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2013年12月25日 平成25年度第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第7回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)第二部 議事録

医薬食品局安全対策課/健康局結核感染症課

○日時

平成25年12月25日(水)
16:00~19:00(第二部)


○場所

中央合同庁舎5号館
厚生労働省専用第15、16会議室(12階)


○議事

○事務局 定刻になりましたので、ただ今より、平成 25 年度第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び第7回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議の第二部を開催いたします。

 本日、第二部の合同会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミの関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日の委員の出欠ですが、副反応検討部会委員 10 名のうち 10 名、安全対策調査会委員5名のうち5名の全委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会並びに薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 また、本日は参考人といたしまして、信州大学医学部内科学第三講座教授、池田修一参考人、愛知医科大学学際的痛みセンター教授、牛田享宏参考人、国立精神・神経医療研究センター病院小児科神経診療部長、佐々木征行参考人、国立病院機構九州がんセンター婦人科部長、齋藤俊章参考人、慶應義塾大学医学部公衆衛生教授、大前和幸参考人、北里大学ウイルス感染制御学教授、中山哲夫参考人、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長、大野裕参考人、国立病院機構九州がんセンター婦人科部長、齋藤俊章参考人、山口大学大学院医学系研究科神経内科教授、神田隆参考人の御出席をいただいております。

申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ずお守りいただきますようお願いいたします。

会場でお示ししております事務局の指定した場所以外に立ち入ることはできません。

会場における議論に対する発言や賛否の表明、拍手をすることはできません。また、議事進行の妨げとならないよう静かにお願いします。

写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできません。

携帯電話など音の出る機器については、予め電源を切るかマナーモードに設定してください。

傍聴中は、飲食や喫煙はできません。

危険物を持っている方、酒気を帯びている方、その他当会議の開催及び議事進行に当たり秩序維持の妨げとなる方の傍聴はお断りいたします。

その他、座長と事務局職員の指示に従ってください。

以上の事項に反した場合は退場していただきます。

また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方につきましては、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。

本日の座長につきましては、本年5月 16 日開催の当会議において、奇数回の場合には副反応部会長の桃井部会長に、偶数回の場合には、安全対策調査会の五十嵐調査会長に座長を務めていただくことになります。本日の合同部会といたしましては第5回目となりますので、桃井部会長に座長をお願いしたいと思います。以降は桃井座長にお願いいたします。

○桃井座長 それでは、第一部に引き続いて座長を務めさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、御報告をお願いいたします。

○事務局 審議参加について御報告いたします。

本日御出席された委員及び参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。

 本日の議題に関しましては、子宮頸がん予防ワクチンの製造業者である GSK MSD 、これらの企業から過去3年度における寄附金などの受取について各委員と参考人より申告いただきました。

 なお、競合品目、競合企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りしまして確認いただいております。

 申告された内容につきまして、まず副反応検討部会委員でございますが、稲松委員が、 MSD より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以下の受取があります。

 岡田委員が、 GSK より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以下の受取、 MSD より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以上 500 万円以下の受取があります。

 岡部委員が、 GSK 及び MSD より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以下の受取があります。

熊田委員が、 GSK より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以下の受取があります。

薗部委員が、 MSD より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以上 500 万円以下の受取があります。

多屋委員が、 GSK 及び MSD より、講演料又は原稿執筆料として 50 万円以下の受取があります。

永井委員が、 MSD より、講演料として 50 万円以下の受取があります。

また、安全対策調査会ですが、五十嵐委員が、 GSK 及び MSD より、奨学寄附金として、それぞれ 50 万円以上 500 万円以下の受取があります。

柿崎委員が、 MSD より、講演料として 50 万円以下の受取があります。

望月委員が、 MSD より、講演料として 50 万円以下の受取があります。

牛田参考人が、 MSD より、講演料として 50 万円以下の受取があります。

神田参考人が、 GSK より寄附金として 50 万円以上 500 万円以下の受取があります。

以上から、副反応検討部会の岡田委員及び薗部委員がサーバリックス及びガーダシルについて、安全対策調査会の五十嵐委員がサーバリックス及びガーダシルについて、会議に参加し意見を述べることはできますが、議決に参加することはできません。

ここで、前回 10 28 日に御報告した内容につきまして訂正をさせていただきます。

五十嵐委員の受取について、前回、 GSK より講演料として 50 万円以下の受取と報告しましたが、正しくは、今回の報告と同じく、奨学寄附金として 50 万円以上 500 万円以下の受取がございました。審議への参加の取扱いにつきましては、前回、 GSK の競合他社である MSD から 50 万円以上 500 万円以下の受取がありましたので、会議に参加し意見を述べることはできますが、議決に参加することはできないという前回の審議参加の取扱いに変更はございません。

また、岡田委員より、6月 14 日の第2回の参加に際し、サノフィパスツール、化学及血清療法研究所、阪大微生物研究会、北里第一三共ワクチン、デンカ生研、 GSK MSD 、ファイザーより、講演料又は原稿執筆料として、それぞれ 50 万円以下の受取と報告した内容につきまして、 MSD とファイザーについては、正しくは、講演料又は原稿執筆料として、それぞれ 50 万円以上 500 万円以下の受取であったため、訂正を行いたいとの御連絡をいただきました。

同会議で、子宮頸がん予防ワクチンの積極的な接種勧奨の是非について議決を行った際、岡田委員も参加しておりましたが、本来であれば、その議決に加われなかったこととなります。

当日は、桃井部会長を除く5名の委員で議決をとり、岡田委員は一時差し止めを選択され、接種継続が2票、一時差し控えが3票となったため、積極的な接種勧奨は一時差し控えるとの結論に至りましたが、岡田委員の票を差し引くと、同数になります。桃井部会長に議決へ参加いただく必要がありました。そのため、 12 16 日の第5回副反応検討部会において取扱いについてお諮りしたところ、「積極的な接種勧奨を差し控える」との結論に変更はないとの結論をいただきましたので、御報告いたします。

以上でございます。

○桃井座長 ありがとうございます。審議参加に関する遵守事項に関して修正等おありになりませんでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、第二部の議案に入りたいと思います。事務局から、資料の御説明をいただきまして、大変大部の資料でございますが、委員には事前に全て目を通していただいておりますので、まず資料を御説明いただいて、その後質疑に入りたいと思います。事務局の御説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 資料の説明をさせていただきます。

 資料1を御覧ください。「子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)の副反応報告状況について」でございます。サーバリックスは、平成 21 12 月より販売されております。真ん中の表になりますが、前回、 10 28 日の本合同会議において、本年7月までの報告を行っておりますので、今回はその後の8月から9月末までの報告をまとめております。

表のほうには出荷数量を基にした接種可能のべ人数を記載しておりまして、8月から9月末までの接種可能のべ人数は 587 回分が出荷されております。また、8月から9月末までの副反応の報告数は、製造販売業者からの報告が 28 件、医療機関からの報告が 30 件、うち 15 件が重篤となっております。

 副反応の報告の横に括弧書きの数値で、2、4、0というものがございますが、これは8月から9月までに副反応報告があった症例のうち、8月から9月に接種された数を表しておりまして、本年8月から9月までの副反応の報告のうち、7月以前に接種された方の報告が多くございました。

 副反応の発生頻度につきましては、これまでの報告に比べて高くなっておりますが、7月以前に接種された症例が多く報告されていること、それから、この期間の出荷数量から出した接種可能のべ人数を母数として算出しており、実際の接種者数とは異なるためと、そういった理由があるものと考えております。

 その下の表は、製造販売業者から報告された症例と医療機関から重篤として報告された症例を転帰ごとにまとめたものでございます。この期間で死亡症例が、前回の会議で概要のみ報告させていただきましたが、1例ございました。詳細につきましては資料 14 にて説明がございます。

 めくっていただいて次のページですが、副反応報告の内訳を接種日で示したものです。先ほど説明させていただいたとおり、8月、9月に接種された方で副反応報告があったものというのは、製造販売業者から2例、医療機関から4例となっております。

 3ページからは、本年8月から9月までに製造販売業者から報告された症例の一覧でございます。複合性局所疼痛症候群や関節痛など痛みに関連するものなど、さまざまな副反応の報告がございました。

 7ページからは医療機関からの重篤症例の一覧で、こちらも関節痛や複合性局所疼痛症候群など痛みに関連するものなど、さまざまな副反応が報告されております。

 9ページからは、医療機関からの非重篤の症例の報告でございます。

11 ページからは、本年4月以降報告された副反応を副反応の種類ごとにまとめたものでございます。

17 ページに飛びますが、迷走神経反射が疑われる症例の中にアナフィラキシーの症例がないかを確認するため、そのページの上の四角囲みに掲げた副反応名で症例を集め、ブライトン分類による評価を行ったものでございます。症例は5例集まりましたが、ブライトン分類で3以上のものはないという結果になっております。

18 ページは、アナフィラキシー反応として報告された症例数とブライトン分類で3以上とされた症例をまとめた表でございます。本年8月から9月に1症例の報告がございましたが、その経過については 19 ページにございますが、専門家が行ったブライトン分類で5となっているなど、事務局としては、アナフィラキシーとは判断できない、ワクチン接種との因果関係は否定できないと評価しております。

20 ページは、ワクチン接種後にギラン・バレー症候群、あるいは ADEM の可能性がある症例について評価しまとめたものでございます。本年4月から9月末までに9症例あり、 21 ページ以降に概要がまとまっておりますが、各症例について専門家にも御意見をいただきまして、事務局としてはギラン・バレーとして否定できない症例が1例あったという評価になっております。

 続きまして、転帰が後遺症として報告された症例について経過の概要と専門家からの意見をまとめたものがございます。これにつきまして少し詳しく紹介させていただきます。

症例1につきましては、ワクチン接種1カ月半後より左眼に花火のような光視症が出現、経過の一番下になりますが、1年以上経過観察していたが、視野の悪化、造影検査所見の悪化が認められているとのことです。

 専門家の意見を紹介いたします。A委員からは、自己免疫網膜症との時間的前後関係があるが、因果関係があるとは断言できない。B委員からは、急性散在性網膜色素上皮症について、病名は矛盾しないが、比較的予後良好の疾患であり、本症例ではそうではなさそうである。また、自己免疫性網膜症については、これらの情報のみでは判断が難しいとのことでした。C委員からは、多発消失性白点症候群については、予後良好であるため、本症例の疾患と判断できない。ブドウ膜炎が引き起こされた可能性は否定できないとの御意見でございました。

 症例2につきましては、ワクチン3回目接種、約 300 日後の初回接種 493 日後になりますが、両上肢痛、右大腿の痛みが出現、それから、 605 日後には右大腿、右手の麻痺が出現、下から4行目になりますが、後遺症として右大腿麻痺、右手麻痺があるとのことでございます。

 専門家の意見として、A委員からは、ワクチン接種後の筋痛や麻痺などの症例が報告されているので、因果関係は否定できない。 ADEM 、ギラン・バレーは否定できる。B委員からは、ワクチン接種後の免疫介在性神経障害の可能性が高いが、単神経炎の組合せなのかなど、原因は情報不足で不明。C委員からは、3回目接種から約 10 カ月が経過して症状が発現したとすれば、時間的経過から因果関係は微妙である。症状出現からの情報等が不足しており、厳密に判断できないとの御意見でございました。

 症例3につきましては、接種1回目当日、腕に強い痛みがあり、翌日、胃痛があった。 28 日後に強い頭痛、イライラ感があり、接種 56 日後、登校ができなくなったとのことでございます。副反応名は起立不耐性となっております。

専門家の意見として、A委員からは、本剤が関係しているか、症状が漠然としていて判定しかねる。因果関係は否定できない。B委員からは、頭痛、腹痛は既知の副作用と言えるが、起立性低血圧については肯定も否定もできない。因果関係は不明。C委員からは、時間的関係から考えて、ワクチンとの関連性は否定できない。ワクチン接種後の副反応と判断するということでございます。

 症例4につきましては、日付不明でございますが、ワクチン接種後に、痛くて眠れない。光が当たるとまぶしい。味覚障害の症状がございました。接種1年4カ月後に眼の奥の激しい痛み、物が二重に見え、頭が痛くなった。接種1年5カ月後に右半身麻痺で倒れて入院、不随意行動や頭痛は改善しなかったとのことです。接種 511 日後、左半身に力が入らず、倒れ入院。退院後も左半身のびくつき、激しい頭痛、吐き気、関節痛、眼の奥の痛みなどがあったとのことです。

 専門家の意見として、A委員からは、不定愁訴的な副作用が報告されているので、因果関係は否定できない。 ADEM GBS は否定できる。B委員からは、ワクチン3回目接種から接種1年4カ月ごろまでの経過がはっきりしないため、因果関係ははっきりしない。時間的関係、精査による検査所見、精神神経学的評価、精神科的評価など総合して判断すべき。C委員からは、3回目の接種後に発現した痛み、不眠、羞明、味覚障害は時間的関係から考えてワクチンの副反応、ワクチン接種から約 10 カ月後に発現した複視など、時間的経過やインフルエンザ罹患との関連性などを考えると、ワクチンとの関連性は否定も肯定も難しいとの御意見でございました。

 続きまして、資料2を御覧ください。ガーダシルの副反応報告状況について説明をいたします。ガーダシルは平成 23 年8月より販売されております。真ん中の表になりますが、本年8月から9月までの副反応報告数をまとめております。表には出荷数量を基にした接種可能のべ人数を記載しており、8月から9月までの接種可能のべ人数は約1万 3 千回分が出荷されております。また、8月から9月末までの副反応の報告数は、製造販売業者からの報告が 11 件、医療機関からの報告が 23 件あり、 12 件が重篤となっております。副反応の報告数の横の括弧書きの数字は、先ほどのサーバリックスで説明したとおり、8月から9月までに副反応報告があった方のうち、8月から9月に接種された方の数を表しております。本年7月以前に接種された方からの報告が多くございました。

また、副反応発現頻度ですが、先ほどのサーバリックスのところと同様に、7月以前に接種された方の症例が多く報告されていたり、この期間の出荷数量から出した接種可能のべ人数を母数として算出しており、実際の接種者数とは異なっているというところは注意が必要かと思います。

 下の表は本年8月から9月末までの製造販売業者からの報告と、医療機関からの重篤として報告された症例を転帰ごとにまとめたものでございます。

 1枚めくっていただいて、副反応の内訳を接種日で示したものでございます。サーバリックスと同様に、7月以前に接種された方の副反応報告が多くございました。

 3ページからは、本年8月から9月までに製造販売業者から報告された症例の一覧、また、5ページからは医療機関からの報告でございます。痛みに関係する症状などさまざまな副反応が報告されております。

 7ページになりますが、医療機関からの非重篤の症例の報告でございます。

 9ページからは、本年4月以降に報告された副反応を種類ごとにまとめたものとなっております。

12 ページは、迷走神経反射が疑われる症例の中にアナフィラキシーの症例がないかを確認するため、先ほどと同様、四角囲みの副反応名で症例を集め、ブライトン分類による評価を行ったものです。症例は 16 例集まりましたが、ブライトン分類で3以上のものはなかったという結果になっております。

13 ページはアナフィラキシー反応として報告された症例数とブライトン分類で3以上とされた症例をまとめたものでございます。本年8月から9月には1症例の報告があり、その経過などは 14 ページにございます。専門家が行ったブライトン分類で4となっているなど、事務局としては、アナフィラキシーとは判断できない、ワクチン接種との因果関係は情報不足で評価できないという評価をしております。

15 ページからは、ワクチン接種後にギラン・バレー症候群、あるいは ADEM の可能性がある症例について評価したものでございます。本年4月から9月末までに5症例あり、各症例について専門家の先生方にも見ていただき、ギラン・バレー症候群、 ADEM として否定できない症例は4症例ございました。

20 ページになりますが、転帰が後遺症として報告された症例について、サーバリックスと同様に経過の概要と専門家からの御意見をまとめたものでございます。1症例ございまして、ワクチン1回目接種5日後に、手のひら、足の底のかゆみがあり、その後、下肢のかゆみがあった。その後、一旦症状の改善があったとのことであったが、接種 128 日後、かゆみの転帰は回復したが、後遺症ありとの経過でございました。

専門家の意見として、A委員からは、発症が接種5日後であり、時間的に可能性があるかもしれないが、皮膚のかぶれは外因的要素があったのかもしれない。症状が一旦改善したことも関連性が薄くなる。B委員からは、5日目に手足に出現し、軽快したかゆみが7カ月後再燃した事象とワクチンとの関連は医学的に関連付けて考えるのは困難で、肯定も否定もできない。C委員からは、皮膚症状の詳細が不明で、評価ができない。中毒疹と診断するには情報が不足との御意見でした。

