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2011年8月10日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年8月10日(水)


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

出席委員(20名):五十音順 敬省略

○荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 今 井 聡 美、◎笠 貫   宏、

 川 上 正 舒、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、

 鈴 木 邦 彦、 高 橋 好 文、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、

 千 葉 敏 雄、 寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、 西 田 幸 二、

 菱 田 和 己、 松 岡 厚 子、 村 上 輝 夫、 桃 井 保 子

(注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人2名

欠席委員(3名):五十音順 敬省略

 石 井 明 子、 木 村   剛、 倉 根 一 郎

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 浅 沼 一 成 (医療機器審査管理室長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 丸 山   浩 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 重 藤 和 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、ただ今から医療機器・体外診断薬部会を開会いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただき、ありがとうございます。 まず始めに、7月29日付の人事異動により、医療機器審査管理室長に就任いたしましたので、一言御挨拶申し上げます。
 私、浅沼が医療機器審査管理室長を拝命しました。前任の関野に引き続きどうぞよろしくお願いします。また、PMDAでは規格基準部長に鹿野が就任されましたので御紹介します。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、委員の出欠状況について、御報告いたします。
 本日は、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、20名の御出席をいただく予定です。2名がまだお見えになっていませんが、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明いたします。
 平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会総会決議に基づき、議題1につきましては、会議を公開で行い、議題2以降については、医療機器の承認審査に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。 御協力のほどよろしくお願いします。
 それでは、以後の進行について、笠貫部会長、よろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 それでは、まず最初に、事務局より配付資料の確認をお願いします。
○医療機器審査管理室長 公開事案のみについて、私から確認させていただきます。資料1-1「医療機器の認証基準案について」、資料1-2「医療機器の認証基準案に係る基本要件チェックリスト案について」、参考資料1-1「医療機器の認証基準に関する基本的考え方について」、参考資料1-2「認証基準において引用するJIS」の四つの資料が机上に配付されています。不足分がありましたら事務局にお申出ください。以上です。
○笠貫部会長 資料はお揃いでしょうか。よろしければ、これより議題1に入ります。議題1「医療機器の認証基準案について」事務局より説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料1-1、1-2、参考資料1-1、1-2「医療機器の認証基準案について」事務局より説明いたします。
 初めに参考資料1-1について説明します。認証基準については、平成17年の改正薬事法の施行により、第三者認証の制度を導入させていただいています。現在我が国には、第三者認証機関が13機関あります。厚生労働大臣が基準を定めた管理医療機器については、第三者認証機関がその基準に基づいて適合性の評価を行い、認証する形をとっています。また、平成23年度中には、第三者認証機関において原則すべての管理医療機器を指定管理医療機器へ移行する完全認証移行に向けた取組を行っているところです。現在までに1,789品目の一般的名称のうち、1,292品目、基準数で言うと768基準が策定され、全体の約72.2%を指定管理医療機器としてカバーする状況にあります。
 続いて資料1-1を御覧ください。本日、先生方に御報告させていただく認証基準については、制定が資料1-1の「1.バリウム注腸用造影剤注入・排泄キット認証基準(案)」~4.までの4件、改正が「5.直腸用チューブ等認証基準(案)」~9.までの5件、セット・キット制定が「10.上気道用気管切開キット認証基準(案)」~17.までの8件となります。セット・キットは新たに提案する基準の考え方で、既に個々の認証基準を持つ医療機器を構成品として組み合わせたものについて当該セット・キット製品の使用目的、効能・効果を定めた基準として策定したものとなります。
 また、セット・キット基準は新たに制定する取扱いとさせていただきますが、基準の告示に引用される日本工業規格は明記されず、申請する指定管理医療機器のすべての構成品の日本工業規格が該当します。以上、本日御報告させていたたく基準に関しては、パブリック・コメントの手続きを経て発出させていただく予定となっています。内容については、医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。
○機構 医薬品医療機器総合機構から説明します。資料1-1を御覧ください。先生方に今回御報告する認証基準(案)は、まったく新規に制定するものと、既認証基準に関するものとに分かれます。既認証基準に関するものとしては、既認証基準の内容を変更する改正基準と先ほど事務局より御提案いただいた新たな基準の策定の考え方に基づき策定したセット・キットの新規基準の2種類になっています。1.~4.までが新規制定認証基準、5.~9.までが改正認証基準、10.~17.がセット・キットの考え方で策定した新規制定認証基準となっています。
 新規制定承認基準について説明します。1ページの「1.バリウム注腸用造影剤注入・排泄キット認証基準(案)」を御覧ください。認証基準の告示内容は左の表に書いてある「一般的名称」、「引用JIS」、「使用目的、効能又は効果」から構成され、記載は表のとおりとなっています。告示引用JISは安全性にかかわるJISを引用しておりまして、性能については告示とは別に通知として発出予定の基本要件適合性チェックリストの第6条に技術要求評価項目を規定して既存品との実質同等性を示すこととしています。また、一般的名称の定義を合わせて見直ししており、実態に整合させるようにしました。以下同様に2.~4.までの新規制定認証基準を制定しています。
 次に5.~9.までの改正認証基準について説明します。6ページの「5.直腸用チューブ等認証基準(案)」を御覧ください。この認証基準は、類似機器の名称を追加統合し、既存の認証基準を見直したものです。下段に示す一般的名称の定義のとおり、直腸用カテーテルは、直腸用チューブと定義が類似し、実質的に同じ製品であり、医療機器としての要求事項も変わらないと判断できたため、直腸用チューブ等認証基準に直腸用カテーテルを追加することとしました。これに伴い、使用目的、効能又は効果と一般的名称の定義の見直しを合わせて実施し、実態に整合させるようにしました。追加する医療機器の名称は、上段の医療機器の名称の欄の改正案の5.として記載しています。以下6.~9.までの認証基準案も同様に類似医療機器の名称を追加して既存の認証基準に統合するものです。6.、7.では使用目的、効能又は効果、8.では使用目的、効能又は効果と一般的名称の定義、9.では一般的名称の定義を改正案の記載のとおり変更します。
 10.~17.のセット・キット認証基準について説明します。18ページの「10.上気道用気管切開キット認証基準(案)」を御覧ください。先般より御説明していますが、既に個々の認証基準を持つ医療機器を構成品として組み合わせ、新たにセット・キットとしての使用目的、効能又は効果を定め、認証基準として制定するものです。従来の組合せ医療機器と同じ考え方に基づいています。なお、告示引用JISは「※1」で示したようにセット・キット認証基準に包含する個々の指定医療機器の告示JISをすべて網羅することとしています。以下11.~17.までの基準は同様にセット・キット製品の使用目的、効能又は効果を定めた基準として策定したものです。
 また、一般的名称の定義を合わせて見直しし、実態に整合させるようにしました。10.、11.、13.、14.、16.の基準の一般的名称の定義を改正案の記載のとおり変更します。
 資料1-2を御覧ください。資料1-2は4件の新規制定認証基準と5件の改正認証基準に対して策定した基本要件適合性チェックリスト(案)です。セット・キット認証基準は、個々の基本要件適合性チェックリストが既に規定されていますので、そのまま利用できるため、新たに策定することはしていません。説明は以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の皆様から、御意見・御質問等はございますでしょうか。今回、新たにセット・キットの基本的な考え方による新規認証基準が出されていますが、セット・キットにしたことが新しさで、基本的な考え方としては、完全な新規ではないと思うのですが、この点に関して御質問はありませんか。
