ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議> 第19回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(2014年4月22日)




2014年4月22日 第19回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

平成26年4月22日(火) 13:00~15:00


○場所

航空会館大ホール(7階)
(東京都港区新橋 1-18-1 航空会館)


○出席者

出席構成員

堀田構成員、五十嵐構成員、伊藤構成員、岩田構成員、岡部構成員
合田構成員、小川構成員、落合構成員、北田構成員、後藤構成員
友池構成員、西川構成員、藤原構成員、村島構成員、山本構成員
横谷構成員、吉村構成員

出席参考人

安藤参考人、勝野参考人、中川参考人、花岡参考人、山本参考人

○議題

第1回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第2回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
企業から提出された開発工程表等について
その他

○議事

○医薬食品局審査管理課
 ただいまより、第19回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を開催いたします。会議に先立ち、本検討会議の構成員に交替がありましたので、新たに御参画いただくことになりました構成員を御紹介いたします。国立医薬品食品衛生研究所薬品部部長の合田構成員です。また、本日は御欠席されておりますが、東京女子医科大学小児科教授の小国構成員です。本日は、小国構成員及び葉梨構成員より御欠席との御連絡を頂いております。小川構成員、北田構成員、樋口構成員は遅れて来られるものと思います。現在のところ15名の先生に御出席いただいております。また、WGの検討状況を御報告するに当たり、前回同様、各WGのメンバーから参考人として御出席を頂いておりますが、これまで御出席を頂いている先生方になりますので御紹介は割愛させていただきます。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行は堀田先生にお願いいたします。

○座長
 本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。

○医薬食品局審査管理課
 本日の配布資料は、議事次第、座席表、資料1「検討会議における検討の進め方」、資料2「第II回要望関連の専門作業班(WG)の検討状況の概要等について」、資料3-1と資料3-2は「医療上の必要性に係る専門作業班(WG)の評価」、資料4-1から資料4-3は「公知申請への妥当性に係る検討会議報告書(案)」、資料5「第II回要望における医療上の必要性が高いとされた品目に係る専門作業班(WG)の検討状況について」、資料6「第III回未承認薬・適応外薬の開発要望について」、資料7「第III回要望における医療上の必要性に関する専門作業班の評価」です。
 資料8-1からは、「企業から提出された開発工程表について」です。資料8-2「第I回要望関連」、資料8-3「第II回要望関連」、資料9「開発企業の募集を行った医薬品のリスト」、資料10「ベンダムスチン塩酸塩の開発について」です。資料10の2ページにあるKaplan-Meier曲線の図については見やすくするために、当日配布資料としてお配りしておりますが、ベンダムスタチン、プレドニゾロン(BP)を赤色で、メルファラン、プレドニゾロン(MP)を青色で印刷したものをお配りしております。資料11「ドキソルビシンの開発について」です。以上の資料を配布しております。参考資料については、ひとまとめにしてお配りしております。資料の不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。


○座長
 資料の落丁等がありましたらお知らせください。本会議は、前回が1月16日でした。それ以後の進捗状況について事務局から説明をお願いいたします。


○医薬食品局審査管理課
 前回1月16日の第18回検討会議以降の検討状況について御説明いたします。資料1の左下に当たりますが、昨年12月末に取りまとめのために一旦締め切らせていただきました第III回要望については、重複などを整理した結果80件となりました。詳細は資料6で御説明いたします。第II回要望のうち、企業に開発要請したものについては、引き続きWGにおいて必要な試験の妥当性や、公知申請の妥当性の評価を行っております。公知申請が妥当と御判断いただいたものについては、薬事・食品衛生審議会における事前評価を踏まえ、企業より公知申請がされる流れになっております。
 資料2の第II回要望については、前回会議までに合計100件について医療上の必要性が高いと評価いただきました。下の表になりますが、前回会議時点で検討中のものが合計21件となっております。精神・神経WGにおいて、このうち1件については必要性が高いと評価しており、更に1件については必要性が高くないと評価しています。引き続きWGで、医療上の必要性について検討中の品目は、本資料の別添に一覧としてまとめております。
 2ページは開発要請又は開発企業募集を行った100件の状況をお示ししております。開発要請した83件のうち、新たに2件について公知申請の妥当性に係る報告書案をまとめていたただいております。これらの品目のうち、前回会議時に検討中であったものの状況を、資料5に一覧として掲載しております。個別品目の状況については後ほど御説明させていただきます。資料の順に沿って御検討をお願いいたします。


○座長
 ただいまの進捗状況の説明について、御確認、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、第II回要望品目に係る医療上の必要性に関する検討状況についての説明です。第I回はもう終了したということで第II回の分をお願いいたします。最初に、精神・神経WGの勝野先生からお願いいたします。


○勝野参考人
 精神・神経用薬分野の座長をしております勝野です。第II回要望品目に係る医療上の必要性に関する検討状況について説明いたします。資料3-1です。今回検討が終了したものが4件ありますので御報告いたします。要望番号に枝番のある品目については要望者が異なりますが、要望内容は同一ですのでまとめて報告させていただきます。
 1つ目は、要望番号II-22のアミトリプチリンの神経障害性疼痛への効能追加の要望です。こちらの要望は、第13回本会議にて1度御報告させていただいた要望ですが、その際に御指摘を頂き、再度WGで検討いたしました。今回は、再検討した内容について改めて報告させていただきます。再検討の内容は、1ページ目の下から2行目から記載が始まっています。本WGにおいては、本要望について国際疼痛学会の治療指針などの各ガイドラインにおいてエビデンスとして引用されている試験成績を改めて精査いたしました。その結果、糖尿病性神経障害性疼痛、帯状疱疹後疼痛などの末梢性神経障害性疼痛については、いずれも少数例の臨床試験ではありますが、複数の試験において一定の有効性を示す成績が得られているものと判断いたしました。
 一方、脳卒中後神経疼痛、脊髄損傷後疼痛などの中枢性神経障害性疼痛を対象とした臨床試験では、必ずしも一貫した有効性の成績は得られておらず、国際疼痛学会の治療指針、欧州神経学会の治療指針などにおいても、中枢性の神経障害性疼痛においては、明確なエビデンスが確認されていない旨の記載があること。また、フランスにおいても「末梢神経障害性疼痛」にて承認されていることを勘案すると、海外においても中枢性の神経障害性疼痛に対しては標準的治療法と位置付けられていないと判断いたしました。以上より、精神・神経WGでは、神経障害性疼痛のうち、末梢性神経障害性疼痛に限定した場合には、国内における有用性が期待できると判断いたしました。
 2品目目は5ページの、要望番号II-149、ノルトリプチリンの神経障害性疼痛への効能追加の要望です。こちらの要望も、アミトリプチリンと同様に、今回改めて御報告させていただくものです。本要望については、(1)アミトリプチリンは末梢性神経障害性疼痛の効能・効果でフランスで承認されているのに対し、ノルトリプチリンは欧米等主要6か国のいずれにおいても神経障害性疼痛について承認されていないこと。(2)アミトリプチリンと同様に、国際疼痛学会の治療指針などの海外ガイドラインにおいてエビデンスとして引用されている試験成績を精査したところ、各ガイドラインに引用されている文献からは、アミトリプチリンの有効性・安全性を検討可能な臨床試験成績がおよそ20報あり、一定の有効性が示されていると判断されますが、しかしノルトリプチリンについては5報に留まっており、末梢性神経障害性疼痛、中枢性の神経障害性疼痛のいずれに対しても、ノルトリプチリンの有効性・安全性を検討した臨床試験の数及び有効性が示された試験成績は限定的であり、有効性について十分なエビデンスに裏付けられているとは言い難いことなどから、海外ガイドラインの記載としては、三環系抗うつ薬TCAsとして一括りで記載されているところですが、精神・神経WGではベネフィットリスクのエビデンスに基づく検討結果から、ノルトリプチリンの神経障害性疼痛については、欧米等で標準的療法に位置付けられているとまでは言えず、国内における有効性が期待できるとまでは言えないものと判断いたしました。
 なお、第13回本会議では学会からの要望書とWGにおける医療上の必要性の評価案で、海外ガイドラインの記載の解釈が異なるのではないかという御指摘を頂きました。WGでは、国際疼痛学会の治療指針等の海外ガイドラインにおける第1選択薬としての記載のみならず、その根拠とされる臨床試験成績も踏まえて検討してまいりました。先の評価においては、現在の科学的水準の観点から、検証的な臨床試験成績等に基づき、エビデンスを説明可能かという観点から評価し、必ずしも十分なエビデンスが得られていない旨の記載をいたしました。
 一方、今般の検討においては、少数例ながら探索的な臨床試験成績に基づいて評価し、神経障害性疼痛のうち、末梢性と中枢性のエビデンスを切り分けることで、これらの試験成績をガイドラインの成績の記載の根拠と位置付けることは可能と判断いたしました。以上です、よろしくお願いいたします。


