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平成23年5月20日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録
2011年5月20日 平成23年5月20日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録
○日時
平成23年5月20日(金)
○場所
厚生労働省 専用第21会議室
○出席者
出席委員(16名):五十音順 敬省略
荒 川 義 弘、 石 井 明 子、◎笠 貫 宏、 塩 川 芳 昭、 |
正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 高 橋 好 文、 武 谷 雄 二、 |
田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、 |
西 田 幸 二、 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、 桃 井 保 子 |
欠席委員(7名):五十音順 敬省略
○荒 井 保 明、 今 井 聡 美、 川 上 正 舒、 木 村 剛、 |
倉 根 一 郎、 齋 藤 知 行、 松 岡 厚 子 |
行政機関出席者
内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) |
重 藤 和 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) |
○議事
○医療機器審査管理室長 医療機器審査管理室長の関野です。定刻の14時30分を少し回りましたので、これより医療機器・体外診断薬部会を始めます。委員の先生方におかれましては御多忙の中、御出席いただきありがとうございます。前回も新しい先生方を御紹介いたしましたが、本日も4月27日付で、新たに3名の先生に本部会に参画いただくことになりました。私から新しい委員の先生方を御紹介いたします。議事次第2ページの委員名簿に沿い御紹介します。お一方目が上から4人目で、本日は欠席ですが、今井聡美先生に新たに御参画いただくことでお願いしております。所属は納得して医療を選ぶ会代表です。中程になりますが、田島優子先生に御参画いただいております。よろしくお願いします。それから菱田和己先生にお願いしております。よろしくお願いします。
以上の3名の先生方は、本日最後に議題とは別に、少し御紹介する機会があるかもしれませんが、薬事・食品衛生審議会の運営の仕方が少し変わり、我々の部会の上に位置する薬事分科会との関係で、ほぼすべての品目をこの部会で御審議いただき、それをもって事務局で承認の手続に移るとした関係もあり、薬事分科会にこれまで属していらした医学、工学あるいは薬学という分野の先生とはまた違う立場の先生にこの部会に御参画していただくということで、新たに3名の先生に加わっていただいております。よろしくお願いします。
続いて本日の委員の出欠状況について御報告いたします。予め御欠席との連絡をいただいております先生は、荒井委員、川上委員、木村委員、倉根委員、斉藤委員、松岡委員の6名です。さらに本日今井委員が急遽欠席ですので、7名の先生方が欠席でございます。千葉委員は遅れて見えられるということで、23名の委員の先生方にこの部会をお願いしておりますが、現時点において15名の先生に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
続いて本日の部会の公開・非公開の取扱いについては、薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1と議題2については、会議を公開で行っております。現在、部会長から見て向かい側の壁に席を用意しており、傍聴の方にお座りいただいています。現時点では公開の会議ということで行っております。議題3以降については、医療機器の承認審査に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれますので、非公開で行います。
事務的な連絡は以上で、これより議事に入りますので、傍聴の方のカメラ撮り等については、ここまでとします。御協力をお願いします。それでは部会長、以後の進行をよろしくお願いします。
○笠貫部会長 最初に事務局から配付資料の確認をお願いします。
○医療機器審査管理室長 公開で行います議題の関連で、資料を確認いただきたいと思います。お手元の資料1-1、資料1-2、参考資料1-1は議題1の関係です。参考資料1-2は会議終了後に回収になります。資料番号は飛びますが、議題2の関連で、資料8を用意しております。議題1と議題2の関連の資料は以上です。不足等がありましたら、今でも結構ですが、後ほどの具体的な議題のところでも御指摘いただければ、お渡ししたいと思います。
○笠貫部会長 資料はよろしいでしょうか。よろしければ議題1に入ります。議題1「医療機器の認証基準案について」、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題1「医療機器の認証基準案について」御報告します。資料1-1、1-2、参考資料1-1。委員の先生におかれましては参考資料1-2も御用意ください。
まず、参考資料1-1、「医療機器の認証基準に関する基本的考え方について」です。認証基準については、平成17年の改正薬事法の施行により、第三者認証という制度を導入し、厚生労働大臣が基準を定めたものについて、登録認証機関がその基準に基づいて、適合性の評価をする形になっております。登録認証機関は現在、我が国に13あります。本日、先生方に御報告します認証基準については、制定が7件、改正が8件です。本日御報告しました基準に関しては、パブリックコメントを終えて、告示として発出する予定です。
内容については、医薬品医療機器総合機構から御説明いたします。
○機構 基準について御説明します。資料1-1、表紙に基準の番号と名称が振ってあり、全部で14件記載されています。最初に新規制定の認証基準、1~7について御説明いたします。1は「単一エネルギー骨X線吸収測定装置等認証基準」で、当該機器は性能評価に用いる個別JISが策定された当時には、JISによる評価実績が少ないことから、認証基準を策定する時期にはまだ早いという考えに基づいて、承認基準を作成し、運用しておりました。
その後、承認実績が7件となり、市場の性能評価もできたことから、今後は認証制度に移行できるものとして、認証基準へ変更するものです。3ページの下段、当該認証基準の対象となる代表的な機器の外観を示しております。当該機器は骨密度を得るために使用されるX線吸収測定装置です。1ページに戻り、当該認証基準の対象とする一般的名称は、上段の記載のとおり業務名称です。基準の日本工業規格はT0601-1で使用目的、効能及び効果は上段に記載のとおりです。また当該機器の実態を表すように、一般的名称の定義変更も併せて行います。変更内容は、1~3ページの定義の記載のとおりとなっています。なお承認基準は認証基準告示と同時に配信する予定です。2が「歯科用デジタル式X線撮影センサ等認証基準」で、5ページは当該認証基準の代表となる代表的な機器の外観と撮影の様子を示しております。当該機器は歯科のX線撮影時に、フィルムの代りにCCD等で撮影する機器を扱う機器です。
4ページに戻り、当該認証基準の対象とする一般的名称は、上段に記載のとおり2名称です。また基準の日本工業規格はT0601-1で、使用目的、効能又は効果は記載のとおりです。3は「血管造影用カテーテル等認証基準」で、6ページ、当該認証基準の日本工業規格は現在公示待ちであるため、記載はT0000となっております。認証基準はクラスIIの管理医療機器を対象としておりますので、使用目的、効能又は効果は非中心循環系での使用に限定する記載となっています。中心循環系に使用する中心循環系血管造影カテーテルなどは、承認申請するように区分けしております。また実情に合わせるため一般的名称の定義変更も併せて行います。変更内容は6ページの下段の定義の記載となっております。
4は「低圧吸引器等認証基準」で、当該認証基準は8ページ上段の記載のとおりです。5は「ハロタン用麻酔薬気化器認証基準」で、当該認証基準は9ページ上段の記載のとおりですが、当該機器の実態を適切に表すように一般的名称の定義変更も併せて行います。変更内容は9ページの定義の記載のとおりです。
6は「酸素治療フロメータ認証基準」、当該認証基準は10ページ上段の記載のとおりですが、実際には加湿機能があるものとないものとがあり、実情に合わせるため一般的名称の定義変更も併せて行います。変更内容は10ページの中段の定義の記載のとおりです。またこの機器は人工呼吸器に接続されて使用されている機器ですので、11ページに示したように、クラス分類ルールに2-1.を追加する変更も行います。
7は「呼吸回路ガスセンサ認証基準」で、認証基準は12ページ上段の記載のとおりですが、一般的名称の定義変更も併せて行います。変更の内容は12ページ中段の定義の記載のとおりです。8~14は認証基準の改正と規格内容の改正になります。
