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2011年8月25日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年8月25日(木)


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

出席委員(16名):五十音順 敬省略

 新 井 洋 由、  庵 原 俊 昭、 大 槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、

 菊 池   嘉、  清 田   浩、 黒 木 由美子、  佐 藤 俊 哉、

 清 水 秀 行、 鈴 木 邦 彦、○土 屋 友 房、  中 島 恵 美、

 濱 口   功、  山 口 照 英、 山 本 一 彦、 ◎吉 田 茂 昭

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名):五十音順 敬省略

 櫻 井 敬 子、  田 村 友 秀、  半 田   誠、  前 崎 繁 文、

 増 井   徹

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 赤 川 治 郎  (審査管理課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 佐 藤 岳 幸  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
 部会に先立ち、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。
 8月22日付で審査管理課長を拝命いたしました、赤川です。よろしくお願い申し上げます。
 それから、医薬品医療機器総合機構の審議役の佐藤です。
 本日の委員の出席についてですが、櫻井委員、田村委員、半田委員、前崎委員、増井委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 また、大槻委員、奥田委員、鈴木委員、山口委員より遅れていらっしゃるとの御連絡をいただいております。
 現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~15をあらかじめお送りしています。このほか、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
 また、当日配付資料として資料19「佐藤委員からの御質問」を配付しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料18「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
 資料18の1ページは「フェソロデックス」です。本品目は「閉経後乳癌」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有し同様の位置付けにある薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページは「タコシール」です。本品目は「肝臓外科、肺外科、心臓血管外科、産婦人科及び泌尿器外科領域における手術時の組織の接着・閉鎖」について効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページは「ムコスタ」です。本品目は「ドライアイ」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページは「イトリゾール」です。本品目は「真菌感染症」等を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目とて選定しております。
 5ページは「テラビック」です。本品目は「一定のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とし、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)及びリバビリンと併用する薬剤であり、同様の効能・効果を有し同様の位置付けにある薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 6ページは「イラリス」です。本品目は「クリオピン関連周期性症候群」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 7ページは「アバスチン」です。本品目は「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有し同様の位置付けにある薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページは「ruxolitinib」です。本品目は「骨随線維症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 9ページは「オファツムマブ(遺伝子組換え)」です。本品目は「慢性リンパ性白血病(CLL)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 10ページは「ヘミン」です。本品目は「急性ポルフィリン症の発作」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 11ページは「BIBF1120」です。本品目は「特発性肺線維症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有し同様の位置付けにある薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。特にないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
 議題1「フェソロデックス」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は大槻委員、山本委員です。
 議題2「タコシール」ですが、退出委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
 議題3「ムコスタ」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は奥田委員、山本委員です。
 議題4「イトリゾール」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は大槻委員、奥田委員、山本委員です。
 議題5「テラビック」ですが、退出委員は大槻委員、議決に参加しない委員は山本委員です。
 議題6「イラリス」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は大槻委員です。
 議題7「アバスチン」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は山本委員です。
 議題8「ruxolitinib」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は大槻委員です。
 議題9「オファツムマブ(遺伝子組換え)」ですが、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は山本委員です。
 議題10「ヘミン」ですが、退出委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
 議題11「BIBF1120」ですが、退出委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。本日は、審議事項が11議題、報告事項が4議題となっています。
 それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品フェソロデックス筋注250mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるフルベストラントは、主にエストロゲン受容体のダウンレギュレーションを介して抗エストロゲン作用を発現し、その結果、エストロゲン依存性の腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。また、本剤は、類薬のタモキシフェンクエン酸塩と異なり、エストロゲン受容体に対する部分アゴニスト活性を持たないことが示唆されております。
 ホルモン受容体陽性の閉経後乳癌に対しては、抗エストロゲン剤又はアロマターゼ阻害剤による内分泌療法が行われており、標準治療と位置付けられています。今般、本剤は、閉経後乳癌に対して効果を示す内分泌療法剤として承認申請されました。
 本剤は、審査報告書の4ページに記載していますように、平成23年6月時点において、乳癌を適応として海外では72の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料17にありますとおり、10名の委員です。
 以下、閉経後乳癌に対する本剤の承認審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された第III相試験と、本邦で実施された第II相試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書54ページ下から4行目以降、及び82ページ上から19行目以降に示しますように、内分泌療法既治療で、エストロゲン受容体陽性の閉経後転移性又は再発乳癌患者を対象とした海外第III相試験の結果、試験計画当時の欧米において標準的な治療選択肢の一つとして使用されていた本剤の低用量投与群と比較して、本剤の高用量投与群において、RECIST基準に基づく増悪又は増悪を伴わない死亡までの期間が有意に延長したことから、当該患者に対する本剤の高用量投与の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、本剤の高用量投与は忍容可能と判断いたしました。
 ただし、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書57ページ本文の上から4行目以降、及び82ページ下から17行以降に示しますように、注射部位反応、血栓・塞栓症、肝機能異常、腟出血、骨粗鬆症が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により対応可能と判断しておりますが、本剤の日本人における検討症例は限られており、審査報告書69ページ上から12行目以降、及び85ページ上から1行目以降に示しますように、製造販売後には目標症例数500例、観察期間1年の使用成績調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「閉経後乳癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当であり、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。
 閉経後乳癌に対する本剤の承認の可否等について、御審議のほど、よろしくお願いします。
 なお、資料19にありますとおり、事前に佐藤委員から御質問・御意見をいただきましたので、機構から回答させていただきます。
 御質問は、効能・効果に関してのもので、本剤は二次内分泌療法における選択肢の一つとして位置付けられ、加えて、現時点では一次内分泌療法及び手術の補助療法として推奨できるエビデンスはないと機構は判断している一方で、効能・効果を「閉経後乳癌」と設定することは可能と判断しているが、効能・効果を、申請効能・効果である「閉経後進行・再発乳癌」ではなく、「閉経後乳癌」と設定可能と判断した理由をもう少し詳しく説明してほしいという趣旨です。また、国内外で実施された臨床試験の対象患者を踏まえると、効能・効果に「内分泌療法既治療の」という文言を付けた方が良いのではないかという御意見もいただきました。
 一般に、薬剤の投与対象を適切な対象に限定するための方法としては、効能・効果のみにおいて限定する方法と、もう一つは効能・効果に関連する使用上の注意の項も含めて限定する方法との二つがあると考えられます。本剤については、どちらの方法がより適切かについて、専門協議も含め、審査の過程で議論してきました。その際、近年審査された、乳癌に対して適応を有する他の抗悪性腫瘍剤の効能・効果も参考に検討しましたが、乳癌に対して適応を有する他の抗悪性腫瘍剤の効能・効果では、一次治療や既治療等の情報は含まれておらず、また、特に内分泌療法剤については、進行・再発や手術不能・再発等も付いていない状況です。さらに、他の内分泌療法剤の審査においても、一次内分泌療法及び手術の補助療法として推奨できるエビデンスが得られていない段階で、効能・効果に「進行・再発」をあえて付けないことが適切であるという判断がなされております。
 加えて、本剤投与リスクについても検討しました。その結果、本剤は内分泌療法剤であり、審査報告書57ページ以降、及び82ページ以降の安全性の項に記載させていただきましたが、本剤の安全性プロファイルは、注射部位反応を除いて、他の内分泌療法剤と大きく異なるものではなく、本剤のリスクは、他の内分泌療法剤と比較して、特段大きくないものと判断しております。
 以上を総合的に検討した結果、本剤はがん化学療法の治療に十分な知識・経験を持つ医師によって使用されると共に、情報提供用の資材も作成されることも踏まえると、「内分泌療法既治療」及び「進行・再発」という文言について、効能・効果で限定するほどのものではなく、それぞれ、効能・効果に関連する使用上の注意の項の(2)及び(3)で注意喚起することが妥当であると判断をさせていただいております。
 なお、この点については専門協議においても検討させていただいており、専門委員からは支持されております。説明は以上になります。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。まず佐藤先生、今の回答についてどうでしょうか。
○佐藤委員 今、御説明いただきましたけれども、理解ができないのは、申請者が申請時効能を「閉経後進行・再発乳癌」と申請してきたものに対して、「進行・再発」を取り、「閉経後乳癌」とするということです。機構は、そこに有効性ないし安全性についてのメリットを認めていないのに、積極的に「進行・再発」を取るということはどういうことなのでしょうか。ほかの医薬品との並びだからという理屈は、少しおかしいと思うのですが、その辺はいかがですか。
○機構 今回申請された内容は、確かに先生がおっしゃるように「進行・再発」という文言が付いておりまして、いわゆる術後の補助療法として、今回、使用を避ける効能・効果という形で付いているところに、先ほどの説明と重複するところもあるのですが、類薬の中でも、これまでそういった術後の補助療法のエビデンスがない状況において、今回と同じような内容の注意喚起と効能・効果を付けた形での承認を下ろしてきているという状況もあったのを踏まえまして、「進行・再発」という文言を申請者が付けているところもあるのですが、ほかの品目との並び等を踏まえて、今回は取っても良いのではないかと判断したというところです。
○佐藤委員 ということは、先程も言いましたように、申請者は閉経後の進行・再発乳癌として申請してきましたが、今回提出された資料について審査すると、機構としては、有効性、安全性に関して「進行・再発」を取って「閉経後乳癌」とする積極的な理由はないということですか。