○千葉委員 今、御説明いただいた資料1-1の中で心臓内の「モジュール」、あるいは「オキシメータ」という言葉がありますね。「心臓内」という言葉を聞くと、非観血ではなく観血ではないかという印象を持ってしまう方もおられるかと思います。もう一つは、説明を聞けば、確かにこれは非観血だと思いますが、改正案の中で血管内に入れたカテーテルでそれを使う際に用いられるとアンダーラインを引いている説明の文章があります。14ページの一番下にある心臓内オキシメータです。もう1回申し上げますが、「心臓内」という表現だと「非観血」という言葉に対して、違った印象を持つ方がおられるのではないかと思います。もう1点は、16ページの一番下の改正案の中で「カテーテルを挿入して測定を行う「際に用いられる」という言葉に、アンダーラインが引かれていますね。この言葉も、若干曖昧ではないかという気がしました。例えば、「カテーテルに接続して」あるいは「プラグインして」という言葉の方が、恐らく実態をより反映するのではないかという印象を持ったのですが、いかがでしょうか。私は、カテーテルの専門家ではありませんが、この辺は笠貫先生が専門かと思います。是非、教えていただければと思います。
○笠貫部会長 どうしますか。機構からまずお願いします。
○機構 機構よりお答えいたします。名称の件ですが、「心臓内オキシメータ」という言葉ですが、あくまでも名称でして、実態はクラスIIで分類される測定機器の範疇を示していまして、プローブは当然ながら範囲に入っていません。そのためにプローブに含まれないことを明らかにするために、こういった改正案として特殊なカテーテルを挿入して測定する際に用いられるということで、カテーテルは別ということを明示したかったために、このような表現にさせていただきました。
○千葉委員 「測定する際に用いられる」という言葉は、どのようにでも取れるような気がしまして、「血管の中に入ったカテーテルに体外で接続して用いる」ということが分かりやすくなる表現はほかに無いのかというのが正直な疑問です。
○笠貫部会長 この「心臓内」という言葉を使うかどうかということですね。今の御説明のように、カテーテルを含まないという意味からすれば、それを強調するために、「心臓内」という表現を付けたことが、逆に誤解を招かないかということですが、これについて何かお答えはありますか。
○事務局 事務局から、答えさせていただきます。こちらの認証基準、又、一般的名称については、個別の医療機器を指すものではなく、ある程度グルーピングをして、その中で規制の取扱いを柔軟に行えるようにする趣旨もあり、今まで余りカッチリとした形では特定されていません。また、日本国内の一般的名称のほかに、海外でGMDNと呼ばれ、国際的に使われている一般的名称があり、そちらとの整合性なども図った結果、「心臓内のオキシメータ」という表現が出てきたりするということです。確かに、非観血血圧モニターなのですが、モニター及び多項目モニター等ということで、今回一つの認証基準でなるべく多くの品目を認証できる形での基準の改正という観点から、実際にはカテーテルの部分を含まないわけですが、「心臓内オキシメータ」といった表現を入れたということです。千葉先生が御指摘のとおり、その際に用いられ、カテーテル自体を含まない機械ということから、こちらの明示をさせていただいたつもりでしたが、御指摘を踏まえて、さらに分かりやすい書きぶりについて、再度機構で調整させていただければと思います。
○笠貫部会長 「際に用いられる」という表現を分かりやすくするということを説明で付け加えていただくということでよろしいですか。
○千葉委員 はい。
○笠貫部会長 ほかに御意見等はございませんでしょうか。よろしいですか。
 特に無いようでしたら、これで議題1を終了いたします。公開で行う議題は以上です。
○医療機器審査管理室長 ありがとうございました。
 それでは、以後の議題は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席のほどよろしくお願いします。
 非公開で行う議題2以降の開始時間は、13時30分とさせていただきます。
── 休憩 ──
○医療機器審査管理室長 それでは準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。
 まず、非公開の議題に係る配布資料の確認をさせていただきます。
 資料2-1、2-2「医療機器『クリオシールディスポーザブルキット』及び『クリオシールCS-1』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」。
 資料3「医療機器『バルベルト 緑内障 インプラント』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」。
 資料4-1「医療機器『HA ヒップ インプラント システム』の再審査報告について」、資料4-2「医療機器『良性皮膚血管病変治療レーザ装置PhotoGenicaV』の再審査報告について」、資料4-3「医療機器『GDCシステム』の再審査報告について」、資料4-4「医療機器『アンジオメッド メモサーム』の再審査報告について」、資料4-5「医療機器『アイトレル3』の再審査報告について」、資料4-6「医療機器『アイトレルII』の再審査報告について」、資料4-7「医療機器『アンギオシール』の再審査報告について」、資料4-8「医療機器『パーフルオロン』の再審査報告について」。
 資料5「医療機器・体外診断薬部会 報告品目」。
 資料6「競合品目・競合企業リスト」、参考資料6「薬事分科会審議参加規程」。
 資料がお揃いでしたら、以降の議事進行は、引き続き笠貫部会長にお願いいたします。
○笠貫部会長 資料はお揃いでしょうか。
 よろしければ、これより非公開で行う議題に入らせていただきます。
 まず、本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。
○事務局 資料6「競合品目・競合企業リスト」、参考資料6「薬事分科会審議参加規格」事務局より、審議事項に関する影響企業に関する調査についての御報告をさせていただきます。
 こちらの報告は、平成20年12月19日付に薬事分科会で決定された、薬事分科会の審議参加規程に基づくものです。皆様から毎回御報告いただいておりますので、概要は御存じかと思います。過去3年度にわたり、寄附金・契約金等の額について、競合企業と申請企業から額の申告をしていただき、その結果に応じて審議不参加、もしくは議決の不参加という形を審議会の規程として決めていただいております。
 資料6「競合品目・競合企業リスト」を御覧ください。審議事項議題2「医療機器クリオシールディスポーザブルキット」及び「クリオシールCS-1」については、申請者は旭化成クラレメディカル株式会社です。旭化成クラレメディカル株式会社からの申告による競合品目として、1点目はボルヒール、2点目はベリプラスト、3点目はティシールということで、それぞれ医薬品ですが、本品のクリオシール自体がクリオとトロンビンを混ぜて、自己血で接着剤のものを作るというものですので、それに該当する医薬品を競合品目として三つ挙げてきております。
 2ページは、議題3「バルベルト 緑内障 インプラント」で申請者はエイエムオー・ジャパン株式会社です。競合品目として、1点目がAhmed Glaucoma Valve、2点目がMolteno Implantとどちらも海外の企業です。こちらは、本品と使用目的、性能が類似しておりますが、国内開発状況は不明であるという申告がありました。
 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況を伺いましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」、又は第13条「議決不参加の基準」に基づき、御退室いただく委員等はおりません。
 また、議決に御参加いただけない委員は、議題2については塩川委員、武谷委員でございます。議題3については寺崎委員となっております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 今の事務局からの説明について、特段の御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、議題2に入ります。
 議題2、医療機器「クリオシールディスポーザブルキット」及び「クリオシールCS-1」の製造販売承認の可否等について、審議を行います。
 本議題の審議にあたりましては、参考人として、国立大学法人大阪大学理事・副学長の門田守人先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 まずは、審議品目の概要について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題2、資料2-1、2-2「医療機器『クリオシールディスポーザブルキット』及び『クリオシールCS-1』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より説明いたします。審査品目の概要について簡単に説明させていただいた後、医薬品医療機器総合機構から詳細について御説明させていただきます。
 資料2-1の1ページが諮問書です。審査報告書のタグをめくって2ページは、審査報告の審査結果の概要です。該当する一般的名称の項ですが、一般的名称に該当するものが無いため、「血液成分分離キット」を新設予定としており、更に「血液成分分離用装置」についても新設予定としております。販売名は「クリオシールディスポーザブルキット」及び「クリオシールCS-1」、申請者は旭化成クラレメディカル株式会社です。
 3ページは、使用目的について記載しております。クリオシールディスポーザブルキットの使用目的として、貯血式自己血輸血のために採血した患者を対象とし、自己血漿由来の生体組織接着剤を調製する際に、血液成分を滅菌状態で分離・採取するために使用するものです。
 クリオシールCS-1の使用目的は、自己血漿由来の血液成分を分離する際に、血漿を凍結・融解等するために使用するものです。
 具体的な外観写真については別紙8のタグをおめくりください。それぞれ三つの部分からなっております。まず、1ページの「血漿処理ユニットCP-3」、「トロンビン用添加液」、「噴霧器」について写真で示しております。クリオシールCS-1の方は、資料2-2の別紙7に示しております。では詳細については、医薬品医療機器総合機構から説明いたします。
○機構 審議事項議題2、資料2-1、2-2「医療機器『クリオシールディスポーザブルキット』及び『クリオシールCS-1』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 審査報告書の説明に先立ち、本日お配りさせていただいた、「クリオシールディスポーザブルキット、クリオシールCS-1の審査報告」というタイトルの1枚紙を御覧ください。本審査では、この用紙に記載いたしました2名の専門委員の御意見をいただきました。
