ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(風しんに関する小委員会)> 第5回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び 厚生科学審議会感染症部会風しんに関する小委員会議事録(2014年1月22日)




2014年1月22日 第5回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び 厚生科学審議会感染症部会風しんに関する小委員会議事録

○日時

平成26年1月22日
13:00~15:00


○場所

厚生労働省12階 専用第15・16会議室


○議題

(1)風しんに関する特定感染症予防指針(案)について

○議事

○結核感染症課長補佐 ( 難波江 )  それでは定刻になりましたので、ただいまより第 5 回風しんに関する小委員会を開催いたします。議題に先だちまして委員の出席状況を御報告いたします。本日は委員 15 名中 13 名に出席いただいております。吉山委員から御欠席との御連絡を頂いております。平原委員におかれましては出席が遅れるとの旨御連絡を頂いております。また、小森委員におかれましては、本日都合により途中退席されますので、御了承ください。また、本日は川崎市健康安全研究所の岡部所長に参考人として御出席いただいております。

 続きまして配布資料の確認をいたします。クリップ止めを外していただきまして、議題次第、配布資料一覧、委員名簿、資料 1 、また参考資料が 2 つあります。不足がございましたらお申し付けください。申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力まのほど、お願いいたします。

 引き続き、審議参加に関する報告をいたします。風しんに関する小委員会参加規定に基づき、本会議に出席される委員及び参考人から、風しん含有ワクチンの製造販売会社と風しん抗体検査キット製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、申請資料への関与について御申告いただいております。前回同様、本日の審議又は議決に不参加となる委員、参考人はおられませんので、御報告申し上げます。ここより五十嵐委員長に進行をお願いしたいと思います。

○五十嵐委員長 それでは議事に入りたいと思います。風しんに関する特定感染症予防指針の策定については、実質的な内容の議論に入ってから、今回で 2 回目になります。前回は原因の究明、予防及び蔓延の防止等について御議論いただきましたが、今回は引続いて、医療等の提供、研究開発の推進、国際的な連携、評価及び推進体制と普及啓発の充実について御議論を頂きたいと考えております。議事の進め方については、前回と同じように、項目ごとに説明・審議を行いまして、これをまとめて、更に次の項目に移るという形で進めたいと思います。

 また「風しんに関する特定感染症予防指針」 ( ) については、本「小委員会」としては本日の会で取りまとめをして、今月末に開催を予定している厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び厚生科学審議会感染症部会に報告するというつもりでおります。したがって、皆様方の御協力と御理解を頂きたいと思います。それでは事務局から説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  事務局から資料の説明をいたします。資料 1 に入る前に、今回、参考資料を 2 つ付けておりますので、そちらの説明からいたします。

 まず参考資料 1 を御準備ください。こちらは日本小児科学会から「風しんに関する特定感染症予防指針」の策定に関する要望書ということで提出いただいた内容のものです。本指針の議論をしていくに当たって、こういった要望書があるということで、情報提供させていただきます。

 次に、参考資料 2 を御覧ください。この資料は第 3 回の小委員会で資料 5 として、発生の予防とまん延の防止についての資料です。一部、数字に誤りがありましたので、訂正させていただきたいと思います。年齢ごとの感受性数を表している表になりますが、 1 49 歳の積算数のところが前回 658 万人という記載でしたが、積算の数に誤りがありまして 745 万人に訂正させていただきます。今回の議論にも直接関係するところであり、この点を習正させていただき、また、ホームページに公開している資料についても併せて修正が分かるような形で、訂正させていただきたいと思います。

 それでは、資料 1 9 ページ目を御覧ください。前回、五十嵐委員長から御説明がありましたとおり、第三の「発生の予防及び蔓延の防止」のところまで審議を頂いておりますので、 9 ページ目、 321 行目の第四「医療等の提供」の所から、内容について御説明させていただきます。

 まず、一 基本的考え方です。「先天性風しん症候群のような出生児が障害を有するおそれのある感染症については、妊婦への情報提供が特に重要である。このため、国は、風しんの患者を適切に診断できるよう、医師に必要な情報提供を行うとともに、国民にも当該疾病に感染した際の初期症状や早期にとるべき対応等について周知していくことが望ましい」と書かせていただいています。

 二 医療関係者に対する普及啓発です。「国は、風しんの患者を医師が適切に診断できるよう、医師に対し、風しんの流行状況等について積極的に情報提供するものとし、特に流行が懸念される地域においては、日本医師会等の関係団体と連携し、医療関係者に対して注意喚起を行う必要がある。さらに、風しんが小児特有の疾患でなくなったことに鑑み、小児科医のみではなく、全ての医師が風しん患者を診断し、療養等の適切な対応を講じられるよう、積極的に普及啓発を行うことが重要である」とあります。この一、二に関しては、麻しんの特定感染症予防指針でも同様の記載があるものですが、次の記載の三 先天性風しん症候群の児への医療等の提供については、前回いただいた御議論の中で、岡部参考人、小森委員、五十嵐委員長、宮崎委員から、先天性風しん症候群の児に対する医療、そして福祉サービスの提供について、しっかりと記載すべきであるとのご発言を頂いたことから、新たに書き加えた項目です。内容としては読み上げさせていただきますが、「国は、日本医師会、日本産婦人科学会並びに日本小児科学会、日本小児科医会及び日本小児保健協会等の学会等に対し、先天性風しん症候群と診断された児の症状に応じ、適切な医療を受けることができるよう、専門医療機関の紹介等の対応を依頼するものとする。また、地方自治体に対して、先天性風しん症候群と診断された児に対し必要に応じて行われるウイルス排出の有無の評価に基づき、その児に対する保育等が適切に行われるよう、必要な情報提供を行うものとする。更に、先天性風しん症候群と診断された児が、症状に応じた適切な支援制度を利用できるよう、積極的な情報提供を依頼するものとする」とあります。以上が第四「医療等の提供」に関する記載になります。以上です。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。それでは今、御説明いただきました「医療等の提供」について、皆様の御意見、御要望などを含めまして御審議をお願いいたします。

○竹田委員  336 行目からの段落ですが、 341 行目にウイルス排出の有無の評価をするということで、あとは保育等の時期の児童ということで、出生後の時間が結構たった児童だと思うのですが、このウイルス排出の有無の検査は自治体や国立感染症研究所が実施できる根拠となると考えてよろしいでしょうか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  その記載に関しては、前回の委員会でも議論させていただきましたが、 4 ページの 120 行目に、「国及び地方公共団体は、先天性風しん症候群の患者が発生した場合に医療関係者が保護者に対して適切な対応ができるよう必要な情報提供を行う。先天性風しん症候群の児から一定期間ウイルスの排出が認められることから、地方衛生研究所及び国立感染症研究所は、必要に応じて PCR 検査により先天性風しん症候群と診断された児のウイルス排出の有無について評価を行う」という記載が前提としてあり、これを受けた形での記載となっています。また、国立感染症研究所から先天性風しん症候群の児に対する Q&A の情報公開を行っており、こういった記載でも必要に応じてウイルスの排出の有無等を評価した上で、保育等が適切に行われるようにお願いしているところであり、このような背景を踏まえて記載しております。

○五十嵐委員長 いかがでしょうか。

○館林委員 CRSの患者家族会の方から、もう少し細かい御要望が上がっていると聞いていますが、それは別途対策を立てていただけるという理解でよろしいのでしょうか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  当課のほうに直接そういった要望が上がっているということではありませんので、委員からの発言ということで、もしそういった御意見がございましたら、頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

○館林委員 各委員にも届いていると思うのですが、例えば、新生児聴覚スクリーニングズを必須にする、もしくは機会を逸しないようにその機会があることを伝えるとか。これは指針にも書いてある書き振りと同じようなことでさらに細かいことなのでしょうが、自治体が委託する母子保健従事者への研修会とか、新生児や乳児の家庭訪問に行く助産師や保健師の研修、乳幼児健診に関わる医療機関への周知徹底を医師会経由で行ってほしいなど、具体的なことが書いてあります。最後に、療育や療養についても長期的に支援が提供されるような表記を入れていただけるとありがたいということで、一部、文言に反映されていると思うのですが、少し細かいので、その辺をどのようにしていただけるかというのを教えていただければと思います。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御意見ありがとうございます。今、議論していただいている医療の提供のところですが、御指摘いただいたところは診断に関わるところになりますので、その治療の 1 つ前の段階に該当するかと思います。前回御議論いただきました 3 ページの 100 行目を御覧ください。御指摘いただいたような観点については、読ませていただきます。「先天性風しん症候群については、風しん発生地域において、妊娠初期の感染が疑われる妊婦又は妊娠初期検査で風しん抗体陰性又は低抗体価の妊婦から出産した新生児に対し、先天性風しん症候群を念頭におき注意深い対応を行う必要がある。このため、国は、国立感染症研究所において、風しん及び先天性風しん症候群の届出の手順等を示した手引きの作成を行うものとする」という記載となっています。