○座長
 ただいまのWGの報告について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。第13回の時に議論していただいて、一回はそれほど有用性が高くないという評価を受けた上で、もう一回要望があって、それを再評価したという状況です。その内容からいえば説明のあったように、もともとこれは抗鬱薬ですよね。


○勝野参考人
 はい。


○座長
 神経障害性疼痛についての適応はないという状況での適応拡大も含めて評価することに今後はなっていくのだろうと思います。有用性ということに関しての今の評価はいかがでしょうか。2品目ありますけれども、基本的にアミトリプチリンについては有用性があるだろうと。ノルトリプチリンについてはそこまでは言えないという評価です。臨床現場としては、正直言えば、どちらかは欲しいということなのでしょうね。


○勝野参考人
 そのように思っております。


○座長
 いかがでしょうか。よろしいですか、特に問題がなければ、ただいまのWGの報告をこの場では承認したいと思います。よろしくお願いいたします。
 続いて、公知申請の該当性に係る報告書についての御審議をお願いいたします。まず事務局から説明をお願いいたします。


○医薬食品局審査管理課
 資料4-1について御説明いたします。オキサリプラチンの切除不能進行・再発胃がんに対する開発については、平成21年6月から8月の要望募集において、日本胃癌学会より要望が提出され、平成22年12月に開発要請を行った品目です。今般、本開発について株式会社ヤクルト本社より見解が提出されております。2.「開発要請先企業からの見解」に沿って御説明いたします。
 オキサリプラチンは、平成22年10月6日の検討会議で、医療上の必要性が高いと判断されましたが、平成23年4月18日の検討会議において、国内で標準治療とされているS-1とシスプラチンとの併用療法(SP療法)に対するS-1とオキサリプラチンとの併用療法(SOX療法)の非劣性を検証する第III相比較試験(胃がんSOX第III相試験)が実施中であったため、当該試験を進めることとしましたが、胃がんSOX第III相試験の全生存期間の成績を解析した結果、仮説が検証できませんでした。
 しかしながら、2013年3月17日で本剤の再審査期間が終了し、安全性情報が蓄積されていること。海外で実施されたREAL-2試験において、シスプラチン含有レジメンに対するオキサリプラチン含有レジメンの非劣性が検証されていること。以上の状況変化等を踏まえ、REAL-2試験に基づくオキサリプラチンの胃がんに対する公知申請を希望するということです。
 胃がんSOX試験に先立って行われた結腸・直腸がんを対象としたSOXフェーズI、フェーズII試験では、本剤130mg/m2の3週間ごとの投与と、S-1 80 mg/m2/dayの併用投与において、血小板減少の遷延により中止となりました。そのため、胃がんを対象としたSOX試験においては、胃がんに対するキードラッグであるS-1の投与強度を維持することを重視し、本剤を100 mg/m2の3週間ごとの投与スケジュールで行われております。
 一方、海外においては、シスプラチン含有レジメンに対するオキサリプラチン含有レジメンの非劣性等を検証するために行われたREAL-2試験では、本剤130 mg/m2で、3週間ごとの投与となっております。国内胃がんSOX第III相試験において、非劣性が検証されておらず、海外REAL-2試験の用量が130 mg/m2であり、国内胃がんSOX試験の用量100 mg/m2と異なっておりますが、2ページの3.「対応(案)について」でお示ししているように、本要望についてはREAL-2試験で非劣性が検証されていること、及び再審査期間が終了していることから、本剤の切除不能・再発胃がんに対する有効性及び安全性については確認されていると判断でき、本要望に係る公知申請の妥当性を評価できるとする方向で、公知申請の妥当性に係る報告書案をまとめております。この開発の方向性について、この検討会で十分に御審議していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


○座長
 オキサリプラチンについて、事務局から取扱いについての説明がありましたが、この段階で御質問がありましたらお願いいたします。もし、ないようでしたら安藤先生に別添資料を説明していただいた上で、もう一回議論させていただいてもよろしいかと思います。話が複雑になりますのでよく聞いていてください。