済みません。1点、資料の修正をさせていただきます。資料2の1ページ、表紙の部分ですが、下の表の接種可能のべ人数、今、 165,399 となっておりますが、上の表の上の段の接種可能のべ人数と同じ 12,944 の間違いでございます。訂正をさせていただきます。

続きまして、資料3の「子宮頸がん予防ワクチン接種後の失神関連副反応について」説明させていただきます。資料3を御覧ください。1ページめくっていただいて、サーバリックスの失神に関連する資料でございます。「1.国内の発現状況」でございますが、サーバリックスの発売開始から本年9月末までの報告は、失神に関連する副反応は 817 例で、発生率は、 10 万接種当たり 11.60 件、このうち意識消失のあった症例は 567 件で、 10 万接種当たり 8.05 件でございました。

3ページは、意識消失までの時間を表したもので、多くは 30 分以内に発現したものでございました。

さらに1ページめくっていただいて、この表は意識消失のあった症例の発現の傾向を示しており、最近は数件で推移しており、本年8月から9月の間には意識消失の症例の報告はございませんでした。

5ページからは、ガーダシルの資料となります。1の「国内の発現状況」でございますが、ガーダシルの9月末までの報告では、失神に関連する副反応は 347 例で、発生率は 10 万接種当たり 18.6 件、このうち意識消失のあった症例は 239 件で、 10 万接種当たり 12.8 件でございました。

6ページになりますが、上の図は意識消失までの時間を表したもので、多くは5分未満に発現するものでございました。

下の表は意識消失のあった症例の発現の傾向を見たものですが、ここ1年は数件で推移しており、本年8月から9月までは意識消失症例の報告はございませんでした。

資料4、「これまでの報告一覧」につきましては、資料1及び資料2において御説明させていただきました本年8月から9月末までの副反応の症例より前、本年7月以前の副反応報告について医療機関からの報告及び製造販売業者からの報告をまとめたものとなっております。大部になりますので、傍聴者の方には配付しておりませんので、後日、ホームページにて掲載させていただきたいと思っております。

資料4までは以上でございます。

○事務局 続きまして、資料5から説明させていただきます。資料5は「各ワクチンの副反応報告件数」となっております。サーバリックスとガーダシルについては、9月 30 日までの報告、そのほかのワクチンについては7月 31 日までの報告の件数、またそのうちの重篤なものについてそれぞれの件数を集計し、 100 万当たりの発生数をまとめております。

 サーバリックスとガーダシルについては、 10 月の前回の会議でも御報告いたしましたとおり、6月以降、副反応件数が増加しておりまして、その流れを受けまして、発生率、件数ともに増加している傾向が見られております。

 続きまして、資料6をお願いいたします。資料6は子宮頸がん予防ワクチンの重篤な副反応報告の状況ということで、1枚おめくりいただきまして、1番としまして、2つの製剤を合計いたしまして、そのうち副反応報告の中で主要な症状について集計したものでございます。上から見てまいりますと、失神・意識レベルの低下、発熱、過敏症、アナフィラキシー、四肢痛、筋力低下、このような順番で続いております。

 2番については、サーバリックスについての重篤な症例の分析を行っております。(1)が製造販売業者からの報告、(2)が医療機関からの報告となっております。

 4ページ目には、製造販売業者と医療機関からの報告をまとめまして、縦の列には、その中で主要な副反応の名称で集計したもの、それから、横軸にはその回復の状況をまとめております。資料1、資料2で紹介しました病名については複数で集計しておりますが、ここでの集計は代表的な病名1つになっておりますので、その点、違いがございます。

 6ページにはガーダシルがございまして、同様に、製造販売業者からの報告、医療機関からの報告、それから、(3)としまして製造販売業者と医療機関からの報告を副反応名と転帰で分類しております。

 続きまして、資料7に移ってまいります。「ロット別副反応報告状況」ですが、サーバリックスが表、それから、ガーダシルが裏面となっております。それぞれについて副反応の発生状況を見てまいりますと、頻度については、最新のものについては若干数が少ない状況がございますけれども、その他のロットについては余り大きな差が見られないものとなっております。最新のロットについては、副反応がまだ十分に返ってきてない状況があるということを想定しております。

 続きまして、資料8をお願いいたします。「子宮頸がん予防ワクチン接種後の疼痛関連症例等について」ということで、まず最初に、接種後の疼痛関連事象に関する資料がございます。サーバリックスとガーダシルに分かれております。各メーカー、製造販売業者のほうで作成いただいた資料ということになります。

 3ページ目に「サーバリックス接種後の疼痛関連事象」をまとめておりまして、選択の基準と除外の基準、ここに示されておりますような考え方で対象の症例を選択しております。

 めくっていただきまして、4ページ目は時間的関連性の傾向の分析を行っております。標準的には3回接種するということで、初回に接種した時間を0とし、横軸で2回目の接種、3回目の接種をそれぞれ、2回目を■、3回目を△というふうに表現しております。また、副反応の報告のありました症状が発現した時期を×で示しておりまして、上から、症状の発現時期が早いものから順番に並べるといったグラフになっております。

 見てまいりますと、0日ですとか、それから、ちょっと見にくくて恐縮ですが、■に、つまり、2回目に一致した、又は近接している部分、3回目にほぼ同時に発症した方などございます。その他の部分ではさまざまな時期に発症されている様子が見て取れるところでございます。

 5ページ目には、接種回数1回目か2回目か3回目かを問わず、直近の接種から発現までの時期別に分類したものでございます。1日以内に発症される方が最も多く、全体の傾向としては、発現までの期間が長くなるに従って人数が減ってまいりますが、一方、接種後長期にわたって発症されている、訴えておられる方もいらっしゃる様子が見て取れます。

 6ページ目ですが、時期別の分布ということで、折れ線グラフのほうが出荷数、棒グラフのほうが症例数、目盛は月ごとにとっております。全体の傾向としましては、出荷数と症例数が、やや遅れてはいますものの、同様の経過をとっているのかなという形は印象としては見て取れますが、それ以上はっきりした様子というのはこの中で見られないと思っております。

 続きまして7ページ目、年齢別の分布を見てまいりますと、 13 歳から 16 歳、予防接種法の対象の時期に一致して症状を報告される方が多いという傾向が見て取れます。

 8ページ目、発現から軽快・回復までの期間ということで、全体 72 例のうち 34 例の方が軽快・回復しておられた。一方で、 38 例の方については転帰が未回復、又は不明であったということです。

 9ページ目以降には未回復の方についてのフォローの状況、それから、その期間についてできるだけ現在の状況を把握するように努めていただきまして整理をしております。

 それから、症状発現部位別の分析、 13 ページ目にございます。いろいろな場所に番号を振りまして、それぞれについて集計しております。

14 ページ目には、その部位について何人の方から訴えがあったかということを集計しております。複数回答でございますので、合計は大きくなっております。

15 ページ目以降はガーダシルに関する分析でございまして、ほぼ同様の分析を行っております。傾向についてもほぼ同様かと思っております。

25 ページ以降には、その2つの製造販売業者からいただきました報告全体を一覧表として整理しております。

26 ページ目の表のうち、一番右に分類案と記してございます。これは、 25 ページ目に示している分類基準というのを事務局のほうで整理したものでございまして、Aとしまして、接種の翌日までに症状が発現しているもの、Bとしまして、接種の数週間後に主要な症状が発現しているもの、Cとしまして、接種から1カ月以上たって主要な症状が発現しているもの、Zとしまして、疾患概念が確立している疾患であり、これまでの医学的知見では接種以外の要因がより疑われるもの。Xとしまして、情報が少なく判断ができない、こういったものを機械的に当てはめたものでございます。

 続きまして、資料9をお願いいたします。「子宮頸がん予防ワクチン接種後の運動障害症例について」ということでございます。これは、座長より指示がございまして、疼痛症例だけではなく、その中に入っていない中でも運動障害を訴えられている方についても検討するよう指示を受けてこのような対応を行っております。構成は、疼痛の状況と同様でありまして、サーバリックスとガーダシル、それから運動障害の一覧となっております。

 抽出の基準といたしまして、3ページ目に戻っていただきまして、何らかの運動障害が見られる方のうち、このような除外基準に当てはまる方を除外し、その残りを対象としております。疼痛を訴えられております方との関係から申しますと、疼痛を訴えられる方は疼痛のほうで検討するということで、こちらではその他の症例についての検討を行っております。以降の分類の仕方は疼痛と同様になっております。

 資料 10 のほうに進んでまいりたいと思います。2剤の比較を行うことという指示がございましたので、関連するデータをまとめております。2ページ目には、2剤、サーバリックスとガーダシルの製剤の内容ですとか、安全性に関する治験時のデータの代表的なものを示しております。

 3ページ目には副反応報告の比較ということで副反応の状況をまとめておりますが、統計的な解析を行った中では、有意な差が見られている部分はございませんでした。ただし、傾向ということになりますが、一番下の欄、翌日までに発症し、3カ月以上持続しているところについては若干の、件数としては 16 件対2件ということで、頻度としては 0.2 0.1 となっておりますが、この間に統計的な差は十分にはなかったということでした。

 4ページ目には、この2製剤を比較した研究、試験が行われておりますので、その概要、その試験の短期的な接種後7日間における全身性の有害事象、局所の有害事象をまとめております。網かけになっております部分、やや見にくいですが、その点がサーバリックスとガーダシルの間に差が出ておりまして、順次見てまいりますと、接種部位の痛み、そのうち特に日常生活に支障のあるもの、発赤、腫脹、倦怠感、筋肉痛、こういったものについてはサーバリックスのほうがガーダシルよりも発生頻度が高い。同一の条件でございますので、統計的にも意味がある、そういったデータになっております。

 同じ試験の中で、長期的な影響について5ページ目にまとめております。これは2つの製剤による副作用という意味ではなく、さまざまな状況の中で、一定期間の中で医療機関の受診を必要とされた方、慢性疾患の新規の発症、自己免疫疾患の新規の発症、そういったものを比較したものでございますが、結論としましては、2剤の間に有意な差は見られなかったということでございます。

 最後、6ページ目ですが、(参考)としまして、疼痛に差があるという議論をした際に、ワクチンの抗生剤の pH ですとか浸透圧、その他のワクチンを含めて整理しておくというような御意見がございましたので、整理しております。

 資料 11 に移ってまいります。海外の状況ということで、子宮頸がん予防ワクチンに関する海外の状況、それから、世界各国の承認状況、疼痛の発現状況などをまとめております。

順次簡単に見てまいりますと、2ページ目には2つの製剤の発売の状況をまとめておりまして、サーバリックスが 4,400 万回接種分、ガーダシルについては1億 3,000 万回接種分出荷されているということでございます。

 続きまして、海外の大規模疫学調査の報告を2つほどまとめております。1つ目は、米国で行われました、これまでも紹介しております、 Vaccine Safety Datalink というフィールドを使いましたモニタリングの報告で、若年者については 42 万回接種分、成人については 18 万回接種分の接種をされた女性が対象となっております。コントロールも併せてフィールドの中に含まれているということでございます。

 結論としましては、失神に関する検討としましては、 HPV ワクチンのみ頻度が高いわけではないというようなこと。それから、ギラン・バレー症候群、脳卒中、静脈血栓塞栓症、虫垂炎、アナフィラキシー、痙攣、失神、アレルギー反応についてはそのリスクを上昇させないというようなこと。こういった幾つかの結論が出されております。

 4ページ目に、最近発表されたデータでございますけれども、デンマークとスウェーデンにおけるコホートの研究の成果というのをまとめております。全体で 100 万人ほどの 10 歳から 17 歳の女性を対象としたもので、結果としまして、多くの疾患、自己免疫疾患ですとか神経疾患、順次表にまとめておりますけれども、そのうちほとんどの疾患については統計的な有意差が見られなかったということでした。一部、3つほどの疾患については統計的な差があったということですけれども、その詳細を検討したところ、ワクチンの発症との直接の関係は認められないということで、全体としては、対象となりました自己免疫疾患、神経疾患、そういった疾患についての因果関係を示すようなエビデンスはなかったとまとめられております。

 7ページ目以降に、諸外国の公的機関及び国際機関が公表している報告書について簡単に紹介しております。

 8ページ目には、 IOM 、米国医学研究所のレポートが作られておりますので紹介いたします。この中では、各ワクチンについて問題、懸念、話題となっております各種の疾患とそのワクチンとの間の因果関係、疫学的なデータというのを検討し、その時点での結論を得るというものです。

HPV ワクチンにつきましては、アナフィラキシーとの因果関係はあると推定されるとされております。それから、 ADEM との因果関係は不十分である。関節炎との因果関係は不十分であるとされております。それから、注射行為全般に関して副反応との関係についても検討されております。注射と CRPS との因果関係は不十分である。それから、三角筋滑液包炎との因果関係は積極的に支持される。それから、失神との因果関係は積極的に支持される。このようにまとめられております。そのほかの疾患などについては下の段以降にまとめております。

 9ページ目には、英国医薬品庁公的評価報告書をまとめております。 CRPS 、複合性局所疼痛症候群に関する検討を行っておりますが、結論としましては、自然発生率よりも大幅に低く、その因果関係を証明するには不十分であるということでまとめられております。

 それから、 10 ページ目、世界保健機関、 WHO のワクチンの安全性に関する諮問委員会の報告書が出されております。これによりますと、現在までに子宮頸がん予防ワクチンは世界中で幅広く使用されており、どの国からも、日本で生じているものと同様な安全性への懸念(シグナル)というのは生じていないということで、子宮頸がん予防ワクチンの安全性に疑問を呈する理由はほぼ見当たらないとされております。

 その下の段ですけれども、日本とアメリカとイギリス、それから韓国ということですが、それぞれの手法が違いますので一律の比較は難しいところでございますけれども、子宮頸がん予防ワクチンに関しての報告の状況、重篤な報告、個別の副反応としまして、局所の反応、失神、過敏性反応、そういったものについての報告頻度をまとめたものでございます。

全体としましては、それぞれの国によりまして違いはございますけれども、個別の副反応の状況ですとか全体の傾向などは各国比較的よく似ているという印象を受けております。

 それから、 11 ページ目には「諸外国の疼痛症例に関する海外当局への聴き取り調査」ということでまとめております。その下の段には、これはこれまでも御覧いただいておりますけれども、2つの製造販売業者からいただきました海外での症例の報告を国別に集計したものでございまして、全体として見ますと、各国より、数は違いございますけれども、一定の報告があるというのを見て取れるところでございます。

12 ページ目、アメリカにつきましての報告でございますけれども、これは当局に直接聴き取りをした状況でありますが、米国では、 2006 年以降、約 5,700 万本の子宮頸がん予防ワクチンが出荷されており、その多くはガーダシルであるということですが、 CRPS やその他の非典型的な疼痛に関して懸念すべき報告のパターンは示されていないということ。それから、この状況については子宮頸がん予防ワクチンの市販後調査でも確認されているということ。それから、先ほど紹介しました IOM の報告書で論じられているとおり、一般的に、 CRPS 、それから肩関節周囲炎及び失神というのは、子宮頸がん予防ワクチン以外のワクチンでも同様に起こるものであり、ワクチンの製剤ではなく、針を刺す行為そのものによって引き起こされている可能性があるということ。しかし、一方で、針を刺す行為そのものと CRPS の因果関係を述べるにはデータが不十分である。先ほど紹介したとおりでありますが、そういった状況について聴き取りを行っております。

 関連しまして、米国疾病管理センターのホームページ上には、日本における HPV ワクチン接種後副反応報告には、 CRPS として報告されている、長期間疼痛が持続した症例が存在する。米国については、 2013 年8月時点で 14 例が CRPS として報告され、 10 例についてはワクチン接種後に症状を発現しているが、しかし、これらの症例には一定のパターンが認められないことから、 CRPS HPV ワクチン接種後の一般的リスクとは考えられない、このようにして掲載されております。

 それから、イギリスに対しての聴き取りも行っております。イギリスについては、慢性疲労症候群の症例が報告されているが、予防接種によるリスクの増加の根拠がないと判断しているということ。安全性については、サーバリックスとガーダシルの2剤で特記すべき差異はない。それから、 CRPS との因果関係を証明するにはデータが不十分である。それから、 CRPS 以外の症状についても、特定の疾患ですとか安全性に対する懸念というのは生じていない。それから、 CRPS の報告はあるわけですが、その局所疼痛、筋肉痛の症例は、接種直後に疼痛を訴えている報告があるということは、自己免疫的な機序ではなく、注射針を刺す行為そのものによる身体的な反応を示しているというようなこと。それから、8件の CRPS に関する報告があるということ。

