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2011年3月24日 平成22年度第12回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第3回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催) 議事録

健康局結核感染症課、医薬食品局安全対策課

○日時

平成23年3月24日(木)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第18~第20会議室


○議題

平成22年度第12回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第3回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催) 小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの安全性について

○議事

○事務局 それでは、定刻を若干過ぎて申し訳ございませんでした。ただいまより「平成22年度第12回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第3回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催)」を開始させていただきます。
 本日の調査会も公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、よろしくお願いいたします。
 また、傍聴者の方におかれましては、留意事項、例えば静粛を旨とし、喧騒にわたる行為をしないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、厳守をお願いいたします。
 本日、御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 子宮頸がん等ワクチンの安全対策について検討するために、本日は、前回に引き続き、2つの会議を合同で開催させていただきますが、第3回目の合同開催となりますので、新規の参考人の御紹介のみとさせていただきたいと思います。
 本日、新規に御参加いただきました参考人は、安全対策調査会の参考人といたしまして、成育医療研究センター感染症科医長の齋藤先生でございます。よろしくお願いいたします。
 それから、委員の出欠状況でございますけれども、安全対策調査会参考人の神田先生、桃井先生、それから予防接種後副反応検討会の稲松先生が御欠席でございます。
 それでは、これ以降、議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
 それでは、以降の進行を松本先生、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○松本座長 それでは、まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。
○事務局 それでは、事務局より薬事分科会審議参加規定についてでございます。
 子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の委員の方々には、薬食審のルールに準じた対応とさせていただきますことを御容赦くださいませ。
 本日、出席された委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄付金、契約金などの受取り状況の御報告でございます。
 本日の議題は、ヒブワクチン、それから肺炎球菌ワクチンの製造、販売業者でございます、サノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から過去3年度における寄付金等の受取りについて申告をいただいてございます。
 なお、競合品目、競合企業につきまして、事前に資料をお送りして確認をいただいております。
 今回、各先生方の申し出状況から審議への不参加の委員はいらっしゃいませんでした。
 なお、安全対策調査会においては、五十嵐先生がファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたので、お知らせいたします。
 また、参考人におきましては、庵原先生がファイザー株式会社から50万円以下の受取り、岡田先生がサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取り、齋藤先生がサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社より50万円以下の受取りとの申告がありましたので、お知らせいたします。
 また、予防接種後副反応検討会では、岡部先生がサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取り、鈴木先生がサノフィパスツール株式会社から50万円以下の受取り、多屋先生がサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたので、お知らせいたします。
 以上でございます。
○松本座長 ただいま事務局から説明がありました審議参加に関する遵守事項についてはよろしいでしょうか。
 特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて了解いただいたものといたします。ありがとうございました。
 それでは、次に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは、本日は、資料が細かくて恐縮でございますが、委員の先生方のお手元には、山を2つ御用意しておりまして、まず、座席表のございますもの。それから、本日の議事次第を1枚。本日の委員等名簿。その次に配付資料の一覧がございます。こちらをお手元に参考にしながら御確認をお願いいたします。
 まず、この下の資料に関しましては、資料1-1としまして「報告された死亡症例評価について」というものがございます。
 こちらの関係の資料1-2、それから資料1-8の概要につきましては、関係者の了解が現時点でまだ確認できておりませんので、委員限りの資料としております。
 したがいまして、この次には資料1-3の概要。それから資料1-4、1-5、1-6、1-7という順に続いておりまして、1-8が飛びまして1-9というものが0~4歳児の死因別の死亡数の資料でございます。
 それから、資料2の関係につきましては、資料2-1、諸外国の死亡例の状況。
 資料2-2は、参考文献でございます。
 資料2-3についても、同様に参考文献を2つとじたものとなっております。
 資料3のシリーズになりますけれども、資料3-1は、同時接種の状況及び安全性の評価についてという資料。
 資料3-2が「小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンを含むワクチン同時接種の実施状況についてと」いう資料でございます。
 資料3-3は「鹿児島県におけるヒブ・肺炎球菌ワクチン安全性調査」。
 資料3-4は「肺炎球菌結合型ワクチン接種後の副反応の推移」。
 資料3-5は「Hibワクチン接種後の健康状況調査の統計学的解析」。
 資料3-6は「国立成育医療研究センターにおける基礎疾患を持つ小児への同時接種の実態」という資料になっております。
 資料3-7は、外国での同時接種の状況及び安全性の評価に関する文献の概要。
 また、これに関連する文献そのものを参考資料として、その次にお付けしてございます。
 資料4番の関係につきましては、資料4-1、4-2としてございますが、4-1の一部に関しましては、委員席の分について委員席限りの資料が含まれておりますので、傍聴配付分と若干構成が異なっております。
 4-1、4-2は、各製造販売業者からの提出資料。
 資料5番の関係は、5-1といたしまして、ワクチンの検定結果について、それから5-2に関しては、委員限りといたしまして、製造工程における逸脱についての調査結果の資料を配付してございます。
 資料6番がヒブワクチンの自主回収に関する資料となっております。
 資料が以上でございまして、残りは参考資料となりますけれども、参考資料は幾つかございますが、国立感染症研究所感染症情報センター提供資料ということで、?、?、?、?と振りました資料が1つ。
 それから、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性について、前回3月8日におとりまとめをいただきましたものを参考資料として配付してございます。
 参考資料が続きますが、小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告の状況、これは2月28日の合同会議の資料でございます。
 その次は、同様にヒブワクチンの2月28日の会議資料でございます。
 それから、参考資料、その次の分は、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進状況における副反応報告と薬事法における報告の違い。インフルエンザの関係の会議でも御用意しておりました報告範囲を図示した資料でございます。
 次が、各ワクチンの添付文書をまとめたもの。
 それから、前回も御用意しておりました乳幼児突然死症候群についてという資料。
 最後にプレスリリース及びQ&Aをまとめたものを添付しております。
 それから、委員限りといたしまして配付しております資料の分が、各症例に関する参考資料となりますが、症例1番の資料1-2の資料と、症例1の参考、それから症例2の参考、症例3の参考、症例4の参考、症例5の参考、症例6の参考と続きまして、その次、症例7に関する概要、こちらは委員席限りのものとしてお配りしております。それから、症例7の参考。
 それから、資料5-2に関しては、こちらの方にも含まれているかもしれません。失礼いたしました。
 それから、資料4-1について委員限りの資料を含めましたものを委員限りの資料の山にお配りしてございます。ちょっと多くて恐縮ですけれども、以上でございます。不足等ございましたらお申し出ください。
○松本座長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、議題1に移りたいと思います。
 議題1は、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性についてですが、本日は、いろいろと資料がありますので、死亡例の評価、海外での死亡報告の状況、同時接種の安全性の評価というように順に進めたいと思っております。
 まず、初めに、それらの議題に入る前に、前回確認することとしておりました、小児用肺炎球菌ワクチンの製造工程の逸脱と、また、前回の会議以降、ヒブワクチンの自主回収がありましたので、その件に関しても報告をいただいておきたいと思います。
 それでは、まず、事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料の方、ちょっと順番が前後しまして恐縮でございますけれども、資料5-1と5-2を御用意いただければと存じます。
 結論から申し上げると、死亡事例との評価に関連するような逸脱は認められなかったということでございますけれども、資料5-2、委員資料の方を用いまして、簡潔に説明させていただきたいと思います。
 こちらは、厚労省の方に御提出をいただきました前回参考人として参加いただいた和田先生などからの御報告でございます。
 製造工程中に認められた逸脱の調査結果というものでございますが、1枚目の一番下の方、各製造時に安全性に影響を与えることが懸念される逸脱は認められなかった。
 それから、一部製造工程中に微生物数の上昇が見られましたが、逸脱処理の内容を詳細に精査したところ、これら微生物は取り除かれるというようなことが確認でき、問題なかったと。
 それから、エンドトキシンの上昇は見られたものもございましたが、逸脱処理の内容を詳細に精査しまして、最終的なエンドトキシンの値としては確認できているということから、逸脱処理は適切に処理されてワクチン製造には問題なかったという御報告でございます。
 以上でございます。
○事務局 続きまして、自主回収に関しまして、若干、御説明をさせていただきます。資料6をごらんください。
 資料6を1枚めくっていただきまして、1枚目と2枚目、ヒブワクチンの自主回収と分析状況について(概要)という資料が製造販売業者であるサノフィパスツール株式会社から提出されてございますので、これに沿って簡潔に説明させていただきます。
 今年の3月8日に東京と横浜の医療機関におきましてアクトヒブという製品の添付溶剤シリンジに異物が付着しているというのが合計で2本発見されたという連絡がございまして、厚生労働省には3月10日に報告があったところでございます。
 異物の混入が認められましたのは、1つのロットのみでございましたけれども、安全を期しまして、混入の可能性がある計13ロットにつきまして3月11日から自主回収を始めたということでございます。
 このうち、医療機関で実際にどの程度使用されているかという、その辺の推計も入ってございますけれども、未使用の回収対象品の数量は、全体としては不明ではございますが、最大で19万本と予想してございます。
 これは、3月22日現在の数字が入ってございますが、最新の数字は、3月23日までの返品数量といたしまして、11万4,067本の医療機関からの返品数量となっておりまして、これは、仮に19万本というのを母数と考えた場合に、大体全体の6割程度回収されているということであると考えてございます。
 業者側の説明では、3月の末までには、一部震災の影響等があったところを除きまして、医療機関からの回収を得て報告をしたいとのことでございます。
 それから、異物の同定でございますが、業者の方で分析いたしましたところ、この異物は生体由来のものではなく合成樹脂と判断したとされております。外部分析機関に送って更に詳細な分析をしたところ、この異物は、ポリアリルアミドとガラス繊維の混合物と同定されております。
 この混合物は、今回問題となったものと同じシリンジロットで2009年11月に同様のものが見つかっているという報告がございます。
