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2013年12月12日 第54回労災保険部会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成25年12月12日(木)17:45~


○場所

厚労省専用第23会議室(6階)


○出席者

委員

岩村 正彦 ( 東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
大前 和幸 (慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 教授)
中窪 裕也 (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授)
永峰 好美 (読売新聞東京本社 編集委員)
黒田 正和 (日本化学エネルギー産業労働組合連合会 事務局長)
齊藤 惠子 (UAゼンセン政策・労働条件局 部長)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長)
田口 正俊 (全国建設労働組合総連合 書記次長)
立川 博行 (全日本海員組合 中央執行委員 国際・国内政策局長)
吉村 健吾 (日本基幹産業労働組合連合会 中央執行委員)
明石 祐二 (社団法人日本経済団体連合会労働法制本部 主幹)
小島 政章 (株式会社竹中工務店 安全環境本部長)
桐明 公男 (一般社団法人日本造船工業 常務理事)
山中 一馬 (新日鐵住金株式会社 人事労政部 部長)

○議題

(1)労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問)
(2)社会復帰促進等事業に係る平成24年度評価の平成26年度概算要求への反映状況等について
(3)独立行政法人改革の検討状況について

○議事

○労災管理課長  御出席予定の永峰委員、少し遅れるという連絡をいただいております。では、部会長よろしくお願いします。

○岩村部会長 それではただいまから第54回労災保険部会を始めることにします。本日は公益委員の荒木委員、小畑委員、使用者側委員の齋藤(充)委員、田中委員が御欠席ということです。

 はじめに前回の部会以降、委員の交替がありましたので、事務局から御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○労災管理課長  では、御紹介します。労働者側の委員として大江委員に代わりまして、全国建設労働組合総連合書記次長の田口正俊委員に御就任いただいています。

○田口委員 田口でございます。よろしくお願いします。

○岩村部会長 よろしくお願いします。

○労災管理課長  併せまして事務局にも人事異動がありましたので、ここで併せて紹介させていただきます。労働保険徴収課長の秋山です。

○労働保険徴収課長  秋山です。よろしくお願いします。

○岩村部会長 よろしくお願いします。それでは本日の議事に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿ってまいりたいと思います。

 第1番目の議題は「労災保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等について」です。

 それでは事務局から説明をお願いします。

○労災管理課長  まず省令案の要綱について読み上げた上で内容を御説明します。

○労災管理課長補佐(企画)  それでは読み上げさせていただきます。お手元の資料1-1と資料1-2を続けて読み上げさせていただきます。

 まず、資料1-1ですが、厚生労働省発基労1212第1号労働政策審議会長樋口美雄殿。別紙「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」について、貴会の意見を求める。平成25年12月12日厚生労働大臣田村憲久。別紙労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱。第一労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則様式第二十五号の改正。労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主が見易い場所に掲げることとされている労災保険関係成立票(様式第二十五号)の大きさについて、縦二十五センチメートル以上、横三十五センチメートル以上に、それぞれ変更するものとすること。第二、施行期日。この省令は、公布の日から施行するものとすること。

 続きまして、資料1-2。厚生労働省発基労1212第2号。労働政策審議会会長樋口美雄殿。別紙「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。平成25年12月12日、厚生労働大臣、田村憲久。別紙、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱。第一、第一種調整率の改正。メリット収支率の算定に当たり用いる第一種調整率について、船舶所有者の事業に係る率として百分の三十五を新設するものとすること。第二、施行期日、この省令は平成二十六年四月一日から施行するものとすること。以上です。

○労災管理課長  続いて、それぞれの内容について御説明します。まず、<参考1-1>ですが(労災保険関係成立票の大きさの改正)についてです。改正の趣旨・内容ですが、建設現場では労災保険関係成立票を掲示する必要がありますが、このサイズは労働保険徴収法施行規則で決まっています。現在、縦40センチメートル、横50センチメートルです。建設現場では、この労災保険関係成立票と、それから建設業の名称等を記載した「標識」も一緒に掲示されているのが一般的です。この建設業の標識に関しましては、従来、縦40センチメートル以上、横40センチメートル以上と、労災の成立票とほぼ同様でした。しかし、小さい現場では掲示する場所を確保しづらいということで、平成23年12月に、縦25センチメートル以上、横35センチメートル以上と、大きさの規制を緩和する改正が行われています。

 3つ目の○ですが、労災保険成立票につきましても、同様に緩和するように要望がありまして、同じ場所に掲載するのが一般的であることから、それが適当と考えられますので、今般、同様に縦25センチメートル以上、横35センチメートル以上とする改正を行うものです。これが資料1-1の諮問案件です。

 次ページですが、<参考1-2>で、船舶所有者の事業に係るメリット制の関係です。1の趣旨ですが、労災保険には事業主の負担の公平と災害防止努力の促進を目的に3年間の災害状況によって、労災保険率を増減させる仕組みを設けています。2段目ですが、船舶所有者の事業の労災保険部分については、従来船員保険で行っていましたが、平成22年1月から、それを労災保険に統合しています。次ページですが、横長の労災保険のメリット制と船舶所有者の事業と題する資料です。ここの左下の図を御覧ください。メリット制は3年間の労災発生状況を保険料に反映させるものでして、平成22年1月に労災に統合されて、平成22年度、23年度、24年度のこの3年間の状況を踏まえて、平成26年度の労災保険料に反映させることで、船舶所有者の事業につきましては平成26年度が初めてのメリット制適用となります。このため、適用に当たり、必要な規程の整備を行う必要があります。その整備は、調整率に関するものです。この図の右上のメリット制の仕組みと書いてある枠内を御覧ください。メリット制は3年間の保険料と保険給付を比較して、その比率に応じて保険料率を上げ下げするものです。ここで、労災保険には年金給付がありますので、分子の保険給付には過去の災害による年金も含まれています。従って、3年間の労災発生状況以外の要素も含まれてしまいます。このため、分子の年金給付、保険給付の内の年金給付につきましては、その3年間の状況を見るという観点から労働基準法の規程による一時金相当額のみ保険給付に計上することとしています。それに対して一方、分母の保険料につきましては、年金の支給に要する分も含めた保険料ですので、これを分子に見合った形に調整する必要があります。そこで出てくるのが調整率でして、労災保険全体で見た場合、保険料に0.67を掛けるとこの式の分子と分母が均衡します。そこでその下の枠にあるように、一般の事業にあっては調整率を「0.67」としています。

