ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2013年12月2日)
2013年12月2日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録
○日時
平成25年12月2日(月)16:00~
○場所
厚生労働省専用第22会議室
○出席者
出席委員(17名) 五十音順
荒 川 義 弘、 今 井 聡 美、 梅 津 光 生、◎笠 貫 宏、 |
齋 藤 知 行、 鈴 木 邦 彦、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 |
寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、 新 見 伸 吾、 西 田 幸 二、 |
千 葉 敏 雄、 濱 口 功、 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、 |
桃 井 保 子 |
(注)◎部会長 ○部会長代理 |
他参考人2名 |
欠席委員(6名) 五十音順
○荒 井 保 明、 石 井 明 子、 川 上 正 舒、 木 村 剛、 |
塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、 |
行政機関出席者
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官) |
佐 藤 岳 幸 (査管理課長) |
森 口 裕 (安全対策課長) |
古 元 重 和 (医療機器審査管理室長) |
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) |
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役) |
○議事
○医療機器審査管理室長 「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙な中御出席いただきましてありがとうございます。また、本部会は医療機器の審査の迅速化という観点から、大変頻繁な開催となっております。いつも御参加を頂きまして、改めて御礼を申し上げます。
本日は、現時点で医療機器・体外診断薬部会23名のうち、14名の御出席を頂いておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告申し上げます。
続きまして、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づきまして、本日の議題1~議題3については公開で行い、議題4以降につきましては、医療機器の承認審査に関する個別の議題で、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開とさせていただきます。
これより議事に入りますので、傍聴の方におけるカメラ撮りについてはここまでとしていただきたいと存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
以降の進行につきまして、笠貫部会長よろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 議事に先立ちまして、御報告がございます。平成23年より当部会の委員をお務めいただいておりました高橋好文先生が先月御逝去なされました。生前、高橋先生には当部会の活発な議論に御協力を頂き、心から御礼申し上げますとともに、議事に先立ち慎んで高橋先生の御冥福をお祈り、黙祷を捧げたいと思います。皆さん、御起立お願いいたします。黙祷をお願いいたします。お直りください。どうもありがとうございました。事務局より配布資料の確認をお願いいたします。
○医療機器審査管理室長 まず、公開で行われる議題1~議題3について、配布資料の確認をさせていただきます。資料1「MR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準の制定に伴い追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」資料2「医療機器の承認基準案について」、資料3-1「医療機器の認証基準案について」、資料3-2「医療機器の認証基準案に係る基本要件チェックリスト案について」、参考資料1「クラス分類ルール」、参考資料2「医療機器の承認基準に関する基本的考え方について」、参考資料3-1「医療機器の認証基準に関する基本的考え方について」、当日配布の参考資料3-2「認証基準において引用するJIS」です。参考資料3-2については、会議後回収となっておりますので、御了承いただければと存じます。資料の不足等がございましたら、お申し付けいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 続いて、公開案件のうち、審議案件に関する薬事分科会審議参加規程に基づく審議参加の可否について、事務局から御報告をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題1「MR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準の制定に伴い追加する一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」に関して、薬事分科会審議参加規程第18条に基づき、すべての委員が審議及び議決に加わることができます。
○笠貫部会長 ただ今の事務局からの御説明について、特段の御意見等はございますか。よろしければ、皆さんの了解を得たものとして、議題に入ります。
議題1「MR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準の制定に伴い追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」です。
○事務局 審議事項議題1「MR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準の制定に伴い追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」事務局より御説明いたします。本件については、後ほど議題3で報告するMR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準に関連するので、資料1と資料3-1「医療機器の認証基準案」を御用意ください。まず、資料3-1「医療機器の認証基準案」です。表紙を1枚めくった所が、MR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準案です。本基準を作成するに当たり、MR組合せ型ポジトロンCT装置の一般的名称が必要なため、新設することになりました。
資料1です。1枚目は諮問書です。「新設する一般的名称(案)について」の中段に、「既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由」に記載の通り、「MR組合せ型ポジトロンCT装置は超電導磁石式全身用MR装置及び核医学診断用ポジトロンCT装を同時に使用する装置」ですが、組み合わせて同時に使用する機器としての一般的名称がありません。
下の段、「類似の一般的名称とその定義」を御覧ください。同様に、組み合わせて同時に使用する装置として、ポジトロンCT装置とX線CT装置を組み合わせた「X線CT組合せ型ポジトロンCT装置」がありますので、超電導磁石式全身用MR装置と核医学診断用ポジトロンCT装置を組み合わせたMR組合せ型ポジトロンCT装置の一般的名称を新設いたしました。この一般的名称の新設に併せ、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器への分類及び特定保守管理医療機器への指定が必要になります。
お開きいただいている資料の左側、「高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」を御覧ください。まず、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の分類についてです。先ほど説明しましたとおり、この品目は、超電導磁石式全身用MR装置と核医学診断用ポジトロンCT装置を組み合わせたもので、これらは共に管理医療機器の指定を受けています。組み合わせて使用した場合のリスク等には影響がありませんので、管理医療機器としてはどうかと考えております。
次に、特定保守管理医療機器への指定についてですが、これも先ほどの管理医療機器への指定と同様に、組み合わせる医療機器が共に特定保守管理医療機器の指定を受けておりまして、保守点検、修理等の管理を必要とすることから、特定保守管理医療機器に指定してはどうかと考えております。説明は以上です。
○笠貫部会長 委員の先生方から御質問はございますか。一般的名称として新たに設けるということについて、御質問、御意見が特にございませんでしたら、議決に入ります。
MR組合せ型ポジトロンCTについては本部会として、管理医療機器及び特定保守管理医療機器として指定してよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することにいたします。ありがとうございました。議題1を終了いたします。
