ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第85回厚生科学審議会科学技術部会 議事録(2014年7月18日)




2014年7月18日 第85回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年7月18日(金) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館 9階)


○出席者

永井部会長
相澤委員、今村委員、江藤委員、大澤委員
川越委員、桐野委員、塩見委員、玉腰委員
橋本委員、宮田委員、福井委員、門田委員

○議題

1.平成26年度厚生労働科学研究委託費の公募(第四次)について
2.平成25年度の厚生労働科学研究費補助金の成果の評価について
3.ヒト幹細胞臨床研究について
4.平成26年度戦略研究新規課題公募要項について
5.その他

○配布資料

資料1 平成26年度 厚生労働科学研究委託費 公募要項(4次公募)(案)
資料2-1 厚生労働科学研究費補助金の成果の概要(案)(平成25年度)
資料2-2 厚生労働科学研究費補助金の成果に関する評価(案)(平成25年度報告書)
資料2-3 厚生労働科学研究費補助金 研究事業の概要(平成25年度報書)
資料3-1 ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について
資料3-2 ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について
資料4-1 平成26年度戦略研究 健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究 公募要項(案)
資料4-2 平成26年度 健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究 申請書(案)
資料4-3 戦略研究新規課題の研究骨子(案)
資料5 認知症予防のための戦略研究に関する研究実施計画の評価について
資料6 国立保健医療科学院の評価報告等について
資料7 ヒトES細胞に関する指針の共管について
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2 厚生労働科学研究費補助金の成果表(平成25年度)
参考資料3 平成25年度 採択課題一覧
参考資料4 ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料
参考資料5 戦略研究ガイドブック
参考資料6 認知症予防のための戦略研究 研究実施計画書

○議事

○中山研究企画官 
傍聴の皆様には、既にお配りしている注意事項をお守りくださるようにお願いしたいと思います。
 定刻になりましたので、「第85回厚生科学審議会科学技術部会」を開催します。
 委員の皆様には、御多忙の中お集りいただきまして、ありがとうございます。本日は、8名の委員から御欠席という連絡を頂いています。委員数は21名で、出席委員は過半数を超えていますので、会議が成立することを御報告します。
 次に事務局ですが、厚生科学課長に椎葉茂樹が就任いたしましたので御紹介いたします。
 続きまして、本日の会議資料の確認をお願いします。まず、議事次第、座席表、資料は、資料1、資料2-1、2-2、2-3、資料3-1、3-2、資料4-1、4-2、4-3、1枚紙で資料5、資料6、資料7です。参考資料として、参考資料1~6まであります。資料の欠落等ございましたら、お知らせください。
 それでは、永井部会長、議事の進行をよろしくお願いします。
○永井部会長 
議事に入ります。「平成26年度厚生労働科学研究委託費の公募(第4次)」についての御審議です。事務局から説明をお願いします。
○中山研究企画官
 先ほどの資料の確認で忘れたのですが、A4の横紙で追加参考資料もありますので御確認ください。
 第1番目の議題として、今回、平成26年度の厚生労働科学研究委託費の公募要項の4次公募になっています。1次から4次までのことを簡単に説明します。先ほど申し上げた追加参考資料を見ると分かるとおり、委託の1次につきましては、本年の1月31日から1か月間ということで実施しています。これについては、昨年度で研究が終了するような事業について必要な見直しを行った上で新たに公募を行うということで、できるだけ今年度当初に間に合うようにということで、従来は11月頃にやっておりましたが、昨年度はいろいろ健康医療戦略の検討などがあったので、1月から2月にかけて実施したのが1次公募です。これは全領域にわたって、一通り満遍なくやっているという状況です。
 委託の2次というものは、基本的に3月までの予算成立を待ち、全く新たな研究事業を立ち上げようという場合には、3月までの国会での予算の審議を経て、それが成立してから公募を開始しようという趣旨で、4月16日から5月15日までということで実施したタイプが2次公募になっています。
 3次公募は、ここでの議論とは別でやりましたが、内閣府からの調整費を公募する時期と合わせて追加で公募するもの、あるいは委託の1次で、なかなかいい応募がなかったものなどの再公募などを含めて、委託の3次を実施しています。
 今回の委託4次ですが、行政上の必要性が生じる可能性があるということで、一部研究費を保留にしていたような研究費がありましたが、開始が遅れるのもよくないので、この段階で公募を開始したいということであります。
 そのほか、それに合わせて、3次公募のときと同様に、1次公募や2次公募の段階で思ったような応募が得られなかったようなものを追加で再公募するものも含まれているという位置付けです。4次公募の全体の総額としては、約11億円規模の公募になっていることをお知らせします。
 どのような公募課題が挙がっているかを簡単に触れさせていただきます。資料1の33ページです。1番目は、「再生医療実用化研究事業」です。33ページの下から6、7行目で、各分野において、ヒト幹指針に従って実施する臨床研究であるとか、34ページの上から3分の1の所で、企業の協力を得ながらプロトコールを組む治験又は非臨床試験などの研究課題を公募するという形になっています。これは、それぞれ1次公募や2次公募でも実施していますが、更に課題を追加したいということで公募を行うものです。
 更に、35ページの真ん中辺りに、iPS細胞を利用した創薬研究の公募課題も挙がっています。これについては、iPS細胞自体を治療そのものに使うということではなく、創薬研究の手段として使うというタイプの研究を行うもので、公募としては新規の課題になっています。
 さらに、40ページです。医療技術実用化総合研究事業で、臨床研究関係です。下から3分の1の所に課題名がありますが、臨床研究の質の向上・推進に資する国内外の実態把握・分析・情報活用に関する研究ということで、質の良い臨床研究を推進する上でのいろいろな取組を幅広く情報収集し、還元していこうというタイプの研究です。