○安藤参考人
 抗がん剤WGの安藤です。オキサリプラチンの公知申請の妥当性に関わる報告書案を御説明いたします。先ほど説明がありましたように、切除不能進行・再発胃がんに対する本薬の要望が日本胃癌学会から提出されております。2ページで、医療上の必要性についても平成22年10月に、医療上の必要性が高い薬剤と判断されております。
 海外の承認状況についてですが、2ページから33ページまでは、欧州において進行・再発食道・胃がんに対しての効能承認がなされております。これに関して、海外のエビデンスの話ですが21ページを御覧ください。進行・再発胃がんにおいて、海外ではエピルビシンとシスプラチンと5-FU若しくはエピルビシンとシスプラチンとカペシタビンが用いられておりましたが、そこにシスプラチンをオキサリプラチンに置き換える形で非劣性試験が行われました。この試験には合計1000例の患者さんがエントリーされたのですが、非劣性が証明され、それで30ページと31ページを見ると、教科書や学会等のガイドラインでは、オキサリプラチンは5-FUとエピルビシンとの併用下では、進行・再発胃がんに関してはシスプラチンに置き換わるものであることが実証されております。
 国内では32ページにあるように、SOX第III相試験が行われました。国内で標準的な治療になっているシスプラチンと経口フッ化ピリミジン薬であるTS-1の併用と、それから本薬とTS-1の併用の非劣性試験が行われました。結果については後でお話いたします。国内でもこういうエビデンスがあり、この試験は685例が登録されております。
 34ページからは、公知申請の妥当性に関してです。本邦では、国内では進行・再発胃がんに対する化学療法について、先ほどの欧米とは少し違います。欧米ではエピルビシンと5-FUとプラチナ製剤であるシスプラチン、あるいはオキサリプラチンが用いられているのですが、本邦ではTS-1、経口フッ化ピリミジンであるS-1が5-FUの代わりに用いられている。S-1とシスプラチンの併用が主に用いられてまいりました。それで海外の臨床試験成績、例えばエピルビシンとシスプラチンと5-FUを併用の試験の生存期間とか、無増悪生存期間、奏効率等は、国内の臨床試験結果と比べて、国内のものは遜色はありません。
 そういうことで、国内で、G-SOX試験という、シスプラチンS-1と、本薬S-1の併用の比較試験が行われ、全部で685例の患者さんが入り、シスプラチンとS-1の併用、無増悪生存期間が5.4か月、生存期間が13.1か月。今度はそれにS-1とオキサリプラチンの併用のものの試験成績は、無増悪生存期間が5.5か月、生存期間が14.1か月となっております。これに関しては、非劣性マージンの取り方の問題から、生物統計学上は非劣性が検証されませんでした。
 しかし、34ページの下から3行目で、医療上の必要性の高い未承認薬検討委員会では、国内のSOX試験の症例登録数が685例と多いことと、イベント数、無増悪生存期間と生存期間の中央値等を踏まえると、海外の試験のエピルビシンと5-FUとシスプラチンあるいはオキサリプラチンとの併用下での試験の結果にも遜色はありません。S-1とオキサリプラチンと、本邦で標準的な治療であるS-1とシスプラチンレジメンの有効性はほぼ同程度であることを示唆する結果というようにWGでは考えました。
 以上から35ページのように、検討会議では治癒切除不能な進行・再発胃がんに対してのオキサリプラチンの有効性は、他の抗悪性腫瘍薬、日本ではTS-1になりますが、併用下では医学薬学上公知と判断可能と考えました。
 35ページの(2)の、日本人の安全性に関しては、先ほどオキサリプラチンの用量の話が出ましたが、今回海外で用いられている用法に関しては、オキサリプラチンが130 mg/m2で、それに関しては既に国内で切除不能な進行・再発結腸・直腸がんと、結腸がんでの術後化学療法の効能・効果で承認されていて、十分に用いられていることを踏まえると、日本人での安全性に関する多くのエビデンスは蓄積されていると判断しました。
 今回の国内での胃がんの比較試験で、オキサリプラチンは100 mg/m2が用いられた理由としては、オキサリプラチンの用量を上げることにより、血小板減少が遷延する傾向があるのですが、胃がんの場合には切除不能の場合は原発巣がそのまま残っていて、そこからの出血が懸念されたために、今回の国内臨床試験では100 mg/m2が用いられました。
 36ページで、国内での臨床試験ではTS-1とシスプラチンの併用と比較して、特に発熱性好中球減少と神経障害以外は、特にTS-1とシスプラチンとほぼ同じような毒性の傾向があった。それから、シスプラチンと比べてオキサリプラチンのほうが腎障害は少なかった。
 36ページの「要望内容に係る公知申請の妥当性」に関しては、海外で行われたエピルビシンと5-FUの併用下で、シスプラチンとオキサリプラチンの非劣性試験の結果で非劣性が証明されていて、シスプラチンからオキサリプラチンへの置き換えが可能であることの旨が、様々のガイドライン等で明記されていることと、豪州ではこの効能に対して承認されていること。あとは、本邦で行われた胃がんに対してのTS-1とシスプラチンと、オキサリプラチンとTS-1の併用の比較試験等の成績を考えると、進行・再発胃がん患者に対する本薬の有効性は医学薬学上公知と判断可能とWGでは判断いたしました。
 37ページの8.「効能・効果」に関しては先ほどから繰り返し述べておりますように、治癒切除不能な進行・再発の胃がんといたしました。効能・効果に関連する使用上の注意に関しては、術後補助化学療法の有効性と安全性は確立していないので、その旨を追記いたしました。
 38ページで用法・用量に関しては、進行・再発胃がんに対しては、今までは結腸がんで承認されているB法、オキサリプラチンとして130 mg/m2を3週置きに投与する方法を、海外の臨床試験成績から妥当と判断いたしました。以上です。


○座長
 オキサリプラチンが国内の試験で700名弱の規模でやったのですが、非劣性がギリギリのところで証明できなかったのだけれども、有効性についてはほぼ同等であろうと。あるいは、有意かどうかは分かりませんけれども上回っているのですね。その状況なのですが、これを基にこれはこれで海外のREAL-2試験を基に公知申請に行っていいかどうかということです。WGとしては、そのような判断をしたということですがいかがでしょうか。追加の発言等でも結構です。
 問題は、国内試験はオキサリプラチン100 mgでS-1との併用でやっていて、それでギリギリであったと。これが、公知申請になると、用法・用量は海外のデータに基づくということですので130mgが基本になる。しかし、相手は違います。S-1ではなくて。


○安藤参考人
 エピルビシンと5-FU。


○座長
 エピルビシンと5-FUで、相手は違うものだから単純に比較はできないのですけれども、日本では130 mgが、他の対象では一応有効である。


○安藤参考人
 結腸がんと直腸がんに関しては。


○座長
 そういうことで、たまたま胃がんの所でそれが証明できなかったということのようです。これを、海外のデータに基づいて公知申請を承認していいかどうかという御議論です。


○吉村構成員
 まだよく理解できていないのですけれども、承認用量は130 mgのB法だと。そのときに日本で100 mgの臨床試験をやった理由は、出血傾向が高まるのではないかというおそれであったと。海外の場合には、その出血傾向に関してはどういう判断が下されているのでしょうか。


○安藤参考人
 日本の試験と海外の試験を見ると、海外のほうが原発巣がそのままになっている方の割合が少なかったというのがあります。私は、日本の胃がんの専門の研究者にもいろいろ話を聞いたのですが、日本のほうが原発巣がそのままの人が多い傾向があると言っておりました。ですから、海外では130 mg/m2で使って特に問題はないと判断されていました。先ほど述べましたように、日本でも結腸がんと直腸がんでは130 mg/m2とS-1の併用が用いられておりますので、そこのところは適切に使い分けがされると思います。


○座長
 確認すると、日本での結腸がん、大腸がんを対象として130 mgでやったときには、その原発巣が残らないような対象でやっているのですか。


○安藤参考人
 直腸がんでも結腸がんでも潰瘍からの出血はありますけれども、胃がんほどそういうことは余り問題にならなかったと聞いております。


○座長
 もともとオキサリプラチンは高用量になってくると、血小板減少が遷延することが一方であります。シスプラチンからオキサリプラチンに現場としては変えたいのは、シスプラチンは非常に腎障害があってハイドレーションというか、要するに水分管理をしっかりやらないといけないというのが、現場では非常にストレスになります。それで、こういう希望が出ているのがもともとのことです。


○医薬食品局審査管理課
 海外のREAL-2試験においては、Grade2-4程度の血小板減少が起こった場合は、オキサリプラチンを130 mgから100 mgに減量するという、減量基準のプロトコールの下に試験が行われております。


○藤原構成員
 公知申請をすることに関して異議はないのですけれども、38ページの下のほうに、「本薬の製造販売業者は、各レジメン等に応じた適切な用量選択が行われるよう、要望者である日本胃癌学会とも協力し、胃がんSOX PII試験、胃がんSOX PIII試験における用量設定根拠を含め、必要な情報について十分に情報提供をすべき」という所が多分承認後の肝になるのかという気がしています。ここは審査管理課は余り書いていなかったのですが、PMDAとか審査管理課がそこもちゃんと指導して、適正な用法・用量が維持されて、現場が混乱しないようにされるという理解でいいのですか。


○座長
 その点について事務局はどうですか。


○医薬食品局審査管理課
 学会からは、承認になった後には胃癌学会としても全面的に協力していく方向であります、という言葉を頂いております。


○座長
 承認用量が130 mgであっても、現場は100 mgで対応するということなのですか。


○医薬食品局審査管理課
 その辺りについては、まだ具体的に学会とは詰めていない段階です。


○座長
 公知申請ですので、その書きぶりとしては一応これで公知でいくとすれば130 mgという理屈にはなりますよね。


○医薬食品局審査管理課
 はい。


○座長
 だけど、医療現場では工夫して使うわけですから、併用する相手によって用量が変わってくることは当然あるわけです。その辺がうまく伝わるかどうかという問題だと思います。


