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2010年8月30日 平成22年8月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年8月30日(月)16:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名):五十音順 敬省略

 庵 原 俊 昭、 岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 清 水 秀 行、

 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 土 屋 友 房、 濱 口   功、

 山 添   康、◎吉 田 茂 昭

(注)◎部会長 ○部会長代理

 他参考人1名

欠席委員(3名):五十音順 敬省略

 新 井 洋 由、 鈴 木 邦 彦、○堀 内 龍 也

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 予定の時刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」
を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、御参集いただきありがとうございます。
 本日の委員の出席の状況は、新井委員、鈴木委員、堀内部会長代理より欠席との御連絡
をいただいております。現在のところ、当部会委員数17名のうち14名の委員に御出席い
ただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。
 又、本日「その他」の事項に関して、独立行政法人国立がん研究センター中央病院の安
藤先生を参考人としてお呼びしております。後ほど、お出でになられる予定です。
 事務局の異動について御報告させていただきます。大臣官房審議官に平山が着任してお
りますので、一言御挨拶をさせていただきます。
○審議官 平山です。PMDAの頃からこの部会は慣れ親しんでいました。また、よろし
くお願いします。
○審査管理課長 安全対策課長に俵木が着任しております。
○安全対策課長 俵木です。よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 医薬品医療機器総合機構の安全管理監に森が着任しております。
○安全管理監 安全管理監の森です。よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 上席審議役に三宅が着任しております。
○上席審議役 三宅です。よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 新薬審査第四部長に山田が着任しております。
○審査第四部長 山田です。よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 安全第二部長に依田が着任しております。
○安全第二部長 依田です。よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 審査マネジメント部長に磯部が着任しております。
○審査マネジメント部長 磯部です。よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 吉田部会長、進行をよろしくお願いいたします。
 カメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。報道関係者の皆様、よろしくお願いい
たします。
○吉田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関
する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日席上に議事次第、座席表、当部会委員
の名簿を配付しております。
 議事次第に記載されている資料1~5は、あらかじめお送りしています。このほか資料
7「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及
び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料8「クラビット点滴静注
バック500mg/100mL、クラビット点滴静注500mg/20mL専門委員リスト」、資料9「競合
品目・競合企業リスト」を配付しております。
 当日配付資料として、資料5-2「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に
おける検討状況について」、資料6「承認条件等に係る審査報告書」、資料10「医薬品
第一部会及び医薬品第二部会の所掌の見直しについて」を配付しております。
 本日の審議事項に関する資料9「競合品目・競合企業リスト」について御報告いたしま
す。
 各品目の競合品目選定理由についてですが、資料9を御覧下さい。まず、1ページ目を
御覧下さい。「クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL他」とございますが、本品目はニ
ューキノロン系注射用抗菌剤であり、本邦にて承認されているニューキノロン系注射用抗
菌剤として、資料に掲げる三品目を競合品目として選定しております。
 次のページは、「トレアキシン静注用100mg」でございます。本品目は、再発又は、難
治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又は、マントル細胞リンパ腫を効能・効果と
しており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる三品目を競合品目として
選定しております。
 次のページを御覧下さい。「ラピアクタ点滴用バッグ300mg他」です。本品目は、A型
又はB型インフルエンザウイルス感染症を効能・効果としており、この効能・効果を有し、
小児に対する適応を有する薬剤につきまして、資料に掲げる三品目を競合品目として選定
しております。以上でございます。
○吉田部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明について、特段の御
意見等々はございますか。特に無いようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・
競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。
 各委員からの申出状況について、御報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況について御報告をいたします。議題1「医薬品クラビッ
ト点滴静注500mg/100mL他」ですが退室委員は、岡委員、守殿委員、議決に参加しない委
員は、前崎委員、山添委員でございます。
 議題2「トレアキシン点滴静注用100mg」ですが退室委員は、竹内委員、議決に参加し
ない委員は、いらっしゃいません。
 議題3「ラピアクタ点滴用バック300mg他」ですが退室委員は、いらっしゃいません。
議決に参加しない委員は竹内委員、前崎委員、山添委員でございます。
 なお、本日の審議事項の議題3「ラピアクタ点滴用バッグ300mg他」と報告事項の議題
1「医療用医薬品の承認条件の解除について」のラピアクタについては関連するものであ
りますので、審議と併せて御報告したいと考えております。よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 本日は審議事項3議題、報告事項1議題、その他の事項が1議題となって
おります。
 それでは、議題1に入ります。岡委員、守殿委員におかれましては、議題1の審議の間、
別室で御待機していただきます。よろしくお願いいたします。
── 岡委員・守殿委員退室 ──
○吉田部会長 議題1について、機構からの概要説明をお願いいたします。
○機構 議題1、資料1「医薬品クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL及び同点滴静注
500mg/20mLの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、
再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構よ
り説明申し上げます。
 レボフロキサシンは、第一製薬株式会社、現第一三共株式会社が創製したフルオロキノ
ロン系抗菌薬です。本邦では、1993年10月に経口剤が承認されており、2000年には腸チ
フス、パラチフス、2002年に炭疽等の適応、2006年にレジオネラ属の効能・効果が追加
されております。2009年4月には経口剤において500mg1日1回の用法・用量が承認され
ております。
 欧米ではクラビットの注射剤の開発は経口剤の開発と同時に進められており、1996年
の米国での承認取得をはじめとし、欧州各国において500mg1日1回の用法・用量を中心
として、2010年3月現在までに経口剤として123か国、注射剤として120か国の国又は、
地域で承認されております。
 一方、本邦では注射剤の開発は、19□年から開始されましたが、第I相試験で経口剤で
は認められなかった軽度の頭重感が低用量から認められたこと又、19□年当時に国内では
フルオロキノロン系薬であるシプロフロキサシン注射剤の開発がショックの発現により
中断されており、注射用フルオロキノロン系抗菌薬の安全性に懸念が抱かれていたこと等
を踏まえ、申請者は海外で集積される注射剤の安全情報を見極める為、開発を中断したと
述べております。
 その後、海外において製造販売後の安全性情報が十分収集されたこと又、国内において
注射用フルオロキノロン系薬に対する医療ニーズが高いと考えられたこと等の理由から、
