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2011年12月15日 第47回労災保険部会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成23年12月15日(木)10:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

委員<公労使別五十音順>

岩村 正彦 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
大前 和幸 (慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 教授)
中窪 裕也 (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授)
林 真奈美 (読売新聞東京本社社会保障部 記者)
大江 拓実 (全国建設労働組合総連合 書記次長)
黒田 正和 (日本化学エネルギー産業労働組合連合会 事務局長)
齊藤 惠子 (UIゼンセン同盟政策局 部長)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長)
立川 博行 (全日本海員組合 中央執行委員 国際・国内政策局長)
森下 光一 (日本基幹産業労働組合連合会 中央執行委員)
明石 祐二 (社団法人日本経済団体連合会労働法制本部 主幹)
伊丹 一成 (新日本製鐵株式会社人事・労政部 部長)
小島 政章 (株式会社竹中工務店 安全環境本部長)
長岡 英典 (社団法人大日本水産会 漁政部長)
宮近 清文 (日本通運株式会社 取締役 常務執行役員)

事務局<順不同>

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
小澤 龍二 (調査官)
野地 祐二 (労災保険財政数理室長)
須永 敏良 (主任中央労災補償監察官)
飯田 剛 (労災管理課課長補佐)
河合 智則 (補償課長)
渡辺 輝生 (職業病認定対策室長)
若生 正之 (労災保険審理室長)
植松 弘 (労災保険業務課長)
美濃 芳郎 (労働保険徴収課長)

○議題

(1)労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について
(2)労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)社会復帰促進等事業に係る平成22年度成果目標の実績評価及び平成23年度成果目標について
(4)独立行政法人改革の検討状況について
(5)労働保険料等の口座振替制度の対象拡大について
(6)その他

○議事

○岩村部会長 定刻より少し早いのですが、委員の皆さまがお揃いですので始めたいと思います。第47回労災保険部会を始めることにします。今日の委員の出欠状況ですが、荒木委員、小畑委員、田中委員がご欠席です。また、伊丹委員が途中でご退席と伺っています。
 それでは早速、本日の議事に入りたいと思います。お手元にあります議事次第に沿って進めてまいります。議題の1番目は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件でして、前回のこの部会におきまして事務局からご説明をいただいた件です。それでは、事務局から追加のご説明はございますでしょうか。
○労災管理課長 特段、ございません。
○岩村部会長 それでは前回に引き続きまして、この案件につきましてご意見、あるいはご質問がありましたらお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは、特段ご意見もないということでございます。そうしますと、この諮問案件につきましては、この部会としては妥当と認める旨、労働条件分科会に報告したいと考えますがよろしゅうございましょうか。
               (了承)
○岩村部会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。報告文は私にご一任いただくということでよろしゅうございましょうか。
               (了承)
○岩村部会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
 続きまして議事次第、議題の2番目で、こちらは「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件です。まず、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 まず、省令案要綱について読み上げた上で内容をご説明します。
○労災管理課長補佐(企画) 省令案要綱を読み上げます。手元の資料2が省令案要綱です。
 厚生労働省発基労1215第1号 労働政策審議会会長 諏訪康雄殿
別紙「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について貴会に意見を求める。
平成23年12月15日 厚生労働大臣 小宮山洋子
別紙、労働者災害補償保険法施行規則の一部改正する省令案要綱
第一 特別加入の改正
労働者災害補償保険法施行規則(昭和三十年労働省令第二十二項第四十六条の十七第二号に掲げる事業を行う者として特別加入した一人親方等が工作物の現状回復又はその準備の事業に従する際に被った災害を労働者災害補償保険による補償の対象とすること。
第二 施行期日等 一 この省令は、平成二十四年一月一日から施行するものとすること。二 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。
以上でございます。
