ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(風しんに関する小委員会)> 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び 厚生科学審議会感染症部会風しんに関する小委員会議事録(2013年12月19日)




2013年12月19日 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び 厚生科学審議会感染症部会風しんに関する小委員会議事録

○日時

平成25年12月19日
10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館17階厚生労働省専用第18・19・20会議室


○議題

(1)普及啓発、国際連携、研究開発、その他
(2)指針(案)[原因の究明、発生の予防及びまん延の防止、医療の提供]について

○議事

○結核感染症課課長補佐 ( 難波江 )  定刻より少し早いですが、皆さんおそろいですので、ただいまより第 4 回風しんに関する小委員会を開催いたします。議題に先立ちまして、委員の出席状況を御報告いたします。本日は、委員 15 名全員に御出席いただいております。また、本日は、川崎市健康安全研究所の岡部所長に参考人として御出席いただいております。

 資料の確認をさせていただきます。お手元の配布資料、議事次第、資料 1 「風しん予防対策」、資料 2 「普及啓発について」、資料 3 「研究開発の推進」、資料 4 「風しんに関する特定感染症予防指針 ( ) 」です。参考資料 1 2 と付いています。不足がございましたらお申し付けください。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 引き続いて、審議参加に関する報告をいたします。風しんに関する小委員会参加規定に基づき、本会議に出席される委員及び参考人から、風しん含有ワクチンの製造販売会社、風しん抗体検査キット製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、申請資料への関与について申告いただいております。本日の審議又は議決に不参加となる委員、審議に不参加となる参考人はおられませんので御報告申し上げます。

 ここから五十嵐委員長に進行をお願いいたします。

○五十嵐委員長 皆さんおはようございます。これから議事に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 まず、議題の (1) ですが、これまでいろいろ審議をしてまいりましたが、残っている審議事項として「その他」としての普及啓発、研究開発の推進、国際的な連携について、審議をこれから進めたいと思います。資料 1 2 が、両方とも普及啓発の観点からの発表となりますので、吉山委員と館林委員のお二人に続けて御発表いただき、その後、御質問、御意見を頂きたいと思います。では、資料 1 から吉山委員よろしくお願いいたします。

○吉山委員 それでは、風しん予防対策の普及啓発について、京都市の自治体での実践を通しての御報告をさせていただきます。「過去の風しん予防接種の経過」については、先生方は十分御承知ですので、特に御説明はさせていただきませんが、昭和 52 年以降、平成 7 年、平成 13 年と経過措置の対象者も変わってきている状況です。ここで申し上げたいのは、制度が変わる、対象者が変わるということは、予防接種に限らずどの事業でも、制度が変わるということで市民は非常に混乱するというか、行政はいろいろな方法で周知を図ってまいりますが、浸透するのになかなか時間がかかって、何年もかかるという状況が現状です。その都度、相談や苦情などの対応に迫られる状況も現場ではあります。

 次ページです。今回、普及啓発のテーマですので、一例として、平成 13 年度の経過措置の対象者に、京都市がどのような周知あるいは実施方法で接種をしてきたか、を御説明させていただきます。

 この平成 13 年度は、経過措置者が 12 歳~ 16 歳としていた者を、接種率が低いということで 14 歳以上に拡大した年です。京都市では平成 7 年以降の経過措置者と同じような周知と、同じような接種方法で実施しておりました。対象者としては、中学 2 年生と前年度に未接種の方、それと中学生以上の方がこの年の対象になりました。中学 2 年生への周知方法では、中学校を通して生徒を通じて保護者の方に御通知したということです。京都市の全戸配布の広報紙でもお知らせしておりますし、市民しんぶんという広報紙でお知らせしております。実施方法は、春休みの期間を利用し、保健所で日にちを指定して集団接種しておりました。と同時に、協力医療機関での個別接種も併設していたということです。

 中学生以上の方についての周知方法は、市民しんぶんでお知らせしているのと、毎年 4 月に年 1 回発行する保健所事業紹介用のリーフレット、これは保健委員が各校に配布するものですが、そういうもので周知をさせていただいております。高校・大学・専門学校長宛の周知文を発送していますが、この年は恐らく対象者への個人通知はなかったと思います。それと、医師会にも協力の依頼を行っています。実施方法は、協力医療機関で個別接種でした。

 次ページです。このような周知方法と実施方法でどのぐらいの接種率があったかということですが、平成 7 年から平成 14 年度までの接種率の表です。京都市を御覧いただくと、平成 7 年は 27.1 %でした。 7 年、 8 年、 9 年と少しずつ上がっていくわけですが、平成 11 年度の 46.4 %が最高でした。それ以降は段々下降していき、最高でも 50 %の接種率にいかなかったということです。右には参考に、京都市と人口規模の似たある都市の情報を頂いたので記載していますが、平成 7 年度が 15.2 %、そこから少しずつ上がっていき、平成 13 年度は 32.1 %ということです。この都市は市の広報紙でお知らせをしていることと、個別通知もしておられ、医療機関での個別接種を実施しておられます。人口規模が似ていますが、ここの接種率の違いは集団接種の形をとったかどうかというようなことかと考えます。

 次ページです。中学 2 年生でも結局 50 %を切っていたということですが、中学生以上の方の実績は多分もっと低い。資料が出てなくて、もっと低いことが容易に想像できるのですが、なぜ中学生が接種を春休みの期間に集団で行ったのに受けなかったかということです。理由を考えてみると、春休みはクラブ活動が忙しいとか、塾とか。あるいは仕事に就いておられる方がいらっしゃったかもしれませんが、そういうことが忙しくてなかなか来られない。日時指定されると行けないとか。また、中学生は通知文書を保護者に見せないというようなこともあります。それに今、元気だし、今必要ないとか、予防接種は痛いし受けたくないとか、三日ばしかは症状は軽いではないかとか、親も子も関心や興味が低かったり。また、役所が発行する文書というのはなかなか難しくて分かりにくいということで、ちゃんと読んでいただけない状況があったりすることや、接種に保護者が同伴できないようなこともあったのではないかと推測します。

 反省点としては、日時の設定や実施方法に問題がないかということです。春休みに 3 日ほど日時を指定して行いましたが、集団接種に行けない方も、やはり個別接種にはなかなか結び付かなかったようでして、学校以外の保健所を会場としたので、そこがなじまなかったのかとか。あるいは通知の方法ですが、個別通知ができておらず、生徒から保護者への手渡しが、これが確実に保護者に伝わっていたのかなという疑問も残ります。

 予防接種の重要性の表現ということですが、過去の古いお知らせ文を見てみると、通知の文書には、「風しんの免疫を与えるため」というような表現を使っており、それに添付する書類には CRS の予防の記載がありましたが、風しんの免疫を与えるためというのでは、やはり危機感が薄かったのではないかということで、予防接種という行動に結び付きにくかったのではないかなとも思います。

 それと、役所の文書は難しいということです。視覚に訴えるようなものではなかったかもしれませんし、逆に今度は簡単にポイントだけ表記しますと、ちょっと説明が足りなくなって伝わらないという悩みもあります。このような過去の経過でした。

 次ページです。ほかにも乳幼児以外の予防接種の例があります。麻しん排除に向けて平成 20 年から取り組んだ MR 3 期のものですが、定期接種でして、国の接種率の目標設定が 95 %以上と明確に示されたので、各都市は目標に向けて非常に頑張ったわけですが、過去の平成 7 年から平成 14 年までの接種率の低さを踏まえ実施方法を検討しました。この 5 年間は、医師会・学校医会・市医会・教育委員会・学校の御協力が得られまして、関係部局が一体となって取り組んでまいりました。

 周知方法は、学校から生徒を通じて保護者に通知することは従来の同じ方法でしたが、申込みに関して、保護者の同意書、あるいは問診票を記載していただくことになりますが、そこの書類の回収率を学校側が徹底してくださったということで、知らない保護者はいなかったということになります。

 実施方法については、中学校を会場に平日に時間を取っていただき、集団接種として実施いたしました。その結果、第 3 期は接種率が 97.6 %までいきました。京都市はこのとき政令市の中で一番ということで、非常にみんなで喜びましたが、ところが第 4 期は 73.4 %で、これは非常に目標にはほど遠い数字で、ここには記載していませんが、体制を整えれば接種率がこのように上がるという一連の御報告です。

 次ページです。今年度、風しんの任意予防接種として取り組んでいますが、全国的な風しんの流行で、 CRS の予防を目的に予防接種を任意で実施しました。対象者は 19 歳以上の京都市民で妊娠を希望している女性、妊娠している女性の配偶者を対象にしまして、予算上の対象者は 1 6,000 人ほどです。実施期間は 7 1 日から 3 31 日までの 9 か月間で、協力医療機関で個別接種、自己負担は 3,500 円です。京都市と京都府で公費で負担もしております。

 このような取組をしており、市民の方への周知は次ページになりますが、風しん予防の普及啓発リーフレットを作成しました。一番左のリーフレットは厚労省が出しているリーフレットです。真ん中は厚労省のリーフレットを基に京都市が作成したものです。京都市2も同じように京都市が作成しています。一番右側にお知らせ文がありますが、まず最初はこれをたくさんまきましたが、これが文字ばかりで、風しんが全国的に流行していることや、あるいは妊娠早期に罹患すると子供が CRS の可能性があるということ、予防にはワクチンが効果的であること、接種費用を一部公費負担するようなことを説明させていただいたものです。これで市民周知を図ってまいりました。

 次ページ、市民周知の方法です。 7 月の実施に向け、 5 月から婚姻届の提出者用に、厚労省のリーフレットを参考に作成したリーフレットを区役所や保健センターに配布する。 6 月にはポスターやリーフレット・お知らせ文を協力医療機関や区役所、保健センターに配布し、また、新聞各紙で取り上げていただいて、ホームページ等にも掲載いたしました。このような周知の方法は、行政がよく使う新規事業を周知するのに用いる一般的な方法です。このような方法で周知を行いました。