 42ページです。これも臨床研究関係です。1番下に課題名がありますが、ARO機能を持つ「早期・探索的臨床試験拠点」及び「臨床研究中核病院」の機能を活用した臨床研究です。厚労省の事業として早期・探索的臨床試験拠点と臨床研究中核病院の整備をしていますが、そこで行われる臨床研究について、ARO機能を十分活用したような研究を実施するものを採択するということで公募を行うものです。
 次に、46~48ページの障害者対策総合研究開発事業です。その関連で46ページの一番下から47ページに3課題、48ページの一番上に1課題ということで、計5課題公募を行いたいということです。
 例えば、46ページの下にあるとおり、障害者の地域生活を支援するための機能支援機器の開発等に関する研究ということで、障害者の方々に対する機能支援に関する機器など、いろいろな技術開発といったタイプの課題が挙がっています。48ページの上は、訪問看護などの訪問支援を必要とする精神・発達障害者の治療やリハビリに役立つ機能支援機器開発も研究課題として挙がっています。こういったものが公募課題として挙げられています。
 52ページの下から53ページにかけて、生活習慣病対策関係の研究事業が3課題挙がっています。いずれも新規の課題です。52ページ一番下にあるとおり、生活習慣病の発症予防に資するための歯科疾患のスクリーニング技術の開発とその効果検証に関する研究、あるいは53ページ真ん中の、電子たばこにおける成分分析の手法の開発に関する研究などが挙がっています。
 さらに、56~57ページに、感染症対策関係で5課題の研究課題が挙がっています。56ページで、「顧みられない動物由来感染症」の対策及び検査法・治療法の確立に関する研究、百日咳の発生実態の解明及び新たな百日咳ワクチンの開発に資する研究などが挙げられています。57ページにいきますと、梅毒の新たな検査手法の開発等に関する研究というものも挙げられており、5課題ほど挙げられています。
 58ページです。下に研究課題が出ていますが、「統合医療」に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究事業として、59ページで、鍼灸又は「統合医療」の各種療法に関する科学的根拠の創出に関する研究ということで、やはり統合医療に関してのエビデンスの構築に資する研究を公募したいということで課題が挙がっています。
 60~61ページにかけては、ア、イ、ウと3課題ありますが、規制に資する研究ということで、レギュラトリーサイエンスと言われるタイプの研究課題かと思います。60ページのアと61ページのイは、基本的に医療情報データベースを整備する事業を医薬食品局で進めていますが、それに関係して、医療情報データベースシステムの品質管理及び標準化手法に関する研究といったもの、そういったデータベースを用いて、薬剤疫学研究等の実践的な分析手法及び教育に関する研究を実施したい、あるいは、バイオ医薬品の品質安全性評価に関する研究も課題として挙がっているところかと思います。簡単ですが、今回公募に挙げました課題について一通り触れさせていただきました。以上です。
○永井部会長
 それでは、御質問、御意見をお願いします。いかがでしょうか。
○桐野委員
 53ページの電子たばこに関してです。たばこに関しては、財務省が管轄をしており、電子たばこは、たばこなのかどうかという議論もあり、どこが最終的責任を負うかが難しい問題のようです。今、電子たばこよりも脱法ハーブのほうが問題になっているようですが、電子たばこも相当危ない可能性のあるもので、どうなるか分からない。今は大した影響力はないですが、米国などでは相当な数の製品が出回っていて、何を吸っているのかよく分からないという問題があります。これは、もちろんこの研究自体にどうということはないですが、多分これは相当拡大していくことを考えないといけないのではないかと思いました。
○永井部会長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか、ほかにいかがでしょうか。もし、御意見がありませんでしたら、平成26年度厚生労働科学研究委託費の公募につきましては、資料のとおり進めていただくことにします。
 もし、何か修正等がある場合には事務局で行い、必要に応じて私のほうで確認した上で内容を確定したいと思いますので、その点は御了承をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
                                  (了承)
○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、次の審議事項にいきます。「平成25年度の厚生労働科学研究費補助金の成果の評価」についての審議です。事務局から説明をお願いします。
○中山研究企画官
 資料2-1、資料2-2、資料2-3を用いて説明いたします。資料2-1の「目次」をざっと見ていただきたいと思います。基本的に厚生労働科学研究費で実施した各種事業が一通りあるということです。それぞれの事業については、各担当部局において、それぞれの研究者の方々からの実績の報告が上がってきておりますので、それは全体でどのような成果があったかとか、どんな研究成果が出たか、どういった行政施策への反映があったかという点についてまとめて、それを第三者の事後評価委員会のところで確認を頂いて、実際にどんな成果が上がったのかをまとめ上げたのが資料2-1になっているとお考えいただければと思います。
 まとめ方としては、例えば15ページ、再生医療実用化研究事業という事業に関して、研究事業の目的はどういうところにあったか、そして、課題採択と資金配分の全般的状況ということで、事業の予算額が幾らで、申請件数がどれぐらいあって、採択をどれぐらいしたかということもまとめております。さらに3においては、研究成果及び施策等への反映という趣旨で、どんな成果が上がったか。3-2、評価ということで、必要性、効率性、有効性という点でどういったことが言えるのか。16ページ、3-3、ここは1つ大事なところだと思いますが、研究事業の改善が必要な点及び課題等ということで記載されております。これは昨年も御指摘いただいて、改善が必要なところがいろいろあるならば、そういったところをしっかり出すべきではないかという御意見も頂いていたので、この点については、従来、課題ということだけでしたが、改善が必要な点も含めて、ここに記載するようにということで今年はまとめたということです。さらに4としては、客観的な数値の指標として分かりやすいということで、論文数などの成果を挙げており、そのような構成になっております。
 こういったものをそれぞれの事業で事務局がまとめ、事後評価委員会の先生方の第三者的な確認、評価を得た形として、「成果の概要」がまとめられているとお考えいただければと思います。
 実際、この中で事業としての改善すべき点とか、どのような課題があったのかという点について少し触れさせていただきます。基本的に、昨年度までやってきた事業については、全般的に十分な成果もありましたし、引き続き実施していく必要があるという観点のまとめが多いのですが、例えば課題として挙げられている点についてかい摘んで触れさせていただきます。18ページを御覧ください。例えば、創薬基盤推進研究事業については、3-3で、「日本再興戦略」では、「医療関連産業の活性化により、必要な世界最先端の医療等が受けられる社会の実現」、「民間資金の積極的活用」について言及されていることから、平成27年度からは官民共同による医薬品開発促進プログラムを推進していくことを目指すということが触れられております。