議題2「医療機器の承認基準案について」です。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題2「医療機器の承認基準案について」事務局より御説明いたします。資料2、参考資料2を御用意ください。初めに参考資料2について説明いたします。まず、誤記の訂正がございます。2行目に、「原則国際基準等からない」とあるのですが、「原則国際基準等からなり」の誤りでしたので、御訂正お願いいたします。
参考資料2です。「承認基準」とは、その基準への適合性を確認することにより、承認審査を行う医療機器等に関する基準として、原則国際基準等からなり、臨床試験成績に関する資料の添付が不要の範囲の品目について定められております。これは統一的な技術要件を定めているもので、その基準への適合性が客観的に判断できるような記載となっています。
承認基準の構成としては、対象となる医療機器が一般的名称で指定される適用範囲と性能、機能、有効性に関する項目等が定められている技術基準、そしてその基準の対象が限定された使用目的、効能・効果からなっております。
また、薬事法第41条第3項の規定により、厚生労働大臣が定める医療機器の基準に定める基本要件への適合性についてチェックリストが作成されております。
続いて、資料3を御覧ください。本日先生方に報告させていただく承認基準については、全て新規に作成するものでして、中心循環系血管造影用カテーテル承認基準のほか、3基準の計4基準です。今回報告させていただく承認基準に関しては、パブリックコメントの手続を経て発出させていただく予定です。これらの具体的な内容については、医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。
○機構 承認基準に関連して、総合機構から説明いたします。資料2を御覧ください。先生方に報告します承認基準案は、中心循環系血管造影用カテーテル承認基準(案)、中心循環系ガイディング用血管内カテーテル承認基準(案)、中心循環系マイクロカテーテル承認基準(案)及び心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤ等承認基準(案)の新規制定4件です。このうち、中心循環系血管造影用カテーテル承認基準(案)、中心循環系ガイディング用血管内カテーテル承認基準(案)、中心循環系マイクロカテーテル承認基準(案)は、適用の重複等が問題となる場合があり、製品ごとの住み分けをすべく、それぞれの適用範囲を明確にすること、カテーテルの一般的な要求事項に加え、適切な適用範囲から必要となるバルーンの気密性、流量等の要求事項及びコーティング、ガイドワイヤとの適合性、耐キンク性、カテーテル先端部等既存品との同等性評価項目を設けるなどに留意して作成されております。
また、心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤ等承認基準案については、完全閉塞部位や頭蓋内専用で使用するような細径のガイドワイヤは除き、ガイドワイヤの一般的な要求事項に追加し、トルク反応、トルク強度、複合高度狭窄部位用ワイヤーの先端部径、形状、性能等の要求事項及びコーティング、材質等を既存品との同等性評価項目を設けました。説明は以上です。
○笠貫部会長 ただ今の承認基準案について、御質問はございますでしょうか。中心循環器系血管造影用カテーテル承認基準(案)、四つとも新基準ということですが、特に質問はございませんでしょうか。特に御意見がございませんでしたら、議題2は終了とします。
次に、議題3「医療機器の認証基準案について」です。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題3「医療機器の認証基準案について」、事務局より御説明いたします。資料3-1、資料3-2、参考資料3-1、参考資料3-2を御用意ください。
初めに、参考資料3-1について説明いたします。認証基準については、平成17年の改正薬事法の施行により、第三者認証の制度を導入しています。現在、我が国には、第三者認証機関が13機関あります。厚生労働大臣が基準を定めて指定する指定管理医療機器については、第三者認証機関がその基準に基づいて適合性の評価を行い認証する形を取っています。現在までに、管理医療機器の一般的名称1,799品目のうち、1,368品目、基準数でいうと826基準が制定され、平成24年度では新規申請のあった管理医療機器全体の約96%を第三者認証機関がカバーする状況にあります。裏面に、医療機器のクラス分類について記載されていますので、御参考になさってください。
続いて、資料3-1を御覧ください。本日、先生方に報告させていただく認証基準案については、資料の表紙にある1「MR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準案」制定のほか、改正案11基準の計12基準です。5番目にある眼底血圧計認証基準ですが、資料の9ページを御覧ください。眼底血圧計認証基準で引用する日本工業規格は、JIS-T0601-1医用電気機器第一部基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項ですが、平成23年3月2日に開催された医療機器体外診断薬部会において、本基準制定について報告させていただいた際にお示しした資料に、「JIS-T0601-1医療機器の生物学的評価第一部リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験」を引用する旨の誤った記載がありましたので、この場で訂正し、おわびいたします。なお、認証基準に係るパブリックコメント及び告示に関しては、正しい内容で行われていましたことを報告いたします。
次に、表紙にお戻りいただきまして、10番目の「全身用X線CT診断装置等認証基準」から12番目の「MR装置用高周波コイル認証基準」までの3基準についてですが、平成25年6月14日に閣議決定された規制改革実施計画において、認証基準についてISO、IECなどの国際基準も活用することも含めて、安全性を満たしつつ、より必須な要件に絞った基準を適用する旨が示されたことを受けて検討した結果、国際規格を直接翻訳し、国際規格と内容が同等とされる日本工業規格を認証基準とする基準のうち、この3基準について、日本工業規格に加え国際規格を直接活用できるよう、改正するものです。内容については、後ほどPMDAから説明があります。
次に、資料3-2を御覧ください。こちらは基本要件適合性チェックリストで、先ほど説明しました認証基準案12件に対応するものです。
最後に、参考資料3-2を御覧ください。こちらは今回御報告させていただく認証基準において引用するJIS規格です。本日御報告させていただく基準のうち、新規に制定されるMR組合せ型ポジトロンCT装置認証基準並びに国際規格を追加する全身用X線CT診断装置等認証基準ほか2基準に関しては、パブリックコメントを経まして、御意見を反映した上で告示でお示しする予定です。これら基準の具体的内容については、医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。
○機構 認証基準に関連して、総合機構より説明いたします。まず、資料3-1を御覧ください。今回報告いたします認証基準案は、新規制定1件及び改正案件として、JIS-T0601-1第3版対応に伴う現行認証基準の改正が5件、告示引用されているJISの改正に伴う現行認証基準の改正が3件及び告示引用規格として、これまでのJISに加えて、国際電気標準会議(以下、「IEC」)が定める規格を引用できるようにするための現行認証基準の改善が3件、計12件です。
まず、資料3-1の目次を御覧ください。番号1の新規制定の1件は、超電導磁石式全身用MR装置及び核医学診断用ポジトロンCT装置を同時使用するMR組合せ型ポジトロンCT装置であり、超電導磁石式全身用MR装置及び核医学診断用ポジトロンCT装置の一般的名称を用い、承認が取得された前例はありますが、当該装置の直接該当する一般的名称が存在しなかったことから、今回吸収補正機能を有するペットMR装置として、当該認証基準を制定すると同時に、資料1にあるように一般的名称を新設するものです。
戻りまして、資料3-1の目次を御覧ください。2番~9番までが、日本工業規格(JIS)の改正に伴う改正案です。そのうち、2及び4~7までが、2012年6月1日にIEC60601-1edition3.0、2005年版に対応して、JIS-T0601-1が第2版~第3版として改正されたことに伴い、この通則規格を引用する個別規格の改正に伴う基準の改正です。
また3及び8~9までが、告示引用するJISの改正に伴う基準の改正です。また、10~12までが、平成24年度厚生労働科学研究費医療機器規制分野におけるISO、IEC規格の認証基準への直接活用に関する研究における提言を踏まえ、告示引用規格として、これまでのJISに加えて、IECが定める規格を引用できるように改正するものです。
次に、資料3-2を御覧ください。資料3-2は資料3-1で説明した12件の基本要件適合性チェックリスト案です。新規制定のものを除き、いずれの基本要件適合性チェックリスト案についても、適宜日本工業規格改正に伴う文言の見直し、基本要件への適用、不適用、特定文章の確認の記載項目等の見直しを行いました。