 この原因でございますが、これはシリンジをつくっている会社がサノフィパスツールではなくて、ベクトン・ディッキンソン社というところになりますけれども、そこのシリンジの製造工程において、注射筒を注射針に接着する際に、注射筒を乗せる棒のようなものがあって、そこに注射筒が乗って、注射針が乗るんでございますが、それはUVの照射で接着部分を硬化させるんだそうです。
 そこでトラブルがありまして、このUV照射の時間が長くなってしまったということで、そこでよけいな加熱が起こって乗せている棒が溶けて、それがシリンジ内に張り付いたと考えられてございます。
 更に張り付いた異物というのが、溶剤の製造工程で目視検査で発見されるべきところでございますけれども、それが今回発見された2本については、人的ミスにより検出できなかったという説明がなされてございます。
 それから、右側に行きまして、再発防止策でございますが、シリンジの製造会社でありますベクトン・ディッキンソン社さんにおきましては、警報装置が設置された。それから、サノフィパスツール社の関連工場においては、目視についてより厳密な検出体制をとることにしているとされてございます。
 異物混入に関する情報でございますが、2007年~2011年に供給されたシリンジにつきまして、今回の事例を除いて、これまで異物混入の報告はないとされてございます。
 安全性についてでございますが、業者側の説明によりますと、この異物がポリアリルアミドとガラス繊維の混合物であったと仮定した場合にはなりますけれども、万一この異物が体内に注射されても発現可能性のある有害事象としては痛みを伴うか、伴わない局所刺激だけと考えられるとされております。
 また、異物混入と死亡症例の関連性につきましては、異物の粒子が万一注射された場合であっても、有害事象としては局所刺激であること。それから、異物混入のあったロットを及び回収対象ロットが使用された症例につきましては、製品への異物混入など異常がない上で接種したことを医師から確認しているということから、今回見つかった異物は死亡症例と関連性はないというのが業者側の説明でございます。
 厚生労働省といたしましては、引き続き自主回収の進捗状況につきフォローしていくとともに、国立医薬品食品衛生研究所の方の協力をいただきまして、異物の混入があったサンプルの試験等を行うことによって、あるいはデータの検証を行うことによって、業者の主張の正当性について検証していくことと予定してございます。
 以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。ただいま事務局から説明がありましたことに関しまして、御質問、御意見等はございますでしょうか。
 大野先生、異物混入のあった件について、御発言いただけますか。
○大野委員 ただいま御説明がありましたように、結論としては異物によって今回のワクチンの死亡例が起こされたとか、それに関連するとか、そういうふうには思われないと思います。
 その結論については、業者の出した資料を見させていただいて、そう判断するんですけれども、基本的に考えられることとしては、樹脂そのもの、それからガラス繊維、それらが残っていたということなので、それが影響するという可能性を考えたわけですけれども、そのもの自身は高分子ですし、それら自身が急性的に影響を与えたりとか、それからほかのものの毒性に影響を与えたりとか、そういうことは考えられないと思います。
 また、この樹脂を合成するときの原材料が樹脂に残留し、溶出してきて、それが影響を与えるという可能性も考えなければいけないんですけれども、合成原料であるアジピン酸と、メタキシレンジアミンの毒性は、いずれもそんなに強いものでもありませんし、急性毒性でも経口でのLD50が1g/kg以上であり、毒性は非常に弱い毒性のものです。
 ただ、刺激性が若干あるというようなものですので、そういう刺激性が、もしかしたら抽出物によって起きるかもしれないということは否定できないと思います。
 それから、異物が入るということによって、それ自身によって炎症が起きたりとか、そういうこともあり得るかと思いますけれども、動物実験なんかで肉芽ができたりとか、異物によるガン形成が起きることがございますけれども、これはげっ歯類に特異的にできているものであって、ヒトではそんなに問題にならないというコンセンサスが、毒性分野ではできていますので、特にそれによる影響も考えなくてもよろしいかと思っています。
 そういうことで、結論として、この業者の出した死亡症例と関連性がないと考えるということでよろしいかと思います。
 ただ、結論が業者の出したデータによって出されているので、必要に応じて、うちの国立医薬品食品衛生研究所でもそれを確認する作業はやりたいと考えています。
○松本座長 よろしくお願いします。ありがとうございました。
 委員の先生方で、何か御発言はございますか。
 どうぞ。
○五十嵐委員 この報告書を見ると、大きさが全然書いていないんです。目で見えるというのはわかるんですけれども、どのくらいの大きさのものだったんですか。
○松本座長 事務局、資料はありますか。
○事務局 シリンジの針の付いている上端にかなり、一円に確認されているというような程度でございまして、溶解をする前に、もうお気づきになられて御連絡があったというものでございます。
○松本座長 よろしいですか。結構見える。
○五十嵐委員 リアリティーがわからないんですけれども。
○事務局 ちょっと必要があれば、委員の先生にこれから写真の方をお回しいたしますので、御覧いただければと思います。
○松本座長 お願いします。ほかに御意見はございませんでしょうか。
 ということで、肺炎球菌ワクチンの製造工程の逸脱については感染研で確認したところ、当該ロットに異常は認められなかったということです。
 それから、異物混入問題につきましては、安全性は局所刺激程度、回収対象ロットの死亡例での異物混入は確認されていないということ。
 それから、今般の死亡例の評価と関連するものではないと考えられるということでよろしいでしょうか、特にこのことに関して御異論がないようでしたら、このようにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、続いて、死亡症例の評価について、これは前回検討症例での追加調査の内容と、追加された報告について、事務局より資料の説明をお願いします。
○事務局 それでは、事務局の方から資料1番のシリーズを御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1-1をごらんください。前回3月8日のとりまとめにおきまして、各症例に関して入手可能な情報を次回までに収集するという御指摘をいただいておりました点と、それから、その後も、報告された症例がございましたので、資料1-1にその状況をまず、お書きしてございます。
 3月2日以降、3月8日の会議までにということでございますけれども、これらワクチンの接種後の乳幼児において5例の死亡例が報告されている。
 その3月8日の会議以降報告された6、7症例目の死亡例を含めまして、死亡の解剖所見、カルテなどからの症例の経過、疾病の重篤度、できる限り詳細な情報の入手に努めさせていただきました。また、必要に応じ、専門家の評価を改めて実施してございます。
 トータルといたしましては、7例、0~2歳例の乳幼児で基礎疾患のあるものが3例、基礎疾患が明確でないものが4例ということでございました。
 接種から死亡までの期間は翌日3例、2日後1例、3日後2例、7日後1例という状況でございます。
 概要、死因等については、その次に付けてございます一覧のとおりでございます。
 現在得られている、これら各症例の経過、所見に基づいて評価したところ、特に新規の症例、最後の7例目などについては、現段階の情報が不十分だという専門家の御意見もございますけれども、いずれもワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと考えるというような内容かと思います。
 なお、例えば先天性の心疾患などの重い基礎疾患を有する患者に関して、状態によっての十分な注意は必要であるという前回の御指摘も含めさせていただいております。
 資料の一覧の方は、次の2枚目、3枚目になります。
 ごらんのとおりでございまして、7例目の一覧としてございますが、最後、参考といたしましては、2月28日の会議に報告しました単独接種の死亡1例も併せてここに追記させていただきました。
 各症例の経過に関して、その後の調査の内容を補足させていただきたいと思います。
 資料1-2は、委員限りの資料になってございますので、詳細な口頭での説明は割愛させていただきますが、□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 □□、□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□、□□□□□□□□□□。
 それから、資料1-3、症例2番の概要でございますけれども、こちらも下線部分が追記された箇所になりますが、症例の経過、それからこの症例では1枚目の下の方にございますが、咽頭拭い液からのウイルスのPCRによる同定なども調査が行われております。
 2ページ目、3ページ目が専門家の意見といたしまして、こういった感染症による可能性について、ウイルスが分離したことから可能性が高いというコメントをA先生からはいただいてございます。
 また、B先生の方からは、臨床所見は必ずしもこのウイルスによる細気管支炎、気管支肺炎とは一致していないがということではございまして、このウイルス感染そのものがワクチンとの因果関係否定というところまでは至らないのではないかということでございます。
 また、C先生は、過去にヒトメタニューモウイルス感染症による急性脳症や肺炎などでの死亡例の報告もあることから感染症による死亡の可能性もあるのではないかと。ただ、それが、実際にそうであるという断定もできないために、否定も肯定もワクチンとの関連ではできないという評価でございます。
 それから、資料1-4、症例3番目に関してですけれども、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□、□□、□□□□□□□□□□□□□。
 □□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 □□□□、□□□□□、□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 それから、症例4番、資料1-5でございますけれども、こちらに関しても症例の経過といたしまして、心機能でございましたり、解剖所見などの追加が行われてございます。ただ、解剖所見の方からは、少なくとも心・肺急性循環不全の原因所見が見出せず、突然死の原因は解剖によっても明らかでなかったというものでございます。
 したがいまして、2ページ、3ページ目でございます専門家の意見については、特に大きな変更はございません。
 それから、症例5番、資料1-6に関してでございますけれども、こちらは、余りその後の調査としまして、具体的な追加情報はございませんで、気道に嘔吐物がなかったということの確認が行えたのみということでございます。したがいまして、評価の方は従来どおりということでございます。
資料1-7の症例6からが新しい症例になりますので、少し説明をさせていただきます。
 症例6に関しましては、事例としまして、6か月以上、1歳未満の男児でございますが、ヒブワクチンの1回目とDPTの2回目を2月15日に実施したものでございます。接種前体温は36.8度で、鼻汁が少し出ていたが全身状態良好というもので、接種後、2月22日まで、したがって、1週間特段異常がなかったというものでございます。
 しかしながら、22日の午前7時ごろ、うつ伏せ寝の状態で反応がないことに保護者の方が気づかれ、直ちに救急要請、医療機関へも搬送されまして、蘇生処置を行われましたが反応なく、午前9時13分に死亡が確認された。
 本例に関しては、死因を特定できる特異的な所見は見当たらなかったということで、死因はSIDS疑いとされてございます。
 なお、便からPCR検査でノロウイルスが検出されてございますが、このノロウイルス感染症に合致する症状は把握されていないという状況でございます。
 以上のような状況から、報告されております解剖結果などからは、SIDSの可能性が高いとされているものでございます。
 2ページ目、3ページ目に専門家の意見がございますけれども、A先生からは7日目に突然死した乳児であり、SIDSの可能性が最も高く、ワクチンとの因果関係はないと判断するという御意見でございます。
 B先生も同様にSIDSが疑われ、ワクチンの関与に関して唯一可能性が残るとすれば、急性心筋炎でございますが、接種7日目に不活化ワクチンが原因で致死的な急性心筋炎に伴う心不全を来すことが起こり得るかどうかは疑問であるということから、ワクチンとの因果関係は心筋炎が証明されない限りはないという御判断でございます。
 C先生も、接種医はワクチンとの因果関係は不明としているが、SIDSが第一に考えられるのではないかと思っていると。解剖結果を見ても、その疑いがより強くなったと考えられるという症例でございます。
 それから、症例7番の関係の資料1-8に関しては、委員限りとしてお配りしているものでございまして、こちらは関係者の了解がまだ得られておりませんので、委員限りとさせていただいておりますため、口頭での詳細報告は割愛させていただきますが、昨年7月にヒブワクチン1回目とDPTの同時接種を実施した症例でございます。
 その後、2日後に頻呼吸を認め、3日後にお亡くなりになられたというものでございます。
 専門家の意見といたしましては、現在、お配りしているものに関しても、かなり情報は不足しておりまして、臨床経過、司法解剖の詳細は不明であり、因果関係については、現時点では肯定、否定もできないというのがA先生の御意見です。
 B先生に関しても、2日以上の経過であることから、直接原因とは言い難いところがあると。ただし、詳細がまだ把握できないため、因果関係も否定できないということでございますし、C先生も情報が乏しく十分な検討が行えないというコメントをいただいている症例でございます。
 死亡症例の評価に関しまして、従来、御報告した症例の追加の部分と、それから新規の症例についての御説明、簡単でございますが、以上でございます。