 さらに22ページを御覧ください。医療技術実用化総合研究事業、つまり、質の高い臨床研究とか、医師主導治験を推進する事業というところですが、22ページの3-3で、国際水準の質の高い臨床研究や医師主導治験を強力に推し進める必要がある。特に、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が1,000人未満と少なく、研究開発が進まない医薬品・医療機器(いわゆるウルトラオーファンドラッグ・デバイス)の開発を推進する必要があるという点に触れられております。
 生活習慣病対策総合研究事業については、30ページの3-3の2つ目のポツで、平成27年度~平成29年度には、健康日本21(第二次)の中間評価、第3期医療費適正化計画及び第7期医療計画のための議論が行われる予定であるため、これらの議論に資する科学的根拠を提出することが求められるということも挙げられております。
 45ページ、長寿科学総合研究事業については、平成27年度からは、介護サービスの質の評価を含めた、介護・医療関連情報の「見える化」の推進については、骨太の方針、成長戦略、健康・医療戦略等においても必要性が強調されており、この手法等を活用した地域の介護予防対策の推進等に関する研究を予定ということが触れられております。
 そういった形で研究成果の概要がまとめられているということです。この研究成果の概要を受けて、厚生科学審議会の科学技術部会として、厚生労働科学研究費補助金の成果に関する評価をどうまとめるかの(案)を作らせていただいたのが資料2-2です。
 資料2-2を御覧いただくと、基本的には「成果の概要」の主なものについては拾い上げた上で、今後の課題という点については、しっかりこういった課題を踏まえて進めていくべきであるという評価を行う形を取っております。「成果に関する評価」としては、どのような行政的な実績があったかというところに触れられているわけですが、例えば、28ページ、難治性疾患克服研究事業については、下から3行目、臨床調査研究分野においては、130の希少難治性疾患を対象に専門家が組織的に研究班を編成し、これらの疾患の実態解明、診断・治療法の開発・確立に向けた研究を実施していると。また、平成21年度より130疾患以外の原因不明の希少難治性疾患で、いまだ実態が明らかでない疾患について、疾患概念の確立を目指す研究等を行う「研究奨励分野」が創設され、平成25年度は69研究班において希少難治性疾患の疫学情報の把握や疾患概念を検討し、新たな診断・治療法の開発を行ったと。難治性疾患克服研究事業全体162課題において、治験が13課題、診療ガイドラインの作成・改訂が42課題で行われたということが触れられております。
 1段落飛び越しますが、重点研究分野では「リンパ脈管筋腫症に対するシロリムスの安全性確立のための医師主導治験」において、平成24年度より63例の患者に対し治験が開始された結果をもとに、平成25年度10月についてPMDAと相談が行われ、平成26年度中に薬事承認の見込みとなったという成果も挙げられております。
 先ほど今後の課題として申し上げたところも、こういった成果の評価という部分では盛り込まれた形になっております。
 最後に「まとめ」のところですが、56ページから57ページに「終了課題の成果の評価」として書かれております。数値として出せるものということで、評価の視点として使っておりますが、今回、個別の研究成果の数値が得られた430課題について、原著論文としては総計2万2,495件など、数多くの論文、学会発表があったということです。厚生労働省をはじめとする行政施策の形成・推進に貢献する基礎資料や、治療ガイドライン、施策の方向性を示す報告書、都道府県への通知、医療機関へのガイドライン等、施策の形成等に反映された件数及び予定反映件数を集計したところ197件であったということで、行政施策に資する研究が進められたということが数値をもっても言えるのではないかと考えております。
 57ページには数値の一覧表が出ております。58ページの5.「おわりに」というところには、今申し上げたような学術的な成果のほか、施策の反映についてもあったということで、行政課題の解決に資する成果を上げている研究事業があるものと評価できるということです。公募研究課題については、応募課題数の53.2%が採択・実施されており、必要性、緊急性が高く、予算的にも効率的な研究課題が採択されております。研究事業の課題の見直しも行われていて効率性が高いものと考えられる。ここについては、その次の段落にあるとおり、実際に研究については中間評価、事前の採択のときの評価と共に、中間評価を行った上で、当初の計画どおり研究が進行しているか否か到達度評価を実施しているということで、必要な場合は研究計画の変更・中止も実施されているということで、そういった意味で効率性や妥当性は高いと言えるのではないかという評価をしております。
 また、いずれの事業においても、行政部局との連携の下に研究が実施されていると。政策の形成、推進の観点からも有効性はあると考えられるが、国民の健康・福祉の向上に一層資する研究がなされるよう、今後とも政策等への活用の観点も踏まえた研究成果の的確な評価及び評価結果を踏まえた研究の推進を図る必要があると考えられるとしております。以上のような形で評価(案)を作成しております。以上です。
○永井部会長
 ありがとうございました。
○中山研究企画官
 1つ付け加えさせていただきます。この評価結果の報告書ですが、飽くまでこれは各部局の各事業の評価委員会に諮った上でまとめたものですので、その点はよろしくお願いします。
○永井部会長
 それでは御質問、御意見をお願いいたします。
○今村委員
 医療分野というのは、今、最もイノベーションが期待される分野であると思います。そういったような意味で、資金の需要が非常に大きくなると思います。そういう意味では国の補助金だけでは到底足りないと。そういったようなことで、ここにも少し掲げられておりますが、官民共同の研究の推進というのも大きな課題であると思います。
 ともすれば、COIに抵触しかねないような問題が、多くはないと思いますが時折起こってくる問題に対して、やはりメディアは大きく取り上げる。そうすると、こういったような研究分野において国民の信頼がなかなか得にくくなるということもありますので、各研究機関においては、IRBの機能をきちんと機能させていただくことをお願いしたいと思います。
○永井部会長
 ありがとうございます。ほかにいかがですか。今のような研究の進め方、基盤体制については、もちろん臨床研究中核拠点というのがありますが、それだけの問題ではと思います。これはかなりインフラをしっかりしないと、いろいろな問題が起こってきます。その辺の支援というのはどうなのでしょうか。中核拠点はよく分かりますが、もっと末端の様々な機関で研究は行われるわけですから、そこをある程度整備する事業というのはいかがですか。これまでの評価も含めてです。
○中山研究企画官