ここで資料に削除漏れがありましたので、報告させていただきます。133ページにある第9条第1項第1号と、135ページの第9条第2項、137ページの第11条第5項と、141ページの第16条全文の、IEC60601-2-208から「又は」までの文章を4か所の削除をお願いいたします。
○笠貫部会長 委員の先生方から御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。既に、管理医療機器については、96%が第三者認証制度で、この基準に基づいて行われるようになったということは、着々とこの作業が進められていることが実感としてお持ちですね。今日は、新規の名称として、MR組合せ型ポジトロンCT装置については、その認証基準についても決められたということですが、御質問はございますか。特にないようでしたら、議題3は終了とします。公開で行う議題は以上です。
○医療機器審査管理室長 以降の議題については非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。委員の皆様、少々お待ちいただければと存じます。
○医療機器審査管理室長 医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。まず、非公開の議題に係る配布資料の確認をいたします。資料4「医療機器『Solitaire FR 血栓除去デバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」です。資料5「医療機器『HOYAシーティーアール』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」、資料6「優先審査品目について」です。資料7「医療機器体外診断薬部会報告品目」のリストです。資料8「競合品目・競合企業リスト」です。参考資料4「薬事分科会審議参加規程」です。併せて、本日、机上に当日配布という形で、資料を配布しております。「当日配布1」「当日配布2」、正誤表といった資料を配布しております。資料については以上です。部会長、よろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 資料はよろしいでしょうか。これより非公開の議題に入ります。本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から御報告をお願いいたします。
○事務局 本日の審議事項に関する影響企業の調査について、報告させていただきます。資料8と参考資料4です。これらの報告については、平成20年12月19日付薬事分科会で決定された薬事分科会審議参加規程に基づくものです。皆様から毎回御報告いただいておりますので、概要は御存じかと思いますが、過去3年度にわたり寄付金、契約金等の額について、競合企業と申請企業から申告を頂き、その結果に応じて審議不参加、若しくは議決への不参加という形を審議会規程として定めております。
資料8の競合品目・競合企業リストです。表紙になっているのが議題4「医療機器『Solitaire FR 血栓除去デバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」です。申請者はコヴィディエンジャパン株式会社です。競合品目として、使用目的、効能又は効果において、本品と同一性又は類似性を有しているという理由から、3品目が申請されております。
裏面が議題5「HOYAシーティーアール」についてです。申請者は、HOYA株式会社です。競合品目として本品と類似している外国製の眼科用囊内リングであるという理由から、3品目について、6社が競合企業として申告されております。
本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」又は第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議題4について、御退室いただく委員、議決に御参加いただけない委員はおりません。議題5について御退室いただく委員は、西田委員、議決に御参加いただけない委員は寺崎委員となっております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ただ今の事務局からの御説明について、特に御意見はありますでしょうか。よろしければ、皆さんの了解を得たものとして議題に入りたいと思います。
審議事項議題4「医療機器『Solitaire FR 血栓除去デバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」審議を行います。本議題の審議に当たりましては、参考人として国家公務員共済組合連合会虎の門病院脳神経血管内治療科部長の松丸祐司先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題4「医療機器『Solitaire FR 血栓除去デバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より御説明いたします。資料4をご覧ください。1枚目が諮問書になります。一般的名称は「中心循環系塞栓除去用カテーテル」、販売名は「Solitaire FR 血栓除去デバイス」、申請者はコヴィディエンジャパン株式会社です。
審査報告書の4ページ、5ページの審議品目の概要です。図1にも本品の外観図、図2に展開前後の外観図が示されております。本品は、急性期虚血性脳梗塞において血栓を除去し、血流を再開することを目的に用いられる中心循環系塞栓除去用のカテーテルで、図1の右側にあるニッケルチタン合金製、自己拡張型のマルチセルリトリーバーを血栓塞栓の原因である血栓部位で展開して、血栓を絡みとり、これを回収するというものです。
使用目的及び承認条件については3ページです。使用目的は、急性虚血性脳梗塞において、組織プラスミノーゲンアクチベーターの経静脈投与が適応外、又はt-PAの経静脈投与による血流再開が得られなかった患者を対象とし、血流の再開を図るために使用するとされており、承認条件については記載にあるとおり、2項目からなる承認条件が付されております。詳細については、審査を行った医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。
○機構 審議事項議題4「医療機器『Solitaire FR 血栓除去デバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、専門委員の一覧に記載しております3名の専門委員の御意見を頂きました。また、事前に配布した審査報告書に修正がありますので、正誤表にてお示しいたします。おわび申し上げます。
本申請品目の概要について説明いたします。審査報告書4ページです。本品は、急性期虚血性脳梗塞において、血栓を除去し、血流を再開することを目的に用いられる中心循環系塞栓除去用カテーテルです。図1に示すように、プッシュワイヤーの先端に複数のセルが非対称に配置されたニッケルチタン合金製の自己拡張型マルチセルリトリーバーが接続されています。本品は、付属品のイントロデューサーシース内に格納されており、使用時に併用するマイクロカテーテルに移し替えた後、本品をマイクロカテーテルにて標的部位まで送達し、血管塞栓の原因である血栓部位でマルチセルリトリーバーを展開して血栓を絡みとり、これを回収します。
続きまして、審査報告書6ページ、下から2行目以降です。外国における使用状況についてですが、本品は本邦で申請されている適応にて、欧州では2009年7月に、米国では2012年3月に許認可を取得しており、2013年7月現在、2万2,970本の販売実績があります。それまでに報告された不具合及び有害事象の発生率は0.27%、61件であり、機器の断裂0.23%、53件、死亡は0.04%、9件で、うち詳細は7ページ、表2に示しておりますが、本品の仕様と関連ありと判断されたのは1例、本品の仕様と死亡原因との因果関係を否定できなかったのは7例でした。
非臨床試験については、審査報告書8ページより記載しております。仕様の設定に関する資料、安定性及び耐久性に関する資料、並びに性能を裏付ける試験成績が提出され、特段問題は認められませんでした。
続きまして、本品の臨床試験成績について説明いたします。審査報告書15ページ、チ.臨床試験に関する資料、提出された資料の概略です。SWIFT試験は、急性期虚血性脳梗塞の機械的血栓回収において、本邦でも承認されているMerciと本品の有効性及び安全性が同等であることの検証を目的として、脳主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳梗塞から
8時間以内の患者で、組織プラスミノーゲンアクチベーター(以下、「t-PA」)による静脈内治療の適応外、又は静脈内t-PA治療が奏効しなかった患者を対象に、米国17施設、フランス1施設で患者が登録された多施設共同無作為化試験です。
16ページ、下から2行目から記載していますが、本試験は146例が登録され、このうち32例がRoll-in群として、残り114例が本品群と対照群に無作為割付けされました。なお、本試験は当初200例まで登録を予定しておりましたが、対照群での死亡率が著しく高かったため、効果安全性委員会による146例の登録で試験が中止されております。
