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2014年2月5日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録

食品安全部基準審査課

○日時

平成26年2月5日(水)
10:00~12:00


○場所

専用第22会議室
(中央合同庁舎第5号館18階)


○出席者

委員

山本委員(部会長)、石田委員、甲斐委員、木村委員、河野委員、小西委員、鈴木委員、西渕委員、林谷委員、堀江委員、松田委員、丸山委員、山下委員

事務局

長谷部基準審査課長、滝本監視安全課長、西村食中毒被害情報管理室長、横田補佐、新谷専門官、仲川専門官

○議題

(1)乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の改正について
   ・成分規格の見直しについて
   ・発酵乳の規格基準等の見直しについて
(2)乳に含まれるアフラトキシンM1の取扱いについて
(3)食肉製品の微生物検査法について
(4)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会」を開催させていただきます。

 本日は御多忙のところ御参集いただき、まことにありがとうございます。

 本日は、石川委員、寺嶋委員及び野田委員より欠席との御連絡をいただいております。現時点で乳肉水産食品部会委員16名中13名の委員の先生方に御出席をいただいておりますので、本日の部会が成立することを御報告いたします。

 それでは、議事の進行を山本部会長にお願いしたいと思います。

○山本部会長 皆さん、おはようございます。

 議事に入ります前に、配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○事務局 では、資料の確認をさせていただきます。

 お手元にお配りしました資料は、まず、議事次第、裏に資料一覧がございます。

2枚目が部会委員の名簿でございます。

3枚目が座席表。

 それ以降、資料1、資料2、資料3、資料4と一部ずつございます。

 その後が参考資料になります。参考11部、参考2のシリーズが3部ございます。参考31部、参考4のシリーズが3部ございます。参考5のシリーズは2部ございます。その後、参考6、参考7

 以上が本日配布させていただきました資料でございます。不足や落丁等がありましたら、お気づきの際に事務局までお申し出いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○山本部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 それでは、審議に入る前に、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。

○事務局 本日の部会では、議題1「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の改正について」は、事業者団体の申請を端緒としていることから、利益相反の確認の対象となります。食品衛生分科会審議参加規程に基づいて、要望団体、関係団体や関係企業等につきまして、過去3年間における寄附金等の受け取りについて、委員より御申告いただきました。

 その結果、退室が必要な委員はおりませんが、松田委員につきましては、議決には御遠慮いただくことになりました。

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、審議に入りたいと思います。議題1「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の改正について」、審議を行いたいと思います。

 事務局から説明をお願いします。

○事務局 初めに、議題1のうち、成分規格の見直しについて説明します。資料1を御覧ください。乳及び乳製品等については、食品衛生法第11条第1項に基づいて、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令、以降、乳等省令と呼びます、により規格基準が定められています。

 近年の家畜改良の効果や製造技術の発展等を踏まえ、実態に即した成分規格となるよう、関係業界から要望があり、平成21年に2回、当部会において改正要望の内容について説明を聴取したところです。その後、平成2311月及び本年1月に新たな要望があったことから、関係する成分規格の要望について全体的に検討することとしたいと思います。大きく分けて3つほど案件がありまして、その1つ目でございます。

 「2.生乳、牛乳及び特別牛乳の比重について」です。

 正常な生乳の比重は1.0271.035ということで、変化する要因の1つとして、水を加え増量すると比重が低くなります。そのため、乳への加水等の行為を防ぐために、乳等省令では成分規格で比重を定めています。

 その他、比重が変化する要因として、生乳等に含まれる脂肪分や固形分の含量というものがあります。乳脂肪分が増加すると比重は低くなり、無脂乳固形分が増加すると比重は高くなるということが知られております。

 現行の値は、策定当時の実態に即して設定されたと考えられ、乳等省令が制定された昭和26年以降、大きな見直しはされておりません。

 「(2)要望内容」でございます。

 生乳については近年の家畜改良の効果及び飼養管理技術の向上により、生乳の乳脂肪分及び無脂乳固形分の含有量が増加し、その結果、比重が高くなってきているという状況がある。国内で生産される生乳の比重が今後、規格値に合わなくなる可能性があるので、規格値の見直しが必要ではないかというもの。

2つ目ですが、牛乳についても原料となる生乳の比重の増加に伴い、牛乳の比重の規格値が合わなくなる可能性があるので、見直しが必要ではないかというものです。

 「(3)生乳の比重について」です。

 家畜の改良・増殖は畜産業の振興ということで、農林水産省において家畜改良増殖目標を策定しており、乳用牛の能力向上を目的として乳用牛の改良を推進してきています。そのため、乳成分が増加しているということが報告されております。

 参考資料16ページを御覧ください。関係団体からの提出資料ですが、上のグラフは全国で集乳された乳成分の昭和35年から平成21年までの推移を示しております。グラフで分かるように、無脂乳固形分、乳脂肪分ともに増加しています。

 資料1に戻っていただきまして、2ポツ目でございます。

 乳牛が疾病に罹患すると比重が上昇されると言われておりますが、家畜診療において乳牛の健康状態の把握に生乳の比重が指標として用いられることはありません。また、乳房炎など乳汁中に体細胞数が増加するという疾病などでも、体細胞数は比重に影響がないことが推測されております。また、牛の疾病と乳の比重について詳しい研究はされておりませんが、乳房炎乳の比重は正常値に比べると低いという報告もあります。

 生乳の細菌数は乳房の外側に付着している菌により大きく変動しますが、一般的に乳に関する衛生管理というものは向上しておりまして、細菌数も基準値を大きく下回っている状況です。

 また、海外の状況ですが、諸外国において比重を乳及び乳製品について規定している国はありません。

 「(4)対応(案)」でございます。

 規定策定当時は、生乳に加水し増量する等の行為を防止するために、実態に即した一般的な生乳の比重を設定していたとされております。

 近年の生乳の比重の増加はこれまでの家畜改良や飼養管理技術の向上によるものと考えられ、適切な衛生管理のもとで生産される場合、衛生的には問題ないと考えられます。

 そのため、上記を踏まえ、生乳の比重の上限値は疾病牛の適切な指標ではないと考えられ、今後の家畜改良の妨げにもなり得ることから、以下のとおり改正したいと考えております。

 改正案としましては、下限値はそのままとし、上限値を撤廃するというものです。また、生乳の比重の増加に伴いまして、今後、成分規格に適合しなくなる牛乳も考えられることから、牛乳、特別牛乳についても併せて改正したいと考えております。

2つ目の案件でございますが、「3.成分調整牛乳の酸度並びに低脂肪牛乳及び無脂肪牛乳の比重について」です。

 「(1)背景」については、成分調整牛乳は生乳から乳脂肪分その他の成分の一部を除去したものであり、乳脂肪分の含有量によって、さらに低脂肪牛乳、無脂肪牛乳に分類されております。乳等省令では、以下のような成分規格を定めております。

 近年、乳成分の除去に膜濃縮技術が用いられております。膜濃縮とは、使用する分離膜の種類によって除去する乳成分を選択することができ、濃縮倍率をさまざまに調整できるという製造方法の一つであって、これにより商品の多様化が可能となっております。

 「(2)要望内容」ですが、膜濃縮技術によって、乳脂肪分及び無脂乳固形分の濃縮倍率を調整できますが、この技術を用いて製造した成分調整牛乳の酸度や比重が、乳等省令に基づいて適正に処理したにもかかわらず、成分規格に適合しないということが生じているので、見直しが必要であるという要望です。

 「(3)成分調整牛乳の酸度について」です。

 乳の酸度に影響を及ぼす要因として、主に2つありまして、1つは、搾乳後の時間、もう一つが乳中に含まれる物質にあります。生乳は搾乳後、時間がたつにつれて細菌により乳糖が分解され、乳酸が生成されることに伴って酸度が上昇します。生乳の酸度は、新鮮なときは0.130.14%となり、古くなって乳酸が生成されると上昇します。そのため、酸度というのは乳の鮮度の指標になっています。

 一方で、乳中にはそもそも酸性反応を示す物質というものが含まれておりまして、例えばタンパク質、酸性無機塩、炭酸ガスなどですが、それらの物質が増えることでも乳の酸度が高くなるということが言われております。成分調整牛乳につきましては、膜濃縮技術を利用して乳成分の除去をしますので、乳に残る成分のバランスが変化して、モデル乳を用いた実験結果によると比重や酸度が高くなるということが判明しております。

 なお、諸外国の状況ですが、牛乳の類似製品についてコーデックスや諸外国において酸度の上限値というものを規定している国はありません。

 「(4)対応(案)」でございます。

 比重は乳脂肪分と無脂乳固形分の含有量によって変化するので、疾病牛の適切な指標ではないと考えられます。また、酸度は乳の鮮度の指標として用いられますが、乳中に含まれる成分のバランスによっても変化することがあります。