20□年□月から本邦での注射剤の開発が再開されました。今般、実施した国内臨床試験の
成績及び国内外のレボフロキサシン経口剤の試験成績又は海外での注射剤の試験成績な
どを用いて承認申請がなされております。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料8にありますとおり8
名の委員を指名し、御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきま
す。有効性については、審査報告書77ページ中段に記載しておりますように、既承認の
経口剤500mg1日1回と本剤の薬物動態パラメータを比較した結果、Cmaxは点滴静注時
にやや高値を示すもののAUCは、ほぼ同程度であったことから、薬物動態の観点からは、
経口剤と同程度の有効性が期待できると考えられること又、市中肺炎については国内第
III相比較試験において、対照薬であるセフトリアキソンに対する非劣性が検証されたこ
と又、国内第II/III相試験において、市中肺炎に対する有効率は95.9%であったことな
どから、有効性は期待できると考えられました。慢性呼吸器病変の二次感染については、
国内第II/III相試験において本剤の有効率は、94.3%であったことから、こちらについ
ても有効性は期待できると考えております。以上を踏まえると、肺炎、慢性呼吸器病変の
二次感染に対する本剤の有効性は確認できたと判断いたしました。
 又、今回臨床試験が実施されなかった腸チフス、パラチフス、炭疽、ブルセラ症、ペス
ト、野兎病及びQ熱については、これらの疾患が稀であり臨床試験での検討が困難である
こと、本剤と同程度の曝露が期待できる経口剤の適応症に既に含まれていることなどか
ら、本剤の適応に含めても差し支えないと判断いたしました。
 安全性については、実施された臨床試験の安全性情報をもとに、経口剤と本剤の安全性
を比較検討いたしました。その結果、特段の大きな問題はないものと判断しております。
 ただ注射部位反応の発現については、審査報告書60~62ページの前段に記載していま
すとおり、国内III第相比較試験において、セフトリアキソン群に比べ本剤で発現率が高
かったものの発現した事象の多くは、重症度としては軽度でありました。ただし、回復に
時間を要した事象であったり、処置を必要とした事象であったり、治験中止に至った事象
であったり、そういう事象が認められておりますので、注射部位反応を含め、本剤の安全
性については十分注意し、製造販売後に情報収集をする必要があると判断しております。
 又、臨床試験において、本剤と因果関係が否定できない間質性肺炎による死亡例及び、
重篤な有害事象発現例が認められておりますので、製造販売後調査において引き続きそち
らの情報についても収集し、得られた情報を速かに臨床現場へ提供する必要があると判断
しております。
 機構は、以上のような審査を行った結果、本剤の有効性は認められ、安全性は忍容可能
と判断いたしました。したがって、審査報告書の3ページの効能・効果、用法・用量にて
承認して差し支えないと判断いたしました。
 本剤は、再審査期間については6年と設定すること、原体及び製剤はいずれも毒薬及び
劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断して
おります。
 薬事分科会では報告を予定しております。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いい
たします。
○前崎委員 適応菌種についてお聞きしたいのですが、ペニシリン耐性肺炎球菌につい
て、今回は適応菌種としてはみなしていないと書いていますが、CDCの新しい基準によ
り、確かにペニシリン耐性肺炎球菌に該当するような菌種は分類されていませんが、以前
承認された薬剤に関しては、旧基準でペニシリン耐性肺炎球菌に対して適応症があるとい
う様なものもあり、実際にこのレボフロキサシンも恐らく臨床の場では、ペニシリン耐性
肺炎球菌にもある程度効果は期待できると思うのですが、その辺のペニシリン耐性肺炎球
菌に対する適応症が、旧基準と新基準で少々違って、現場で少し誤解しないかについてを
どのように説明すると言いますか、どのように判断すれば良いかということをお聞きした
いのです。
○機構 機構よりお答えします。ペニシリン耐性肺炎球菌を適応とするかどうかについて
は、こちらでもかなりいろいろと議論させていただきました。今までの審査ですと、この
ような耐性菌を適応菌種にあえて記載するという場合には、臨床試験の中でその耐性菌の
有効性を検討するとうたった試験の成績が必要だと考えております。
 今回、国内ではペニシリン耐性肺炎球菌の適応を取得する為に、そのような検討を目的
とした試験が実施されず、米国一般臨床試験では、かなり古い19□年代の試験ですが、
その試験も計画されて実施されていたのですが、従来の古い基準であってもPRSPにつ
いては、当初の15例という目標から5例しか集まらなかったことから、検証試験として
旧基準であっても新基準であっても、きちんと有効性を確認することを目的として実施し
た試験が無いと判断いたしました。
 少し旧基準と新基準のところはあるのですが、従来の考え方に基づいて、今回は適応菌
種にあえて記載せず、「感性の」という表現に含めることで適切であろうと判断いたしま
した。
○前崎委員 もう一点、緑膿菌についてお聞きしたいのです。臨床試験は主に市中肺炎や
慢性気道感染症が対象になっておりますが、実際にこれは上市されますと、恐らく現場で
は院内肺炎の治療薬としてかなり使われると思います。そうしますと、院内肺炎は、やは
り緑膿菌を中心としたグラム陰性桿菌が主になってくるので、この緑膿菌に関して確かに
経口剤は適応菌種になっていますが、経口剤はそのような院内感染に使うことはないの
で、そのまま経口剤の適応菌種をここに持って来て良いかと。実際には、市中肺炎とか慢
性気道感染症では余り緑膿菌は集まっていませんし、しかも緑膿菌の除去率は余り良くな
いというような状況で、同じように経口薬と同じ適応菌種でも構わないかどうかについて
少しお聞きしたいのです。
○機構 緑膿菌についてですが、今回の審査の大きな方向性として、経口剤と本剤の曝露
量がほぼ等しい、薬物動態がほぼ近しい動態を示していることで、薬物動態の観点から経
口剤が適応をもっている適応菌種については、本剤についても有効性が期待できるのでは
ないかという前提に立っております。
 今回実施した臨床試験については、おっしゃるとおり市中肺炎を対象とした試験と慢性
呼吸器の二次病変を対象とした試験しか実施されていないのですが、その試験の成績と類
薬、審査報告書54ページ等に書いてありますが、他の抗菌薬、緑膿菌の適応を持ってい
る抗菌薬での臨床的な菌消失率とか、有効性等も比較した結果、ほぼ同程度の有効性が得
られていることから、もちろんデータは無いのですが、少なくとも緑膿菌は院内肺炎につ
いて肺炎として、適応として認めても良いのではないかと判断いたしました。
○吉田部会長 前崎先生の御質問は、使われ方を考慮してみてはどうかという内容であっ
たと思いますが。使われ方は、特に考慮しないという返事で良いのですか。あるいは考慮
するのであれば、そのような目的で使わない方が好ましいということも少しはあっても良
いと思うのですが。
○機構 そうですね。一方海外の方では院内肺炎についても適応が認められているという
背景もございますので、その辺も含めまして申請者の方には適切に情報提供するように指
示したいと思います。
○吉田部会長 よろしいですか。
○前崎委員 恐らく院内肺炎の場合は、緑膿菌の感受性も悪くなってきていると思うの
で、耐性菌に関してどのぐらいレボフロキサシンの注射が効くかどうかは、もちろん市販
後に調べるように書いてあるので、恐らくその辺もきちんと確認していただいて、本当に
適応菌種として除菌率が余り良くなければ、将来的に適応菌種を見直すことを考えなけれ
ばいけないと思います。
○吉田部会長 よく使っているではないですか。こういうことについてはエビデンスが無
いとか。そういうような注意書でも十分で良いと思うのですが。他にございますか。
○清水委員 製剤の安定性、特に遮光に関わるところなのですけれども、バック製剤につ
いては中間的なカバーで遮光のところは担保されるかとは思うのですが、このバイアル製
剤については、通常多くの病院で取り揃えの調剤をする時には、箱に入れたまま調剤せず、
このバイアルの形で調剤をするのが一般的かとは思うのですが、この薬剤については使用
直前まで外箱から出すなという注意事項が付くような記載ぶりになっておりますが、英国
の添付文書を見ますと、エビデンスはよく分からないのですが、外国の添付文書の72ペ
ージで「外箱を取り除いた後の有効期限が3日間(室内光の条件下)」という記載ぶりもあ
りますが、このような情報が書かれていた方が調剤する側としては分かりやすいと思いま
す。日本では、詳細は御説明いただきますがエビデンスが無いから箱に入れたまま使用直
前までその状態を保つようにと状況が書かれているように理解してよろしいのでしょう
か。
○機構 御指摘のとおりそのような理解で結構だと思います。やはりこれは原薬が光安定
性が余り無いものでして、いろいろ検討しているのですが、どうしても少し封を開けたま
まですと安定性に影響があるということですので、明確な根拠は無いのですが、御指摘い
ただいたようなところでこちらは考えております。
○清水委員 恐らく調剤する現場からは箱から出したら何時間もつのというような問合
せは殺到するかと思いますので、そこのところ事前の情報提供というのを十分にする必要
があるかとは思いますので、よろしくお願いします。
○機構 分かりました。
○清水委員 あわせて配合変化に関わることなのですが、これも添付文書案の6ページに
なります。8.の適用上の注意の(3)の3)の一番最後の文章に「配合変化試験データを参
照すること」と文言が書かれておりますが、この配合変化試験データを参照することとい
ってもこのデータ自体が添付文書のどこか別のところに書かれているというわけではな
