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2010年11月10日 第6回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 速記録

○日時

平成22年11月10日(水)10:00~11:58


○場所

航空会館 大ホール


○出席者

出席構成員:

堀田構成員、伊藤構成員、岩田構成員、大塚構成員、落合構成員、
白幡構成員、友池構成員、中川構成員、西川構成員、藤原構成員、
村山構成員、横谷構成員、吉村構成員

出席参考人:

小早川参考人、中林参考人、金澤参考人、安藤参考人、中村参考人

○議事

○事務局
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回になります医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催いたします。
 まず、本日の構成員の先生方の出欠状況についてご報告いたします。
 五十嵐構成員、岡部構成員、小川構成員、川西構成員、後藤構成員、樋口構成員、山本構成員からはご欠席ということでのご連絡をいただいております。なお、今、友池構成員がちょっと遅れていらっしゃるようですが、現在のところ12名の先生にご出席いただいているという状況でございます。
 また、ワーキンググループの検討状況をご報告するに当たりまして、これまでと同様でございますけれども、ワーキングメンバーからの参考人という形でのご出席をいただいております。今回は循環器ワーキングと生物ワーキングについては、ご報告いただく事項がないということで、本日はご出席をいただいていないという状況であります。本日ご出席のワーキングの先生方は、以前からご出席いただいている先生方ですので、改めてご紹介というのは割愛させていただくということにさせていただきたいというふうに思っているところであります。
 一応これでカメラの撮影のほうは終わりにさせていただきたいというふうに思っておりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、堀田先生、以降の議事進行をお願いいたします。

○堀田座長
 皆さん、おはようございます。本日、第6回になりますが、先回は第5回、10月の初旬でありましたので、約1カ月ぶりの会合でございます。
 それでは、まず最初に本日の配布資料の確認を事務局からお願いします。

○事務局
 それでは、配布資料の確認をいたします。
 まず、本日の配布資料については、議事次第と座席表がありますけれども、その次に資料1としまして、検討会議における検討の進め方、資料2としまして、専門作業班(WG)の検討状況の概要等についてというもの、さらに資料3-1から7で、医療上の必要性に関する専門作業班の評価と題しておりまして、各ワーキンググループごとの報告であります。
 さらに、資料4といたしまして、資料4-1から4-4まであります。それぞれの品目の公知申請への該当性に係る検討会議報告書(案)というものが4-1から4-4まで、さらに資料5としまして、医療上の必要性が高いとされた品目に係る専門作業班の検討状況についてというもの。
 さらに、資料6-1から6-4というものまでございまして、それぞれ6-1は、医療上必要性に関する専門作業班で検討中の品目、6-2につきましては、欧米4カ国のいずれの国においても承認等が確認されなかった品目、6-3として、開発要請・開発企業の公募を行う前に承認された品目、さらに6-4、米国における保険適用が確認された品目というものが資料の6-1から6-4であります。
 資料7-1としましては、これは開発状況の資料でありまして、7-1として企業から提出された開発工程表について、7-2、企業から提出された開発工程表の概要等という資料、最後に資料8として、開発企業の募集を行った医薬品のリスト(11月9日時点)と題しているものであります。
 以上が資料でありまして、参考資料につきましては前回と同様ということで、一まとめにしてお配りしているという状況であります。
 資料の不足などございましたら、お申しつけいただければというふうに思います。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 ただいま申し上げたように、資料の落丁等がありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の具体的な議事に入りたいと思います。
 本日は、前回、第5回が10月6日に開催しておりますけれども、事務局から、その後の進捗状況につきましてご説明ください。

○事務局
 それでは、進捗状況についてご説明いたします。
 資料1という資料をご覧いただきたいというふうに思います。資料1の検討の進め方という表です。
 これはいつもご説明しているとおりですので、改めて詳しくは説明いたしませんが、開発要請をした108品目などについて企業への開発要請を行った後、公知の妥当性とか必要性、必要な試験の妥当性などをやりながら、片や医療上の必要性というものをまだ判断し切れていなかったものもありますので、それについても並行して検討を進めているという状況であります。
 資料の2のほうでありますけれども、この検討状況ということであります。繰り返しになりますけれども、まずは5月21日の時点で医療上の必要性が高いとして企業に対して国が開発要請を行ったものというのが108ありますよということと、あと、その時点で医療上の必要性について検討中というものが133あったということでありまして、それらについて、その後どうなっているかというご報告をいたしたいというふうに思います。
 企業に対して108件について開発の要請を行いましたが、それについては、その2という下の表にあるとおりでございます。公知申請が妥当であるものとして、1カ月前の第5回の検討会議の時点では19件については公知申請が妥当ということになっていました。それについて、今回新たには2つ加わったという形をとりまして、公知申請が妥当なものが21ということであります。今回、4件について報告いたしますが、2件については、前回、いったんちょっと結論としては保留にさせていただくということでなったものも含めて、今回は公知申請が妥当であるというものについては4件報告をさせていただくということで、合計21件ということであります。その他、既に開発に着手しているものとかが43件あるとか、今後治験に着手する方向で検討が進んでいるものというのが14件あるという意味であります。
 実施が必要な試験や公知申請の妥当性について検討中のものという13件については、まだちょっと残っているわけですけれども、これについては基本的に公知の妥当性というものを検討するために、実際適応外ながらも、我が国での使用実態というものがどの程度あるかということについて、学会などにも要請しながらその実態を調査しているということで、ちょっと時間がかかっているということでありまして、これについても、そういった調査の結果が出次第、公知として扱えるかどうかということについては検討を進め、ここでご報告させていただくという段取りになるかというふうに思います。
 開発企業を公募したもの17件については、今回の検討会議のまた後半になりますけれども、また研究開発振興課のほうからのご報告をさせていただく形になろうかと思います。
 1枚めくっていただいて、今度は5月の時点での医療上の必要性について検討中という133あったものがどうなっているかということであります。医療上の必要性が高いという評価がされたものが74件ということになっております。これは1カ月前までは45件だったわけですが、74件まで、ここについては検討が進んだということであります。そこは、医療上の必要性について検討中5件と書いてあるものがありますが、これについては、前回、1カ月ほど前のときには62件あったわけで、ここについて、医療上の必要性についてはほぼ判断し得るものについては判断したという状況かというふうに思います。
 相変わらず残っております5件については、ちょっと特別な事情がそれぞれあって、個別に余り詳しくは今の段階では申しませんが、例えば医療機器と一緒に使わなければいけないというのがあって、いろいろその辺についてどうしたらいいかというようなものとか、あと、海外での承認が整理されるというような情報があるということで、ここについて医療上の必要性については、ちょっと今判断しがたいといったものとか、その辺、海外で保険のみで、エビデンスの関係から医療上の必要性がありとすべきかどうかということで非常に判断が難しいというようなものがあるということでありまして、その辺については、引き続き5件については検討させていただきますが、次回をめどにして、どうするかということについては明らかにしていくことになろうかというふうに思います。
 これでほぼ、最初にあった374件について、医療上の必要性について判断し得るというものは、とりあえずここまででいったん整理ができたというふうに考えておりまして、74件、今回ご議論いただくわけですけれども、それが妥当ということであれば、この後、最後にもまたご説明させていただきますけれども、国からの開発要請という形をとるべく手続を進めるという形になります。今回、この医療上の必要性というものについて新たに高いと評価したものについて、この後、各ワーキンググループから説明がございますが、それが妥当かどうかということをご議論いただきたいと思います。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 ここまでの事務局からの説明について、何かご意見があれば承ります。
 吉村先生、どうぞ。

○吉村構成員
 吉村ですけれども、公知申請が妥当で、かつ公知申請がなされたものというのは、どれぐらいあるんでしょうか。

○事務局
 少なくとも最初に公知が妥当とされたものは、もう既に申請されているはずでありまして、前回はちょっと確認します。

○吉村構成員
 もし分からなければ後でもいいんですけれども。

○事務局
 少なくとも、公知が妥当とここで判断して、その後部会での事前評価というのを終わった後、速やかにといいますか、1カ月程度以内には速やかに申請をしてほしいという旨は企業にはお願いしていまして、基本的には速やかにその後申請していただいているという状況かと思います。そこで申請が滞っているというような状況ではないというふうにお考えいただければと思うんですけれども。

○吉村構成員
 もう一つの、臨床試験が終わって既に申請してあるというものについてですけれども、これはあとはPMDAの作業と、あとは部会の承認があればいいわけですね。

○事務局
 そういうことです。

○吉村構成員
 それのスピードみたいなものは十分速くなっているかどうかということなんですが、それについてはどうでしょう。

○事務局
 PMDAでもそれぞれ、またここでの話題に上がらなくても、重要な新薬、新有効成分による新薬などの審査も進めていますので、そこについては、ここで取り上げられた品目も速やかにということかと思いますが、基本的には優先審査に該当するようなものについては優先、当然今までのルールにのっとって審査を行うという形になりますし、ちょっと戻りますけれども、公知申請に該当するというものについては、6カ月以内には承認までに至るべく手続を進めるということで進めています。

○吉村構成員
 吉村ですけれども、要するに、ここで今結構時間をかけていろいろ議論しているのは、やはり速くということが重要だと思うんですよね。だから、やはりスピードに関しては、やはり無茶なことはやってはいけないけれども、非常に急ぐということを何とか進めていただきたいと思います。

○堀田座長
 公知申請については6カ月以内にということで、基本的には特別な個々の問題がない限りはということです。後でまた進捗のところは検討いただきますけれども、公知申請ということになると研発のほうが窓口になっているかと思うんですが、何か進捗のことで報告しておきたいことはありますか。


○佐藤治験推進室長
 進捗状況を含めまして、開発のことにつきましては、後で3のところで詳しくご説明申し上げますので、その中でも公知申請の状況、あるいは実際に承認されたものとかがございますので、その辺は報告させていただきます。

○堀田座長
 ということで、今の問題は後でまた少し触れたいと思います。
 そのほかの点で何かありますでしょうか。先ほどの説明のように、医療上の必要性に係る点については、少し残しましたけれどもほぼやってきました。あと残るのは、追加的な治験の必要性と公知申請の該当性というところで、今後あと残りを中心にやっていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 まず前回の継続検討となっておりましたエタンブトールの塩酸塩とリファンピシンの公知申請の該当性について残っておりましたので、事務局のほうからご説明いただきます。

