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2014年2月21日 第54回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成26年2月21日(金)


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

公益代表委員

勝部会長、小野委員、鹿住委員、関委員

労働者代表委員

大塚委員、川野委員、松本委員

使用者代表委員

市瀬委員、島村委員、清水委員、新田委員

(事務局)

大西大臣官房審議官(労働条件政策担当)、松原勤労者生活課長、安達勤労者生活課課長補佐、井口勤労者生活課課長補佐

○議題

(1) 独立行政法人改革の状況について
(2) 平成26年度の付加退職金の支給率について

○議事

 ○勝部会長 定刻前で、関委員は15分ほど遅れていらっしゃいますが、本日、御出席予定の委員の方は揃っていますので、ただ今から第54回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めます。本日は、内藤委員、松岡委員、宮嵜委員、長谷川委員の4名が御欠席です。
 本日の議題ですが、1番目として、独立行政法人改革の状況について、2番目として、平成26年度の付加退職金支給率について、この2点を取り上げています。
 それでは、次第に沿って議事を進めていきたいと思います。まず議題1、独立行政法人改革の状況についてです。これについて、事務局から説明をお願いします。
○松原勤労者生活課長 勤労者生活課長です。よろしくお願いします。議題1は、独立行政法人改革の状況についてです。独立行政法人改革、以下「独法改革」と言いますが、これについては、前回の部会において途中経過を報告させていただいたところです。
 昨年末に、独法改革についての閣議決定が行われたことを受け、その内容を御報告いたします。まず資料1です。今回の独法改革の経緯について簡単に取りまとめています。前回の部会で説明した後の出来事を破線で囲っています。
 昨年12月20日ですが、行政改革推進会議に置かれている、独立行政法人改革等に関する分科会が報告書をまず取りまとめたところです。同月24日にはその報告書に沿った形で、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」が閣議決定されています。
 今後の予定ですが、独立行政法人制度全体の改革については、今の通常国会に通則法の改正法案を提出し、平成27年4月からの改革実施を目指す、各法人の統廃合等個別の改革に係る措置については、平成27年4月以降可能な限り早期の改革を目指して迅速に講ずるものとし、具体的な実施時期については主務省等における検討状況を踏まえ、本年夏を目途に行政改革推進本部において決定することとされています。
 それでは、今ほど申し上げた分科会報告書及び閣議決定の内容についてポイントを絞って説明します。2ページです。左側が分科会報告書、右側が閣議決定という形で整理しています。
 まず、3「独立行政法人の組織等の見直し」です。全ての法人が何らかの法人形態に分類されています。勤労者退職金共済機構については、分科会報告書の欄で下線が引いてありますが、金融業務を行う法人に分類されています。資産運用を含む中小企業退職金共済事業を行っていること等、機構の業務の特性を踏まえたものとなっていると考えています。
 その下に、「制度・運用の見直し事項」を掲げています。これは金融業務を行う法人が行うべき制度・運用の見直し事項について記載されています。勤労者退職金共済機構についても、今後の対応を求められる事項について検討を進めていく必要があります。
 具体的な事項としては、閣議決定の所でいくつか下線が引いてあるものを紹介すると、外部有識者等により構成される統合的なリスク管理のための委員会等の設置や、業務執行やリスク管理を監視する内部組織の設置が挙げられています。これらについては、独法共通の事項でもあるので、制度全体の方針も踏まえて具体的な対応のあり方について検討をしていくことになります。
 3ページです。4「その他新たな独立行政法人制度及び組織への移行に当たっての措置等」ですが、これについては先ほどのスケジュールで紹介したとおりです。
 4ページです。各法人において講ずべき措置として、勤労者退職金共済機構について記載していますが、それぞれの中身については次の5ページで紹介をしたいと思います。
 5ページです。ここで閣議決定を受け、どのような組織及び事務・事業の見直しを行うのか、現時点案を示しています。見直し内容を大きく分けると3つあります。1つ目、資産運用に係るリスク管理及びコンプライアンスの強化、2つ目、事務・事業の見直しを通じた効率化、3つ目、国庫補助の縮減です。
 まず、資産運用に係るリスク管理及びコンプライアンスの強化ですが、1つ目の資産運用に係るリスク管理体制の強化については、約5兆円の資産を運用する機構について、外部有識者による資産運用業務に対するチェック機能及びリスク管理機能を強化するということから、中退法に基づく新たな委員会を設置することを検討しています。なお、その委員会の委員については、経済又は金融等に関して高い識見を有する外部有識者から厚労大臣が任命する等を通じて、主務大臣によるガバナンスの強化を図るということを想定しています。次のコンプライアンスの強化です。閣議決定の総論部分で求められている事項への対応を踏まえながら、機構における業務執行、リスク管理を監視する内部体制を強化するということを検討しています。