 実際に厚労科研費を出す際には、COIの管理についてしっかり行わなければいけないという条件を公募要項の中にしっかり書いた上で交付するという形を取っております。それは厚労科研費だけではなく、文科省の科研費も同じような考え方でやっているということですので、そこをしっかりCOIの管理については徹底することが1つのやり方としてはあるのではないかと考えております。
○永井部会長
 あとはIRBの整備です。普通は、IRBで大体チェックはしているのだと思いますが。
○中山研究企画官
 それはIRBと言いますか、COI委員会というのが別途あると思いますので、そこでということになろうかと思います。
○永井部会長
 よろしいですか。もし御意見がなければ、また、後ほどお気付きの点、御意見等を1週間後の7月25日までに事務局へメール等で御送付いただきたいと思います。本日頂いた御意見と合わせて取りまとめをし、科学技術部会としての最終版を作りたいと思います。作成は部会長に御一任いただければと思います。よろしいですか。
                                  (異議なし)
○永井部会長 
ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
 次は議事3の「ヒト幹細胞研究実施計画の申請」について御審議をお願いします。順天堂大学からの申請については、6月25日に厚生労働大臣より諮問され、6月26日当部会に付議されております。事務局より御説明をお願いいたします。
○一瀬研究開発振興課長
 資料3-1の3ページ、今回の研究課題名は「難治性四肢潰瘍患者を対象とした自己末梢血単核球生体外培養増幅細胞移植による血管・組織再生治療に関する第I相試験臨床研究」です。実施施設は順天堂大学、研究責任者は田中里佳医師です。対象疾患は難治性四肢潰瘍。ヒト幹細胞の種類は、自己末梢血単核球に含まれる血管内皮前駆細胞です。実施期間は厚生労働大臣意見発出日から2年間。対象症例数は10症例です。
 治療研究の概要については、4ページに図が書かれております。まず、1日目に外来で末梢血100mlを2回採取します。この採血の間隔は4時間以上空けるとされております。採取した末梢血から単核球を分離して、7日間培養し、安全性試験の後、全身麻酔下で患部周辺の筋肉へ注射するというものです。事務局からは以上です。
○永井部会長
 いかがでしょうか。4ページに図でプロセスが説明されております。御質問、御意見を頂ければと思います。よろしいですか。御異議がなければ、この申請については、審査委員会で審査を行っていただいて、結果が報告された時点でこちらの部会で総合的に判断したいと思います。よろしいですか。
                                  (異議なし)
○永井部会長
 ありがとうございます。議事4、「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見」についての御審議です。奈良県立医科大学、ほか4件からの申請です。大阪市立大学の研究計画では、国立循環器病研究センターが共同研究機関となっているため、橋本委員は大阪市立大学の研究計画についての審議におきましては発言をお控えいただきたいと思います。奈良県立医科大学、ほか4件の申請については、審査委員会の検討結果を事務局より御報告をお願いいたします。
○一瀬研究開発振興課長
 資料3-2、「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について」、全部で5件あります。まず、1件目は2ページを御覧ください。研究課題名は「偽関節を対象とした自己骨髄培養細胞由来再生培養骨と骨芽細胞シート複合体の有用性を検証する研究」です。実施施設は奈良県立医科大学、研究責任者は川手健次医師です。対象疾患は非感染性偽関節です。ヒト幹細胞の種類は、自己骨髄間葉系細胞。実施期間は、厚生労働大臣意見発出日から7年間。対象症例数は15症例です。
 3ページ、ヒト幹審査委員会における審議概要と、主な変更内容を記載しております。審査回数は2回です。第1回の審議は平成25年11月27日に行われました。対象疾患を明確にという意見が出され、非感染性偽関節を対象とするとの回答を得ました。また、交差汚染を防止するよう意見が出され、適切な室圧が提示されました。
 第2回審議は平成26年5月29日に行われました。有用と判断する基準を示すよう意見が出されて、骨癒合の判定方法等が示されました。検討結果は、本実施計画の内容が倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っております。
 2件目は26ページ、研究課題名は「新生児低酸素性虚血性脳症に対する自己臍帯血幹細胞療法」です。実施施設は大阪市立大学、研究責任者は新宅治夫医師です。対象疾患は新生児低酸素性虚血性脳症。ヒト幹細胞の種類は、ヒト臍帯血幹細胞。実施期間は、意見発出日から3年6か月間。対象症例数は6症例です。
 27ページ、審査回数は2回です。第1回目の審議は、平成25年11月27日に行われました。安全性試験であることを明確にするよう意見が出されて、内容が変更されております。また、72時間保存後の細胞数等の確認について意見が出されて、データが示されております。
 第2回審議は平成26年5月29日に行われました。温度管理について詳細に記載するよう意見が出され、作業手順書に追記されました。検討結果は、倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っております。
 続いて3件目、72ページ、研究課題名は「同種細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究」です。実施施設は東海大学医学部、研究責任者は佐藤正人医師です。対象疾患は外傷又は変性により生じた膝関節軟骨損傷。ヒト幹細胞の種類は、多指症由来関節組織より単離した軟骨細胞由来の細胞です。実施期間は、意見発出日から5年間。対象症例数は10症例です。
 73ページ、審査回数は1回です。審議は平成26年5月29日に行われました。交差汚染を防止するよう意見が出されて、室圧が適切に設定されました。また、エンドトキシン規格値を設定するよう意見が出されて、日本薬局方の規格値が設定されました。検討結果は、倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っております。
 4件目、124ページ、研究課題名は「骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷(ASIA機能障害尺度A,B)に対する第II相試験」です。実施施設は田附興風会医学研究所北野病院、研究責任者は鈴木義久医師です。対象疾患は脊髄損傷。ヒト幹細胞の種類は、自家骨髄単核球細胞です。実施期間は、意見発出日から2年6か月間。対象症例数は20症例です。
