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2011年1月20日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年1月20日(木)


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名):五十音順 敬省略

 新 井 洋 由、 岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、  清 水 秀 行、

 鈴 木 邦 彦、 田 村 友 秀、 土 屋 友 房、  濱 口   功、

 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、  山 添   康、

 山 本 一 彦、◎吉 田 茂 昭

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名):五十音順 敬省略

 庵 原 俊 昭、 竹 内 正 弘、  半 田   誠、 溝 口 昌 子

行政機関出席者

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。  
 本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、庵原委員、竹内委員、半田委員、溝口委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 現在のところ、当部会委員数18名のうち14名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
 それでは、吉田先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~9をあらかじめお送りしています。このほか、資料10「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
 また、当日配付資料といたしまして、資料13「薬事分科会・部会手続きの見直しの検討について」、資料14「アセトアミノフェン製剤の取扱いについて」を配付しています。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料12「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
 まず、1ページの「ハラヴェン静注1mg」につきまして、本品目は手術不能又は再発乳癌を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料にお示ししましたとおり、現在製造販売承認されている3品目を競合品目として選定しております。
 次に2ページの「Crizotinib」です。本品目はALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、各委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
 議題1「ハラヴェン静注1mg」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は山本委員です。
 議題2「Crizotinib」については、退室委員は田村委員です。議決に参加しない委員は前崎委員、山本委員です。以上でございます。
○吉田部会長 ありがとうございました。本日は、審議事項2議題、報告事項が7議題、その他事項が1議題となっています。
 議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題1、資料1「医薬品ハラヴェン静注1mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 本剤の有効成分であるエリブリンメシル酸塩は、チューブリンの重合を阻害して微小管の伸長を抑制することで紡錘体の機能を阻害し、その結果、細胞周期を停止させ、アポトーシスを誘導することで腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 進行又は再発乳癌の一次治療においては、アントラサイクリン系又はタキサン系抗悪性腫瘍剤が用いられており、また、二次治療においては、前治療で選択されなかった薬剤が用いられており、いずれも標準治療と位置付けられています。今般、本剤はアントラサイクリン系及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による化学療法歴を有する進行又は再発乳癌に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。なお、平成22年5月の本部会において、本剤が優先審査に指定された旨を報告しております。
 審査報告書の3ページに記載しているように、審査報告(1)を作成時点においては、海外で本剤を承認している国又は地域はありませんでしたが、本剤は、昨年11月15日に米国で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料11にございますとおり、8名の委員です。
 以下、本剤の臨床試験成績を中心に説明いたします。
 今回の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された第III相試験と本邦で実施された第II相試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書46ページ下から9行目以降、及び75ページ上から13行目以降に示しますように、アントラサイクリン系及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による化学療法歴を有する進行又は再発乳癌患者を対象とした海外第III相試験の結果、対照群に対して全生存期間が有意に延長され、当該患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、忍容可能と判断いたしました。
 ただし、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書48ページ上から22行目以降、及び75ページ上から20行目以降に示しますように、骨髄抑制、末梢神経障害、感染症、肝機能障害及び間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により対応可能と判断しておりますが、本剤の日本人における検討症例は限られており、審査報告書57ページ上から23行目以降、及び79ページ本文の上から3行目以降に示しますように、製造販売後には、本剤を納入した施設において、目標症例数500例規模で、観察期間1年間の使用成績調査の実施が必要であると判断して、申請者に指示しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当であり、原体及び製剤は毒薬に該当すると判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○堀内部会長代理 添付文書(案)では、間質性肺炎について1.2%と記載されており、可能性としてはとても低くなっています。一方、海外データではGrade3/4が4.1%となっています。海外データについても、きちんと評価をするべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○機構 質問の意図というのは、「海外の数値を評価しているのか」ということでよろしいでしょうか。