 次の、事務・事業の見直しを通じた効率化です。中退事業におけるポータビリティの向上を挙げています。具体的には、1行目ですが、中退共に加入している従業員が転職した場合、転職先の企業において中退共の掛金納付月数を通算することができるようになっていますが、その通算に係る申出期間について、現行2年を3年に延長することを検討しています。2つ目です。中小企業でなくなったことを理由として退職金共済契約を解除される事業主がいらっしゃいますが、この事業主において、現行では、特定退職金共済事業及び確定給付企業年金のみ資産の移し替えが認められています。これらに加え、最近、中小企業等で伸びている確定拠出年金制度へ移し替えることも可能にしようということです。3つ目です。特定退職金共済団体が、特定退職金共済事業を清算する場合において、その資産を中退共へ移し替えることを認めるというものです。
 また、退職金を確実に支給するための対応が掲げられています。これは過去の閣議決定に盛り込まれた事項について対応を図るということを検討しています。第1に住基ネットを活用して、未請求退職金発生防止対策の強化を図ることにしています。第2に、特定業種の退職金共済事業、建設業、清酒製造業、林業ですが、これにおける短期離職者への対応を強化するため、各業種の財政状況等を踏まえ、掛金納付月数の不支給期間、現行24か月ですが、この短縮を検討するものです。
 この不支給期間を何か月にするかについては、今後、本部会において御議論をいただいた上で具体的に定めていくことになると思います。これらの見直しのほか、必要な事務・事業の見直しを行った上で、機構の行う基幹的業務に対する国庫補助を縮減するというのが3つ目です。
 なお、縮減の対象については、財政状況等を考慮し、一般の中退事業と建設業退職金共済事業とするという方向で検討しています。また、縮減の方向については、平成29年度までの第3期中期計画における削減目標額を上積みするという方向で検討しています。
 これらの独法改革については、閣議決定を踏まえて具体的内容を検討の上、本年夏の行政改革推進会議の決定を受けて、中退法の改正という流れになるかと思われます。今後、改めて内容について整理の上、法制的な検討を行った上で部会に報告申し上げ、御審議いただければと思っています。これについて引き続きよろしくお願いします。資料1の説明は以上です。
○勝部会長 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について、御意見あるいは質問などはありますでしょうか。
○島村委員 5ページの機構の組識及び事務・事業の見直し案の中ほどに、事務・事業の見直しを通じた効率化という形で、1番目にポータビリティの向上があります。特定退職金共済団体が、特定退職金共済事業を清算する場合においては、その資産を中小企業退職金共済に移換することを認めるという記載がありますが、これについては私ども中央会で長年要望していた事項ですので、是非、実現をお願いしたいと思っています。
 特定退職金共済団体というのは全国の商工会や、全国の都道府県中央会のうち43の中央会がやっています。中には制度運営が厳しいというお話も聞いていますので、一概に全部清算するということはないでしょうが、こういった移管の実現をしていただきたいと思っています。
 もう1点、特退共の掛金は月額1,000円となっています。中退共の掛金の下限は5,000円ということですので、移行する事業者の掛金が、1,000円から5,000円となってしまうという場合もあります。過去厳しい状況ですので、多くの事業者が、この制度を活用して、円滑に移行できるように、実施に当たっては経過措置をお考えいただければと思っています。以上です。
○勝部会長 事務局からよろしくお願いいたします。
○松原勤労者生活課長 お答え申し上げます。事務・事業の見直しについては、今後改めて内容について整理の上、法制的な検討を行った上で部会に報告し、御審議いただければと思っていることを先ほど申し上げたところですので、これに沿って進めたいと思います。その際、今、島村委員から御指摘いただいたそういう事項についても、その中で併せて検討を行っていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
○勝部会長 ありがとうございます。ほかに何か御質問、御意見はありますか。
○小野委員 2つ質問をします。先ほどと同じページですが、中退機構の中に資産運用委員会を設置するということですが、現状は確かそれらしき委員会があったのではないかと思いますが、その関係を説明いただきたいということです。
 もう1点は、今のポータビリティの関係ですが、制度をよく知らなくて恐縮ですが、中小企業庁がやっている小規模企業共済がありますね。零細な企業ですと、従業員と役員の境目というのが、必ずしもどうかなというような感じもあるやに伺っているのですが、そちらとのポータビリティということを考えた場合には、何か支障があるのでしょうか。一般論で結構ですので、その2点です。
○勝部会長 それでは、2点についてよろしくお願いします。
○松原勤労者生活課長 前者の質問について、私から申し上げます。現行において勤労者退職金共済機構について、資産運用に対する外部からのチェック機能ということです。法律的な位置付けがありませんが、基本ポートフォリオの策定と運用に関する基本的事項について助言を得るという観点から、ALM委員会を設けています。
 もう1つ評価という観点から、資産運用評価委員会を設けているというのが現状です。しかしながら、これらについては機構内部で、法律によらず設置しているということですので、今般の検討事項の中においては、ここに書いてあるとおり、委員については、経済又は金融等に関して、高い識見を有する外部有識者で構成する法定化した委員によって資産運用委員会を、仮称ですが、構成することにしまして、委員については厚労大臣が任命するという形で、法制的にもこういった資産に関するリスク管理体制を強化することを今想定しているところです。