 資料2-1の審査結果報告書について説明させていただきます。審査結果報告書というタグの付いた部分の4ページから、本品の概要について説明いたします。本品は、米国のThermoGenesis社により開発されました。クリオシールディスポーザブルキットは、審査報告書の6ページの図1~3にお示ししております、血漿処理ユニットCP-3、トロンビン用添加液及び噴霧器から構成されており、図4はクリオシールCS-1の外観をお示ししております。本報告書では、クリオシールディスポーザブルキット及びクリオシールCS-1を併せて本品としております。本品は、貯血式自己血輸血のために採血した患者に対し、自己血漿由来の生体組織接着剤を調製するための製品です。
 本品の開発の経緯は、審査報告書の7ページの起原又は発見の経緯の項にお示ししますとおり、現在、手術時の組織の接着・閉鎖のために使用されている生体組織接着剤は、フィブリノゲンとトロンビンの両成分がヒトプール血漿由来である点や原料の一部にウシ由来成分を含んでいる点で、アナフィラキシーショックや潜在的な感染リスクが存在します。本品はこの問題を解決するために、自己血漿由来の生体組織接着剤を調製する目的で開発されました。
 1999年に、米国FDAにおいて第一世代品の510(k)を取得後、三度の改良が行われ、本品は第四世代品となっております。第一世代品は、血漿からクリオプレシピテートのみを調製する製品であり、トロンビン液の調製機能はありませんでしたが、第二世代品よりクリオを調製すると同時に、トロンビン活性化器(TAD)内でトロンビン液を調製できるよう製品が改良されております。第三世代品ではクリオ、トロンビン液を回収する部分が改良され、本申請において提出された臨床試験成績は、第三世代品により実施されたものです。第四世代品である本品は、米国ピボタル臨床試験中に発生した、トロンビン液のゲル化不良例への対応として、トロンビン活性化器(TAD)の陰性荷電の供与体として、従来使用されていたセラミックビーズに□□□□□□を加え、トロンビン処理器(TPD)へと改良されております。
 外国における使用状況は、審査報告書の8ページの「外国における使用状況」の項にお示ししますとおり、本品は、当初クリオプレシピテートAHFを調製するシステムとして第一世代品が米国で認可されました。その後、肝切除時の止血補助を効能・効果として2007年に本品がPMA承認を取得しております。欧州では、2001年に第三世代品がCEマークを取得し、2006年に本品の販売を開始しております。
 本品の非臨床試験成績に関しては、審査報告書の9~15ページの「ハ.安定性及び耐久性に関する資料」及び「ホ.性能に関する資料」の項でお示ししております。審査報告書の13ページの「効能を裏付ける試験に関する資料」の項でお示ししますとおり、ラット皮膚抗張力試験を実施した結果、本品で調製した生体組織接着剤は、既存の生体組織接着剤ボルヒール組織接着用と比較して、抗張力は30分後で約□%、□時間後で約□%でした。これらの結果を受け、機構は、本品で調製した生体組織接着剤が、十分な性能を発揮すると考える、申請者の見解は了承できるものと判断いたしました。
 続いて、臨床試験成績に関して御説明させていただきます。審査報告書の15ページの「チ.臨床試験成績に関する資料」になります。今回提出された臨床試験は、海外で実施されたパイロット臨床試験、ピボタル臨床試験及び本邦で実施された一般臨床試験の三試験であり、いずれも第三世代品が使用されました。パイロット臨床試験の説明は省略させていただきます。
 ピボタル臨床試験の説明をさせていただきます。ピボタル臨床試験は、肝切除時の断端面止血に対する有効性及び安全性を評価することを目的に実施されました。
 有効性については、審査報告書の17ページの表3を御覧ください。主要評価項目である止血に要する時間は、クリオシール群で平均4.84分であり、対照群である既存の吸収性コラーゲン止血材の平均値7.60分と比較し、非劣性基準を満たしており、加えて優越性基準を満たしました。副次評価項目として設定された、10分以内の止血成功率、術中出血量、排液バッグへの術後総失血量、出血による再手術の必要性、輸血及び血液製剤の使用量に関しては、クリオシール群と対照群との間で同等性が確認されました。
 安全性については審査報告書の19ページを御覧ください。1件以上の治験機器に関連した有害事象が生じた患者は、クリオシール群で9.0%、対照群では3.8%であり、重篤な有害事象は、クリオシール群で100例中15例22件、対照群で53例中11例21件認められました。クリオシール群の1例で治験中に患者が死亡しましたが、治験機器との因果関係はないと判断されております。また、トロンビン液調製の際、トロンビン活性化器(TAD)でのトロンビン液のゲル化が確認されなかった事象2件が、治験機器の故障として報告されましたが、当該症例では調製したクリオ、トロンビン液は使用されずに廃棄されたため、臨床試験ではスクリーニング不適格症例として扱われております。
 続いて一般臨床試験の説明をさせていただきます。審査報告書の20ページを御覧ください。本試験は、既存の生体組織を用いる医療現場の使用実態に近い状況での第三世代品により調製した生体組織接着剤の有効性及び安全性確認を行うことを目的に実施されました。
 有効性の評価項目である凝固能については、有効以上が87.9%であり、臨床における有効性については有効以上が90.3%でした。安全性の評価項目である、安全性の評価判定については、「安全である」が100%でした。有効性及び安全性の判定により、有用性の評価判定が行われ「有用以上」は90.3%と判定されました。
 ここから、審査における主要な論点を説明させていただきます。審査報告書の29ページの「5.総合評価」の項を御覧ください。論点の一つ目として、提出された臨床試験結果から、本品の使用目的を踏まえた有効性・安全性評価が可能かについてですが、提出された臨床試験は、いずれも第三世代品を使用したものであり、本品は第三世代品を用いたピボタル臨床試験におけるゲル化不良を改善する目的で、トロンビン処理器に□□□□□□を加えております。両製品の生体組織接着性能は、非臨床試験で比較し、本品は第三世代品と同等以上の性能を有することが確認されていることから、第三世代品で行った臨床試験成績を本品に外挿することは可能と判断いたしました。
 また、ピボタル臨床試験において、止血を指標として本品の使用目的である組織の接着・閉鎖を評価している点については、肝臓の切除断端面が肝実質組織であることから、当該組織の接着・閉鎖ができることが止血の条件となると考えました。さらに、生体組織接着剤の使用環境における組織の接着・閉鎖を確認する試験として、国内臨床試験が実施されており、本品の有効性が確認されていることから、提出された臨床試験から総合的に判断して、本品の有効性及び安全性が確認できると判断いたしました。
 論点の二つ目として、ゲル化不良を改善した本品の品目仕様の妥当性についてです。先ほども申し上げたとおり、本品では第三世代品のトロンビン処理器に□□□□□□を加えております。その結果、本品で調製したトロンビン液のトロンビン活性が、従来品より向上しているものの、トロンビン活性の規格値が変更されていなかったことに対し、機構は本品の改良の意図を踏まえ、規格値を見直す必要があると考えました。審査過程で規格値の見直しが行われ、当該規格値で本品の品質管理上問題はないと判断いたしました。
 なお、本品により調製される生体組織接着剤は、医療機関で調製が行われること、又、患者自身の血漿を使用することから、調製された生体組織接着剤の品質にはばらつきがあることに鑑み、本品を使用してもクリオ及びトロンビン液を調製できない場合があること、又、手術中に本品で調製された生体組織接着剤が凝固せず、組織の接着・閉鎖が達成できない場合は、必要に応じて他の適切な処置を行う場合があることを注意喚起することは重要であると考えております。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。なお、本品は新効能医療機器であるため、再審査期間は3年とすることが適当であり、また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。
 最後に、事前に齋藤委員と菱田委員から御意見、御質問をいただいておりますので紹介させていただきます。齋藤委員からは、「生体組織接着剤として有効と考えるが、患者自身の自己血漿を用いるので、年齢・性別・合併症の有無などが品質に影響を与える可能性があると思います。また、院内で調製するので感染の防止など、操作手順に習熟する必要があると思います。」との御意見をいただいております。
 御指摘の点は、一部論点のところでも御紹介いたしましたとおり、機構でも大変重要と考えており、この点の注意喚起の記載状況について簡単に説明させていただきます。資料2-1の別紙9の添付文書案の3ページの「重要な基本的注意」の項において、本品を使用しても生体組織接着剤を調製できない場合があることを記載すると共に、その場合は必要に応じて他の処置を行う場合があり、プール血漿由来の生体組織接着剤を使用する場合は、その感染症リスク等についてもあらかじめ患者に説明し、理解を得るよう努めることを注意喚起させていただいております。また、手技の習熟に関しても、添付文書において自己血輸血の実施基準、マニュアル等の遵守や、習熟した者による操作を求めているところです。
 菱田委員からは、「資料2-1の別紙7で、貯蔵方法及び有効期間について噴霧器の有効期間は2年と理解してよろしいでしょうか。また、貯蔵方法は常温で直射日光を避けるという理解でよろしいでしょうか。」という御質問をいただいております。
 別紙7の有効期間については記載に不備があり、正しくは2年であるため修正させていただきます。また、貯蔵方法に関しては、高温多湿及び直射日光を避け、室温で保管するよう添付文書において注意喚起させていただいております。機構からの報告は以上となります。
○笠貫部会長 ありがとうございました。参考人の門田先生の方から、何かございますか。
○門田参考人 大阪大学の門田です。私の専門は消化器外科で、主に肝臓外科ということで、このような類のフィブリン糊は初期のころからずっと使っていることから御意見を申し上げます。
 普通、外科手術では出血を止めることが非常に重要なことであるというのは皆さんお分かりのとおりです。一般的に組織、あるいは臓器というのは血管があって、その周辺に血管の非常に乏しい部分があります。毛細血管の非常に細いところまでいき、そこを切った時に出血するということで、多くの場合はそこを結紮糸で結んでしまう、あるいは最近は簡単にクリップのようなもので止めてしまいます。更に細い毛細血管になると、電気メスのようなもので凝固するという手順で行っています。