8は「アクリル系歯冠用レジン認証基準」で、改正内容は13ページ上段の基準の使用目的、効能及び効果の記載変更です。人工歯冠の補修だけではなく、暫間被覆冠の作製にも用いられるため、記載のように変更します。また認証基準の引用JISには変更はありませんが、現行のISOと国際整合させるため、日本工業規格が改正され、規格内容が変更されるのに伴い、資料1-2の8「アクリル系歯冠用レジン基本要件適合性チェックリスト」の内容も日本工業規格に整合させるような記載としております。
9は「手術用ステープラ認証基準」で当該認証基準の日本工業規格や使用目的、効能又は効果は14ページ上段の記載のとおりで変更はありません。今回電動式のステープラについても、当該基準の対象とするため、実態を踏まえ、クラス分類ルールを15ページの記載のとおり変更するものです。電動式のステープラを当該認証基準の対象とするための追加要求項目は、資料1-2で、9の「手術用ステープラ基本要件適合性チェックリスト」に追加を行っています。
10は「純音聴力検査及び語音聴覚検査機能付インピーダンスオージオメータ認証基準」で当該認証基準の日本工業規格は、使用目的、効能又は効果は16ページ上段の記載のとおり変更はありません。資料1-2の10「純音聴力検査及び語音聴覚検査機能付インピーダンスオージオメータ基本要件適合性チェックリスト」の中の、引用する日本工業規格が改定されるため、基本要件適合性チェックリストの記載を日本工業規格の改定に整合させるものです。
11、12、13の「歯周ポケット測定器認証基準」「歯科用下顎運動測定器認証基準」「電熱式根管プラガ認証基準」は、同様の内容で18~20ページに記載されたとおりの基準案となっており、日本工業規格や使用目的、効能又は効果に変更はありません。資料1-2の11~13の基本要件適合性チェックリストに引用している歯科器械の製造販売承認認証申請等に必要な「電気的安全性評価及び物理的、化学的評価の基本的考え方」のガイドラインをチェックリストで引用しているので、ガイドラインが改正されたことにより、基本要件適合性チェックリストの記載をガイドラインに整合させるものです。
14は日本工業規格が改正される予定の二つの認証基準で、基準に引用する日本工業規格の基準番号は変更されないまま、規格内容が変更されるもので、規格の日本工業規格や使用目的、効能又は効果について変更はありません。日本工業規格の元となる国際規格が改正されたことによる日本工業規格の改正です。改正する日本工業規格はT1201-1であり、改正内容は現状の技術水準を踏まえて、評価項目の整理、見直し等を行うもので、大幅な変更はありません。認証基準の御説明は以上です。
○笠貫部会長 委員の先生方から御意見、御質問ございませんか。13の機種についての管理医療機器の認証基準について御説明いただきましたが、どなたか御意見ございませんか。
○事務局 委員の?橋先生から事前に御意見をいただいています。資料1-1の18ページの11、歯周ポケット測定器の認証基準、参考の説明の所、「プローブ探針を用いて電気的に測定する」と書かれていますが、「プローブを用いて電気的に測定」ということで、プローブと探針とがダブって書かれていると御指摘いただいています。「プローブ探針」と業界ではそういう言い方をするということですので、機器の説明としては特にそのようなものがあるということで、御理解いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。管理医療機器の認証基準についても、順調に作業が進められていることがよく分かりますし、今日の案についてはこれからパブコメに出されるわけですね。ほかになければ議題1は終了とします。それでは議題2「体外診断用医薬品の承認基準の一部改正について」事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題2「体外診断用医薬品の承認基準の一部改正について」御報告します。資料8、「体外診断用医薬品の承認基準の一部改正について」というタイトルです。体外診断用医薬品を製造販売しようとする者などが、製造販売しようとする場合、申請に係る体外診断用医薬品の使用目的、形状、構造、原理、品目仕様、使用方法などに関する所用の審査を行った上で、厚生労働大臣または登録認証機関がその品目ごとに承認または認証を与えることとされています。そのうち厚生労働大臣が承認するものについて、承認審査において体外診断用医薬品に関する承認基準が定められている場合は、当該承認基準への適合性を確認することにより、審査を行うこととしています。今般、現在の承認基準が通知された後に、新たな体外診断用医薬品が承認されていることを踏まえ、2ページの別添のとおり、承認基準の対象となる体外診断用医薬品の16品目を追加、及び4ページにあるように、検査項目の変更をするために必要な改正を行います。本日御報告した内容に関しては、パブリックコメントを得て局長通知として発出する予定です。以上です。
○笠貫部会長 いまの16品目について、体外診断用医薬品の基準の一部改正ということで、御説明がありましたが、委員の先生方から御意見はございませんか。よろしいですか。特に御意見がございませんでしたら、これで議題2は終了します。公開で行う議題は以上です。
○医療機器審査管理室長 ありがとうございました。それでは以後の議題は非公開としますので、傍聴の皆様はここで御退席をお願いします。この後の議題の開始時刻は3時丁度を目処に再開したいと思いますが、よろしいでしょうか。
○笠貫部会長 はい。
○医療機器審査管理室長 3時になりましたが、よろしいでしょうか。それでは準備が整いましたので、これより部会を再開したいと思います。まず、非公開の議題に係る配付資料の確認をさせていただきます。
お手元の資料の、資料2としまして「Penumbra システム」の審査に関する資料でございます。資料2がもう一つ、紐綴じで分冊になっているかと思いますが、かなり分厚い資料で「症例一覧」というものを御用意させていただいております。資料3として、議題4の関係で「体外設置式補助人工心臓ポンプ」の関係の資料がございます。それから参考資料3、続きまして、資料4-1~4-9まで御用意しております。こちらが再審査の関係の資料になります。次に、横長の資料で資料5という一部黄色い形で表が形成されているものを御用意しております。資料6としまして「競合品目・競合企業リスト」、そのほか、参考資料6、資料7をそれぞれの議題の関係で用意しております。また、どの資料を御用意いただくかということは、その都度、その議題のところで事務局の方から述べさせていただき、その後、御説明させていただきます。現時点で不足等、お気づきの部分がございましたらお申し出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○笠貫部会長 資料の方はお揃いでしょうか。それでは、これより非公開で行う議題に入らせていただきます。まず、本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申し出状況について事務局の方から御報告をお願いします。
○事務局 それでは資料6、「競合品目・競合企業リスト」をお手元に御用意ください。資料6について御説明をさせていただきます。
表面の方ですが、医療機器「Penumbra システム」、本日の審議事項議題3の資料でございます。競合品目として、企業の方から競合品目1、2、3と三つ挙げてあります。一つ目がMerci リトリーバー、競合企業名が、日本国内の製造販売業者がセンチュリーメディカル、海外製造業者がConcentric Medical,Inc.となっております。競合品目2としましてEKOS Micro-Infusion Catheterで、海外製造業者のみでございます。競合品目3としましてpCR phenox Clot Retrieverです。海外企業だけで、こちらはドイツの品目となってございます。その下は競合品目を選定した理由ですが、競合品目1のMerci リトリーバーに関しては、使用目的、効能・効果が下記のとおり設定されており、本申請品目と同じであるという形になっておりまして、今回、審議いただくものと同じ効能・効果を持っているものがあるという理由で競合品目として挙げられてございます。競合品目2、3については、脳血管治療デバイスの選択肢として使用される等ございますが、国内での取扱いの企業は決まっていないということでございます。
資料6の裏面でございますが、こちら、議題4で希少疾病用医療機器の指定について御審議いただく品目でございます。申請品目は、体外設置式補助人工心臓ポンプ(小児用)で、申請者名は、株式会社カルディオでございます。こちら、競合品目1、2と二つ出されてありますが、こちらは、実は競合品目2の補助人工心臓セットを駆動するためのポンプが競合品目1となっておりますので、実質、品目としては一つであります。ただ、競合の企業としての会社名が違うということで、二つに分けて書かせていただいております。こちらはニプロの補助人工心臓セットでございますが、単回使用の体外設置式補助人工心臓ポンプということで同じような目的で使われるということです。ただし、これは成人用に使われるものですが、今現在、我が国で小児用の人工心臓ポンプがないという状況を踏まえて、適応症例や使用の目的が同様なのであえて記載したということでございますが、この品目が競合品目として挙げてあります。