○安達勤労者生活課課長補佐 後者の部分についてですが、おっしゃるようなケースというのは、ごくごく零細という部分であり得るかもしれないというのは、おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、制度上、中小企業退職金共済制度というのは、あくまでも従業員の方の退職金ということを前提にさまざまな税制等も含めて制度は作られています。一方で、今御指摘があった小規模企業共済というのは、あくまで事業主の方向けの共済制度という、いわゆる共済金という形で、そもそも性質が異なるということがありますので、そうした制度とポータビリティを考えるに当たっては、その辺りの性格をどう考えるかというところがあります。今ここで提案させていただいている部分については、あくまでも従業員向けの制度間の中でのポータビリティということです。今おっしゃった小規模企業共済制度とのポータビリティを考える際には、今言った部分をどう考えるかというところは一つ難しい問題があるのかとは考えています。
○勝部会長 先ほどの前者の部分の資産運用委員会ですが、これは機構の外に作るということを今、法的な基盤の下で作られるとおっしゃったという理解でよろしいですか。機構の外ではなくて。機構の中に委員会を作るのか。
○安達勤労者生活課課長補佐 機構の中に置くのか、外に置くのかも含めて、今後法制的に検討をすることになると思います。基本的には、機構の中に置くことになるかと思います。ただ、いずれにしろ法制的にしっかりとした位置付けを置くということを考えていくことになります。
 先ほど、課長から説明があったとおり、具体的な組識の内容については、今後、法制的な部分なり、実際の実施に当たり、どのような形態が適切なのかということも含め考えさせていただきたいと思います。
○勝部会長 分かりました、ありがとうございます。それでは、ほかに御質問はありますか。
○松本委員 それでは松本より質問をします。同じく5ページの最後の国庫補助の縮減に関してですが、※1のとおり、一般の中小企業退職金共済事業と建設業退職金共済事業の、ここで読み取れるのも、財政状況が他の林業やお酒の関係に比べると、この2つの事業が比較的財政規模、またその資産の運用が良好であるということで、こちらを対象としながらという国庫補助の方向の検討ですが、そうしますと、こういった考え方なり一定の基準が定められると、その後に林業やお酒の関係が、財政状況が好転するといった場合、国庫補助の縮減対象になり得るのかどうかという方向性の話かと思いますが、その辺は今後、どういったことになるのかというところをお聞かせいただければと思います。
○松原勤労者生活課長 現時点において、私どもとしては、ここに書いてあるとおり、一般の中退と建設業退職金共済事業ということで、まず検討をしているところです。
 御指摘の清酒製造業なり林業については、おっしゃったとおり、そもそも規模が小さくて、なかなか運用費用の念出も困難であるとか、そもそも赤字を抱えている。そういった事情を考慮して、このような方向にしたところです。
 基本的には、そういった事情が直ちに変わるような状況には、現時点ではなかなかないのだろうと思っていますので、そういった前提が覆るということがあれば、それはそのときにどうするかということはあろうかと思います。現時点では、なかなかそのようなことは難しいのではないかと思っています。
○松本委員 ありがとうございました。
○勝部会長 よろしいでしょうか。ほかに何か質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは意見等はないようですので次の議題に移りたいと思います。
 議題2「平成26年度の付加退職金の支給率について」です。まず、事務局から説明をお願いします。
○松原勤労者生活課長 資料2を用いて御説明します。資料2-1から資料2-9まで同じ冊子にしております。
 7ページ、資料2-1を御覧ください。1「付加退職金について」ですが、中退法上、付加退職金の支給率は、厚労大臣が、年度ごとに、当該年度以降の運用収入の見込額その他の事情を勘案して、当該年度の前年度末までに労働政策審議会の意見、具体的には本部会の意見を聴いて定めるものとされております。前年度末とは3月中ということです。
 付加退職金については、11ページ、資料2-2で簡単に内容を説明しております。実線で箱書きした中に付加退職金が書いてあります。被共済者に対して支給される退職金は基本退職金+付加退職金ですが、付加退職金については、退職時に掛金納付月数が43か月以上の被共済者に支給されるということです。具体的な計算式は、(注2)の中ほどにある計算式の下ですが、この計算式を基準として運用収入の見込みやその他の事情を勘案して部会の意見を聴いて定めることとされております。
 2「これまでの経緯」です。資料2-1と、13、14ページの資料2-3を御覧ください。13ページに平成14年度の欄があります。この11月に予定運用利回りを3%から1%に引き下げた際に、付加退職金の支給に充てる額は、資料2-2で御説明したような、利益見込額の2分の1を基準として定めることとされております。
 その後、累積欠損金の解消がなかなか進まないという事情があった中で、平成17年3月に本部会から意見書を頂き、それを基に累積欠損金の解消を進めてきましたが、具体的には毎年度180億円ずつ解消することを目標として進めたということです。利益見込額が180億円の2倍の360億円に満たない場合は、180億円までは優先的に累損の解消に充てることを進めてきたわけです。これについては、参考の8ページに当時頂いた「意見書」を付けております。3(2)で、今申し上げたルールを書いておりますが、これに沿って解消を進めてきたということです。
 13ページです。平成19年度、平成20年度を見ると、単年度の当期損益金でかなり多額の損を出していることが見て取れます。金融情勢の悪化ということで、累損が大幅に増加したことを受けて、機構の財政が厳しい状況になってきたことも踏まえて、例えば平成22年度なり平成25年度については、前年度に若干の利益が見込まれましたが、部会で御議論いただき、付加退職金支給率については利益見込額を全額累損の解消に充てようということでゼロとするとしております。