 ここで船舶所有者の事業については、この右下の枠ですが、船員保険の時代に年金に必要な資金を十分積み立てていませんでしたので、現在の保険料の中で過去債務部分として徴収し、これを積み立てています。この過去債務部分の料率が現在の船舶の保険料の約半分を占めている状況です。この部分は、現在の事業主の災害発生とは関係ない部分ですので、メリット制においては分母の保険料額から除外をする必要があります。次の3ページの横書きのところで、その考え方と計算式を書いていますが、過去債務部分を除いて、それに一般の調整率を掛けて、結果として「0.35」を船舶所有者の事業の調整率とするものです。諮問案件につきましては、以上の2件ですが、ここで併せて保険料の徴収の関係での報告をさせていただきます。

 次ページの<参考1-3>です。労災保険の保険料率の事業細目の改正です。「1の趣旨」のとおり、労災保険は現在、55あるのですが、55の事業ごとに労災保険率を定めています。告示で、その事業の種類の内容を更に細分化して、事業細目と呼ばれる区分を定めています。平成25年3月に取りまとめたこの検討会の報告で、製造業とその他の各種事業に係る事業細目の再編、中でも製造業の事業細目につきましては、細分化をやめて各事業ごとに一つにまとめることが適当の報告をいただき、同じく3月のこの労災保険部会にも報告をさせていただきました。これを踏まえて「2の改正の内容」に示した事業細目の整備を行うよう準備を進めており、1月から適用する考えですので併せて御報告します。以上、諮問案件の労災保険関係成立票の大きさと船舶所有者の事業にかかる調整率についての改正省令案の説明と併せて報告事業として事業細目に関する告示改正について説明をさせていただきました。

○岩村部会長 ありがとうございました。それではただいま労災管理課長から諮問案件2件、そして告示案の概要について説明をいただいたところです。これにつきまして、御意見、御質問がありましたらお願いします。

○新谷委員 今、諮問案件2点について御説明をいただきましたが、念のために事務局のお考えをお伺いしたいと思います。

 1点目の労災保険関係の成立票の改正についてです。先ほど御説明をいただいた資料1-1の中に建設業の名称等を記載した標識のサイズ変更と同様の変更を行うと書かれてあり、また、労災保険の成立票は見易い場所に掲げなければならないという、現行の規定が書かれております。この1-1の3つ目のポツに、現場の利便性の向上につながると考える、要するに、サイズを小さくすることが現場の利便性につながるということが書かれていますが、見易い場所に掲示しなければならないという規定に照らして、サイズを小さくしてまで現場の利便性を高めるということの妥当性の問題、また、サイズを小さくすることで問題が生じないのかどうかについて、確認をさせていただきたいと思います。以上です。

○岩村部会長 それでは事務局のほうでお願いをします。

○労働保険徴収課長  私のほうから御説明をしますが、ただいまの質問の件ですが、資料1の3つ目、検討の結果、それが現場の利便性向上につながると書かせていただいたところです。

 すみません、若干、ちょっと説明の書き方の趣旨がやや、不正確というか丁寧ではなかったかもしれませんが、この改正の趣旨としましては建設業のほうで、同様の工事現場の標識を掲げる義務があると。そちらの建設業のほうで、規制改革の要望があって、そちらが先に対応されて、更に我々の労災保険関係成立票の改正についても規制緩和の要望がありました。要望の趣旨としましては、建設業の改正で、標識の改正がなされて、その新しいサイズではA3版1枚に収まるので事業者が容易に作成できること、事業者の負担が軽減されるということで評価をされるということで、現場によっては小さな現場もあるので必ずしも従来のサイズではなくてもいいのではないかという御要望でした。我々としましては当然、労働保険の観点から、そこで働く労働者の方が、ちゃんと労災保険に、この現場が入っているということが認識できることが当然、重要でございまして、委員の御指摘にあった見易い場所に掲げなければならないのはもっともです。それらを勘案した上で建設業法の改正された後のサイズと合わせても、その見易い場所に掲げて担当労働者が確認できるということが損なわれないで、かつ事業者側の負担も軽減されるとして、双方の観点を満たすことでこの様式の改正を行うというふうに考えています。以上です。

○岩村部会長 いかがでしょうか。

○新谷委員 今、御説明いただいたとおり、利便性の向上につながるということと、見易い場所に掲示することの関係が、今の説明でよく分かりましたので、今回、2つの諮問案件を提案いただきましたが、この1点目、2点目の諮問案件については、労働側として妥当なものとして了承申し上げたいと思います。以上です。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。それでは諮問のありました件については当部会としては妥当と認める旨を労働条件分科会に報告したいと考えますがよろしゅうございますでしょうか。

                  (了承)

○岩村部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。報告文ですが、これも私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。

                  (了承)

○岩村部会長 ありがとうございます。それでは、そのように取りはからうことにします。

○労災管理課長補佐(企画)  議題2の説明の前に、まず、参考資料を御覧ください。参考資料2-1から参考資料2-3までありますが、まず参考資料2-1「社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針」です。こちらは社会復帰促進等事業の目標管理の基本的な考え方を示したもので、具体的には1ページの2.にありますように、すべての社会復帰促進等事業を目標管理の対象とすること。目標はアウトカム指標、アウトプット指標を用いて設定すること、社会復帰促進等事業に関する検討会及び労災保険部会で議論をし、PDCAサイクルの一環に位置付けることなどを示しています。