く、別の資材ということになろうかとは思うのですが、そこのところを調べようと思った
時に、すぐに手元に無いということの不便さが出てくる可能性もあるのですか。その辺の
ところはどのように御指導をなさっていますか。
○機構 こちらについても御指摘いただいたとおり配合変化が認められる薬剤もござい
ますので、添付文書には明記していないのですが、情報提供資材の方に審査報告書の9ペ
ージで配合変化が認められた製剤という項目がございまして、こちらの情報については適
切に情報提供をするように申請者にはもう指示をさせていただいております。
○清水委員 どのように指示されていますか。
○機構 こちらのデータは開示するよう指示しております。
○清水委員 添付文書を見てこのところを読んだ時に手元に配合変化データが無いとい
うことが発生すると、やはり情報提供が遅れるというようなことも起こりますので、これ
については先方から要望があってお渡しするということではなく、恐らくインタビューフ
ォームか何かには載せるのでしょうけれども、そのことも事前にこういった文言が添付文
書には載っているが、そのデータについてはインタビューフォームの方に収載しています
という具体的な情報提供をしていただいた方がよろしいかと思いますので、御指導お願い
します。
○機構 御指摘を踏まえて検討させていただきます。
○吉田部会長 よろしくお願いいたします。ほかに、ございますか。
○庵原委員 頭重感というのが最初の開発の時にあって、今回は無くなっています。その
理由はどういうことなのですか。製剤が良くなったとか何か理由はありますか。そこを教
えて欲しいのですが。
○機構 軽度の頭重感というのが確かに認められておりまして、古い記載名だと頭重感に
なっているのですが、現在ですと大体頭痛という表現で取りまとめられるかと思います。
本剤についても頭痛についてはどうしても出てきてしまう事象でして、臨床試験でも実際
には発現は認められております。ただ重篤な事象ではないことは確認させていただいてお
ります。
 この開発が中止した経緯というのが、もちろん本剤の頭重感が低用量から発現したこと
も理由の一つにあるとは思うのですが、シプロフロキサシンの方で日本でちょうど同じよ
うに注射剤の開発が進んでいた時に、副作用としてショックが認められて、1例が死亡に
至ったという事象もございまして、注射剤のフルオロキノロン系自身の安全性に少し懸念
が生じたとのことで、企業の判断として開発を中断していたという経緯がございます。
○吉田部会長 ちなみにそのシプロフロキサシンのショックは、その後の開発でどうなっ
たのか、あるいは日本人だけに認められたのか、欧米ではどうだったのかは分かりますか。
○機構 日本ではシプロフロキサシンについても、ショック2例が認められた為に開発が
中止されたのですが、欧米ではそのまま開発が引き続いておりました。欧米ではその後に
実施した臨床試験において、約0.5%にショックが認められておりますが、いずれも原疾
患だとか基礎疾患によるものというように報告されております。
 一方、シプロフロキサシンの国内での開発については、その後海外でのエビデンスだと
か、重症、難治性に限った開発をすべきという助言もあったことから国内ではそういう対
象をそういう患者を対象とした開発として実施されており、承認されております。
○吉田部会長 要するに以前懸念されたことは、今現在ではほとんどクリアーされている
というような理解で良いのですね。
○機構 はい。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 そろそろ議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。なお、前崎委員、山添委
員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただ
くこととします。お伺いいたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、本議題について承認を可とし、薬事分科会にその旨を報告
させていただきます。どうもありがとうございました。
── 岡委員・守殿委員入室 ──
○吉田部会長 続きまして議題2に入りたいと思います。竹内委員におかれましては議題
2の審議の間は別室で御待機いただくことになります。よろしくお願いいたします。
── 竹内委員退室 ──
○吉田部会長 それでは議題2について、機構より概要の説明をお願いいたします。
○機構 議題2、資料2「医薬品トレアキシン点滴静注用100?rの生物由来製品及び特定
生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬
の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 本剤の有効成分であるベンダムスチン塩酸塩はナイトロジェンマスタードのアルキル
化作用と、ベンゾイミダゾールのプリン代謝拮抗作用を期待して、1960年代に旧東ドイ
ツで創製されたアルキル化剤であり、アポトーシスの誘導及び有糸分裂期チェックポイン
トの抑制を介した分裂期崩壊の誘導により、細胞傷害作用を発現すると考えられていま
す。
 本剤は、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及び再発又は難治性の
マントル細胞リンパ腫に対して効果を示す薬剤として申請されました。
 低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫は、進行が緩徐であるものの現時点では治癒が困
難です。一次治療としてはリツキシマブを含む多剤併用療法が主に実施されていますが、
一次治療に無効又は再発した場合には、標準的な治療は確立されておりません。又、マン
トル細胞リンパ腫についても標準的治療法は確立しておらず、治癒は困難であり、低悪性
度B細胞性非ホジキンリンパ腫と比較して進行が早く、予後不良です。
 本剤は申請された効能・効果に対して、希少疾病用医薬品に指定されております。なお
海外では低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫の効能・効果に対して10か国で承認され
ております。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料8にございますとおり7名
の委員です。
 以下本剤の臨床試験成績を中心に説明いたします。主な臨床試験成績としては、国内で
実施された第II相試験が提出されました。有効性については、審査報告書29ページ本文
下から13行目以降、32ページ下から1行目以降に示しますように、国内第II相試験の
結果、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫患者において、腫瘍縮小効
果判定に基づく奏効率は90%を超えており、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫患
者では、11例全例に奏効が認められたことなどから、本剤の有効性は期待できると判断
いたしました。
 安全性については、審査報告書34ページ21行目以降に示しますように、本剤の使用に
おいて注意すべき有害事象として、骨髄抑制、感染症、過敏症反応、皮膚毒性、腫瘍崩壊
症候群、二次性悪性腫瘍などが認められております。これらの有害事象については、がん
化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により対応可能と判断しており
ますが、本剤の日本人における検討症例は限られていることから、審査報告書45ページ
下から20行目以降、69ページ16行目以降に示しますように、製造販売後には全例調査
により安全性情報を迅速に収集し、情報提供等を行う必要があると考え、これを承認条件
として設定することが適切であると判断いたしました。
 以上のような審査の結果機構は、再発又は難治性の下記疾患、低悪性度B細胞性非ホジ
キンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判
断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であるこ
とから、再審査期間を10年とすることが適当であり、原体及び製剤は劇薬に該当すると
判断いたしました。又、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判
断いたしました。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方の御質問、御意見をお願いいたし
ます。
○半田委員 安全性に関して血液毒性に関して質問したいのですが、国内の試験では特に
血小板減少症が多いとのことで、例えば56ページの海外第III相試験において、血小板
減少症で特にGrade3以上が16%あったとのことで、これは他のこの種のアルキル化エー
ジェントの副作用としては血小板にかなり偏っているという印象がありまして、それは
65ページの専門委員の意見の(2)の安全性についての中にも出ています。血小板減少に
ついては、特に必要であるということが書かれているのですが、私はこの辺は非常に気に
なりましたが、特に国外と国内とでは血小板減少症の重篤度が違うような気がするのです
が。その辺に関しましては何か原因があるのかどうかと。考察は何かされているのでしょ
うか。
○機構 この血小板減少の国内外の試験成績の差については、特にこれまでのところ考察
等について議論しておりません。
○吉田部会長 国内では69例ですね。国内ではGrade3以上がそれほど出てるわけでは
ないのですか。
○機構 国内のII相試験の方ですと49ページにその表がございますが、血小板数減少に
関してGrade3以上は15.9%ということで、先程のIII相試験と著しく異なるというよう
には、今のところ考えておりません。