 今、御指摘いただいたような観点については、診断に関わるところですので、まず、ここの書きぶりが該当するということになります。細かい聴力検査や目の検査については、指針に全て記載していくことがなかなか難しいということもありますので、麻しんの場合ですと、ガイドラインという形でいくつか具体的な対策を示したものが、手引きという表現で作成を行う旨の記載がされています。こういったガイドライン等で、どういった記載ぶりが可能かといったことを担当課とも協議しつつ、検討していきたいと考えております。

○五十嵐委員長 よろしいですか。

○澁谷委員 今の御意見なのですが、先ほどの 321 行からの医療の提供という所とも関係があるかと思うのですが、新生児の脳幹部脳波 (ABR) のようなものを、例えばスクリーニングで 100 万人の新生児をやるというのは、受け皿の医療機関でも大変困難でしょうし、スクリーニングとしていいかどうかということもあるわけです。乳幼児の場合は、通常 3 4 か月、あるいは 1 歳半、 3 歳児は、自治体での健康診断をやっていますので、そういった中で耳や目の、あるいは心臓の問題は注意深く見ていくということで、そのような内容については恐らく、この指針ではなくて、ガイドライン等で、もう少し細かんな具体的な手引きの中で示していくということがよいのではないかと思います。この指針には、今、事務局が御説明になった表現にとどめておいていただいしたほうがいいかと思います。

○五十嵐委員長 はい、宮崎委員どうぞ。

○宮崎委員 引き続きの議論ですが、書くとすれば 337 行目以降の所で、障害が視覚障害、聴覚障害多岐にわたりますので、小児科関係だけでなくて、耳鼻科、眼科も「等」にも含まれるといえば含まれるのですが、入れておいてもいいかなというのが 1 つです。先天性風しん症候群を早期に診断する体制を整え、診断された児に対して適切な・・・というように、ここに一般的なところを 1 つ入れておくのもいいかなと思います。診断された児の症状に応じて「受ける」という文言が 339 行目にありますが、「早期診断」ということを、そこのところに早期診断の体制を整えるということを記入してはどうか。そこの具体的なところはマニュアルの中に書き込まれることになると思うのです。

○五十嵐委員長  338 行目の日本小児保健協会の次に、日本耳鼻科学会ですか。

○宮崎委員 はい、そうですね、あと眼科学会ですね。

○五十嵐委員長 学協会ですかね。協会がありますから「学協会」等に対し、先天性風しん症候群の早期診断の体制を整え、そして先天性症候群と診断された児の症状に応じ、そういうようにということですね。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただきありがとうございます。この記載ですが、まず、これまで「麻しん」の指針で記載のなかった日本産科婦人科学会については、今回、先天性風しん症候群の記載ということで、学会のほうに連絡の上、記載を承認いただいたところです。前回の議論の中でも、ほかの学会も含めるべきではないかという大石委員からの御指摘もありましたが、なかなか全ての学会に対して調整をお願いして記載をお願いするというのが難しい部分もありますので、調整を検討させていただきますが、必ず記載できるものではないということは御了承いただきたいと思います。

 また、早期診断についても、先天性風しん症候群の診断の定義として、出生後の診断ということになってくると思いますが、診断については、議論いただいているのが医療の提供の部分であり、診断後の内容を記載するところでもあるので、どこに記載を行うことができるかということについても、また事務局内で、五十嵐委員長とも御相談の上、検討を進めさせていただきたいと思います。

○岡部参考人 慎重な事務局の意見はよく分かるのですが、先天性風しん症候群のきっかけになったのは眼科の先生、グレッグの発見です。また聴力に関しては、例えば沖縄の聴力障害児の学校の設立といったようなことで、耳鼻科の先生方にもそういう意味では関心を、もう 1 回喚起をするという意味もあります。、事情はよく分かりますが、まだ決まっていないということなので、できるだけ積極的にお願いできればと思います。

○五十嵐委員長 これからの作業ですが、厚生労働省から日本眼科学会あるいは日本耳鼻科学会等に、この中に記載をすることに対してよろしいかどうかという問い合わせをしていただくという御要望ですね。

○岡部参考人 小児眼科、あるいは小児耳鼻科という領域があるとも思いますので。

○五十嵐委員長 そうですね、日本小児耳鼻科学会、日本小児眼科学会などでしょうか。

○岡部参考人 それは学会か分科会かちょっと分からないですが、そういったようところがあるので、協力の受け皿はあるのではないかと思います。

○結核感染症課長補佐 ( 難波江 )  麻しんの指針のときにも学会を入れてはどうかということで御議論いただいて、「等」という言葉が入っています。実質的には実際に、この指針ができたあとに関係学会、ここに書いていない学会にも協力依頼の通知などを出しているところなので、実際に全てを書くと、ここにもない、あそこにもないと、いろいろ出てきて、学会名が多く出てくる形になります。実質的な対応ということも重要だと思いますので、どういう書きぶりがどこまでできるのかというのは検討させていただきたいと思います。

○五十嵐委員長 それはそれでよろしいですね。あとは早期診断の体制も、ほかのところで入れ込むところがあれば、宮崎先生、そちらに入れるということでよろしいですか。

○宮崎委員 分かりました。

○五十嵐委員長 どうぞ。

○小森委員 まず基本的には、その先天性風しん症候群の子どもさん、又は保護者に対する様々な施策について別途に項立てをしていただきたいと、最初に御報告がありましたように、指摘させていただいたことについて、対応していただいたことは大変ありがたいと思っております。たまたま耳鼻咽喉科の代議員、評議員を努めているということもあって申し上げます。

 ちなみに小児耳鼻咽喉科というのは小さな組織なので、日本耳鼻咽喉科学会ということだろうと思いますが、特に産婦人科の先生が出産直後に、有料の所もあるようですが多くはサービスとして非常に早期の診断をしています。ただ、それが非常に不確実なものですから、確定診断を行う 3 4 か月、長い場合は 6 か月程度を有する間のリファーと宣言された方々の親御さんが、先天性風しん症候群とは限らないのですが非常に不安定な状態に置かれるということで、学会、また様々なボランティアの方々と連携しながら、そういった保護者の方々の気持ちを支えるというような活動が全国的に広く行われるようになってきています。

 ですから、事務局の気持ちはよく分かるのですが、そういった意味で、少し特出しにしていただいてもいいのかなというところが 1 点。ただ、それ以上に情報提供を行うことに比較的終始している文章ですので、できたら書きぶりということはあると思うのですが、例えば適切な支援制度を利用できるように積極的にと、ここに「積極的に」という、この 4 文字の言葉を入れたことは高く評価するのですが、その支援制度そのものを、手厚い支援という体制を作っていくということを、是非書いてほしいと。この情報提供するというのはこういうことなので、支援制度そのものをしっかり作っていくのだということを、そういう書きぶりにしていただけると、今後の施策に生かされると思うので、是非お願いしたいと思います。

○宮崎委員 付け足しで、今、小森委員が言われたとおりだと思います。改正障害者基本法の中には療育ということも明確に書かれるようになりましたし、児童福祉法も改正されて、児童発達支援センターというようなことも全国的に整備されてきているので、この 1 行は相当深いというか、広がり、あるいは特別支援教育も含めて、長くて深いことが書かれていることを理解してほしいし、もう少し明確になってもいいかなと私も思いました。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  先ほどの適切な支援制度の部分ですが、また Q&A 等でお示しした際に、どういった支援制度があるかということも例示させていただいております。また、それぞれの支援制度が全て共通の項目で全ての自治体に備わっているということではないので、またその自治体ごとの福祉サービスが地域ごとに自治事務の中で決められていることが、この書き振りの観点としてはあります。もう 1 つは先天性風しん症候群の児の方も、症状がそれぞれに異なっていることから、その個人個人の症状に応じた適切な福祉サービス、どの福祉サービスがその子どもさんに合った福祉サービスとして提供できるのかといったことも含めて、自治体や医療機関の担当者等と相談、協力した上で、コミュニケーションをとりながら決めていく必要があるという観点から、こういった記載ぶりにさせていただいております。また御指摘を踏まえて、今後の指針の書きぶりについても検討したいと思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。手厚い手当の支援体制を構築するような内容が、どこかに入ればより良いという、そういう御指摘だと思いますので、これは検討させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。まだ、意見はあると思うのですが、そろそろ時間が過ぎてきましたので、次にいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは第五「研究開発の推進」。