 具体的な評価の考え方について、参考資料2-2「社会復帰促進等事業の評価の考え方」を御覧ください。横軸に政策効果を測る(アウトカム指標)、縦軸に事業執行率を測る(アウトプット指標)を設け、それぞれ、ABCという3つの類型で評価をしています。Aは、政策効果も高く、事業執行率も高いということで、評価としては「施策を継続することを基本とする」というものです。Bは、政策効果は高いのですが事業執行率が低いということで、「施策は継続するが、予算あるいは手法の見直しをする」と考えています。Cは、事業執行率の高低に関係なく政策効果が低いということですので、「アウトカム指標の未達成要因を分析した上で、事業の見直し又は廃止を必要」と位置付けています。

 続いて、参考資料2-3「社会復帰促進等事業の今回の主な論点」を御覧ください。議題(1)は、平成24年度の成果目標の実績評価及び平成25年度成果目標についてです。「議論のポイント」にございますように、B評価、C評価の目標未達成事業について、原因を分析の上、改善措置が講じられているかを中心に評価を含めて御議論いただければと思います。今回は前回の積み残しということで、目標未達成事業は、下の「参考」にございますように、B評価が1事業、C評価が1事業ということで、合計2事業あります。

 次に、(2)「平成24年度評価の平成26年度概算要求への反映状況について」です。こちらはB評価、C評価の事業について、平成26年度の概算要求に適切に反映しているかどうかを中心に、A評価の事業も含めて御議論いただければと考えています。今回、C評価の事業で増額要求を行っているものはありませんが、B評価の事業で増額要求を行っているものが5事業あります。

 最後に、(3)「平成26年度新規事業について」です。新規事業の必要性が妥当であるか、また社会復帰促進等事業で行う必要性があるかについて御議論いただければと考えています。追って詳細を説明いたしますが、平成26年度の新規事業は6つございます。

 資料2-1「社会復帰促進等事業に係る平成24年度成果目標の実績評価及び平成25年度成果目標に関する総括表」を御覧ください。まず、目標未達成原因、改善措置について説明させていただきます。まず、C評価の事業です。資料2-1の1ページの上段に、25年度番号の33番「職場における受動喫煙対策事業」がございます。事業場に対して測定機器の貸し出し、電話相談、実地指導を行うとともに、飲食店や宿泊業などで喫煙室を設置する事業場に対して、設置費用の一部を助成する事業です。

 こちらのアウトカム指標については、平成24年度中に実施する実態調査で「受動喫煙防止対策を講じている事業場の割合」としていたところ、その結果は61.4%であり、目標の70%に届かず、C評価となったものです。

 アウトプット指標については、周知啓発のための(集団指導)の件数、デジタル粉じん計や風速計の貸出件数、補助金の利用件数については目標を達成していますが、専門家による電話相談受付件数、実地指導の1か月当たりの平均実績については、目標を達成していないという状況です。

 こちらの事業については、平成23年10月に開始して以来、事業開始2年度目ということで、本事業が対象としている中小企業における事業の認知度、受動喫煙防止対策に対する意識は向上してきていますが、受動喫煙防止対策に関する内容を含む労働安全衛生法の改正法案が、昨年廃案になったこともありまして、事業主に対して受動喫煙防止対策の必要性などについて、周知がまだ不十分であるということが、今回の要因の1つではないかと考えています。

 以上を受けまして、本年度は事業者の意識を高めるために、受動喫煙防止対策の必要性などに関するパンフレットやリーフレットを作成しまして、都道府県労働局を通じて事業場に配布するなどの周知啓発を実施しております。

 また、平成24年度の統計調査結果については、依然として職場において50%を超える労働者が、受動喫煙を受けており、受動喫煙防止対策の強化推進を望む意見が多いことから、引き続き事業者の受動喫煙防止対策の取組を推進するために、経営者、管理者を対象とした説明会、集団指導を実施するほか、喫煙室の設置費用の助成についても、対象業種をこれまでの旅館、飲食店などから全業種に拡大し、助成率を4分の1から2分の1に引き上げるなどしています。こうして、受動喫煙防止に対する事業場の取組の促進を図りたいと考えています。

 次に、B評価の事業についてです。資料2-1の1枚目の下段の25事業番号5番の「障害者職業能力開発校施設整備費」です。こちらは、一般の職業能力開発校で職業訓練を受けることが困難な身体障害者、知的障害者、精神障害者に対して、職業訓練を実施するために、障害特性に応じた専門的な職業訓練を行う上で必要な施設や機器の整備を図る事業です。

 評価指標については、建物が有効活用されているかどうかを測るという観点から、アウトカム指標では就職率、またアウトプット指標では施設の充足率を設定していました。アウトカム指標については、平成24年度は68.7%の就職率で目標達成していますが、企業側の景気の回復に伴い、そもそも職業訓練を経ずに就職できる方も増えたということで、アウトプット指標の施設の充足率が目標の80%に1.2%届かず、B評価となっています。

 今年度は、ハローワークに求職を申し込む精神障害者、発達障害者の増加が著しいということもありますので、精神障害者、発達障害者向けの訓練コースの新設に向けたカリキュラムの開発、訓練技法などのノウハウの提供など、精神障害者や発達障害者がより訓練を受けやすい形で、施設の充足率を高める取組を実施しています。資料2-1の2枚目以降は、A評価の事業となりますので、ここでの説明は割愛いたします。

 続いて、資料2-2「社会復帰促進等事業に係る平成24年度評価の平成26年度概算要求への反映状況」を御覧ください。こちらも、B評価、C評価の事業のうち、増額要求を行っているものについて説明いたします。C評価については、今回は増額要求をしておりませんので、ここでの説明は割愛させていただきます。

 資料2-2の4ページは、B評価の事業です。この資料はB評価の事業のうち、増額要求をしているもののうち、額が大きなものから順に減額要求をしているものへと並べてあります。