○吉田部会長 読めませんね。全Gradeでやるとすごく高くなるということですね。血小
板減少、これは全Gradeでやっても海外の場合はそれほど高く出てこない。多少人種間で
感受性の差があるのかもしれませんね。
○機構 補足させていただきますが、審査報告書の65ページですが下から二つ目の段落
になりますが、血小板数減少により、治験終了に至った症例の頻度ですが、これは海外試
験でII相試験とIII相試験の併合ですが12.5%、国内のII相試験で2.9%ということで
試験終了に至った症例に関しては、海外の方が高いというようなデータが出ております。
 いずれにしましても血小板数減少に対しては十分な注意が必要ではないかというよう
に判断しております。
○吉田部会長 よろしいですか、ほかにございますか。
○清水委員 投与サイクル数の評価について確認させていただきたいのですが。審査報告
書の44ページに、そこのところが考察されておりますが、当初申請者からは6サイクル
を超える投与については、慎重に判断すべきである旨を添付文書等において注意喚起する
という報告がある中で、機構の判断としては「6サイクルを特に制限をつける必要は無い」
というような判断をされたと考察として理解してよろしいのでしょうか。
○機構 こちらの6サイクルというのは国内II相試験の方で最大6サイクルという設定
になっておりまして、参考資料として出されました海外の試験では8サイクルまで投与す
る試験になっております。6サイクルを超えた症例に関しても海外試験の方では忍容性が
認められる症例がございました。その辺を踏まえて専門協議でも議論させていただきまし
て、最大の投与サイクルに関しましては、添付文書の中では臨床成績の方で国内試験の設
定が6サイクルまでということを情報提供をするということで、適当ではないかという結
論に至りました。
○清水委員 臨床成績のところで、6サイクルということは書かれていますが、書かれて
いる内容が何を意味しているのかというのが、添付文書を見ただけではよく分からないと
思うのです。6サイクルも臨床成績のところに載せていると言っても、添付文書だけが現
場に回った時にそこのところをあえて見に行くことはしませんので、制限するわけではな
いのですが、注意をしてもらう為には例えば、用法・用量に関する使用上注意の中で「国
内では6サイクルを超える投与経験が無い」ということを書いた上で臨床成績の項を参照
という記載にしないと、なかなかそこに6サイクルと入れた意味というのが出てこないの
かと思うのですが、その辺はいかがですか。
○審査第五部長 先生御指摘のように分かりやすい、分かりにくいという印象の部分はも
ちろんありますが、御指摘の内容に関しては、もう一度検討させていただいて適切に資材
も作る予定ですので、どのような表現が良いかということは検討させていただきたいと思
います。
○吉田部会長 よろしくお願いいたします。ほかには、ございますか。
○庵原委員 小児への適応ですが、今回の試験ではないということは分かっていますが、
これは諸外国でも小児への投与の経験は無いということでよろしいですか。
○機構 海外での市販後の小児への投与経験の詳細に関しては申請者に確認しなければ、
今のところ手元に情報が無いものですから、お答えはできません。
○吉田部会長 ほかには、ございますか。
○溝口委員 37ページの皮膚毒性のところで、海外では本薬とアロプリノールが併用さ
れていて、このスティーブンス・ジョンソンとか、中毒性表皮壊死症等の重篤な皮膚障害
が起こっていると書いてあり、アロプリノール非併用剤ではその報告は無い。日本の報告
では、TLSのところに書かれていますが、アロプリノールが投与されていても重篤な皮
膚障害を生じた症例が無いと書かれています。アロプリノールが、白か黒かはっきりしな
い状態なのですが、TLSに対して投与していると思います。同効薬があると思いますが、
そのアロプリノール以外の薬を併用して副作用がどうであったかという報告は海外でも
日本でも無いのでしょうか。全例アロプリノールしか使っていないのでしょうか。
○機構 国内でTLSの支持療法が施行された方は25例ですが、そのうちの24例、1例
を除きまして全例でアロプリノールが投与されているということで、ほとんどの症例でア
ロプリノールが使用されています。
○溝口委員 尿酸を下げるために使っていると思いますが、他のアロプリノール以外のも
のは国内でも海外でも使われていないわけですね。このアロプリノールは結構薬疹を起こ
す薬ですので、他の薬でもし使った症例があって、報告が全く無いというのならば、そち
らに変えた方がよろしいかと思って伺ったのです。それは海外でも使われていないのです
か。
○機構 海外でのTLSの管理が具体的にどの薬剤なり輸液が中心であったのかは、詳細
は把握しておりませんが、恐らく海外でも多くの症例でアロプリノールが使われているの
ではないかと想像しております。
○溝口委員 もう一つよろしいですか。小さいことですけれども、添付文書案の28ペー
ジのその他の副作用の表がありますが、その他の副作用の「その他」のところに皮膚乳頭
腫が入れられているのですが、これは皮膚の方の副作用に入れても良いものだと思いま
す。節足動物刺傷アレルギーも、皮膚症状に入れても良いと思うのですが。他の身体症状
が併発している可能性もあるので、これはその他の方に置いておいても良いですけど、皮
膚乳頭腫はいぼやいろいろな乳頭腫がありますが、皮膚症状のところに入れても良いと思
うのですが、これをその他にされたのは何か理由がありますか。海外の報告でそのように
なっていただけなのでしょうか。
○機構 皮膚のカテゴリーにせずに、その他の項に皮膚乳頭腫を入れた理由に関しては、
申請者に確認をして、その上で表の記載箇所については整理させていただきたいと思いま
す。
○吉田部会長 よろしいですか。ほかには、ございますか。
○岡委員 この報告書45ページのところで、他の悪性腫瘍剤との併用でリツキシマブと
の併用について推奨しない旨注意喚起すると書かれているのですが、添付文書の26ペー
ジのところで余り出てこなくて、「他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全
性は確立していない」と書かれているだけなのですが、それはその程度で推奨しない旨を
注意喚起するのに相当するのでしょうか。
○機構 これまでに提出されている臨床試験では、本剤の単独投与のみが現時点推奨され
るものと考えておりますので、ほかの抗悪性腫瘍剤の中でリツキシマブも含めて本剤との
併用のレジメンに関しては、推奨できないということを注意喚起しております。
○吉田部会長 今の答え方で岡先生よろしいですか。質問の答えが違うのではないです
か。
○岡委員 非常にさらっと書かれているだけで、注意喚起という程の表現ではないと。
○吉田部会長 だからもう少し、しっかりと書いたらと言いたい。
○審査管理課長 先ほどの血小板減少症とか皮膚障害とか安全性での御指摘を岡先生か
らもいただいておりますので、情報提供を踏まえて添付文書等の提供資材を考えさせてい
ただきたいと思います。
○吉田部会長 というのは、申請者のシンバイオ製薬株式会社というのは、余り聞いたこ
とがない会社だと思います。販売は、E社を予定しているそうですが、両方とも抗悪性腫
瘍剤に慣れていない会社なので、添付書類に関してはおっしゃるように、駄目押しするぐ
らいにきちっと書いておいた方が、MRも不慣れという懸念もありますので、一応、強め
に注意喚起をしておいた方が良いのかと私も思います。よろしくお願いします。
○機構 検討させていただきます。
○吉田部会長 ほかには、ございますか。二次発がんの件なのですが、この種のリンパ種
等々に関しては他の悪性腫瘍を合併することも多くて、薬との因果関係が言いにくいので
すが、よく見てみると東ドイツで1971年に開発されていると。つまり、40年近く歴史が
あるのです。恐らく二次発がんの経験が無いから長期にわたって使われているだろうと思
うのですが、使用後調査や疫学的な成績についてドイツの方の情報というようなものが何
かありますか。
○機構 ドイツでの長い使用経験のある薬剤ではありますが、有効性の生存に関しての情
報として、ドイツの成績を確認しましたが、長期予後の成績に関しては取られていなかっ
たという状況ですので、多分二次性悪性腫瘍に関しましても、恐らく情報としてきちんと
したものは、得られていないのではないかと考えています。
○吉田部会長 分かりました。ほかには、ございますか。
○山添委員 添付文書の28ページに代謝のところがあります。3.代謝。本来はCYP1A2
によって代謝されるというように書いてあるのですが、実際に最初の審査報告書の20ペ
ージ辺りのところを見ますと、イヌもラットもヒトもデータは無いのですが、いずれもグ
ルタチオンの抱合体によってほとんど代謝されて、ごく一部だけがこのCYP1A2に代謝さ
れるということは書かれています。そうすると主な経路を書かないでマイナーな経路だけ
書いておくのは少しまずいと思いますが、その辺はどういうことでこのようになったので
しょうか。
○機構 先生御指摘のとおりCYP1A2を介したものというのは、代謝への寄与としては全
体としては少なく、非酵素的な加水分解がメジャーですので、記載の方は検討させていた
だきたいと思っております。
○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。現時点では、リツキサンに抵抗性
のマントル細胞腫とか難治性のリンパ腫に適応を持たせるということで、限定的に使わせ
るということの理解で良いのですか。初回治療には、使わないのですね。
○機構 そのとおりです。
○吉田部会長 しかし、適応をみると「再発又は難治性の下記疾患」になっていて、低悪
性度B細胞性非ホジキンリンパ腫そのものが難治性低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ
腫と言い替えることができます。それなので、要するに再発、又は、難治性と言ったとき
にファーストラインではないと読めますがどうでしょうか。