○労災管理課長 内容については参考2-1に沿いましてご説明します。まず、参考2-1の趣旨ですが、これは東日本大震災の復旧・復興作業の関係で省令改正をお願いするということです。復旧・復興作業はいろいろありますが、特に建設業者が復旧・復興作業をこれから行って行くに当たって、現行の規則ではなかなか読み込めないような作業が出てくるということで、具体的にはこれから本格的に始まる除染関係の作業につきまして、現在の特別加入の規定の仕方では作業として読み込みにくいということで、それらに従事する一人親方の方の災害補償について万全を期すために省令改正をお願いするものです。具体的には参考2-1の裏面に労災保険法と労災保険法の施行規則があります。左の施行規則に、一人親方の特別加入に関する業務が書いてあります。第46条の17でして、今回改正しようとしてますのは第2号の建設関係です。土木、建築、その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体、又はその準備の事業について、いま現在、特別加入を認めているところです。しかしながら除染関係の作業におきましては、表面の土の剥ぎ取りのように土木で十分に読み込める事業も多いわけですが、一方で、側溝に溜まった放射性物質の入った泥とか落ち葉などを掻き集めるといいますか、掃除するような作業、これは建設業というより清掃業の分類になろうかと思います。それから高圧水で建築物の壁などを洗浄する、あるいは道路を洗浄するという洗浄の作業、これも一般的にはむしろ清掃の事業ですが、やはりその土木、建築の作業とむしろ一体的に行われていることも多いのではないかと思っております。これが、その工作物の保存とか改造とかの文言ではどうしても読み込めないだろうということで、今般、ここに原状回復という言葉を入れまして工作物の原状回復又はその準備の事業につきまして労災の補償の万全を期したいと考えています。
 それで建設以外の除染作業につきましては、例えば放射性物質を運搬する貨物の運送ですと、この第46の17の第1号で、いま貨物の運送の事業がありますので十分に読み込めますし、例えば山林におきまして落ち葉の刈り払いをするなどの事業については林業の事業で既存の書き方で読めるということです。あるいは、船の場合につきましても船員が行う事業で、特にその業務の限定はないので読めるということで、今回検討した末、この建設のところについてのみ改正をお願いすることで、今回お諮りしているわけです。
 参考2-2は、除染関係の特別措置法です。目的のところに、今般、国として除染について協力し速やかに進めていくことで特別の措置法を設けたということで、具体的に放射性物質により汚染された物を除染して、それを廃棄物として処理していってのところまで、一貫して、この特別措置法で規定していることで、施行は来年の1月1日に予定されています。私どもの規則につきましても、これらの法律と併せまして1月1日の施行をお願いしているところです。
 この参考2-2の裏にこれらの除染等を行う場合の被ばく管理について記載しています。これにつきましては、審議会の中でも安全衛生の分科会でご議論がなされており、いわゆる第二電離則と言っております被ばく線量管理の具体的な方法です。非常に空間線量も高かったり、作業頻度も高かったりするようなところについては、基本的にしっかりした事業者にやっていただいて、労働者として被ばく線量管理をきちんとやっていただくことを想定しておりまして、そういう法律の制限がかからないボランティア、住民、農業従事者、自営業者などにつきましては、線量管理が不要なレベルの低い線量で頻度も少ないところを基本的にお願いするという考え方で制度そのものを組み立てているところです。一方で右側のガイドラインにおきましては、通常の労働者と同様に自営業者などにつきましても同様の線量管理や被ばく防止措置をお願いすることを事実上指導していくことでありますし、労災補償の考え方からすれば、セーフティネットですので基本的に労働者でやって労災保険法本体が適用される場合が多いとはいえ、一人親方などにつきましてもきちんとセーフティネットとして補償を行うとの法制度にしておく必要があるということで今回の提案に至ったわけです。以上でございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきましてご意見、あるいはご質問がありましたらお願いします。
○新谷委員 東日本大震災からの復旧・復興、福島原発事故からの復興に際して、やはりこの除染が今後の重要な業務になってくると思います。そういった必要性の中で、今回建設業の一人親方について労災保険法の特別加入における規程の整備を進めていただけることについては、適切な処置であると評価をしたいと思っています。
 その上で質問を1点と要望を1点申し上げます。質問は、施行日が来年の1月1日になっていますが、特別加入されている一人親方が除染に関わる様々な作業をされると思います。直接放射線による健康障害ではなくて、高い建物の屋根から高圧水を使って水で流して除染をするときに転落事故とか、いろんな災害が考えられるわけですけども、そういった業務を遂行している際に施行日前に発生した事故による補償はどのような扱いになるのかを教えていただきたいのが1点です。もう一つは要望ですが、これは除染作業に限りません。このような事業は一人親方が直接受注するというよりも大手の業者が元請けでおられて、そこに下請け的に入ってこられることになろうかと思います。そういった場合、この特別加入は任意加入になっているのですけど、一人親方の方々が特別加入をするように、元請けとして、是非しっかりと加入を推奨するような取り組みをしていただけるように厚労省としても働きかけをしていただけないかということを改めて要望を申し上げたいと思います。以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。では、事務局でお答えをお願いします。
