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2011年8月26日 第1回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成23年8月26日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第18・19・20会議室(17階)


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
逢 見 直 人 (委員)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
小 山 文 子 (委員)
佐 藤 博 樹 (委員)
武 田 洋 子 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
藤 沢 久 美 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人  (委員)
吉 野 直 行 (委員)
米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)部会長・部会長代理の選出について
(2)社会保障・税一体改革成案について
(3)基礎年金国庫負担について
(4)今後の進め方について


○議事

○藤原総務課長 定刻になりましたので、ただいまより第1回の「年金部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
 部会長を選出いただくまでの間、年金局総務課長の藤原が議事進行の方を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、細川厚生労働大臣に御出席いただく予定でございましたが、政務のため、やむを得ず御欠席となりました。大臣は出席できないことを大変残念に思っており、委員の皆様に対して、委員に御就任いただいたことに感謝の意を表するとともに、専門的見地から忌憚のない御議論をいただきたい旨、お伝えするよう指示を受けてございます。
 なお、大塚副大臣と岡本政務官につきまして、政務のため、遅れて参加をされるということを伺ってございます。
 それでは、続きまして、委員の皆様の御紹介に入らせていただきます。なお、新たに社会保障審議会の臨時委員に御就任いただいた皆様方には、本日、厚生労働大臣からの任命状をお手元の封筒に入れさせていただいておりますので、よろしくお願いをいたします。
 五十音順で紹介をさせていただきます。
 まず、植田和男、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授でいらっしゃいます。
 逢見直人、日本労働組合総連合会副事務局長でいらっしゃいます。
 小塩隆士、一橋大学経済研究所教授でいらっしゃいます。
 委員の紹介を先にさせていただきます。
 駒村康平、慶應義塾大学経済学部教授でございます。
 佐藤博樹、東京大学大学院情報学環教授でいらっしゃいます。
 神野直彦、東京大学名誉教授でいらっしゃいます。
 武田洋子、三菱総合研究所政策・経済研究センター主任研究員・シニアエコノミストでいらっしゃいます。
 藤沢久美、シンクタンク・ソフィアバンク副代表でいらっしゃいます。
 森戸英幸、上智大学法学部教授でいらっしゃいます。
 諸星裕美、レイバーコンサルタントオフィスモロホシ社会保険労務士でいらっしゃいます。
 山口修、横浜国立大学経営学部教授でいらっしゃいます。
 吉野直行、慶應義塾大学経済学部教授でいらっしゃいます。
 米澤康博、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授でいらっしゃいます。
 なお、本日でございますが、柿木厚司、日本経済団体連合会年金改革部会長、また菊池馨実、早稲田大学法学部学術院教授、小室淑恵、ワーク・ライフバランス代表取締役社長、小山文子、全国女性農業経営者会議副会長、花井圭子、日本労働組合総連合会総合男女平等局長、山本たい人、日本商工会議所社会保障専門委員会委員、この委員の先生方からは御欠席の連絡をいただいております。
 欠席の委員の代わりに出席をいただいている方ということで、柿木委員の代理として本日は藤原参考人に御出席をいただいています。山本委員の代理として佐藤参考人ということで御出席をいただいております。
 藤原参考人、佐藤参考人の御出席につき、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○藤原総務課長 どうもありがとうございます。事務方からの出席者につきましては、お手元の座席図のとおりとなってございますので、紹介に代えさせていただきます。
 続きまして、お手元の資料を御確認いただきたいと思います。本日は配付資料といたしまして、資料1で枝番1、2、3ということでございます。
 資料1-1「社会保障・税一体改革成案について」。
 資料1-2「社会保障・税一体改革成案における改革項目 参考資料」。
 資料1-3「年金に関する資料(平成23年5月23日 厚生労働省)」。
 資料2「基礎年金国庫負担について」。
 資料3「年金制度の現状に関する資料」。
 資料4「年金部会の進め方について(イメージ)(案)」。
 資料5「社会保障審議会年金部会『年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会』の設置について(案)」ということでございます。
 また、参考資料として「社会保障審議会関係法令・規則」を別冊で机の上に置かせていただいておりますので、御確認ください。資料に不備がございましたら、事務局の方にお申し付けいただければと思います。
 それでは、議事の方に更に移らせていただきます。初めに、本部会の部会長の選出についてでございます。先ほどの参考資料ということで申し上げました「社会保障審議会関係法令・規則」の冊子をごらんいただければと思いますが、社会保障審議会令の中の3ページ、第6条第3項という規定がございます。
 そこに「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定をされてございます。この年金部会には、社会保障審議会の委員が逢見委員、駒村委員、神野委員、米澤委員と4名おいでになります。部会長はこの4名の互選により選任するということになりますが、あらかじめこの4名の先生方に御相談をいただきまして、神野委員に部会長をお願いすることとなりました。これによりまして互選によって神野委員が部会長に選出されたということにさせていただきたいと思います。
 それでは、これからの議事運営につきましては、神野部会長、よろしくお願いを申し上げます。
○神野部会長 部会長にお選びいただきました神野でございます。よろしくお願いいたします。
 最初にお断りしておきたいと思いますが、私、網膜剥離を患っておりまして、ぼやっとしか認識できません。行き違っても認識していない場合や、その他、失礼の段あるかと思いますので、初めにお断りしておわびを申し上げておきたいと思います。
 私が選ばれた重要な理由は、最も年を取っているという理由だと思います。私にとって年を取るというのは生まれて初めての経験なので、戸惑うことばかりでございます。委員の皆様方の御協力と事務局のお助けを得てどうにか職責を全うしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事次第をごらんいただきますと、最初のところに部会長と部会長代理の選出となっておりますが、私の方から部会長代理を指名させていただきます。
 社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされてございますので、私の方から指名させていただきますが、部会長代理は植田委員にお願いしたいと考えております。御了承いただければと思います。
 それでは、植田委員、こちらに来ていただければと思います。
(植田委員、部会長代理席へ移動)
○神野部会長 それでは、植田部会長代理から一言ちょうだいできればと思います。
○植田部会長代理 私も神野先生に次ぐ年齢ぐらいになったかどうかはっきりはしませんが、そういうことかと思っております。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いいたします。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、恐縮ですが、カメラの方はここで御退室をお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○神野部会長 では、議事の方に入らせていただきますが、議事次第にございます2番目と3番目の議題です。「社会保障・税一体改革成案について」と「基礎年金国庫負担について」をまず御議論ちょうだいできればと思っておりますので、事務局の方から資料について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○梶尾年金課長 年金課長の梶尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料1-1~資料3までを用いまして御説明したいと思います。