○松本座長 情報が追加された例と、新規の症例について事務局から説明がありましたが、委員の先生方、御意見、御質問等ございますでしょうか。情報が追加された症例の場合は、否定的な要因が強いような印象を受けますが、いかがでしょうか。
 いずれにしましても、ワクチン接種と直接的な明確な関係は認められないということはよろしいでしょうか。特にこれに関して御異論はございませんでしょうか。
 あと、重度な疾患を有する患者さんにおいては、この報告例から見ていかがでしょうか。何か御意見はございませんか。
庵原先生、何かコメントはございませんか。
○庵原参考人 先天性心疾患に関しては、結構皆さん重たい方ばかりです。ただ、剖検所見からでも心臓が直接の原因ともわかりませんし、ワクチンが直接の原因ともわからないというような形ですから、この時点では何とも言えないというのが結論かなと思うんです。ただ、心臓疾患だけがこれだけ死亡例に含まれているというのが、ほかに重篤な基礎疾患というのは幾つかあるんですけれども、先天性心疾患だけがなぜこれだけ含まれているのかということに関して、ちょっと原因がわからないというか、それだけ重篤な心臓疾患は今後注意して接種すべきではないかというような方向に向かうのかなと、私は思います。
○松本座長 この症例4で、剖検で心筋に変色域が見られるというのは、もともと何かあったと考えた方がよろしいわけですか。
○庵原参考人 はい。ただでさえ、単心室というのは、生命的予後がもともと芳しくないという疾患です。ですから、少なくとも心臓が何らかの影響を及ぼした可能性は否定できないと思います。
○松本座長 こういう症例に関して、ワクチンを行う場合は、ある程度注意を要するということは言えるわけですか。
○庵原参考人 要するにワクチンで起こったのか、原疾患で死亡したかの判断がつきかねるという現象が起こってくるということです。ですから、逆に言うと、心臓が悪いからワクチンを打てないという方向ではないんですけれども、心臓の疾患によって、たまたまワクチンを打った後に、こういうことが起こり得るリスクはあるという表現の方がいいかもしれません。
○松本座長 注意してやるということになりますね。
○庵原参考人 はい。
○松本座長 ほかに御意見はございませんでしょうか。
 どうぞ。
○岡部委員 岡部ですけれども、心臓疾患も含めて、ほかの場合は、病気にかかったときにハイリスクであると思うんです。ですから、予防接種はそのハイリスクを救うための1つの方法なので、勿論、慎重に接種する、更に慎重度は必要だと思いますけれども、その慎重が行き過ぎたために、心疾患の方にワクチンは接種できないというような間違った考え方にならないようにしていただければと思います。
 庵原先生、それでよろしいですね。
○庵原参考人 結構です。
○松本座長 ありがとうございます。齋藤先生、どうぞ。
○齋藤委員 ありがとうございます。1つ付け加えさせていただきますと、そのような、特に重症な心疾患を持つ患者さんの中に、脾臓のない患者さんとか、脾臓の機能が落ちている患者さんが、私たちの施設の中に多数いらっしゃいます。そのような患者さんは、いわゆる莢膜を持った細菌、すなわち肺炎球菌であるとか、ヒブであるとか、このような感染症に感染すると、致命的であります。
 このような疾患から守るためにも、特にこの2つのワクチンに関しては、非常に重要な意味を持っていると考えております。
○松本座長 むしろ、予防接種をした方がいいかもしれないということになるわけですね。ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 私は、余り専門家ではないのであれなんですが、今日提出されました症例7の患者さんの場合は、ワクチン接種3日後に急性循環不全、ショックになっているわけですが、ワクチンでこういう3日後にショックになるような作用があるかどうか、御存じの方はおいでになりませんか。
 どうぞ。
○庵原参考人 一般的に不活化ワクチンの場合は、アナフィラキシーなりショックを起こすのは接種後30分以内です。時にこの前のアナフィラキシーのときにも遅発型といいまして、接種して12時間、24時間で起こってくる場合まであるんですけれども、72時間以上経って、ワクチンが直接関係するショックというのは、今までないというのが一般的常識としてワクチン関係者は思っています。ですから、こういう循環不全まで、これがワクチンだと言われると、ちょっと考え方を改め直す必要がありますし、普通は、これはないだろうと判断するのが一般的だと、私は思います。
○松本座長 ありがとうございます。確かに、ほかに死因がはっきりしないので、こういうふうなことになっているとは思うんですが、ワクチンが関与した可能性はかなり低いと考えてもよろしいわけですね。ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしいようでしたら、続いて、諸外国での死亡報告の状況について事務局から説明いただけますか。
○事務局 それでは、事務局の方から、前回のとりまとめにおきましても、諸外国での状況などについて、情報を収集すべしということでございましたので、その関係の資料を御説明させていただきます。
 まず、外国では、資料1-9番、少し御説明だけさせておいていただきます。SIDSの疑いのある症例が、今回、多くございますけれども、SIDSの発生状況というものについて、例えば季節要因なども確認しておいた方がいいんではないかというコメントを委員の先生からもいただきましたので、資料1-9番では、1枚めくっていただきますと、これは全体としては0~4歳児の月別、死因別死亡数のもの御用意しておりまして、1枚目は、21年の人口動態調査からの乳児の死亡数の月別件数でございますが、一番この資料でごらんいただきたいのは、3ページ目の横の表になってございます分ですが、乳幼児突然症候群による乳児1歳未満の死亡数としまして、平成17年から22年10月までの速報値というものを表にしてまとめさせていただいております。
 年間にしますと、22年を除きますと、およそ140~180近い数字が毎年出ていると。
 それから、月別に見た場合でございますけれども、一定の傾向といたしましては、夏場にやはり少なく、冬場にかけて相対的に多いという状況が伺えるのではないかと考えてございます。
 そのほかは、0歳児~4歳児までの各年度別の数字が出ておりますので、詳細な説明は割愛させていただきます。
 続きまして、諸外国での死亡例の状況についてということの資料2-1の方に、全体の概要をまとめてございます。
 今回、御指摘をいただきました点について、いろいろ調査をしてございますが、調査の概要としまして、?番、米国の使用成績に関する論文、それから製造販売業者が収集した報告などから、いずれのワクチンに関しても接種後一定程度の死亡報告は、海外においても常に継続的に確認されているというものでございます。
 海外での死亡例の報告頻度でございますけれども、小児用肺球菌で、おおむね対10万接種で0.1~1程度、ヒブワクチンでおおむね対10万接種で0.02~1程度ということで、国によって若干数字の変動がございますが、この程度の幅の死亡報告は確認されている。
 それら報告の死因に関しては、多くは感染症やSIDSが大半を占めておりまして、ワクチンとの因果関係が明確なものではないものが、いずれも多いということになってございます。
 それから、国内では死亡報告の集積に関して、直近までの出荷数量を基にした接種から、今回の報告をまとめて割り返しますと、小児用肺炎球菌で10万接種当たり0.2という数字、ヒブワクチンでは、10万接種当たり同じく0.2という数字になってございます。
 資料2-1の下には、今回用意した資料の概要を抽出して書かせていただいておりまして、資料2-2として添付いたしました前回も御用意しておりましたJAMAの論文でございますけれども、米国の小児用肺炎球菌ワクチン発売後、2年間の安全性調査でございますが、3,150万回分接種において、4,154の有害事象報告のうち117例の死亡ということで、この頻度を割り返すと、10万当たり0.37ということでございます。
 117死亡のうち、73例の死因は不明とされ、44例では死因が特定されてございます。この不明73例のうち59例がSIDSまたはその疑いというものでございました。
 (2)は、製造販売業者から報告された海外死亡症例の状況。これは、資料4-1と4-2に、今回、製造販売業者から海外の、これらワクチンの発売状況でございますとか、予防接種スケジュールでございますとか、それから、副作用報告、死亡報告の状況、それからそれらの同時接種の内訳別の報告など、前回から時間もありましたので、かなり詳細に今回資料をとりまとめさせていただいたもの添付してございます。
 そのうち、こちらの資料2-1では、海外死亡症例の状況について?番としまして、小児用肺炎球菌の方に関しては、そちら4-1の方から抜粋したものでございますけれども、2005~2010年5月までのデータによりますと、死亡報告は、世界で166例、同期間の出荷数量、全体1億5,800万接種分で、10万接種当たり平均で0.1。
 国別に見ますと、これが多少ばらついておりまして、高いところでは、欧州のオランダ、ドイツ、スイスで0.4~0.6というものでございました。
 2ページ目でございますけれども、ヒブワクチンの方でございます。サノフィパスツール株式会社提出資料、資料4-2から抽出したものでございますが、こちら2006年1月から2011年3月までの収集データ、資料4-2の15ページの表16にございますけれども、こちらでは死亡報告、世界で21例ということで、同期間の出荷数量5,304万回分から割り返しますと、0.04。ただ、国別で見ますと、高い国ではカナダの1.0、スウェーデン0.3、ベルギー0.1というものでございまして、こちらの国別の報告頻度も資料4-2の方には詳細なものが含まれてございます。
 欧米において、これらワクチンの同時接種の状況についても、今回、調査を行っていただいておりますが、同時接種が一般的に行われているという中で、死亡報告に関しても同時接種のもの、それから単独のものいずれも含まれているという状況でございます。
 「(3)国内での死亡報告の集積状況」でございますけれども、先ほど申し上げましたように、小児用肺炎球菌で10万当たり0.2、ヒブワクチンで0.2という状況になってございます。
 それから、接種の状況についてでございますけれども、それぞれ小児用肺炎球菌で267、ヒブで451万回分が既に出ているわけでございますが、こちらは、資料3-2の方の調査の数字を抽出したものでございますけれども、平成22年から23年2月までの期間における、これら2つのワクチンを接種している546の医療機関について調べさせていただいたものでございます。
 「平成22年度は」と書いてございますが「平成22年」の誤りでございますが、事業が開始されたのが11月からでございますので、22年はほぼ事業が行われていないという理解で結構かと思いますが、いずれも月平均8,000接種回数程度、トータルいずれも1月~12月でおよそ10万でございますので、12で割り返しまして、月8,000回程度でございますが、23年1月は月間で2万を超え、2月月間で3万を超えるということで、2倍、3倍を超える急速な接種数の増加傾向が認められているという状況になってございます。
 資料の説明、事務局の方からは以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。岡田先生より、資料2-3の文献について、御説明いただけますか。よろしくお願いします。
○岡田参考人 資料2-3をごらんください。これは、SIDSと予防接種との関連をメタアナリシスをやられた論文で、Vaccine 2007に出ています。この中で、国際的には9つの論文があります。ワクチンは基本的にはDPTワクチンになっています。DPTワクチンと、例えば経口ポリオワクチン、B型肝炎ワクチン、ヒブワクチンなどとの同時接種のものもございます。
 Table1の多変量解析をごらんいただくと、1つの試験だけが1.28ですけれども、これは95%信頼区間が1をまたいでいて有意ではないと思います。それ以外は、オッズ比が1を超えずに、むしろ抑制的になっています。ワクチン接種とSIDSとの関係では、ワクチン接種がSIDSのリスクを上げない。むしろ抑制的に働いているとするメタアナリシスの論文でございます。
 もう一つが、2ページ目にあります。これは、SIDSのケースコントロールスタディーでございます。ワクチン接種はオッズ比は1.08ですが、95%信頼区間は1をまたいでいて有意ではありません。SIDSのリスクとして知られていますうつ伏せのオッズ比は9.8でございます。基本的には、この論文もDPTワクチン、ヒブの同時接種も含めてSIDSのリスクを上げないとする論文でございます。
 以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。更に感染症研究所、感染症情報センターより資料を御提出いただいておりますので、多屋先生より提出いただきました参考資料と資料3-5を併せて御説明いただけますか。よろしくお願いします。
○多屋委員 資料3-5と最後の参考資料というのが準備したものなんですけれども、それでは、最初に参考資料の方からでよろしいでしょうか。
○事務局 参考資料は、幾つかあってわかりにくく恐縮なんですけれども、国立感染症研究所感染症情報センター提供資料として?~?まであるものでございます。
○多屋委員 了解です。それでは、参考資料の?~?について、簡単に御説明させていただきます。
 まず、?番なんですけれども、米国の副反応のサーベイランスシステムの1つであるVAERSの報告が公開されていますので、それを少しまとめてみたものが1番です。
 VAERSについては、誤解がないように、最初に簡単に説明させていただきます。VAERSというのは、あくまでも全国の医師、看護師、親、患者さん、だれからでも自発的に報告ができるシステムで、CDCとFDAによって運用されているんですけれども、VAERSについては、因果関係とは関係なく、接種後に起こった有害事象について報告されているもので、主な目的は、シグナルを検出するということが目的の報告になっているかと思います。
 ですので、VAERSのデータを解釈するときに陥る誤った過程の1つに、VAERSの報告がすべてワクチンによって起こった、いわゆる関連性があるとして報告されているものではないということを最初にお断りさせていただいてからお話を進めたいと思います。