それから、日本の状況に対してですけれども、サーバリックスとガーダシルの両方で同じ問題が生じているということはなかなか理解しがたいということ。英国でも、広範な、又は慢性の疼痛等を訴える副反応は報告されているが、発症時期・症状・経過等に統一性がなく、特定の疾患又は疾患群とは考えられないため、安全への懸念(シグナル)が示されているものではない。このような聴き取りを行っております。

14 ページには、サーバリックスの承認国と地域、 15 ページ目には、ガーダシルのほうの全世界での状況をまとめております。

16 ページ目以降には、これまでも御覧いただきました海外症例をまとめているものでございまして、 16 ページ、サーバリックス、それから、 28 ページにガーダシルの状況をまとめております。

続きまして資料 12 にまいります。子宮頸がん予防ワクチンの有効性について1回目の会議でも概略説明させていただいておりましたものを、現在適切なデータと思われるものに組み替えましてまとめているものでございまして、その機序、有効性、導入のインパクト、それから、新しく予防ワクチンを導入したことによる効果の推計というのも私どものほうで付けております。

 続きまして資料 13 に進んでまいります。「副反応報告(保護者報告)等の概要について」ということで3種類の報告をまとめております。1つ目としまして、予防接種後に発生した症状に関する保護者報告用の症例の概要ということです。保護者報告といいますのは、通常の御検討いただいております副反応報告は、医療機関から厚生労働省に上がるものか、医療機関から製造販売業者を通じて報告いただくものか、どちらかのものを検討いただいているわけですが、それ以外のルートとしまして、予防接種法の改正に伴いまして4月から始めております制度です。

医療機関からの報告がない症例について、保護者からその報告の希望があるものについては、まず、お住まいの市町村に連絡していただき、その希望を伝えていただきます。市町村のほうでは、接種を受けた医療機関にその状況を確認する。ですので、なぜ副反応報告として届出がなかったかというようなことを含めて確認し、その確認した状況を合わせて、保護者の方の訴えとともに厚生労働省に連絡をいただくというような仕組みになっております。

4月以来、 115 ほどの報告をいただいておりますが、その後、医療機関報告が提出されるケースも多く、そういったものは既に御検討いただいているデータに組み込まれております。残りました 62 例を一覧として3ページ以降に付けております。このうち、基準を作成したところですけれども、接種日から1カ月未満の発症で、3カ月以上の遷延する症状があり、頭痛又は接種部位以外の疼痛を訴えるような方について抽出するという操作を行ったところ、4ページ目にありますように、疼痛に関しては6人の方、それから、5ページ目にありますように、運動障害に関してはそういった報告はなかったということでまとめております。

6ページ目には、2つ目になりますが、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会より報告された症例の概要ということで、その時点までということになりますが、 147 名の方の症例の御報告をいただいております。このうち、医療機関報告ですとか、今紹介いたしました保護者の報告などで重複しているものをなるべく除きまして、 89 の方についてまとめておりますのが7ページ目にあるリストということになります。

このうち、同じように、その基準を当てはめて検討いたしますと、疼痛に関する症例が9ページ目にあります8例、それから、運動障害に関します症例が 10 ページ目にあります1例ということになります。

11 ページ目、3つ目ですけれども、「文部科学省が実施した子宮頸がん予防ワクチンの接種に関連したと思われる欠席等の状況調査報告書の症例の概要」ということでございます。9月に文部科学省でまとめられた調査につきまして、情報の提供を私どもにいただきました。この方々に対しまして、文部科学省を通じまして個人名の情報の提供などをお願いし、約半分ぐらいの方から同意をいただいたところでございます。これらの方の状況を確認したところ、やはり医療機関報告ですとか保護者報告の形で報告をいただいている方もいらっしゃいまして、残った方について検討したものが以下にまとめられております。

12 ページ目にありますのがその残りました 128 名に関する簡単な状況のまとめでございます。 15 ページにありますのが疼痛の症例、 16 ページにありますのが運動障害の症例ということになります。

資料 14 でございますけれども、これは前回にも死亡症例として挙がっておりましたものでございますけれども、十分なデータがなかったということで検討いただかなかったものでございます。その後の情報の追加もございますので、本日の審議の中でどこかでこの症例について御検討いただければありがたいと思っております。

続きまして資料 15 でございますけれども、医療機関報告、それから企業報告については従前どおり検討を行ったところでございますけれども、あわせまして、今回、先ほど御紹介いたしましたように、保護者からの報告、患者会を通じました報告、文部科学省を通じました調査の報告、こういったところからもデータをいただいております。これらについて、一定の基準で分類した場合にどのような件数があるかということを並べたものでございまして、接種件数で割った頻度なども計算しております。また御検討いただければと思います。

参考資料についてですけれども、本日これから御説明いただきます先生方の資料が6までございますが、1つ御紹介させていただきたいと思いますのは、参考資料8「調査結果報告書」ということでございます。これは PMDA から 12 10 日付でいただいております資料でございまして、委員の皆様には、御検討いただいておりますカルテを集めました症例については、分類の作業などや専門家によります、目を一度通していただくというような作業を私どもからお願いしてきたところでございます。こういった症例、カルテに関します検討の状況ですとか、関連します HPV ワクチンの安全性に関するエビデンスの状況などをまとめたものとなっておりまして、本日の御審議の中でまた御参照いただく機会もあろうかなと思います。

それから、「参考文献一覧」ということで分厚い束をつけております。これは先ほど紹介いたしました各海外当局でのアセスメントですとか、最新の主要な文献などをまとめているものでございまして、また適宜御参照いただければと思います。

私からは以上です。

○桃井座長 ありがとうございました。大変資料が多くございますが、委員の先生方には事前に全て目を通していただいておりますので、御質問、ディスカッションは、参考人の先生方にそれぞれの点について御説明いただいた後、今回の資料に基づいてさせていただきたいと思いますので、今は資料に関する御質問がありましたらお受けしたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 もし後で、議論の最中で御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。それでは、続きまして参考人からの御発言に移りたいと思います。今日は、子宮頸がん予防ワクチン接種後に副反応を訴えられた方々を診察されている先生から、 12 16 日及び本日の第一部、この第二部の前ですが、第一部において個々の症例等々について御検討いただきました。本日は患者さんの病態像や治療状況についてそれぞれの先生方から御意見をいただきたいと思います。

 まず、牛田参考人、よろしくお願い申し上げます。

○牛田参考人 参考資料1でございます。私ども、 11 大学で慢性痛研究事業を行っておりますので、そこに来ました患者さんにつきまして検討を行いましたので御報告いたします。

(PP)

 まずその前に、痛みというのはどういうものかということで作った資料がこれですけれども、痛みというのは最終的には脳で経験するものでありまして、不快な感覚体験、手が痛いだとか足が痛いだとか手がつねられたとかいう感覚と同時に、つねられたから不快であるという情動体験であると、これが定義ということになっています。

 侵害刺激。痛みの刺激が加わりますと、当然、けがみたいなものを起こしたりしますので、そのような場合には急性の痛みが起こってきますけれども、ほとんどの場合は改善してくるということになります。ただ、その一部で何らかの要因で慢性化するようなものもあって、それに関しましては、一部には器質的な要因、例えば骨の変形、関節障害、姿勢異常、神経の障害、このようなものがあってなかなか治らない。あるいは、それと同時に心理社会的な要因、学校、友人、家庭環境、慢性痛の多くは腰痛だとかそのようなことになってきますけれども、職場環境、上司の問題だとか仕事内容、目に見えないストレス、このようなもので慢性痛が起こってくるということになっています。多くの場合、これが混在しているというのが現状かなあと思われます。

(PP)

 子供さんにつきまして、たまたま今年度、私たちの近隣の市で調査することがありまして、その資料を付けさせていただきました。これは小中高生に対する痛みの調査ということで行いましたけれども、中学生に関しまして、「半年以上続く痛みがありますか」と聞いてみますと、大体男子で 20 %、女子で 17 %ですので、中学生においても非常に多く長引く痛みというのは見られるものであるということが分かってまいりました。

(PP)

 今度、小中高生につきまして、ではどういうところが痛いのかということで見ていきますと、小学校低学年というのは、痛みを言わなくて、頭痛とかがあったりするわけですけれども、中学生になると、膝が痛いという頻度が高いのですね。それから腰が一部痛いという人が出てまいります。この頻度に関しましても、数%、5%、6%という結構高い頻度で出てくるわけですが、高校生につきましては、腰が痛いという大人のパターンになってくるということが分かってきておりますので、中学生では膝に痛みが出ることが多くて、高校生では成人同様に腰が多くなるというところかと思います。

(PP)

 同時に行いました、これは食育の調査も行ってきたのでいろいろなことを調べてきたわけですけれども、1カ月のストレスということについても調べております。これで分かってきたことは、中学生のストレスですけれども、「やや感じている」「非常に感じている」ということで、中学生の方でも、男子も女子も 20 %以上の人がストレスを感じながら生活している、このようなことが分かるわけであります。すなわち、慢性痛というのはさまざまな原因によって続いておりますけれども、少なからずこのようなものが関係している可能性もあろうかと思います。

(PP)

 「心理的要因やストレスと慢性痛」ということでスライドを作らせていただきましたけれども、診断だとかそれにつながる言葉を告げられると症状に影響して痛みの遷延に関与するということが分かっておりまして、そういう研究が多数報告されております。

(PP)

 さらに、一番目に言いましたような、病気を告げられただけでももちろんストレスですので、痛みに関与したりすることもあるのですけれども、労務災害だとか事故だとか、被害者のようになった者については痛みが遷延することが多いです。また、暮らしている環境、職場、学校など、親子関係、きょうだい関係に問題があるときにも痛みが続くということがわかっておりまして、痛みが診断されたり、それが原因によって起こったことなどによるさまざまな心理的ストレスや環境要因が痛みの慢性化、なかなか治らない状態を引き起こすのではないかと考えられるのではないか。これは慢性痛の一般的な問題という格好で、今回の問題とは抜きにして考えられてきていることを挙げさせていただきました。

(PP)

 ここからが我々の研究班を訪れた患者さんにつきまして報告させていただくところでございます。 85 例、我々の研究班では見させていただきました。

(PP)

 ワクチンの種類に関しましては、サーバリックス 49 名、ガーダシル 23 名というような内訳でした。

(PP)

発症年齢につきましては、先ほどの厚生労働省からの報告と割と似ておりますけれども、 14 歳をピークとしておりまして幅広い年齢に分布いたしております。症状の発生時期ですけれども、1回目接種直後からそのまま症状出現したものが 14 例、その後少し期間をあけたものが4例です。2回目の接種直後からそのままが 13 例、その後、期間をあけてが 14 例、3回目接種直後からが8例、その後期間をあけてが 27 例ということで、中には半年以上あけてという症例もおられましたけれども、パターンとしてはさまざまなものがあるということは先ほどの報告と類似しております。

(PP)

痛みの部位ですけれども、頭痛を訴える者が 64 名と一番多くて、肩痛、膝痛が 24 名、それから腰痛が 23 名ということで分布しておりましたけれども、それ以外、多数のところに痛みを訴えている方が多いという状況でありまして、その内訳を右に示しております。

(PP)

症状ですけれども、注射をした後、一旦痛みが治りましたかということで聞いてみますと、一旦治ったというのが 79 %ですね。さらに、しびれだとか、痛いところが冷たかったり、腫れたり、それから、動きが悪かったりするというような症例は大体2~3割程度であったということです。それから、リウマチだとかで出てくるような朝のこわばりというのはないというものが 82 %で非常に多い状態でした。

(PP)

 全身倦怠感に関しましては、あるものが 60 %、睡眠障害というのははっきりいたしません。あるもの、ないもの、同等程度です。めまい、吐き気というものに関しましても、ない人のほうが多いという状況ですが、立ちくらみ、それから起立持続時の悪心、卒倒というものに関しましては、分かっている症例、全ての症例、 85 例フォローできているわけではないですけれども、 90 %以上と非常に高い確率で見られております。一方で、湯船から上がるときの脳貧血だとかいうのは低い状態です。ちょっとした運動での動悸、朝起き不良に関しましては 60 %程度見られるということで、前のスライドから連続して考えてみますと、器質的な問題というよりは機能的な異常を示唆する症状が多いのではないかと考えられます。

(PP)

 身体所見についても見ていきました。ワクチンを打ったところが痛いか、それから、圧痛があったり発赤があったりするかということで見ていきますと、長期間たってから見ていることが多いこともあって、それはないというのがほとんどでございました。それから、運動麻痺につきましては、あったものは4%、筋力が全くないというものではなくて、 MMT で3~4というのが3例ずつあったというところで、麻痺がないのがほとんどということであります。感覚障害に関しても、鈍麻、感覚異常、 Allodynia 、いずれも 90 %以上は異常ありません。腱反射につきましても異常はなくて、関節に関しましては、発熱だとか腫脹、そのようなものが見られる症例もほとんどないという状態で、やはりこちらから見ましても、器質的な異常を示唆する所見は乏しいという現状でございます。

(PP)

 血液検査につきましても、全例行っているわけではありませんけれども、リウマチ等々を除外する目的で行っておりますけれども、異常なしというのが大多数ということであります。画像所見に関しましても、X線、 MRI 、伝導検査等を行っている症例もありますけれども、異常が指摘されているのはほとんどなくて、 MRI で2例ほど異常がありました。こちらのデータも、器質的な異常を示唆するものはほとんどないというのが分かってくるかと思います。

(PP)

 心理社会環境につきましても調査いたしました。ストレスだとか関係しているかと思ってこういうのを調べてきましたけれども、不登校、欠席が見られたのが 69 %です。友達との関係だとかにつきまして、問題があったかということで聞いてみますと、「問題なし」というのが 63 %という状態です。「学校は楽しい」と報告する者が7割程度です。クラブ活動は行っている者が4割、行っていないのが6割。これまで病気以外で学校を休んだことがあるという人はほとんどおられませんでした。体育の授業に関しては、受けられている人、休んでいる人半々ぐらいの状態で、家庭でのストレスに関しては「課題なし」というのが7割程度だったという状況であります。

(PP)

さまざまなストレスで痛みが続くということになりますと、痛みに対するこだわりというのが出てきています。これを慢性痛の業界では Pain Catastrophizing Scale 、痛み破局化スケール、痛みのことばかり考えてしまう。痛みのことをすごく存在感を感じてしまう、あるいはもう治らないのではないかと思ってしまう。

(PP)

このようなものでスコアをつけてみますと平均で 28 点ということで、比較的、慢性痛の私たちの研究班に来られている平均のレベルぐらいの患者さんが多いということが分かりました。したがって、割と慢性痛、痛みにこだわっている方は多いだろうということがここから分かるかと思います。

(PP)

参考資料は1個飛ばしているかと思いますけれども、私たちの慢性痛研究班は基本的に、原因はどうあっても、痛みから脱却して学校に返すということを目標としておりますけれども、そのような考え方につきまして御説明させていただけたらと思います。痛みの悪循環から改善への好循環へということで、左下が悪循環の状態であります。痛みがとれなければ何もできない、このような格好で患者さん来られます。痛みを理由として、動かないでみたり特別な行動をしてみたりするわけです。痛いから何もできない、何もできないのは痛いからだと、こういうことで続けていくわけですけれども、このようなことで余りにもじーっとしていると関節も固くなりますし、いろんな異常が生じてくるわけです。中にはなかなか治らない病態になりますけれども、これからどのように脱却させていくかということで我々の研究班が取り組んでいるのは、教育、体づくりということを理念として、よい循環に戻していきましょう。痛いけれども、いろいろできるようになりましたよ。だから、もっと体づくりをしましょう。そのようなことで進めているということであります。行動制限を解除して、特別な行動を中止し、痛みがあってもまずはやってみる、このようなことをしていくということであります。慢性痛につきましては、下にありますように、体づくりと心のケアを含めた教育でよくなることも多いわけでありまして、これは一般的には慢性痛です。

(PP)

 集学的な痛みセンターというものを現在研究班で開発を進めてきておりますけれども、痛みを取り扱う麻酔科医、整形外科医、歯科医、理学療法士、精神科医、心療内科医、理学療法士、臨床心理士、このようなもので一人の患者さんを診ていくシステムをつくろうとしております。このようなことをしていくことによって患者さんのいろんな背景が分かってくるということでありまして、このようなものが諸外国ではたくさんつくられております。痛みを一方の目からばかり見ては分からないことが多いですので、こういうシステムづくりが必要で、諸外国では多数つくられているというところであります。厚生労働省でもこのような取組を行っているところであります。

(PP)