○医薬食品局審査管理課長
 本日これだけ時間を取ったのには、私どもで2つ御審議をお願いしたい点があります。1点は、もともとの経緯からすると、海外の臨床データといいますか、海外の試験から持ってこようとしたのですが、実際に国内で臨床試験が胃がんのSOX第III相試験が始まっていると。これを見て、このデータに基づいて今後の評価をしましょうという話だったわけです。残念ながら、結果としては非劣性が検証できなかったのは事実です。この場合は平たく言えば試験に失敗したものに関して、他のものを持ってくることで公知としてよろしいのかどうか。
 実は、本日別途、他の2品目を後で御報告いたしますが、その部分については有効性が、残念ながら安全性に関してなかなか芳しくなかったので開発をやめますと。これは、開発をやめますということだったので、御報告で終わりになりますが、今回の場合には要望者から、開発は進めたけれども変更をするというような、同じような状況下において2種類のことがありますので、こういうケースに関しては要望者がこういう案を出すことは構わないという、この会議でそこは差し支えないということであれば、公知なり何なりでいくという審議が1つできるのかと。そこについて、もう少し先生方の御議論を頂きながらコンセンサスを得たいと思っているのが1つです。
 もう1つは、どうしても公知でいくと安全性の問題ということで、先ほどもありましたように実際に胃がんのSOX第III相試験の立案に当たって安全性が非常に議論になったところをどう見るか。先ほどの議論の中で、仮に今後世の中に出た場合の安全対策を十分よくやるべしという御意見が強くなったら、そこは関係学会のほうでもうちょっと詰めさせます。こちらもまだ議論が始まったばかりですので、具体的な方策を出したら、そこの御確認を次回以降でいただくのも必要なのかどうか。その2点についてお話を頂ければと思います。
 この背景として、抗がん剤の適応追加の場合にはここでお認めいただきますと、承認の前に一旦保険適用で使えるというような、迅速スキームがあるものですから、そこの部分について、後で承認の際にやりますということで、なかなか間に合わない懸念を私どもは持っておりますので、ちょっとくどいようですが、その2点について御議論いただければということです。


○座長
 何か御発言はありますか。まずは公知申請で、今説明がありましたように、日本で開発が進んでいる状況があって、一方で海外にデータがあって、日本のデータが明らかになったところで見ましょうといったら、たまたますっきりしないデータになってしまったということのようです。落合先生いかがですか。


○落合構成員
 日本のデータは最後に使うという話ですが、それはポジティブだったらあれですけれども、結果としては余り良くなかったと思うのです。それを持ってくるのはどうかと思います。ただ、スキームとして、例えばそれが仮にそういう試験が実際に行われて、結果としてかなり良かった場合には、そういうものは当然後から参考の要件にはなるだろうと思います。


○吉村構成員
 仮にこれが公知申請になるとすると、先例になります。先例になったときに、他の公知申請にならなかったものとどこが違うのかという疑問が出てきます。それに関して明確な説明ができるのでしょうか。


○藤原構成員
 32ページと33ページの失敗したというのは、生物統計学的には失敗したかもしれないのですけれども、臨床的にそんなに大失敗ではないと、私はこのデータを見て思います。胃がんのSOXのPIIIの、PFSはプライマリーエンドポイントの1つですから、PFSのデータはここを見ると、SP群という対照群に比べて、数値的にはSP群は5.4か月で、SOX群というオキサリプラチンが入っているほうは5.5か月と。33ページの中ほどのOSですが、全標準期間を見ると中央値が、SP群で13.1か月と、SOX群でオキサリプラチンが入ったのが14.1か月と、数値的には両方ともちゃんと上回っている。
 1000例でも上回っていて、ただ非劣性のマージンで考えると、非劣性が言えなかったという、統計学者の方々から言うと非常に気持ち悪いデータなのだけれども、臨床的に見ると別に大負けしているわけではないのです。それをあえて捉えて細かいことを言うと、これは再審査期間も過ぎているものだし、31ページの上の<本邦におけるガイドライン>の所に、「日本胃癌学会のガイドラインでも、EOXレジメンが使われています」ということが書いてあります。最近の社会保険支払基金の流れを見てみると、自分の学会のガイドラインの中に、ちゃんとそのレジメンが書いてあれば、適応外の場合ですけれども薬事承認がなくても保険償還できるという逃げ道ができています。そちらに行くぐらいだったら、ちゃんと公知申請してもらって、薬事承認の環境下で適正な使用を誘導するほうがよりベターかと思います。


○吉村構成員
 おっしゃりたいことは、非常に形式的に、機械的にやる条件は満たしていないけれども、中身をよく吟味すれば十分承認に値するということですか。


○藤原構成員
 そうです、そのとおりです。


○座長
 他に統計をやっておられる方はいないでしょうけれども、いかがですか。今の大体の御意見は、統計的には確かに細かいことを言うとちょっと問題はあるにしても、全体から言えば有効性などに大きな問題はないわけですし、むしろ上回っているという状況から言えば、常にこういうものを自動的に公知というわけではなくて、その中身を見てケース・バイ・ケースでいくことになるのではないでしょうか。そのような判断でよろしいでしょうか。伊藤先生も何か物言いたげな感じなのですけれども。


○伊藤構成員
 保険のほうで適用のときに、藤原先生が言われたように、周知徹底のところをしっかりさせていかないと、現場が非常に混乱するからその辺をしっかりやってくださいという要望だったと思いますが、その辺はどうなのでしょうか。


○座長
 学会のレベルでガイドラインなどできちっと周知させる。


○伊藤構成員
 そうではなくて、このままでいったときに保険のほうが先に進んでしまうわけです。だから、そのときに現場で周知徹底していかないと、現場が非常に困るものですから、先ほど危惧された出血の問題などをきちっと対応してくださいというのが藤原先生の意見だと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。やはり、現場が困らないようにすることです。


○医薬食品局審査管理課長
 先に物が出てくるという懸念と、どれだけ現場でそのまま何もなく対応いただけるのかというところが、実はここまで至って我々も頭を悩ませているところです。本日正にこの場で、まずこっちでいけるかどうかというところの御判断がいくと、今の懸念が次に出てくる。先ほども申し上げましたが、必要に応じて学会とのいろいろな議論というのは、直前から開始したところですので、そこで本日ここで、あるいはWGの報告書で出たいろいろな懸念を併せて、もう少し精緻に議論させていただいた上で、次回以降の会議で、実際にこういう対応を取るということで、そこでもう一回御確認を頂いて、最終的に公知なり何なりという御判断を頂くのも1つの手かと私は思っています。


○座長
 いきなり現場に導入していいかどうかという懸念はあるようですので、そこはワンクッション置くかどうかということですが、これについて御意見はありますか。


○友池構成員
 この領域は門外漢ですけれども、切除不能で、他に治療法がない段階で、藁にもすがるつもりで海外では有効なことがあったので使えないかというのが現場の心情だと思うのです。そうなってくると、学会のほうがそういうものに対してきちんとした指針を示していただくのが前提のようにも思うのですが、いかがでしょうか。


○座長
 学会のほうも、安藤先生のお話だと、対応はできるということでしたよね。


○安藤参考人
 学会のほうも対応すると言っております。実際に現場に出た後の使用に関して、私は胃がんの研究者の何人かといろいろディスカッションをして、現場としてこの結果を見て、従来の標準的な治療であるシスプラチンとS-1の併用のほうが優れているというか、まだそれが標準的な治療だと考える人たちは、従来のとおりシスプラチンとS-1を使い続けていく。例えばオキサリプラチンが使えるようになって、世の中にずうっと出ていった場合に、全てが入れ換わってしまうのではなくて、進行・再発胃がんというのは腹水が溜まったり、腸閉塞を起こしたりして、全身状態の悪い方もいらっしゃいます。シスプラチンは腎障害があって、それから大量の補液も投与に際しては必要になるので、そういうものが使えない患者さんに対しては、オキサリプラチンをもう1つの有効性の高い治療として注意しながら使っていく選択肢もできます。日本というのは今まで胃がんの治療に関しては、海外と肩を並べて、そのエビデンスを十分に発信してきた国であるので、そこのところは私も研究者と話していて思ったのですが、適切に使い分けがなされるのではないかと考えております。