○堀内部会長代理 後で添付文書のお話はしますが、それを添付文書にも反映させるべきではないかということです。
○機構 間質性肺疾患の評価については、海外の試験成績も評価しております。
○堀内部会長代理 添付文書(案)の2ページの「(1)重大な副作用」の5)の項に、「間質性肺炎(1.2%)があらわれることがあるので」と記載があります。これは、日本の少ないデータの中での1.2%ということですね。海外のデータでは第III相試験のものがあり、3.6%となっています。審査報告書70ページの有害事象に「呼吸困難」との記載がありますが、呼吸困難だけでは内容が余り明確ではありません。
○機構 呼吸困難が出ているということですが、これは間質性肺疾患という報告ではありません。
○堀内部会長代理 内容は精査しているのですか。
○機構 内容は、「間質性肺疾患」ではないことを確認しております。
○堀内部会長代理 分かりました。
○吉田部会長 1.2%という比率は、国内の成績から出したということで間違いありませんか。
○機構 はい。
○吉田部会長 海外での間質性肺炎の有無は、データが無いから分からないのですか。
○機構 間質性肺疾患という報告は、ありませんでした。
○吉田部会長 報告が無いので、有無も分からないということですね。評価はしていないのですか。それとも評価したけどゼロという意味ですか。
○堀内部会長代理 今、海外のデータも大事な点であると思います。
○機構 申し訳ありません。審査報告書の54ページになりますが、海外の第II相試験で1例、Grade2の間質性肺疾患が認められていますが、本剤との因果関係は否定されています。
○吉田部会長 一応、評価項目に上がっていて、ゼロということで良いのですか。
○機構 海外第III相試験では、ゼロだということです。
○吉田部会長 分かりました。ほかには、ございますか。
○山添委員 審査報告書の36ページの「(1)本薬の線形性について」の項の記載に関してですが、用量を上げていった時に用量比、AUCが上がるということに関して、静注の投与にも関わらず非常に排泄が遅い薬物だと思います。例えば25ページの動物実験では、イヌでも15日の時点で、まだ100%に達していないということでした。排泄の経路について、P450への代謝と胆汁中へのP-gp系統の排泄と書いてありますが、ケトコナゾールの投与等で何の影響もないということを考えると、これらがいずれも関与をしない、主に関与する経路ではないということも考えられます。このことから、逆にこの排泄のメインの経路のものは特定されていないと理解して良いのでしょうか。この場合、慎重に用量を上げなければ、何か影響が出る可能性もあるのではないかということもお伺いしたいと思います。
○機構 投与量については、1.4mg/?で適宜減量という用法・用量を設定させていただいております。用量を上げるということは、無いと思います。
○山添委員 用量を上げることはありませんが、この薬物には個人差によって濃度が変化する可能性は無いのでしょうか。個人差の問題との触れ合いについて知っておきたいと思いました。
○機構 個人差は当然出てくることですが、どういった患者さんで、どのようなばらつきになるのかということは、まだ十分な情報は得られておりません。用量調節の基準等を目安として、添付文書に記載させていただいています。
○吉田部会長 今の御質問ですが、吸排について説明書によれば糞便排泄がメインで、尿排泄が一部あるかもしれないということになっていますね。要するに胆肝循環で分解されると。しかし、今の御質問から、メインルートについては本当は分かってないのではないかというようにも聞こえますが、いかがですか。
○機構 審査報告書の80~81ページにかけて記載しておりますが、その点については専門協議においても指摘を受けています。結論から言いますと、排泄の経路については、現時点では明らかになっておりません。今後そういったデータが得られた時には、速やかに情報提供をするよう、申請者に指示しております。
○吉田部会長 分かりました。ほかによろしいですか。
○守殿委員 49ページの副作用の尿路感染は国内ではゼロですが、外国ではある程度のパーセンテージが上がっています。この尿路感染は、腎盂腎炎のことでしょうか。白血球の減少するような炎症で、腎盂腎炎はおかしいと思います。その辺はどうですか。
○機構 49ページの表は、有害事象のまとめを記載しており、含まれた有害事象の内訳の数値については、審査報告書58ページ以降の表に示しています。
○守殿委員 添付文書には載っていますが、抗がん剤の一般的な副作用として、尿路感染症があるのは珍しいと思います。頻度は不明という形だと思いますが、そのような形で副作用として取り上げられていることが多いので、どのような診断かと思い、お尋ねしました。
○吉田部会長 要するに、海外データでは、膀胱刺激作用を意味しているのではないかということをお聞きしたいのです。
○機構 申し訳ありません。詳細な情報が手元にございませんので、確認し、後日、説明させていただきたいと思います。
○吉田部会長 よろしいですか。
○守殿委員 添付文書(案)の「2.重要な基本的注意」の「(2)動物実験」において、「精巣毒性が」と書いてあるのですが、こちらは男性の乳癌を対象とした記載ですか。それとも、女性でも卵巣に毒性があるということを含めての記載でしょうか。
○機構 「重要な基本的注意」の項には、男性に対する注意を記載しています。女性の注意喚起は、添付文書(案)の1ページの「禁忌」の3.及び3ページの「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項に記載をしています。
○守殿委員 「重要な基本的注意」の項でこのような書き方をすると、男性だけと思われてしまいます。後に別の記載があるということですが、もう少し分かりやすくしていただきたいと思います。(2)の最後の下から2行目に「性腺に対する」と記載がありますが、こちらに「卵巣」と入れるわけにはいかないのでしょうか。実験成績ということから、記載できないのでしょうか。その辺をはっきりさせていただいた方が良いと思いました。
○機構 こちらにつきましては、もう一度検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 雌の実験はしていませんか。