 私の専門とする肝臓、あるいは心臓などもそうですが、臓器になるとその臓器そのものは、いうならばスポンジのような状態になっていると理解していただくと分かりやすいと思います。血管がどこかにあって、それから出血ではなく、臓器そのものが血液の溜まったものになった場合、その手術を行う時に止血に難渋するというのが一般的にあるということで、そのほかの臓器とは少し違うところがあります。
 そうすると、その止血をどうするかということですが、一般的に昔はどのように行っていたかというと、自然に自分の血液が固まるのを待つということでした。太い血管は先ほど言ったような方法で止血し、あとの漏れ出てくるようなものは、グッと押さえて、ただ自分の凝固能を待つということで行ってきたのです。その後、フィブリン糊が開発されて非常に重宝され、非常に幅広く使われてきていたのが事実です。ここの説明のところにもありましたように、このフィブリンの元というのは、いろいろな方の血漿を集めてきてプールしたものであるということ、もう一つ問題になったのは、トラジロールという物質が入っていて、これはウシから抽出されたものであるということで、これを使うのは非常に早い段階から危険があるのではないかということでした。ですから、この両者があって、非常に重宝しているけれども問題があるというのが現実だということです。
 今回これで作っていくものは、すべて自分のものであるということ、他人から来る感染の危険性は全くないということで、今まであったものの欠点をすべて賄うという感じがいたします。ただし、先ほどの質問でも挙がっていましたように、自分たちで作るということは、本当に機械に慣れているのかどうかという辺りの疑問が私にも無いわけではありませんし、私自身も使ったことがないので、それは慣れてくる必要があると思いますが、内容的には今までの欠陥はすべて補っているものだと解釈できるだろうと思います。
 それから質問にもありましたが、その人が持っている、例えばフィブリノゲンやトロンビンがどうなっているかというのは、多くの場合肝臓の手術、あるいは心臓も恐らくそうなのだと思いますが、術前に手術に耐え得るかどうかという検査は普通にしているわけですので、採ってきたものがどうかというのではなく、手術できるような状態が選ばれていることから考えれば、余り遭遇することは少ないのではないか、しかし遭遇することは否定もできないということで、注意事項としてしっかりと喚起されているということであれば、問題は無いのではないかと思います。臨床試験の結果としては、成績が非常によろしいように思いますが、その辺りのことをすべて総合して、私は今までのものをカバーする素晴らしい方向性ではないのかという気がいたします。参考人としては以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。
 初めに、齋藤委員、菱田委員から提出された御質問に回答をいただいていますが、齋藤委員はこれでよろしいでしょうか。
○齋藤委員 私が質問したのはその点であり、患者さんからの自己血清を採って使うということで、その辺の濃度やフィブリノゲンとトロンビンの濃度にばらつきが出るということを危惧いたしました。
 もう一つは、医療従事者がその作成に関与するということで、何らかの不手際があった場合、何か問題が起こらないかということを危惧いたしましたが、ただ今の説明でだいぶ納得いたしました。実際に、整形外科の方でも、このようなフィブリン糊を使用しますので、こういうものがあれば実際の手術に有効であると思いました。
 今、少し考えていたのですが、患者さんの負担が増えるのか増えないのか、従来のボルヒールよりも、このようなものを使うことによって、患者さんへの負担はどうなるのかということが一つ気になりました。
○笠貫部会長 患者さんへの負担という話が出ましたが、これについてお答えいただけますか。
○機構 今の御質問に対してお答えさせていただきます。まず、患者様の御負担という点について、貯血式で行われる自己血輸血法を予定されている患者様であるということなので、例えば血球と血漿に分けられて、血球は有効活用され、血漿は廃棄されていたようなものに対して、その部分の成分を使って自己血の生体接着剤を作るということで、新たに採血等を行うことを予定しているわけではありませんので、患者様の負担が増えるということではありません。
○齋藤委員 ディスポーザブルな部分がありますが、それは病院が負担するのですか。
○機構 先生が御指摘の点というのは、患者様の金銭的な面での御負担ということでしょうか。
○齋藤委員 その辺は、どのようになるのかと思いました。
○機構 この点は、認可された後に、保険上の取扱いはどのようにするのかという話になると思いますので、現時点ではその点について、こちらから明確にはお答えできない状況です。
○齋藤委員 分かりました。
○笠貫部会長 十分調製できない場合には、各施設できちんと調製しなければいけないということです。これは、重要な基本的注意というよりも、警告欄にもなるのかと思って聞いていました。これが、門田先生が言われるように稀なことであれば、そうでもないと思うのですが、もし、常に各施設機関できちんと調製しないといけないということになりますと、それによっては重篤な多量の出血を伴うリスクがあるということになり、重要な基本的注意だけで良いのかどうか疑問に感じました。この辺について、門田先生いかがですか。
○門田参考人 先ほども申しましたが、例えば私の専門とする肝臓の手術をするケースを考えると、多くの場合肝臓癌だとすれば、肝機能障害のようなものがあって、当然凝固能というのは十分前もって調べているわけです。ですから、手術中にこれを行ってから初めて凝固能異常だと分かるということは、ほとんど起こり得ないことではないかと思います。例外的に何かが発生するということになれば話は別ですが、術前ということで手術をするかしないかとの非常に重要なファクターですので、固まるか固まらないかはその手術を行いながら判断し、これでとんでもないことになったということが起こるようなことはほとんどあり得ないと思います。
○笠貫部会長 アメリカのピボタルスタディ、それから日本の臨床試験ではそのようなケースはなかったのです。世界25か国で1万件以上使われている中でも、そのような問題のあったケースというのは、今の御説明では非常にごく稀だということです。手術前にフィブリノゲン、トロンビン等の検査をしていれば、余り考えられないということでよろしいでしょうか。市販後調査について、海外のデータにおける大きな問題の有無についてはいかがでしょうか。
○機構 海外における不具合の発生状況については、添付されている資料でも示されております。その中で不具合情報として挙がってきている事例について、今御指摘がありましたような接着効果が不十分というようなことの事例についての報告は挙がってきておりません。
○笠貫部会長 菱田委員は、先ほどの答えでよろしいでしょうか。
○菱田委員 はい。
○西田委員 用事調製して直後に使うというのが一般的な使用方法なのか、28日間は保存しても良いこととなっていますが、一般的には用事調製で長期に使うと考えてよろしいでしょうか。長期保存して、その後に使う場合でも、効果・効能は落ちないのでしょうか。
○機構 その辺は、きちんと保証されていますし、一般的に本剤を使う前提として貯血式の手術ということになります。もともと患者さんの手術の前の3~4週間前に採血をして置いておき、その間で調製をして保存しておくという使われ方が想定されています。
○寺崎委員 これで作られたものを使って、止血が不十分だった場合、既存のフィブリン糊みたいなものを同時に使うことに関して、クロスアクション等そのようなことは検討されているのでしょうか。そういうことも、あり得るのでしょうか。
○機構 そちらについては、添付文書の方で、本剤を使って接着効果が不十分であった場合、その他の方法を使って対処してくださいということと、そのようなことも起こり得ることを患者様に十分説明してくださいということを注意喚起させていただいております。
○笠貫部会長 インフォームド・コンセントまでそれを入れないといけないことになると、どの程度の頻度なのかということが必ず問われてきます。先ほどのように全く報告が無いということになると、理論的にはそういうことはあり得るけれども、実際報告が無いとしたら、そのようなことをどこかに書いておかなければ、インフォームド・コンセントを取る時に、患者さんに非常に不安を与えてしまうこともあり得るかと思いますが、その点についてはいかがですか。重要な基本的注意のところに、「多量の出血を伴うリスクのある手術を行う場合や」等、いろいろ記載されており、いかにもリスクがあるということが添付文書には記載されています。そうすると、実際に行う場合のインフォームド・コンセントとしては、その頻度はどの程度なのですかということが問われると思います。もし、今までに報告が無いのならば、報告は無いということをどこかに記載しておけば、インフォームド・コンセントの時に、実際にそのようなことは起こり得るが、これだけの例数があって、報告は無いと書いておいていただければ、インフォームド・コンセントは取りやすいかと思います。
○機構 先生御指摘の点の臨床的な使用実績の状況に関する情報提供については、米国並びに欧州での使用状況をもう少し反映できないか検討させていただきたいと思います。
○笠貫部会長 それは、よろしくお願いいたします。
○千葉委員 3点お聞きします。1点目は、年齢的に子どもでも肝臓移植はありますが、何歳まで等そのようなことは、想定しておられるのでしょうか。
 2点目は、用事調製は無いと先ほどおっしゃったのですが、用事調製をせざるを得ないような時が仮に臨床的にあったとします。その場合、どれぐらい時間をかければ、このフィブリン製剤は患者さんの自己血から準備できるものであろうかということです。
 3点目は、仮にこれで自己血から調製したフィブリンやトロンビンが止血に有効ではない時に、その有効ではないことの判断は術者が行うと思うのですが、その判断の基準はお考えなのかどうかということをお聞かせください。
○機構 機構からお答えいたします。用事調製に関してですが、本品は調製するのに最低200~400ccを採血しますので、手術直前に調製するということは全く想定されておりません。
 それから、小児に関する点ですが、小児に対しては症例の使用経験はありません。年齢制限として、「70歳以上の高齢者については慎重に適用すること」と添付文書に記載されておりますが、小児に関しての制限は記載されておりません。