 2010年に3万1,657の報告がありまして、その中には死亡報告が161人報告されていました。その中から、今回と同じ年齢の0~2歳が61人、接種30日以内の報告が53人、そして、1週間以内の報告が45人でしたので、それをまとめたものが次のページです。
 月齢別ですけれども、VARESには0.1とか0.2歳と記載されているので、それを月齢にしたものが下のグラフなんですが、2か月のところで多く報告がされています。
 上の方は、何月に報告がされていたかということなんですが、これは先ほど堀内さんから御説明がありましたが、日本でのSIDSの季節変動というのを、もう少し後ろの方に資料として載せているんですけれども、夏に少なくて、冬から春にかけて多いという報告になっています。
 表の1については、先ほど御紹介しました45例について日本語に訳したもので、そのままをもってきています。接種日と死亡日までの日数が若干違っているところもあると思うんですけれども、日数と死亡日のどちらの方を直していいかわからないので、そのままもってきたものです。こういうような報告がなされていまして、ヒブや今回問題になっているヒブ及び肺炎球菌のコンジュゲートワクチンについての報告がこれくらい報告されているということです。
 次に?番なんですけれども、これが先ほど御紹介がありました人口動態統計から得られた死亡数を簡単にトレンドを見るためにグラフにしたものです。直近の公開データが2010年10月までの報告でしたので、2010年10月からそれぞれ1年間ずつ、3年間に分けてグラフ化したものです。ですので、11月から10月までの乳児の死亡数をグラフ化したものが一番初めのグラフになります。?のグラフの一番初めです。ページ数でいくと、14ページとなっているところです。
 その次のページにつきましては、先ほど少し御紹介した乳幼児突然死症候群には季節変動があるんではないかということで、グラフにしたもので、夏に多くて、その後、増えてという傾向が見られます。
 その下につきましては、今回亡くなられたお子さんがいらっしゃるんですけれども、それぞれ原因として推定されているものを先ほどの人口動態統計の表から集めまして、心臓に関する死亡原因、そして、窒息に関する死亡原因を集めて、トレンドを見るために示したものです。
 いずれにつきましても、ワクチンがまだ導入されていない時期の青のグラフより赤や緑のグラフ、つまり、ヒブワクチンが導入され、肺炎球菌のワクチンが導入された後、どんどん死亡数が増えているという傾向は認められないことになります。
 次に、?の最後は、ヒブや肺炎球菌のワクチンは、主に髄膜炎や敗血症といった重症の感染症を予防するために、子どもたちが接種を受けているワクチンなんですけれども、そういった病気によって亡くなっている乳児数をグラフ化したもので、こちらの方はかなり数が少ないのでばらばらになっています。
 ?につきましては、感染症情報センターの大日先生が中心になって、ヒブのワクチンが導入されたときに、ヒブによる重症感染症のサーベイランスをするために構築したデータベースです。そのまとめを示しています。
 20ページになりますが、そのサマリーですけれども、2009年5月に開始して、直近までの結果をまとめたものがこれになります。
 ヒブは髄膜炎・敗血症以外に、多くの侵襲性感染症があるんですけれども、それがかなり詳しく報告されてきていまして、また、報告してくださいますと、リアルタイムに情報が共有できるという目的からこの調査が行われています。
 年齢は、0歳が多くて、次いで1歳です。そして22ページにつきましては、発症の月別報告数なんですけれども、このデータベースは全数サーベイランスというようなものではなく、あくまでもお医者さんの任意の御登録によるものなので、数のトレンドを見るには、余り適した方法ではなくて、むしろ、重症の患者さんの情報を詳しく見ることを目的としています。
 22ページの下には、死亡例が報告されていることを記載しています。そして、その次のページに行きまして、入院、そして、後遺症あるいは死亡の転機をとった患者さんが、どういった年齢に発生しているかということを示したものですが、ヒブの重症の感染症は0歳に多く、その中でも特に乳児期後半7か月、8か月といったところに多く報告されているのが、このグラフからもわかります。
 具体的な診断名は、26ページに示しておりますように、髄膜炎が診断名の中に入っている患者さんが、最も多くて、全体の67%が髄膜炎プラス膿瘍ですとか、髄膜炎プラス水頭症ですとか、そういった診断名が報告されてきておりまして、非常に重症の患者さんが報告されております。
 次に、敗血症や菌血症といった患者さんが約1割、肺炎が8%、そして、急性喉頭蓋炎も非常に重症の病気なんですけれども、これが4%、あと蜂窩織炎、関節炎といった重症の感染症の患者さんが報告されてきております。
 次に、薬剤の使用状況や検査の状況等は、臨床医がこういった情報を共有して、今後の診療に役立ててもらうためにつくったもので、情報を登録してくださった先生方の間では、情報共有できるということになっています。
 最後、?なんですけれども、これはヒブのデータベースとは全く違うサーベイランスで、これは感染症法という法律に基づいて行われている感染症発生動向調査から得られたグラフなんですけれども、基幹定点といって、比較的大きな病院ということが多いと思うんですが、小児科や内科を標榜してベッド数が200床以上の病院が基幹定点になっていますが、全国に約450~470か所あります。そこから毎週患者さんの数が報告されてきています。
 その中で、細菌性髄膜炎だけを特出ししたものが?、最後のページです。毎月の報告数がグラフ化されていまして、これは担当されている安井先生が数を調べてくれたんですけれども、赤がインフルエンザ菌、typeBまでわかっていない方もいますのでそのように記載しています。そして、青が肺炎球菌、緑がそれ以外の菌というふうになって、こういうような情報が得られています。
 ただ、双方ともによいところと、制限の部分があるので、ヒブによる重症の患者さん、そして、肺炎球菌による重症の患者さんのサーベイランスは、今後ともしっかり続けていかないといけないと思っています。
 最後に、資料3-5はどうしたらよろしいですか。
○事務局 3-5は、後の資料なので、今のご説明では結構です。
○多屋委員 はい。そして、先ほど乳児死亡統計のグラフを紹介させていただいていたと思うんですけれども、この死亡統計を基に、資料にはお出ししていないんですけれども、検討しました。ヒブや肺炎球菌ワクチンの接種者の中から今回亡くなられた方がいらっしゃったということで、これらのワクチンの接種を受けた方の中で亡くなられた方、そして、ワクチンを受けていらっしゃらない方の中で亡くなられた方という割合に差があるかどうかということをフィッシャーの正確確率検定という方法を使って検定した結果を少し紹介させていただきます。
 感染研の細菌第一部の和田先生に調査を随分やっていただいたんですけれども、その結果を紹介します。それぞれのワクチンの出荷数というのがわかりましたので、そこから推計した毎週の接種者数を出しました。そして、先ほど紹介した2009年の1年間の0歳の死亡者の中から周産期死亡というのは、ちょっと特殊なので、それを除いた数を計算しますと、毎週大体36人くらいの0歳の赤ちゃんが亡くなられていらっしゃいました、その数字と比較検定いたしました結果、ワクチンを受けられた方と、受けられていなかった方の死亡割合に統計学的な有意差を認めることはできなかったという結果が得られてございます。
 以上、簡単ですが、参考資料の説明とさせていただきます。
○松本座長 ありがとうございました。ただいまの事務局及び参考人からの説明に対しまして、御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 庵原先生、死亡報告の頻度について外国例も併せてコメントいただけますか。
○庵原委員 これは、世界の出荷10万本当たりの死亡者数ですね。国によって大分差があるんですけれども、でも日本のヒブもプレベナーも、その数の中に含まれるというか、逆に言うと、国別に見た場合に、日本の方が逆に少ないくらいであるという結果だと思います。ですから、特に日本がプレベナーないしはヒブによって死亡者数が突出して多いということはないという結果です。世界共通の現象の中に含まれるという解釈でいいんではないかと思います。
○松本座長 ありがとうございました。ほかに御意見等ございますでしょうか。今のところ、事務局、何か追加の問題はありますか、よろしいですか。追加では特にないですね。
 ここまでのところ、いろいろな説明を聞いておりますと、諸外国と比較して死亡報告の頻度が明確に高いという状況ではない。
 それから、国内での乳児死亡データにおいても、今回の死亡報告の頻度が通常の乳児死亡数の範囲を超えるものではないと思いますし、そのために、国内でのワクチン接種においても、安全性に特段の問題があるとは考えにくいというような御意見になろうかと思うんですが、よろしいでしょうか。御異論はございませんでしょうか。
 ということで、国内外の死亡状況などについては、おおよそまとめていただきましたが、次に同時接種の状況について、事務局の方から説明をお願いします。
○事務局 済みません。そちらに入る前に、1つ事務局の方で確認をしておきたいんですけれども、今回、こういう同時接種といいますか、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンを新たに昨年から接種事業として位置づけて導入をしている状況ですけれども、0歳代のお子様方には、これまでもDPTワクチンをずっと歴史的に接種をしてきてございます。そういう中では、大体年間死亡例だと1例程度くらいが報告されるにとどまって、これまでずっと歴史的に推移をしてきているんですけれども、この2ワクチンの接種が加わったことによって、何か報告が増えているようなイメージを一般に与えているような感じがしております。
 これについては、恐らく、我々事務方の方で見ている感じですと、今回、報告をいただく報告様式の中に、例えば因果関係不明であるとか、因果関係ないといった欄が新しく加わって、それによって先生方が因果関係を疑っていないようなものでも報告しやすいような、また、報告をしなければいけないという思いを持ったり、そういう影響もあるのかなというように、我々事務方の方では感じる部分があるんですけれども、現場の先生方がごらんになられて、その辺はどうかというところで、ちょっと御意見をお伺いしたいと思っております。
○松本座長 多屋先生、その辺について、御意見をいただけますか。
○多屋委員 定期接種のワクチンで、ヒブや肺炎球菌のワクチンと同じくらいの年齢に接種するワクチンには、DPTワクチンなどがあるんですけれども、定期接種の場合、予防接種後副反応報告というのが行われています。そちらの方は、ある程度、このワクチンによってこの副反応が起こったのではないかという考えから報告される先生が非常に多いんではないかと思います。
 しかし、一方、今回の接種事業は、去年の新型インフルエンザのワクチンもそうだったと思うんですけれども、接種してから一定期間にあった有害事象はすべて報告してくださいという仕組みなので、今回のことは、その仕組みが非常にうまくいっていて、きちんと届けられているんだと、むしろ感じます。ですので、報告する対象となった患者さんがワクチンの接種とは因果関係がないと思っていらっしゃったとしても、今、事務局がおっしゃられたように、すべて報告をしてくださっているというところから、定期接種後の予防接種後副反応報告とは、報告の仕組みが若干違うということで、多く報告が上がっているのではないかと感じております。
○松本座長 特に同時接種になって死亡例が増えたのではなくて、収集の方法が変わったのでそのようになったという理解でよろしいわけですね。
○多屋委員 はい。あと、追加なんですけれども、米国も同時接種がよく行われているんですけれども、その同時接種を始められたときに、今回の日本と同じような御経験をされていらっしゃるようで、それに関連した論文なども出ておりますので、同時接種と今回のようなことも含めまして、有害事象と副反応というのは、少し考え方を分けて、きちんとサーベイランスしていく重要性を今回も感じたところです。
○松本座長 ありがとうございました。どうぞ。
○岡部委員 岡部ですけれども、むしろ一昨年からのいわゆる新型インフルエンザワクチンのように、有害事象について一定期間届けていただくというのは、非常に複雑なやり方であったり、理解が難しいところもあるんですけれども、客観性が出てくるということでは、不明の部分も含めてきちんと出せるということでは、今後、非常に重要なシステムだと思います。
 ですから、従来のような形での、そうかもしれないということだけを報告するのではない、こういったような形でのデータの収集というのは、今後、システムとして非常に重要なので、今回、そういう意味では、誤解を受ける言い方かもしれませんけれども、いい機会なので、こういうシステムを動かせるようにしていただければと思います。
○松本座長 事務局の方で、その点、考えていただければと思います。
 どうぞ。
○岡田参考人 まさに岡部先生、多屋先生と同じではございますが、基本的に有害事象としてあげていただいた報告から、有害事象と副反応をきちんと区別するような形で、世界に合わせたような鑑別方法を国内でも将来的に導入していく必要があるのではないでしょうか。
○松本座長 そうですね。評価をするシステムもちゃんと充実していただければと思います。
 ほかに御意見はございますか。
○保坂委員 実際に現場で届出をする立場から申し上げますと、やはり多屋先生がおっしゃったように、これはかなり関係があるのではないかと疑ったものだけを今まで報告しておりまして、今回のシステムでは、とりあえず、ある期間の間に起きた有害事象というか、何か変化については、すぐに厚労省の方に直接お届けするシステムになっていると思いますので、このような結果が出ていると感じています。
 今回の報告に挙がっているようなものは、実は日常的に非常に頻度は多いわけではないですけれども、私どもは臨床の現場で経験しておりましたけれども、そういったものは届け出ておりませんでしたので、今の皆様の御意見に賛成でございます。
○松本座長 ありがとうございました。事務局の方、それでよろしいですか。
 それでは、同時接種の状況について、説明をお願いします。
○事務局 それでは、続きまして資料3の関係の御説明に移らせていただきたいと思います。
 まず、資料3-1をごらんいただけますでしょうか。先ほどの資料2-1のように、こちらは同時接種の状況及び、その際の安全性の評価について今回収集しました資料をまとめさせていただいたものになります。