○結核感染症課長補佐 ( 難波江 )  すみません、既に CRS 児の方に対するどういったサービスがあるかというのは感染研の Q&A でも記載しており、我々もこの Q&A に関与して、障害や福祉部局の協力もかなり得て、そういう Q&A を作成しています。まずは、様々な支援制度で、医療補助制度、特別児童扶養手当て、小児慢性特定疾患医療と育成医療や補聴器の公費助成など、様々な支援制度があり、率直に申しあげて、これは感染症対策部局とは異なる部局で、そうした支援制度を作っております。そこで、またそれも CRS 児に特化したものではなくて、それぞれの症状に応じた支援制度がありますので、今この指針の中で、こういった支援制度を手厚くしていくということを、 CRS 児に特化したものの中で書き込んでいくというのは、率直に言って厳しいと感じています。今、重要なのはこういった支援制度があることをしっかり整理して、情報提供いただいて、自治体の人にしっかりと対応していただく、そういう制度をきちんと活用できるようにしていただくことが重要だと考えています。

○小森委員 事務局の方々の本当に多くの労を良とするものですが、正に今の言葉は実はちょっと縦割りの悪い言葉が出てしまったと。少し削除されてもいいのではないかと思う発言だったと思います。正にそこに問題があるわけで、こういう感染症を取扱う部局からの発信として、「あれしろ、これしろ」ということまでを書けと、こう申し上げているわけではないのです。感染症の立場から、こういうようなしっかりとした支援制度を手厚くしていくのだと、きちんと確立するように支援していくのだというスタンスを、きちんと書くということは、正に他部局の関係であっても、そういった子どもさんお一方お一方に寄り沿う施策の実現になります。ですから、書きぶりは委員長と事務局にお任せをいたしますので、今のお言葉はできたら削除していただきたいなと、そんな気持ちでおります。恐らく本心は、むしろ私たちにそう言ってほしいのだと、私はそう信じております。あえて、もう一度申し上げておきます。

○五十嵐委員長 それでは先ほど私がまとめたように、この手厚い支援体制を作るという内容の文言は、どこかに入るということで、お任せいただけますでしょうか。ありがとうございます。では、時間ですので、次にいきたいと思います。

 第五「研究開発の推進」と、第六「国際的な連携」について御説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 ) 10 ページの第五「研究開発の推進」を御説明いたします。先ほどと同様、記載内容については麻しんの指針に準じたものです。読み上げさせていただきます。

 一 基本的な考え方。風しんの特性に応じた発生の予防及びまん延の防止のための対策を実施し、良質かつ適切な医療を提供するためには、風しんに対する最新の知見を集積し、ワクチン、治療薬等の研究開発を促進していくことが重要である。また、風しんの定期の予防接種を円滑に実施するため、定期の予防接種歴の確認を容易にするシステムの整備を推進していく必要がある。

 二 臨床における研究開発の推進。より免疫獲得の効果が高く、かつ、より副反応の少ないワクチンを開発することは、国民の予防接種に対する信頼を確保するために最も重要なことである。現行の風しん含有ワクチンは効果及び安全性の高いワクチンの一つであるとされているが、国は、今後の使用状況等を考慮し、必要に応じて研究開発を推進していくものとし、その際には、迅速な研究成果の反映のため、当該研究の成果を的確に評価する体制をつくるとともに、国民や医療関係者に対して、情報公開を積極的に行うことが重要である。

 第六「国際的な連携」一 基本的な考え方。国は世界保健機関をはじめ、その他の国際機関との連携を強化し、情報交換等を積極的に行うことにより、世界的な風しんの発生動向の把握、風しんの排除の達成国の施策の研究等に努め、我が国の風しん対策の充実を図っていくことが重要である。

 二 国際機関で定める目標の達成。世界保健機関においては、一回以上の予防接種において、接種率が九十五パーセント以上となることの達成を目標に掲げているほか、平成二十四年に開催された世界保健総会では、平成三十二年までに世界六地域のうち五地域において風しんの排除を達成することを目標に掲げ各国に対策の実施を求めている。我が国も、本指針に基づき風しん対策の充実を図るとともに、我が国が所属する西太平洋地域において風しんの排除の達成が目標に掲げられた際には、その目標の達成に向けても取り組むものとする。また、これらの取組により国内で感染し、海外で発症する患者の発生を予防することにも寄与する。

 補足ですが、前回の議論の中で、高橋委員から御指摘いただいたような接種歴の重要性という点については、 350 行目に記載があります。加藤委員から御指摘いただきました、風しんウイルスの流出の観点については 373 行目から 374 行目の記載ぶりに反映させていただきました。

 目標については、議論が全て終了後、最後の段で説明させていただきたいと思いますので、指針の目標については、この時点では特に説明は省略させていただきます。

○五十嵐委員長 第五と第六の項目について御意見はいかがでしょうか。

○平原委員 第六の国際的な連携の二の 372 行目前後ですけれども、「本指針に基づき」うんぬんと書いてあって、「我が国が所属する西太平洋地域において、風しんの排除の達成が目標に掲げられた際には」と書いてあります。本指針は、排除を具体的に「いつ」という到達目標を明確に掲げてはいないわけです。その辺のところはどのように理解される文章なのでしょうか。本来は、排除の目標は明確にすべきものだと思うのです。こういう議論自体は、本当は CRS の赤ちゃんをどう診断するとか、どうケアするなどというのは、本来先進国であってはいけない話だと思うのです。そういうことがないようにすること自体があれば、この前のいろいろな話というのは本来はなくて済むはずです。その辺のところが一番重要なポイントなのかという気がするのです。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただきましてありがとうございます。 367 行目から 374 行目の記載については、本指針は国内に対する告示での対策をうたったものです。その指針に対する指針の目標というものは、もちろん指針の目標として対策をしっかり進めていくという意味です。その他に WHO として、日本が所属する西太平洋事務局で、別に日本国内向けの目標というより、西太平洋事務局全体の目標が立てられた場合には、そちらについても、目標の達成を目指していく必要があることをうたったものです。国内の目標の内容について、この項目では特段内容を指し示したものではないということを御説明させていただきます。

○平原委員 できれば、やはり日本としてのきちっとした目標があればいいとは考えています。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  目標については、前回は御提示しておりませんでしたので、全ての議論が第七まで終わった後に、前回頂いた御意見等による修正点などを含めて御説明させていただき、最後の段で目標については議論をお願いしたいと考えております。

○五十嵐委員長 他にはいかがでしょうか。

○竹田委員  10 ページの 353 行目の臨床における研究開発の推進なのですが、正しいことが記述されてはいるのですが、何度読んでも、何となく今の風しんワクチンはまだ何か問題があるかのような印象を与える文章に私は感じてしまうのです。「より」からの 1 行目、 2 行目は一般的なワクチンに対する記述としては正しいのですが、むしろ、よりいかに今の風しんワクチンが良いワクチンで、安全で効果も高いということのほうをアピールするような文章に変えていただきたいと思います。例えば、「安全性の高いワクチンの 1 つであるが」でいいと思うのですが、「あるとされているが」というと、何となく疑いを持っているかのようなので、よろしくお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  承知いたしました。

○五十嵐委員長  356 行目は「あるが」にして、「とされている」を削除するようにという御意見です。他にはいかがですか。

○宮崎委員 正にその点は私もそのとおりに思います。もう 1 つ、その 1 つ前の基本的な考え方の中で、「最新の知見を集積し」という所がありますが、風しんに関しては過去に膨大なデータがありますが、最近のように成人が主にというのは初めての経験です。国立感染症研究所の報告では、この前も申し上げましたけれども、脳炎とか血小板減少性紫斑病が、私たち小児科医が診るよりも多い率で出て報告があったりします。まだその数は不確定ですので、是非内科学会とか、国立感染症研究所が共同で、成人での合併率の確かな数字なども出していただきたいと思います。指針はこのとおりで構わないですけれども。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  先ほどの、竹田先生に頂いた御意見について補足です。風しんワクチンの安全性・有効性ともに高いということは、もちろん過去の委員会の中でも御指摘いただいて、そのように理解しております。その研究開発については、現在、研究開発要請などがされている、風しんウイルスを含有した MMR ワクチンであるとか、そういったより使用しやすいワクチンの開発についても念頭に入れての記載ぶりということで、現行の風しんワクチンに特段大きな問題があるという観点での記載ではないということについては補足説明させていただきます。

○五十嵐委員長 他にはよろしいでしょうか。第五と第六についてはこれでよろしいですね。続いて第七の「評価及び推進体制と普及啓発の充実」について説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 ) 11 ページの 382 行目の第七「評価及び推進体制と普及啓発の充実」について御説明いたします。