これらについて本日の審議事項に関する企業について委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いさせていただきまして、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」または第13条「議決不参加の基準」に基づき、御退室いただく委員等はおりません。また、薬事分科会審議参加規程第6条「利用資料作成関与者の取扱い」に基づき、当該資料について御発言いただけない委員は、議題3について塩川委員となっております。なお、荒川委員より、議題4について今後治験を行う予定とのことで退席する旨の自己申告を受けております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ただ今の事務局からの御説明につきまして特段の御意見はございますでしょうか。よろしければ議題3に入らせていただきます。議題3、医療機器「Penumbra システム」の製造販売承認の可否等について審議を行います。本議題の審議に当たりましては、参考人として千葉県救急医療センターセンター長小林繁樹先生に御出席いただいております。よろしくお願いします。
○小林参考人 よろしくお願いします。
○笠貫部会長 それでは、審議品目の概要につきまして事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局より御説明します。お手元の資料2、表に諮問書が付いております資料を御用意いただけますでしょうか。この資料2の「資料概要」というタグのところの資料を御覧いただきたいのですが、このタグが付いている項から3枚目ぐらいに品目の総括、品目の概要という1ページがございます。こちらで概略を御説明します。
販売名、「Penumbra システム」、申請者名、株式会社メディコスヒラタ社でございます。構造・原理のところにありますように、本装置は急性の脳梗塞の患者の血栓を除去するものでございます。再灌流のカテーテル、セパレーターを目的部位まで挿入しまして、再灌流カテーテルと吸引ポンプ、これは体外ですが、を接続しまして血栓を吸引する製品でございます。セパレーターの役目でございますが、吸引した血栓が再灌流カテーテル内に詰まったときに前後に動かしてその詰まりを取りながら吸引するというものでございます。ちなみに、3ページ、4ページ、5ページに外観写真が載っておりますので、御参考にしていただければと思います。審査内容については、審査を担当いたしましたPMDAの方から御説明致します。
○機構 医療機器「Penumbra システム」の製造販売承認の可否についてPMDAより御説明いたします。資料2の審査報告書の項目を御覧ください。審査報告書1ページの前に1枚紙で配付させていただいております紙を御覧ください。そこの紙に記載されております委員の先生方が、本審査に当たり御意見をいただいた専門委員の先生方になります。
続きまして、審査報告書4ページにお示しします本品目の概要について御説明します。資料2の審査報告書の4ページを御覧ください。本品は米国のPenumbra社により開発され、審査報告書4ページの下段の図1~3に示しております再灌流カテーテル、セパレーター及び吸引チューブから構成されています。本品は、急性期脳梗塞の患者において、吸引チューブを介して再灌流カテーテルと、別品目として申請されている吸引ポンプを接続して血栓を吸引する製品となります。ここで簡単に本品の操作方法について御説明いたします。入口の方を御覧ください。
まず、鼠径部から、今ここに示しております再灌流カテーテルを梗塞部位まで挿入します。続きまして、セパレーターを再灌流カテーテルに挿入して再灌流カテーテルより少し出た状態にします。その後、再灌流カテーテルと吸引ポンプを吸引チューブを介して接続します。この状態になりましたら、吸引ポンプのスイッチを入れることで血栓の吸引を開始します。吸引時にカテーテル内に血栓が詰まった場合においては、先ほどのセパレーターを前後に動かすことにより血栓の吸引除去を行いやすくします。以上が、簡単ですが、操作方法の御説明になります。
続きまして、審査報告書6ページを御覧ください。本品は、審査報告書6ページ表1にお示ししますように、対象となる血管径に応じて4種類のタイプを使い分けることができるようになっておりまして、本報告書では、最も細いタイプをタイプ1、最も太いタイプをタイプ4としています。
続きまして、同じページの中段の(2)外国における使用状況を御覧ください。本品の外国における使用状況です。本品は、急性期脳梗塞(発症から8時間以内)におきまして血栓を除去することにより血流を回復するという目的として、当初、タイプ1~3の製品が2006年9月に欧州連合(EU)でCEマークを取得し、2007年12月に米国で510(k)で認可をされました。その後、径の大きな再灌流カテーテルの製品化が医師により望まれたためタイプ4が製品化され、2009年に欧米で認可されております。2010年12月現在、本品は、米国及びEUを含む38の国及び地域で市販されております。
続きまして、審査報告書9ページを御覧ください。本品の非臨床試験の成績に関しては、審査報告書9ページの中段に当たります、ホ「性能に関する資料」の項目から審査報告書14ページまでお示しいたしました非臨床試験の試験資料等が提出されておりまして、審査の過程において、特段、問題が認められておりません。
続きまして、本品の臨床試験成績について御説明させていただきます。審査報告書14ページの一番下段、臨床試験の概略を御覧ください。今回提出された臨床試験はタイプ1~3を用いたピボタル試験とタイプ4を用いたSPEED Studyの2試験であり、いずれも海外で実施されたものになります。まず、タイプ1~3を用いたピボタル試験について御説明させていただきます。
審査報告書16ページのいちばん上の段を御覧ください。まず有効性についてです。脳梗塞症状発症から8時間以内の患者125例に本品のタイプ1~3を使用したとき、有効性の主要評価項目である血流再開成功の再開率は81.6%でした。この血流再開の判定基準に関しては、TIMIスコアという分類スコアを用いて分類されておりまして、TIMIスコアの説明に関しましては、審査報告書15ページの一番下の脚注4に記載をしております。TIMIスコアに関しましては0~IIIまであり、IIIの値を示すと、完全に血流が再開されたことを示すものになります。この臨床試験の中では、部分灌流であるTIMIIIと完全灌流であるTIMIIIIを合計した割合を血流再開率として評価を行っています。
続きまして、ピボタル試験の副次評価項目としまして二つ評価を行っております。16ページに結果がお示ししてあります。一つ目の臨床的予後の指標としては、90日後のmRS2以下の割合の評価を行っています。mRSの説明は、15ページの一番下の脚注5に記載してございます。mRSに関しましては0~6までの7段階で示されておりまして、数値が高いほど、症状の悪化を意味しています。mRS2以下は、全く症状のない患者から軽度の障害を有する患者の割合を示していることになります。90日後のmRS2以下の患者の割合は25%という結果が出ております。
本試験の二つ目の副次評価項目として退院時のNIHSSあるいは30日後のmRS2以下の割合を評価しております。ここで言うNIHSSはmRSとは異なる脳卒中神経学的重症度の評価指標でありまして、数値が高いほど重症を意味しております。副次評価項目の退院時のNIHSSが4ポイント以上改善した、あるいは30日後の機能的評価においてmRS2以下となった患者の割合は、41.6%という結果が出ております。以上が本ピボタル試験の有効性の評価になります。
続きまして、ピボタル試験の安全性の評価に関してです。審査報告書17ページの上から4行目を御覧ください。主要評価項目である「機器関連、手技関連の重篤な有害事象の発生率」は4%であり、125例中5例に見られました。内容としては、アクセス部位の合併症及び頭蓋内出血が各2例、穿孔が1例であり、すべて、手技関連の重篤な有害事象でした。また、副次評価項目である90日間の自然死亡率は32.8%、もう一つの副次評価項目である「症候性頭蓋内出血の発生率」は11.2%でした。以上がピボタル・スタディの概要になります。
続きまして、タイプ4を用いたSPEED Studyの御説明をさせていただきます。審査報告書18ページの上段の表4を御覧ください。SPEED Studyに関しては、試験が完了していないため、□□年□月□日時点における中間解析の結果となります。脳梗塞症状発症から8時間以内の患者74例75血管に本品のタイプ4を使用したときの血流再開率は92%という結果が出ており、SPEED Studyの中間結果の方がピボタル試験に比べて高い結果が出ております。また、重篤な有害事象発生率は、SPEED Studyの中間結果の方が低い結果が出ております。