○機構 効能・効果の表記に関しましては常に議論があるところですが、類薬等の位置付
けと承認の効能・効果の設定も加味しまして、このような表現をさせていただいてます。
○吉田部会長 初回の化学療法には推薦しないと明らかにしておかないと。初回治療では
ないことを再発又は、難治性と表現しているのは分かっているのですが、例えば低悪性度
B細胞性非ホジキンリンパ腫そのものは、難治性と付けて紹介されることもある。そのも
の自体が。なかなか化学療法に反応しないので。ですから、難治性というのは一般に薬が
効かないという意味だととられてしまいセカンドライン以降でないと駄目というような
理解にはならないような気がするのです。この疾患は、難治性だと言った時にセカンドラ
インケモセラピーの適応だというようには、普通は考えないですから。その辺を徹底した
方が良いのではないのかと思うのですが。
○機構 効能・効果の付け方のところなのですが、今まで他の品目等々についても効能・
効果の中で、ファーストラインやセカンドライン、一次治療、二次治療という言葉を使っ
てという例が余り無く、血液疾患の場合ですとセカンドライン以降という意味でこれまで
も「再発又は難治性の」という枕言葉を付けさせていただいているところであり、臨床成
績の方では、治療歴を有する患者さんを対象としたという形で情報提供はさせていただい
ているということです。
○吉田部会長 わかりました、いずれにせよ注意を喚起できるような格好にしておいてく
ださい。ほかには、ございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思い
ます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、本議題については承認を可とし、これらについて
薬事分科会にその旨を報告させていただきます。
── 竹内委員入室 ──
○吉田部会長 議題3に入ります。議題3については報告事項議題1も併せて議論したい
と思いますので、よろしくお願いします。それでは議題3及び報告議題1について、機構
の方から概要の説明をお願いします。
○機構 議題3、資料3「医薬品ラピアクタ点滴用バッグ300?r及び同点滴用バイアル
150?rの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」説明申し
上げます。
 本剤は有効成分として、ペラミビル水和物を含有する点滴静注製剤です。本薬は
BioCrystPHARMACEUTICALS,INC.により創製された効インフルエンザ薬であり、A型及びB
型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害することにより、抗ウイル
ス作用を示すとされております。
 本邦では2010年1月に承認を取得しており、成人に対する用法・用量が設定されてお
ります。本剤は点滴静注製剤であることから、経口剤又は吸入剤投与が困難な低年齢層の
小児にも投与可能な薬剤として、小児の用法・用量の取得を目的とした開発がなされまし
た。なお、今回開発が行われました2009年、2010年シーズンは2009年4月にアメリカ
大陸において発生が確認された新型インフルエンザウイルスA(H1N1)、以下インフルエ
ンザウイルスと言わせていただきますが、新型インフルエンザウイルスの感染症が社会的
に流行し、それにより小児の重症例、死亡例が相次いで報告されるなど、効インフルエン
ザ薬を取り巻く状況が大きく変化しておりました。このような状況の中、経口又は吸入投
与が困難な重症例に対しては、点滴静注製剤である本剤のニーズが高いとされ、早急な開
発が望まれていた中で小児を対象とした第III相試験が計画、実施されました。なお、海
外においては成人インフルエンザウイルス感染症を対象とした臨床試験が二試験、小児イ
ンフルエンザウイルス感染症を対象とした臨床試験が二試験実施中であり、2010年7月
の時点では本剤は承認されておりませんでしたが、その後8月に大韓民国で承認されてお
ります。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料8にありますとおり、
4名の委員を指名し御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について、概略を説明させていただきま
す。小児に対する有効性については、審査報告33~34ページの中段に記載しております
ように、機構は小児の有効性を確認する為には、比較試験を実施すべきであったと考える
ものの、新型インフルエンザウイルスの流行下という特殊な状況下での小児臨床試験の計
画・実施であったこと、又、静注剤である本剤のニーズや臨床的位置付けを考えますと、
非盲検非対照試験で実施したことはやむを得なかったものと判断いたしました。
 以上の経緯を踏まえ、機構は非盲検非対照試験である小児臨床試験成績のみでは、小児
における本剤の有効性を明確に判断することは、できないものの成人のインフルエンザウ
イルス感染症に対する本剤の有効性は確認されていること、小児のインフルエンザウイル
ス感染症患者に対する本剤10mg/kg投与時の血漿中ペラミビル濃度は、成人に対する本剤
300mg及び600mg投与時の血漿中ペラミビル濃度の範囲内であったことが確認されている
こと、又、今回実施された臨床試験の成績を総合的に判断し、本剤の小児のインフルエン
ザウイルス感染症における10mg/kg単回投与時の有効性は期待できると考えております。
 又、小児の安全性について、成人を対象とした臨床試験と比較し、有害事象、副作用発
現率には大きな差は認められませんでした。ただし、報告書19ページ後段から21ページ
中段に記載しておりますように、成人に比べて、小児で好中球数減少の発現率が高く、高
度な事象も発現しております。いずれの事象も処置を要することなく速やかに軽快、又は
回復しておりますが、小児における本剤投与後の好中球数減少の発現については、注意が
必要であることから臨床現場へ適切に注意喚起するとともに、可能な限り製造販売後調査
において情報収集する必要があると判断いたしました。
 さらに、審査報告書21ページから22ページ中段に記載しておりますように、因果関係
はあるものの、類薬であるオセルタミビルリン酸塩が投与されたインフルエンザウイルス
感染症患者で異常行動等の精神・神経障害が発現した例が報告されていること、今回実施
した臨床試験においても、有害事象として3例、副作用として1例異常行動が認められて
いることから、異常行動の可能性について注意喚起するとともに、製造販売後にも引き続
き情報収集する必要があると判断いたしました。
 機構は、以上のような審査を行った結果、小児インフルエンザ感染症患者における本剤
の有効性は期待でき、又安全性は忍容可能と判断いたしました。したがって、審査報告書
4ページの用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。
 本剤は、再審査期間については成人における再審査期間の残余期間を設定することが適
切であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 引き続きまして報告事項の議題1、資料6「承認条件等に係る審査報告書」についても
併せて説明いたします。ラピアクタについては、成人の承認取得の際に、承認条件1とし
て「製造販売後の一定期間は、使用症例の全例を対象とした使用実態、安全性の情報を収
集すること。また、収集された結果は、定期的に規制当局に報告し、本剤の適正使用に必
要な措置を講じること」が付与されております。当該承認条件に基づき、使用患者全数把
握が実施されており、1,231例の情報が収集されております。
 機構は、使用患者全数把握の内容を確認した結果、収集された情報は限られているもの
の安全性上特段の問題は、検出されていないと判断いたしました。又、この調査の継続の
可否について検討した結果、実施期間の設定の一つであった6か月を経過したこと、使用
患者全数把握により、安全性上の問題は特段検出されていないこと、さらにこの全数把握
は、医療機関のボランティアの下で情報収集していた為、通常の製造販売後調査に比べ、
得られる情報は限られること等の理由から使用患者全数把握を終了し、今後は1症例当た
りの情報量が十分に得られるような使用成績調査を実施することが有益であると判断い
たしました。
 したがって、承認条件1を「本薬の安全性及び有効性を確認するために、使用実態を踏
まえた適切な製造販売後調査を行うこと。」と変更することが適切であると判断いたしま
したので、報告いたします。又、今回の審議対象である小児についても、本承認条件に基
づき適切な調査を求めることといたします。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
○吉田部会長 承認条件の変更等々を含めて、ラピアクタの小児に対する適応の議論をお
願いしたいと思います。先生方の御質問、御意見をお願いします。
○庵原委員 二点確認したいと思います。一点目は、適応年齢をどこからどこまで認める
かというところです。といいますのは、23ページの臨床的位置付けで、新生児からの使
用が可能であるという書きぶりをしているのですが、実際にこの薬は新生児や1歳未満で
は、どのぐらい症例に使われて、どのぐらいの安全性が確認されて、この文章が出てきた
かです。
 二点目は、連日反復投与は小児でも良いという書きぶりをしているのですが、連日反復
というのは、何回までの連日反復かという、その二点を確認したいのです。
○機構 御指摘の点で、まず一点目の小児の年齢についてですが、小児の臨床試験では最
小の年齢は1歳未満の患者で3例で、4か月が最年少としてエントリーされております。
御指摘の新生児又は低出生体重児についての情報は得られておりませんので、そちらにつ
いては小児等への投与の項に、「安全性は確立していない」と書き、今後製造販売後に引
き続き情報収集をしようと考えております。
 反復投与については、今回は成人を対象とした試験においては、反復投与が可能という