 資料1-1「社会保障・税一体改革成案について」。これがその成案の全体ということでありまして、表紙をおめくりいただきますと大体15ページぐらい文章がありまして、あと17ページ以降に工程表などの図表が付いておるという資料でございます。
 1ページ目に「はじめに」と書いてありますが、昨年の秋からの政府・与党での検討のとりまとめということで、1ページの真ん中にありますように、本成案に基づいて更に検討を進め、その具体化を図るという位置づけの文章でございます。今年の年明け以降、官邸での会議におきまして、経済界、労働界などの関係団体ですとか、報道機関あるいは研究者からのヒアリング、これらを踏まえた厚労省を含めた関係省庁からの報告等を基に議論が行われてとりまとめられたという経過でございます。
 2~3ページにかけまして「1 社会保障改革の基本的考え方」ということで、社会、経済情勢の大きな変化などの問題認識ですとか、改革の考え方あるいは改革により目指す社会の姿、改革においての留意点などが3ページまでに整理されております。
 3ページの下から改革の具体的な内容ですけれども、優先的に取り組むべき課題として4ページの上の方の?に年金改革というのが掲げられております。個別分野ごとの内容というのも4ページの下の方から記載されておりまして、年金については6ページの中ほど「? 年金」ということで、3つの○、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、「新しい年金制度の創設」実現に取り組むということ。年金改革の目指すべき方向性に沿って、現行制度の改善を図るということ。業務運営の効率化を図るという大きな3つの○とポツで幾つか個別の項目が記載されてございます。
 ここでは項目名が掲げられておりますけれども、4ページにお戻りいただきまして、下の方に4行のパラグラフで、個別分野ごとの項目の内容や改革の工程は別紙2の欄A~Cに示すとおりであると書いてございます。17ページからのところがこの資料の別紙2と書いてあるわけでございまして、図表の中の4ページ目、この資料で言いますと20ページのところから「? 年金」が書いてございます。ここに書いてあります項目は、先ほどの6ページに文章で書いてあったものと同じでありまして、上の段に大きな項目で新しい年金制度の創設、下の段に現行制度の改善ということで改善項目が書いてありまして、さまざまな各項目につきまして、一番左端のA充実という項目と2段目のB重点化・効率化という項目に整理をするとともに、これらを実施した場合の公費の所要額見込みなど。例えば最低保障機能の強化のところには、3項目で0.6兆円程度という記載がございますけれども、そういったものを掲載し、また真ん中辺りにC工程という欄がありますが、ここに法案の提出時期など、実施に向けたコース設定を記載しているという構造です。
 このページの下の方は税制抜本改革とともに2012年以降速やかに法案提出と書いてあり、その次のページの項目につきましては、税制何とかというのは書いていないですけれども、2012年以降、速やかに法案提出と書いてございます。その下に※で検討の場とスケジュールを明確化した上で法案提出に向けて検討とありますが、これらの現行制度の改善という事項につきまして、この検討の場というのが年金部会ということになりますので、ここで御議論をお願いしたいということでございます。
 なお、20ページ、21ページの一番左の「? 年金」の下に(注2)と書いてございます。この(注2)というのは、22ページの下の方に小さな字で注1~3までありますが、注2で基礎年金国庫負担2分の1財源については、税制抜本改革により措置する。税制抜本改革実施までの各年度分の繰入れも適切に行われるよう、必要な措置を講じると記載しておりまして、この社会保障・税一体改革の重要な項目のうちの1つが基礎年金の国庫負担ということですが、これは後ほど別の資料でまた御説明したいと思います。
 今の説明の中で何度か税制抜本改革という言葉を用いましたけれども、成案の文章編の方に戻ってこの言葉の説明を行いたいと思います。
 先ほど文章の6ページのところまでごらんいただきましたけれども、8ページに「? 社会保障費用の推計」という項目がございます。そこに改革全体を通じて充実による額3.8兆円、重点化・効率化で▲1.2兆円で、実施するための追加所要額が2.7兆円程度と見込まれるという記載がございます。
 この中には先ほど年金の図表のところで申しました0.6兆も含んだ数字でございますが、こういう充実のための費用というのがあるということで、この社会保障の安定財源を確保するための社会保障・税一体改革が9~10ページに考え方が記載されております。詳しくはできませんけれども、10ページの(4)のところに社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向けて、まずは、2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引上げ、当面の社会保障改革に係る安定財源を確保すると記載されておる。
 更に11ページの中ほどのところの「具体的には」というパラグラフがありますけれども、ここで10%まで引き上げて、機能強化に係る費用、高齢化の進行等により増大する費用及び基礎年金国庫負担割合2分の1の費用ということを賄うということで、社会保障の安定財源確保を図るということがこの成案の中で位置づけられているところでございます。
 そのための税制抜本改革法案の国会手続については、14ページの?のスケジュールの最初のパラグラフの8行目の終わりのところから税法の附則104条に示された道筋に従って、平成23年度中、今年度中に必要な法制上の措置を講じるという旨が記載されております。
 14ページの下の方から15ページにかけましては、成案の背景としての考え方として、デフレ脱却への取組みですとか、経済成長と好循環の実現により、我が国経済を本格的な成長軌道に乗せていくことが重要であるということも記載されているところでございます。
 資料1-1の後ろの方、24ページ以降に別紙3ということで、安定財源確保に関する基本的な枠組みの資料がございます。ここは省略いたしますけれども、これの2ページ目の25ページに付いている資料は後ほど別の資料の続きの中で同じものを見ていただく予定でございます。
 ここまでの説明で、要するに年金の最低保障機能強化の0.6兆円程度を含みます機能強化ですとか、基礎年金国庫負担2分の1などの費用を賄うというために2012年度半ばまでに消費税10%まで段階的に引き上げるなどの税制抜本改革の法制度の措置を今年度中に講じるということになっておりますので、それとともに来年以降、年金の法案などを速やかに提出というのが全体的なスケジュールになっているということでございます。
 次に資料1-2でございますが、これは年金の個別項目、先ほど項目だけざっと見ていただいて説明は飛ばしましたけれども、年金の個別項目につきまして、官邸の集中検討会議の場の資料として簡単に整理した資料でございます。簡単に説明したいと思います。
 2ページ目に現在の年金制度の抱える課題とその解決の方向性ということで、一番上の箱に現行年金制度の抱える課題として、社会経済が制度創設のころからすると変わってきている、雇用・就労等への影響はどうか、低年金者等が存在するといったことに対処するということで3つの方向性。?は働き方やライフコースの選択に影響を与えないような一元的な制度。?は単身高齢者、低年金者、無年金者の増大に対応した最低保障機能、防貧・救貧機能が強化された制度。?で国民から信頼され、財政的にも安定した制度にしていくという方向性がある。
 それに向けては、大きな課題として新しい年金制度ということで、すべての職種が同じ制度に加入し、所得が同じならば同じ保険料、同じ給付となる所得比例年金を創設し、またこれと最低保障年金というのを組み合わせるという方向性が考えられるわけでありますけれども、ただこれは今の年金制度を抜本的に新しい年金制度に改めるということについては国民的な合意が必要ということと、すべての職種がということで、自営業者も含めて一元的な制度を導入するということについては、社会保障・税に関わる番号制度の導入・定着ですとか、歳入庁の創設など、税と保険料を一体徴収する体制の構築、あるいは所得捕捉問題への納得感、そういったものの環境整備が必要であり、準備期間も要るということで、ただし、新しい年金制度については骨格を示して更に議論を進めていくとして、一番下にありますように、年金改革の目指すべき方向性に沿って、当面、現行の年金制度の改善を速やかに進めるということが現在の方向性であろうということでございます。