続きまして、90日後の死亡率に関しては、SPEED Studyとピボタル・スタディでほぼ同等の結果が出ております。また、審査報告書17ページの下から2行目に記載しておりますように、血流再開に要した時間は、SPEED Studyで25.8±25.6分、ピボタル試験では52.4±33.8分と、径の太いタイプ4を用いたSPEED Studyの方が処置の時間は短縮されたという結果が出ております。以上が提出された試験の概略になります。ここからは審査における主要な論点について御説明をさせていただきます。
審査報告書31ページの総合評価の項を御覧ください。5番の総合評価について御説明させていただきます。論点の一つ目として、本品で治療を行う妥当性についてです。有効性については、本品による血流再開に成功した症例のうち66.7%が部分灌流であるTIMIIIという結果が出ておりましたが、90日後のmRS2以下の達成率は23.1%という結果が出ており、血流再開が得られなかったTIMI0及びTIMIIのmRS2以下の達成率0%と比較して、有意に高い結果が出ております。また、安全性については、TIMIIIの群の90日後の死亡率及び高度の障害及び死亡を意味するmRS5+mRS6の割合が統計的な差はないものの、TIMI0/I群に比べ、低いことが示されております。
以上のことから、TIMI0及びTIMIIの患者が本品を使用することによりTIMIIIになることは、治療上、メリットがあると判断いたしました。また、既承認の類似医療機器であるMerci リトリーバーや標準治療に比べ有害事象が増加するという成績は得られていないことや、本邦では組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)で効果が得られなかった、あるいはt-PAの適応外の急性期脳梗塞患者に対し使用できる血管内治療のデバイスはMerci リトリーバーしか承認されておらず、本品はMerci リトリーバーとは機器としての特性というものが異なっていることから急性期脳梗塞の血管内治療において新たな選択肢となり得ること等を踏まえて、本品を臨床現場に提供することは意義があると判断しました。
続きまして、論点の二つ目に移らせていただきます。論点の二つ目としては、血流再開不成功に伴うリスク及びリスク低減化措置についてです。本品を使用しても血流再開が得られなかった場合のリスクは本品を使用しなかった場合と比較して高くなるということや、本品は高い血流再開率にもかかわらず90日後の死亡率が32.3%であるということを踏まえますと、本品による介入治療に奏功する患者を選択するなど、リスク低減化を適切に実施することは極めて重要であるということを考えました。したがいまして、Merci リトリーバーと同様に、本品による介入治療により血流再開不成功に終わった場合にはリスクが高くなること、及び本品により治療を行うベネフィットについて患者またはそれに代わり得る適切な者に十分に説明し、同意を得た上で使用することが必要と考え、添付文書において注意喚起することが妥当と判断しました。
さらに、本品については審査報告書32ページの下段にお示しします承認条件を付けております。本品を用いた治療について十分な知識・経験を有した医師が本品を適切に選択して使用することが重要であることから承認条件1を、本品の手技によるリスクを低減し、手技後の予後を慎重に観察することが重要であることから、本品は適切な体制が整った医療機関で使用される必要があるため承認条件2を、さらに、発症後経過時間と予後の関連性を明確にするために使用成績調査において発症後の経過を全例調査し、予後との関連性を分析する必要があると考え、承認条件3を付けることが妥当であると判断しました。また、現時点においてリスク低減化の面で重要な事項については添付文書で注意喚起すること、及び適正使用の推進に関して関連学会の協力を得てさらなる適正使用につなげることが重要と判断しました。
最後の論点の三つ目に移らせていただきます。論点の三つ目としては、ピボタル試験で使用されていないタイプ4の承認の可否についてです。タイプ4の有効性及び安全性については、非臨床試験として品目仕様として設定した試験のほかに吸引力試験、ブタを用いた動物試験の成績、臨床試験としてSPEED Studyの中間解析結果及びタイプ1~3を検証したピボタル試験のタイプ別の治療成績を踏まえて承認可能と判断しました。
以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。再審査期間は3年と判断しております。なお、薬事分科会での報告を予定しております。
最後に、事前に松岡委員と川上委員から御質問いただいておりますので御紹介させていただきます。
松岡委員からは、本品に使用される化学物質に残留モノマーや一般的に毒性を示すことが知られている物質が含まれていることから生物安全のデータに問題がないことを確認したいとの御質問をいただいております。この点につきましては、審査において生体に直接あるいは間接接触するすべての材料において細胞毒性等の6点の生物安全学的な評価を行っておりまして、試験結果には特段の問題が認められておりませんので、毒性の影響はないと判断しております。
続きまして、川上委員から、添付文書の警告欄に「本品の取扱い及び本品を用いた手技において実施基準を満たし、かつトレーニングを受講修了し、本品を適正に使用することが可能な医師のみが使用すること」と記載されている点と、承認条件におきまして脳血管障害治療に対する十分な知識・経験を有する医師・施設基準等が記載されている点に関して、実施基準、トレーニングプログラム、承認条件に記載されている医師基準、施設基準について御質問をいただいております。この点に関しては、例えばトレーニングプログラムに関しては申請者から案が提出されておりまして、Merci リトリーバー同様に座学、血管モデルを用いた実技を予定しておりまして、今後、その詳細を詰めていく予定であります。PMDAからの報告は以上になります。
○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは参考人の小林先生から何か追加はございますか。
○小林参考人 脳梗塞の急性期の治療にあたっている脳外科医という立場からのコメントになりますが、御存じのように脳梗塞に対する根治的治療というのは、血流を元に戻して脳梗塞にならないようにする、もしくは被害を最小限にすることが、一番重要な治療の目的と考えられると思います。それにおいては、御紹介がありましたようなt-PAが、今、一番信頼性が高い治療として我が国でも、それから世界的にも広く使われているところです。
ただ、しばしば問題になるのは、t-PAの治療ができる患者が、脳梗塞の患者全体の2~3%に過ぎないという問題があり、これはt-PAの治療が適応となる患者が非常に少ないことに大きな問題があると思います。これは医学的な問題だけでなく、いろいろ社会的問題も関わってくると思います。
そういった中で一つの大きな問題は、発症3時間以内という極めて短い時間で、今は4時間半という議論も出てきているところですが、そこで治療に入れる患者が非常に狭い範囲になることがあります。それに対して、今回出ているようなPenumbraもそうですし、前回、承認いただいたMerciもそうですが、物理的に血流を再開させるという方法は、一応、8時間となっています。ですから治療適応の時間が倍以上に増えることは非常に大きなことですし、それからt-PAの治療を続けてきて、たとえ早く使ってもt-PAではなかなか詰まりが溶けない部位や状況が、だんだん分かってきました。そのような場合には血栓を物理的に取ってくることが、非常に有効なのではないかと考えられるわけですが、そういった意味で非常に期待のできる、つまり溶かすのではなくて詰まりを取ってくる、もしくは今回のこのデバイスのように吸引するということが、脳梗塞の急性期の患者の治療の幅を広げるという意味で、非常に期待できる方法であると考えています。
ただ、一方で、頭蓋内でそういったデバイスを誘導して動作することは非常に専門的な技術が必要となりますので、そこの部分は十分に注意をしなければいけないということがありますし、脳梗塞の急性期は非常に複雑な病態が絡み合った状態ですので、適応、それから、その後のいろいろな変化に関しても十分理解している医師、もしくは、それに対してさまざまな対応のできる医療機関で使うべきものであると考えています。
○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは議論に入ります前に、松岡委員、川上委員からの御質問に対して、事務局から御返事いただいたと思いますが、それでよろしいですか。松岡委員、よろしいですか。それではほかの委員の先生方から御質問、御意見はございませんか。