 成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳については、成分規格に衛生指標となる細菌数及び大腸菌群というものが別途定められております。

 上記を踏まえまして、新鮮な乳を衛生的に処理したとしても、酸度や比重は製造工程における乳成分の調整により高くなることがあるので、成分調整牛乳の酸度並びに低脂肪牛乳、無脂肪牛乳の比重を以下のとおり改正したいと思います。

 成分調整牛乳、低脂肪牛乳と無脂肪牛乳も含みますが、酸度を現行の0.18%から0.21%としたい。低脂肪牛乳と無脂肪牛乳の比重については上限値を撤廃するという案を示しております。

 最後に3つ目でございますが「4.殺菌山羊乳の無脂乳固形分及び乳脂肪分について」です。

 乳等省令では、衛生及び品質の指標として殺菌山羊乳についても成分規格を定めております。現行の値は策定当時の実態に即して設定されたと考えられており、乳等省令が制定された昭和26年以降、見直しはされていない状況です。

 「(2)要望内容」といたしましては、山羊乳については、季節、飼料、個体差等により乳脂肪分の変動が大きく、現在、殺菌山羊乳の無脂乳固形分及び乳脂肪分の規格値が実態に合っていないので、実態に即した規格値にする必要があるのではないかというものです。

 「(3)山羊乳について」ですが、一般的に山羊には多様な品種が存在しますので、繁殖季節は品種や飼養されている地域の緯度などにより違いが見られていることが知られております。なお、国内の飼育頭数がピーク時では昭和32年に67万頭あったものが、平成22年には2万頭弱になっている状況です。

 乳組成につきましては、牛乳と類似しておりますが、品種、飼育環境あるいは飼料等の影響を受けやすく、ばらつきが大きいということが知られております。

 また、山羊乳についても農林水産省によって家畜改良増殖目標が定められておりますが、牛とは異なって、泌乳能力の向上のみ、乳量だけを指標にした改良が進められているので、そのために乳成分率が低下してしまったのではないかと考えられております。

 また、諸外国の状況ですが、コーデックスやEU等の国においては、山羊乳の成分は定められておりませんが、アメリカにおいては無脂乳固形分、乳脂肪分について基準値が示されております。

 対応案でございますが、規定策定当時は山羊乳に加水し、増量する等の行為を防止するために、実態に即した一般的な乳の指標として成分規格が定められたとされますが、現在は山羊の家畜改良や飼育頭数の減少などにより状況が変化しておりまして、現在の規格値は実態に即していないと考えられます。

 山羊乳については品種、飼育地域、季節等により、その成分が大きく変動するということが知られておりますが、一方で、一般的な山羊乳の乳組成を考慮し、一定の品質を確保するということは必要であると考えられます。

 上記を踏まえまして、無脂肪固形分及び乳脂肪分については、引き下げても衛生的には問題ないので、より実態に即した値にしたいと考えております。

 改正案としましては、業界の要望どおり、殺菌山羊乳の無脂肪固形分を7.5%以上、乳脂肪分を2.5%以上としたいと考えております。

4番の総合的な今後の対応方針についてですが、大きく3つ案件がございましたが、上記の対応案について、全て食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼し、評価結果を受けた後、特段の問題がなければ、乳等省令改正のための所要の手続を進めたいと考えております。

 事務局からは以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 かなり長い御説明だったと思いますが、1つは比重と酸度の問題を考えるということで、あとは成分調整乳に対しての比重の問題。それから、殺菌山羊乳の無脂乳固形分と殺菌山羊乳の乳脂肪分を少し引き下げて7.52.5以上にするという話でした。

 皆さん方の御意見をいただきたいと思いますが、今の御説明では特に衛生面という観点からは問題ないという御説明があったかと思いますが、それ以外に何か皆さん方が懸念されることをいただければと思います。いかがでしょうか。

○堀江委員 衛生面ではなくて、ほかの乳に関しては上限値が撤廃されておりますけれども、山羊乳の比重に関しては従来どおりということは、業界からの要望がなかったということなのでしょうか。

○事務局 そうですね。今回は業界からの要望があったところを主にまずは改正したいと考えております。確かに堀江委員のおっしゃるとおり、比重について、ほかのものでは上限値が撤廃されて、山羊乳についてはそのまま残ってしまうということで、若干整合性がとれない部分も出てくると思うのですが、こちらで勝手に変えてしまうと問題が生じてしまいかねないので、今回の改正を踏まえて、今後、整合性をとるという観点も踏まえて、全体的に検討できたらいいと思っております。

○山本部会長 では、今回は山羊乳の比重については対象としないということでよろしいですかね。

 河野委員、どうぞ。

○河野委員 御説明の概要は理解しまいた。特段、安全性に問題はない、衛生管理に問題はないということで、この御提案自体は了解いたしましたが、1ページにも書いてあるように、現行の成分規格の省令が昭和26年以降大きな見直しがないと。私が日常的に考えましても26年当時からすると、餌や肥育の状況や製造過程ですとか、かなり変わってきているなと思うのですが、この長い間この省令を見直してこなかった背景みたいなものを教えていただければと思いますけれども、それはだめでしょうか。

○山本部会長 事務局も説明しにくいかと思いますが、ただ、要望としては4年前から上がってきてはいました。ですから、家畜改良の進み方とか飼料が変わったとか、そういうことが進んで、近年、特にそういうものが変化してきたということで、対応をしていかなければいけない事態が起こってきた。それまでは少しずつ上がっていたのでしょうけれども、そこまでの問題になるような状況ではなかったということがあったと思います。

○山本部会長 丸山委員、どうぞ。

○丸山委員 比重に関しては家畜の改良とか、そういうのでいろいろな成分的な問題で上がってきて上限を撤廃するというのはいいのですが、酸度のほうですけれども、データを見てみますと0.21以下ということですが、それに達しているようなものはあまりないような気がするのですが。例えば山羊乳ですと0.20以下で、私の経験というか実習などでやってみても結構古くなったような牛乳などを調べてみても、あまり酸度が上がることはないんです。

 そうすると0.21というより、山羊の0.20くらいに合わせたほうがいいのかなと。その安全性を考えた場合に、例えば腐敗菌が増えたような場合でも、そんなに酸度が上がるということがないものですから。そうすると、例えば参考資料のデータなどを見てみても一番高いのが0.20とか、そのくらいですね。そうすると0.20くらいにしたほうがいいのかなという気もするのですが、いかがでしょうか。

○山本部会長 先生が見ておられるデータは、参考2のほうですか。

○丸山委員 参考の2-24ページに成分調整牛乳とか低脂肪牛乳とか無脂肪牛乳、それの酸度の実測値があるのですが、一番高いのでも0.2050.203ですね。そうすると、それくらいが2以上になっているもので、ほとんどが現行の0.18以下になっているかなと思います。

○山本部会長 参考2-33ページの表3ですね。

○丸山委員 そうですね。表3です。

○山本部会長 一番高いのは0.203だということですが。

○丸山委員 0.21以下にしたという、その根拠を教えていただければと思います。

○事務局 根拠ですが、業界団体からの資料で、今御覧になっている参考資料2-3の表3になるのですが、実際にこれはモデル乳を用いて実測したところ0.203ということで、実際に0.21になっていないから0.20でいいのではないかということだと思います。今回はこのモデル乳を用いたもので、実際にこれは繰り下げでは0.20で問題はないのですが、今後もっといろいろと乳成分や無脂乳固形分等のバランスを変えて製造してみると、実際に若干オーバーしてしまうものも考えられるので、0.21という数字になっております。

 山本部会長 現実は0.203というのが1つモデル乳ではあったということですね。ですから、それを見越して0.21ということですが。

○丸山委員 例えば0.20幾つとか、その辺のがもうちょっとたくさん出てくるのであれば、0.21でもいいかなと思うのですが、これは0.20をちょっと超えてしまうようなものは結構あるんですか。

○事務局 今の段階ですと、実際に酸度は今の規格値に合うように製造されているので、まだ基準が0.18なので製品化されているものはないんです。ただ、0.21になれば、それなりに0.21付近になるような製品も製造され得るということになります。

○山本部会長 酸度の場合は、実際の衛生面の問題はある程度あるんだけれども、上げたことによって変わるということではないという判断ですね。

○事務局 乳の一般的な衛生管理というものは昭和26年当時よりは比べものにならないくらい衛生管理が徹底されておりますので、酸度が0.21になったから不衛生、鮮度の悪い乳を使おうとか、そういった趣旨での要望ではないので、特に問題はないかと。ただ、引き続き業界団体のほうには衛生管理は徹底していただく、ということが重要ではないかと思います。