 資料につきましては、3ページは「新しい年金制度について」ということで、これは4ページ、5ページに5月26日に民主党の社会保障と税の抜本改革調査会がとりまとめた文章の中の年金部分を抜粋していますけれども、それをまとめて整理したものが3ページということです。これにつきましては、国民的な合意に向けた議論や関係整備を進めていくということが現在の取組みでございます。
 6ページからは現行制度の改善の部分ということで、現状として無年金者、低年金者が存在している。また、国民皆年金という制度を設けて、そして25年という受給のために必要な期間というのを設定している。あるいは平均受給額が5.4万円となっているというような現状を踏まえて、改革の具体策として受給資格期間が現在25年となっていますけれども、これを短縮するということ。あるいは低所得である低年金の人について年金を加算する、あるいは障害基礎年金への加算を行うといったことを検討するということ。それと併せて、低所得者への加算ですけれども、高所得者については年金給付の見直しということを検討するということが課題でございます。
 7ページは働き方に中立な年金制度という観点から、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大という課題。現状の欄に記載してありますとおり、同じ被用者であっても、労働時間や収入によって年金制度の適用が変わるということはないかということであります。
 8ページは短時間労働者の話とも共通しますけれども、年金制度が働き方やライフコースの選択に影響を与えている面があるのではないかということで、第3号被保険者制度の問題、在職老齢年金の問題、産休期間中の保険料負担の問題あるいは厚生年金と基礎年金との関係といったことについての見直し。
 右の方には、標準報酬上限の引き上げで、所得の高い方にはもう少し年金保険料も負担いただくということを考えてはどうかという課題がございます。
 9ページはマクロ経済スライドということでありますけれども、年金額の給付を調整していくという仕組みを平成16年の改正で導入されたわけですが、その後の経済状況の中で十分に機能できていないということへの改善が必要ではないかという論点であります。
 10ページは支給開始年齢の引上げということで、現在、65歳への引上げというのは法律に基づいて進めているところではありますけれども、諸外国の取組みを参考にすると、更なる引上げですとか、引上げスケジュールの前倒しといったことを検討する必要があるのではないかという課題であります。
 11ページには業務運営、システム運営についての課題について整理してございます。これらにつきましては今後またテーマに沿って御議論いただきたいと思っております。
 次の資料1-3というのは、官邸での会議、集中検討会議に5月23日に厚労省から提出した資料でございまして、これは今御説明しましたような各項目につきまして、若干詳し目の資料が付いておりますけれども、本日説明は省略したいと思っております。
 資料2で基礎年金の国庫負担に関する資料について御説明したいと思います。
 1ページ目、平成16年の年金制度改正がございました。これにおきましては、年金財政のフレームワークということで、保険料の上限を固定した上で18.3%まで保険料を引上げるということ。その範囲内での給付水準の自動調整を行うということ。積立金を有効に使っていくということと併せて、税制改革によって安定財源を確保して基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするということを前提としまして、一定の保険料給付の水準の下で中長期的な財政均衡を図るということになったわけでございます。
 そういう前提で16年の改正が行われたわけですけれども、現状どうなっているかです。2ページは基礎年金の費用負担の仕組みということで、公的年金は若い世代が納めた保険料を基に年金が支給されているわけですけれども、納める保険料の方は国民年金の保険料だったり、厚生年金の保険料だったりするわけでありますが、それは納められた保険料の一部が基礎年金勘定というところに集められてそのまま給付されるわけですが、その勘定に拠出金という形で集める際に国庫が同額を負担するということで、勘定に集まる金の半分は国庫、半分は保険料という形になっているわけでございます。これが基礎年金国庫負担2分の1というのはそういう構造になっているということです。
 3ページ目、現在は基礎年金の国庫負担割合2分の1ということになっているわけですけれども、15年度までは3分の1となっていて、16年の改正で引上げということが決められた。これまでの間も年金課税の見直しなどの税制改正によって、少しずつ増収が図られる分を基礎年金に充てるというような細かい改正が行われまして、3.2%分だけ増えて現在36.5%まで引き上げられてきておるということで、その上で更に21年度からは臨時財源というものを投入しまして2分の1にしてきております。
 そのための財源規模というのは4ページに付けておりますけれども、平成23年度で言いますと、基礎年金給付費22兆のうち公費が半分、そのうち36.5と50の差である13.5%分というのが2.7兆円。0.2は地方負担になりますけれども、このうちの国庫負担分が2.5兆円というのが差額に相当します。
 現在の条文の構造、法律の仕組みはどうなっているのかというのは5ページに書いてありまして、この5ページは条文に沿っては細かく説明いたしませんけれども、条文構造に基づいて23年度分をどうするかということで議論が昨年来進められてきたのが6ページ以降ですので、そこを御説明したいと思います。
 6ページ、昨年の暮れ、要するに23年度の予算編成に当たって、23年度分についてはまずこの差額分というのを臨時財源で充てましょうと、鉄道建設・運輸施設整備支援機構剰余金と財投特会の剰余金と、臨時財源で2分の1が実現できるようにしましょうと。24年度以降については、税制抜本改革により安定財源の確保が図られるというのが将来ありますので、それで得られる財源を確保して国庫の負担とするということを予算編成の方針として決めて、そのことを法律にも書き、当初予算を編成したというのが昨年の暮れから年明けの動きでございました。そういうふうなことを考えるようにというのが現在の条文でなっているということでございます。
 7ページ、そういう取扱いを定めておったわけですけれども、東日本大震災が生じまして、これへの対処で急遽費用が必要であるということで、第1次補正予算の編成に当たりまして、基礎年金国庫負担の負担割合は2分の1である、国庫負担割合を引き下げるわけではないわけですけれども、ただし、差額として用意した臨時財源というのは、1次補正で震災復興に使うということで、この時点の整理としては23年度分についてもこの差額を税制抜本改革の財源を活用して充てるという整理をいたしまして、それに応じた形で当初この国会に提出しました法案についても、それに合わせた修正を行ったというのが8ページ及び9ページ。
 第1次補正予算を提出し、年末の予算編成に併せてつくった法律を修正したということなんですが、10ページにありますとおり、この4月に法案を修正するのとほぼ同じタイミングに、1次補正において民主党、自民党、公明党の3党の政調会長の合意ということで、1次補正の処理はそうなったわけですけれども、1次補正において財源措置として活用した年金の臨時財源については、23年度2次補正は今となっては3次補正と読み替える形になりますが、その編成の際に見直しも含めて検討を行うという合意の下で1次補正の処理というのは行われまして、それでどうすることになったかといいますと、11~12ページに8月9日の3党の幹事長による確認書ということで、先ほどの4月の末のものを受けたものになります。
 12ページ、1次補正で財源措置として活用した年金臨時財源については、3次補正予算の編成の際に、復興債で補填する。復興事業に使ったということになりますので、それも復興債で補填するということで、そのための財源確保策と併せて各党で検討するということで、これは3次補正の際にこういった措置がされるというようなことになっているということです。
 ここまでの流れを整理しますと13ページに絵にしておりますが、23年度は当初は臨時財源で2.5兆円を充てて2分の1にしておりましたけれども、震災発生により震災復興費に充てられたと。その分は現在の段階では整理としては13.5%分のお金が無くなったので基礎年金の給付を下げるということにはなっておりませんので、その分は年金積立金を使っているという形になっています。という状況なんですけれども、これは確認書に基づきまして復興債の発行により補填するという整理に現在なっているということでございます。