○武谷委員 専門外なので全く経験がないわけですが、お聞きしたいのは、この説明書でもいいし、あるいは審査報告書の31ページで下段の2.です。本品を使用しても血流再開が得られなかった場合のリスクは、本品を使用しなかった場合と比較して高くなる。高い血流再開率にもかかわらず、90日後の死亡率が32.3%、約3人に1人が亡くなっているというのは、血流が再開しなかった人、再開した人を含めて、この値ということですか。そうすると血流が再開しなかった方が仮に全部亡くなったとしても、再開した人もかなりの割合で3か月以内で亡くなることになるわけですね。これは、この手技と関係した死亡なのかどうか。もう一つは、この手技が対象となるケースで、こういうインターベンションをしないときの90日後の死亡率は、いかがですか。最終的なモータリティを下げることを一般に期待して、こういうことはやるのでしょうが、当然、何もしない場合には30%以下になる。それが当然だと思いますが、いかがですか。
○小林参考人 今、御指摘の点が、まさに脳梗塞の急性期治療の最も重要なポイントになるわけです。ここではTIMI分類をいろいろ使っていますけれども、脳梗塞の予後に関わる要素としては、どの部分が詰まったか、また我々は側副血行と呼んでいますが、他の血管系から補助的に回って来る血液の量が重要です。ただ、このようなデバイスを使って治療しなければならない内頸動脈本幹、もしくは中大脳動脈の起始部近く、いわゆる中枢側に近い場所での閉塞は非常に重症な方が多くて、我々から考えると50%以上は非常に予後が悪い。少なくとも機能的予後が非常に悪いということは言えますし、当然、死亡率も非常に高くなります。実際の数値に関しては、スタディによっていろいろだと思いますけれども、この中枢側の血管閉塞における予後というのは極めて悪いということは間違いありません。
それと、この2.の文章の最初に書いてある治療介入云々というのは、すべての治療について言えるものだと思います。要するに、結果として効果がなかったなら、その治療は最初からやらなかったほうが良かったという妙な理論になってしまいます。治療介入すればそれに伴うリスクは必ず付いて回ります。その手技によって期待される効果がそのリスクを凌駕するかどうかという、その期待度の問題だと思いますが、「やった意味がなかったものだったら、やらないほうがリスクは少なかった」と言われれば、そのとおりということになります。
○笠貫部会長 武谷委員、今の話で御理解いただけますか。
○武谷委員 確実なデータはないけれども、御専門の先生の印象としては5割ぐらい予後が悪いというか、改善はしているのではないかと。そういうような見解をお持ちだということは分かったのですが、もう一つ、私も医師の立場で、このデータを患者家族にすべて話す際に大変勇気が要るというか、手間暇がかかって、急性期だからなかなかこれは説明できない。しかもこの30%を超える死亡率が、ドクターの手技と関係ないということを実証することもなかなか難しいので、死因究明制度とも関係しますが、実際、こういうことで不幸な転帰を遂げた場合に、本当に家族の方から納得がいただけるかどうか。これはここの議論とは外れますけれども、医師として大変にその辺が憂慮されるということです。お答えしていただくことかどうか分かりません。
○笠貫部会長 どうしますか。事務局の方からにしますか。
○機構 PMDAから補足させていただきます。まず死亡率の件で、30%を超えるということを御懸念されているということだと思いますが、その点に関して、本邦においてSAMURAIデータというレジストリーデータがございます。その結果も、およそ36.2%の方がお亡くなりになられているということで、この死亡率がものすごく高いかというと、もともとこの疾患が8時間までの患者が入っていますから、そういう意味では、もともと予後の悪い方が入っているということで、このようなデータになっていると思います。
また死亡の要因で主なものを挙げている中で、脳梗塞症状の悪化とか、あと脳浮腫などが死亡の原因として挙がっています。そこの因果関係に関して各担当医からの報告を見ると、脳浮腫の1例のみが、手技による関連で亡くなられたのではないかというのが挙がっていますが、それ以外のところは関連はなしという報告になっています。
○笠貫部会長 小林先生から追加はありますか。
○小林参考人 御指摘いただいた点は非常に重要で、この脳梗塞の治療の再灌流というのは非常にうまくいくと、まさに通った途端に喋り出す患者がいたり、動かなかった手が動き出すということがありますし、逆に通ったが故に出血性梗塞を起こして、むしろ死期を早めてしまったかなと思える経験をすることもあります。我々としては、どの場所の閉塞でも先ほど申し上げたような側副血行の評価をして、時間だけではない要素で、どういう患者は再灌流すれば良くなるか、むしろ触らないほうがいい患者はどういう方かについては、かなり以前から研究は続けています。ただ、そこを適応に入れるのはなかなか難しいことになります。確かに御家族に御理解いただくのは非常に大事なことです。今、t-PAでも問題になっていますが、患者自体はドクターヘリなどで非常に早く来られますが、御家族が到着されないというケースです。t-PAの治療でも通れば良くなるけれども、反対に出血をさせてしまうこともありますから、御家族の到着を待って、そこの部分を十分説明した上でないと治療を進められません。このために時間切れになってしまうケースもままありますので、今、御指摘いただいた点は非常に重要な点だと考えています。
○笠貫部会長 今の御指摘で、問題は、学会のガイドラインが非常に大事になってくると思います。先ほどt-PAが、3時間から今は4時間半の議論がされているというお話も出たと思います。そのように学会の中でもまだコントロバーシャルなところがあることを前提にした場合、このMerciと今回のPenumbraという再灌流療法について、学会のガイドラインの適用については、きちんと書かれているのでしょうか。
○小林参考人 ガイドラインというところでは、まだ書かれていないと思いますし、ガイドラインになるほどのエビデンスが、今のところ完全な、きれいなスタディが行われている段階までは至っていないと思います。t-PAに関しては当然出ていますけれども。それとウロキナーゼの局所注入については、ガイドラインに紹介はされていますが、少なくともまだMerciとは記載されていないと思いますし、なかなかここをきれいにガイドライン化することは難しい。ただ、絶対にやっていかなければならない部分ではありますが、今後、学会でも十分に検討していきたいと考えます。
○医療機器審査管理室長 今、部会長から御指摘のあったガイドライン、いろいろな患者選定の基準、あるいはドクターに関する基準といったものは、今後、どうするかを関係者、学会を含めて相談させてもらおうと思っています。一方でMerciを承認するときに、学会として見ればガイドラインと呼べるものではないにしても、何らかの一定の目安になるものを用意した経緯もありますので、そのものが、とりあえず当面使えるのか、あるいはそれとは別のものが必要なのか。そのあたりは関係学会、そのほかPMDAを含めて少し協議してみたいと思っています。
○笠貫部会長 Merciの場合も、学会のガイドラインというか指針については、承認条件として付けていませんでしたか。付いていますね。そうすると今回の承認条件にも、学会等のガイドラインというか指針的なものを、Merciと同じものにするのか、あるいはこの機器独自のものを何か加えられるかについては、御検討いただくことにさせていただけたらと思います。武谷委員、そういうことでよろしいですか。ほかにはございますか。
○千葉委員 病気の性質上、非常に緊急で時間もない、危ないという状況は私もよく理解できます。今回、欧米で行われている臨床試験を基にして、一旦、PMDAが承認に持っていくという考え方は、私も理解できるところがありますが、問題は15ページにある欧米24施設の多施設共同臨床試験を主に基にしているわけです。そうすると、一旦承認した後の臨床試験あるいは評価において、この臨床試験の妥当性も同時にもう一度、国内で検討していくことは有効ではないかと私は思っています。それが一つです。もう一つは、この承認後、先生方が何らかの方法で臨床試験を国内でやることが可能であるとお考えかどうか。これが私は2番目に関心のあるところです。
一旦、1番目の関心がある点に戻ります。この欧米の共同臨床試験の中で主な選択基準が15ページの上から4行目でしょうか、これに主に四つぐらいの選択基準があると。そこに先ほど先生がおっしゃった非常に大事なポイントで、どの血管でやったかによって必ずしもこれは分けられていないわけです。主な選択基準を見る限りにおいてはということです。そういう目でこの臨床試験を見直しながら承認後のガイドラインというか、あるいは承認後の十分なフォローアップをしていくことが大事ではないかと私は考えます。
同時に、この臨床試験の中で、有効性の主要評価項目では血流再開率が一番大きなものになっていますが、患者の立場からすれば助かったかどうかが一番大事で、血流が一時的と申しますか再開しても、助からなければ御家族、御本人の満足は得られないわけですので、この臨床試験そのものを基にしていると私は理解しますが、この臨床試験の評価を、承認後にきちんと国内でフォローしていくべきではないかという印象を持っています。この点についていかがですか。