審査報告書18ページ、表9に示すように、有効性の主要評価項目である症候性頭蓋内出血を伴わない閉塞した標的血管の再開通の成功は、本品群で60.7%に対して、対照群では24.1%であり、本品のMerciに対する非劣性及び優越性が示されました。また、有効性に関する副次的評価項目の結果は、審査報告書19ページ、表10のとおりであり、神経学的予後の改善、定義としてはmRS2以下、脳梗塞発生前のmRSが3以上の場合には、脳梗塞発生前のmRSと同じスコア、又はNIHSSが10ポイント以上の改善としておりますが、これが手技後30日時点及び手技後90日時点とも、本品群は対照群と比較して高く、手技後90日時点では有意差が見られました。また、安全性については審査報告書20ページ、表11のとおり、安全性の主要評価項目である機器又は手技と因果関係のある重篤な有害事象の発生率は、本品群で22.4%であり、対照群40.0%に比べて低い傾向にありましたが、有意差は認められませんでした。一方、表12に示すように、手技後90日時点の死亡率は、本品群17.2%、対照群38.2%と本品群で有意に低く、頭蓋内出血発生率及び症候性頭蓋内出血発生率のいずれも、対照群に比べ本品群で低い傾向を示しました。
これらの試験成績を踏まえ、本品の審査における主要な論点について説明申し上げます。審査報告書23ページ、総合機構における審査の概要です。主要な論点の一つ目は、海外で実施されたSWIFT試験を本邦へ外挿することの妥当性についてです。審査報告書24ページ、中段です。本品が適用されている急性期虚血性脳梗塞は、その発生要因等に国内外で大きな差はなく、医療環境についても使用されている医薬品が若干異なるものの、大きな違いはないと判断でき、申請者の海外成績の外挿に関する説明についてもおおむね受入れ可能と判断しました。ただし、厚生労働科学研究の「急性期脳主幹動脈閉塞症の実態に関する後ろ向き研究」の結果によると、本邦のデータの各主要閉塞血管の比率は、内頸動脈が44.6%、中大脳動脈が45.8%、脳底動脈及び椎骨動脈が9.6%であり、海外に比べ本邦では中大脳動脈よりも予後の悪い内頸動脈の割合が高いことが知られています。したがって、海外臨床試験成績を評価する際には、閉塞部位ごとの有効性に留意して判断すべきと考えます。以上より、閉塞部位ごとの有効性に留意する必要はあるものの、海外臨床試験を本邦へ外挿することは妥当であると判断しました。
主要な論点の二つ目は、本品の有効性及び安全性についてです。24ページ、下段です。有効性に関する主要評価項目である症候性頭蓋内出血を伴わない閉塞した標的血管の再開通の成功のみならず、臨床的指標である神経学的予後の改善が本品の有効性を評価する上で重要であると考えました。SWIFT試験では、両評価項目ともにMerciに比して有意に高い結果が示されています。また、先ほど述べました閉塞部位ごとの有効性については、閉塞部位別の標的血管の再開通の成功は、本品群の内頸動脈63.6%、中大脳動脈60.4%であり、閉塞部位別の神経学的予後の改善割合は、本品群の内頸動脈で75.0%、中大脳動脈で51.2%であり、内頸動脈と中大脳動脈において、同程度の結果が得られています。したがって、内頸動脈の割合が高い本邦においても、本品の有効性が期待できると考えます。
安全性については、SWIFT試験で機器又は手技と因果関係のある重篤な有害事象の発生頻度に有意差は認められなかったものの、対照群に比べて低い傾向にあり、本品群の死亡率は対照群に比べて著しく低いことが示されています。また、対照群と比べて、新たな有害事象が認められていないことから、本品はMerciに比べ同等以上の安全性が期待できます。以上より、総合的に判断して、本品の有用性は示されていると判断しました。
主要な論点の三つ目は、本品の使用回数制限についてです。審査報告書25ページです。申請当初、使用回数制限を禁忌・禁止の項に記載しておりましたが、回数設定の妥当性の根拠が動物での性能評価試験及び海外臨床成績から明確になっているとは言えず、設定された制限が最適であったか判断できないこと、本品の対象疾患が重篤であることを踏まえ、禁忌・禁止の項に規定することは適切でないと判断しました。しかしながら、パス回数を減らすことは重要であり、現時点では臨床試験で実施した使用方法の成績しかないことから、臨床試験で規定されていた使用回数を添付文書、「臨床成績」の項に記載した上で、「使用上の注意」の項で注意喚起をすることとしました。
主要な論点の四つ目は、本品の臨床的位置付け及び使用目的、効能又は効果についてです。審査報告書26ページです。急性期脳梗塞に対する血管内治療とt-PAの臨床的位置付けについては、2013年5月にt-PAと直接比較した場合の血管内治療の優越性やt-PA治療に血管内治療を併用したときの血管内治療の上乗せ効果が示されなかったとする3報の論文が報告されました。
当該論文により示された血管内治療機器の有効性・安全性に関する結果は、血管内治療機器をt-PAに優先して第1選択とすべきか。t-PAの代替としても血管内治療機器が使用できるか、又はt-PA治療と同時に血管内治療機器を併用使用すべきかといった、血管内治療機器の臨床的位置付けを考える上で大変重要な知見であると考えますが、既承認のMerci及びPenumbraは、従来の薬剤療法による治療が困難な患者に対し、新たな治療方法を提供するという位置付けにはなっておらず、当該論文が本邦における既承認の脳血栓除去デバイスの臨床的位置付けの有効性及び安全性の判断に大きな影響を及ぼすことはないと考えます。先に述べましたように、本品はSWIFT試験においてMerciに比べて高い有効性が示され、安全性についても同等以上の結果が得られています。よって、従来の薬剤療法による治療が困難な患者に対する治療機器の選択肢の一つとして、医療現場へ提供する臨床的意義はあると判断しました。
また、本品の使用目的、効能又は効果は、既承認の類似医療機器と同様とすることが適切であると判断しました。本品の適正使用の観点から、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会及び日本脳神経血管内治療学会の3学会により、経皮経管的脳血栓回収用機器適正使用指針の改訂が進められています。また、申請者は適正使用を徹底するための措置として、本品の使用に関するトレーニングを実施することとしています。したがって、これらの対応により、本品が適切に使用されるのであれば、本品の有用性が担保できると考えます。なお、本品のリスク低減のためには、講習の受講等により、本品を用いた血管内治療に関する手技及び同治療に伴う合併症等に関する十分な知識を有した医師が、適切な体制が整った医療機関で使用する必要があるため、既承認の類似医療機器と同様、承認条件を付すことが妥当と判断いたしました。
主要な論点の五つ目は、製造販売後調査についてです。審査報告書27ページ、冒頭です。本邦にて患者に本品を使用した際の情報がないことから、製造販売後調査において情報を収集し、得られた情報を基に適切な対応をとる必要があると判断しました。なお、製造販売後調査の実施計画等の細部にわたる検討は、今後、必要であると考えますが、提出された製造販売後調査と計画案の骨子についてはおおむね妥当と考え、申請者の説明を了承しています。
以上を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。再審査期間は、新性能医療機器であることから3年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
本日御欠席の塩川委員、上川委員より、機構の判断に異議はない旨のコメントを頂いておりますので、報告申し上げます。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 参考人の松丸先生から、何かありましたらお願いします。
○松丸参考人 本機器は、もともと脳動脈瘤のコイル塞栓術に補助具として使うステントとして開発されたのですが、それが血栓除去に有用であるということが分かって、新たに開発が進んだデバイスです。先ほど説明がありましたように、SWIFT試験という試験で対象となった、要するにこのデバイスよりも成績が悪いというデバイスが、我々が今使っているMerciというデバイスで、Solitaireという機器に関しては、非常に多くの期待があります。
専門協議で議論になりましたのは使用回数制限なのですが、一つの病変に対して何回使用するかということなのですが、一番最初に承認になりましたMerciは6回までということになりました。それは回数を重ねると血管が傷つくので、リスクがあるだろうということで6回になったわけなのです。本機器は、当初3回というのが企業からあったわけなのですが、デバイスの安全性を考えれば、もちろん使用回数は少ない方がいいのですが、再開通できなかった場合、患者が脳梗塞になってしまうわけですから、これは患者の予後に非常に大きな影響を及ぼして、現在、効果としてはこの機器が一番あると考えられている機器ですので、これを3回と強く制限してしまうことは、患者にとっての治療のチャンスを失う可能性もあるので、禁忌とはしない方がいいのではないかと我々は意見を言いました。
