ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録(2013年11月18日)




2013年11月18日 第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成25年11月18日(月)14:00~17:00


○場所

国立感染症研究所共用第一会議室


○出席者

岡部部会長 池田委員 庵原委員 小森委員 坂元委員
渋谷委員 多屋委員 中野委員 中山委員 宮崎委員
大石参考人 須磨崎参考人 溝上参考人 脇田参考人

○議事

○嶋田室長補佐 定刻になりました。ただいまより第7回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。

 本日は、御多忙のところ、御出席いただき、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレスの関係者の方々におかれましては、御理解、御協力をお願いいたします。

 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。

 初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。

 本日は、委員全員に御出席いただいております。

 また、池田委員におかれましては、本日所用により途中退席されますので、御了承ください。

 なお、厚生科学審議会の規定による定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。

 また、本日は4名の参考人をお呼びいたしておりますので、御紹介いたします。

 日本呼吸器学会、日本感染症学会の大石和徳参考人。

 筑波大学附属病院副院長の須磨崎亮参考人。

 独立行政法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長の溝上雅史参考人。

 国立感染症研究所ウイルス第2部長の脇田隆字参考人。

 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿。

 資料1から8、また参考資料1から3を用意しております。

 ただし、一部資料の訂正をお願いいたします。「資料3-1」と書いてございますのを「参考資料3-1」に訂正をお願いいたします。

 配付資料一覧と照合していただきまして、不足の資料がございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(カメラ退室)

○嶋田室長補佐 引き続き、審議参加に関する報告をいたします。

 予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、各委員及び参考人からのワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、申請資料への関与について申告いただいております。

 議題2に関しまして、B型肝炎ワクチンの製造販売業者である一般財団法人化学及血清療法研究所、MSD株式会社、議題3に関しまして、肺炎球菌ワクチンの製造業者であるMSD株式会社、これらの企業から過去3年度における寄附金等の受け取りについて、各委員、参考人より申告をいただきました。

 出席委員のうち、庵原委員が、一般財団法人化学及血清療法研究所及びMSD株式会社から50万円以下の受け取り。

 岡部委員が、一般財団法人化学及血清療法研究所から50万円以下の受け取り。

 多屋委員が、一般財団法人化学及血清療法研究所及びMSD株式会社から50万円以下の受け取り。

 中野委員が、MSD株式会社から50万円以上500万円以下の受け取り、一般財団法人化学及血清療法研究所から50万円以下の受け取り。

 宮崎委員が、一般財団法人化学及血清療法研究所から50万円以下の受け取り。

 参考人のうち、須磨崎参考人が、MSD株式会社から50万円以下の受け取り。

 脇田参考人が、MSD株式会社から50万円以下の受け取りがそれぞれ申告されております。

 今回、申告いただいた委員、参考人のうち、50万円以下の受け取りの場合は審議への参加、議決に加わることはできますが、50万円以上500万円以下の受け取りの場合は審議への参加はできますが、議決に加わることはできません。また、宮崎委員が議題2のB型肝炎ワクチンについて申請書類作成への関与について申請されております。これらの取り扱いについて、お諮りをお願いいたします。

○岡部部会長 ただいま事務局から御説明がありましたけれども、基本的に委員の先生方には審議に参加していただけるということです。50万円以上500万円以下ということですと、中野委員が審議への参加はできますけれども、議決には加われないということですので、よろしくお願いします。

 それから、宮崎先生がワクチンの申請資料に関与しているということです。ただし、今までも非常に臨床の立場から公平な御意見をいただいていますし、今回も公平な御意見をいただきたいということで、審議には御参加いただいて御意見をいただきたいというようにしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 ありがとうございます。

 それでは、従来どおりのところでありますけれども、部会としては意見をいただくということですので、宮崎先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、これで会議に入りたいと思います。14時から17時まで3時間という時間をとっておりますけれども、結構中身が濃いようでありますし、項目も多いので、もちろん審議は尽くしたいと思いますが、要領よくやるというところでは御協力をいただきたいと思います。

 私自身も、この後にもう一つ次の会議があるので、余り後ろのほうに延ばせないという私自身の事情がありますので、済みませんが、そこも含めてどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速ここの議事進行に従った形での議題に入りたいと思います。

 議題は5つ用意してありますけれども、基本的に今まで議論していた予防接種基本計画の策定のきょうは最終の議論。前回のときに随分御意見をいただいて、それを反映した形で事務局のほうで最終案というものをつくっていただいているので、これについて、まず議論をしていきたいと思います。

 前回もそうでしたけれども、研究開発及び生産流通部会はお隣の庵原先生にやっていただいていたのですが、これも今回この基本案に埋め込んで全体ということで見ております。

 前回のところで大体先生方には議論に参加していただいているので、ざっと読んでいただいて、特にここは違うというか、意見を入れ込んだというところを強調した形で事務局のほうから紹介していただきたいと思います。

 この結果なのですけれども、一応、きょうできるだけ取りまとめというところに入って、来月には予防接種・ワクチン分科会、親会議が予定されていますので、そこで最終的な意見と修正という形にしていく予定にはなっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から御説明をお願いします。

○宮本予防接種室長 ただいま御紹介いただきましたように、本日、資料1ということで提出しております「予防接種に関する基本的な計画(案)」につきましては、前回までの御議論、特に前回いただきました議論、御意見について反映した形になっております。

 私どものほうより、まず主な変更点について紹介させていただきます。

 1枚目「はじめに」についてですけれども、前回、ワクチンの副反応による社会的な影響ですとか、日本のワクチン産業が言わば低迷した背景についても十分記述すべきではないかといったような御意見がございました。

 これを踏まえまして、文章の中段を厚くいたしまして、最終的に「ワクチン・ギャップ」につながっていったという背景ですとか、経緯ですとかについて記載を加えております。

 2ページ「第一 予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する基本的な方向」です。

 そのうちの「一 予防接種施策への基本的理念」について、前回までは「基本的姿勢」としておりましたけれども、より強い内容を示すべきであるという御意見を踏まえまして、「基本的理念」という形に変えております。

 それから、前回の御意見を踏まえまして、一の最後の段落に「過去の疫学情報等」という文言を加えております。

 続きまして、3ページの第二です。

 「一 国の役割」につきましては、財源に関する記載を行うべきだという御意見がございました。最終段落で財源の確保も含めた内容、例えば「対象疾病・接種回数・ワクチン等の見直しの検討を含めて必要な財源の」という表現で記載をしております。

 「二 都道府県の役割」と「三 市区町村の役割」については、それぞれ「広域的な連携を強化」という表現を加えております。

 二の中で、地域の予防接種を支援するための中核機能を担う医療機関の整備について、前回の御議論を踏まえまして「整備・強化」として機能の拡充も読める形で調整をいたしました。

 「三 市区町村の役割」の中で、副反応報告制度の円滑な運用等に資するワクチンの安全性の次に「感染症発生動向調査の実施等による有効性」という部分を追記し、バランスがとれるように調整をしています。

 「七 その他関係者の役割」ですが、報道機関や教育関係者に対して表現が強過ぎるのではないかという御指摘を受けまして「努めることが期待される」という形に調整をしております。

 5ページ目の第三についての中で「一 基本的な考え方」の第3段落の中で、予防接種法第3条第3項の箇所については、法律の記載されている形に訂正をしております。

 7ページ目の第四についての中で「三 予防接種記録の整備」については、市区町村における予防接種記録は接種率の向上以外に注射の取り違え等の接種事故を防ぐ点からも有用であるという御意見がございまして、これを踏まえ「予防接種事故を防ぐための確認の点から効果的である」という形に追加をしております。

 また、接種事故ではなく接種過誤が正しいのではないかという御意見もございましたけれども、確認をいたしましたところ、医療事故は医療により被害が生じたということ。医療過誤については医療事故のうちその中で過失があったものということで定義されていると聞いております。より適切な表現ということで「接種事故」という形にしております。

 前回の素案の中では、マイナンバー法、マイ・ポータルという括弧書きで説明を加えておりましたけれども、いずれも現段階では愛称の扱いであるということで、今回は削除しています。

 8ページ目、第五についてでございます。

 研究開発部会のところになりますが、「二 開発優先度の高いワクチン」として、6つのワクチンを記載し、これらを推進することを目指していくということで記載しております。

11ページ目、第六についてでございます。

 「二 副反応報告制度」について、制度の定着、浸透には自治体の役割も大きいことから、都道府県、市区町村を追記しております。

 副反応の異常集積、関係機関との協力体制、検査に関する内容を追記する必要があるという御意見を踏まえまして、第2段落に「副反応の異常集積が報告された場合には必要に応じて都道府県・市町村や地方衛生研究所の協力を得つつ、国立感染症研究所において必要な検査・調査及びPMDAにおいて必要な調査を行う等、副反応報告制度の」という部分を追記いたしました。

 「三 科学的データの収集・解析」については、感染症、サーベイランス以外の要素も含まれるということから、このような形に修正をしております。

 予防接種後健康状況調査の記述がないという御意見がございまして、第3段落に「予防接種後健康状況調査の実施を通じ」という部分を記載しております。

 「四 予防接種関係者の資質向上」については「市区町村」を追記しております。

 第七について、「世界保険機構(WHO)」という部分を追記しております。

 主な変更点は以上です。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 前回の議論の中で訂正すべきではないかというところが修正されたのですけれども、前回発言はしたが、反映されていないではないかということがあったら、どうぞおっしゃってください。

 私もざっと目は通していたのですけれども、開発流通のほうでは、庵原先生、何かつけ加えておくことはありますか。

○庵原委員 ワクチンのところが、初めは3つ程度という話であったのが、3+3で6つ程度に広げていますので、そこの御理解をお願いします。そこだけです。

○岡部部会長 6つ程度というのは、先ほどの。

○庵原委員 初め3つぐらいをという話であったのが、その場で混合ワクチンという流れと、近未来的なものと遠未来的なものという形で2つあって、それぞれに3つずつという形でまとめたという形になっています。

○岡部部会長 この会議というか、親会議のほうの根本的な考え方でも、前にも申し上げましたように、従来の審議会だと、例えば4つ、5つのワクチンをやって、そのうちの1個だけうまくいくと、その後の4つはそれでもう審議終了という形で、それが復活するのにまたもう一回最初からやるということの繰り返しだったのが、今回、候補になっているものが全て一次に仮に上がらないとしても、継続的にこれをやっていくと。もちろんニーズに応じてということはありますけれども、そのような状態なので、リストアップされているということは、そういう意味での認識をしていただければと思います。

坂元先生、どうぞ。

○坂元委員 これもちょっと難しいかなと思うのですが、以前申し上げた市区町村の役割の中に、現に都道府県の中には保健所と地方衛生研究所との連携強化という文句がこの3ページのところにうたわれているのですけれども、現実に市町村の中にも40ちょっとほど保健所を持っている保健所設置市、政令指定都市の中にも地衛研を持っているというので、全体の予防接種実施主体1,700近い自治体の中で、数から言えば、むしろ例外的な存在なのかもしれないので、こういう書きようにしかできないというところはある程度理解できるのですが、何かちょっと工夫していただければと思います。とりようによっては、都道府県が設置市の保健所と連携いうとられ方をするので、現実に行政上そのような仕組みにはなっていないということを御配慮いただいて、どうしても難しいのであれば、都道府県の役割の保健所、地衛研の中に保健所設置市の場合は云々とか、地衛研の場合は、政令市の場合は云々と、ただし書きを入れていただけるとありがたいかなと思う次第でございます。

 以上です。

○岡部部会長 今のことは文章の中に入らなくても、テークノートしていただいて、こういうことが基本的にあるということを認識しながらやるということでやっていただければと思います。

 それから、副反応の検討のほうでも前々からあったのですけれども、そのような原因追究に関して、できるだけ原因の検討をするためには、やはり市区町村、それからここには地衛研という言葉もありますし、そのようなところが原因追究のことになるということについて、感染研と一緒にやるようにということになっていますので、感染研の代表となるとここは多屋先生、そういうことでよろしいですね。

○多屋委員 今、予防接種後の副反応の病原体の検討等の役割が明確になっていないので、ぜひよろしくお願いします。

○岡部部会長 そのほかにはいかがでしょうか。

 中野先生、どうぞ。

○中野委員 前回欠席させていただいていたということと、研究開発及び生産流通部会のメンバーではないので、もし議論されたことであればお許しいただきたいのですが、8ページの中ほどをごらんになってください。

 「二 開発優先度の高いワクチン」の下から2行目でございますけれども、軽微投与ワクチンなどの改良されたインフルエンザワクチン、恐らく諸外国の状況を見ても、もちろん軽微投与ワクチンもございますし、4価のワクチン、細胞培養のワクチンあるいは遺伝子組換えワクチンなど、新しいワクチンがたくさん諸外国では登場しつつあるわけですが、この軽微投与ワクチンなどの軽微投与ワクチンは、あくまで1例なのか、少し重みがあるのかという点は議論されたのでしょうか。

○岡部部会長 これは庵原先生、お願いします。

○庵原委員 これは具体例で、その他のワクチンも含めています

 実際に日本でも4価に進む動きもあるようですし、皮内投与のワクチンも某メーカーは研究を進めていますし、張るワクチンという形で皮内投与のワクチンもインフルエンザの場合は進んでいますし、そういうことを含めたトータルのインフルエンザワクチンを現行のものよりも少しでもいいものに変えていこうという提案です。

○岡部部会長 これも現時点で優先度の高いワクチンということで、ぜひこれを議論してほしいという意味合いはあるのですけれども、1年、2年たてば、当然開発、研究の度合いが違ってきますから、その中でフィージビリティーであるとか、あるいは有効性その他の認知も出てくるでしょうし、あっと驚くような新しい研究が出てくるかもしれませんから、そのようなところはある程度フレックスに、ここに書いてあるから入れるのであって、ここに書いていないものは入れない、討議しないという、非常にリジッドな考え方ではないということも一応確認しておきたいと思います。

 事務局もそれでよろしいですね。

○宮本予防接種室長 はい。

○岡部部会長 ほかにはいかがでしょうか。

 それでは、おおむね前回のときに相当議論したつもりですので、どうしてもというところで気がついたならば御連絡をいただきたいと思いますけれども、そこでもう一回議論をするわけにもいかないので、もし何か意見があれば私のところにいただくなり、事務局に届けていただいてとさせていただければと思います。

 最終的には、この中のメンバーでも入っている方はおられるかと思いますが、親会議のほうで再度、ここ部会はいわゆる専門家会議的な要素があるわけで、これを全体で討議していただくということを次回、予防接種分科会のほうで行いますので、今回のこの部会のほうでは、開発流通も含めて御了承いただいたということにしたいと思います。

 よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 ありがとうございました。

 では、これで素案はできているという形にしたいと思います。

 それでは、議題2に行きたいと思います。

 これから少し具体的なワクチンの検討に入ります。1つは、懸案事項でもあるB型肝炎ワクチンになりますが、ここは7月に一度議論をして、いろいろな御意見があったと思いますけれども、それを整理し、また、アカデミアのほうでも議論をいただいているということがありますので、最初に事務局でこの間の議論のまとめ等について概要をお話しいただいて、参考人のほうは代表して、須磨崎先生のほうからお話をいただくようにしたいと思います。その後、この中で参考人の先生方も含めてディスカッションしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、氏家課長補佐、よろしくお願いします。

○氏家課長補佐 よろしくお願いします。資料2-1「B型肝炎ワクチンの接種対象者及び接種方法について」をごらんください。

 岡部部会長から御紹介があったとおり、7月の第3回基本方針部会で議論をしていただいた内容ですが、何点か議論を残しておりまして、その点について新たなエビデンス、あわせてそれぞれの各項目について事務局案を提案させていただきたいと思います。

 また、第3回で使用した資料につきましては、参考資料2としておつけしておりますので、そちらもあわせて御参照ください。

 1番からまいります。ユニバーサルワクチンの目的についてということですが、この点につきまして、既に昨年度から感染症分科会予防接種部会の第2次提言として、広く接種を促進することが望ましいという御提案をいただいているのですが、前回の議論では加えていろいろな意見が出ております。その点について、整理をさせていただきました。

 下ですが、小児期におけるB型肝炎の疾病負荷。現在、母子保健事業が1985年に始まりまして、その後、小児における母子感染によるB型肝炎のキャリア率は10分の1以下に低下しているというデータがございます。

 また、1988年には学童期におきまして、HBs抗原陽性率というのはかなり低い割合、0.03%であったという報告もございます。

 ただ一方で、現在4歳から9歳の小児2,000例という数ではあるのですが、HBs抗原の陽性率がさらに高い割合0.15%で認めるというデータもございまして、小児期におけるHBs抗原陽性率というデータはさまざまでございます。

 こういった問題に対しまして、今年度より肝炎等克服緊急対策研究事業、須磨崎参考人の研究班において、小児におけるB型肝炎の水平感染の実態把握、そしてワクチン戦略再構築に関する研究というものを実施していただいています。

 続きまして、現在公表されている献血者の抗原陽性率を示した表になってございます。16歳、17歳、18歳のところを見ていただきますと、2009年に公表されたデータでございますが、HBs抗原陽性率というのは0.01から0.04と低い値が示されてございます。ただし、こういった方々というのは、自分がHBs抗原陽性であるということをわからずに受検しているということもございますので、こういった解釈についても今後議論が必要かと考えてございます。

 下のほうに行きまして、小児期におけるB型肝炎の疾病負荷についてでございます。近年における小児のHBs抗原陽性率報告は、0.0というものから0.15というものまでさまざまでございまして、水平感染の集積等や研究対象の地域差、こういった条件の影響を受けやすいと考えられます。

 先ほど申し上げたような持続感染を示すHBs抗原だけではなくて、過去に暴露を受けたことを示すHBc抗体ような指標の陽性率に関するデータというものはまだございません。こういった中で、小児で一定の割合で水平感染が生じているということは示唆されることから、小児での水平感染を予防することを主たる目的として、ユニバーサルワクチンによる接種が望ましいと考えられますが、実際の導入には、さらなる実態解明等評価が必要ではないかと考えております。その点について、御議論をいただきたいと思います。

 続きまして、2番です。接種開始時期についての議論でございます。

 これに関しまして、前回出生直後に開始するパターンと、出生後しばらくたって、例えば出生の2カ月経過後にほかのワクチンの開始時期と同時に開始するというパターンがございまして、前回の議論いただいた結論では今回ここでご提案するような結果でしたが、もう一度論点を整理させていただきますと、出生直後にワクチンを接種する場合のメリットとして、高い接種率が期待できるという点がございます。

 また、そのほか母子感染予防、これが資料の最後に参考としておつけしてございますが、先月10月にB型肝炎キャリアの母体から生まれた新生児に対して、母子感染予防のワクチンの接種スケジュールに変更がございまして、出生直後から接種を開始するというスケジュールに変更されてございます。こういったスケジュールと同様のスケジュールで接種ができるというメリットがございます。

 一方で、出生直後に接種を行う場合のデメリットでございますが、B型肝炎以外に出生直後に接種を行っているというワクチンがございません。また、出生直後には、その後、急変が起こり得るということで、健康問題が副反応として紛れ込んで報告される可能性というものも心配されてございます。

 さらには、今後、混合ワクチンの開発というものが推進される中で、B型肝炎と同時に接種できる混合ワクチンの開発の接種時期と合わなくなってしまうという可能性も懸念されてございます。

 こういったことに鑑みて、小児期における水平感染の疾病負荷がより明らかになり、国民に広く接種機会を提供する場合においては、標準的には生後2カ月からの接種を開始することとしてはいかがかと提案させていただきます。

 また参考資料として、欧州における接種時期についてお示ししてございますが、欧州で一律に出生直後に接種を開始している国というのはある程度限られてございまして、日本で現在行っているような母体がHBs抗原陽性率の母体もしくはハイリスク者という方のみ出生直後に接種を行っているという国もたくさんございます。

 続きまして、3番、小児期での接種終了後の思春期での追加接種についてでございます。現在わかっていることとしまして、B型肝炎ウイルスというのは遺伝子型によってそれぞれ特徴が異なっているということがわかってございますが、予防接種による長期の予防効果というものは、B型肝炎の発症については証明されているという整理でございます。予防接種後、抗体を獲得した後もということですが、B型肝炎ウイルスへ感染してしまうというリスクは否定できないという知見が最近は上がってございますが、ワクチンによる感染予防効果とその感染による長期的な臨床上の意義というのはまだまだ不明な点も多く残ってございます。多くの国では、小児期での接種終了後に、思春期で追加接種を定期接種として行っているという国はなかなかないというのが現状でございまして、現段階の結論としては、小児期での接種終了後の思春期での追加接種の必要性は、現時点においては低いが、先行する諸外国の知見を参考にしつつ、引き続き検討する必要があると考えるかいかがかということを提案させていただきたいと思います。

 4番目でございます。国民に広く接種機会の提供を開始する際に、時限措置としての対象者の拡大対応の必要性についてということでございまして、0歳児を対象としてワクチン接種を開始した場合に、何歳まで接種の対象者を広げて接種を開始する必要があるかという議論でございます。

 現段階でわかっていることとしまして、小児期における年齢別の水平感染のリスクというものは、なかなかデータがないということを先ほどお話しさせていただいたところでございます。また、長期的な視点でのB型肝炎ワクチン接種による費用対効果についても、まだ明らかに良いデータはございません。こういったことを踏まえまして、ワクチンの供給実施体制の確保に必要となる財源の捻出方法等を検討した上で、可能であれば、明らかな水平感染のリスクがある年齢層にまで対象者を拡大することが望ましいが、小児期における水平感染の実態をより明らかにする必要がまずあると考えられます。こういったことを提案させていただいております。

 最後5番目でございますが、B型肝炎ワクチンの2種類あるワクチンの違いについてでございます。日本に認可されたワクチンは、遺伝子型がCのウイルス株のワクチンとAのウイルス株のワクチンがございますが、国際的に広く普及されているものは遺伝子型Aのワクチン、遺伝子型Cのウイルス株は国内でのみ普及してございます。遺伝子型Cのウイルス株につきましては、国際的にはなかなかまだ使用経験がないということもございまして、異なる遺伝子型に対する生体内での予防効果というのが明らかでございません。逆に遺伝子型Aのワクチンのウイルス株につきましては、国際的に広く普及がされておりまして、ほかの遺伝子型のウイルスに対する予防効果というものが証明されてございます。

 こういったことに鑑みて、遺伝子型Cのウイルス株のワクチンを国民に広く接種する機会を提供する際には、他の遺伝子型のウイルスに対する予防効果も明らかにする必要があると考えられるが、いかがかとさせていただきました。

 最後、まとめでございます。

 B型肝炎ワクチンは第2次提言でもあったように、広く接種を促進することが望ましいと考えられますが、具体的な接種時期や用いるワクチンを決定するためには、下記の2つの課題を明らかにする必要があると考えられます。

 1つ目には、小児期の水平感染の実態のさらなる把握。

 もう一つとしましては、異なる遺伝子型ウイルスに対するワクチンの予防効果。特にこの場合、遺伝子型Cウイルス株のワクチンのことを指してございます。

 現時点において、これらについての研究が行われているところであり、その結果を踏まえた上で改めて検討を行っていくこととしてはいかがかという形で提案をさせていただきたいと思います。

 残りのものについては、先ほど申し上げたような母子感染予防に関するスケジュール変更の参考資料になってございます。

 事務局からは以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 須磨崎先生、続けてお願いします。

○須磨崎参考人 今、厚労省のほうからまとめとして、2点問題点が指摘されているわけですが、1つは、まとめのところにあるように、小児期の水平感染の実態のさらなる把握ということ。もう一つは、異なる遺伝子型ウイルスに対するワクチンの予防効果、この2点が今後明らかにする必要があるということで、資料2-2を見ていただきたいと思います。

 これを書きましたように、私たちの班では現在、小児におけるB型肝炎ウイルス感染の疫学調査をまずきちんと行うということ。もう一つは、ジェノタイプが異なるウイルスの生体内での効果を明らかにするという、この2点に力を絞って現在、研究を進めております。

 1つ、現在のお話についての問題点といいますか、考え方だと思うのですけれども、今、お話がありましたスライド3「小児期におけるB型肝炎の疾病負荷」についてです。

 ここで小児での水平感染を予防することを主たる目的としてユニバーサルワクチネーションを行うと今、御説明をいただいたのですが、もちろん小児期の水平感染を防ぐということが定期接種化という目的の一つにはなると思いますが、現在の諸外国の考え方、その他を考えますと、小児期のみならず、小児期、成人期を通した水平感染全体を予防するという考え方に立って、定期接種化を検討することが必要ではないかと考えました。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 今、事務局からの提案と須磨崎先生のところからの研究班としての提案だと思いますが、須磨崎先生の研究班は今、ジェノタイプの効果の問題の検討、疫学調査などは何年計画で、大体どのぐらいに結論は出てきそうな感じですか。結論がいつかと言われるとなかなか難しいのですけれどもね。

○須磨崎参考人 現在のところ、ここに詳しく書かせていただきましたように、2つの方向から一番難しいのは、お子さんの疫学調査をするということがなかなか現代の日本では難しいということがあります。いろいろな手法を駆使する必要があると思うのですけれども、1つは小児の生活習慣病健診というものが一般集団を対象にして、現在健診が行われていますので、それぞれの保護者の了解を得た上で、これらの健診の成果といいますか、その血清を用いさせていただいて、一般集団における小児の疫学調査を見るということがあります。

 もう一つは、そこにおられますように、国立感染症研究所の脇田先生のところで、国内血清銀行、これは定期接種化されたワクチンの抗体価を見るものだと伺っておりますが、そういった日本全国から集められた血清で、どのぐらいの感染率があるかということを現在調べております。3年以内に1万人以上のデータを示させていただくということを当面の目的にしております。

○岡部部会長 繰り返しで済みません。3年以内というのは、今年度も含めて3年間計画をやるということですね。

○須磨崎参考人 はい。

 それから、ジェノタイプが異なるウイルスというのは、従来はチンパンジーの感染実験が行われてきたわけですけれども、現在チンパンジーではなかなかそういった生体内での反応を調べることができないということなので、人の肝臓を使ったキメラマウスなどを使って感染実験を行っていただいているというのが現状です。これも近々に成果が上がると確信しております。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 今のようなことをベースにして、少しディスカッションをしていきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。参考人の先生方も御意見がありましたら、どうぞ。

 脇田先生、どうぞ。

○脇田委員 感染研の脇田です。

 我々が実施したHBs抗原陽性率の調査は、WHOWPROの会議で、我が国だけがユニバーサルをやっていないというところで、しかし、5歳児でのHBs抗原陽性率が1%以下になっているということを証明するためにデータを出してくださいというお話になりまして、初回献血のデータはあるわけですけれども、やはり初回献血者というのはバイアスがかかっている可能性があるので、なるべくランダムなデータが望ましいということで、感染研の血液バンクを使用して調査したところ、0.15%。2,000例で3例なのですが、これはHBs抗原、HBV DNAは両方とも陽性ということで、0.15%とさせていただいていますけれども、HBs抗原陽性率者だけであれば、6例陽性だったのです。ただ、DNAが出ないので確認がとれないということになってきます。これは非常に予想よりも高いということで、驚いたところです。

 追加であと2,000例ほどの検査を可及的速やかにやりたいということで、今、申請中です。0.1%程度の陽性率ということになりますと、ヨーロッパの各国と似たような状況ということになりますので、アジアで数パーセントから10%の陽性率で24時間以内にバースドーズをやるというのは、出生時の垂直感染予防を主に目的としたものですから、それよりもヨーロッパの状況が参考になるということが考えますと、ヨーロッパ各国で主な国が2カ月あるいは3カ月に接種を開始しているというところが非常に参考になるのではないかと考えております。

○岡部部会長 WHO10年ぐらい前のマップを見ると、日本は中ぐらいですか。かなりの蔓延国であるという状況は、少なくとも回避されてきていると思うのです。

 脇田先生、どうぞ。

○脇田参考人 一応、全人口でいきますと、日本も0.8%程度ということになっていますので、WHOのマップは2%とかにされているのですけれども、それよりも実態は低いということは言えるかと思います。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 中野委員、どうぞ。

○中野委員 須磨崎先生が御指摘になられたスライドの小児期におけるB型肝炎の疾病負荷についてのところの「小児での水平感染を予防することが主たる目的として」というところはとても大切なことのように思います。

 なぜなら、このB型肝炎ワクチンの目的として1枚目に出ていることでございますし、私は須磨崎先生の意見に全く同感です。それは国内外で確かに子供だけではなくて、成人期も含めたという目的があるのは明らかですし、もちろん小児はキャリア化とか持続感染の問題がありますから、一番プライオリティーが高く、費用対効果が高いことは理解できるのですけれども、自分は海外で仕事をしたり、医療現場で働いていて思うことは、海外で感染している旅行者の方々のB型肝炎の急性感染の発症例があるということ、あるいは私は病院で働いておりますが、医療関係者にはB型肝炎は打つということに定期接種でも何でもなく、そのように国内で行われておりますけれども、どの範囲まで打つかというのは、かなり医療機関によって温度差があるのです。あと、医学生とか医療関係者に打つにもすごく温度差がございまして、現に職名で言えば、医師、看護師、検査技師は大体打っておりますけれども、リハビリテーションの方とか、あとは放射線技師さんなども今、インターベンションを結構やっておられて、血液汚染事故も起こり得ますし、リハビリテーションの方も患者さんにかまれるということも現に医療の現場では起こっております。その方々が1名でも劇症肝炎になったり、肝硬変になったりを出生して、小児期に打ったワクチンで防げるのであれば、やはりかなり意義が高いと思いますので、そこのところはB型肝炎ワクチンの意義づけとして大切なことだと思います。