○労災管理課長 いま現在、確かに除染そのものは本格的には行われていないことと、少なくともその線量の高いところについては、まだ本格的には行われていないと承知しておりますけれども、もちろんいま現在でも土木、建築、その他の作業については補償があるわけでして、一般的にもかなり土の剥ぎ取りというような既存のものでも読み込めるような作業も多いと思っています。また、単なる清掃というよりも、いろいろな業務を合わせて請け負ってやっておられるようなこともあろうかと思いますので、そこについての取り扱いについては実態に則して丁寧に取り扱うように地方にも指示してまいりたいと考えています。
○岩村部会長 はい、よろしゅうございますでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○立川委員 今回の改正といいますか、施行規則の改正というのは建設業の一人親方ということで先ほど事務局からの説明にもありましたけれど、林業や船員の方々も入るとのことだったのですけども、農業の関係の方々についても補償されるということでよろしいのでしょうか。その質問が1点です。それから、除染したあとの除染物といいますか、例えば、泥とか土とか廃棄物であるとか、これをどこかに移動するわけですけども、自動車ですとか船舶で移動ということになろうかと思われますが、そこにも一人親方がいるのではないかと思うわけですが、そういう方々が被ばく、ないしは被災した場合、これは今回の施行規則でどのように扱われるのか、どの規定に該当するのかということをお伺いしたいと思います。
○労災管理課長 農業につきましても2種類の特別加入の制度がありまして、特定農作業従事者とかあるいは農業の機械を使ったようなことがあります。通常、この除染の作業ですが、農地の場合については一般的にその土の表面を削り取ることで農業機械を使うのが一般的というふうに承知しています。逆に小規模であれば中小事業主の特別加入で農業の方も入っておられる方もおられるので、そういう様々な既存の特別加入で対応が可能だと考えています。また、廃棄物の運搬につきましても、この第46条の17の6にありますように特別加入制度がありますので、既存の特別加入制度で対応してまいりたいと考えています。
○岩村部会長 立川委員、よろしゅうございましょうか。ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それではほかにご意見もないということですので、諮問のありました本件につきましては、この部会としては妥当と認めるという旨で労働条件分科会に報告したいと考えますが、よろしいでしょうか。
               (了承)
○岩村部会長 はい、ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。報告文ですが、これにつきましては私にご一任いただくということでよろしゅうございますか。
               (了承)
○岩村部会長 ありがとうございました。では、そのようにいたします。
 それでは、次の議題に移ります。議題3は、「社会復帰促進事業に係る平成22年度成果目標の実績評価及び平成23年度成果目標等について」です。これについて、かなり膨大な資料をご用意いただいておりますが、事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長補佐(企画) 議題3についてご説明いたします。部会長からもご指摘がございますように、かなり資料が多いものですから、かい摘んで資料をご説明させていただければと思います。資料は、お手元の資料3-1から3-3、あと参考3-1から3-6までございます。大変恐縮ですが、参考3-3、社会復帰促進等事業費の推移のデータをご覧ください。参考3-3は、社会復帰促進等事業費の推移についてグラフでまとめたものです。社会復帰促進等事業につきましては、平成21年度予算までに平成17年度予算の4分の1を削減するという目標に基づきまして、これまで計画的に削減を行ってきております。
 下のグラフをご覧いただきますと、こちらの目標額の917億円が目標のラインですが、平成21年度と平成23年度につきましては、リーマンショックあるいは震災対応などのために、未払賃金立替払を中心にいたしまして補正予算を組んだ関係でちょっと突き出ておりますが、それ以外につきましては、平成22年度予算、あと平成24年度要求につきましては、目標を達成しているという状況です。
 また、参考3-3の3頁の未払賃金立替払の状況について、簡単にご説明いたします。ご説明したように、補正等で今年度も積み増しをしておりますが、現在の社会状況ですが、ご覧いただけますように、件数については若干の増です。一方、支給額等については若干の減となってございます。こちらの理由ですが、被災3県におきましては、対前年度と比べますと、支給件数は約2倍、立替払額も1.5倍というデータが出ております。一方で、震災の影響による経済情勢の悪化を原因とした倒産などにつきましては、雇用維持を初めとする雇用対策をいろいろ実施しておりますので、そういったことの結果として、全国レベルでは大体前年度と同じぐらいになっていると考えている状況です。
 1つ前に戻っていただきまして参考3-2です。こちらのポンチ絵のようなものをご覧いただければと思います。参考3-2は、社会復帰促進等事業の事業の評価の考え方の資料です。以前からご説明させていただいているところですが、アウトカム指標を用いた政策効果、あとアウトプット指標を用いました事業執行率で縦横の2次元で事業を評価すると。Aにつきましては目標を達成していると、一方でBとCにつきましては目標未達成ということで、3類型で評価したうえでPDCAサイクルによりまして必要な事業の見直しを行っているという状況です。