 1つ目です。平成25年度PDCA評価番号72-1「過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直し」です。こちらは、労働時間などの設定改善を促進しまして、ワーク・ライフ・バランスの実現を図るため、労働時間等設定改善推進助成金、職場意識改善助成金といった、助成金の支給などの取組を行う事業です。

 平成26年度の見直し内容は、実績を踏まえ、既存のコースの予算額を減額した一方、政府全体でテレワークの普及・促進に取り組むという方針が出されていることを踏まえ、助成金のメニューに、終日在宅型テレワークを導入しようとする事業主に対して助成金を支給するコースを新設しています。その関係で増額要求となっています。

 続いて、平成25年度PDCA評価番号5「障害者職業能力開発校施設整備費」です。こちらは、先ほど資料2-1でも説明しました障害者職業能力開発校に対する施設整備費です。平成26年度は、国立職業リハビリテーションセンターの耐震工事、東京障害者職業能力開発校の老朽化、耐震化に伴う建替工事設計のための必要額を増額要求したものです。

 続いて、平成25年度PDCA評価番号72-3「医療労働者の確保・定着に向けた職場環境改善のための取組」です。この事業では、厳しい勤務環境下にある医療労働者の方の職場環境を改善するために、事例収集、相談支援を行っているものです。

 平成26年度の見直し内容としては、診療報酬、労務管理の相談にワンストップで対応するため、各都道府県に設置予定されている医療勤務環境改善支援センターに、これまで都道府県労働局で行っていた労務管理の支援業務を委託することとしております。また、これまで収集してきた好事例をホームページ上でデータベース化することを踏まえ、増額要求したものです。こうした取組を通じ、医療機関での労務管理の取組を支援していくことにしております。

 5ページ、事業番号30「じん肺等対策事業」です。この事業では石綿業務などに従事していた労働者の離職後の健康管理などを行っています。平成26年度の見直し内容は、印刷事業場における胆管がんの発症の蓋然性が高いとされている1,2-ジクロロプロパンを取り扱う業務に従事する労働者の健康管理を適切に実施する観点から、新しく健康管理手帳の交付対象業務に、1,2-ジクロロプロパンを取り扱う業務を追加することから、増額要求となっています。

 次に事業番号54番「家内労働安全衛生管理費」です。こちらは、家内労働者や委託者の安全衛生を確保するため、都道府県労働局で委嘱された指導員が訪問指導を行う事業です。平成26年度の見直し内容は、平成25年度から実施している有害業務に従事する家内労働者の実態調査について、平成26年度は実態調査に加えて、調査によって得られた内容を基に、家内労働者の現状、問題点、課題を把握し、今後の災害や疾病の予防の方策をとりまとめるための検討会を開催する予定です。そのための増額要求となっています。B評価のうち、増額要求を行っているものは以上です。次のページ以降はA評価の事業ですので、ここでの説明は割愛いたします。

 次に資料2-3「平成26年度社会復帰促進等事業における新規事業等」です。こちらも、6つの新規事業について簡単に説明いたします。

 2ページの個票をご覧ください。1つ目が、「労災疾病臨床等調査研究等補助金事業」です。3ページの図を御覧ください。問題意識として、多くの労働現場で発生している疾病、産業構造や職場環境の変化に伴い、勤労者の新たな健康問題として社会問題化している疾病について、新しい知見を見出すことが求められています。そのため、今回の事業では技術水準の向上を図ることができるような、早期の職場復帰の促進、労災認定の迅速適正などに寄与する研究について、広く研究者を募り、それに対して補助金を交付することを考えています。

 具体的には、現在厚生労働省にある厚生労働科研費のように、行政ニーズに基づく課題を設定し、公募によって研究の実施者を募り、調査研究を実施します。また、その研究成果を労災補償行政へ反映するとともに、その普及を図ることを考えています。

 2つ目、4ページの個票は「安全衛生に関する優良企業を評価・公表する制度の推進」です。こちらの中段の「事業の必要性」にあるように、若者が安心して働ける職場環境の確保、若者が安心して働ける企業の情報の共有が重要な課題となっています。また、近年の労働災害の増加、メンタルヘルス問題の顕在化などを踏まえ、企業側に積極的な安全衛生対策の推進を求めることが不可欠となっています。

 そのため、5ページの図にあるように、この事業では労働環境水準を評価するための客観的な指標を定めること、また、企業からの申請を受け、労働環境水準を厚生労働省で評価し、水準の高い優良企業を公表することを考えています。

 続いて、3つ目「労働災害減少のための安全装置等の開発に関する調査研究」です。6ページの「事業の必要性」にあるように、平成24年の休業4日以上の労働災害の発生状況は、全産業約12万人のうち、第3次産業が約5万2,000件、このうち約1万3,000件が小売業ということで、全産業の11%を占めています。

 こうした中で、小売業に多発している転倒災害、切れ・こすれ災害などを防ぐため、現場で必要とされている安全装置などの開発を検討し、今後の保護具や安全装置の開発促進や普及に活用することが求められています。

 7ページの図を御覧ください。この事業では業界団体が小売業に関する専門検討委員会を設け、小売業に係る団体や事業場から、労働災害の防止に有効な設備や装置に関するニーズの収集を行った上で、現場で必要とされている安全装置の開発について検討し、報告書に取りまとめることを考えています。

 続いて、4つ目「東電福島第一原発作業者等に係る放射線関連情報の国際発信の強化事業」です。こちらについては、9ページの図を御覧ください。こちらの事業の「背景」でございますが、現状として、東京電力福島第一原発の作業者、除染業務に従事する方に対する放射線被ばく状況、その対策について、国際機関が作成する報告書などに、明らかな事実誤認や、厚生労働省見解と相容れない認識がなされているといった事例が見られます。こういった状況が改善されなければ、我が国の放射線被ばく管理規制に関する国際的な信頼感が失われる、国内事業者の遵法意識にも悪影響を与えると考えられるため、今後放射線関連情報の国際発信を強化することが求められております。