○事務局
 それでは、資料の4-1と4-2になりますけれども、まず公知申請の該当性に係る報告書としまして、前回の検討会議におきましてワーキンググループのほうから報告のあったエタンブトールとリファンピシンについて、前回の会議において小児についても検討すべきだということでご指摘がありまして、事務局において再度検討を行いましたのでご報告をいたします。
 そもそもは両剤とも結核症に対する効能があるところ、非結核性抗酸菌症についても効能を追加するということで、公知の該当性の報告書が上がっていたものでございますけれども、この小児の適用追加ということになりますと、要望のあった非結核性抗酸菌症だけでなく、もともとの効能であった結核症につきましても併せて検討すべきということ、それから、今回要望のあった非結核性抗酸菌症の成人に対する使用についても、やはり申請のほうを迅速に行うべきであるというところがありまして、今回、公知の該当性の報告書というところでは、まず成人の非結核性抗酸菌症について、本日こちらの会議でお取りまとめいただくことが妥当ではないかと考えておりまして、本日お取りまとめいただければ今後の手続を進めさせていただきたいと考えております。
 また、小児に対する適応拡大につきましては、また今後の機会にさらに検討させていただきたいと考えております。
 以上です。

○堀田座長
 これは成人の非結核性の適応拡大ということで要望が上がってきたんですが、小児の適応もどうだというお話がありました。もともと小児が結核そのものの適応がないという状況です。小児の結核性抗酸菌症はその整理をしてからで、この場では、こえれ以上は突っ込まないほうがいいんじゃないかという話ですが、何かご意見ございますでしょうか。

○岩田構成員
 岩田ですけれども、前回そういうことでお伺いしたのですけれども、今回は見送り次回にということであれば、次回はぜひ小児結核を含めた適応拡大ということで要望を出すようにしたいと思います。そのときはまたよろしくお願いいたしたいと思います。
 岩田ですけれども、前回そういうことでお伺いしたのですけれども、今回は見送り次回にということであれば、次回はぜひ小児結核を含めた適応拡大ということで要望を出すようにしたいと思います。そのときはまたよろしくお願いいたしたいと思います。

○堀田座長
 ありがとうございます。小児の適用については結核も含めて整理させていただくということでよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、特になければ、各ワーキンググループからの医療上の必要性に関する検討状況と、それから公知申請の該当性に係る検討会議の報告書についての説明をお願いすることになります。
 まずは、代謝・その他のワーキングから小早川先生、お願いします。

○小早川参考人
 よろしくお願いします。
 それでは、資料3-1をご覧ください。
 前回の検討会議で検討をチュウトウしていた8品目については、医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目として6品目、該当しないと考えられた品目として2品目を評価いたしました。
 ブデソニドの経口剤のクローン病の効能・効果についてワーキンググループの評価を5ページに記載しております。海外の臨床試験成績や費用実態を踏まえ、本邦においても本剤の必要性は高いと判断しましたが、既に実施された国内臨床試験では本剤の有効性が示されていないことから、本邦の適切な対象患者におけるさらなるエビデンスが必要と考えます。
 次に、7ページをご覧ください。
 要望番号126のサイモグロブリンに対する要望は、腎移植後の急性拒絶反応の治療、腎移植における急性拒絶反応の抑制(予防)の効能・効果です。
 10ページの下から国内の開発状況を記載しており、マル1の治療の効能については承認申請中です。
 11ページをご覧ください。
 ワーキンググループの評価として、マル1の治療の効能については必要性が高いと考えられましたが、マル2の抑制の効能については、欧米のガイドラインにおいても第一選択として推奨されているバシリキシマブが本邦でも承認されていることから、必要性が高いとまでは言えないと判断いたしました。
 続きまして、13ページ、要望番号127はサイモグロブリンに対する全臓器の臓器移植での効能追加の要望であり、126と同様に腎移植後の急性拒絶反応の治療についてのみ必要性が高いと判断いたしました。
 続きまして、プルシアンブルーについてですが、22ページ、国内開発の状況をご覧ください。放射性セシウムによる体内汚染の軽減の効能・効果については、既に承認されております。そのため、タリウム中毒の効能についてのみ必要性の評価を行い、医療上の必要性が高いと判断いたしました。
 25ページ、ミコフェノール酸モフェチルの腎移植における拒絶反応の抑制に対する小児適用の追加の要望については必要性が高いと判断いたしました。
 次に、リツキシマブに対する血液型不適合、液性拒絶反応の効能追加の要望についてです。
 33ページをご覧ください。
 ABO血液型不適合の臓器移植において、液性拒絶反応の抑制のために必須とされていた脾臓の摘出が本剤の投与により回避できると近年報告されていることから、米国における公的保険の適用範囲を踏まえ、ABO血液型不適合の腎移植における液性拒絶反応の抑制については必要性が高いと判断いたしました。
 次に、ハロペリドールですが、がん及びがんの治療に伴う悪心・嘔吐の効能追加について、38ページにワーキンググループの評価を記載しております。悪心・嘔吐の原因毎に本剤の効果が評価された報告はありません。化学療法及び放射線療法、あるいはオピオイド系鎮痛薬投与に伴う悪心・嘔吐に関しては、ガイドラインに本剤についての記載はあるものの、既存の治療薬と比べ本剤の必要性が高いとまでは判断できませんでした。
 次に、メルカプトプリンですが、クローン病及び潰瘍大腸炎の効能について、47ページをご覧ください。
 国内において、本剤のプロドラッグであるアザチオプリンが同様の効能・効果で承認されております。要望では、本剤の有用性について、錠剤であるアザチオプリン製剤と比べ、散剤である本剤では細かい用量調節が可能であること、アザチオプリンに対して忍用性が認められない患者に対して本剤の有用性が認められた報告があることが挙げられております。しかし、錠剤である程度の用量調節が可能であり、それ以上に細かい用量調節をする必要性が明らかでないことから、アザチオプリン製剤が存在する状況下で本剤の必要性が高いとまでは言えないと判断いたしました。
 続きまして、資料の4-3に参ります。
 メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムの公知申請への該当性に関する検討会議の報告書でございます。
 1ページをご覧ください。
 小児心臓病学会より、本品目にネフローゼ症候群の効能を追加する要望書が提出されております。
 要望内容における医療上の必要上についてご説明いたします。資料4ページの中ほど、2)の1つ上の段落でございますが、適用疾患の重篤性につきましては、開発予定企業は、ネフローゼ症候群において腎機能が重度に損なわれた場合、腎透析に移行するため、日常生活に著しい影響を及ぼす。また、腎透析に至った場合、移植以外に腎機能を再生する手段がないことから、イの「病気の進行が不可逆で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当するとしています。
 また、その下の4ページの2)から、医療上の有用性について、開発予定企業は、国内外における臨床試験において良好な結果が報告されていることなどから、イの「欧米の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れている」としています。
 ワーキンググループにおきまして検討を行った結果、企業の見解と同じく、それぞれ該当していると考えられましたので、本要望について医療上の必要性は高いと判断されました。
 5ページから9ページまでは諸外国の承認状況を記載しております。7ページの中ほどにございますとおり、米国ではネフローゼ症候群に関する効能が、また9ページにございますとおり、フランスでは糸球体障害発作に対する効能が認められております。
 9ページから25ページまでは要望内容に関する国内外の臨床試験の成績や国内症例報告の概要、教科書及び関連ガイドラインでの記載を取りまとめております。
 また、25ページから26ページまでは、これまでの経緯、国内使用実態、本剤の副作用情報を記載しております。
 これらを踏まえまして、27ページから29ページまで、要望内容に関する有効性と安全性について検討を行いました。有効性につきましては、本資料末尾の37ページの表にまとめております。
 27ページにお戻りいただきまして、米仏での承認状況、教科書、ガイドライン等で標準的薬剤として記載されていることから、本剤の有用性は海外で確立していると考えられました。また、国内において、国内で行われた臨床試験の結果で一定の有用性が認められていることや、適応外使用の症例報告、国内の教科書、ガイドラインでの記載等を踏まえますと、本剤の有効性は日本人のネフローゼ症候群においても期待できると判断いたしました。
 安全性についてですが、27ページの下から記載しております。こちらも海外と同様に安全性は許容可能と考えております。
 次に、本邦における効能・効果の検討内容について説明いたします。
 29ページの(1)からでございますが、臨床試験等の結果から判断して、効能・効果は要望どおりネフローゼ症候群とすることが適当であると考えました。しかし、本剤は通常、特に進行が早い重篤な症例を除いて経口副腎皮質ステロイド剤による治療を行っても効果がない症例に対して使用すべきものと考えられましたので、記載のような効能・効果に関連する使用上の注意も併せて設定することが適切と考えました。
 続いて、本邦における本剤の用法・用量の検討内容についてご説明いたします。
 30ページの(2)をご覧ください。要望では、小児、成人を問わず体重当たりの用量を設定する案となっていましたが、国内外の臨床試験のプロトコルや教科書、ガイドライン等を参考に、記載のように成人、小児に分けて設定することが適当であると考えました。なお、投与回数や投与スケジュールにおいては、国内外の教科書等における記載や使用実態で幅があり、定まったものがあるとは認められませんでした。したがいまして、用法・用量に関連する使用上の注意で最新の診療ガイドライン等を参考に実施する旨注意喚起することが適切であると判断いたしました。
 以上、要望の内容に関しましては、検討の結果、以上申し上げましたような効能・効果及び用法・用量について、本邦において医学・薬害上の公知に該当するとワーキンググループでは判断いたしましたので報告いたします。
 以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのワーキングの報告について、ご質問、あるいはご検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 藤原先生。

○藤原構成員
 要望番号235番のハロペリドールの抗がん剤投与時の吐き気に関して、これは医療上の有用性は高くないというふうに判定されていますけれども、海外では標準的治療と位置づけられて、私も診療の中で普通のように処方していますけれども、永遠に適応外のまま続くんでしょうかという……。それだったら保険局のほうが、例えば別に査定しないでくださいという事務連絡でも出していただければ実態としては困らないですが。私も分担研究者として加わっている緩和医療領域の厚労科研費の研究班ですが、エビデンスを精査して要望を提出したつもりでいたんですけれども、この学会の人たちがエビデンスの評価はできていないということなんですかね。これだけ緩和医療領域の薬剤が医療上の必要性が高くないと判定されるのであれば、ペインクリニック学会とか緩和医療学会とか疼痛学会の人たちって、ちゃんとエビデンスが評価できていないのかと思われるのも変なので、もう少し何か彼らに抗弁させるとか、そういう機会は持てないものなんでしょうか。

○堀田座長
 この点に対して、まず小早川先生、何かコメントはありますか。

○小早川参考人
 非常にこれは難しい判断でございました。私も消化器をやっておりますので、結構こういった薬剤は使用しておりますので、実際国内で使用実態がないとは言えない薬剤ではないかと思います。ただし、この医療上の必要性に関する基準を考えた場合に、このハロペリドール以外にも経口のヘイトウ剤はほかにも様々ある。このハロペリドールの特徴は注射剤ということで、これがあれば便利だというふうには考えられるんですけれども、ハロペリドールが使われるというのは、経口化できないような患者にすごく限られた部分のところでございまして、その中でまたエビデンスが十分というのは、どこまでをもって十分というのはなかなか難しいんですけれども、薬事法上の承認の要件に十分合致するまでのエビデンスとしては、やはりちょっと十分ではないんではないかという判断になりました。もちろん一般的に日常診療をやっている限りにおきましては必要性は感じるわけではございますけれども、今回の医療上の必要に関する基準及び薬事法上の承認要件をちょっと満たすまでには至らないものでありまして、むしろこれは保険のほうで個人的には何とかしていただきたい品目だなというふうに思っております。