○機構 最終的に専門協議の中の議論も踏まえて、申請者の方も取ることについては了解をしているというところです。
○佐藤委員 そのような質問ではなく、有効性、安全性に関して「進行・再発」を取る積極的な理由は、どこにあるのでしょうか、というところをお聞きしているのです。
○機構 提出された資料の中というよりも、むしろ同種、同効薬との並び、あるいはこれまでのほかの品目との審査の状況を踏まえてという形を考えています。
○佐藤委員 私はその理屈は少しおかしいと思うのですが、部会長、いかがでしょうか。
○吉田部会長 私が言う立場ではないのかもしれませんが、一つは臨床側の様々なニーズがあり、例えば1度再発後進行癌等に決めてしまった場合、次の展開がすごくしづらくなるということがあって、できるだけ適応に関しては広めに取ってほしいという要望が、我々臨床側からはあります。それで、この薬が今度どのような展開をするか、なかなか使いにくそうな薬なので分かりませんが、例えば、次に補助化学療法の方に持っていきたいといった場合に、適応から外れて使えなくなってしまい、なかなか次の展開がしにくくなるということがあります。
 先生がおっしゃることは全く理論として正しいのですが、臨床側のニーズとしてはできるだけ適応の幅を広く開けておいてほしいということもあり、その辺も配慮されているのだろうと私は推察しています。その方が臨床側としてはありがたいということで、類薬を含めて、そのような対応になっているのではないかと。例えば認められたホルモン薬を術前に持っていったり、本剤の場合二次治療薬で動いていますが、初回に持っていくという形の展開が図られていく可能性もあるというのが現状だろうと思います。確かに理論的には先生のおっしゃるとおりなのですが、その辺の考慮も合わせてということだろうと思います。
○事務局 事務局から補足ですが、本剤、安全性のプロファイルという観点では、内分泌治療剤等と大きく変わらないだろうということで、効能・効果で縛るというよりは、効能・効果関連注意の方で注意喚起することで、対応可能ではないかと考えております。本剤は再審査期間を付しておりますので、その間は一定の管理下に置かれるということでもありますので、どういう形で本剤が使われていくかということもフォローしていきたいと考えております。以上です。
○吉田部会長 佐藤先生、よろしいでしょうか。
○佐藤委員 今回のことは、そのような事情でしたら、それで結構ですが、やはり今後の審査では提出された資料に基づいて、有効性、安全性を評価して、効能・効果をお決めいただきたいと思いますが、その点について機構から何かございますか。
○審査第五部長 御指摘ありがとうございます。今回の件については、当初の申請の範囲と結果として出てきた範囲が異っているということで、先生からそのような御心配をいただいたと理解しております。また、審査の過程においても、臨床現場の意見も踏まえながら、適切な効能・効果を付けられるように審査を進めていきたいと考えております。
○審査管理課長 御指摘ありがとうございます。今回のこの申請ですが、先生御指摘のとおり、申請者が一定の効能・効果で書いてきたものをなぜ変えるのかといった点ですが、逆に同一の効能・効果を持っているものは、どのようなものがあるのかを見ると、「同種同効品一覧表」というものがこの概要の資料にも付いているかと思います。そこを見ますと、類薬については、閉経後乳癌というような形で書かれているのが現状です。私どもとしては、基本的には効能・効果、それに関連した使用上の注意等を併せてどのような範囲で使うものかというものを一応表現したいと考えております。
 効能・効果でどうしても書かなければならないとすれば、それはやはりリスクの観点で、そこを排除しなければならない集団があるならば、そういったところは禁忌なり、あるいは効能・効果の中で制限を加えるという、強い措置としての効能・効果の表現が必要な場合もあろうかと思います。機構の方からも御説明させていただいた件ですが、今回そういった安全性なども全部含めて総合的に勘案して、このような表現、類薬との関係も勘案して記載させていただいているということです。
 一方、この効能・効果について、薬事法上の観点ではありませんが、保険診療において、医療の現場でいろいろと使われている先生方から、どうしても、ややもすると効能・効果の書き方で保険診療での適応が決められてしまうという日本での医療現場の考え方、そういったものも勘案させていただき、承認して出ていく時の効能・効果についても、今回少し一定のバランスを取らせていただいていると御理解いただければと思います。
○吉田部会長 要するに、効能・効果で縛るか、それとも効能効果関連を注意事項で縛っていくかという二つの方向性があって、効能・効果で縛ると、この次新しい適応がでてきた時に、もう一回、一部変更承認で申請し直しになってしまって、費用も時間もかかるということもあり、ドラッグラグの話もいろいろある中、そのような意味で効能・効果を広めにして、使用上の注意で縛るという方向になっているのだろうと思います。つまり、効能効果関連注意で縛っているうちは、この場で解除できますから。確かに多少の曖昧さは残りますが、使うべきではないとか、推奨しないということをしっかりと使用上の注意に書いていただければ、適応症になくても、それこそ専門家が使う限りは、そう酷いことにはならないだろうと私も思います。ほかにありますか。
○庵原委員 庵原ですけれども、2点確認します。一つは、筋注の部位が臀部に限られているのですが、臀部に限っているのは何かというのが1点です。2点目は、確か最後に、観察期間は6か月と資料に記載されていますが、今、観察期間は1年と言われましたので、そちらを確認します。1年でよろしいのでしょうか。
○機構 機構から回答申し上げます。まず、注射部位の件です。本剤は、投与する量が5mLと割と多いことで、臀部への投与限定ということになっております。そういった回答でよろしいでしょうか。
 続きまして、製造販売後調査の観察期間についてですが、もともとの設定としては6か月設定になっていましたが、専門協議での検討も踏まえまして、どのように調査期間、観察期間を設定するかということについては、申請者側にも様々な検討をしていただき、最終的には出てくる有害事象の種類や発現頻度等、重篤度等も踏まえて、最終的に1年という設定に変更されております。このような回答でよろしいでしょうか。
○庵原委員 すみません。この資料では85ページの観察期間に、6か月と書かれたのが配られていますが、先程の説明が観察期間1年になっていたので、なぜ1年にしたかということの確認です。
○機構 御説明申し上げます。元々の設定では6か月間ということであったのですが、6か月以降にも有害事象、副作用等々が少し出てきている状況ではあったので、もう少し延ばした方が良いのではないかという議論がありました。当初、申請者も6か月くらいで大丈夫だろうというところはあったのですが、そのような議論があった旨を伝えて、もう少し長い期間で観察した方が良いという結論に至り、申請者の方は1年あれば、ほとんどすべての有害事象が捉えられるだろうということから、ほかに、それ以降にも出てくるものはあるのですが、非常に軽度なものであったということから、1年あれば出てくる有害事象はほとんど網羅できるだろうということで、1年まで延ばしたということです。
○庵井委員 はい。分かりました。
○吉田部会長 ずれてもいけないと記載されていますので、本当に臀部だけでしか使えないということですね。
○庵原委員 確か、小児科領域では、臀部に筋注してはいけないことに最近なっていたと思います。大人については、臀部で良いのか分かりませんが、一般に小児科領域では、最近、臀部に筋注してはいけないこととなっていますので、ここをわざわざ臀部と限られたのが少し理解できませんでした。大人は臀部でも筋注オーケーなのですね。
○機構 試験の方、海外も含めてなのですが、臀部の方に1回5mLを片方ずつに打つという形でそのまま試験を行いまして、ほかの部位に投与した経験というのはないということです。
○吉田部会長 左右の臀部に5mLずつヒマシ油入りの製剤を注射すると、座れないくらい痛いと聞いています。なかなか大変な薬です。ほかにありますか。
○菊池委員 後学のために伺いたいのですが、再審査の期間というのは、いろいろな薬でバラバラになっておりまして、この薬は今回8年となっていますが、ほかの薬剤では4年等になっています。この根拠というのは、何か一定の見識があるのでしょうか。
○機構 機構からお答えします。再審査期間については、本品目、新有効成分含有医薬品ということで、8年という形にさせていただいております。同じく新有効成分含有医薬品でも、例えばオーファンの指定を受けているものについては、患者さんの集積がなかなか難しいという部分もあって10年という形です。効能追加等で、8年という長い期間は必要ないのだが、一定の期間必要なものについては必要な期間を通常ですと4年等、ある程度の期間を付けているという形になっています。
○菊池委員 ほかの薬は全部見ていませんが、基本的に4年、8年、10年ということでよろしいですか。
○機構 いろいろパターンがあり、通常の効能で取っていて、その後オーファンの効能を取ったもの等、6年から4年の範囲というものもあります。
○菊池委員 そこら辺の明確なものは何かないのでしょうか。
○審査第五部長 今の説明に多少補足いたしますけれども、一般的なパターンとして御理解いただければと思いますが、新有効成分であれば8年、オーファンだと10年、あとは剤形の追加や効能の追加等のバリエーションはありますが、4年、6年というものを付けるというパターンはあると思います。従いまして、大体のケースでいうと、4年、6年、8年、10年というところが大体のパターンです。
○吉田部会長 ほかにありますか。佐藤先生にお伺いしたいのですけれども、この薬はタモキシフェンやAI等、様々な比較試験を行った結果、優越性が出ませんでした。他剤との優越性は出ないまま、最後はスタンダードドーズとの比較でハイドーズの方が良かったので、有効だろうという判断になっています。少し間接的な感じがするのですが、ガイドラインにも載っているので、解釈は良いのだろうとは思うのですが、本来は優越性が出なかったということがエビデンスであって、非劣性が証明されたわけではないのですね。
○佐藤委員 非劣性も、タモキシフェン等ほかのホルモン療法とは証明されておりませんが、大体同じくらいの有効性だったので、ロードーズとハイドーズとを比較して、有意だったからという理屈だったと思います。
○吉田部会長 それは一応、解釈として直接的に比較はしていないけれども、類推可能というか、一応統計学的には問題ないということですか。
○佐藤委員 問題無いことはないと思うのですが、ロードーズのレジメンが既に実際の治療、臨床で使われておりましたので、恐らくそのことを踏まえて、ハイドースが勝ったのでということなのだと思います。
○吉田部会長 分かりました。ありがとうございます。ほかにありますか。
○佐藤委員 先ほど、効能・効果で縛るか、それとも効能・効果の使用上の注意で縛るかというお話があったと思うのですが、確かに今回使用上の注意のところに、内分泌治療未治療例について、使用上の注意が書かれているのですが、先ほど申し上げた申請者から言ってきたという、進行・再発に関して、進行・再発乳癌以外での有効性は認められていない等については記載しなくて良いのですか。
○機構 機構の方からお答えします。進行・再発以外の閉経後乳癌患者という方に使うとなると、術後補助療法としての治療というのが唯一残されているところになると思います。そちらの方は、同じく使用上の注意の方で、有効性、安全性を確立しない旨を注意喚起させていただいています。
○佐藤委員 分かりました。
○吉田部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、大槻委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品タコシール組織接着用シートの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 審査報告書の3ページに記載しておりますとおり、本剤はヒトフィブリノゲンとヒト由来のトロンビン画分を有効成分とするシート状生物学的組織接着・閉鎖阻害剤であり、本邦において、現在承認されている「タココンブ組織接着用シート」からウシアプロチニンを除き、ウシ由来のトロンビン画分をヒト由来のトロンビン画分に変更することにより、ウシ由来成分によるアレルギー様反応のリスク及びウシ海綿状脳症等の感染症の理論上のリスクを回避した、より安全性の高い後継品とすることを目的として開発された製剤でございます。
 本剤は、審査報告書の4ページに記載していますように、平成16年に欧州、平成22年に米国で承認されたのをはじめ、平成23年7月時点において49か国で承認されており、世界的にタココンブから本剤への切替えが行われています。
 本品目の専門協議に御参加いただきました専門委員は、資料17にありますとおり7名の委員でございます。
 以下、本剤の承認申請の概要を御説明します。
 本剤の有効成分であるヒトフィブリノゲン及びヒト由来のトロンビン画分は、一部の製造方法や最終濃度が異なること以外は、それぞれ本邦既承認の製剤で用いられている有効成分と同一であり、これらはいずれも生物由来原料基準に適合し、かつ、一定のウイルス不活化及び除去処理が行われていることが確認されています。
 今般の承認申請では、審査報告書19ページに示します国内臨床試験1試験及び海外臨床試験6試験が評価資料として提出されました。
 本剤の有効性については、審査報告書28ページ下から16行目以降に示しております。二次止血効果に関して、タココンブとの非劣性が国内TC-026-JP試験で示されたことに加え、標準的外科処理を対照とした海外臨床試験において、各外科領域での本剤の有効性を支持する結果が得られたことを踏まえ、臨床試験が実施された肝臓外科、肺外科、心臓血管外科、泌尿器外科における本剤の有効性は示されていると判断いたしました。なお、このことから、タココンブでは使用実績があるものの本剤を用いた臨床試験は実施されていない産婦人科領域においても、本剤の効果が期待できると判断いたしました。
 また、肺外科領域については、TC-013-IN試験にて本剤の有効性が示されませんでしたが、組み入れ対象を「気漏グレード0~2の患者」から「気漏グレード1~2の患者」に、又、主要評価項目を「術後48±6時間後の気漏の発現率」から「術後気漏の持続時間」に変更したTC-021-IM試験では本剤の有効性が示されていることから、肺外科領域の組織閉鎖効果における本剤の有効性も示されていると判断しました。なお、専門協議においても、気漏は術後48時間以降も遷延する場合が多いこと等から、TC-021-IM試験で用いられた「術後気漏の持続時間」が主要評価項目として適切との機構判断を支持する意見が出されております。
 安全性については、審査報告書33ページ下から7行目以降に示しています。国内TC-026-JP試験で、本剤群とタココンブ群の副作用発現率に差異が認められたものの、本剤群に割り付けられた被験者を多く担当した医師による有害事象の因果関係の判定基準に差異があったためと考えられ、有害事象の発現率、発現件数及びそれぞれの内訳について、本剤群とタココンブ群で特段の差異は認められていないことから、タココンブと比較して本剤の安全性上の新たな問題点は特段認められず、又、安全性の国内外差や外科領域別の安全性についても特段の問題は認められないという機構の判断は専門委員より支持されました。