適正使用指針に関してなのですが、脳血管内治療学会、脳卒中学会、脳外科学会で策定して、使用可能な医師は脳血管内治療専門医、あるいはそれに準ずる者としております。脳血管内治療専門医は、筆記試験と実技試験に合格した者ですので、それに準ずる者はその試験を受けるために準備をしているものと考えております。そのような知識と技術を持つ者がこの治療に当たるというように、適正使用指針を定めました。ですので、市販後調査でいろいろなことを調べなければいけないこともあるのですが、我々としてはこの機器を承認していただきたいと思います。
○笠貫部会長 各委員の先生方から、御質問、御意見はありますでしょうか。
○鈴木委員 この機器は以前、審議したMerciと比べて、より有効で、より安全ということで、非常に優れているというデータが出ているのですが、例数は2桁なので、それで全て言い切れるのでしょうか。余り違った製品のようには見えないのですが、どこが優れていると、専門家として御覧になっているのかを教えていただけますでしょうか。
○松丸参考人 Merciとこの機器は、デバイスの固さが全く違うのです。血管に対する影響が本デバイスの方が明らかに少ないと、これが1点です。血栓を捕捉する能力も高いために、血管に傷を付けずに、非常に早く再開通ができるということで、臨床的に効果が高いです。Merciの場合は、血管に傷が付く可能性が高いです。
○千葉委員 血管に傷が付くことが一つの問題だとしますと、傷が付けば攣縮が起こると考えてよろしいですか。
○松丸参考人 攣縮も起きます。
○千葉委員 22ページのデータで見ると、表14で手技関連イベントは本品が対照群よりも高い傾向に挙げられますね。血管攣縮も若干多いです。ですから、全体から見れば、これははるかに優れているという御意見は、この部分に関して本品が今までのものよりも優れていると言えるのでしょうか。
○松丸参考人 発生頻度として、これは明らかに差があって、Solitaireが悪いというデータではないと思うのですね。あと、最初のプライマリ・エンド・ポイントが出血を伴わない再開通となっているのですが、血管に傷が付くということは、攣縮だけではなくて出血も含まれていて、本デバイスは出血を伴わずに再開通できるところで、有意にSolitaireがいいというデータが出ているので、我々はその結果に愛護的に再開通できるデバイスではないかと理解しています。
○千葉委員 もう1点よろしいですか。t-PA治療が奏効しないケースに対して、このようなデバイスを使いますが、t-PA治療が奏効したかしないかの判定と、次に使う場合はどのぐらいのインターバルあけたら良いか、具体的にどのような指針になっていくものはありますでしょうか。
○松丸参考人 これはまだ明らかになっていないのですが、t-PAというのは、通常は1時間かけて静注します。そのとおりいきますと、1時間たった時点で、もう1回何らかの検査をして、再開通したかどうかを確かめるわけですが、重症例に関しては1時間待っている間に脳梗塞が進んでしまいますので、現在はそれがt-PAを打ってから血管の治療に行くまでの時間は短くなってきているのですが、それはどういう患者にどこが適切かというのは、まだ臨床的には明らかになっておりません。
○千葉委員 平均して見ますと、1時間は見るということでしょうか。
○松丸参考人 以前は1時間とっていたのですが、現在は多分、その時間は短くなってきていると思います。
○千葉委員 分かりました。
○機構 総合機構より追加で説明いたします。22ページ、表14にある血管攣縮は、血管拡張薬を使用しないで済んだ血管攣縮を載せておりまして、20ページ、表11、上から3行目の血管攣縮の発生率が血管拡張薬の使用が必要になった重篤な血管攣縮になっております。こちらの値ですと、それほど本品群が高いという結果ではないというところを追加で説明させていただきます。
○千葉委員 その違いをお教え願います。
○笠貫部会長 Merci、それからPenumbraですか、この先行品二つについて、市販後調査として、どのぐらいのデータが存在していて、今回の本品を採用するに当たって、それを参考にされたかどうか知りたいのです。
○機構 総合機構より説明いたします。Merciですが、2,000~3,000例近い市販後調査のデータが集まっております。先日、学会報告があったのですが、全例調査ですので、Penumbraも今2,000例近い症例数が集まっているところです。その結果を踏まえて、今回の場合は特段大きな経過は変わらないだろうというところから、市販後調査の例数に関しては算出しております。
○笠貫部会長 この先行品二つを承認するに当たっては、市販後調査等、非常に大事だということで、学会との連携も取られたらどうかというお話しました。そこで、今それぞれ2,000例ずつの結果が報告されていたということですが、その結果と先ほどの今回は無作為化試験になっていますから、そのMerciの結果と違いはあるのでしょうか。あるいは、今回の試験の結果でMerciが悪いとか、良いとかということはあるのでしょうか。
○機構 機構より説明させていただきます。まだ最終的な結論は分かりません。ただ、臨床試験の成績でいきますと、今回の対照群のMerciの成績と、Merciを承認時にしたときのMerciの成績は変わらないというところなども踏まえますと、今回の成績が若干良さそうな傾向が見られておりますので、市販後に関しては今回、頭蓋内出血を中心としたところを症例数設計として、そこを中心に調査していきたいと考えております。
○笠貫部会長 これは本品の承認と直接は関係ないかもしれませんが、いつも革新的な治療機器を承認する場合には、非常に不十分な臨床データで承認をしています。市販後調査を承認条件に付けているわけですが、その結果がどうであるかということを、いつも我々、この部会としては知りたいのですが、なかなかそれを知る機会がないのです。非常に問題が起こったら多分出てくると思うのですが、今度のようにMerciと新しいSolitaireのランダマイズスタディが出たので、結果的にMerciのここでの判断がどうであったかということを、我々の内部の部会の中でのフィードバックというように使われたらと思ったので、質問させていただきました。そういう意味では、さらにMerciとPenumbraの2,000例の分析をしていただいて、その結果がもし分かりましたら、どこかの部会で御報告していただけると大変助かります。
ということで、今回は医療機器としては非常に珍しいといいますか、なかなか難しいと言われている先行品との無作為化試験の結果で、同等ないしはそれ以上という結果が出たということですが、承認条件は以前と同じということになっております。特に皆さんから御質問はございますでしょうか。齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 Merciの成功率が24%とありますが、この数字は妥当なのですか。
○松丸参考人 我々の病院の成績でも、実は3割程度なのですね。恐らく一般的な予後が改善する人は3割程度で、この成績は妥当だと思います。
○齋藤委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○笠貫部会長 これはアメリカとフランス、フランスは1施設だけですが、無作為化試験の質の担保をどうするかということは今、問題にもなっていますが、これは一応きちんとした論文として、発表されているのです。論文はどの論文集に記載されておりますか。
○松丸参考人 これはストロークに掲載されています。
○笠貫部会長 ですから、論文集名も載せていただきますと、企業の提出した資料がピュアレビューアーのどのような所で評価をされた論文なのかということも、一つこの部会での評価に役立ちますので、それもお願いできたらと思います。それ以外にはありませんでしょうか。
○鈴木委員 これだけ差がある結果が出ることは少ないので、これだけ違うということは、これが将来、保険適用されましたら、専門家の先生方は迷わずこれを使うというようにお考えになりますか。
○松丸参考人 現在、MerciとPenumbraがあるのですが、メカニズムとしてはMerciとSolitaireは似ていますので、Merciを使う人はいなくなると思います。ただ、Penumbraに関しては、これは吸い取るというデバイスなので、メカニズムが違うので、Penumbraはまだ使う人はいると思います。米国ではPenumbraとSolitaireは半々ぐらいずつになっていると聞いております。
○鈴木委員 患者からすれば、Solitaireの使用を自ら希望することは難しいわけです。治療に不利にならない選び方をするということで、専門家を信頼してよろしいでしょうか。
○松丸参考人 はい、結構です。
○笠貫部会長 これについては、先ほどの3学会での適正使用指針できちんと書いていただいて、それぞれ患者に合った適正な機種の選択をしていただくということも、是非お願いできたらと思います。ほかに特にありませんでしたら、議決に入らせていただきます。
医療機器「Solitaire FR 血栓除去デバイス」については、本部会として審査報告書にある条件を付した上で承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということで、よろしいでしょうか。 御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することといたします。議題4が終了しましたので、参考人の松丸先生におかれましては、御退室していただいても結構です。どうもありがとうございました。
—— 松丸参考人退室 ——