○門田参考人 私は小児科ではないのでよく分かりませんが、小児・幼児が手術の時に自己血輸血を行うことは、あり得ない話ではないかと思います。そういうことは成人の場合の話であり、それはないと思います。確かではないので申し訳ないのですが、幼児という時に、それはとてもできないのではないかと思います。ですから、最初から例外的に外れてしまうのではないでしょうか。
 幼児・小児の場合は、生体肝移植で行います。生体肝移植を行う時には、ドナーが同じ血液で、同じ成分が回ってくるわけですから、ドナーサイドの方の処理ということになる可能性はあります。移植のように、非常に大量な出血は自己血ではとても賄えません。ドナーの方は提供者ということで、第三者の血液を貰うことによって起こる感染のリスクを避けたいので、できるだけ使わないようにする、又は使う場合には自己血を使うということで、ほとんどの所では第三者の血液は使っていません。ですので、そのような時には対象になりますし、子どもの肝臓の場合には、母親あるいは父親の肝臓がドナーだったりしますので、そのような使い方になるのではないかと思います。
○千葉委員 門田先生がおっしゃったとおり、今までの様々な問題をほぼ解決し尽くす非常に優れた話だと思います。私は近い将来と考えていますが、小児の方向にいけるのであれば、自己血の問題もありますが、量や調製のタイミング等も含めて考えていただければ良い話ではないかと思いました。そのような質問をさせていただきました。門田先生のおっしゃるとおりかと思います。それから、止血できないという判断は、実際に現場ではどのように行われるのでしょうか。
○門田参考人 先ほどの説明の時にもお話させていただきましたが、昔は特別な手段が無いまま手術を行っていました。先ほど言ったように、とにかく止まるまでずっと押さえていたのです。凝固時間というのがありますが、凝固時間はどんどん伸びます。簡単な方法では、耳たぶを少し切って、何分間で血が止まるかというようなことを昔は行っていました。シンプルな方法ですが非常に的確です。ですから、それの何倍もずっと耐えるしかないのです。
 そのため、これがなければ、致命的になるようなことはそれほどありません。また、血友病の方に、何も処置をしないで手術を行うと血は止まりません。そのような状態で手術を行っていますので、本当に最悪どうなるかということはあり得ないことです。
○中谷委員 心臓外科では、これを使うのは出血を自己血でコントロールできそうな人において、まず400ccなりの血液を術前に採血し保存しておいて、それを手術の時に使うことで対応できる人が対象になると思われます。そのような人に対してこれを使うことによって、自己の血液成分だけで止血を行うことができます。そうすると、他人の血液は全く使わないで済みます。このような目的で作られていて、それが破綻したら従来の方法で止血するというように基本的な考え方はなっていると思います。
 小児では、自己血貯血をして自己血の輸血を行うことはまずありません。それができるということは、健康といいますか、門田先生が言われたように、手術に耐え得るということです。十分耐え得る人に対して、なんとか輸血は避けてあげようということで、開発されてきているものです。このシステムを使っていて破綻したら、従来の方法に乗り変えることになります。適用等が書かれていないのでよく分からないのですが、ここで実際に行われた治験の報告を見ても、そのように書かれています。このことから、今回報告されているこの結果で特に問題は無いと考えます。
○笠貫部会長 今の問題について、今後の小児にどこまで使えるのだろうかということを含め、海外では市販後調査が1万件以上あるので、何歳ぐらいまで使えているかということも調べていただいて、どこかに記載できれば一つの目安になるかと思います。実際に臨床の現場では、何歳まで使うのかということはかなり重要だと思います。
 また最後に議論になるかもしれませんが、これから、それをきちんとフォローできるような年齢の問題も市販後調査の中に入れていただけたらと思います。
 先ほど、門田先生からもお話がありましたように、非常に大事な機器だと思います。そのような観点から見た時に、デバイス・ラグがどうなのかということが気になります。アメリカでは、1999年に510(K)を得ているわけです。2007年にはPMAで承認されています。ヨーロッパでも2006年にCEマークという時点で、先ほど気になりましたのは、アメリカの第三世代のピボタルスタディが、2002年~2005年で終わっています。日本のシングルアームでの臨床試験が、2003年~2004年で終わっています。アメリカは2005年でピボタルスタディが終わって、2007年にはPMAの承認を得ています。
 日本では2004年に臨床試験が終わっているのに、今日挙がってきているということについて、なぜそのような違いが出てくるのかについて説明いただけたらと思います。これは、今後の課題となるので大事な問題だと思います。
○事務局 デバイス・ラグの問題で、本機器に限らず、海外で使われているいろいろな優良な機器が、今日本では使えないという問題で、日々厚生労働省、PMDA共にその問題について取り組んでいるところです。
 笠貫先生から御指摘のあった点についてですが、もともとアメリカの開発企業が開発しているものですので、アメリカの方が早いということもあると思います。問題はその度合いということだと考えられます。
 今回、旭化成クラレメディカル株式会社が日本の方に申請された時期が、国内の臨床試験が終わってから結構時間があいているというところも、この品目に限っていえばありますけれども、実際にデバイス・ラグが起こる原因としては大きく二つあります。一つは、審査ラグと呼ばれるもので、簡単に申し上げますと審査に時間がかかるので上市が遅れるということです。もう一つラグが起こる原因として、申請ラグという問題があります。これはアメリカで申請してから、日本で申請されるまでに期間が空いてしまうというラグです。
 審査ラグの方については、行政側が主体の問題として、人員の増強等、様々なガイドラインを策定するという形での対応は可能です。申請ラグに関しては、審査側だけ早くしても、申請を早くしていただかないとなかなか短くならないところがあります。今後、この申請ラグについてどのような対応をとるべきかというのが、行政側としても非常に大きな課題だろうと考えております。
 現状として企業側にお話を伺いますと、審査に時間がかかるので、なかなかビジネスプランが立たないとか、保険の値付けが読めないので開発に着手できない等、そもそもアメリカでそういうものがあるのだけれども、日本で申請するだけの薬事のリソースが無いなど、様々な複合的な要因が相俟って、個別品目ごとにそのような理由は異なってくると思います。企業側、要するに経営サイドから見て、ある一定の判断がそれぞれの品目についてラグが起こる原因としてあるのだろうということが推察されています。これは、医薬食品局だけで対応するのは難しい問題ではありますが、まずはここの原因解明をきちんとした形で行うべきだと考えていて、各社にそのアンケートを取っていくとか、そのようなところで今原因の解明をさせていただいているところです。それがきちんとまとまり次第、解消に向けた取組を進めさせていただければということです。この品目に関して、なぜ遅かったかというところまでは、事務局としても把握していません。
○笠貫部会長 何か加えることはありますか。
○医療機器審査第二部長 添付資料概要の18ページの開発の経過に「設計変更」というところがありますように、本品は3回ほど改良されているということで先ほど御説明させていただきました。海外では第三世代品が流通していたのですが、その過程でトロンビンのゲル化不良が起こり、設計の変更が行われています。申請は第三世代品で当初日本に申請されていたのですが、海外のメーカーの方が、もうその製品は作らないということになり、作れないものを審査しても仕方がないということで、旭化成クラレメディカル株式会社が最新の製品を導入するということで今回の申請に至っております。
○笠貫部会長 先ほどの説明のように第三世代の臨床試験ピボタルスタディをもって第四世代でも良いという結論を出しているのであれば、もう少し申請が早くても良いのではないかと思います。それになると審査ラグの話にもなるので、私はこの部会としては、患者にとっては非常に大きな福音をもたらす機器の場合には、できるだけデバイス・ラグはなくしたいと思っています。そういう意味では、むしろ申請ラグの問題だとお聞きしましたので、遅れたのは何故なのだろうかと、ここの部会でも一応問題としては指摘させていただいて、それをPMDA、厚生労働省で更にその改善に向けていっていただけたらということで質問させていただきました。これから、そのようなことがありましたら、その都度御指摘させていただくということでよろしくお願いいたします。
 ほかに、御意見はございませんか。よろしければ、議決に入ります。塩川委員、武谷委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことになります。よろしくお願いします。
 それでは、医療機器「クリオシールディスポーザブルキット」及び「クリオシールCS-1」については、本部会として、承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は共に3年間とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は共に不要とし、「クリオシールディスポーザブルキット」については高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、「クリオシールCS-1については管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定をしてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。
 この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することとします。
 議題2が終了しましたので、参考人の門田先生におかれましては、御退室いただいても構いません。ありがとうございました。
 それでは、議題3に進みます。議題3、医療機器「バルベルト 緑内障 インプラント」の製造販売承認の可否等について、審議を行います。
 本議題の審議にあたりましては、参考人として、公立学校共済組合関東中央病院院長日本緑内障学会理事長の新家眞先生に御出席いただいております。よろしくお願いします。