 そういうのが23年度分の動きとして起きているわけですけれども、ここまでの動き、14ページをごらんいただきますと、この図は何かと申しますと、年金積立金及び取り崩し額の推移という資料ですが、後ほどまた別な資料で若干の補足をいたしますが、近年の賃金の伸び悩み等によりまして、運用による収入というのは毎年大きな幅のぶれがあるんですが、運用による増減を除きますと、下の方にありますとおり、おおむね5兆円から6兆円ずつ取り崩し、すなわち保険料収入よりも給付が多いという状態が続いてきております。
 23年度予算では当初予算で6.5兆円を取り崩す。保険料収入よりも給付が多いという予定でありましたけれども、もしこの震災に流用した分が戻らなければ、その分を加えて9兆円を取り崩すということになっておるというわけでございまして、ここは本来国が負担するということになっているところを労使が負担してきた保険料である年金積立金で負担しているという状況ですので、そうした状況は早急に改善しなければならないと考えております。
 なお、今、本来国が負担すべきところという形で申しましたけれども、過去にもある年度に年金財政に対して行うべき国庫負担を行わずに将来に繰り延べをしたということが平成の1ケタのころにはございまして、15ページのところに経過を記載しておりますけれども、元本だけで約3兆円、一定の前提で利子を計算しましても、元利で5.6兆円ぐらいというような計算もございますが、それがまだ返ってきていない状況にあるというようなこともここでは紹介させていただきたいと思います。
 以上が主に23年度のことを申しましたけれども、24年度以降につきましては、税制抜本改革で安定財源を確保して2分の1にするということと、それが実施されるまでの間の年度につても、将来得られる財源を活用して2分の1を実現するということが先ほどの資料の途中の9ページの修正後の法案の2つ目の○にも記載しておりますし、17ページに付けております、先ほど説明を飛ばしました一体改革の成案の別紙3の2ページ目に当たる図の中にも、右側の箱の真ん中のところに引き上げられる5%の安定財源の確保をされるものの使い道ということで、年金2分の1安定財源の太い字のほかに下の※で税制抜本改革実施までの2分の1財源というのもここに含まれているというのがこの図にも明記されているというところです。したがって、基礎年金の観点からも、社会保障・税一体改革を実現するということは是非とも必要であるというようなことでございます。
 最後に資料3ですが、資料3は基本的な資料ですとか関係の統計を付けてございまして、8ページからは一昨年2月に公表いたしました21年の財政検証に関する資料、これが近年の年金財政の検証状況ということで資料を付けてございます。これは今後議論の際に適宜御参照いただきたいと思いますが、この資料の通し番号ですと27ページ以降に、21年財政検証時以降の実績等を踏まえた年金財政の状況ということで近年の状況の資料を27、28、29ページに付けてございます。
 まず27ページから見ていただきますと、人口の動向、年金財政の影響をみるさまざまな指標のうち、人口につきましては合計特殊出生率が出ますけれども、これについては出生率は見込みよりも高く推移しているというようなことであります。
 28ページ、経済前提ですけれども、物価上昇率、賃金上昇率、運用利回り、3つの表を付けておりますけれども、物価や賃金につきましては、見込みよりも実績の方が低い状況でございます。運用利回りの実績は、年による変動が非常に大きいということになっているところでございます。
 こういった指標の動きを背景に、29ページで収支状況を見ます。厚生年金、国民年金、その合計と3つありますが、一番下の厚生年金+国民年金という欄でごらんいただきますと、収入と支出があるわけですけれども、まず収入については、運用収入というのは毎年のぶれも大きいですので、保険料のところを見ていただきますと、右側にある実績推計の値が左側にある21年の財政検証欄、すなわち見込みを下回っている。保険料収入24.7と26.0ですので、実績が見込みを下回っております。
 一方、支出の方は給付費等でありますけれども、実績が見込みをやや上回っているという状況になっております。賃金上昇が小さかったりあるいはマイナスであったりするために保険料収入が小さくなっている。一方で年金給付の方は、法定されたルールの適用ではあるんですけれども、賃金の下落に応じたような引き下げというのは行われておらないわけですので、そういったようなことなどが背景にあるということでございます。
 これにつきましては先ほど駆け足の説明の中でマクロ経済スライドというのが関連になっているということを申し上げましたが、それも含めまして年金財政を図る観点から、こういった最近の状況も念頭に置いた今後の対応の在り方についても御議論をお願いしたいと思っているところでございます。
 済みません、駆け足でございますけれども、以上で終わります。
○神野部会長 どうもありがとうございました。社会保障・税一体改革の成案から御説明いただいて、次いで基礎年金の国庫負担問題について御説明いただいたのですが、御質問、御議論の方は逆にしたいと思いますので、まず初めに御説明をいただいた基礎年金の国庫負担問題につきまして、今の御説明について御質問や御意見がございましたらちょうだいできればと思います。いかがでしょうか。
 駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 資料2を拝読すると、過去の繰り延べが厚生年金の勘定と国民年金の勘定からそれぞれ発生している。これはこういうふうにどういう経緯でこの金額の割り当てがあったかというのはまた御説明いただきたいと思うんですが、今回の震災に伴う積立金からの不足分の穴埋めというのは、勘定上というのでしょうか、積立金の種類としては、14ページの数字は厚生年金の積立金を使って一時的に穴埋めしているという理解なんでしょうか。それはそういう理解でいいのかどうか、そこだけ教えてください。
○神野部会長 事務局の方から御説明いただいていいですか。
○梶尾年金課長 14ページの部分ですけれども、厚生年金の積立金とか国民年金の積立金とか、特定のところから2.5兆円とかというのをまとめて持っていっているわけではございませんで、2ページのところにお金の流れの図を付けておりますけれども、基礎年金の勘定に厚生年金や国民年金や共済から基礎年金の拠出金を出すことになっています。
 この拠出金を出すところに国庫負担が一定割合出されて、厚生年金が出すお金の2分の1、国民年金から出すお金の2分の1というのが当初予算の形なんですけれども、それの2分の1ではなくて、36.5%分だけしか来ないことになりますから、厚生年金のところ、国民年金のところ、共済のところ、それぞれのところが少しずつその分を負担しているということで、厚生年金積立金だけが持っているというわけではございません。14ページの図は厚生年金、国民年金の積立金の額を合計したという表現の図になってございます。
○駒村委員 要するに一時的に貸すわけですけれども、貸すのを今の負担に比例して、それぞれ積立金から捻出しているということですね。過去の繰り延べというか貸したというか、これはどうしてこういう金額にそれぞれなっているかはわかりますか。
○梶尾年金課長 詳しい説明はなかなか難しいんですけれども、これにつきましては、基礎年金の国庫負担を繰り延べしているわけではございませんで、厚生年金、国民年金には昭和60年の改正の前の旧法の部分の年金についての国庫負担というのがあって、そこについてのものを一部繰り延べしているということで、基礎年金部分についてやっているわけではないという経緯的なものでございます。
○神野部会長 よろしいですか。
○駒村委員 はい。
○神野部会長 ほかに御質問。どうぞ。
○逢見委員 質問ではないんですけれども、今回の基礎年金の穴埋めの問題ですが、当初、国庫負担部分が震災復興の方へ回ったと。その部分を年金積立金で穴埋めせざるを得ないとなると、基本的には余り筋のいい話ではないんですが、もう既にやってしまった以上、ちゃんと戻してもらうということが必要なんだと思います。
 過去にも年金の国庫負担が繰り延べされて、平たく言えば踏み倒されているという状態があるわけですから、今度も同じようなことになってはいけないということで言うと、やはり3党合意がきちんと履行できるように、部会としてもしっかりウォッチするとともに、必要に応じて部会としての主張をする必要があるのではないかと思っております。