○機構 雌でも試験は実施されています。
○吉田部会長 雌の卵巣は、特に何もなかったのですか。
○機構 はい。
○吉田部会長 ほかにありますか。
○清水委員 今の関連ですが、審査報告書の31ページに「避妊について」という記載があります。その中で、避妊の必要性の情報提供も非常に重要だという書きぶりがあり、今のデータからすると、とても重要だと思います。そのような具体的な情報は、何か問題があるので添付文書に記載されていないのですか。
○機構 避妊につきましては添付文書ではありませんが、資材を作成しますので、資材の方で注意喚起をしたいと考えております。
○清水委員 添付文書ではなく、ほかの資材にするという理由を教えてください。
○機構 今までの添付文書では、避妊についての注意喚起をしていないと思いまして、このような資材できちんと情報提供を行っていこうと考えております。
○堀内部会長代理 なぜ前例主義でやられているのでしょうか。これまでの添付文書がそのようになっていたからということですか。
○新薬審査第五部長 記載については、添付文書は基本的に(案)なので、申請者と当方の議論の中で、確実に情報提供を行うということを約束していたというように御理解いただきたいと思います。添付文書にずらずらと書くのはなかなか難しいというのが一方であります。良い表現、良い内容に関しては、検討する余地はあると思いますが、御指摘のように添付文書の中に盛り込める方向で検討したいと思います。
○堀内部会長代理 私も今の点は気になっています。是非添付文書の中に入れていただきたいと思います。
 さらに、添付文書(案)の3ページの「9.適用上の注意」では、生理食塩水では溶かすことができるが、5%のグルコースで溶かしてはいけないということだけしか記載がされておりません。こちらの理由を入れなければ、使う方は大変分かりにくく、理解に苦しむと思います。添付文書(案)を見ると、反応生成物が認められるということです。反応生成物というのは、沈殿が出るということですか。どのようなものか特定されていませんが、せめて分かっている部分がそこまでならば、そのように書いておかなければまずいと思います。「5%ブドウ糖注射液で希釈しないこと」といった記載だけでは不十分だと思います。
○機構 まず、沈殿物ができるかについては、情報がありません。審査報告書の1ページの「審査報告(1)」にも書かせていただきましたとおり、反応物が出るというところを把握しているのみなことから、申請者に確認したいと思います。また、理由を添付文書に記載するかどうかについては、再度機構の方で検討させていただきたいと思います。
○堀内部会長代理 このままでは分からないので、きちんと書いてください。これでは不親切です。
○機構 本剤についても適正使用ガイドの作成を申請者と検討している段階であり、そちらの方での情報提供を考えていたところですが、再度申請者と検討したいと思います。
○堀内部会長代理 今、このような情報提供を行うことをメーカーと提案しても、長く使われる場合にはその話が飛んでしまうことがあります。基本文書は、やはり添付文書であると思います。そのため、添付文書に必要なことを記載するというスタンスが必要だと思います。
○新薬審査第五部長 我々としては、決して前例主義という話をしているわけではありません。情報が的確に提供されることが、最も重要だということです。添付文書に記載するということが、重要なポイントになるとの御指摘は重々理解しているところではあります。ですが、バランスが必要な部分がありますので、情報提供をインタビューフォームや資材に書いていくということも含めて、検討をさせていただきたいと思います。
○堀内部会長代理 もう1点ありますが、添付文書(案)の4ページのKaplan-Meierは、CTD第一部ですね。このデータは更新されていますが、これは古いデータのものです。それほど差は無いといっても、きちんと更新されたものを出すべきではないでしょうか。
○機構 添付文書に掲載しているKaplan-Meierというのは、主要な解析の時の結果を提示しております。通常、添付文書には実施された試験の主要な解析結果を提示しています。
○堀内部会長代理 しかし、その後改訂されてデータが出ているわけですから、そちらを載せるべきではないでしょうか。なぜ申請した時のデータだけしか載せられないのですか。
○機構 主解析が終わった後に行われている解析というのが、最終解析です。そのため、主解析の結果が重要だと考えております。
○堀内部会長代理 よく分かりません。
○新薬審査第五部長 新たなデータの情報が入れば更新するということはあるのですが、統計学的に判断をする上で、「評価はこういうことをやります」と事前に決めてある内容で判断したのが申請した時のデータです。添付文書にはそれを載せたのですが、その後に出たデータを隠すというつもりは全くございません。いろいろな情報提供の仕方があると思いますが、最初に決定した有効性があると判断した内容に関しては、添付文書に載せているというのが考え方です。
○堀内部会長代理 けれども、申請時の添付資料に出ています。
○新薬審査第五部長 もちろん申請時のCTD資料に出ているものを載せるというのは基本です。繰り返しになりますが、添付文書中には有効性の判断を行ったデータを載せるということになります。
○堀内部会長代理 逆に、どうして改訂したものを載せられないのでしょうか。
○新薬審査第五部長 載せられないということではありません。繰り返しになりますが、基本的に有効性の主解析になったデータを載せるという考え方から、有効性を評価した
時点の図を載せると判断したということです。
○堀内部会長代理 では、改訂をしてください。
○新薬審査第五部長 情報をインタビューフォームや資材等に用いるということで、新たなデータが提供できると思います。
○吉田部会長 結局まだファイナライズされていないのですか。
○新薬審査第五部長 いいえ、ファイナルとしてのデータは、フィックスされています。新たな情報が入り、更に解析をしたという状況の場合は、CTDの資料中に更新情報として載せていたということです。
○堀内部会長代理 資料1の1.8.2「効能・効果、用法・用量及び設置根拠」の4ページに図が二つあります。下の図は「更新後」とありますが、同じデータの更新ということですか。
○吉田部会長 添付文書(案)に載っている上の図は、2009年5月12日にデータカットオフで行ったデータではなくて、下がファイナライズされた成績のように見えますね。
○機構 プロトコールにしたがって実施された試験のファイナルのデータが上の結果であり、添付文書(案)に記載のあるKaplan-Meierの図となります。その後、フォローアップをしたデータを収集した結果、こちらも合わせると下の図のようになります。統計学的に、有効性を判断したものが上の図になります。
○吉田部会長 プロトコール上は2009年5月12日にデータカットオフをするという約束で始めたので、上の方が臨床試験の成績になる。そして、下の図は市販後も含めてある程度期間が経ってから再度フォローアップをしたらこのようになったということですか。