 一 基本的な考え方。指針の目標を達成するためには、当該施策が有効に機能しているかの確認を行う評価体制の確立が不可欠である。国は、定期の予防接種の実施主体である市町村等と連携し、予防接種の実施状況について情報収集を行い、その情報を基にして関係機関へ協力を要請し、当該施策の進捗状況によっては、本指針に定める施策の見直しも含めた積極的な対応を講じる必要がある。また、市町村等は、予防接種台帳のデータ管理の在り方について、個人情報保護の観点を考慮しつつ、電子媒体での管理を積極的に検討する。

 最後の一文については、前回高橋委員から御指摘のあった予防接種歴の記録の保管の重要性も踏まえた表現になっております。

 二 風しん対策推進会議の設置。国は感染症の専門家、医療関係者、保護者、地方公共団体の担当者、ワクチン製造業者及び学校関係者からなる「風しん対策推進会議」を設置するものとする。同会議は、対策をより効果的かつ効率的に実施するため、「麻しん対策推進会議」と合同で開催し、毎年度、本指針に定める施策の実施状況に関する評価を行うとともに、その結果を公表し、必要に応じて当該施策の見直しについて提言を行うこととする。

 これについては、麻しんの指針で記載がある「麻しん対策推進会議」があります。麻しんと風しんが、ワクチン定期接種の体制であるとか、疾患の特徴であるとか、こういうものが似通っていますので、こういう会議と併せて行うことで、より効果的・効率的に対策が進むという観点で記載した内容です。

 三 都道府県等における風しん対策会議。 1 都道府県は、感染症の専門家、医療関係者、保護者、学校関係者等と協働して、風しん対策の会議を設置し、関係機関の協力を得ながら、定期的に風しんの発生動向、定期の予防接種の接種率及び副反応の発生事例等を把握し、地域における施策の進捗状況を評価するものとする。なお、当会議は麻しん対策会議と合同で開催することも可能であるものとする。また、国は、国立感染症研究所において、同会議の活動内容や役割等を示した手引きの作成を行うものとする。

 この過程については、先ほど申し上げた会議が都道府県でも同様に麻しんに対して実施されておりますので、それを風しんに対しても行っていただくことを求めている内容です。その会議に対する目的等を示した、役割等を示したガイドラインが麻しんにありますので、こういったものを改訂しつつ、風しんにも対応できるものとしたいと考えております。

2 厚生労働省は、風しん対策の会議が定期の予防接種の実施状況を評価するため、文部科学省に対し、学校が把握する幼児及び児童の定期の予防接種率に関する情報を風しん対策の会議に提供するよう協力を依頼するものとする。

 四 関係機関との連携。 1 厚生労働省は、迅速に風しんの定期の予防接種の接種率を把握するため、都道府県知事に対し、情報提供を依頼するものとする。また、学校保健安全法第二十条に基づく学校の臨時休業の情報を随時把握するため、文部科学省に対し、情報提供を依頼するものとする。

 これも、麻しんの指針の記載内容に準じた内容で、麻しんと同様に対策を進めていきたいという観点から記載させていただきました。

2 厚生労働省は、予防接種により副反応が生じた際に行われている報告体制を充実させ、重篤な副反応の事例は、速やかに国及び風しん対策の会議等に報告される仕組みを構築するものとする。

 五 普及啓発の充実。風しん対策に関する普及啓発については、風しん及び先天性風しん症候群に関する正しい知識に加え、医療機関受診の際の検査や積極的疫学調査への協力の必要性等を周知することが重要である。厚生労働省は、文部科学省や報道機関等の関係機関との連携を強化し、国民に対し、風しん及び先天性風しん症候群とその予防に関する適切な情報提供を行うよう努めるものとする。

 先ほどから申し上げているように、全般的に麻しん対策指針に準じた内容ですが、所々風しんの現状に合わせた記載内容とさせていただいています。

○五十嵐委員長 第七の項目について御意見をお願いいたします。

○澁谷委員  12 ページの 398 行目の、都道府県等における風しん対策会議です。都道府県の現状で申しますと、特定感染症予防指針からなる HIV とか麻しんといったものについては、年 1 回以上必ずやっております。「麻しんの対策会議と合同で開催してもよい」と書いていただいておりますので、これは非常に現実的に可能な書きぶりではないかと思います。麻しんの対策会議と合同で開催することになれば、例えば専門家、あるいは職域の関係者を追加すれば、十分、今の体制でも進めていくことができると考えています。

○加藤 ( ) 委員 私も風しん対策推進会議のメンバーのことで意見を述べます。今回、風しんの予防指針が麻しんと違うのは、成人のキャッチアップということで、事業者への働きかけという点だろうと思います。国の会議には、そういう事業者の関係の方も入っていただくと、より対策が推進しやすくなるのではないかと考えます。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただいた点については、事業者等の関係者とも相談の上、検討させていただきます。

○宮崎委員 風しん対策会議ですが、麻しん対策会議も都道府県毎の設置ということになっていて、政令指定都市の接種率が 3 期も 4 期も上がらなかったということがありました。恐らく今回、東京と大阪が特に多かったのは、人口だけでなくて接種率の問題もあったと思うのです。予防接種は市町村事業ですが、こういう対策会議は県ということで、一番大事な大きな政令市がちょっと抜け落ちる感が福岡でもあるのですが、この辺はどうなのでしょうか、政令市ということまで書き込めるかどうか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  「都道府県等」の所ですから、前段で定義をしていたかと思います。 3 ページの 74 行目になります。基本的な考え方の部分です。この指針でいう都道府県等については、「国並びに都道府県、保健所を設置する市及び特別区」ということで定義しておりますので、保健所を設置するような市、中核都市以上のものであれば、都道府県だけでなく。失礼しました。ここが「都道府県等」となっておりませんので、この読み方ができませんので、御指摘いただいたことを念頭に検討させていただきます。これまでの麻しんの対策の在り方とも関連した内容ですので、その点も考慮した上で記載ぶりを引き続き検討させていただきます。

○大石委員  388 行目の文章です。「また市町村等は、予防接種台帳のデータ管理の在り方について、個人情報保護の観点を考慮しつつ、電子媒体での管理を積極的に検討する」とあります。文章を修文してくださいというつもりではないのですけれども、この内容については、市町村等で予防接種台帳の管理、特に電子化がされていない自治体がかなりあると私は記憶しています。私が担当している予防接種班でも、電子化の支援をしてきたと記憶しています。ここが「検討する」であると、自治体では予算が必ず必要になってくることがあるわけですので、この辺をよく認識し、実効性のある対応を取っていくべきだろうと思います。意見として申し上げます。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただきましてありがとうございます。ここの記載内容については、親会である基本方針部会、そして予防接種分科会でも議論がされております基本計画の中でも重要な案件として議論がされております。予防接種歴を、個人で確実に把握するためには、またその所属する自治体等の移動があった場合にも、引き継ぎ等がしっかり行うためには、現在検討されているマイナンバー制の導入であるとか、マイ・ポータルといったものを利用した今後の取組が必要であろうということが議論されています。

 そういう観点を受け、今後は基本計画の中でもしっかりと議論、そして実施について検討されていく事項かと思いますので、その基本計画に基づき、風しんについても同様に取組を行っていきたいと考えております。

○調委員 特に、風しんについては成人の抗体価検査と、それに続いてどの程度ワクチン接種が行われているかをきちんと把握することは非常に重要だと思いますので、是非このことについては御検討いただきたいと思います。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただいた件につきましても、接種歴の把握ということで議論が行われているところではありますが、任意接種と定期接種というものが 1 つ分かれた議論もあります。そういった任意で行われた接種の記録について、国がどこまで記録を保持できるのか、そして個人情報も含めて、どういう形で反映できるのかについても、改めて今後の議論の中で検討していきたいと考えております。

○高橋委員  12 ページの 406 行目です。「厚生労働省は、風しん対策会議が定期の予防接種の実施状況を評価するため、文部科学省に対し、「学校が把握する幼児及び児童の定期の予防接種率に関する情報を風しん対策会議に提供するよう~」と書かれていますが、「定期」とつけなくてもよいのではないかと思います。いろいろな理由で定期予防接種を受けられなかった幼児及び児童が任意で予防接種を受けた場合も、学校は何らかの形で接種状況を把握しています。情報を有効的に活用できればと思います。

 「予防接種の状況を評価するために、学校が把握する予防接種率に関する情報」という表現ではどうでしょうか。成人の予防接種状況、これは当然、教職員も入ってくるかと思いますので、先生が幼児及び児童生徒等に感染させることのないような体制整備についても、その会議の中でも確認されるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたように、学校等では、麻しんを中心に接種歴の把握や、接種の勧奨等を御協力いただいていて、幅広い情報をお持ちということですので、御指摘いただいた点を踏まえ、記載内容について検討させていただきます。