○丸山委員 今の現状で言えば、かなり衛生的な問題で言うと問題はないと思うので、その辺がクリアされていれば、これでもいいと思います。

○山本部会長 国内はこれでいいのですが、輸入品に関して、どういうふうに考えたらいいのかなというところもあります。

○事務局 諸外国において、牛乳等に酸度を規定している国はないです。

○山本部会長 ということは、輸出する場合には日本の規格に合わせてくるということですね。1つは、少し上がることによって商品の多様性も出てくるだろうとは思いますが、特に安全面ということで問題がなければ、変更しても問題はないというふうには考えられると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。特に御意見はございますか。

 丸山委員のおっしゃるのは、データとして出ているのがこれだからということと、山羊乳との整合性みたいなことがあったと思うのですが、規格が今0.18%以下になっておりますので、実際の製品はそんな値のものが出てきてはいない。たまたまモデル乳をつくったときにその値になったということですので、その部分で衛生的に問題がなければ、そこまで上げておいても商品の多様性を確保する上ではいいのかなということでいけるかとは思いますが、事務局、どうぞ。

○事務局 1点だけ補足説明させていただきますと、山羊乳との整合性という点におきまして、実際のここにある山羊乳の酸度0.20%以下というのは、その成分を調整していないものということになります。牛乳につきましても成分を調整していないものにつきましては、ジャージー種以外、通常の牛乳になりますと0.18%以下、ジャージー種になりますと0.20%以下という酸度が決められておりまして、これについては現在のところ変更する予定はございませんので、追加で御報告させていただきます。

○山本部会長 よろしいですか。比重と酸度につきましては、御意見を一とおりいただいたかと思いますが、議題1の成分規格の見直しについては資料15ページ目「4.今後の対応方針(案)」がありますが、食品安全委員会へ諮問するということでよろしいでしょうか。

 丸山委員、0.21ということでよろしいですか。

○丸山委員 はい。

○山本部会長 成分調整乳だけがそこに上がってくるということで、ほかは変更なしということになります。

 それでは、事務局、食品安全委員会への諮問をよろしくお願いいたします。

 次に、議題1のうちの発酵乳の規格基準の見直しについて審議を行いたいと思います。

 事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料2を御覧ください。発酵乳の規格基準の見直しについてです。

 「1.経緯」につきましては、発酵乳についても先ほどの件と同様に乳等省令において規格基準が定められております。

 近年における製造方法や製品の多様化を踏まえ、実態に即した規格基準となるよう関係団体から要望が来ており、これにつきましても平成21年に当部会において改正要望の内容について説明を聴取したところでございます。また、その後、平成261月に低温発酵乳について新たに要望があったことから、今回、発酵乳に関する要望について全体的に検討するものでございます。

 発酵乳については大きく分けて2つ案件がございます。

1つ目でございますが、発酵後に殺菌する発酵乳についてです。乳等省令では発酵乳について定義しており、成分規格において乳酸菌数又は酵母数を1mL当たり1,000万以上と定めております。そのため発酵乳を発酵後に殺菌すると成分規格に満たさないため、発酵乳ではなくて乳を主要原料とする食品に分類されることになります。

 また、諸外国の状況ですが、コーデックスの発酵乳類の規格では、発酵乳類とは発酵乳や加熱処理された発酵乳、濃縮発酵乳及びこれらの製品からなる複合乳製品を含むと規定されておりまして、発酵乳類の微生物基準については、発酵後加熱処理された製品には適用されていないとされています。

 また、米国においても保存性を高めるために、発酵後に殺菌するということを認めております。

 「(2)要望内容」ですが、発酵乳を発酵後殺菌したものについても、発酵乳に分類されるよう、発酵乳の成分規格、乳酸菌数の適用外とする見直しが必要ではないかというものです。

 製造工程や用途についてですが、通常の発酵乳と同様に、原料乳を殺菌し、発酵させます。その後、75度以上で15分間加熱する。又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌が行われます。

 用途でございますが、そのまま発酵乳を発酵後殺菌したものをそのままヨーグルトとて売るというものではなく、洋菓子やデザートの原材料として使用されるということが現在の用途としてございます。通常の発酵乳は乳酸菌が生きているので、日数の経過とともに味や酸味が変化し、また、酸度が高くなるので、離水するなどの影響が出てきます。また、洋生菓子の衛生規範においても細菌数が1gにつき10万以下としておりますので、洋菓子に使用するためには発酵乳の殺菌が必要となっているところです。

 ここで参考5-2を御覧ください。3ページ目になります。本件につきましては、平成21年に当部会において議論されたときに幾つか指摘事項がございまして、業界団体の方からその回答について資料を提出していただいております。

 まず初めに指摘があったのは、コーデックスの加熱処理とは、どの程度の加熱処理なのかどうかという指摘でございます。コーデックスの一般規格においての文書でございますが、その中に「発酵後に加熱処理(滅菌又は低温殺菌等)されている」という規定がございますので、コーデックスの加熱処理というものは、今回提案させていただいている75度以上で15分間加熱殺菌というものとほぼ同等ではないかと考えられます。

 また、殺菌することのメリットはどういったものがあるのかという御指摘ですが、原材料としての利用を想定しておりまして、洋菓子とかデザートの製品の多様化に対応できる。また、殺菌されておりますので、品質管理が容易になるという利点があります。

 ヨーグルトを食べたい人は、乳酸菌を摂取したいという目的で選ぶ方がいると思うのですが、今回は殺菌するので乳酸菌がいないということで、それでメリットが失われてしまうのではないかという御指摘もあったのですが、乳酸菌が死滅するのでプロバイオティクスの効果は期待できませんが、今現在、乳酸菌飲料で殺菌したものでも特定保健用食品として承認を得ている商品もございます。乳酸菌の効果というものは期待できませんが、今後、特定保健用食品としての可能性も秘めている商品が出てくるであろうということはメリットとして挙げております。

 発酵が十分に進まない段階で、殺菌してしまうということがあるのではないかということで、スターター菌数の設定が必要ではないかという御指摘があったのですけれども、スターター菌数の設定は製造方法とか使う菌がさまざまありますので、規定を設定するというのは困難であると考えております。実際にヨーグルトの味を出すことが前提としてありますので、そういった酸味だったりとか、ヨーグルトの味を出すためには十分に発酵させる必要があるので、発酵乳1mL当たり1,000万以上の乳酸菌が増えてから、殺菌しないと、目指している製品というものは得られないので、発酵不十分な段階で殺菌することはほとんど考えられないと思われます。

 資料2に戻っていただきまして、2ページ「(4)発酵乳及び乳酸菌飲料に関する過去の見直し」です。

 発酵乳及び乳酸菌飲料に関する規格基準については、昭和44年に大きな見直しが行われ、その後はほとんど見直しされておりません。昭和44年においては発酵乳と言われているものを、発酵乳と乳酸菌飲料の2つに分類したという改正が行われております。

 下の表を御覧ください。表示のところを御覧いただくと、今現在、発酵乳と乳製品乳酸菌飲料、乳製品乳酸菌飲料(殺菌)、乳主原に分類されている乳酸菌飲料という4種類ございます。その中で注目していただきたいのが、乳製品乳酸菌飲料についてですが、乳製品乳酸菌飲料で殺菌していないものについては、乳酸菌1,000万以上の規定がかかりますが、現在においても乳製品乳酸菌飲料で殺菌したものは乳酸菌数の規格の適用外となっております。

 「(5)対応(案)」でございます。発酵乳を発酵後殺菌したものは、市場のニーズがあり、また国際的にも発酵乳の範疇に含められております。

 わが国でも、乳製品乳酸菌飲料に殺菌されたものと殺菌していないものがあり、発酵乳についても同様の取扱いをしても問題ないと考えられます。

 上記を踏まえまして、発酵乳であって、発酵後殺菌するものについては、乳酸菌数又は酵母数の成分規格の適用外とする改正を行いたいと考えております。なお、本件につきましては、消費者に誤解を与えないように、発酵後殺菌の有無について適切に表示されることが必要であることから、表示については消費者庁と協議したいと考えております。

 発酵乳について2つ目の案件でございますが、「3.低温で発酵した製品の乳酸菌数の測定法について」です。

 「(1)背景」ですが、一般的な発酵乳に用いられる乳酸菌の増殖の至適温度は、3540度であります。そのため乳酸菌数の測定法に、「35度から37度までの温度で72時間培養する」と定めております。

 一方で、至適温度が2030度という、いわゆる中温性乳酸菌と呼ばれるものですが、そういったものを発酵に用いる製品というものもあって、例えばカスピ海ヨーグルトや北欧の伝統的な発酵乳がこういった至適温度が低温な乳酸菌を使用しております。