 そのあとにですが、参考3-1の資料をご覧いただければと思います。こちらは平成23年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会の主な論点です。こちらは、先月30日に行われました検討会におきまして、検討会の委員から、資料も大変多いものですから、事務局より議論のポイント、具体的には目標未達成であるBおよびC評価の事業につきまして、原因および改善措置などの内容を説明したうえで、A評価の事業も含めて30日は委員のほうからご議論をいただいたという状況です。
 今度は参考3-6といういちばん後ろにお付けしている資料をご覧いただければと思います。A4の1枚の紙ですが、こちらが先月30日に行われました第2回検討会におきます委員のご指摘の事項です。この場では、参考3-3の資料をベースにいたしまして、前回の検討会などの主な指摘事項についてご説明をしたいと思います。
 事業番号9-1、労災病院の運営についてです。こちらですが、事業概要等につきましては、資料3-1がございまして、横の資料です。こちらの資料は、9頁をご覧ください。上のほうを見ていただきますと、9-1という事業番号で、労災病院の運営の事業がございます。こちらの労災病院の運営についてですが、事業の目標は未達成だった目標の欄をご覧ください。労災指定医療機関等から診療や産業医活動を実施するうえで、有用だったものの評価を80%以上得るという目標が、実は77.9%で未達成だったことから、これはC評価となっております。
 未達成の理由です。満足度調査によりますと、労災病院が労災指定医療機関等から紹介を受けた患者につきまして、紹介元の医療機関等に診断結果を報告することなど、そういった項目については満足度が医療機関から高かったのですが、一方、労災病院が緊急時あるいは時間外の患者受入れ体制などにつきましては、どうも指定医療機関から満足度がちょっと伸び悩んでいたという状況がございました。
 それを踏まえまして改善すべき事項ですが、満足度調査で、労災指定医療機関等から意見・要望の多かった項目につきまして、各労災病院で対応策を検討するとともに、特に満足度の低かった項目については、至急改善措置を講じるという形で今年度は取り組んでおります。
 なお、これにつきまして、委員からのご指摘ですが、参考3-6の記載もございますように、労災病院はガバナンスがしっかりとしていて、全体としてはよくやっているが、労災指定医療機関等からの満足度評価から見れば、地域医療等での緊急対応が十分できなかった等、部分的に足りない部分があるので、引き続きPDCAをしっかり行って改善してほしいという欠点があったところです。
 続きまして、事業番号36の地域産業保健事業についてです。こちらも事業概要につきましては、同じ資料の36に書いております。こちらの事業は、労働安全衛生法上、産業医の専任義務のない50人未満の小規模事業場に産業医サービスを提供するものでして、都道府県医師会等がこの事業を受託しているという状況です。こちらにつきましても目標が達成できなくて、C評価となっております。
 原因につきましては、平成22年度から契約の単位を監督署単位から都道府県の単位に変更したということがございまして、その関係で若干現場が混乱したこともございまして、相談窓口の利用者や夜間・休日相談窓口の実施回数といった目標が減少して達成できなかったと考えております。改善すべき事項ですが、本年度は事業の中心を事業場の訪問指導に切り替えるとともに、今後、地域特性に応じた事業の実施および関係機関の連携強化を図っていくと考えてございます。
 これにつきましての委員からのご指摘の事項ですが、参考3-6にもございますように、今後、利用者のニーズにより合致した業務内容となる具体的な改善策を実行していただきたいということ。また、地域で関係機関との連携を強化する方針が掲げられておりますが、ともすれば屋上屋を架すことになりかねないので、ここは十分注意してほしいということ。また、50人未満企業にとっては本事業は大事なものですので、いろいろな方策で間口を広げ、浸透・徹底していくべきといったご指摘がございました。
 続きまして、事業番号64、技能実習生に対する事故・疾病防止対策等の実施のための経費がございまして、資料3-1の10頁の上のほうにこの事業の内容についての記載がございます。技能実習生に対する事故・疾病防止対策等の事業は、目標を技能実習生の死傷者年千人率、こちらを日本人を含む全産業における死傷者年千人率以下にすることを目標としておりましたが、こちらは発生率が技能実習生のほうが高かったということで、目標が達成できずC評価となっています。未達成の理由につきましては、こちらは平成22年7月の場合、入管法令の改正によりまして、入国1年目から労働関係法令が技能実習生の方に適用されることとなったということもございまして、入国1年目の未熟練の技能実習生の労災が多くなったものと考えております。改善すべき事項につきましてですが、今年度は技能実習生の事故・疾病防止に関するマニュアルを、受入れ機関のほかに技能実習生にも配布する、それ以外にも巡回相談、講習などを強化していくことを考えております。こちらは委員からのご指摘ですが、日本での良質な働き方をPRするため、技能実習生には、徹底的に労働災害ゼロに減らせるように意識したうえで実習生を受け入れるようにしていくべきというご指摘をいただいております。
 続きまして、事業番号67ですが、労働災害防止対策費補助金経費です。こちらも同じ頁の下の67に事業概要等が書いてあります。こちらの事業は各種災害防止団体の補助事業ですが、目標未達成により、こちらもC評価となってございます。原因ですが、アウトカムの指標につきましては、災害防止団体の人員不足とか、夏期の猛署の影響による災害や、あるいは他業種からの新規参入の増加によって、労災も増加していると。また、アウトカム指標につきましては、景気の低迷や震災の影響によって研修等に中止になってしまったことが原因と考えております。このため、本年度からは、事業の効率的、効果的な実施の観点から、災害発生頻度の高い中小零細企業を対象とした個別指導等など、効果の高い事業に重点化した補助事業へと直している状況です。