デザインとされ、臨床試験も実施されております。今回の小児においても、熱が38℃以
上ある場合又は、臨床症状において医師が必要と判断した場合は、反復投与が可能なデザ
インと設定しておりました。最終的には、2日以上投与は10例になります。もちろん機
構としては、十分な投与経験があるとは考えておりませんので、どうしても必要と判断し
た場合、医師が判断して反復投与は可能だという適用を認めますが、製造販売後には、小
児についても何回か投与した時の安全性については、情報収集をすることが必要だと考え
ております。
○吉田部会長 今の低体重児、新生児を除くというのは、使用上の注意に書いてあります
か。
○機構 添付文書の「小児等への投与」の項の中で、低出生体重児と新生児に対しての安
全性は確認していない、使用経験が無いという形で、いつもの臨床試験でデータが得られ
ていないというスタンスに立って情報提供をさせて頂いております。添付文書の2ページ
になります。
○庵原委員 関連ですが、23ページの下から4行目からの文章は、削除しても良いわけ
ですか。「本剤の使用が考慮される」という書きぶりをしているので、これだと使っても
良いという解釈をされるのですが。
○機構 こちらは申請者の回答の引用でして、申請者はこのように考えているのですが、
機構としては、新生児に関しては必ず使っても良いというより、どうしてもの時のみ、安
全性等を考えて使っていただく場合もあるのではないかと想定しております。
○庵原委員 これは申請者の見解で、PMDAの見解ではないということでよろしいです
ね。
○機構 はい。
○吉田部会長 ほかにありますか。
○岡委員 同じ所ですが、連日反復投与できるという書き方が、添付文書上どうなのかと
思います。10例しか、しかも2日しか投与したことがないのに、「反復投与できる」と
書くと、熱があるとずっと使われるのではないかと。副作用の好中球減少は20%という
のは、副作用としては非常に高いと思いますが、これだけの症例で今後もし認められた場
合、大変な数に使われ、そういう副作用がもっと起こってくるのではないかと思います。
○機構 反復投与についても闇雲に反復投与がなされることがないように、添付文書の1
ページの用法・用量に関連する使用上の注意の2番目に「反復投与は、体温等の臨床症状
から継続が必要と判断した場合のみに行うこと」として、漠然と投与を継続しないことと
いう注意喚起と、3日以上、反復投与した経験は限られていると記載しております。情報
提供資材等に、今回どのような場合に反復投与がされたかという情報についても提供して
いきたいと考えております。
○濱口委員 私も好中球減少症については、情報が少ないと思いますので、できれば添付
文書の中にきちんとこの件は、特に小児の使用に関しての注意事項として、もう少し明確
に書くべきかという気がします。実際に他のものと羅列して何%、何%ということで、ど
この部分にどう書き増すかは、そちらで考えていただきたいのですが、注意事項として入
れていただきたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。今は、添付文書の2ページの副作用の項に成人と
小児に分けて副作用の発現率を記載しておりまして、小児の方が発現率が高いということ
は情報提供しているところです。併せて御指摘いただいた内容についても記載できるよう
に検討したいと思います。
○吉田部会長 ほかには、ございますか。
○清水委員 連日反復投与に話が戻ってしまいますが、既に成人でこの用法・用量で承認
されているので変更するのは難しいことなのだろうと思いますが、要は単回点滴静注とい
う言葉の意味を十分に噛み砕いて情報提供いただかないと、単に1日に1回打つという意
味の単回投与で、これは治療プロトコルとして1回投与で良いのだという意味の単回投与
という意味を含めた記載だと思いますが、プロトコルとして1回投与で良いのだというこ
との原則がよく分かるように情報提供してもらわないと、連日反復投与というのが、非常
に大きい意味を持ってきてしまいます。既に承認されている部分ですので、変更は難しい
かもしれませんが、単回点滴静注の意味をきちんと情報提供することが大事かと思います
ので、よろしくお願いします。
○機構 御指摘を踏まえて、そちらの情報提供については、一回で治療が完結するという
意味を、しっかり情報提供したいと思います。
○吉田部会長 ほかに、ございますか。
○岡委員 好中球減少の副作用のところですが、13ページで有害事象としては、好中球
減少が25/117、21%になっていて、下の副作用のところでは11/117の9.7%に減ってい
ます。21ページの好中球の数字の表を見ると、有害事象と副作用でどのように切り分け
たのかがはっきり分からないのです。
○機構 先生がおっしゃっているのは、13ページの臨床検査値で好中球減少が25例、副
作用が11例と記載されている部分と、報告書の21ページですか。
○岡委員 報告書の21ページの上の図を見ると、25例のものではないのですか。
○機構 こちらは25例の推移になります。有害事象として好中球数減少が認められた症
例の経時的な推移です。副作用ではないのですが、有害事象として示しております。
○岡委員 これは副作用と有害事象をどのように分けたのかを聞きたかったのです。
○機構 詳細は難しいのですが、基本的に因果関係が明確に否定されているところで、有
害事象と副作用と分けてはいます。各々の詳細について確認しておきたいと思います。
○吉田部会長 11と25で全然数が違っていますね。これはグレードも関係なしになって
いるから、全グレードで出しているはずで、そうすると。
○機構 有害事象として発現した全例で推移の表を示しております。
○吉田部会長 13ページの方は、どうやって決めたかというのがよく分からないという
ことだろうと思います。
○機構 一応治験薬との因果関係として関連が無いというものは副作用から除いており、
関係があるかもしれない部分については、有害事象の中で集計しております。明らかに否
定されているものは除いております。
○吉田部会長 好中球が減少した25例のうち、本薬と関係がないといったものを除いた
のが11例で、残りの14例は本薬とは関係がない好中球減少であるということですね。
○機構 はい、否定されているものです。
○吉田部会長 インフルエンザによって好中球減少が起きたという解釈ですね。
○機構 インフルエンザの感染時に起こる好中球減少と本剤によって起こる好中球減少
というのは、なかなか区別しにくいため、一般的な有害事象として示しております。
○庵原委員 ですから、これはコントロールが無いから仕方がないのですね。
○吉田部会長 そういうことですね。
○庵原委員 インフルエンザの時に好中球減少というか、白血球が2,000~3,000に落ち
ることはよくありますので、これをもって有害事象とするか副作用とするかの判断は困難
だと思います。コントロールとなる数字を挙げておられれば、もう少し納得されるだろう
ということです。
○機構 小児については、コントロールとなる数字が文献等も踏まえても得られなかった
ので、こちらの書き方とさせていただきました。
○吉田部会長 それも初めにいろいろと断られていた単独とかいうことでしか妥当性が
証明できないという、臨床試験そのものの辛さがあるところなのです。他にございますか。
○守殿委員 添付文書ですが、用法・用量に関連する使用上の注意ということで、腎機能
障害についての記載があり、その中にクレアチニンクリアランスと投与量との関係を図示
してありますが、インフルエンザで来られた患者に腎機能検査としてクレアチニンクリア
ランスまで検査をするという事は、一般的に行われないと思います。
 ただし、小児の場合には一般的に行われるのか気になります。そういうことを確認しな
ければいけないということであれば、「投与を可能な限り速やかに開始するということ」、
並びに「48時間を経過した症例では有効性を裏付けるデータは得られていない」という
記載のどちらを選んだら良いか迷うところです。クレアチニンクリアランスをやらなくて
も投与して良いのか、この辺の整理はどうですか。
○機構 本剤がほぼ腎排泄ですので、腎機能の状態に応じて用量調節が必要であろうとい
うのは、成人の時に議論いたしました。今回の小児の臨床試験というのは、データとして
非常に限られておりまして、腎機能障害を有するような小児の患者が含まれていなかった
為、どのような目安で用法・用量を調整して良いかというデータは得られておりません。
 一方、海外では腎機能低下に伴う小児の症例については、今後情報を収集していくとい
うことですので、今後はそういう目安となるような情報も出てくるかとは思いますが、現
時点では添付文書の1ページの用法・用量に関連する注意の「小児等の腎機能障害者での
使用経験はない」という情報提供の仕方は適切ではないかと考えております。
○守殿委員 小児のインフルエンザにラピアクタの製剤が非常に有用であればある程、腎
機能障害を厳重に扱われるドクターは使用しにくいことになると思います。その辺をどう
考えておられるかをお聞きしたいのです。
 例えば、クレアチニンクリアランスが30cc未満になりますと血清クレアチニンが上昇
し、腎機能障害が確実にあると分かるのですが、クリアランスが40ccや50ccの場合では、
クレアチニンは値は、ほぼ正常値なのです。ですから、腎機能障害があるとは推定できな
い。要するに、30cc以上のクレアチニンクリアランスがあれば、血中のクレアチニンは
上昇せず、正常と判断されますので、そういう意味からもクレアチニンだけでは、この三
つの形に分けることはできません。そういう意味から、腎機能障害への対応の仕方が難し
いという印象です。
○吉田部会長 そのところは、なかなか微妙ではありますが。
○機構 そうですね。御指摘の点はごもっともでして、基本的に曝露量の観点から用量調
整のあくまで目安という形で記載しております。製造販売後に腎機能低下患者に対する情
報というのは、現在情報収集しておりますので、将来的にはもう少し情報量は増えると考