 次ページです。 7 月から 10 月の報告を見ると、接種率がやはり大変低く残念に思っている状況です。接種率は 4 か月間の合計で、今のところ 15.2 %でした。最初の 7 月はまだ市民の関心が高くて、それを待っておられた市民がいて最初の 7 月の実施率は結構あったのですが、新聞報道も段々なくなり、感心が低くなるとともに半分以下、またその半分以下のような状況が続いています。やはり対象が成人の予防接種というのは、実績が伸びないことをこのことで実感しています。何かもっと工夫や努力が必要だということで、その後、遅まきながら 1 歩、2歩踏み込んだ普及啓発に取り組みました。

 次ページですが、お知らせ文ばかりで、文字ばかりで視覚に訴えないといけない、読んでみようと思っていただかないといけないという辺りや、あるいは実績が上がらないと費用対効果、多額の財政をつぎ込んだ事業ですので、費用対効果で問われるということ。職員一同、取りあえず躊躇せずにやってみようということで、分かりやすいリーフレットを作成したり、もう一歩踏み込んで必要な対象にポイントを絞って呼び掛ける。それと、余り今まで関係したことのない分野との連携も図ってみようということで、労働・職域分野、あるいはブライダル分野にも働き掛けを行いました。

 次ページを御覧いただくと、新たにリーフレットを作成し、公費負担をしているというリーフレットです。配布のターゲットを絞って、若い世代として大学・短大・専門学校、青少年活動センター、大学のまち交流センターとか、女性ですと、男女共同参画センター。結婚・妊娠、企業・職場、保育園というような分野に広げて PR をさせていただきましたが、この取組が 10 月後半から 11 月にかけて行っていますので、効果はまだまだ今後に出てくるということで、今回、御報告ができないのが残念ですが、今後に期待している状況です。

 これまでのこのような取組をまとめると、「普及・啓発の役割」として、風しんについては CRS の予防のために、抗体価の低い対象が予防接種の必要性を認識し、行動化できるように適切な情報を届けること。また、周囲の方が知識を得ていただき、対象者に予防接種の必要性を伝えられるように広く周知をするということが目的です。

 「成人を対象の予防接種率向上のための普及啓発では」、京都市のように政令市のような人口規模が大きい都市の場合、成人を対象とした予防接種は、小児の予防接種のように接種率は上がらない状況があります。小児は乳幼児健診や医療機関等で何度も予防接種の指導を受ける機会がありますが、成人にはなかなかそういう機会がありません。平成 13 年の中学生が対象であった定期接種でさえも、接種率はやはり高くとも 46 %にとどまっていたということで、高齢者のインフルエンザ、今、京都市 50 %ほどですが、各種がん検診もやはり受診率が低いということで、同じような傾向がうかがえます。

 成人の場合は抗体価が低い対象を絞れないということで、個別通知をすることが困難です。また、対象が分かったという状況でも、個別通知をするには多額の費用を要するために、京都市が単独で取り組むには財政上の問題があり、実施できないということもあります。今回、普及啓発がテーマですが、接種率の向上には MR 3 期の経験から、医師会や教育委員会等関係者の協力を頂き成果が上がった「集団接種方式」を導入するとか、市民の負担軽減のための「接種費用の公費負担の導入」や、ほかの要素も検討課題としては大きいものがあります。

 次ページです。「今後の風しん対策普及啓発のあり方について考えられること」として、従来から用いている一般的な周知方法、リーフレットや広報紙での配布では、なかなか効果が上がらない。今回、踏み込んで市民周知の方法を見直して実践いたしました。対象とされる市民にどうしたら情報が届くかというイメージを画きながら、複数の方法で重層的に情報が伝わる仕組みを検討する必要があるかなと思います。さらには、もっと必要な「個人」に情報が届く、あるいは行動に結び付けられるようなアピール度の高い、強い周知など、きめ細かな手法を開拓することも私どもの役目と考えております。

 下の枠の中に「効果的な普及啓発・周知の検討」ということが書いてあります。まず、ターゲットを明確にすること。メッセージを明確にすること。 CRS の予防だと、ワクチンで予防が可能だということのメッセージを明確に伝えること。それと伝わりやすい方法ということで、リーフレットやホームページのほかに、学生などは SNS 、学生のネットワーク等を使いながら伝えていく方法も検討していかなければいけないと思います。それとマスコミの活用です。テレビ報道や新聞で掲載されると、市民の反響は非常に大きいです。そこら辺を活用していきたいと考えます。

 行動化になかなか結び付きにくいことですが、人のつながりの活用ということで、地域組織の信頼できる方からのクチコミは行動化につながりやすいと思いますし、やはり教育と思います。学校、あるいは保健センターの母子保健授業での教育や指導が効果的であると考えます。

 最後に、今回の取組が飛躍的な改善につながるということは期待できないかもしれませんが、担当する課としては、現在の財政と時間の許す範囲で、職員が熱意を持って行政責務を遂行しようと、日々、努力しているということで、現場からの報告とさせていただきます。以上でございます。ありがとうございます。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。続いて、館林委員に資料 2 について説明をお願いいたします。

○館林委員 読売新聞の館林です。すばらしいお話をありがとうございました。私は余り実体験に基づいた話ではありませんが、お話させていただきたいと思います。

 新聞記事で予防接種やがん検診について、何回も何年にもわたって書いてくるのですが、やはりマスコミの報道だけでは、現実に目に見えてすごく何かが変わってくることが余りないのではないかと実感しています。今年のように流行があって大きなニュースになればいいのですが、日項基本情報としてお伝えしている場合は、特にドラスティックな改善につながらないのではないのかということを体験しております。

 そこで今回は、ちょっと違うお話をさせていただきたいと思います。普及啓発というのは、何か見たり聞いたりとかして、それを知るとか、分かるとか、そして、行動するということがあって、私たちは1の仕事をしているのですが、行動するというところまでつなげることが非常に難しいとされています。

 次ページです。最近、では行動変移を起こすにはどうするのかですが、がん検診とかを中心にいろいろな人たちが研究したり、自治体で実践されており、そういうところを取り扱っている会社に取材をして、お話をお伺いしてきました。

 皆さん御存じと思いますが、最初に情報に接触し、認知というのは、これがどういうものであるのかを知るということですね。一方、障害は、こうしたらこういうことがあって、こうすべきだということが認知されたとしても、お金が掛かるとか、時間的にとか、距離が遠くて難しいとか、そういうものが障害になっていく話です。認知については、いわゆるマスコミ等や情報提供のほうになって、障害は逆に、その費用負担とか、個別接種するのが面倒くさいなど、いろいろなことに掛かる障害で、行政で費用負担を減らすというのは障害の軽減で、私たちがいろいろ考える、情報を発信することは、認知への作用すると言われています。

 その中で、自己効力感があって、これをやれるのだとか、これをやることで何か良いことがあるのだと思うことも入っているそうで、そこには周りの人がみんな行っているとか、昔やったことがあるとか、やると褒められるとか、そういうことが入っている。きっかけがあって、そのきっかけはこれを実際にやってみようというきっかけがあり、そして、行動に移る考え方のモデルがあるそうです。

 そうするとどうなるかというと、きっかけというのは例えば勧奨通知を送る。そして、もう 1 回送ってみる。がん検診でよくやられているコール・リコールのそういう方法があったり、このキャンサースキャンという会社へのお話では、集団接種とかも障害の除去ではなくて、距離や時間を節約するだけではなく、そこにきっかけを提供する意味で、先ほど京都市で集団接種を学校でやったら上がった話がありましたが、これはきっかけの提供になるのだという話を伺ってきました。

 次ページです。風しんの場合は、がん検診や乳幼児の予防接種と違って、この広い対象を想定した場合、「疾患の重大性」と「行動の利益」がグループ間で異なると思います。産後の女性や不妊治療中の女性、妊娠中や出産可能年齢の女性で、妊娠の可能性のある家族のいる男性と、それ以外の 20 代~ 40 代の今年流行の中心になったと言われた男性。その他の海外渡航者、医療従事者、そういう方々で違うメッセージを伝えていかなければならない。

 では、それはどのように伝えていくかという話ですが、私に普及啓発のお題を頂いたときに、例えば、一番難しいと思うのは、 20 代~ 40 代の男性に、自費で 1 万円払って個別の医療機関に行ってしてくださいという記事を書くのは、非常にちょっと難しい感じがしております。この次のページなのですが、結局、今やっていることの目的は何かということで、風しんを排除していくのであれば、南米とかでやったように、全員にワクチン接種してもらって排除していけばいいということなのですが、 CRS を低減することをまず第一目標にしたときに、目標をはっきりさせた上で、では、目標の遂行のためにはどういうグループに免疫を付けてもらうべきかを、先生方にある程度医学的な根拠を明確にしていただき、つまり、ハイリスクの方だけにやれば CRS を排除されるのか、それとも集団免疫を持たないと排除されないのか。そして、抗体検査や予防接種歴は科学的にどうなのか。今度、行政として、何か障害の除去で費用の低減とか何かを考えたときや、集団接種の提供をした場合の費用対効果と、ほかの感染症の対策と風しんの対策の位置付けというものがあると思います。

 ワクチンは南米では 75cent で日本は 1 万円という話なのですが、何とか費用を低減する方策があるかどうかというのを、まず、何のために誰に免疫をつけてもらうか、どこまで費用の助成をするかを、医学の専門家と政策の専門家の人たちにある程度明確にしていただいた上で、それから私たちの仕事として、その決定した政策をどこまで有効に伝達するかを考えていきたいと思っております。

 次ページです。例えば個別予防だけでいくとすると、しなくてもいずれに必要だと思いますが、産婦人科の先生方の御協力で出産後の産褥ワクチンを接種することを徹底させることや、不妊治療クリニックを受診した人は必ず風しんの抗体検査、若しくはワクチン接種をする。いろいろな理由で婦人科受診したときに接種を呼び掛けるように、産婦人科の専門の先生方に徹底していただく。

 先ほど京都市の先生が予算がなくてとおっしゃられていたので、私も費用対効果の面からは分かりませんが、がん検診ではコール・リコールは有効とされていて、日項医療機関を受診しない人で妊娠可能な年齢の女性には、個別パンフレットやクーポン券の送付など。ただ、クーポン券を送付しなくても、そんなに金額が高くなければ個別パンフレットの送付と再勧奨するだけでも、かなり受診率はがん検診の場合では上がっている話も聞きました。