○堀田座長
 この辺は、ちょっと微妙なところですね。ここは医療上の必要性の判断なので、薬事法上、あるいは公知申請に該当するかという話とはちょっと違うと思います。、その点の整理としては、やはり医療上の必要性としては、ほかの薬があるから、それほど高いとは言えないという判断になるんですか。

○小早川参考人
 そういうことになります。ほかにも薬剤がある中のオプションの中の一つという判断になると思います。

○堀田座長
 事務局では、何かこの辺、特にないですか。

○事務局
 非常に判断は難しいところだと思います。医療上の必要性という意味では、決して要らないと言っているわけでは、大げさに言うとそういうわけではなくて、あくまで薬事法上での承認があってもいいというものも当然あるわけですが、ここで線引きしているところは、各企業への開発要請という、ある意味企業に関しても重い責任を負うというような状況になりますので、ある一定レベル以上の必要性というものについては厳しく精査しなければいけないという状況かと思いまして、そこの線引きのところでワーキングでもかなりいろいろ悩んでいただきながら判断がされているということかと思います。

○堀田座長
 だんだん大詰めになってきて、残ってきたものはそれぞれ評価が難しいものが残ってきているという状況なものですから、いろいろ議論は紛糾する可能性もあります。この場合は医療上の必要性が高いとまでは言えないということで、低いと言っているわけではないので、その辺はご勘案いただければと思います。ユーザー側としては全部なるべく通したいんですけれども、そこは優先順位ということもありますので、ご勘案いただければありがたいと思います。
 そのほか、ご意見よろしいでしょうか。
 それでは、これは今の仕分けの形で、藤原先生がおっしゃるように、それぞれの学会なり団体の要望というのもそれなりの根拠で出しているわけですから、それにこたえられるようにはしていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、その次に精神・神経ワーキングから中林先生、お願いします。

○中林参考人
 ありがとうございます。精神・神経ワーキングの座長をしております中林です。よろしくお願いいたします。
 資料の3-3をご覧ください。今回は、前回の第5回の検討会議からの進捗状況を中心に説明させていただきます。
 まず、要望番号181のテトラヒドロカナビノール、こちら、配布資料の74ページをご覧ください。こちらの医療上の必要性に係る基準への該当性について、精神・神経ワーキングの評価について説明させていただきます。
 要望内容は、がん化学療法時に伴って起こる嘔気、嘔吐症状の改善となっております。精神・神経ワーキングとしましては、がん化学療法時の悪心・嘔吐に対する治療薬は既に本邦で存在すること、それから、欧米の学会の制吐療法のガイドラインに記載されているがん化学療法時の悪心・嘔吐に対する標準的な予防療法において、本剤は標準的な予防療法に含まれていないということ、それから、本剤はまた、全米がん総合ネットワークであるNCCNのガイドラインでは、がん化学療法時の突発性の悪心・嘔吐に使用されている薬剤の一つに挙げられておりますけれども、「カンナビノイド製剤の使用はその安全性プロファイルから制限される」というふうにも記載されております。以上のことを勘案しまして、本剤は欧米の標準的療法に必ずしも位置づけられるとは言えないことから、本邦においては医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続きまして、寄せられた要望品目のうち末梢神経因性疼痛に係る内容についてご説明させていただきます。こちらは配布資料の3-3の87ページ及び95ページをご覧ください。
 まずアミトリプチリンなんですが、こちらについては1品目について2つの要望がありました。要望番号29の歯科治療後神経因性疼痛、それから30.2の神経障害に伴う痛み、しびれとなっております。
 こちらについて、まず精神・神経ワーキングとしましては、欧米において三環系抗うつ薬が末梢神経因性疼痛に使用されているという点は理解しております。しかしながら、本邦において末梢神経障害性疼痛治療薬としては、既にプレガバリンが承認されておりますし、アミトリプチリン、これは第三級アミンについては、安全性等の理由によって欧米においては標準的療法に位置づけられているとまでは言えないと考えました。また、海外の臨床試験のほうから、化学療法後の四肢の痛みに対するアミトリプチンの有効性は十分に確立されているとまでは言えないことから、本剤については2つの要望、要望番号29の歯科治療後神経因性疼痛及び神経障害に伴う痛み、しびれ、要望番号30.2については医療上の必要性が高いとまでは言えないと考えました。
 続きまして、寄せられた要望品目のうち、がん性疼痛に係る内容として要望番号49、それから98、113、それから214についてご説明させていただきます。
 まずイミプラミンの要望番号49、それからクロミプラミン、ノルトリプチリンの3品目について、配布資料100、それから次が要望番号137については116をご覧ください。
 精神・神経ワーキングは、要望のあった三環系抗うつ薬、イミプラミン、クロミプラミン、ノルトリプチリンが欧米においてがん疼痛に使用されている可能性については否定しません。ただ、この欧米4カ国いずれにおいても、要望のあった三環系抗うつ薬については、がん疼痛に対して承認が得られていないこと、それから、がん疼痛に対する治療薬が既に本邦においても存在すること、それから、がん疼痛において、この要望のあった三環系の抗うつ薬の有効性及び安全性については、無作為化比較試験等のプロスペクティブに十分に評価されていないことから、本邦においては医療上の必要性が高いとまでは言えないものと考えました。
 続きまして、抗てんかん薬に分類されますカルバマゼピン、要望番号98になります。こちらは配布資料3-3の106ページをご覧ください。始まるところは103なんですが、評価の部分でご説明していきたいので、106の部分をご覧いただけますでしょうか。
 こちらにつきましては、精神・神経ワーキングとしましては、これも先ほどご説明しました三環系抗うつ薬と同様の判断なんですけれども、欧米においても使用されている可能性については否定しませんが、欧米4カ国においてがん性疼痛に対して承認が得られていないということ、本邦においてはがん性疼痛に対して治療薬が存在すること、また、がん患者のニューロパシックペインに対しては、こちらもカルバマゼピンの有効性及び安全性については無作為化比較試験等でプロスペクティブに検討されていないという、十分に評価されていないということから、カルバマゼピンのがん疼痛に対する有効性及び安全性は十分に確立されていないとまでは言えないと考えております。また、本邦では既に社会保険診療報酬支払基金において欧米と同様に保険償還が認められているということを勘案しますと、現時点ではカルバマゼピンについても医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続きまして、クロミプラミンの要望番号115と116、要望番号115は強迫性障害で、116はパニック障害となります。こちらの評価について説明させていただきます。評価の部分を中心に説明させていただきますので、配布資料の3-3の123、それから要望番号116については128ページをご覧ください。
 精神・神経ワーキングとしましては、本剤が欧米で強迫性障害及びパニック障害について使用されているという点については理解しております。しかしながら、本邦において強迫性障害及びパニック障害に対する治療方法が既に存在していること、それから、欧米においては、2つの強迫性障害やパニック性障害については、三環系抗うつ薬は安全性の点でSSRIやSNRIよりもすぐれているわけではないということが、もう既に報告されておりますこと、それから、2つのこの疾患については、SSRIにクロミプラミンを併用した際の有効性に関してもエビデンスが十分でないということから、現時点においてクロミプラミンの強迫性障害及びパニック障害については、本邦において医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続きまして、要望番号172のダントロレンナトリウム水和物になります。こちら、配布資料の133ページをご覧ください。評価の部分で説明させていただきます。