○五十嵐委員長 他にはいかがですか。よろしいでしょうか。第七については、これでひとまず終了いたします。これまで指針案についていろいろ御意見、御要望、御提案を頂き大変ありがとうございました。前回の議論で御指摘いただいた事項の修正点などを事務局から説明していただきます。そして、全体を通して議論をしながら、最後に様々な御意見があった目標について、最後に検討したいと思います。前回御指摘いただいた点の修正等について説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  前回第 4 回小委員会のときに皆様方から頂きました御意見等を検討し、修正等を行った所、主な修正点などを御説明させていただきます。

 資料 1 1 ページから御覧ください。 14 行目の記載です。先ほど宮崎委員から御指摘がありました、罹患者の割合です。前回は 6,000 人に 1 人ということで記載していた脳炎については、御指摘いただきましたように、「血小板減少性紫斑病」という文言を付け加えさせていただきました。罹患歴者の中で頻度に幅があるということで、昨今の流行での頻度というものは、医学的に検討され、確定した数字ということではありませんので、教科書又は感染研のホームページ等で記載されている頻度を参考に、「五千人から六千人に 1 人程度が、脳炎や血小板減少性紫斑病を発症し」という記載に変更させていただいております。

2 ページで、前回、竹田委員から、国内の観点では前段に記載がありますが、国際的な状況を踏まえた記載が必要ではないかという御指摘を頂いておりますので、 51 行目から 59 行目について追加をさせていただきました。読み上げさせていただきます。

 「海外では、世界保健機関によると、平成二十四年時点で風しん含有ワクチンを定期接種化している国は世界百三十四カ国 ( 世界の人口の四十四パーセント ) であり、風しん患者数は不明であるが、毎年約十一万人の先天性風しん症候群の児が出生しているとされている。我が国が属する西太平洋地域では、ベトナム等五カ国が未だ風しんの予防接種が定期接種となっておらず、周期的に大規模な流行が見られている。一方で、アメリカ大陸では平成二十一年を最後に土着株による風しんの流行は見られておらず、同地域では排除を達成したと考えられている。現在、風しんの排除に関し、西太平洋地域では、排除の明確な目標を掲げていないものの、世界保健機関の加盟国が会する世界保健総会において、平成三十二年までに世界六地域のうち五地域において風しんの排除を達成することを平成二十四年に目標に掲げた。」と記載を追加させていただきました。併せて、次の行に記載がありますが、先天性風しん症候群の児に対する適切な医療という観点で 61 行目になりますが、 60 行目から読ませていただきます。

 「本指針は、このような国内及び国際的な状況を踏まえ、風しんの発生の予防及びまん延の防止並びに先天性風しん症候群の発生の予防及び先天性風しん症候群の児への適切な医療等の提供等を目的に、国、地方公共団体、医療関係者、教育関係者、保育関係者、事業者等が連携して取り組んでいくべき施策の方向性を示したものである」。

 このように定義しております。また、その関係者の所に、前回御指摘いただきました「保育関係者」という文言も追加しております。

 併せて目標の所ですが、議論は最後にということで考えております。 68 行目から 70 行目の目標についても簡単に御説明いたします。これまで委員からも数多く御指摘を頂きました先天性風しん症候群のゼロということと、風しんの排除という目標については明記させていただきました。読み上げさせていただきます。

 「可能な限り早期に風しんの排除を達成するとともに、先天性風しん症候群の発生をなくすことを目標とする」。

 このように記載しております。この記載内容については、また最後に議論をしていきたいと考えております。

3 ページの 86 行目です。ここは、「臨床での診断をもって」という記載について、澁谷委員、大石委員、調委員、岡部参考人から御指摘を頂きました。前回の会議では、「当面」という言葉が入っておりましたが、その言葉は最終的に削除させていただき、記載内容としては以下のようになっています。

 「また、臨床での診断をもっての届出を求めるが、可能な限り検査診断を実施した上で、その結果についても報告を求めるものとする。更に、地域で風しんの流行がない状態において、風しん患者が集団発生した場合等の感染対策の必要性に応じて、都道府県等が設置する地方衛生研究所でのウイルス遺伝子検査等の実施のための検体の提出を求めるものとする。」

 変わった点ですが、まず「当面は」と書いていたものを削除した理由として、臨床診断での届出はできるだけ早い段階での風しん発生の可能性を届け出ていただくためのもので、現在も将来的にも変わらないものですので、「当面」の言葉は削除させていただきました。遺伝子検査を行う実施の観点ですが、前回は「同一施設における集団発生」という条件を記載しておりましたが、そういう記載内容ですと現状よりも対応が後退するのではないかという御指摘を頂きましたので、条件としては、「地域で風しんの流行がない状態において」という文言にしております。風しんがない状況で、もし発生が複数例見られた場合には、遺伝子検査でしっかりと確定診断をしていただくという内容に記載を変えています。

 やや細かい点になりますが 95 行目は、竹田委員から御指摘のありました、遺伝子検査を行った際の抗体検査の実施について記載をということでしたので、ここについても「臨床診断をした時点で、まず臨床診断例として届出を行うとともに、血清 IgM 抗体検査等の血清抗体価の測定の実施と、都道府県等が設置する地方衛生研究所でのウイルス遺伝子検査等の実施のための検体検査の提出を求めるものとする」という記載を変更しております。

100 行目ですが、先ほど読み上げさせていただきましたが、「妊娠初期の感染が疑われる妊婦」という言葉を追加させていただきました。前回、御提示した指針案の中では、「妊娠初期検査」これは妊婦健診を想定しておりますが、そこで抗体陰性、又は低抗体価の妊婦ということで限定しておりました。ただし、妊婦健診は、妊娠週数でいうと 10 週を超えたところで行われることから、その時点で既に初期感染している方については、既に高抗体価となっている可能性を御指摘頂きましたので、妊娠初期の感染が疑われる方についても同様に注意深い対応が必要であるという観点で、記載内容を変更させていただきました。

4 ページの 126 行目の六 ウイルス遺伝子検査等の実施の所です。前回、調委員から御指摘を頂きましたが、地方衛生研究所で実施した遺伝子検査の結果というものが、しっかりと社会に還元されるために、報告について記載をできないかという観点で、 131 行目から記載内容を変更しております。読み上げさせていただきます。「地方衛生研究所が遺伝子配列の解析を実施した場合は、可能な限りその結果を速やかに国立感染症研究所に報告する、又は一般に公表することとする。」と記載しております。

 続いて細かい点になりますが、 5 ページの 160 行目です。小森委員から、抗体検査を行う際に、麻しんの記載内容と同様に、積極的に行うというような記載ができないかということで御指摘を頂きましたので、「必要があると認められる場合には積極的に抗体検査を実施することで」という記載とし、「積極的」という言葉を入れております。

 同様の観点で 172 行目です。「予防接種法に基づく予防接種」という記載でしたが、そこに「一層の充実」という言葉を、小森委員の御指摘により追記させていただきました。

9 ページの 314 行目からの、その他必要な措置の 8 の所です。前回、竹田委員から御指摘を頂いた、使用するワクチンについて、「麻しん風しん混合ワクチンを用いるものとする」という 318 行目の書きぶりですが、記載されていた所が定期接種のみに関連する所にありましたので、これは任意接種においても定期接種においても、基本的に風しん含有ワクチンは MR ワクチンを使うことを原則とするということで、記載内容は変えておりませんが、記載している場所が変更されています。

 その他、関係者等と協議の上「推奨」の所で若干の変更を加えた所もあります。主な修正点については以上です。こういった修正点を踏まえ、また委員の先生方から様々な御意見を頂ければと思います。

○五十嵐委員長 説明をしていただきました第三の項目までについて、あるいは第四以降でもまだ言い足りないことがあるかもしれませんので、何か御意見がありましたら承ります。

○大石委員 気が付いた所があるのですが、 2 ページの 54 行目にある、「西太平洋地域では、ベトナム等五カ国が未だ風しんの予防接種が定期接種となっておらず」という文章があります。ベトナムは、近く風しんの予防接種を定期接種化すると聞いております。それがどうなのかということ。今後もそういう国々が出てくると思うので、「ベトナム等」と入れておくと、指針ができてからまた修正しなくてはならなくなるのではないかと思うので、その辺は確認していただきたいと思います。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  御指摘をありがとうございます。この記載内容については 51 行目で、「平成二十四年時点で」というように時点を加えているところではありますが、御指摘のようにベトナムは今年導入を予定ということもありますし、パプアニューギニアでも近く定期接種の導入を検討していると聞いていますので、具体的な国名を記載することについては、事務局で削除を検討したいと思います。