 そのようなところで、我々の研究班でフォローアップしてきた状況を御説明させていただきますと、現在、1回で終了というのが 27 %、フォローできなかったというのが 16 %ですけれども、遠くから来ている方だとかはなかなかフォローできていないですが、フォローできた方 56 %につきまして見ていきますと、再診データが取れたのが 36 人でありました。

(PP)

 その 36 人の内訳ですけれども、非常によくなった、「著明に改善」が 14 %、「改善」が 50 %、「不変」が 33 %、「悪化」が1例です。これはちょっと特殊な患者さんでございましたけれども、そのような症例がおられました。

 不安に関しましては、前例に続きまして1回目受診時の後からもチェックしておりますけれども、「著明に改善」「改善」というのが 15 %、 32 %ということで、フォローできてないものもおりますけれども、「不明」というのも多数、少なからずおられますが、不安がとれている人も結構多いということであります。

(PP)

 集学的痛みのシステムというのは我々が班研究で行っている慢性痛の治療のシステムでありますけれども、多くの慢性痛で痛みの原因を特定できなくても、痛みを改善していくということが分かってきております。そのスキームに関しましては、先ほどのスライドにお示ししましたように、教育だとか指導、運動アプローチによって痛みの悪循環から脱却していこうということでありまして、 HPV ワクチン接種後の慢性痛においては、器質的な病態よりも機能的な症状が多くて、上記と同様の診療システムが有用でないかと現在考えて取り組んでいるというところであります。

 以上であります。

○桃井座長 ありがとうございました。疼痛、特に急性疼痛と慢性疼痛の医学的な違い、そして慢性疼痛を医学的にどう考えるか、そして、その治療はどのようにすべきなのか、そのようなことを、大変短時間で恐縮でしたが、御発表いただきました。全ての参考人の先生に御発表いただいた後で質疑応答したいと思いますが、今、特にこの点について伺いたいということ、おありになりますか。

 それでは、後でまとめて質疑応答させていただきます。次に、やはり同様に多数の患者さんを御覧になっている池田参考人からお願いいたします。

○事務局 申し訳ございません。参考資料2については用意がございませんので、スライドのほうを御覧いただきたいと思います。傍聴の方には、申し訳ございませんけれども、そのような状況、御理解いただきたいと思います。

○池田参考人 信州大学の池田でございます。それでは、私の報告をさせてもらいます。

(PP)

 私たちは、牛田先生のグループとちょっと違いまして、もともとが神経の痛みがなぜ起こるのかという原因とそのメカニズムを解明しようということをベースにした班でございます。

(PP)

私たちは6カ月間で 49 例を診察したということであります。それで、私どもの信州大学で 32 例の患者さんが受診されましたので、今日は主として私が直接診た患者さんのデータを示したいと思います。

(PP)

 信州大学を受診した 32 名は、 12 歳から 19 歳、平均 15.7 歳、ワクチン接種平均年齢は 13.8 歳で、サーバリックスが 24 名、ガーダシルが8名ということになります。初回接種から症状出現までというのが平均で 23 カ月ということです。この中で4名の人はワクチンとは関係ない病気であるということ、全身性エリテマトーデス2例。麻疹ワクチン接種後小脳炎、統合失調症という診断がついていますが、4名は全く違う病気だという診断がされましたので、 28 名について症状の分析をしています。

(PP)

28 名の症状の中で一番多かったのは頭痛、全身倦怠感。それに次いで手足の疼痛、筋力低下。これが原因で歩行障害ということがありました。また、下肢の冷感、起立性調節障害、学習障害、手足の不随意運動、さらに月経異常というのが約3分の1あったということです。また、歩行困難というのは、ここに書いてあるように、手足の筋力はちゃんとあるのに歩けない。四肢の筋力にそぐわぬ奇異な歩行障害を呈していた子が5名いたということです。

(PP)

28 名中、こういう病気ですねと確定診断ついた人が 11 例で、その内訳は、関節炎が2例、筋膜炎が2例で、日本の診断基準で CRPS と呼ばれる人が1例、起立性調節障害が6例で、この内訳は、起立性の低血圧が3例、体位変換性の頻脈症候群が3例。恐らくこれは先ほどの牛田先生の分析とかなり近いと思います。

(PP)

ではどうしてこういうことになっているのかということですが、最初に一番頻度の高い頭痛、全身倦怠感の成因はということですが、子宮頸がんワクチンを打った比較的直後からこのような症状が出て学校へ行けなくなってしまうということで、この子の場合は普通校の進学校から通信制の高校へ転校したということでした。私たちのところで、これは起立調節性障害でしょうということで、薬の治療をして大分よくなって、センター試験に向けて勉強を開始したということです。

(PP)

こういう子に対して、起立試験、寝た位置で血圧を測って、起きた位置で血圧を測って、時間ごとに血圧を測り、同時に、血漿中のノルアドレナリンといって血圧を上げるホルモンを測ってみる試験です。これは我々神経内科で自律神経障害のときよくやる検査なのですが、普通ですと、血漿中のカテコラミンというのは、寝たときの値から、起立すると 60 %以上上がるのですが、 64 %の人で上がらなかったという結果であります。すなわち、末梢で交感神経からノルアドレナリンという物質が分泌されてない。

(PP)

では、その痛みと歩行障害の成因はということですが、1つは反応性の関節炎。

(PP)

この子は、左肩へワクチンを打ったのですが、その直後から右手首の関節の痛みを訴えたということで、 MRI を撮ってみると、このように関節液がたまっていて、これは関節炎ですねという診断がつくのですが、この人の場合は数日の経過で自然軽快していったということで、余り重篤にはなってない。

(PP)

先ほどから問題になっている CRPS 、又はその類似例というのはどのようになるのかということですが、この子は 13 歳のときにワクチン接種をして、1年ぐらい前から頭痛、めまい、手足の疼痛、震えのために、歩行困難、そして不登校になっている子供です。これはサーモグラフィ、手足の温度を見ているのですが、手足の先端が緑色になっていて、どうも皮膚温は低下していそうなのですが、そう高度なものではない。

(PP)

実際に手足の指と足の動脈の波形を見てみると、一番上のは波が、これを見ておいてほしいのですが、余り動脈の波形になってない。非常に血流が悪い。指で 28.4 ℃、足で 22.2 ℃と、これはかなり低いですね。普通は 30 ℃以上あるので、皮膚温が低下しているということです。

(PP)

こういう患者さんに末梢の血管を広げる治療薬、プロスタグランディン E 1という点滴ですと、手足の血流が戻ってくる。そして皮膚も温かくなってくるということが分かりました。すなわち、これはだから、血管を支配している自律神経が障害されているということの裏付けが取れたわけです。

(PP)

それではなぜ手が震えて動くのかということで、これは表面筋電図といって、手と足の動いているところから筋電図をとっているのですが、こういうのがみんな動きですが、この動きが、手足、非常にばらばら。同期して動いているものではない。我々は、脳が障害されて手足がこういう不随意運動を起こす場合はこういう筋肉が同期して収縮するのですね。だけど、これは全くばらばらに動いているので、恐らく脳が悪くてこういう不随意運動を起こしているのではないだろうという分析結果。

(PP)

それをさらに確認するために、これは脳波なのですが、脳波と一緒に手足の表面筋電図をとってみると、ここで不随意運動が起こる。普通は、もし脳が起源ならば、この先に脳にその原因を起こすようなスパイクが出るはずですが、脳では全く活動が起こってないのに手足が動いているということで、この不随意運動は脳が原因ではなくて、末梢の原因で起こっているということが分かりました。

(PP)

そこで、手足の痛いと言っているところの皮膚を生検して、その中にある神経を電子顕微鏡でのぞいてみました。これが一つの神経束で、こういうところに見えているのは有髄線維という太い線維です。

(PP)

この部分を拡大してみると、こういう有髄線維の絶縁体がこのように壊れている、ミエリンが壊れているということですが、さらに、赤い矢印で示した無髄線維の中に黒っぽいものがいっぱいたまっている。これは無髄線維が変性している所見なのですね。

(PP)

それを拡大するとこれです。この無髄線維というのが痛みや自律神経が含まれている線維で、どうもこういうところの線維の一部が変性していそうだということが分かって、これは器質的な変化でないかと捉えています。

(PP)

そういうことから、自律神経の検索をしたのですが、皮膚温を 13 例で測定して、指、足の皮膚温がやはり下がっている。指尖容積脈波ということで指先の血流を測定してみたところ、 13 例やって、足では 12 例で異常、指では8例で異常ということが示されている。

(PP)

それで、私たちが診た 14 例中、 CRPS という診断基準を満たした人は1例のみである。他の 13 例は、診断基準は満たさないのですが、手足の異常な痛みとか過敏症、アロディニアと呼ばれているのとか、四肢の冷感、指尖容積脈波の異常があって、恐らく末梢の交感神経障害が起こっているのではないかと考えております。

(PP)

では、そういうのに対して、さっき電子顕微鏡で示したあれだけで今の症状が全て説明がつくのかというと、それはちょっと問題がありまして、そこへ、先ほどから牛田先生も言っている、心理的な影響が加わっているだろうと考えて、これは私どもの推論ですが、ワクチン接種後、局所の高度な疼痛が起こって、四肢の関節炎とか筋膜炎、さらに自律神経障害が数週間、数カ月後に起こる。しかし、こうしたものに適切な診断治療がなされず、不安が残る。不安が残ったところへ、ちょうどそのころの子供は、受験、そして新しく高校へ入ったら大きく社会生活が、環境が変化する。そうした生活状況の大きな変化に対してさらに不安が強まって、そこへ疼痛が引き金となってパニック障害とか身体表現化現象というものにつながっていくのだろうと思います。

(PP)

現在どのように考えればいいのかということなのですが、子宮頸がんワクチンの副反応として関節炎、筋膜炎、これは頻度は低くて、これは短期間でよくなるだろう。起立性調節障害に関しては、この年代で非常に頻度が高い病態で、ワクチンが直接誘因となっているかは不明。言葉を変えて言えば、非常に起こりやすい世代なので、たまたまの合併症かもしれないし、ワクチンが関与しているかもしれない。手足の難治性疼痛に関しては、 CRPS と呼ばれている慢性疼痛に近い病態で、末梢性の交換神経機能異常が関与していることを疑っています。別な言葉で言うと、神経内科領域では自律神経障害性疼痛という病態に当てはまるのかなと。ワクチンがどういう機序でこういう自律神経障害を起こしているのかは分かりません。

(PP)

最後、無月経を含む生理不順ということが3分の1に起こっていて、これがどういう機序で起こるのかはいまだ分からなくて、今後の調査が必要だと思います。

(PP)

治療に関しては、私たちが診た患者さんは全てフォローできているわけではないですが、高度な歩行障害に関しては、ああいう血管が広がる点滴等で5名中3名が改善している。関節炎、筋膜炎に関しては、特別治療しなくても自然によくなる。起立性調節障害に伴う頭痛、全身倦怠感に関しては、薬物治療で半数はよくなっている。 CRPS 様の痛みに関しては、現在経過観察中なのですが、恐らく末梢神経の障害ならば改善されるであろうと考えています。

(PP)

そうは言うのですけれども、このような重篤な状態になって、車いすで私たちの病院へ患者さんが全国から来られているので、こうなる前に治療して改善の方向へ向けなければいけない。牛田先生が言うように、きちんとした専門医が対応できる体制をもっと強固にしていかなければいけないというのが私どもの考えです。

以上です。

○桃井座長 ありがとうございました。自律神経症状に対する推定病態、あるいは歩行障害を主とする運動障害、そしてさまざまな不随意運動等について考えられる病態を御説明いただきました。今、御質問をという方がいらっしゃいましたら是非どうぞ。

よろしいでしょうか。

では、後でまとめて議論させていただきます。次に、やはり多数の患者さんを御覧になっている佐々木先生から、よろしくお願いいたします。

○佐々木参考人 国立精神・神経医療研究センターの佐々木でございます。

(PP)

 私、先週までに 35 人ほど患者さんを診せていただいております。今までも既に、接種直後から症状がある人、数カ月置いて出る人という話がございました。私の診せていただいた患者さんの主症状もほとんど池田先生と同じでございまして、まず、急性期の接種部位の局所反応や運動障害を来す方が非常に多いです。大体 70 %は、かなり最初痛かったということをおっしゃっておられます。そして、その後引き続く症状としまして、全身の筋痛、関節痛、大体6割ぐらい、そして倦怠感、頭痛が7割ぐらい、それ以外に自律神経症状であるとか筋の反復性収縮とか運動制限、運動麻痺、睡眠障害、記憶障害、集中力低下、月経停止、月経不順などさまざまな症状を来します。これを説明するためにはどういうことが考えられるかということを考えてみました。

(PP)

まず、最初に痛いということなのですが、このワクチン、どの程度痛いかというのは受けた方でないと分からないわけですけれども、サーバリックスの最初のころの報告によりますと、疼痛が 91 %、重度が 16 %、これはA型肝炎ワクチンが4%ですので、かなり痛いのだろうと考えられます。そして、この局所反応以外に全身反応も大体5~6割の方は出ているということで、非常に強い全身反応が出て、特に筋痛が 4.6 %ということで、かなり痛みが残るということが分かります。

(PP)

国内治験でも同じような報告がありまして、サーバリックスですと 99.8 %、局所反応が出るということです。ガーダシルも8割の方が局所反応、疼痛が出ると言われております。全身反応もサーバリックスでは6割ぐらいの方が出ております。ですから、まず接種後に非常に痛いというのは間違いないということです。

(PP)

これは国内の副反応の集計でございまして、今年の3月 31 日までのものですが、私が独自に集計させていただきまして、サーバリックスで見ますと、失神、意識消失、失神寸前まで含めまして、 10 万人当たり 25 人、それから、ガーダシルが 10 万人当たり 17.9 人と非常に多うございまして、これはやはり接種時の疼痛が一番大きな原因と考えられております。血管迷走神経反射が大きな理由であろうと言われています。少し自己免疫性疾患の報告なんかもありますけれども、それほど多くはないということでした。

(PP)

このワクチンは長期間にわたって効果があるということで、アジュバントが非常に強力にできているということでございます。ですから、何かしら自己免疫疾患が多いのではないかということが予想されるわけですけれども、世界の報告を見ても実際それほど多くはなくて、症例報告程度でございます。ですから、ここに幾つか疾患がありますが、これが本当にワクチンと関係あるのかどうかも分からないということで、それほど報告例としては実際には多くはないということです。

(PP)

私が診せていただきました患者さんの診察所見でありますけれども、接種した方が少し痛いとか、三角筋が少し痛い、動きにくいという方がおられますが、腱反射はしっかり出ていまして、明らかな末梢神経障害はなさそうです。肩の筋肉がかなり凝っている方が多いです。そして、いわゆる線維筋痛症の圧痛点をほとんどの方で認めています。それから、一部には、三角筋の中に、接種した部位のところに硬結、硬いごりごりしたものを触れる人がいます。血圧は低目の人が多くて、体位変換、特に立ち上がったりすると心拍が上昇しやすい方が何人かおられました。

(PP)

検査所見では、頭部 MRI や髄液検査では余り異常が指摘されておりません。そして、筋の MRI では一時的に筋内に高信号、異常浮腫ですね。筋炎とか筋膜炎を示唆するような所見が出る人がわずかにおられましたけれども、これも一般的な所見ではありませんでした。脳波では大体異常がありません。血液検査で一部抗体が出ている人がいましたけれども、これは SLE などの疾患名がついている方です。ですから、共通して異常はなかなか見出せないというのが現状でございます。

(PP)

診断としては、このワクチンと関係あるかどうかあれですけれども、 SLE とかギラン・バレーとか急性小脳炎とかそういうことで診断されている方が何人かおられましたけれども、あとはそれ以外に緊張型頭痛、起立性調節障害と診断していいような人も何人かおられました。それ以外の方ははっきりとした身体疾患としての診断は困難でありました。

(PP)

そこで、鑑別診断をたくさん挙げてみたのが表にあるものでございます。マクロファージ筋膜炎というのがフランスから報告がありまして、それも最も症状が似ているものですから疑ったのですが、筋生検、2人にさせていただいて、今のところはそれを示す異常は出ておりません。

それから、かなり疲労感、倦怠感を訴える方がおられまして、慢性疲労症候群とか、あるいはあちこちが痛いということで、線維筋痛症とか、そういう疾患にも鑑別が挙がると思います。

それから、今話にありました CRPS 、複合性局所疼痛症候群、それから、まるで神経障害性疼痛のような痛みを訴える方もいるわけですけれども、実際には末梢神経が明らかに異常はないようなので、神経障害性疼痛というのは無理なのかなと思います。