○機構 PMDAからお答えします。先生のおっしゃったとおり、この臨床試験のデータに関して国内成績がありませんので、そこに関しては市販後において全例調査という形で、本品が使用された全症例に関してデータを集めていきたいと思います。有効性及び安全性に関してデータを詳細に集めて、その結果を踏まえて再評価していく形で対応していきたいと考えています。
また先生がおっしゃった、どこの血管に対して治療がいいのかどうかですが、ピボタル試験のデータに関して私どもは興味を持ちまして、審査報告書の19ページで表5の患者背景になります。ICA(内頸動脈)、MCA(中大脳動脈)など、どういうところに使われたのかという患者背景をまず確認しています。またその有効性に関しても、審査報告書の24ページの中段に掲載しています。mRS2以下の症例は、ICAで21.7%、MCAで26.4%、BAで9%いうように、主要閉塞血管ごとの有効性に関して検討しています。その結果を踏まえ、日本人に多いICAという血管の閉塞でも、有効性は得られているのではないかと考えて、このたび承認しても差し支えないと判断しているところです。
○千葉委員 今、おっしゃった有効性というのは血行再開率であって、生存率ではないのですか。そこはいかがですか。
○機構 mRSの2以下というのは、正常になった方から軽度の障害をお持ちになった方の割合ですので、そこをまず見ています。また死亡率もICAは血管の閉塞した部位が重度の部分もあり、死亡率はもともと高いところがありますので、そこはほかの部位よりも死亡率は高くなっていますが、それでも一応、使った場合には有効性も認められていますので、今回、そこに関して使うことは可能だろうと判断しています。
○笠貫部会長 よろしいですか。千葉委員も御指摘になったように市販後の計画書というのが最後に載っていますが、これについて海外でのデータと全く同等ないし、さらに日本の患者の特殊性があるかどうか検討できるプロトコールを、きちんと作っていただくということですね。この計画書はまだ案で細かいところまでよく分かりませんが、是非、プロトコールをきちんと作っていただくことをお願いしたいと思います。千葉委員、そういうことでよろしいですか。市販後調査というより市販後の試験と、日本ではそういう形になるかなと思いますが。
○千葉委員 私は、今、部会長がおっしゃったとおりのことを申し上げたので、それで結構です。ただ、有効性は助かったかどうかを中心として日本ではやっていただいたほうが、正直ではないかという気がしていますけれども、是非、御検討をよろしくお願いします。
○機構 申請者とも相談して、検討させていただきます。
○笠貫部会長 インフォームド・コンセントを取るのはどうですか。先ほど御指摘があったと思いますが、これだけ厳しい90日後の死亡率からいくと、インフォームド・コンセントは、現場としてはどういう形で取ることになりますか。
○小林参考人 実際には時間の問題と閉塞部位だけでなく、特に我が国ではMRIが非常によく普及していますので、それと神経症状で同じ場所が詰まっていても重症化しやすいか、しにくいかはある程度分かります。それから非常に参考になるのは意識レベルですが、そういったことから再灌流できなかった場合には全く回復が望めないのか。あるいは先ほど申し上げたように再灌流しないほうがむしろいいのか、その辺の印象を我々は持ちます。そこを含めて御家族にお話をして、場合によっては「どちらにしても駄目かもしれません」というお話をせざるを得ない場合もあります。もちろん患者の年齢といった要素もあります。ですからt-PAにしても、この治療にしてもかなりインフォームド・コンセントに時間をかけて進んでいく必要がある治療と病態です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。
○塩川委員 SAMURAIスタディの資料作成関与委員でこれに関係する発言を控えるようにというお話でありましたが、コメントと質問が一つずつあります。今の死亡率のお話については、SAMURAIというtーPAだけの治療で死亡率が4割弱ぐらいある。ところが、これはMerciのときにも議論されましたけれども、欧米はある程度の後遺症があると人生観、哲学観が違うため、余り後遺症のある方の治療をしない傾向があります。ですから軽症の方と最重症、死亡の両極分化しているところがあります。結果として再開通しないと予後は悪いので、SAMURAIで出ていた4割弱の死亡率と、この外国の死亡率が3割強ぐらいと差が少ないのは重要な点です。すなわち、日本できちんと治療すると、Merci リトリーバー使用後の調査でも欧米に比べて少ないリスクが出始めています。比較するデータとして限られた欧米の実治療例と、日本の内科治療例しかないこと、および後遺症がある方の慢性期の治療の熱意の違いから見ると、本品が日本で使用された際の死亡率も欧米のものよりは少なくなることが期待されることは、Merciのときも議論されて、それは現場でもそう感じているというのが一つです。
あとは違う話で、血管閉塞部位についてMerci リトリーバーは内頸動脈、中大脳動脈、椎骨動脈、脳底動脈など、要するに太い血管で血栓を取りやすい場所というのが指摘されていましたが、このPenumbraは、やってはいけない末梢の血管は添付文書に書いてありますが、望ましい部位が書いていないのは何か理由があるのでしょうか。Merciとほぼ原理的に似たようなものですから、適用する血管の場所を添付文書に書いたほうが良いのではないかと思います。
○機構 PMDAからお答えします。どこの部位の使用とするかに関しては添付文書の3/5ページ、「その他の注意」のところに記載しています。「次の患者に対する本品の安全性・有効性は確立されていない」というところで、「中大脳動脈M3部位、前大脳動脈、後大脳動脈に病変が認められる患者」というところで、この病変に関しては本品において投与された経験が少ないため、そこの部分に関してはこのような形の注意喚起している状況です。
○塩川委員 これはやらないことを推奨する血管の場所ということですよね。やったほうがよろしいという血管の場所というのが、たしかMerci リトリーバーには書いてあったと思います。同じ原理の医療機器ですから御検討されたらどうかと思いました。
○機構 御指摘、ありがとうございます。持ち帰りまして検討させていただきます。
○笠貫部会長 ただいまの御指摘は事務局の方で検討いただくことにして、ほかに御意見はございますか。急性の脳梗塞、重篤な脳梗塞という救急の場において血流再開、血栓除去のため、Merci、それから今回のPenumbraという新しい治療方法が日本でも行われるということで、機器の議論をいただいたと思います。よろしければ議決に入りたいと思います。医療機器「Penumbra システム」については、本部会として審査報告書にある条件を付した上で承認して差し支えないものとし、再審査期間は3年間として、また生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要ということで、よろしいですか。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につきましては次回の薬事分科会において御報告することにいたします。議題3が終了しましたので、参考人の小林先生におかれましては御退室いただいても構いませんし、このままお残りいただいても結構です。
(荒川委員退室)
○笠貫部会長 議題4に進みたいと思います。議題4、医療機器「体外設置式補助人工心臓ポンプ」の希少疾病用医療機器としての指定の可否について、審議を行いたいと思います。本議題の審議にあたりましては参考人として、鳥取大学医学部器官再生外科学教授の西村元延先生に御出席いただいています。よろしくお願いします。まず審議品目の概要及び希少疾病用医療機器に関する制度の概要について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局より御説明します。お手元の資料3及び参考資料3を御準備ください。この御審議が初めての先生もいらっしゃると思いますので、まず希少疾病用医療機器等の制度の概要から御説明します。参考資料3の希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器の指定制度で、1の制度の主旨ですが、難病、エイズ等を対象とする医薬品や医療機器は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより十分にその研究開発が進んでいない状況にあります。このようなものの特別の支援措置を講じるというのが主旨です。2の制度の概要ですが、この希少疾病用医療機器の指定を受けると、3行目のところにありますように助成金の交付、税制措置、試験研究に関する指導・助言、優先審査等々の支援措置が講じられるというものです。
この制度は指定基準があります。中ほど以降の1.~3.です。この指定基準ですが、1.の対象者数は本邦において5万人未満であること。2.の医療上の必要性は「特に優れた使用価値を有する」ことが予想され、医療上の必要性が推定されるものであること。例えば(ア)の代替する適切な医薬品等又は治療方法がないこと。(イ)の既存の医薬品等と比較して、著しく高い有効性又は安全性が期待されること。これらのもので考えられるものが医療上の必要性の項目です。3.の開発の可能性ですが、ある程度根拠があって開発の可能性があるものについて該当すれば指定ができるものです。