 「(2)要望内容」ですが、至適温度が25度前後の乳酸菌を用いた発酵乳は、乳等省令で定められた測定法では培養温度が高いので、適切に乳酸菌数が測定されず、発酵乳の成分規格(乳酸菌数)を満たさない結果となるので、測定法を見直す必要があるということです。

 至適温度が低温、いわゆる中温性乳酸菌と呼ばれておりますが、その乳酸菌については、コーデックスの発酵乳類の規格でケフィアに使用するとされている乳酸菌に含まれております。これらは健康に害を及ぼすものではなく、現在においても使用を規制しているわけではございません。

 増殖の至適温度は25度前後で、一般的には72時間の培養で良好にコロニーが形成されるものです。

 製品製造においては、25度前後で30時間以上、乳酸酸度0.7%程度になるよう培養する。乳酸菌数というものは規格基準にあります1,000万個を超えていますが、現在の測定法では、そういった菌が検出できないということなので、現在では36度前後で増殖する菌も加えて、成分規格に合うように製造されているということでございます。

 「(4)対応(案)」についてですが、発酵に使用する乳酸菌の至適温度を考慮した測定法であるべきなので、測定法に培養温度について、現在では3537度までの温度で培養するとありますが、25度前後でも培養することを追加したいという改正をしたいと考えております。

 なお、乳酸菌飲料についても、今後同様の乳酸菌を用いた製品が考えられます、また、適切な監視指導には低温で発酵した製品であるか否かという情報が必要になりますので、発酵乳及び乳酸菌飲料について、低温で発酵した場合はその旨が表示されるよう、消費者庁と協議したいと考えております。

 改正案ですが、先ほどの1つ目と2つ目の案件をイメージしたものを表に示しておりますが、発酵乳については今回、表示のところを見ていただければと思いますが、空欄のところが何もしない、現在販売されている発酵乳で、真ん中の低温発酵というのが先ほどの至適温度が25度前後の乳酸菌を用いた発酵乳、あと殺菌というものが発酵後に殺菌されたもので、それらについては乳酸菌数の規格基準が適用外になるという改正。

 また、乳酸菌飲料につきましては、現在でも殺菌されたものと殺菌されていないものというカテゴリーがありますが、それに低温で発酵されたものというカテゴリーをつくるというものです。

 「4.今後の対応方針(案)」でございますが、上記の2つの案件の対応案につきまして、食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼し、評価結果を受けた後、特段の問題がなければ乳等省令改正のための所要の手続を進めたいと考えております。

 事務局からは以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 発酵乳に関しましてもかなり長い説明でしたが、1つは殺菌をするということですね。それが規格として変わってくるので、その部分を入れたいということと、乳酸菌の中の中温増殖菌といいますか、25度前後でふえる菌がいる。それを使った製品が今は成分規格が違っているために36度前後の増殖菌を一緒に入れて1,000万個出てくるように培養している。そういう形ですので、その部分を変更して、説明の3ページにありました改正(案)のような形で、それぞれが3つずつ、発酵乳についてもこれまでどおりのもの、低温発酵のもの、殺菌したもの。乳製品乳酸菌飲料でも低温発酵を1つ加えるということでございます。御意見がありましたら、お願いいたします。

 林谷委員、どうぞ。

○林谷委員 意見というか質問です。この低温で発酵する乳酸菌の測定法の改正は、具体的にどのようにするのでしょうか。

○事務局 資料24ページ目に改正のイメージを示しております。該当部分が「(七)乳等の成分規格の試験法」ということでページ中ごろにありますが、「(3)発酵乳及び乳酸菌飲料」の「3 乳酸菌数の測定法」にありまして、下線を引いております。現行は「35度から37度までの温度で培養」とありますが、今回は「35度から37度(製造時の発酵温度が25度前後の製品にあっては24度から26度)までの温度」としたいと考えております。

○林谷委員 分かりました。ありがとうございます。

○山本部会長 丸山委員、どうぞ。

○丸山委員 今の資料の4ページの改正案のところで、発酵乳の原料の殺菌方法ですが、これは62度で30分間殺菌するか、又はこれと同等以上ということになっているのですが、たしか牛乳は今は63度、30分以上だったと思います。その理由としては、たしか牛乳の中のQ熱の病原体のコクシエラを殺菌できる条件ということで、63度、30分以上と変わったのではないかと思うのですが、こちらの原料乳というのは、普通の発酵乳の原料というのは生乳でしょうか。

○事務局 法令上、生乳に限っておりませんで、発酵乳とは乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵したものという形になっておりますので、生乳だけというわけではない状態です。

○丸山委員 生乳も含まれる可能性もあるということですね。そうすると、こちらも63度に合わせておいたほうがいいのかなという気もするのですけれども、いかがでしょうか。

○山本部会長 前からヨーグルトの原材料は温度が低いのが気になっていたのですけれども、事務局はいかがですか。

○事務局 確かに御指摘のとおり若干温度が低いということもありますので、経緯等を調べて、検討したいと思います。

○山本部会長 小西委員、どうぞ。

○小西委員 試験法についてお伺いしたいのですけれども、今度の改正について先ほど林谷先生から御質問がありました試験法ですが、これはバリデーションをとってある試験法なのでしょうか。

○事務局 バリデーションされているかどうかというのは、もうかなり昔に策定された試験法ですので分からないのですが、現在この方法でやってもちゃんと乳酸菌というものが測定できているということなので、実情は問題ないとは考えております。

○小西委員 でも、これからやはり国際対応などがありますと、バリデーションをとっているということが1つの基準になると思いますので、ぜひこの試験法に関しましては、バリデーションをとったものを通知法として載せられると。省令ではなくて、試験法も培地もどんどん新しいものが出てくると思いますので、それに対応できるように、通知法として試験法を載せるということを私は提案させていただきたいと思っております。これを変えるときには、ぜひバリデーションしたものを載せるようにしていただければと思います。

○事務局 検査法のバリデーションについては、国衛研の先生方とも相談させていただきながら検討させていただきたいと思います。また、試験法の省令を通知にというところですが、今のところ乳等省令はこれも含めて全て省令で検査法を決めておりますので、全体的なことについては今後の検討課題かと思っております。

○小西委員 ぜひよろしくお願いいたします。

○山本部会長 事務局に質問ですが、例えばそういう通知で試験法を示すというときには、この省令の中にそのことを書き込んで、別途通知でというような形にしておけばよろしいということで対応できるのですか。

○事務局 恐らくですが、今、省令に書かれている試験法を全て削除して、それで試験法については別途通知で示すということになると思います。

○山本部会長 そういう形になりますね。ということは、もし改正するにしても、暫定的にはこのところをしばらくは使うと。

○事務局 今後、省令から落とすことも踏まえて検討したいと思います。

○山本部会長 では、よろしく御検討いただきたいと思います。

 西渕委員、どうぞ。

○西渕委員 バリデーションについて、小西委員にお伺いしたいのですが、このバリデーションというのはコーデックスレベルのインターナショナルなレベルでのお話でしょうか。

○小西委員 コーデックスが決めているバリデーションの方法は、いくつかある方法の1つととらえています。形というよりも、どこの機関がやっても同じデータが出るということが、ある程度科学的根拠として裏づけられる方法であれば、どんな方法を使ってもバリデーションをとったとは言えると思います。

○山本部会長 今後のことについては、その試験法については検討していただくということで、事務局とも相談しながら進めたいと思います。事務局。

○事務局 先ほどの発酵乳の原料乳の殺菌温度が62度で30分という話ですけれども、今、確認すると乳飲料の原料においても62度で30分となっておりますので、本件につきましてはもう一度、その他の製品を含め確認し、全体的に整合性がとれるかどうか検討したいと思います。

○山本部会長 あまりばらばらとした状況はよろしくないかと思いますので、その辺を併せて事務局と私にお任せいただいて、その部分については全体的に直した形で諮問する方向で考えると。残りのことについて、試験法はバリデーションをするにももう少し時間がかかりますので、とりあえずはこのままの形で諮問をかけるということにして、もう少し時間をかけて、この試験法はバリデートしたものに置き換えるということになろうかと思います。また、そのときには諮問が必要になるんですね。改正になるとややこしいのですけれども。

 ほかに御意見はございますか。低温発酵ということを加えるとか、発酵乳に殺菌という部分を加えることについては、皆様方の同意は得られるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本部会長 分かりました。それでは、今の議論を踏まえて、今後の対応ということで食品安全委員会に諮問をお願いいたします。

 それでは、議題「(2)乳に含まれるアフラトキシンM1 の取扱いについて」、審議を行いたいと思います。

 事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料3を用いまして、御説明させていただきたいと思います。「乳に含まれるアフラトキシンM1 の取扱いについて」ということで、まず「1.アフラトキシンM1 について」でございます。