 まずは、審査品目の概要について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題3、資料3「医療機器『バルベルト 緑内障 インプラント』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より、審査品目の概要について、簡単に説明いたします。
 まず、資料3の1ページに諮問書があります。審査報告書の2ページを御覧ください。一般的名称として、「眼内ドレーン」、販売名は、「バルベルト 緑内障 インプラント」です。申請者は、エイエムオー・ジャパン株式会社です。
 3ページを御覧ください。使用目的については、既存療法に奏効しない難治性緑内障患者に対し、眼圧下降を目的に房水を眼内から排出するために埋植して使用するものです。承認条件として1.、2.があります。また、お手元に、日本緑内障学会でガイドラインを作成するための案を当日配付資料として配付しています。本品は、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において選定されたものであり、医薬品医療機器総合機構において優先審査品目として審査されたものです。概観図については、資料3、別添7に示しています。
 では、審査品目の詳細について、医薬品医療機器総合機構から説明いたします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医療機器『バルベルト 緑内障 インプラント』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定ついて」機構より説明いたします。
 本審査では、御覧の3名の専門委員の御意見をいただきました。また、審査報告書については、1枚紙でお配りしたとおり、一部修正していることを御報告します。
 それでは、審査報告書4ページに示す本品目の概要から御説明します。緑内障は視神経障害と視野障害が進行する疾患で、失明原因の上位を占めます。緑内障に対する、唯一確実な治療法は眼圧を下げることであり、眼圧は眼内の房水の産生量と排出量のバランスで決まります。進行した緑内障では、薬剤療法でもレーザ療法でも眼圧を下げられないため、線維柱帯切除術に代表される手術療法が行われます。手術療法でも眼圧が下げられない難治性緑内障患者については、海外であれば眼内ドレーンを用いて房水を排出するという失明回避の最終手段があり、1969年から臨床応用されていました。
 しかし、我が国には、これまで承認された眼内ドレーンはありませんでした。本品は、難治性緑内障患者の眼内の房水を排出して、眼圧を下げるための眼内ドレーンです。米国のAbbott Medical Optics社で製造販売されております。シリコン性のプレートとチューブからなり、チューブが短く屈曲した毛様体扁平部挿入タイプと、直線チューブタイプがあります。また、直線チューブタイプは、プレート面積350平方ミリメートルのものと、250平方ミリメートルのものとの2種類があります。房水はチューブ先端からプレート上に導かれ、周囲組織に拡散して排出されます。
 海外での使用状況ですが、審査報告書6ページの「外国における使用状況」を御覧ください。本品は、直線チューブタイプが1991年2月に、毛様体扁平部挿入タイプが1997年2月に、それぞれ米国で510(K)で認可されました。2011年6月末現在、米国、欧州、ブラジル、インドネシア、マレーシア、プエルトリコ、シンガポール、タイ等で販売され、累積販売個数は□□□個です。
 本品の非臨床試験成績は、審査報告書7~11ページの「ハ.安定性及び耐久性に関する資料」及び「ホ.性能に関する資料」の項でお示ししたとおり、特段問題は認められておりません。
 続いて、本品の臨床試験成績に関して御説明します。本品は、海外で古くから使用されていて、世界的には既に確立された難治性緑内障の治療法であり、国内外の教科書的な書籍にも紹介されていて、公知性が高いことから、米国承認時のIDE臨床試験成績と文献評価報告資料及び不具合発生状況資料についてまとめて臨床評価を行うことで、本品の有効性・安全性を評価することができると判断しました。
 まず、直線チューブタイプの米国臨床試験成績の説明をします。審査報告書13ページの中程を御覧ください。臨床試験には、プレート面積350平方ミリメートルのBG-101-350とプレート面積200平方ミリメートルのものが使われました。なお、プレート面積200平方ミリメートルのものは、今回の申請品とは違うものです。22歳以上の難治性緑内障患者13名、13眼を対象に、本品BG-101-350が10眼に、200平方ミリメートルのものが3眼に埋植されました。有効性については、審査報告書13ページの表1を御覧ください。有効性の主要評価項目である「眼圧IOPが21mmHg以下」は、完全有効と条件付き有効を併せて69.3%でした。本邦の40歳以上の正常IOPの上限値は、20mmHgですので、この判定基準は本邦にほぼ外挿できると考えます。安全性についてですが、有害事象として、脈絡膜出血が7.69%、一過性脈絡膜滲出が23.1%、一過性術後前房出血が15.4%、強膜グラフト上の治癒遅延性結膜びらんが7.69%でした。
 続いて、毛様体扁平部挿入タイプ、BG-102-350の米国臨床試験成績の説明をします。審査報告書15ページの表2を御覧ください。有効性については、有効性の主要評価項目である眼圧IOPは、完全有効と条件付き有効を併せて91.6%でした。安全性については、有害事象として、網膜剥離が16.7%、硝子体出血、前房出血、脈絡膜出血、複視及び光覚消失がそれぞれ8.33%でした。
 続いて、本品の文献評価報告について御説明します。審査報告書17ページを御覧ください。申請者は、これら文献から四つのことが考察できるとしています。第一に、本品は、最も一般的な濾過手術である線維柱帯切除術より眼圧コントロール効果が高く、他の製品と比較しても性能が劣らないこと。第二に、プレートサイズについては、適切に患者を選択することで、同様の眼圧コントロールが達成できること。第三に、緑内障の病型の違いによる本品使用のリスクに差は認められないこと。第四に、アジア人に対する有効性と安全性は、非アジア人と同等であることです。
 次に、文献で報告された、本品特有の不具合について御説明します。審査報告書18ページ下段と19ページを御覧ください。本品は、眼筋下に埋植することから眼球運動障害のリスクがあり、そのリスクは4.95%とされています。また、様々な理由によるチューブ閉塞のリスクが、2.8%~21.8%と報告されています。
 次に、審査における主要3論点を説明します。審査報告書の19ページの中程を御覧ください。論点の一つ目として、「(1)本品の適応患者の明確化及び小児に対する適応について」です。当初は医学的にコントロール不能の難治性緑内障患者、あるいは予後不良の難治性緑内障患者といったように、適応が漠然と表現されていたために、論点となり、最終的には日本緑内障学会の緑内障診療ガイドラインに記載されている適応症例に基づき、詳細に限定しました。なお、ガイドラインについては、お手元に抜粋したものをお配りしています。さらに、添付文書に日本緑内障学会の緑内障診療ガイドラインに従う必要性が記載されました。小児に対する適応については、添付文書に小児に対する注意が記載されました。医薬品医療機器総合機構はこれらの対応を了承しました。
 次に、審査報告書20ページ中程を御覧ください。論点の二つ目として、「(2)タイプとサイズの使い分けについて」です。当初は毛様体扁平部挿入タイプとプレート面積の異なる2種類の直線チューブタイプの使い分けや有害事象が明らかではなく、論点となりました。添付文書に「原則として、有硝子体眼には直線チューブタイプを用い、無硝子体眼には毛様体扁平部挿入タイプを用いること」が記載されました。また、タイプ別の有害事象が添付文書に記載され、適切なサイズを選択する必要がある旨、添付文書に記載されました。総合機構はこれらの対応を了承しました。
 次に、審査報告書20ページ下段~21ページを御覧ください。論点の三つ目として、「(3)長期的な有効性と安全性について」です。複数の文献によれば、本品の有効率は経時的に低下することが報告され、長期有効性と安全性に関しても限定的なデータしかないため、論点になりました。そのため、添付文書に「術後も患者を定期的に受診させ、経過を観察することの必要性」が記載されました。
 医薬品医療機器総合機構は、既存治療に奏効しない難治性緑内障患者を対象に、本品を医療現場へ提供する意義は大きいと考えますが、一方、本品の長期有効性と安全性に関しては、限定的なデータしかないことから、注意喚起だけではなく、市販後の全例調査が必要と判断しました。そこで、審査報告書23ページに記載したように、市販後の全例調査を求める承認条件2.を付しました。また、長期有効性と安全性を担保するには、医師が十分な知識、経験を有すること、適応を遵守すること及び高度な埋植手技に習熟することが必要であることから、審査報告書23ページに記載した術者についての要件である承認条件1.を付しました。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は新効能医療機器であるため、再審査期間は3年と考えております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えます。
 最後に、部会委員からのコメントについて御説明します。齋藤委員からは、「外国で広く使用されている医療機器であり、安全性・有効性に関して問題無い」との御意見をいただいています。
 寺崎委員からのコメントですが、1点目は「本邦でドレーンとして認可されたものが無く、難治性緑内障の治療は限られているので、基本的には承認していただくのが望ましい」とのことです。その上で、ほかの手術方法がまだ考えられるにも関わらず、安易に本品を用いることが問題とのことで、適応をどのように指示するのかがポイントになるとのことです。
 医薬品医療機器総合機構としては、先生の御指摘のとおりと考えており、専門協議でもその点を併せて議論を行いました。その結果、対象については、緑内障学会ガイドラインに準じて、十分な知識と技術を持ち合わせた医師が適切に適応を判断して使用していただくよう考えています。また、添付文書に本品を使用した際に発生する可能性のある合併症を明記することとしました。
 2点目は、「小児適応について、小児についての成績が確立していないので、他の手術での無効例に行うべきではないか」とのことです。
 医薬品医療機器総合機構としては、先生の御指摘のとおり、小児についての成績は確立していないために、治療上の有用性が予想される危険性を上回ると判断された場合に使用することと注意喚起しています。また、日本緑内障ガイドラインにおいては、適応を他の手術での無効例、すなわち更なる手術の施行が困難又はその成功が期待できない、もしくは重篤な手術による合併症が予測される症例としています。