 以上のような審査の結果、機構は、本剤を「肝臓外科、肺外科、心臓血管外科、産婦人科及び泌尿器外科領域における手術時の組織の接着・閉鎖」の効能・効果で承認することは可能と判断いたしました。
 本承認申請は、新医療用配合剤に該当することから、再審査期間は6年とすることが適当であり、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。また、本剤はヒト血液由来成分を含むことから、特定生物由来製品に該当すると判断いたしました。
 なお、現在販売されているタココンブについては、本年2月に発生したニュージーランド地震の影響により、有効成分の一つであるウシ由来のトロンビン画分の製造所が被害を受けたこと等により、平成24年3月以降の供給が困難となる事態に至っております。申請者は、本剤が承認された場合、速やかにタココンブからの切替えを行うとしています。
 本剤の承認の可否等について、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
 なお、事前に清水委員より2点御質問をいただいていますので、説明させていただきます。
 まず、審査報告書38ページの「(5)医療用配合剤の承認要求への該当性について」の議論の中で、4.の配合剤に科学的合理性が認められ、承認要件を満たすと書かれているが、タココンブからウシ由来成分を除去した製剤であることから、BSE等の感染リスクやアレルギー様反応の回避が得られているため、2.の副作用(毒性)軽減に該当することも考えられるが、いかがかとの御質問をいただいています。
 御指摘の項目については、ある有効成分を単味で使用した場合に比べて、他の有効成分を併用した場合に副作用(毒性)の軽減がある場合に該当すると判断するものと理解しています。本剤については、ヒトフィブリノゲンとヒト由来のトロンビン画分を配合していますが、この観点からは、それぞれの有効成分の副作用軽減が見込まれるような配合ではありませんので、2.には該当しないものと判断しています。
 なお、御指摘のとおり、本剤はアレルギー様反応発症のリスク及びBSE等の感染症の理論上のリスクを回避することをコンセプトとして開発されていますが、タココンブで報告されているこれらの副作用について、アレルギー様反応についてはウシ由来成分か否かは不明とされています。また、BSEの感染は報告されていませんので、現時点で副作用の軽減にどの程度の影響があるのかは不明と考えています。
 また、2点目として、本剤の名称を「配合シート」とする必要はないか、との御質問をいただいています。
 本剤は、出血局所に対し止血の状況を確認しながら直接貼付される製剤ですので、販売名に配合剤である旨を記載しなくても、誤って重複投与されるような可能性は低いと考えています。なお、医療用配合剤の販売名命名の取扱いに関して通知が出されていますが、本通知に関しては内用剤を対象としておりまして、本剤のような外用剤の販売名に配合剤である旨を明記することは求められていません。また、本剤の類薬であるフィブリン糊製剤、具体的には、「タココンブ組織接着用シート」、「ボルヒール組織接着用」及び「ベリプラストPコンビセット組織接着用」ですが、これらについても、いずれも販売名に配合剤である旨は明記していないことから、本剤についてもその必要はないものと考えています。説明は以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。清水先生、いかがでしょうか。
○清水委員 確認の意味で質問させてもらいましたが、今の説明で結構です。
○吉田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○濱口委員 審査報告書の8ページの「(1)発熱性物質に関する規格設定の必要性について」というところで質問したいと思います。ヒト由来の血漿分画製剤の場合、注射製剤では規格試験として必ず発熱試験が入っていると思いますし、国家検定の中で現在も行われており、海外でもドイツなどでは行われているという状況だと思います。本剤に関しては、国家検定にはなっていませんが、ヒトの血漿分画製剤であるフィブリン、トロンビンといったものが中に入っているということですので、ここでの規格試験として発熱試験が前製剤であるタココンブの時に設定されたものを外してしまうということに関しては、いささか疑問があります。そこについて教えていただけませんでしょうか。
○機構 御回答申し上げます。御指摘のとおり、本剤で使用されているヒトフィブリノゲンに関して、その規格として発熱試験は設定されていません。ただ、これに関しては、工程内管理試験として、発熱試験に代わりエンドトキシン試験が設定されていまして、機構としては、それらの工程内管理試験の結果を確認することにより発熱に関する懸念は十分に管理できると判断しています。
○濱口委員 確かに工程管理試験の中で、ある程度把握はできるということなのですが、この発熱試験というのは、エンドトキシン自体、若しくは発熱物質自体がその中に含まれているか否かということ以外に、製造工程の中で工程管理自体がきちんとできているかどうかということを指標に見ていくということですので、企業としてもこの試験を規格試験として設定し、トレンドを見ていくということは非常に重要なことだと思っています。この分画製剤自体が、検定等を通さない形で表に出てくるということを考えると、企業としてもそこはきちんと設定をして管理していくべきだと考えます。
○機構 御指摘ありがとうございます。製造のトレンドを確認して、工程管理がしっかり行われているかということを発熱試験等々で確認した時に、確認ができるという御指摘でしたので、その点に対して申請者の見解を求めると共に、適切に対応するよう申請者に指導させていただきたいと考えています。それらの情報に関しては、濱口先生にまたフィードバックさせていただければと考えています。
○濱口委員 はい。海外でも既に使われているということで、先ほどドイツの例を出しましたが、そこでの管理がどのようになっているのかも併せて御報告ください。
○機構 了解しました。
○吉田部会長 ほかにございますか。私からも、質問させていただきます。産婦人科のことなのですが、産婦人科領域ではまだタココンブが認められていないので、非劣性も何もないと思うのですが。
○機構 産婦人科に関しては、タココンブでも承認されています。
○吉田部会長 産婦人科は、非劣性の試験を行ったわけではないのでしょう。使用経験のような形ですね。45例は参考資料となっていますが、臨床試験として行ったわけではないですね。
○機構 タココンブでいえば、そういうことになります。
○吉田部会長 ですから、適正使用ということで市販後に見ておく必要はないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
○佐藤委員 このタココンブの審査は、私が血液製剤調査会の委員をしている時に審査をしたのですが、産婦人科領域でも試験は行っています。ただ、ワンアームのタココンブをこの45名に使ったという試験だけであり、比較対象がない試験です。当時は試験の質が余り良くなかったので、今回、参考資料としてタココンブ申請時の試験が出されていますが、これを資料として見るよりも、市販後の成績をもって有効性を判断する方が良いのではないかと思います。
○吉田部会長 市販後に何も条件が付いていないので、少し情報提供を求めた方が良いのではないかと思うのですが。
○機構 御指摘の点ですが、タココンブの使用成績調査の成績がありまして、産婦人科に関しても、699例に使用されて有効率が98.4%と相応の高い成績を示していますので、産婦人科領域に関して有効性は特段問題ないと考えています。
 先ほど吉田部会長から御指摘いただきました適正使用に関しては、審査の中でも、産婦人科領域に限った話ではありませんでしたが、本剤を出血の予防に使うような事例が把握されておりまして、それらに関しては、既に申請者も適正使用に向けた情報提供を行っているとしていますが、そのような指摘が専門協議でありましたことを踏まえて、本剤の承認に当たっては、より適正使用を徹底するように機構も指導しています。その資材等についても作成するように指導しているところです。
○吉田部会長 その辺は、しっかり指導していただくということで、よろしくお願いします。ほかにありますか。
○土屋部会長代理 審査報告書の7ページに、「3)外来性感染性物質の安全性評価」という項がございまして、各種ウイルスがどれぐらいになっているかという値が記載されています。5.87以上とか、次のページのγ線照射の場合には4以上という値なのですが、これぐらいなら経験的に問題ないということですか。
○機構 まず、御指摘いただいた点については、ウマコラーゲンシートと製剤の無菌処理にかかるウイルスクリアランスのお話かと理解しています。本剤に関しては、原薬としてフィブリノゲンとトロンビンを用いていますが、これらそれぞれについてもウイルス不活化処理を行っておりまして、それらの具体的な情報に関しては、お配りしている部会資料の1.10の3ページの「生物由来医薬品又は特定生物由来医薬品の指定資料のまとめ」の中に、それぞれの原薬及び先ほど申し上げたウマコラーゲンシート、及び製剤のウイルスクリアランスの値が示してあります。これらの値を鑑みますと、相応に高いウイルスクリアランスを示していると判断していますので、現時点でウイルス安全性については一定の担保がなされているものと判断しています。
○土屋部会長代理 分かりました。
○吉田部会長 ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品ムコスタ点眼液UD2%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるレバミピドは、薬理作用としてムチン増加作用を持つキノリノン誘導体です。本邦において、本薬の経口剤(ムコスタ錠100mg、ムコスタ顆粒20%)は、胃粘液増加作用を示し、胃潰瘍、胃炎の胃粘膜病変の改善に係る効能・効果で承認されていますが、本薬は、前眼部角結膜に対してもムチン増加作用を示したことから、ドライアイに対する新たな点眼剤として開発が進められたものです。
 海外では、現時点において、本薬の点眼剤が承認されている国はありませんが、米国において現在開発中です。
 本邦においては、ドライアイ治療に用いられる点眼剤として、ヒアルロン酸ナトリウム及びジクアホソルナトリウムが既に承認されています。
 本申請の専門委員としては、資料17に記載されている8名の委員を指名しました。
 主な審査内容について簡単に説明します。
 審査報告書22ページの中段の「3)第III相試験」の項を御覧ください。本申請における検証試験として、ドライアイ患者188名を対象に、本剤を1日4回、又は0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液を1日6回、4週間点眼した際の有効性及び安全性を比較する無作為化並行群間比較試験が実施されています。その結果、22ページの表4に示していますように、主要評価項目とされた角膜上皮障害の指標であるフルオレセイン染色スコア(FCSスコア)のベースライン値からの平均変化量は、本剤群で-3.7、ヒアルロン酸(HA)群では-2.9であり、本剤群のヒアルロン酸群に対する非劣性が検証されています。また、23ページの表5に示していますように、二つ目の主要評価項目とされた結膜上皮障害の指標であるリサミングリーン染色スコア(LGCSスコア)のベースライン値からの平均変化量は、本剤群では-4.5、ヒアルロン酸群では-2.4であり、当該指標については本剤群の優越性が示されています。これらの成績より、機構は、ドライアイ患者における本剤の有効性は示されていると判断しました。
 次に、27ページ下段、「(2)安全性について」の項を御覧ください。国内臨床試験における主な副作用の発現状況を28ページの表9にまとめています。本剤群で最も高頻度に認められた有害事象である味覚異常については、本剤の有効成分であるレバミピド自体の苦味に起因すると考えられており、現在までに得られている試験結果からは、本剤の忍容性に大きな影響を及ぼす可能性は低いと判断しています。しかしながら、海外臨床試験では悪心等の消化器異常も比較的多く見られており、鼻涙管を通った本剤が悪心等の誘因となっている可能性も否定できないことから、製造販売後調査において引き続き情報を収集する必要があると考えています。
 また、本剤群にのみ特徴的に認められた霧視については、本剤が白色の懸濁液であることに起因すると考えられ、ほとんどは軽度で点眼後早期に回復が認められていることから、現時点では大きな問題はないと考えていますが、10分程度までの持続が認められている症例もあることから、添付文書において点眼後の機械類の操作や自動車等の運転に対する注意喚起等を行うことを予定しており、製造販売後調査においても、さらに情報を収集する必要があると考えています。
 なお、その他の有害事象については、そのほとんどが軽度であり、現時点で大きな懸念はないと考えていますが、臨床試験では検討されていない、コンタクトレンズ装用や併用薬による影響等も含め、使用実態下での安全性及び有効性を製造販売後調査においてさらに検討する必要があると考えています。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請に係る再審査期間は6年、また、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。
 薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、部会に先立ち、清水委員より御質問をいただいています。1回使用型ポリ容器製剤、1本当たり0.35mLであることの記載が添付文書に必要ではないか、との御質問です。現在の添付文書案では、開封後は1回きりの使用とするよう適用上の注意に記載されているところですが、御指摘を踏まえ、1回使用型製剤であることを明記した上で、他の点眼剤の添付文書記載も参考に、適切に改訂されるよう申請者に指示したいと考えています。
 よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。まず、清水先生いかがですか。
○清水委員 今の説明で了解しました。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかに、御意見はございますか。
○佐藤委員 用量の選択について、お伺いしたいと思います。審査報告書の21ページの後期第II相試験では、表3のところでプラセボ群と1%群、2%群とを比較されていて、1%群と2%群は、ほとんど変化量の値が同じという結果になっているのですが、次のページの2段落目に、FCSスコアが高値だった患者さんに絞ると1%と2%で少し差が見られたということが記載されていますが、高値の方たちというのは全体の15%ぐらいの方ですね。しかも、-4.8、-5.9と全体に比べて1%群でもかなり高い治療効果が見られているわけですが、これをもって2%が用量として妥当だと判断した理由はどこにあるのでしょうか。
○機構 確かに、御指摘いただいたとおり、1%と2%で2%の方を選択した理由としては、ここに記載されているような重症度の高い集団でスコアの変化量が大きいということのみの理由なのですが、安全性については1%と2%で特段の違いが見られていないこともありますので、機構としましては、申請者のこのような説明を受け入れるという判断をしています。