 アフラトキシン類はアスペルギルス・フラバス等が生産するかび毒であり、食品での含有が問題となるのはB1 B2 G1 G2 M1 M2 6種類というものでございます。これらの化合物は発がん性を示すことが知られておりますが、この中でも最も強い発がん性を示すものがアフラトキシンB1 でありまして、主に落花生やとうもろこし、ナッツ類等に検出される。また、飼料中のアフラトキシンB1 が動物体内で代謝され、アフラトキシンM1 になることから、乳への排泄というところで、畜産物については牛乳やその加工品におけるアフラトキシンM1 の汚染が問題とされております。

 なお、食品中のアフラトキシンM1 以外のアフラトキシン、B1 B2 G1 G2 につきましては、食品安全委員会の食品健康影響評価を踏まえまして、食品規格部会のほうで審議が行われた結果、アフラトキシンB1 としていた指標を総アフラトキシンに変更するということ。さらに規制値を10μg/kgとすることとなりまして、現在でも食品衛生法第6条第2項、有毒・有害物質を含む食品等の販売の禁止、こういったことで規制しております。

 今までの経緯ですけれども、平成13年にコーデックスにおいてアフラトキシンM1 の最大残留量0.5μg/kgが設定されました。また、こういった国際的な動きがあることを受けまして、平成13年度に牛乳の調査を行いまして、平成14年にその報告を食品規格・毒性合同部会に報告をしました。結果はコーデックスの規格を大きく下回っているというものでございました。

 平成20年に食品規格部会のほうで食品の汚染物質に係る規格基準設定の基本的な考え方が整理されまして、アフラトキシンM1 についても規格基準設定の対象とされております。

 平成22年に当部会におきまして、今後の取扱いについて審議していただいた結果、規格基準の設定について食品安全委員会に評価依頼をするとされ、平成2212月に評価を依頼しまして、昨年7月に評価結果が通知されたところでございます。

 国際的な評価で3番、JECFAの評価でございます。

1997年にアフラトキシン類、これはB1 B2 も全て含みますが、こういったものはヒトの肝臓の発がん性物質である。許容摂取量は示されず、摂取は合理的に達成可能な値にまで低減されるべきと評価されておりまして、アフラトキシンM1 につきましては、アフラトキシンB1 と比較して、約10分の1の発がん性を示すと評価されております。

 また、2001年、平成13年にJECFAにおきまして、アフラトキシンM1 の基準値を0.05又は0.5μg/kgとして採用した際に予想される肝臓がんのリスクの差は非常に小さいと評価されておりまして、4にありますとおり、コーデックスにおきましては、乳を対象として最大残留量を0.5μg/kgとしております。

 「5.我が国における飼料中のアフラトキシンB1 低減対策」でございます。農林水産省におきまして、アフラトキシンM1 の生乳への移行データや乳牛用の配合飼料中のアフラトキシンB1 のモニタリングといった結果をもとに、乳牛用配合飼料のアフラトキシンB1 の指導基準値を決めておりまして、その値は0.01mg/kgとなっております。

 また、この遵守状況を確認するために、毎年、モニタリング検査が実施されておりまして、19892011年度の配合飼料中のアフラトキシンB1 の平均値が0.0010.004mg/kgであった。また、これまでに基準値を超える事例は認められていないと報告されております。

6番で、日本において流通している食品の汚染実態調査のところでございますけれども、厚生労働省におきましては、平成13年から汚染実態調査を実施しております。

 まず、平成13年にJECFAにおきまして、アフラトキシンM1 の評価をされた。こういったことを受けまして、牛乳208検体の検査を行いました。その結果、検出の平均は0.009ppb、最大値でも0.029ということで、現状の汚染レベルであれば、肝臓がんの発生は無視できると、こちらが平成145月に食品規格・毒性合同部会に報告されたものでございます。

3ページでございます。飼料中のアフラトキシンB1 の汚染が増加しているといったことを受けまして、平成15年度に今度は生乳につきまして299検体、こちらのアフラトキシンM1 の濃度を測定した結果、アフラトキシンM1 の検出値は平均0.0074ppbで、最大でも0.043ppbでございました。この調査では季節的変動というよりも飼料中のアフラトキシンB1 の濃度の影響が大きいというものが分かりました。

 平成20年度になりますけれども、海外の乳製品におきまして、コーデックス規格を上回るアフラトキシンM1 の汚染実態が報告されていることを受けまして、輸入の乳製品、ナチュラルチーズやバター、ホエイパウダー等につきまして、アフラトキシンM1 の濃度を測定いたしました。その結果、バターやホエイパウダーからアフラトキシンM1 は検出されていないのですが、ナチュラルチーズ8検体からアフラトキシンM1 が検出されて、そのときの最大の値が0.059ppbというものでございました。

 また、それまでのアフラトキシンM1 の検出値等を用いまして、モンテカルロ法によります暴露評価を実施したところ、我が国における小児の肝臓がんのリスクは99.9パーセンタイル値の摂取の子供でも暴露量が0.5634ng/kg体重/日というもので、その発症率は年間10億人に7人というもので報告されております。

 平成22年度になりますけれども、当部会で乳児への影響も確認すべきという意見がございましたので、調製粉乳等につきましてもアフラトキシンM1 の汚染実態を調査いたしました。106検体につきまして測定した結果、36検体からアフラトキシンM1 が検出しております。その検出値ですけれども、粉末乳14g100mLに溶解、いわゆる飲む状態にしたときの換算値ですが、最高値は0.025μg/kgということで、平均値は0.002μg/kgというものでございました。

 「7.食品健康影響評価」でございますけれども、厚生労働省から乳中のアフラトキシンM1 の基準を設定することについて食品健康影響評価をお願いしております。また、同時に農林水産省からも飼料中のB1 の規制についても評価を依頼しているところでございます。

 その結果の概要でございますが、日本で実施された市販牛乳、生乳及び調製粉乳のアフラトキシンM1 汚染実態調査結果を用いて、アフラトキシンM1 の生涯摂取量を推定し、発がんリスクを推計した結果、現状における発がんリスクは極めて低い。

 また、日本で実施された配合飼料等の汚染実態調査の結果、配合飼料中のアフラトキシンB1 に関して、農林水産省が定めた指導基準に比して低いレベルを維持している。

 飼料中のアフラトキシンB1 からの乳への移行については、牛のアフラトキシンB1 摂取量の増加に比例して乳中アフラトキシンM1 濃度が増加することが示されており、飼料中のアフラトキシンB1 を抑制することにより、乳中のアフラトキシンM1 濃度を低下させることができる。

 これらのことから、現状においては飼料中のアフラトキシンB1 による乳及びその他の畜産物を介するヒトへの健康影響の可能性は極めて低い。しかし、アフラトキシンM1 及びその他の一部代謝物が遺伝毒性発がん物質であることを勘案すると、飼料中のアフラトキシンB1 及び乳中のアフラトキシンM1 の汚染は合理的に達成可能な範囲で、できる限り低いレベルに抑えるべきである。特に乳幼児の単位体重当たりの乳摂取量が他の年齢層に比べて多いことに留意する必要がある。こういった評価結果を受けております。

 この結果を踏まえた対応案でございますが、現時点におきまして、農林水産省の指導による飼料中のアフラトキシンB1 の規制によりまして、乳中のアフラトキシンM1 濃度は低く、ヒトへの健康影響は極めて低いと評価されることから、現行の飼料規制が引き続き行われることを条件に、直ちに規格基準の設定は必要ないと考える。

 しかしながら、アフラトキシンM1 及びその一部代謝物が遺伝毒性発がん物質であることを勘案すると、飼料中のアフラトキシンB1 及び乳中のアフラトキシンM1 の汚染は、合理的に達成可能な範囲でできる限り低いレベルに抑えるべきであり、特に乳幼児の単位体重当たりの乳摂取量がほかの年齢層に比べて多いことに留意する必要があるとされていること。また、国際的なアフラトキシンM1 の基準値設定の動向ですとか、我が国におきます食品流通の実態といったことに鑑みまして、法第6条第2号、最初のほうに出てきましたけれども、有毒・有害物質を含む食品の販売等の禁止、こういったことに基づきまして、乳に含まれるアフラトキシンM1 の規制についても検討する必要があるのではないか。こういうふうに考えております。