○座長
 公知申請のほうへ向かうことについては、大体皆さんの合意はあると思います。それを実際に前倒しで医療現場に迅速という形で入っていくときの在り方、ここのところが懸念としては少し残るということです。これは課長が提案されたように、現場との詰めをしていただいて、次回それを報告していただくということで、流れとしては公知申請のほうに向かうということでよろしいでしょうか。


○藤原構成員
 確認ですが、公知はOKで、次に二部会にかけて、報告のときにOKですと言ったらそこから使えるようになるけれども、次の3か月後の未承認の検討会議に、使えるようになった状況で大丈夫ですねという報告を受けるのか、それともいつからこのオキサリプラチンを現場の人たちが使えるのかがよく分からなかったのです。


○医薬食品局審査管理課長
 今考えていたのは、次回のこの会議においてもう一度安全性に対してどういうものができるのかということをそれまでに検討させていただいて、御披露した上で、最終的に公知OKというような御確認を頂こうというつもりで先ほど発言させていただきました。


○座長
 公知申請をしても、まだ半年とかかかりますから、申請のための準備は始めてくださいということでもいいような気がします。それでないと、3か月後まで何も動けない状況になります。


○医薬食品局審査管理課長
 ラグについてはなくすように、いろいろできる範囲から作業は進めるようにいたしますが、どうしても安全性の部分については確認をさせていただきたいという考え方があります。そこは、本日お認めいただいたと思います。そこは同時並行、あるいはどちらか前後しながら効率良く進めさせていただければと思います。


○座長
 最終確認は次回ということにして、その準備を並行的にやっていただくようにお願いいたします。次に、循環器のほうをお願いいたします。

○山本構成員
 循環器WGの山本です。資料4-2、レボノルゲストレルの公知申請への該当に係る報告書(案)です。1ページを御覧ください。日本産科婦人科学会よりレボノルゲストレルの月経困難症に対する適応追加の要望が提出されております。ちなみに本剤は、前回のこの会議におきまして、過多月経で公知該当性を報告しており、今回は月経困難症ということです。
 本剤の医療上の必要性ですが、月経困難症は「月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状」と定義されており、月経の開始に伴って、激しい下腹部痛、腰痛、下肢に放散する痛み等の、いわゆる月経痛を主とする局所症状を呈する疾患です。月経困難症の症状に対して、何らかの医学的介入が必要な女性の数は20~49歳の女性全体の約3分の1に相当し、労働、学業等に影響を及ぼす可能性がありますので、適応疾患の重篤性としては、「ウ:その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当すると判断しております。要望された製剤は、黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを子宮内避妊用具の薬剤放出部に付加した製剤で、国内外で避妊の効能・効果で承認されております。
 今回の要望内容に関する効能・効果については、前回、過多月経では、欧米6か国でもありましたが、今回の月経困難症については欧米と6か国、米国、英国、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリアでは承認されておりませんが、フィンランド、その他幾つかの国では月経困難症の効能・効果の承認があります。
 また、国内外における月経困難症に関する治療法には大きな違いはありませんで、本邦及び米国、欧州等のガイドライン、教科書等において、本剤は月経困難症の薬物治療の選択肢であるとされておりますので、医療上の有用性は、「ウ:欧米等においても標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても、国内における有用性が期待できると考えられる」に相当すると判断しております。
 次に、本剤の公知該当性です。資料の22ページから公知申請の妥当性について書いております。本剤の月経困難症に対する有効性については、本剤の避妊に関する無作為化比較試験において評価されております。内容は22ページ以降に書いております。本剤投与によって低用量の経口避妊薬に比べて、月経困難症を訴える被験者の割合は、若干少なくなっており、月経が日常生活に影響を及ぼさない被験者の割合も、低用量の経口避妊薬よりも多かったという結果が得られております。また、国内外の複数の臨床研究においても、本剤の月経困難症に対する有用性を示唆する報告は幾つかあります。ただし、本剤が子宮内に挿入・留置するという剤形で、プラセボ対照がなかなか困難な剤形であることと、症状が主に疼痛ですので、臨床試験ではVASで判断したり、QOLで判断したりということになっています。
 一方、本邦でははっきりした臨床試験の実施はありませんが、実態調査のような報告はありまして、臨床現場で月経困難症に対して本剤が使用されているという実態は示されています。月経困難症を効能・効果として、本剤が承認されている国は限られておりますが、国内外の各種の診療ガイドライン、教科書、総説等において、本剤の月経困難症に対する使用が推奨されているということを踏まえますと、本剤の要望の効能・効果に対する有効性及び安全性は医学薬学上の公知である、とWGでは判断しております。
 効能・効果については、資料23~24ページに書いてあります。国内外のガイドラインにおいて、機能性及び器質性月経困難症の薬物治療の選択肢として示されていること。本邦では経口卵胞ホルモン、黄体ホルモン配合剤が器質的疾患の有無及び種類に関わらず、月経困難症を適応として承認されていることも踏まえて、効能・効果については「月経困難症」とすることが適切ではないかと考えております。
 用法・用量については24ページにあります。こちらは前回の過多月経のときと同じですが、避妊について国内外で同様に、本剤52mg 1個を子宮内に投与するという用法・用量が設定されています。国内外の臨床研究でも、本剤52mg 1個を子宮内投与したときの有効性が示されています。また、ホルモン剤使用中の妊娠はできるだけ避けることになっており、装着中に妊娠が起こった場合、胎児への影響が否定されておりませんので、月経困難症の治療として、本剤を装着している患者は妊娠の可能性を最小限に抑える必要がありますので、避妊での用法・用量と同じく、本剤1個を子宮腔内に装着するといった用法・用量とすることが妥当であると判断しております。循環器のワーキングからの報告は以上です。


○座長
 この製剤は前々回に過多月経で公知申請に介していただいた同じ品目ですので、それの適応を月経困難症に対しても公知申請が可能ではないかというお話です。御討議をお願いします。


○落合構成員
 ありがとうございました。妥当な御判断だと私は思います。ここにも示されていますが、月経困難症というのは、もともと疾患を有する器質的なものと、器質的なものがない機能性に分けられるわけですが、それを判断することが難しい場合もありますし、レボノルゲストレル、プロジェスティンですが、非常に有用だということが示されております。また、御説明がありましたように、ホルモン剤は経口でも使っておりますが、ホルモン剤、経口での治療中に妊娠するというのは、余り好ましいことではないので、その両方が一遍に兼ねられるという点でも非常に有用だと思います。以上です。


○座長
 そのほかに御意見はありますか。特になければ、ありがとうございました。これもWGの報告を承認したいと思います。
 続きまして、資料4-3です。小児WGから中川先生、よろしくお願いします。