そして、起立をすると脈拍は上がるということで、体位性頻脈症候群、 POTS と言いますが、こういうことである程度症状が説明できる方はおられそうです。この POTS を来す疾患で自己免疫性自律神経ニューロパチー、あるいはガングリオノパチーとかいう疾患がありまして、それは自律神経を特に障害するような末梢神経障害なのですが、こういうものがもし起きれば、症状がある程度説明はできそうです。

それ以外に今回気付いたのは、身体表現性障害という状態でございまして、これはいろんな検査をしても異常が見つからない、だけれどもいろんな訴えがあるという方のときに使われる障害名でございます。

(PP)

この図を書いてみましたけれども、病態仮説をしまして、この注射をすると局所にまず反応が起きて、痛くて赤くなって腫れて、そして全身的にもだるくなったり熱が出たりして免疫反応が起きているわけです。うまくいけばちゃんと抗体ができるというのが一般的に期待されているものですけれども、もしこの免疫反応が強過ぎれば過剰反応ということで、自己免疫性疾患、全身性エリテマトーデスとか関節リウマチとか、そういうものになってもおかしくはないのかなと思っているのですが、それほどこのような自己免疫性疾患と診断される方は多くはないのですね。

自己免疫性疾患の中で1つ、末梢神経障害を来す疾患がございまして、特に自律神経の障害を来す自己免疫性自律神経ニューロパチーであれば、これは過剰反応から起きてもおかしくはないのかなと思います。この起立性調節障害とか緊張型頭痛とか、そういうのに似た症状の方がかなりおられるというのがまず一つのコースでして、そして、一番大きなことは、この局所反応が非常に強くて、急性疼痛、針を刺したときの痛みなのか、注射液の痛みなのか、あるいは免疫反応が起きてからの痛みなのか、いろんな理由があると思いますけれども、針を刺したときの痛みが1週間も続くことは余りないのではないかと思いますので、その後の免疫反応の痛みもかなりあるのではないかと思います。まず、短い時間の間に血管迷走神経反射が起きて、失神する方が多い。 10 万人いたら、その中の 20 人ぐらいは失神するということで、かなり率は高いということです。それ以外に、過換気、しびれとか動悸、不安感を訴える方もおられます。

ですから、まずかなり痛いのは間違いない。この痛い注射を3回やるということになっておりますので、このときに、皆さんどのように思われるかですね。痛いものを受けたい人は余りいないと思いますので。ですから、本人の意思で受けるのと、親とか同級生とか先生とか、いろんな人からやれと言われて受けるのとでは大分受け方が違うのではないかとは思います。このような痛みとか経験を通じて慢性症状に移っているのではないかと考えています。

(PP)

これは今の仮説でございます。

(PP)

それで、1つ問題になりますのがこの身体表現性障害という状況でございまして、診断基準を読んでみますと、まず 30 歳未満で始まる多数の身体的愁訴で、必ず治療を求める。社会的な機能障害がある。そして、4つの疼痛症状、頭痛、腹痛、筋痛、関節痛、背部痛など、胃腸症状、嘔気、嘔吐、下痢など、それから月経不順など、それから麻痺であるとか痙攣であるとか脱落であるとかいろんな症状が出るというのがこれの基準でして、今回の患者さんたちも、この基準だけ見るとかなり合うのですね。

そして、一疾患では説明できない。そして、社会的障害が大きい。学校へ行けなくなっている方が多い。それから、大事なことは、意図的につくり出されたものではない。決して詐病とかではないということですね。ですから、実際には正確な病態というのは不明で、治療法も、今のところすぐ治るというものではありませんので、これだと診断したからもうそれで終わりというものではないということですね。

(PP)

ですから、ワクチン打った人は精神科に行かせられている方が多いのですけれども、本人に聞くと、ストレスに関しては思い当たる節はないという方が多いのですね。だけれども、そういうのは自分の意識の上に上がらないこともありますので、そういうものが、まず体調が悪いところに要因になることはあり得ると思います。あとは、もちろん、この年代ですから、いろいろなストレス因子があって当然だと思いますので、そういうところに非常に痛いワクチンを受けて、その疼痛刺激がさらにストレスになって体調不良がもっと悪くなっていくという悪循環になっている可能性もあるかと思います。ですから、単純にこのワクチンの後の体調不良を心因性疾患とか精神的疾患とか言ってはよくないのではないかと考えています。

(PP)

ですから、非常に痛い疼痛体験を2回3回繰り返すことによって、本当に身体がもう参ってしまって、身体表現性障害、ストレス因、非常に大きなストレス要因を繰り返して、それに対処するのが余り得意でない方がなりやすいと言われていますけれども、そのような身体表現性障害がこの患者さんの中には含まれているのではないかと考えています。

(PP)

ということで、この痛みというのは情動にも左右されるものですから、純粋な心因性と感じられる場合でも、大なり小なり、痛みの経験ある人が多いと一般的に言われております。こういう患者さんたちの治療に関しましては、ただ単に痛みに対するアプローチ、非常に難しいのですけれども、一人の医師がやってもなかなか簡単にはいかなそうなことがあり、非常に大きな問題だなと考えております。

(PP)

まとめです。長期に体調不良になっている方は数百人はおられます。決して思春期の女性だけでなくて、 30 代、 40 代の方もありますので、誰にでも起こり得ることであります。このワクチン自体が非常に強い痛みを引き起こす。ですから、これがこの症状にかなり関係あるのではないかと考えております。強い疼痛、それ以外の免疫異常とか自律神経の異常とか、そういうものが慢性症状を引き起こしている可能性が高いと考えます。

(PP)

ですから、このままこのワクチンを続けたら同じ症状の方が必ず出てくると思います。その症状の方が出たときにきちんとした対応ができないとますますこういう患者さん方が増えていく一方だと思います。ですから、今後の治療の対策としましては、まずこういう慢性治療、慢性疲労、自律神経症状などに対する治療をきちんと我が国で、最低、県に1つぐらいなければどうしようもないと思いますが、そういう医療体制の充実というのが必要だと思います。

それから、今後新たに同様症状で苦しむ人の発生予防としまして、まず、僕はこの HPV ワクチンを受けない選択というのはあっていいのではないかと思います。それから、接種後の痛みを軽減するようにワクチンを改良してもらうこと。今のままでは相当痛いので、ちょっと続けるのは酷なのではないかと考えています。それから、初期の痛み治療の充実。最初、痛いと言っても、痛いのは当たり前だということで邪険にされている方もおられましたので、そのときの対処をきちんとするというのが大事なことだと思います。それから、自律神経症状に対する治療も充実、こういうことを提案したいと思います。

以上でございます。御清聴ありがとうございました。

○桃井座長 ありがとうございました。今、御質問されたい点がありますか。

よろしいでしょうか。

それでは、後で議論させていただきます。引き続き参考人のお話を続けさせていただきます。次は、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生の御専門でいらっしゃいます大前参考人から、アルミニウムの毒性についてのお話を頂戴いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大前参考人 慶應義塾大学の衛生学公衆衛生学教室の大前と申します。

僕の求められている意見は、今回のこのことがアルミニウムの毒性ということで説明ができるかということに関して意見を言ってくださいと言われております。

(PP)

我々、毒性学のほうからいきますと、このような考え方をしております。有害物質の、横軸は量をとっておりまして、縦軸がその量に対する反応をとってありますが、有害物質の量が体にたくさん入れば入るほど強い影響が出るという考え方をしております。その強さの影響のレベルによっていろんな言葉を使っておりますけれども、いわゆる中毒というのは、顕性の影響、表に現れてきた影響というような概念をしております。

このような考え方をしておりますものですから、アルミニウムの毒性を考える場合に、どこの集団がアルミニウムをたくさん吸ったか、あるいは飲んだかということを考えます。

(PP)

ではどれぐらいアルミニウムを皆さんがとっているかという摂取のデータですが、ちょっと小さくて見にくいのですが、上のほうは今年の論文から持ってきたものですけれども、一番右側に、摂取量ではなくて吸収量の形で書いてあります。通常の生活では、食べ物、飲み物から9割以上のアルミニウムをとっているということです。

日本の場合、 1998 年、 99 年、マーケットバスケットという調査がありまして、それで見ますと、平均ですけれども、1日、1人当たり 5.2mg ぐらいのアルミニウムをとっているという計算結果が出ております。

排泄のほうですが、非常に長い期間を考えますと、ほとんどが尿中に出てくるというデータになっております。

(PP)

 ではどこが一番アルミニウムを今までたくさんとってきたかということで、この集団は労働者の集団です。労働者の集団で観察されたアルミニウム中毒から類推してみたいと思います。今まで労働者の集団で報告されているアルミニウムの健康影響というのは、1つは呼吸器への影響です。もう一つは神経系の影響です。呼吸器への影響は、言葉としてはアルミニウム肺とか肺線維症等々いっぱい報告があるのですが、これは随分昔の高濃度曝露かつ複合物質の曝露でして、現在はこのような呼吸器影響はアルミニウムだけでは起きないだろうという結論になっております。

もう一つが神経系への影響です。これは認知障害、記憶、判断等々の認知機能が少し落ちるというような報告が労働者でありまして、それを全部まとめた結果、血液の中のアルミニウム濃度にしまして 10 μ g/L くらい、そのぐらいの濃度が長い間続くと、プレクリニカル、ですから、まだ中毒までいかない状態ですけれども、軽い影響が起きるということが結論付けられておりますので、この数字を基にしまして、現在は労働環境の許容濃度というのは1 mg/ ㎥という数字になっております。

(PP)

 今回は2つのワクチンが使われておりますが、アルミニウムという観点から見ますと、ガーダシルのほうは1回当たり 225 μ g 、それからサーバリックスのほうは 500 μ g という形で筋肉に注入されることになります。これは最悪のシナリオですけれども、通常、筋肉注射ですからこんなことあり得ないのですが、万が一血液の中に全部入ってしまったらという最悪のシナリオを考えた場合は、日本人の体重 50 で血液量 6.5 くらいという形で計算しますと、リッター当たり、ガーダシルが 58 ぐらい、サーバリックスが 130 くらいの濃度になります。

したがって、さっきの 10 よりも高いですけれども、先ほどの 10 というのは、あくまでも労働期間ですから、それこそ 20 年、 30 年、 40 年という話ですので、この場合、1回だけの話ですから、こういう曝露であること、それから、データ上はアルミニウムをダイレクトに血管内に入れてしまいますと、 15 分ぐらいで半分ぐらい消失するというデータがありますので、そういうことを考えるとちょっと考えにくい。

(PP)

 では一体筋肉に注入されたアルミニウムはどのような状態を示すのかというデータが1個だけあります。この論文を引用している総説はあるのですけれども、もとはどうもこれ1個しかないようでございます。これはどういう実験をやったかといいますと、ウサギを使いまして、ウサギに 850 μのアルミニウムを注入しました。これは FDA が推奨している最大量だそうです。

その結果、右側の図ですが、2つ図がありまして、上の小さい図は、単位は時間ですけれども、0時間、注入 10 時間後、 20 時間後、こちらは 200 時間、 400 時間と長い時間になっておりますけれども、この結果、筋肉注射いたしますと1時間ぐらいで出てくるのだけれども、その増加の程度はこのぐらいであるということです。

 この単位が一番たくさん増えるのが2E-6、 10-6 という意味ですけれども、このレベルだけ増える。ベースラインが当然ありまして、それにこの量だけ増えるという結果でございます。ウサギの場合は血漿中のアルミの濃度が 30 μ g/L ぐらいですけれども、これと比べてみますと、大体7%しか増えない。ほんの少ししか増えない。

これを人間に当てはめますと、これはこの論文の中に書いてあった推計ですけれども、せいぜい1%ぐらいしか増えないということなので、今までのアルミニウムの我々が知っている範囲の労働現場なんかで見られた中毒の観点から言いますと、 850 のアルミを注入して、たかだか血清中の増加分が1%ぐらいなので、今までのアルミニウムの中毒という観点からはこの現象は説明できないなというのが今日の私の意見でございます。

○桃井座長 ありがとうございました。今の御発表に関して御質問おありになりますか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、進ませていただきます。次に、 HPV ワクチンの安全性評価のための動物実験についてのデータを御説明いただきます。北里生命科学研究所中山参考人、よろしくお願いいたします。

○中山参考人 北里生命科学研究所の中山と申します。

(PP)

HPV に限らず、ワクチンでなぜ免疫ができるのかということをずうっとやっておりまして、今日お話ししたいのはこのワクチンの副反応という話ですけれども、副反応というのは、それが独立してあるわけでなくて、ワクチンの主反応に伴って反応しているものを裏と表から見ている。表で免疫原性というのは主反応であるし、その反応の中で起きた有害事象みたいな、何が起こるか分からないですけれども、それが副反応という理解ができると思います。それで、今日お話ししたいのはなぜワクチンで免疫ができるのかという、マウスの実験モデルをお話ししたいと思います。

(PP)

 そういう話をすると結構難しい話になりますので、ワクチンというのは、この生体の免疫応答を利用して、感染の予防、発症を阻止するものであります。そうすると、免疫というのは何かというと、病原体に対する生体の防御反応であります。その免疫応答としては抗体とか細胞性免疫能を誘導するということになります。その中で、獲得免疫として、これがワクチンの果たす役割になるわけです。

(PP)

 まず、こうした獲得免疫を誘導するためには、自然免疫系にシグナルを入れないと何も免疫系が動いていかないということが分かっています。

(PP)

 そうすると、自然免疫系ってどういうのがあるかといいますと、細胞の表面にこうした外来性の異物、要するに蛋白とかそうした分子、例えば細菌の細胞膜成分の LPS 、真菌の成分ならフラジリン、ウイルスの外側の蛋白を認識する。細胞の中にはこうした遺伝子を認識する Toll like receptor (TLR) 3 ,7,8、9があります。これがトルライクリセプターで、今日の本題になりますのは、

(PP)

MPL というのはサーバリックスに使われているアジュバントですけれども、これはもともと細菌の LPS なります。この MPL というのはこの TLR 4に刺激を入れて、炎症性のサイトカインを誘導します。

(PP)

 その他の自然免疫系としては、一番外側にある Mannose レクチンとかの糖蛋白を認識するレセプターがあって、 NOD-like リセプターというのはこうしたいろんな身体にとって毒性のあるものを認識するリセプターであります。あと、身体というのはウイルスがふえるときに二本鎖の RNA を認識するものであります。そうすると、今日のお話になりますのは、アルミのアジュバントはどこに刺激を入れるかというと、ここの Inflammasome に刺激を与えて炎症性のサイトカインを出します。これが免疫応答の基本になります。

(PP)

 自然免疫というのは何かというと、病原体の侵入をパターン認識する機能であって、それには2種類あって、 PAMPs DAMPs というのがあります。この PAMPs というのは病原体の molecular を認識する。 DAMPs というのは細胞にとってダメージとかそういうものを認識するものであります。こうしたいろんなサイトカインを出すことによって2種類の反応に分けられます。インターフェロンα / Β(ベータ)が出てくると、それは MHC のクラス1に認識されて、細胞性免疫能を誘導するようになります。炎症性のサイトカインは IL-1 Β(ベータ)、 IL-6 、こうしたものは M MHC のクラス II に認識される。つまり、最終的には抗体産生を誘導するようになります。

(PP)

 全て有効なワクチンというのはどこかの自然免疫系に刺激が入るようになっています。今日お話しするのはアルミのアジュバント。このように不活化のワクチンに使われています。新しいアジュバントとして MPL 使われておりまして、基本的に全ての有効なワクチンというのは自然免疫系にシグナルを入れるということになります。

(PP)

 我々がやっているのはどういうことかといいますと、マウスに注射をしまして、筋注と皮下注の問題がありましたから、筋注と皮下注でいろんなワクチンをやって、リスポンスが違うのかという話を続けてしたいと思います。

(PP)

 いろんなワクチン、 HPV に限らず、 Hib とか PCV 、こうしたワクチンをマウスに打ちまして、これは次の日の、 24 時間後の血清中のサイトカインのプロファイルを見ています。これで見てこの図で一番上が Hib 、その下の図が PCV HPV のサーバリックスですけれども、大きな変動は余りないです。こちら、右の3列が皮下接種で、こっちが筋注です。ワクチンの皮下接種と筋注について差が出てくるのは、ここの G CSF がサーバリックスで筋注のところで高いということだけが出てきて、ほかの炎症性のサイトカインのプロファイルというのは、 Hib PCV HPV もそんなに差がないということになります。

(PP)