 125ページ、審査回数は3回です。第1回審議が平成25年11月27日に行われました。試験デザイン変更の意見が出されて検討されております。また、環境測定をするよう意見が出されて、測定を行う旨が示されました。第2回審議は平成26年3月24日に行われました。何らかの比較を行うよう意見が出されて、ヒストリカルデータと比較するという回答を得ております。第3回審議は平成26年5月29日に行われ、臨床研究保険への加入を検討してくれという意見が出されて、加入するとの回答を得ております。第4回審議は開催しておりませんが、適切な資料等が提出されたことから、当該計画を了承いたしました。検討結果は、倫理学・科学的に妥当であるという判断に至っております。
 最後は5件目です。160ページ、研究課題名は「非代償性肝硬変患者に対する培養自己骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法の安全性に関する研究」です。実施施設は山口大学医学部附属病院、研究責任者は坂井田功医師です。対象疾患は、非代償性肝硬変症。ヒト幹細胞の種類は、自己骨髄細胞です。実施期間は意見発出日から4年間。対象症例数は10症例です。
 161ページ、審査回数は1回です。審議は平成26年5月29日に行われました。肺塞栓症への対応について意見が出されており、モニタリングを行う旨などが示されております。第2回審議は開催しておりませんが、適切な資料等が提出されたことから、当該計画を了承しております。検討結果は、倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っております。事務局からは以上です。
○永井部会長
 ただいまの御説明について、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○今村委員
 2題目の大阪市立大学の「新生児低酸素性虚血性脳症」に対してお聞きします。この疾患というのは、脳性まひの主要な原因であって、また、脳性まひの治療法はほとんどまだないということから、非常に画期的な取組ですし、意義深いものだと考えております。
 一方、脳性まひというのは、きちんとした診断ができる時期というのが、少なくとも6か月、あるいは1年以降ということですので、この低酸素性脳症の診断基準はどうなっているのか。あるいは、これについての治療法の成果の評価方法はどういうふうになっているのか。もし事務局で、ここに記載されている以外にお分かりのことがあれば教えていただきたいと思います。
○永井部会長
 いかがでしょうか。
○一瀬研究開発振興課長
 36ページを御覧いただくと、「被験者等の選定基準」が書かれております。その中で中段ぐらいに、「本研究では「中等症以上の新生児低酸素性虚血性脳症」を選定基準の一つとしている」ということで、「中等症以上」の定義は世界的に統一されている云々という記載があり、こちらを利用しているということですが、それでお答えになっていますか。
○今村委員
 はい、分かりました。評価方法はどうなのですか。
○一瀬研究開発振興課長
 評価方法については、今回の研究は第I相試験ということで、安全性を中心に見ておりますので、特段、はっきりしたものはないということです。副次的に評価する形で、28ページに図がありますが、「副次項目」として「1歳6か月まで追跡し、後遺症の率、頭部MRI、発達指数を調べる」という記載があります。
○今村委員
 今回の研究が安全性を中心とした研究ということで、要するに臨床的な評価というのは、もう一段先という理解でよろしいですか。
○一瀬研究開発振興課長
 はい、おっしゃるとおり、これは第I相ということで、安全性を中心に見る研究と理解しております。
○今村委員
 はい、分かりました。
○永井部会長
 ほかにいかがですか。よろしいですか。
○川越委員
 今の質問と関連しますが、これはフェーズ1ということはよく分かるのですが、こういう治療は動物実験でも、あるいは何か最終的に有効であるというデータがあったら教えていただきたいのですが。ただ、これはやれますよというだけの研究では、どれだけの意義があるのかなと疑問に思いますので、先ほどの評価方法はどうなっているのかということと関連して、その点について教えてください。
○一瀬研究開発振興課長
 資料の33ページの下のほうに書かれていますが、カニクイザルなどでの前臨床試験を行ったということを頂いております。
○川越委員
 ここの「ヒストリカルコントロールと比較し有意な改善を認めている」と。つまり、この治療法に対しての一定の評価というのは、既にあるという理解でよろしいのですね。
○一瀬研究開発振興課長
 はい。
○川越委員
 ありがとうございました。
○永井部会長
 よろしいですか。それでは、もし御質問、御意見がなければ、審査委員会からの報告については、科学技術部会として了承し、厚生科学審議会へ報告いたします。ありがとうございました。
 続いて、議事5と議事6です。「平成26年度戦略研究新規課題公募要項」について御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。併せて、「認知症予防のための戦略研究に関する研究実施計画の評価」についても御報告をお願いします。事務局から説明をお願いします。
○椎葉厚生科学課長
 資料4-1、4-2、4-3、資料5に基づきまして御説明いたします。まず資料4-1は「平成26年度戦略研究の公募要項(案)」です。iページは目次で、I.戦略研究について、II.公募課題、III.公募に関する諸条件等、IV.照会先となっています。
 1ページは、戦略研究とは何かということで御紹介しています。最初のパラグラフは、「戦略研究」とは、国民の健康を維持・増進させるために、優先順位の高い慢性疾患や健康障害を標的として、その予防や介入など、国民の健康を守る政策に関連するエビデンスを生み出すために実施される大型の臨床研究という位置付けです。
 2ページは、戦略研究に関する公募の選考プロセスの概要について示しております。戦略研究では、期待される成果が確実に得られるよう、具体的な研究実施計画書の策定、研究体制の構築などの事前の準備を十分に行うことが重要だとなっております。
 具体的には平成27年度から開始されることになりますが、下の図を見ていただくと、平成27年度の前の26年度中に研究プロトコールの骨子の公募をさせていただき、粗々の骨子を公募して一次選考をし、その後、二次選考に向けたフル・プロトコールを作成して、二次選考を通った方に実際の戦略研究をやっていただくという位置付けです。
 4ページに具体的スケジュールを示しており、図3は研究実施に向けたスケジュールです。最初に、平成26年8月頃ですが、研究プロトコール骨子の公募をさせていただき、一次選考を9月頃に予定しており、このプロトコール骨子の中で、良いものを1~10課題ほど採択をする予定です。その後、一次選考に通った方については、フル・プロトコールなどを作っていただき、最終的には二次選考は平成27年3月中旬頃を予定しておりますが、実際に良いものについて1~3課題程度採択をし、こちらについては科学技術部会で審議をさせていただく予定です。こうして通ったものが平成27年度から戦略研究を開始するという仕組みです。