○機構 はい。そのような解釈になります。
○吉田部会長 堀内部会長代理、こちらが正の資料ということです。更新した成績は臨床試験の主目的データではないということで、参考資料という扱いだそうです。ほかに御質問はありますか。
○守殿委員 添付文書(案)の2ページの「4.副作用」の国内臨床試験成績の1~2行目にかけてですが、「81例中、81例の副作用が報告されている」という表現は可笑しいと思います。81例であれば、「全例に副作用が認められている」等にしなければ、理解しにくいと思います。少し考慮していただきたいと思います。
○機構 検討させていただきます。
○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかに御質問はありますか。
○清水委員 この薬剤の安定性の問題ですが、審査報告書の7ページに希釈濃度と基材、材料への吸着についての記載があります。希釈濃度に関する情報は、添付文書の中にほとんど記載がありません。こちらについては、いかがでしょうか。
○機構 実施された臨床試験においても、本剤2mLを最大100mLまでの容器に希釈するという規定がされていたのみであることから、特に記載はしておりません。そういった回答で、よろしいでしょうか。
○新薬審査第五部長 濃度の記載があった方が、親切で分かりやすいという御指摘であると理解いたします。検討させていただきたいと思います。
○清水委員 はい。
○吉田部会長 記載をすれば、間違いにくいと思います。急いで点滴した場合でも、5分以上かかるようにすれば良いのではないかと思います。ほかに御質問はありますか。
○堀内部会長代理 添付文書(案)の4ページの作用機序の書きぶりとして、チューブリンの重合を阻害して微小管の伸長を抑制するとありますが、これだけではビンブラスチン等と余り差が明確になりません。この場合は、チューブリンの伸長を阻害するということですね。ですから、これまでのチューブリンの重合阻害薬との作用機序の違いが、明確になるような記載にしていただきたいと思います。
○機構 作用機序に関して現時点においても、本剤がビンブラスチンやタキサン系のチューブリンを阻害する薬剤とは異なる部位に結合をして阻害することを示唆する間接的な試験データは示されています。しかしながら、実際には、ビンブラスチンやタキサン系薬剤と違う作用機序を有するということを明確に示すデータは、現時点で示されていないことから、データに基づくと、添付文書(案)のような記載しかできないと考えております。
○堀内部会長代理 すると、臨床現場では、どう違うのかが全く分からなくなります。
○吉田部会長 臨床試験の成績を見ると、タキサンに不応となってからも効いています。つまり交叉耐性が無いということなので、恐らく作用機序は違うのだと思います。しかし、まだその詳細が分からないということですね。
○機構 現時点では分かっていません。申請者が、その違いを明らかにするための研究を現在も継続しているところです。
○堀内部会長代理 すると、結合はビンブラスチンよりも弱いのですか。阻害作用が弱いと報告書に書いてあります。
○機構 解離定数等から、そのようなデータが提示され、考察されているところですが、抗腫瘍効果との関係については、データが不足しており、明確にはなっておりません。
○堀内部会長代理 分かりますが、この前の重合阻害薬との違いをある程度分かっている段階で書いておかなければ、使う方は本当に使いにくくなってしまうと思います。吉田部会長がおっしゃったように、臨床データとして抵抗性のあるものに対して、作用は分かっていないけれど、「効く」ので承認するという話になりますが、薬の承認がそれで良いのですか。
○機構 薬理試験についてですが、承認申請までにすべての作用機序を明らかにすることは難しいと考えております。ただし、本剤につきましては、臨床試験の中で、タキサン、アントラサイクリン系を含んだ治療後に使われる様々な薬剤を対照として、OSが有意に延長しているという事実があります。そのデータを見ていただいて、臨床現場の方ではどの薬剤を使うのか判断していただくという形になるかと思います。
○吉田部会長 田村委員に、使用者側の意見をお聞きします。例えば抗がん剤を投与する時に「機序は分からないが、臨床的には耐性にも効く」というような情報だけでは不十分だと思われますか。それとも、効くならば、その説明は後でも良いと思われますか。
○田村委員 真の作用機序がわかっていない薬剤は沢山あると思います。どのような薬理作用があるかわかっていても、どの作用が効果に重要かわからないことも多いでしょう。実際に臨床で、どんな癌に、あるいは耐性化にも効いたという事実が、薬剤選択に最も重要と考えます。恐らく、この薬剤もいろいろな作用機序を想定して検討されていると思いますが、「これで決まり」というものがはっきりしないので、添付文書には記載できないと理解しています。
○吉田部会長 これは、仕方がないということですね。
○堀内部会長代理 すると、作用機序については検討を続けるわけですが、それは確認が取れているのですか。
○機構 はい。その点については、今後も継続していくという説明を申請者から受けております。
○吉田部会長 ほかにありますか。では、だいぶ宿題が出たようですが、一応事務局の方としては、委員の先生方の御意見を反映する方向で引き取りたいとの回答です。議論も出つくしたようですので、そろそろ議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。御異議が無いようですので、本議題について承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、議題2に入ります。田村委員におかれましては、議題2の審議の間、別室で御待機いただくこととします。
               ── 田村委員退室 ──
○吉田部会長 議題2について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題2、資料2「ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌を予定効能・効果とするCrizotinibを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、評価報告書に基づきまして、事務局より説明させていただきます。
 こちらは、ファイザー株式会社から申請されている希少疾病用医薬品の申請でございますが、対象疾病がALK(未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌となっております。希少疾病用医薬品の指定要件の対象者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について、順に御説明します。