○竹田委員  3 ページの 92 93 行目です。記述が正確でないので少し気になったのですが、病原体を確認することが不可欠ではないので、不可欠だから検査しなさいという書き方の所がちょっと気になりました。「非常に重要である」ぐらいのほうがいいのかと私は思いました。血清診断で確実に診断も付けられるので、ちょっと検討をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  この記載内容については、指針全体に言えることですが、既に策定、実施されている麻しんの指針を念頭に記載したものです。麻しんの指針の中では、このような記載になっております。抗体検査による交差反応などで生じる偽陽性を念頭に入れて、風しんに関してはそうした検査診断による偽陽性が、麻しんと比べて少ないので必要ないという観点であれば、その記載ぶりを麻しんと変えることが可能かと思います。この件については、現在実施されている麻しんの対策との整合性や、麻しんと風しんの検査解釈の違いといったことを踏まえ、また事務局のほうで竹田先生を含め、記載内容について検討を進めさせていただきたいと考えております。

○小森委員 検討していただければいいのですが、確かに麻しんはエリミネーションが非常に近いということからそういう記載になっています。風しんはエリミネーションを目指すということなのです。指針はまた見直すわけですが、現時点での記載にするといいのかという話になります。ここに書いたがために、国立感染症研究所や地域の衛生検査所で非常に混乱があるということであれば問題なのだと思います。高い目標を掲げるということと、ここの記載をうまく、国立感染症研究所の実務に当たっている方々と十分御相談していただければいいと思います。そういうことも併せて御検討いただければと思います。

○加藤 ( ) 委員 序文の所の 56 行目に「排除」という言葉の定義というのでしょうか、目標とも関わってくるのかと思うのですが、「最後に土着株による風しんの流行は見られておらず」と、これを排除の定義としているのだということが分かります。麻しんの指針では括弧書きで、排除とはこういうものであるということを明確にしていました。 WHO の文書には、 CRS ゼロというのも排除の定義の 1 つとして加えているようなものもあったように思います。定義として、よりはっきりさせておいたほうがいいのではないかという意見です。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  ありがとうございます。追記を検討させていただきます。

○岡部参考人 参考までですけれども、 WHO の会議でも、はしかのエリミネーションの定義も、何遍も何遍も議論しながら少しずつ変わってきている中で、風しんに関しては余り明確な定義がされていないと思います。ですから、ここで余り定義付けて、排除はこれこれというのは、国内で何かやるときのインディケーターにはなるとは思うのですけれども、明確な定義は WHO でも打ち出していないのではないかと思います。

○宮崎委員 細かいことですが、合併症のことで、 15 行目です。血小板減少性紫斑病は 2,500 3,000 1 ぐらいは出ていますので、これを 2 つ合わせると、もうちょっと多いので、最後はなるべく正確になるようにお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  その頻度については、感染症研究所のホームページの記載を参考にさせていただきました。その記載によると、血小板減少性紫斑病が 3,000 人から、五千人に 1 人という記載になっています。急性脳炎が 4,000 例から 6,000 例に 1 人という記載になっていました。この間を取って、一つ一つ疾患ごとに頻度を書くというのは、指針の中では少し細かくなってしまうということで、合わせておよそということで、五千人から六千人という記載にさせていただきました。

 先ほど申し上げたように、近年での報告による発症率は、疫学情報としては上がってきていますが、教科書的な、実際の科学的な内容が固まった数字のところまでには至っていないという判断で、指針に記載する頻度としてはこういった数字を参考に記載させていただきました。

○宮崎委員 つまり、これは、それぞれその頻度で、ということですね。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  それぞれということになるかと思います。

○宮崎委員 つまり 5,000 6,000 1 人というのは、それぞれ、それぐらい出るというふうに日本語はならないといけないのだけれども、ここは実は曖昧だったのです。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  はい、御指摘いただいた点を踏まえ、記載内容を検討させていただきます。

○五十嵐委員長 他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは一番大事な、最後の目標の項目が残っています。 2 ページの 68 70 行目の所についての議論を行います。事務局はこのように書いてくださっているのですけれども、これについて御意見を頂きたいと思います。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  先ほど、目標については平原先生から具体的な年を入れるべきではないかという御指摘がありましたが、その点について補足して説明します。

 麻しんの指針を見ると、 2008 年に指針が策定されていますが、その時点で 2012 年の排除を目標として記載を行っておりました。今回提案させていただいた目標の中に具体的な年数を記載しなかった背景としては、この指針の中にも記載がありますように、西太平洋事務局での日本が所属する地域での具体的な排除目標が決まっていないということがあります。麻しんの指針を策定したときには既に 2012 年の目標が決まって、それに対する対策を求められていたということがあります。ただ、この件のみで目標として記載ができないということではありませんので、先生方からいろいろな御意見を頂きながら、どういった記載ぶりが良いのか検討していきたいと考えております。

○五十嵐委員長 ということで、御意見をお願いします。

○宮崎委員 麻しんのときには、むしろ外圧的な圧力が結構大きかったと思いますが、風しんは現状のようにまだ WHO も明確ではないので、我々自身がどうするかというところが大きいかと思いますが、今回の指針はほとんどが「推奨」という記載になっています。推奨だけでどこまで進むかという懸念が非常にあって、予算もなかなかというところがあるので、逆にもう少し明確な目標を掲げておかないと、本当にずるずると、接種を勧めたけれど何も進まないということもあり得ると。それが 1 点です。

 もう 1 つは、昭和 32 年の WHO の「 6 地域の 5 地域で排除達成」というのは、ちょうど 2020 年になります。 2020 年と言えば、東京オリンピック、パラリンピックの年なので、それまでにということはモチベーションとして、東京も各自治体も頑張りやすいかなという気はしております。

○五十嵐委員長  2020 ( 平成 32 ) を目標に、という文言を入れるということですね。

○調委員 先ほどの 11 ページの 370 行に、「平成三十二年」とありますが、この書きぶりですと、少なくともそれより前に達成するというように説明をお聞きしました。そうであれば、 2020 ( 平成 32 ) とここに掲げるのは、目標として良いのではないかと思います。

○五十嵐委員長 入れたほうがいいという御意見ですね。

○竹田委員 宮崎先生がおっしゃったように、オリンピックの年というのは非常に良い目標だと思っていますが、 WHO 6 地域のうちの 5 地域をそこで達成すると言っていて、それには当然西太平洋地域が含まれているので、西太平洋地域事務局でなくても、本部で言っているのでという根拠はあると思います。ただ、ここに書くのは若干どうかと思っているのは、可能な限り早期にというよりも、 2020 年のほうがまだ向こうという感じがするので、目標としてはそれだけあると数年大丈夫という感じを受けるので、今 2020 年と言うのは少し先過ぎるという印象を持っています。

○五十嵐委員長 もっと早い年数を書くということですか。

○竹田委員 それは難しいと思っています。

○調委員 「可能な限り早期に」というのは、何年ぐらいを考えて記載をされたのでしょうか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  「可能な限り早期に」という記載ぶりについては、可能な限り早期にということですので、御指摘いただいたように、本日の参考資料でもお示ししたとおり、まだまだ風しんの感受性者が全国に残されている中で、こういった方々にいろいろな取組によって免疫を持っていただくことが大事な観点ですので、今回策定している指針を踏まえて対策を進めていきたいと考えております。風しんの排除と風しんゼロという目標については、我々としてもできるだけ早く達成したいという観点での記載内容ということです。

○小森委員 委員がおっしゃったもっと前倒しというのは、感受性者が今 700 万人いらっしゃるということでは、現実にそれ以上は難しいと思うのです。感受性者の多くは大変健康な世代、働き盛りの世代なので、国民の方々、特に若い世代、感受性者が多くいらっしゃる方々の協力が何と言ってもキーポイントだと思っています。平林委員もいらっしゃいますが、オリンピック開催の年にそういう目標を掲げてカウントダウンすることは、様々な所でモチベーションというか、ムーブメントを起こすことになりますし、担当部局の方には大変重い足かせになるわけで、ここでそういう合意ができれば大変すばらしいことだと思っております。是非、明確な目標を掲げてはどうかということを、私の意見として申し上げたいと思います。

○大石委員 可能な限り早期にと書くのであれば、もう少し定量的に、 2020 年を目標にするということに同意します。

○平原委員 どういう言い方が許されるかどうか分かりませんが、「可及的に早く、遅くとも 2020 年までには」という表記はできないでしょうか。今回、国の方針、姿勢がどうなのかが問われていると思うのです。本当に実際に一番被害に遭われているのは妊婦さんたちだと思うのです。確かに、大人が風しんになっても脳炎などが起こりますが、比較的軽く終わってしまうという認識の下で、ある意味軽んじられているという社会風潮があったと思うのですが、妊婦さんたちにとっては非常に深刻な問題で、我々もそうですが、相談施設では妊婦さんたちは自分がいけなかったのだと自分を責めながら、この子は産んだ自分が守らなければという気持ちになっている人が非常に多いのです。一般的な出生前診断とは違った様相になっているのです。こういう方たちの、国は一体何をしてくれるのだろうという気持ちが伝わるような表現にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○調委員 感染症対策で非常に重要なのは、Mass gathering(世界中から多数の人が集まるイベントなど)という言葉がありますが、一番大きなものはイスラムのハッジ(巡礼)だと思います。オリンピックもMass gathering1つだと思うので、それを目標に掲げることは意味があると思います。