 2については、集団免疫をつけてほしい 20 代~ 40 代の男性たちへのアプローチは、医学的にどこまで必要なのかは私はまだはっきり分からないのですが、この人たちに情報提供していくときに、やらないという理由には 2 種類あります。お子さんの予防接種では一定数いらっしゃるのですが、予防接種が不安だから受けないという方がいらっしゃって、その方はやらない理由があるからやらない。だけれども、今回のような 20 代~ 40 代の男性の場合で、特に家族に女性の方がいない場合は、どちらかというとやる理由がないからやらないという分類がされるのではないかと、いろいろな方にお話をお伺いして言われました。

 そして、 6,000 人に 1 人、指針にも脳炎になるという話が書いてありましたが、 CRS のことを除くと、本人への何と言うか利益というのが比較的少ない疾患なので、そういう妊婦さんのためにとか、そういうことよりも、例えば、いろいろな先生方と考えさせていただいたのですが、休職を避けられるとか、まれだが重症化も回避できるとか、インフルエンザは毎年打つ必要があるが風しんは 1 回で済むとか、そして、自分にもメリットがあり、 2 回かもしれませんが、なおかつ周囲の女性社員のためにもなると。

 職域では、定期健診時の抗体検査や接種などが、大企業の場合はあると助かるのではないかと思います。先ほども申し上げましたが、障害の除去でもあり、それがきっかけの提供で、そこでやっているのでちょっとやってみようということで、受診する方が増える可能性がある。

 先ほども申し上げましたが、 1 万円を自己負担してこういう方々が行くのは、ちょっと普及啓発としても私どもとしても難しいかという気がしていて。つまり、自分にあるメリットと出す費用の兼ね合いの件なのですが、こちらにも何らかの抗体検査や接種なりの費用の助成があるとよいのではないかと思いました。

 次ページの3ですが、海外渡航者の、この間、先生がおっしゃられていましたが、 FORTH の国別項目で風しんのところが、当たり前なのかもしれないのでということで、そこから見えてないので、会社で出張するときにそこを言われないとか。そういうところで、節目節目で提供していくとか、専門家の方々に業種ごと、職能団体ごとで御検討していただくとか、大学入学時のチェックなどが考えられると思います。

 妊婦さんの場合は、この接種ができる群ではないので、妊婦健診で風しんにどうやって気を付けるかとか、妊娠中に風しんに感染した疑いある方をどのように相談していくのかや、 CRS CRI のお子さんのいる家族にどのように情報提供と指導していくかを、ここでは予防接種とは別に考えていかないといけないと思います。平原先生たちがいろいろ 2 次相談窓口を作っていらっしゃいますが、更に助成されて、充実されていくといいと思います。

 最後ですが、今項になって出てくるのですが、風しんの流行が去っている間も基本的にベースラインとしてのマスコミの情報提供は必要で、ある程度忘れ去られないように下支えとして、私たちがいろいろと風しんについて書いていく必要があると思います。個別にたまたまその感染症の専門担当になっていると、健康面などを定期的にやったりしているのですが、そうでもないいろいろなマスコミの人を活用していくのでしたら、厚労省や産婦人科学会、産婦人科医会でメディアセミナーとかを開いたり、定期的に記事の何かねたになるような調査発表を意図的にしていただいたり。最近は新聞でも健康面や子供のことについて書くと、孫が心配とか、そういう話が出てきて、おばあちゃんの力はすごく強いのでいいのですが、新聞やテレビ、インターネットも全部活用していかないといけないので、ホームページ等の呼び掛けなどをしたり。予防医療はこれから大きくなっていき、私たちも予防医療の記事をたくさん書いていこうと思うので、予防医療の中の位置付けとして風しんのキャンペーンも入れていくとか。

 先日、加藤先生がおっしゃってらっしゃいましたが、周期的に流行が繰り返すとすると、本日、東京都は大変ですが、東京五輪までに征圧しようとか、そういうような形で、今、原発の汚染水とかは、オリンピックまでに何とかなってないと困ると外国人の記者から指摘されていますが、東京五輪までにこういう何か、世界的にあってはならないと思われるような感染症がないような世の中にしていこうというキャンペーンをして、一般の人からの賛同で予防接種してもらうとか、何かそういう自発的に予防接種してもらえるようなキャンペーンがあるのではないかと考えます。

 いずれにしても、どの普及啓発活動していくのかは一番川下の部分ですので、まず先生方が、どのようなところにどういうターゲットで抗体を持ってもらうのが必要なのかということを明確にしていただき、その上で、政策を判断する方が、この感染症にはこれぐらいの予算でこのようにしますということを決めていただいて、それに応じて、情報の提供の仕方や情報の書き方が変わっていくので、この委員会で専門家の先生方が、医学的、政策的な御議論されることを望んでおります。以上です。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。それでは、お二人の御説明について、何か御意見、御質問ありますか。

○小森委員  1 点、よろしいですか。京都市の御発表、本当に感銘を受けましたが、 1 点、教えていただきたいのです。平成 25 年度の事業において、予算上の対象者の 15.2 %ですか、これは抗体価の測定をしておらずに接種対象されたかどうかということと、もう 1 点、 15.2 %のこの中の男女比についてお分かりでしたらお教えください。

○吉山委員 ありがとうございます。今年度については、京都市は抗体価の測定を導入せずに実施させていただいております。 2 点目の御質問ですが、男女比は女性が 8 割、男性は 2 割の実施率です。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。

○宮崎委員 関連してですが、予算上の対象者の 1 6,000 人の算定はどのようにされたか。

○吉山委員 まず、大体 19 歳から 39 歳、 40 歳ぐらいまでの女性の人口を基本として、そこからまず、妊娠を希望するかどうかを市内の市民を対象とした調査がありまして、妊娠を希望するだろうという方たちの率を掛けて、過去の接種率を掛け、 2 回接種しているグループを引いて、その辺りです。

○五十嵐委員長 特にないようでしたら、残りの審議がまだありますので、そちらにいきたいと思います。研究開発の推進と国際的な連携について、資料 3 を基に事務局から御説明をお願いします。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  資料 3 を御覧ください。研究開発の推進と国際的な連携について、第 1 回の委員会で皆様方から頂いた御意見をまとめてあります。「研究開発の推進」に関しては、職場での流行のメカニズム調査と必要な対策の実施。 CRS 児のウイルス排泄、感染経路の研究実施。流行の原因に関する人口疫学的な調査の実施。また「国際的な連携」に関しては、これまで同様の流行は海外でも生じ得る状況であることの情報の発信。流行の評価を行うための遺伝子検査の必要性などの意見がありました。

 また、今回、風しんの指針を策定するに当たり、風しんと類似した疾患である麻しんの指針を参考に指針を策定していきたいと考えております。参考までに麻しんの指針で、この項目に記載されている内容を資料として配付してありますので、この内容についても委員の方々から特段意見や提案等ありましたらお伺いした上で、今まで頂いた意見、麻しんの指針を参考に風しんの指針を策定していきたいと考えております。以上です。

○五十嵐委員長 これについて、何か御質問はありますか。よろしいですか。参考資料 1 2 がありますので、そちらの御説明をお願いします。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  参考資料 1 2 がありますので、まず、参考資料 1 から御覧ください。参考資料 1 「妊婦の風しん予防に求められる抗体価の比較」について、前回の小委員会で抗体価が高い方でも、先天性風しん症候群のお子様が生まれたという報告があるという御指摘がありましたが、国際的な比較で国内の抗体価がどのような位置付けになるのか、簡単に情報提供させていただいた資料です。

 国際的には、抗体価の単位としてインターナショナルユニット (IU/mL) という単位が用いられております。一般的に妊婦の予防に対して求められる抗体価というのが、大体 10IU/ml という値があります。これに換算した日本での HI 32 倍がどの程度の抗体価に当たるのか換算しますと、これはキットによってそれぞれ少しずれが生じてしまうわけですが、大体 24 39IU/ml と、安全性という観点においても、かなり高い値を推奨している状況です。まとめますと、 HI 32 倍における風しんの抗体価というのは、国際単位に読み替えた場合、おおむね予防されると考えられる値の 10IU/mL という値よりも高い免疫に相当することを資料として提供しております。

 参考資料 2 を御覧ください。第 1 回の小委員会で風しんの流行状況を事務局からさせていただいたわけですが、今回、具体的な指針の議論を開始するに当たり、現在の流行状況について再度説明が欲しいという御要望が委員からありましたので、参考資料 2 を作成させていただきました。現在、 2013 年の第 49 週までですが、 5 月をピークに感染の流行状況は落ち着いており、 2 ページを御覧になっていただくとより時期的な流行状況が明確です。 5 月をピークに週ごとの感染報告数が下がっております。直近の週では、 1 週間の風しん発症数は全国で 8 名の報告がありました。

 これまでの累積の都道府県ごとの報告数については、これまでと同様、東京、大阪を中心とした大都市の報告数が多い状況です。

 次のページ、これまでの報告と大きな違いはありませんが、男女、年齢別に見た報告数です。男性と女性の割合で見ると男性が多いことと、ここまで議論されていた 20 代~ 40 代の男性に報告が集中しているという状況です。

 少し前回の報告と数字が変わっているのは、先天性風しん症候群の発生状況です。大きな流行があった春先に妊娠初期で感染された方々が出産の時期を迎えており、最近では、先天性風しん症候群の報告数が増加している状況です。 12 4 日現在の表ですが、今週新たに 2 名の報告がありましたので、 2013 年の報告数は現時点で合計 28 名、去年の秋の 10 月からの総数は 32 名になっております。簡単ですが、現在の風しんの流行状況を報告させていただきました。以上です。

○五十嵐委員長 参考資料も含めて、何か御意見や御質問はありますか。

○宮崎委員 国際的な連携のところで、日本小児科学会には国連大使を通じて、アメリカ小児科学会からレターが届いております。日本で春から初夏にかけて、かなり風しんが出たことがアメリカでも大きな話題になっており、日本は従来発展途上国に多大な貢献をしてきたと。そういう国でこういうことが起こっていることは、アメリカ小児科学会では憂慮しているので、できる援助は何でもやるからというレターが届いております。アメリカ小児科学会だけではなく、国際小児科学会からもそういうレターが出ております。