 まず対象者数ですが、2005年の国立がんセンターのデータに基づきまして、国内の肺癌の年間推定罹患者数は約8万4,000人とされております。肺癌患者全体の中で非小細胞肺癌の割合が約80%、そのうち、さらに本剤の対象となりますALK融合遺伝子陽性患者の割合が2~13%と報告されているということを勘案しますと、本剤の対象患者数は1,000~9,000人程度と推計がされまして、多く見積もっても5万人以下であり、基準は満たしていると考えております。
 次に医療上の必要性についてですが、現在、非小細胞肺癌に対する標準療法は、白金製剤を含む2剤併用レジメンとされております。化学治療未治療例で、これらのレジメンの奏効率を見ますと、大体30%程度となっているということです。また、この対象となるALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌の方では、EGFR遺伝子の変異を有することは稀であるということも報告されておりまして、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤も含めまして、既存の薬物療法では十分な効果が得られないということで、新たな作用機序を有する治療薬の開発が強く望まれている状況にあるということ、それから、本剤はALK及びEGFR受容体チロシンキナーゼの選択的阻害剤ということになっておりまして、ALK融合遺伝子が遺伝子陽性の腫瘍では腫瘍の生存・増殖に大きく寄与していることから、本剤が既存薬剤と比較して高い有効性が期待されるということが医療上の必要性です。
 開発の可能性ですが、これまでに、米国、韓国及びオーストラリアにおいて、国際共同第I相試験を実施しております。2010年8月7日時点で対象となるALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者に対する本剤の奏効率は56.0%となっておりまして、今後の開発の可能性が期待できるということです。現在、この肺癌の方の二次治療又は三次治療における既存薬を対象とした国際共同第III相試験、それから、初回治療におきましても国際共同第III相試験が実施されているということで、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 以上、3点を勘案しまして、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○堀内部会長代理 確認させてください。これは基本的に、ALK陽性であれば効くということですか。また、転座が起こっているようなものがありますが、そちらとの関係はどうなのでしょうか。どちらでも、効くと考えて良いのですか。
○事務局 今回の申請においては、融合遺伝子陽性となっておりまして、後ろの方の資料に載っていますが、様々な組合せで効果があるということが現在確認されています。
○堀内部会長代理 転座があるものが、対象になるということですか。
○事務局 はい。
○吉田部会長 ターゲットが明確な割には、奏効率が余り高くありませんね。その辺は、これからいろいろ症例を集積して調べることになるのだろうと思います。
○堀内部会長代理 チェックは、簡単にできるのですか。転座がありALKの変わっているものを使うのだと思いますが、それをチェックして使うのでしょうか。それともチェックはせずに、全部使われるのでしょうか。
○事務局 恐らく標準的な方法として、まだ確立はしていないというところだと思います。現在、開発中だということですので、承認時までにはある程度固定できるよう進められるのではないかと考えております。
○吉田部会長 今まで、奏効率56.0%、105例の治療を行っていますが、この105例の治療選択の根拠を教えてください。免染あるいはPCRで調べたということなのでしょうか。この件の資料はありますか。
○機構 免染でないとは思っております。PCRか何かだと思われます。
○吉田部会長 PCRで調べたのですか。分かりました。ほかには、ございますか。
 個人的興味でお聞きしたいのですが、ALK融合遺伝子の発現している固形癌というのは、ほかにありますか。余り調べられていないのでしょうか。
○機構 固形癌ではないのですが、リンパ腫等が知られています。
○吉田部会長 そういうようなことであれば、ここに書いてある以上のものは分からないということですね。ほかにはございますか。非小細胞肺癌そのものは多いのですが、遺伝子発現の陽性例が限られているので、基本的には希少疾病用医薬品になるとの判断だそうです。委員の先生方、そのようなルールで御異議はありませんか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、前崎委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。田村委員を呼んでください。
── 田村委員入室 ──
○吉田部会長 それでは、報告事項について、説明をお願いします。一括して説明していただきますので、よろしくお願いします。
○機構 議題1、資料3「医薬品リウマトレックスカプセル2mg、メトトレキサート錠2mg『タナベ』、メトトレキサートカプセル2mg『マイラン』、トレキサメットカプセル2mg、メトレート錠2mg、メトトレキサートカプセル2mg『サワイ』、メトトレキサート2mg『トーワ』の製造販売承認事項一部変更承認について」、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
 本剤は、いずれも、メトトレキサートを有効成分とする抗リウマチ薬であり、現在は、「関節リウマチ(過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ剤により十分な効果の得られない場合に限る)」、「関節症状を伴う若年性特発性関節炎」の効能・効果で承認されております。
 今般、ワイス株式会社を代表とする計7社から、「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」(平成11年2月1日付け研第4号及び医薬審第104号厚生省健康政策局研究開発振興課長及び医薬安全局審査管理課長通知)に基づき、関節リウマチにおいて週当たり8mgを超える高用量への増量及び第一選択薬としての使用を可能とする、効能・効果及び用法・用量の製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものです。なお、ワイス株式会社は、申請後にファイザー株式会社と統合されましたので、申請者名が変更されております。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、関節リウマチにおけるメトトレキサートの週当たり16mgまでの増量及び第一選択薬としての使用は、医学薬学上公知であると判断し、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 ただし、本申請が承認された場合には、これまでに高用量での増量経験のない医療機関にも使用が拡大されることが想定され、適切な安全管理がなされなければ、高用量投与に伴い重篤な骨髄抑制等の発現頻度が増加する恐れがあることから、安全性を追跡するための調査を実施すべきと機構は考えており、承認条件として、「本剤の高用量での投与により重篤な骨髄抑制等の発現頻度が増加するおそれがあることから、適切かつ十分な調査を実施し、規制当局に報告すること。」を付すことが適切と判断いたしました。