○中川参考人
 小児WGの中川です。小児WGからはプロプラノロール塩酸塩の公知申請の該当性について報告させていただきます。資料4-3の1ページを御覧ください。日本小児循環器学会からプロプラノロール塩酸塩のファロー四徴症に対する適応追加の要望が提出されています。
 本剤の医療上の必要性について説明いたします。要望されている効能・効果、ファロー四徴症に代表される右心室流出路狭窄例では、発作的流出路攣縮による低酸素発作と、それに続発する循環不全を呈することがあります。低酸素発作は通常は10分程度で自然におさまりますが、強い発作では適切な処置を行わないと、意識障害あるいは全身の痙攣を引き起こし、死亡につながることがあります。
 以上から、本剤の適応疾患は、「ア 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断いたしました。
 ファロー四徴症に伴う 低酸素発作は致死的であり、早晩に外科的処置が必要とされますが、手術待機中に発作を予防することは、至適時期の心内修復術の施行を可能にする上で極めて大切なことです。本邦、英国及び欧州等のガイドラインにおいて、ファロー四徴症に伴う低酸素発作の予防にプロプラノロール等のベータ遮断薬が治療の選択肢とされています。
 本邦では、ファロー四徴症に伴う低酸素発作の予防に関してはベータ遮断薬であるカルテオロール塩酸塩(小児用ミケラン細粒0.2%)のみが承認されており、ほかの選択肢はありません。しかし、カルテオロール塩酸塩は、乳幼児に使用した場合に低血糖発作を来すことが多く経験されますので、治療法に制限があるのが現状です。
 海外では、本剤は英国やオーストラリア等の国でファロー四徴症に対して承認されており、低酸素発作の予防に対し広く用いられています。
 以上から、医療上の有用性は、「ウ 欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断いたしました。
 次に、本剤の公知該当性について説明いたします。資料の22~25ページに記載があります。ファロー四徴症に関する効能・効果は先ほど述べたとおり、英国及びオーストラリア等で承認されており、また、本剤のファロー四徴症に伴う低酸素発作に対する有効性は、国内外の公表論文において報告されています。国内外の標準的教科書やガイドラインにおいても、ファロー四徴症に伴う低酸素発作に対して本剤が有効であることが推奨用法・用量とともに示されています。さらに、国内においても、ファロー四徴症に対して使用された症例の報告があり、本剤のファロー四徴症に対する使用実態のあることが示されています。
 これらから、本剤のファロー四徴症に伴う低酸素発作に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
 次に、効能・効果については、資料の25~26ページを御覧ください。海外の添付文書において、本剤の効果は、主として右心室流出路狭窄による症状の緩和に限定される旨、記載されているとおり、本剤はファロー四徴症における根治療法ではなく、低酸素発作に対する予防薬として用いられています。また、国内教科書や総説においても、基本的には低酸素発作に対する予防薬として本剤の有効性が記載されており、低酸素発作を引き起こす代表的な疾患としてファロー四徴症が記載されていますが、実際にはそれのみではなく、右心室流出路狭窄に伴う低酸素発作を引き起こす類似の疾患である両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖等も挙げられています。
 低酸素発作はカテコールアミンの分泌増加に伴い、右心室流出路に多く存在する交感神経末端及びその受容体に作用し、当該部位の反応性収縮を強く惹起させて、肺への血液流出を阻害することで引き起こされます。本剤の作用機序を踏まえても、ファロー四徴症等の右心室流出路狭窄による低酸素発作に対し、本剤の有効性は期待されると判断しました。
 以上より、本剤の効能・効果は、右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制とし、効能・効果に関連する使用上の注意は「ファロー四徴症等を原疾患とする右心室流出路狭窄による低酸素発作を起こす患者に投与すること」のようにすることが妥当と判断しました。用法・用量については、資料の27~29ページに記載があります。
 対象患者について、国内外の教科書や総説より、ファロー四徴症の手術適応年齢は、乳幼児期と考えられること。国内での臨床使用実態においても大部分の症例が乳幼児であることを踏まえると、類薬であるカルテオロール塩酸塩(小児用ミケラン細粒0.2%)と同様に、対象患者集団は乳幼児と設定することが適切と考えました。また、国内の教科書や総説、国内の臨床報告における使用量も踏まえて、通常、乳幼児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5~2 mg/kgを低用量から開始し、1日3~4回に分割経口投与する。なお、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には、1日4mg/kgまで増量することができるといった用法・用量とすることが妥当であると判断しました。小児WGからの報告は以上です。よろしくお願いします。


○座長
 ありがとうございました。プロプラノロールの、要望としてはファロー四徴症でしたが、これに限らず、右心室流出路狭窄の病態から引き起こす低酸素血症の予防薬という適応で、公知申請が可能ではないかという報告を頂きました。特に小児の領域の先生方、御意見はありますか。


○五十嵐構成員
 中川参考人の御指摘のとおりで、この薬は心内整復術をするまでの乳幼児のファロー四徴症を中心とする幾つかの疾患があるわけですが、この方たちのanoxic spellの予防に一番使われている薬ですので、これが今まで認められていなかったこと自体が大変驚きなのですが、小児でも安全に使われておりますし、非常に重要な薬だと思いますので、是非、公知申請を認めていただきたいと思います。


○座長
 カルテオロール塩酸塩では不十分というのは、どこが一番ポイントですか。


○五十嵐構成員
 副作用というか、低血糖は怖いですので、それに比べると、こちらのベータブロッカーのほうが安全に使えるということは言えると思います。


○座長
 分かりました。先ほどその点は御報告いただいているところです。そのほかに御意見はありますか。小児の先生方、いかがでしょうか。


○伊藤構成員
 錠剤なのです。どうして細粒を開発してくれなかったかに1つ問題がありますが、その辺はどうなのでしょうか。


○座長
 実際は投与するときは潰して投与するのですか。


○中川参考人
 実はプロプラノロール塩酸塩は、以前に不整脈で公知申請で通していただいたのですが、そのときにも同じような議論がありました。不整脈の場合は、年齢が大きい方も多かったので錠剤でもかなり行けたのですが、今回は対象がかなり小さい子供ですので、本当は小児用剤形が必要で、そういうところは是非、今後とも考えていこうと思います。


○伊藤構成員
 不整脈も含めて、結構小さい子で適応になる子もいますから、両方含めて考えていただくといいと思います。


○座長
 乳幼児は特に対象にするような薬については共通の問題ですよね。ですから、細粒なりシロップでということができるかどうかは今後の課題としてとどめておいてください。
 それでは、この件に関して公知申請についてはよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)


○座長
 ありがとうございました。それではWGの報告は了承としたいと思います。
 続きまして、話題が少し変わりますが、医療上の必要性が高いとされた品目に係る専門作業班の検討状況全体について御説明をお願いします。


○医薬食品局審査管理課
 続きまして、資料5についてです。「第II回要望で医療上の必要性が高いとされた品目に係る専門作業班の検討状況」についてです。前回会議時に検討中であったものについてです。2ページを御覧ください。代謝・その他WGですが、こちらはミコフェノール酸モフェチルが1品目あり、現在WGにて詳細を検討しています。
 4ページの循環器WGは、現在3品目あり、これらについてもWGで検討していただいています。また、この中で要望番号II-278のレボノルゲストレルについては、公知の妥当性が評価されましたので進捗がありました。
 続きまして、6ページ、7ページは抗菌・抗炎症WGでして、現在これらについてもWGで詳細に御検討いただいています。
 9ページは小児WGでして、現在これらについてもWGで詳細に検討しており、この中で要望番号II-203のプロプラノロールについては、先ほどの公知該当性が評価されましたので、これらについては進捗がありました。以上です。


○座長
 御議論いただいたとおりですので、これはよろしいですね。


○落合構成員
 これは誤記だかどうか分からないのですが、4ページの先ほど検討していただいたところですが、レボノルゲストレルの特記事項で、「小児WG」と書いてあるのですが、小児では検討していませんよね。


○医薬食品局審査管理課
 これは誤記です。申し訳ございませんでした。訂正いたします。


○山本構成員
 もう1つですが、2ページのミコフェノール酸モフェチルですが、詳細に検討していただくことはもちろん結構ですが、もう少しスピードアップしていただけないでしょうか。


○座長
 よくお伝えください。よろしくお願いします。


○医薬食品局審査管理課
 はい。


○座長
 そのほかはよろしいですか。それでは続きまして、第III回要望というのが昨年暮で受付が終了しましたが、取りまとまったようですので、その御報告をお願いします。


○医薬食品局審査管理課
 続きまして、資料6について御説明いたします。平成25年8月1日~平成25年12月27日にかけて第III回の第1期要望募集を行ってまいりました。学会、患者団体及び個人からの要望について整理したところ、要望数は80件でした。このうち未承認薬は24件、適応外薬は56件であり、第III回要望から設けている優先的に取り扱う対象は、未承認薬が8件、適応外薬が2件の合計10件となっております。要望の一覧については別紙のとおりです。1ページは未承認薬の優先的に取り扱う対象一覧、2ページの下からは、それ以外の未承認薬一覧です。
 5ページ以降には適応外薬一覧を掲載しています。このうち13ページのNo.42、番号が振ってないのですが、資料6の後ろから5ページ目の一番下の要望番号III-(1)-63のブリモニジン酒石酸塩については、個人から要望が提出されていましたが、個人としてではなく、学会を通して申請することを考えているということで、本要望は一旦取り下げたいとの申し出があったため、※のとおり記載しています。なお、資料6の1ページのNo.2、要望番号III-(1)-11については、今回の検討会で早速、医療上の必要性の評価を行う予定にしております。以上です。