○中川構成員
 ちょっと、始まりから言ってくださいよ、いきなり行かないで。もっとゆっくりしゃべっていただけませんか。

○中林参考人
 ありがとうございます。
 こちら、要望内容は経口可能製剤での小児への要望ということになります。2つ要望がありまして、経口可能製剤での小児への適応、それから小児製剤への開発ということになります。
 こちらの精神・神経ワーキングとしましては、要望の1であります経口可能製剤での小児への適応につきましては、米国及びドイツにおけるダントロレンの添付文書では小児の用量の記載がある点については理解しております。ただ、欧米で承認されているダントロレン製剤の最小規格が、これは経口製剤で25ミリグラムのカプセルというふうになっておりますけれども、実際に米国及びドイツの添付文書上の小児の用法・用量は0.5ミリグラム、1ミリグラムプロキロ等で記載されております。これを考えますと、実際に0.5ミリグラムプロキロ、それから1ミリグラムプロキロで換算しますと、小児に投与することは現実的に困難であるというふうに考えました。このことから、本剤、このダントロレンカプセル製剤の状態で小児に対して投与することは、必ずしも欧米において標準的療法とはなっていないものと考えました。また、ダントロレンの小児製剤につきましては、本邦において企業側が予備的に処方検討に着手した状況であります。現時点では製剤化の可能性については可否判断できない状況となっております。
 また、要望マル2につきまして、こちらは小児製剤の開発ということになりますけれども、ダントロレンの小児製剤は、欧米4カ国のいずれにおいても承認されていないことから、今回の公募条件を満たしていないものというふうに考えました。しかしながら、厚生科研費の報告書においてダントロレンの小児製剤の医療上の必要性について研究されていることを勘案いたしますと、企業側のほうで引き続き小児製剤の製剤化の可能性について検討することが望ましいと考えております。
 続きまして、要望番号233のバルプロ酸ナトリウムとなります。こちらは139ページをご覧ください。配布資料139をご覧ください。
 こちらについては、経口剤が一時的に使用不能となった場合に使用可能な抗てんかん薬、ジアゼパム坐剤、それから注射薬、フェノバルビタールナトリウム注射液、凍結乾燥製剤、フェニトインNa注射液等が本邦において既に存在していること、欧米で本注射剤とほかの抗けいれん剤の注射剤との比較試験は実施されていないことから、本注射剤の有効性と安全性がほかの療法と比較して明らかにすぐれていることを示すエビデンスがないこと、欧米の教科書においてバルプロ酸が抗てんかん薬の標準療法として位置づけられている点は否定しないものの、欧米におけるバルプロ酸製剤全体における本剤、バルプロ酸の注射剤の使用頻度が低くて、必ずしもバルプロ酸注射剤が欧米において標準的医療法に位置づけられているとまでは言えないことから、本邦においてはバルプロ酸注射剤は医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続きまして、要望番号236のハロペリドールになります。こちらは配布資料3-3の149ページをご覧ください。要望内容はせん妄というふうになっております。
 ワーキングの評価ですが、ハロペリドールがせん妄に対して使用されているという点についても否定しませんが、せん妄の実際の治療の中心といいますのは、このせん妄の原因を同定することと、この原因の除去ということが治療の中心になっている。また、環境を調整するということも治療として行われているということが大きな点であります。米国病院のFormulary Serviceの医薬品情報集でありますAHFS-DIにおいて、せん妄治療におけるハロペリドールの最適用量は確立していないというふうに記載されておりまして、本剤のせん妄に対する用法・用量は欧米においても十分に確立しているとまでは言えないと考えられます。必ずしも欧米において標準的療法に位置づけられるものではないと考えられることから、本邦においても医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続きまして、要望番号268のフルボキサミンマレイン酸塩となります。こちら、配布資料の3-3の153ページをご覧ください。要望内容は、小児におけるうつ病・うつ状態。2つ要望がありまして、1つは小児におけるうつ病・うつ状態となります。2つ目の要望は小児における強迫性障害となります。
 小児におけるうつ病・うつ状態、1つ目の要望ですけれども、これは欧米4カ国において承認及び公的医療保険の適用が確認されませんでした。また、精神・神経ワーキングとしましては、この要望マル2について、欧米の小児における強迫性障害については標準的療法の薬物療法の一つにフルボキサミンが挙げられるという点は理解しておりますけれども、本邦において小児の用法・用量の設定を行うために製造販売後臨床試験が行われましたが、なかなか小児ということで難しい領域だということもありまして、必要とされる症例数を確保することができずに中止されたという経緯があります。この経緯を勘案しまして、新たに小児の用法・用量を設定するための製造販売後臨床試験を行うことは難しいというふうに考えました。
 なお、精神・神経ワーキングとしましては、本邦において実施したフルボキサミンのこの製造販売後の臨床試験の成績等を踏まえて、フルボキサミンの添付文書の「小児等への投与」の項で記載整備を検討する必要があるとも考えております。
 続きまして、要望番号303のメチルフェニデートとなります。こちらは配布資料3-3の159ページをご覧ください。こちらの要望内容は注意欠陥・多動性障害、ADHDというふうになっております。
 当ワーキングとしましては、メチルフェニデートが欧米において標準的療法に位置づけられていることは理解しております。しかしながら、本邦において有効成分が同一のコンサータ、メチルフェニデートの徐放錠ということになりますけれども、こちらが承認されていること、それから、リタリン、メチルフェニデートの速放錠及びコンサータについては、2007年10月17日に実施されました医薬品第一部会においてリタリンの取り扱い・流通管理の審議内容及び審議結果等を踏まえ、適正使用の観点から厳格な流通管理が実施されていることを考慮すると、リタリンの効能・効果を拡大するということについては慎重に検討する必要があると考えました。また、本邦においてADHDの治療薬としてはコンサータだけではなくてアトモキセチンも承認されております。こういった複数の選択が可能となっていることと、それから、コンサータが本邦において承認されてから数年経過しておりますが、ADHD治療におけるコンサータの臨床的位置づけがまだ十分に確立しているというふうにまでは言えないというふうに考えまして、ADHD治療におけるリタリン、この速放錠の臨床的位置づけは今後変更される可能性もありまして、現時点で医療上の必要性に関しては十分なコンセンサスが得られている状況とは言えない。また、本邦においてはリタリンの医療上の必要性については、今後より詳細な情報が得られた段階で判断することが適切であると考えました。
 続きまして、要望番号324のモダフィニルとなります。こちらは配布資料の173ページをご覧ください。当該品目の要望内容は、特発性過眠症です。
 当ワーキングとしましては、モダフィニルは現時点ではフランスにおいて特発性過眠に対して承認されておりますけれども、ワーキング報告書について記載しましたように、欧州の規制当局から2010年7月22日付でプレスリリースが出ております。また、欧米においてもモダフィニルの特発性過眠症に対して有効性及び安全性は確立されていないというふうに考えられていることから、医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続きましてモルヒネ硫酸塩、要望番号の325と要望番号326のモルヒネ塩酸塩水和物について説明いたします。こちらは配布資料の179ページ、それから187ページをご覧ください。
 こちらのモルヒネ製剤の2品目につきまして、要望内容としましては3つあります。神経筋疾患における疼痛時における鎮痛、それから鎮静、神経筋疾患における激しい咳そう発作における鎮咳、これは要望のマル2となります。3つ目の要望としましては、神経筋疾患における激しい呼吸困難の改善となっております。この要望マル2、鎮咳の部分と、それから要望マル3の激しい呼吸困難の改善につきましては、欧米4カ国において承認及び公的医療保険の適用が確認されませんでした。
 したがいまして、187ページをご覧ください。要望番号326のモルヒネ塩酸塩水和物についてご説明します。こちらのワーキングとしましては、326、モルヒネ塩酸塩水和物について、要望番号のマル1につきましては、神経筋疾患における激しい疼痛時における鎮痛及び鎮静につきましては、モルヒネ塩酸塩水和物原末、それから錠剤、それから注射液、現行のモルヒネ製剤の承認されている効能・効果の範囲内というふうに考えております。
 続きまして、要望番号325のモルヒネ塩酸塩について説明します。こちらは配布資料の179ページをご覧ください。当ワーキングとしましては、経口徐放剤の利便性については理解しておりますけれども、現行のモルヒネ製剤の、こちらも承認の効能・効果の範囲内と考えております。また、本剤では類薬のフェンタニル経皮吸収製剤、3日ごとに張り替えが可能なものが、既に中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛ということで承認されておりますことを勘案しますと、医療上の必要性が高いとまでは言えないと考えました。
 続きまして、要望番号355のロラゼパムとなります。こちらにつきましては、配布資料3-3の61ページ及び69ページをご覧ください。
 まず、3つ目の要望であります急性精神病につきましては、欧米4カ国の承認並びに公的医療保険の適用は確認されませんでした。ほかに2つ目の要望にあります不安、抑うつ状態に伴う不安、急性躁病につきましては、海外において本剤が急性不安状態、急性興奮、急性躁病について使用されている点は理解しております。しかしながら、米国、それからフランスにおいて本剤の承認がなく、公的医療保険の適用も確認できませんでした。また、本邦では既にジアゼパムの注射液等が存在しておりまして、ベンゾジアゼピンの注射剤で異なる薬剤を比較した試験もほとんどなくて、ロラゼパムがすぐれているという報告もないことから、現時点では本邦においては医療上の必要性が高いとまでは言えないと考えました。
 続きまして、要望マル1のてんかんの重積状態について説明させていただきます。こちらは配布資料の68ページをご覧ください。まず、こちらについては、医療上の必要性に係る基準については該当するものと考えました。しかしながら、海外で市販されている本剤、ロラゼパムの注射剤は冷蔵保存で12カ月というふうに有効期限が限られておりまして、海外と同様に本剤を広く利用可能とするためには、今後、製剤処方の改良、それから有効期間を考慮した海外と同様の流通システム、医療現場での薬剤管理方法等の構築等について、実現可能性についてさらに検討が必要と考えました。
 続きまして、こちらが最後になりますが、要望番号332のリスペリドンについて説明させていただきます。こちらは配布資料3-3の51ページをご覧ください。
 こちら、難しい問題がありまして、58ページの企業の開発の意思についても同時に見ていただきたいんですが、要望されている内容としましては、自閉症と、それから破壊的行動障害となっております。企業の開発意思の項にも書かれているんですが、なかなか本剤が適切な患者さんに処方されるように、適応症自体、まず疾患概念が十分に本邦においては確立されていないのではないかというふうなことが問題として挙げられております。ですから、医療上の必要性については該当するものというふうに考えましたが、学会にて本邦の医療現場での当該疾患及びその診断についてコンセンサスが必要であるというふうに考えております。さらに、企業側が本邦において自閉症と破壊的行動障害に対してリスペリドンの開発を行うには関連学会等の協力が必要であり、規制当局とも十分に議論を行いながら開発を進める必要があると考えております。
 また、最後になりますが、配布資料の6-2をご覧ください。こちらの6から7ページのところで、欧米4カ国のいずれの国においても承認が確認されなかった品目について、網かけで提示しております。
 精神・神経ワーキングからの報告内容は以上となります。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 なかなか評価が難しいものが残って、医療上の必要性が高いという評価を得るものが少ないのでありますが、何かご意見いただけますでしょうか。

○横谷構成員
 横谷ですけれども、資料の3-3の153ページですが、私、専門外の領域の心身医学のことなんですが、このフルボキサミンマレイン酸塩の必要性についての評価の中で、効能・効果の要望のマル2が強迫性障害に関しての適応症の拡大についてについて述べたいんですが、その必要性について、今、学会で非常に強い要望が書かれており、また、海外での承認状況も英米独仏でそろっている状況があり、かつ企業が開発をしたいという意思があり、そして治験を開始したんだけれども完結できなかったという薬剤なんですが、これに関して必要性が高いかどうかの評価の中で、必要性が高くないという結論になるのはおかしいんじゃないかと思うんですが、必要性が高いけれども、どうやって有効性と安全性を証明できることによって承認できるかという問題は残るんだけれども、必要性が高いかどうかの判断基準の中に、恐らくこれは開発途上での中止ということが必要性を却下したことの理由になっているので、これはこの理由としておかしいんじゃないかと思うんですけれども。

○堀田座長
 先生がおっしゃるのは、純粋に医療上の必要性、医療現場での必要性を評価すべきで、その後のいろいろな条件で開発が難しいということは、その次の問題だというお話ですね。今のことについて、何かワーキンググループのほうからご意見はありますか。

○中林参考人
 ここが非常に悩みました。実際に要望が強い、それから必要性があるということについては理解しているんですけれども、過去に実施された製造販売後の臨床試験が余りにも蓄積が、症例の組み入れができなったというところもあって、ここの判断をどのようにするかというのは非常に迷った点なんですね。これで開発要望というふうにしてしまうと、じゃ、また再度臨床試験をやらなければいけないかという、過去の状況を見てみると、再度要請するというところまではなかなか難しいんじゃないかというところが、やはり実際の過去に行われた試験でそういうふうに考えたというところはありました。

○堀田座長
 今の件で何か。

○横谷構成員
 したがって、違う方法で承認が得られるような考え方での臨床試験の積み重ねができないかという検討を要請するということは可能ではないかと思うんですけれども。

○大塚構成員
 この薬は私たち小児神経学会も関係しております。要望されたのは小児心身医学会ですけれども、私たちの小児神経学会のほうもこういう患者さんをたくさん持っておりまして、ここにもくわしく書いておられて、本当にそうだと思うんですけれども、随分必要性があるので適応外使用されているんですね。だから使っていない患者さんを組み入れるというような治験が難しいというようなこととか、ダブルブラインドの試験のむずかしさなどの問題があって、同じ形の治験というのはもう到底無理だということは聞いております。ですけれども、本当に必要であるということはまた現実にあるので、何らかの形で承認していただきたい。私は最後のところに、ワーキンググループへの判断の157ページのところの「小児等への投与」の項目の記載整備を検討すべきというふうに書いていただいていたので、何かそこをちょっと変えていただいて使えるようになるのかなと淡い期待を持ったんですけれども、小児等への記載を変えるというのはそういう意味ではないんですか。