 こちらの委員会のご指適の事項ですが、引き続き労働災害対策は必要であり、団体間の横連携を一層強め、経費を削減しながらより効果的な対策を進めてほしいといったこと。また、目標未達成理由に、団体の人員不足が挙げられているが、どういうふうに人員を確保するのかというご指摘もございましたので、こちらにつきましては行政から、少ない人員の中で効率的に事業を進めていきたいとお答えをしているところです。
 事業番号79の未払賃金立替払事業です。こちらは事業内容につきましては、後ほど参考3-5という厚い資料の171頁に事業概要が書いてありますので、後ほどご覧いただければと思います。こちらの未払賃金立替払事業は、評価としてはA評価でした。こちらの事業は先ほどご説明しましたように、震災対応などの観点から今年度補正予算で積み増しを行っておりますが、委員からは、本年度の実績を見ますと、被災3県では増えているが、全国的には増えていない。平成24年度予算は、今年度より、平成22年度よりは増えるようだが、見直すべきではないかといったご指摘がございました。
 これにつきましては行政から、円高など厳しい景気情勢の中、セーフティネットとしてある程度は余裕を持った形で予算を交付するという形の考え方もあり得るのではないか、という回答をいたしております。これまでが、事業番号でいままでやってきた事業についてのご指摘事項でした。
 そのあとは新規事業と申しまして、来年度の新規事業等についての委員からのご指摘について、簡単にご説明をいたします。来年度の新規事業等につきましては、資料3-3というA4の縦の資料ですが、こちらに来年度の新規事業等をすべてまとめて入れさせていただいております。
 こちらの事業は10ですので、19頁をご覧いただければと思います。こちらの事業は、化学物質管理の支援体制の整備でして、事業概要に下線を引いたところが新規の部分です。ナノマテリアルのヒトに対する有害性は必ずしも明確になっていないこともございますので、ナノマテリアルの長期吸入ばく露試験を開始いたしまして、有害性の調査をさらに進めるとともに、ナノマテリアルのリスク評価の検討を行いまして、予防的アプローチによる健康障害防止対策を講ずるという新規要求をしております。これにつきましては委員から、ナノマテリアルの研究は、経産省が先行してやっていると聞いているが、将来の懸念を少なくするためにも、省を越えて早めにまとめて実施すべきであるというご指摘をいただいております。これにつきまして行政からは、従前からの経産省の交付は研究しておりますが、引き続ききちんと連携をして事業を進めていきたいという回答をしてございます。
 そのあと、新事事業番号11、職場におけるメンタルヘルス対策の推進ですが、こちらは資料3-3の21頁に事業概要を入れさせていただいております。職場におけるメンタルヘルス対策の推進ですが、事業内容の下線部は、事業者に対しましてストレス症状を有する方に対する面接指導の周知を来年度から実施する、という予算新規要求をしているところです。
 これにつきましては委員から、事業者に対しストレス症状を有する者に対する面接指導の周知を平成24年度から実施するとございますが、まだ労働安全衛生法の改正案が成立しておらず、症例指針がわからない中で来年度からどのような周知をするのか、やるにしても慎重にお願いしたいといったこと。また、個々の事業毎ではなく、いろいろなメンタルヘルス対策の事業がございますが、総合的にメンタルヘルスの問題を捉えるように1度概観し、施策を整理した形にしていただけないかというご指摘もございました。
 最後ですが、参考3-6のその他という形で、個別事業のご指摘ではございませんが、労災勘定の積立金が取り崩し段階に入ったことなど、もう少しわかりやすく示す必要があるのではないかといったご指摘です。また、事業者が負担した労災保険料で行っている社会復帰促進等事業の効果を、事業者にわかるようにPRしていただきたいというご指摘もございました。これにつきましては行政から、PRについて研究をしていきたいと回答しております。すみません、雑駁でございますが、以上でございます。
○岩村部会長 それでは、ただいまご説明いただきました社会復帰促進等事業につきまして、ご意見あるいはご質問などがありましたら、お願いしたいと思います。
○森下委員 社会復帰促進等事業に係る実績評価、制度目標について、質問をさせていただきたいと思います。労災保険の社会復帰促進等事業は、業務上災害または通勤途上災害により、疾病を被った被災労働者およびその遺族に対する各種の補てん給付と、併せて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者やその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図ることにより、被災労働者の福祉の増進を図るという意味で、財源は事業主負担でありながらも、労働者の安全、保護に関連する重要な事業であると認識しております。
 そういった意味で、各事業においてアウトプット指標またはアウトカム指標を設定することは、これは何らかの結果が必ず求められるべきものでありまして、結果が伴わない場合は、活動の振り返りをしたうえで、次年度の活動をよりよいものにしていくというPDCAサイクルで回されるということについては、大変意義深い活動であると評価をしております。
 一方で、全国一律の数値に基づくデジタルな指標だけでは、評価できない事業が存在し、地域特性等を見据えたうえでの総合的な判断が必要な事業もあると思われます。例えば、資料3-1の6頁の下段のほうを見ていただきたいと思うのですが、これは事業番号6として障害者の職業能力開発等施設整備費という事業があります。この平成22年度の成果目標については、上段、就職率60%以上とするという目標を設定されて、実際に事業をされているわけですね。障害者職業能力開発校というのは全国に点在している施設ですので、全国平均すると、これは60%という数字になろうと思うのです。