 続いて議題2、資料4「医薬品モーラステープ20mg及び同テープL40mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
 本剤は、非ステロイド性消炎鎮痛剤であるケトプロフェンを有効成分とする経皮鎮痛消炎剤であり、既に「下記疾患の慢性症状(血行障害、筋痙縮・筋拘縮)を伴う場合の鎮痛・消炎、腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)」、「関節リウマチにおける関節局所の鎮痛」の効能・効果で承認されております。
 今般、久光製薬株式会社から、「筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛」に係る効能・効果を追加すると共に、効能・効果の「下記疾患の慢性症状(血行障害、筋痙縮・筋拘縮)を伴う場合の鎮痛・消炎」の記載を「下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎」に変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 なお、本日御欠席の溝口委員より事前にコメントをいただいております。1点目は、添付文書の「適応上の注意」に、使用しない部位として損傷皮膚が記載されているが、添付文書上でもっと目立つようにすべきとのコメントです。これを踏まえまして、添付文書の「効能・効果に関連する使用上の注意」において、皮膚損傷を有する外傷には使用しない旨を記載することといたします。
 2点目は、本剤により接触皮膚炎又は光接触皮膚炎を生じた場合には、以後ケトプロフェンを有効成分とする薬剤の使用を禁止する必要があることを患者に情報提供すべきであり、可能であれば添付文書に分かりやすく記載して欲しいとのコメントです。この内容につきましては、本剤、及び坐薬等の剤型におきましても禁忌の項で「本剤又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者」を記載しており、注意喚起がなされておりますので、今後はさらに、患者向け資材にて注意喚起をするよう企業を指導いたします。これらの対応で溝口委員には御了解いただいております。
 続きまして議題3、資料5「医薬品ハイカムチン注射用1.1mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
 本剤は、DNAと複合体を形成したI型トポイソメラーゼに選択的に結合することで、腫瘍細胞の細胞死を誘発すると考えられている抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「小細胞肺癌」の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年8月30日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、日本化薬株式会社から、「がん化学療法後に増悪した卵巣癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて議題4、資料6「医薬品ゼローダ錠300の製造販売承認事項一部変更承認について」、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
 本剤は、代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「手術不能又は再発乳癌、結腸癌における術後補助化学療法、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年8月30日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、中外製薬株式会社から、「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて議題5、資料7「医薬品ジェムザール注射用200mg及び同注射用1gの製造販売承認事項一部変更承認について」、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
 本剤は、代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年8月30日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、日本イーライリリー株式会社から、「がん化学療法後に増悪した卵巣癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて議題6、資料8「医薬品注射用エンドキサン100mg、同500mg及びエンドキサン錠50mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
 本剤は、ナイトロジェンマスタード系に属するアルキル化剤であり、現在は、「多発性骨髄腫等の自覚的並びに他覚的症状の緩解、乳癌に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法、造血幹細胞移植の前治療」の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への妥当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年8月26日に開催された医薬品第一部会における事前評価を踏まえて、塩野義製薬株式会社から、「治療抵抗性の下記リウマチ性疾患、全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、ヴェゲナ肉芽腫症、結節性多発動脈炎、Churg-Strauss症候群、大動脈炎症候群等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 なお、その後、平成22年10月1日付けで、医薬品第一部会と医薬品第二部会の所掌の見直しが行われましたので、今般、新たな所掌に基づき、医薬品第二部会に対して報告いたしますものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて議題7、資料9-1~9-3「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたします。これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料9-1は、一般的名称は「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」、販売名は「キュバール50エアゾール他」のものでございます。