○宮崎委員 私の本音は、 CRS はもっと早くゼロにできるだろうと思うのです。その部分は可及的速やかという感じがしています。排除のところがもう少し掛かるかもしれないという意味も含めて、 2020 年を出したのです。今日、推定感受性者数の表を配っていただいて、これでより目標がはっきりしてきたと、私自身も思います。というのは、 0 から 4 6 歳の 4 行は、現状の予防接種対策をがっちりやっていけば余計なお金は要らないわけです。 7 19 歳は、本当に漏れている人がどれぐらいいるかという問題はありますが、数パーセントなので、学校教育の中でのいろいろな調査で積極的にやっていけば、ここもかなり埋まっていくかもしれません。

 問題は 20 歳以上です。ここだけでも 500 万~ 600 万人ぐらいになるので、年間 100 万人ぐらい潰していけば、 5 年間で 500 万にいくので、排除は目に見えてくるのではないかという気はします。当然、男性と女性ではアプローチの仕方がかなり違って、女性のほうがモチベーションも上がりやすいし、妊婦健診や産後の接種、若い人たちの啓発で、感受性者のパーセントは比較的小さいので、ここを徹底的にやっていけば、 CRS ゼロはもう少し早くやれるし、やっていかなければいけないと思っています。

○平原委員 今の宮崎委員の意見ですが、産婦人科の立場から考えると、今回の CRS が起こっている要因がどこにあったのかを分析すると、国民全体が風しんがという問題よりも、どこに問題があったのか、そこに目標を掲げて、そこは風しんのワクチンを重点的にやるという順番があれば、宮崎先生がおっしゃるように CRS は抑制を掛けられるはずなのです。ですから、具体的にワクチンを接種する順番とかいろいろ書いてありますが、これは実際に実施施策に落とし込むときに、マニュアル等で最小限のエネルギーで最大効果を生むような応急処置的なものから、短期的な方針から中長期的な方針といったプログラミングをきちんと考えていただければと考えます。

○岡部参考人 宮崎先生の意見に全く賛成なので、重ねるような意見になりますが、第 1 目標は、この場合は CRS をゼロにすることではないかと思うのです。そのために取り得るものを最初にやって、中長期的な対策としての風しんのエリミネーションに向けていく。これが 2020 年になってくるのではないかと思います。エリミネーションが 2020 年で、その前に短期的な作戦の設定もできるだろうということです。また、これが 5 年後の見直しになっていますが、本当なら 3 年目ぐらいで中間評価をして、その次の作戦を立て直すのが実際的にはいいのではないかと思います。

 付け加えるようですが、ワールドカップサッカーをブラジルでやるときに、日本はブラジルに行くときには黄熱ワクチンを接種を考慮すべきと言っていますが、実際ブラジルは、奥地に行かないとそんなに黄熱はないのです。日本が今の状態でオリンピックを迎えると、オリンピックに行くときには風しんワクチンを打ってから東京に行こうということはみっともないから、その辺りも目標の 1 つにしていいのではないかと思います。

○五十嵐委員長 先生の御意見では、でき得る限り早期に先天性風しん症候群の発生をなくすとともに、 2020 年までに風しんの排除を達成するという意味ですか。

○岡部参考人 そうすると、可能な限りというのは、できるだけ早くという意味になってくるのではないかと思います。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  様々な目標に関して意見を頂いておりますが、指針についても、指針全体の目標となるため大事な観点かと思います。いろいろな観点での御意見があるようですので、できれば全ての委員から目標に関する御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○五十嵐委員長 一人一人に、ここで言っていただくということですか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  はい。

○澁谷委員 非常に行政的に考えると、この表現は納得のできる表現なのですが、具体的に数字を入れることを考えれば、 2020 年のオリンピック、パラリンピックは 1 つの目標として入れやすいかと思います。ただ、これは 5 年ごとに見直しをする、途中で見直しをされるということですので、最初にこの目標を掲げて、途中でその目標の見直しということはあるかもしれませんが、最初は 2020 ( 平成 32 ) 1 つの目標として考えるのはいいかと思います。

 先天性風しん症候群のほうが早くなくせるのではないかということですが、ここに 2 つ目標として挙げてあるので、特に CRS を早くなくすのだという意思表明で、これを更に早くゼロにするということを加えてもいいかと思います。

○竹田委員 「可能な限り」という表現は、私は余り好きではなくて、目標を掲げるときにできるだけ頑張るというのは最初から及び腰な感じがするのです。 2020 年は少し先のような感じがするのですが、先天性風しん症候群は確かに早くに目標達成をすべきだし、できると思いますので、早期に先天性風しん症候群をなくし、 2020 年までに風しんを排除するという感じがいいかと思います。

○高橋委員 私も竹田委員の表現がよいと思います。

○北原委員 安全衛生分野において活動をする際には、マネジメントシステムを構築し PDCA サイクルを回しながらやっていくと、効果は非常にあるということがあります。その際にも、数値目標をしっかり立てて、その目標に近付けるために、どういったプランを立てていくのかを検討します。その感覚からすると、数値的な目標は必要だろうと思います。 2020 年は 1 つの目標にしやすいターゲットかと思います。

○加藤 ( ) 委員 私も、一般論として数値目標があったほうがモチベーションも上がるということで、取り入れるべきだと思います。 2020 年は WHO も排除の目標を掲げている年でもありますし、これまでの流行が 7 9 年ごとの周期となると、 2013 年から 7 年後というと、また流行が起きかねない時期にも重なります。実現性の面でも、ほかの委員の先生方から十分可能というお話もありましたので、目標として平成 32 年を掲げて、途中で再評価をして、新しく対策を立てていくやり方がいいのではないかと私も考えます。

○五十嵐委員長 加藤先生、いかがですか。

○加藤 ( ) 委員 専門的なノウハウ、知識を持っていないので控えさせていただきますが、皆様方のお考えに従いたいと思います。

○藤原委員 私も医療の知識が余りないので、具体的に 2020 年は現実味があるのかどうかについては判断ができないので、先生方に判断をお任せしたいと思います。ただ、数値、年限を目標として立てるからには、行程表が必ず必要になると思いますので、その検討なしでいいのか、普通の PDCA サイクルを回すときの手法としては、もう 1 段上の検討が必要なのではないかと思います。

○館林委員 どの御意見も非常によく分かりましたが、基本的には最初に先生方がおっしゃった CRS を、 1 日も早くというのは言い過ぎかもしれませんが、早期になくし、 2020 年までに風しんの排除を目指すという御意見に賛成です。後遺症が残った方は、それを一生抱えていかなければいけないので、その重みはしっかりと受け止める必要があると思います。

○五十嵐委員長 よろしいですか。そうすると、これは仮の言葉ですが、「早期に先天性風しん症候群の発生をなくし、 2020 年までに風しんを排除する」という文言ではいかがでしょうか。

( 異議なし )

○五十嵐委員長 それでは、この委員会としては、第 1 の目標については、今申し上げたように「早期に先天性風しん症候群の発生をなくし、 2020 年までに風しんを排除する」ということを提案したいと思います。事務局はいかがですか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  小委員会全体のコンセンサスということであれば、そういった提案ということで受け止めさせていただきます。

○竹田委員 目標なので少し細かいのですが、 2020 年までにというと、 2020 年度なのか 2019 年度中なのかが曖昧なので、そこをはっきりさせてください。

○五十嵐委員長 これは年度ではないですね。年ですね。

○岡部参考人 麻疹のときに議論があったと思いますが、 2012 年も含む、 2012 年にはないことを掲げる、 2011 年までにということではありませんでした。

○五十嵐委員長  2012 12 31 日までという意味ですね。

○結核感染症課長補佐 ( 難波江 )  私の記憶では、 2012 ( 平成 24 ) 度までが麻疹だったと思いますので、麻疹の場合は 2013 3 31 日までが目標だったと思います。一方で、 WHO 2012 年までということでやっておりました。 2012 12 31 日を前提に、 WHO では議論されていたかと思います。