○中林参考人
 ありがとうございます。ワーキングでそこまで権限がないので、そこまでちょっと完全にお約束というか断言できなかった部分なんですが、やはり何らかの形、もう使われているという実態があったりすると、一般診療でごく一般的に使われているということになると、もう治験が今さら難しいというふうなこともよく分かっていますし、実際にそれで臨床試験もできなかった。そうすると、やはり何とかしてそれは使えるようにする工夫はやはり考えたいというところもありまして、こういった一番上でさせていただいたというところはあります。

○堀田座長
 ありがとうございました。恐らくワーキンググループとしては、最終的に薬事法上の承認を得るかどうかというところで、この検討会の出発点があるものですから、それ以外の対応ということを余り念頭に入れていないということは若干あるんですね。先生がおっしゃるような、医療上の必要性があって、今さら治験でもないというものをどう扱うかということになると、これは保険上でもう実質的に認めていくとか、何かそういうような対応をせざるを得ないかもしれません。

○伊藤構成員
 いいですか。公知申請のほうでやれないんでしょうか。

○横谷構成員
 1ついいですか。公知申請をやれないかの前に、医療上の必要性があるかどうかを認めた上で公知申請でいくか治験でいくかの話なんです。これ、医療上の必要性の中に、それを証明するだけの方法がないからというのは理論の組み立てとしておかしいんですよ。必要性があるかどうかを議論するべきなので、もし必要性があるというのであれば、例えば実績の調査でもいいわけですから、必要性があるかどうかの判断に、この治験ができるかどうかを含めるべきではないと思います。

○堀田座長
 おっしゃるとおりだと思いますよ。医療上の必要性ということになると、開発が難しいとかどうかという、その次のステップを考えないで、一応その段階では評価すると。その次に、じゃ、それが本当にできるのかという議論に持っていくという、そういうことですよね。その辺でどうでしょうか。今のようなご議論がほかにもあり得るかもしれませんが、一度これはワーキングに一回戻していただいてもよろしいでしょうか。どんなものでしょう。

○事務局
 このものを承認ができるかどうかということを検討するに当たっては、必ずしもこの場で医療上の必要性ありに必ず該当するからということをしないと承認申請が進まないかというと、そういうことでも必ずしもないんだというふうに考えます。基本的にこの企業がどういうスタンスで開発を今後やる気があるのか、どういう状況なのかというのは、私、ちょっとその辺の情報は持っていませんので、その辺も含め企業とちょっと一度、今後の話ということでやりとりするということは可能なんじゃないかなというふうに思いますが、ワーキングとしては、恐らくぎりぎりの線で検討は終了しているという考えではないかと思いますので、差し戻すというよりは、ちょっとまた別な方法での考えができないかどうかということは検討はさせてもらうということかなというふうに思うんですけれども。

○堀田座長
 という事務局の判断ですが、いかがでしょうか。
 藤原先生。

○藤原構成員
 事務局の判断に賛成です。ワーキンググループの先生方は、皆さんと同じように普通に診療しながら、わざわざこんな余計な仕事もさせられて苦労しているのに、再検討させるぐらいだったら、我々構成員も臨床医なんだから、自分たちで医師主導治験をやるとかオプションだってあるわけですよね。だから、欲しい、欲しいと言ったって、いつまでたっても薬は来ませんから、小児科の先生方が、それだけ必要であれば企業と交渉して薬を供給してもらって、自分たちで医師主導治験をシングルアームでもいいからやって、ある程度のデータを構築して、それを使って、じゃ公知申請してくださいというのが僕は筋だと思います。そうじゃない、非常に難しい政治的な品目であれば、先ほども要望番号98番で、診療報酬支払基金のほうで判定する、55年通知を利用した適応外使用の保険償還の話がありましたけれども、そちらに投げて、そちらで判断してもらうとかということをこの検討会が言えば良いと思います。私ども、いつもこの検討会は制度設計をする会ではないと言われていますし、公知申請につながるようなことを判断すればいいと言われていますので、それが難しいのであれば、そちらの保険のほうで、じゃ、皆さん方で検討してくださいと言うのが、筋のような気がしますけれども。ワーキンググループにばかり負担をかけてもしょうがない話だと思います。

○堀田座長
 じゃ、落合先生。

○落合構成員
 今の藤原先生の意見なんですけれども、懸念の一つは、やはりこの会議でいろいろと決定されたことが保険償還や何かに影響を与えてしまっては困るんじゃないかと。それが逆に医療上の必要性云々とか、そういう判断が、あるいはもう開発する必要はないだろうというような判断が、逆に保険償還をするに値しない医療上必要性のないものだというような判断になってしまうと逆に困るので、そこのところを、やはりここで示しているいろいろな判断と、それから保険償還という問題について、やはりきちんとした何かの、最後の総括のところで私はよろしいと思いますけれども、ここの判断がそこを縛るものではないというところまで最終的には踏み込まないといけないかなという気がいたします。

○堀田座長
 じゃ、伊藤先生。

○伊藤構成員
 藤原先生の言われるのはもっともかもしれませんけれども、ただ、要するに治験がないから次の段階に移れない。要するに、ここの決定の場合に、治験を要するにしない、できないという話だけになってしまいまして、そういう位置づけをさせられると困ることがあるんじゃないかなというふうには思います。自分たちでやれというのはいいんですけれども、ある程度これはやられた薬なものですから状況も知っておりますし、だから、そういうことで、やはり要するに単なるここに出てきたもので治験がやれないから有用性はないとかいうような結論を言うこと自身は非常に納得しがたいことだと思いますけれども。

○堀田座長
 確かに医療上の必要性という、それだけを取り上げて純粋にという話であれば、先生がおっしゃるとおりだと思いますね。その後のことも勘案して判断するかというところを含めないで、医療上の必要性については、それだけで判断するということでいくのかどうか。ここら辺がポイントだと思いますね。
 中川先生。

○中川構成員
 ちょっと確認なんですが、今の要望番号268ですよね。これ、資料2のどこに該当しますか。

○堀田座長
 これは資料2の3ポツのところの表の2枚目の表ですね。

○中川構成員
 どこですか。

○堀田座長
 資料2でしょう。2の2枚目の3のところの医療上の必要性のところの高くないところに入るんじゃないんですか、検討済みの。

○中川構成員
 高くないというところなんですか。

○堀田座長
 今の仕分けではそうなります。

○中川構成員
 今のご意見を聞いていると、必要性が高いというご意見が圧倒的だと思いましたけれども、違いますか。

○堀田座長
 だから、そこ辺りを……

○中川構成員
 だから、この辺の整理で、事務局の余り明確でない答弁で終わらせたらまずいと思いますよ、はっきりさせないと。後でどうにでもなるような答弁じゃ困りますよ。

○堀田座長
 どうですか。そうすると、この検討会議としては、医療上の必要性は高いと判断をさせていただくということのほうがいいというご意見でしょうか。

○中川構成員
 そう思いますね。

○堀田座長
 皆さん、どうでしょう。
 藤原先生。

○藤原構成員
 そうなると、ほかのやつもたくさん出てくるので、これだけ医療上の必要性が高いというとかわいそうだなと。特に私は緩和ケアのところをいつも言いますけれども、自分たちがいつも患者さんを診ている中で普通に使っている薬を医療上必要でないというふうにここで書かれてしまうと、先ほどの説明だと、薬事法上の申請まではいくエビデンスがないというのは理解できますけれども、先ほど落合先生がおっしゃったように、実際に使ってちゃんと診療しているわけだし、別にそれで適正な医療をしているわけなので、そこのところを救うところが多分たくさんここに残っているわけですね。だから、今、中川先生がおっしゃるように、これ1つだけ高いにしてしまうと、何かほかのやつも高いとしなければいけなくなるというようなところがたくさんありますので、ちょっと構成員の先生方の意見、皆さん、ほかのやつも大丈夫なんですかというのは聞きたくなります。

○事務局
 一応この件については、PMDAもいろいろ企業ともやりとりしながら、いろいろぎりぎりの検討もしてきたという経緯もあるようですので、異例と言えば異例なんですけれども、PMDAの立場からもちょっと意見を言わせていただいて……。

○堀田座長
 それではPMDAの方、お願いします。

○宇山
 それでは、PMDAのほうで精神・神経系の担当をしております宇山といいますけれども、この経緯からお話しさせていただきますと、もともとこの強迫性障害の治験に関しても、PMDAと相談しながら、いろいろルールをつくってやってきたという経緯がございます。実際問題、企業のほうも一応ご努力をいただいて治験を実施したけれども、なかなかやはり進まない。それはいろいろな問題があるんだろうと思います。先ほど大塚先生がおっしゃっていただいたような、実際それなりに使われているというようなことも1つあります。
 ただ、じゃ、これを今ワーキンググループのほうの検討の中で話をして進めてきた中では、医療上の必要性ということについてはある一定の理解があるんですが、じゃ、これを高いと判断して次のステップとして開発要請をするかどうかということを考えたときに、これ、普通に開発要請しても、やはり同じような治験もできない。今、先ほど公知という話がありましたけれども、我々のほうでも公知の妥当性を考えてみましたけれども、この薬については、例えば小児での自殺のリスクといったような問題についても欧米で議論されているという状況の中で、じゃ、どうやって本当に小児の中でのベネフィット、リスクというものを考えていくんだろうか。そこではある程度きちんとしたベネフィットというものも示す必要があるんじゃないか。そうすると、やはりプラスの対照試験というようなものできちんとベネフィットを示していただいて、本邦でも使えるということを考えていく必要がある。
 そうすると、これを要請をして、じゃ、例えばシングルアームの試験を数十例でやっていただいて、それで承認できるかというと、そこにはそこでまた少しハードルがあるというふうに考えております。やはりそこは慎重に審査すべきだというふうに思っていますので、それなりに医療上の必要性があるというふうには考えますけれども、じゃ、これをここの検討会の中で実際に開発要請をして、企業にそれなりの責任を負わせることが本当に妥当なのかということをワーキンググループの先生方にもご議論いただいた結果、ここは確かに先生おっしゃるとおり異例なのかもしれませんが、エという判断をさせていただいて、別のスキームで、藤原先生もおっしゃっていただいたように、これは別に医療上の必要性が低いと判断している品目ではなくて、高いとまでは言えないというか、今の時点で開発要請をするほどの品目には該当しないと、そういう判断をさせていただいたので、開発要請をするにはやはり問題があって、いろいろ考えていかなければいけないので、今回のこの開発要請スキームの中に載せるのはやはり余り適切じゃないんじゃないかというご判断というふうに私は理解していますので、先ほど厚生労働省のほうからもお話がありましたけれども、この品目については、ちょっと別のスキームの形で検討させていただくのが一番適切なのかと思います。