 抗体価については、流行を阻止するかどうか、感染を広げるかどうかという意味では高い、低いというよりも、免疫があるかないかというところが一番大事です。そのレベルでの議論のほうが現実的かと思います。ただ、先天性風しんの予防については、もう少しハードルを高くして、ウイルス血症がなるべく起こらないレベルになって、そこの議論は少し分けて議論していくと整理がつくのではないかと思っております。以上です。

○五十嵐委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは議題 (2) に入りたいと思います。前回の委員会までは、原因の究明、予防及び流行の防止、医療の提供について審議をしてきました。今回は、特定感染症予防指針の策定に向けて、具体的な内容について議論をしたいと考えています。議論を進めるに当たっては、事務局にこれまでの委員からの御意見や審議内容を基に、議論の材料となるように指針案として資料をまとめていただきました。資料 4 に記載されている内容以外に、指針に盛り込むべき内容がもしありましたら、遠慮なくこれから御異論を頂きたいと考えております。

 議論の進め方としては、項目ごとに説明を頂いて、審議を行って、それらをまとめた上で次の項目に移るという形でいきたいと思います。よろしいでしょうか。まず、指針の序文に当たる「風しんに関する特定感染症予防指針」の部分について、資料の説明をお願いします。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  資料 4 を御覧ください。これまで議論頂いた内容を基に指針案としてまとめたものです。ご呈示させていただいた資料はドラフトですので、これから文言や内容について修正があることを事前に御承知おきください。また委員の方々には事前に資料を配布しており、資料が多岐にわたって 9 ページまでありますので、内容の説明についてはは要点を絞ってさせていただきます。

 第一「目標」のところまで説明させていただきます。「風しんに関する特定感染症予防指針」の案については、感染症法並びに予防接種法に基づき、特定感染症予防指針として策定するものです。来年度 4 1 日からの適用を目指して策定を進めていきたいと考えております。

 最初の序文に当たる「風しんに関する特定感染症予防指針」の項では、これまでの一般的な風しんの特徴、疫学的な状況を記載しております。風しんは発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風しんウイルスによる感染性疾患であり、一般的な症状は軽症ですが、罹患者によっては重症化する方もいらっしゃるという点の記載があります。また、妊娠の初期に感染してしまうと、先天性風しん症候群の子供が生まれてしまう特徴があります。

 これまで我が国におきましては、平成の初頭まで毎年推計数十万人の患者が発生し、ほぼ 5 年ごとに推計数百万人の規模の全国的な大流行が繰り返されてきたわけです。その影響によって、国民の多くが自然に感染していた状況です。ただ、予防接種が進展するに当たって、流行が徐々に縮小し、その間隔も拡大してきた経緯があります。

 我が国の風しんの定期の予防接種については、昭和 51 6 月に予防接種法で規定されて、昭和 52 8 月から、主に先天性風しん症候群の予防を目的とした中学女子を対象に接種勧奨等が行われたことが始まりです。平成元年には、麻しんの定期接種として、男女幼児の希望者に対して風しんを含有する MMR ワクチンが使用された経緯があります。しかし、 MMR ワクチンには無菌性髄膜炎の発生頻度等の問題があり、平成 5 年に使用が見合わせられたという事例がありました。

 その後、先天性風しん症候群の予防に加え、風しんの発生の予防及びまん延の防止を目的に、平成 7 4 月から対象者が変わり、男女幼児に変更されるとともに、時限措置としての中学生男女は定期接種が個別接種で行われたという経緯があります。時限措置で行われた対象者に対しては、接種率が低かったということもあり、平成 13 年から平成 15 年にかけて経過措置として、再度の接種の機会が設けられたという経緯もありました。平成 18 4 月、麻しん風しん混合ワクチンの使用が開始されて、同年の 6 月からは 1 回の接種から 2 回の接種に機会が増えております。

 発生動向調査を見ますと、昭和 57 年から平成 19 年まで、全国 2,400 3,000 か所の小児科医療機関からの定点報告がありましたが、風しん減少に伴い平成 20 1 月より全数報告疾患となっております。平成 16 年に推計約 3 9,000 人の発生があったわけですが、患者報告数は着実に減少し、大規模な流行はそれ以降なかったということです。昨年、平成 24 年より関東及び関西地方等の都市部において、 20 40 代の成人男性を中心に患者数が増加して、平成 25 年には 1 4,000 人を超す患者数の報告。そして現時点で 28 人の先天性風しん症候群の発生が報告されております。

 こういった風しんの流行というのは、かつての流行と異なり、定期接種の機会のなかった成人男性、または定期接種率が低かった成人男女に報告が多く見られております。これらの風しんの免疫を持たない者を「感受性者」と定義しておりますが、この方々が多く生活する大都市を中心に流行が見られます。また患者の中心が生産年齢層、子育て世代ということで、職域等での感染事例、そして先天性風しん症候群の増加などの社会的な影響も大きく、任意の風しん含有ワクチンの接種数が急増したことで、地域的なワクチンの需給状況が不安定になるということや、風しんの抗体価の検査に用いるガチョウ血球が不足し、検査の実施の確保が一時的に困難になるという混乱も生じました。

 今後、指針におきましては、このような状況を踏まえて、先天性風しん症候群の発生並びに風しん発生の予防及びまん延の防止を目的に、国、地方公共団体、医療関係者、教育関係者、事業者などが、連携して取り組んでいくべき施策の方向性を示したものと考えております。本指針におきましては、風しんの発生動向、風しんの予防等に関する科学的知見、この指針の進捗状況に関する評価などを勘案して、 5 年ごとの再検討を加え、必要があると認められれば、それをまた変更していくものとしております。以上です。

○五十嵐委員長 まず序文について御説明いただきましたが、これについて御意見はいかがですか。

○竹田委員 国内の動向については、かなり詳しく書かれていると思いますが、国際的にも世界保健総会等でグローバルワクチン・アクションプランとかが定められて、日本も同意していると思いますので、その辺のことも少し加わったほうがいいのではないかと思います。

○五十嵐委員長 ほかにいかがですか。

○宮崎委員 風しんの症状が書かれた一番最初のところですが、脳炎が 1/5,000 6,000 、臨床的には血小板減少性紫斑病が 1/2,500 3,000 あります。子供ではそのぐらいの率ですが、今回の 1 4,000 人の中で、脳炎の患者さんの報告や血小板減少性紫斑病の報告が、私たちが教科書的に知っている数より数倍以上多いので、ここを精査していただいて、ひょっとしたら成人ではもっと合併症が多い可能性もありますので、最終的な文言のところで考えていただければと思います。

○五十嵐委員長 御指摘ありがとうございます。ほかにいかがですか。私から、もしよろしければ、 2 ページの 53 行目辺りに、このあとで具体的なことが出てくるわけですが、先天性風しん症候群の患者さんのウイルスの排泄を調べたり、いろいろされることが後に書いてありますが、そういうことも配慮しますと、この予防指針の実施の際には、当たり前のことですが、先天性風しん症候群の患者と家族の人権に対する格別の配慮が求められるという文言も検討していただきたいと思いました。いかがでしょうか。ほかにないようでしたら、第一「目標」の御説明を頂きたいと思います。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  第一「目標」に関しては空欄になっております。

○五十嵐委員長 すみません。第二ですね。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  はい。第一の「目標」に関して簡単に説明させていただきます。全体を通しての目標となるので今回は空欄とさせていただいておりますが、今回頂いた修正案や意見等を基に、次回の委員会には目標の案を御提示させていただき、最終的な議論につなげていきたいと考えております。

 第二「原因の究明」については、「基本的考え方」のところからです。ここに「都道府県等」という言葉がこの後たくさん出ておりますが、国並びに都道府県、保健所を設置する市及び特別区のことを都道府県等と呼ぶと定義をしております。基本的な考え方については、都道府県等において、風しんについての情報収集及び分析を進めていくとともに、発生原因の特定のため、正確かつ迅速な発生動向の調査を行っていくことが重要であることを、まず基本的な考え方として記載しております。

 風しん及び CRS の発生動向調査及び対策の実施については、現在、実施しているように、国内で発生した全ての症例を把握することを継続することをうたっている内容です。

 「風しん及び先天性風しん症候群の届出」については、ここの指針で記載させていただいているのが 72 行目、「可能な限り 24 時間以内に保健所への報告を求めるものとする」という点が新しい内容です。現在、感染症法に基づく発生届の基準では「第 5 類で 7 日以内の発生」と記載しておりますが、今後、その後に書かれているような積極的疫学調査等の必要性などを勘案しますと、麻しんの対策と同様に 24 時間以内に報告を頂いて、迅速な対応につなげていきたいという観点から、「 24 時間以内」という言葉を用いております。

 その報告の判断基準については 73 行目、当面は臨床での診断をもって届出の判断材料とすることを継続する。ただし、検査室での診断 ( 抗体検査等 ) といった場合には、その結果についても同様に報告を求めていくと記載しております。 75 行目、さらには、同一施設における集団発生時等の感染対策の必要性に応じて、遺伝子検査の実施を求めていくというこを記載しております。

77 行目、風しん患者の発生数が一定数以下になった場合におきましては、原則としてウイルス遺伝子検査などで診断した症例のみの報告を求めるとすると記載しております。これは麻しんも同様に記載してきた経緯があり、現時点で 1 万人を超す症例報告の全てに遺伝子検査を実施することは困難であるわけですが、今後、排除等を目指すに当たり、一定数以下に発生数が減少した場合には、全数の遺伝子検査が必要になるということを記載したものです。

80 行目、先天性風しん症候群については、風しん発生地域における妊娠初期検査で、風しんの抗体が陰性又は低抗体価の妊娠から出産した新生児に対し、先天性風しん症候群を念頭におき注意深い対応を行う必要があると記載しております。また、これらの対策を行うに当たって、国立感染症研究所において、風しん及び CRS の届出の手順等の手引の作成を行うことについて言及しております。

 日本医師会との協力については、国が日本医師会を通じて医師に対してという記載ですが、先ほど三で申し上げたような風しんの届出に則した対応を依頼すると記載しております。先天性風しん症候群の診断例の届出に際しては、母親の予防接種歴、罹患歴及び年齢を併せて報告するよう依頼すると記載しております。現在の発生届出については、予防接種歴、罹患歴の記載項目はありますが、どういった方々に先天性風しん症候群の発生が生じているのか、より詳しく把握するために年齢を追加しております。