○神野部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○藤原参考人 経団連の藤原でございます。私も逢見委員と同様の意見でございまして、基礎年金の国庫負担の2分の1は必ず堅持していただきたい。そのためには、今年度については当然穴埋めしていただきたいし、24年度以降についてもしっかりと財源を確保していただきたいと考えます。
 なぜこのように申し上げるかと言いますと、社会保障の中で公的年金というのは唯一予見可能性が非常に高い制度になっているからです。医療など、他制度はどんどん給付が増え、負担も増えていく恐れがあります。年金も勿論給付は増えてはいきますが、そのための財源についてはパッケージで固まっています。基礎年金の国庫負担2分の1が揺るぎますと、保険料等へのしわ寄せ、積立金の取り崩し、給付の減額等をせざるを得なくなるという状況になりますので、ここは是非とも堅持していただきたい。国民からの年金への信頼感を確保するためにも、国庫負担2分の1は早急に回復するべきだと思っております。
 以上でございます。
○神野部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。よろしいですか。どうぞ。
○佐藤参考人 山本委員の代理の商工会議所の佐藤です。私も今のお二方と同じような意見で、基礎年金の国庫負担について、23年度もそうですし24年度以降についても2分の1を是非確保していただきたいと思います。
 基礎年金は最低保障的な要素が強いものであるということを特に念頭に置いております。また直接年金の話ではありませんけれども、雇用保険についても、本来は国庫負担4分の1のところが財政を理由に13.75%にとどまって、それがずっととどまったままになっております。そういったことも念頭にあり、是非これは2分の1を確保していただきたいと思っております。
○神野部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○吉野委員 慶応大学の吉野です。年金の専門ではないんですが、国庫負担の2分の1の場合、現代世代と将来世代にどういう形でこれが割り振られるかというようなのがもしどこかでわかれば是非教えていただきたいと思います。
 やはり国庫負担2分の1というのは重要なことはそうですけれども、結局それをだれが負担してくるかというと、よくアメリカ人が冗談で言う、日本だけはこれから生まれたくないというような話もありますから、やはり生まれてきてもないような子どもまでどういう形でこれを負担されるのかというのも是非わかれば教えていただきたいと思います。
○神野部会長 今の段階で事務局の方から何かコメントしていただく材料はございますか。
○梶尾年金課長 基礎年金の国庫負担を2分の1にするというのは、年金は従来3分の1でありましたものを、3分の1ということは残り3分の2が保険料と、現役世代が負担する保険料で3分の2で、国庫負担で3分の1にしたものを、現役世代の保険料が上がっていくのをできるだけ押さえようと、現役世代負担である保険料、現役世代に偏ります保険料の割合を2分の1に下げて、特に消費税ということが念頭にあるわけですけれども、全世代で負担する税の割合を増やすという形での世代間のバランスも配慮していくということが16年の改正の財政の考え方としてあったということでございます。定量的にどうかというのはありますけれども、考え方としてはそういった方向でございます。
○神野部会長 あといかがですか。どうぞ。
○山口委員 積立金を2兆5,000億程度売却するということになりますと、多分、債券などを処分されることになるのかと思います。既にGPIFの方でも組織改革をされてそういう流動性を確保できるような体制にはしておられると聞いておりますが、2兆5,000億の売却が市場に悪い影響を与えないように適切に対応していただきたいと思います。
 以上であります。
○神野部会長 わかりました。
 あと駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 先ほど吉野先生の御質問、端的に言うと2004年の年金改革でも決まっていることは、今後100年間に入ってくる保険料収入というのはある程度決まってくる。あとは税財源で確保する。収入はある程度決まっているわけですので、次に支出もある種100年間はものすごく抑えているわけですから、これでもし収入で税財源が足りなくなれば、それは将来世代の給付を抑制するということになってしまうわけですので、この辺は恐らくシミュレーションというか、2004年を基礎にした2009年の検証結果を少しいじくれば、どのくらい将来世代が2.5兆円をこれからしばらく確保できないことによって影響が出てくるというのは、全世代、未来世代が特に集中的に受けるのではないかと思います。
○神野部会長 どうぞ。
○米澤委員 今の年金積立金の取り崩しの件なんですが、金利の部分はどのような約束で付けていただけるのか、この点わかる段階でお知らせいただきたいです。
○神野部会長 事務局の方に振っていいですか。
○梶尾年金課長 これは繰り延べといいますか貸し出しました際に、法律をそのとき出しておりまして、そのときには将来利子を付けて返済するということになっているんですが、具体的にどういう利子を付けてどうするかというのはある意味返すときに決めるというようなことで、具体的にどういう返し方をするかまでは詳しくは決まっていない。ただ、考え方だけ条文に書いてあるということでございます。
○米澤委員 利子を付けるということは。
○梶尾年金課長 付けるということは条文上書いてあるということです。
○神野部会長 よろしいでしょうか。今も御議論がございましたが、その背景にあるのは基礎年金の国庫負担の2分の1部分をいかに確保するかということで、ここの部会で議論していただく議題はいずれも喫緊の課題ではありますけれども、直ちに行動を起こしていただかなければならない問題と、少し慎重に考えてもいい問題と恐らく2つあるかと思いますが、2分の1を確保していくという問題については、火急の事態に対応して行動を起こしていただかないと、先ほど来、御賢察のように、政治日程その他を含めても厚生労働省及び厚生労働大臣が行動を起こしていただかないと、根幹が崩れ落ちるという事態になりかねませんので、私の判断でもって事務局にお願いして、とりあえず文書を準備していただいております。それをお配りいただければと思いますので。
(事務局資料配付)
○神野部会長 それでは、申し訳ありません、事務局の方から読み上げていただいて。
○梶尾年金課長 では、読み上げさせていただきます。

基礎年金国庫負担2分の1の確保について(建議)
(案)
平成23年8月26日
社会保障審議会年金部会

 年金制度を将来にわたり持続的で安心できるものとする観点から、基礎年金国庫負担に関し、以下の取組みを求めるものである。

1.(平成23年度の基礎年金国庫負担について)
 平成23年度の基礎年金国庫負担2分の1に充てることとしていた臨時財源2.5兆円が、第1次補正予算において震災復旧・復興事業に転用されたことにより、年金積立金で穴埋めせざるを得ない状況となっている。しかし、積立金は労使等が拠出した保険料を財源とするものであり、このような取扱いは本来あるべきではない。
 年金財政の安定のためには、転用された平成23年度分の2.5兆円分について、国の責任において財源を確保し、第3次補正予算において年金財政に繰り入れることを求める。

2.(平成24年度以降の基礎年金国庫負担について)
 基礎年金国庫他分については、平成16年の年金制度改正の際に、平成21年度までに2分の1に引き上げるとともに、所要の安定財源を確保する税制の抜本的な改革を行うことが法律上明記された。
 しかし、実際には、税制の抜本的な改革は今に至るまで実施されず、また、平成21年度および22年度に付いては、基礎年金国庫負担2分の1を達成したものの、臨時財源を充てたものであった。
 現在国会に提出中の法案では、税制の抜本的な改革により安定財源が確保される年度以降だけでなく、平成24年度から安定財源が確保される年度の前年度までの各年度についても、税制の抜本的な改革により確保される財源を活用して基礎年金国庫負担2分の1を維持することとされている。また、社会保障・税一体改革成案においても、消費税収による安定財源の使途の一つとして、税制抜本改革実施までの2分の1の財源が挙げられている。年金制度を安定的に維持する上で不可欠である恒久財源を確保するために、今度こそ税制の抜本的な改革を成し遂げるとともに、法案の趣旨に沿って、上記期間の各年度について、国庫負担2分の1の維持のために必要な額を、先送りすることなく、年金財政に確実に繰り入れることを求める。

 以上です。
○神野部会長 趣旨その他については今までの御議論でおわかりいただけるような事態になっておりますので、皆様の御賛同が得られるのであれば、これを年金部会の意見具申として厚生労働大臣の方に御提出させていただきたいと思っておりますが、いかがでございましょう。御意見をちょうだいできればと思います。