えておりますが、現時点では申し訳ないのですが、こちらの情報提供の仕方になります。
○吉田部会長 要するにクレアチニンが正常だったら、普通どおり投与して良いという話
ですよね。
○機構 はい。
○吉田部会長 抗がん剤の時に、クレアチニンクリアランスがかなりうるさく言われた時
代があるのですが、最近はクレアチニンの値を優先して考えることの方が多いと思いま
す。田村先生、最近でもクリアランスはきちんとやっているのですか。
○田村委員 薬剤によります。クレアチニンクリアランスと薬剤暴露量がきれいに相関
し、これがシャープに毒性に反映される場合で、カルボプラチンとかごく一部の薬剤とな
ります。他の抗がん剤は肝代謝が大きく関わっており、クリアランスはあまり影響しない
です。
○吉田部会長 参考になるかどうか分かりませんが、そういう扱いをしているところもあ
ります。さて、どうしましょうか。
○守殿委員 おっしゃるとおり、クレアチニンが上昇していなければ、3割以上の腎機能
は保持されていますので、本剤は単回あるいは2回ぐらいの投与ですので、蓄積するとし
ても短期間の投与ですから、それほど問題にはならないと思います。クレアチニンが正常
なら投与しても差し支えないのではと思います。
○吉田部会長 分かりました。
○溝口委員 小児への投与のところで「低出生体重児、新生児に対する安全性は確立して
いない」と書かれてありますが、7kgとか8kgの乳児に投与することは可能なのでしょ
うか。もしそうだとすると、15分以上かけて点滴しろと書いてあるので、15ccなら計算
すれば可能だと思います。例えば6kgの人に6ccを15分かけるのはなかなか大変だと思
いますが、希釈してはいけないものなのですか。前の二つの薬剤には、きちんと希釈して
良い輸液が書いてあり、希釈したらどのぐらい置いて良いというのも書いてあったと思い
ますが、希釈してはいけないものなら、そのように書いていただきたいし、もし希釈して
良いのでしたら、何を用いて希釈して、どのぐらい置いても良いかというのも、できたら
記載していただきたいのですが、いかがですか。
○機構 御指摘の点については、確かに低出生体重児と新生児に対しては使用経験は無い
のですが、低体重であればかなり少ない用量で、少ないボリュームで投与される可能性も
ありますので、希釈は可能かどうか等の検討も今後させていただき、適切に情報提供の方
策を検討していきたいと思います。
○溝口委員 15分以上かけなければいけないというのは、何か理由があるのですか。大
人もそうみたいですが。
○機構 基本的に急速静注はできなくて、臨床試験では15分以上かけて投与していると
いう情報提供となっております。
○溝口委員 私は、小児科ではないので分からないのですが、「低出生体重児」ではなく
て、「低体重出生児」ではないかと思いますが、違いますか。低体重で生まれた子なので、
低体重出生児の方がピンとくるのです。小児科の先生に聞かなければ分かりませんが、い
かがですか。
○庵原委員 これは習慣で「低出生体重児」と言います。
○溝口委員 分かりました。
○吉田部会長 他には、いかがですか。御意見も無いようですので、そろそろ議決に入り
たいと思います。なお、竹内委員、前崎委員、山添委員におかれましては、利益相反に関
する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。
 お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないよ
うですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。報告事項につきま
しても、御確認いただいたものとします。
 それでは、続きまして報告事項議題1「アバスチン点滴静注用」について、説明をお願
いいたします。
○事務局 報告事項議題1「医療用医薬品の承認条件の解除について」を事務局より資料
4に基づき、説明いたします。1ページのアバスチン点滴静注用100mg/4mL、同
400mg/16mLは、平成19年4月18日に治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんを効
能・効果として承認されておりますが、その際、承認条件として、国内での治験症例が極
めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの
間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把
握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使
用に必要な措置を講じることが付されております。今般この承認条件に関して中外製薬株
式会社よりデータが提出され、機構における審査が終わりましたので、御報告いたします。
審査報告書の2ページ(1)調査結果の概要の特定使用成績調査については、目標症例数は
2,500例、観察期間は6か月又は本剤中止後4週間とされ、2,705例の調査票が収集され、
提出されております。背景が集計された2,699例について、前治療、併用療法の内訳を表
に示しておりますが、本剤投与開始前1年以内に投与された抗悪性腫瘍薬があった症例が
2,115例、一次治療としての使用が1,234例、二次治療としての使用が1,418例でした。
本剤と併用された化学療法については、下の表になりますが、FOLFOXが1,714例、FOLFIRI
が779例でした。
 安全性については3ページに記載しておりますが、安全性集計対象2,696例のうち、副
作用が発現した症例が1,668例、61.9%であり、そのうち412例、15.3%で重篤な副作用
が認められております。又、間質性肺炎が11例に認められ、うち2例が死亡に至ってお
り、これを受けて添付文書の重大な副作用の項に、間質性肺炎の追記が行われております。
製造販売後における本剤に特徴的な副作用の発現については、国内外の臨床試験で認めら
れた発現率と比較して、大きく異なるものではなかったとされております。
 有効性については4~5ページにかけて表に示しておりますが、承認審査で検討された
臨床試験の結果と大きく異なるものではありませんでした。又、本調査の結果を踏まえて、
副作用発現率の数値を更新するといった添付文書等の改訂、適正使用推進用資材の更新・
改訂が行われていることを確認しております。
 以上のことから、提出資料の審査の結果、承認条件である製造販売後調査が適切に実施
され、安全性・有効性に係る情報が収集されていること。収集された情報に基づいて、本
剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、承認条件の内容については確認で
きたものと判断しております。報告は以上でございます。
○吉田部会長 委員の先生方から御質問等々がありましたら、お願いいたします。目標症
例数を超える2,699例ということで、特に新たに注意喚起すべき有害事象はなかったとい
うことですが、よろしいでしょうか。特段に御意見も無いということですので、報告事項
については、御確認いただいたものといたします。
 それでは、その他の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を踏まえた事
前評価について」、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料5の3ページの横になった表を見ますと、現在厚生労働省では、未承認薬
・適応外薬の解消のための取組を進めております。その経緯は昨年の6~8月になります
が、未承認薬・適応外薬について、学会などから開発要請があるものを、厚生労働省のホ
ームページにおいて公募するという形を採ったわけです。
 公募する要望の条件としては、四角い囲みの中にありますとおり、まず未承認薬につい
ては、英・米・独・仏の欧米4か国のいずれかの国で承認されていることを一つの条件と
しております。又、適応外薬については、4か国における承認に加え、4か国での公的医
療保険制度の適用を含むということで条件といたしました。
 さらにその内容としては、医療上の必要性が高いものということで、右にあるとおり、
適応疾病の重篤性、致死的な疾患であるとか、重篤性が高いもの。さらに、これに加えて
医療上の有用性が次のいずれかの場合ということで、既存の療法が国内に無いという場合
など、有用性が高いものを公募の条件とすることにし、この両方に該当するものを条件と
したということです。
 そうしたところ、学会、患者団体などから374件の要望が寄せられました。次のページ
の横の図ですが、この374件について、医療上の必要性の評価を行うということで、医療
上、必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を立ち上げました。それらについては、5
~7ページに設置要綱、委員の名前などがありますが、こういった検討会議を設置いたし
まして、まずは医療上の必要性の評価を行う取組を本年2月から開始しております。
 この医療上の必要性の評価の進捗状況については、本日追加資料5-2のA4縦の資料が
ございます。その374件について、資料5-2の上の表を見ると分かりますが、検討が終了
して、医療上の必要性が高いと評価したものが109件、必要性が高くないと評価したもの
が30件、医療上の必要性について、まだ検討中であるが133件、海外の承認等が確認で
きなかったものが99件、既にその時点で承認済みだったが3件で、検討が進められたと
いうことですが、これは4月末の状況でして、医療上の必要性が高いと評価された109件
のうち、1件については企業側から、海外での医療上の必要性は十分あるのではないかと
いうことについては、異論は無いけれども、国内については医療環境の違いがあるのでは
ないかという意見が出たこともあって、それを差し引いた108件については、5月21日
の段階で、国から関係企業に対して開発要請を行っております。
 この開発要請を行った108件については、4ページの横の表を見ますと、108件につい