 調査の概要といたしまして、まず、?といたしましては、今回、日本医師会と小児科学会の御協力を得まして、予防接種を積極的に実施しているという医療機関になりますけれども、前回の会議、3月8日以降、3月10日から12日の非常に短い期間でございますが、電子メールによる調査を実施していただきまして、866の医療機関から御回答を短期間にもかかわらず、頂戴することができました。
 23年の2月の1か月間では、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの同時接種が全体の75%以上を占めている。また、製造販売業者の調査でも、やはり同時接種が多いという傾向は認められております。
 ?の製造販売業者の国内での市販後調査/臨床試験では、DPTワクチンとの同時接種に関して臨床試験なども行われておりますが、これは資料4-1、4-2の方に、その成績を含めてございますが、やはり副反応発現率としては、同時接種の方が単独よりも高いという傾向は認められているようでございます。
 ?の鹿児島大学の調査におきましては、同時接種、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの同時接種と単独接種の有害事象の発現率に有意差はなかったということでございます。
 ?、欧米においてでございますけれども、文献を今回、資料3-7として御用意してございますけれども、同時接種において局所反応あるいは発熱などが増加するケースは認められてございますけれども、重篤な副反応が単独接種と比べて有意に多くなっているというような状況は確認されていないということでございます。
 また、繰り返しになりますけれども、諸外国では同時接種が定期接種となっている国が多くございますけれども、単独、同時のいずれの場合の死亡例の報告も認められているという状況でございます。
 調査の概要のまとめとしては、以上からみた、国内及び国外を含めてでございますけれども、そのデータからはヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの同時接種における副反応の発現率、発現率については単独接種に比べて高い傾向がございますけれども、際立った安全性のプロファイルの違いや重篤な副反応の増加というようなことは認められていないのではないかというような状況でございます。
 資料3-1のその後の資料について、若干、解説、説明をさせていただきますけれども、(1)の接種数については、先ほど申し上げました医師会と小児科学会の調査によるもので、小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を行った医療機関が70.9%、それからヒブワクチンの方が72.9%で実施いただいているということでございます。
 これら医療機関における接種の増加傾向は、先ほどの資料でも解説したとおりですので、2ページ目の上の部分は割愛させていただきます。
 同時接種の実態としまして、これらの調査において、2月の1か月間での小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの総接種回数のうち、他のワクチンとの同時接種については、小児用肺炎球菌で75.4%、ヒブワクチンで88%という、いずれも過半数が同時接種というものでございます。
 3ページ目に移りまして、同時接種したワクチンの組み合わせの状況についても確認してございますけれども、一番上の列の右から2つ目、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンのみの同時接種という方が全体の55%ということで最も多く見られてございます。
 一番左のDPTとそれぞれのワクチン、あるいは3種類、小児用肺炎球菌プラスヒブプラスDPTというもののトータルが35.8%ということで、やはりDPTとの同時接種というものも比較的多く実施されているという状況でございました。
 それから、3ページ目の中ほど、?番が製造販売業者の調査になりますけれども、こちらは、資料4-1、4-2に具体的なものはございますが、概要をこちらの3ページに書いてございます。
 それぞれ製造販売業者が使用成績に関する調査などを実施しておりまして、ヒブワクチンで1,723回、それから小児用肺炎球菌ワクチンで1,099回分の調査が行われておりまして、同時接種の状況としましては、サ社がサノフィパスツールでございますので、ヒブワクチンでございますが、DPTとの同時が44.8%、単独も44.3%という状況でございました。
 それから、フ社がファイザー社でございますので、小児用肺炎球菌でございますが、1,099回分の最も多かったのは、ヒブワクチンプラス小児用肺炎球菌ワクチンプラスDPTというもので47.6%。
 その次が、ヒブワクチンプラス小児用肺炎球菌ワクチンあるいは小児用肺炎球菌とDPTという組み合わせでございます。
 また、単独接種に関しては、10%程度あったということでございます。
 ヒブワクチンの方の単独接種の割合が高うございますけれども、発売が小児用肺炎球菌よりもかなり早いために、肺炎球菌ワクチンとの同時接種がそもそもでき得ない時期もございましたということも御考慮いただきたいと思います。
 したがいまして、4ページ目の方にかけてでございますけれども、事業開始以降は、同時接種の割合が相対的に高くなっているのではないかと考えております。
 4ページ目の(3)の国内での市販後調査/臨床試験でございますけれども、この使用成績調査の副作用の発現頻度でございますけれども、一番右の方、2つのカラムがヒブの単独と小児用肺炎球菌の単独でございましても、ヒブ単独では、32.3%ということになってございますけれども、それぞれ同時接種、ヒブプラスDPTでは少し低めに出ておりますが、そのほかの分に関しては、やや高くなっている。
 それから、小児用肺炎球菌単独では5.1%となっておりますが、これがほかのワクチンとの同時接種では6.5~11.0という値が見られてございます。
 それから、製造販売業者の実施した市販後の臨床試験の副反応の発現頻度、局所と全身性反応とそれぞれ局所と全身を足したものということで見てございますけれども、まず、4ページにございますのが、ヒブワクチンとDPTの同時が右側、それからDPTの単独というもので比較をしてございますけれども、DPT単独よりも、ヒブとDPTの同時の方が、いずれの反応に関してもやや高く見られているという状況でございます。
 5ページ目については、小児用肺炎球菌に関してDPTの単独の接種の試験と、それから小児用肺炎球菌ワクチンのDPTの同時接種の試験の比較でございまして、やはり局所全身性反応とともに同時の方が副反応の発現頻度としては高く見られているというものでございます。
 (4)、鹿児島大学の調査の概要をこちらに抜書きしておりますけれども、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン同時接種後の有害事象の発現、単独と差は見られていないということで、ヒブの方では、単独5,656例中31例、0.55%。同時では5,509例中で45例、0.82%ということで、やや高い出現率が同時接種群で見られましたが、有意な関連は認められていないと。
 それから、小児用肺炎球菌の方では、単独1,244のうち11例、同時接種では1,802例中17例ということで、出現率はほぼ同じということでございます。
 それから、外国の同時接種のスケジュールに関しては、米国、カナダ、フランス、ドイツ、英国、豪州を含む27か国でヒブを含む混合ワクチン、それから小児用肺炎球菌ワクチンの同時接種が行われているということで、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン及びDPTの同時接種が行われているのは、米国を含む11か国ということでございました。
 6ページ目、資料3-1の方で最後になりますけれども、接種医療機関、先ほどの国内での医療機関の調査において、基礎疾患を有する乳幼児への同時接種の考え方についても併せて確認をしてございますが、健常児と同様の考え方により実施というものが57.7%で過半数を占めてございまして、より積極的というものと、より慎重にというものが、それぞれそれ以外のパーセンテージが見られているというものでございます。
 それから、資料3の関係で概要に取り込めなかった分について簡単に説明させていただきますが、資料3-4でございます。
 資料3-4は、たはらクリニックの方から提出されていましたものでございますけれども、日本小児科学会の山口地方会で発表いただいたものを修正、改編いただいたものと承ってございます。
 1枚めくっていただきまして、スライドの番号としまして、1番の部分がまず概要になりますが、2010年2月~7月に調査をしまして、小児用肺炎球菌ワクチン単独353例と、それを含む2ワクチンの同時接種136例を比較したものでございます。
 スライドの5ページ目、6ページ目にありますように、局所反応では発赤の頻度が最も高く見られて、腫脹、硬結が見られているところでございますが、局所反応発現率は、肺炎球菌単独と同時接種とでは差は小さかったと。
 それから、局所反応そのものも4日目までにはほとんど消失、発現率は同時接種と単独で大きな差はないということで、その次、最後がまとめでございますけれども、この調査の範囲においては、両群で大きな差はなく、5日目までにほとんどが消失したというものでございます。
 資料3-5は、多屋先生、こちらで説明してよろしいでしょうか。
○多屋委員 はい。
○事務局 資料3-5についても、概要を3-1にまとめられませんでしたので、簡単に御説明いたします。
 スライド番号の2番に調査の概要がございますけれども、こちらは厚生労働科学研究費で実施していただいております岡部先生の研究班の中の研究の一部というものでございます。
 調査といたしましては、平成21年3月から22年3月までにヒブワクチン接種者の接種後28日間の健康状況と副反応の調査を実施したものでございます。
 調査に対して回答、1,879例ございましたが、接種時年齢0歳のお子さんは1,149例と、そのうちヒブワクチン単独接種と、DPTとの同時接種群を選び出して回数ごとに分析比較したというものがその後に続く3枚のスライドになってございます。
 左側が単独で、右側が同時ということで、nが187と160、0歳1回目、それから0歳2回目、3回目ということで、それぞれnが変わってまいりますが、まとめといたしましては、この調査においては、同時接種の方が単独接種の方よりも有意に頻度が高いというような有害事象は認められなかったと、この調査の範囲において同時接種における有害事象を増加する根拠は認められていないという状況でございます。
 資料3の関係では、事務局からの説明は、以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。成育医療研究センターの齋藤先生より、3-6の資料について説明をお願いいたします。
○齋藤委員 それでは、私の方から3-6の資料について簡単に御説明させていただきます。
 皆様、御存じのとおり、基礎疾患を持つ乳幼児患者は、その大半の時間を診断や治療などに費やすことが多く、予防接種可能な期間が限定されております。
 そこで、我々の施設においては、2007年の12月から、同時接種にて予防接種を効果的に行っております。
 今回、2007年12月からの集計で、全同時接種の回数170接種、患者数にして104名の基礎疾患を持つ患者さんへの同時接種の実態をまとめました。
 資料の3ページになります。104名の性別は男性が40%、年齢の中央値が13か月、1人当たりの1回の接種数は、中央値が3回、範囲は2~7回となります。
 基礎疾患に関しましては、右側にありますとおり、消化器疾患、肝移植、神経、循環器、代謝、感染症、皮膚遺伝、腎臓疾患など、さまざまな基礎疾患を持つ患者さんに、その接種が行われております。
 5ページですが、これは全体の170接種の中で、患者さんの方から報告があったか、我々の方で確認をした副反応と有害事象になります。
 副反応は3件で、最初の1例目は、4歳9か月の壊血病の患者さんで、これに関しては、3つの生ワクチンを同時接種した患者さんです。ですので、今回、現在話題になっておりますヒブと肺炎球菌とDPTに関しては含まれておりません。接種後、28日目に水痘を発症しワクチン株であるということがわかりまして、因果関係ありとしております。
 それ以外の副反応2件に関しましては、1例目がMR、ヒブ、肺炎球菌のワクチンの同時接種後で局所の発赤を認めました。翌日に軽快しております。
 もう1例は、胆道閉鎖症の術後の患者さんで、肝移植前に7つのワクチンを同時に接種しましたが、この患者さんにおいては、接種後発熱が見られました。
 有害事象に関しては、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎ワクチンを接種した1例に、接種4時間後に頻回の嘔吐がありましたが、これも因果関係なしとしております。
 続きまして、170接種のうち、今回、話題に上っておりますDPT、ヒブ、肺炎球菌ワクチンの同時接種を行った患者さんを抽出いたしまして、そのデータを解析いたしました。
 これは、肺炎球菌発売後の、2009年2月からのデータになりますが、36接種、29症例に行われております。中央値は、5か月、男性が55名です。
 7ページ目ですが、基礎疾患の内訳です。様々な疾患を持つ患者さんに接種されております。
 この36接種におきまして、更に5接種においては、この3つのワクチン以外にB型肝炎、BCG、インフルエンザ、MRCとB型肝炎など、他のワクチンとの同時接種も行われております。
 28日後までの症例を調べまして、特に明らかな有害事象、それから副反応は認めておりません。
 9ページになりますが、今のヒブとDPTとPCV7を除いた、ヒブワクチンと他のワクチンの接種ですが、計31接種行われております。年齢の平均値から中央値がやや高くなります。24か月、男性が31%です。このヒブと肺炎球菌の組み合わせが18接種。それから、ヒブとDPTの接種が5接種になります。それ以外のワクチンとのヒブとの組み合わせが8接種になっております。
 ここに細かく書かれているものは、更にそのワクチンにプラスαとして接種されたワクチンの具体的な内訳が書かれてあります。