なお資料3で「申請書」というタグ以降が、この制度の概要を踏まえて企業が作成した申請書です。その申請書の内容を踏まえて前項にある「事前評価報告書」ですが、これは申請内容をPMDAで検討・作成して報告いただき、本日、御審議の場に提出しているものです。ではこれら資料を用いまして、資料3の概要のところですが、名称は体外設置式補助人工心臓ポンプです。予想される効能又は効果は、乳幼児及び小児(新生児~10代)の重症心不全患者、移植待機患者、心筋炎、及びそれらに準ずる患者用の体外設置式補助人工心臓ポンプです。下記効果を目的として、乳幼児及び小児患者の左心補助、右心補助、または両心補助を行い、短・中・長期間使用するもので、「ブリッジ」「自己心機能回復」「治療」ということです。申請者名は株式会社カルディオです。
先ほど指定基準のところで御説明した内容を踏まえて検討した結果、本邦において心移植の適応となる患者は、年間228~670人であり、そのうち0~19歳は年間20~60人であると推測されています。一方、従来の薬物治療及び補助循環法では症状が改善しない小児の重症心不全患者及び心筋炎患者数は、5年間で44~66症例報告されています。以上のことから、本品の対象となる患者数としては、年間100例未満と推測されることから、指定基準の5万人未満に該当するのではないかということです。
医療上の必要性ですが、4行目のところです。この領域について補足説明させていただくと、補助人工心臓は埋込型と体外式が既に承認されていますが、ポンプがかなり大きいので、小さな子どもには埋め込むことはできない。体外式のポンプもかなり大きなものなので、現在は、やむなく既存のポンプ容量の大きい体外のものを用いているということです。5行目の「この場合」以降ですが、「この場合、患者の心臓に過渡の負担を与える可能性があるだけでなく、血栓形成やそれに伴う脳梗塞などの合併症発症リスクを高めることとなり、長期の循環補助は極めて困難であるなど、十分な治療法であるとは言えない状況である」ということから、本品の医療上の必要性は高いのではいかと考えています。
開発の可能性ですが、2行目の「また」以降で、欧州において1997年にCEマークを取得しています。2010年6月末時点で諸外国において759例の小児患者に使用されています。累積使用時間が150.3年、最長使用期間は902日間で、開発の可能性も十分に高いのではないかと考えられています。
なお、事前評価報告書の4ページを御覧いただきたいのですが、2段落以降で「ただし」以降のところです。本品を心移植の代替治療として使用することについて、その申請書の内容を見て判断したところ、対象患者数や医療上の必要性及び開発の可能性が十分に説明されていません。当該使用目的を含めた本品の希少疾病用医療機器への該当性を、この申請書において判断することはできないということから、以下の予想される使用目的、効能又は効果という内容に変更した上であれば、指定することは妥当ではないかとPMDAから判断をいただいています。
委員から事前にコメントをいただいています。村上委員、川上委員、松岡委員からいただいていますので御紹介します。村上委員からは、申請書における原材料の記載にシリコンという表記があるけれども、誤解を与えるのでシリコーンという表記が適切ではないか、との御意見をいただいていますので、これは申請者にその旨をお伝えさせていただきます。
川上委員からは、使用目的の整合性から概要にも副次評価項目のCohort2の結果記載もあったほうが整合性がある、との御意見をいただいています。ここは概要のところでありますし、実は事前評価報告書の中にこのCohort2というのを書いていますので、概要の作成に関しては御意見を踏まえて検討させていただければと思います。
松岡委員からは、事前評価の結果には異存ありません。小児への使用に適した、希望的には埋込型補助人工心臓の開発につながることを希望します、との御意見をいただいています。以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは参考人の西村先生から、追加がございましたらお願いします。
○西村参考人 臓器移植法が改正されて小児にも心臓移植が可能となりました。この心臓移植治療と切り離せないものが補助人工心臓治療です。心臓移植の臓器提供者が出るまでの間、循環を維持するような装置が必要です。成人に関しては国産の体外設置式補助人工心臓もありますし、最近は、今、御紹介がありましたように埋込型補助人工心臓も承認され、長期に循環補助することが期待できるわけですが、残念ながら小児用の循環補助装置はありません。世界的にも今回申請されたこの装置しかないということで、小児の心臓移植治療をおこなっていくためにはこのような装置が是非とも必要であります。
しかしながら、小児心臓移植の対象患者数は非常に少ない。小児の心臓移植治療が広く認知されてくれば、少しずつ患者数も増えてくることが考えられますが、現状では年間数十例がせいぜいといったところで、通常の臨床治験では何年後に終わるか分からないということであります。しかがって本装置はこの希少疾病用医薬品としての基準は十分満たしているのではないかと思います。
○笠貫部会長 ありがとうございます。村上委員、川上委員、松岡委員からの事前の御質問についての御回答については、それで各委員の先生方、よろしいですか。それでは、それ以外に委員の先生方から御質問、御意見はございませんか。
○武谷委員 希少医療機器の条件を満たすと判断しても、よろしいのではないかと思います。今、心臓移植は成人では大分やられてきましたが、小児では大変数が少ない。その理由はいろいろあると思いますが、一つには、こういう小児用の体外設置の補助ポンプがないことも影響しているのではないかと思います。ただ、これの条件の医療上の必要性というところで「著しく高い有効性と安全」というのは、この補助循環だけで完結する問題でなく、ある意味でこれは片道切符で、行って帰って来ないと意味がないので、移植がきちんとフォローされないと、ある意味では医療機器の有効性が担保されないことになりますから、これを認めるにしても、その辺の小児移植を何が阻むのか。どういう理由でそういう症例がなかなか出てこないのか。このあたりについても討議した上で、これを認めるほうが私はいいのではないかと思います。
○中谷委員 その問題に関してですが、このポンプ自身に関しては医療機器の導入のところで、先ほど言いました埋込型の補助人工心臓と同様にニーズが高いということで、ニーズの高い医療機器早期導入検討会で早く導入すべきとなっています。1年前ですか、このシステムに関してもニーズの高い検討会で、まず小児に対する補助循環装置の必要性が挙げられ、必要であると判断され最終的には、今回、申請されているものを早く導入すべきであるとなった経緯があります。
移植への関連に対して先生が言われたように、特に体外設置型の場合、あるいは施行できる期間が短かい場合には、ブリッジとして用いられるので、その先に移植がないといけないというのは当然考えられることだと思います。それに関して小児に関しては法律が変わり、小児からも提供できる素地はできている。ただ、先生もご存じのように、いわゆる虐待等々のことでの提供の条件が、非常に厳しくなっています。ただ、そのことまでここの場所で議論するとなると、それは話が変わってくると思います。法律として行なえる体制ができていることから言えば、一応、先生の言われたような形の体制整備はできているので、それが進められるように、ここからも意見発信するのは妥当だと思います。
もう一つは、小児のドナーに関しては小児への提供を優先する体制で、心臓移植に関しては若い人から若い人への提供を優先する体制も作られています。一応、このような体制整備は進んできています。
それでも問題になるのは補助人工心臓の問題で、実際に我が国で使用できるかは確かに大きな問題ではあるのですが、今、世界中で小児用に使えるポンプはこれしかないのも現実です。我が国でも確かに20cc、40ccの分も含めて体外設置型の血液ポンプの承認はされたのですが、結局、実際に使われないということで、70ccのポンプしか現実に売られていないことを踏まえ、心臓移植へのブリッジとしての必要があれば小児に用いることができる体制が必要であり、こういう今回のシステムは是非とも導入する方向へ向かっていくべきではないかと思います。
○武谷委員 私、アゲンストの意見でなくサポートする意味で、ファイナルゲートは移植ですから、その全体のシステムをいろいろな機会を通じて考えて支援していったほうが、よろしいのではないかという趣旨で申し上げたわけです。
○中谷委員 先生の言われましたように、そういう認識であるということを述べてこの場でも議論されたということになると思います。たぶん先生はそういうふうに認識されて言われたと思いますので、少なくとも私は述べましたように考えているということで、先生にアゲンストという意味でなく、先生の言われたことに対して述べさせて頂き、この部会でも検討されたということで良いと思います。