○座長
 第I回目が374、第II回目が290、第III回が80となり、だんだん解消してきて、追い付いてきたのが実感できる数だと思います。これをグループごとにまとめますと、この表にあるような形になって、優先というのはどういったインセンティブが与えられますか。


○医薬食品局審査管理課長
 資料1を御覧ください。資料1の2枚目以後に「第III回目の要望における検討の進め方」というのが、第I回と第II回とは若干違っています。正式要望を昨年8月から12月末までに募集をさせていただきました。これは一旦区切るということで、第III回の要望は随時受付をすることになっておりますので、一旦締切ったのが昨年末でした。
 そして、学会要望見解を踏まえた見解作成が、真ん中の「厚労省」の下に点線でずっと下りてきています。さらに、ここの見解を作成し、要望の整理をする中で優先的に取り扱う品目が左側の吹出しにありますように、未承認薬の場合には2009年4月以降にFDAあるいはEMAで承認されて、国内での承認のない品目と。これはPMDAで未承認データベースがありますので、これを参照して、ここで優先的に取り扱うかどうかを決めさせていただきます。
 適応外については、医師主導治験や先進医療B等が実施され、医療上の必要性が高いもので、各要望をこの2つの観点から振り分けをし、まず「優先的に取り扱う対象」とされたものから、医療上の必要性の高さについて判断をしていこうと。そういう意味で、ある意味でめり張りを付ける。これまでは先着順というか、できたもの順ということでしたが、より必要性の高さというか、医療上の優先度を加味してめり張りを付けて、今後は評価をしていこうということで、第III回目はこのような振分けをさせていただきました。


○座長
 ただいまのような御説明で、第III回要望からは取り扱いを「優先」「その他」というように扱うということです。これについては特に問題はありませんね。できるだけ迅速に行くような形で進めてまいりたいと思います。
 それでは、それ以外のことで御質疑等はありますか。ありがとうございます。そうしましたら、引き続き各WGで有用性の評価を開始していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料7について、花岡先生よろしくお願いします。


○花岡参考人
 それでは、資料7に基づいて御説明いたします。今回、Teduglutide recombinantについて、医療上の必要性が高いと判断いたしました。要望された効能・効果は、「短腸症候群において残存腸管機能を増強し、静脈栄養、補液の依存度を軽減する」です。本剤は欧州及び米国において要望効能・効果と同じ効能・効果で2012年に承認されております。短腸症候群は、小腸の外科的切除又は先天性欠損に起因し、小腸からの栄養吸収低下により栄養欠乏状態に至るため、多くの場合、水分及び栄養補給のために非経口的栄養補助が必要となります。
 非経口的栄養補助は、カテーテル関連感染症や代謝異常等の合併症の懸念があること。日常生活に著しく影響を及ぼすこと。また、現時点で、本邦において短腸症候群に対する根本的な治療がないことから、医療上の必要性が高いと判断しました。以上です。


○座長
 それでは、ただいまの報告について、御質問がありましたら、よろしくお願いします。これは手術後でなければいけないのですか。短腸症候群では手術後以外はないのですか。


○花岡参考人
 それと、あとは先天性ということです。先天性と言っても、我が国では年間200~300例発症すると推定されています。


○座長
 両方とも有効である。


○伊藤構成員
 これは確認ですが、下の注)の所がよく分からないのです。


○花岡参考人
 これは小児分野との関係ということです。


○伊藤構成員
 1ページの小児の所に関係があるのか、ないのか分からない書き方で、マルがないのですか、あるのですか。小児に関係があると思うのですが。


○医薬食品局審査管理課
 説明いたします。この「小児分野との関係」の下の所に関しては、関係がある場合には○を付けているのですが、今回に関しては、代謝・その他WGで、成人に対しての要望ということですので、小児分野との関係の下には○を付けていないものになります。したがって、注)には、このような文章を記載しておりますが、実際には小児分野との関係はないという御理解をしていただければと思います。


○伊藤構成員
 これは小児に関係しないということになるのですか。


○花岡参考人
 要望に関しては外科学会から小児に対する要望は、小児短腸症候群に対する治験も企画されているということになっておりまして、要望の所はチェックが付いていない要望書です。ただ主観としては、先生がおっしゃるように、私たちも1歳未満の発症は年間200~300ということで、小児は関係があるところです。


○伊藤構成員
 確認したいのは、するか、しないかということを。要するにこの学会では、ほかから要望されても小児に関係があることに関しては、するという前提で検討するはずだと思いますが、成人だけするのでなくて、小児の方もされるのですね。


○座長
 これは今まででも要望があっても、実際の対象は小児に広げていますので、それはそういうことでいいのではないですか。


○伊藤構成員
 だから、分かりにくい下のほうの文章です。


○座長
 ですから、要望としては、外科学会としては術後ということだけですが、先天性のものも含めてということですから、小児も含めてになるだろうと思いますが、そのような理解でいいのですかね。


○医薬食品局審査管理課
 楽屋裏をお見せして申し訳ありません。今のところ、要望書自体は、海外も成人の効能しかないようですので、成人のみの適応で要望が上がってきているところです。
 仮に、もし小児もということで、もう一度ですが、その場合には海外にもないので、恐らくこのスキームには乗らない可能性がありますが、そこの部分について確認をせよという御指示であれば、一旦確認をさせていただきます。


○伊藤構成員
 だから、ガイドラインを含めて確認をしていただきたいと思います。


○座長
 では、そのような形で。せっかくこういう対象で成人という要望は出ていますが、対象が広げられるのであれば、併せてやっていきたいと思いますので、御確認をお願いします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは続きまして「企業から提出された開発工程表等の評価について」に進みたいと思います。○医政局研究開発振興課治験推進室長
 医政局の治験推進室長です。資料8-1、8-2、8-3及び資料9に基づきまして、議題の「企業から提出された開発工程表等について」の御説明をいたします。
 まず資料8-1については、開発工程表の評価基準について、まとめているペーパーです。基本的な考え方としては、開発から半年以内にWGの結論により、公知申請が可能とされたものについては、開発を適切に行ったものと評価するということ、開発要請から1年以内に治験計画届を提出したものについては、開発を適切に行ったものと評価すること、といったことを中心とした評価基準の考え方をまとめています。これについては第I回要望、第II回要望とも記載がありますが、前回以降、特段変更はありません。
 資料8-2に基づきまして、第I回要望の開発工程表の概要などについて、御説明したいと思います。資料8-2は、第I回要望の件です。第I回要望については、既にこの検討会議において、医療上の必要性についての御判断と公知申請の妥当性についての御判断を終了しております。
 今回は平成26年4月8日現在の企業から提出された開発工程表の概要です。前回は1月でしたが、前回以降の変更点を中心に御説明していきたいと思います。まず1枚目の総括表ですが、今回、承認済みとなっているものについては、合計136件になっています。これは前回の1月の時点が131件でしたので、5件承認件数が増加しております。そのほか、承認申請済みのものについては、前回13件が、今回は11件。治験計画届提出済みについては、前回は36件が32件。公知申請予定については、前回は0件だったものが1件。その他は変更はありません。合計は186件です。
 今回新たに承認された5品目については、資料8-2の18ページに4品目、25ページに1品目、合計5品目あります。
 資料の36ページですが、先ほどオキサリプラチンの再発胃がんの開発に関しての御議論を頂きましたが、これについてはWGでの検討が終了しており、公知申請に該当するという御判断を頂きました。先ほどの議論ですと、学会等における安全対策等の対応策について、本検討会で更に確認をするといった付帯的なお話があったかと思います。
 38ページですが、その他の品目については、要望番号189番のドキシルに関して、及び283番のトレアキシン静注用についてのお話は、このあと詳細について御説明をさせていただきます。
 このように、資料8-2の第I回要望については、承認済み、承認申請済み、治験計画届提出済みについては、適切に開発がなされているという評価をしたいと思います。また、それ以外については、個別に判断をするということで、評価については保留という判断をしたいと考えております。
 資料8-3に基づいて、第II回要望の開発工程表の概要などについて、御説明したいと思います。資料8-3についても、平成26年4月8日現在の状況です。承認済みについては、今回合計43件となっておりますが、前回1月の時点では25件でしたので、18件の更なる承認が見られます。承認申請済みについては、前回の23件から18件、治験計画届提出済みについては13件だったものが11件、公知申請予定については17件から15件、その他については15件から6件ということで変更があります。具体的に資料の7ページ以降に承認済みの品目が掲載されていますので、御覧いただければと思います。
 最後に、資料9に基づきまして、未承認薬の公募に関する進捗状況(4月8日時点)についての御報告をしたいと思います。今回大きく進捗があった部分としては、2番と3番の2品目について、新たに承認済みという形になりました。これで公募を行ったもののうち承認に至ったものについては合計3品目となります。
 もう1つ、主な変更点は裏面の第II回要望募集における15番、16番、17番の3品目についてです。新たに企業2社から開発の意思の申出がありましたので、今後この2社において、このような品目の開発が進むと考えています。
 それから資料において、平成25年4月8日時点と書いてありますが、平成26年4月8日時点ですので、大変恐縮ですが、資料の訂正をお願いします。報告は以上です。