 参考の分厚い資料を見させていただきまして、参考3-5、11頁です。それぞれの事業がA4の1枚の紙で表にされているのですが、これも平成22年度の目標数値、アウトカム指標としては就職率60%となっていますが、全国平均で見れば60%という数字になろうかと思うのですが、例えば地域特性とか、職業能力開発訓練校の条件によっては、80%の所もあれば40%の所があるということが、実際のところだと認識しております。そういった一つひとつの案件について、どこまで深く分析をされて議論されているのかを、1点お伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○岩村部会長 それでは、事務局のほうでお願いいたします。
○労災管理課長 個別の職業能力開発校の件については、後ほど担当者から補足していただきたいと思いますが、確かにご指摘のように、全国1本の目標で事業を評価するというのは最低限必要であるにしても、このような就職率のようなものは、例えば特定の地域が実は満たしてなくて全国で満たしているということであれば、少なくとも特定の地域の改善が必要でございましょうし、あるいは場合によっては、特定の学科において就職率が低いということもあるかもしれません。そこら辺は、とりあえずA、B、C、Dの付け方は仮に全国でやるにしても、細かな非常に分厚い3-5のような資料では、もう少し細かなバックグラウンドのデータをお示ししておくほうがいいのかと思います。どこまで細かくやるかは非常に難しいところではございますが、ただ総括表と分厚い3-5とがほとんど同じ情報量ということだと、何だというお話もあるかもしれませんので、そこら辺は今後工夫をしてまいりたいと考えております。
○事務局 職業能力開発局能力開発課です。ただいまご質問いただいた件ですが、障害者職業能力開発校全体の就職率の目標は60%としております。ご指摘のとおり、各校の実績には残念ながらばらつきがあるのが現状です。しかし、私どもも決して全体で超えていればいいと考えているわけではございませんで、就職率向上に資する取組を各校においてもそれぞれの地域の実情に応じて実施しているところです。
 例えば、就職面接会の開催回数を増やしたりとか、就職支援を専門に行う者を配置したりとか、そういった取組みをした結果、効果が上がっている所もございます。こうした取組みについては好事例として全校に普及することによりまして、全体の就職率の底上げを図っているところですが、引き続き取組みの強化を行ってまいりたいと考えております。
 また、補足させていただきますと、職業訓練につきましては、効果的・効率的な訓練の実施に資するために、指導員の専門性の向上を目的とした研修等も行っておりまして、こうした取組みを一層図ってまいりたいと考えております。
○齋藤委員 1つ質問させていただきたいのですが、参考3-6の検討会の主な指摘というところで、未払賃金立替払事業で、この文章の中で最後に見直すべきではないかという意見が出ていたということなのですが、この見直すべきというのは、予算が高いのを下げるという意見なのか、それとも事業の見直しをするという意見なのか、どういったものなのかを教えていただきたいと思います。
○労災管理課長 当日の検討会のご議論の中では、予算の水準をどの程度にするのかというご指摘であったと私どもは理解しております。ただ、未払賃金立替払事業は使途が特定された補助金ですので、当然余れば返していただくこともございますので、逆にお金が足りなくなったら、補正予算を組むとか、非常にセーフティネットとして十分でないということになりますので、私どもとしては来年の景気動向が、まだヨーロッパの第2のリーマンショックと言われるものの動向の見極めがつかない中では、なかなか減額していくという判断がかなり難しい状況にあることについて、ご説明を申し上げたということです。
○齋藤委員 私どもの組合でも、直接的な影響ではないのですが、いろいろ補助金をもらっていても、だんだん体力が落ちて、間接的な受注件数が減ったりとかして倒産するということが出てきていますので、それは来年も続く可能性があることも踏まえて、予算を減額しないでおいていただきたいというのが要望です。
○宮近委員 未払賃金立替払の状況が、参考3-3の資料に出ております。平成22年度で立替払等が247億円程度あるのですが、これはあくまで確か立替払で、本来、再生すれば回収という実務が入ってくるのだろうと思うのですが、その回収の割合というか、例えば247億円の中で現状では大体どの程度回収ができているのか分かれば、ざっくりでも結構なのですが、何パーセント程度なのでしょうか。
○事務局 監督課です。これまでの回収率は、平均で約24%程度です。
○岩村部会長 そもそも、つぶれてしまってということなものですから。
○宮近委員 それくらいのパーセントもあるのですか。ありがとうございます。
○新谷委員 参考3-6で、これは前々から申し上げております、検討会の性格と検討会での検討の範囲の問題で気になるところがございます。社会復帰促進等事業に関する検討会は、財源の出所が事業者の全額負担ということもあって、我々労働側が参画しない委員構成での論議が進められているということであります。これについてはILOの三者構成主義に従って、労働側もこの検討に入れてほしいというのは前から申し上げているのですが、いま配られた参考6の上から3つ目の技能実習生に対する経費について、主な指摘を見ていくと、「日本での良質な働き方をPRするために、実習生を受け入れられるようにしていくべき」という安全衛生とは基本的に関係ない結論での論議がなされているということが、非常に気になります。