○笠貫部会長 議題5に移らせていただきます。議題5「医療機器『HOYAシーティーアール』の製造販売承認の可否等について」審議を行います。西田委員につきましては、議題5の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。
—— 西田委員退室 ——
○笠貫部会長 本議題の審議に当たりましては、参考人として千葉大学大学院医学研究科眼科学教授の山本修一先生にお出でいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。まず、審議品目の概要について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題5について、事務局から御説明いたします。資料5を御覧ください。1ページ、一般的名称は眼科用嚢内リング、販売名はHOYAシーティーアール、申請者はHOYA(株)です。4ページ、審議品目概要については、本品はチン小帯の脆弱又は断裂が観察される白内障患者に対し、水晶体嚢を安定化するために使用する青色ポリメチルメタクリレート製のC形状オープンリングです。右ページの図1に、本品外観図、図2に挿入後のイメージが示されています。
本品のリング形状には、単円形及び複円形があり、複円形には縫合糸で固定するための縫着ホックを有するタイプがあります。本品の使用目的及び承認条件については、3ページを御覧ください。
使用目的は、白内障手術の際にチン小帯の脆弱、断裂が疑われるまたは、観察された患者に対し、水晶体嚢の安定化のために使用するものであり、承認条件は、本品の適応に関連する十分な知識・経験を有する医師が適用を遵守し、講習の受講等により、本品を用いた治療に関する技能や手技に伴う合併症に関する知識を得た上で、本品が用いられるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずることとなっております。
なお、本品については、日本眼科学会からの要望に基づき、平成24年2月3日に開催された「第18回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」にて、早期導入品目に選定され、平成25年5月10日に、優先審査品目の指定を受けております。詳細については、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
○機構 審議事項議題5「HOYAシーティーアールについて」総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、当日配布資料に記載している3名の専門委員の御意見を頂きました。また、事前に配布いたしました審査報告書に修正がありましたので、正誤表にてお示しいたします。おわび申し上げます。審査報告書の4~5ページにかけて御覧ください。HOYAシーティーアール(以下、「本品」)は、チン小帯の脆弱または断裂などのチン小帯異常が観察される白内障患者に対し、手術時の水晶体嚢を安定化するために使用する青色PMMA製のC形状オープンリングです。リング形状には、単円形及び複円形があり、複円形には強膜に縫合糸で固定するための縫着ホックを有するタイプがあります。縫着ホックを有するタイプではありますが、挿入後のイメージが図2になり、更に眼内レンズが挿入されます。サンプルも準備していますので、そちらも御覧ください。
本品の開発の経緯は、6及び7ページを御覧ください。術前より、または術中に何らかの原因によりチン小帯異常が生じた場合は、水晶体嚢が本来の形状を保てなくなり、手術継続に支障を来たし、眼内レンズ挿入困難、後嚢破損等の合併症の増加、挿入後、眼内レンズ不安定などの問題が生じます。
チン小帯異常は、術前と術中を合算して5%以下と少数です。海外では、チン小帯異常症例に対して、水晶体嚢の安定性を補助し、手技の安全性を高める目的で、Capsular Tension Ring(以下、「CTR」)が、1990年代前半より使用されており、国内では同様の症例に対し、個人輸入したCTRを使用したり、不安定な水晶体嚢を術中に可能な限り保持しつつ、眼内レンズを挿入したり、眼内レンズ縫着などを行っていますが、CTRを使用しない場合は、手技的に難しく、術後合併症も増加すると推定されます。
日本眼科学会実施の、本邦におけるCTRの使用実態調査の報告書によると、個人輸入により、CTR挿入を実施した割合は約0.6%で、本邦におけるチン小帯異常が確認された白内障手術でも、CTR挿入が広く行われていることが推察されます。本邦で薬事承認を取得したCTRはなく、本品は医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において、早期導入品目として選定され、海外類似品を参考に、HOYA(株)により国内開発されたものです。
海外類似品との類似性は、灰色インデックスが付いている添付資料概要の42ページに示されているとおりです。見ていただきますと、形状、サイズ、原材料が類似していることが分かるかと思います。
続きまして、本品の非臨床試験について御説明いたします。審査報告書の8ページを御覧ください。8ページの性能に関する項目を御覧ください。安全性を裏付ける評価として、物理化学的特性及び生物学的安全性に関する試験は、既承認品の自社眼内レンズ同一なため省略され、そのほかに、動的疲労耐久性試験が提出されました。
動的疲労耐久性試験は、眼内レンズの国際規格であるISO11979-3を参考に設定されました。機構は、動的疲労耐久性については、眼内レンズと共に挿入することから、参考となる規格がない中で、眼内レンズの規格を参考にすることは致し方ないと考え、安全性を裏付ける試験についてはこれを了承しました。
続いて、性能を裏付ける評価として、9ページを御覧ください。資料は機械的特性試験、豚眼挿入試験、中長期的比較試験が提出されました。機械的特性は、全ての項目で海外類似品と同等であることが示されました。豚眼挿入試験において、本品は青色であることから、海外類似品と比較して、視認性が良好と評価されました。中長期的比較試験のうち、圧縮荷重及び単位接触荷重で挙動が異なっていました。これはPMMAの特性により、塑性変形が進み、最終的にホルダー内形と同じ約□ mmで安定しますが、海外類似品とは同一のPMMAではないため、本品の経時的塑性変形がやや緩やかとなり、□ mmに圧縮した状態で測定する圧縮荷重や単位接触荷重に差が生じる結果となりました。既承認の眼内レンズが約0.5mN程度の力がしばらくかかることは、文献等で報告されていることから、総合機構は、本品の特性として問題ないと判断いたしました。
続いて、臨床評価に関する資料について御説明します。審査報告書の12ページを御覧ください。チン小帯異常を有する白内障症例に対して、CTRを使用することが米国眼科学会作成のガイドライン(以下、「AAOガイドライン」)に記載されており、国内外の教科書などにも紹介されていることから、申請者はある程度確立した手技であると考え、海外類似品と本品の物理的特性が同等であることが示されたことから、海外類似品が、臨床上有効かつ安全に使用されていることが文献等で評価できるのであれば、本品を用いた臨床試験を新たに行わずとも、CTRとしての有効性及び安全性に関しては評価可能として、国内外の文献に基づいた臨床評価報告書が提出されました。
文献調査について、調査の方法は記載のとおり実施され、表2に示すエビデンスレベルごとに文献を分類した結果、表3のとおりとなりました。エビデンスレベルII以上の2報、R7とR8を中心に評価が行われました。R7の概要については14~15ページにお示ししております。
術前よりチン小帯異常が想定される偽落屑を有する白内障患者が、CTR併用と非併用の2群にランダムに割付け評価されました。結果は表5と表6にあるとおりで、眼内レンズを嚢内に固定できる割合は、併用群が有意に高く、チン小帯に関連する有害事象の発生割合が、CTR併用群で、有意に低い結果でした。
文献R8の概要は、15~16ページにお示ししております。R7と同じく、偽落屑を有する白内障患者をCTR併用と、非併用の2群に均等に割付け評価されました。術後の眼内レンズを水晶体嚢内に固定できた割合の比較は表8のとおりであり、併用群が有意に高い結果となりました。
Ophtec社製及びMorcher製の米国治験についての文献等は、エビデンスレベルVであり、エビデンスレベルとしては低いものの、有効性及び安全性に関して詳細に記述されているため選択されました。結果の概要は、16~19ページにお示ししたとおりです。
19ページの中段を御覧ください。以上の文献等4報により、CTRを用いることで、安全に水晶体嚢内に眼内レンズを固定することができ、眼内レンズと共に硝子体への落下や、CTRによる破嚢などのCTR特有の有害事象は起きておらず、FDAの有害事象データベースでも、CTRに関する重篤な有害事象の発生は報告されておりません。
以上の臨床評価を踏まえ、本品の審査における主要な論点について御説明いたします。一つ目の論点は、海外文献で、本品の有効性及び安全性を評価することの妥当性です。20ページの上段を御覧ください。文献によると、水晶体嚢又は水晶体の形態学的人種差はないと考えられました。白内障を手術及び眼内レンズ挿入術を取り巻く医療環境にも日米で大きな差はなく、個人輸入され、使用されている海外製品は、主にMorcher社製、Ophtec社製、Lucid Korea社製であることからも、海外類似品とほぼ同じサイズをそろえる本品は、本邦においても使用可能と判断しました。