 5ページは実際の平成26年度の公募課題です。課題は「健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究」です。今回の資料では別紙1、資料4-3ですが、後ほど御説明いたします。これに基づく戦略研究の目的や研究方法を踏まえて、これにふさわしい研究対象及び研究プロトコール骨子を公募いたします。具体的な評価項目は1~4までありますが、まず設定されたリサーチクエスチョンの社会的インパクトはどうであるかということや、使用するデータベースの内容はどうなっているか、データベースを用いた研究実績があるか、研究実施体制はどうなっているのかという評価項目4点について評価をする予定です。
 6ページ、7ページは、実際の応募に関する諸条件です。まず6ページの(1)応募資格者です。7ページは(2)研究組織及び機関、(4)研究費です。まず研究実施計画書等の作成に係る経費については、1件当たりおおむね100万円程度で、二次選考を通った方については1件当たり1年間でおおむね百万円から5,000万円程度、大型の臨床研究です。(7)応募に当たっての留意事項として、「厚生労働科学研究費補助金公募要項」によるものですが、必須事項として、8ページの研究実績ということで、大規模データベースを用いた研究を経験した実績があること、実施体制については、精通した専門家以外に疫学の専門家や情報の解析に関する研究実績を有する研究者も参画していること。書類は、(9)に(様式1)とありますが、これは資料4-2で御説明いたします。そういう公募要項です。
 資料4-2の「申請書(案)」です。これは公募の応募様式になっておりますが、1ページは課題と申請者のいろいろなことを書いていただくことになっています。3ページが先ほど御説明しましたリサーチクエスチョンの設定について記載をしていただくということです。4ページはどういったデータベースを使うかを記載していただく。5ページは実施体制はどうなっているかということです。8ページは「研究者の研究歴等」で(5)に下線を引いていますが、大規模データベースを用いた解析研究については強調していただきたいということや、※を付けていますが、その業績については代表的なものに論文などを添付していただきたいとしています。
 資料4-3です。今回の研究課題に関して、関連する先行研究や戦略研究企画・調査専門検討会で取りまとめた研究のコンセプトを記載しております。まず研究課題名、この研究に至るいろいろな背景を記載しております。
 2ページは、データベースの活用による先行研究の状況について事例の紹介をしております。データベース等構築の現状という事例紹介を4~5ページに書いており、5ページの下からは内容はどうだとか、要件などを具体的に書いておりまして、研究者はこういった一連の資料を見て応募していただくという仕組みです。
 次に、資料5「認知症予防のための戦略研究に関する研究実施計画の評価」について説明いたします。課題名は「高齢者の認知機能低下に関わる諸因子観察と予防介入による抑制効果の検討」です。この研究は、高齢者の認知機能低下、認知症発症に関する諸因子の観察と認知症発症予防の運動習慣獲得プログラムの有効性を検証するための比較試験を目的とした戦略研究の実施計画書を作成することを目的に行われたものです。
 この戦略研究としての実現可能性は、平成26年6月27日に開催した「第40回戦略研究企画・調査専門検討会」において、平成25年度研究事業の成果である研究実施計画書及び計画を実施する上でのマニュアル等を踏まえて検討されています。委員からは、「運動介入プログラムやそれに基づくマニュアルが示されるなど、成果は認められる」とする意見があった一方で、「介入方法としての運動プログラムの有効性の客観的な評価方法等について更に検討が必要ではないか」という御意見や「研究計画は洗練されたものの、現段階では本研究を実施するに当たり、学会等を挙げて総力的に取り組んでいけるような計画になっていない」という御意見もありました。また、「今後、戦略研究とは別の研究事業でエビデンスの構築を行うことなど、研究を進めていくことも研究してもよいのではないか」という御意見もありました。
 こうした御意見を踏まえて、戦略研究企画・調査専門検討会においては、本計画書による戦略研究の実現可能性は低いと判断されたものです。しかしながら、認知症の予防に関する研究に関しては、今後も進めていく必要があるとされました。以上です。
○永井部会長
 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いいたします。
○玉腰委員
 今、御説明いただいた資料5の認知症予防のための戦略研究に関して、プロセスがよく分からないのですが、資料4-1の4ページの戦略研究の実施に向けたスケジュールに沿って進められていて、実施計画書とマニュアルが出てきたところで、こういう判断になったということでよろしいのですか。
○三浦技術総括審議官
 資料4-1については、いわゆるビッグデータを用いた研究についてのプロセスを書いたものです。
 それに対して資料5は、これとは別途に介入研究を行うためのプロセスに基づいて研究が進められてきたものの現在の状況ということで、必ずしも資料4-1と資料5は同じ目で見ていただく必要はないということです。
○玉腰委員
 ということは、戦略研究でもテーマによってスケジュールが違うということですね。
○三浦技術総括審議官
 おっしゃるとおりです。資料4のほうは戦略研究における新しい取組としてビッグデータを用いた研究を進めてみようということです。従来、この戦略研究は介入研究を中心とした研究として進んでいましたので、そういう意味では資料5のほうは従来型の戦略研究の進め方で、資料4はむしろ新しい試みとしての研究の進め方になるということです。
○玉腰委員
 それでは、資料5の今回の認知症予防のための戦略研究に関して、このような判断になったということですが、このテーマの設定の問題ではなく、これはこういう形になってしまったのはどこに問題があるのかをお聞きしたいのです。原因として、要は実施可能性が低いという判断は、戦略研究の今回の介入を考えるところのグループというか何か分かりませんが、そこの問題なのか、どこの設定段階に問題があったためにこういう結果になっているのでしょうか。
○三浦技術総括審議官
 資料5に書いてありますように、今、認知症予防のための戦略研究はどの段階にあるかというと、フル・プロトコールを作っていただくという段階にあるわけですが、そのフル・プロトコールを専門検討会で評価したところ、フル・プロトコールとしては更に改善を要する部分があるというご指摘でした。客観的な評価方法について更に検討が必要だとか、学会等を挙げて総力的に取り組んでいただけるような計画になっていないということで、フル・プロトコールとしては、まだ実現可能性が低いという判断がこの専門検討会で下されたということです。
○玉腰委員
 この後はどうなるのですか。
○三浦技術総括審議官
 御意見として専門検討会で出てきているものとしては、例えば、戦略研究というやり方でやらなくてもいいのではないかという御提案や、このままでは実現可能性は低いということで、更にブラッシュアップすることもあるのではないかということで、ここはまだ専門検討会での議論をしていく部分があるのだろうと思っています。
○玉腰委員
 止まったということではないのですね。まだ議論の余地はある状態という理解でよろしいですか。
○三浦技術総括審議官