○佐藤委員 少し理解ができなかったことがあります。重症の方で1%群の人でも、全体よりはかなり変化量が良いわけですね。-3.5から-4.8になっています。こちらは、どうして1%では駄目だったのですか。しかも、先ほど言いましたように、この重症の方たちというのは全体の15%弱しかいらっしゃらないわけですね。そのほかの85%ぐらいの方たちは、1%でも2%でもほとんど変わらないのに、なぜ2%製剤を選ばれているのかということが疑問なのですが。
○機構 フルオレセインの染色スコアについてはそうなのですが、これに加えて副次評価項目でリサミングリーン染色スコアも検討しておりまして、リサミングリーンの検討については全体集団で1%よりも2%の方が変化量が大きいという結果も併せまして、2%を妥当と判断したということです。
○吉田部会長 要するに、用量依存性が無かったというのが本当のところなのではないでしょうか。何か別のことでも期待したのですか。本来なら、用量反応性が認められるはずですが、認められなかった訳ですから、選択理由が事実に即していないのです。恐らく涙液量の比較的多い患者層が沢山いたので出なかったのだろうと思っているようですが、本当にそのようなことが関係しているのか確かめたわけではないのですね。どうして2%を選択したのか、企業から回答をもらいましょうか。
○審査第四部長 恐らく第II相試験で選択された対象集団で検討したところ、1%と2%での差は無かったけれど、その中でもより重症な部分集団で検討したところ2%でより高い傾向が見られたという理由しかないと思います。その結果を基に申請者は2%を選択して第III相試験が行われたわけですので、その検証結果をもって機構は2%を妥当と判断したということになります。
○吉田部会長 分かりました。
○佐藤委員 その理屈には、おかしなところが二点あると思います。一つは、重症の患者さんの場合、ほかの対象者よりも、スコアの改善がかなり悪く、2%製剤を使うと少しでも良くなるということであれば分かるのですが、重症の患者さんの方が良くなっています。1%製剤を使っても、ほかの患者さんよりも高い有効率を示しているので、何も2%製剤を使う必要はないのではないかということと、後から重症な患者さんだけ層別して解析しているのですが、それぞれ15例ずつのデータになります。ですから、見かけ上1%製剤よりも2%製剤の方が少し良くなっていますが、これが本当にそうなのかということは、恐らく分からないと思います。
○吉田部会長 これは完全に国内だけの試験ですか。
○機構 はい。国内試験です。
○吉田部会長 外国のデータもないのですね。レファレンスできるようなものは何もないのですか。
○機構 現在開発中ですので、用量反応関係について参照可能な海外データはありません。
○事務局 佐藤先生の御意見を確認させていただきたいと思います。これは、確かに御指摘のとおり、後期第II相試験で1%と2%の選択があって、今回の結果では2%を選択して第III相試験を行ったという格好になっていますので、仮に1%が適切であったということになれば、恐らく第III相試験をやり直すというような話になってしまいます。第II相試験で、こちらの方が適切であったというのは、確かに御指摘の議論があるかもしれませんが、積極的に2%が駄目であるという点があれば、先生の御見解を教えていただきたいと思うのですが。
○佐藤委員 2%製剤が駄目であるとは言えないと思います。要するに、用量の選択をどうしてそのように行ったのかという理由がはっきりしていなければ、1%製剤で第III相試験を行っても同じ結果になったかもしれませんね。
○事務局 分かりました。その点で明確になっていないということですので、一度確認させていただいて、先生と部会長に御報告をさせていただき、この経緯は審査報告書のどこかに記載するような形で、その理由が納得いくようでしたら、本剤は2%でも問題無いと思いますので、承認しても差し支えないものとこちらとしては考えています。
○吉田部会長 ありがとうございました。いかがですか。それでは、企業の方からの説明も求めて、部会一時預かりということで対応したいと思います。ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。
 なお、奥田委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、条件付きではありますが、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題4に移ります。議題4について、機構からの概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品イトリゾール内用液1%の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 イトラコナゾール(以下、ITCZ)は、1980年にベルギーのJanssen社で合成されたトリアゾール系抗真菌薬です。ITCZを有効成分として含有する製剤として、カプセル剤(以下、ITCZ-CAP)、内用液、注射剤(以下、ITCZ-IV)の3製剤が開発されております。本邦においては、本剤は2006年7月に口腔咽頭カンジダ症及び食道カンジダ症の効能・効果で承認を取得しております。
 本剤の初回承認申請時に、ITCZ-CAPで承認されている「深在性真菌症」への適応拡大について、またITCZ-IVの承認申請時にも、「深在性真菌症」及び「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(以下、FN)」に対するITCZ-IVから本剤への切替え投与の開発について、機構から助言されたことを踏まえて、今回、国内第III相試験が実施され、「深在性真菌症」及び「FN」の効能・効果の追加が申請されております。また、本剤は、欧州において「好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の効能・効果を取得していること、及び国内ガイドラインでも本剤は真菌感染症予防に推奨されていることを踏まえて、当該効能・効果についても併せて申請されております。
 なお、海外では2011年6月現在、ITCZ-CAPは欧米を始めとする102の国又は地域、本剤は64の国又は地域、ITCZ-IVは24の国又は地域で承認されております。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料17にありますとおり5名の委員を指名し、御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきます。
 有効性については、審査報告書34ページに記載していますように、本剤の各申請適応症に対して、国内第III相試験及び海外第III相試験の成績を中心に確認しました。また、ITCZのほかの剤形における既承認効能・効果を踏まえ、ITCZのほかの剤形と本剤との薬物動態との関係、国内外の臨床試験成績、教科書及びガイドラインにおける記載についても確認しました。その結果、いずれの適応症についても有効性が期待できると判断しました。
 安全性については、審査報告書の41ページに記載しておりますように、国内第III相試験及び海外第III相試験の成績を基に評価を行った結果、胃腸障害、肝機能障害、腎機能障害、心血管系障害及び低カリウム血症については、その発現状況に注意する必要があると考えております。また、その他の事象については、現時点で特段の問題は無いと考えるものの、国内第III相試験で検討された症例数は限られていること、深在性真菌症の予防については、国内臨床試験が実施されていないこと、申請用法・用量である200mg1日1回は、国内の使用実態及び薬物動態に基づく設定ではあるものの、評価資料とされている海外第III相試験や海外ガイドラインにおける推奨用法と必ずしも合致した用法ではないことから、製造販売後に各適応症における安全性の情報収集を行う必要があると考えております。
 機構は、以上のような審査を行った結果、申請された適応症に対する本剤の有効性は示され、また安全性は忍容可能と判断し、審査報告書の2~3ページに記載しました効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。
 なお、本剤の再審査期間は、FNについてはITCZ-IVの残余期間、好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防については、4年とすることが適切であると判断しております。
 薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○菊池委員 感染症を扱う側としては嬉しいことかもしれませんが、ブラストミセス症とヒストプラスマ症も適応菌症の中に入っています。こちらについての検討はできていないということだと思いますが、その辺りの考え方を教えてください。
○機構 ブラストミセス症とヒストプラスマ症についてですが、審査報告書52ページに記載がありますとおり、国内には生息しない真菌により発生する真菌感染症です。要は、海外で感染して発生したケースが主で、今まで国内でも発症症例数としては非常に少ないのです。今までイトリゾールの注射剤においても、ブラストミセス症とヒストプラスマ症は臨床試験で確認されたデータはないのですが、本剤の感受性がこの菌種に対して認められることと、ガイドラインで推奨されていることを踏まえて、注射剤の適用としても含まれています。
 今回、本剤についても同じような観点で、国内に発症症例が少ないことと、ガイドラインで推奨されていること、抗真菌活性が認められていること等の理由から、適応症に含めても差し支えないと考えました。ただし、情報が非常に限られておりますので、今後も引き続き文献等から情報収集をしていきたいと考えております。
○菊池委員 そうだと思いますが、注射剤ではなく、いきなり初期治療に使っても良いという根拠になるのでしょうか。
○機構 添付文書を御確認いただきたいと思いますが、添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意で、基本的にブラストミセスとヒストプラスマ症については、注射剤からの切替えで使用することという旨を注意喚起しております。
○菊池委員 書いてあれば結構です。
○吉田部会長 ほかにありますか。基本的には、剤形の追加という話ですね。適応症もそのまま引き継いでいるということだと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、大槻委員、奥田委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題5に移ります。大槻委員におかれましては議題5の審議の間、別室で御待機いただくこととします。
── 大槻委員退室 ──
○吉田部会長 議題5について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品テラビック錠250mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるテラプレビルは、C型肝炎ウイルスの複製に必須の酵素であるNS3-4Aセリンプロテアーゼを選択的に阻害する新規の抗ウイルス剤です。
 C型慢性肝炎の治療目標はHCVの排除であり、これまで、IFN製剤による治療効果の向上を目指して投与期間の検討やRBVとの併用、さらにはIFN製剤の改良という三つの観点で開発が進められてきました。現在、C型慢性肝炎の標準的治療法として、PEG-IFN及びRBVの2剤併用療法が挙げられるものの、日本人に最も多い難治性のC型慢性肝炎とされるgenotype1型の高ウイルス量患者に対しては、治療効果の指標であるHCV RNA持続陰性化(以下、SVR)率は約50%にとどまっており、十分な治療効果は得られておりません。また、効果不十分例に対しては治療期間の延長が行われているものの、その有効性については十分なエビデンスが得られていないのが現状です。
 このような背景から、申請者はC型慢性肝炎患者の治療における更なる有効性の向上を期待して、本剤の開発を行ったと説明しています。なお、海外では2011年5月に米国で承認されています。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料17にありますとおり、12名の委員を指名し、御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきます。
 有効性について、審査報告書104ページに記載していますように、genotype1かつ高ウイルス量のC型慢性肝炎患者の初回治療例を対象とした国内臨床試験成績において、標準療法のSVR率49.2%に対して、本剤を含む3剤併用療法におけるSVR率は73%との結果が得られ、本剤を含む3剤併用療法の有効性は示されたと判断しました。また、再燃例及び無効例を対象にした国内臨床試験成績からは、3剤併用療法で一定のSVR率が得られていることが確認でき、再燃例及び無効例においても、3剤併用療法の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書108ページに記載していますように、国内臨床試験成績を基に評価を行った結果、本剤とPEG-IFN/RBVの3剤併用療法では、発疹及び薬疹等の皮膚症状、貧血、血液障害、悪心及び嘔吐等の消化器症状等の有害事象が、PEG-IFN/RBVの2剤併用療法と比較して、より高い頻度で認められていることから、注意が必要であると判断しました。
 特に、審査報告書110ページに記載していますように、皮膚症状については2剤併用療法に比べて重症度がより高く、また、重篤な事象も複数例で認められていることから、製造販売後においては、国内臨床試験を参考に重篤な皮膚症状を考慮した慎重な安全管理の対策を行った上で、引き続き情報収集をすることが必要であると判断しました。
 機構は、以上のような審査を行った結果、C型慢性肝炎に対する本剤とPEG-IFN/RBVの3剤併用療法の有効性は認められ、安全性は忍容可能と判断し、審査報告書の3ページに記載しましたように、承認条件を付した上で、効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断しました。
 なお、テラビック錠250mgの再審査期間は、8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、部会に先立ちまして、部会委員の清水委員、佐藤委員から御質問を賜っておりますので、御紹介及び機構の回答をさせていただきます。
 清水委員からは、審査報告書76ページに記載のある、CYP3A4により代謝される併用禁忌薬を投与するためには少なくとも7日間はその投与の中止が必要であると考えられた。また、併用禁忌薬の休薬期間については添付文書の項で注意喚起したいと考えるという記載がありますが、添付文書には該当する記載がないと、この点についてお問合せをいただきました。
 審査報告書では分かりにくい記載になっておりましたことについては、申し訳ありませんでした。御指摘いただいた部分の記載ですが、ここは申請者からの添付文書における記載の提案として、このような提案があったということです。機構としましては、審査チームで検討した結果、中段に記載しましたように、添付文書においてはCYP3A4基質薬を併用禁忌又は併用注意と設定して、注意喚起を行うことが必要であろうと結論づけました。