 このため今回の事業では、東京電力福島第一原発の作業に従事される方、除染作業に従事される方の放射線被ばく状況、その対策に関する我が国の報道発表資料、関係法令、行政通達などを英訳した原稿を作成するとともに、分かりやすい英語のホームページをデザインすることとしています。併せて、こういった対応全般をまとめた配布用の英語資料を作成するとともに、国際機関などの専門家をネットワーク化して、作成した資料の積極的な情報提供を行うことを考えています。

 10ページ、5つ目「産業保健活動総合支援事業費補助金」です。「事業概要」にありますように、労働者の健康を取り巻く状況については、脳・心臓疾患に関する労災認定件数が年間約300件と高い水準で推移しています。また、平成24年度には精神障害の労災認定件数が475件となるなど、3年連続で過去最多を更新している状況です。

 こうした中、産業医の選任義務のない小規模事業場での総合的な労働衛生管理対策の推進が急務で、併せて職場でのメンタルヘルス対策も喫緊の課題となっております。

 一方で、現在産業保健推進センター事業、地域産業保健事業、メンタルヘルス対策支援事業、いわゆる産業保健3事業を実施していますが、こちらについては今年度「産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会」を開催し、同検討会からは3事業を一元化して運営し、各事業の機能を有機的に結合してワンストップサービス化し、産業保健サービスが提供できるようにすることは必要であるといった提言を受けているところです。

 そのため、12ページの「産業保健3事業の一元化のイメージ」にもありますように、今申し上げました検討会の提言を踏まえまして、平成26年度からは3事業を一元化した上で、メンタルヘルス対策を含め、事業場の産業保健活動を支援することによって、労働者の健康確保を図るということで考えています。そして、小規模事業場を中心とした労働者の健康確保のために、事業場の産業保健スタッフなどに対する研修の開催、小規模事業場に対する訪問指導、窓口相談などの実施を行うこととしています。

 最後に6つ目の事業、「若者の使い捨てが疑われる企業への対応策の強化」です。14ページの図を御覧ください。若者の「使い捨て」が疑われる企業については、社会でも大きな問題となっております。また、日本再興戦略の中で、若者の活躍推進の観点から、過重労働や賃金不払残業など、若者の使い捨てが疑われる企業については、相談体制、情報発信、監督指導といった対応策を強化することが掲げられています。

 そのため、本事業では、夜間・休日に労働基準法などに関して電話相談を受け付ける、常設の「労働条件相談ダイヤル」を設置し、相談体制を強化します。また、厚生労働省のホームページで労働基準などの基礎知識や相談窓口をまとめた「労働条件相談ポータルサイト」の開設、大学などでのセミナーを全国で開催することにより、法令などの情報発信を行うことにしています。新規事業の紹介は以上です。

 続いて、資料2-4「社会復帰促進等事業費の推移」を御覧ください。この事業費については、平成17年度から目標管理を行っております。具体的には平成21年度予算までに平成17年度予算の4分の1を削減した917億円の規模を目標とし、平成17年度以降、着実に予算の削減を行ってきております。

 その下のグラフにあるように、平成21年度以降は、当初予算は目標の917億円の水準を維持しているものの、平成21年度にはリーマン・ショックがあり、また平成23年度には東日本大震災の影響で、未払賃金立替事業などについて、それぞれ補正予算を組んだ結果、最終的に目標額よりも予算が超過しています。ただし、これらを除けば目標額以上の削減が図られています。

 平成26年度の概算要求額は右端に記載しておりますが、合計688億円ということで、前年度比15億円の増加となっていますが、このうち37億円が日本再興戦略などの実現に向けた経費です。ですので、この37億円を除くと、要求額は651億円となるので、対前年度の減額となっています。

 続いて、資料2-5「社会復帰促進等事業費の予算額の推移」を御覧ください。社会復帰促進等事業の根拠となっている労災保険法第29条の各号の規定に対応する形で、平成17年度から平成26年度要求額までの推移を載せたものです。

 続いて、資料2-6「未払賃金立替払事業の状況」を御覧ください。平成13年度から平成25年度上半期までの推移を載せています。

 資料2-7「労災保険経済の概況」を御覧ください。こちらは労災保険全体の状況です。この表については、平成26年度(要求)から遡りまして、5か年の労災保険の財政状況について示しています。平成24年度の決算状況は、収入が1兆1,166億円ということで、平成23年度決算と比較すると444億円の減少となっています。その要因としては、保険料収納額が減少したことによるものです。労災保険料率については、3年に1度見直しを行っており、見直し年度となっていた平成24年度において、近年の労働災害の減少などを反映させ、労災保険の平均料率を1,000分の5.4から1,000分の4.8に引き下げる改定を行っています。その影響を受けたものです。

 一方、支出についても、平成23年度決算と比較して、505億円減少の1兆2,181億円となっています。この減少の主な要因として、未払賃金の立替払いの補助金の減少に伴う社会復帰促進等事業費の減少が要因となっています。

 収入から支出を差し引いた決算上の収支ですが、こちらは1,015億円のマイナスとなっています。このマイナス分については、積立金より補足し、決算を終了としています。その結果、平成24年度末の積立金の累計額は7兆8,442億円となっています。こちらは赤字の決算となっていますが、労災保険の考え方として、積立金については年金受給者の給付に必要な額を、災害が起きた後で全額積み立てて、後で給付するという形を取っています。平成元年度以降は、責任準備金という形で積立金を積み立ててきましたが、平成20年度までにこの積立金がほぼ必要額を充足したということで、今後はその積立金を取り崩して各年度の給付に充てていくという局面に入っています。

 かつては年金受給者の方が右肩上がりで増えていましたが、近年、年金受給者の減少により、必要な責任準備金も減少し、それに応じて積立金も減少していくという関係です。そのため、予算上も赤字を計上し、決算上においても赤字になるという、実際上は予定された赤字となっています。当面、こういった赤字の決算の状況が続くものと考えております。資料2の説明については以上です。