 以上でございます。

○山本部会長 ありがとうございました。

 アフラトキシンの規制の話ですけれども、ほかのB1 B2 G1 G2 に関しては合計した総アフラトキシンという形での第62号の規制がかかっているわけですが、M1 については今までなかったので、食品健康影響評価の結果を踏まえて、62号に基づく規制を検討する必要があるのではないかという話ですね。ここを検討するということは、これを設定していこうという話ですけれども、そのときの話としては、検出されてはならないとしてしまうと、これは検出するということで、どんどん弾かれるものが出てくる可能性がある。とすると、ある程度その規制値的なものを決めなければいけない話にはなると思います。

 説明の中でmg/kg、μg/kgppbng/kgと単位がいろいろ出てきて、ぱっと見たときに理解がしにくかったようには思いますが、これは全部ppbの単位に直していきますとどうなるかということですが、最初の2ページが0.01mg/kgだから10ppbでよろしいですかね。

 その次のアフラトキシンB1 の平均値は0.01だから、14ppbですか。その次はppbになっています。

3ページの(3)の20年度の99.9パーセンタイル値の値はngだから、その上が0.059ppbということで、0.0005634ppb、次のは0.025μg/kgだから0.025ppbでよろしいですね。

 遺伝発がん物質だということですので、可能な限りゼロに近づけるということが本当は必要なのでしょうけれども、今回この値については議論はしなくてよろしいでしょうか。事務局はどうですか。

○事務局 先生方から意見がございましたら、値についても議論をしていただければと思います。

○山本部会長 小西先生、何かありますか。

○小西委員 まず原点に戻って、検討する必要があるという根拠を私は幾つか挙げたいと思うのですが、最初は飼料をコントロールすれば、乳中のアフラトキシンM1 はコントロールできるということ。これはJECFAも言っていますし、食品安全委員会も言っております。そのとおりだと思いますが、日本では飼料のモニタリングをしているので、農水省のほうで規制をしているから、乳のアフラトキシンM1 は安全だというような理論が成り立つかとは思うのですが、まず農水省のモニタリングがどのくらいの頻度で行われているかということに対しての懸念もあります。

 今のところはホームページで見ますと、年間60検体くらいがモニタリングをしているということです。御存じのようにアフラトキシンB1 というのは局在汚染ですので、モニタリングをしていても取り逃がすことは多々ございますので、そういう危険性もあると思います。

また 農家での保管中でのかび毒の産生を農水省はどのくらいモニタリングしているかというのも懸念の材料にもなりますので、そういうことを考えると食品とダブルで規制を持つということは効率的なことではないかと思っています。

 国際的に見ても、EUにしても、アメリカにしても、コーデックスにしても、飼料と食品の両方で規制をつくっているものですから、そういう面で日本でもそのような対応をするということは、日本の水準が国際的な水準に達してきたということも意味すると思っております。

 もう一つは、乳幼児への影響でございます。国産のミルクに関しては農水省がきちんとモニタリングをしているということで担保されているとしても、輸入食品の乳製品に関しては、やはりM1 規制を行わないと乳幼児への暴露を最小限にはとどめられないのではないかと思いますので、ぜひこのM1 規制というのを検討していただきたいというのが、最初の私の意見でございます。

 次に、規制に対しての要望です。正直ミルク、生乳のアフラトキシンM1 を調べたときには、全ての生乳からM1 が検出されております。平均は非常に低くて、3ページの(2)に書いてありますように、0.0074ppbでございますけれども、検出されなかった生乳はございませんでした。

 また、粉ミルク、これは(4)の検体ですけれども、これからも微量ですが36検体から検出されたということを考えますと、これは座長が先ほどおっしゃったことですが、検出されてはならないという基準になりますと、非常に限られてしまうのではないか。あまり現実的ではないのではないかと、今、考えております。

 そのため、コーデックス基準に合わせるというのが今のところ健康影響評価が極めて低いということですので、国際的な水準である0.5ppb、μg/kgという値が規制値としては適正ではないかと私は思っております。

 長くなって申しわけありません。

○山本部会長 ありがとうございました。

 規制をしなければいけないという考え方がよく理解できたのではないかと思いますが、なかなかこの場で、では値をどこに持っていこうかというのは難しいところもあるかと思いますけれども、1つの提案としてはコーデックスの規格。これは国際規格ということですので、そのまま適用するというのは特段間違ったことではなさそうと考えられるのですが、ほかにこれに関して御意見はございますでしょうか。

 河野委員、どうぞ。

○河野委員 今、小西委員がおっしゃったことに関しまして、私も同意することがたくさんございます。特に飼料規制をしっかりすれば、当然その後は対処できるという今回の御提案も分からないこともないのですが、今その飼料はほとんど輸入だと思いますし、その飼料の原産国も多分状況によって、どんどん変わっていくような状況かと思いますし、その辺りがどれだけ担保されるのかというところが消費者とすると不安に思うところです。

 乳製品として入ってくるものも、その食品の原料として使われるようなものも入ってくる可能性もありますので、その辺りはどう考えるかということもあります。ですから、もし規格基準が置けるのであれば、やはりそういう形で議論をしていただければなとは感じるところです。

○山本部会長 ほかにございますか。規格基準を設けようと。現行の総アフラトキシンも62号でやっているということから、M1 についても62号の適用対象だろうと考えられますけれども、その場合の値として、ある程度この下限値といいますか、これ以上見つかってはいけないという値を設定したほうが現実に合っているのではないかということ。国際整合性の問題も含めてということであれば、コーデックスに合わせるのが妥当かとは考えられますけれども、事務局、この場で決定するということでなくてもよろしいですか。

○加地分析官 私のほうから補足説明をさせていただきます。今回これは食品衛生法の11条に基づく規格基準の設定の諮問といいますか、検討をお願いするのかどうかという場です。ここで書いているのはいずれの形にしろ、M1 は皆さんがお考えのように何らかの厳しい規制をかけようということです。

 ただ、B1 B2 G1 G2 に規制をかけようとしたときも、11条でやるのか62号でやるのかとこの部会で議論されまして、規格基準である11条に持っていくと、逆にその数値までは含有してもいいではないかと。発がん性物質でありながら、そこまでがいわゆる許容範囲になってしまうという印象で、いずれも規制は非常に厳しくするわけですが、そういう11条規格の性格がどうしてもあるので、あのときもいろいろと議論をして、ここでも議論をしていただいたのですが、結局11条で残留基準値を設定するよりも62号で、小西先生がおっしゃった、本来であれば不検出にしたいところではあるけれども、現実的な部分で検出下限値といいますか、あるいは現実的な規制値をセットして、今10ppbが一応その線になっているわけですが、そういう意味で62号のほうに持っていったということです。

 ですから、今回の諮問も消極的に基準をつくらないでおこうということではなくて、規制をがっちりかけたい、M1についてもかけよう。ただ、それを62号でやるのか11条でやるのかというところは行政的な部分もあって、過去の例でいくと6条でやりましょうという話になりました。そこの部分を含めて御検討をいただければと思います。

○山本部会長 どうもありがとうございました。私の拙速な意見を申し上げてしまいましたけれども、確かに11条でやりますと残留基準値みたいな形になって、それ以下であれば安全みたいなことになる印象はあるということです。

 小西委員、どうぞ。

○小西委員 私は、やはり遺伝毒性がある汚染物質であるということ。それから、規格基準ですと乳だけに特定されてしまって、チーズとか、ほかの原材料が来た場合に逃してしまうようなことがあり得るかもしれないということを考えると、62号が適しているのではないかと思います。管理水準というか、これ以上検出したものを検出したというふうにするというのは、総アフラトキシンと同様に行ったらよろしいのではないかということを思います。

○山本部会長 ありがとうございました。

 議論としてはそういう形で設定をしていこうという方向で、皆さんの意見が一致しているということと、あとは値ですかね。この値を超えたらだめとか、この値以上のものを規制していくというような値についての話ですが、一応コーデックスの値があるということですので、これは事務局、いかがですか。今ここの場で決めるというか、取りまとめを私とやるということでよろしいですか。

○事務局 もし合意するものであれば、お任せいたします。

○山本部会長 そうしますと、アフラトキシンM1 につきましても規制の方向でいくと。一応62号の規制をかけていこうというところを合意していただいて、値につきましては小西委員の御提案のコーデックスの値を事務局と私とで最終的に検討しまして、また皆様に御連絡するという形で取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本部会長 どうもありがとうございました。

 次に「(3)食肉製品の微生物検査法について」、審議を行いたいと思います。

 事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料4に基づきまして、御説明させていただきます。食肉製品のうち、非加熱食肉製品、特定加熱食肉製品、加熱食肉製品のうち加熱した後容器包装に入れたものにつきましては、サルモネラ属菌の成分規格が定められております。こちらの定義については厚生省告示のほうで決められておりまして、試験法につきましては通知で示しているものでございます。