 一方で、休薬期間7日間の記載につきましては、添付文書での記載内容としてはここまで詳細に記載するのは適当ではないと判断し、その他の資材等で情報提供するので十分ではないかと判断し、このような添付文書の記載になっております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、佐藤委員から御質問を1点賜っております。質問を御紹介しますと、審査報告書115ページの記載として、ALT値、AST値の上昇と共に、グレード3の皮膚症状発現割合が上昇することが述べられています。10~11行目で、「ALT値及びAST値が高値の患者は少なかったため、因果関係は不明である」とのことですが、形式的にALT値又はAST値の上昇に伴って、グレード3の皮膚障害の発現も増えるかどうかについて検定すると、ALT値でP値0.7%、AST値でP値0.5%と、高度に有意な結果となります。この点に関する注意喚起並びに市販後調査での情報収集は必要ないでしょうか、という御質問をいただきました。
 機構としましては、審査報告書に記載した内容と重複しますが、3剤併用群におけるグレード3の皮膚症状の発現には、ALT、ASTが最も関連の強い因子として挙げられておりますが、高値の患者、高い値を示した症例は34例又は25例と少なかったことから、これらの関連性を結論づけることは難しいと判断しておりました。ただ、御指摘いただいたように、ALTやASTと皮膚障害の関係については注目すべき点と考えております。
 一方で、機構としては、現時点で重篤な皮膚症状が予測される背景因子は明確になっていないという判断と共に、先ほど御説明申し上げましたように、非常に重篤な症状も複数例発現していることから、本剤についてはすべての投与例において慎重な皮膚症状の経過観察が必要であると考えております。添付文書の警告欄に記載していますように、本剤の使用に際しては皮膚科医との連携などより慎重に対応すべきと考えており、まずはそちらを重視すべきと考えております。ただ、御指摘いただきましたように、市販後調査においてはALT、ASTと皮膚症状の関連性について、さらなる検討を行うことは意義があるものと考え、患者背景の情報としてALT、ASTを情報収集するように申請者に指示し、情報が得られた段階では詳細な検討をしていきたいと考えております。また、この関係性について、どのように情報提供を行うのかは別途検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。以上です。
○吉田部会長 清水先生、いかがですか。
○清水委員 私自身の考え方としては、添付文書に載せた方が、医療現場では混乱をしなくて良いのではないかと考えます。ただ、臨床上重要なことだと思いますので、情報提供を十分にしていただくように御指導いただければと思います。
○機構 ありがとうございます。先生からも再度御指摘をいただいたことがありますので、もう一度チームで本当にここに記載すべきかどうかを検討したいと思います。
○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。
○佐藤委員 非常に良さそうな薬ですので、是非、適正使用ができるように情報収集をお願いしたいと思います。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○黒木委員 添付文書(案)の8ページの「8.過量投与」の項についてです。過量投与においてQT延長が認められるということで、丁寧に記載をしていただいております。ただ、末尾にありますように、「特に、先天性QT延長症候群の患者や、家族に先天性QT延長症候群や突然死が認められている患者への本剤の使用は可能な限り避けることが望ましい。」との記載がありますと、禁忌ではないけれど、使用上の注意には記載が必要だと思います。是非、使用上の注意に付け加えていただければと思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。当初、機構としましては、本剤については1回750mgを1日3回投与ということで、ここに記載のある過量投与については、1回1,875mgという非常に高い用量を投与した場合にQT延長が報告されているということがありましたので、それ以降に記載している注意喚起については、慎重投与等の項で記載するものではないかと考えておりました。先生の御指摘を踏まえて、今一度慎重投与に記載した方が良いということも十分理解できますので、改めて検討したいと思います。
○菊池委員 食後の3回というのが非常に難しいということは、この中にも書かれているのですが、実際の食事は、治験の時は8時間置きという形で行われ、最終的には食後3回と踏んでいます。普通の人は、朝6時か7時ぐらいに御飯を食べて、昼御飯は12時か1時ぐらいで、夕御飯が6時~8時ぐらいの人が多いわけです。実際上から、PK、PDを考えると、3回が一番良さそうですが、ほかの薬も含めて3回というのは難しいと思うのですが、見解はこれでよろしいのですか。
○機構 確かに、実際使われる立場を考えると、厳密に1日3回、8時間置きというのは非常に難しい部分もあると思いますが、一方で、抗ウイルス剤のところで、一定の血中濃度以上に維持していくというのが、一般的な大まかな考え方としてあって、どこまでずれた場合に許容できるのかは、薬物動態学的に検討しております。基本としては、なるべく8時間置きということを基本ベースで考えていただきたいと思うのですが、併せて、添付文書の薬物動態の項には、どのぐらいずれたらどのぐらいPKに影響するのかを情報提供しつつ、適宜、現場で判断していくというのが現実的なところかと考えております。
○菊池委員 私の専門はHIVのウイルスなので、1日2回飲む薬も1回飲む薬も説明が難しく、恐らくC型肝炎を合併している人が沢山いますので、CYPの薬も使っており、この先どのような使い方をするのか、我々の領域ではすごく問題になると思います。3回のところを2回とする検討をどこかできちんとしていただく等、剤形を変えて2回飲みの方が良い等になると、3回の飲み方は本当に難しく、2回でもなかなか難しいということですので、御検討いただければと思います。世の中の薬は3回になっているものもまだありますが、この先、当局で何か全体的に考えていただく等、そのようなことがあれば良いと思いました。
○機構 確かに、御指摘いただいたような現場のニーズは重要な部分だと思いますので、この薬剤として2回投与の検討はあり得るのかどうか、申請者の方にも検討を促したいと思います。
○吉田部会長 初回治療、未治療例に対する第III相試験で、2剤と3剤の比較で非劣性のデザインになっていますが、普通は優越性の試験になるのではないかと思います。審査報告書の92ページですが、こちらはどのような意味なのかと疑問をもっているのですが、機構では何か分かっていますか。
○機構 試験デザインを非劣性試験とした背景について、簡単に説明します。この第III相試験を計画した当時、国内外でその当時までに得られている臨床試験成績から、本剤を含む3剤併用療法のSVR率は、標準療法、PEG-IFNの2剤併用療法に比べて高いと推測されておりました。また、3剤併用療法では皮膚症状等の重篤な有害事象の発現が予想されていたこともあり、標準療法に対する優越性を検証する試験の計画も可能であったと考えております。ただ、PEG-IFN/RBVの標準療法自体の副作用の発現頻度が非常に高く、投与期間が48週と非常に長い治療期間ということで、患者の身体的、精神的な負担は少なくないと一般的にされております。そのため、今回、治療期間がトータルで24週になるのですが、短縮するということは臨床的に意義があるだろうということです。
○吉田部会長 非劣性であっても、24週になることに意味があるので、このようなデザインにしたということですね。
○機構 はい。そこを重視して、非劣性でも十分意義があると考えております。
○吉田部会長 それだけでも意味があると思ったら、もっと大きな差が出たということですね。分かりました。
○濱口委員 副作用のところで、有害事象の中でも特に本薬の投与中止に至った原因として、貧血が非常に高頻度に起こっているような感触です。また、動物実験の中で長期に投与した場合、骨髄の中の線維化と書いてありますが、ヒトでも同じように貧血がさらに悪化した時、そういったことが起こるということが分かっているのでしょうか。
○機構 質問を確認しますが、ヒトで投与した時に、非臨床で認められている骨髄の線維化が疑われるようなことが、情報としてあるかどうかということでよろしいでしょうか。
○濱口委員 はい。
○機構 特に骨髄の線維化を直接見るようなことは行っていないのですが、貧血の傾向として、本剤の投与を中止すると基本的に回復する傾向がすべての症例で認められていますので、根本的に何かダメージを与えるところまでの副作用ということではないのではないかと、現時点では考えております。
○濱口委員 投与を速やかに止めることによって貧血が回復すると、骨髄が回復できないような状況までは至らないということですが、これを見ると、まず貧血が起こって、それ以外の血球にもかなり影響が出てくることも想定されますので、皮膚での警告と同じような形で、もしできれば、添付文書の中に少し貧血についての項目もあっても良いと思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 貧血につきましては、もともと標準治療とされているPEG-IFNでも高頻度に起こる事象で、もともと2剤併用療法は、ヘモグロビン値の推移や血球の減少によって減量・中止という基準が設定されています。添付文書では、このような減量・中止の目安が記載されていると同時に、副作用の項や重要な基本的注意で、血球系の有害事象については注意喚起しているというのが現状です。
 先生の御指摘を踏まえて、貧血の事象についてもう少し踏み込んだ記載をする必要があるかどうか、もう一度検討したいと思います。
○吉田部会長 この機序は不明なのですね。
○機構 機序については、非臨床で検討が行われているのですが、赤血球に対する直接の作用ではないことは分かっております。推測にはなりますが、細網内皮系における赤血球貪食が亢進したことが原因という特殊なメカニズムが、今のところは非臨床の結果からは推測されているということで、明確には分かっておりません。
○吉田部会長 貪食された結果、更に骨髄が反応して変な作用が起こるということもなく、ただいなくなってしまうということですか。
○機構 そうです。審査報告書51ページにその結果は記載しております。
○吉田部会長 薬を止めると貪食されなくなってしまうので、すぐ回復するということですね。
○機構 そうです。
○吉田部会長 いずれにしても、メカニズムに関して、改めて市販後にも様々なことを調べてほしいということは、注文できるのでしょうか。
○機構 骨髄への影響に関して、イヌで認められたものは血管炎が起こっておりまして、ヒトへの外挿性は不明としておりますが、イヌで認められた骨髄の線維化は、イヌでかなり特意的に起こる特発性多発性動脈炎によって骨髄が線維化してしまい、限局的に壊死してしまったという事象です。したがって、その他の血管炎を伴わないイヌについては、骨髄への影響はそれほど強いものではありませんので、主な原因としては51ページに書きましたように、細網内皮系による赤血球貪食の亢進によるものではないかと申請者は考察しております。
○吉田部会長 いずれにしても、そのようなことで、なかなか追究し切れないけれど、止めれば回復するわけですので、その辺りの使用上の注意に関しては、きっちり書いていただくということで、よろしくお願いします。
○菊池委員 HCV-RNA値は高値の未治療という感じで決めていますが、その高値は中を読むと5.0Logぐらいと書いてあります。これを明確にした方が、現場では混乱しないのではないかと思います。いかがでしょうか。
○機構 先生の御提案として、明確にするというのはどのようなことでしょうか。
○菊池委員 タックマンでもほとんど汎用されているので、タックマンで5.0Log以上と限定した方が、4.8Log若しくは4.7Logならどうするのかということが現場では出てきてしまうと思います。高値というのを3.5Log以上ぐらいにしてほしいと個人的には思いますが、最初は確実な高値ということであれば、5.0Logと限定していただいた方がビシッと使うことができ、世の中には再燃の人が沢山いるはずで、この薬を待望していると思いますので、そこの基準を明確にし、それでも大丈夫であれば、もう少し少なくても良い等、いろいろなことが先々出てくるのではないかと思います。高値というところで迷わないように、きちんと書いていただいた方が良いと思います。
○機構 確認させていただきます。今、添付文書の効能・効果では「高値」としか書いていないのですが、「効能・効果の関連する使用上の注意」で5.0Log以上と書いてありまして、効能・効果で5.0Log以上が高値だということが分かるように限定するということも考えとしてあるのではないか、という御提案でしょうか。
○菊池委員 今日も、最初から効能でいくのか注意書きの部分まで考えるのかということがありましたが、臨床現場ではそこまで皆さん気にしていない部分があるかもしれませんし、保険的で切られる云々のところで、しっかりしているということがはっきりしていると、現場ではすごく良いと思います。高額な治療になり、例えばしばらくしてから違ったということになると、えらい損失になると思いますので、そういったことも含めて、誰もが迷わないようにしていただいた方が良いかと思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。先生のおっしゃる意図は十分理解します。これまでの機構の考え方を御紹介しますが、もともと標準治療であるPEG-IFNについても、高値ということで設定されており、それに準じた記載で行っています。それは、裏を返せば、臨床現場では添付文書に「高値」と書いてあることで一定のコンセンサスが得られて、現場で上手く使っているという状況があるので、これを踏襲することに大きな問題は生じないだろうということで、このような記載でとどめております。先生から御指摘いただきましたので、どこまでしっかり書くことが良いのかどうか、もう一度チームで検討するということでよろしいでしょうか。
○吉田部会長 *を付けて下に書く等いろいろ方法はあると思いますので、よろしくお願いします。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
── 大槻委員入室 ──
○吉田部会長 それでは、議題6に移ります。議題6について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品イラリス皮下注用150mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 審査報告書7ページを御覧ください。本剤の有効成分であるカナキヌマブ(遺伝子組換え)は、ヒトインターロイキン-1β(IL-1β)に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体であり、IL-1βの生物活性を中和する作用を有する生物製剤です。
 本剤の申請効能・効果であるクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)は、生後すぐ又は幼児期より発症し、生涯を通じて多様な炎症症状を繰り返し発症する慢性自己炎症疾患です。CAPSはその臨床症状から、家族性寒冷自己炎症症候群(以下、「FCAS」)、マックル・ウェルズ症候群(以下、「MWS」)及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患(以下、「NOMID」)の三つのフェノタイプに分類されます。一般にFCAS、MWS、NOMIDの順に重症とされ、FCASでは寒冷曝露によって発疹、発熱、関節痛などの比較的持続時間の短い炎症発作を繰り返し症じ、MWSでは寒冷又はストレス刺激などにより数日間持続する種々の炎症症状を繰り返し、最も重症なNOMIDでは、生後間もなくから顕著な皮膚炎や激しい炎症症状が全身の各組織に持続的にかつ繰り返し発現するとされています。