○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 私から須磨崎参考人にお聞きしたいのですが、仮にこのB型ワクチンが定期接種化されて、出生後すぐ受けるとなった場合に、今まで受けていない子供、つまり、キャッチアップ、小児の水平感染ということを視野に入れたら、大体幾つぐらいまでキャッチアップしなければいけないかという問題点が一つです。

 例えば6歳まで水平感染が十分起こり得るということであれば、今まで受けていない子供は6歳までに自治体が責任を持ってやるという考え方と、もう一つ、思春期での感染の問題が出ておりましたが、以前の会議でも、たしか思春期であるタイプウイルスが感染した者はキャリア化する危険性があるということで、それが一定の割合で性交渉で感染する危険性があるということも含めますと、はっきり言って、乳児で定期接種化された後、今まで受けていない子供というのはどの程度の年齢までフォローアップする必要があるとお考えですか。

○須磨崎参考人 これは学問的な問題と、実際に費用の点といろいろ問題があると思うのですけれども、前者のキャリア化するというところでは、大体5歳というのが一つの線になっておりますので、キャリア化を防ぐという意味では、5歳の方たちを守るというのが1つの目安ではないかと思います。

 それから、成人期になって、確かに今、御指摘のありましたように、ジェノタイプAで10%程度が慢性化するという考え方も出てきていますし、実際にそのデータも示されつつありますし、また、ジェノタイプAがかなり日本全体で広がっているということもあると思いますので、やはり成人期の水平感染、そういったキャリア化も含めたデータについても考えた上で、思春期のこれは多分時限処置でいいと思うのですけれども、小さいときに打ってあれば、思春期も守られるというのは基本的な考えですので、それまでの間、思春期もでき得ればやったほうがいいのではないかと考えております。

 ただ、費用の面がありますので、その辺はまた別個考えていただければと思います。

○岡崎部会長 ブースターのようにやっていくというのは、またもう一つ先の議論で十分エビデンスも重ねていく必要があると思うのです。

 溝上先生、何か御意見があればお願いします。

○溝上参考人 ここに用意していただいた献血者の抗原陽性率がございますが、吉川先生のデータです。First-time bloodのデータがございます。これによりますと、60歳以上が0.9%、約1%ですが、10年前に国立がんセンターが全国27の保健所で一般住民を検査しまして、その中からHBs抗原陽性者が何名いて、それからがんが何名出たというデータがございます。そのときに測定したデータを先ほど思い出しましたけれども、大体40歳以上はその当時です。

 この時期と2009年ですから、これは2006年ごろのデータですから、大体同じぐらいですけれども、その一般住民には2.5%でした。つまり、献血者ではやはり大分スクリーニングがかかっているだろうと。したがいまして、40歳以上では2.5%ぐらいはあり得るだろうということは、やはり先ほどの感染研の小児のデータが今までの報告と違って0.15%で高いということと一致するのではないかと思います。

 劇症肝炎については、どんどん今、研究が進んでおりまして、ここはコアプロモーターのところが非常に劇症化しやすいということですが、それはジェノタイプCだけの問題でございまして、ジェノタイプAでは、日本では今まで100例ぐらい調べましたところ、そういう変異はございません。どうもジェノタイプAの劇症化というのは極めて少ないようでございます。

 したがって、ジェノタイプAで慢性化したからとか、諸感染で劇症化という例は、それほど考慮しなくてもいいかなと。その証拠に、欧米でのB型の劇症肝炎というのは極めて少ないという事実と一致します。

 以上です。

○岡部部会長 劇症化は少ないけれども、慢性化は多いということですか。

○溝上参考人 これはインプレスになりましたので、皆様方にお送りします。ヘパトロジーの来月号に載りますけれども、慢性化はジェノタイプAで7.5%、ジェノタイプA以外で0.2%という数字です。これはHBs抗原が確実に消えるまでフォローした211例のデータです。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 庵原委員、どうぞ。

○庵原委員 溝上先生にお聞きしたいのですけれども、先ほどのセロエピのデータは、がん患者を対象にしたセロエピのデータですか。一般人ですか。

○溝上参考人 一般人で、その中でHBs抗原陽性者が何パーセントいたか、HCV抗体陽性者が何パーセントいたか、それはいろいろな検討がなされていまして、10年追いかけてきたら発がんしたのが何例であったと。何パーセントが発がんしたというデータでございます。それを測定したのが、私どもがやりましたので、それをつい先ほど思い出しまして、言った次第でございます。

○庵原委員 それだと、産科の先生方が出している母体のHBs抗原陽性率の10倍の値に、産科の先生方は0.0何パーセントぐらいだと彼らは言っているのですけれども、そうすると数字が余りにも違い過ぎるので、これはしっかりとセロエピをやらないとわからないのではないですか。

○溝上参考人 今のデータは、一般人の40歳から60歳のデータです。40歳からです。

○庵原委員 日本の場合の産科の先生方の現在のデータではなくて、今、0.03%となっているのは、2000年の時代で落ちているのです。0.3%ですか。

○宮崎委員 母親のキャリアー率は0.03ではなく0.3%ではないでしょうか。

○庵原委員 0.03は子供のキャリア率で、お母さんは0.3%ですか。

 そうすると、それでも10倍高いですね。

○溝上参考人 今のお話は、住民健診で40歳健診のときのデータですから、40歳以上の人だけの話です。献血者のデータでも、例えば15歳から0.017%で報告されていますし、50歳以上が1.2%と報告されています。しだかいまして、それの倍ぐらいは一般住民であるかなということです。

 このデータでも2006年のデータで60代は0.9%ですから、そんなに1けたが違うことはないと思います。

○岡部部会長 それは恐らくは、高齢者のほうは全然対策というか、ワクチン接種を受けていない年代ですから、あり得ると思うのですけれども、若年層になるとかなり下がっている。ただ、恐らく、これは献血の抗原陽性率だけで見ると、陽性者は最初から献血にいかないわけですから、行かないでくださいと言っていますから、それではねられているので、率としては低く出るだろうということです。

○溝上参考人 そのデータを見て思ったのは、やはり一般住民と献血者のデータでは、自治体を反映していないというのが1つ。

 2つ目に、その当時の50歳ですから、今の60歳ぐらいを考えればいのでしょうけれども、その人たちとは20歳代ぐらいまでの人たち、20歳前半ぐらいまでの人たちからすると、何十倍もHBs抗原陽性率が違うという現状です。

 台湾のデータで、生まれてくる子供全員に1986年から、いわゆるユニバーサルワクチネーションをやっていますけれども、あの人たちはうつっていないと言いますが、あれは周りに10%強の陽性率の大人たちがいたわけですから、いつもブースターがかかっていた状態だと思うのです。

 だから、現在の日本のように、周りは1%以下のところだと、ブースターは本当にからかないと思うのです。そうするとキャッチアップとか、そういうのもやはりしっかり考えていかないなと思います。

○岡部部会長 そこは須磨崎先生がおっしゃったような欧米スタイルになっているので、欧米のやり方がかなり参考になるだろうというところだと思うのです。

 ほかに御意見がありましたらお願いします。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 先ほど思春期でも1割程度キャリア化するAタイプがあるという御意見がありましたが、諸外国でもなかなか思春期のときにキャッチアップしているところは少ないというのも聞きましたが、実際、キャッチアップをするかどうかというのは、正直な話、実施主体である自治体に判断を求められても非常に困りますので、実際、そこら辺はしっかりキャッチアップを思春期までするべきか否かという、決めるのはこの場ではないと思うのですけれども、やはりある程度の結論を出していただければと思います。

○須磨崎参考人 少なくとも、小児科学会の我々のレベルでは、思春期にやったほうがいいということをお話ししていますし、実際にもそういうふうにホームページで出しておりますので、医学的に言えば、思春期にワクチンをするという、定期接種ではなくてもやったほうがいいというのは、まず明らかだろうと思うのです。思春期にやはりそれ以降の感染の機会がふえますからね。

 ただ、それを定期接種化するというときには、やはり乳児期にキャリア化しやすいという厳然たる事実がありますので、優先順位からすれば、やはり乳児期が先ではないかということで、余裕があれば、思春期もキャッチアップを考えるということが基本線ではないかと考えております。

○岡部部会長 事務局のほうが先で、その次、脇田先生。

○氏家課長補佐 前回の議論でも混同しやすいということで確認させていただいたのですが、キャッチアップと話をしたときに、全くワクチンの接種歴がない方が初めて思春期で接種を打つという場合と、ブースター効果という接種を受けた方がさらに免疫を再度上げるために追加接種すること、これもキャッチアップと呼ばれることがあって、先ほど坂元委員から指摘のあったような50%の慢性化というのは、免疫がない方に対する話でして、事務局のほうから提案させていただいた3番につきましては、接種歴がある方がさらに追加接種を受けることについて議論をしたものでございます。

 ですから、須磨崎参考人のほうから話があったことにつきましても、その追加接種なのか、それとも接種歴のない方が再度接種の機会を持つということなのか、ここを明確にしておく必要があるのかと思いました。

○岡部部会長 関連しているので、後ででいいですか。

 脇田先生、済みません。先に須磨崎先生お願いします。

○須磨崎先生 今、坂元委員からお尋ねのあった諸外国で余りやっていない、思春期で行っていないというのは、追加接種のことでありまして、キャッチアップといいますか、全然漏れていた人がやるというのは諸外国でも普通に行われております。

 それで私の説明も、追加ということではなくて、やっていない人を思春期にやるということでした。説明が足りなくて申しわけありませんでした。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 脇田先生、どうぞ。

○脇田参考人 現在行われています母子感染予防事業は、小児のHBsキャリアになることを防ぐことを目的としてやっている。その原則に立ちますと、水平感染で5歳未満の状態で感染するとキャリア化する可能性が高いということですから、現状から考えると、子供たちのキャリア化を防ぐということをまず優先させるべきであって、もしユニバーサルでできるようになれば、その子たちは大きくなってから思春期でも感染の予防はできるということになります。

 さらに、現在思春期あるいはそれ以上の人たちを予防するというところは、その次にまた考える必要があろうと考えます。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 一応、今までの議論の中では、既に前のほうの予防接種分科会のときに、HBに関しては広い予防接種が必要であるという結論を出して、それをリコメンデーションとしてなっているわけですけれども、この委員会で再度検討したところでは、そこの原則は全く変わっていないわけで、日本にとって、子供たちにとっても、場合によっては大人にとっても必要なワクチンである、と。

 それから、思春期を含めたブースターか、キャッチアップか、またそれの前提になるのは、やはり小児に対してきちんと免疫を受けておくことが前提なので、その部分は議論としては後のほうでもいいと思うのです。

 ただ、小児に全体にワクチンを接種するに当たっては、幾つかのエビデンスが必要なので、そこが事務局が提案されているところの中になってくるのですけれども、やはりベースとして一体どれぐらいの現在HBs抗原陽性率が、特に小児においてどのぐらいあるのかということがなかなか疫学調査としては対象が難しいということがあるので、これはまた多くの方の理解を得て、そういうことに協力をしていただかなくてはいけないのですけれども、そこを早急にやる必要があるだろうということです。それは研究班としてはスタートしているわけですが、対象となる方というか、そういう方も含めて広く日本のB型肝炎をどうするかということで御協力をいただきたいということと、もう一つは、ジェノタイプの問題がやはりファクトシートが出てきたときよりも、さらにジェノタイプAの問題が強く出てきていますので、これに対する大人における有効性も問題になっていますけれども、特にこの場では小児に対して今、ジェノタイプAをどういうふうに考えていくかということについて、そのワクチンの有効性を含めたデータがきちんとないと、「やりましょう、やりましょう」というだけにはなりそうにないということではないかと思います。その辺も事務局から提案されている部分であり、ディスカッションしてきたので、そういうところであれば、きちんとしたエビデンスを出す時間的な余裕は少し欲しいのではないかと思うのです。

 これは先ほどの話の繰り返しで、決して先送りではなくて、早急にこのようなデータを補完していく。それがエビデンスに基づいて予防接種をやっていくというところの基本ではないかと思うのですけれども、そういったようなまとめではいかがでしょうか。

 宮崎先生、庵原先生、須磨崎先生。

○宮崎委員 基本的には、私も同じように思いますが、HBワクチンの遺伝子型(ジェノタイプ)の効果ということで少し漠然と書いてありますが、従来の考え方で言う、いわゆる母子感染をどれぐらい予防できたかという意味では、遺伝子型Cのタイプのワクチンは遺伝子型CとBのHBウイルス母子感染をほぼ防いだと理解してよろしいのかどうかですね。

 もう一つ、感染そのものは時々防げないわけですが、HBc抗体抗体も含めて、遺伝子型Aのワクチンは本当に遺伝子型BとCのHBウイルス感染を防いでいたのかどうかというのも、逆に言うとちょっと疑問も残ります。今まではHBs抗原、HBs抗体の議論でずっと来ていますので、せっかく今回改めて調査をされるので、子供でもそこのHBs抗体とHBc抗体の両方を見ていただいきたい。そうすると、少なくとも私は遺伝子型Cのワクチンは遺伝子型BとCのHBウイルス感染には有効だと思っていますが、その辺のところも明らかになってくるのかなと思っています。

 以上です。

○岡部部会長 庵原先生、どうぞ。

○庵原委員 ジェノタイプに関して、溝上先生が何かコメントがありそうです。

○岡部部会長 では、溝上先生、どうぞお先に。

○溝上参考人 まず、隣の国立国際医療センターのACC、エイズ研究センターのところでは、数千人のHIV感染者の方がお見えになりまして、そのうち3分の1がB型肝炎ウイルスに感染されているのです。感染経路が同じなものですから、その方たちにどれぐらいのジェノタイプA、もともと日本にないジェノタイプAがどれぐらいあるかという検査を試行中でありまして、それの面倒を見ている医療従事者におけるHBc抗体を、もちろん全員ワクチンは取りますので、その方たちのHBc抗体陽性率というのを現在やっております。12月いっぱいぐらいで結論は出せるということで思っております。

 それから、ジェノタイプに関しましては、1985年当時、B型肝炎ウイルスは世界中でこの母子感染予防が始まった当時は、世界中でB型肝炎ウイルスが一つだと思っていたわけですけれども、それが95年ごろから違うということで、現在9つのタイプがありまして、それが地域特異性がある。それが経済のグローバリゼーションに伴って、今、物すごい勢いで日本に入ってきているという現状だということでございます。