 こういった経緯があって、14ページですが、付加退職金については直近では平成18年度に支給があり、それ以降は累損が大きく増加したことを理由として、支給率をゼロにする状況が続いてきたということです。以上が「これまでの経緯」の1つ目の○です。
 昨年度の本部会で、付加退職金の取扱いをどうするかについて若干御議論がありました。ある程度の剰余金がないと、何か不測の事態が起きるとサステナビリティ(持続可能性)が保たれないのではないかという御意見、あるいは累損の解消を第一に考えて、付加退職金については累損を解消してから考えるべきではないかという御意見を頂いております。本年度の部会において、付加退職金の取扱いを御議論いただくに当たっては、昨年度の御指摘も踏まえていただければと思います。また、3つ目の○ですが、中退共における累積欠損金については、過去の本部会でもいろいろ御指摘を頂きましたが、更に昨年12月に閣議決定のあった独立行政法人改革等に関する基本的な方針等の中においても、過去に多額の累積欠損金が生じる状況があったことが否定的なニュアンスで指摘されています。こういったことも念頭に置く必要があるのではないかと考えております。
 3「平成25年度の状況」です。1つ目の○ですが、累損については平成24年度に解消ができたということです。2つ目の○については、本年1月末までの実績を用いた数字であり、安全率を考慮した数値ではありますが、平成25年度末には約1,110億円の利益の発生が見込まれる状況になっております。累積欠損金がある中で、これまで支給を見送ってきたときとは若干異なった状況になっていると考えられます。
 以上を踏まえて、8、9ページに御議論いただくための論点という形で提示しております。具体的には、論点1としては、8ページですが、支給率の決定に当たって、一定額以上の剰余金の積立てを確保することについてどう考えるかということです。論点2としては、9ページですが、平成24年度に累積欠損金が解消したことを踏まえ、今後の付加退職金の支給率についてどう考えるかということです。
 8ページ、剰余金の積立てについての論点です。関連する論点として、1必要性について、2剰余金の水準について、3剰余金の積立てに係る目標年度について、この3つの小論点で整理しております。
 1必要性についてですが、具体的には付加退職金の支給率の決定に当たって一定額以上の剰余金の積立てを確保することについてどう考えるかということです。この点について、破線で囲った中に書いてありますが、過去に多額の累積欠損金が生じる状況にあったことを踏まえると、今後、直ちに累損が発生することのないよう、一定額以上の剰余金を確保すべきではないかということです。
 2剰余金の水準についてですが、仮に一定額以上の剰余金を確保するとした場合に、目指すべき水準をどう考えるかということです。これについては、過去の実績を踏まえ、過去に損失が発生した状況が今後同様に発生した場合にも、直ちに累損が発生しないような剰余金の水準を目指すべきではないかということを破線の箱の中に書いております。
 これについて、具体的なイメージということで、23ページ、資料2-8を御覧ください。中ほどに破線でくくった箱書きがありますが中身を説明します。直近の金融情勢の中で大きな欠損金が生じたというのは、先ほど御紹介した平成19年度、平成20年度のサブプライムローン問題及びリーマンショックの際の水準で見て取れるかと思います。13ページを見ると、平成19年度においては単年度で1,413億円、平成20年度においては1,929億円、それぞれ損失を計上しております。この2つを足し合わせると、2年で3,342億円の欠損が生じたということです。こういった損失の額を想定して考えてはどうかということです。
 23ページに戻りますが、こういった当時のマイナスの収益率が、正に金融情勢の悪化がこういった収益のマイナス率になって現れたわけです。これを現在の基本ポートフォリオ、すなわち運用資産の額とか割合に当てはめて推計した場合、責任準備金、これは将来の退職金の支払いのために現在積み立てておくべき額ということで計算上求められるわけですが、これに対して9%の損失があったということです。3,342億円の数字を変換すると、9%の損失があったということです。裏返して言うと、9%の利益剰余金があれば、直ちに累積欠損金が生じないことになり、中退共事業における一定の健全性が保たれていると見て取れるのではないかと考えられます。この9%を、仮に平成29年度時点の責任準備金の推計値3兆9,000億円に当てはめると、3,500億円という数字になります。
 3剰余金の積立てに係る目標年度についてです。8ページに戻りますが、いつまでに積立目標額を積み立てることとすべきかということです。1つ目の○ですが、1つの考え方としては、制度の安定的な運営及び信頼性の確保を図る観点から、できるだけ速やかに剰余金を積み立てるべきではないかという御意見があろうかと思います。一方で、一定の運用収入があった年度においては付加退職金の支給を行うことも重要です。剰余金の積立ての目標年度については中期的に検討すべきではないかという御議論もあるかと思います。3つ目の○ですが、以上を勘案して、平成24年度に本部会でも御議論いただいた5年に1度の将来推計の期間の終期が平成29年度です。ここを目途として、積立目標額を積み立てることとしてはどうかということを箱書きで示しております。
 23ページ、資料2-8ですが、平成29年度を目途として積み立てるとなると、先ほど申し上げたとおり、平成29年度末時点の責任準備金が3兆9,000億円と推計されるので、これの9%となると、この場合の剰余金積立目標額は3,500億円という計算になります。
 以上、8ページの論点1まで御説明しました。これについて御議論をいただければと思います。
○勝部会長 事務局に整理をしていただいて、8ページにあるように3つの論点で議論を進めていきたいと思います。1つ目は、剰余金積立の必要性について。2つ目は、そもそも剰余金はどれぐらいの水準にすべきかについて。3つ目は、いつまでにそれを達成するかについて。この3点について御意見、あるいは御質問等を受けたいと思います。どなたか御意見等はありますか。