 今般、試験法につきまして国際的整合性を図る観点。あとは、この試験法で陰性となる菌による食中毒が発生しているということから見直しの検討を行ったところ、試験法の見直しに合わせまして、定義についても変更する必要が認められております。

 サルモネラ属菌の定義については告示におきまして、グラム陰性の無芽胞性の桿菌であって、アセトイン陰性、リジン陽性、硫化水素陽性及びONPG陰性で、ブドウ糖を分解し、乳糖及び白糖を分解しない、運動性を要する通性嫌気性の菌をいう。こういったふうに定義されておりまして、試験法はこちらに記載したとおりでございます。

 「(3)見直しの概要」でございます。サルモネラ属菌につきましては、一般的に硫化水素生産性を示すことから、食肉製品における定義では硫化水素陽性のものとしております。しかし、数は少ないのですが、硫化水素非産生などの非定型のサルモネラ属菌がありまして、食中毒の報告もされている。また、厚生労働科学研究費補助金の研究班のほうで試験法について検討していただいたところ、国際標準法であるISOと妥当性確認が行われた試験法が報告されております。

 試験法の概要については、下に記載してあるとおりでございまして、その結果、現在の定義では硫化水素陽性の定型的な菌をサルモネラ属菌としていますけれども、新しい試験法等につきましては、硫化水素非産生性やリジン陰性などの非定型の菌についても検出することとしておりますことから、サルモネラ属菌の告示にあります定義を見直す必要が生じております。

 試験法を改正することにより、今までサルモネラ属菌として判定されなかった菌についても、新たな試験法ではサルモネラ属菌というもので検出されていることになりますので、食品の安全性については向上されるものと考えております。

 以上のことから、規格基準にある定義を以下のとおり見直すというふうに提案させていただきたいと思っております。

 改正案ですけれども、2ページの下から3ページの最初までは変わっておりません。「ただし」以降になります。「ただし、リジン陰性、硫化水素非産生などの非定型の菌であって、抗原性、生化学性状、遺伝子などの検討を行いサルモネラ属菌として判断されたものを含むものとする」。こういった意味の追記をさせていただければと考えております。

 「4.今後の対応方針(案)」でございます。サルモネラ属菌の定義を変更することにつきまして、食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼し、その結果を受けた後に規格基準改正の所要の手続を進めるとともに、試験法について改正の通知を発出するというふうに考えております。

 また、「5.その他」になりますけれども、食肉製品の黄色ブドウ球菌の試験法につきましても、検討委員会において検討したところ、新たな試験法等が示されておりますので、サルモネラ属菌の試験法の改正とともに通知したいと考えております。

 以上でございます。

○山本部会長 ありがとうございました。

 食肉製品の微生物試験法については、厚生労働科学研究で委員会をつくって検討がなされてきたところでありますけれども、この場合に硫化水素非産生やリジン陰性などの非定型のものも検出する試験法となったということで、サルモネラ属菌の定義そのものを改正する必要があるということから、食品安全委員会に諮問が必要となっております。

 そのときに、黄色ブドウ球菌については試験法の改正だけなので、通知で対応できるということでよろしいですか。

○事務局 黄色ブドウ球菌につきましては、定義が告示のほうには載せておりませんで、座長のおっしゃったとおり、通知での試験法改正だけになります。

○山本部会長 試験法の改正についてはサルモネラのほうも通知でできるということですが、これについてはもう既にバリデーション、妥当性確認が行われている試験法を採用するということになろうかと思います。御意見がございましたら、よろしくお願いします。

 甲斐委員、どうぞ。

○甲斐委員 今回の改正案、非定型的なサルモネラを追加するということに関しましては、非常に重要なことだろうと思います。実際にリジン陰性あるいは硫化水素非産生の菌によるサルモネラ食中毒も起きておりますので、やはり食品衛生上、非常に重要な問題だと思っております。

 悩む問題ではありますが、この場合にサルモネラ属菌とはこういうものだという菌の定義が入っています。改正案の2ページの下から2行目のところで、「グラム陰性の無芽胞性の桿菌であって、アセトイン陰性、リジン陽性、硫化水素陽性及びONPG陰性で」と書いてありますが、この主語がサルモネラ属菌ということを規定しているものだと理解します。以前はサルモネラ属菌という言葉ではなく、サルモネラだったと思います。私は何年だったか覚えていないのですが、属菌というような表記方法にされたと思います。実際に分類学的にはサルモネラ属には26亜種あって、この中にはONPGプラスのものもあるわけですね。その辺のところをどういうふうにしていくのかなというのが1つ疑問に思う点です。

 つまり、今回の検査法に関して非定型的な菌を入れるという、それは全然問題ないというか、そうしたほうがいいと思うのですが、それとは別の話として、ここで出すと混乱するかもしれませんけれども、そもそもサルモネラ属菌という表記方法がこれで定義と合うのかなというところです。

○山本部会長 厳密に言うと、エンテリカだけにするということですか。

○甲斐委員 内容が重過ぎてしまって、ここで出すのは不適だったかもしれませんが、ここではこういう問題もあるということを念頭に入れておいていただければよろしいかと思います。

○林谷委員 今のことと関連して教えていただきたいのですけれど、今度の改正案のただし書きのところで、リジン陰性とか硫化水素非産生といった非定型のサルモネラを加えるということですが、このような菌株が実際に分離されてきた時には、抗原性とか生化学的性状とか遺伝子などの検討を行って非定型サルモネラであると判断すると書いてあります。これはどのような菌株をサルモネラと同定するにするのかということについて、試験法の中できちんと明示されているのですか。改正案の概要だけだとあまり詳しく書いていないのですけれども、遺伝子とかいう場合、例えば INV 遺伝子を検出するとか、その辺はもう明確になっているんでしょうか。そうでなければ、定義を変えるとかえって混乱するような感じがします。

○山本部会長 甲斐委員、どうぞ。

○甲斐委員 現在、サルモネラの試験法は随分検討されてきておりまして、やはり検査法も随分進歩してきております。例えば硫化水素非産生のサルモネラも検出できるような方法が検討されておりまして、既にバリデーションも終わっております。この書きぶりでこれをどう読むかにもよるのかもしれませんが、非定型の菌であって、抗原性、生化学性状、遺伝子などの検討を行い、サルモネラ属菌と判断されたものというのは、この3つを全てやらないといけないのか、その中の幾つかで判断されるものはそれでよろしいとするのか。そこの読み方が1つ問題になるかもしれません。

○事務局 これにつきましては、3つを全てやらなければいけないというわけではなくて、これの中のどれかで判断されるものであれば、それで構わないと考えております。

○山本部会長 よろしいですか。

○林谷委員 その辺のところまでは、ここには盛り込まないということですか。

○事務局 告示の文章ですので、そこまでは盛り込まずに、そういったものについては通知等でしっかり示していきたいと考えております。

○山本部会長 丸山委員、どうぞ。

○丸山委員 サルモネラ属菌の定義のところで、3ページの一番上で「運動性を要する」と書いてあるのですが、要するというよりは保有している、持っているということだから、「有する」のほうがいいのではないかという気がします。別に運動性を必要としているわけではなくて、鞭毛を持っているので動き回るからということだから、「有する」のほうがいいのではないかと思います。細かいところです。

○山本部会長 どうぞ。

○事務局 失礼いたしました。こちらにつきましては私のタイプミスで、実際に現状でも「有する」です。申しわけございません。

○山本部会長 では、そこの点は変更していただいて、属菌というものの定義を全体にどうするかという話が残っているのですけれども、そこまで細かく書かなければまずいかということですね。

 甲斐委員、もう少し意見をお願いしたいんですけれども。

○甲斐委員 どういう表現方法がいいのか私も即答できないのですが、単に昔のようにサルモネラだけだったら、そんなに問題にならないと思うのですが、ここに属菌と書いてしまったので、その辺の問題が出てきたのではないかと思います。ただ、サルモネラと書いたときに、一般の人に分かりにくい、だから菌をつけたいというような趣旨で、菌をつけるためにはサルモネラ菌という表現方法はあまり好ましくないということで、属という名前を入れたのではないかと推定するのですが、例えば大腸菌とか、日本語のあるものは菌という名前がついておりますけれども、食中毒で多いカンピロバクターはカンピロバクター菌とは言いませんし、腸炎ビブリオにしても腸炎ビブリオ菌というところまでは言っていないかと思います。今後の検討でよろしいかとは思いますけれども、その辺で少し問題があるかと思います。

○加地分析官 古いことばかり記憶にあるものですから御紹介しますと、確かに甲斐先生がおっしゃるように、最初はサルモネラだったんです。それだと、これは菌なのかどうか分からないので、サルモネラに菌をつけようというのがここの部会で議論になりました。そうするとサルモネラ菌というのは1菌種ではないだろうということで属をつけて、サルモネラ属菌となった経緯があります。

