフルエンザワクチンの副反応検討会というものを組織していくことになろうかと思います。
○松本座長 ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。これ、御報告ありがとうございました、と言っていいかどうかわかりませんですが、その辺、また細かい点をこちらのほうにも知らせていただければと思います。どうもありがとうございました。
それでは、本日の議論はこれで終了いたします。なお、本日の会議終了後、記者向けのブリーフィングを行うこととなっておりますので、座長に御一任をお願いいたします。
最後に事務局から何かありますか。
○事務局 特にございません。先生方には、本会議において貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。なお、今回の合同検討会の配付資料等は厚生労働省のホームページ等に掲載する予定でございます。
○松本座長 それでは本日の会議はこれで終了といたします。活発な御議論ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局安全対策課
(代表電話)03-5253-1111

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