 3点目は、「角膜内皮障害は、本品が内皮に接触した際に起こるかどうか」について御質問されています。
 角膜内皮障害については、手術時に角膜を傷付けてしまう場合と術後に経時的に角膜内皮が減少するケースが想定されるものの、現時点では長期的な予後は不明なため、市販後調査で日本人における情報を収集する予定です。なお、添付文書には、本品により角膜内皮細胞が減少する可能性があることを情報提供すると共に、手術時にチューブ先端や手術器具による角膜内皮細胞への機械的接触に注意することを追記することで、本品により角膜内皮細胞が減少するリスクを低減するための方策等を周知します。また、市販後調査において、有効性のみならず、角膜内皮細胞数の変化を含めた安全性に関する情報収集も行ってまいります。
 その他、御指摘いただいた整備事項として、添付文書の「重要な基本的注意」に経過観察の内容として、角膜内皮細胞数の測定を追記します。また、審査報告書の専門用語を修正すると共に、添付文書(案)における「効能又は効果に関する使用上の注意」については、一部は既往についてで一部は疾患であり、統一性が無い点については、ガイドラインとの整合を図りつつ、記載を整備したいと存じます。医薬品医療機器総合機構からの報告は、以上になります。
○笠貫部会長 ありがとうございました。参考人の新家先生から、何かございますか。
○新家参考人 今、機構から、かなり詳しい御説明があったので、余り付け加えることはないのですが、もう一度簡単にサマライズします。現在、緑内障の手術治療は眼圧を下げるということで、眼圧を下げることに関して、いろいろな方法があるわけですが、多くの症例の場合、濾過手術、線維柱帯切除術がほとんどです。濾過手術は結膜の下に房水を濾過し、漏らすということですので、結膜が瘢痕化して固まってしまうような状況では、まず効果が期待できないということです。
 現在、日本ではバルベルトインプラントが無いので、濾過手術の場合、1回での成功率が5年ぐらい経つと6~7割ということになりますので、3回ぐらい行ってしまうということがあります。ところが、3回ぐらい行ってしまいますと、4回目はほとんど結膜が全部にわたって瘢痕化してしまって、濾過胞の中に水を漏らしても、それが長期に吸収されるような空間ができる可能性が極めて少ないのです。現在困っているのは大体そういった、小児であろうが、どのようなタイプの緑内障であろうが、いわゆる線維柱帯切除術を最低でも2回、普通の場合は3回、ケースによっては4回行っても効かなくなってしまったという患者さんであります。
 合併症は本邦では経験がほとんどなく、例えば個人開業医の先生が御自分で輸入されて患者さんにお話をして、全額私費で使った場合しかありませんが、やはり一番大きな問題としては、バルベルトインプラントのチューブ又はプレートの露出が考えられます。要するに、大きなものを目の横に貼り付けるわけですから、それが薄くて既に瘢痕化した結膜の下に植め込まれていれば、張力が強くて、結膜がなかなか付かないとか、露出することが考えられます。それに関しては、保存強膜で上をパッチすることが一番有効と言われていますが、そういったことを考えて行った上でも、使用後に予後が悪い場合どうなるかということがあるわけですけれども、もともと余りほかの方法では成功が期待できないような症例に使って、それで100%上手くいくのであれば誰も苦労しないわけです。大体の予想ですけれども、恐らく成功率は長期的に5割を切るのではないかと思います。そういった場合はどうするかということですが、海外では、さらにもう1個入れ直す、若しくは最終的には毛様体破壊術を行い、焼土戦術のように出るという方法が行われている場合が多いと思われます。欧米の報告と比較する場合に、気を付けなければいけないのは、欧米、特にアメリカでは、このインプラントを非常に気軽に用いています。すなわち、1回普通の手術をして駄目であった場合、白内障の手術がしてあるというのは一つのリスクファクターなので、次はインプラントを使うという流れになります。恐らく日本で適応を非常に厳密に行った場合の成績とアメリカでの報告されている成績というのは、かなり解離してくるものと考えられます。それは、一応頭に置いておかなければいけないと思います。
 そういった事を理解した上で、当面では通常の線維柱帯切除術の施行が困難、又はその成功が期待できない、又は重篤な合併症が予想される症例に限って使えば、そのような患者さんの数は多くはありませんが、大変患者さんにとっては福音になるのではないかと思います。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御意見、御質問はございますでしょうか。
○荒井部会長代理 全く門外漢なのですが、日本で承認が取られた後、実際にはどのぐらい使われると予測されるのでしょうか。
○新家参考人 最初は、恐らくこのような患者さんが溜まっていますので多いと思います。1年で何例ぐらいになるかというのは、なかなか難しいと思うのですが、最初の1年で100例以下ということは考えられないと思いますが、200例を大きく越えるというようなことは、考えられないと思います。それだけ適用を厳密に考えた場合、恐らくそこまで患者さんは多くなかろうと思います。
○荒井部会長代理 ありがとうございます。実は、伺いたいのは、先ほど笠貫先生がおっしゃられたデバイス・ラグについてです。海外では承認されており、教科書レベルであるのに、国内の承認は今になった。そのくらい差があるわけですね。にもかかわらず、単価がそれほど高くないものに対して、長期成績が無いことを理由に、確かに長期成績は大事ではありますが、承認要件に市販後の全例調査を要求することが適切かどうか、これは重要な問題だと思います。
 先ほど、デバイス・ラグには、申請者側の理由による申請ラグがあるというお話があったと思います。値段は知りませんが、1つが数百万円もすることはなさそうです。とすれば、このような比較的安価なデバイスに対して全例調査が要求されるということは、企業にとってものすごく大きな足枷になっていると思われます。これは、デバイス・ラグを生じる大きな要因ではないでしょうか。緑内障でほかに治療法がない、先ほど新家先生の御説明にありましたように、これを行っても成績には限界があるようです。でも、他に逃げようがない訳です。サイエンスとして長期予後を調べることは勿論大切ですが、それは学会レベルや臨床レベルでもできることです。このような状況下で、そのデバイスを国として入れる場合に、承認要件として全例調査を要求することが適切かどうかは、少し別の観点で考えなければいけないのではないかと思います。
○新家参考人 デバイス・ラグについては、この機器は前から当然みんな知っていて、あったら良いなということで、もう私も10年以上前にそれを販売している企業にこのようなものを導入出来ないかという話をしたのですが、結局、一番問題なのは、非常に高い薬ですと、企業の方も非常に頑張って、日本は大きなマーケットがあるので会社も導入するのですが、結局、これはこういった単純な機器なので、余り企業にとっての儲けにはならないのですね。ということで、むしろ企業の方が乗り気ではなかったということが一つあるかと思います。
 それから、全例調査が良いのか悪いのかという話ですが、我々としては今までの欧米で報告されている論文等々を見ても、非常に気軽に使っている、我々の常識的な考えからすれば、少し使い過ぎではないかと思っています。それをアメリカで行っているのだからと真似て次から次へと使われてしまうと、やはり少し困るということで、学会でも一応少しコンサバティブなガイドラインをまとめた訳です。そういった上で、全例調査を上の方から指示していただけると、企業は迷惑かもしれませんが、我々としては、これできちんとした日本人のデータを取れるということになりますので、学会側としても、それに関しては全面的に協力したい、是非こちらでもそれを一緒にやらせていただきたいということはあります。
 特に問題になっていますが、角膜内皮ですけれども、これに関しては間違いなく悪いはずなのですが、海外では1990年代から市場に出てきますので、例によっては20年ぐらい前から使われているのですが、論文上は3年、4年ぐらいまでしか報告が無いのですね。しかも、パラパラと報告されているということですので、やはりその辺も含めて、きちんとプロスペクティブに見れば、多少遅れた訳ではありますが、有用な情報、特に日本人におけるものを得ることができるのではないかと思います。
○塩川委員 私の専門は門外漢の脳外科なのですが、今の有効性と安全性の話が当然薬事の審査で比べられて、今の承認条件の二つ目のお話について御指摘があったのですが、1点目の医師の資格や講習は事実上どのぐらいの密度で行うのでしょうか。例えば、専門医であれば、誰でもほぼ現実的に行って良いという様々なレベルで、学会で実施する医師の能力や周知度は今後の話になると思うのですが、このように世界的に認知されていて、10数年ぐらいの歴史もあり、成功率、その他ある程度リスクもあるけれども、必要なものだといった時、厚生労働省はどれぐらいの承認条件1.を具体的に求めているのでしょうか。そのことが、他の領域と同様の機器の審議にも関連するような話だと思ったので、もし、PMDAの方かどなたかお答えしていただけるのであれば、具体的にどのような知識、経験の医師が、どのような制度又は講習会を設けることを想定されているのでしょうか。
○機構 医師の要件から申しますと、個人的に技量のようなものを設けている方向ではなく、日本緑内障学会様にガイドラインを作成いただいた上で、それを周知してまいります。その中で学会の会員の先生方に、まず存在を知っていただいて、御理解いただくことが一つとなります。ただ、実際のトレーニングの内容については、エイエムオー・ジャパン株式会社側が海外のマニュアルを参考に作成しておりますので、それを国内版にリバイズしたものを課していくことになると聞いています。
○塩川委員 領域によっては、当該機器について、講習会の受講を必須にしたり、さらに機器メーカーが主導の時もありますが、実際、実施資格のようなものを設けることも行っているものもあるのですが、これについてテキストを読んでもらって、きちんと報告しなさいという程度のことで十分であろうというお考えですか。
○機構 添付文書にも記載しているとおり、実際のインプラントの手術の見学や補助を通じての技術習得のほか、適宜手術のビデオによる手術手技の確認等も行うことを一部添付文書に記載していますが、実際にはそれをトレーニングマニュアルに盛り込んでいただいて、実行していただくという形になるのかと思います。実際の手術手技について確認の上で普及していくものと考えています。