○堀田座長
 というPMDAからのご意見ですが、何かそれについてご意見ございますか。
 恐らくワーキンググループはPMDAと相談しながら、こういう報告書を書いているという状況から考えますと、いったんはこれは報告書を認めていただいて、今、違うスキームでというのはどういうステップでいくのか、ちょっと私もイメージがつきませんけれども、このままではなくていけるような形で進めたいというふうに思いますが、横谷先生。

○横谷構成員
 横谷ですけれども、PMDAの考え方はよく理解しますけれども、しかしながら、通常の薬の開発という考え方からして、非常に高いハードルを最初からPMDAが機構相談の中で設けたことがつまずきの出発になっていて、そのことが最終的に道を閉ざすことになっている。そういうことがあったりすることを含めて、ドラッグラグの問題をこういうところで解決しましょうという一歩がここにあったと思うんですね。だから、これはもしほかの道があるというなら、ほかの道は何なのかということも考えないと、ここを通らないはずと思うんですけれども、この検討会ではそうですねという話には一致できないことなんではないかと思うんですけれども。

○堀田座長
 事務局から。

○事務局
 また検討をいったんさせていただいて、次回のときにまたどういう考え方で進みたいと思いますというようなご報告をさせていただくという形にしないと、ちょっとこの場で結論を得るのははなかなか難しいかなと思いますが。

○堀田座長
 そうですね。この場ではもうこれ以上、議論が煮詰まってしまいますので、もう一回、ちょっと冷静にグループで判断していただきたいと思います。ただ、こういうふうだからといって、あれもこれもと言わないようにしてくださいね。ここは検討会としては冷静に、客観的に、個別の領域の利益だけを代表しているわけではありませんので、よろしくお願いします。

○白幡構成員
 1つだけいいですか。白幡ですけれども、藤原先生の意見にちょっとコメントしたいのは、必要性が高い、その中で例えば欧米4カ国で認可されているだとか、幾つかの条件にのっとって、今までのお話では、これは例えばほかの代替薬があるだとかいう、そういうことでこの優先順位が低いんだという判定をされてきたけれども、この薬に関しては、これに書いてある特記事項がそういうふうなものからちょっと外れているというところが、皆さん非常に疑問に思われているところだと思います。

○堀田座長
 じゃ、中川先生。

○中川構成員
 冷静に申し上げますが、必要性が高いと判断して評価して、その後の工程がどうも難しそうだから必要性が高いとは言いづらいという説明に聞こえたんですよ。そうではないと思いますよ、この検討会は。まず必要性が高いかどうかの分類をして、もし必要であれば、必要性が高いというふうに判断したけれども、その先に進まないという項目があってもいいじゃないですか。じゃ、一体その実態は何なんだと、そういうことが一つの解決の道筋になるんじゃないんですか。そういうふうな柔軟な展開も、事務局、考えてください。

○堀田座長
 真っ当なご意見だと思います。

○事務局
 おっしゃるとおりかと思います。したがって、ちょっと今の先生のご意見を踏まえて、また今後の対応ということをさせていただきたいと思います。

○堀田座長
 ありがとうございます。というわけで、ワーキングとしては大変苦しんでこういう結論を出したんですが、次のステップを余りにも慮って書くとこういうことになるという話かもしれませんので、医療上の必要性という現場のニーズをしっかり受け止めていただいて、その次のステップはまた別に考えることもあると、そういうことでよろしいでしょうか。

○大塚構成員
 ほかのことでもいいですか。

○堀田座長
 このワーキングの中のですか。じゃ、どうぞ。

○大塚構成員
 と言いながら、ちょっと似た話なんですけれども、リスペリドンについてです。リスペリドンは必要性も高くて、欧米において標準的療法に位置づけられているということでご紹介いただいていますが、これも非常に適応外使用の多い、随分使われている薬なので、今後学会等と協力しながら治験というようなときに、先程の薬と同じようなことにまた遭遇するんではないかと思ったりして、危惧するところも多々あります。
 それから、この薬はかなりエビデンスが、対象疾患についての問題もありますけれども、かなり世界中で一定の対象に使われているというようなことで、公知申請ということは全く俎上に乗らないような対象なんでしょうか。

○中林参考人
 ありがとうございます。精神・神経ワーキングよりお答えさせていただきます。
 確かにエビデンスがどの程度蓄積されているかというふうなことも確認しました。やはりそこで公知申請としてできるかどうかというふうなところになる前に、やはり一番問題になったのは、日本の医療関係の中で適切な患者層というか、治療対象がどういった範囲なのかというところが、まず非常に判断するのが難しいというところが、やはりそれ以上に大きな問題であったということもあるんですね。ですから、現場のニーズ、必要性というところはどういうところなのかというところをまず明確にした上で再度、実際にエビデンスの蓄積の程度ですとかを再評価する必要があるのではないかというふうに考えます。

○堀田座長
 よろしいですか。

○大塚構成員
 治療対象として出ております自閉症とDBDですけれども、一応2つの違う疾患ではあるんですが、類似の症状を認めることがあります。治療するときに疾患を治療するというやり方もありますけれども、症状を対象に治療することもあります。非常に破壊的な行動とか、irritabilityとか疾患は違っても同じような症状について使うというような使い方を今も結構適応外使用でされていて、そういう意味で対象として疾患は2つですが、症状に対して使用することを要望したということです。

○堀田座長
 じゃ、何かコメントはありますか。

○中林参考人
 ありがとうございます。症状に対して使用しているということも理解しております。その中で、じゃ、自閉症とDBDというふうにあって、特により優先されるのはどちらなんだろうというふうなことも考えさせていただきまして、やはり個別に判断させていただきました。そうすると、破壊的行動障害というふうなことを考えると、やはりなかなかそこと自閉症の症状との区別というところも難しいということになってくると、本当に必要な群というのはどういう群なんだろうかというふうなところにやはり戻ってしまったというところがあります。ご指摘ありがとうございます。

○堀田座長
 いろいろ議論がありますけれども、次のものもありますので、先に進めさせていただきたいのですがいかがですか。

○中村参考人
 あと、すみません。全然違う薬なんですけれども、すみません、ダントロレン。私の室からも出ていることになっているので、あくまで客観的事実を申し上げさせていただきますと、たくさん評価があった中で早口でしゃべられたので、誤解を招く点があるかなと思って指摘させていただきますけれども、これ、米国とドイツで用量が添付の資料に記載がないことが問題かのようにもとれるご説明でしたけれども、この薬は、もともと増量、減量して効果を見ながら投与する薬ですので、その点については小児ワーキングとして問題があるとは認識していません。
 これの問題は、現場では海外でも剤型変更されていて、薬剤ごとに剤型変更の仕方が決まっていて、小児剤型をつくって投与していると実は把握しておりまして、日本にその剤型がなくて、今回の要望の中で、今回の枠組みに乗らないというだけでして、小児用剤型というものの開発がされるのであれば小児についてのニーズが高いというふうなことで、カプセル剤としての使用は海外でも小児では余りないかもしれないけれども、そこはちょっとご指摘させていただきたいと思います。
 以上です。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 それでは、次に進めたいと思います。どうもありがとうございました。一部また持ち帰りということにはなりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、その次、抗菌・抗炎症ワーキングから金澤先生、お願いいたします。

○金澤参考人
 抗菌・抗炎症ワーキンググループ、2つの分野から成っておりまして、資料の3-4をご覧ください。前回までに検討が完了していなかった品目は、両分野合わせまして12件で、未承認薬が1件と適応外薬が11件です。今回、全て検討を終了しましたので報告します。
 まずは、両分野で医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目は、未承認薬が1、それから適応外薬が6になります。具体的に申しますと、本邦における未承認薬のナフシリンは本邦で導入するという方向です。それからバンコマイシンですが、これも1枚目のところを見ていただければいいんですが、メチシリン耐性のCNSや好中球減少症の発熱に対する効能追加というふうなことで該当すると考えました。それから、ホスカルネットナトリウムは、これはサイトメガロウイルスの感染症の効能追加ということになります。メトロニダゾールに関してはがん性悪臭の軽減、レボフロキサシンは多剤耐性結核の治療効能の追加、インフリキシマブはベーチェット病の特殊型の効能追加、ヒドロキシクロロキンに対するSLE効能追加、これが概要でございます。
 具体的にはポイントだけ絞ってご説明したいと思いますが、まずバンコマイシン塩ですが、7ページから始まっているんですが、備考は10ページになります。13)の備考がワーキングの結論になりますが、好中球減少時の発熱について、本剤の使用に踏み切らなければならないという現状はよく理解できますが、医療上の必要性が高いとする要望書の意見は、ですから支持するものの、原因菌が特定されていない段階で使用となるために、適正使用が行われるように関連学会等でガイドラインの整備が必要だろうというふうに考えております。
 次に、メトロニダゾールのがん性悪臭に関する要望について、資料の3-4の15ページをご覧ください。
 本要望は、メトロニダゾールの錠剤と外用剤について出されておりましたけれども、錠剤については資料の6-2の8ページにも書いてありますように、錠剤については欧米4カ国のいずれにおいても要望内容に対して承認がないことが確認されました。ですから、外用剤、具体的にはゲル剤と軟膏ということになりますけれども、これが医療上の必要性の基準に該当するというふうに考えた次第です。
 続いてインフリキシマブですが、資料の3-4、39ページからご覧ください。
 本剤については、ベーチェット病の特殊病型、特殊型ですね。それ以外にも非感染性難治性網膜ぶどう膜炎の効能追加や、ベーチェット病における難治性網膜ぶどう膜炎の本剤抵抗例に対する増量の要望が出ていましたが、この2つの要望については、欧米4カ国のいずれでも承認もしくは保険適用がされていないということが確認されましたので、ベーチェット病の特殊型の効能追加のみに関して医療上の必要性の基準に該当するというふうに考えたということです。よろしいでしょうか。
 次に、必要性の基準に達していないと考えた品目について5件を申し上げます。
 まず、資料の3-4の23ページ、クロキサシリンについては、メチシリン感受性のブドウ球菌による髄膜炎等の感染症の要望が寄せられたところです。25ページにも記載したとおり、抗菌・抗炎症ワーキンググループは、本件について海外での当該効能での承認はなく、海外の代表的な感染症の教科書にはペニシリン系抗菌薬としての記載はありますが、詳細なエビデンスなどの情報はなく、当該効能に関して推奨される薬剤と位置づけられるのか不明であるということから、本剤における医療上の必要性は高くない、高いとまでは言えないというふうに考えました。
 続いて、27ページをご覧ください。メトロニダゾールですが、咽頭腔の感染、異常口臭、歯周炎への要望が寄せられたところです。25ページにも記載がありましたが、抗菌・抗炎症ワーキンググループは、本要望に対して、本剤の使用を考える前に、まず口腔ケアを行うということが重要であろうという意見が出まして、本剤を使い続けることによって耐性菌が出現したり、本剤が第一選択薬である他疾患への影響を考えると、本邦における医療上の必要性は高いとまでは言えないというふうに考えました。
 次はテイコプラニンです。31ページと35ページからです。それからバンコマイシンについてですが、MRSA感染症として個々の病名が削除という要望が寄せられたところです。34ページと、それから37ページに記載しましたけれども、当ワーキンググループでは、MRSA薬の使用実態として、救命を考えると必ずしも保険適用に準じて選択をしていない場面が多々あるということは理解しますが、現時点で個々の疾患名を削除して包括的に耐性菌の懸念が払拭できるほど適正使用に対する十分な理解は確立されていると判断はできないと考えています。ですから、効能・効果として「MRSA感染症(個々の疾患名を削除)」と疾患についての全く記載のない承認は海外でも行われていないということから、適切でないというふうに判断しました。
 最後に53ページをご覧ください。ヒト免疫グロブリンですが、封入体筋炎の要望が寄せられましたが、57ページ、一番最後のページですね。特記事項として記載しましたが、当ワーキンググループは、本剤について、海外においてプラセボ対照二重盲検試験で有効性が否定されたということから有効性が明確でないということで、本邦における医療上の必要性が高いとまでは言えないというふうに考えました。
 抗菌・抗炎症ワーキンググループからの報告は以上でございます。