○五十嵐委員長 この場合の 2020 年というのは、 2020 12 31 日までという理解でよろしいですか。

○竹田委員 はっきりしていれば、私はどちらでもいいのですが、はっきりさせておく必要があると思いましたので。

○宮崎委員 何しろ行程表がない中での議論なので、そこは難しいかと思います。麻疹の場合は、 5 年間の MR ワクチンのキャッチアップ接種という非常に明確な戦略があって、それは年度で回ったと思うので、日本的には年度になったのだと思います。少なくとも、先ほど言ったように一気に潰すのは予算も含めて難しいですが、ある目標を立てることによって、検査だけでは駄目で、検査から接種に持っていかないと実効が上がらないので、接種に持っていくためにどういう戦略を立てるか。大きいのは広報です。ワクチン接種の必要性のことと、接種費用の補助があるかないかが重要です。自治体の動向を見ていると、ただ広報しただけではなかなか実が上がらないところがあるので、そういう予算措置も含めて 4 5 年は掛かるかなと。オリンピックに間に合うには、その前の年ぐらいで終わっておかないといけないということはありますが、細かいところは行程表の問題になってくると思います。

○北原委員 質問ですが、先ほど排除の定義はされていないという話がありましたが、排除の定義がないときに何を評価軸にしていくのかが疑問に思った点です。 CRS の患者ということであれば、比較的数字は出やすいでしょうけれども、感受性者を減らす、ゼロというのは難しいでしょうが、風しんの患者をゼロにするということなのか、そこが分かりにくいかと思います。

○宮崎委員 イメージとしては、恐らく、土着のウイルスの伝播がなくなっていることと、海外から持ち込まれたときに、伝搬がごく小規模で、それ以上に広がらないことでしょうか。そのためには一定数以上の接種率、逆に言うと感受性者が数パーセント以下になるということだと思います。

○北原委員 そうすると、プロセスの中で途中途中の目標が何かあったほうがいいのではないかと思いました。

○五十嵐委員長 排除の意味は、麻しんの排除と基本的に同じ意味と理解して使っていますが、それでよろしいですか。

○小森委員 これは枝葉末節なことなので、オリンピックということになると、麻しんの特定感染症予防指針に従えば、事務局がおっしゃるように、私も今クラウドで確認をしましたが、 WHO は年、それに従って、我が国における特定感染症予防指針では平成 27 年度という形で使っております。だから、事務局と委員長とで御相談して、私はどちらでもいいので、明確にするかどうかということですから、麻しんの特定感染症予防指針に従っていただいてもいいのだろうと思います。

○五十嵐委員長 という御意見ですが、よろしいですか。

 それでは、これを年度にするか、年にするかは、後で事務局と相談して決めさせて戴きます。ただ、基本的には先ほど申し上げたように「早期に先天性風しん症候群の発生をなくし、 2020 年までに風しんを排除する」という文言でよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○五十嵐委員長 それでは、そのようにさせていただきます。第 1 の目標を決めることが一番重要な作業でしたが、これまでの議論を基に事務局で最終案を検討していきたいと思います。

○平原委員 もう 1 点、先ほどから行程表の話が出ていました。これは現実的には、どこにどういうリスクがあった人たちが、より先天性風しん症候群の赤ちゃんを授かったかという分析は非常に重要だと思うのです。恐らく、今のワクチンも、市町村に落としていくと住民票ベースでワクチンの補助が出てくるわけです。しかし、今回の中心は職場や企業体といった所なのです。我々医療機関が病院の中で院内感染を作ったら、大変な話題になって、病院自体が潰れてしまうようなことなので、我々は自主的にみんな検査してワクチンを打ったりするわけですが、職場では起こっても、住民ベースでいろいろな議論をしている限り余り議論にならなかったというのは、今回の大きな問題かと思います。職場ベースとか職域ベースにワクチンの施策が行き届くようなやり方を、どのように具体的なマニュアルに落とし込めばいいのかとか、実施施策の段階でこの指針をどう動かすかといった辺りの問題だと思いますが、そこは是非御配慮いただいて進めていただきたいと思います。職域をどのようにするかというのは、確かに企業だけの責任ではないと思いますし、住民票だけでやっていくとうまくいかなかったというのが今までの実態だと思いますので、是非御検討いただければと思います。

○大石委員 目標が決まったところで、先ほど北原委員がコメントされた排除の定義は、理解としては麻しんの排除と同じだと思うのですが、どこかに書いておかないと、また議論になると思うのです。実際、風しん排除の確認をしていこうという作業は、麻しんと同じようにやるつもりではおりますが、その定義をこの指針に書き込むのがいいと思いますが、可能ですか。

○結核感染症課長補佐 ( 氏家 )  加藤委員からも御指摘いただきましたが、麻しんの取組を参考にしつつ、この指針の中でもどういったものを「排除」と定義付けるのかも含めて、記載ぶりを検討したいと考えています。

○岡部参考人 あとは技術的なお願いになるので、この指針に書き入れなくてもいいとは思いますが、できるだけ CRS を早くなくすためには、早くリスクグループをピックアップして、そこにおける対策を取ると。それは早急にできるのではないかと思いますが、実際には来年度以降のワクチンをどこにするか、誰にどのぐらいといった問題が出てくるので、実際的なところが別のところでの議論になると思いますが、とにかくリスクグループを早く少なくすることを第一にやっていただきたいと思います。

○宮崎委員 指針に直接ではないのですが、指針の中にも職場におけるマニュアル作りということが書いてありましたが、それ以外にも医療機関向けとか、 CRS の診療をされる先生向けのマニュアルとか、同時並行的に準備されつつあると聞いています。私も一部関わっていますが、その辺りを少し紹介していただければと思います。

○大石委員 現在、国立感染研を中心として関係各省と協力しながら、ガイドラインを作成しております。医療機関のガイドライン、医師の風疹の届出のガイドライン、医師の CRS 届出ガイドライン、職場のガイドライン、都道府県のガイドライン、積極的疫学調査のガイドラインです。この委員会と並行してガイドライン作成を進めているところです。

○宮崎委員 医療機関における風しん対策ガイドラインも、確か感染研が中心に・・・。

○宮崎委員  CRS に関しては、成育医療センターの先生方が中心になって作られたばかりだと思います。そういうものも、必要な所に届いていけばいいかと思います。

○澁谷委員 今、先生がおっしゃったのは、先天性風しん症候群の診療マニュアルを、先週、日本周産期・新生児医学会が編んでいるので、そういったものも御紹介していただけると有り難いと思います。

○五十嵐委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、多少御指摘を頂いた点があって、それは文言の修正が必要ですが、基本的にはこれまでまとめた方向で、この委員会の取りまとめとしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○五十嵐委員長 それでは、多少修正はしますが、この取りまとめ等を持って、親会である予防接種基本方針部会と感染症部会に報告をしたいと考えております。よろしくお願いします。いろいろと御議論いただきましてありがとうございました。事務局からお願いします。

○結核感染症課長補佐 ( 難波江 )  今、委員長からお話がありましたとおり、本日まとめていただいた小委員会の案を厚生科学審議会感染症部会及びワクチン分科会予防接種基本方針部会に提出します。

 今後ですが、今回小委員会案をおまとめいただいたので、今回の指針策定に係る小委員会は一旦終了となります。今後については、必要に応じて、感染症部会長、予防接種基本方針部会長と御相談し、御連絡させていただきます。

 最後に、当課長の正林より御挨拶いたします。

○結核感染症課長 皆様方には、計 5 回にわたって、この部会で御検討いただきました。本当にありがとうございます。座長一任の形で、近々開かれる感染症部会、基本方針部会にお諮りしたいと思っておりますが、いずれにしてもこうしておまとめいただきましたので、私どもとしては書かれたことについてしっかりと取り組んでいきたいと思っています。ただ、この問題は国だけではなかなか解決できない大きな問題ですので、医療関係者はもとより、企業の方々、先生方のような専門の方々、多くの方々の御協力をいただかないと目標も達成できないと思いますので、引き続き御協力をいただけたらと思います。また、国民一人一人が自分の問題として捉えながら、国民一人一人の御協力も必要と考えております。私の後ろにはマスコミの方もいらっしゃると思いますが、マスコミの方にも是非、御協力いただきながら、 1 歩でも 2 歩でも前に進んでいきたいと考えております。本当にどうもありがとうございました。

○結核感染症課長補佐 ( 難波江 )  以上で終了となります。 5 回にわたりましてありがとうございました。


(注)

小森委員の任期が、平成25 10 18日に満了していましたが、再任命の手続をとらないまま、同委員出席の上、審議会を開催しました。

議事の定足数については、当該委員を除いても、委員及び臨時委員の過半数が出席していたため議事は成立しています。なお、今回の会議においては、議決を行っておりません。

また、今回の会議においては、当該委員は、参考人として取り扱われます。

詳細については、以下のリンク先を御覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040328.html



(了)

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