 実際、筋注するとどうなっているのかといいますと、こっちがアルミのアジュバントの入ってないワクチン、 Hib とインフルエンザ、それから日本脳炎です。こうした軽度の炎症反応はありますけれども、ワクチン接種による物理的な損傷の修復過程と思われます。こっちのアルミのアジュバントの入っているワクチンを打って、これは1回打った後の1カ月後の組織ですが、これは DPT 、それからガーダシル、サーバリックス、肺炎球菌です。こうした炎症性の肉芽腫ができます。

(PP)

 それをアルミの染色を行いますと、 DPT PCV とガーダシルというのは大体同じような感じで染まってきまして、この赤いのがアルミを貪食している細胞になります。 Hib はアルミが入っていませんからどこにも赤いものは染まってこないです。これは Control 、こつちがサーバリックスですけれども、アルミのアジュバントを貪食したマクロファージが集まってきています。

(PP)

 集まっている細胞を見ますと、細胞が膨化して、核が偏在して、こうしたマクロファージ系統が集まってきてアルミを貪食している像が見えます。

(PP)

 それがどのぐらい続くのかということで、 DPT を皮下接種3回した後と筋注した後で見ています。これが3カ月後、6カ月後、9カ月後ですけれども、皮下接種のほうは最初からそんなに大きな結節ができないのですが、筋注しますと、こうした大きな結節ができます。でも、それは6カ月から9カ月ぐらいたってきますと炎症性の肉芽腫は縮小傾向にあって、比べますと、筋注のほうが吸収が早いということが分かっています。

(PP)

 1年後どうかとみますと、これが皮下接種して1年後、こっちが筋注の1年後になります。筋注した後、3頭のうち2頭にこうした炎症性の肉芽腫が残っていて、アルミが入っています。筋注のほうはこうした小さな炎症性の肉芽腫が残っているだけで、アルミのアジュバントはここに検出されます。大体1年とかそのぐらいのところまではこうした肉芽腫が残っていますけれども、筋細胞が壊れるような変性を行う、線維化をするような筋拘縮症の所見は何も見られないです。炎症性の肉芽腫はこうした筋細胞を押しのけて入っていくようにできています。

(PP)

 これはサーバリックス接種後の筋肉組織です。サーバリックスを打って1カ月後でこうした炎症性の肉芽腫ができます。これは6カ月後ですけれども、このように炎症性の肉芽腫はまだ残っています。でも、1カ月後と比べると縮小傾向が出てきています。

(PP)

 そこに集まってくる細胞は何者かということですが、これが DPT 、それからガーダシル、サーバリックスです。このように肉芽腫ができます。この F /80 というのはモノサイト、マクロファージを染める膜抗原に対する抗体ですから、集まってきている細胞はモノサイトかマクロファージが集まってきていて、ただ違うのは、ここの iNOS というのが DPT 、ガーダシルは出るのですけれども、サーバリックスではこの iNOS が陽性にはなってこないです。 Arginase で見ますと、これは弱いですけれども、 Arginase も染まっています。ワクチン接種後1カ月後の炎症性肉芽腫に集まってきているのは、マクロファージが集まってきているのだということになります。

(PP)

 そうすると、ワクチンで集まってきているマクロファージというのは性状が違うのではないかということになります。 iNOS って何かといいますと、それはアルギニンを基質として、それから NO を合成する酵素で、これはインデュースィブルになるわけですが、それが LPS とか活性酸素、もしくはこのインターフェロンγによって誘導されるのが iNOS になります。 Arginase というのは何をしているのかといいますと、この NO 産生の基質である Arginase を分解している酵素になります。こうした iNOS とか Arginase が染まっているということは、これは炎症の真っ最中になります。上の 2 段は DPT とガーダシルでここで集まってくるのは、 iNOS も染まっているわけですから、これはM1マクロファージが集まってきて、これはクラシカルなマクロファージで、貪食能があります。サーバリックス接種後に集まってきているのは、 iNOS で染まらなくて、 Arginase が陽性で、これはM2マクロファージが集まってきているということになります。炎症反応修復機転と考えられます。

(PP)

 これは DPT の皮下接種、筋注した後に、上がヘマトキシンですけれども、それを iNOS Arginase で染めますと、先ほど所見と全然違って、このように、 iNOS は全てのマクロファージが染まってこないことになります。同様に Arginase も染まってきません。

(PP)

 分かりますことは、これで半年とか1年たっているわけですけれども、結節はこのように半年、1年残っていますけれども、これで染まるのは、 iNOS Arginase は陰性でありますから、この時点では炎症反応はないと考えられます。

(PP)

 筋注の組織をまとめてみますと、アルミのアジュバントの入ってないものは何もない。アルミのアジュバント入ったものは、筋細胞束を押し分けるようにして炎症性の肉芽腫ができてくる。最初、M1マクロファージが出て、M2マクロファージが出ています。筋注と皮下注の組織像は同じになります。6カ月ぐらいたっても、結節は残っているけれども、そこには炎症反応を示すような所見は検出できないということになります。

(PP)

  そうすると、ワクチン接種した早期に何が起こっているのだろうということになります。今お話ししましたのは1カ月、3カ月、6カ月、9カ月ですけれども、ワクチン接種した後の早期に何が起こっているのだろうということで、マウスの片側の大腿に PBS を打って、反対側にこうしたワクチンを接種します。3時間、6時間、 24 時間、 48 時間で筋肉組織をとって、それからホモジネートを作って、サイトカインの産生を見ます。そして、健康側と筋注した側の組織のサイトカインを測定しその比率で示します。同時に組織を見ていきます。また同時に血清のサイトカインを見ます。

(PP)

 これがまとめですけれども、 IL-1 Β(ベータ)が接種した側の筋肉組織に健常側に比べてどれだけ出ているかということですが、 Pre 、それから3時間から 48 時間まで見ていますが、サーバリックスのほうが3時間ぐらいから IL-1 Β(ベータ)は筋肉組織の中にたくさん出てきています。それから、 IL-6 も同様に、サーバリックスのほうが健康側に比べて、 48 時間たつと 140 倍ぐらい高い炎症性のサイトカインが出てきます。

 ここに G-CSF というのが出てくるのですけれども、それはサーバリックスで 48 時間ぐらいのところで、健康側に比べると 240 倍ぐらい高い G-CSF が集まってきます。

TNF- αは組織では全く動いてないことが解ります。

つまり、接種した部位で炎症性のサイトカインが動いていますけれども、サーバリックスだけが高いこうした炎症性のサイトカインを出して、ほかのガーダシル、日本脳炎、 DPT PCV に関しては健康側の大体3倍以内でおさまっているということになります。

(PP)

 血清中のサイトカインはどうかということで同じように見たわけですが、血清中の炎症性のサイトカインは、決してサーバリックスがほかのワクチンに比べて高いということではなくて、 IL-1 Β(ベータ)に関しても、 PCV 、日本脳炎と大体同じぐらいになります。サーバリックス接種後では IL- 6だけ高いのですけれども、このレベルがすごく高いかというとそうでもないということになります。

(PP)

 そうすると、なぜ痛いのだろうかということになりますが、筋注しますと、一番最初に我々が考えているのは、 G-CSF が集まってきます。組織の破壊というのはここで Mast 細胞が壊れることによって脱顆粒を起こして、それが substance P とか Bradykinin とか、こうした炎症性の蛋白を出す。それと同時に、ここに免疫応答の主役であります炎症性のサイトカインが出てきて、この炎症性のサイトカインのリセプターは、痛覚神経の末端にこうしたリセプターがあるわけですから、ここに結合することによって痛みの刺激を上行性に刺激を伝えていく。集まってくる好中球というのは抗原を運んでいるように思っていたのですけれども、これは 48 時間たっても所属リンパ節にぽつぽつとしか見えないです。そうすると、集まってきている好中球は何をしているのだろうということになります。

(PP)

 我々が今考えていることは、ワクチン接種後にどういう反応が起きているのか。ワクチンを接種すると一番最初に起こる反応は、 G-CSF が出てきて、それから CCLX とかのケモカインが集まってきて、マクロファージを集めてくる。好中球も集まってきて、好中球は壊れて、細胞内成分や核酸が漏出し M1 マクロファージが出現し細胞破片を貪食する。

この細胞のダメージが DAMPs の自然免疫系を刺激することによって炎症性のサイトカインを出す。それがリセプターに結合することによって接種部位の痛みが出てきます。

ただ、1カ月ぐらいのところではだんだんM2マクロファージに変わってきていますから、M2マクロファージは炎症反応の修復過程に出てきますから、多分いろんな反応というのは大体1カ月を過ぎてくると修復過程に入ってきて、急性期の炎症というのは、こうした炎症性のサイトカインは出てくることで説明できますけれども、その後の慢性の疼痛とか離れた部位の炎症に関しては、こうしたデータでは説明ができないというところです。今分かっているのはここのぐらいのところまでです。

 以上です。

○桃井座長 ありがとうございました。ワクチンの基本的な機序、免疫学的機序並びに局所の反応、免疫学的反応、そして疼痛について御説明いただきました。何か御質問あるでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、引き続き大野参考人から、先ほども議論に出てまいりましたが、身体化障害及び転換性障害を中心に慢性疼痛の精神医学的な側面についてお話をいただきます。よろしくお願いいたします。

○大野参考人 大野でございます。

 私は、精神科医として慢性疼痛を中心とした身体症状について説明をさせていただきます。私は、この頸がんワクチンに関して何か仕事をしているわけではなく、先ほど佐々木参考人、池田参考人がおっしゃった、身体表現性障害とか、そういう聞き慣れない病名が出ていますので、その辺りの解説と、あとそれに対して効果があると言われている認知行動療法を専門にしている関係でお呼びいただいたものと理解しております。

(PP)

 まず、診断について。身体表現性障害というのは、アメリカの DSM- 5という診断分類で使われたものでございます。ただ、今年の5月に DSM- 5第5版が出まして、それが大幅に変わりました。そして、それを大枠にして身体症状とその関連疾患という中で、身体表現性障害というのは、身体症状症、 Somatic Symptom Disorder の中に入ってきています。

あと、転換性障害、これは原因がなく痙攣が起きたり、そういった筋肉系の変化が起きてくるものですけれども、そういったものを転換性障害と言います。今日話題になっているものは、この身体症状症及び転換性障害の可能性が否定できないという議論が、精神科の立場からすると行われているものと考えております。

(PP)

 では、身体症状症というのはどういうものなのかということですけれども、いわゆる身体表現性障害、これは原因がはっきりしない、器質的な原因がはっきりしないのに、器質的症状が出ているというものです。疼痛性障害というのは、原因がはっきりしないのに痛みがある。心気症というのは、病気ではないか、そういう心配が強いもの等々をまとめたものを身体症状症と言います。つまり、身体症状が1つないしはそれ以上存在して、それが日常生活を障害している。そのために、それにとらわれてしまったり、これからどうなるのだろうと不安になったり、またそのことで非常に時間を使ったりエネルギーを使ったりという症状です。これは一つの症状がずうっと続くこともありますけれども、複数の症状が交代して出てくることもあると言われています。

ではこの有病率はどうかということですけれども、データは十分ございません。ただ、大体5~7%の有病率があって、女性に多いということが海外で報告されています。

 ただ、身体症状症、つまり、精神疾患と診断されるには、かなり重い症状があって、そして日常生活に支障が出てきたり、御本人が苦痛を感じていたりするというものですので、これに類した症状を持っている方はもっと多いと考えられます。それは、牛田参考人がさっきおっしゃった、若い思春期の方を調べて2割ぐらいの方が何らかの体の症状を持っていらっしゃったということにつながってくると思います。

(PP)

 転換性障害ないしは変換症と言われますが、これは動きないしは感覚機能が変化している。例えば痙攣が起きたり麻痺したり、場合によっては目が見えなくなったり耳が聞こえなくなったりするのだけれども、その器質的原因がはっきりしないというものでございます。これも有病率のデータは不足していますけれども、持続性のものが1年間で 10 万人中2~5人発生している。女性のほうに2~3倍多い、年代にかかわらずそういう症状が出てくるということが言われています。ですから、今日議論になっている症状の中にこういう症状が含まれている可能性もあり得ると思います。

(PP)

 ではこういう症状が経過していく中で長く続く、そこに影響する因子としてどういうものがあるかということですけれども、これも海外のデータです。女性であるということ、高齢であるということ。この症状と同時に、体の病気ないしは鬱や不安などの精神症状、精神疾患が同時に存在している場合に長く続く。また、仕事を失うとか等々の社会的なストレスが強い場合。小さいころにつらい状況にいらっしゃった方の場合。また、こういう病気になることで何らかの利得が得られるような立場の場合に持続すると言われています。

 また、同時に、痛みへの感受性が強い方の場合、また、身体の感覚に非常に関心を向けてしまう場合、そして身体の症状があったら、これは身体の病気に違いないと考える傾向のある方の場合。つまり、考え方だとか感じ方、こういうこともこうした症状の経過に影響するということが分かっております。

(PP)

 では、そういう症状が見られたらすぐに診断していいかというと幾つかの注意があります。私たち、健康に対しては誰でも心配するわけですから、それが通常の心配ではないかどうか、これも重要なところですけれども、最初は分からなくても、後で身体の症状が出てくるということはよくございます。さきの転換性障害などは、5年、 10 年と見ているうちに体の症状が明らかになってくるということがありますので、そういう可能性も考えておかないといけない。ないしは、体の病気を持つ、ないしは痛みがあると当然それに対して心理的変化が起きてきますから、そういうことも考えておかないといけない。ないしは、鬱病だとか双極性障害、不安障害等々の精神疾患の場合に、体の症状が同時に出てくることは通常ありますが、そういったものも考えておかないといけない。ないしは、詐病とか虚偽性障害、つくり出されているものも一応鑑別はしておかないといけないということが言われております。

(PP)

 ですから、診断をする際には、体か心かというのではなくて、両方が存在している、両方がかかわり合っているという立場から、先ほど牛田参考人が集学的アプローチということをおっしゃっていただきましたけれども、体、心に限らずいろんな立場の人間が協力して支援していく必要がございます。そしてまた、十分に体の評価をして、すぐに精神疾患だと言ってしまわないとか、ただ、一方で、検査をし過ぎてしまって、ないしは治療し過ぎてしまって、その方をかえって不安定にしてしまうということもございます。ですから、ここでも集学的なアプローチが必要になっていきます。また、こういう身体表現性障害ないしは身体症状症が存在している場合に、同時に鬱病や不安障害、ほかの精神疾患が存在している場合も当然ございますので、そういったところに対する目配りも大事だと思います。

(PP)

 それでは、こういう器質的な原因がはっきりしない身体症状を訴える方の治療というのをどのようにすればいいか、それについて若干触れておきたいと思います。

(PP)

 基本的には、やはり信頼感というのが大事でございます。器質的な原因が分からないから、さっきちょっとありますが、精神科に紹介する。余り安易に精神科に紹介されると、やはり反発が出てきます。やはりハードルは高いです。ですから、その方が持っていらっしゃる身体症状がどういう意味を持っているのか。その人にとってどういう重要性があるのか。やはり身体症状は現実として存在しているわけですが、それを受けとめて協力的に、一緒に治療目標を設定して、長い目で治療していく。精神科医がかかわる場合でも、精神科の治療と同時に、やはり全体をマネジメントするという立場が必要になってくると考えられています。

また、こういった症状に対する治療のエビデンスですけれども、大体、鬱ないしは不安に対する治療法と同様のアプローチに強いエビデンスが報告されています。これはこういった症状に対して鬱不安が併存している場合が多いことも関係していると思いますけれども、例えば慢性の疼痛に対しては認知行動療法、リラクセーションだとか行動活性化、行動を通して社会に適合していく、そして、考え方を切り替えていく、そういうエビデンスが出ております。過去には、三環系抗うつ薬も慢性疼痛に対してはエビデンスが報告されております。

(PP)

 さて、慢性疼痛を考えるときには、1つは苦痛、もう一つは苦悩、つまり、痛みというときに、身体的痛みと精神的痛み、両方ございます。それに対しては、身体的な原因もございますし、どのように痛みを受けとめるかというところもございます。そして、いろんな人間関係が影響していたり、自分の存在に対してのさまざまな思いというものも関係していると言われております。

このことを考えたときに、予防として考えたと。つまり、頸がんワクチンを打たれるかどうかというのは、やはりリスクとベネフィットを考えて判断していただく必要があるわけですけれども、もしもそれを行うという場合に、慢性化する人を減らす、ないしはそういった状況を予防するというところから考えますと、その方が思春期で、非常にスピリチュアルに、どのように生活していくのか、これからどう生きていくのか、それに迷っていらっしゃるときには、やはりそれに対する手当ても周りでする必要がありますし、痛みがすごく強いのだということをきちんと伝えて、それで受けるかどうかという主体性を持った選択肢を提供していく。そして、その中で信頼できる関係性を持って、そして実行していく。例えば3回やるとしたら、1回目でやはり痛いからやめるということだったら、それはそこでその意思を尊重する。つまり、御本人の主体性を尊重したアプローチが絶対的に必要だと思います。