 したがいまして、その検討をどんどん進めていかなければいけないということでやっておりまして、現在、急性B型肝炎は年間8,000人ぐらい日本で起こっております。そのうちの3割ぐらいから、今や東京地区では7割、全国平均でも半分はジェノタイプAになっている。急性B型肝炎にもなっている現状です。

 したがいまして、その研究については、至急いろいろと進めていかなければいけないということでございます。

 以上です。

○岡部部会長 大人でジェノタイプAはふえているのですけれども、小児の母子感染というのは。

○溝上参考人 それはうつるとするならば、お父さん、お母さんから家族内でという形が一番考えられます。ただ、ジェノタイプや先ほど言いましたように劇症化するのは非常に少ない。ほとんどないです。したがいまして、自覚症状も非常に弱いものですから、ほとんどないというのが現状で、それでそれらの人たちが家庭内で広げるということを一番危惧しております。データは全くありません。

○岡部部会長 庵原委員、お願いします。

○庵原委員 話を元に戻して済みません。

 大筋というか、流れは岡部先生のまとめで特に異存はないのですけれども、これでユニバーサルにするためには、少なくとも母子感染予防施策がうまいこといったということの、要するに総括をしておいてからユニバーサルに行く。要するに、母子感染がうまいこといかないのだから、ユニバーサルに行くのではないですよという形は、ひとつ押えておく必要はあるのではないかと思います。

 ですから、ユニバーサルにしたのは、母子感染予防対策がうまいこといかないからユニバーサルになったのだといううがった見方をされる人が出てくる危険性がありますので、そこはきちんと押さえておいたほうがいいでしょうというのが一つです。

 もう一つは、前の池田先生のデータは、やはり医療経済効果が出ていないのです。それは一つは、セロエピのデータが不十分であったということから出てきた危険性がありますので、今回、須磨崎先生とか脇田先生がきちんとセロエピのデータを出してくることによって、医療経済効果がどのぐらい出てくるか。

 もし出なかった場合はどうするかというのは、次の議論だと思うのです。やはりそのぐらいは、将来のことで長い目でみれば、このぐらいの医療経済効果は日本は面倒は見るのだよと、こういう広い気持ちで見てくれるのか、いやいや今、予算がつぶれているから、ぎすぎすで見るとのか、それは要するに、須磨崎先生のデータを見た上で討論したいということで、要するに、医療経済効果をきちんと見ていく必要はあるでしょうというのが私のコメントです。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 最後に宮崎委員、どうぞ。

○宮崎委員 今、言ったような議論がいろいろ必要であるけれども、一つは母子感染がある程度うまくいったが、少しうまくいっていない部分が幾らか残っているので、例えば今回の新生児の接種時期の変更等もなされてきたわけで、そう考えると、母子感染以外に家族内感染というのが現にあるわけで、これを今のシステムの中ではカバーし切れていないので、ユニバーサルの定期化をするという議論を進めつつ、現実に今、家族内感染をもっと減らせる方法もあるわけで、これも議論していくべきだろうと思うのです。

 今回、母子感染予防の接種時期の変更というのが今、行われつつありますけれども、これは母子感染だから健康保険でやっているので、この議論に乗っかりにくいのですが、しかし、予防接種、ワクチン分科会なわけですから、やはり我が国のB型肝炎をどうしていくかということを総合的に考えていかないといけないと思うのです。予防接種法に乗っからないから、ここで議論をしないというわけではなくて、きちんとその周辺部分も含めて対策をやっていくべきだろうと私は思っています。それは職場内感染も含めてです。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 それでは、結論ということになるわけですけれども、事務局が幾つか御提案されている中、先ほど私がまとめたような中で了承していただいて、ただ、前提は繰り返しますが、庵原委員がおっしゃったように、これは決して今までの母子感染対策が間違っていたのではなくて、WHOに向けても日本はそれで少なくともキャリア率を下げてきて、垂直感染にはかなりの貢献をしている。ただ、漏れている部分がどうしても出てきてしまう。それはユニバーサルワクチンを云々する手前にもうちょっとやることがあるではないかというのが宮崎先生の御意見ですし、母子感染予防そのものはこれで動いている、何か制度が変わるわけではないので、これをきちんとやりながら、例えば小児科が産科で診た患者さんを小児科のほうできちんと申し送り受けながらやっていくとか、あるいはキャリアであるお父さんに関しても注意を促すという部分については、説明としてはできると思うので、そういったようなことをやりながら、B型肝炎をきちんと説明しつつ、ここは須磨崎先生の肩にかかってきてしまうところなのですけれども、それには本当に研究班の先生方とか、ほかの学会とか、いろいろなリサーチのための御協力が要ると思うのですが、今、残されている部分、データに基づいてというところを検討していただいて、それを俎上にもう一回議論をする。これは決して先送りということではなくて、継続であるという形にしておきたいと思います。

 まとめとしては、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 ありがとうございます。

 それでは、B型肝炎については、今のような形でまとめておきたいと思います。

 もう一つ、これは各論的で、これまた議論が要ると思うのですけれども、成人用肺炎球菌ワクチン。今までは7価から13価という小児用のものは結論が出て、もう11月から動いているわけですが、成人用肺炎球菌の23価について、これをどういうふうにしようかということが本日の議題です。基本的には、この分科会でも高齢者、高齢者というのはいろいろな定義がありますが、65歳以上に必要なワクチンであって、分類としてはB群旧の二類対象であることが妥当である、と。

 ただ、そうなってきたときに、どの年齢層をまず中心的にやっていくかということが少し議論になり、また、それについて学会からも意見をいただいているということで、これについての議論を少し進めていきたいと思います。

 このところは、最初に参考人の大石先生のほうが先で、大石先生は感染症学会と呼吸器学会でまとめられたことについての御紹介、意見ということ。続いて、氏家課長補佐から説明をいただくという順番にしたいと思います。

 では、大石先生、お願いします。

○大石参考人 お手元の参考資料3-1になります。

○氏家課長補佐 「資料3-1」と書いてあるものが「参考資料3-1」の訂正でございます。済みません。

○大石参考人 了解しました。

 私は、今の御紹介のとおり、2学会の代表ということできょうは出席しております。

 先日の7月10日の基本方針部会で議論されたことについて、学会内で議論がありましたので、説明させていただきます。お手元の要望書を見ていただきたいと思います。

 先日の基本方針部会の議論としては、高齢者に対する成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種化について、1)65歳以上の者を対象とすること、2)接種体制として定期接種化から5年間は70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳の者に接種する(5歳年齢ごとにキャッチアップを実施する)ということです。そして、1年ごとにまた同じ70歳の人、75歳の人とずっと1年ごとに少しずつ高齢者の接種が進むということが承認されています。

 学会としましては、この決議に対しては、基本的には全面的に同意します。定期接種化の提示については同意する次第でありますが、この導入の仕方としましては、上記の案では高齢者層が最大5年間、定期接種の順番年を待つことになるということが懸念されるということで、特に高齢者層におきましては、より肺炎に罹患して重症化するリスクが高まることを踏まえると、より高年齢層に優先的に接種をすることが望ましいと考えるというのが学会の意見であります。

 この辺の根拠としましては、我が国におきまして、成人用肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンとの併用接種によりまして、75歳以上の高齢者の肺炎、これは全ての肺炎ですから、この肺炎による入院頻度が減少するということ。また、高齢者介護施設入居者においては、肺炎球菌性の肺炎が減って、そしてまた死亡が減少するということが報告されております。

 これは世界的に見ると、23価ワクチン、成人用肺炎球菌ワクチンは、基本的には敗血症、髄膜炎、そういう侵襲性感染症を予防するということが基本的な効果として知られているのですけれども、参考資料の裏のページにありますが、我が国では2010年にこういった2つの論文が出ておりまして、肺炎に対する効果ということが示されているわけです。

 さらに、池田先生方のグループの解析で、こういう高齢者層における肺炎による医療経済効果、肺炎に基づく医療経済費を削減するということが明確になっているところであります。

 このような理由から、この2学会としましては、高年齢層からキャッチアップを開始して、キャッチアップ終了次第、65歳の定期接種に移行することを提案させていただきたいと存じますということです。

 そういった経緯で、両学会としては基本方針部会での成人用肺炎球菌ワクチンの導入の仕方について再検討を要望する次第であります。

 以上でございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 そこで補佐のほうから、今までのまとめと提案ということでお願いします。

○氏家課長補佐 資料3をごらんください。

 先ほどのB型肝炎の議論と同様に、7月の第3回基本方針部会で議論を行っていただきまして、一定の結論を得たところでございますが、先ほどのように学会からの要望を受けまして、再度、接種スケジュールの導入の仕方について御検討いただきたいと考えてございます。

 前回の議論につきましては、参考資料3-2をごらんいただければと存じます。

 先ほど大石参考人のほうから御説明がありましたように、前回7月10日の基本方針部会での議論におきましては、5歳年齢ごとの毎年の接種ということを了承いただいているわけでございますが、学会からの別の方法に関する要望を受けて、議論いただく案を1、2、3と3つ御用意してございます。それぞれの案の是非について御議論いただきたいと思います。

 案1としましては、710日の案でございまして、65歳以上の対象者に対して5歳年齢ごとにキャッチアップを実施するというものでございます。

 案2としましては、学会から要望書があるものでございまして、高齢層からのキャッチアップを開始して、キャッチアップ終了後、65歳の定期接種に移行するというものでございます。

 最後、案3としましては、65歳に接種を行いつつ、高齢者層をキャッチアップするというものでございます。

 各案について、メリット、デメリットがございますので、接種対象者の人数を含めて、次のページで御説明させていただきます。

 案1をごらんください。5歳年齢ごとにキャッチアップを実施した場合です。

 まず、5年間の対象者の年齢は総接種数がほぼ一定であるため、運用に混乱が少なく、毎年の接種者数の変動が少ないというメリットがございます。

 一方で、学会から御指摘いただきましたように、肺炎に罹患し、重症化しやすい高齢者層においても、年齢によっては最大4年間、接種を受けるチャンスがないという問題点もございます。

 そこで提案があります案2につきまして御説明させていただきますが、1年目に高齢者の80歳以上、2年目に7680歳の方、3年目に7276歳の方のように、高齢の方から順に接種を行っていく方法でございますが、こういった方法につきましては、まず、死亡・罹患リスクの高い高年齢層の方から接種の対象となるというメリットがある一方で、これまでの費用対効果の議論におきましては、65歳から70歳代の高齢者の方々に接種を行うことが最も医療費の削減効果が高いというデータがございますので、こういった方々に対する接種がおくれてしまうという問題点もございます。

 また、接種対象者を一定の割合にするための接種年齢の設定が煩雑になってしまうというデメリットもあるかと存じます。

 最後に、案3として御提案させていただきますのが、今後定期接種に対して対象者となる65歳に定期接種を行いつつ、あくまでキャッチアップとして高齢者からキャッチアップを開始するというものでございまして、具体的にはずっと1年目から5年目まで65歳には必ず接種を行う。それ以外の接種対象者として1年目には85歳以上、2年目には8085歳、具体的な年齢はあくまで案でございますが、こういった形で65歳に接種を行いつつ、上の年齢から順番にキャッチアップを行うというものでございます。

 この方法としましては、定期接種の適用となる65歳への接種が開始できる。そして、可能な範囲で死亡・罹患リスクの高い年齢でのキャッチアップを実施することができると考えられます。

 ただ一方で、接種対象者の年齢設定が複雑になってしまいますので、そういった煩雑さというのは、案2に増して複雑であるというデメリットもございます。この案1から案3、もしくはまた別の意見もございましたら、その他の案につきましても御議論をいただければと思います。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 前回の議論に行ったところで、感染症学会、呼吸器学会からは提案という形で、要は65歳になったらすぐ始めるのか、あるいは高齢者のハイリスクと思われる人のほうを先にやっていこうという形だと思うのですが、この辺は御意見をいただきたいところです。

 庵原先生、どうぞ。

○庵原委員 済みません、私は7月のときに体調を崩しまして休んでいまして、そのときの議論には参加していないので、もう一遍再確認ですけれども、PPSVの肺炎に対する効果に関しましては、市中肺炎に対しては効果がまだ一定していないというのが世界の評価で、世界の目はそういう評価になっています。

 ただ、日本では集団の、要するにヘルスケアをやっているところでは効果があるよというデータは出ています。ということと、インフルエンザワクチンと肺炎球菌のワクチンの合わせ技で接種すれば効果があるというデータは出ていますけれども、肺炎球菌単独で肺炎に関する予防に対する効果というのはまだはっきりとしたデータは出ていないというのが私の認識です。

 もう一つ、IPDに関しましては効果があるというのは世界の認識です。高齢者に関してのIPDに関しては効果がある。ただ、年齢が上がるにつれて効果が落ちてくるということもデータは出ていまして、もしワクチンの6th editionの肺炎球菌のPPSVのところもごらんになるとわかると思うのですけれども、85歳以上のIPDに関しては、95%コンヒィデンス・インターバルが1をまたぎますので、統計学的には効果がないというデータなのです。このような状況を鑑みながら、接種年齢を考慮する必要があるのではないかと思います

 ですから、このワクチンは肺炎にきくと大ざっぱに大きな声を出して言えるワクチンではないというのが世界の認識だと私は認識していますので、その辺をはっきりさせておく必要があるのかと思います。この場で先生方が、肺炎に効果がありますよと言われたら、私はそれでいいですけれども、少なくとも世界は、市中肺炎に対しての効果はないというか、まだ決定していないというのが私の認識だということで、この点は御議論をお願いしたいと思います。

○岡部部会長 言葉上と名称上の誤解があって、肺炎球菌ワクチンなので、肺炎に絶対きくだろうといったような一般の誤解があるので、そういうことではないということの認識で議論していかなくてはいけないと思うのです。話は少しそれますが、ちょっと前ですが、感染症の大家と予防接種方面の大家がお二人とも高齢で亡くなられたのは肺炎球菌による肺炎で亡くなられていますので、これは相当な病気であるといえます。

 さて、大石参考人、今の庵原先生の御意見についていかがですか。

○大石参考人 庵原先生がおっしゃる世界のスタンス、ワクチンというテキストブックがありますけれども、そういった中では庵原先生がおっしゃっているような記載になっていることは間違いございません。

 私どもも、この成人用肺炎球菌ワクチンの高齢者に対する普遍的な接種ということについて、過去10年間、臨床的な検討を進めてきたわけですが、その中で、まずは単独の成人用肺炎球菌ワクチンだけの効果を見るというスタディーといいますか、研究は実施できませんでした。