 五「風しん及び先天性風しん症候群の発生時の対応」です。都道府県等は地域で風しんの流行がない状態において、風しん患者が同一施設で集団発生した場合などに、感染経路の把握などの調査を迅速に実施する。これが積極的疫学調査になりますが、そういった対応を行う必要があり、普段から医療機関等の関係機関とのネットワーク構築に努めるものとする。また、国は国立感染症研究所におきまして、当該調査の実務上の手順等を示した手引の作成、職員の派遣要請に応えられる人材の養成を行うものとすると記載しております。国及び地方公共団体は、先天性風しん症候群の患者が発生した場合に、医療関係者が保護者に対し適切に対応できるよう必要な情報の提供を行う。地方衛生研究所及び国立感染症研究所は、必要に応じて PCR 検査により、先天性風しん症候群と診断された児のウイルス排泄の有無について評価を行うと記載しております。

 六「ウイルス遺伝子検査等の実施」については、都道府県等が可能な限りウイルス遺伝子検査などを実施するとともに、その記録を保存するとしております。検査の結果、風しんのウイルスが検出された場合におきましては、風しんのウイルス遺伝子配列の解析を実施すると記載しております。以上が第二の「原因の究明」についての御説明になります。

○五十嵐委員長 第二の項目について、何か御意見や御質問はありますか。

○大石委員 三「風しん及び先天性風しん症候群の届出」について、可能な限り 24 時間以内に保健所へ報告を求める。これはすごく良いことだと思います。「また、当面は臨床での診断をもって届出の判断材料とする」ということが書かれて、 5 行目後に、なお、我が国における風しん患者の発生数が一定数以下になった場合には、ウイルス遺伝子検査で風しんと診断した症例のみの報告を求めるものとすると書かれております。この指針が 4 1 日に発出されるとして、「当面」というのがどの時期を言うのか、あるいは発生数が一定数以下、現在の発生数はかなり昨年よりも少なくなって 1 週間 10 を切っている状況です。この辺が具体的に分かりにくいと思います。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  御指摘ありがとうございます。「一定数以下」という文言については、これまでの麻しん対策にならった記載ぶりであることが 1 つと、今後の流行状況は未来のことですから、なかなかどうなるかということが分からない点があります。恐らく麻しんもそうですが、週ごとの評価というよりはむしろ長期間での評価が必要となり、麻しんに関して言いますと、発生数が減少したことによって、なかなか麻しんの臨床診断が難しくなるということがありました。そういったことから、皮しんを伴う発熱において、それが本当に麻しんなのか診断することが難しくなった、そういった問題が生じ、遺伝子検査を全数に実施するようになったとお聞きしております。

 そういった観点におきましても、いつなのか明確に申し上げることはなかなか難しいわけですが、全数に検査を実施していただくに当たって、地方衛生研究所での作業が可能であるのかどうかなど、実施体制についても現状を勘案した上で、評価を行っていくということになります。これらのことから、具体的にいつということは、現時点で申し上げることは難しいと考えております。

○大石委員 既に都内での保育所の麻しんらしき流行が起こっている状況を見ていると、

その中でも風しん PCR 陽性の例が出てきたりして、非常に臨床診断がどうなっているのか非常に難しい状況があります。現状でそうであるのに、これが 4 月に発出されるときに、こういう書きぶりだと、これは読み方によっては臨床診断でいいのだと読まれる可能性も高いので、そこはより踏み出てもう少し検討していただきたいと思います。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  今、御指摘を頂いたような保育所などの同一施設のアウトブレイク、流行という状況については、 75 行目に記載している、同一施設における集団発生等の感染対策の必要性があるということでしたら、遺伝子検査を行えるような記載ぶりになっており、そういったところで、必要に応じた遺伝子検査の実施を行っていただきたいと考えております。

○岡部参考人 はしかの特定予防指針を作ったときに、当時から関わっていたのですが、

そのとき一定の数以下になったという表現にはなっているのですが、そのときの委員会の議論では、大体、これはどのぐらいを目標にするかということがありました。そのとき議論になったのは、例えば腸管出血性大腸菌感染症は全て検査診断をするわけですが、年間に 3,000 例前後は出ている。このぐらいの負担ならば、これは衛生研究所は可能であろうという議論がありました。

 当面は臨床での診断をもってというのは、数が多いときは当然ですが、今回の風しんの場合も、それ以前は数百例、あるいは 100 例切っているぐらいまでになっていたわけです。それがアウトブレイクを起こしたために、衛生研究所では全例をやるのがパンクになったというのは、この委員会でも検討されていたと思いますが、増えたときは例外としても、減少しているときはきちんと診断できるほうを先に打ち出したほうがいいのではないかと思います。つまり、決まりとしてやってしまうと、仮にアウトブレイクがあって、何万という患者さんが出たら全部やるのだということを発してしまうのが難しいのであって、少数例はきちんと検査診断をやっていかないと風しんの実態はつかめていかないと思います。以上です。

○調委員 今の書き方では、遺伝子検査を行う対象が、施設等での集団発生に限られるような感じになっているので。現状でも恐らく個別の発生についても、麻しん疑いということで来ているケースが結構多いと思いますが、風しんの遺伝子検査はなされていると思うのです。ですから、こういう書き方になると逆に後退する可能性もありますので、その区別を余り明確にしないほうがいいのではないかと思います。集団発生に限ってやるような書き方というのは、書き替えていただく必要があるのではないかと思います。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  分かりました。集団発生等というところで、広く読んでいただきたいという思いはあったのですが、現状と、調先生等の地方衛生研究所の実態に鑑みて、また文言を次回の委員会までに修正、検討したいと思います。

○平原委員 私は産婦人科医ですので、産婦人科の立場から一言だけ言わせていただきます。どこかに出てくるかなと思っていたのですが、妊婦さんなら妊婦さんというか、成人の風しんの診断の部分が縷々書いてあります。生まれてきた子供の先天性風しん症候群のことも、どういう診断基準でどういうふうにするか書かれています。 2004 年に岡部先生の所で班を作らせていただいたときに、とにかく妊婦さんが風しんと診断された、あるいは疑わしいと言われたときに、どういうふうに対応するのか、産科医側でよく考えてくださいと。そのまま中絶に行くというのもおかしいでしょうと。ただ、生まれてくるお子さんにしても、お母さんにしてみれば、自分が何とかすれば、この子はそういうことにならなかったのになと思うような、非常に心の辛い部分もあるでしょう。いろいろなところがあるのを適切なカウンセリングをするなり、情報提供するなりして、そういう体制を整えてくださいということが、そのときの課題だったわけです。

 これを読みますと、例えば「風しん罹患、若しくは罹患を疑われた妊婦さんに対する適切な情報提供」、あるいは「適切なカウンセリング体制」、そういったような文言がどこかに盛り込まれるといいのではないかと思います。今回も、妊婦さんのお母さんたちと接している人たちは我々のグループの中にもおりますが、非常に重たい思いで対応しているのが現実で、その辺は非常に大きなコンポーネントになるのではないかと思いますので、御配慮を頂ければと思います。以上です。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただきました取組については、また平原研究班でも継続して行っていただいておりますが、指針の中では、第四「医療の提供」の 295 行目、「先天性風しん症候群のような、出生児に障害の残るおそれのある感染症については、妊婦への情報提供が特に重要である」。「国は、風しんの患者を適切に診断できるよう、医師に必要な情報提供を行うとともに、国民にも当該疾患に感染した際の初期症状や早期にとるべき対応等について周知していくことが望ましい」と記載があります。ここの記載ぶりについて、また御指摘いただいた点を踏まえて、御相談させていただきたいと考えております。

○五十嵐委員長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。

○澁谷委員  73 行から 75 76 行辺りについては、やはり現場の保健所で考えますと、感染の拡大を防止するという意味でも、臨床の最初に患者さんを診たときに、まず予防の行動をしてもらうことが非常に大事だと思います。「当面は臨床の診断をもって」というのは、良い表現だなと思っています。臨床で診断をしても、そのときに検体を取っていただいた場合には、その結果も報告するということで、全部は取れないかもしれませんが、検査のできるものは検査で診断をしてくださいということになっておりますので、このくらいで、きっちりと全部やれと言われると、やはり現場は困るかなという気はいたします。

 「集団発生時等」と「必要に応じて」という言葉が入っておりますので、これについても、現場で判断をしてできるということで、この表現で私はそんなに問題はないと考えております。

○竹田委員 目標のところは今後考えていかれるということですが、ただ減らすのか、 CRS だけをゼロにするのか、排除するのかということは明記する必要があると思うのですが、国際的な動向から考えると、やはり目標は排除だと思いますので、そういう方向で考えていただければと思います。いつまでということは現状では明記できなくてもいいかと思うのですが、やはり目標は風しんを排除してしまうことかなと私は思っております。

 次は少し細かいことですが 79 行目。これでは原則として検査で診断したものだけを報告すると読めてしまうのですが、原則として全例に検査をしてということかと思いますので、誤解のないような記述にしていただきたいということです。

 血清診断でも確実に診断が付くことがありますので、病原体の件数に限らず、血清診断のことも書き加えていただければと思います。

○五十嵐委員長 よろしいですか。

○宮崎委員 風しんの臨床診断は、結構難しいのです。ただ、流行の拡大を防ぐという意味では、なるべく早く報告というのはそのとおりなので、逆に言うと検査の裏打ちがある程度必要で、はしかのときにそうだったように、症例が下がってくると紛れ込みが増えきますので、取りあえず報告しても、後できちんと訂正、削除ができるようにしていくことが 1 つです。

 目標のところは次回とは思いますが、 CRS ゼロというのも、当然入らないといけないところで、あとは風しん排除というのも時間的なタイミングも含めて、いろいろ議論になってくるかと思います。

○五十嵐委員長 岡部参考人、お願いします。

○岡部参考人 今、目標の話が竹田先生と宮崎先生から出ていますが、会議のやり方としてこれはやむを得なくて、いろいろ議論が行われた結果だろうと思うのですが、やはりプランを決めるには目標の設定があって、それについてどうするかというのが大事ではないかと思うので、次回でも、目標の設定は最大のプライオリティーであると思います。