(PP)

 ただ、その一方で、実際に今苦しんでいらっしゃる方がいらっしゃいます。そういう方たちにどういう治療を提供できるかということで幾つか御紹介いたします。

 まず、痛みがある場合に、肉体的な緊張感、さっき池田参考人おっしゃった温度低下だとか、さまざまな身体症状がございます。もう一方で、だからこれがどういう原因なのかというのはまだ私にはよく分からないのですが、いずれにしても、肉体的なアプローチと、もう一つ、何でこんなになったのだろう、いつまで続くのだろう、自分が悪いのではないか、あの人が悪いのではないか、そのような考え、そういうことがこの痛みに影響してきます。そのために痛みが修飾されてくる。ここの部分へのアプローチというのも同時に必要になってまいります。

(PP)

 そうしますと、治療として役に立つこと、今言われているのが、先ほどお話ししました三環系抗うつ薬、精神科の立場から言うと、そういったものを含めた薬物療法、どういうものを食べるかとか、リラクゼーションを身に付けていただく。そして、やはり安心できる人間関係、つまり、支持的な関係が大事です。もう一つ、考え方として、自分を責めてしまったり、人を責めてしまったり、もう絶対よくならないのだと。そうではなくて、例えば痛み日記というのがありますけれども、どういう状況で痛みが悪くなり、どういう状況で痛みが軽くなるか、自分の行動を振り返りながら痛みが軽くなる行動を強化していく。そして、その中で、こうすれば自分らしく生きられるということで、痛みをある程度受け入れながら生活していく中で生活の質を上げていく。こういう治療がまずは必要になってくるだろうと思います。

 ということで、私の発表を終わらせていただきます。

実を言いますと、私、この後、7時から自分の仕事が入っていまして、ここで失礼しますけれども、何かございましたら、御質問をお願いいたします。

○桃井座長 ありがとうございました。慢性疼痛の精神医学的な側面を御説明いただきました。時間に限りがおありになるようですので、まず大野先生に御質問がおありになりましたらどうぞお聞きいただければと思います。

○倉根委員 身体症状症のところで、一番下に「有病率:データ不足、5~7%、女性に多い」とは書いてあるのですが、年齢の分布はどのようになっておりますか。

○大野参考人 年齢については特にはっきりしたものは出ておりません。済みません。

○牛田参考人 支持的な関係というのはすごい大事だということですけれども、いわゆる利得につながるような支持は少しよくないと思うのですけれども、それをどのように持っていくかということにつきまして教えていただきたいと思います。

○大野参考人 支持的な関係というのは、安心できる、信頼できる関係ということなのです。ですから、痛みについて一緒に考えるなら、こうすればいいだろうという、つまり、それが何もしないほうにつながるのではなくて、するほうにつながっていく。そして、この人が言ってくれるのだったらやってみようと思えるような関係という意味です。

○牛田参考人 代わりに何かやってあげようとかいうのではないということですね。

○大野参考人 違います。

○牛田参考人 ありがとうございます。

○桃井座長 ほかに御質問等おありになりますか。精神医学的な側面について。

 よろしいでしょうか。

それでは、議論の中でまだおいでになられましたら御質問を受けていただければと思います。それでは、最後の参考人で齋藤参考人には、前々回の会議で HPV 感染症ワクチンについての御説明もという御要望がありましたので、おいでいただきました。齋藤参考人、よろしくお願いいたします。

○齋藤参考人 よろしくお願いいたします。

 私は、子宮頸がんの診療を担っている立場から、今までの副反応のこととは違うのですけれども、再認識をしていただきたいということで、子宮頸がんの本邦の概要と HPV ワクチンの有用性ということでお話をさせていただきます。

(PP)

 これは子宮頸がんの発生過程を示していますけれども、子宮頸部にヒトパピロマウイルスが感染しますと、異形成上皮内がんを経て浸潤がんに発生する過程です。 HPV ワクチンはこの感染の元を断ちますので、異形成、そして以後の病状はもちろん、その治療も全てなくすことができるという原理であります。

(PP)

 これは実際の子宮頸がんの発生の経過ですけれども、右側のほうががんの状態で、肉眼で確認できますし、症状も出血という症状が出てきますが、それ以前の状況では肉眼では確認できませんし、症状も出てきません。

(PP)

 実際にがんになって以降のがんの発育状況を示していますけれども、向こう側の1、2期では手術が可能ですけれども、こちら側の F 、4期になりますと手術は不可能で、放射線治療が主体となります。

(PP)

 子宮頸がんの治療をごくごく簡単に示した図です。上皮内がんまでは子宮頸部円錐切除を初めとする子宮を温存する手術で可能ですけれども、一旦がんになりますと、リンパ節郭清を含む非常に大きな手術、広汎子宮全摘術というのが手術で主になります。また、再発がんに対しては骨盤除臓術のようなことも必要となります。放射線治療は全ての時期においてできますけれども、外部照射と子宮腔内照射が必要で、非常に大がかりな治療機器を必要とします。化学療法は抗がん剤を用いるわけですが、あくまで補助的な療法です。

(PP)

 確かにこれらの治療は子宮頸がんに対して有効ではありますが、一方で、患者さんに身体的、精神的、あるいは経済的な負担を強いています。特にここにありますリンパ浮腫、排尿・排便障害、卵巣欠落症状というようなものは多くの方に発現し、キャンサーサバイバーの方にも長く負荷が持続することになります。

(PP)

 また、異形成や上皮内がんに対する手術も負担を来しています。特に若年者の治療における妊娠・分娩に及ぼす悪影響というのが言われており、円錐切除術では早産、低出生体重児のリスクが有意に高いことが明らかになっています。

(PP)

 これは本邦における子宮頸がんの罹患の経過ですけれども、破線が予測値で、実線が実数値です。予測では減少していた頸がん罹患数がその後上昇し、 2020 年に1万人を超えるとされていましたが、実数はそのはるか上を推移しまして、現在、増加を継続中です。決して子宮頸がんが減ってないという現実であります。

(PP)

 その罹患の内訳を年齢別に見てみますと、特に 1990 年以前に比べて 2000 年以降では 35 歳から 45 歳での増加がはっきりしています。これはちょうど妊娠・出産・子育てのピークと一致しております。

(PP)

 死亡数です。死亡数も、この図を見れば明らかなように、近年、急速に増加しています。直近では、 2012 年に死亡数 2,700 名とされています。子宮頸がんは決して死亡数が減少してないという、これも事実であります。

(PP)

 減少しない一つの理由を示していますが、右側は患者さんの進行期分布の内訳がここ 10 年全く変わってないということを示していますし、各進行期の生存率も、ここ 10 年近く、大きく改善してないということを示しています。

 以上、残念ながら、検診による早期発見の効果や治療成績は既に限界に来て、頭打ち、プラトーになっているということであります。

(PP)

 以上のことから、現場からのメッセージをちょっとまとめてみましたけれども、強調したいのは、若い女性での子宮頸がん発生が上昇しているということであります。

(PP)

 目をちょっと国外に向けまして、これは最近検診が進んできたオーストラリアと日本を比較したものですけれども、オーストラリアでは明らかに子宮頸がんの死亡率が減少しています。日本との大きな違いです。

(PP)

 これはどうして起こるかというと、子宮がん検診率の違いです。以前から問題になっていることですけれども、我が国は子宮がん検診率が非常に低い。特に先進諸国の中では最低であると言われ、今後直ちに大幅な増加も期待できない状況です。

(PP)

 検診自体は非常にがんの死亡を減らす有効な方法であり、有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドラインの厳しい評価の中でもそれは確認されています。ただし、仮に全員が検診を受けたとしても、その死亡率減少効果は最大で 80 %にとどまります。また、浸潤がんの発生リスク比は 0.14 から 0.38 と言われていますので、0になるわけでは決してありません。

(PP)

 以上のことから、子宮頸がんを征圧するには、検診とワクチンの両立が必ず必要になります。世界の先進各国では国の施策として既にこれが着々と実現に向かっています。

(PP)

 さて、ワクチンの実際の有効性ですけれども、私自身はワクチンの専門家ではありませんので、これはそのきっかけとなった、ノーベル医学賞をとられた zur Hausen 博士の業績をノーベル財団のホームページからとってきたものです。子宮頸がんの約 99.7 %から HPV の遺伝子を検出できるということと、そのうち 16 型、 18 型が 70 %を占めており、これをなくせば子宮頸がんの多くが予防できるということに端を発しています。

(PP)

 後で事務局のほうから、その効果については非常に詳細な調査をされておりますので、そのことが報告されると思いますけれども、既に HPV ワクチン導入後の HPV 感染率の低下、高度異形成・上皮内がんの減少が報告されています(資料12子宮頸がん予防ワクチンの有効性について)。浸潤がんは 10 年ぐらい経過が必要ですので、まだその報告はありませんけれども、近い将来必ずその報告があると思います。この効果をもってすれば、我が国のこのような罹患、死亡、上皮内腫瘍の治療というのはワクチン接種で 50 70 %が予防されることになります。

(PP)

 これは古いスライドですけれども、既に世界各国で承認され、 53 カ国が公費で接種を実施されています。

(PP)

 このような状況を考えると、今のままでは、遠くない将来、日本だけが子宮頸がんを撲滅できない国として取り残されるということを私たち産婦人科医は非常に懸念しています。本気で懸念しています。それは、先進国では既に死亡率は減少しているのに加えて、さらにワクチンの普及が達成され、ますます減るでしょうし、検診の発達していない発展途上国では逆にワクチンの導入・拡大は必至であるからです。現状で、死亡率、罹患率が増加している日本と大きな差が出てくることになります。

(PP)

 それでは、どうしたらいいか。その方法論は、私たち産婦人科医のアカデミアである日本産婦人科学会が最近理事長声明を出しましたが、まさにこの委員会で今解決しようと論議されていることが書かれております。

その要約は、まず第一に、副反応の情報の公開です。これがないと国民の方も不安が消えません。また、私たち末端の医師も全く詳しく説明ない現状があります。第二に、慢性疼痛が起こった場合に、迅速に、そして厚く対処できる医療ネットワークの形成であります。第三は、もう一度接種の現場における環境の整備です。それは、詳しい説明を受けられ、そして、その説明を基に受けられる方及びその御家族が意思決定をするという環境の整備が必要だろうと思います。

(PP)

 最後に、我が国の将来を考えるとき、 HPV ワクチンを受ける権利と機会を決して国民から奪うことのない対応が必要であると私は考えますし、まさにこの委員会でされているように、このリスクとベネフィットの両者を科学的に評価し、いずれにも篤く配慮・介入する体制によって、思春期の女性及びその御家族が安心して接種を受けることができる状況を再構築することがまさに求められることであり、それを熱望して私の発表を終わりたいと思います。

 どうも拙い発表で済みませんでした。

○桃井座長 ありがとうございました。

それでは、参考人の御発表を全部お伺いいたしましたので、どの参考人の御発表に関してもですが、御質問、御議論をお願いしたいと思います。

○五十嵐委員 今日の先生方の御発表を聞きまして大変勉強になりました。それで、池田先生と佐々木先生にちょっとお伺いしたいのですけれども、ワクチンを打って局所の疼痛は頻発に近いぐらい起きるわけですけれども、それが慢性疼痛に移行される方が一部いらっしゃると。その場合に、池田先生は、全身の末梢性交感神経障害という形で起きてくるだろうということをおっしゃっていましたし、それから佐々木先生は、身体表現性障害を介してそのようになるのではないかという解析をされたわけですけれども、私、そこで質問なのですが、両方ともそういうことになりやすい体質のようなものがあるのか、それとも、ダイレクトに強い痛みが、全く普通の方にもそういうことを起こしてしまうような可能性があるのか。そこを、先生方、どのようにお考えになっているかちょっと教えていただきたいと思います。

○佐々木参考人 一般論ですけれども、こういう痛みに対する感受性が強い方とか、もともと持っている素因というのはあるのではないかなと思います。ですから、同じ注射をしても、かなり痛くても全く何ともない、後で尾を引かない人もいるでしょうし、一部の方にはやはりこのような非常に強い症状が出てくるのではないかなと思います。

ただ、その素因がいろんなストレスがもともとあるとか、環境がどうだとか、遺伝がどうだとかいろいろ言われていますけれども、それはまだ決して確実に、例えばワクチンの前にこういう人はもうやめましょうとかできればいいのですけれども、そこまで具体的には出てないのではないかと思います。ですから、そういう意味では、誰でも起き得る可能性があるのではないかなと思っています。

○池田参考人 私は、自律神経障害性の疼痛、慢性疼痛ですが、慢性疼痛の一つの成因として自律神経障害性の疼痛になっているのではないかと。そのことが引き金となって最終的に身体表現化現象へ行っているのではないかというストーリーなのですが、では起こしやすい群とそうでない群がいるのかと言われると、佐々木先生と同じで、そこは分かりません。分かりませんが、一旦そういう領域へ入ってしまうと、そこから抜け出せないのですね。学校へ行かないとかそういう状況が起こっていても、そんなに御本人が焦っていないとか、だから、そこへ行ってしまうとなかなか抜け出せていないのかなというようなニュアンスを持っているのですが、そういうことのバックグラウンドに関しては、佐々木先生と全く同じ意見で、分かりません。

○桃井座長 牛田先生、それに対して何かご意見があれば。

○牛田参考人 池田先生が今おっしゃったように、焦ってないというのが一つの特徴なところではあるのですね。症状の割に。そういうのはあるかと思いますが、ただ、今の池田先生の話と佐々木先生の話は、鶏が先か卵が先かみたいなところのお話がすごく強くて、どうしても強い痛みが出てくるというのは今回のワクチンの、プライマリーには出てくるというのは一つの特徴ですので、それに対していろんなファクターがあると身体化しやすくなって、私たち自身はしやすくなって、そのようなものの中に自律神経応答のようなものを呈してくるものがあるのではないか。ただ、そこまでいくと、池田先生がおっしゃったように、どっちがどっちと余り関係なくなるのかなあとは思っているのですね。対応としては、しかし、同じような対応をしていくことが重要かなあとは考えています。

○桃井座長 ほかにいかがでしょうか。

○倉根委員 最後の齋藤先生にちょっと伺いたいのですが、過去の推移から、今後直ちに子宮がんの検診率が増加しないということですけれども、日本で増加しないというか、高くならない理由というのは何があるのでしょうか。

○齋藤参考人 子宮頸がん検診というのは、随分前から国の補助、自治体に任せられて行われてきた経緯があります。で、3割まではすぐにいっているのですね。そこから増えないというのがずっと問題になっていて、本当は5割、6割とならないといけないところがならない。これは多分、この国の特質なのではないかなと私は半分あきらめているのですけれども、いろんな努力をされています。各市町村の自治体、あるいは現場の保健師さんに至るまで。それでもどうしても増えないというのがあります。

 それと、この検診は1回受けただけではだめなのですね。毎年毎年受けないといけないし、新しい方が毎年毎年入ってこないといけない。現実は、同じ方がずっと受けられているだけで、全然変わってないという現状があります。ぜひ健診の受診者が増えていただきたいものだと思っていますが、種々の努力によってもなかなか達成しないということです。

○桃井座長 ほかにいかがでしょうか。

 確認をさせていただきたいのですが、いろいろな御専門の立場で慢性疼痛を御説明いただきましたけれども、牛田先生のおっしゃる、ペインカタストロファイジングという慢性疼痛に特有の状態で、患者さんたちにはそのスコアの平均が比較的高いということをお示しいただきました。このペインカタストロファイジングの中に種々の自律神経症状が生じる機序も入っていると理解していいのでしょうか。

○牛田参考人 ペインカタストロファイジングというのはその一つの切り口でありまして、ずうっと痛みがあるために全く動かないような状態になっていったり、痛みのことばかり一日中考えてじっとしているという状態ですので、そうなると、いろんな身体症状というのは当然出てまいります。それがまた悪循環に陥っていることがありますので、切り口の問題で、多くはいろんなものが並行して進んでいるのではないかと考えております。