 この問題については、以降この専門検討会では議論しないということではなくて、むしろこういう形で研究者の方々に一度返した上で、どのように取り組んでいくのかということになるのではないかと思います。
○玉腰委員
 ありがとうございました。
○永井部会長
 ほかにいかがですか。
○川越委員
 今のことと関連するのですが、三浦審議官のお話を伺っていると、これは試験的に動かした臨床研究であって、行く行くはフルのプロトコールを作っていくためのパイロットスタディとか、preliminaryなものだったということで位置付けられたと。それが実際にフルのところへ持っていくには、まだ時期尚早ではないかという理解でよろしいのでしょうか。
○三浦技術総括審議官
 むしろもう少し段階としては後ろのほうで、介入研究を進める最終のプロトコールを作っていただく段階で、まだブラッシュアップが必要だという御意見だったと理解しています。
○川越委員
 そのことに関連して、これは実際に走っていた臨床研究ですよね。そうではないのですか。
○三浦技術総括審議官
 まだ着手していません。
○川越委員
 そうですか。それでは結構です。ありがとうございました。
○相澤委員
 資料では、スケジュールと進行状況が分かりにくかったと思います。今後の審議においては、スケジュールと進行状況を資料で明確にしていただいた上で、説明をしていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
○永井部会長
 ほかに御意見はいかがですか。
○川越委員
 大規模データベースを使っての研究が戦略研究に位置付けられているのは、すごく良いことだと思います。1つ分からないのは、大規データベースという定義がなされているのかということと、この研究成果は、宝が眠っているのに掘り起こされていないから、宝を掘り起こそうという発想なのか、何を目指しているのかというのがピンとこないのですが、その2つの点を教えてください。
○三浦技術総括審議官
 この大規模データベースを用いた研究については、1つは、そういうデータベースを動かすことによって、どのような成果が期待できるのかという、いわば大規模データベースの活用方法についての検討を進めるための研究と考えていただければと思います。
 御指摘のとおり、大規模データベースについての定義はここでは行っておりませんが、それがどのぐらいの規模であるかどうかについては、この提案を各研究者から頂いたときの評価の際に、その規模などを勘案しながら採択、不採択を決めていくべきものではないかと考えております。
○永井部会長
 戦略研究が、これまで介入研究だったものを、既存のデータ、あるいはこれから集めるデータでも、観察研究からいろいろな知見が得られるのではないかということだと思います。
 よろしいでしょうか。そうしましたら、ただいまの平成26年度新規課題については、公募を行うことにしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、「国立保健医療科学院の評価報告等」について、御報告をお願いいたします。本日は国立保健医療科学院の松谷院長に御出席いただいております。まず、松谷院長から御説明をお願いいたします。
○松谷院長
 国立保健医療科学院の松谷でございます。よろしくお願いします。本日は、先般、行われました科学院の機関評価、及び当院としての対処方針について御説明いたします。
 国立保健医療科学院は、御存じの方もおられるかと思いますが、埼玉県和光市に位置しておりまして、近隣には司法研修所、税務大学校、今、話題の理化学研究所といった研修・研究機関が立地している所です。
 当保健医療科学院は、厚生労働省の研究機関で、保健医療、生活衛生及びこれに関連する社会福祉に関する職員等の養成・訓練、並びにこれらに関する学理の応用の調査研究を行っている所です。平成21年に受けました行政刷新会議による、いわゆる事業仕分けにおいて、研究体制の組織のスリム化、見直しの指摘を受け、科学院の評価委員会の見解を踏まえて、平成23年度に当院として組織の大幅な見直しを行っております。
 それでは、お手元の資料6に沿って御説明したいと思います。機関評価そのものは3年に1度ということになっておりまして、平成23、24、25年度の3か年の期間をその対象としております。組織の見直し後、初めての機関評価となっております。資料のページについては、通しページ番号で説明してまいります。
 5ページの「目次」です。このページにありますように、第1「養成訓練」、第2「調査研究」、第3「組織」、第4「国際協力等の状況」、第5「研究者の養成及び確保並びに流動性の促進」、第6「社会貢献」、第7「その他」、第8「総合評価」といった項目で評価を頂いております。
 25ページからは、この評価に対する当院の「対処方針」を示しております。時間の関係もありますので、本日は、主要な業務である養成訓練及び調査研究を中心に御説明したいと思います。こちらにあります対処方針の中で、それぞれ評価を頂いた項目に関する意見を要約してありますので、これに沿って御説明したいと思います。
 25ページの第1「養成訓練」の1)運営体制・課程の設定です。評価では、研修内容の選定においては、方法論をしっかりと構築するとともに、地方公共団体等の意見を踏まえるべきとの御意見を頂いております。対処方針としては、養成訓練について、その活動や相互調整を適切に実施するため、設置されている教務会議において調整を実施するなど、組織的に決定をし、また研修内容の選定については、自治体からの意見聴取等を通じて、総合的に検討してまいりたいと考えております。
 27ページの4)我が国の公衆衛生専門人材の養成に科学院が果たす役割についてです。科学院の養成訓練・調査研究体制の今後の充実を図る方策として、“連携大学院”が挙げられ、全国をカバーしたネットワークの構築を図り、指導的役割を果たすことが期待されるとの期待が示されています。
 これに対する対処方針として、連携大学院について、将来的な展望を踏まえつつ、実施に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。現在、具体的に大学等と協議を始めたところです。
 27ページの第2「調査研究(競争的資金、重点資金及び基盤的資金等によるもの)」。28ページの2)科学院としての調査研究。科学院の大きな使命の1つは、政策決定に資する公衆衛生分野での科学的根拠の提供で、このため、政策提言のための戦略的な研究の実施が求められているとの御意見を頂いたところです。対処方針として、調査研究内容の検証を実施しつつ、政策決定に資する科学的根拠の提供を効率的、効果的に行う調査研究を進めてまいりたいと考えています。
 28ページの最後の行の3)調査研究課題。我が国の政策評価研究の発展において恒常的かつ中心的な役割を担うことが期待されるとの御意見を頂きました。対処方針としては、政策評価研究の実施の現状も踏まえ、調査研究の方向性について更に検討を考慮し研究委員会において、調査研究内容の検討等を行いつつ、課題を合理的に選択し、研究資源の効果的な活用を進めてまいりたいと考えています。また、成果について、適切で分かりやすい情報発信について、継続的に検討してまいりたいと考えております。
 29ページの第3「組織」では、適正な組織体制の検討等の御指摘を受けました。