 一方で、3つのワクチンと、それからヒブと肺炎球菌のワクチンを除いた肺炎球菌と他のワクチンの接種が34接種ありまして、肺炎球菌とDPTの接種が15接種、そして、他のワクチンとの同時接種が19接種ありました。
 最終的に、11ページを見ていただきますと、接種後、28日までの副反応、有害事象に関しては、ヒブと肺炎球菌のワクチン18接種の中で、先ほどお話しした発熱と局所の発赤、それから1例の嘔吐の症例がありました。これが、唯一認められた副反応と有害事象であります。
 最後の考察は、ワクチンの領域でのバイブルであります、「ワクチン」というスタンレー・プロトキンという先生が書かれた本の中で同時接種に関して、既にわかっていること、利点を抽出いたしまして、日本語に訳したものです。
 また、米国の小児科学会においては、14ページになりますけれども、基礎疾患を持つ児への接種というところで、特に禁忌がない限り、健常児と同様に接種されるべきであると推奨されております。ちなみに、禁忌というのは、免疫に異常のある患者さんへの生ワクチンの投与です。
 まとめますと、当センターにおいては、同時接種にて基礎疾患を持つ小児に対して、予防接種を行っておりますが、明らかな有害事象、副反応なく安全に予防接種を行っております。
 以上です。
○松本座長 ありがとうございました。先生、1点だけ確認させていただきますけれども、基礎疾患の中に、今回の先天性心疾患は入っていない。
○齋藤参考人 入っております。全体の中で7例、そして、DPTとヒブと三種混合の症例においては2例の症例が入っております。いずれも非常に重篤な心疾患を持った患者さんです。
○松本座長 ありがとうございました。ただいまの事務局及び参考人からの説明について、御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほどからのお話のように、健康な乳幼児に関しましては、同時接種は余り問題ないと思いますが、齋藤先生から基礎疾患のある乳幼児でも安全に同時接種が可能というようなお話にはなっておりますけれども、この点、事務局はどのようにお考えですか。
○事務局 事務局でございます。どうもありがとうございました。
 これまで、この検討会で収集したデータを、今、御評価をいただいている限りにおいて、その範囲の中で同時接種において特段安全性上の懸念は恐らくないだろうというようなデータが示されてきたと先生方も御理解をいただいていると思っておりますけれども、一方で、ワクチン接種というのは、実際に月単位でいうと、それぞれ50万接種くらいの数が打たれているという状況があるということから見て、これまでの集めてきているデータのデータサイズという意味からいうと、必ずしもまだ大きくないというような状況がある。
 また、こういった接種事業をやることによって、これまで余りワクチン接種に対してやってこられなかった新しい先生も入ってきておられるとか、そういうような状況もある中で、安全性において懸念はないんだけれども、やはり接種をする際に、きちんとよく確認をされたりとか、慎重な接種の姿勢というものは、やはり一方で望まれるのではないかと事務局としては感じているところでございます。
 当然、いろんな予防接種の効果を獲得できるメリットというものは期待できるということをきちんと説明していただく、また、一方で単独接種も可能であるということもオプションとしてはある上で、きちんと先生方が必要性を判断していただいて、接種いただく。
 また、同時接種をされるような場合においては、特に重篤な疾患をお持ちの方に対しては、より慎重な対応として、単独接種というものも基本として考慮しつつ、同時接種が必要な場合に、先生の判断で御実施いただくということで、同時接種をやってはいけないということをいう根拠は全くないと思いますけれども、やはり少し現場の先生方に対しては慎重に打つということを、今回の議論の結論として少し考えていただいた方がいいのかなと事務局としては考えているところでございます。
○松本座長 この点に関しまして、どうぞ。
○岡部委員 岡部ですけれども、例えば予防接種に関するガイドラインとか、予防接種の手引といったようなものが、例えば予防接種リサーチセンターというようなところで出しているんですけれども、そこではやはり個別接種になった基本的なところは、その体の状態をよく知っている先生のところに行ってください。つまり、かかり付けの先生に行っていただく。ただ、すべてがかかり付けの先生でやると、今度は逆に接種する場所が少ないとか、そういうようなところがあるので、そこは応用問題ですけれども、特に不安な場合あるいは今回は基礎疾患のある方が問題になっていますけれども、そういったような方は、普段主治医あるいはその状態をよくわかっていらっしゃる先生に相談をしていただく、これはむしろ患者さんの側のことで、医療側もそれぞれの注意をもう一回見直して、きちんとした安全な接種制度をもう一回促すということは必要だろうと思いますけれども、今の事務局のお考えには、私は賛成したいと思います。
○松本座長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。
 岡田先生、どうぞ。
○岡田参考人 岡田です。もともと基礎疾患のある方々は、接種要注意者ということになっています。現場で接種されている先生方は、基礎疾患を持っている要注意者には、今までもあまり接種されていなかったと思います。そういうところでは、予防接種センターが3分の2くらいの県にそろっています。予防接種センターが基礎疾患のある子どもたちの接種をしていることが多いと思います。今後も、予防接種センターを利用しながら基礎疾患のある方々に慎重にやっていくというようなシステムを続けていっていただければと思います。
○松本座長 ありがとうございます。保坂先生、どうぞ。
○保坂委員 関連で、今、予防接種センターのお話が出ましたけれども、各県に1つあっても、なかなかそこに重症の合併症の方は行けないという現実の中で、本当は、これはここでお話しすべきことなのかどうかわかりませんが、基礎疾患についてかかっている医療機関で予防接種をすることが難しい、予防接種を行っていないというか、そういうことがございまして、そこのところが一番問題かなと、私は、今のお話を聞いて感じました。
 ですから、いろんな公費の制度がございますが、地域の枠を超えてもできるというような制度をつくっていくということが非常に大事で、実際に基礎疾患でかかっているところに行ける方はそこでやるし、そうではない場合には、基礎疾患について十分知っていて、かかり付けの医師というのを自分の近くにつくるということは必ず必要だと思いますので、そこでやるというようなことを原則にして、やはりなるべく多くの方に同時接種を含めたワクチン接種をしていけるような体制をつくっていくということが大事だと思っています。
○松本座長 ありがとうございました。ほかにございませんか、庵原先生、よろしいですか。
○庵原参考人 私の意見としましては、慎重にというのは後ろ向きではなくて、前向きに慎重にというニュアンスでとらえたいと思います。前向きにということは、要するに医療機関の方々がワクチンを受けようとする人をよく理解して、また、家族の気持ちも理解して、同時を希望する人には同時を接種する。単独の方がいいという人は、単独を接種するという、今、事務局の言われた意味の慎重というのは前向きな慎重と理解しましたので、特に異存はありません。
○松本座長 ありがとうございました。どうぞ。
○岡部委員 済みません、時間が短いんですけれども、今、大震災に我々は見舞われて、非常にいろんなところで問題点が起きているわけですけれども、もう少し長い目で見ると、医療のリソースというのは今後さらに非常に限られてくると思うんです。
 そうなったときに、治療も勿論ですけれども、予防するというのは非常に大切で、今、仮に予防ということに対して後ろ向きになることは、医療をきちんとやっていくということにマイナスになっていく可能性があるので、予防接種の信頼というものをきちんとやりながらマイナスにならないようなデシジョンが今こそ必要だと思います。
 したがって、これが非常に危険なものであるというのなら別ですけれども、そうではない状況であるならば、やはり信頼を持って予防接種というものをスタートさせていただきたいと、私は思います。
○松本座長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。
 もう一点、もしワクチンを再開した場合に、今後も一定の割合で死亡報告が見込まれるわけなんですが、この場合、一定頻度といいますか、一定の数の達した場合に、評価検討を行う必要がないかというのが1つ問題になるかと思うんですが、この点につきましては、事務局、何か考えはありますか。
○事務局 事務局でございます。先ほど庵原先生からも御紹介がございましたけれども、大体外国でも対10万接種当たり、これは有害事象ベースということですけれども、大体0.1~1くらいの頻度での死亡報告があるという状況と、現在の日本の状況においても、10万接種当たり0.2程度の有害事象ベースという意味で同じだと思いますけれども、死亡報告をいただいているという状況でございます。
 今後も、有害事象ベースでの副反応報告を集めていくと、こういった仕組みは、是非今後も続けていくべきだという岡部先生からも御指摘がございましたけれども、そういう中でデータを集めていくということになってまいりますと、やはりまた、仮にこの接種を再開した場合でも、引き続き死亡報告を受け取るというような状況になってくるかと思っております。
 そういう場合に、例えば日本の状況から見ると、対10万接種当たり、例えば0.5とか1とか、ある種そういった数字を超えたところで、例えばこういった検討会議を開かせていただいて、対応を検討するとか、少しそういった基準といいますか、ある種閾値のようなものを皆さんと共有しておいた方が、今後の接種再開の中で起こっている事象に対する対応としてはやりやすいのではないかと、事務局では考えておりますけれども、いかがでございましょうか。
○松本座長 いかがでしょうか、特に御意見は、どうぞ、庵原先生。
○庵原参考人 やはり今回のように止めてしまうと、後の混乱が大変ですので、ですから、あるレベルのところでは警戒レベルというか、検討するレベルをまず設けて、それで接種しながら検討していくでどうでしょう。逆にいうと、あるレベルを更に超えると、今度は中止せざるを得ないだろうということを判断するとしてはどうでしょう。
 ですから、慌てて止めるのではなくて、段階的にものを考えるような数値を設けてはどうかと思います。例えば現在が0.2ならば、倍の0.4なり0.5なりというところで、ゆっくりと話し合う機会を設けて、それで諸外国の数字を見ていますと、1を超えるなり、1.2を超えるなりとしたところではより慎重にするとか、何らかの目標数値を設定するということに、私は、異存はないですし、逆にいいますと、その方が慌てて政治的決着みたいなことにならないようにしてほしいと思います。。特に接種している側にとって、ワクチンは急に止めてしまいますと、次の復活をするまでに、また予約をアレンジしなおしたりとかで、労力が2倍、3倍かかりますので、やはり中間点を1つ設定してほしいというのが要望ですし、今の事務局の提案に賛成します。
○松本座長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。
 岡田先生、どうぞ。
○岡田参考人 それと関連してでございます。結局、こういう非常にまれな副反応というのは、恐らく治験の段階では全く検出できないと思いますから、海外でもやられているように治験は早くして、最終的に導入した後、市販後調査の規模を今まで以上に多くして、非常にまれに重篤に起こるような副反応のサーベイを今からしていくというか、新しいワクチンを入れるときにもそのようなことも考えていただければと思います。
○松本座長 ありがとうございました。ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。
 これまでいろいろと御意見をいただきまして、死亡症例に対する評価や、同時接種または今後の方針について一定の見解が得られたんではないかと思います。
 ここで、とりまとめ案を作成したいと思いますので、しばらく休憩にしたいと思いますが、何分くらいにしますか。
○事務局 15分くらいでお願いします。
○松本座長 15分くらい休憩とさせていただきます。
(休  憩)
○事務局 それでは、今、とりまとめの案についてお配りをさせていただいてございますので、事務局の方から読み上げさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは「小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性の評価結果について(案)」としてございます。
 「平成23年3月24日
医薬品等安全対策部会安全対策調査会
子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会。
 『1 報告された7例の症例評価について』。
 平成23年3月2日以降、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンを含むワクチン同時接種後の乳幼児において7例の死亡例が報告されている。平成23年3月8日の合同会議以降報告された6、7例目の死亡例を含め、解剖所見、カルテ等から疾病の経過や疾病の重篤度について詳細な情報を入手し、改めてこれらについて評価を行った。
 (1)7例は0歳から2歳代の乳幼児で、基礎疾患を有するものが3例、基礎疾患が明確でないものが4例であった。
 (2)接種から死亡までの期間は、翌日死亡が3例、2日後死亡が1例、3日後死亡が2例、7日後が1例であった。
 (3)7例の死亡例の経過等の概要は、死因等についての専門家の評価は別紙のとおりである」。
これは、今回の資料1-1の一覧を意図してございます。
 「(4)現在得られている各症例の経過や所見に基づいて評価したところ、報告された7例については、現段階の情報において、いずれもワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと考えられる。なお、例えば先天性の心疾患などの重い基礎疾患を有する患者は、その状態によっては、十分な注意が必要である」。
 3としてありますが、2の誤りでございます。修正いただければと存じます。
 「『2 諸外国の状況について』。