 はしかのときには、今回、指針を変更していますが、最初に作ったときには、いついつまでにという目標設定があって、麻しん排除を達成しその維持をすると。これは周辺から非常に反対意見も多くて「高らか過ぎる」ということを言われたわけですが、やはり目標はある程度高らかにして、それに向かう。ただし、今回も修正しているわけですが、その結果としては、はしかについてはかなりの成果が得られていると思います。目標設定の年を設定するかどうかというのは WHO でも議論があるので、それは議論したほうがいいとは思いますが、目標そのものを余り低く設定していただきたくないのが希望です。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。ほかはいかがですか。よろしいですか。

○調委員 少し細かいことになりますが、六「ウイルス遺伝子検査等の実施」というところで、ウイルスの遺伝子配列は、基本的にほとんどが地方衛生研究所で決定されている現状にあると思います。この書き方では、地方衛生研究所で遺伝子配列を決定すると。国立感染症研究所で、解析されたウイルスの遺伝子情報を適切に管理しと書いてありますが、地方衛生研究所で決定された遺伝子配列がなかなかパブリックになってこないケースもありますので、少し書き方を工夫していただいて、パプリックデータベースに載せるなり、あるいは感染研に報告するなりして、国全体のウイルスの配列の解析ができやすいような書き方を工夫していただければと思います。

○五十嵐委員長 これはよろしいですか。

○宮崎委員 もう 1 つ、細かいことを言ってすみません。 CRS の報告に関しては、臨床診断だけではなく、既に臨床検査のデータが含まれているのではなかったでしょうか。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  御指摘のとおり、 CRS には検査診断を伴わない限り、……診断に至らないという報告基準です。

○宮崎委員 風しんも CRS も同列にして、当面、臨床診断にと書いていなかったですかね。そうではなかったですか。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  風しんを念頭にした記載ですが、分かりにくい部分があるかと思いますので、検討したいと思います。

○宮崎委員 読み違えていました。ごめんなさい。

○岡部参考人 各論のほうにあるのですが、五「風しん及び先天性風しん症候群の発生時の対応」というのは、このとおりで、特に CRS が発生したときに、医療関係者が保護者に対して適切な対応ができるようにというのは、この委員会の中で、医療者が十分に取り上げてくれなかったことへの反省だろうと思います。これは非常に重要ですが、はしかと違って CRS の場合を含めると、慢性疾患的なことの考えが 1 つ必要になるので、発生時の対応だけではなく、発生した CRS に対する対応というのは 1 項目別に必要ではないかと思います。「適切な対応」というところで含まれることは含まれると思うのですが、その後の発育を見守るとか、それに対する保護、養育ということが言葉の中には含まれるのではないかと思います。先ほど五十嵐先生が「人権」ということもおっしゃっていましたが、現実的な医療に対する提供が必要ではないかと思います。

○五十嵐委員長 これは予防指針ではあるわけですが、そういう文言も加えたほうが親切だということですね。これも検討していただけますか。小森委員、どうぞ。

○小森委員 似たような意見ですが、私は後段のほうがより適切かという感じはしたのですが、ただ、今、岡部委員が御指摘になられたように、先天性風しん症候群のお子様、あるいは保護者に対する様々な施策ということは、風しんを考えるについて極めて重要な視点ですので、別途、項立てをするということは、どこに、どういう記載をするかということは、別途として考えていただいてもいいのではないかと思いました。

○五十嵐委員長 御指摘ありがとうございました。では、これも考えていただけますかね。それでは、よろしいでしょうか。次に行きます。第三の「発生の予防及びまん延の防止」です。これについて御説明をお願いします。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  第三「発生の予防及びまん延の防止」について、説明いたします。ここが指針の中で一番ウエイトが高いというか、ボリウムが大きいところです。まず、第三の全体の構成から説明いたします。一には、今般の流行後の原因分析が記載してあります。二では、予防に関する基本的考え方について記載しています。三が 148 行目ですが、予防接種に基づく予防接種について記載があります。四は 183 行目ですが、予防接種法に基づかない予防接種の推奨について記載があります。最後、五については、その他必要な措置について 248 行目から記載があります。少し長くなっていますので、要点について簡潔に説明いたします。

 戻りまして 113 行目、一からです。今回の流行の分析について、これまでの過去の流行での遺伝子型と流行しているウイルスの配列が異なるということで、ウイルスが我が国に流入したことが流行のきっかけになったと考えられています。 118 行目ですが、 20 40 代の年齢層の男性を中心に風しんが発生した主な原因としましては、当該年齢層の者に幼少期に自然感染しておらず、かつ、風しんの定期の予防接種を受ける機会がなかった者や、接種を受けていなかった者が一定程度いたためであると考えられると記載しています。 123 行目ですが、一定の感受性者が地域に蓄積することで感染の循環が生じたとも考えられています。また、 126 行目、本指針の目標をより効果的かつ効率的に達成するため、特に平成 25 年度の流行時に伝播が多く見られた職域等における感染及び予防対策や、先天性風しん症候群の予防の観点から、妊娠を希望する女性などに焦点を当てた予防対策が重要になると考えられる、と原因分析しています。

 二「基本的考え方」です。 131 行目、感染力が強い風しんの対策として最も有効なのは、その発生の予防であるとしています。その発生予防の対策ですが、 133 行目、発生の予防に最も有効な対策は、予防接種により感受性者が風しんへの免疫を獲得することであると記載しています。 136 行目に飛びまして、必要に応じ抗体検査などを実施することにより、より効果的かつ効率的に予防接種の実施を行うことが期待されると記載しています。

138 行目ですが、風しんの罹患歴。ここはこの後ずっとその「罹患歴」と「予防接種歴」という言葉がたくさん出てきていますが、定義をここで行っていまして、この罹患歴は過去に検査診断で確定したものに限ると定義付けしています。また、予防接種歴については、母子健康手帳や予防接種済証等の記録に基づくものに限るとこの指針では定義しています。この罹患歴・予防接種歴を確認できない者に対し、幅広く風しんの性質等を伝え、風しんの抗体検査や風しんの予防接種を行うよう働きかけることが必要であると記載しています。飛びまして 145 行目、次のページですが、妊娠を希望する女性等においては、 1 回よりも 2 回の予防接種を受けることで、風しんの感染の予防がより確実に可能になると記載をしています。

 三「予防接種法に基づく予防接種」です。 149 行目、 1 で記載いたしていますのは、定期接種に関する記載でして、 1 期接種は現在行っている生後 12 か月から生後 24 か月に至るまでの者、 2 期接種として就学の始期に達する日の 1 年前の日から当該始期に達する日の前日まで、つまり就学前の 1 年間に行うということと、接種率は麻しんと同様に 95 %以上を目標にするということ。特に 1 期接種ですが、 1 年間の接種期間の中でできるだけ早く接種を受けていただくことを記載しています。

156 行目ですが、 2 国は定期の予防接種の実施主体である市町村に対し、確実に予防接種が行われるよう積極的に協力を求めていく必要があると説明しています。具体的にですが、 160 行目、こういった法律に基づく当該健康診査及び就学時健診の受診者の罹患歴及び予防接種歴を確認し、未罹患であり、かつ、年齢に応じて必要とされる風しんの定期の予防接種を受けていない者に、接種勧奨を行うよう依頼するものとすると記載しています。

3 です。 166 行目ですが、厚生労働省は文部科学省に協力を求め、就学時健診の機会を利用して定期接種勧奨を行うものとすると。また、接種勧奨後に定期接種の予防接種を受けたかどうかの確認も行い、必要があれば再度の接種勧奨を行うことを記載しています。

4 は環境づくりに関してですが、国は定期の予防接種を受けやすい環境づくりを徹底しなくてはならないと記載があります。そのため、日本医師会、日本小児科学会、日本小児科医会、日本小児保健協会などに対し、定期予防接種が円滑に行われるよう協力を求めると記載があります。

5 、国は風しん含有ワクチンや検査キットの確保が困難となった事例に鑑み、製造販売業者と引き続き連携を図るものとすると記載があります。また、ワクチンの流通についても、日本医師会、卸売販売業者、地方公共団体の間の連携を促進するものと記載しています。

 四「予防接種法に基づかない予防接種の推奨」です。この構成については、最初の 1 2 3 4 までが基本的な概念として必要があることを述べたものでして、 5 以降に具体的な推奨の記載があります。 1 2 3 4 で述べているのは、特に具体的にターゲットを絞って推奨を行っていくに当たり、特に予防が必要な方々を特出しして記載があります。

1 で記載しているのが、妊娠を希望する女性及び抗体を保有していない妊婦の家族などを、特に抗体検査、予防接種の必要性が高いということで推奨を行うことの記載があります。

2 ですが、ここは昭和 37 年度から平成元年度に出生した男性、これが定期接種の受ける機会のなかった年齢層と、中学生時等に個別接種を実施することになった接種率が低いとされている年齢層の方々です。女性に関しましては、義務接種が 1994 年まで行われていましたので、そこを省いた形で中学生等で個別実施接種が行われていました昭和 54 年から平成元年度に出生した女性。具体的に申し上げますと、男性については本年度、 26 歳~ 52 歳までの方、女性については 26 歳~ 34 歳までの方を想定しています。

3 です。これは麻しんにも記載がありました医療関係者、児童福祉施設等の職員、学校等。学校の定義が幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校、専修学校、各種学校という定義です。こういった職員等に対する対策の必要性をうたったものです。

4 としてはまた観点は異なりますが、外国に渡航する渡航者ということで、こういった方々に特に予防接種を勧めていく必要性をうたったものです。

5 からは具体的な内容になっています。厚生労働省が日本医師会及び日本産科婦人科学会等に協力を求め、妊娠を希望する女性及び抗体を保有しない妊婦の家族などに罹患歴及び予防接種歴を確認し、いずれも確認できない場合の者において、風しんの抗体検査や予防接種推奨を行うものとするという書き方になっています。この書き方は、基本的に全てこの後も同様の書き方になっていまして、協力を求め、罹患歴・接種歴を確認して、必要な者に抗体検査・予防接種の推奨を行うという構成になっています。