 どうぞ。
○藤原参考人 2の項目の現在国会に提出中の法案というのは何を指しているんですか。
○梶尾年金課長 先ほどの資料2の9ページに付けてございますけれども、今年の通常国会に23年度分は臨時財源を充て、24年度以降については税制抜本改革の財源を活用して充てるという条文を置いて提案しまして、4月の段階で23年度分のところは修正しましたけれども、24年度分以降のことは置き変えていない形で現在国会にまだ審議されずに置いてある状態になっている、その法案のことでございます。
○藤原参考人 わかりました。
○神野部会長 よろしいでしょうか。もしも御異論がなければ、今日、大臣、副大臣も御臨席いただける予定でしたが、御賢察いただければと思いますが、お見えになれそうにもないような状態なので、後日、私の方から責任を持って厚生労働大臣の方に全力を挙げて努力をしていただきたいということを部会としてお願い申し上げるということにさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。それでは、次に年金の部会の進め方のイメージ案を。
○梶尾年金課長 済みません、一体改革の方を。
○神野部会長 ごめんなさい、間違えました。申し訳ありません。議論の順序を逆にいたしましたので、社会保障・税一体改革の成案の方について御議論をちょうだいしておりませんので、こちらについて事務局から御説明いただいた資料その他についての御意見、御質問をちょうだいできればと思います。どうぞ。いいですか、かなり年金以外のことも含まれておりますが、特に年金について何か。
 よろしいでしょうか。それでは、次の議題で、年金部会の進め方について議事次第に従いまして移りたいと思いますが、事務局から資料の御説明をしていただければと思います。よろしくお願いします。
○藤原総務課長 よろしくお願いいたします。「年金部会の進め方について(イメージ)(案)」という資料4がございますのと、関連しまして資料5の方も併せてお手元に置いていただければと思います。
 年金部会の進め方について、事務局の方でイメージということでつくらせていただいたのが資料4でございますが、この背景といたしましては、今、部会長の方から一体改革の成案について先ほども事務局の方から御説明した内容がございますが、一体改革の成案、資料1-1、こちらの方の工程表というものが後ろの方に付いてございます。
 工程表の4~5ページが年金の関係の工程表で、横長の表が付いておりますので、こちらの成案の工程表の方とイメージ案と併せてご覧いただきながら御説明させていただければと思います。
 最初の点でございますが、社会保障・税一体改革成案に盛り込まれました改革項目の実現に向けた検討ということをこの部会でお進めいただければという点でございます。
 ただ、資料4の○になりますが、3点ほど進め方について特記事項という点があるということでございます。
 (1)工程表の方にもございます新しい年金制度の創設という点につきましては、国民的な合意に向けた議論や環境整備の状況を踏まえつつ、民主党における検討状況、こういうものを踏まえて検討を進めるということでございます。
 したがいまして、冒頭、今日、年金課長の方からの説明にもございましたが、この部会での御議論というのは、現行制度の改善というところに当面焦点を当てた議論ということであるのではないかということでございます。
 現行制度の改善ということで工程表の方に各項目ございますが、資料4の2つ目の○の(2)のところにございますが、その中でも非正規労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大につきましては、年金だけではなく、医療・雇用等の幅広い分野に関係することから、社会保障審議会にこの年金部会と別に特別委員会というものを設けて、分野横断的な検討ということを進めて、その状況をこの年金部会の方に報告をするということでございます。
 やはり現行制度改善の改革項目の1つであります被用者年金の一元化という項目に関しましては、厚生年金と共済年金の間の調整ということが必要でございますため、関係省庁、厚生労働省、財務省、総務省、文部科学省、こうしたところで検討を進めて、その状況を年金部会の方に報告するという考え方、イメージでございます。こうした現行制度の改善の改革項目についての議論のスケジュールという点でございますが、これも社会保障・税の一体改革の成案におきまして、税制抜本改革とともに24年以降速やかに法案を提出し、順次実施するということにされておるところでございますことから、この部会におきまして、9月以降、月2回程度のペースと大変ハイペースでございますが、このペースで開催し、各項目について順次議論を進める。
 なお、現行制度の改善という点でございますので、一体改革の成案に掲げられた項目以外の項目についても必要に応じて御検討いただくというイメージでございまして、平成24年の国会への法案提出に向けて、年内のとりまとめということを目指すということでございます。
 今、申し上げましたスケジュールのイメージにつきましては、資料4の裏面の方に簡単に書かせていただいております。この9月、10月で一当たりの議論ということをお願いいたしまして、11月以降、2巡目の議論、年内のとりまとめというイメージでございます。
 資料4の表の方に戻りますが、加えまして、一番下の○でございます。年金積立金の運用の在り方、年金財政における経済前提の在り方につきまして、この年金部会の下に秋以降、専門委員会を設けるということとしてはいかがかということでございます。
 この専門委員会の関係の内容が資料5、別の紙になりますが、そちらの方に本日出させていただいているものでございます。
 資料5の専門委員会の設置について(案)は、年金部会の討議に資するために、年金財政における経済前提や積立金運用の在り方など、専門的・技術的な事項について検討を行う委員会を設置し、その次にございます主な検討項目、年金財政計算に用いる経済前提としての各種経済指標の在り方、年金積立金の運用目標の在り方、運用目標と基本ポートフォリオの関係などについて御検討をお願いできればということでございます。
 この本部会から1か月ぐらい後の立ち上げということになりますが、9月下旬から10月の初旬を目途に第1回会合を開催ということで準備をさせていただければと考えております。
 以上がこの年金部会の進め方についてのイメージということでございます。どうか御意見のほど、よろしくお願いを申し上げます。
○神野部会長 今、御説明をいただきました件について、御意見、御質問をちょうだいできればと思います。私どもの委員会、当面は現行制度の改善ということで、デザイン的な改革については別途進められている民主党等々の議論などを見極めながらということになるかと思います。
 非正規従業員に関わる問題や、被用者年金の一元化については、別途委員会なり各省庁での検討を待ってということになりますが、それでも来年の通常国会その他の日程を考えれば、皆様方には月2回程度の御負担をお願いするというようなものが当面の見通しでございまして、勿論、スケジュールどおりにほぼ動かしたいと思っておりますが、いろんな状況がございますから、それを勘案しながら進めていくということになるかと思います。
 もう一点の年金財政における経済前提と積立金の運用に関する専門委員会を立ち上げるという問題をも含めて御意見や御質問をちょうだいできればと思います。いかがでしょうか。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 1つだけ質問いたします。先ほど言及されたんですけれども、出生率が最近上向き傾向になっていますね。出生率は年金財政の将来見通しも非常に大きな影響を及ぼすんですけれども、新しい人口推計をこれからの議論に使うということはどこまでできるのでしょうか。
○神野部会長 これは事務局の方でお願いします。
○安部数理課長 現在、新しい将来人口推計の議論が社会保障審議会の人口部会の方でちょうど御審議が始まっているところでして、年明け早々ぐらいに新しい人口推計をということで議論が進められていると伺っております。
 そういう意味で年内は無理ですので、年明けた段階のところで新しい人口推計の結果などを資料5にございます専門委員会にも御報告して、そして年金部会にも御報告をしたいと考えております。
○神野部会長 よろしいですか。御意見ございましたらちょうだいできればと思います。
 藤沢委員、どうぞ。