 本来、これは職業安定行政として、外国人の技能実習生なり、あるいは国際貢献という意味で、別の観点から違う所で当然労働側も入って、どうするべきかという論議すべき内容だと思います。災害の議論まではいいのですが、積極的に受け入れるかどうかは、別の場で労働側も入ってきちんとした論議をするべきだと思っております。
 お聞きしたいのは、この検討会での検討の守備範囲は、いったいどの範囲まで考えているのか。それと、別の所で考えた政策的な仕組みを、財源がないから労災保険の社会復帰促進等事業を使ってやろうというところに、ねじれが生じているのだと思いますが、検討会の検討の守備範囲、検討範囲について教えていただきたいと思います。
○労災管理課長 これは事務局の取りまとめ方が悪かったのかもしれませんが、ここに書いてあるのは、実習生の受入れを増やすとか減らすということではなくて、本来、もし正確に書くとすれば、「実習生を受け入れるにあたっては、日本での良質な働き方をPRするため、徹底的に労災ゼロでやらせるべき」と、こういうご指摘があったということですので、1つは、議事要旨のまとめ方については、誤解のないように必要に応じて訂正させていただきたいと思っております。いずれにしても、技能実習生の受入れを増やすとか増やさないということについて、議論なり指摘なりがなされたわけではないということを、まず申し上げておきたいと思います。
 その上で、社会復帰促進等事業につきましては、当然、社会復帰の促進等とか、労働者の援護とか、あるいは安全性確保という目的がございますので、あくまでもその事業の守備範囲に沿った中で検討がなされているということでして、それはご参画されている方についても、十分ご認識された上でご議論がなされているというふうに承知をしております。
○岩村部会長 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。それでは、次の議題に移りたいと思います。議事次第の4番目の議題でして、独立行政法人改革の検討状況についてです。これについても、まず事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 労災保険部会に係る独立行政法人といたしまして労働者健康福祉機構がございますが、労働者健康福祉機構について、どういう議論が現在行われているかを中間的にご報告申し上げるということです。資料4に行政刷新会議での検討が書いてございます。ここにおきましては、独立行政法人の制度・組織全体、個別法人も含めまして見直し検討が進められておりますが、主として法人の形態論、法人のガバナンスなどについて、労働者健康福祉機構については議論がなされているということです。
 お示ししているようなワーキンググループなども設けられまして、かなりインテンシブな議論が行われたわけですが、資料4の4頁をご覧いただきたいと思います。労働者健康福祉機構の事業の9割が労災病院の事業ですので、病院を抱える独立行政法人のあり方ということで議論が行われております。4頁は、国立病院機構の理事長が行政刷新会議のワーキンググループでプレゼンテーションをした資料ですが、基本的な考え方にございますように、国立病院にいたしましても労災病院にいたしましても、政策医療を担っておりまして、セーフティネットを病院グループ全体として担っているということです。
 しかしながら、それの運営にあたっては、患者の利益と医療の向上に還元できるようなガバナンスが必要ということで、独立行政法人ではない新たな民間的枠組で経営を行ってはどうかを、むしろ国立病院機構側から提案を申し上げたという経緯がございます。
 具体的に申し上げますと、いま現在、運営費交付金という使途の定めのない形でお金を交付しております。建て前としては診療業務には財政措置を行うことができる形になりますが、新しい枠組におきましては独立採算を基本として国の財政措置に依存しない診療体制を確立すると。ただ、臨床研究とか教育研修のように、診療報酬で見られていないものについては、補助金などのように範囲や額を特定した形で財政措置を行うという形としてはどうかということです。また、利益処分や人件費管理につきましても、独立行政法人独自のさまざまな規制がございます。そのようなものは病院運営という枠組の中では必ずしも実態に合わないということで、規制の改革をお願いしているということです。
 結論的には、独立行政法人の枠組から離脱した新たな国立病院の法人を、国立病院法人というか国立医療法人と呼ぶかはわかりませんが、そういう法人を目指したらどうかということで、10月11日のヒアリングに臨んだということです。この場には、私も含めて労働者健康福祉機構も参画しております。
 それを受けまして、刷新会議のほうで、それでは厚生労働省のほうで新しい法人制度を制度設計してみろという宿題をいただきまして、10月26日に厚生労働省として提出してヒアリングを受けた資料が次の頁です。細かくなりますので省略いたしますけれども、社会医療法人と申します医療法に基づく法人、日本赤十字、国立大学法人と、独立行政法人と、さまざまな法人形態がございますが、私ども以下国立病院機構が提案した新法人というものを制度に落し込むとこうなりますよということを、意思決定から役員の任免、会計基準、国の関与・監督のあり方を含めましてざっくりとまとめたものが、この表です。細かなところの説明は今日は省略いたしますが、いずれにいたしましても、既存の独立行政法人とは法制度的にも若干違った形での法人が必要であるということで掲げているところです。
 これを受けまして、どういうことになっているかということですが、7頁以下のところに、11月15日の分科会に出された資料がございまして、具体的には8頁のところですが、医療関係法人等ということがございます。これのいちばん下のポツにございますように、「相当程度の自己収入があり」と。これは診療報酬による収入ですが、「国民の生命に直結する業務を実施する法人については、国の事務と強い関連があることから、主務大臣のガバナンスを強化しつつ、一定の経営の自律性を確保した適切な法人形態を検討すべきである」というかたちで、いま検討が進められているということです。