○桃井座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。御質問等おありになりますか。

○岡部委員 本当は大野先生にお伺いするのが一番よかったのかもしれないのですけれども、先に退席されておいでにならないので、佐々木先生にお尋ねします。佐々木先生も、もし痛みが強い場合には、何事もやめるというのも一つの勇気のうちなので、1回接種で痛かった場合には、無理に2回、3回やらないというのは一つの考え方だと思うのですね。ところが一方、そういうことにデシジョンできない方がいて、心配なために止めたのだけれども、しかしやはり子宮頸がんになったらどうしようと両方の不安が増長されるという場合もあると思うのですけれども、そういった場合、どのような対策がいいと思われるでしょうか。検診をちゃんと受けてくださいというのはもちろんだと思いますが。

○佐々木参考人 今回は、3月になったらもう自費になるというプレッシャーがあった方がすごく多いのですね。ですから、まず本人がよく分からないうちに、家族、あるいは学校とかいろんなところから、打ちなさいというプレッシャーがあったと思います。しかも、どんなに痛くても3回打たなかったら効かないと思い込んでいる方はかなり多いです。ですから、1回打って非常に痛い思いをしても、泣きそうになって、もうやめたいと本人は思っても、非常にプレッシャーが強くて、家族、学校、あるいは先生とかいろんなところのプレッシャーがあったようですので、そうすると、1回受けただけで、これでやめたら何もならないと非常にいろんな人から言われて、渋々、2回目、3回目受けている方が多いと思います。ですから、まず、本人としてはそれを望んでなかったのに受けてしまったという、何のためにやっているかというのがよく分かってなく受けていた人もいるのではないかと思います。ですから、そういう人に対しては、それが後でそういう身体化につながったのではないかと思います。

あと、1回で終わってどうしようかという方については、もちろん、御希望があればどうぞと今の段階だと思うのですが。よろしいでしょうか。

○桃井座長 ほかに。

○池田参考人 今、齋藤先生からありましたように、どうして小学校6年生、中学1年から受けなければいけないのかというところに私は大きな疑問を持っているのですね。同じ痛みとかそういうことであっても、もっと体格がよくなっている、年齢がそれなりにいっていれば、それにトレラブルだと。だけど、小学校6年生とか中学1年だったがために、そういう痛みとかその他の副反応がより顕著に出たと思われるような例を何人か見ているのですね。ですから、なぜ日本で中学1年とか小6なのか。言葉を変えて言えば、そういうような行動のエビデンスがあって打っているのかということをお伺いしたいなと、齋藤先生、思うのですけれどもね。

○齋藤参考人 それも私の専門ではないのですけれども、よく使われる資料として、日本の女性の性行動の若年化という資料があります。多分それを基にされているのだろうと思います。これはむしろ厚生労働省の方に聞きたいと思います。

○岡部委員 予防接種部会、これは今の予防接種ワクチン分科会ができる前の部会ですけれども、そのときに議論があって、またファクトシートやなんかで出てきているのも、今、御説明のあったようなセクシャルデビューが早くなっているというところから、またそれから、その後の免疫の維持とかその辺から、諸外国の年齢、スタートする年齢、そういったようなところで最終的にはあの年齢に決めたというような経緯はあります。

○桃井座長 その点についてはデータがたくさんあるように思います。既感染ですと効果がないので、外国の 16 歳から 25 歳までのデータで、既感染も入っている集団での効果を見ますと、未感染であろうと思われる低い年齢集団よりは効果が下がっています。

○事務局 1つよろしいでしょうか。関連するデータを改めてちょっと紹介させていただきたいのですけれども、資料8のところで年齢別の症状発現時の分布というのを御紹介させていただきました。7ページ目にサーバリックス、それから、 20 ページ目にガーダシルということでございます。

 これだけですとなかなか分からんということですけれども、一方で、私どもでは、基金事業で行いました事業について、どの年齢で、実際には年齢ではなくて学年ですけれども、どの学年で受けておられたかというのを見ております。そういった傾向と併せて見てまいりますと、余り特定の傾向、例えばお若い方のほうが症状の数が、発現の数が多いとか、そういった傾向はなかなか見られなかったなあという印象を持っております。

○桃井座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○永井委員 池田先生にお尋ねしたいのですけれども、ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですが、先生、解析可能な 28 例中 11 例に診断名がついたということで、関節炎、筋膜炎等々お示しいただいたのですけれども、残りの 17 名は特に特定の疾患、一つの疾患を示すような症状なり所見はなかったということでよろしいのでしょうか。なかなかその分類が難しいという。

○池田参考人 今の日本国内で使われているいわゆる診断基準では合わない。だから、多くの人が手足の慢性疼痛を訴えているのですね。だけど、この慢性疼痛の診断基準ってないのですね。だから、僕が言いたかったのは、 CRPS に非常に近い状態なのですけれども、 CRPS だというには皮膚の萎縮とか爪の変形とか関節の変化とか、そういうものがないと言えないのです。だから、それには当てはまらないと。だけど、さっき言いましたように、アロディニアに近いような痛覚過敏とか手足の冷感があって、そして自律神経障害としての脈波の血管運動反射異常、そういうものがあるので、それに近い状態でしょうとしか言えないので、それは確定診断ということから外れてしまうということなのです。

○桃井座長 ほかにいかがでしょうか。御質問、御意見ありますでしょうか。

○倉根委員 これは池田先生への質問なのですが、何例かで末梢性の不随意運動ということを先生お示しになったのですけれども、場所も種々の末梢がある不随意運動する。この不随意運動の刺激というのはどういうことですか。

○池田参考人 末梢ですね。だから、もっと簡単に言えば、別な言葉で言うと、脊髄性ミオクローヌスとかそういうことがあり、末梢から入って、単シナプス反射で起こっているということで、脳まで行った運動ではないということですね。

○倉根委員 何らかの刺激が入ったものが、そのまま中枢に行かずに末梢に来て不随意運動として現れる。

○池田参考人 恐らく佐々木先生も同様に経験されていると思うのですけれども、診察しているときに、感覚障害とか、私たち、痛いというところをさわりますね。それを契機にぴょんぴょん足が動き出すとか、そういう感じなのです。そのとき、意識は全く普通にあるし、止めることもできると思います。だから、末梢性から入った脊髄を介した単なるシナプス運動を見ているのではないかという考え方ですね。

○桃井座長 あるいはそこに自動症的なものも加わるということですね。

○池田参考人 そのとおりです。

○桃井座長 だから、普通、我々が言う不随意運動、つまり、基底核障害や小脳系による不随意運動というものではないということですね。ほかにいかがでしょうか。

 池田先生にお伺いしたいのですが、病理を示されたり、脈波を示されたり、それからノルアドレナリン量を示されたりしましたが、それらは、例えば長く動かさない、使わないでいることによる二次的なデータなのか、それとも使わないということの原因を示す一次的な病態なのかは、伺った限りでは判断し得ないと理解してよろしいでしょうか。

○池田参考人 カテコラミンのデータはウォークインで来る患者さんなので、頭が重くて痛いと言いながらも何とか学校へ行ったり、又は実際に病院に通ってきている患者さんを外来で安静 30 分とって通常のパターンで測っていて上がらないので、そういうファクターはないと思います。ただし、皮膚を見た、神経を見ている子は車いすで来ている子で、足が痛くて歩けないとかそういう子、2例ともそうなので、先生の言われた点を私も否定する材料は持っていません。電顕で見たあのデータは、先生がおっしゃるそれに関しては否定する材料は持っていません。

○牛田参考人 今の子、動かさないことによる機能障害というのはもちろんあるわけですけれども、それがずうっと続くと器質的な問題が起こってくるという実験的なデータだとかいろいろ出てきていて、普通の人でも、例えばギブスを4週間ぐらいしておくと相当、もちろん筋肉の萎縮も起こりますけれども、温度の変化だとかも起こってくる。

ただ、動かさないというもっと早い反応につきましては、じーっとしていると、 30 分ぐらいで動いているところとか出てくるというデータもあったりします。また、非常に短時間であっても、F波の反射だとかそういうものに関しても変化が出てくるということで、我々の筋肉、神経というのは機能させていって維持していますので、それが崩れるとおかしなことになってくると。それが CRPS の原因に関しても、今は感覚と運動の乖離だとかそういうものがきちっとできてないことが問題になってきていますので、そのところを池田先生のデータは何らかの格好でつかんでいるのではないかと思ったりいたします。

○桃井座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○岡部委員 ワクチンそのものですけれども、個別接種化ということが随分以前から行われていますがそのとき小児科学会も強く言っていたのは、打たれる側の子供たちの体調がよく分かっている人、つまり、主治医にやってもらうのが一番いいだろうという声明で、個別接種ということが大きく動いたということがあります。先ほど先生方も、医者というか、周りにサポートする人たちの信頼関係が重要だということをおっしゃっていたのですけれども、小児科学会で HPV の導入についてディスカッションしたときも、結局、この年齢層がなかなか医療機関にもともと行ってない年齢層であるというのが、小児科でもないし大人でもないしというところが難しいところでもあったのですけれども、この接種された方となかなか比較できないと思うのですけれども、ふだん行っている先生に行って受けてこういう現象になっているのか、本当に全く注射だけに行って痛みが出てきて、その後の説明がうまくいってなかったのか、その辺のアプローチというか、ありましたら教えていただきたいと思いますが。

○牛田参考人 私どもの研究班で、そこの面からアプローチしなかったので、その面について少し分かりにくいところになっています。縁が切れている方がむしろ来られているケースが多いようには思うのですけれども、ちょっと印象だけなので差し控えたいと思います。

○池田参考人 私に聞いた範囲というか、多分、先生のおっしゃった後者のほうで、ワクチンを打たなければいけないと。だから、近くのところへ行ったと。その先生が小児科ではなくて、これは内科だとかいろんな科の先生が打ってもいいわけですね。医者であれば打ってもいいという状況だと思います。そこで、今度、副反応を訴えていった。では脳外科へ紹介しますから MRI 撮ってください。異常がないではないですかということになって回るわけですね。そして、いや、だから、精神的なのだと言って精神科に紹介されると、精神科の先生も、これは精神病ではないというふうになって、行き場がなくなっていくという状況かと思います。これは先ほどから何回も強調されて、通常の MRI CT で異常が出ればもっとはっきりした神経症候群が出るはずなのですから、それは是非御理解いただきたいと思います。

○桃井座長 よろしいでしょうか。

○岡田委員 先ほどの牛田参考人からの資料の中で 16 ページでございますけれども、心理社会環境の中で、もともとのベースで、不登校、欠席が 70 %ありました。一方で、これまで病気以外で学校を休んだことがあるかというところは、一度もないという方々が 30 人いて、結局、ベースラインとして、今まで病気以外に学校を休んだことがないような子供たちに起きているのか、不登校とか欠席が多い子供たちに起きているのかというのは、ほかの研究班のデータも含めてどちらになっているのでしょうか。

○牛田参考人 このデータから判断するのは非常に難しいところだと思っていますけれども、恐らくは、何らかのきっかけで不登校になる可能性があるような人たちというのは、ほかのいわゆる小児科の先生方とかの御意見でもあります。ただ、そんな中で何らかのトリガーが引かれているという可能性はもちろんあるのではないかとは考えています。というのは、どうしても割合が非常に高いですし、余りにもそこのところは先生おっしゃるように乖離しているので、その可能性は非常に高いのではないかとは考えているところです。

○池田参考人 我々のところへ来た 32 名、特に 28 名の方は不登校の既往はないのですね。患者さんは学校へ行きたいのだと。そして、結構スポーツ、そういうのが、私たちのところは活発な子供さんですね。不登校のヒストリーのある子はゼロですね。

○桃井座長 ほかに御質問おありになりますか。

 よろしいでしょうか。

 大分多くの方に御発表いただいて、病状全体は見えてきたのだろうと思いますが、少し議論をまとめて、出ました意見をこの会議後にまとめて、こういう理解でいいのか、解決してない問題は何か、あるいはリスク因子はどう考えたらいいのか等々、評価に必要な多面的な切り口でまとめさせていただいて、皆様方にお諮りして、次の議論に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 私の進行の不手際で時間が長くかかってしまいましたが、多くの御意見を伺い、病状全体医学的な病状は見えてきたように思います。少しまとめさせていただいて、皆様方の御意見を伺いながら次の会議の議論に進みたいと思います。

 本日は、この8月1日から9月 30 日までの2カ月の安全性に問題あるかないかという議論もいただかなくてはなりませんので、すでに時間が超過しておりますが、審議させていただきたいと思います。直近のデータ、資料1と2です。それと、資料 14 の死亡例でございます。これは御審議いただいて結論を出す必要がございますので、資料 14 の死亡例について御議論いただきたいと思います。資料1、2。2はそれぞれの頻度、そしてアナフィラキシー、失神、それから後遺症例等々のデータがございます。

まず、全体の頻度は、資料1、2の御説明にもありましたように、この上のほうの頻度は、分母と分子が全然別集団のものですので、このパーセンテージの数字自体は全く意味のない数字ですから、類型、頻度を見ていただいて御判断いただきます。それから、死亡例は、サーバリックスにこの2カ月で1件あります。資料 14 には3例のデータがございます。これとアナフィラキシー、失神等々のデータについて御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず頻度でありますが、類型、頻度に関しましては今までの議論と同じレベルに推移していると。それから、この2カ月間に関しては、括弧のない数字に関しては意味のない数字であると。意味のない数字は載せないほうがいいと思うのですけれども、これは全く分母と分子の集団といいますか、期間が違いますので、パーセンテージそのものの意味はございません。期間を一にしたものが括弧内の頻度になっております。医療機関からの報告は、サーバリックスに関しては、うち重篤が0(0)、それから、ガーダシルに関しては、うち重篤が 0.015 というパーセンテージであります。この2カ月に関しては急激に増えていることはない、この頻度に関して安全性に問題がある状況ではないと判断してよろしいでしょうか。

それでは、死亡例について、資料 14 について御意見を頂戴いたします。いかがでしょうか。多屋先生、いかがでしょうか。

○多屋委員 この方につきましては、お亡くなりになられました原因が骨肉腫と診断がついていらっしゃいますので、ワクチンとの関連につきましては、別ものと考えられたほうがよろしいのではないかと思います。

○桃井座長 それでよろしいでしょうか。

 参考までの資料としても2例がそこに記載してございますが、心室頻拍、そして自死ということですので、ワクチンとの関連性は、病態の集積性もなく、関連性も考えにくいということでよろしいでしょうか。

資料1、2にありますが、アナフィラキシー、失神、後遺症例についてはどうでしょうか。安全性に関するシグナルとしてどう考えたらいいかということについて御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 これについて、稲松先生、いかがでしょうか。御意見をいただければ。

○稲松委員 従来のワクチンから見てもこの程度はあり得ることですし、特段、ストップしなければいけない事象ではないように思います。

○桃井座長 この短期間でアナフェラキシー、失神。失神は減っていると、注意を喚起されてから激減しているということもありますし、集積性はないということでよろしいでしょうか。

そうしますと、この2カ月間に関しては安全性シグナルに関して問題は認められない、今までと同様であるということでよろしいでしょうか。今の議論中の課題を別として、ですが、これでよろしいでしょうか。

今日、もう少し議論を進めたかったのですが、私の進め方の不手際で、長時間かかりました。事務局には6月の時点の課題として、 JIA を初めとする自己免疫疾患のバックグラウンドデータとの頻度の比較を求めたことと、それから2剤の比較について求めたことについては、資料 10 にございます。それから、ロットに問題があるか。つまり、安全性のシグナルに問題のあるロットがあるかどうか。それから、海外で特に疼痛と運動障害についての報告、資料 11 でございます。それらについての課題は、宿題でしたので資料を整えていただきましたが、今日そこまで議論を深めることができませんでした。次回はそれらの議論をした後で、本日御議論いただきました慢性疼痛並びに運動障害についての医学的な評価をさせていただいて、さらに、それを安全性のシグナルとしてどのように評価したらいいかということについての議論を深め、そしてさらに、接種する場合にはどのようなリスク因子が抽出できるのかできないのかということの議論をさせていただきたいと思います。

 今日は、多くの参考人の先生方の御意見も頂戴いたしまして、医学的な病態が随分浮かび上がってきたように思います。次回までに論点をまとめさせていただきますので、引き続き次回もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 これで第二部を終わりたいと思いますが、事務局から何かありますでしょうか。

○事務局 本日は、長時間にわたり活発に御議論いただきましてありがとうございました。

次回の開催につきましては、日程の調整の上、日時について御連絡申し上げます。

また、傍聴者の皆様へのお願いでございます。審議会の委員がまず最初に退出させていただきますので、退出が終わりましたら事務局からお声がけさせていただきますので、それで退出をお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○桃井座長 それでは、本日の会議をこれで終了いたします。活発な御議論ありがとうございました。

 


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