 それはなぜかというと、もう既にその時点でインフルエンザワクチンが65歳以上の高齢者に対して定期接種になっておったという背景があります。だから、倫理的にインフルエンザワクチンを接種しないグループを設定するということがまずできなかったということ。

 そして、この2つのインフルエンザウイルスというのと、肺炎球菌の関係というのは非常に密接でありまして、肺炎球菌性肺炎の発生に関して、特に高齢者に関しまして、インフルエンザ後の肺炎球菌性肺炎というのは、昔から有名な話であります。そういった形でインフルエンザワクチン接種後の高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの効果という評価を過去10年間進めてきたという経緯があります。

 たしかに2008年ごろまでの世界的な研究のレビューという形では、市中肺炎を成人用肺炎球菌ワクチンでは予防できないという論調が、過去の論文を見ますとそのとおりでありますが、その2006年、2007年ごろから、やはり市中肺炎のリスクを下げると、成人病の肺炎球菌ワクチンが市中肺炎のリスクを下げるという所見が出てきて、そしていろいろ前後して、要望書の裏面にあります参考文献のKawakamiらによる市中にいる65歳以上の高齢者、既にインフルエンザワクチンを接種した高齢者の中で2群に分けて、肺炎球菌ワクチンを打った群と打っていなかった群を見ますと、明らかに肺炎球菌による肺炎だけではありませんけれども、全肺炎というものを抑制しておりますし、それも特に65歳全体として評価するよりは、75歳以上でくくって見たときに、より効果が高いという結果が出ているわけであります。

 それともう一つは、先ほど説明しました高齢者施設における、これもランダマイズドコントロールスタディでほとんどのケースが入居者が平均85歳、そしてほぼ100%近くインフルエンザワクチンを打っている状況で肺炎球菌ワクチンを打った群と生理食塩水を打った群と完全に分けて、約2年半を評価すると、肺炎球菌による肺炎も下げているし、それによる死亡も成人用の肺炎球菌ワクチンなら抑制しているというデータが出ているわけでありまして、そういった所見から見ると、この成人用肺炎球菌ワクチンの基本的に日本で議論する中では、肺炎を予防するワクチンとして評価できるのではないかと私どもは考えておりますし、また、池田先生方の医療経済効果というものを我々の2つの研究成績をもとにして解析されたものでありますので、これまでのファクトシートも基本的にはそういう肺炎を予防するワクチンとして評価されたものと私は理解しております。

 以上です。

○岡部部会長 非常にシリアスな質問になるかもしれないのですけれども、仮に85歳以上の方をリスクが高いので先に予防した場合、あるいは65歳であったり、75歳であったり、そこら辺の方がこれからリスクにかかってくるので、早く接種したほうがいい。QOLから考えると、どういうふうになりますか。

○大石参考人 私は先生の御質問に対するお答えは持ち合わせません。

 長い期間で高齢者のQOLを評価するということは、まだまだできておりませんので、少なくとも、これまでできるのは、やはりせいぜい2、3年間の観察研究であって、長期間のものではなかなか出せないのが現状だと思います。

 ただ、答えとしては明確な答えは持ち合わせません。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 庵原先生、どうぞ。

○庵原委員 少なくともPPSV65歳ぐらいで打ったほうが効果は高くて、年齢が高くなるにつれて効果が落ちることは世界の認識だと思っています。

 さらに言いますと、年数が3年、5年とたてば効果が落ちるということも世界の認識です。

 池田先生の医療経済効果は、5年間効果が続くという前提で出ていますので、あれは落ちていくという前提で計算すれば、医療経済効果はもうちょっと下がるだろうと。さらに言いますと、高齢者の肺炎の発症率が十何パーセントで出ていると思うのですけれども、あれは普通はヘルスケアという、高齢者施設の肺炎の感染率であって、一般の市中感染の肺炎の感染率はもっと低いはずなのです。

 そういうことからすると、医療経済効果を見直す必要があるのではないかということが私のコメントです。ですから、余り高齢者を優先的に接種するよりも、65歳から進めるほうが理屈にかなっているということが私の意見です。

○岡部部会長 氏家課長補佐、お願いします。

○氏家課長補佐 先ほど庵原先生のほうから御指摘をいただきました費用対効果の方法なのですが、年ごとの低下する予防効果につきましては、ファクトシートを読み上げさせていただきますと、「ワクチン接種は1回のみとし、ワクチンの効果はSiskらの報告に従い年々低下するものとした」と記載がございますので、経過による予防効果の漸減というものについては考慮したデータになっているということを指摘させていただきたいと思います。

○岡部部会長 再接種をどうしようというのは、また後の議論になるので、そのことはこの中に入れないでおきたいと思います。

 もうちょっと御意見をいただきたいと思うのですが、崎本委員、どうぞ。

○坂元委員 接種年齢に関してですけれども、以前の会議で5歳刻みであれば、高齢者が去年受けたかと忘れてしまっても、5歳刻みでやっていれば、自分は65歳でなければだめ、70歳ではなければだめということで割とクリアになっているのですが、もしそうでないとなると、自治体で受けた方の接種記録を全部とって照会するということは非常に現実的には難しいので、例えば79歳の人が、自分は年齢ではないけれども、怖いから受けたいといったときに、それは任意で当然受けられるわけです。

 たまたまその年、80歳から75歳までは定期で受けられますよといって、去年受けてしまったのを忘れて受けるということは、多分頻繁に起こってくるかなと思います。そういうときに、例えば以前の説明ですと、かなり近い時間に接種が行われると、副作用が強いということがあったと思うのですが、その辺は自治体としてはどういうふうにアナウンスしていけばいいのかというところが懸念なのですが、もし何かあればお教えいただきたいと思います。

○岡部部会長 大石先生、どうぞ。

○大石参考人 おっしゃるようなことは十分起こり得ると思います。

 1案、2案、3案、どれがわかりやすいという案はなかなかないと思います。どれも自分の年齢を明確に認識していなかったり、昨年の接種のことを忘れていたり、やはりもしこういう定期接種化が行われるとすれば、そういったどの対象にということについては、丁寧に学会のほうからも医療機関からも説明する必要があると思います。

 確かに短期間で再接種をしてしまいますと、副反応は局所のものですね。全身的な副反応はまずありませんので、我々もいろいろ調査をしておりますけれども、それはありませんが、できるだけ誤接種は避けるような対策はとっていかなければならないだろうと思っております。

○岡部部会長 誤接種に加えて説明をしておかなくてはいけないのは、多分インフルエンザによって副反応事例を随分検討しているのですけれども、接種直後に心筋梗塞が起きてとか、脳出血が起きてとか、そういう事例を23価が導入されても、誤解としてワクチンのせいではないかということがあるので、そこら辺の説明も十分やっていく必要があるとも思うのです。そこら辺の議論は学会のほうでは何かありましたか。

○大石参考人 23価ワクチンの副反応ということにつきましては、基本的に全身反応はまずない。局所の反応だけであるということでありますので、高齢者になってくればなるほど、やはり接種後の近いタイミングで疾患が増悪したりとか、新たな疾患が発生したりとか、急死したりとか、そういうことはあり得ることだと思うので、そういうことは十分予期していかなければならないとは思いますけれども、学会の中では、特段明確な議論はなったと思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 宮崎先生、どうぞ。

○宮崎委員 行政的な手法の話ですけれども、事務局にお伺いしますが、これは政令では接種対象年齢を65歳以上と考えておられて、例えばこういう接種の具体的な接種年齢規定は、どこでどんなふうに処理される御予定ですか。

○難波江課長補佐 どういった案になるかによって、政令の定め方が変わってきます。

○宮崎委員 やはり政令でやるのですか。

○難波江課長補佐 そのことを考えております。

○宮崎委員 わかりました。

○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 そうすると、仮にどの方式を取るかは別として、この年齢を定期接種でいきましょうといったときに、その年齢外の人が来た場合、例えば自治体としては接種を委託している医療機関に、この年齢外の人が来たときには、過去の接種歴とかを十分御確認の上、接種をお願いしますと、そういう形のアナウンスを出していくというのが一番いいと思われますか。

○大石参考人 たしか基本方針部会で先生が以前も御発言なさったと記憶しておりますけれども、やはり高齢者の接種記録、正直言って、同じように行くかどうかわかりませんが、そういった記録票の準備を考える必要があるのではないかと考えております。

○岡部部会長 ほかのもう一方、二方ぐらい御意見ありませんでしょうか。

 宮崎委員、どうぞ。

○宮崎委員 例えば政令で決めてしまえば、その年齢で接種が漏れた人は対象外になりますね。

○岡部部会長 接種を漏れたというのは、65歳が接種年齢と見た場合ですか。65歳以上を接種年齢と見た場合ですか。

○宮崎委員 どの方法をとったにしても、政令で接種年齢を決めるのであれば、その年に受け損なった人は、もう2年目からは対象外になるということにしばしばなるということですね。全部ではありませんけれどもね。

○岡部部会長 そうなのですよ。

○坂元委員 ただ、それは定期接種の対象外であって、任意であれば製造承認をとっていれば、随時いつでも受けられるということがあるので、やはりそこは今、大石参考人が言ったように、自治体として非常に接種歴を全部保管して、いちいち問い合わせで、あなた去年受けていますよ、ことしは受けていますよというのは、かなり大変な作業ですし、高齢者が同じ医療機関に行くとは限らないので、やはりそこら辺の工夫というのが、そんなに重大な副作用が出ないというのであれば構わないのですけれども、やはり一定の工夫をしないといけないかなとは思っております。

○岡部部会長 便宜上のようなのですけれども、例えば79歳の人が忘れて受けなかったら、もう80歳を過ぎたらかえってできなくなってしまうとか、あるいは定期接種年齢に入っていないのでやらなかった人が重症になるということも起こり得るので、例えば65歳以上の方が65歳になったら接種スタートだけれども、ハイリスクの方は大体この辺ぐらいのところで、その辺の方はある一定期間に限っては接種を受けつけますという形は、実際的には難しいですか。

○難波江課長補佐 そのハイリスクの定義ですけれども、年齢で切っているのであれば、かつてMRが3期、4期やったように、今年度はこの年齢、来年度はこの年齢という形であると思います。

○岡部部会長 この辺はいつまでも平行な議論をしていられないのと、医学的な部分と実際的な部分、それから65歳になった人を直ちにやっていくのか、あるいは85歳ぐらいのほうから落としていくのか、必ずしも医学的だけではなくて、社会的なことも考えて判断をしなくてはいけないと思うのですけれども、一応この会では、ある程度結論を出さなくてはいけないのではないかと思いますのですが、いかがでしょうか。

 ひとつ、何対何という決をとるわけではないのですけれども、本来というか、この委員会で出した結論のままで行こうではないかという意見と、学会のほうから、やはり高齢者というものをリスクが高いものとして捉えるべきではないかという御意見との2つで、どちらにしようかというのは御意見を伺ってみたいと思うのです。

 オリジナル案というか、分科会案でいいのではないかと思われる方は手を挙げていただけますでしょうか。

(賛成者挙手)

○岡部部会長 大石参考人も参考人として御意見をおっしゃって、オリジナルが1と2のどちらかを決めかねている方は手を挙げなくても結構です。わかりました。

○多屋委員 済みません、オリジナル案が案1ということですね。

○岡部部会長 案1です。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 1点忘れていましたが、これは例えば5年以内に接種してしまったということがわかって副作用が起きた場合、定期接種の場合は予防接種法で保障するという形をとりますが、定期接種以外になると、医薬品の救済基金の適用になるとか、ところが、添付文書に「5年以上」と書かれてしまった場合に、5年以内に受けたことが判明した場合に、これは副作用の救済になるかどうかということも考えておかないと、実際に起こったときに、添付文書上はそうなっているからだめですよということはなかなか言いにくいので、その辺も配慮した上でお願いしたいと思います。

○岡部部会長 これはどうも回答がすぐ出てくるわけではなさそうですね。

 失礼しました。案1、案2、案3でやったほうがどうも単純なようなので、もう一回やりましょう。

 渋谷委員、どうぞ。

○渋谷委員 今の話だと、案1か案2か案3かということだと思うのですが、そうすると案2も案3も高齢者のほうからキャッチアップするというところだけで、例えば65歳から70歳のほうを先にキャッチアップするという案はどこにも出てきていないわけですね。そうすると、1なのか、2か3かという選択をするというのは非常に難しいと思うのです。

 ですから、先ほど65歳からのほうを何で先にキャッチアップしてはいけないのかということの明確な、そちらのほうが恐らく効果的には大きいのに、その案は全然2と3の中には入っていないわけですね。2と3は、65歳は毎年やるのだけれども、キャッチアップは高齢者からやるという案ですね。

○岡部部会長 案1がそうではないのですか。

○渋谷委員 だから、案1以外はみんな高齢者からキャッチアップするという考え方ですね。

○岡部部会長 事務局のほうからもう少し丁寧にお願いします。

○氏家課長補佐 前回いただいた御議論の結論で60歳、65歳、70歳というように5歳刻みでの接種ということが一つの結論としていただいたものでございます。

 今回の要点としましては、学会のほうから、より高齢者を先にキャッチアップすることが望ましいという要望書をいただきましたので、その要望書に合わせた案というのを案2、案3として作成させていただきました。

 それ以外の方法というものも、もちろん費用対効果を含めた考え方というのがございますので、もしそういった意見がございましたら、あわせて御検討いただければと考えてございます。

○岡部部会長 これは多分財政当局のほうにも、こういう理由なので高齢者からやりますと、あるいは65歳からスタートしますということもきちんと説明していかないといけないと思うのですが、案1、案2、案3でやってもいいですか。

 案1のほうでいいだろうと思われる先生方は、3人の先生ですね。

(賛成者3人挙手)

○岡部部会長 案2の方。

(賛成者2人挙手)

○岡部部会長 案3になるといなくなってきて、非常に微妙なところになります。

 非常に決めかねるところだと思うのですけれども、私は案1のほうに1票。

 議長が入れる場合も入れない場合もあるのですが、そんなような形で多数決ではあり得ないと思うのですけれども、呼吸器学会、感染症学会という学会のほうが提言されたのは、非常に重い全体を考えてのことではないかと思いますが、QOLその他を考えてのことにもなると思うのですが、やはり分科会でかなり議論をしてきたということを経て、一応案1のほうで行っていただければということを議長としては提案したいと思います。

 大石先生、先生が学会のほうに説明するのは大変苦しいのではないかと思うのですが、これは大石先生の責任ではなくて、委員会のほうではそういうふうに議論をしているということなので、いかがでしょうか。

 事務局のほうは、それで行ってよろしいですか。

○氏家課長補佐 今回いただいた学会の要望書に対して、それとは別の案ということですので、要望書に対する回答というか、案1の理由ということについてもあわせて御議論をいただきたいと考えてございます。