 本疾患は、IL-1βが過剰産生されることで、慢性的な炎症反応や進行性の組織障害が惹起されると考えられていることから、CAPS治療薬としての本剤の開発が行われました。
 海外において、本剤は2011年2月現在、CAPSに係る適応で45か国で承認されています。なお、本邦においては、本剤と同様の抗IL-1β製剤は承認されておりませんが、海外ではIL-1受容体アンタゴニストであるアナキンラと可溶性IL-1受容体製剤であるリロナセプトが承認されております。
 申請に先立ち、本剤のCAPSへの適応は、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において「医療上の必要性が高い」と判断され、厚生労働省から申請者に対して開発要請がなされているほか、国内で確定診断されているCAPSの患者数は30人弱程度と報告されていること等を踏まえて、希少疾病用医薬品としても指定されております。また、本剤の申請時の販売名は「イラリス皮下注用180mg」でしたが、医療過誤防止等の観点から、「イラリス皮下注用150mg」に変更されました。
 本申請の専門委員としては、資料17に記載されております10名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について簡単に説明いたします。審査報告書47ページの下段、「2)MWS患者を対象とした第III相試験」(D2304試験)の項を御覧ください。海外での主要な試験の一つとして、海外MWS患者41例を対象に、本剤の有効性、安全性及び薬物動態を検討するプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。本試験では、まず8週間のパート1において、すべての症例に非盲検で本剤が体重40kg未満の患者には2mg/kg、体重40kg以上の患者には150mgが投与され、パート1において「完全寛解」して「再燃」しなかった患者のみが24週間のパート2に組み込まれ、無作為化二重盲検下で本剤又はプラセボが8週間ごとに投与されました。
 なお、ここで申し上げました「完全寛解」及び「再燃」の定義は、報告書54ページの表18の下段、「改訂後」の段に記載しており、「医師による自己炎症性疾患活動性の総合評価」、皮膚疾患の評価、C-反応性タンパク質(CRP)等の炎症マーカーの値から判定されています。
 48ページの中段の表15に示していますように、本試験の結果として、主要評価項目であるパート2において再燃した被験者の割合は、プラセボ群81.3%に対し、本剤群では0%であり、本剤の投与により有意な再燃率の抑制が認められています。また、その下の段落ですが、副次的評価項目の一つであるパート1に組み込まれた症例のうち、本剤の投与で完全寛解した症例の割合は97.1%でした。
 次に、43ページの下段、「2)日本人CAPS患者を対象とした第III相試験」(D2308試験)の項を御覧ください。日本人CAPS患者19例を対象に、本剤投与時の安全性、有効性及び薬物動態を検討する非盲検非対照試験が実施されています。本剤の用法・用量は、44ページの図1のようなフローチャートに基づき、完全寛解が得られるまで漸増投与を行うこととされ、完全寛解が継続する用量を原則8週間ごとに投与することとされました。その結果、45ページ第2段落から記載しておりますとおり、有効性の主要評価項目である28週までに完全寛解した患者の割合は94.7%であり、本剤投与によりCAPSの疾患活動性、炎症マーカー等の改善が認められています。これらの成績により、機構はCAPSに対する本剤の有効性は示されたものと判断しました。
 次に、61ページの中段、「(5)安全性について」の項を御覧ください。本項では、CAPSを対象とした国内外臨床試験で認められた有害事象、又、類薬であるアナキンラやリロナセプトの情報も参考に、IL-1βの生理活性を抑制することで発現が懸念される有害事象等についてまとめております。CAPSを対象とした国内外臨床試験において、本剤投与中に最も多く認められた有害事象は感染症であり、一部の患者(国内患者2/19例、海外患者では10/169例)では重篤な感染症の発現が認められていること、本剤は免疫機能に影響を及ぼす可能性があることから、感染症の発現は本剤の投与に際し最も留意すべき有害事象であると考えられます。同様に、免疫機能への影響により発現が懸念される悪性腫瘍については、現時点では本剤との関連等は明らかになっていませんが、本剤は幼小児患者に対して長期にわたって使用されると想定されることから、製造販売後調査の中で継続的な情報収集が必要であると考えております。その他、海外臨床試験においてALT、AST上昇等の肝機能障害が散見されていること、好中球減少、高コレステロール血症が類薬でも共通して認められており、抗IL-1製剤のクラスエフェクトの可能性も考えられることから、これらの事象についても、製造販売後調査においてその発現傾向を注視していく必要があると考えております。
 また、73ページの「(1)製造販売後調査等について」ですが、機構は、国内臨床試験で検討された症例数が非常に少ないこと等を踏まえれば、再審査期間又は一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、投与患者全例を対象とした製造販売後調査を実施し、CAPS患者における長期投与時を含む安全性及び有効性プロファイルについて、可能な限り情報を収集する必要があると考えており、申請者からは、73ページ最終段落に記載のような重点調査項目等を設定した観察期間2年間の調査に加え、本剤の投与を継続している症例については、重篤な感染症や悪性腫瘍等の発現並びに聴覚障害、腎機能障害等に係る有効性プロファイルについて、投与開始後5年後までの追跡調査を行うことなどが説明されております。
 以上の審査を踏まえ、74ページ下段ですが、記載のとおり製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は10年、又、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当するものと判断しています。
 薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○庵原委員 投与量について確認します。40kgで小児用量と成人用量と分けているのですが、普通クロスオーバーするところでは、小児用量と成人用量がほぼ一緒になるはずです。これは小児用量が約2分の1になっているのですが、その理由は何かありますか。その根拠を教えていただければと思います。
○機構 二つの点に分けて申し上げます。初期用量における違いという点では、体重40kg以下の場合の用量2mg/kgについては、体重40kg以上の場合の用量150mgと比べて少なくなりますが、低体重の被検者(主に年少小児を想定しています)の安全性を考慮して、より低い用量から開始する方が良いとの考えから、当該用量が40kg未満の患者に対しては初期用量として設定されております。2mg/kg投与開始例においては、150mg投与開始例に比べて増量が必要となる症例が多く認められており、効果又は効果の持続性がやや劣る可能性がありますが、初期用量において効果が不十分な場合には早期の段階で増量が可能となっており、増量に伴い症状の改善が認められているため、漸増による本剤の投与方法においては大きな問題はないものと考えております。
 次に、投与継続中の体重増加時における用量の不連続の点について、御説明します。国内のD2308試験においては、体重の増加によって40kgを超えた場合に用量が切り替わることになっておりますが、体重当たり用量から固定用量への変更例が、コア期(24週まで)では2例、継続投与期(48週まで)は1例認められております。これら三つの症例のうち、二つの症例では最低の体重当たり用量2mg/kgから最低固定用量150mgへの増量が行われました。もう一つの症例では、最高の体重当たり用量8mg/kgから1段階落とした固定用量450mgへの増量となっております。後者の8mg/kgから450mgに変更した用量クラスを1段階落としたことについては、申請者は「それまでの投与量に比べて1回量当たり300mgの増量になることから、ノバルティスファーマ株式会社において検討した結果、1段階下の用量を選択した」と説明されております。なお、当該症例は用量変更後も再燃することなく有効性を維持し、安全性に関しても特に懸念される事象は発現していない旨回答しております。
 D2308試験では、19例中3例において重篤な有害事象が認められましたが、今申し上げた固定用量への増量が行われた症例においては、増量前後を含め、試験期間中を通じて重篤な有害事象の発現は認められておりません。以上のことを含めますと、特に低用量、2mg/kg投与の患者において、体重40kg超への増加時に1回投与量が急激に増量しますが、少数例ではありますが、国内臨床試験成績において認められた症例では、安全性及び有効性上の問題は認められていないため、本剤の通常使用と同じく、副作用等の発現に注意して、本剤を用いる場合には特段の懸念はないものと考えております。
○吉田部会長 しかし、2mg/kgで40kgというと80mgですが、41kgになったらいきなり量が変わるというのでは、少し驚きますね。でも一応、今のところ大きな問題にはらないということですね。40kgというと、何歳ぐらいなのですか。
○庵原委員 小学校6年生ぐらいで、40kgぐらいあります。
○吉田部会長 ほかにありますか。この疾患はとても稀な疾患なので、逆に言うと、どこかに集中しやすいですね。つまり、沢山ある病気の方がフォローアップは難しくなるけれど、とても稀な病気のために施設が選択されやすいということはあるのでしょうか。
○機構 重症なNOMIDにおいては出生まもなくから炎症が持続的に生じますので、疑い症例は国内では三つの施設に集められて、確定診断等が行われていると聞いています。一方で、FCASに関しては寒冷曝露後の皮疹の増悪を契機に判明した事例がありますが、国内で余り症例が報告されておらず、埋もれている可能性もあるのではないかと考えられています。
○吉田部会長 今までの治療だと何歳ぐらいまで生きるのですか。
○機構 平均寿命のデータは持ち合わせておりませんが、適切な治療を行わない場合、NOMIDは出生まもなくからの持続的な炎症症状により、予後は極めて不良です。小児MWSではアミロイドーシスから、腎不全をきたして死亡するとされています。
○吉田部会長 そうすると、臨床試験の結果から見ると、病勢は一応抑えられるので、生存へのインパクトもあるかもしれませんね。
○機構 臨床症状の改善及び進展阻止が期待できると申請者も回答しており、製造販売後調査においては、症状の進行で起こる関節症状や腎臓への影響も観察する予定です。
○吉田部会長 そのような状況のようですが、ほかにありますか。よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、大槻委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題7に移ります。議題7について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題7、資料7「医薬品アバスチン点滴静注用100mg/4mL及び同点滴静注400mg/16mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より説明いたします。
 前回、8月1日に開催された本部会で御審議いただきました、アバスチンについて御説明いたします。お手元に資料7を御用意いただければと思います。
 資料の通しページの2~6ページまでが前回部会で御指摘いただいた点に関して、申請者から提出された回答となっており、7ページ以降が審査報告書となっております。
 申請者から提出された回答に沿って御説明いたします。2ページから御覧いただければと思います。
 前回部会において、本剤の治療上の位置付け、またE2100試験成績について、早期有効中止であることから、過大評価となる方向にバイアスがかかっている可能性があり、その再現性について御指摘をいただいたところです。
 申請者への照会事項の一つ目が「乳癌治療において、本剤がどのような位置付けで用いられているのか」という点です。
 回答の最初の二つのポツに記載されていますが、本剤はHER2陰性の患者及びHER2陽性であって抗HER2療法が不適応の場合に、それぞれの一次化学療法としてパクリタキセルの治療が選択される患者に対する選択肢の一つとされております。
 乳癌治療の現状について、通しページの3ページの表と図を御覧いただければと思います。現在、乳癌の治療はHER2やホルモン受容体の検査結果により治療体系が分かれており、HER2陽性例には、まずは抗HER2療法を適応すると共に、ホルモン受容体陽性例には内分泌療法を適用しております。HER2陰性かつホルモン受容体陰性の、いわゆるトリプルネガティブ乳癌の患者に対しては、化学療法のみが適応であり、選択肢が限られているという状況です。こちらは図でいいますと、一番右端のルートになります。
 また、現行の化学療法については、PFSの中央値が6~7か月前後と、必ずしも十分とは言えないということから、同じく通しページ3ページの一番下に表2がございますが、トリプルネガティブ乳癌でPFSの中央値が10.6か月と示されていますが、新しい治療法の選択肢が期待されているとされております。
 続きまして4ページを御覧ください。二つ目が、E2100試験の試験成績について早期有効中止であることなどから、有効性評価が過大評価となる方向にバイアスがかかっている可能性ということで、再現性の確認の御指摘がありました。
 この点について申請者は、海外で本剤がより有効な患者群を同定する目的でバイオマーカーとの有効性の相関の検討を行うこととしており、更に米国でもE2100試験の再現性に問題があるとする議論を踏まえ、20□年からですが、国際共同臨床試験を実施することを決定しているとのことです。この結果は主要評価項目であるPFSが、20□年、副次的評価項目であるOSは20□年の□に得られる予定とのことです。本試験について、申請者は日本からも参加すべく、海外本社との調整を開始しているという回答をいただいています。また、5ページの一番下にありますが、申請者としてこの試験においてネガティブな結果が得られた場合には、乳癌の効能削除にかかる企業見解を提出すると説明をしております。
 最後になりますが、通しページの6ページにE2100試験における有効性評価が過大評価になる方向にバイアスがかかっている可能性に関する見解について、申請書の回答の記載があります。基本的には早期有効中止によるバイアスの可能性を完全に否定することはできないという回答ですが、早期有効中止から得られた推定値におけるバイアスはごくわずかであるというような報告があることや、臨床試験の実施主体であるECOGと独立評価委員会で評価されたPFSの成績が類似していることなどを挙げ、結果の解釈に重大な影響を及ぼすものではなかったのではないかと考えるという説明がされています。以上が、申請者からの照会回答の概要です。
 こちらの資料の通しページの57~58ページにかけまして、審査報告書の中で、本薬の有効性と臨床的意義についてまとめた部分があります。本剤をドセタキセルなどの他の薬剤と併用した場合と、パクリタキセルと併用した場合では有用性が異なるという立場も取り得るのではないかと考えています。補足になりますが、EUにおいても同様の試験成績を評価した結果、ドセタキセルとの併用は承認が維持されなかったものの、パクリタキセルとの併用の承認は維持されているという状況です。