○藤沢委員 今日からなので空気が読めない発言になるかもしれないんですけれども、今後議論するというところの議題の中に、第3号被保険者制度の見直しというのがありまして、これは本当に長く議論されてきていることであるにもかかわらず、ちっとも改善されていないというか変わらないかなという印象がありまして、これを議論するためには非正規労働者の年金の問題とセットで議論しないと、そういう非正規労働者の夫婦というものは、この第3号にもなれないわけなので、ここを分けることというのが本当に議論を進めることにつながるのだろうかというのが少し気になるところで、もしかしたら非正規を先にやってから第3号を議論しましょうということなのかもしれませんけれども、この辺り少し御説明をいただけるとありがたいなと思いました。
○神野部会長 非正規の問題は問題としてまた年金以外の問題があるのでそちらで検討すると。そこを含めて年金の問題が出てくるんだけれども、年金の問題としても今御指摘の問題も有機的に関連してきますのでここをどう進めましょうかということですが、とりあえず分けてやるという案ですが、事務局の方でコメントすることはございますか。
○梶尾年金課長 今、部会長からのお話があったとおりではあるんですけれども、短時間労働者の社会保険適用の基準というのをどう考えていくのかということについては、年金だけではなくて医療の問題、雇用の問題なども含めてあるので、そこで検討するんですけれども、第3号被保険者について、社会保険適用基準とまた別に専業主婦にも負担していただくべきではないかとか、配偶者の方に負担していただくべきではないか、あるいは給付を下げるべきではないかとか、いろいろな、適用ラインとはまた別の論点での3号の制度の問題があって、その議論というのと社会保険適用の基準あるいは130万円といった論点は、最終的には総合的に整理しなければいけないんですけれども、社会保険適用のラインの話は別途の部会で主に検討していただいた上で、その状況もこの年金部会に報告して、年金として全体をどう整理するかというのは併せて御検討いただきたいと思っております。
○神野部会長 いいですか。御疑問はよくわかりますし、それと物事を1つのジクソーパズルの一辺だけ見ていると議論が進まないということがございますので、他の領域との関連を議論していくということは不可欠なわけですが、当面テーマを設定させていただいて、今おっしゃたような御議論を含めて、取り上げるときに他の諸制度との有機的な関連づけや何かについて御発言賜れればと思っております。よろしいですか。
 あとはいいですか。どうぞ。
○武田委員 今回は年金分野の各項目のうち、資料にある(1)、(2)、(3)については別途検討するということですが、1つ目の新しい年金制度の創設については、確かにデザインそのものを今見直すというのは難しく、現行制度の改善というところからスタートするということが現実的であると思います。しかし、先ほど藤沢さんから御指摘があった点なども踏まえますと、本来、年金制度とはどうあるべきかといった基本的な考え方や改革の方向性といったものは必要で、それを基に各項目について改革や見直しを実施していく必要があるのでないかと考えています。部会長の方からもございましたとおり、各項目について、共有すべき基本的な考え方や改革の方向性を踏まえつつ議論できれば、より望ましいのではないかと感じました。
○神野部会長 ありがとうございます。ただ、全体の方向性は先ほど一体改革の方で進められていた方向性になって、これは民主党の方でも検討されて徐々にしてくるだろうと。方向性なんだけれども、道筋は幾らでもあるので、こちらと言われてもさまざまな議論はやっていただく。
 ただ、方向性に関わるようなことについて御発言いただく分には、物事は別の視点から見てみないと本質がよくわからないという点もございますのでちょうだいできればと思いますが、年末までに少なくとも上げておかないと、23年の通常国会に一応法案は出すという前作業になりますので、タイムプレッシャーとの闘いになりますが、進め方としてはこのように進めさせていただければと思います。
 あとどうぞ。
○藤原参考人 経団連の藤原でございます。2点申し上げたいと思います。意見でございます。
 まず1点目、先ほどの資料4の検討項目を拝見いたしますと、いずれにしても給付拡大につながるような項目がかなりたくさんあります。これらを実現するとなると、多額の財源が必要になりますので、財源の議論もしっかりやっていかなければいけないと思っております。
 その際、財源の出し方としては、他の給付の削減、税の投入割合の拡大、保険料負担の引上げと3種類あると思うんですけれども、私どもとしては、保険料負担の増大による雇用への影響ということを十分に考えていきながらこの議論に参加していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 2点目は、被用者年金の一元化についてでございます。集中検討会議の成案では触れられておりませんが、2007年の一元化法案の中では、職域年金の廃止も併せて議論がされておりました。私どももそのときは職域年金廃止ということに賛成しておりましたし、今回も当然それも含まれて議論されるべきだと思っておりますので、あらかじめ申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○神野部会長 では、どちらでも、譲り合わなくていいです。どうぞ。
○駒村委員 今の改革の方向の話は財源論、これと一体改革で出てきた成案の関係を少し確認した方がいいと思っておりまして、今の話を聞いておりますと、資料1-3の方で、一体改革の議論の中である種宿題というんでしょうか、議論の方向というのは1ページの施策の方向の3つの要件、これは一体改革の方からこれが議論の方向を向いているんだと、つまりゼロベースでそもそも論の話をするわけではなくて、ある種方向は向いていると。この3つの方向に向かって、先ほど先生がお話をされたようないろいろな角度から検証するということですので、そこのところはまず共有をして、一体改革からある種方向は示されております。
 財源論も一体改革の中で付属資料が付いていて、こういう部分を削るとこのぐらい出るし、こういう部分が出てくるとここから財源を確保するというストーリーは一応出ているので、余り深追いをしてさかのぼっていくのではなくて、一体改革で政府が責任を持ってこの財源調達と総合的な調整をやってくれるという前提で議論していくという理解でよろしいと思っているんですが、いかがでしょうか。
○神野部会長 先ほど言いましたように、委員の皆様方から御議論をちょうだいする場合には構いませんけれども、全体の議論の進め方としては、この部会の前提としては、今、駒村委員がおっしゃったような前提を想定して、つまりそれは共通認識としてスタートしたいと思っております。
 どうぞ。
○藤原参考人 1点だけ補足させていただきますと、私ももちろんその前提で議論したいと思っているんですけれども、その前提が崩れる場合もあるということを申し上げております。
 「とらぬタヌキの皮算用」をやって給付の拡大だけ決めておいて、「財源が付いてこなかったらできません」という議論を今まで他の制度で何度もやってきているわけです。高齢者医療制度改革もそうですし、介護給付もそうです。同じことを繰り返してはならないという意味で申し上げました。
 以上です。
○神野部会長 前提そのものの条件、先ほどの2分の1を含めてですが、これはそのとおりにやっていただくという努力を重ねてお願いするということしか今のところないので、そう想定せざるを得ないのかなと思います。
 今のに関連する事項ですか。では、逢見さん、どうぞ。
○逢見委員 論点の1つに支給開始年齢の引上げがあって、資料1-2で具体的なイメージとして68~70歳までの更なる引上げという具体的な年齢まで出ているわけですね。その点で、これは高齢者雇用施策とのバランスが必要なので、もし仮に高齢者雇用施策の部分でこういう議論がなされないのであれば前提が崩れるということになりますので、前提があって議論すべきということは今の段階で申し上げておきたいと思います。
○神野部会長 いいですか。
 どうぞ。
○佐藤委員 今後のことを教えていただきたいのですが、資料4の非正規労働者部に対する厚生年金・健康保険の適用拡大について、これは分野横断的に議論するので特別会を設けるということなんですが、厚生年金の適用拡大についてはこれまでも審議会、研究会等でいろいろ議論の蓄積があるんですけれども、健康保険の方は正直言って余り適用拡大だと仕組みをどうするかは議論していないので、同じように厚生年金を適用拡大するときに、健康保険の方は制度の方もある程度いじらないと、制度がうまくワークしないということがあると思うんです。
 そうしたときに年金部会だけの報告なんですけれども、つまり健康保険の方の適用拡大をするためには、健保組合を含めても制度的なり仕組みを少し変えなければいけないというのが出てきたときに、これはどういうふうになるんですか。年金部会に。
○梶尾年金課長 これは年金部会の資料なのでこう書いていますけれども、勿論、医療保険制度とも関連しますので、医療保険部会の方にもやるというような話になります。