○岡部部会長 これは今まで議論してきたように、早くハイリスクになりそうな方、直ちにリスクというわけではないですね。ただし、80歳以上になってくると、効果としてはかなり減弱してくる可能性もあるということで、全体的な有効性から見た場合には、そこを言い出すと、65歳がいいのか、70歳がいいのかという議論にもなってくる可能性があると思うのですが、一応日本の場合は、高齢者は65歳以上ということと、大石先生もおっしゃっていたインフルエンザと一緒にやるということの意味合いが強いので、そういう意味で65歳以上のスタートということになりますが、そういうことでまとめていただけますか。

○難波江課長補佐 確認ですが、自治体のオペレーション上も。

○岡部部会長 坂元先生あるいは渋谷先生、どうぞ。

○坂元委員 以前もこういう5歳刻みという政策は結構やっておりますので、その辺は問題ないかなと思います。

 ただ、66歳で受けたい、どうしても私は感染が怖いので受けたいという人が出てきたときに、それは任意で受けてくださいというとき、実際その問題はかなりあると思うのです。5年間も待たせるのかと、そういう政策をやると、必ずそういう苦情が自治体のほうに来ますので、その対応として、この年齢に該当しない方が来られた場合に、接種する先生は十分本人に説明し、仮に66歳で受けて、70歳で受けてしまうかもしれないので、そこは十分本人に説明する、もしくは記録をとっておくとか、そういうことをしっかりやっていくということで、5歳刻みというのは、自治体として難しいとは思っておりません。

○岡部部会長 大石先生、どうぞ。

○大石参考人 この委員会で結論は1案ということで行くのでしょうけれども、先ほど議論がありました接種記録については、やはり自治体のほうで、今後方針がきちんと決まったときに、やはり記録がちゃんと残せるような仕組みを自治体と話をし始めて、そして次年度以降に実際運用できるような体制を坂元委員がおっしゃるとおり、やっていかなければいけないと思いますので、ぜひ事務局のほうと学会、医療機関といったところから相談を初めていってほしいと思います。

○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 大石参考人がおっしゃいますように、やはり接種手帳みたいな形でしっかりつくっていって、御本人に渡して、しっかりした保管をしていただく。または御家族にその保管をお願いするという形での接種記録というものを残す必要はあるなとは思っております。

○岡部部会長 インフルエンザも実はお年寄りの記録がないですね。だから、できればこれを機会に、お年寄りの記録というものをしっかりしていただくということをお願いしておきたいと思います。これはむしろ自治体のほうが大変なのかもしれないのですが、委員会としてはそういうお願いをしたいと思います。

 宮崎先生、最後にどうぞ。

○宮崎委員 また細かい実施上の問題ですが、第1案をとったとき、例えば65歳の方が対象になって、そのとき受けずに5年後70歳になったときに、その人は対象になるのか、ならないのか。どうでしょうか。これが5年間の限定措置であって、6年目からは65歳だけに限定していくのかどうかもあわせて確認しておきたいと思います。

○難波江課長補佐 今の案1であれば、5年間の時限措置ということで、65歳の1年間の間に受けられない場合は、それで定期接種の対象とはならないという形になるかと思います。

○岡部部会長 庵原委員、どうぞ。

○庵原委員 もう一遍確認ですけれども、6年目からは65歳だけが対象になるのですか。それとも「65歳以上」という言葉が出てくる以上は、過去5年間に受けていない人は対処にはなるのではないですか。そこの解釈です。

○難波江課長補佐 65歳を対象とする定期接種というものが案でございました。

○宮崎委員 もともと7月10日の案は、65歳以上を対象にしていたのではなかったですか。

○岡部部会長 そこは明確にしておいたほうがいいですね。私もちょっと誤解をしていたかもしれません。

○氏家課長補佐 事務局としては、対象者は65歳以上と過去の議論でも行っていると認識しております。標準的には65歳に接種を開始するものと考えておりますが、それ以外の対象者に対してキャッチアップが必要ですので、今回のような5年間の時限措置の方法について議論をいただいているということになります。

 ただし、先ほどから議論があるような接種歴については懸念もございます。接種歴が明確になっていませんと、接種を受けた方であっても、例えば5年後、再接種として接種を2回、3回と受ける場合が出てくる可能性がございますので、理論上は時限措置でキャッチアップを行った場合、全ての65歳以上の方に接種を行っていただいているというような事態になると考えてございます。

 ですので、明らかに接種歴がないということが明確であれば、65歳以上という観点においては接種する機会があるということになるかと思いますが、具体的な対応方法につきましては、実際にそのような接種が導入される以前には、再度事務局内でも検討をして、御回答したいと考えてございます。

○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 ちょっと整理が必要だと思いますのは、仮に今、私が65歳として打ったとして、私が5年後に70歳になったら、またそのときに打てるということですか。つまり、これを見ると、毎年接種するということなのか。つまり、一旦定期化されたら、5歳刻みに毎年接種していくことができるのか、そこをもう一度お願いします。

○岡部部会長 それは事務局のほうが明確ですね。

○氏家課長補佐 前回までの議論におきましては、再接種につきましては、今後検討が必要という結論になってございまして、基本的には65歳以上を対象に1回の接種を定期接種として行うということを考えてございますので、65歳で接種された方が5年後、定期接種として接種を受けられるかどうかについては、今後の議論いかんということで認識しております。

○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 65歳で接種を受けて、70歳になったときに、私は65歳のときに受けたから、70歳で受けませんという記録をちゃんととっている人がいるかどうかということはわからないのですけれども、その方が忘れてしまって、70歳で来てしまったときも、ひょっとすると対象になってしまうのですね。

 議論として、5年以内でやってしまった場合に非常に副作用がより強いので、ということで、この5歳刻みという一つの案を出したとのことです。これは私の勘違いであるといけないので、そうなると、5年前に受けたという記録をしっかり5年後持っていないと、70歳で受けに来てしまう可能性は出てくると思うのです。

○岡部部会長 そこが記録をできるだけしっかりとるということで、記録外のことが紛れ込むかもしれませんけれども、基本的な今までの考えは、65歳になった人に対して1回の接種を定期接種で認める。できるだけ65歳になったときからやってくださいということであって、それを決めてしまうと、例えば今70歳の人、80歳の人が早くできないので、そこを順番に決めていこうというキャッチアップではないかと思うのです。

 例えば65歳になった人が、私は65歳を過ぎているのですけれども、今は元気だからやらなくてもいいだろうと。来年あたりになるとちょっとくたっと来るから、やはりやっておこうかといったときに、でも定期接種として可能ではないかという形になるのではないですか。先ほどの話はそうだと思うのです。

 でも、一方は65歳の1年間にやらなかったから、だめですよということになってしまうのですか。

○氏家課長補佐 実際に定期接種として導入する際には、小児の定期接種でも同様ですが、接種対象者に早く接種をしていただきたいということで、標準的な接種期間等も設けてございますので、キャッチアップが終了した時点で、再接種の推奨がどうなるのかということ。そして、それまでのいただいた接種率等を勘案した上で、今後議論が必要になる。実際に政令で定期の予防接種の対象者をどのように5年後に定めるのかということは、今後議論が必要になってくるかと思います。

 現時点においては、対象者としては65歳以上で、基本的には65歳になられた方に1回の接種を行うことが基本路線であると認識しております。

○岡部部会長 標準年齢が65歳ということになるのですかね。定期接種の年齢としては65歳以上。提案1のような形でのキャッチアップが行われるということですね。

 大石さん、どうぞ。

○大石参考人 確認ですけれども、現在65歳以上の方で、もう20%ぐらいが既に成人用肺炎球菌ワクチンを接種されておられるわけですが、こういった方々はこの定期接種のチャンスないという理解でいいのでしょうか。

○氏家課長補佐 お答えします。

 現時点において、再接種についての議論というのは結論を得ていないところでございまして、65歳以上の方に二度目に接種が必要かどうかということについては、今後議論が必要なところでございますが、5年間以上の間隔を置いて、定期接種として接種を受けていない方が接種対象年齢であった場合に接種できるかどうかにつきましても、定期接種がもし導入される場合には、その導入までに議論が必要となりますので、そういった情報につきましても定期接種開始前に情報提供をさせていただくようにしたいと考えています。

○岡部部会長 基本的には、1回接種なので、2回目接種ということはこの中には入っていないので、ルール上はできるかもしれないけれども、医学上、短期間にやったりするのはよくないわけですから、1回やった方が権利を主張して、もう1回できるだろうというのは、やはり避けていただきたいと思うのです。

 実際上の問題が今、幾つか課題として出ているようですけれども、その辺はQ&Aみたいな形で多分出てくると思いますが、Q&Aを書く前に、きょうの議論をもとにして、本当にこれでよかったかどうかということは再度確認をしたいと思いますので、事務局のほうもよろしくお願いします。

 それから、自治体のほうには、ある場合にはご負担をかけるのではないかと思いますけれども、接種記録というのは、やはり高齢者にとっても必要なので、何らかの形でインフルエンザも含めて記録がつくれるような、また、それを一般の国民の方々はそういうものをちゃんと持っているという形にしていただきたいと思います。

 一応、今回はそれでまとめておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 自治体に至るまでは、細かいところがありましたら、また事務局といろいろな議論をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、次は「接種間隔について」です。

 これも前回お願いをしていたのですけれども、宮崎先生に苦労していただいて、小児科学会がいろいろな提案もしていたりしたということがあるので、かなりアカデミックなところも含めてまとめてきていただいているので、それを御説明いただければと思います。

 宮崎先生、大丈夫ですか。

○宮崎委員 これは今回、最終的に事務局のほうが作成という形になりましたので、我々はあくまで協力ということで、事務局のほうから説明していただいたほうがいいと思います。

○岡部部会長 失礼しました。

 それでは、難波江さんのほうからお願いします。

○難波江課長補佐 お手元の資料4をごらんください。「同一ワクチンにおける接種間隔について(案)」でございます。前回の会議で御審議いただいて、検討を進めることで御了承をいただいたものでございます。

 資料の表にございますとおり、この資料は宮崎委員、日本小児科学会予防接種・感染対策委員会の御協力のもとに作成されたものでございます。

 1ページ目、2ページ目は、前回御説明させていただいた内容となっております。

 3ページ目は、参考までの情報で、現在1歳代までに任意接種も含めた必要なワクチン接種でございますが、全体で26回から27回の接種が必要となっております。

 4ページ目も前回御説明させていただきました現行の実施規則と実施要領の記載内容でございます。

 5ページ目は、感染症疫学センターが作成している現在の接種スケジュール図でございます。

 6ページ以降は、今回先生方の御協力を得て作成したものでございまして、接種間隔が開いてしまった場合の有効性と安全性の知見をまとめたものでございます。

 こちらのページは、教科書やACIPが言っている一般論でございますが、一般的に推奨されている予防接種スケジュールよりも接種間隔が開いてしまった場合でも、通常、最終的な抗体産生量が有意に減少することはないとされている。

 また、一般的に接種間隔が開いてしまったことで、副反応のリスクが高まるとのリスクが高まるとの報告もない。

 一方、接種間隔が短過ぎるため効果が不十分との報告はある。

 接種間隔が開くことでその間は感染リスクが高くなるというものでございます。

 7ページ目は、米国CDCの考え方でございます。

 全ての予防接種スケジュールの組み合わせが研究されたわけではない。

 しかし、現在までになされた研究からは、接種間隔の延長によって、最終的な抗体価が有意に下がってしまうという知見は認められていない。

 したがって、スケジュールどおりに接種を実施できなかった場合は、次の接種機会に接種を実施すればよい。

 接種間隔が開いてしまったとしても、一連の予防接種を最初から実施し直す必要はないとされております。

 8ページ以降が、個別のワクチンの有効性、安全性を確認したエビデンスをお示ししたものでございます。

 まず、8ページ目にございますのは、DTPワクチンのP百日ぜき成分の接種間隔が異なるものの違いを見たものでございます。tableで丸をつけておりますのは、1回目接種から4カ月ごと6カ月後に打ったもので見たものでございますが、下記のtableに示すとおり、接種間隔の違いによるGMTの差はごくわずかであるというもので、上の2つは4カ月の間隔で2回打ったものを最終接種から2カ月後に見たもの。一番下は、2カ月の接種間隔だったものを比べたものでございます。

 9ページ目は、日本脳炎ワクチンです。

 こちらは北アイルランドの研究でございまして、比較としてはbooster接種をprimary接種の1回目から数えて11カ月後、または23カ月後で実施したものを比べたものでございます。

tableの上にあるのが11カ月後の接種、nが16GMTで見た抗体価、下のほうが23カ月後で見たもので、23カ月後のほうが高いGMTが得られているというものでございます。

10ページ目は、日本の知見でございますが、接種間隔が開いたものの抗体価の上昇を見ているものでございます。

 結果から申しますと、下記の図に示すとおりである。接種後の検体採取ができた症例は少ないが、初回接種から時間がたってしまった後でも追加接種を行えば良好な免疫反応が得られることが示唆されるというものでございます。

11ページ目は、Hibワクチンの異なる接種間隔で見たものでございます。

 英国からの報告でございますが、ブースターの投与年齢を生後6~11カ月、生後1217カ月、生後2~4歳で見たブースター投与前とブースター投与後のデータを見たものでございますが、結論としてはブースターの時期が遅ければ遅いほど高い効果が示されるというものでございます。

12ページ目は、4価ヒトパピローマウイルスワクチンでございます。

 これはベトナムでの研究でございまして、4つの異なるスケジュール「0-2-6」「0-3-9」「0-6-12」「0-1224」月の接種で見たものでございまして、このスケジュールで大きな差は見られていないというものでございます。

13ページ目は、2価ヒトパピローマウイルスワクチンでございます。

 ルーマニア、スロベキア、イタリアからの報告でございますが、スケジュールとしては「0-1-6」「0-1-12」で見たスケジュールの違いで、免疫応答副反応とも大きな差はないという報告でございます。

14ページ目は、これらの知見のまとめと結論の案でございます。

 同一ワクチンの接種間隔において、通常の接種間隔よりも長い間隔を置いて接種しても、その有効性・安全性が損なわれるとは考えられていないこと。

 規定された接種間隔を超えて予防接種を受けることによる個人的・社会的メリットは、接種間隔の緩和により勧奨効果が薄れてしまうことにより発生し得るデメリットよりも大きいと考えられること。

 以上のことから、接種間隔の上限について標準的な期間として規定しながら、通常の接種間隔を超えてしまった場合においても、定期の予防接種として取り扱えるようにすることが望ましいと考えられるが、いかがかとしております。