 独立行政法人改革につきましては、行政刷新会議という枠組ではございますが、政治主導ですので今後どのような議論になっていくかはわかりませんが、法律に関わるような改革が行われるということでありましたら、また個別に審議会にもご相談させていただくということですので、まず中間的に現在の状況をご報告申し上げているということです。
 それから、行政刷新会議と並行いたしまして、厚生労働省の中に国立病院・労災病院等のあり方を考える検討会が設けられて、検討がされております。参考4にございますように、私どもと医政局とで検討をしているということです。委員の名簿、その他検討のきっかけなどは書いてございますが、いま現在どういう検討がなされているかについてご説明を申し上げたいと思います。
 まず4頁でして、そもそもの国立病院・労災病院の存在意義・役割はどういうものなのかについて、整理したものです。政策医療を提供する病院、公的な病院としての存在意義ということですが、政策医療を提供する病院としての存在意義としては、国の政策目標のもと、結核、重心、筋ジス、アスベストなど、採算面から民間病院では必ずしも提供されない恐れがある医療の提供等が挙げられるのではないか、という議論がなされております。また、公的な病院としての存在意義として、民間病院では困難なこともある医師の養成、救急医療の提供、臨床研究、治験と、こういったものが挙げられるのではないかというご指摘がございました。
 また、1つ○を飛ばして、政策医療を行うにあたっての国立病院、労災病院の役割ですが、政策医療そのものの提供、直接の医療提供に加えまして臨床データを活用した調査研究、臨床研究と言っているものを行うこと。それに基づいて診療指針等を作る。モデル予防法とか、労災で申し上げますと全国斉一的な労災認定のものさしを作っていくと、こういう役割があるだろうと。そして、こういうモデル予防法、モデル医療技術や労災認定のものさしを、民間病院に対して発信していく、普及していくと、こういう役割があるだろうといま現在整理をしつつあるということです。
 その次の頁に国立病院・労災病院の今後のあり方の方向性が書いてございますが、それをまとめまして、6頁に今後の検討の方向等が書いてございます。国立病院・労災病院等のあり方を考える検討会におきましては、国立病院グループ・労災病院グループの統合の問題、ネットワークの統合の問題につきましては、両法人の本部間接部門の削減とか、研究事業のシナジー効果などのメリットが指摘されております。
 一方で、現実の目先の問題といたしまして、国立病院はいま現在、公務員型であります。労災病院が非公務員型であるということ。あるいは、労災病院のほうが赤字で、国立病院が黒字基調であるという問題ということですので、いますぐ、直ちに統合は、現実の問題のクリアの必要があるということですので、国立病院・労災病院のネットワークの統合を見据えるわけですが、その1つのステップとして統合と同様のシナジー効果が間接部門の削減を図るべく、とりあえず連携策を講じるという意見がございます。実際上、統合したと同じような効果を計られるように、医療機器および医薬品の共同購入、治験の共同実施、あるいはITシステムとか診療データベースの共有、研究協力、さらには人事交流というところまで踏み込んで、両病院グループが手を携えて国民のためになるような効果を出していくということが、いま検討なされているということです。
 この刷新会議、あるいは厚生労働省内の検討会につきましては、12月、1月に検討が大詰めを迎えますが、その状況については、また、まとまり次第、ご報告を申し上げたいと思います。
○岩村部会長 ただいまご説明いただきました独立行政法人改革の検討状況につきまして、ご意見あるいはご質問がありましたら、お願いをしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題の5番目です。労働保険料等の口座振替制度の対象拡大についてということです。まず、事務局からご説明をいただきたいと思います。
○労働保険徴収課長 労働保険料等の口座振替制度の対象拡大について、ご説明、ご報告いたします。お手元にございます資料5「単独有期事業を労働保険料の口座振替納付制度の対象とすることについて」をご覧いただければと存じます。労働保険料等の納付につきましては、事業主の利便性等を考慮し、口座振替制度が設けられてございます。ちなみに、単独有期事業と申しますのは、建築工事などの建設の事業といった事業の期間が予定されている事業のうち、単独で労働保険の保険関係が成立しているものです。今般、昨年の省内事業仕分けを踏まえまして、口座振替制度の対象を全事業主に拡大するに当たりまして、単独有期事業につきましても口座振替制度の対象とするものです。労働保険徴収法施行規則の改正を行いまして、12月下旬に公布・施行することを予定しております。
○岩村部会長 ただいまの事務局からの説明につきまして、何かご意見あるいはご質問はありますか。よろしゅうございましょうか。ほかに、その他は、事務局のほうでは特にないですね。ほかに何かこの際ということでご発言はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして本日の部会は終了といたしたいと存じます。本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表につきましては森下委員、使用者代表につきましては長岡委員にそれぞれお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、この部会は終了といたします。本日は、お忙しいところ、大変ありがとうございました。


(了)

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