○岩村部会長 ただいま事務局から資料2-1~資料2-7まで御説明を頂きました。これらについて、御意見、あるいは御質問がありましたらお願いします。

○立川委員 資料2-3の新規事業のうち、1番目の「労災疾病臨床等調査研究等補助金事業」について、お願いをしたい事項があります。事業の必要性に記載されているとおり、多くの職場で発生している疾病や、産業構造、現場環境の変化に伴って問題化している疾病について、新しい知見を見い出し、技術水準の向上を図ることは重要ですし、調査研究機関に補助を行うことも必要であると考えております。

 事業概要に記載された4分野の調査研究は、いずれも必要不可欠なものですが、一般の医療機関や研究機関における調査研究の優先度合としては、必ずしも高いとは思えないところです。

 こうした調査研究は、主に労災病院が担うことが想定されます。事業の運営に当たりましては、単に労災病院等の機関に資金を投入することだけにとどまらず、調査研究成果を他の医療機関に広げていただくことが、調査研究に当たっての機関に求められる重要な役割であると考えているところです。調査研究結果が他の医療機関に確実に共有化されるよう、情報共有の仕組みについても検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○岩村部会長 御要望ということです。労災管理課長、お願いします。

○労災管理課長  御指摘を頂きましたように、この事業の必要性等を踏まえて、研究が活性化するように、まずこの補助金が機能するような運営をしていきたいと思っております。その成果の提供と情報発信についても、例えば、労災病院なら労災病院が抱えていてもしようがないわけですし、それをホームページ、出版物、セミナー、いろいろな手法がある、あるいは産業保健の枠組みを使って、いろいろな仕組みがあると思われますが、ほかの医療機関、労災指定医療機関などを含めた医療機関に、それが共有されるような仕組み作りも十分配慮して行っていきたいと思います。どうもありがとうございます。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 同じく資料2-3の2つ目の「安全衛生に関する優良企業を評価・公表する制度の推進」については、現在、安全衛生部の所管の審議会である安全衛生分科会で似たような制度が論議されていると思います。まだ、安全衛生分科会は最終結論に至っておらず、その最終結論に向けて、今はまだ審議の途中だと思いますが、ここに書かれているNo.2というのは、安全衛生分科会で検討されている内容と同じものなのか、違うものなのか、確認をさせていただきたいと思います。

○事務局  御質問ありがとうございました。御質問を頂いた資料の2つ目の事業については、安全衛生分科会で議論している制度そのものです。ただ、平成26年度から新しく事業として立ち上げるということで考えていますので、予算要求の項目として入れさせていただいている関係で、この場でも資料をお出しして御説明しました。当然、安全衛生分科会でまだ議論中というのは、こちらもそれを認識しておりますので、その御議論を踏まえて事業化していきたいと思っています。

○新谷委員 多分、そういうことだろうと思いましたが、先ほどの説明の中に、一切そういう説明がなくて、もちろん、概算要求の時期と労政審の論議のタイミングがずれているというのは承知の上ですが、今審議会で審議途中の案件ですので、先に行政当局として、それを見越して要求するというのであれば、そういう前提での説明がないと、我々審議会に参加している者としては、ちょっといかがなものかという感じがいたしましたので、丁寧な説明をこれからはお願いしたいと思います。以上です。

○労災管理課長  労災管理課としても承りました。失礼しました。

○岩村部会長 そのほか、いかがでしょうか。

○田口委員 2点ほどあります。1つは質問です。安全衛生に取り組む優良企業を評価・公表する制度イメージです。左側に、「従業員の福利厚生の向上」とありますが、私は建設関係の組合なものですから、建設業の場合、建設現場というのは、重層下請構造の生産になっておりますので、従業員といっても、今、ゼネコンの正社員の方というのは本当に少なくて、現場はほとんど下請の労働者なのです。ですから、従業員という場合、建設現場では、下請の事業所なり、俗に言う「一人親方」と言われている。我々からすると、偽装請負労働者ですが、そういう人たちも含めて考えてよろしいのかどうか。そこは少し1つ教えていただきたいと思います。

 もう1つは、「自己診断で診断結果」となっていますが、右側には「書面による審査となっています。私はゼネコンの担当者の方とよくお話をさせていただくのですが、例えば、ゼネコンの大型の現場では3,000人とか2,000人が1日働いているわけです。労働安全衛生規則で、例えばトイレが幾つというのは、人数に応じて決まっているわけです。これを満たしている現場というのは、私は30年ぐらいやっておりますが、ゼネコンの担当者の方にお聞きすると、その基準を満たしている現場というのは、日本全国どこにもありません。一度として、この基準を満たしていると答えていただいた担当者の方はおりません。

 ところが、モデル現場ということで、今までも顕彰されているわけです。ですから、この書面による審査で、安全衛生規則の基準も満たさずに、優良企業ということで、評価を公表されるとちょっと困るなということがあります。

○岩村部会長 ご趣旨は、是非、書面による審査だけではなくて、監督官の方がもっと大勢いらっしゃると助かるのですが、やはり、現場へ行って、そういうところは1つ1つチェックをしていただきたい、その上で、審査をするという形でお願いできないかということです。

○事務局  2つお尋ねいただいたと思います。1点目の建設業の場合、下請の事業者を入れるのかという御質問がありましたが、お示ししているのは制度のイメージで、具体的な中身については、来年度検討会を作って検討していこうと思っています。今日、御指摘を頂いた点も含めて検討したいと思います。

 もう1つの書面審査については、具体的にはこれから検討ということになります。ここに書いてあるとおり、必要に応じて実地調査も含めて考えておりますので、なるべく現場の実態に合った制度にしていきたいと思います。