 特に、ここの項目については、昭和 62 年度から平成元年度に出生した女性ということで、 24 27 歳の方々で、以前の委員会の中で抗体保有率が特に低いとされた方々ですになります。そういった方々については特に予防対策の必要性が高いということで、特別に記載をしています。

6 です。厚生労働省が関係省庁及び事業者団体に協力を求めて、職域の話ですが、雇入れ時等の様々な機会を利用して、業務、これは外国に渡航する方々、そして先ほど定義しました年齢の男性の従業員、女性の従業員に対して、同様の推奨を行うものとすると記載があります。

7 ですが、厚生労働省が日本医師会等の関係団体に協力を求めて、医療関係者の罹患歴、医療関係者に対しての同様の推奨を求めています。

8 については、児童福祉施設等について、厚生労働省自身がこういった推奨を行うもので記載をいたしています。

9 については、これが学校のところですが、文部科学省に協力を求め、 240 行目、学校の児童生徒等や学校等の職員に対して同様の推奨を行うものとすると記載があります。また、医療・福祉・教育に関わる大学及び専修学校の学生及び生徒ということで、これは麻しんも同様ですが、教育実習等の研修等に行かれる方々についても、同様に情報提供と推奨を行うことで記載があります。

 最後、五「その他必要な措置」ということで、予防接種に関連しない推奨について記載があります。 1 ですが、厚生労働省が関係機関と連携し疾病としての風しんの特性、予防接種の重要性並びに副反応を防止するために注意すべき事項及びワクチンを使用する予防接種という行為上避けられない起こり得る副反応、特に妊娠中の接種による胎児への影響などの情報。今後、風しんに関する情報がたくさん出てまいりますが、これらの情報をまとめて「風しんに関する情報」と定義を行っています。こういったものを整理し、積極的な提供を行うものとすると記載があります。

2 ですが、対象が保健所等の児童福祉施設等や職業訓練施設等の管理者に対しまして、保健所等の児童福祉施設等において集団生活を行う者及び職業訓練施設等における訓練生に対して、情報提供を行うよう依頼するものと記載があります。

3 ですが、文部科学省に協力を求め、学校の管理者に対しということで、学校の児童生徒等の罹患歴及び予防接種歴を確認し、確認できない場合、風しんに関する情報の提供等を依頼すると記載があります。

4 です。日本医師会並びに日本小児科学会、日本小児科医会、及び日本小児保健協会などの学会などに対し、初診の患者を対象にした同様の情報の提供を依頼すると記載があります。

5 は職域ですが、関係省庁及び事業者団体に協力を求め、事業者等に対し情報の提供を依頼するものと記載があります。また、主として、先ほど定義を行いました海外渡航者、男性・女性の従業員を対象に罹患歴及び予防接種歴を確認し、可能な範囲で風しんの抗体検査や予防接種を受けやすい環境の整備、及び風しんに罹患した際の適切な休業等の対応などの措置を依頼すると記載があります。さらには、具体的な対策としまして、国立感染症研究所において、関係団体と協力の上で、当該措置に関する職域における風しんの感染及び予防対策の手引を作成し、必要となる具体的な対策について示すと記載があります。

6 ですが、これは海外渡航者を念頭に入れた文章です。本省、国立感染症研究所又は検疫所のホームページなどを通じ、国内外の風しんの発生状況や風しんに関する情報の提供を行うとともに、外務省に協力を求め、海外へ渡航する者にこれらの情報提供を行うよう依頼すると記載があります。また、国土交通省に協力を求め、旅行会社に対し同様の情報提供を依頼すると記載があります。最後に、文部科学省に協力を求め、学校で海外へ修学旅行する際にこれらの情報提供を行うよう依頼するものと記載があります。

 最後 7 ですが、これは副反応についての対応です。予防接種の際の医療事故や避け得る副反応を徹底して避けるため、地方公共団体や医療機関等に対し、安全対策を十分行うよう協力を依頼すると記載があります。

 第三の「発生の予防及びまん延の防止」については以上です。

○五十嵐委員長 少し長い項目ですが、御意見はいかがでしょうか。

○小森委員  5 点ばかり申し上げたいと思います。 1 点、順に申し上げますが、 4 ページの 136 行目に、理解できるのですが、「必要に応じ抗体検査を」という所です。私としては、「積極的に」という言葉はいかがか。提案です。御検討ください。

5 ページの三「予防接種法に基づく予防接種」ですが、これは皆様御承知のように平成 19 年及び本年見直された麻しんの予防接種指針には「の一層の充実」と記載してあるのです。そういう経緯の中であえて外すとやはり問題だろうと思いますので、 148 行目は「予防接種法に基づく予防接種の一層の充実」と記載されてはいかがか、ということを申し上げておきます。

3 点目ですが、 8 ページ、 275 行目です。以前、その前の項立てとともに、年齢的に非常に基本的には健康な男女を問わず成人といいますか、比較的若い層に感受性差が多いということから、事業者等についての記載があることについては評価をしたいと思いますが、 275 行目の「可能な範囲で」、これだけ可能な範囲というのは気配りし過ぎだろうと。ほかの所はこの文章はないのです。事務局の気持ちは分かるけれども、どうせ可能な範囲でしかできないので、あえてこういうところに「可能な範囲で」とお書きにならないほうがいいのではないかと思います。取組の姿勢が疑われる文章です。

4 番目は、これは少し難しいのですが、今申し上げた理由で、私は様々な健康保険組合が保険事業としての取組、キャッチアップも未来永劫ではありませんので、何かそういうことの効果があるのではないかと常々思っていまして、今、保険組合の担当の方がこの場にいらっしゃらないので非常に難しいテーマだと思うのですが、 1 回検討してみていただきたいと。

5 点目ですが、先ほどの話と変わるのですが、最初に座長が御指摘になられた CRS 児の様々な支援の体制、あるいは人権への配慮等については、どこに入れるかという項立てをずっと考えていたのですが、私は思いきって六の後とか、何か 1 つ大きな項立てをされてはどうかと思いましたので、併せてお話を申し上げておきます。

○五十嵐委員長 いろいろと御指摘をありがとうございました。事務局、よろしいですね。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  はい、検討いたします。

○五十嵐委員長 よろしくお願いします。

○北原委員  8 ページの 276 行目ですが、「予防接種を受けやすい環境の整備」という部分に関してですが、職域でいうと、診療所の登録をしてある設備を事業所の中にあるところであればいいのですが、そうではないところで予防接種を集団でしようと画策をしても、どうも巡回診療という概念の下で、産業医が行う予防接種を認めないという通達を出している県がおありになるようで、そうなりますと、それがやろうと思ってもなかなかできない環境がそこにあると。そうなると、積極的にやろうとしても事業者が出鼻をくじかれてしまいますので、その辺りは巡回診療というところの考え方を少し整備していただいて、御検討いただく必要があるのではないかと思います。

○小森委員 関連ですが、インフルエンザ 2009 の折に集団接種等のガイユウヨウであると、その地域によっては。ということで、巡回診療の定義のところがかなり重し、足かせになったことがありました。担当として、これは部局が違いますが、交渉させていただいて、そこは柔軟な対応をとれるように少し書き直していただいています。ですので、改めてそこを御確認をいただいた上で、今、北原委員がおっしゃられた様々な取組が柔軟に行えることは、確認をしていただければと思います。 1 回書き替えていただいている経緯がありますので。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  小森委員に御指摘いただきましたように、担当部局が異なるということで確認させていただく必要がありますが、一般的に知られることとして、平成 21 年にそういう予防接種等を念頭に入れた巡回診療について通知があります。また、その判断については、一般論としましては、必要性に応じた地域での独自の判断も、いろいろな現状、どの程度の必要性、そういったことも含めて判断に地域差があることはあり得る話かもしれないと思います。

○岡部参考人 関連で、環境の整備のところですが、数年前に国家公務員の場合は、子供が予防接種に行くときには休暇扱いにしない、特別休暇とかそういう制度を使ってくださいという通知が出ていたと思うのです。ただ、それは実際には国家公務員の中でも余り知られていないことであり、そのとき期待としてはこれが企業に広がることを期待したのですが、企業はほとんど知らないだろうと思います。風しんのワクチンを 1 回やるのが毎年毎年やるわけではないので、そういった方法であったり、あるいは健康診断のときに一緒に加えるとか、そういったところで受けやすい環境の整備を考慮していただければと思います。

○大石委員  1 点ですが、 8 ページの 4 で「厚生労働省は」ということで、「学会等に対し」ということが書かれているのですが、今の流行は成人が主体であることを考えれば、「等の学会」と書いてあるのですが、できれば「日本感染症学会」とか「日本内科学会」とか、そういう成人を対象としている学会を是非入れていただきたいと思います。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  御指摘いただき、ありがとうございました。その点については事務局内でも検討があったところですが、この文言の中で「初診の患者に罹患歴及び予防接種歴を確認し」という文言があります。小児科においては母子健康手帳等の初診患者における確認を、ルーチンで行っているという内容が確認できている次第ですが、成人層において一般に全ての初診患者において風しんの罹患歴・予防接種歴の確認をお願いすることが、少し行き過ぎではないかという検討もあります。

 また、どの学会名を記載するかについては、麻しんの指針を策定する際にも議論があったとお聞きしおり、この学会がということになると、どこまで記載を行うのかという判断が難しいということで「等」でまとめる対応としたとお聞きしています。この書きぶりについては、今、麻しんの指針を参考に記載した次第でして、また、御指摘いただいたことを検討して、文言の修正についても併せて御相談させていただきたいと思います。

○竹田委員 ワクチンの剤形についてですが、 MR 混合ワクチンを使うことは、 1 期、 2 期についてはもちろん皆さんは御存じのことだと思いますので、 151 行目にそこのことは一応明記しておいたほうがいいと思います。そうすると、「麻しんと同様」という表現が何となく違和感が少しあると私は思っています。

 一方、ほかの成人層への接種を勧めることの記述がたくさんありますが、そのときに風しん単味を推奨するのか MR を推奨するのかは、今のところどこにも記述がありません。私としては、麻しん対策とどうリンクさせていくのかも考慮しながら、そうすると予算的なこと等はありますが、 MR を成人層にも推奨していただきたいと思っています。