 下のテーブルは、今まで申したメリット、デメリットを分けて記載したものでございます。

15ページと16ページは、接種間隔の上限を取っ払った場合に、Hibと小児用肺炎球菌については特別な手当が必要だと考えております。

Hibワクチンにつきまして、現行の規定のまま上限をなくすと、例えば下記のような接種があり得ることとなり、生後12月以上に過剰な接種をしてしまうこととなってしまう。生後2月で打ち始めて、その後、しばらくたって、生後12月を超えてから初回接種の続きを仮にやった場合、全体で4回の接種になるのですけれども、もともと12月を超えた場合にスタートした人は1回でいいルールになっていますが、この方の場合は4回と過剰になってしまうので、特別な規定として、初回接種は生後12月まで実施することとし、それを超えた場合は行わないこととしてはいかがかとしております。

 さらにこの規定を置いた場合、例えば下記のように初回1回目の接種を生後8月に実施した場合、その後の初回接種は行わずに、生後12月となってしまった場合に、次に行うのは追加接種になるのですが、追加接種は初回接種終了後7月の間隔以上の間隔を置いて行うことになりますので、その場合、次の接種ができるのは生後15月となってしまう。この場合だと、不十分な免疫のまましばらくいることになりますので、以下のようなただし書きを加えてはいかがかという提案でございます。

 「ただし、生後12月までに初回接種を完了せずに生後12月以降に追加接種を行う場合は、初回接種終了後27日(医師が必要と認めるときは、20日)以上の間隔をおいて行う」というという特別な規定を置いてはいかがかというものでございます。

16ページ目は、小児用肺炎球菌でございます。

 こちらも特別な措置が必要かと考えております。例えば生後2月に肺炎球菌予防接種を開始したものは、生後12月までに初回接種2回目、3回目を注射しなかった場合、生後12月以降に追加接種しかできないこととなります。生後12月以前の1回と追加の1回となり、免疫が不十分となってしまう可能性がある。

 そのため、下記のように、生後2月から12月に接種を開始したものは、初回接種を生後24月まで実施可能としてはいかがかというものでございます。

 また、この改正をした場合、生後2月から7月に接種を開始したものが、2回目、3回目の接種を生後12月から24月に実施した場合、生後12月以降に3回の接種を実施することとなり、過剰な接種をすることとなる。これはもともと生後12月以降に開始した方については、2回の接種のみでよいわけでございますので、過剰な接種となるために、特別な措置として、そのため生後2月から7月に接種を開始したものについては下記のようなただし書きを追加してはいかがか。

 「初回2回目の接種が生後12月を超えた場合、初回3回目の接種は行わないこと」。

17ページ目が、今まで述べた規定を実施規則、実施要領改正案として赤で示したものでございます。

 以上でございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 以上が小児科学会にコンサルテーションをした結果として、事務局がまとめてくれたこととなりますけれども、いかがでしょうか。

 基本的には、予防接種のある一定期間過ぎてやり損ねた人が、さてこの後、放っておいていいのかどうかというところにできるだけきちんと免疫を持ってもらおうではないかというところが発想だと思いますが、Hibと肺炎球菌のように、逆に過剰免疫になってしまうようなこともあるので、例外的なただし書きを置くことにしたということになりますけれども、御意見を少しいただければと思います。

 中野先生、どうぞ。

○中野委員 おまとめいただいたものを拝見させていただいて、過去に得られた知見、間隔が開いた場合の知見もしっかりと各ワクチンについてまとめていただいてありますし、また、必要な接種回数につきましても、我が国の臨床試験で得られた最低限の回数の接種が行われるようにきちんと書いてございますので、これはとてもすばらしいおまとめだと思います。ぜひこの案で今後運用するのがいいと私は思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 ただし、本来はきちんとした間隔でやっておいていただきたいということを、ぜひとも特に後ろ(傍聴席)におられる方もアナウンスをするときに強調していただいて、いつやってもいいというわけでは決してないということは強調しておきたいと思います。

 坂元先生、何かございますか。

○坂元委員 自治体側としても、今まで接種期間が過ぎてしまった取扱いを、発熱があったとか、いろいろやむを得ない事情で、以前宮崎先生からもお叱りいただいたのですけれども、自治体によって対応がばらばらではないかとか、そういうこともあって、今回そういう意味では、かなりすっきり整理できて、自治体としては、ある意味非常にやりやすくなっていると思います。

○岡部部会長 ヒヤリ・ハットからは外れるわけですね。ヒヤリ・ハットの中にも入れていないところもいっぱいあるのですけれども、医学上は問題がなかったのだが、ルール上に問題があったという部分のルールのところをより医学的に近づけていただいたということだと思うのです。

 宮崎先生、何か追加の御発言がありましたらお願いします。

○宮崎委員 基本的には、予防接種の接種対象年齢の中であれば、接種がおくれても、なるべく早くやってあげましょうという、私は一言で済むのかなと思っていたのですが、なかなか法律的にはそういかなかったようで、省令と通知という形で、今まで少し硬かった部分を少し落としながらうまく法律的な文章にしていただいたのかなと思います。

 基本的には、やはり標準的接種年齢でやるのが最も理想的ですので、これは強力に勧奨しつつ、しかし、それから漏れたものも定期から排除しない。予防接種法というのは国が公権力を行使するというように今日の資料の前文には書いてありましたけれども、実際は国民側から言えば、必要なワクチンを安全・安心・安価に受けられる権利の保障ですので、接種対象年齢の中であれば、やはり見るべきであると。それを形にしていただいたのかなと思っております。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 渋谷先生も何か保健所の立場ということでございますか。

○渋谷委員 大変わかりやすくおまとめいただきまして、ありがとうございます。

 過剰接種という考え方もここできちんと示していただけたことは意義があり、非常に参考になるかと思っております。やはり子供たちを救うためにどうするか考えたときに、外れてしまうことなく制度の中でできるのだよと、このことを保障するのは非常に重要なことだと思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 小森先生、どうぞ。

○小森委員 

接種間隔のことについては、本当に全国の医師会の方々から、怨嗟に近い声を随分いただいておりまして、そのかたくなな適用ということが、実際上は特に郡市区という単位になると、時に見られたということがございます。

 その都度、本省のほうではできるだけ、そのあたりは柔軟にという指示を出していただき、また、都道府県単位では余りそのようなことはないのですが、今、宮崎委員におっしゃっていただいたように、やはり受ける側からいたしますと、また、現場の小児科医からすると、お母様方のさまざまな御事情、あるいは子供さんの健康状態等においていささかなりとも外れた場合に、そういう対応をされると大変難しいということがあったと聞いております。そういう意味では、柔軟な対応をしていただいたことに対して、私としても感謝をしたいと思います。

 それと同時に、先ほど2学会のことがございました。やはり今後のワクチンの開発。先ほど5年後の問題もございましたけれども、その都度、さまざまな声は謙虚に受けとめながら、このようにまた議論をし直していくということが大事だと思います。

 今回は感謝をしたいと思います。ありがとうございます。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 原案をまとめていただいたのは、事務局サイドも大変な御苦労があったと思うので、これもお礼を申し上げておきたいと思います。

 多分、運用上になってくると、細かいところで少し調整しなくてはいけないところが出てくると思うのですけれども、基本的な考え方としては、宮崎先生がおっしゃったような、あるいは渋谷先生がおっしゃったような、どこで必要点があるのだというところで立ち返って議論、修正といいますか、こういう調整をできるようにしたいと思いますので、その点も含めて、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、これは提案されたものについて、この委員会としては了承したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題としての最後になりますが「日本脳炎の特例措置対象者について」です。これについては事務局側からだと思いますが、御説明をお願いします。

○難波江課長補佐 お手元の資料5「日本脳炎の積極的勧奨の差し控えに対する平成26年度の対応について(案)」をごらんください。

 裏をめくっていただきまして、毎年毎年ここのところはやっているものでございますが、平成17年度から平成21年度まで、日本脳炎の積極的勧奨は差し控えておりましたが、平成22年度から再開しております。再開に際しまして、平成17年度から21年度の間に積極的勧奨を受けなかった層に対して、積極的勧奨を順次再開しているというものでございます。

 平成26年度につきましては、まず1期の層のBの最後の学年、8歳、9歳、来年小学校2年生、小学校3年生になる層でございまして、平成25年度は初回を受けられている。この層に対して、来年度は1期の追加の勧奨を行う。

 2期につきましては、Aの層の来年度18歳になる層、来年度高校3年生の層に対して2期の勧奨を行うという案でございます。

17年度から21年度の勧奨を差し控えていた間でも1期を受けられていた方に対しては、自治体が市町村の実施可能な範囲で2期の勧奨を行っていただく。これも来年度は実施するということで、1枚表に戻っていただきまして、まとめます。

 1番、1期の追加予防接種については、平成26年度に8歳、9歳となる者について行う。

 2期については、平成26年度に18歳となる者について行う。

 その他として、積極的勧奨が差し控えられていた間に1期接種を完了した方については、市町村が実施可能な範囲で2期の勧奨を行っても差し支えないとしております。

 以上でございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 日脳はずっと少しずつ少しずつ埋めていっているわけですけれども、最終的というか、今のところ、日本脳炎の血清抗体価も少しずつ上がってきて、接種率もはしか、風しんのようにはいかないのですが、かなり上がってきているので、また、患者さんの発生も幸い収まっているようです。

 多屋先生、何かコメントがありましたらお願いします。

○多屋委員 全国の都道府県、都道府県衛生研究所の先生が中和抗体を測定してくださっていますが、見事に勧奨している年齢がぐっと上がりまして、今、勧奨を待っている年齢層だけがちょっと低いという状態ですので、今回の積極的勧奨は有効に働いていると思います。

 3歳の抗体保有率がほぼ積極的勧奨を差し控える前のところまで戻ってきたという状況かと思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 庵原委員、どうぞ。

○庵原委員 2つコメントがあります。

 1つは、接種間隔がみんなばらばらで、ややこしいものばかり出てくると思うのですけれども、これはこれが生きるわけですか。要するに、同一ワクチンにおける接種間隔についてというものが来年から生きる形で、これを使ってもいいということですか。

 今でもこれを使っていると思うのですけれども。

○宮崎委員 といいますか、日本脳炎の場合はいろいろ特殊事情がありましたので、積極的勧奨を差し控えている間のところは、別途国のほうで、6日以上であれば原則接種可能としています。しかし、これぐらい間隔をあけた方がより適当というようなこともありますので、注釈でより適切な間隔を指示しています。今回の改正とは別の手当がしてございまして、それも生きつつ、これからやっていくところでは、今回の改正も生きていくという、並行的に行っている感じだと思いますが、よろしいでしょうか。

○庵原委員 了解しました。

 三重県の場合、積極的勧奨の中止の期間に積極的にワクチンをやっていましたので、大分これとはずれた方が結構出てきています。行政からの問い合わせがあった場合に、要するにこれに準じた形で対応していけばいいというのが1点目です。

 2点目が接種率のことなのですけれども、今の接種率は、年齢に関係なく接種した人の数を該当年齢で割っていますので、実際の生の接種率を本当に行政がつかめているのかというところに疑問があります。

 血清抗体のほうからは上がってきているので、多分大丈夫だろうなと予測しているのですけれども、実際の生の接種率というのは、行政は把握しているわけですか。それは確認です。

○岡部部会長 行政のほうに提出しているのでは、高山先生と私たちがやっている累積接種率がありまして、これは岡部班から大石班につながって、そのまま継続しているので、現状は大石先生のほうがいいですかね。御説明ください。

○大石参考人 昨年から把握しておりますけれども、岡部先生の協力研究者である高山先生方が中心に調査をこれまでどおり継続していただいておりまして、日本脳炎の接種率はずっと上がってきているということは確認されています。

 正確な数値は記憶しておりませんけれども、研究班の報告書にちゃんと記載しておるところでありますし、日本医師会だったか、日本医学会雑誌のほうに論文として掲載されておりますので、御参照いただければと思います。

○岡部部会長 庵原委員、どうぞ。

○庵原委員 実際、行政が出してくる数字は100%を超えているのです。ですから、それが本当に3歳で何パーセントとか、それこそキャッチアップの年齢層で何パーセント打っているかという、生の正しい数字を行政がつかんでいるかというそこを知りたいわけです。

○岡部部会長 難波江さん、どうぞ。

○難波江課長補佐 資料1の基本計画(案)の11ページの「三 科学的データの収集・解析」の2つ目のパラグラフに「具体的な取組みとして、接種率を把握するための分子・分母に関するデータベースの整理や」とございまして、これはこれまでの御議論にありますとおり、今、出しているのは接種率というよりも実施率として、分母は特定の学年、積極的勧奨の対象の例えば1学年、分子は政令で定める年齢の人が全部入ってくるということで、MRであれば1学年でフィットするのですけれども、日本脳炎のようにもっと広くて、分母は1学年だけとっているが、分子は幅広くとっているとなると、先生がおっしゃられるような出生年コホートごとの接種率の把握というのは、今では難しいという状況になっております。

○岡部部会長 多屋先生、どうぞ。

○多屋委員 前回の基本方針部会でも申し上げたように、接種歴の記録が残っていきますと、恐らくすぐに、今、何歳の人が何パーセント受けていらっしゃるということがわかるようになるので、それもこれにかかってくるのではないかと思います。

○岡部部会長 課題があった分を解決に向けてというところなので、ここは期待をしたいところでもあります。

 では、日本脳炎については、今のようなスケジュールで御了承いただきます。

 複雑なスケジュールではありますけれども、受け損ねている方については相談をいただいて、できるだけ免疫を保っていただいて、日本脳炎にかからないように守りたいと思います。

 議題はこれで一応終了なのですけれども、小森先生には今、一言言っていただいたのですが、中山先生、一言何か感想でもありましたら、どうぞ。

○中山委員 肺炎球菌ワクチンのところですが、受けていないということの証明というのは結構難しいのだろうなと思うのです。受けたというのは、御本人がきちんとした記録にスタンプとか自分で書き込みとかをすればいいのですけれども、66歳になったときに、自分は65歳のときに受けなかったから、任意でもいいから受けたいと言ってきた方に、去年65歳でやっていませんかと問診をして、去年受けていませんと答えて、では接種をしましょうとやって、それだけでいいのか。あるいは自治体のところに行って、接種台帳を見て受けていないという証明をもらってきてくださいと、そこまでやるのかどうか。そうなると、かなりシステム的には大変になると思うのですけれども、聞いていて、接種間隔が短いと副反応が起きるということであれば、特に高齢になればなるほど記憶とか、そういうところも危ないところが出てきますので、その辺が心配になりました。

 以上です。

○岡部部会長 インフルエンザよりも2回接種するということが、局所反応ではあるけれども、強いですよという説明をきちんとやっていかないと、そこはなかなか守っていただけない部分だと思うのです。