 事務局としては転移・再発乳癌の化学療法については、新しい治療薬を提供する必要性は高く、E2100試験の再現性については、市販後に国際共同臨床試験で確認してまいりたいと考えております。
 本日はこれらを踏まえまして、再度アバスチンの承認の可否について御審議いただければと思います。
 なお、前回部会において、佐藤委員から御指摘がありましたE2100試験の早期有効中止に関する記載が審査報告書になかった点については、追って審査報告書を修正させていただきます。説明は以上になります。
○吉田部会長 佐藤先生からアバスチンについてコメントをいただいています。これは以前のものですか。
○事務局 資料19の当日配付の資料ですが、佐藤委員から資料7を受けて御質問をいただいています。
○佐藤委員 よろしければ私から説明をさせていただいて、よろしいでしょうか。
○吉田部会長 どうぞ。
○佐藤委員 今回の申請者からの回答でだいぶ分かったと思います。ありがとうございます。前回私が申し上げましたのは、E2100試験の結果が少し良すぎるのではないかということです。それに基づいて有効性を判断して、承認するのはいかがかということだったのですが、それに加えまして、できれば承認前に国内での比較臨床試験を追加して実施してほしいということか、あるいはもう少し対象を絞って、ほかの選択肢がないのでこの治療を是非使いたいというようなロジックにできないかということをお願いしたわけです。
 今回、回答いただいた中で、まず最初に問題となったE2100試験のバイアスについて6ページに回答があるのですが、これはE2100試験についてのものではなくて、一般的な統計学的な回答であって、確かに平均的にはこういうバイアスが起こる可能性は少ないかもしれませんが、E2100試験の場合には、その後に実施されたAVADO試験ですとかRIBBON1試験では、アバスチンの上乗せの再現性が見られていなかったということについての回答にはなっていないと思います。どうしてパクリタキセルとの併用だけが、相互作用があっても良いのかどうかということについてのメカニズムが全く分かっていませんので、この回答では少し納得し難いものがあると思います。
 ただ、追加の臨床試験を行ってほしいということに関しては、その前の4~5ページのところで、EMAから要求されているバイオマーカーを調べるための国際共同試験に参加するということが述べられています。十分な検出力を確保するために、国際共同治験に参加することは十分に理解できますし、国際共同試験に参加する以上、承認前にすべて実施しなさいということは無理だということも十分理解できました。ただ、国内の患者さんの予定数が□名というように書かれているのですが、もともと国内で実施されたJO19901試験が、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 もう一つお願いしたいのは、日本人の参加者については、国際共同治験ですが、できるだけ早く結果をまとめていただいて、機構なり、厚生労働省なり、部会なりに報告していただくようにお願いできればと思います。
 次の点ですが、「本薬の位置付けについて」という2ページと3ページに申請者からの回答があるところですが、申請者の回答では転移・再発乳癌の一次化学療法として、パクリタキセルが選択される患者に使用するのだと書かれていますが、これも分からないわけではないのですが、ただ、パクリタキセルが選択される患者と書かれてしまうと、アバスチンとの併用を行いたいがために、パクリタキセルを選ぶのだということにもなってしまいますので、それは少し不適切使用につながるのではないかと思っています。このように言いますのも、E2100試験の結果がもし本当だとしても、これはパクリタキセル単独と、パクリタキセル、アバスチン併用との結果で、ほかの抗癌剤をコントロールとして比較した試験ではありませんので、あくまでもパクリタキセルが最善の選択となる患者さんに対して、アバスチンが併用できるのだというような対象者の選択にしていただければ、承認しても良いのではないかと思いました。
○吉田部会長 その言い分は大事だと思いますので、注意書きのところにしっかり書いておいていただきたいと思います。
 私もコメントがあります。佐藤先生の発言から様々なデータをいただきました。今の新しいデータの表2を見ると、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□トリプルネガティブでパクリタキセル単剤は5.3か月、アバスチンを入れると10.6か月とかなり上乗せしています。恐らく乳癌の場合は、ここにもありますが、ホルモン感受性の問題やHER2発現の問題があって、治療方針が複雑になってしまいます。しかし、今回の試験をもしトリプルネガティブ例だけを対象にしていたら、CapeでもDTXでも差が出たかもしれません。
 また、トリプルネガティブ例は、予後がきわめて悪く、各群の足を引っ張る可能性がありますので、その割合の違いによって、差が微妙に動いた可能性もあります。乳癌の場合、広い適応で売ろうという会社側の意図もあるので、できるだけ対象は限定したくなかったのでしょうが、トリプルネガティブ例は抗癌剤しか効かないし、抗癌剤が唯一の治療法だとすれば、そちらにターゲットを向けるべきだったろうと私は思いました。
 いずれにしても、次の新しい資料の4ページの下になお書きで、「万が一、主要評価項目のPFSにおいて有意差が認められなかった場合、並びに、有意差は認められたものの差が小さく生存期間の延長に寄与しない懸念が認められた場合には、乳癌効能の削除に係る企業見解を提出する」と言っていますので、相当の覚悟を示されているのだろうと思います。ですから、このような覚悟で行うのであれば、外国でも一応承認されている現状もあり、もしベネフィットがなければ、できるだけ早く否定するということですので、私もこれだったら受け入れられるのではないかと思います。
 ただ、企業にはトリプルネガティブをきちんと層別した方が良いのではないかという気はしますので、その辺もコメントとして付け加えたいと思いました。
 他にいかがでしょうか。よろしいですか。そのようなことで、前回の宿題であった議題7については承認としたいのですが。
○機構 佐藤委員より御指摘いただいた点について、機構から少し回答をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○吉田部会長 はい、どうぞ。
○機構 まず、国際共同試験への日本人参加者数を増やすべきだという御指摘がありました。それに関して、申請者としては今回の試験プロトコールにおいて□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□先生からいただいた御意見を踏まえまして、今後、企業に検討するよう伝えたいと思います。
 次に日本人部分について追跡期間終了後に全体の解析を待たずに別途取りまとめて、報告すべきとの御意見、御指摘ですが、これについては、国際共同治験として一義的に試験全体における結果を得ることを目的にしていることから、実際にデータの出揃う時期によるとは思いますが、日本人のみの解析を全体の結果に先だち実施することは難しい側面もあると、機構としては考えております。しかしながら、今般の状況や本日の御指摘を踏まえまして、日本人成績に関しては可能な限り速やかな結果の提出に努めるよう、企業に検討を要請したいと考えております。
 最後になりますが、パクリタキセルの使用が最善と判断される患者さんについてのみ、本剤の併用が可能になるようにしていただきたいという御指摘がありました。これについては、まず、患者の背景情報等に関して、添付文書の臨床成績の項の内容を熟知していただくことが重要と考え、効能・効果に関連する使用上の注意に、適応患者の選択を行う上で注意喚起を記載することとしておりますが、注意喚起する内容をより分かりやすくするために、その中にHER2の発現状況等に関する記載を明記すると共に、患者選択に当たっての注意事項について医療現場への情報提供も指示しているところであり、御指摘の点が医療現場に周知されるよう企業に指導したいと考えております。
○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題8、資料8「ruxolitinibを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局から説明いたします。
 資料8を御用意いただければと思います。5枚目以降に機構の事前評価の報告書が綴じられておりますので、こちらの事前評価報告書で御説明をさせていただきます。
 医薬品の名称はruxolitinib、予定される効能・効果は「骨髄線維症」です。「1.対象患者数について」ですが、厚生労働省の研究班によるアンケート調査によりますと、国内の有病者数については新規発症者数が年間60~70名と推測されています。また、別途実施されたアンケート調査によりますと、国内の推定有病者数は480人と報告されています。さらに二次性のものも加えますと、約1,500名程度と推定されているということから、本項における患者数は1,500人程度と推定され、指定要件の5万人未満を満たしているものと考えています。
 続きまして、「2.医療上の必要性について」です。骨髄線維症に対して治癒が期待される唯一の治療法は、同種造血幹細胞移植です。一方で適応とならない患者に対するアンドロゲン製剤、抗癌剤などの既存の治療は、貧血や脾腫等に起因する様々な症状の緩和を主な目的としたものであり、国内で「骨髄線維症」を効能に持つ薬剤は、貧血に対する対症療法として使用される製剤のみであり、治療の選択肢は極めて限られている状況です。
 本剤ですが、チロシンキナーゼであるJAK1、JAK2等に対する阻害作用を有する薬剤ということで、骨髄線維症の発症に深く関与している分子を標的とする治療薬であって、新たな治療の選択肢を増やすものとして、医療上の必要性は高いと考えています。
 最後、「3.開発の可能性について」です。二次性の骨髄線維症患者を対象とした海外第I/II相試験が実施され、本剤投与による脾腫の縮小や全身症状の改善が認められています。
 当該試験成績を踏まえまして、米国など第III相試験が開始されています。国内においても国際共同第II相試験が2011年、第3四半期から開始される予定であるということで、開発の可能性があると判断しております。
 以上から、本剤に関して指定基準に該当し、オーファンをして差し支えないと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。オーファンの指定に関しては、病気の質と患者さんの数と将来の開発の可能性という3点が常に問題になるわけですが、人数的にも重症度からも、一応欧米で第III相試験が、日本ではアジアの第II相試験が計画中であるということなので、特に問題はなさそうに思いますが、よろしいでしょうか。
○山本委員 他のキナーゼに対する抑制はどうでしょうか。JAK2だけでしょうか。
○事務局 もう一度お願いします。
○山本委員 このようなキナーゼの阻害薬というのは、特異性が非常に難しく、例えばJAK1やJAK3が阻害されてしまうと、副作用がかなり出てきてしまうので、もちろん重要な薬だとは思うのですが、その辺については、どのくらい押さえられているかの確認だけお願いします。
○事務局 すみません。添付資料と書いてある資料の12ページに、JAKのサブタイプにおけるIC50の値を示しております。説明しますと、JAK1に対して真ん中だけ申し上げますと、1.68、JAK2に対して0.35、JAK3に対して4.75、TYK2に対して2.8というような状況でして、JAK2を最も強力に阻害したという状況です。
○吉田部会長 それぞれ少しは阻害するのですね。
○事務局 薬物の特性としてはそのようです。
○吉田部会長 山本先生、首を傾げていらっしゃいますが。
○山本委員 仕方ないのでしょうけどね。
○吉田部会長 その辺は副作用が出てくるかどうかということですね。
○山本委員 そのため、重要な薬だと思うのですが、ほかのキナーゼを阻害して、患者さんにとって非常にデメリットとなってしまうとまずいので、その辺については一応押さえておいた方が良いと思います。患者さんにとっては、とても重要なので、行った方が良いと思います。しかし、ほかのJAKをかなり抑えるとなると、免疫を強く抑えてしまうので、その辺だけは、少し特異性が弱いように思います。
○事務局 御意見をいただき、ありがとうございました。承認申請の際には、きちんと有効性、安全性を確認させていただきたいと思います。
○吉田部会長 今のコメントは大事だと思います。そのため、JAK2だけではなく、多少非特異性もあるので、副作用のプロファイルに気を付けてほしいということをコメントとして残しておいてください。ほかによろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、大槻委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題9に移ります。議題9について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題9、資料9「オファツムマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局から説明いたします。
 資料9ですが、先ほどと同様、5枚めくっていただき医薬品医療機器総合機構の事前評価の報告書が綴じられていますので、こちらで御説明をさせていただきます。
 医薬品の名称はオファツムマブで、予定される効能・効果は「慢性リンパ性白血病」です。
 まず、「1.対象患者数について」ですが、対象疾患は慢性リンパ性白血病で成熟リンパ球の増殖をきたすものということで、平成20年の厚生労働省の統計調査では約2,000人と推計されています。なお、当調査で別に集計されている「ホジキン病」等の総患者数の推計から加味しても、約3,000人と推計されます。以上から、本邦における対象患者数は、指定要件の対象患者数5万人未満であり、指定要件は満たしていると考えています。
 続きまして、「2.医療上の必要性について」です。現時点で延命効果が検証された治療薬がないことから、新たな治療法の開発が望まれている状況です。国内ではフルダラビン、シクロホスファミド等が慢性リンパ性白血病の適応を有しているものの、海外に比べて選択肢が限定されているのが現状です。フルダラビン及びAlemtuzumabに抵抗性またはフルダラビンに抵抗性かつAlemtuzumab不適応の患者を対象とした、海外第III相非対照試験において、奏効率51%という結果が得られています。以上から本薬は、医療上特に必要性が高い薬剤と考えております。
 「3.開発の可能性について」ですが、海外では再発又は難治性の慢性リンパ性白血病の患者を対象とした第III相試験が計4試験実施中であり、また未治療の患者を対象とした第III相試験が実施中です。国内では□□□□□□を対象とした第I相試験が計画中といった状況で、本剤の開発の可能性はあると判断しております。
 以上の評価結果を踏まえまして、本品、希少疾病用医薬品の指定基準に該当し、指定して差し支えないのではないかと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。開発の可能性はもう相当動いているように見えるのですが、海外で第III相試験が4試験実施中なのですね。