て、どう企業が取り組めば良いかという評価の指標としては、一つは治験を着手すること。
もう一つは、公知申請に該当するものについては、公知申請を行うこと。大きく分けて、
この二通りのどちらかを行うことが評価の指標ということになっています。
 この評価の指標というのは、この検討会議の流れは、実は中医協とリンクしており、保
険上のいわゆる薬価維持特例という措置が、この4月から2年間にわたって試行的に実施
されているわけですが、企業がそういった開発要請を受けたことに対して、どう答えるか
によって、いわゆる薬価維持特例の措置について、それを維持するかどうかを評価すると
いう形を採っておりますので、企業側としてはそれなりに対応しなければいけないという
状況だということです。
 治験に着手するものでいくのか、あるいは公知でいくのかということで、基本的には公
知で行けるものについては、企業側としても公知で行きたいというところがありますの
で、公知申請の該当性について、5月末の要請以降、1か月程度において、企業側から公
知申請の該当性についての考え方を提出していただいて、それについて本当に妥当なもの
かを検討会議において評価したというのが、これまでの流れでございます。
 108件要請したうち、50件については未承認薬であり、58件については適応外薬です
が、基本的に公知でいけるものは適応外薬が対象になるかと思います。58件のうち、公
知申請に完全に該当するものの評価をまだやり切れているわけではないのですが、評価が
終わったものについて、5成分ということで8月上旬の検討会議において、これは公知申
請で該当性があると評価して良いのではないかという報告書がとりまとまったという状
況でございます。
 今回、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会においては、第一部会において該当する品
目が二品目、二成分ということで、第二部会に該当する成分は三成分ということで、その
三成分について、この後参考人の先生から報告書の内容について御説明をいただき、実際
に承認申請がなされて、PMDAにおける承認審査がなされるわけですが、それを迅速に
進めるためにも事前評価という形で、この部会において御確認をいただきたいということ
でございます。
○吉田部会長 お分かりいただけましたでしょうか。これから御説明いただく医薬品につ
きまして、本部会で公知申請で良いとするのか、これは該当しないのではないかという判
断をして欲しいということのようです。その後、もしゴーサインが出た際は、再度書類を
揃え、添付書類などその他が作成され、今度は通常の審査と同じよう議題という形で上が
ってくるということのようです。よろしいですか。それでは、参考人の安藤先生、よろし
くお願いいたします。
○安藤参考人 先程、御紹介いただきました検討委員会抗がん剤ワーキンググループの座
長をしております安藤と申します。よろしくお願いいたします。
 資料5の9ページの医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を踏まえた事前
評価について、個別品目のカペシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ノギテカンについて、説
明いたします。
 まず、カペシタビン、販売名ゼローダ錠の進行性胃癌に対する効能・効果の追加要望に
ついて説明いたします。配付資料5の9ページです。本件については、日本胃がん学会よ
り要望が提出されております。
 10ページの2.「要望内容における医療上の必要性について」を御覧下さい。胃癌は、
生命に重大な影響がある疾患で、本剤の使用は欧米において標準的治療に位置付けられて
おりますので、検討会議においても医療上の必要性が高いと判断されました。
 資料の21ページの一番上の(3)の「要望内容に係る公知申請の妥当性について」です
が、カペシタビンは、二つの海外の第III相試験成績を基に、欧州では白金製剤との併用
において、進行胃癌の効能・効果で承認されております。許可書やガイドライン等を基に
検討を行った結果では、カペシタビンは海外では治療選択肢の一つとして広く用いられて
いると判断いたしました。近年では、カペシタビンと白金製剤の併用療法の上乗せ効果を
検討する比較試験が複数実施されておりまして、これらの試験の一つに本邦からも参加し
て、日本人患者でのデータが得られている状況です。
 以上の内容から、検討会議ではカペシタビンと白金製剤の併用の切除不能進行・再発胃
癌に対する有用性を医学薬学上公知として判断可能として結論いたしました。なお、効能
・効果については、21ページに記載されている治癒切除不能な進行・再発の胃癌、22ペ
ージに記載されている用法・用量においては、白金製剤との併用でC法を使用するのが妥
当だと検討会議で判断されております。
 次にゲムシタビン塩酸塩(ジェムザール)について、25ページを御覧下さい。要望書は、
この件に関しては、日本臨床腫瘍学会及び卵巣がん体験者の会スマイリーより要望が提出
されております。
 26ページの「要望内容における医療上の必要性について」を御覧いただくと、卵巣癌
は生命に重要な影響がある疾患で、本剤の使用は欧米において標準的治療に位置付けられ
ておりますので、検討会議においても医療上の必要性は高いと判断されました。
 報告書の48ページの(3)の「要望内容に係る公知申請の妥当性について」ですが、ゲ
ムシタビンは海外第III相試験を基に、欧米では白金製剤であるカルボプラチンとの併用
において、進行性卵巣癌の効能・効果で承認されております。
 一方、近年ではゲムシタビンは、主に白金製剤抵抗性の再発卵巣癌に対して、ゲムシタ
ビン単独投与で広く用いられている現状です。国内使用実態及び国内外の文献、教科書、
ガイドライン等を基に検討した結果、検討会議ではゲムシタビン単剤投与の白金製剤抵抗
性の再発卵巣癌に対する有用性を、医学薬学上公知として判断可能と結論されました。な
お、効能・効果については、49ページに記載されているがん化学療法後に増悪した卵巣
癌で、用法・用量は50ページに記載されている用法・用量とするのが妥当と検討会議で
は判断されております。
 そしてノギテカン塩酸塩、販売名ハイカムチン注射用の卵巣癌に対する効能・効果の追
加要望について説明いたします。53ページのこの件に関しては、日本臨床腫がん学会、
卵巣がん体験者の会スマイリー、日本産婦人科学会及び日本婦人科腫瘍学会より要望が提
出されております。
 54ページの2.の「要望内容における医療上の必要性」に関しては、ゲムシタビンと同
様に、卵巣癌は生命に重要な影響のある疾患であり、本剤の使用は欧米において標準的な
療法に位置付けられており、検討会議においても医療上の必要性は、高いと判断いたしま
した。
 73ページの「要望内容に係る公知申請の妥当性について」は、ノギテカンは海外第III
相試験を基に、再発卵巣癌の効能・効果で、1日1.5mg/?u/日の用量で欧米では承認され
ております。
 一方、本邦では小細胞肺癌で、1回投与量が1.0mg/?u/日の用量で承認されております。
この為に海外の卵巣癌での承認用量である1.5mg/?u/日の用量での使用実績が少なかった
為に、1.5mg/?u/日での安全性の検討を目的とした臨床試験が国内で企業によって実施さ
れました。この試験成績で1.5mg/?u/日での用量での日本人の安全性は、十分にトレラブ
ルで管理可能であることが確認されました。
 以上の国内で行われた臨床試験の安全性の内容、教科書やガイドライン等を基に検討を
行った結果、検討会議ではノギテカン1.5mg/?u/日の白金製剤抵抗性の再発卵巣癌に対す
る有用性は医学薬学上、公知と判断可能と結論いたしました。なお、効能・効果について
は73ページに記載されているがん化学療法後に増悪した卵巣癌で、用法・用量は74ペー
ジに記載されているとおり1日量1.5mg/?u体表面積当たりを5日連日投与で、少なくと
も16日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返すのが適当と検討会議は判断し
ております。以上です。
○吉田部会長 安藤先生、簡潔かつ御丁寧な説明をありがとうございました。委員の先生
方の御質問、御意見等々をお受けしたいと思いますが、いかがですか。
○田村委員 この3剤とも、それなりに有効性が確認されています。日本における治療の
位置づけはそれぞれですが、少なくともこれらの薬剤が承認されていないことは、国際共
同臨床試験への参入において日本が非常に損すると思います。
○吉田部会長 ということは、公知の申請という方向性で良いのではないかという御意見
ですか。
○田村委員 はい。
○吉田部会長 ほかに御意見はございますか。特段御意見が無いようですので、本事項に
ついては、委員の先生方の御確認をいただいたということにしたいと思います。本日の議
題は以上ですが、事務局から報告はありますか。
○審査管理課長 本日配付の資料10を御覧いただきたいと思います。以前の部会で説明
させていただきまして、先生方には大変恐縮なのですが、この内容で第一部会、第二部会
の対象分野を見直すということで、薬事分科会にお諮りしたいと思っております。よろし
くお願いいたします。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。皆さんに快諾していただきました。それでは、そう
いうことで事務局で進めていただければと思います。ほかに御報告は、ございますか。
○事務局 次回の部会は、10月25日(月)午後4時から開催させていただく予定ですので、
よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 本日の部会を終わります。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線2746)

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