二つ目は、縫着用CTRの有効性及び安全性についてです。21ページの中段を御覧ください。重篤なチン小帯異常などの場合、標準CTRでは、術中及び術後の水晶体嚢の安定性を維持できない可能性があるため、強膜に縫着できるCTRが必要になりますが、提出文献等の対象症例が、縫着のない症例が中心であったため、縫着用CTRについて、新たに文献が抽出され、7報が選択されました。まとめた結果は、表16、表17のとおりであり、重篤な有害事象もなく、術後の結果も良好です。
より重篤な症例に対して、縫着用CTRと標準CTRを比較した文献はなく、7報の文献もエビデンスレベルVではあるものの、AAOガイドラインにおいて、より重篤な症例には縫着用CTRが適用となると記載されており、国内の教科書などでも縫着用CTRの使用が紹介されています。
より重篤な症例においては、縫着用CTRを用いない眼内レンズ挿入術は、通常のチン小帯断裂等より、更に手術難易度が高く、合併症の発生率が高くなると想定され、縫着用CTRを用いることで、将来的な硝子体落下を防げることは十分に推定され、縫着用CTRをより重篤な症例に対する選択肢として提供することには意義があると考えました。
一方で、標準CTRよりも、縫着用は手技的に困難であることから、当該疾患及び病態に対し、深い知識、経験を有する医師が適応を適切に判断して使用するとともに、使用成績調査において、安全性情報を収集し、これらの情報を安全対策に反映することが重要と考え、使用成績調査において縫着用CTRを重点的に調査するように指示しました。
22ページを御覧ください。三つ目は、小児を原則禁忌とすることの妥当性についてです。小児眼に対するCTRの使用に関する文献は、抽出文献の中に3報ありました。しかし、文献を精査した結果、1報は小児白内障ではなく、マルファン症候群等により水晶体偏位が著しい場合に、弱視の発生予防の目的も含め、小児期に超音波水晶体乳化吸引術及び眼内レンズ挿入術が実施されたものでした。残り2報は、小児白内障又はマルファン症候群等により、水晶体偏位が著しい場合に使用した文献でした。これらの文献から、CTRが小児においても、水晶体嚢の保持に有用であることが示唆されるものの、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会においても、白内障手術に際して用いることとされており、提出された資料から、白内障患者を対象として議論しております。
チン小帯異常を有する小児白内障は、実臨床においてわずかであるとされており、国内外のガイドラインでも小児に対するCTRは取り上げられていません。米国FDAの承認状況においても、適用は成人としており、小児期には眼が成長することから、12歳以下を禁忌とし、13歳~18歳は慎重使用に設定し得ることに鑑みて、本品は水晶体の成長が見込まれる患者を禁忌に設定し、成長の目安となる年齢等に関して、添付文書にて情報提供及び注意喚起を行うことが妥当と判断しました。
25ページの一番下の段落を御覧ください。CTRの使用においては、チン小帯異常に関する病態や治療に十分な知識、経験を持つ医師により行われる必要があるとともに、有害事象発生時も含めて、適切な処置が可能な医師が治療を実施することが必要です。
縫着用CTRの適応は、標準CTRと比較して、重篤なチン小帯脆弱、断裂及び進行性のチン小帯脆弱例と考えらます。更に強膜への縫着が必要なことから、一般的な白内障手術や、標準CTRのみの経験者では手術の完遂は難しいと考えました。したがって、本品の適正使用に当たっては、関連学会の協力のもと、チン小帯異常に関する病態や治療に十分な知識、経験を持つ医師により行われる体制が必要であると判断しました。
総合機構は、以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は3年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
最後に、事前に本日御欠席の川上委員から御意見を頂きましたので御紹介します。川上委員からは、機構の審査結果に対し、特に異議はないとの御意見を頂きました。総合機構からの報告は以上です。御審議をよろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 それでは、参考人の山本先生から何かありましたらお願いします。
○山本参考人 白内障手術は大変安全で簡単という認識が広まっておりますが、水晶体の嚢を支えるチン小帯が脆弱あるいは断裂すると、極めて難易度が高く、合併症の頻度も高くなってまいります。本来の最終目的である水晶体をきれいにして、眼内レンズを入れて、そして視力を戻すということがほとんど不可能となってまいります。水晶体嚢というのは極めて薄い膜で、これが360度宙づりにしているような状態ですので、これがどこか一部取れるだけでも、水晶体嚢の安定性が失われて、水晶体嚢が手術中に破けてしまう。そして眼内レンズが入らない事態が起きてきます。
この頻度については、今、機構からもお話がありましたが、ある一定頻度で存在します。日本眼科学会の推定では、0.6%ということで、日本での白内障手術が現在130万件ぐらいと考えられておりますから、1万件弱ぐらいはこのデバイスが必要となる症例があると考えられます。
これは手術前に大体想定がついて、これは多少危ないという症例もありますし、手術中に術前では判断がつかなかったチン小帯が脆弱、水晶体が不安定になってくるということもあり、できれば手術室に常備しておいて、いざというときに使える状態にしておきたいということです。
今、日本では市販されておりませんので個人輸入か、業者を通すと非常に高価になるものですから、私どもが外国の学会へ行ったときに、医局運営費などで10個とか20個買ってきて常備しています。私どもと関連する施設で必要な場合には、そこから無料で提供するということで何とか賄っている状況です。これは外国では古くから使われておりますので、ずっとそういう形態で、私の記憶する限りでは20年ぐらい前から、そんなことをやっているように記憶しております。
縫着用CTRが必要になるということは、基本的には、CTRが通常縫着を想定しないのですが、やはり、断裂が大きいような場合、一度眼内レンズを入れても、今度、水晶体の嚢ごと将来落下するリスクが高い場合には、そこで縫着も加えて手術をすることになります。ただ、縫着用CTRの手技というのは、通常のCTRを用いる白内障手術と違って、強膜に直接針糸で縫い付けるという手技があって、これがブラインドというか、見えない部分の虹彩の茶目の裏側に針を通さなければいけませんので、出血のリスク、あるいは将来的に網膜剥離を引き起こすリスクなどもあるために、かなり手技的には難しくて、熟練した術者でないと、容易な手術ではありません。したがって、この使用については、学会の方でガイドラインを作る、あるいは適切な講習会を設けるなどして、安全に手術が行われるようにしていきたいと考えております。
○笠貫部会長 それでは、この件について各委員から御質問、御意見はありますか。
○斉藤委員 初期の力学的な強度というのは十分保たれているのは分かりましたが、こういうものは体内に入っていると、どうしても酸化とか長期的に劣化という問題が生じると思いますが、変性により破損は起こり得るのでしょうか。
○山本参考人 今回のデバイスに用いられているPMMAは、HOYA(株)が作っている眼内レンズの足、眼内レンズの足というのは、やはりデバイスと同じように、水晶体の嚢の中で突っぱって位置を維持するのですが、それと同じ材質が用いられていて、既に眼内レンズの材質の一部として長い歴史があって、少なくとも、私の知る限り、あるいは報告される限りでは、劣化による何らかのトラブルはないです。
○機構 機構より追加で御説明させていただきます。PMMAについては、眼内レンズで古くから、一番最初から使われているような素材であり、また、中長期的比較試験についても、審査報告書の10ページと11ページにあるように、□か月相当まで確認されておりますので、その経過の中で、海外類似品と大きく差はないです。海外類似品についても劣化に関するような報告は、臨床評価の中で確認できませんでしたので大きな問題はないと考えております。
○斉藤委員 5年、10年という単位ではどうですか。
○機構 5年、10年においては、中長期的比較試験についても、断力性等についてはおよそ12か月ぐらいで大きく差はないです。また眼内レンズについても、初期のもので数十年使って、PMMA特有の有害事象も起きておりません。
○斉藤委員 整形外科領域ですと、骨セメントにPMMA、ポリメチルメタグリレートを使うのですが、どうしても劣化の問題は結構おこります。そのような意味でお伺いしました。
○笠貫部会長 ほかにはありませんか。梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 縫着のところで、リングから力が加わったこともあり、力学的な部分が一番心配です。それについては、説明の中で十分にされているということですが、何か数値できちんとそういうのがしっかりと、特に根本の所が三角形になって広がっているとか、その辺りは相当ノウハウがあるような気がするのですが、機構として、検討はされたのでしょうか。