○笠貫部会長 西村参考人から、どうぞ。
○西村参考人 武谷先生がおっしゃることは非常によく分かります。中谷先生が御説明されたように、成人の心臓移植が日本で法律が通って再開されたときも同様のことがありました。その当時、補助人工心臓は国産の体外設置式で、もともと急性心不全に対する1か月以内の使用ということで承認されたポンプを、外すわけにいかないので延々使い続けて2年、3年保たせて心臓移植に辿り着き、やっと法律も改正されたという経緯もあります。子どもの場合はその道具がまだないので、これを何とか承認まで持って行き、小児の心臓移植がもっと発展できるように努力していきたいと考えています。
○笠貫部会長 ほかにはございませんか。心臓移植が日本でも行われるようになったのに、小児用の体外式人工心臓は今まで存在していなかったこと自体が問題で、患者の数は少ないにしても、EUでは既に1997年にCEマークを取っていることからいくと、是非、この機器を日本に早期に導入して、更にもう一つ進めていただきたいという感じを受けます。特に御意見がないようでしたら議決に入りたいと思います。この体外設置式補助人工心臓ポンプについて、希少疾病用医療機器として指定して差し支えないものとして、よろしいですか。御異議がないようですので指定を可とします。この審議結果につきましては次回の薬事分科会において御報告することにします。議題4が終了しましたので、参考人の西村先生におかれましては御退室いただくか、そのままお聞きいただいても結構です。ありがとうございました。
報告事項に入らせていただきます。議題5、医療機器の再審査結果について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題5、医療機器の再審査結果について御報告致します。資料は4-1~4-9になります。再審査は薬事法14条4項に基づき、原則、新しい新医療機器などについて再審査期間を定め、承認後の使用成績などの調査を行わせ、その資料に基づき有効性、安全性などの再確認を行うことを目的とした制度となっております。今回、お配りしている9品目、資料4-1~4-9につきましては、事前に委員の先生方にお送りさせていただいておりますので、この場で一つ一つの品目の詳細な説明は割愛させていただきます。これらの9品目ですが、安全性等何かございます場合は添付文書の改訂や注意喚起などを実施しており、今回、9品目の有効性、安全性については特段の問題がないと判断されております。
以上のことより、薬事法第14条第2項各号のいずれにも該当しない。これは再審査結果の区分を、効能・効果、用法・用量などの承認事項についての変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。以上、御報告致します。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件につきまして委員の先生方から御質問、御意見はございませんか。再審査ということでこういった内容についても、これから十分な検討をしていかなければいけないと思いますが、今回の件につきましては特に御質問がございませんようでしたら、議題6に移りたいと思います。議題6、部会報告品目について事務局より御説明をお願いします。
○事務局 議題6、部会報告品目について御報告致します。資料5になります。本資料につきましては、平成23年1月1日~3月31日までの3か月間に承認された品目のうち、本部会への報告対象となっている品目についてまとめたものになります。資料の1~13ページが医療機器になり、全部で57品目になります。一番後ろの14ページが体外診断用医薬品で、7品目ご報告させていただきます。これらの資料につきましても事前に委員の先生方にお送りさせていただいておりますので、この場で一つ一つの品目の詳細な御説明は割愛させていただきます。以上、御報告します。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件につきまして委員の先生方から御質問、御意見はございますか。特にございませんでしたら、本日、予定した議題はすべて終了となります。事務局からそのほか何かございますか。
○事務局 1点、御紹介をさせていただきます。一番後ろに資料7があると思います。薬事分科会における確認事項です。冒頭、今回、3人の新しい委員に御参画いただく旨、御紹介しましたとおり、審議会のルールにつきましてドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消という観点も含めて、今回、検討を薬事分科会で行っていただき、平成23年3月25日の薬事分科会において、この審議の取扱いの確認事項の内容が変更されていますので、御紹介します。
まず医療機器に関してですが、一覧になっているところ、資料7の8ページを御覧ください。医療機器の審議の取扱いの細則になっています。これまで薬事分科会審議を行う医療機器については、基本的な構造原理が全く新しいものについては薬事分科会で審議するというルールを適用していましたが、今回、3月25日の薬事分科会での御審議の結果を踏まえ、薬事分科会で審議するものについては「申請医療機器の基本的な構造・原理、使用目的、使用方法、性能、予想される不具合等からみて慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき分科会長が決定するもの」としています。以前の括りよりは、ある程度数は少なくなるのではないかと考えています。ただ、これで薬事分科会審議にいく品目の数が減るということもあり、そのままの医療機器体外診断薬部会の体制ということではなく、新たに3名の委員の方々に御参画いただいて、当部会で、今まで薬事分科会が担っていた観点からの御審議をいただく形にしているところです。
部会の審議の品目ですが、2~6に掲げるものです。クラスIV、III、II、?の医療機器のうち、基本的な原理、使用目的等が明らかに異なり、新規性を有するものについては部会で御審議いただくことにするほか、6として生物由来製品及び特定生物由来製品の指定、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定を新たに行う必要があるもの、例えばウマの心のう膜パッチというものを、一般的名称の新設ということで部会で御審議いただいたことがあると思いますが、あの場合、以前の取扱いに基づくと品目の審議にはならないということで、一般的名称だけを御審議していただきました。ただ、こういう生物由来製品の指定とか、高度管理医療機器、管理医療機器の指定という行為が新たに発生する品目については、一定の新規性を有するものであろうと解していますので、それをこの6で明確化し、以後、そのようなものについては品目としても御審議いただく取扱いにしているところです。
部会の報告ですが、7のクラスIV医療機器のうち、部会審議のものと軽微なものを除くすべて、またクラスIII医療機器のうち、臨床試験成績の評価を必要とするものについて、今回、資料5でお示ししたとおり、御報告をさせていただく取扱いに変えています。
この薬事分科会の取扱いの本則ですが、2ページに戻ってください。今回、分科会審議等の対象となる品目の取扱いを変えることに連動し、2ページの真ん中ぐらいで11と書いてあるところですが、分科会審議の対象となる医療用医薬品及び医療機器のうち、社会的関心の極めて高いものについては、主要な資料の概要を公表し、広く一般の意見を求め、これを添えて分科会における審議の参考とする、という規定を新たに設け、社会的関心が極めて高い品目には事前にパブコメを分科会審議の前に行い、広く社会の意見をいただく形をとらせていただくことを、規定追加したところですので御報告します。
○笠貫部会長 ありがとうございました。3名の新しい委員の方にお入りいただいて、またこの部会の審議の位置づけというか役割は、より重いものとして、これから慎重な審議ができていけたらと思います。今の御説明についても何か委員の先生方から御質問、御意見はございますか。よろしければ本件につきましても、ここまでということにさせていただきます。ほかに事務局からございますか。
○医療機器審査管理室長 本日もありがとうございました。また次回の日程等につきましては御案内をさせていただきますけれども、通常、3か月に一遍行っていますので、一応の目安としては8月あたりを目処ということで開催したいと思っています。連絡事項は以上です。よろしければ、これをもちまして本日の部会を閉会させていただきたいと思います。ありがとうございました。
(了)
※備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個別案件以外は公開で開催された。
連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 高江(内線 2912)
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平成23年5月20日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録