○神野部会長 よろしいですか。当然、こちらに関係する分野だけ御報告いただくというニュアンスで、勿論、全体を御報告いただきますが、関連することだけ書いてあるということですね。
 どうぞ。
○諸星委員 今こちらの非正規労働に対する適用拡大については、別途日にちを設けて多分議論されると思うんです。その都度出てきたものというのは事前にいただくことはできるのでしょうか。
○神野部会長 その都度、向こうが出た場合に報告するというよりも、委員に資料としてということですか。
○諸星委員 そうです。
○神野部会長 どうぞ。
○梶尾年金課長 会議への報告というのはある程度の節目という形になると思いますけれども、資料の方は提供させていただきたいと思います。
○諸星委員 わかりました。
○神野部会長 あとはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○米澤委員 今、メインのところの話がひと段落したところで、資料5の設置の趣旨ですが、専門委員会設置のことに関してお聞きします。前回の財政検証時もこういうような委員会を設置して、そこのところでいろいろ基礎率を決めたというわけなんですけれども、その後にちょうど1年前くらいでしょうか、植田先生を座長にしてGPIFの運営の在り方に関する会議が1年ぐらいかけて行われて、その中の提言の1つで、専門委員会とGPIFの運用委員会とが合同で議論できるような場所を設置する必要があるのではないだろうかという提言を致しました。それに応えてこう書かれているのか、前回に比べて専門委員会名に「年金運用の在り方」が新たにここでは入っていますが、そういうことも意図されているのかどうか、まずそれをお聞きしたいんです。
○神野部会長 この組織はここの部会の下でいいんですね。
○藤原総務課長 この専門委員会はこの部会の下に設けるという位置づけでございます。
○米澤委員 守備範囲と言ったらおかしいんですけれども、前回のときはポートフォリオの話まではそんなに立ち入って議論しなかったわけなんですけれども、先ほど言いました昨年度の検討会でもって、そこを共有して議論する場をつくった方がいいということの提言があったんですが、それを受けて委員会を設置しているようなことはあるのでしょうか。
○神野部会長 よろしくお願いします。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 企業年金課長でございます。資金運用担当も兼任しておりますので、そちらの立場からお答えさせていただきます。
 今の米澤先生の御質問の件ですが、昨年末に厚生労働大臣の下に置かれましたGPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方の委員会の中で、厚生労働大臣がGPIFに示す運用目標を決めるときには、1つには財政と運用を一体的に議論する場を設けるということ。併せまして、実際に運用目標を受けて、基本ポートフォリオをつくり運用していくGPIFの議論の参加も得て、そういう形でのプロセスの透明化を図っていくということが提言されております。
 本日は設置というだけで具体的なプロセスまでまだ書いておりませんけれども、今後この委員会を進めるに当たりましては、運用目標と基本ポートフォリオは連動いたしますので、GPIFの参加もオブザーバー的にはなると思いますが、一緒に一体的に議論していくという形にしたいと思っております。
○神野部会長 よろしいでしょうか。
○米澤委員 わかりました。
○神野部会長 ほかに御質問、御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○佐藤参考人 資料4について、議論の方向性で1点申しあげるのと、質問を3点ほどさせていただきます。方向性のところは、先ほどもお話が一部出ておりましたけれども、給付の拡大の方のメニューがたくさん並んでおりますが、社会保障制度を持続可能なものにするということが非常に大事だと思いますので、給付の重点化、効率化、それに関する項目も勿論入っておりますけれども、今後そういった議論を深めていければと思っております。
 その上で、資料4の表側の記載のところで3点ほど念のため確認させていただきたいことがあります。1つは先ほど来お話に出ておりました適用拡大のところです。別部会の部分についてで恐縮ですが、ここに「非正規労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大」とございますけれども、これは念のため確認ですが、一体改革の成案にありますとおり、これはイコール「短時間労働者に対する」ということでよろしいでしょうか。
 もう一つは、これも話題に出ましたが、その下の(3)の被用者年金の一元化の部分は、追って御報告をいただけるということですけれども、どういったスケジュールが想定されているのか教えていただければということでございます。
 最後に、私ども今回からこの部会に初めて参加させていただくこともありますので教えていただければと思うのですが、「一体改革の成案に掲げられた以外の項目も必要に応じて検討」ということですけれど、もし何か、「例えばこういうこと」と想定されているものがあれば教えていただければと思います。
 以上です。
○神野部会長 最後の問題は当面、委員の方からの御相談も含めてということでよろしいですね。何か特にありましたら。
○梶尾年金課長 まず3点いただきましたうちの1つ目の適用拡大の関係でございますけれども、成案の中でも非正規と書いてあったりいろいろあるんですけれども、非正規労働者、非正規雇用者という言葉も非常に多義的ですからその言葉自体どうかという議論も別途あるわけですが、この特別部会につきましては、既に名称も一応決めておりまして、短時間労働者に対する社会保険適用等の在り方の特別部会というようなことで、非正規ということであるんですけれども、ターゲットとしては短時間労働者ということでの適用の在り方の検討ということで考えているところでございます。
 あと、被用者年金の一元化につきましても、この成案の先ほどの工程表の図の中での全体、この項目も2012年以降、速やかに法案提出というグループに入っておりますので、同じスケジュールを目指してこちらのその他の項目を年内にとりまとめということでお願いしておりますが、その辺についても同じスケジュールを想定して作業を進めていこうと思っております。
 3つ目につきましては、この成案にある項目以外にも、日々厚労省なり機構なりに制度改善の要望があったり、国会でも議論されたり、あるいは今後委員の中にもこういった項目も必要ではないかと出てくるかと思います。そういったものも議論に乗せることは考えられるというか、そういったことをやる時間帯も設けたいということでございます。
 以上です。
○神野部会長 あとはいかがでしょうか。何か事務局の方からございますか。いいですか。
 それでは、いずれにしましても私どもの部会としては、成案を前提にしながら内実を深めていく。その中でいろいろな御意見をちょうだいしても構いませんと、行きつ戻りつですよということを確認させていただくことと、部会の下に年金財政における経済前提と積立金運用の在り方に関する専門委員会を設置するということについては、特に御異論がなかったと認識しておりますので、御承認いただいたということでよろしいでしょうか。
 それでは、また委員の皆様方からも御意見をちょうだいいたしますけれども、進め方についてはイメージ案という方向で当面進めていくということで大枠の了承をいただいたということと、専門委員会の設置について御了承いただいたということの2点を確認させていただいた上で、この議題についてはこの程度で引上げさせていただきたいと思っております。
 まだ予定の時間は到達しておりませんけれども、早くやめていけないということもないかと思いますので、本日に関しましてはここら辺で審議を閉じさせていただいて、次回の開催やあるいは補足していただく事項や連絡事項がございましたら、事務局の方からお願いできればと思います。
○藤原総務課長 どうもありがとうございました。次回の開催でございますが、9月13日、火曜日の午後2時からということで予定してございます。詳細につきましては追って御連絡をさせていただきたく存じます。どうもありがとうございました。
○神野部会長 どうもありがとうございました。お忙しい中を委員の皆様方には御参集いただきましたことを重ねて御礼を申し上げる次第でございます。また、議事運営について不行き届きで御不満があるようなことがあるかもしれません。伏しておわび申し上げまして閉じさせていただければと思います。
 どうもありがとうございました。


(了)

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