 資料9-2は、一般的名称は「クラリスロマイシン」、販売名は「クラリス錠200他」のものでございます。
 資料9-3は、一般的名称は「コレスチラミン」、販売名は「クエストラン他」のものでございます。
 これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判断したものです。以上でございます。
○吉田部会長 ありがとうございました。議題1~6までが公知申請の案件で、議題7が再審査の結果という報告でございました。委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○新井委員 資料5の効能・効果ですが、がん化学療法後に増悪した卵巣癌となっていますが、なぜ最初からは使えないのでしょうか。また、どのような化学療法でも良いのでしょうか。これらについて、クリアにして欲しいと思いました。
○機構 御質問の意図は、「がん化学療法後に」という設定がされている理由でしょうか。
○新井委員 はい。
○機構 一番最初に実施される治療としては、白金製剤を含む治療というものが既に標準治療として確立しており、それ以降の治療としてこの薬剤を使うということが教科書やガイドライン、エビデンスからも明らかになっています。したがって、既に同じ位置付けで使用されているリポソーム化ドキソルビシンというものについても、同様の効能・効果で承認しております。よって、それと同じ位置付けということで、がん化学療法後に増悪した卵巣癌という効能・効果を設定しております。
○吉田部会長 端的に言えば、逆に本剤のファーストラインでの有効性が公知になっていないということでしょうか。
○機構 はい。
○吉田部会長 ほかにございますか。今の件ですが、用量は小細胞肺癌とは違って少し増えています。そのことに関する安全性の保証等について、日本の情勢がどのようになっているのかを説明してもらえますか。
○機構 日本人での安全性を確認する目的で、海外で既に承認されている用法・用量である1.5mgの5日間連日投与の臨床試験を今回一緒に申請資料として提出されております。それの試験結果と過去に承認されている1.0mgでの既承認がん種での安全性のデータを比較して検討したところ、事象としては新たに認められるような副作用はございませんでした。やはり、用量が上がることにより、発現率が多少上昇してしまうような事象はあります。それにつきましても、支持療法等があるので、それにより管理可能と考えております。したがって、その情報については、添付文書に記載すると共に、資材でも発現状況や休薬・減量基準についても情報提供するということで指示しております。
○吉田部会長 そのようなことだそうです。抗がん剤の公知申請が、かなり増えてきておりますが、田村委員からコメントはございますか。
○田村委員 ウェルカムです。
○吉田部会長 ウェルカムということです。ほかに御意見はございますか。御意見がないようでございます。
 それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
 それでは、その他事項について、説明をお願いします。
○審査管理課長 それでは、当日配付資料13「薬事分科会・部会手続きの見直しの検討について」、事務局より説明させていただきます。
 背景でございますが、今、ここに掲げられておりますように、規制・制度改革、新成長戦略あるいは肝炎検証委員会の報告等で、安全性を踏まえながら審査を効率化したらどうか、審査期間の短縮を図ったらどうかという御指摘をいただいています。また、来年度である平成23年度には、新薬の審査期間の目標値は、通常品目で12か月、優先品目で9か月にするという方向で進めさせていただいているところでございます。そのために、PMDAの体制整備、審査、事前評価相談等、新しい取組をさせていただいているところです。
 現状についてですが、新薬に関しましては、先生方に御審議いただきまして、その中で「新有効成分の中で新作用機序のもの」や「社会的に反響のありそうなもの」につきましては、この部会の審議に合わせまして、さらに分科会審議をお願いしているところでございます。そのようなことで、次のページをめくっていただきますと、部会と分科会審議の対象品目が「分科会の確認事項」ということで決まっております。分科会審議品目になりますのが、上にございます新有効成分含有医薬品のうち、3を除くということでございますので、新しい作用機序のもの等新しい構造を有するもの、それから、2番目にございますように慎重な審議が必要なもので、経口避妊薬というようなものであろうかと思っております。
 そのような状況でございますが、安全性を配慮しながら分科会審議品目の対象を見直すということで、12月に開催されました薬事分科会で検討についてを御説明させていただきまして、御了解いただいたところでございます。事務局案として分科会あるいは部会の対象品目の見直しについて、現在、検討させていただいているところでございます。これに関しましては、3月に予定されております薬事分科会で、御検討いただくことになります。また、さらにお加わりいただく委員等についても検討させていただいているところでございます。以上になります。
○吉田部会長 委員の先生方から、御質問等ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。スピードアップを図っていくということが主眼のようです。
 それでは、その他事項については御確認いただいた方針で事務局にて検討いただくものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 当日配付資料14「アセトアミノフェン製剤の取扱いについて」、事務局より説明させていただきます。
 アセトアミノフェン製剤の効能追加、用法・用量の変更に関しましては、3ページ目の別紙にお示ししたとおり、前回の11月の部会にて御報告し、承認に向けての手続きを進めていたところです。米国において、これまでもアセトアミノフェンによる肝障害に関する副作用の報告がなされておりましたが、今般、本年の1月14日に米国FDAが、「2.今般のFDAの安全対策のポイント」に書いてございますように、すべての処方薬に関して1規格当たりの配合量を325mgまでに制限すること、そして肝障害、アナフィラキシーに関しまして添付文書に記載し、注意喚起することを柱としました安全対策の実施を決定いたしました。
ページをおめくりください。今回のFDAの対応を受けまして、審査中でありますアセトアミノフェン製剤につきましては、次のとおり対応を行うことといたします。
 まず1.としまして、FDA並びに日本の状況を確認した結果、この肝障害は、過量投与又は長期投与時に限って起こるものではないということから、新旧対照表でお示ししましたとおり、より適切な形で警告欄、重要な基本的注意欄、そして承認条件を改めた上で承認を行いたいと思っております。また、今回、剤型追加として申請されておりましたカロナール錠500の承認の可否については、引き続き検討を行いまして、結果を改めてこの部会に御報告することとしたいと思っております。