○事務局 はい。「3.開発の可能性について」のところで記載がありますが、非盲検ランダム化並行群間比較試験等が4試験実施中ということです。
○吉田部会長 そうすると、もう□□□□□□□□□□□□□□してくるということは、□□□□□□□ということでもないのですか。
○事務局 資料のタブ「エ」の6ページに、図2「国内におけるCLL開発計画」というのがありますが、□□□□□□に関しては、□□□□□□□□□□□かと思いますが、□□□に関しては□□□□□□□□□□□□□と思います。
○吉田部会長 ということで、オーファンの指定をしておく意味があるということなのだと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見がないようですので、議決に入ります。
 なお、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題10、資料10「ヘミンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
 医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、資料10の事前評価報告書を御覧いただければと思います。事前評価報告書に沿いまして、指定要件であります対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性について御説明いたします。なお本剤に予定される効能・効果は「急性ポルフィリン症の発作」で、申請者はシミック株式会社です。
 まず「1.対象患者数について」です。ポルフィリン症患者に関する論文の調査結果では、1920年~2002年までの間に、本邦において急性ポルフィリン症と診断された患者数は330人とされています。このため、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たすということで判断させていただいています。
 「2.医療上の必要性について」です。急性ポルフィリン症は、酵素の遺伝子異常によるヘム合成経路中間生成物の体内への蓄積を病因とする先天性の代謝異常症で、発作時の臨床症状として腹部症状、神経症状等の様々な症状が認められ、適切な治療が施されなければ死に至る可能性もある重篤な疾患です。急性ポルフィリン症患者の発作時の治療としては、麻薬性鎮痛剤等の投与が行われていますが、疼痛以外の臨床症状への効果は期待できません。また、適応外使用としてブドウ糖輸液の大量投与が行われていますが、こちらについても重度の発作に対してはほとんど有効性が示されていません。一方、本剤については、海外で実施された複数の臨床試験において、重度の発作に伴う臨床症状が消失したこと等が示されており、本剤の医療上の必要性は高いと判断しています。
 「3.開発の可能性について」です。2010年5月時点で、欧州等29か国で本剤が承認されており、本邦においても現在第II相臨床試験等が実施中で、開発の可能性はあると判断しています。なお、未承認薬使用問題検討会議においても、早期に国内開発が開始されるべきとの検討結果が示され、開発支援品目とされたものです。
 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。これもとても稀な疾患ですが、未承認薬使用問題検討会議でも後押ししているようですし、臨床試験の計画もしっかりあるということですので、特段の問題はなさそうに思いますが、よろしいですか。
 それでは議決に入りたいと思います。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題11に移ります。議題11について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題11、資料11「BIBF 1120を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
 資料は2ページほどおめくりいただきまして、医薬品医療機器総合機構がレポートを取りまとめていますので、これに沿って御説明いたします。
 本剤の予定される効能・効果は「特発性肺線維症」です。申請者は日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社です。
 まず、「1.対象患者数について」ですが、2003年~2007年に新たに受理されました臨床調査個人票を用いて実施されました北海道での疫学調査から推定しますと、約1万5,000人程度と推定され、指定要件である5万人未満を満たすものと判断しています。
 次に、「2.医療上の必要性について」です。特発性肺線維症は原因は不明ながら、線維化病変形成による肺の硬化によって機能障害が引き起こされることが明らかになっています。予後は極めて悪く、5年生存率は50%以下とされています。本疾患に対する治療方法としては、ステロイドと免疫抑制剤の併用療法が一般的に行われており、また、2008年にはピルフェニドンが承認されましたが、効果は限定的であることなどから、有効な治療法は限られている状況です。
 本剤は低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、細胞増殖因子を抑制し、線維化を抑えると考えられています。海外の第II相試験においてプラセボ群に対して努力肺活量の減少を抑制することが示唆されており、今後、本剤の有効性及び安全性が検証されれば、医療上の必要性はあると判断しています。
 最後に、「3.開発の可能性について」ですが、国内においても□□□月から第III相国際共同試験が実施中で、開発の可能性はあると考えています。
 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少疾病用医療薬品としての要件を満たすものと考えています。御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。これも、先ほどの話ではないのですが、タイロシカイネースインヒビターで、ターゲットが沢山あるとなると、各所で作用しますので有害事象として何が起こるか分からないというようなこともあるのではないかと思いますが、そのような危険性はいかがでしょうか、山本先生どうぞ。
○山本委員 キナーゼインヒビターは、いつもあるのではないでしょうか。しかし、また逆に少しスペースシスティが強すぎると効かないということもあるので、それはそれで仕方がないと思います。
○事務局 御指摘の点は非常に重要だと思いますので、今後、治験が終了して仮に申請されれば、その辺はきちんと審査をして、安全性も確認していきたいと考えています。
○吉田部会長 ほかにございますか。疾病の頻度、重症度、開発のステップということで、3点とも特に問題はないと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、報告事項について、説明をお願いします。報告事項の1~4まで通しでお願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料12「医薬品ベルケイド注射用3mgの製造販売承認事項一部変更承認について」事務局より報告いたします。
 資料12です。ベルケイド注射用3mgは、癌細胞のプロテアソーム活性を阻害することにより、NF-κBの活性化の抑制等を介して腫瘍増殖を抑制し、アポトーシスを誘導すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。現在は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果で承認されています。今般、ヤンセンファーマ株式会社から「多発性骨髄腫」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、ベルケイド注射用3mgを承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題2、資料13「医薬品プレドニン錠5mg、プレドニゾロン錠1mg(旭化成)、同錠5mg(旭化成)、プレドニゾロン錠「タケダ」5mg及び同散「タケダ」1%の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
 資料13を御覧ください。当該薬剤は、合成副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロンを有効成分とし、現在様々な疾患領域の効能・効果にて承認されています。今般、塩野義製薬株式会社、旭化成ファーマ株式会社及び武田薬品工業株式会社から、「多発性骨髄腫」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がそれぞれなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、当該薬剤を承認して差し支えないと判断しました。
 報告事項議題3、資料14-1、14-2「医療用医薬品の承認条件の解除について(ベルケイド注射用3mg)、(アービタックス注射液100mg)」報告いたします。
 資料14-1に基づき御説明させていただきます。ベルケイド注射用3mgです。平成18年10月20日に既存の「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として承認されていますが、その際、承認条件として全例調査が付されているものです。今般、この承認条件に関しまして、ヤンセンファーマ株式会社よりデータが提出され、機構による審査が終わりましたので、御報告させていただきます。
 資料14-1の審査報告書の3ページ、「1)調査結果の概要」を御覧ください。解析目標症例数は□□例、観察期間は3年間とされ、結果として1,047例が登録されています。「1.患者背景」についてですが、安全性解析対象とされている1,010例について、男性で□□例、女性は□□例、投与開始時の年齢中央値は□□歳ということでした。
 3ページ目の下の段落から「2.安全性」についてです。安全性解析対象症例の1,010例のうち、副作用が発現した症例が966例であり、そのうち241例で重篤な副作用が認められています。また、死亡例は□例が報告され、そのうち本剤と因果関係が否定できない死亡例は□例ということです。
 本剤に特徴的な副作用についてですが、4ページに発現状況の表をお示ししています。急性肺障害・間質性肺炎については、承認審査時点と比べて特段問題となるような傾向は見られず、さらなる注意喚起等の特別な措置は必要ないとされています。本剤に特徴的な副作用以外の事象のうち、帯状疱疹については発現率は高かったが、ほとんどは軽快、回復ということで、添付文書において既に注意喚起されていることから、さらなる注意喚起は必要ないとされています。
 「3.有効性」については5ページの中ほどからですが、承認審査で検討された臨床成績の結果と大きく異なるものではありませんでした。
 以上のことから提出資料の審査の結果、承認条件である製造販売後調査が適切に実施されていること、安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていると判断し、承認条件の内容については確認できたものと考えています。ベルケイドについては以上です。
 続いて、資料14-2を御覧いただければと思います。アービタックス注射液100mgですが、平成20年7月16日に「結腸・直腸癌」を効能・効果として承認されています。その際、承認条件として全例調査が付されています。今般はこの承認条件に関して、メルクセローノ株式会社からデータが提出され、審査が終わりましたので御報告させていただきます。
 審査報告書の2ページの「1)調査結果の概要」です。解析目標症例数は1,800例、観察期間は「目標とする症例のうち90%以上の症例における投与が終了する期間」とされ、結果として2,160例が登録されています。「患者背景」についてですが、安全性評価対象とされている2,006例について、男性が1,234例、女性772例で、投与開始時の年齢中央値は64歳でした。
 3ページからは、「2.安全性」についてです。安全性解析対象とされた2,006例のうち、副作用が発現した症例が1,797例であり、そのうち277例で重篤な副作用が認められています。また、死亡例は780例報告され、そのうち因果関係が否定できない死亡例は22例ということでした。
 「本剤の使用にあたって特に注意を要する事象」についてですが、4ページに発現状況の表を示しています。本調査で認められた心不全及び重度な下痢については、平成22年3月に添付文書の改訂が行われ、注意喚起されています。また、間質性肺炎疾患は既に添付文書で注意喚起を行っており、現時点で新たな注意喚起は不要と考えるが、資材等を用いて情報提供は必要とされています。
 「3.有効性」については5ページに表を示していますが、承認審査で検討された臨床試験の結果と大きく異なるものではありませんでした。
 以上から提出資料の審査の結果、承認条件である製造販売後調査が適切に実施されていること、安全性及び有効性に係る情報が収集されていることなどから、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていると判断して、承認条件の内容については確認できたものと考えています。
 報告事項議題4、資料15-1、15-2、15-3「医療用医薬品の再審査結果について(ラミブジン)、(インターフェロン アルファ(NAMALWA))、(フェキソフェナジン塩酸塩)」事務局より報告いたします。
 これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。資料15-1、一般的名称はラミブジン、販売名はゼフィックス錠100のもの。資料15-2は、一般名称はインターフェロンアルファ(NAMALWA)、販売名はスミフェロン注バイアル300万IU、スミフェロン注DS300万IUのもの。資料15-3は、一般名称はフェキソフェナジン塩酸塩、販売名はアレグラ錠60mg、アレグラ錠30mgのものです。これらの品目について製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験の成績等に基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。
○吉田部会長 ありがとうございました。議題1がベルケイドの多発腫の適応の追加、2番目のプレゾニンは多発性骨髄腫の治療のためにメルファラントを併用するための適応拡大、議題3が市販後調査の完了に伴う承認条件の解除、議題4が再審査の申請ということです。委員の先生方からの御意見をお願いしたいと思います。よろしいですか。
 私から1点ございます。アービタックスのことなのですが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□という話は今どうなっていますか。
○事務局 御説明させていただきます。その点については、申請者からデータが出てきてから、こちらの方で検討することになると思います。御指摘の点については、企業にお伝えさせていただきます。
○吉田部会長 分かりました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、10月31日(月)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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