○座長
 ありがとうございました。それでは、企業の開発工程についての対応状況の御評価を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○医薬食品局審査管理課
 続きまして、資料10について御説明いたします。ベンダムスチンの多発性骨髄腫に対する開発については、平成21年6月から8月の要望募集において、日本臨床腫瘍学会から要望が提出され、平成22年12月に開発要請を行いましたが、シンバイオ製薬株式会社より見解が提出されております。
 2ページの2.ですが、国内における開発状況についての未治療の多発性骨髄腫患者に対する開発については、本剤150 mg/m2/day及びプレドニゾロン併用時の抗腫瘍効果及び安全性を検討する国内第II相試験を開始しましたが、感染症による死亡例が認められ、当該治験を中止することとなりました。
 その後、開発計画の見直しを行ったところ、機構からは日本人で推奨用量を求めた上で、新たに検証試験を実施することが必要との見解が示されましたので、3ページに再発・再燃又は治療抵抗性の多発性骨髄腫患者を対象とする国内第II相試験を実施しましたが、評価可能な例数16例、目標症例数44例中16例までの経過観察において、有効例が認められないことから、本試験で設定する期待奏効率に到達することは困難であるため、試験を中止することが妥当と判断されました。
 未治療例の多発性骨髄腫に対する治療法としては、従来のメルファランプレドニンの併用療法や、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンの併用療法に加えて、ボルテゾミブも使用可能となっております。また、再発・再燃又は難治性の多発性骨髄腫に対しては、サリドマイド、レナリドミドが使用可能となっている状況の中で、本剤をキードラッグとする多剤併用レジメンを開発することは、極めて困難な状況であり、国内開発を断念せざるを得ないとの判断に至ったとのことです。なお、要望者である日本臨床腫瘍学会にも意見を求めたところ、「現在の事情に鑑みると、今回の企業の開発断念はやむを得ないと考えます」との御見解を頂いております。
 したがいまして、対応案としては、4ページに記載のとおり、本要望については、開発要請を取り下げることで差し支えないと判断したいと考えております。御説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○座長
 ありがとうございました。ただいまのベンダムスチンの開発中止という提案というか、見解ですが、これについて御議論いただきたいと思います。この薬は、もともとはヨーロッパというか、東ドイツで随分前に開発された薬で、もう1回陽が当たって、低悪性度リンパ腫とか、マントル細胞リンパ腫には非常に良い効果を示したので、いろいろなことで、ほかのリンパ系腫瘍にも有望ではないかということで始まったのだと思いますが、結果は安全性のところでかなり問題があって、中止になったという状況です。
 今、御説明がありましたように、この領域は、最近、薬の開発の進歩がものすごく速くて、いろいろな選択肢が出てきたので、これがなければ正直言って治療ができないという状況ではないという現状もあるということで、開発を断念したという経緯だと思います。いかがでしょうか。特に問題はありませんか。これ以上やれとは、なかなか言えないと思いますので、これは了としたいと思います。ありがとうございます。
 続きまして、資料11をお願いします。


○医薬食品局審査管理課
 資料11「ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤の多発性骨髄腫に対する開発について」です。ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤の多発性骨髄腫に対する要望については、第3回検討会で医療上の必要性が高いと判断され、平成22年5月21日に開発要請を行っております。
 要望者は日本骨髄腫患者の会ですが、今回、日本骨髄腫患者の会より要望取下げの提出を頂いております。要望取下げに対する申出として、第1回の医療上の必要性の高い未承認薬適応外薬の要望募集に際して、ヤンセンファーマ株式会社を開発企業とした製造・販売に関するドキシルの多発性骨髄腫への効能追加の要請を提出しておりましたが、本邦においては1st ラインにおいて有効な薬剤が乏しく、当時は移植適応患者における寛解導入治療としての主流であったVAD療法より奏効率が高い治療方法が求められていましたが、サルベージ治療においても、ボルテゾミブとの併用効果が認められるという研究結果を基に、効能・効果の療法を申請しておりました。
 しかしながら、2011年9月にボルテゾミブが未治療の多発性骨髄腫に適応可能となったことから、ボルテゾミブを含むレジメンが導入治療として推奨されるようになり、1st ラインにおけるドキシルの必要性は相対的に低下したと考えておりました。
 他方、NCCNのガイドラインにおいても、ボルテゾミブ/ドキシルをサルベージ治療の推奨グレードカテゴリー1としていることから、本邦でも同様に、サルベージ治療としてのニーズは想定していると考えておりますが、ドキシルの開発を進める上では、現存する標準治療の抵抗性の患者を対象とすることが望まれ、それ以外の初回再発等の患者を対象とする試験の実施は倫理的に問題があるだろうと考えることから、今回、取下げの要望を提出することになった次第です。以上です。

 

○座長
 ありがとうございました。こちらも開発の取下げという状況ですが、これについて、御議論いただきたいと思います。これは患者の会からの要望ですが、そちらの了解というか、見解はいかがですか。


○医薬食品局審査管理課
 ご了解をいただいた上で、この要望取下げの提出を頂いております。


○座長
 ということで、当事者の了解は取れているということですね。という状況です。基本的にはアドレナマイシンをリポゾーム化したものであり、海外の比較試験で有用性が証明されたのがあったので、一時期、非常に有用性が期待されたのですが、その後、先ほど申し上げたように、多発性骨髄腫の治療薬の開発がどんどん進んで、随分環境が変わったことも背景にあるということです。何か御発言、御意見はありますか。特になければ、これも要望の取下げに対する申出を受理したいと思います。ありがとうございました。
 本日予定したものは大体これで終了です。最後に全体として何か御発言があればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、第19回の会議を終了とさせていただきたいと思います。その前に事務局から連絡事項をお願いいたします。


○医薬食品局審査管理課
 次回検討会は、7月11日金曜日の午後3時から開催の予定です。御多忙のところ、恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。


○座長
 皆様、熱心な御討論ありがとうございました。これにて終了といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬食品局審査管理課



03-5253-1111(内線 4165、4221)

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