○市瀬委員 制度の安定的な運営と信頼性を確保するという観点からは、剰余金の積立てを計画的に実施していくことが必要と思います。また加えて、運営収入のあった年度については付加退職金の支給を目指し、努めていくことも重要ではないかと思います。昨今、新規加入者が減少傾向にありますので、その上で累積欠損金が解消するまでは付加退職金の支払いを行わずに来たという状況を考えると、利益剰余金が生じた今回のようなときに付加退職金を支給しないというのは、加入者の減少にもつながることではないかと危惧しております。もちろん、制度の安定的な運営が何よりも重要ではありますが、長い目で見れば、ここで加入者の減少という課題に付加退職金という観点から向き合うことも大切ではないかと思っております。
 総論となりますが、累積金の変動が余りにも大きい今回のような状況を考えると、今後も定期的に経済状況の動向や積立金の状況等を注視し、柔軟かつ機動的に対応できるよう、準備を整えておくことが大切だと考えております。
○新田委員 今ここで議論をするのは、付加退職金の支給の話の前に、剰余金の積立てをどうするかということでよろしいのですか。その確認です。
○勝部会長 まずはルールを決めることになるかと思います。それに基づいて、来年度の支給額を決めるということで、これについては後程議論いたします。
○新田委員 その前提で、積立ての必要性については、以前の部会でも申し上げているとおり、共済制度の性格からしても安定性が大事ということに加えて、先ほどの資料の中にもありましたが、極めて変動性が高いということも踏まえれば、責任準備金だけではなくて、一定の水準の剰余金を積み立てることが必要だと考えております。
 水準については、事務局の御提案にあるように、平成19年度、平成20年度はかなり大幅に変動しているので、両方を合算した金額に一定の率を掛けるという考え方は極めて合理性があると、私は考えております。
 いつまでに解消するかについては、今後どういう形で運用益、あるいは運用損が出るかは分かりませんが、当面は御提案のあった将来推計期間の終期、具体的には平成29年度を目途に、まずやってみるのがよろしいのではないかと考えます。
○勝部会長 いろいろな意見が出ておりますが、ほかに御意見、御質問等ありますか。
○小野委員 剰余金の水準が9%ということで、過去の状況を見ながらということで、一定の合理性があるかと思います。私からは、公益の立場ですので、基本的にはこの制度以外の運営を御紹介することによって、少し参考になればと思います。
 その前に、先ほど独法改革の話がありましたが、その中で、この制度は金融業務と位置付けられ、金融庁の直接の規制・監督下には属さないということだろうと思いますが、ある種、金融庁の規制・監督を一定程度意識しなければいけないことになるのではないかと思います。金融庁は銀行や証券、保険というものを監督しているわけですが、御承知のとおり、BIS基準や保険のソルベンシー・マージン基準ということで、基本的には一定の資本要件を課すことになるのではないかと思います。その意味では、方向性としてはよろしいかと思います。
 2点目は、独法改革のほかに、先頃、公的・準公的資金の運用に関する有識者会議がありました。秋口に報告書を出しておりますが、資産運用については少し見直したほうがいいのではないかと。これは特にGPIFをターゲットにしているのだろうと思いますが、こちらの制度もその対象になっていますので、その報告書如何によって、この制度の資産運用の方針自身がそれなりに変わってくる可能性もなきにしもあらずということで、そのことは、今、抱えている資産運用のリスクそのものが変わってくるという可能性になります。そのリスクは、とりもなおさず資本要件に響いてくることになるので、こちらは少しウォッチしていく必要があるのではないかと思います。
 3点目に、私は企業年金の仕事をしていて、少し調べていたところ、オランダの年金制度、職域の年金制度ですが、これは基本的にオランダの中央銀行の規制・監督下になりますが、ここでは責任準備金に対して資本要件を課しています。大雑把に言うと、責任準備金の120%程度の要件を課しているということです。その水準は、資産運用の中身が全然違っているので、そういう意味では、これを直接当てはめる必要はないとは思います。ただ、もしこれをクリアできなかった場合には、例えばインフレスライドを削減する、あるいは名目の年金額も削減するような削減措置も1つのセットになってきているということで、こういった水準を決める際には、資産運用の中身を考慮する意味でも、過去の実績を踏まえることも重要ですが、定量モデルで分析するのも1つの方法かなという感じを受けました。
○勝部会長 非常にクリアな整理をしていただいてありがとうございます。そうしますと、小野委員の考え方で、先ほどGPIFの話が出ましたが、かなりリスクの大きいものも増やしていくという提言が先般あったかと思いますが、その際にリスク量の定量的な把握と、それに対しての、例えばBIS基準では8%ですが、どの程度とか、何かそういった御意見もあれば是非お伺いしたいと思います。
○小野委員 細かく承知しているわけではありませんが、オランダの年金制度の資産運用の中身に着目して、それぞれの資産運用区分があると思うのです。例えば株式にどれぐらいとか、債券にどれぐらいとか、こういったものはそれぞれのリスクが異なるので、資産ごとにバッファーを決める。株ならそれなりの厚めのマージンになるとか、債券なら一定程度、また、為替リスクはどうだとか、場合によってはオペレーショナルリスクをどうするかとか、こういったことを一つ一つ分析しながら、これらの積上げによってリスクバッファーを決めるというモデルになっていると承知しています。
○勝部会長 この点は2番目の論点、9%という数値自体にも関わる部分なので、非常に重要かと思います。ほかに何か御意見、御質問等はありますか。労働側からは何か御意見はありますか。