○機構 審査報告書には記載しておりませんが、添付資料概要の50ページを御覧ください。御指摘のとおり、縫着に関して試験を行っており、海外類似品と比較して、特段こちらが弱いという結果はありません。海外類似品の縫着についても、その部分で文献を確認したところ、折れたとか、破損したという確認はありませんので問題ないと考えております。
○梅津委員 比較データがあれば十分だと思います。ありがとうございました。
○笠貫部会長 ほかにはありませんか。千葉委員、どうぞ。
○千葉委員 PMMA材質に関しては、縫着する糸は、材質によって、長期的に何か影響はあり得るでしょうか。
○山本参考人 縫着に関しては、このデバイスではなくて、縫着用の眼内レンズというのがあります。それは最初から眼内レンズを支える水晶体嚢が保てないということが分かっている場合、外傷、その他で水晶体嚢が失われている症例の場合、最初から縫着用の眼内レンズというのが承認されております。そのときに使う糸は、縫着用に10-0ナイロンが数種類市販されております。これに関しては、特に縫着用として承認を頂いていて、使用上も特に問題はないと思います。
○千葉委員 10-0ナイロンが長期間持つということも大体分かっているのですか。
○山本参考人 手術操作が乱雑で、切ってしまったりしない限りは問題ありません。
○笠貫部会長 ほかにはありませんか。寺崎委員、どうぞ。
○寺崎委員 一部分だけチン小帯が切れた場合、その部分だけ補えば、一般的な手術ができるという良い方法です。しかし眼内レンズに加えてこれが挿入されることによって、水晶体に重みが少しだけ加わるわけです。術者は眼内レンズそのものを、その場の手術で縫い付けてしまうのか、それともこれを入れることにより、また再び落下する可能性ができるので、難しい判断が発生するわけです。私の質問は、海外製品と比べて本品の重さは異なるのか、実際、本品が何グラムというのが見つからなかったのですが、重量という点では同じなのでしょうか。
○機構 重量に関しては、直接の比較はされておりませんが、同じ素材であることと、厚みやサイズ、直径、それらは大きく変わりませんので、極端に重くなることはないと考えております。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。本品は、2010年のニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会で選定されて、米国社製の医療機器が入らないで、日本のHOYA(株)で作られています。この経緯はどういうことなのでしょうか。
○事務局 当初、米国でPMMAの承認を持っているというものがありまして、こちらの方を当初学会の方から要望があったのですが、なかなか日本に持ってきた場合に開発する企業がないということで、学会など、様々な方々の御協力もあり、最終的にはHOYA(株)が手を上げて開発を進めるということで、再度ニーズ検討会に要望として上がってきたということです。
特に、薬事上以外で□□など、□□□□□等、特段問題ないということから、今回、HOYA(株)が開発するということで、関連学会とも今回連携してガイドラインなどを作成するという協力のもと、今回の申請までこぎつけてきたという状況です。
○笠貫部会長 そうしますと、個人輸入もあって、欧米では2004年からですので、10年近い実績があるこの機器が日本で開発するためには費用がかかるということで、日本で研究・開発された本品になったという判断でよろしいわけですね。これからいかに研究・開発に費用をかけないようにするかということも、一つのこれからのテーマであるので、どういう経緯でHOYA(株)になったのかということを聞きたかったということです。
もう一つ、先ほどの耐久性については、同等性についての圧縮荷重、あるいは接触荷重等の挙動については書いてあって、それは同等ということだと思います。PudMed検索から論文を探し出したということの、検索結果としてのランダマイズは二つ、80眼ということだったかと思います。論文としては、これだけ広く使われていて、エビデンスレベル度の高い論文がないという理由は、どこかあるのでしょうか。
○山本参考人 ランダマイズした論文が少ないという御指摘でしょうか。やはり、これは実際の現場のニーズということになります。明らかに偽落屑症候群、その他でチン小帯が脆弱である場合、このCTRの使用経験があれば、安定してできるという経験がある場合、なかなか患者さんを目の前にしてランドマイズスタディがしにくいという事情が背景としてあるのではないかと推測します。
○機構 総合機構より追加させていただきます。FDAの治験においても、同じく単腕で行われており、同じような事情がございます。
○笠貫部会長 私は意識的にお聞きしたのは、長期に市販後の調査の中でも、医療機器のランダム化試験は非常に難しいということを共有したいと考えましたので、あえて質問させていただきました。どうもありがとうございました。それでは、ほかに御質問はありませんか。
もう一つ、この品目がアメリカではPMAになっているのですが、510Kではなくて、PMAになったという理由は、特に何かありますか。
○事務局 正確なところは存じ上げませんが、恐らくFDAの制度から言いますと、その前例品がないということで、臨床試験データを求めたのではないかという推測はしておりますが、詳細については分かりかねます。
○笠貫部会長 ほかに御質問はありませんか。それでは、御質問、御意見がないようでしたら、議決に入ります。寺崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことにいたします。
医療機器HOYAシーティーアールについては、本部会として審査報告書にある条件を付した上で、承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。
それでは、御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会に報告することといたします。
議題5が終了いたしましたので、参考人の山本先生におかれましては、御退席していただいても結構です。ありがとうございました。
—— 山本参考人退室 ——
○笠貫部会長 報告事項議題6「優先審査品目について」事務局より説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題6「優先審査品目について」事務局より御説明いたします。1品目御報告いたします。本品は、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において御検討いただきまして、我が国において、早期に導入すべき医療機器との御判断を頂いた品目です。
疾病の重篤度が高く、医療上の有用性が高いものとして、優先審査品目に指定することといたしました。
資料6を御覧ください。一般的名称は、アブレーション向け循環器用カテーテルです。販売名はNykanenRFワイヤです。申請者は、日本ライフライン株式会社です。左心低形成症候群など、生存するためには、心房中隔孔欠損が必須の重大先天性心疾患のうち、心房間交通が閉鎖した患者に対する心房中隔孔の作成の心房中隔穿刺などに用いられます
3ページ中段に、検討結果が記載されております。本品は、外科手術や既存のブロッケンブロー針などではリスクが高い、若しくは、手技・操作が困難であるような、新生児期や乳児期早期の先天性心疾患における心房中隔欠損作成や、閉鎖性肺動脈弁の穿孔に、より安全で有効に用いられることができることなどから、早期導入が望まれるという結論に至っております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見はありますか。ニーズの高い検討会からの要望ということで、非常に特殊な疾患での特殊な使い方になります。特に御意見はありませんか。特に御意見がなければ、議題7に進みます。議題7「部会報告品目について」事務局よりお願いいたします。
○事務局 議題7「部会報告品目について」事務局より御説明いたします。平成25年7月1日~9月30日までの3か月間に承認された品目のうち、本部会への報告対象となっている品目について取りまとめております。
1~19ページが医療機器で、全部を合計すると92品目あります。最後の20~21ページが、体外診断用医薬品で7品目あります。これらの資料については、事前に委員の先生方にお送りしておりますので、この場で品目の詳細説明は割愛させていただきます。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 それでは、ただ今の御説明に御意見、御質問はありますか。特に御意見がなければ、本日予定された議題は全て終了といたします。事務局から、そのほか何かありますか。
○医療機器審査管理室長 ありがとうございました。本部会については、年内は本日が最後の開催となり、次回の部会については、平成26年1月31日(金)を予定しております。連絡事項については以上です。よろしければ、これをもちまして本日の「医療機器・体外診断薬部会」を閉会させていただきます。御審議いただきましてありがとうございました。
※ 備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。
連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 安川(内線4226)
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