○寺崎委員 今の承認条件についての私の意見ですが、経験を有する医師と記載されているのですが、今までの事例でも眼科専門医という言葉が出てきておりますが、眼科医師の7割ぐらいは専門医です。そのような文言を使ってきたことが多いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○新家参考人 私の個人的な意見ですが、講習会や免許制というのは不要と思います。手術手技自体は非常に難しいわけではないと思います。こんなに大きなプレートを目に縫い付ける訳ですが、ただ、実際に、それを何度も濾過手術が駄目になった眼に行うとすると、結膜表面が非常に強い瘢痕となっていますので、そこを奇麗に剥がして、プレートを挿入して、また閉じようとすると、今度は結膜が足りなくなる等いろいろなことが起こります。そういった意味での様々な状況に対処できる経験ぐらいは必要かと思います。そのようなことを考えますと、緑内障の手術、しかも、過去に上手くいかなかった例、再手術、ないしは再再手術をある程度行った経験がかなりないと、恐らくその場で難渋をするということになると思います。
 事実上は講習会ではなくて、ビデオ教材等、又はそれを行っているような人のところに行くなど、1回ぐらいは見学しても損にはならないかと思いますが、現実は、日本でほとんど行われていないということですので、行く場所も非常に限られてきますし、外国人、特にコケイジアンの眼窩と典型的なモンゴロイドや日本人の眼窩では、かなり大きさが違いますので、そんなに直ぐ参考になるものではないと思います。コケイジアンないしはネグロイドの目というのは、強膜をいじる場合恐らく手術し易いと思います。
○鈴木委員 海外で治療法が確立されていたにも関わらず、導入がかなり遅れたということですが、その理由として、価格が安い、企業が熱心ではなかったというようなことで少し驚きました。実際、本当に学会としては強く要望していたのか、それとも代替する治療があって補えていたのか、これは比較的簡単な手技のような気もするので、アメリカみたいなところでは比較的簡単に使ったけれども、日本人は器用だからカバーするような技術があったのか、あるいはそういうものが無いために、失明などの不利益を被った方が今までいらっしゃった等の事情を教えていただけないでしょうか。
○新家参考人 私の個人的な意見ですので、全員がそう思っているのではないかもしれませんが、例えばアメリカでは線維柱帯切除術が1回上手く行かなければ、もうこちらを使う場合が多いです。ただ、日本ですと、線維柱帯切除術が1回、ないしは2回ぐらい上手く行かなかった眼でも、丁寧に手術を行えば、少なくともこれを使った場合と同じぐらいの成績は多くの例で得られると思います。やはり、これは異物で、しかも直径が24mm、1インチ程度の目玉に30mmほどのものを貼り付けるというところがありますので、例え簡単に使用できたとしても非常に多くの方が使われたとは私は思いません。
 但し、それでもあった方が便利な例というのはたしかにあり、それに関しては、どこかの企業の方には言ったのですが、症例数的に少ないということ、儲けも少ないということで、余りに乗り気になってくれなかったというのがここ10年ぐらいの状況です。今回の申請も一番最初は、エイエムオー・ジャパン株式会社に、どうしても必要なので何とか申請してもらえないかということをこちらが言ったことがきっかけとなっています。
○事務局 事務局から少し補足させていただきます。先ほどの承認条件の件、1.医師の基準について御議論いただいたところなのですが、こちらの方は、眼科の専門医であれば即この承認条件を満たすというものではなく、承認条件通りにきちんと手術への技能や手技に伴う十分な知識を得た上で行っていただくということなので、そこのところは御了承いただければと思います。
○笠貫部会長 眼科専門医という言葉を使っていたので、ここに十分な知識、経験を有する眼科専門医というようにしていただければ、それで整合性は取れると思いますので、そのようなことで御検討いただけたらと思います。
○機構 今までも、専門医の先生方というのは当然自明ですので、眼科であれば眼科専門医の先生の中で、なおかつ条件を絞るという場合に、承認条件は医師という言葉で統一しておりまして、他の診療科であっても同じように扱っていますので、御懸念されるような眼科医専門医であれば全員入るということでもなければ、眼科医専門医以外の先生が入ってこられること、修行もせずに入ってこられることも想定外になりますので、過去の事例通りいけば、この承認条件の文言で差し支えないかと思います。
○笠貫部会長 そこは整合性を取っていただくということで、学会に所属しているか、所属していないのかという問題も、将来的には議論されるところなので、これからの課題とさせていただきます。
○荒井部会長代理 先ほど、新家先生からお答えいただきましたが、このぐらいの価格の医療機器に全例調査を付けることは、本当に様々なことに、デバイス・ラグも含め、大きな影響が生じると認識しています。これについて、PMDAのお考えもこの場で正式にお答えいただき、記録に取っておいていただきたいと思うのですが。
○機構 これは、審査の過程で少なくとも、まず日本での実積が無いことと、予後としては3年間見る必要があるであろうということから、市販後の調査の規模を見極めていくことになりました。患者さんが日本にどの程度おられるかとなった時、全数調査が先にあったわけではないのですが、症例が集まらなければ、再審査の際になかなか十分な検証ができないと考えた場合、100例までは全数集めるぐらいの調査をしていただかないと、結果市販後においても十分な情報が入手できないと考えた上で、こういった設定をしています。ですから、全数調査が先にありきということではありませんでした。
○笠貫部会長 これについては、荒井委員からも塩川委員からも出ましたが、この承認条件を最終的にどのようにするのかの判断は、この部会で決めることで、PMDAとして判断したものをどのように判断するのかということが、この部会の役割です。皆様にこれから最終的にどうしますかという判断をいただくのですが、適応と医師基準と全例登録については、専門の学会と十分お話をしていただき、そこでそれぞれの承認条件としてどうなのかということを詰めていただいたものを本部会へ出していただいているという認識でいます。そのような意味では、一般論の議論としてなる話ではないので、この件についてどうかという判断をいただくことで、承認条件がノーという御意見があればと思います。承認条件については、これまでの流れから言うと、今の承認条件を認めても良いのではないかと私は思いますが。
 ほかに、御意見はございませんか。よろしければ、議決に入ります。寺崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことになります。よろしくお願いします。
 それでは医療機器「バルベルト 緑内障 インプラント」については、本部会として、審査報告書にある条件を付した上で承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、また、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。
 この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することとします。
 議題3が終了しましたので、参考人の新家先生におかれましては、御退室いただいても構いません。
 ありがとうございました。
 それでは、次に報告事項に進みます。
 議題4「医療機器の再審査結果について」事務局より、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題4、資料4-1~4-8「医療機器の再審査結果について」事務局より報告いたします。
 資料は、事前に委員の先生方にお送りしておりますので、この場で一つ一つの詳細な説明は割愛させていただきますが、ここに出ている8品目とも不具合症例等があった場合には、添付文書の改訂等の適切な処置が行われており、有効性・安全性に特段問題は無いという判断がされています。よって薬事法第14条第2項の各号のいずれにも該当しない、すなわち再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要が無いカテゴリーIと8品目とも判断をしております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。特に大きな問題は、無かったということですので、よろしければ議題5に進みます。
 議題5「部会報告品目について」事務局より、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題5、資料5「部会報告品目について」事務局より説明いたします。
 資料は、本年の4月1日~6月30日までの3か月間に承認された品目のうち、本部会への報告対象となっている品目についてまとめたものです。1~12ページが医療機器で、全部合計しますと52品目あります。最後の13ページが体外診断用医薬品で、3品目あります。これらの資料についても、事前に委員の先生方にお送りしていますので、この場で一つ一つの品目の詳細な説明は割愛させていただきます。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。何かございませんか。よろしければ、本日予定された議題はすべて終了しました。今日の二つの審議事項については、デバイス・ラグということの問題から、対照的な二つの件を議論したということでの部会での共通の認識を深めることができたのではないかと思います。そのような意味で、今後、こういった医療機器の有効性・安全性を的確に判断し、より早く良いものを承認できればと思います。また、先ほどは全症例登録がリスク低減、市販後の安全性を見極めた上で、これからどのようにするのか、本部会で検討をさらに進めていけたらと思っています。
 事務局から、その他として何かありますか。
○医療機器審査管理室長 次回の部会につきましては、現在、日程調整中ですので、決まり次第改めて連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
 よろしければ、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個別案件以外は公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 高江(内線 2912)

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