○川野委員 先ほど来、御意見が出ているように、安全性を高める意味での3,500億円程度の積立てについては、私としては安全性という観点からは相応ではないかと考えています。目標年度については、5年がいいのかどうかは様々な御意見を聞いた上で、今日御意見を賜ってと思っておりました。ただ、5年を目処にということで、経済の情勢の変化等々を見て、そのときにまたということであれば、5年という一定の目安でやることについても賛同できるものではないかと思います。
○鹿住委員 剰余金の設定については異論はないのですが、これは目標年度が平成29年度ということで、仮にそれまでに大きな欠損が生じることがなかった場合、その後積み上がった3,500億円を超えた部分は、どういうルールで付加退職金に回すのか、また新たな剰余金の目標を設定して、そこに向けて足りない分は積増しするとして、それが積み上がった以降は付加退職金に優先的に回すとか、その先のルールを聞いておかないと、直ちにこれで結構ですとは、判断が難しいのではないかと思います。
 もう1点は、9%というのはリーマンショックの損失の経験から、またBIS規制も8%なので、妥当な数字ではないかということですが、リーマンショックのときもおしなべていろいろな金融機関等が欠損を出していると思いますが、その中でもうまくオペレーションをした所はそんなに損失を被っていないわけです。それは恐らく運用の仕方、先ほどのオペレーショナルリスクにも関係するかと思いますが、機構御自身がリーディングをされているわけではありません。そうすると、何か大きな変動があったときの機動的な対応も難しいかと思いますので、先ほど出てきたこれから設置をされるという資産運用委員会の役割や、今回の安定性+1%の利回りは確保しなければいけないということで、どの辺りまで踏み込んで運用に関して意見が言えるのか、リスク管理という観点だけではなくて、積極的な利益の確保も考慮した意見を考えていただかなければいけないのではないかと思います。それとセットということも考えておかなければいけないのではないかと思います。
○勝部会長 今、2点について御意見がありましたが、これについて事務局はどのように考えておられますか。
○松原勤労者生活課長 まず、1つ目の御質問、3,500億円を超えた段階でどうするかです。これについては、その時点の部会で御議論いただくことになるのではないかと思います。現時点において、そのときの次のルールまで踏み込むのは、その時点の情勢等を踏まえてそのときの部会で御議論いただくほうが、より適切な対応を取ることができるのではないかと考えております。
 2つ目のリスク管理の話です。資産運用委員会(仮称)ですが、これについては法制的な検討が必要です。今日頂いた御意見、御指摘、あるいはいろいろな法制や知見を基に、我々として法制的な詰めを行った上で、また部会にお諮りしたいと思っております。御指摘の点は重々承知しておりますので、日頃の運用に当たっても適切に機構に伝えていきたいと思っております。
○勝部会長 この資産運用委員会は、いつ頃できる予定と見込まれますか。
○松原勤労者生活課長 これは議題1で申し上げたとおり、今後の予定で申し上げると、具体的な実施時期については本年夏を目途に行革本部で決定することにされております。ですから、早い想定もできますし、少し遅い想定もできますが、現時点で時期を政府内で決めているわけではありません。
 ただ、当然、平成27年4月以降、可能な限り早期の改革実施を目指し、迅速に移行することは、総論的に書かれております。
○市瀬委員 今年度、1,110億円の利益が見込まれておりますが、ただ今お話しにあったルールで考えますと、5年間で3,500億円を積み立てるとすると、1年で700億円ですね。去年から一気に累損が解消し、今年は1,110億円という莫大な利益が出ました。この状態がずっと続くとはもちろん考えておりませんが、少なくとも当面の問題として、利益が出た場合、どのようなルールで積立金や付加退職金に回すのか、具体的な議論が必要と思います。
○勝部会長 それについては、次の論点で議論します。8~9ページの基本的な論点については、ほかに御意見、御質問はありますか。
○関委員 今、全体的にバランスが取れているという感じが多かったと思いますが、私自身は、できるだけ早く積み立てて、制度の安定的な運営と信頼性の確保を図るほうがいいのではないかと思っております。退職金が労働者にとって重要なのは、より経済が不安定なときであって、一応良いということで余剰金が出ているわけですが、そうであるならば、良いときにはできるだけそれを積み立てて、欠損金が生じないような状況を作っておいて、今後、仮に悪くなったときに、そういった問題がなくて、そのときにプラスアルファで少しでも払われたほうがいいのではないかと思います。
○勝部会長 ほかに御意見はよろしいですか。先ほど小野委員が言われたように、こちらの独法改革を受けて、金融庁の規制・監督を意識しなければならなくなるということで、今、世界の金融の潮流としては規制強化、監督強化に向いているので、そういった安定性は非常に重要ではないかと思います。
 今までの意見をまとめると、1番の論点については、過去に大きな損失が発生したと。今後、こういったことが発生した場合にも、直ちに累積欠損金が発生しないような剰余金の積立てを行うということは、皆さん意見は共有されていたかと思います。
 2番目の剰余金の水準についてですが、積立てに当たっては責任準備金に対して一定の利率の上乗せ相当の水準を目標とすることも共有されているかと思います。
 3番目としては目標年度ですが、将来推計は昨年度やりましたが、この最終年度である平成29年度を目途とすること、目標額についてはある一定のものを決めて計画的に積み立てるということも共有できたかと思います。こちらの3点についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、先ほど市瀬委員からも御指摘があった今後の付加退職金の支給率の考え方についてに移ります。事務局から説明をお願いします。