 31ページの第4「国際協力等の状況」ですが、32ページに中身があり、4分野のWHOコラボレーションセンターへの評価と、戦略的・組織的な実施の仕組みの重要性の御指摘を受けたところです。なお、WHOコラボレーションセンターは今年5月にたばこ有害成分分析を中心としたたばこ対策のセンターとしても新たに登録を受け、科学院は現在、5分野で活動を行っています。
 32ページの第5「研究者の養成及び確保並びに流動性の促進」です。流動性の確保のための関係機関との連携や交流の重要性について、御指摘を受けております。
 33ページの第6「社会貢献」では、より一層の貢献について御指摘を受けました。
 33ページの第7「その他」は2つの分野においてのFunding Agencyとしての活動について評価を頂きました。
 34ページ、第8「総合評価」です。これまでの総合的なおまとめを頂き、その中で、戦略的な研究、政策提言を目指した中長期の戦略を策定してはどうかとの御意見を頂きました。これについては、今後、適切に対処してまいりたいと考えております。なお、中長期の戦略については、主要メンバーで構成する会議を設置して検討を開始したところです。以上で今回の3年間分の当院の機関評価に対する対処方針についての御説明を終わりたいと思います。
○永井部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御意見、御質問をお願いいたします。
○福井部会長代理
 非常に細かい点ですが、22ページの下から3分の1のパラグラフです。私自身、公衆衛生院という名称のほうが直接アクティビティを伝えられるよう以前から思っていました。そのような意見がここに書かれております。それについて、先生御自身はどうお考えでしょうか。
○松谷院長
 難しい御質問ですが、福井委員御指摘のとおり、この評価委員会でも名称の問題についての御指摘を頂いたところです。国立公衆衛生院は、平成14年、今から12年前に旧国立公衆衛生院と旧国立医療・病院管理研究所が合併をして、現在地でスタートしました。旧国立公衆衛生院は昭和13年からの歴史があり、この公衆衛生分野の関係の方々には、非常に人口に膾炙したという機関で、それの指導的役割を果たしてきた機関ですので、名称として大変インパクトが今でもあります。今も国立保健医療科学院というと、名前が、こう言っては何ですが、幅広いものですから「何をする所ですか」と必ず聞かれることがあります。「旧の国立公衆衛生院です」と言うと、「ああ、なるほど」と分かるという状況であることは事実です。12年前にスタートしたときの経緯と、実際に国の機関として政令で名称も含めて、その役割が規定されているところですので、変更についてはなかなか難いところがありまして、難しい面もあるのですが、御指摘もいただいたところですので、何とかもう少し分かりやすい名前がないものか模索はしたいと考えております。
○永井部会長
 ほかにいかがですか。
○川越委員
 少ないか多いかというのはちょっと問題ですが、こういう機関の評価をするとき、必ず、予算が少なくて人が足りないという指摘や、あるいは要望みたいなものがあったりするのですが、そういう人員の配置などについての評価委員会からの評価は何かあったのでしょうか。
○松谷院長
 項目の1つに第3「組織」がありまして、その中で、組織定員あるいは予算についての御説明も申し上げ、若干の御意見も頂いておりますが、説明の中で、国の機関として予算の枠あるいは国家公務員としての定員の枠があるということを御説明いたしました。そういう前提の下での御議論を頂いたところです。
○川越委員
 一応足りているという認識でよろしいのでしょうか。
○松谷院長
 科学院長としては、足りていなくて、もっとということで来年度に向けても人員の要求等はしていますが、これは国全体の国家公務員の定員の話とどこで調和をとるかということになろうかと思います。科学院としては、せっかく組織をスリムにして活動的にしたところですので、その活動を生かせるような人員配置、予算になればと思っています。
○永井部会長 
よろしいでしょうか。御意見がなければ、この件は了解ということで次に進みたいと思います。
 続いて、「ヒトES細胞に関する指針の共管」について、事務局から説明をお願いいたします。
○一瀬研究開発振興課長
 資料7「ヒトES細胞に関する指針の共管について」、御報告いたします。1ページの1.「経緯」です。総合科学技術会議の前身である科学技術会議が平成12年の小委員会において、ヒトES細胞については基礎的研究に限定することを決めています。これに基づいて、文部科学省で作成していた「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針」においては臨床利用が禁止されておりました。
 その後、状況の変化があって、海外においてはヒトES細胞由来の細胞を用いた臨床研究は開始されております。また、昨年11月に「再生医療等の安全性確保等に関する法律」が成立しております。
 こういったことを受けて、総合科学技術会議の下部組織において、ヒトES細胞の臨床利用について検討が行われ、平成26年4月24日に報告書を出しております。その報告書が3ページ以降に付けてありますが、こちらの中でヒトES細胞の臨床利用が認められております。その認められたことを踏まえて、文部科学省において、現在のヒトES細胞樹立指針の見直しが検討されてきました。文部科学省の検討の中で、現行の指針のうち、樹立に係る部分については「樹立指針」として新たに整理し直すとともに、利用目的が臨床利用にも拡大されることから、この樹立指針を文部科学省と厚生労働省とで共管することが提案されてまいりました。
 2.「指針見直し後の体制について」ですが、見直し後のヒトES細胞樹立指針については、文部科学省と厚生労働省の共管といたします。新たなヒトES細胞を樹立する際には、文部科学大臣又は厚生労働大臣の確認が必要となる予定であることから、厚生労働大臣の確認が必要となる場合については、資料の一番後ろに付けてありますが、今後、厚生科学審議会再生医療等評価部会ができますので、こちらの方の意見を求める予定としています。事務局からは以上です。
○永井部会長
 それでは御質問、御意見をお願いいたします。
○相澤委員
 確認ですが、共管にするということは、内容については双方を調和させるという理解でよろしいですか。
○一瀬研究開発振興課長
 今後は文科省と厚労省で議論して調整して整えていくということです。
○永井部会長
 ほかにいかがでしょうか。御意見がございませんでしたら、了解ということにいたします。議事は以上です。事務局から連絡事項等はありますか。
○中山研究企画官
 次回の日程につきましては、委員の皆様には改めて日程、開催場所等について、御連絡を申し上げたいと思います。事務局からは以上です。
○永井部会長
 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

【問い合わせ先】
 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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