○五十嵐委員長 竹田委員、 180 行目に、風しんの接種に用いるワクチンは、原則として MR ワクチンを用いるものとは書いてあるのですが、これでは駄目ですか。

○竹田委員 これは成人層もということですか。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  確かに御指摘のように、ここは一般的な流通、需給状況の安定という記載ですが、ここが「予防接種法に基づく予防接種」という項目に記載がありますので、その書きぶりと記載する場所については検討いたしたいと思います。

○五十嵐委員長 検討はよろしくお願いします。それでよろしいですか。

○竹田委員 今後、成人層も MR ということでしょうか。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  はい、成人層についても、今年度の流行等での予防接種につきましても MR ワクチンを推奨していまして、風しんの他、麻しんの対策の観点からも MR を使うことを基本としたいと考えています。

○加藤 ( ) 委員 医療機関と渡航者のところで意見を述べさせていただきたいと思うのですが。 199 行目で医療関係者と学校の職員がまとめて書かれているわけですが、職域での集団発生という点では同じように扱えるのかもしれませんが、妊婦や免疫不全者との接触ということを考えると内容としては分けて、例えば医療機関においても妊婦と接触する産科エリアでは、更に厳重な職員の免疫確認を行うなどといった対策も出てきますので、対応も 7 8 9 ページに分かれて書かれているので、分けて医療機関における妊婦との接触を強調してもいいのかと思いました。

 抗体確認を実施するというのでしょうか、誰が実施するのかということで、 7 ページの 7 で「日本医師会等の関係団体に協力を求め」とあるのですが、産科の周産期センターがあったりという大きな総合病院のようなものをイメージすると、「日本医師会等」とはなっていますが、日本医師会だけを具体名として挙げるだけでいいかどうかと。医療機関が職員を免疫確認を行える実施主体として、具体的に何か欠けるところはないかという意見を持ちました。

 もう 1 点ですが、渡航者ですが、外国に渡航する者が風しんの流行地域で罹患者と接するということで、 208 行目、こちらも「我が国の予防指針」ということで、流入を強調する書きぶりでいいかと思うのです。しかし、前半で竹田先生が、グローバルな風しんの疫学も序文に盛り込もうという意見もありましたので、風しんを流出するという場合も我が国からあり得ることも少し盛り込めるといいのかと考えました。

○平原委員 これは 7 ページの 218 行目辺りに、妊婦を念頭に置いたときに、どの年代の女性かが書いてあります。これは提供された情報としてお聞きしておいていただければと思うのですが、ここには 24 歳~ 27 歳の女性が風しんの抗体価を保有していない率が高いということですが、周産期関係の日本産科婦人科学会のグループがつい最近出ましたデータでは、これは必ずしも私も詳しいデータは私自身が加わっているわけではないので分からないのですが、 20 代の人たちよりもむしろ 10 代の人たちのほうが抗体を持っていない人が多い、というデータが出ていたということを報告だけさせていただきます。

○藤原委員  2 点申し上げたいと思います。 1 点目は、 8 ページの 278 行目にあります、これから御作成をいただきます予防対策の手引です。これが職域でのまん延予防の具体的な事例をお示しいただくのではないかと思って、これが非常に重要ではないかと思っています。私どもとしましてもこれは非常に重要だと思いますので、是非、積極的に協力をさせていただきたいということを申し述べるとともに、是非ここにも産業医の方にも御参加いただいて、具体的な予防対策をお示しできる体制をとっていただければというのがまずお願いです。

2 点目は、先ほど小森先生がおっしゃった健保組合の保険事業ですが、私も可能かどうかまではよく分かりませんが、今、健保組合は財政状況が非常に厳しくて、特に高齢者医療の拠出金で保険料がどんどん上がっている中で、保険事業が縮小方向にあることが現実としてあります。この保険事業ができている所は本当に大企業の健保組合だけでして、ましてや協会健保に入られている中小企業の皆さんに関係する話とは、少し遠いのではないかと思っています。ただ、もし先ほどの予防対策の手引等でいい具体例として示せるのであれば、それは結構な話ではないかと思いますが、かなり限られたものになってしまうのではないかという感想を持っています。

○高橋委員  1 つお願いいたします。今お話がありました予防対策の手引の中に入るのかとも思うのですが、成人については予防接種をしたか罹患があったかが不明な人が非常に多いというお話があり、そういうところで抗体価の検査や予防接種の推奨が進められるのだと思うのです。子供たちは、母子手帳という中に予防接種歴がきちっと記載されるようになっているかと思います。大人について、今現在、成人者が気後れなく記録としてきちっと残しておけるツールが何か有効なものがあるのか。お勤めされている人が海外に行かれる場合に、そこの接種済証明書が貼り付けられている何かノート的、例えばお薬手帳的なイメージのものを何か示していただけると、どこかへ行ってしまったとか、記憶がないことがなくなるのではないかと思っているので、よろしくお願いいたします。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  御指摘ありがとうございました。成人の予防接種記録については、親会である基本方針部会の中でも議論をしているところであります。先日、分科会で御承認いただきました基本計画でも、母子健康手帳等を有効活用したり、今後、定期接種については、「マイポータル」といって個人の同定するための番号等を使った接種歴の管理について、今後検討が必要ということで、今後の課題として認識しているところです。

 また、先ほど御発言いただきました平原委員からの御指摘ですが、この委員会の中でも過去に井上参考人をお呼びして、妊婦における抗体保有率ということで発表をしていただきました。その中で 23 歳~ 27 歳が最も抗体保有率が低いという指摘があったのですが、 10 代については、井上参考人もかなり多くの妊婦のデータをお持ちだったようですが、 10 代の妊婦検診の結果は、 30 歳が妊娠の平均年齢ということで、その数自体がかなり少なくなってしまうということで、年齢全体を代表する抗体保有率を評価できないという観点で削除されたとお伺いしています。平原先生の御指摘いただいたデータが具体的にどういった方法で評価されたものかは存じ上げないので、明確に申し上げることはできませんが、 10 代で妊娠をされた方の抗体保有率がそのまま 10 代の全体の抗体保有率を代表するものとなるかどうかは、選択的なバイアスが掛かっている可能性があることは指摘させていただきたいと思います。

○五十嵐委員長 今、電気が消えてしまったようにもう時間ですが、どうしてもあれですか。

○宮崎委員 今日の前段で吉山委員あるいは館林委員が述べられたように、漠然とした推奨では風しん脱がなかなか進まないということで、今回リスク別といいますかカテゴリー別にいろいろ具体的な対策を考えられるのは現実的なやり方だと思います。ワクチン歴、検査、ワクチン接種、これをどう組み合わせるか、どこにお金とエネルギーを費やすかは目的とも絡みますので、例えば抗体検査もどういう対象にどういうやり方をやれば一番効率よく。最終的には接種まで持っていかないと意味がないわけですから、このところはもう一段具体的な案を作っていくときに、とても重要な部分だと思います。

 今、 10 代の抗体のお話が出ていましたが、井上先生のデータ以外にも、国立感染症研究所のデータ、 3 期、 4 期の接種率のデータ、私たちが大学生でやったときに、 3 期、 4 期を導入する前と後では明らかに大学生の抗体価がかなり上がっています。ですから、 4 期を受けた子供たちはかなりいい状況にあるはずなので、少し選択バイアスも掛かったかという感じはしていますが、不十分な抗体がうんぬんという言い方をされていますので、細かいデータはまた見てからコメントしたいとは思っています。

○岡部参考人 同じなのですが、感染症発生動向調査は私のいた感染研でまとめているものですが、新しいデータによっても女性のその年齢層において、妊娠は特定していないわけですが、全体の抗体価としてはその年齢層について特別に低いというデータは出ていないと思います。ただ、発表された方のデータを見ていないので何とも申し上げようがないので、そこは十分吟味していただいたほうがいいと思います。

○大石委員 今日は京都府から吉山委員、館林委員から御発表がありまして、風しん対策の中でディスコミケーションとか、行動変容とかはすごく重要なことでして、是非、今後、京都府からはフォローアップしていただいて、今の対策はどうなのかを是非報告していただいて、この委員会の今後の対策に反映できるようにしていただきたいと思っています。

○宮崎委員 先ほどから議論が出ていますが、 CRS の子供が生まれた後どうするかと。基本的には、今、小児医学会も厚労省宛に要望書を用意させていただいていて、その中で早期に適切な診断が行えることと、医療と福祉と教育がうまくつながっていかないといけないということ。やはり相談する所が必要だということ。最終的には社会的な不利を受けないように適切な医学的・社会的・行政的な配慮が必要であることを標榜させていただく予定になっています。小森委員が言われたように、どこかで 1 つくくられたらいいかと思っています。

○五十嵐委員長 では、それも検討していただけますね。

○結核感染症課課長補佐 ( 氏家 )  はい。

○五十嵐委員長 今日、本当は第四の医療の提供についてもやりたかったのですが、 12 時になってしまいましたので、あと、どっち道第五、第六、第七、一番大事な第一の目標もまだ検討していませんので、次回以降これを検討したいと思います。それで、今日、御意見を頂いたところは、もう一度事務局と相談して直させて、あるいは検討させていただいて、できるだけ反映する形にするのと、また新しく出ますので、それも含めて検討する時間は多分あると思いますので、次回以降、今日やったことも全部含めて、新しく出てくるところもありますので、これを含めて検討することにしたいと思います。

 私の不手際で予定どおり行かなくて大変申し訳ないのですが、今日はこれで終わりたいと思いますが、事務局、何かありますか。

○結核感染症課課長補佐 ( 難浪江 )  次回の日程については、年明けの 1 22 ( )13 15 時を予定しています。正式な通知は、後日改めて送付いたします。どうもありがとうございました。

○五十嵐委員長 それでは、この会を終わりにしたいと思います。御協力どうもありがとうございました。


(注)

小森委員の任期が、平成25 10 18日に満了していましたが、再任命の手続をとらないまま、同委員出席の上、審議会を開催しました。

議事の定足数については、当該委員を除いても、委員及び臨時委員の過半数が出席していたため議事は成立しています。なお、今回の会議においては、議決を行っておりません。

また、今回の会議においては、当該委員は、参考人として取り扱われます。

詳細については、以下のリンク先を御覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040328.html



(了)

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