○松原勤労者生活課長 9ページです。今、部会長に委員からの御意見を取りまとめていただいた内容を前提に御説明したいと思います。今後の付加退職金の支給率について、どう考えるかです。下の点線の囲みですが、制度の安定的な運営及び信頼性の確保を図るため、剰余金の積立てを計画的に行うこととした上で、運用収入があった年度には付加退職金を支給できるような考え方とすべきではないかです。
 具体的には資料2-9、25ページです。破線の囲みで具体的なイメージを示させていただきました。これを基に御議論を頂けると、幸いです。
 具体的には以下のとおりとしてはどうかということで、(1)、(2)で記載しております。(1)は、先ほど、平成29年度末の剰余金の積立目標額を3,500億円ということですので、5年間で積み立てることになります。下に※で計算式を書いておりますが、剰余金積立目標額3,500億円ですが、平成24年度末に既に500億円積み上がっていますので、差し引いた3,000億円を、5年間となりますと、単年度積立目標額は、600億円と計算できます。
 その上で、(2)の1、各年度の利益見込額から単年度積立目標額をまず控除する。2で、利益見込額が単年度積立目標額からその2倍の間の部分は付加退職金の支給に充てる。数字を手書きで入れていただければと思いますが、単年度積立目標額というのは、これは下の計算式600億、単年度積立目標額は掛ける2というのは、1,200億になります。この1,200億までの間は、付加退職金の支給に充てる、3はそれを超える部分については、その2分の1を付加退職金の支給に充てる。すなわち、各年度の利益見込額というのは、左側に出ておりますが、この黒色の部分を付加退職金の支給額に充てるということで、組み立てました。
 これは、平成17年度に部会においてまとめていただいた累積欠損金解消に向けた配分の考え方を冒頭に御説明させていただきましたが、この考え方を参考にさせていただいたものです。この具体的イメージも参考にしていただきながら、御議論を頂ければと思います。どうか、よろしくお願いいたします。
○勝部会長 ありがとうございます。25ページの考え方に基づいて議論を進めたいと思います。何か、御質問それから御意見はありますでしょうか。
○松本委員 それでは、松本より質問させていただきます。そうしますと、ただいま御説明いただきました、利益余剰金の対応を行ったと仮定した場合、どういう条件設定が必要かというのは、詳しくは存じませんが、おおむね加入者の実態から見る、例えば平均的な10年加入モデル的なものを想定した際に、分かりやすく、14ページの中のこの付加退職金部分の支給率はどのくらいを想定できるのかという試算的なものがもしありましたら、御紹介いただければと思います。
○安達勤労者生活課課長補佐 申し上げます。先ほど1月末までの実績が1,110億円と申し上げました。それを基にこれを支給率ということで試算をいたしますと、おおむね1%を超えるくらい出ます。恐らく1.4%くらい出ると思います。そうすると、仮に100万円の場合で想定いたしますと、単純にいきますと、1万4,000円相当で、退職される場合ないしこれから退職される場合の退職見込額というのが、43か月以上の方になりますが、増加要因になるということ、これがお答えになるかと思います。
○勝部会長 1.4%というのは、その付加支給率ということですか、なるほど。
○安達勤労者生活課課長補佐 はい、そうです。
○松本委員 ありがとうございました。そうしますと、この間残念ながら、付加給付ができなかった時期が大変長かったのですが、久し振りにという言い方もあれですが、大変高い水準の付加給付ができるという見通しが立つという捉え方でもよろしいわけですね。
○松原勤労者生活課長 現時点における1月末時点の数字を基にした、飽くまで試算ですが、その含みで御理解いただきたいと思います。
○松本委員 そうですね。ありがとうございます。
○勝部会長 ほかに質問あるいは御意見ございますか。そうしますと、資料2-9に基づいて考えますと、今年度は600億円を想定して、例えば来年度については、1,200億を基準にした形で同じような考え方でやっていくのか。あるいは、単年度で600億ずつなのか。ちょっと、その辺を御説明願えますか。
○松原勤労者生活課長 今の御説明については、毎年度、毎年度この図を当てはめていくことになりますので、今年度において、単年度積立目標額600億円、また来年度について600億円、来年度、例えば利益見込額が出た場合は、ここからまた600億円、毎年600億円ずつ上がっていく。それは利益剰余金としていく。残りがこの図に基づいた付加退職金資金となります。
○勝部会長 はい分かりました。
○鹿住委員 うまくいけばなのですが、逆に状況が悪化して、剰余金が600億円に満たなかった場合に、400億円、300億円しか出なかった場合とすると、翌年にもし利益が出れば、今度は600億円に満たなかった。前年度に満たなかった分も加えて積み立てるということですか。
○松原勤労者生活課長 私どもとして、想定しておりますのは、600億を単年度積立て目標によって控除するということです。私ども、今ここで提示させていただいたのは、例えば今年600億を超える分であれば、600億まで、来年度仮に600億を下回るものであれば、その下回った額までで、その次の年度がまた600億を超えるものであれば、また600億と。まず、600億という数字を毎年毎年着実にと思っています。年によって、600億に満たない年もあるかもしれません。ただ、そこをどうするかは、これも毎年度の部会でいろいろな経済情勢を基にしながら、御議論いただくことではないかと思います。一応のルールとしては600億ずつを想定しております。
○勝部会長 ほかに何か、御質問、御意見はありますでしょうか。