 ?小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンのいずれにおいても、米国での使用成績に関する論文や企業が収集した副反応報告からみて、接種後に一定頻度の死亡例が報告されている。
 ?海外での死亡例の報告頻度は、小児用肺炎球菌ワクチンでは概ね対10万接種で0.1~1程度、ヒブワクチンでは概ね対10万接種で0.02~1程度ある。
 ?諸外国の死亡報告の死因では、感染症や乳幼児突然死症候群が原因の大半を占めており、いずれもワクチンとの因果関係は明確ではない。国内で今回見られている死亡報告の頻度(両ワクチンとも対10万接種当たり0.1~0.2程度)及びその内容からみて、諸外国で報告されている状況と大きな違いは見られず、国内でのワクチン接種の安全性に特段の問題があるとは考えにくい。
 (参考)国内においては、平成23年以降、接種者数の増加傾向が見られている。
 『3 同時接種について』。
 ?厚生労働省が実施した電子メールによる調査(866医療機関から回答)によると、平成23年2月の1か月間では、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの接種のうち、何らかのワクチンとの同時接種が約75%以上を占めている。また、製造販売業者の調査でも、同様の傾向が見られている。
 ?製造販売業者の国内での市販後調査/臨床試験では、小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンそれぞれとDPTワクチンの同時接種、小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの同時接種において、副反応発現率は単独接種に比べ高い傾向がある。一方、鹿児島大学の調査では、小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの同時接種と単独接種の副反応発現率に有意差はない。いずれの調査でも同時接種により重篤な副反応の発現は増加していない。
 ?現時点までの国内での基礎疾患を有する患者に対する接種実績等からみても特に安全性上の懸念は報告されていない。
 ?欧米においては、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの同時接種において、局所副反応や発熱を増加させるが、重篤な副反応は単独接種と比べて差はみられないとする報告があるなど、同時接種の安全性については問題ないとされ、推奨されている。
 以上からみて、今回調査した国内外のデータからは、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの同時接種における副反応の発現率は、単独接種に比べて高い傾向があるとする報告もあるが、重篤な副反応の増加は認められておらず、特に安全性上の懸念は認められない。
 『4 ワクチンの検定結果と品質管理について』。
 国立感染症研究所が実施したワクチンの検定においても、これらのワクチンの死亡報告のあった症例に投与されたロットについての試験結果は、全て変動域内にとどまり、逸脱は認められなかった。宝塚例と西宮例で肺炎球菌ワクチンのロットが同一であったことについては、製造工程等の逸脱等について確認した結果、問題となる点は認められなかった。
 また、異物混入問題については、懸念される安全性の問題は局所刺激程度であり、回収対象ロットが接種された死亡例では異物混入はなかったと報告されており、死亡症例との関連性はないと考えられる。
 『5 今後の対応について』。
 (1)これまでに収集した症例に関する情報、国内外の情報を踏まえると、現時点では、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの接種と死亡例との間に、直接的な明確な死亡との因果関係は認められないと考えられる。
 (2)両ワクチンの同時接種に関する情報等からは、安全性上の懸念はないと考えられる。そのうえで、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの使用に際して、慎重を期して、下記の事項に留意することが適当である。
 ?小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンについては、同時接種により、短期間に効率的に髄膜炎等の予防効果を獲得できるメリットが期待されると同時に、それぞれ単独接種が可能であることを示した上で、同時接種を行う場合には、その必要性を医師が判断し、保護者の同意を得て実施する。
 ?また、重篤な基礎疾患、例えば重篤な心疾患のある乳幼児については、髄膜炎予防のためにワクチン接種が望まれるものであり、状態を確認して慎重に接種する。その際、入念的な対応として、単独接種を基本とし、同時接種が必要な場合には、医師の判断により実施する。
 (3)小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの接種事業の副反応報告は、報告者からワクチン接種との『関連なし』『評価不能』の場合でも有害事象を報告することを明示しているなど従来の副反応報告制度よりも、ワクチンとの因果関係がない場合でも実質的に広く報告を求めるしくみとなっている。
 (4)したがって、今後もワクチン接種後数日以内の死亡例が報告されることが想定されるが、ワクチン接種後の死亡例が報告された場合には、引き続き可能なかぎり詳細な情報を収集し、ワクチン接種との関連性について専門家による評価を速やかに行っていくことが適当である。
 (5)その場合、諸外国でのワクチン接種後の死亡例の報告状況を勘案し、例えば6カ月の対10万接種あたり死亡報告数が、因果関係の有無に関わらず0.5を超えた場合に、専門家による調査会等の評価を行い、対応を速やかに検討することが適当である。
 (6)また、死亡や重篤な有害事象とワクチンの関連性の検証のためには、関係者の協力を得て、今後、積極的疫学調査を行う仕組みを構築すべきである」。
 以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。このとりまとめ案に関しまして、御意見はございませんでしょうか。
 どうぞ。
○五十嵐委員 3ページ目の「5 今後の対応について」ですけれども、(2)の?ですけれども、重篤な基礎疾患、例えば重篤な心疾患のある乳幼児については、髄膜炎等の予防のためにワクチン接種が望まれるものであるとしていただきたいということと、その次にあります文章なんですが、これですと、単独接種が基本であるということになります。臨床現場では、この様に縛りがきますと、逆にやりにくくなります。この文章は要らないのではないかと思います。今日のお話でも単独接種を基本にするという合意はなかったと思います。いかがでしょうか。
○事務局 先ほど、事務局から説明させていただいたときに単独接種を基本としつつ、同時接種が必要な場合にはというふうに私の方から申し上げておりまして、やはり何か慎重に重篤な基礎疾患をお持ちの方に接種をいただくという場合に慎重な対応をするものの例示として、このような形で先ほども御紹介をさせていただきました。これは、決して同時接種してはいけないということではございませんで、あくまで積極的に慎重にという岡部先生の御提案を反映したものとして書かさせていただいております。
○松本座長 どうぞ。
○保坂委員 さっきのこの委員会の議論では、慎重にということはあるけれども、岡部先生がおっしゃったように、積極的に慎重にということであって、単独接種を基本としと入れることについては、合意は得られていないと私も感じています。ですから、単独接種を基本としではなくて、そのほかの慎重な対応についての例示をされるのであれば、それに同意をいたしますが、単独接種を基本としとしてしまいますと、やはりそれ以外のことをすることが非常に難しくなると感じますので、この点はちょっと賛同しかねます。
 もう一つ、(2)の?のところで、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンについては、同時接種により、短期間に云々というところで、これでありますと、ほかのワクチンと小児用肺炎球菌あるいはヒブワクチンの同時接種についてのことが出てこないので、わざわざ短期間に効率的に髄膜炎等の予防効果を獲得できるメリットとしてしまうと、この2つの同時接種はいいけれども、ほかとの同時接種はどうなるのと感じられるので、ここのところの文章をもう少し工夫していただきたいと思います。
○事務局 先生、1番目の単独接種を基本としに関しては、もう少しディスカッションする必要があると思うんですが、上の方のワクチンの特定に関しましては、このワクチンに関して、今日はやっているので、こういう書き方をするのも1つの方法ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○保坂委員 このことをおっしゃりたいのは、よくわかるんですけれども、短期間に効率的髄膜炎等の予防効果を獲得できるメリットというふうに書かれたいお気持ちはよくわかるんですが、逆にこれを入れない方がよいのではないかと、私は思います。
○松本座長 どこですか「短期間に」のところですか。
○保坂委員 ?の線が引いてあるところの、わざわざこれを、要するにこのことを説明しなさいという意味で多分書かれているんだと思うんですが。
○事務局 先生、例えばこれは髄膜炎に限定のような形で読めるという御心配かと思われますが、例えば「髄膜炎等の」を削ってしまって、ワクチンという意味では短期的に効率的に予防効果を獲得できるメリットという表現ならばよろしいでしょうか。
○保坂委員 そうですと、ほかのワクチンも一緒というか。
○松本座長 では、そのように、それで、先ほどの「単独接種を基本とし」という文章に関して、御意見はございますか。
 齋藤先生、どうぞ。
○齋藤参考人 先ほど、私が提示させたデータ、症例数は確かに少ないですが、基礎疾患のある患者さんだからこそ、接種される期間が限られています。単独接種を基本とした場合には、この患者さんたちは生後2か月から1週間おきに3つ、4つのワクチンを受けていかなければいけません。それを長い期間続けていくことが、本当に実際の現場で可能なのかというのは疑問です。
 ですので、私も五十嵐先生、保坂先生の御意見と同様で、単独接種を基本とするという文章は除いていただきたいと思います。
○松本座長 ほかに御意見はございますか。
 どうぞ。
○庵原参考人 ここに、やはり「単独接種を基本とし」と書かれてしまうと、みんな単独接種をせざるを得ないというふうにとらえられるんです。ですから、できたら単独接種または同時接種というか、どっちでもとれるような並列の書き方ができないかというのが要望です。
○松本座長 どうぞ、事務局。
○事務局 事務局でございます。少し、今、先生方の御懸念というのもよく御理解できるんですけれども、やはり現状で申し上げますと、同時接種の安全性のデータについてn数がまだ必ずしも十分大きくないといった部分ですとか、やはりこれまで予防接種の経験のない先生方もこれから接種に入ってくるというような、そういう状況も考えていくと、ここはやはり積極的と言いつつ、慎重めに対応した方がいいだろうということは、事務局としては思っております。
 そこで1つ提案でございますけれども、単独接種の部分ですが「基本とし」というのが難しいということで、例えば単独接種を考慮しつつとか、そういった言い方はいかがでしょうか。
○五十嵐委員 現場としては、それは常に考慮しているわけです。そして、常に、特に重篤な先天性心疾患の場合は、ICUに入っているような非常に重篤な状態に接種することはありません。恐らく多くの方は外来管理を受けながら、調子のいいときに予防接種をします。それも先ほど齋藤先生がおっしゃったように、非常に限られた時間しかないのが実情です。ちょっとすると、風邪を引いたり何かして悪くなることもありますね。
 ですから、そういう意味で、こういう人たちこそ、同時接種の恩恵を是非受けていただきたい。ですから、それは現場のお医者さんたちに是非任せていただきたい。よけいなことは書かない方がいいと、私は思います。いかがでしょうか。
○松本座長 ほかに御意見はございますか。
 確かに五十嵐先生のところのように完備されたところであれば、それは十分だと思うんです。
 どうぞ。
○多屋委員 比較的重症の基礎疾患をお持ちの方に私も接種をしていたんですけれども、そういう子どもたちこそ接種を受ける調子のいいときが非常に少ないので、そういうときを見計らってできるだけいいときに接種をしてあげたいという主治医の気持ちも大変わかるので、例えば基礎疾患をお持ちの患者さんについては、それを診ていらっしゃるかかり主治医の先生とよく連携を取って選べるような方向にお願いできればと思っています。
○松本座長 事務局、これはやはり基礎疾患の部分を少し考えた方がいいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○事務局 今のお二人の先生方の御意見も非常によく理解はできます。
 一方で、行政施策として、こういう予防接種事業をやっていくという場合には、必ずしも五十嵐先生のところのような施設がすべて完備されている、経験のある先生が打たれる場合だけではございませんので、やはり注意喚起ということでは、当たり前のことであっても、そこは当たり前であれば、当たり前だからこそ書かせていただいた方がよろしいのではないかというのは、行政的な感覚としてはございます。
 「単独接種を考慮し」と申し上げましたが、もし、また、更に抵抗があるということであれば、この頭に当分の間とかいうのを付けていただくとか、そういうのももう一つあると思いますが。
○松本座長 どうぞ。
○保坂委員 多屋先生がおっしゃったような、そういう接種医療機関について、ある程度縛りをかけるというか、そういう書き方は、今回の結論では書くのにそぐわないのでしょうか。基礎疾患を有する方は、基礎疾患について診療している医療機関あるいはその医療機関との連携が非常にきちんとできている医療機関というようなことを入れていただく方が、現実的には、そういうお子さんたちにとっては、マイナスにならなく、かつ行政的な心配されていることも起きないんではないかと思うんですけれども。
○松本座長 これは、基礎疾患に限定しているわけですから、ある程度は。