○堀田座長
 ただいまの金澤先生のご報告に何かご意見、ご質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 岩田先生。

○岩田構成員
 岩田ですけれども、テイコプラニンとバンコマイシンの効能・効果を「MRSA感染症(個々の疾患名を削除)」とするという要望は日本感染症学会から出されたものです。抗MRSA薬もいろいろありますが、それぞれ治験が行われたバックグラウンド等によって適用疾患がばらばらなんですね。それをなくしてMRSA感染症でくくってしまったらどうかというようなことで要望が出されたのですが、確かにワーキンググループのご意見のとおり、海外でもそのような記載はなく分かりにくいというようなところはあるかと思うのですが、それでしたら、例えばもう少し体内動態等を勘案しながら、適応疾患名を少しそろえるとか、そういうような整理も必要になってくるのではないかと考えます。その辺はワーキンググループのお仕事ではなくて、事務局のほうでどういうふうにお考えになるかということだと思いますけれども。

○堀田座長
 今の点、どうでしょうか。要するに、個々の適応病名を外していまうというのはちょっと乱暴過ぎるかも知れないけれども、適応疾患にもっと整合性をつけてほしいという、そういうことですね。いかがでしょうか。

○成田審査管理課長
 また抗菌薬全体の話にも関わるんですけれども、抗菌薬の臨床評価のガイドラインも今、改定のパブコメもさせていただいているところでありますし、そういうことを含めて、数年前に禁止とかそういうものを統一したこともございますし、いつまでというのはちょっとなかなか今ここでは申し上げられませんけれども、そういうことも検討させていただきたいと思います。それから、1つは開発の意思がありという企業のほうもございますので、そこら辺は個別にまた当たらせていただきたいと思います。

○金澤参考人
 私個人の意見で申し上げたいと思うんですけれども、やはりMRSAにしても定着と感染の問題というのが全く解決されていない現状ですので、幅広く網を打って、MRSA感染症は全ていいですよというふうなことにしますと、やはり問題がある。ただ、今おっしゃられたように、薬剤によって適応疾患が異なると、これは非常にまずいことなので、その辺りは事務局のほうに整理を進めていただきたいというふうに考えております。

○堀田座長
 ありがとうございます。病院によっては非常に管理がきちんとして、ICTが薬剤の使用も管理しているところはいいんでしょうけれども、そうでないところで全部外しちゃうというのはちょっと問題があるとは思いますね。今のような形で進めたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、その次に坑がんワーキングのほうで安藤先生、お願いします。

○安藤参考人
 坑がんワーキング、よろしくお願いします。
 配布資料の3-5をご覧ください。今回は医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目が2品目で、該当しないと考えられた品目が1品目であります。
 最初に、医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目で、1ページをご覧ください。ノギテカン塩酸塩、再発・進行子宮頸がんに対する効能の要望が出されております。
 4ページの「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関するワーキンググループの評価というところをご覧ください。適応疾患の重篤性は、生命に重大な影響がある疾患で、医療上の必要性についても、欧米において標準的療法に位置づけられているというふうに判断いたしました。この理由につきましては、2ページのところに書いてありますように、再発子宮頸がんに対してシスプラチンと本剤の併用と、それからシスプラチン単剤の比較試験がありまして、それによって有用性が示されております。ですので、今回の要望に関しても、子宮頸がんに対してはシスプラチンとの併用化で有効性が認められているというふうに判断しております。
 次の5ページ目をご覧ください。5ページ目はパクリタキセルの子宮頸がんに対しての効能・効果の要望でございます。
 これも7ページの医療上の該当性に関するワーキンググループの評価をご覧ください。ここのところで、生命に重大な影響がある疾患ということと、それから欧米においても標準的治療に位置づけられております。これに関しても、6ページにありますように、海外の第?V相の比較試験で有効性が検証されておりまして、国内においてもこの有効性についてのエビデンスは構築中でございます。
 8ページのところに海外の臨床試験の結果から子宮頸がんに対して有効性が示されているのは、シスプラチンとの併用で、それでなおかつ本剤が24時間持続点滴療法での有効性が認められているというふうに考えております。
 次のページをめくっていただいて、9ページで、医療上の必要性に係る基準に該当しないというふうに評価した薬剤であります。ダカルバジン、9ページをご覧ください。カルチノイド腫瘍と内分泌がんに対する効能・効果がある。
 これも11ページのワーキンググループの評価ですね。生命に重大な影響がある疾患ではあるんですが、この医療上の有用性に関しては、上記の基準に該当しないエというふうに判断しました。この理由に関して特記事項に書いていますように、海外においても承認が得られている、この要望のカルチノイド腫瘍とか内分泌がんに対して適応を有している国はありませんで、アメリカでも公的保険で限られた対象のみにしか保険が適用されていません。それから、今まで行われた臨床試験のエビデンス量も非常に低いものでありまして、それから、なおかつ有効性も、今までの臨床試験結果から非常に有効というふうに判断できないということ、それからもう一つは、海外で用いられている用量というのが国内よりも2倍高い用量で用いられているということも踏まえまして、エの上記の基準に該当しないというふうに判断しました。
 以上であります。

○堀田座長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまのワーキンググループの報告について、何かご意見。
 吉村先生。

○吉村構成員
 1ついいでしょうか。吉村ですけれども、その2つ目の品目で、欧米において標準的療法に位置づけられていたり、それから海外の臨床試験から有効性が認められているにもかかわらず、6ページの海外での承認状況は一つもないというのは、これはなぜなんでしょうか。

○安藤参考人
 承認はなくても保険償還はされているという……。ですから、効能・効果の承認は持っていないけれども、保険償還されているということ。

○堀田座長
 坑がん領域ではたくさんあるんですよね、そういうの。要するに適応外使用が認められているということ。保険上ですね。

○吉村構成員
 そういうものに対して、日本だけは承認が必要ということなんでしょうか。

○堀田座長
 そういうことです。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは小児のワーキングのほうへ行きましょう。中村先生、お願いします。

○中村参考人
 資料3-7、「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関する報告でございます。前回までに検討が完了していない品目4品目につきまして、医療上の必要性に係る基準に該当すると判断いたしました。
 まず、シプロフロキサシンは1ページですけれども、β-ラクタム系無効の小児重症感染症、尿路感染症及び膿疱性繊維症、それからパラシクロビル、これは5ページですが、単純疱疹、その他についてでございます。それからパリビズマブ、これが11ページでございますが、これも、ちょっとここに長く書いてありますけれども、24カ月齢以下の重度の免疫不全におけるRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制の効能追加、それからインフリキシマブは15ページでございますが、重症川崎病の効能追加、以上4点でございます。
 続きまして、資料4-4に参ります。リュープロレリン酢酸塩の公知申請の該当性に係る報告書でございます。日本内分泌学会及び日本小児内分泌学会から、中枢性思春期早発症の適応症に対して、既承認の用法・用量では、通常4週に1回、リュープロレリン酢酸塩として30μg/kgを皮下に投与する。なお、症状に応じて90μg/kgまで増量できるとなっておりますが、その最大用量を180μg/kgに変更するという要望が提出されております。
 今回、公知申請の該当性についての検討でございますが、18ページにあります下のほう、(3)要望内容に係る公知申請の妥当性以下についてご覧ください。リュープロレリン酢酸塩の欧州での承認用法・用量は、体重10から50キログラムとして換算すると75から188μg/kgとなり、今回の要望の用量である最大180マイキログラムパーキログラムを4週ごとに皮下投与する用量と同程度の投与量となります。また、筋肉内投与ではありますが、米国の承認用法・用量は、体重を10から50キログラムとして換算しますと300から750μg/kgでして、また、Nelson小児科学等の標準的教科書にも記載されていることから、欧米の臨床用量における有効性及び安全性は確立されていると考えました。
 それから、12ページの下からですかね、日本成長科学雑誌、主に13ページになりますけれども、日本人における有効性の総合評価、これは国内臨床使用実績についての評価ですけれども、治療終了例の平均最大投与量が94.3μg/kgで、40%以上の症例では90μg/kgを超えております。また、増量により90μg/kgを超えた症例のほとんどが180μg/kg以下の用量でLH値の低下と骨年齢の進行抑制が認められて、十分な抑制効果を示しておりました。
 安全性については、90μg/kgを超えても大きな問題はなく、それ以下、90μg/kg以下の用量で実施した国内臨床試験の成績と比べて安全性に大きな差はないと考えております。
 以上より、小児ワーキングとしましては、中枢性思春期早発症に対するリュープロレリン酢酸塩の増量の上限を180μg/kgとすることは、医学薬学上公知に該当すると判断いたしました。
 以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの小児ワーキングのご報告についてご意見をいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。特に問題ないですか。
 横谷先生。

○横谷構成員
 横谷です。
 ちょっと、最初のシプロフロキサシンのことなんですけれども、それに関わることで、ニューキノロンに分類される薬剤は、全部恐らく幼弱の犬の骨端線の問題で全部禁忌に書かれているんですね。それとの関係で、これを通すということは、ほかの薬剤についての記載に影響を与えないか。影響を与えてほしいと思っているんですが、禁忌とまで言えないということがあって、この先に一歩進むんじゃないかと思うんですが、そのことについてはどのように考えていらっしゃいますか。