○小野委員 繰り返しになりますが、私はこの制度は労使合意でもって、運用されるということですので、配当のやり方に関しては、積極的にどうこうということは申し上げるつもりはないのです。飽くまでも、私の考え方です。計画を作られるというのは確かに重要ですが、その計画期間に、計画を達成するために何ができるかを考えると、それはもう平たく言ってしまえば、運用で頑張るしかないと思うのです。そうなってきますと、では計画期間はどのような意味を持つか。これは基本的には期間で分配するという剰余金を付加退職金に回す分配ルールを作るために期間が必要だという話になってくるのではないかと思います。ですから、600億を決めるために出てきた数字がいろいろありましたが、やはり計画期間等々よりも、目標とする水準をどこに置くかのほうがはるかに重要な話になってくるのではないかが1点です。
 もう1つは、先ほどオランダの制度の運営の仕方で、給付削減等も財政が悪くなった場合にはセットになっていますという御紹介しましたが、ここから先はこの制度について当てはまるかどうか、非常に乱暴な議論ではありますが、例えば給付削減というものではないにせよ、在籍している労働者の方々に付加した付加退職金は、これは1つの剰余金の分配という要素もありますので、予定利率の1%を割り込むということではないと思います。そういったものについて、今後の運営次第では一旦付加したものについて、今後の取り扱いに少し含みを持たせるというような考え方もあり得るかと思います。この辺りは財産権の問題やいろいろ法律上の問題もあって、難しいかもしれませんが、アイデアの1つとしてお出ししました。
○勝部会長 ありがとうございます。
○島村委員 3,500億円という目標を設定したのですから、達成するというのが大きな目標だと思います。下回った場合にどうするかを部会で決めるという話をされました。これはある程度方針は決めておいたほうがいいだろうと思います。例えば、多いときには、足りなかった分を積み増すなど、そういうことも必要ではないかと思います。あくまでも目標を達成するためにやるのですから、今のお考えですと、やってみたら、3,500億円に行かないというようなことも考えてしまうのですが、いかがでしょうか。
○安達勤労者生活課課長補佐 今の課長の発言を補足させていただきます。この計画はあくまでも中期的に3,500億円をためていきましょうということです。例えば、単年度600億円を下回ったからといって、当然すぐそこで見直さなければいけないというものではないと思っております。ただ、何年かたっていく中で、明らかに3,500億円に足りない、いきそうもないなど、逆にそれを超えてしまった際には、恐らくそこでこの計画の前提が変わってしまうことになりますので、その時点において、もう一度、そこは部会にお諮りをして、ルールはしっかり立てさせていただきたいと思っております。そのときに考えましょうという言い方は悪かったわけですが、その時点において、その状況に応じた適切なルールは当然事務局としても、何らかお示しできるように準備をさせていただきますが、この部会において、御利用いただけるようなルール作りというのは、別途しなければいけないと思っております。
○島村委員 分かりました。
○勝部会長 ほかに何か御意見ありますでしょうか。法制度上の整理について確認したいのですが、この支給率の基本的な考え方は、この中小企業退職金共済法上は、どのように位置付けられるのか、整理されているのか、ちょっと御意見を頂きたいのです。
○松原勤労者生活課長 お答えを申し上げます。昨年12月に独法改革の閣議決定の紹介をさせていただきました。累損の解消を目指すという方向性があるという中で、付加退職金の支給率の算定方法を具体的に、参考の1の1ページ、中退法の10条、第4項の中で定めております。4項の中の5行目で、先ほど言った基準としてという文言の次に「当該年度以降の運用収入の見込額その他の事情を勘案して、当該年度の前年度末までに、労働政策審議会の意見を聴いて定めるものとする」という規定があります。これに基づいて、利益見込額を処理するという考え方に立って、今回御提案させていただいたものです。なお、平成17年に本部会においてまとめていただいた累積欠損金解消に向けた配分の考え方を何回か御紹介させていただきました。この際におきましても、この法的な考え方については、同様に整理させていただきました。
○勝部会長 ありがとうございます。ほかに支給率について御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。本日の議論をこちらでお引き取りさせていただきまして、それを踏まえまして、次回の部会までに、具体的には今説明にあったように、来年度の付加退職金の支給率についての原案、それから、今日も議論していただきました、今後の付加退職金の支給率を定めるに当たっての考え方、ルールについて、この2つについて取りまとめて次回の部会に提出するということにさせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。それでは、本日の議題ですが、いろいろ御意見を頂きまして、大変ありがとうございました。御意見は出尽くしたと思いますので、本日の部会はこれにて終了させていただきたいと思います。最後に事務局から何かありますか。
○松原勤労者生活課長 今後の日程について事務的に御報告申し上げます。次回の部会については、3月11日火曜日の午後1時から午後3時の開催を予定しております。会場については現在調整中ですので、決まり次第、御連絡差し上げたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。また、今ほど部会長から次回の進め方について御示唆をいただきましたので、部会長の指示に基づきまして、資料の準備をしたいと思います。どうか、よろしくお願いいたします。
○勝部会長 どうも、ありがとうございます。それでは、本日はこれにて終了とさせていただければと思います。最後に、本日の議事録の署名委員は、大塚委員と清水委員にお願いしたいと思います。本日は闊達な御議論をありがとうございました。よろしくお願いいたします。


(了)

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