 それから、インフルエンザと一緒に抱き合わせで、いまだにこれは毎年やるワクチンですかという誤解もありますからね。

 庵原先生、何かありますか。

○庵原委員 ですから、これはインフルエンザワクチンと一緒に打てば効果があるという言い方をしてしまうと、インフルエンザは毎年打っていますから、肺炎球菌ワクチンも毎年打たなければいけないというイメージが定着されるのが怖いなというか、逆に言うと、任意だから私はやりたいよと言われた場合に、断る理由が成り立たないのです。ここはあくまでも定期の話をして、任意の話はしないということで了解をいただければ、その人にお任せするという形になるのかなと思います。

○岡部部会長 ただ、基本的には2回続けてやるようなものではなくて、やるにしても一定間隔が必要ですということの説明は繰り返してやっていく必要があるだろうと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、残った時間で、報告事項について報告をしていただければと思います。

 一番初めは「ロタウイルスワクチン作業班中間報告について」です。よろしくお願いします。

 これは事務局からですか。失礼しました。

 ロタはまとめていただいているのが多屋委員なので、多屋先生からお願いします。

○多屋委員 資料6をごらんいただきたいと思います。

 資料6の最後のページに、ロタウイルスワクチンの作業班のメンバーが記載されてございます。池田先生はお帰りになられましたけれども、医療経済の分野、小児科、公衆衛生学、ウイルス学というメンバーで、このワクチンについて検討をしてまいりました。

 最初に中間報告書のまとめが1枚書いてありますので、それをごらんください。

 まず、ロタウイルスワクチンにつきましては、7ワクチンの接種促進の議論が行われた後に国内で接種が始まったということもありまして、その時点から国立感染症研究所でファクトシートを作成し、その後、そのファクトシートをもとに作業班で評価・分析編をつくってまいりました。

 このほど、その後ろに中間報告書となっておりますのは、まだもうちょっと議論を進めなければいけない点が残っているということから、中間報告書となっております。

 まず「2.中間報告書におけるロタウイルスワクチンの評価」のところを簡単に読ませていただきます。

 ロタウイルスワクチンについては、初回感染時の胃腸炎重症化防止効果や、間接効果の可能性が考えられており、有効性の観点からは、接種の必要性が認識されています。

 一方、ロタウイルスワクチンを定期接種に導入している国からの報告によりますと、ロタウイルスワクチンの接種直後に一過性に腸重積症の相対リスクが上昇することが確認されています。しかし、これらの国ではロタウイルスワクチンによるベネフィットが腸重積症のリスクを大きく上回ると結論しています。我が国でも同様に、腸重積症のリスクを大幅に上回るベネフィットが予測されておりますが、これを裏づける自国のデータを収集し、評価することが必要と考えられています。

 作業班につきましては、以上のようなことから、定期接種化に当たっては、副反応発生状況の分析・評価や医療経済学的な評価について、もう少し検討するという認識で一致しております。

 その理由としましては、現在3つの研究班で研究が行われておりまして、大石班、片山班、庵原班、この3つの班でロタウイルスについての検討がなされていますので、今年度、その研究班の結果を待って、またさらに最終の報告書の作成にいきたいと考えております。

 時間が余りありませんので、簡単に中間報告書の構成を申し上げますと、ファクトシートができましてから、もう1年ぐらいたっておりますので、その間にたくさんの論文が出てまいりました。それを簡単にまとめたものがファクトシート追加編となっているところです。ロタウイルス感染症の臨床症状、ロタウイルス胃腸炎との関連が示唆された疾患、そして脱水の程度の評価というのがどうしてもロタウイルスの感染症を考えるには重要なので、その点。そして、治療の原則。それから、最近、下利便中のウイルスの量なども論文が出てまいりましたので、そういったことを加えております。

 あと、予防接種の効果につきましては、重症化の防止効果、感染の防止効果というところはエンドポイントとした研究はないのですけれども、重症化防止効果に加えて、間接効果というところが大きい論文が幾つか出ておりますので、それを追加ファクトに入れております。

 5ページ目に行きまして、接種を行った場合と行わなかった場合の蔓延の状況変化はどうかという命題があったわけですが、これは非常に難しいのですけれども、最近69番という論文の中で接種を行わなかった場合と接種率がこの程度であった場合のロタウイルス下痢症による入院患者数の減少というものが出てきています。

 次に、大きな追加として、ロタウイルスワクチンの安全性の部分なのですけれども、近年、初回接種後、腸重積症の頻度が若干増加するという論文が出てまいりました。先日の米国のACIPでもそのことが発表されたようで、それを7ページ目にまとめてございます。

 その次に、医療経済学的な池田先生の評価なのですけれども、今後、重症化の予防効果、そして副反応として出てくる腸重積症の数等も踏まえまして、最終的に費用対効果はもう少し情報を待ってまとめていただけることになっております。

 以上が追加ファクトで、それらをまとめまして、評価・分析編は、現状のところは16ページ目からまとめてあるところで、ロタウイルスの疾病負荷としては小児科としては非常に大きいものがある。また、間接的な効果についても、ロタウイルスワクチンの効果は世界では一定の程度出てきている。

 一方、腸重積症の頻度ということについては、もう少し詳しく月齢別の日本の基礎データとして出した上で、これをもとにどのようにリスクベネフィットを考えるかというところが最終的には現在は残っております。

 最後の25ページなのですけれども、もし広く接種をするということになった場合の接種の方法についてですが、現在、2種類のワクチンがありまして、接種の最終週齢がわずかに違っております。定期接種となった場合には、それをどのようにするかという点。それから、米国などは、初回接種については生後15週齢を超えた場合は初回接種はしないと記載されておりますけれども、日本については15週齢を超えての初回接種は推奨できないという表現にとどめております。

 その次に、26ページに行くのですけれども、総合的な評価に向けた課題としましては、この3つが検討を要する課題として残っております。

 1番が腸重積症のベースラインデータの整理が必要。これが今年度、大石班のほうで、砂川分担班で実施しております。

 2番目のリスクベネフィット分析としては、接種群でのロタウイルス感染症の入院者数の減少や腸重積症との副反応との発生状況をもとに解析を行う。

 3番目が医療経済学的な効果や間接効果の評価になります。

 これらを今年度中に行っていくというところで、今般、中間報告としてまとめさせていただきました。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 一応、中間報告で、まだ多少まとめなくてはいけないところがあるので、その概要をお知らせいただいたのですけれども、何か御質問、コメントがありましたらどうぞ。

 特によろしいでしょうか。

 それでは、多屋先生、大変でしょうけれども、また引き続き、随分最新の知見も入っているようですし、報告自体も随分積み重ねられているので、これを含めてよろしくお願いいたします。

 もう一つの報告事項は、ワクチンの価格調査というものが行われております。これについては、宮本室長、お願いします。

○宮本予防接種室長 私のほうから簡単に説明させていただきます。

 資料7-1と7-2を御用意いただきたいと思います。

 ワクチン価格や予防接種の費用につきましては、これまでも御議論いただいておりますし、第2次提言にもありましたように、適正なワクチンの価格ですとか、価格決定プロセスの透明化などという課題の中で議論されておりました。

 こういった議論の提言を踏まえまして、資料7-1ですが、平成24年度の自治体と医療機関との間の予防接種費用の委託単価についての調査、資料7-2については医療機関ワクチン購入価格の実績について、日本医師会にお願いをいたしまして、都道府県、市区町村等に実施したものでございます。

 資料7-1「予防接種費委託単価等調査」の概要は、1枚目の下にございます。

 厚生労働省より都道府県を経由いたしまして、全市区町村に調査を依頼したもので、1,742市区町村を対象に実施をし、1,737市区町村から回収させていただきました。

 調査事項としましては、当時ですけれども、一類定期接種及び二類定期接種の市区町村と医療機関の委託単価契約の状況、それから、やはり当時ですけれども、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業ですので、HPVHib、小児用肺炎球菌ワクチンの同様に市区町村と医療機関の委託単価契約について調査をさせていただきました。

 また、その内訳が示せる自治体につきましては、ワクチン代、問診料、事務費等の内訳についてもその中で聞いております。

 1枚おめくりいただきまして、全体にこのようなデータが各ワクチンについて並ぶということになりますけれども、全体の傾向を申し上げますと、委託単価につきましては、かなりの幅を持って分布をしているということが見て取れます。

 一方で、ワクチン代につきましては、比較的狭い幅の中にそろっているという印象を受けております。

 そうしますと、委託単価は原理上、ワクチン代と問診料とそのほかの費用が合算されたものになるわけですけれども、見てまいりますと、問診料等につきましては、広く分布している中で2つほど山がどのワクチンについても見受けられるという印象を持っております。また、これが委託単価の中にも反映され、左右に広がってはいるのですが、少し山が2つあるような印象があるという形態をしておりまして、どのワクチンについてもほぼ同様の状況になっていると思います。

 私どもの理解ですけれども、単純にはなかなか比較できないと思っております。といいますのは、ワクチン代や問診料等におけます総回答数と委託単価におけます総回答数はかなり違っていると見ていだけるわけですが、そういった内訳がはっきりしていない自治体さんというのも非常に多く、そうなってまいりますと、中がよくわからないということにもなります。

 また、自治体の状況によりましても、例えば自治体立の病院が1つだけあって、そこが実施医療機関として指定されているというところの費用を伺いますと、細かい内訳がなくて、事務費用だけが比較的少額の形で積算されているようなところもございます。そういったさまざまな状況というのが反映された姿ということで御理解いただければと思います。

 資料7-2は、日本医師会に実施をお願いしまして行った「『ワクチン価格等調査』集計結果」でございます。

 それぞれのワクチンにつきまして、医師会に所属する医療機関1万を抽出いたしまして、この1万に対しまして調査をお願いしたところ、有効回答数は1,796医療機関、有効回答率18.0%であったということでございます。

 2枚目以降に各ワクチンの価格の分布を示しております。これは自治体におけます調査とほぼ同様の印象を持っております。かなり狭い幅の中に各価格が入っているという印象を持っております。

  まとめますと、ワクチン代につきましては、自治体の委託単価と医療機関の購入価格との間にはそれほど大きな差はないのかなと思います。せいぜい数パーセント程度ということで、両方の調査の妥当性ということもあわせて示されていると思っております。

 今後の取り組みにつきましては、またこれらのデータを自治体などに御参考いただきまして、またそういった反響なども踏まえて、今後の対応を考えてまいりたいと思います。

 私からは以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 条件によってさまざまな捉えられ方があるというところだと思いますが、実情としてはこういう幅を持ってまとめられたということになると思います。

 何か御意見ございますか。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 私は自治体の代表者として出ておりますので、一言申し上げたいのは、現在、国のほうは、多分これは総務省だと思いますが、市町村が予防接種に負担している費用の9割を地方交付税の算定根拠とするというようにしているところでございますが、こういう結果を見ますと、そもそも論として市町村が負担している費用にこれだけの幅を持っていることを見ますと、何の9割を算定根拠にしているのかというのは、自治体側の大きなクエスチョンでございまして、事実、本当に市町村の負担が

反映されているのか、中身が全く見えないということが実施主体の市町村側からの大きな疑問でございます。

 今回、このような調査結果というものを見て、やはりこれだけの幅を持っているということは、地方交付税の算定根拠を一体どこに置いているのかということも自治体側としては大きな疑問として出てくるのではないかと思っております。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 こういうものも参考にしていただきながら、今後の地方交付税や何かの考え方にもなるという資料になるということでしょうか。

 ほかに何かございますか。

 渋谷委員、どうぞ。

○渋谷委員 これは分布を見るということはわかりましたけれども、一つずつの市町村については公表しないという考え方でよろしいのでしょうか。

○岡本部会長 これは事務局のほうでお願いします。

○宮本予防接種室長 各市町村名を公開する考えは持っておりません。

 といいますのは、余り強い価格誘導性がこの調査によって発生しますと、関係者に対しまして影響が強くなるということがございまして、こういったまとめ方につきましては、公正取引委員会とも相談をし、このような形にとどめておるという状況でございます。

○岡部部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。

 引き続き、最後の課題なのですが、風しんに関する小委員会というものが開かれておりまして、たしかあしたの午前中がそうだと思いますが、これまでの進捗状況ということで、氏家補佐から御説明をよろしくお願いいたします。

○氏家課長補佐 1021日に開催されました第2回「風しんに関する小委員会」について、御報告申し上げます。

 第2回の小委員会におきましては、主に原因の究明と医療の提供に関して、以下の資料をもとに審議されてございます。

 資料の内容としましては、風疹患者の医療に関する課題。

 妊婦の風疹罹患及びCRS発生抑制等胎児期の罹患予防に関する研究。

CRS児の家族の支援、および保育や教育現場の職員の安全な職場環境づくりのために必要な対策の提案。

2030代女性の風疹免疫状況。

 積極的疫学調査事業所の集団発生から。

 地方衛生研究所における風しん検査についてでございます。

 先ほど岡部部会長からも御指摘がありましたように、明日、第3回の小委員会が予定されてございまして、主に予防の観点から議論を行っていただく予定になってございます。

 事務局からは以上でございます。

○岡部部会長 これについては、何かコメントのようなものはありますでしょうか。

 風しんは、宮崎先生が委員になっておられると思うのですが。

○宮崎委員 あしたは出席していろいろ意見を述べます。

○岡部部会長 これは今までのもので、むしろあした以降のほうが新しい議論になると思いますので、またそれを待って、継続していきたいと思います。現状は、このようなことが行われているということになります。

 それでは、一応これで議題、報告事項、大変膨大なところでいろいろな議論もあって、なかなか決めかねるというか、本当に議論が百出しているところもあったわけですけれども、あるときには決定もしなくてはいけないということで、御協力、御理解もいただいたように思います。

 学会からは非常に貴重な御意見をいただいたのですけれども、結論については、そういうことになったというのは、事務局のほうから学会のほうには御連絡をすると聞いています。

 それでは、その他では何か用意されているものはありますでしょうか。特にその他はございませんか。あるいは先生方のほうで、今のうちにその他で何か言っておいたほうがいいことがあればお願いします。特によろしいでしょうか。

 それでは、次回等々のことも含めて、あとは事務局のほうからおしまいの御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

○嶋田室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

○岡部部会長 長時間にわたり、どうもありがとうございました。

 以上です。

 

(注)

小森委員の任期が、平成25 10 18日に満了していましたが、再任命の手続をとらないまま、同委員出席の上、審議会を開催しました。

議事の定足数については、当該委員を除いても、委員及び臨時委員の過半数が出席していたため議事は成立しています。なお、今回の会議においては、議決を行っておりません。

また、今回の会議においては、当該委員は、参考人として取り扱われます。

詳細については、以下のリンク先を御覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040328.html

 


(了)

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