○岩村部会長 田口委員、よろしいでしょうか。それでは吉村委員、どうぞ。

○吉村委員 引き続きまして、4番目の「福島第一原発作業者等に係る放射線関係情報の国際発信の強化」の事業について確認をしたいと思います。社会復帰促進等事業については、事業主が納める労働保険料の一部で賄うわけですが、その中身については3点あると認識しております。

 まず1点目は、社会復帰促進事業、2点目は被災労働者等の援護事業、3点目は安全衛生確保等の事業ということで認識しております。

 しかし、今回の新規事業の内容を見ますと、原発作業者や除染作業の被爆状況、その他の対策について、国際機関の報告書に事実の誤認や、厚生労働省の見解と相容れないものがあることから、英語の資料やホームページを作成したり、国際機関への情報提供にも支援するというものです。

 こうした事業は、今申し上げた3つの事業のいずれにも該当しないのではないかと思われます。事業自体の必要性というのは、私のほうも否定はいたしません。社会復帰促進等事業等の枠組みで、事業主が支払った労働保険料を財源として行うことが本当に適切なのか、この枠組みでよいのかという点を確認したいと思います。よろしくお願いします。

○岩村部会長 それではお願いします。

○事務局  労働衛生課です。この事業については、国際機関へ適切に情報発信をしていくことで、我が国の被ばく管理の状況が適切に行われていることを発信することが目的です。先ほど事務局からの説明にもありましたとおり、実例で言いますと、今年の10月に国連の科学委員会、UNSCEARという所から、我が国の被ばく管理が適切に行われていないのではないかと、過小評価をしているのではないかということを報告としてまとめている報道がありました。それは、厚生労働省では、そういうことではないと反論もしてきているわけです。そういったことが、度重なりますと、日本の被ばく管理への信頼感が失われるということと、それが国内事業者の遵法意識の低下につながりますと、非常によろしくないという状況になるものですから、ここははっきりと被ばく管理ができていることを発信することで、事業者側も、労働者側もしっかりとした遵法意識の下で被ばくの防止に取り組んでいただくことが必要ではないかと考えておりますので、これをしっかりと正しい発信をしていくことが、労働者の安全と衛生の確保にもつながっていくと考えておりますので、今回、社会復帰促進事業のほうで事業をやらせていただきたいということです。

○岩村部会長 吉村委員、いかがでしょうか。よろしいですか。

○吉村委員 ありがとうございます。

○齋藤(惠)委員 資料2-3の新規事業の5番目の「産業保健活動総合支援事業補助金」について、要望をさせていただきたいと思います。産業保健3事業については、以前から各事業の違いが利用者から見て分かりにくく、また、個別の事業であるため、全体として効果的、効率的な実施体制となっていないなどの指摘があったと認識しております。

 3事業を一元化することで、各事業の窓口が一本化され、ワンストップサービスが提供されることになれば、支援を受ける側の利便性が向上するものと思われます。

 ただ、現状の3事業については、そもそもこうした事業があることを事業者や労働者、産業保健スタッフ等に十分認知されているとは言い難い状況にあるのではないかという印象を受けております。今後の事業実施に当たりましては、広く周知、PR活動を行っていただき、積極的に活用が図られるよう、特段の取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局  労働衛生課です。御指摘ありがとうございます。これまでも3事業について、いろいろなチャンネルを使って周知なり、活動をしてきておりますが、御指摘頂きましたとおり、まだまだ事業主の方や、あるいは産業保健スタッフの方に認知されていないという部分があったかと思いますので、平成26年度から3事業を一元化して、新しい形で事業を進めていきたいと考えておりますので、今後、より一層、この事業について周知に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

○岩村部会長 よろしいですか。田口委員、どうぞ。

○田口委員 新規事業の福島第一原発の作業者についての問題で、厚生労働省の評価をお聞きしたいのですが、プリントの「現状」の所で、原発作業者や除染作業で、多くの建設労働者が働いているわけですが、原発作業の問題で言いますと問題が膨大過ぎますので、 除染作業に絞ってお聞きします。除染作業をやっているわけですから、除染ができるという前提でやられているのでしょうが、本当に除染ができるとお考えで、やられているのでしょうか。いろいろ諸説ありますが、ひと雨降れば、またもとに戻るとも言われてます。50年以上かかるとも言われていますし、表面の放射能が流されても、実際、建物の中までセシウム等が入っているわけです。そういうものは除染ができないということですから、そういう点について、我々の組合としては、除染というのは、「広辞苑」にもない言葉で、どなたかがお作りになった言葉でしょうが。

 亡くなられた第一原発の吉田所長自体が、除染は不可能だと生前おっしゃられておりましたが、我々の組合も除染作業はできないのではないかと。除染はできないと判断をしているのです。そういう点については、厚生労働省としてはいかがお考えでしょうか。

○岩村部会長 ちょっと当部会で議論する問題ではないようにも思いますが。

○田口委員 ただ、ここに同法が出ていますので。

○岩村部会長 除染事業そのものをここで議論するわけではないのですけれども、一応、お答えいただければと思います。

○事務局  おっしゃるとおりでございます。除染作業の発注者は環境省で、私ども厚生労働省については、作業が行われているときに、作業者の方に不要の被ばくがないようにということで、しっかりとした管理をしていただきたいということで対策を進めております。除染そのものが本当にできるのかということに関しては、私どものほうからはお答えでき兼ねるというところです。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○黒田委員 最後の「使い捨てが疑われる企業等への対応策」の所です。この事業の必要性については、日本再興戦略の指摘を待つまでもなく、また、若者という限定的な観点のみならず、どんな労働者に対しても「使い捨て」は許さないと、いわば常識に照らして必要な対策と思っております。

 ここでは相談ダイヤルや、相談ポータルサイトをそれぞれ委託するとなっております。

例えば、相談ダイヤルで言えば、相談を受ける人が労働法関係や労働行政を熟知していることも必要でしょう。また、夜間・休日の受付体制がとれているのかということも条件になると思います。この2つの委託について、具体的にどのような委託条件や、委託先を想定されているのか。また委託先の選定に当たっては、選考基準を公開するなどの透明性は確保されているのかどうか、まず1点目として確認したいと思います。