○堀田座長
 ただいまの点、中村先生、もしくは事務局のほうでのコメントは。

○中村参考人
 事務局マターかと思いますが。

○堀田座長
 どうですか。ほかの薬剤には禁忌と書いてあるといとうことです。
 じゃ、岩田先生に、その間にコメントしていただきます。

○岩田構成員
 ニューキノロン、フロオロキノロンが全部小児に対して禁忌というわけではなくて、承認されたものもございます。幼若動物に対する関節毒性に関しては薬剤によって随分幅がありまして、小児に対して使われるものに関しては、その中では比較的そういった関節毒性の少ないものがスクリーニングされて使われているというふうに認識しております。トスフロキサシンとノルフロキサシンが一応日本では承認されておりますし、レボフロキサシンも承認はされていませんけれども、欧米ではかなり小児に使用したデータは発表されています。このシプロフロキサシンの注射剤に関しましては、注射薬では唯一これが海外でも承認されているのですけれども、かなり限定的な使用ということになりますので、関節毒性等の問題に関しましてはもちろん絶対大丈夫かというと、そこまでのデータはなかなかないかも分かりません。ただ、一応欧米で承認されているということでご理解いただければと思います。ほかの小児適応が承認されていない薬剤に関しては、承認されていないということで使えない状況にはあると理解しております。

○堀田座長
 小児の領域では、ニューキノロン製剤以外にも一応適応の品目があるという状況ではあるようですね。よろしいですか、横谷先生。ありがとうございました。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。大分時間も迫ってきてしまいまして、今日やるべきことがまだ残っていいます。、各ワーキングのご報告については、一部持ち帰りもありましたけれども、ご了解いただいたものというふうに思います。
 続きまして、医療上の必要性が高いとされた品目に係ります専門作業班、いわゆるワーキングの検討状況について、事務局からご説明いただきます。

○事務局
 資料5から資料6-4まで、残りの資料につきまして事務局のほうから一括でご報告させていただきます。時間もちょっと押しておりますことから、ポイントのみご報告させていただきます。
 資料5については、これまでに医療上の必要性が高いとされ、開発要請等をされた品目のまとめの表となっております。今回、報告書が取りまとめられたもの等リバイスされております。38ページをご覧ください。こちらの要望番号318、日本未熟児新生児学会から要望のあったメナテトレノンの新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対する予防ということで要望がありましたけれども、こちらについては小児ワーキングのほうからの報告で、要望された用法・用量というものは生後3カ月までの投与となっておりましたけれども、現在広く行われているものは生後1カ月までの投与ということでありまして、3カ月までの投与についてはエビデンスが得られていない。生後1カ月以降も投与を継続することについての有用性を否定するものではないため、学会等におきまして生後3カ月の適切な投与法について継続して検討すべきとされております。
 それから、資料の6のほうに行きますけれども、6-1については、先ほど冒頭に事務局のほうから説明させていただきました、医療上の必要性の検討がまだ行われているものです。
 それから、資料6-2、こちらは海外の承認、あるいは公的保険医療制度の適用が確認されなかった品目、一部リバイスをされております。
 それから、6-3が新たに承認をされた品目がもう一つ追加をされております。
 資料6-4でございますけれども、こちら、海外の公的医療保険制度の適用につきまして以前よりご意見をいただいておりまして、米国におけるがん化学療法に関して、下記の4つのCompendiumに記載されている適応外使用については、公的保険適用がなされているという情報をいただいておりまして、こちらを踏まえまして、過去に一度保険適用なしと報告させていただいた品目について再度記載を調査いたしました。現在、下記6件について記載が確認をされたということでありまして、こちらについては再度医療上の必要性の評価を進めさせていただきます。
 以上です。

○堀田座長
 ただいまの事務局の説明について、何かご意見ございますでしょうか。資料5はかなり分厚い資料であり、ポイントのところを述べていただきましたが、よろしいでしょうか。
 特になければ、これをご承認いただいたということでいきたいと思います。
 それでは、その次に、議題の3になりますか。企業から提出された開発工程表についてということで、事務局からご説明をお願いします。

○佐藤治験推進室長
 研究開発振興課のほうから、企業から提出されました開発工程表についてご説明を申し上げます。
 企業から要請を受けました品目につきまして、定期的にこの会議において開発状況の確認をいただくということでございます。本日、前回の会議以降追加等のあったものにつきまして具体的にご説明を申し上げます。
 資料7-2をご覧くださいませ。資料7-2の4ページでございますが、前回の会議以降、実際に製造販売承認がなされたものが3品目、これが新たに発生したものでございます。これにつきましては、要請を受けた未承認薬等の開発を適切に行ったということで評価をさせていただければと思います。
 続きまして、5ページ、6ページが既に承認申請済みのものでございますが、追加がございませんので飛ばさせていただきます。
 7ページ以降でございますが、既に治験計画届が提出済みのものでございます。これにつきましては9ページをご覧いただけますでしょうか。9ページに要望番号180番、フェリング・ファーマのほうからデスモプレシン酢酸塩の経口剤、これが実際に治験計画届が出ております。この1件が追加でございます。
 それから、10ページでございますが、10ページは半年以内に公知申請をするというものでございますが、ここは追加等ございません。
 続きまして11ページでございます。1年以内に治験計画届を提出するものでございます。この中で要望番号が142番、マイラン製薬のシステアミンでございましたが、これが公知申請の時期が、もともと前回の会議では2010年12月を予定ということでございましたが、諸般の事情によりまして2011年3月に治験計画届提出の時期が動いてございます。1年以内に出るということでございますので、ここにつきましては適切な開発計画がなされたというふうに考えてございます。
 それから、13ページでございます。要請後半年以降に公知申請をするものということでございまして、先ほど公知申請に該当するとご判断をいただきました、この13ページの網かけ60番、それから304番、342番が2件、343番、これが追加になってございます。それぞれ公知申請の時期が本年の12月を予定しているという状況でございます。
 それから、15ページにつきましては、その他の案件で個別評価を必要とするものでございますが、今回追加がございません。
 それから、本日先生方には15-2という形でとじ込み、傍聴の方々につきましては別途配布をしてございますが、公知申請を予定していたけれどもワーキングの結論により臨床試験の実施が必要とされたもの、これは今回ございません。
 それから、16ページ、17ページでございますが、ワーキングの検討中ということで評価の保留をしたいというものがございます。これは1件、17ページに今、この前にご報告を申し上げました318番、サンノーバ、メナテトレノンにつきましては、ワーキングでの検討ということで、こちらは判断の保留をさせていただければと思います。
 これが資料7-2でございます。
 続いて、資料8のほうをご覧いただけますでしょうか。
 医療上の必要性が高いということでご判断をいただいたものの、日本で開発企業がないということから公募を行っている品目の状況でございます。なお、前回、この8の3つ目の丸のところに書いてございますが、デキサメタゾン、これは4ミリグラム以上の剤型追加でございますが、これにつきましては、開発企業の要請先がこれまでなしとされておりましたけれども、整理をし直しまして、この0.5ミリグラム錠の承認を有しますMSD株式会社、それから別項の多発性骨髄腫の4ミリグラム錠の承認を有しますセルジーンのほうに開発要請を行いましたので、こちらのリストから削除をさせていただいております。
 そのほかの動きにつきましてはございません。前回は18品目の公募ということでございましたが、1品目、デキサメタゾンが減りましたので17というふうになりました。
 以上でございます。

○堀田座長
 ただいまの事務局からの説明に、何かご意見ございますでしょうか。
 中村先生。

○中村参考人
 ちょっと参考人の立場であれなんですけれども、開発企業の募集を行って、これから治験が計画されているものの中で、企業が無償提供しているような症例についてのみ治験を計画しているけれども、実は個人輸入を研究費等でされている先生で、結構症例が集まっているんだけれども、治験の話が来ないんだけれども、どうしたらいいんでしょう、もう研究費も尽きそうだという話も漏れ聞くことがありまして、ちょっと品目名を申し上げると支障があるので申し上げませんけれども、症例がきちんと集まっている施設で、きちんと今、個人輸入して使っている患者さんではきちんと評価できるような形で企業にしっかり検討いただきたいなと思います。実際に使えなくなりそうな患者さんがいそうだという話も聞きました。

○堀田座長
 使えなさそうというのは、治験になるとかえって個人輸入では使えなくなると、そういう意味ですか。

○中村参考人
 治験になる場合に、無償提供されている患者さんだけ治験をしますと企業側が言いますと、先生方が何とか研究費を工面して輸入して投与している症例では研究費が尽きてしまった段階で投与できなくなるもので、そういったところで患者さんが集まっているところは、やはり企業側にもちゃんと配慮いただきたいというふうに思います。

○佐藤治験推進室長
 企業側も、まだ企業名が未公表というところもございますし、公表しているところもございます。現在、企業側が開発についていろいろと計画しているところでございますので、まさにそのような情報、例えばどういうところで現在臨床研究などが行われているとか、そういうことがありますと企業のほうも開発の方向性が立てやすいと思いますので、ぜひとも後ほど具体的な情報についてお寄せいただければと思います。

○堀田座長
 企業としても、どこでそういう貴重なというか、希少な患者さんが集まっていられるかという情報があったほうがいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 それでは、本日予定しましたその他のことは何かございますでしょうか。もう時間が余りありませんけれども、議題3を終わりますので、何か事務局から伝達事項がございましたらよろしくお願いします。

○事務局
 それでは、今日はどうもありがとうございました。5月に国が企業への開発要請の第1回目を行ったわけですが、今回、その後、医療上の必要性を検討していたものについて、今回、ご了解いただいたものを含め74件ということで、ご了解いただいているということかと思います。その他、医療上の必要性が高くないという評価をしたものの、そこはもう少し検討したほうがいいというものもありますので、そこは引き続き宿題としてやらせていただきますが、この74件については、基本的には企業への開発要請を前提とした形での手続というのを進めさせていただく。年内に開発要請という形をとるべく進めさせていただくということになろうかと思います。あと4件、前回の2件保留だったものと、今回新たに2件加わりました公知申請の手続についても、これまでどおり月末にある医薬品部会に事前評価をかけて手続を進めるということになろうかと思います。
 次回については、また改めて日程調整をさせていただきたいと思いますが、少なくとも来年の開催になるんではないかというふうに現時点では思っています。
 以上でございます。

○堀田座長
 ありがとうございました。皆様のご協力で、この大変な検討会をここまでこぎ着けてきて、あと一歩というところにまで参りました。どうもありがとうございました。また次回よろしくお願いいたします。


<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬食品局審査管理課

03-5253-1111(内線 4163、4221)

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