○事務局 ここの「同時接種が必要な場合」のところですが、状態から考えて、この方はやはり同時接種が必要だということであれば、医師の判断により実施できるということで文章は書かせていただいておりまして、そのときの医師の判断というのは、当然ながら、ずっと経過を見てきた主治医の方にしか判断ができませんので、主治医の先生が、この子は今までの経過から見て、今、打たなければいけないということであれば、勿論同時接種になるわけで、同時接種が必要な場合には、医師の判断によって、主治医の先生の判断によって実施していただけるというのは当然のことでございますので、それをここにきちんと書かせていただいたつもりでございます。それで、単独接種を考慮しつつも、同時接種が必要な場合が多いのかもしれませんけれども、その場合には、主治医の先生の判断により実施をしていただくというのが趣旨でございますけれども。
○松本座長 同時接種がそんなにマイナスの面がないという齋藤先生のお話があったのですが、確かに悪くはないと思うんですけれども。
○岡部委員 この場合の同時接種を避けるというふうな意味合いは危険だからということではなくて、何かしらのアクシデントが起きたときに、物事を単純に考えやすいようにするというのが主旨だと思うんです。
 そのことをどこかにきちんと書いておかないと、基礎疾患のある人は、接種することによるリスクが高まると誤解されるとまずくなってしまう可能性がある。ちょっと文章が、今、思いついていないんですけれども、ただ、基本的にはリスクの高い人は、やはりいつものかかり付けの先生あるいは主治医の先生の意見を聞く必要はあるだろうと思います。そのことは、既に予防接種のガイドラインには書いてあります。
○松本座長 これ自体が、基本というのが、絶対的な縛りではないので、文章上の問題ですので、これでもいいとは思うんですけれども、だめですか。
○事務局 事務局でございます。単独接種を基本としつつというのは一歩引いて単独接種を考慮しつつということですけれども、今、岡部先生がおっしゃられて何らかの問題があった場合に対処するというようなときに、むしろ単独の方が問題を特定しやすいといったものとか、保坂先生がおっしゃられたように、慎重に接種するという場合において、やはりきちんと主治医ですとか、それまでお子さんの状態をよくわかっておられる専門医の先生が接種するというような趣旨も含めて、この文章、単独接種を考慮しつつという形にさせていただきたいと思うんですが、そういう具体的な対応の視点を、まさしく今後Q&Aのような形で、私どもの方でも作成をさせていただいて、また、この先生方に御確認をいただいて、現場の方々に周知をさせていただいて、この文章の誤解がないようにさせていただくというのも1つの提案かと思いますが、いかがでございましょうか。
○松本座長 どうぞ。
○岡部委員 ただ、今の意見で、私も臨床の方に近いんですけれども、単独接種が基本であるというのが出ると、そこは余り強過ぎるので、事務局がおっしゃったような、次の、もう一つのがありましたね。
○事務局 考慮しつつ。
○岡部委員 そういったようなところで説明をきちんと加える。そうじゃないと、齋藤先生が危惧されているように、本当は早くやらなければいけない人が遅くなって、原病にかかると、これはまた問題がありますから、そこを避けるような工夫は必ず必要だと思います。
○松本座長 確かに、現実面では状態が落ち着いたときにやるというのが非常に大事だと思うんですが、そういうことからいけば、どうしても単独接種というのを出すのであれば、事務局が言われるように、考慮しつつと柔らかく、これが妥協点ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 五十嵐先生、これでもだめ。
 どうぞ。
○庵原参考人 現実的な対応として、医師の判断により、単独接種または同時接種を実施すると並列で書いてはだめなんですか。
○松本座長 その方がいいんではないですか。だめですか。今度はそちらの方が妥協する方なんだけれども。
○事務局 済みません。事務局でございます。ここは同時接種が必要な場合には医師の判断により実施すると明確に書いてございますので、これは同時接種をしてはいけないとも書いてございませんし、医師の判断でやっていただくということは、そこはきちんと書いていることでございますので、あえて、そこで二者選択のような書き方をすると、逆に混乱するのかなという感じはいたしております。
○松本座長 どうしてもということであれば、やはり考慮しつつということが一番妥当なところではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○岡部委員 もう一つ、そのときもQ&Aで配慮していただきたいんですけれども、それの判断がすべて、事故が起きたとき、担当医の誤った判断であったというふうにならないように、これも工夫しておく必要があると思います。医療上の必要性からやっているのであって、それとアクシデントは別に考えていく必要があると思います。
○事務局 Q&A作成時に考慮させていただきます。
○松本座長 そうすると、一応、この部分は確認しますが、単独接種を考慮しつつということでよろしいですか。五十嵐先生。
○五十嵐委員 余り賛成したくはないですけれども、先生方、皆さん賛成ですか。
○松本座長 皆さん、顔つきを見ると、よさそうで、先生だけが絶対だめみたいなので。
○五十嵐委員 慎重に接種するという言葉の中に、それが含まれていると思うんです。それをあえて単独接種という言葉を出す理由が、私には理解できません。今までの今日の議論は、いろんな文献も含めまして、単独接種の方がいいという議論はないわけですね。それなのにこれが出てくるということが、私には理解できません。先天性心疾患の子どもは、うちに帰れる調子のいい状態ばかりではありません。何かあると非常に悪くなってしまう。ですから、いいときを見つけることが、逆に難しいんです。そういうことを考えたときに、単独接種が基本であると言われてしまいますとね。
○松本座長 基本ではなくて、考慮しつつです。ただ、先生は、この文章があったとしても、実際は同時接種可能なんですね。
○五十嵐委員 勿論そうです。
○松本座長 ただ、文章がちょっと頭にくるだけで、この辺で、どうですかね。
○五十嵐委員 入念的な対応という言葉も、ちょっと気になりまして、例えばその際、単独接種も考慮し、同時接種が必要な場合にはというのでしたら、まだ、その方がいいような気がします。
○松本座長 では、そのように、それなら大丈夫。
○事務局 そのようにいたします。
○松本座長 言っていることは、皆さん同じなんですけれども、どうしても表面に出るところが、大変難しいと思うんですけれども、よろしいですか、ここの部分は。
○保坂委員 とにかくQ&Aでちゃんとやっていただくということを担保していただいた上で、これでよろしいということにさせていただくのがいいと思います。
○松本座長 事務局、お願いします。
○事務局 事務方としてお約束いたしますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
○松本座長 ほかのところに関しましては、いかがでしょうか、何かありますか、よろしいですか。
 どうぞ。
○庵原参考人 4ページの上から2行目の因果関係の有無にかかわらず、0.5を超えた場合の、この0.5でよろしいですかということの再確認です。
○松本座長 一応、テンタティブに0.5だけれども、これはどうですかね。この数値が出た理由は、現在の2倍ということですか。
○事務局 先ほど、一番高い国で1くらいということで、あと、現状が0.2ということで、庵原先生からも倍か0.5というような御発言もございましたので、事務局の方では0.5という数字を入れさせていただき御提案させていただいております。
○庵原参考人 私が言っただけで、これでいいかどうかの確認をしたということです。
○松本座長 余り反対はなさそうですので、この点は、よろしいですか。
 どうぞ。
○齋藤参考人 先ほど、五十嵐先生から御指摘がありましたが、6の(2)の??に髄膜炎等の予防効果がありますが、確かに髄膜炎などのというよりも重症感染症とした方が適切かと思います。
 例えば?ですが、基礎疾患のある患者さんにおいて、髄膜炎の予防だけでなく、菌血症であるとか、その他の重症感染症疾患の予防があります。ですので、髄膜炎だけではなくて、それ以外の重症感染症がありますので、言葉としては、髄膜炎などの重症感染症の予防効果を期待できると、その方が科学的に適切かと思います。
○事務局 今の点でございますけれども、?の方からは削除の御提案をいただいておりますので、?の1行目から?行目にかけまして、乳幼児については、髄膜炎予防のところを、ついては髄膜炎等の重症感染症予防のためにワクチン接種が望まれるものでありという御趣旨と理解しますので、そのように修正させていただきたいと思います。
○岡部委員 もう一点、後で気が付いたんですが、1ページ目の、これで1の(4)の3行目から4行目にかけて「なお、例えば先天性の心疾患などの重い基礎疾患」とありますけれども、先天性心疾患は、軽いのも、重いのも両方あるので、重い先天性の心疾患というふうに、これは多分言葉だけだと思いますけれども、先天性心疾患が全部重いわけではないというのでお願いいたします。
○松本座長 ほかにございますか。よろしいですか。では、変更点を事務局の方で確認してください。
○事務局 それでは、変更箇所だけ御説明させていただきます。
 まず、1ページ目でございますが、1の(4)、今、岡部先生から御指摘いただきました下から3行目の先天性の前に「重い」を載せまして「なお、例えば重い先天性の心疾患などの重い基礎疾患を有する患者」とさせていただきます。
○庵原参考人 この文章ですが、両方とも重い基礎疾患になると思うんです。重い、重いとダブりますので、片方重いとすると、片方は重篤なとか、何か言葉を変えていただけるとおかしな感じはしないと思いますけれども。
○事務局 それでは「なお、例えば重い先天性の心疾患などの重篤な基礎疾患を」とさせていただきます。
 それから、3ページ目まで進ませていただきまして、2行目の異物混入の前に、また、ヒブワクチンの異物混入と、対象ワクチンを明確にさせていただきたいと存じます。
 それから「5 今後の対応について」の(2)の?番でございますけれども、?番の1行目の後半「同時接種により」以降、同時接種により、短期間に効率的に予防効果を獲得できるメリットが期待されると同時にとしまして「髄膜炎等の」を削除させていただきます。
 ?番でございますが「また、重篤な基礎疾患、例えば重篤な心疾患のある乳幼児については、髄膜炎等の重症感染症予防のために」と「等の重症感染症」を追加させていただきます。
 それから、3行目「その際」以降でございますが「入念的な対応として」を削除しまして、その際、単独接種を考慮しつつ、同時接種が必要な場合には、医師の判断により実施する。
○五十嵐委員 単独接種「も」考慮しつつです。
○事務局 確認ですけれども、その際、単独接種も考慮しつつ、同時接種が必要な場合には、医師の判断により実施する。
 修正箇所は、以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。これでよろしいでしょうか。
 もし、御異論がなければ、事務局が読み上げました文章を、本日のとりまとめ案とさせていただきます。ありがとうございました。
 事務局、今後の対応は、どうなりますか。
○事務局 接種の再開につきましては、今、おまとめいただきましたように、本日の御議論では、一定の事項について留意をしつつ、再開して差し支えないのではないかという御結論をいただいたかと思います。接種に関する、今後は注意事項、Q&Aを整備しなければいけませんし、そういったことをやりつつ、自治体との調整も進めさせていただきまして、3月末に大変恐縮でございますけれども、もう一度本会議で報告をさせていただいた上で、4月の1日から再開ができるように事務局としては準備を進めていきたいと考えております。
○松本座長 ありがとうございました。それでは、最後に、岡本政務官、ごあいさついただけますか。
○岡本厚生労働大臣政務官 改めて、本当にお忙しいところ、3月8日に引き続きまして、大変熱心な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 前回いただいた御意見を基に、追加的に入手できました資料を加えて、今日は御議論いただいたところでありまして、死亡とワクチン接種との因果関係、それから欧米の状況と比較した国内の死亡症例、死亡報告の状況、そして、同時接種の安全性等について御議論いただいたと承知しております。
 今、事務局から今後の方針、お話をさせていただいたとおりでありますけれども、3月の末尾にもう一度本会議の方に、先ほどのQ&A、また、今、自治体のさまざまな調整等の状況を報告した上で、重ねてのお話でありますけれども、4月1日から再開をする方向で調整を進めていきたいと考えております。
 今、とりまとめていただきました文章の最後にも書いてありますように、死亡や重篤な有害事象とワクチンの関連性の検証のためには、関係者の協力を得て、今後、積極的な疫学調査を行う仕組みも構築すべきであるという御意見もいただいておりますので、こういった点もしっかり留意した上で対応を取っていきたいと思います。
 本日は、お忙しいところ、本当に重ね重ねありがとうございました。
○松本座長 ありがとうございました。それでは、本日の会議終了後、座長及び座長代理の方から記者向けのブリーフィングを行う予定になっておりますので、座長に御一任いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議論は終了いたしましたが、最後に、事務局の方から何かございますか。
○事務局 特にございません。また、今月末の日時については調整させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日も貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。資料等については、速やかに厚生労働省ホームページで公開させていただく予定でございます。
 以上でございます。
○松本座長 それでは、本日の会議は、これで終了といたします。長い時間、活発な御議論、ありがとうございました。


(了)
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(電話・代表)03-5253-1111
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