 ですから、当時は先生方の中では、サルモネラ菌あるいはサルモネラ属菌と菌をつけるべきだという議論でありました。そのときと今度はまた分類が変わってきたので、現在どう表現したら一番いいのか、先生方に議論をしていただければと思います。

○山本部会長 なかなか難しいですね。実際の細菌学的な分類とは外れてしまっているのですが、日本の法律上でのサルモネラ属菌というものの定義はこうだということでの理解という解釈が1つあるのかなということだと思いますが、事務局はいかがですか。

○事務局 食中毒の対策として、あくまでも食品衛生法で、この食肉製品で示すサルモネラ属菌とはこういったものですよという形で示されているものと理解しております。実際にほかの菌につきましてもいろいろな定義があって、一般的な定義とは違うものもございますので、そういった法律上内での定義と理解していただければと思います。

○加地分析官 その先生にお聞きしたいのは、学会の中ではサルモネラ属菌というのが明確になっているわけですか。定義されてというか、細菌分類学的にサルモネラ属菌というのはこういうものだと、それが学会ではちゃんと定着されていますか。

○甲斐委員 学会といいますか、細菌学の上ではなっております。

○加地分析官 そうすると、ここの法律用語としてサルモネラ属菌を使うと、そこに意味上のそごが生じてくるおそれがあるということですね。

○甲斐委員 そごはあると思います。ただ、今おっしゃられたように、食品衛生法上で、この法律用語としてはこういうふうに規定するということであれば、それはそれでいいのではないかと思います。例えばこの間の Enterobacteriaceae 、腸内細菌科菌群、あの辺のことと同じことかと今、理解しました。

○山本部会長 学術上のそごというのは少しはあるかもしれないですが、食品衛生法を運用する上での問題が大きく出てこないようであれば、こういう解釈がそういうものだと理解した上でつけるということでも間違いではないとは思いますが、いかがでしょうね。どうしても気になるという先生がおられたら、また検討した上でもう一度お諮りすることになると思います。

○加地分析官 ほかにいい名前はなかったですよね。何かいい名前があれば。

○甲斐委員 なかなか難しいと思います。私にとっては、かえって属菌がなくてもいいのではないかというように思います。ただ、あえて過去にその菌をつけたほうが分かりやすいということで動いてきた部分があるわけですね。

○基準審査課長 そうしましたら、今まで過去の部会でも議論されてきたということですので、先ほど提案させていただいたとおり、食品衛生法上はこう解釈するということを明確にした上で、このままということにさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○山本部会長 それでよろしいでしょうか。では、通知を発出する際に、その定義のことについても説明を書き加えた上で出していただくということで、それを検出する試験法であるということですね。その形で進めていこうかと思いますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○山本部会長 では、事務局、よろしくお願いいたします。

 次に、議題「(4)その他」ですけれども、何かありますでしょうか。

○事務局 それでは、その他ということで2点ほど御報告させていただきたいと思います。

 まず、1つ目でございますけれども、いわゆる成型肉というものについてでございます。参考7になります。昨年いろいろなところで食品の表示偽装といったような事件が報道されていたと思いますが、成型肉と知らせずに1枚肉を使用したステーキとして提供している飲食店があったと。さらにローストビーフの中でも法令上の特定加熱食肉製品といったものについて、規格基準では用いてはならないとしております成型肉を使用していたといった事例も発生しておりました。

 昨年7月にファミリーレストラン2店補で発生したO157による食中毒事件、本件について調査をしたところ、12月に詳細な報告がございまして、成型肉を使用したステーキだったということが判明いたしました。こういった一連の流れを受けまして、参考7にございますように、厚生労働省から自治体のほうに通知を発出いたしました。

 内容といたしましては、食肉製品の規格基準を遵守してくださいというところで、特定加熱食肉製品の製造基準に記載されている肉塊は、食肉の単一の塊であって、結着等の加工処理を行った食肉は原材料として用いてはいけない。こういったものを再度確認してください、遵守するようにしてくださいといったこと。

 もう一つは、飲食店における決着等の加工処理を行った食肉の提供についてということで、これにつきましては平成21年に決着肉等につきましては中心部までしっかり加熱してください。そういったことを通知で示していたのですが、食中毒事件が起こったということで、まず飲食店業者が調理して提供する場合には、客が喫食する段階において、中心部を75度で1分以上又はこれと同等の加熱効果を有する方法により加熱調理するよう指導してください。

 また、(2)になりますけれども、客が自ら加熱調理を行う場合は、飲食店業者は必要な情報提供をしてください、注意喚起をしてください。こういったことで通知を出させていただきました。

 実際に平成21年当時から通知等で指導してきたのですが、こういった食中毒事件等も起きておりますので、今後、成型肉等につきましては、規格基準の策定を含めた検討が必要と考えております。資料等がまとまりましたら、当部会で検討をお願いしようと思っておりますので、その際には、よろしくお願いいたします。

1点目につきましては、以上でございます。

○山本部会長 何か御質問はありますか。ちょっと質問があるのですが、今、成型肉と言われているものは、表示はどういうふうになっていますか。

○事務局 表示につきましては、表示基準が定められておりますが、お肉屋さんで肉として販売するもの、こういったものはそういった処理がしてある旨や中心部まで加熱して召し上がってくださいと、こういった表示がされております。あくまでもパッケージされて販売されるものについてだけですが、表示基準がございます。

○山本部会長 そうすると飲食店が仕入れる段階では、飲食店は成型肉だということを知った上で仕入れるということになるわけですね。

○事務局 そういうことになります。

○山本部会長 西渕委員、どうぞ。

○西渕委員 あまり専門と違うので単純な質問ですが、ここで想定されている食肉は、あらゆる種類の肉という意味ですか。牛肉その他、そういうもので対象になるものがあるのでしょうか。

○事務局 通知上につきましては、畜種については指定しておりません。表示基準についても畜種は指定しておりません。ただ、今後、基準とかそういったことを考えますと、さまざまな畜種によってリスクが違ってきますので、畜種等も考えながら検討していかなくてはいけないのかなと考えております。

○山本部会長 河野委員、どうぞ。

○河野委員 消費者としても非常に関心の高いところでして、最近の食肉加工の技術がどんどん進んできて、新しい形態で提供されているというところが、いわゆる加工食品と言いましょうか、包装された食品には調理のときの注意として、中までしっかりと加熱するようにという表記は徹底されていまして、消費者側もそのことはかなり理解して、サイコロステーキ等ですね、利用しているというふうにはなってきています。

 ただ、今回のメニュー表示の状況を伺いますと、分かっていても成型肉と言いましょうか、あらかじめインジェクションも含めて、手が入ったものをお客さんに提供するときに、そこから食品衛生の問題が発生するとはとても思っていなくて、あくまでもやわらかいものをお安く提供するという、その販売の視点でしか考えていなかったという感じがしますので、改めてこういった形で現場の方に調理の際の留意点を徹底していただければと思っています。

○山本部会長 ありがとうございました。

 通知も必要ですけれども、今後の規格基準の設定みたいなことをおっしゃっていましたので、資料がそろい次第というか、データをそろえていただいて、それについても検討していくということにしたいと思います。

 ほかに御意見がないようでしたら、この件についてはこれで終わりたいと思います。

 では、その他の2番目をお願いします。

○事務局 昨年3月に開催しました当部会でご審議いただいた、生食用鮮魚介類等の加工時における殺菌料等の使用につきまして、食品衛生分科会へ報告し、改正の手続を進めております。対象となる殺菌料等については、当初、部会においては3剤、次亜塩素酸水、亜塩素酸水及び塩酸がございましたが、亜塩素酸水については申請業者から使用基準を設定してほしいとの要望をいただいたことから、パブリック・コメントについては次亜塩素酸水と塩酸の2剤について実施いたしました。

 パブリック・コメントに寄せられた御意見に対する回答(案)につきましては、事前に委員の先生方に御確認をいただくとともに、本年129日に開催されました添加物部会においても取扱いについて御審議いただき、了承されたところでございます。

 現在、生食用鮮魚介類等の加工時における殺菌料等の使用について、次亜塩素酸ナトリウムに加えて、次亜塩素酸水及び塩酸の2つの物質を加える形で改正手続を行っているところです。

 以上、御報告です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 特に御質問はございますか。それでは、そのまま手続を進めていただければと思います。

 その他、報告はございますか。

○事務局 特にございません。

○山本部会長 それでは、次回の予定について、事務局より御説明をお願いします。

○事務局 次回の本部会の日程につきましては、御審議いただく項目がまとまり次第、改めて調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○山本部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。

 

 


(了)
医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係 仲川: (03-5253-1111 内線2488)

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