 2点目に、今年の9月に厚労省が、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する無料電話相談を実施して、その結果の速報がWebのホームページにも掲載されています。1,042件の相談があったということですが、この相談結果の詳細や確定版を公表する予定があるのかどうか。

 もう1つは、同じく9月を過重労働重点監督月間として、同様の使い捨てが疑われる企業に対して、集中的に監督指導を実施されたということですが、その結果についても公表される予定があるのかどうかお聞きしたいと思います。

○事務局  監督課です。質問としては2点あったと思います。1点目は、若者使い捨ての対応策の評価の情報発信等の委託先についての御質問かと思います。まずは委員が御指摘のとおり、労働基準関係法令について知識を有していただくことが必要だと思っております。

 これらの事業については、電話相談等を受け付けていただいた場合には、それを必要に応じて、労働局や労働基準監督署に取り次ぐことを考えておりますので、その問題を把握した上で、その取次はができる団体や、民間企業等を委託先として選定したいと考えております。ですから、この入札等のときには、仕様書を精査して、適正な所を選べるような仕様書を精査していきたいと思います。

 2点目は、9月1日の無料電話相談と9月の過重労働集中監督月間について行いましたが、その公表はするのかどうか。各法と過重労働重点監督月間の公表かと思いますが、今、9月の重点監督月間について、その監督指導の結果等について、数字の精査を集計しておりますので、できるだけ速やかに公表させていただきたいと思います。今、作業中ですので、現時点では確たることは申し上げられませんが、できるだけ早くしたいと思っております。その際に、無料電話相談の詳細についても載せたいと思っております。回答としては以上です。

○岩村部会長 よろしいですか。

○黒田委員 公表いただけるということで、ありがとうございます。新規事業で2億円弱の予算が付けられているということで、是非、その精査についても実効が上がる形でお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、次の議題に移ります。3番目の議題は、「独立行政法人改革の検討状況」についてです。まず事務局から説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○労災管理課長  資料3に基づいて説明をさせていただきます。独立行政法人の改革については、これまでも政府で議論が行われてきており、現在も引き続き検討が行われております。現在の検討状況などについて御報告させていただきます。

 資料3の1ページの最初の○です。政府の行政改革会議に、この9月に独立行政法人改革等に関する分科会が設置されました。分科会には、ワーキンググループが設置されて、労災保険事業に関係する労働者健康福祉機構については、第2ワーキンググループで2回に渡り議論が行われました。

 その後、ヒアリングの場では、3つ目の○、厚生労働省としては、労働災害防止に係る調査研究を、就労現場でも労災疾病予防から、治療、職場復帰支援に一貫していかすことのできる体制を構築するため、労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所を統合するという方向。さらには現在、国から中央労働災害防止協会に委託して行っている日本バイオアッセイ研究センターの事業もまとめる方向で説明を行っております。

 資料にはありませんが、今後については、12月中にこの分科会の報告がまとまり、更には閣議決定も行われるという段取りになると思われます。

 資料の2ページ、分科会やワーキンググループのメンバーです。3ページ以降に、ワーキンググループに提出した資料をお付けしております。3ページが「労働者健康福祉機構の概要」、5ページが、「労働安全衛生研究所や(日本バイオアッセイ研究センター)の概要」です。

 8ページ「求められる役割を踏まえた組織のあり方」を図にして表しております。統合後の独立行政法人で、労働者健康福祉機構の関係で、予防・治療・職場復帰支援の取組を行い、労働安全衛生研究所や日本バイオアッセイ研究センターの関係で、労災事例の科学的専門的な調査や、発症メカニズム等の究明、作業環境改善措置の開発、化学物質の有害性の調査などを行っております。これら2つの法人が統合することによって、研究についての臨床からのフィードバック、労災病院で蓄積しているデータの活用、研究成果の臨床での活用。さらにはこういった成果についての産業保健事業を通じた事業場への成果の還元。また、医療機関への還元を行い、より機能が発揮できる形での統合効果が得られることを期待しております。また効果が出るように、両法人、行政としても努めていく必要があると考えております。今検討が行われていて、このような方向で厚生労働省として説明を行っているということの報告をさせていただきました。

○岩村部会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただいた資料3の「独立行政法人改革」との関係での検討状況について、何か御質問、あるいは御意見がありましたらお願いします。

○大前委員 先ほどの8ページの図を見て思うのですが、労災病院を担当している所と、研究所が合体するということですが、労災病院のほうも、労災病院系の人数が圧倒的に多いわけです。この状態でいくと、研究をやるべき現在の労安衛研のほうが、本当に十分研究ができるかというところが非常に心配になりますので、その辺は是非配慮していただきたいと思います。恐らく、これでいきますと、労安衛研はどうしても力が弱いですから、研究に回るマンパワーとか、あるいはお金というものが減ると思うのです。その辺は十分配慮していただいて、運営していただきたいと思います。

○岩村部会長 労災管理課長、お願いします。

○労災管理課長  労働者健康福祉機構を所管する労災管理課がお答えするのが適当かどうかという問題はありますが、どちらの研究も大切なものであると思っております。その大切なそれぞれの研究の統合効果が期待されると考えておりますので、必要な研究が行えるような予算の確保や、その内部における体制の問題、ガバナンス等も含めて十分に配慮していく必要があると考えております。御懸念のことにならないように、御意見も踏まえて、今後の閣議決定などをされて、統合という方向が決まって、そして統合に向けて動き出してからではありますが、十分配慮していきたいと思っております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。特に御意見がないということでよろしいですか。

                 (了承)

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかに御意見等がなければ、本日はこれで部会を終了とさせていただきます。なお、本日の議事録の署名委員は、労働者代表については吉村委員、使用者代表については桐明委員にそれぞれお願いします。皆様、今日は遅くまでありがとうございました。これで閉会といたします。

 


(了)

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