 なお、アナフィラキシーにつきましては、重大な副作用の項でショック・アナフィラキシー様症状として現行の添付文書でも注意喚起を図っているところでございます。以上でございます。
○吉田部会長 米国では高用量のものが、かなり沢山使われており、そのため、いろいろな注意が出たようです。委員の先生方から、御質問等ありましたらお願いします。カロナールの扱いに関しては、この間の部会で一応承認となっていますが、棚上げでもなくペンディングというようなことになるのですか。
○事務局 3ページを御確認いただきますと、別紙の1.~15.が一括で申請されていますが、その中の「5.同錠500」、カロナールですが、これがいわゆるアメリカの325mgを超えています。本剤の部会報告を行った後、アメリカは1月14日に対応を打ち出したという経緯となっていますので、今回の承認は「同錠500」に限ってペンディングとし、その情報を整理した上でこの部会に改めて御報告したいと思っております。
○吉田部会長 すると、もう一度部会に上がってくるということですか。
○事務局 500mgについては、そうなります。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかに委員の先生方から、御意見等ございますか。
○田村委員 イレッサ裁判について、お話してよろしいでしょうか。和解勧告が出されましたが、私が非常に心配しているのは、今後の抗がん剤承認への影響です。イレッサは、非小細胞肺癌の治療において画期的な薬です。日本で世界に先駆けて承認されたことは、素晴らしいことと思っています。多くの患者さんが、その恵を受けたはずです。残念ながら、その後になって、ごく稀ながら重篤な肺障害が判明し、しかも大きな人種差があることも分かってきました。しかし、裁判で指摘されるような落度が当局にあったとは思えません。「二度とそのようなことがないように」と言われたら、一体どうしたら良いのか。「多くのデータが揃うまで承認を遅らせる」、「承認しない」ということになると、日本の患者さんが大きな損をすることにもなります。今回の件に関して、是非適切な対応をお願いしたいと思います。
○審査管理課長 どうもありがとうございました。今、イレッサの裁判が進行中でございます。今月の初めでございますが、まだ判決が出る前に裁判所の方から和解勧告が出たところでございまして、まだ和解が決まったわけではございません。厚生労働大臣のコメントにもございますように、薬事法の根幹に関わるような問題にも触れかねないということで、慎重な対応が必要だということで、現在検討中でございます。
○吉田部会長 検討中ということではありますが、厚生労働省が頑張って頑張り通せるという話なのでしょうか。
○審査管理課長 厚生労働大臣のコメントでも、裁判の中で主張させていただいているのですが、国としての法的責任があるというわけではないのだろうと思っております。
 新聞等で先生方も御承知かと思いますが、和解勧告については裁判所の所見が出ています。実際のものは、なかなかお示しできないのですが、内容について新聞等で報道されており大体2点ございます。
 1点目は、田村委員もおっしゃったように、「間質性肺炎」が「使用上の注意」の「重大な副作用」の項目に書いてあるのですが、承認時にはそれが4番目の項目に記載されていたということです。記載が1番目の項目にあれば、さらに良かったのではないかということを指摘されています。
 2点目としては、全世界で1万例程度使用されており、当時日本でもありましたが、アメリカも含め、治験外の症例で間質性肺炎とも読みとれる症例についても考慮できれば、もう少し取扱いが変わったのではないかという御指摘があります。これに関しましては、当時の審査センターがチェックをさせていただいております。さらに、その副作用報告は海外の報告が多いのですが、それについては薬剤との因果関係が明らかになっていないという状況でございます。
 そのようなことから、特に承認時について裁判所の今回の和解の所見で触れられております2点について、問題は無かったのではないかと思っているところでございます。
○吉田部会長 要するに、過失も瑕疵も無かったけれども、結果として悪いことが起きてしまったら、誰が責任をとるのかという話ですね。国が責任をとれば裁判所としては、楽なのだろうと思います。しかし、そのような議論のある中で、私たちは将来何が起こるか分からない薬について審議をしています。それを先々になってから、「この薬が出てきたのは、あなたたちの予見能力の欠如のせいである」等と言われてしまうと、責任を取る、取らないという話にすり替わってしまいます。要するに、将来起こるかもしれないあらゆるリスクについて過失を問われるようなことになると、私たちはとてもではありませんが、この審議会をやってはいられません。私の意見も田村委員と同じですし、この論拠については、国の方でも是非頑張っていただきたいと思います。この件に関して、ほかにございますか。
○堀内部会長代理 私もイレッサの審議に関与しました。議事録を読み返してみましたが、間質性肺炎の発現状況を見て、その審議に問題があるとは思えません。ただ、承認後の市販後臨床試験あるいは追跡調査が極めて重要であったと思います。分子標的薬は、何が起こるか分からないので、イレッサ問題のでてきた後の抗がん薬や分子標的薬などの承認審査の大抵のものについては、全症例追跡調査を行うというようになってきていると思います。イレッサの場合のメーカーからの報告が遅かったということは、あったと思います。けれども、イレッサの検討会でじっくりと審査を行ったために、添付文書の改訂が遅くなったというのは、少し筋が違うのではないかと思います。メーカーは副作用との因果関係をなかなか認めようとしなかったのですから、メーカーが医療現場への連絡を徹底したのかという点については、問題があるように思います。
○吉田部会長 いずれにしても、過失や瑕疵という類の話では絶対にないと思います。その点だけは、是非はっきりしておいて欲しいと思います。裁判所も和解させるとしたら、「誰にも過失も瑕疵もないのだけれども、このような薬害というのは、ある程度の確率で起こることも事実である。国には現在、抗がん剤の患者救済制度はないが、今回に限ってはこの種の救済制度を活用した方が良いのではないか」等と言ってくれるのならば良いと思います。誰それが悪いという話ではないというところだけは、絶対に譲らないで欲しいと思います。委員の先生方から、ほかにございますか。事務局から他に何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、2月25日(金)午前10時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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